説明

CDK1阻害剤としてのキナゾリニルメチレンチアゾリノン

本発明は、R1、R3、R4、X及びnが上記で定義した意味を有する、式(I)のキナゾリンチアゾリノン誘導体を開示し、これはCDK1抗増殖活性を実証し、抗癌剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、CDK1抗増殖活性を示し、抗癌剤として有用なキナゾリンチアゾリノン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリン依存キナーゼ(CDK)は、細胞周期の異なる段階の間の移行、例えばG1(有糸分裂と細胞分裂の新規のラウンドのためのDNA複製の開始の間のギャップ)における静止期からS(活発なDNA合成の期間)への進行、又はG2からM期(ここでは、活発な有糸分裂及び細胞分裂が生じる)への進行の制御において重要な役割を果たすセリン−トレオニンタンパク質キナーゼである。(例えば、Science,274:1643−1677(1996)及びAnn.Rev.Cell Dev.Biol.,13:261−291(1997)に編集された論文を参照のこと)。CDK複合体は、制御サイクリンサブユニット(例えば、サイクリンA、B1、B2、D1、D2、D3及びE)と触媒キナーゼサブユニット(例えば、CDK1、CDK2、CDK4、CDK5及びCDK6)の連関により形成される。名前が示すように、CDKは、標的基質をリン酸化するのにサイクリンサブユニットへの完全な依存を示し、異なるキナーゼ/サイクリンの組は細胞周期の特異的な段階を通して進行を制御する働きをする。
【0003】
上記から理解されるように、これらのタンパク質は、様々な細胞機能を制御するタンパク質(酵素)のクラスである。これは、基質タンパク質の構造変化をもたらすタンパク質基質上の特異的アミノ酸のリン酸化により達成される。この構造変化は、基質の活性又は他の結合パートナーと相互作用する能力を調節する。タンパク質キナーゼの酵素活性は、キナーゼが基質にリン酸基を加える程度を指す。それは、例えば時間の関数として生成物に変換された基質の量を決定することにより、測定することができる。基質のリン酸化は、タンパク質キナーゼの活性部位で生じる。
【0004】
上記の特性の観点から、これらのキナーゼは、細胞増殖、細胞分化及び細胞移動をもたらす成長因子シグナル伝達の伝播において重要な役割を果たす。線維芽細胞増殖因子(FGF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)は、腫瘍促進血管形成の重要なメディエーターとして認識されてきた。VEGFは、2つの高親和性受容体(その1つは、キナーゼインサートドメイン含有受容体(KDR)である)を介したシグナル伝達により内皮細胞を活性化する。(Hennequin L.F.et.al.,J.Med.Chem.45(6):1300(2002)を参照のこと)。FGFは、FGF受容体(FGFR)を介したシグナル伝達により内皮細胞を活性化する。固形腫瘍は、成長するのに新生血管の形成(血管形成)に依存する。従って、成長シグナル伝達を妨害する受容体FGFR及びKDRの阻害剤は、固形腫瘍の予防及び処置において有用な薬剤である。(Klohs W.E.et.al.Current Opinion in Biotechnology,10:544(1999)を参照のこと)。
【0005】
CDK、例えばCDK1は、細胞分裂の一般的なアクチベーターとして働くので、CDK1の阻害剤は抗増殖剤として有用であり得る。これらの阻害剤は、無秩序な細胞周期進行の抑制における治療的介入の開発に用いることができる。
【発明の開示】
【0006】
本発明によれば、式Iの化合物
【化1】

{式中、
1は、水素、低級アルキル又は
【化2】

であり;
Xは、低級アルキレン、3〜6個の炭素原子を含むシクロ低級アルキレン及びヒドロキシ低級アルキレンから選択され;
【化3】

は、
アリール環、
3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル環、
3〜5個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む、4〜6員ヘテロシクロアルキル環、及び
酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5又は6員芳香族複素環、から選択され;
5及びR6は、独立に、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルキル、ハロゲン、ペルフルオロ−低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され;
3は、水素、−NH−R7及び−NH−C(O)−R8から選択され;
4は、水素、低級アルキル及び−O(CH2CH2O)y−R10から選択され;
7は、水素又は低級アルキルであり;
8及びR10は、低級アルキルであり;
nは、0〜1の整数であり;且つ
yは、0〜3の整数である;
ただし、nが0であってR1が水素又は低級アルキルである場合、R3/R4は両方とも水素であることはできない}、
又は、R1が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1がヘテロシクロアルキル環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン;
又は、その医薬として許容される塩が、CDK、特にCDK1の活性を阻害することが発見された。このような薬剤を含むこれらの本発明の薬剤及び医薬組成物は、制御されない又は所望されない細胞増殖、例えば癌、自己免疫疾患、ウイルス性疾患、真菌病、神経変性障害及び循環器疾患に関連した様々な疾患又は疾病状態を処置するのに有用である。
【0007】
CDK、特にCDK1の活性を阻害及び/又は調節することは、式Iのこれらの化合物及びこれらの化合物を含む組成物を、癌、特に固形腫瘍、より詳細には肺癌、乳癌、結腸癌及び前立腺癌の処置における特に抗腫瘍剤として、キナーゼ活性により治療される疾患の処置に有用なものとする。
【0008】
本明細書中で指摘するように、式Iの化合物は潜在的な抗増殖剤であり、CDK、特にCDK1の活性の介在及び/又は阻害に有用であり、その結果癌或いは抑制されない又は異常な細胞増殖に関連した他の疾患を処置するための抗腫瘍剤を提供する。
【0009】
本発明の1つの好ましい実施態様において、式Iの化合物
{式中、
1は、水素又は
【化4】

であり;
Xは、低級アルキレン、3〜6個の炭素原子を含むシクロ低級アルキレン及びヒドロキシ低級アルキレンから選択され;
【化5】

は、アリール環、3〜6個の炭素原子を含むシクロ低級アルキル環、3〜5個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜6員ヘテロシクロアルキル環、並びに酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5又は6員芳香族複素環から選択され;
5及びR6は、独立に、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルキル、ハロゲン、ペルフルオロ−低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され;
3は、水素、−NHR7、及び−NH−C(O)−R8から選択され;
4は、水素、低級アルキル、及び−O(CH2CH2O)y−R10から選択され;
7は、水素又は低級アルキルであり;
8及びR10は低級アルキルであり;
nは、0〜1の整数であり;且つ
yは、0〜3の整数である;
ただし、nが0である場合、R1、R3及びR4の1つは水素以外である}
又は、R1が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1がヘテロシクロアルキル環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン、
又は、その医薬として許容される塩が提供される。
【0010】
式Iの好ましい化合物は、nが0の化合物である。これらの化合物は、以下の式の化合物
【化6】

{式中、
1’は、水素又は低級アルキルであり;
4’は、低級アルキル又は−O(CH2CH2O)y−R10であり;且つ
3、R10及びyは、上記の通りである}、
又は、その医薬として許容される塩を含む。
【0011】
nが0の式Iの化合物は、以下の式の化合物
【化7】

{式中、
1”は、
【化8】

であり;
3、R4、R5、R6及び
【化9】

は、上記の通りである}、
又は、R1”が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1”がヘテロ環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン;
又は、その医薬として許容される塩も含む。
【0012】
式Iの化合物中のnが1である場合、この化合物は、以下の式
【化10】

{式中、
1”、X、R3、R4及び
【化11】

は、上記の通りである}、
又は、R1”が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1”がヘテロ環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン;
又は、その医薬として許容される塩を有する。
【0013】
1及びR1”がアリール部分を含む置換基である場合の化合物I、I−B及びI−Cにおいて、好ましいアリール部分はフェニルである。本明細書中で用いる場合、ハロゲンとしては、4つの全てのハロゲン、例えば塩素、フッ素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
【0014】
本明細書中で用いる場合、「低級アルキル」という用語(単独又は組み合わせにおいて)は、1〜6個の炭素原子を含む一価の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどを意味する。
【0015】
「シクロアルキル」という用語は、一価の非置換の3−から6−員飽和炭化水素環を指す、シクロ−低級アルキル置換基を意味する。好ましいシクロアルキル置換基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。
【0016】
「低級アルコキシ」という用語は、上記で定義した低級アルキルから形成される直鎖又は分岐鎖−O−低級アルキル基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどを意味する。
【0017】
「アリール」という用語は、一価の単環又は二環式の非置換芳香族炭化水素環、例えばフェニル又はナフチルを意味し、フェニルが好ましい。
【0018】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、3〜4個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択される1又は2個のヘテロ原子を含む、4〜6員単環式飽和環を指す。好ましい複素環アルキル基には、モルホリニル(mopholinyl)、テトラヒドロ、チオピラニル又はテトラヒドロピラニルなどが含まれる。
【0019】
「芳香族複素環」という用語は、4〜5個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む、一価の5又は6員単環式芳香族複素環を指す。好ましい芳香族複素環基には、チオフェニル(thiopenyl)、チアゾール(thioazole)、ピリジニル、フラニルなどが含まれる。
【0020】
「低級アルキレン」という用語は、1〜6個の炭素原子を含む、二価の飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素置換基を指す。
【0021】
「ヒドロキシ−低級アルキレン」という用語は、ヒドロキシ基で置換、好ましくは一置換された、上記で定義した低級アルキレン置換基を指す。同様に、「アミド−低級アルキレン」を用いる場合、これは、アミド置換基で置換された上記の低級アルキレン置換基を指す。
【0022】
「シクロ低級アルキレン」又は「シクロアルキレン」という用語は、二価の非置換の3〜6員飽和炭化水素環を指す。好ましいシクロアルキレン置換基は、二価のシクロプロピル及びシクロブチルである。
【0023】
「ペルフルオロ−低級アルキル」という用語は、上記の任意の低級アルキル基を意味し、ここで低級アルキル基の全ての水素はフッ素により置換又は置き換えられる。好ましいペルフルオロ−低級アルキル基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルなどであり、トリフルオロメチルが特に好ましい。
【0024】
「医薬として許容される塩」という用語は、適切な無毒性の有機酸、無機酸、有機塩基又は無機塩基から形成される、式I、I−A及びI−Cの化合物の生物学的有効性及び特性を保持した、通常の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。酸付加塩の例としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸及び硝酸から誘導されたもの、並びに有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、フマル酸などから誘導されたものが挙げられる。塩基付加塩の例としては、アンモニウム、 カリウム、ナトリウム及び、水酸化第4級アンモニウム、 例えば、水酸化テトラメチルアンモニウムから誘導されたものが挙げられる。医薬化合物(すなわち、薬剤)の塩への化学修飾は、化合物の物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性及び溶解性を改善するための薬学者に周知の技術である。例えば、H.Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(6th Ed.1995)、pp.196及び1456−1457を参照のこと。
【0025】
本発明によれば、式Iの化合物は以下の式の化合物から調製することができる
【化12】

{式中、R3及びR4は、上記の通りである}。
【0026】
式IIの化合物は、以下の反応スキーム1により式Iの化合物へと変換することができる(ここで、X、R1、R3、R4及びnは、上記の通りである)。
【化13】

【0027】
本発明によれば、式IIの化合物を、Knoevenegel反応により、式III−Aの化合物[ロダニン(2−チオ−4−チアゾリン−4−オン)]と反応させて、式IVの化合物を生成する。Knoevenegel反応の実施における任意の通常の条件を、この縮合を実施する際に利用することができる。一般的に、この反応は、アルカリ金属酢酸塩及び酢酸の存在下において還流温度で実施する。
【0028】
この合成の次の段階において、式IVの得られた置換チアゾリジンをメチル化剤と反応させて、式IVの化合物上のチオ基をメチル化し、式Vの化合物を生成する。好ましいメチル化剤は、ヨードメタンである。この反応は、有機アミン塩基、例えばジイソプロピルエチルアミン(DIEA)中で実施する。この反応の実施において、温度及び圧力は重要でなく、この反応は室温及び大気圧で実施することができる。実際、この反応の実施において、チオ基のメチル化における任意の通常の条件を用いることができる。
【0029】
この反応の次の段階において、式Vの化合物を式VIの化合物と反応させて、式Iの化合物を生成する。式VIの化合物はアミンであり、メチルチオ基のアミン置換に通常用いられる任意の手段を、この反応の実施に用いることができる。1つの実施態様によれば、この置換は、通常の溶媒、例えばアセトニトリルの存在下で、式VIの化合物を式Vの化合物と反応させることにより実施する。一般的に、この反応は、アミン塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンの存在下で実施する。
【0030】
一方で、式Iの化合物は、式IIの化合物を以下の式の化合物と反応させることにより調製することができる
【化14】

{式中、R1は上記の通りである}。
【0031】
式Iの化合物を生成するための式VIIの化合物の式IIの化合物との反応は、閉鎖系において、100℃〜200℃の高い温度で、有機溶媒、例えばベンゼン又はトルエン中で実施する。この方法において、この反応は、高温及び高圧下で実施する。式VIIの化合物は、以下の式の化合物を
【化15】

{式中、R1、X及びnは上記の通りである}、
式III−Aの化合物と反応させることによる直接的な置換により、直接的に形成することができる。この置換反応は、一般的に、アクチベーター及びアミン塩基の存在下で実施する。好ましいアクチベーターは、塩化第二水銀である。この反応は、不活性有機溶媒中で実施する。任意の通常の不活性有機溶媒、例えばアセトニトリル、塩化メチレンなどを用いることができる。この反応の実施においては、アミン塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンを用いる。この反応の実施において、温度及び圧力は重要でなく、この反応は室温及び大気圧で実施することができる。この反応の実施において、メルカプト基を置換する任意の通常の方法を用いることができる。
【0032】
本発明の実施態様によれば、式IIの化合物(R4は−O(CH2CH2O)y−R10であり、R10及びyは上記の通りである)は、以下の式を有する
【化16】

{式中、R3、R10及びyは上記の通りである}。
【0033】
式II−Aの化合物は、以下の式の化合物
【化17】

から、以下の式の化合物と反応させ
【化18】

{式中、R10及びyは上記の通りである}、
【化19】

{式中、R10、R3及びyは上記の通りである}
を生成することにより、調製することができる。
【0034】
式XIIの化合物を生成するための、式Xの化合物の式XIの化合物との反応は、エーテルを生成するための塩化物をアルカリ金属アルコキシドと反応させる通常の手段により実施する。塩化物をアルカリ金属アルコキシドと反応させる任意の通常の手段は、式XIIの化合物を形成するのに用いることができる。式II−Aの化合物を生成するためのこの反応の次の段階では、フェニル環上でブロモ基をCHO置換基に変換するホルミル化反応を用いる。この反応は、60〜100℃の温度で、触媒として酢酸パラジウムを用いて、ジフェニルプロピルホスフィン(dpp)及び塩基の存在下で、式XIの化合物を一酸化炭素と反応させることにより実施する。この反応の実施においては、一般的に70〜80psiの圧力が用いられる。一酸化炭素との反応によるフェニル環上でハロゲン化物基を変換するためのホルミル化反応の任意の通常の方法を、この変換の実施に用いることができる。
【0035】
式Xの化合物のR3が−NHR7である場合、この化合物は以下の式を有する
【化20】

{式中、R7は上記の通りである}。
【0036】
式X−Aの化合物は、以下の式の化合物から調製することができ、
【化21】

式XVの化合物(式のこの化合物の合成は、実施例12bに記載する)を以下の式の化合物と反応させることによって
【化22】

{式中、R7は上記の通りである}、
以下の式の化合物を生成する
【化23】

{式中、R7は上記の通りである}
(これは、式X−Aの化合物へと変換することができる)。
【0037】
式XVの化合物は、式XVの化合物を式XVIの化合物と反応させることにより、式XVIIの化合物へと変換する。この反応は、不活性溶媒の存在下で、式XVIの化合物を式XVの化合物に添加することにより実施する。任意の通常の不活性溶媒、例えばアセトニトリル及び水は、反応媒質として用いることができる。この反応は、得られた混合物を加熱して還流することにより実施することができる。式XVIIの化合物は、通常の塩素化剤、例えばオキシ塩化リンと処理することにより、式X−Aの化合物に変換することができる。この反応は、一般的に窒素雰囲気下で、加熱して還流することにより実施される。
【0038】
式XVIの化合物は、商業的に利用可能であり、或いはアルキル化試薬、例えばヨードメタンを用いて、それらの対応するチオ尿素(R7−NH−C(=S)−NH2)から調製することができる。
【0039】
式I、I−B及びI−Cの化合物において、R3及びR4が両方とも水素である化合物のクラスのもの、及びR3が−NHR7であり、R4が水素又は−O(CH2CH2O)y−R10である化合物のクラスのものが好ましい。
【0040】
nが1であり、R1及びR1’がアリール環である化合物I及びI−Bにおいて、好ましい環は、R5及びR6として定義されたこの置換基により非置換又は置換されることのできるフェニルである。
【0041】
式I−Aの化合物の1つの実施態様は、R1’が水素である化合物である。R4’が−O(CH2CH2O)y−R10である化合物は、これらの化合物のクラスである。
【0042】
本発明の別の実施態様は、nが0であり、
【化24】

がフェニル又は1〜2個のヘテロ原子を含む芳香族複素環である式I−Bの化合物である。好ましい芳香族複素環は、2つのヘテロ原子を含み、1つが窒素であって、他方が硫黄である環であり、チアゾールが最も好ましい。別の好ましい芳香族複素環は、1つのヘテロ原子、好ましくは硫黄を含むものであり、チオフェンが特に好ましい。
【0043】
nが1である式I−Bの化合物の別の実施態様によれば、Xが低級アルキレン置換基である化合物である。この実施態様は、R1がフェニル又は置換フェニルであることができるフェニル環を含む化合物のクラスを含む。別のクラスの化合物は、nが1である化合物、及びXが低級アルキレン置換基であり、R1’が芳香族複素環である化合物である。好ましい芳香族複素環は、2つのヘテロ原子を含み、1つが窒素であって、他方が硫黄であるものであり、チアゾールが最も好ましい。別の好ましい芳香族複素環は、1つのヘテロ原子、好ましくは硫黄を含むものであり、チオフェンが特に好ましい。この好ましいクラスの化合物において、R4は好ましくは−O(CH2CH2O)y−R10である。
【0044】
nが1である式I−Bの化合物の別の実施態様は、Xがヒドロキシ−低級アルキレン置換基である化合物である。このクラスの化合物には、R1が芳香族複素環である化合物が含まれる。好ましい芳香族複素環は、2つのヘテロ原子を含み、1つが窒素であって、他方が硫黄であるものであり、チアゾールが最も好ましい。別の好ましい芳香族複素環は、1つのヘテロ原子、好ましくは硫黄を含むものであり、チオフェンが特に好ましい。この好ましいクラスの化合物において、R4は好ましくは−O(CH2CH2O)y−R10である。nが1であり、X’がヒドロキシ−低級アルキレン置換基である化合物の別の好ましいクラスは、R1がフェニル又は置換フェニルであることができるフェニル環である化合物である。この好ましいクラスの化合物において、R4は好ましくは−O(CH2CH2O)y−R10である。
【0045】
本発明の医薬組成物は(或いは式Iの化合物に加えて)、活性成分として、医薬として許容されるプロドラッグ、医薬として活性な代謝物、及びそのような化合物及び代謝物の医薬として許容される塩を含んで成ることができる。このような化合物、プロドラッグ、多量体、塩及び代謝物は、本明細書中で時々、「活性剤」又は「薬剤」と集合的に称される。
【0046】
固体の薬剤の場合、本発明の化合物及び塩が、異なる結晶形態又は多型形態で存在することができることは、当業者により理解され、それらの全ては、本発明及び特定された式の範囲内であることが意図される。
【0047】
治療有効量の本発明の活性剤は、タンパク質キナーゼCDK1の調節又は制御により介在される疾病を処置するのに用いることができる。「有効量」は、真核生物細胞、例えば哺乳動物、昆虫、植物又は真菌細胞の増殖を顕著に阻害し、そして/或いは顕著に脱分化を防ぎ、示唆された利用、例えば具体的な治療的処置に対して効果的である薬剤の量を意味することが意図されている。
【0048】
このような量に対応するであろう所定の薬剤の量は、具体的な化合物、疾病状態及びその重度、処置を必要とする対象又は宿主のアイデンティティー(例えば、体重)に依存して変わり得るが、その場合を取り囲む具体的な状況、例えば投与する具体的な薬剤、投与経路、処置条件、及び処置する対象又は宿主に従って当業界で知られた方法においてルーチンに決定することができる。「処置」は、CDK1タンパク質キナーゼの活性により、少なくとも部分的に影響を受ける対象、例えば哺乳動物(例えば、ヒト)における疾病状態の少なくとも緩和を意味し、特に哺乳動物が疾病状態を有する傾向があることが見出されたが、それを有すると未だ診断されていない場合に、哺乳動物において生じた疾病状態を予防すること、疾病状態を調節及び/又は阻害すること、及び/又は疾病状態を軽減することが挙げられる。
【0049】
本発明は、更に、本発明の薬剤を投与することにより、例えば哺乳動物の組織中のタンパク質キナーゼCDK1活性を調節又は阻害する方法を対象とする。抗増殖剤としての薬剤の活性は、MTT試験において、例えば全細胞培養物を用いることにより、既知の方法によって容易に測定される。CDK1タンパク質キナーゼ活性のモジュレーターとしての本発明の薬剤の活性は、当業者に利用可能な任意の方法、例えばインビボ及び/又はインビトロでの試験により測定することができる。活性測定に適した試験の例としては、国際公開番号WO99/21845、Parast et al.,Biochemistry,37,16788−16801(1998)、Connell−Crowley and Harpes,Cell Cycle、Materials and Methods,(Michele Pagano,ed.Springer,Berlin,Germany)(1995)、国際公開番号WO97/34876、及び国際公開番号WO96/14843に記載されたものが挙げられる。これらの特性は、例えば以下の実施例に記載した1つ以上の生物学的試験手順を用いることにより評価することができる。
【0050】
本発明の活性剤は、以下に記載する医薬組成物へと製剤化することができる。本発明の医薬組成物は、効果的な調節、制御又は阻害量の式Iの化合物、及び不活性な医薬として許容される担体又は希釈剤を含んで成る。医薬組成物の1つの実施態様において、有効レベルの本発明の薬剤は、抗増殖能力に関連する治療利益を提供するために調製される。「有効レベル」は、増殖が阻害又は抑制されるレベルを意味する。これらの組成物は、投与の様式に適した単位用量形態、例えば非経口又は経口投与において調製する。
【0051】
本発明の薬剤は、通常の手順に従って、活性成分として、治療有効量の薬剤(例えば、式Iの化合物)を、適切な医薬担体又は希釈剤と混合することにより調製された通常の投与形態で投与することができる。これらの手順は、所望の調製物に適した成分の混合、粒状化及び圧縮又は溶解を伴い得る。
【0052】
用いる医薬担体は、固体又は液体のいずれかであることができる。固体担体の例は、ラクトース、スクロース、タルク、ゼラチン、アガー、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツオイル、オリーブオイル、水などである。同様に、担体又は希釈剤としては、当業界で知られた遅延性(time−delay)又は徐放性物質、例えば単独又はワックス、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸メチルなどを伴ったモノステアリン酸グリセリン又はグリセリルジステアリン酸塩である。
【0053】
様々な医薬形態を用いることができる。従って、固体担体を用いる場合、調製物は錠剤化、粉体又はペレット形態或いはトローチ又はひし形(lozenge)の形態のハードゼラチンカプセル中に置くことができる。固体担体の量は、変わり得る。液体担体が用いられる場合、調製物は、シロップ、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセル、滅菌した注入可能な溶液又はアンプル若しくはバイアル中の懸濁液、又は非水性の液体懸濁液であろう。
【0054】
安定な水溶性投与形態を得るために、本発明の薬剤の医薬として許容された塩は、有機酸又は無機酸の水溶液中に溶解することができる。溶解性塩形態が利用可能でない場合は、適切な共溶媒又は共溶媒の混合物中に薬剤を溶解することができる。
【0055】
本発明の組成物中で用いる薬剤の実際の用量は、用いる具体的な複合体、製剤化する具体的な組成物、投与方法、具体的な部位、宿主及び処置する疾病により変わるであろうことが理解される。所定の一連の状態に対して最適な用量は、薬剤に関する実験データの観点から通常の用量決定試験を用いて当業者により確定されることができる。
【0056】
本発明の組成物は、医薬組成物を調製するための一般的に知られた方法、例えば、通常の技術、例えば混合、溶解、粒状化、糖衣錠形成、ゲル状化、乳化、カプセル化、封入化又は凍結乾燥化を用いることにより製造することができる。医薬組成物は、1つ以上の医薬として許容される担体を用いて、通常の方法において製剤化することができる。この担体は、活性化合物の、医薬として用いることのできる調製物への加工を容易にする賦形剤及び補助剤から選択することができる。
【0057】
経口投与のために、本化合物は、当業界で知られた医薬として許容される担体と化合物を混合物することにより容易に製剤化することができる。このような担体は、本発明の化合物を、処置する患者による経口摂取のための、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、活性成分(薬剤)との混合において固体賦形剤を用いて、任意に得られた混合物を粉末にし、必要であれば錠剤又は糖衣錠のコアを得るために適切な補助剤を添加した後に顆粒の混合物を加工して得ることができる。
【0058】
本発明は、その範囲を制限することを意味しない以下の実施例により更に説明される。積極的に特に明記しない限り、温度は摂氏温度(℃)で表される。
【実施例】
【0059】
実施例1
5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オン
【化25】

【0060】
6−キナゾリンカルボキシアルデヒドの調製
【化26】

6−メチル−キナゾリン(5.0g、34.7mmol)及び二酸化セレン(7.7g、69.4mmol)の混合物を、160℃で12時間加熱した。室温まで冷却した後、メタノールを撹拌しながら添加した。固体をろ過により除去した後、ろ液を濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(Merck シリカゲル60、230−400メッシュ、30分間におけるヘキサン中の0%〜30%の酢酸エチル)により、白色の固体として6−キナゾリンカルボキシアルデヒド(2.4g、43.7%)を得た: LC−MS m/e 159(MH+)。
【0061】
5−キナゾリン−6−イルメチレン−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オンの調製
【化27】

酢酸(10mL)中の6−キナゾリンカルボキシアルデヒド(実施例1a、1.5g、9.5mmol)、ロダニン(1.26g、9.5mmol)及び酢酸ナトリウム(3.11g、38mmol) の懸濁液を、130℃で12時間撹拌した。室温まで冷却した後、水(40mL)を添加した。固体をろ過により回収し、水で洗い、乾燥させて、5−キナゾリン−6−イルメチレン−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(2.6g、100%)を白色の固体として得た。LC−MS m/e 274(MH+)。
【0062】
2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オンの調製
【化28】

無水エタノール(100mL)中の5−キナゾリン−6−イルメチレン−2−チオキソ−チアゾリジン−4−オン(実施例1b、2.6g、9.52mmol)、ヨードメタン(1.2mL、19.0mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(2.4mL、14.3mmol)の懸濁液を、12時間室温で撹拌した。水(200mL)を添加後、固体をろ過により回収し、水で洗い、乾燥させて、黒色の固体として2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン(2.5g、92%)を得た。LC−MS m/e 288(MH+)。
【0063】
5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンの調製
アセトニトリル(1mL)中の2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン(実施例1c、58mg、0.2mmol)、チオフェンメチルアミン(45.3mg、0.4mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(70uL、0.4mmol)の懸濁液を、20分間電子レンジにより145℃まで加熱した。室温まで冷却した後、固体をろ過により回収し、少量のアセトニトリルで洗い、乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィー(Merck シリカゲル60、230−400メッシュ、30分間の塩化メチレン中の0%〜5%メタノール)により、淡黄色の固体として、5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンを得た:LC−MS m/e 353(MH+)。
【0064】
実施例2
5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−2−(チアゾール−2−イルアミノ)−チアゾール−4−オン
【化29】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、チアゾール−2−イルアミン及びDIEAから出発して、5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−2−(チアゾール−2−イルアミノ)−チアゾール−4−オン:LC−MS m/eを測定した。LC−MS m/e 340(MH+)。
【0065】
実施例3
2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化30】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミン及びDIEAから出発して、2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た:LC−MS m/eを測定した。LC−MS m/e 379(MH+)。
【0066】
実施例4
2−(2−エトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化31】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、2−エトキシアニリン及びDIEAから出発して、2−(2−エトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た:LC−MS m/eを測定した。LC−MS m/e 377(MH+)。
【0067】
実施例5
2−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化32】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、4−フルオロ−2−メトキシ−アニリン及びDIEAから出発して、2−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た:LC−MS m/eを測定した。LC−MS m/e 381(MH+)。
【0068】
実施例6
2−(3−フルオロ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化33】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、3−フルオロアニリン及びDIEAから出発して、2−(3−フルオロ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た: LC− MS m/eを測定した。LC−MS m/e 351(MH+)。
【0069】
実施例7
2−((R)−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化34】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、2−((R)−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミン及びDIEAから出発して、2−((R)−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た: LC−MS m/eを測定した。LC−MS m/e 391(MH+)。
【0070】
実施例8
2−(3−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化35】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、3−フルオロ−ベンジルアミン及びDIEAから出発して、2−(3−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た:LC−MS m/eを観測した。LC−MS m/e 379(MH+)。
【0071】
実施例9
2−(2,4−ジメトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化36】

実施例1dに記載の手順と類似の手順を用いて、2−メチルスルファニル−5−キナゾリン−6−イルメチレン−チアゾール−4−オン、2,4−ジメトキシ−フェニルアミン及びDIEAから出発して、2−(2,4−ジメトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た:LC−MS m/eを測定した。LC−MS m/e 393(MH+)。
【0072】
実施例10
5−[1−(4−エトキシ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オン
【化37】

【0073】
6−ブロモ−4−エトキシ−キナゾリンの調製
【化38】

無水エチルアルコール(150ml)中の6−ブロモ−4−クロロ−キナゾリン(4.87g、20mmol)、ナトリウムエトキシド(95%、14.32g、200mmol)の懸濁液を、4時間室温で撹拌した。この反応後に、溶媒を蒸発させた。次いで、氷水を添加し、その後3NのHCl水溶液を添加してpHを9に調節し、沈殿を形成させた。固体を回収し、H2Oで3回洗い、その後乾燥させた。フラッシュクロマトグラフィー(Merck シリカゲル60、230−400メッシュ、30分間におけるヘキサン中の10%〜50%の酢酸エチル)により、淡黄色の固体として、6−ブロモ−4−エトキシ−キナゾリン(2.13g、55%)を得た。LC−MS m/e 254(MH+)。
【0074】
4−エトキシ−キナゾリン−6−カルバルデヒドの調製
【化39】

無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(25ml)中の6−ブロモ−4−エトキシ−キナゾリン(実施例10a、506mg、2mmol)、ジフェニルプロピルホスフィン(45.6mg、0.2mmol)、酢酸パラジウム(44.8mg、0.2mmol)及びトリエチルアミン(505mg、5mmol)の混合物を、75psiの一酸化炭素と共に充填した。上記反応後、混合物を室温で15分間撹拌し、一酸化炭素を解放し、そしてトリヘキシルシラン(1140mg、4mmol)を添加した。得られた反応混合物を、75psiの一酸化炭素と共に充填し、80℃で18時間加熱した。室温まで反応物を冷却した後に、ジクロロメタンを添加した。得られた溶液を水で3回抽出した。有機層を回収し、濃縮して、黄色の固体を得た。 フラッシュクロマトグラフィー(Merck シリカゲル60、230−400メッシュ、40分間におけるヘキサン中の10%〜40%の酢酸エチル)により、淡黄色の固体として、4−エトキシ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(256mg、66%)を得た。LC−MS m/e 203(MH+)。
【0075】
2−[(3−フルオロフェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オンの調製。
【化40】

アセトニトリル(70mL)中の(3−フルオロフェニル)−エチルアミン(3.06g、22mmol)及びロダニン(2.66g、20mmol)の溶液に、室温でDIEA(7.66mL、44mmol) を添加した。その後、この溶液を0℃まで冷却し、塩化第二水銀(5.97g、22mmol)を2回で添加した。添加後に、懸濁液を室温まで温め、3日間撹拌した。得られた黒色の固体を、セライトのプラグ(plug)に通してろ過し、ジクロロメタン(500mL)とメタノール(250mL)で洗った。混合した溶媒を減圧下で除去し、粗残渣を高温条件で酢酸エチル(25mL)に溶解し、冷蔵庫の中で一晩保存した。その後、固体をろ過により回収し、酢酸エチルで洗った。空気乾燥した後、3.65g(76.6%の収率)の2−[(3−フルオロフェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オンを、白色のアモルファス固体として単離した:HRES(+) m/e C1111FN2OS(M+H)+ に対する理論値(calcd)239.0649、測定値(found) 239.0647.
【0076】
5−[1−(4−エトキシ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オンの調製
【化41】

無水エチルアルコール(1ml)中の4−エトキシ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例10b、20mg、0.1mmol)、2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オン(実施例10c、24mg、0.1mmol)及びピペリジン(10ul、0.1mmol)の混合物を、160℃で25分間電子レンジにかけた。この反応物を室温まで冷却した後、固体をろ過により回収し、その後MeOHで洗い、乾燥させて、淡黄色の固体として5−[1−(4−エトキシ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オン(12mg、30%)を得た。LC−MS m/e 423(MH+)。
【0077】
実施例11
2−アミノ−5−[1−(4−エトキシ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オン
【化42】

酢酸中の4−エトキシ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例10b)(1当量)、シュードチオヒダントイン(pseudothiohydantoin)(1当量)、及び酢酸ナトリウム(4当量)の懸濁液を、12時間還流下で撹拌した。室温まで冷却した後、水を添加した。この固体をろ過により回収し、水で洗い、乾燥させて、2−アミノ−5−[1−(4−エトキシ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−チアゾール−4−オンを得た。わずかに黄色の固体として、LC−MS m/e 301(MH+)。LC−MS m/e 256(MH+)。
【0078】
実施例12
5−[1−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−((1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ)−チアゾール−4−オン
【化43】

【0079】
2−((1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ)−チアゾール−4−オンの調製
【化44】

実施例10cに記載した手順と類似の手順を用いて、(1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミン、ロダニン、塩化第二水銀及びDIEAから出発して、2−((1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ)−チアゾール−4−オンを得た。LC−MS m/e 232(MH+)。
【0080】
6−ブロモ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオンの調製
【化45】

アセトニトリル(1250mL)中の2−アミノ−5−ブロモ−安息香酸(270g、1.25mol)の懸濁液に、ジクロロメタン(DCM)(500mL)中のトリホスゲン(123.8g、416.7mmol)の溶液及びピリジン(197.5g、2.5mol)を、55℃で同時に添加した。 得られた混合物を更に3時間撹拌し、その後室温まで冷却した。沈殿をろ過により回収し、アセトニトリルで洗い、乾燥させて、青白い粉末として6−ブロモ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオンを得た(280g、93%)。1H NMR(DMSO−d6):δ 11.83(s,1H)、7.98(s,1H)、7.89−7.87(d,1H,)、7.09−7.07(d,1H)。
【0081】
6−ブロモ−2−メチルアミノ−1H−キナゾリン−4−オンの調製
【化46】

アセトニトリル(360mL)と水(90mL)の混合溶液に、6−ブロモ−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(24.2g、0.1mol)、1,2−ジメチル−イソチオ尿素ヨウ化水素酸(hydriodic)(23.2g、0.1mol)を添加し、その後無水炭酸ナトリウム(11.7g、0.11mol)を添加し、混合物を3時間加熱して還流した。冷却した後、沈殿をろ過により回収し、水で洗って、淡黄色の粉末として6−ブロモ−2−メチルアミノ−1H−キナゾリン−4−オンを得た(16.5g、65mmol、65%)。1H NMR(DMSO−d6):δ11.20(b,1H),7.91−7.90(d,1H),7.64−7.63(d,1H),7.20−7.18(d,1H),6.30(b,1H),2.82−2.81(d,3H)。
【0082】
(6−ブロモ−4−クロロ−キナゾリン−2−イル)−メチル−アミンの調製
【化47】

オキシ塩化リンの溶液(50mL)に、粉末化した6−ブロモ−2−メチルアミノ−1H−キナゾリン−4−オン(10.0g、39.4mmol)を添加し、その後ジメチル−フェニル−アミン(8mL)を添加し、そして混合物をN2雰囲気下で30分間加熱して還流した。冷却後に、混合物を氷上に注ぎ、NaOH水溶液(2M)で塩基性化した。沈殿をろ過により回収し、カラムにより精製して、黄色の固体として(6−ブロモ−4−クロロ−キナゾリン−2−イル)−メチル−アミンを得た(5g、18.3mmol、46.6%)。1H NMR(DMSO−d6):δ8.03(s,1H),7.86−7.84(m,2H),7.47−7.45(d,1H),2.86−2.84(d,3H)。
【0083】
(6−ブロモ−4−エトキシ−キナゾリン−2−イル)−メチル−アミンの調製
【化48】

無水アルコール(150mL)中のナトリウムエトキシド(8.11g、119.3mmol)の溶液に、粉末の(6−ブロモ−4−クロロ−キナゾリン−2−イル)−メチル−アミン(13g、47.7mmol)を1回で添加し、この混合物をN2雰囲気下で室温において3時間撹拌した。過剰のアルコールを減圧下で除去し、残渣をカラムにより精製して、淡黄色の固体として(6−ブロモ−4−エトキシ−キナゾリン−2−イル)−メチル−アミン(4g、14.2mmol、29.8%)を得た。1H NMR(DMSO−d6):δ7.90−7.89(d,1H),7.70−7.67(dd,1 H),7.33−7.31(m,1H),7.21−7.20(dd,1H),4.45−4.44(q,2H),2.83−2.82(d,3H),1.40−1.37(t,3H)。
【0084】
4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒドの調製
【化49】

アセトニトリル(40mL)及びDMSO(40mL)の混合溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.65g、1.43mmol)、無水ギ酸ナトリウム(5.82g、85.6mmol)を添加し、その後粉末の(6−ブロモ−4−エトキシ−キナゾリン−2−イル)−メチル−アミン(4g、14.3mmol)を添加し、得られた混合物を、50psiで、CO雰囲気下において、85℃まで加熱した。48時間の撹拌後に、冷却した混合物を水に注ぎ、DCM(3×200mL)で抽出した。混ぜ合わせた有機相を塩水で洗い、Na2SO4上で乾燥させ、蒸発させて茶色の固体を得、それをカラムにより精製して、青白い固体として4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(1g、4.3mmol、30%)を得た。1H NMR(DMSO−d6):δ9.95(s,1H),8.38(s,1H),8.00−7.97(d,1H),7.59−7.56(m,1H),7.46−7.44(d,1H),4.53−4.48(q,2H),2.89−2.87(d,3H),1.44−1.40(t,3H)。
【0085】
5−[1−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−((1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ)−チアゾール−4−オンの調製
マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−(トランス)−フェニルシクロピルアミノ(phenylcyclopylamino)−チアゾール−4−オン(実施例12a、38.0mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。その後、反応混合物を、1時間電子レンジで150℃まで加熱した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、トルエンで希釈した。固体をろ過により回収し、その固体をトルエン、CH2Cl2及びエーテルで洗い、茶色の固体として5−[1−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−((1R,2S)−2−フェニル−シクロプロピルアミノ)−チアゾール−4−オンを得た:52mg(72.9%)、MS:m/e 446(MH+)。
【0086】
実施例13
2−(2−クロロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オン
【化50】

【0087】
2−(2−クロロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンの調製
【化51】

実施例10cに記載の手順と類似の手順を用いて、2−クロロ−ベンジルアミン、ロダニン、塩化第二水銀及びDIEAから出発して、2−(2−クロロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンを得た。LC−MS m/e 241(MH+)。
【0088】
2−(2−クロロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンの調製
マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−(2−クロロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オン(実施例13a、38.5mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。反応混合物を、45分間電子レンジで150℃まで加熱した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過し、トルエン、MeOH及びエーテルで洗い、茶色の固体として2−(2−クロロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンを得た:43.2mg(59.5%)、MS:m/e 454(MH+)。
【0089】
実施例14
2−アミノ−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オン
【化52】

2.5mLのキシレン中のシュードチオヒダントイン(pseudothiohydontoin)(40.6mg、0.35mmole)、4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、81.0mg、0.35mmole)及びNaOAc(82.0mg、1.0mmole)の懸濁液に、酢酸(78.6mg、1.3mmole)を添加した。反応混合物を、還流下で一晩加熱した。次に、反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過し、MeCNで洗い、茶色の固体として2−アミノ−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンと共に粉末にした粗生成物を得た:4.5mg(3.9%)、MS:m/e 330(MH+)。
【0090】
実施例15
5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(3−メチル−チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オン
【化53】

【0091】
2−[(3−メチル−チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンの調製。
【化54】

アセトニトリル(30mL)中の3−メチル−チオフェン−2−イルメチルアミン(700mg、5.5mmol)及びロダニン(732mg、5.5mmol)の懸濁液に、室温でジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(1.91mL、11mmol)を添加した。次に、この懸濁液を0℃まで冷却し、塩化第二水銀(1.52g、5.6mmol)を一回で添加した。添加後に、懸濁液を室温まで温めて、3日間撹拌した。得られた黒色の固体をセライトのプラグを通してろ過し、アセトニトリル(200mL)及び酢酸エチル(250mL)で洗った。ろ液を減圧下で除去し、粗残渣をジクロロメタン(150mL)に溶解し、水及び塩水溶液で洗った。硫酸マグネシウム上で乾燥した後、ろ液を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン(10mL)中に溶解し、ヘキサン(10mL)で希釈した。冷蔵庫内で一晩保存した後、固体をろ過により回収し、ジクロロメタンで洗った。空気乾燥した後、390mg(31.5%の収率)の2−[(3−メチル−チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンを、淡黄色のアモルファス固体として単離した:EI−HRMS m/e C9102OS2(M+) に対する理論値 226.0235、測定値 226.0232。
【0092】
5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(3−メチル−チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンの調製
マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−[(3−メチル−チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オン(36.2mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。反応混合物を、45分間電子レンジで150℃まで加熱した。その後、反応混合物を室温まで冷却し、その固体をろ過し、トルエン、MeOH及びエーテルで洗い、茶色の固体として5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(3−メチル−チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンを得た:56.5mg(80.4%)、MS:m/e 440(MH+)。
【0093】
実施例16
2−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オン
【化55】

【0094】
2−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンの調製
【化56】

実施例15aに記載した手順と類似の手順を用いて、3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミン、ロダニン、塩化第二水銀及びDIEAから出発して、2−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンを得た。LC−MS m/e 259(MH+)。
【0095】
2−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンの調製
マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ−チアゾール−4−オン(実施例16a、41.4mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。この反応混合物を、30分間電子レンジで150℃まで加熱した。その後、この反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過し、トルエンで洗い、粗生成物58.8mg(77.9%)を得、それを0.5mLの熱いDMFに再溶解し、室温の水で希釈した。沈殿を回収し、水、アセトン及びエーテルで洗い、NaSO4上で乾燥させ、濃縮して、淡黄色の固体として2−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンを得た:43.6mg(57.7%)、MS:m/e 472(MH+)。
【0096】
実施例17
2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オン
【化57】

【0097】
2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンの調製
【化58】

実施例15aに記載の手順に類似した手順を用いて、2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミン、ロダニン、塩化第二水銀及びDIEAから出発して、2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンを得た。LC−MSm/e 259(MH+)。
【0098】
2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンの調製
マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オン(実施例17a、41.4mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。この反応混合物を、30分間電子レンジで150℃まで加熱した。その後、この反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過し、トルエン、MeOH及びエーテルで洗い、淡褐色の固体として、2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンを得た:46.6mg(61.7%)、MS:m/e 472(MH+)。
【0099】
実施例18
2−(2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オン
【化59】

【0100】
2−(2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンの調製
【化60】

実施例15aに記載のものと類似の方法を用いて、2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミン、ロダニン、塩化第二水銀及びDIEAから出発して、2−(2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オンを得た。LC−MSm/e 259(MH+)。
【0101】
2−(2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンの調製
マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−(2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミノ)−チアゾール−4−オン(実施例18a、40.8mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。この反応混合物を30分間電子レンジで150℃まで加熱した。その後、この反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過し、トルエン、MeOH及びエーテルで洗い、淡褐色の固体として2−(2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンを得た:45.9mg(61.3%)、MS:m/e 468(MH+)。
【0102】
実施例19
5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オン
【化61】

【0103】
2−(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ)−チアゾール−4−オンの調製
【化62】

実施例15aに記載のものと類似の方法を用いて、チオフェン−2−イルメチル−アミン、ロダニン、塩化第二水銀及びDIEAから出発して、2−(チオフェン−2−イルメチル−アミノ)−チアゾール−4−オンを得た。LC−MSm/e 259(MH+)。
【0104】
5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンの調製
マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オン(34.0mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。この反応混合物を、30分間電子レンジで150℃まで加熱した。その後、この反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過し、トルエン、MeOH及びエーテルで洗い、茶色の固体として5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンを得た:48.6mg(69.1 %)、MS:m/e 426(MH+)。
【0105】
実施例20
5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オン
【化63】

マイクロ波管中の2mLのトルエン中の2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オン(実施例10c、38.1mg、0.16mmole)、及び4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−カルバルデヒド(実施例12f、45.5mg、0.20mmole)の懸濁液に、安息香酸(2.0mg、0.016mmole)及びピペリジン(1.5mg、0.02mmole)を添加した。この反応混合物を、30分間150℃まで加熱した。その後、この反応混合物を室温まで冷却し、固体をろ過し、トルエン、MeOH及びエーテルで洗い、淡褐色の固体として5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オンを得た:52.3mg(72.4%)、MS:m/e 452(MH+)。
【0106】
実施例21
本発明の化合物の薬理学的特性は、多くの薬理試験により確認することができる。以下の例示した薬理試験を、本発明の化合物及びその塩を用いて実施した。本発明の化合物は、5.0μM未満のKi値を有するCDK1/サイクリンB活性を示した。これは、全てのこれらの化合物が活性であってCDK1/サイクリンBを阻害したことを実証する。
【0107】
CDK1活性の阻害を決定するために、フラッシュプレート(登録商標)(NEN(登録商標)−LifeScience Products)試験又はHTRF試験を実施した。組み換えヒトCDK1/サイクリンB複合体を用いて、両方のタイプのキナーゼ試験を実施した。バキュロウイルスベクター中のGST−サイクリンB(GST−cycB)及びCDK1 cDNAクローンは、Baylor College of Medicine,Houston,TXのDr.W.Harperにより提供された。タンパク質は、High Five(登録商標)昆虫細胞において共発現し、前に説明した通り、グルタチオンセファロース樹脂(Pharmacia,Piscataway,NJ)上で精製した(Harper,J.W.et al.Cell 1993,75,805−816)。網膜芽細胞腫(Rb)タンパク質(アミノ酸 386−928)の6x−ヒスチジンタグ切断型を、CDK1/サイクリンB試験のための基質として用いた(発現プラスミドは、Dr.Veronica Sullivan,Department of Molecular Virology,Roche Research Centre,Welwyn Garden City,United Kingdomにより提供された)。Rbタンパク質は、CDK1によるリン酸化のための天然の基質である(Herwig and Strauss Eur.J.Biochem.Vol.246(1997)pp.581−601及びそこで引用されている引用文献を参照のこと)。62Kdタンパク質の発現は、M15 E.コリ(E.coli)株中のIPTG誘導プロモーターの制御下であった。細胞を超音波処理により溶解し、1mMのイミダゾールで前処理したNi−キレートアガロースカラムに溶解物をpH8.0で結合させることにより、精製を実施した。その後、樹脂をpH6.0まで徐々に減少するpHバッファーで数回洗い、500mMのイミダゾールで溶出した。溶出タンパク質を、20mMのHEPES pH7.5、30%のグリセロール、200mMのNaCl及び1mMのDTTに対して透析した。精製したRb融合タンパク質ストックのタンパク質濃度を測り、等分し、−70℃で保存した。
【0108】
フラッシュプレートキナーゼ試験のために、96−ウエルのフラッシュプレートを、ウエルあたり100μlを用いて、10μg/mlでRbタンパク質により被覆した。プレートを、撹拌器上で、4℃で一晩、又は室温で3時間インキュベートした。非特異的リン酸化を制御するために、一列のウエルを、100μl/ウエルのコーティングバッファーで被覆した(20mMのHEPES、0.2MのNaCl)。その後、プレートを洗浄バッファー(リン酸バッファリングした生理食塩水中の0.01%のTween20)で二回洗浄した。試験する化合物(「試験化合物」)を、5xの最終濃度でウエルに添加した。40μlの反応混合物(25mMのHEPES、20mMのMgCl2、0.002%のTween20、2mMのDTT、1μMのATP、4nMの33P−ATP)及び十分な量の酵素を直ちに添加することにより反応を開始し、バックグラウンドより少なくとも10倍のカウントを得た。プレートを、30分間撹拌器上で室温においてインキュベートした。プレートを洗浄バッファーを用いて4回洗浄し、封をし、TopCountシンチレーションカウンター(Packard Instrument Co.,Downers Grove,IL)上でカウントした。Rbリン酸化の阻害比率(CDK活性の阻害の尺度)を、以下の式により決定した:
【化64】

ここで、「試験化合物」は、試験の繰り返しの1分間あたりの平均カウントを指し、「非特異的」は、CDK1/サイクリンBなどを添加しない場合の、1分間あたりの平均カウントを指し、「全体」は、化合物を添加しない場合の、1分間あたりの平均カウントを指す。IC50は、説明した試験条件下でタンパク質により誘導された放射標識の結合を50%減少させる試験化合物の濃度である。阻害剤定数Kiの値は、以下により計算される:Ki=IC50/(1+[S]/Km)、ここで[S]はATPの濃度であり、Kmはミカエリス定数である。
【0109】
均一時間分解蛍光(HTRF)キナーゼ試験は、96−ウエルのポリプロピレンプレート(BD Biosciences、Bedford、MA)において実施した。試験化合物は、最初にDMSOに溶解し、その後15%のDMSO濃度のキナーゼ試験バッファー1(25mMのHEPES、pH7.0、8mMのMgCl2、1.5mMのDTT、及び162μMのATP)中に希釈した。CDK1/サイクリンB酵素を、キナーゼ試験バッファー2(25mMのHEPES1 pH7.0、8mMのMgCl2、0.003%のTween20、0.045%のBSA、1.5mMのDTT、及び0.338μMのRbタンパク質)中に希釈した。キナーゼ反応を開始するために、20μLの化合物溶液を、試験プレート中の40μLのCDK1/サイクリンB溶液と混合し、CDK1/サイクリンB及びRbの最終濃度をそれぞれ0.1μg/mL及び0.113μMとし、37℃で30分間インキュベートした。15μLの抗−リン−Rb(Ser780)抗体(Cell Signaling Technology,Beverly,MA)を、抗体の1:7692の希釈で添加した。37℃で25分間インキュベーションを続け、その後LANCE Eu−W1024標識抗ウサギIgG(1nM、PerkinElmer、Wellesley、MA)及びSureLight−Allophucocyanin(20nM、PerkinElmer、Wellesley、MA)に結合した抗His抗体を、ウエルに添加した。インキュベーションを、37℃で更に40分間続けた。インキュベーションの完了の際に、35μLの反応混合物を新たな384−ウエルの黒いポリスチレンプレート(Corning Incorporated、Corning、NY)に移し、340nmの励起波長及び665/615nmの放射波長で蛍光プレートリーダーにおいて読み取った。
【0110】
本発明の対象の化合物に適用したCDK1/サイクリンB活性を示すKi値は、約0.001μM〜約5.000μMの範囲である。いくつかの実施例に関する具体的なデータは、以下の通りである:
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式を有する化合物
【化1】

{式中、
1は、水素、低級アルキル又は
【化2】

であり;
Xは、低級アルキレン、3〜6個の炭素原子を含むシクロ低級アルキレン及びヒドロキシ低級アルキレンから選択され;
【化3】

は、
アリール環、
3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキル環、
3〜5個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む、4〜6員ヘテロシクロアルキル環、及び
酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5又は6員芳香族複素環、から選択され;
5及びR6は、独立に、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルキル、ハロゲン、ペルフルオロ−低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され;
3は、水素、−NH−R7及び−NH−C(O)−R8から選択され;
4は、水素、低級アルキル及び−O(CH2CH2O)y−R10から選択され;
7は、水素又は低級アルキルであり;
8及びR10は、低級アルキルであり;
nは、0〜1の整数であり;且つ
yは、0〜3の整数である;
ただし、nが0であってR1が水素又は低級アルキルである場合、R3/R4は両方とも水素であることはできない}、
又は、R1が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1がヘテロシクロアルキル環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン;
又は、その医薬として許容される塩。
【請求項2】
前記化合物が式I−Aを有する、請求項1に記載の化合物
【化4】

{式中、
1’は、水素又は低級アルキルであり;
4’は、低級アルキル又は−O(CH2CH2O)y−R10であり;且つ
3、R10及びyは、請求項1で定義した通りである}、
又は、その医薬として許容される塩。
【請求項3】
1’が水素である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、2−アミノ−5−[1−(4−エトキシ−キナゾリン−6−イル)−メチリデン]−チアゾール−4−オンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
3が−NHR7であり、R7が請求項1で定義した通りである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、2−アミノ−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が式I−Bを有する、請求項1に記載の化合物
【化5】

{式中、
1”は、
【化6】

であり;且つ
3、R4、R5、R6及び
【化7】

は、請求項1で定義した通りである}、
又は、R1”が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1”がヘテロ環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン、又はその医薬として許容される塩。
【請求項8】
1”が
【化8】

であって、
【化9】

がフェニルであり;且つ
5及びR6が請求項1で定義した通りである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、2−(2,4−ジメトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−チアゾール−4−オンである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、2−(2−エトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−チアゾール−4−オンである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、2−(4−フルオロ−2−メトキシ−フェニルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−チアゾール−4−オンである、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
【化10】

が、1〜2個のヘテロ原子を含む芳香族複素環である、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
前記芳香族複素環が、2個のヘテロ原子を含み、1つが硫黄であり、他方が窒素である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−2−(チアゾール−2−イルアミノ)−チアゾール−4−オンである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が以下の式を有する、請求項1に記載の化合物
【化11】

{式中、
1”は、請求項1におけるR1の通りであり;且つ
X、R3、R4及び
【化12】

は、請求項1の通りである}、
又は、R1”が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1”がヘテロ環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン;
又は、その医薬として許容される塩。
【請求項16】
Xが低級アルキレンである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
3が水素であり、且つ
4が水素又は−O(CH2CH2O)y−R10であり、且つ
10及びyが、請求項1で定義した通りである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
1”が
【化13】

であって、
【化14】

がフェニルであり;且つ
5及びR6が、請求項1で定義した通りである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が、2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−チアゾール−4−オンである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が、2−(3−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−チアゾール−4−オンである、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、5−[1−(4−エトキシ−キナゾリン−6−イル)−メチリデン]−2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オンである、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
1”が
【化15】

であって、
【化16】

が、フェニルであり;
3が−NHR7であり、
4が、水素又は−(CH2CH2O)y10であり、且つ
5、R6、R7、R10及びyが、請求項1で定義した通りである、請求項16に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、2−(2−クロロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、2−(3−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミン−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が、2−(2−クロロ−4−フルオロ−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物が、2−(2−クロロ−6−メチル−ベンジルアミノ)−5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−チアゾール−4−オンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物が、5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[2−(3−フルオロ−フェニル)−エチルアミノ]−チアゾール−4−オンである、請求項22に記載の化合物。
【請求項28】
1”が
【化17】

であって、
【化18】

が、1〜2個のヘテロ原子を含む芳香族複素環であり、且つ
5及びR6が請求項1で与えられた意味を有する、請求項16に記載の化合物。
【請求項29】
芳香族複素環が2個のヘテロ原子を含み、1つが硫黄であって、他方が窒素である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
芳香族複素環がチアゾール環である、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
芳香族複素環が1個のヘテロ原子を含み、それが硫黄原子である、請求項28に記載の化合物。
【請求項32】
3及びR4が水素である、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が、5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンである、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
3が−NHR7であり、且つ
4及びR7が請求項1で定義した通りである、請求項31に記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が、5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(3−メチル−チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
前記化合物が、5−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イルメチレン)−2−[(チオフェン−2−イルメチル)−アミノ]−チアゾール−4−オンである、請求項34に記載の化合物。
【請求項37】
Xがシクロアルキレンである、請求項15に記載の化合物。
【請求項38】
1”が
【化19】

であって、
【化20】

が、フェニルであり;且つ
5及びR6が、請求項1で定義した通りである、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
前記化合物が、5−[1−(4−エトキシ−2−メチルアミノ−キナゾリン−6−イル)−メタ−(Z)−イリデン]−2−2−フェニル−シクロプロピルアミノ)−チアゾール−4−オンである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
Xがヒドロキシ−低級アルキレンである、請求項15に記載の化合物。
【請求項41】
1”が
【化21】

であって、
【化22】

が、フェニル環であり;且つ
5及びR6が、請求項1で定義した通りである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
前記化合物が、2−(1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチルアミノ)−5−[1−キナゾリン−6−イル−メチリデン]−チアゾール−4−オンである、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
1が、水素又は
【化23】

であり;
Xが、低級アルキレン、3〜6個の炭素原子を含むシクロ低級アルキレン及びヒドロキシ低級アルキレンから選択され;
【化24】

が、アリール環、3〜6個の炭素原子を含むシクロ低級アルキル環、3〜5個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む4〜6員ヘテロシクロアルキル環、並びに酸素、硫黄及び窒素から成る群から選択される1〜2個のヘテロ原子を含む5又は6員芳香族複素環から選択され;
5及びR6が、独立に、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルキル、ハロゲン、ペルフルオロ−低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され;
3が、水素、−NHR7、及び−NH−C(O)−R8から選択され;
4が、水素、低級アルキル、及び−O(CH2CH2O)y−R10から選択され;
7が、水素又は低級アルキルであり;
8及びR10が、低級アルキルであり;
nが、0〜1の整数であり;且つ
yが、0〜3の整数である;
ただし、nが0である場合、R1、R3及びR4の1つが水素以外である、請求項1に記載の式Iの化合物、
又は、R1が芳香族複素環中に窒素を含む場合の化合物のN−酸化物、R1がヘテロシクロアルキル環又は芳香族複素環中に硫黄を含む場合のスルホン、
又は、その医薬として許容される塩。
【請求項44】
請求項1に記載の化合物を製造するための方法であって、
a)式IIの化合物を、
【化25】

式III−Aの化合物の存在下で反応させて、
【化26】

式IVの化合物を得、
【化27】

b)式IVの当該化合物を、メチル化剤、例えばヨードメタンの存在下で反応させて、式Vの化合物を得、
【化28】

c)式Vの当該化合物を、式VIの第1級アミンの存在下で反応させて、
【化29】

請求項1に記載の式Iの化合物を得、
d)請求項1に記載の式Iの当該化合物を、反応混合物から単離し、必要であれば、医薬として許容される塩に変換する、前記方法。
【請求項45】
癌、特に固形腫瘍、より詳細には肺癌、乳癌、結腸癌及び前立腺癌の処置のための、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項46】
医薬として許容されるアジュバントと共に、少なくとも1つの請求項1に記載の式Iの化合物を含んで成る医薬組成物。
【請求項47】
癌、特に固形腫瘍、より詳細には肺癌、乳癌、結腸癌及び前立腺癌の処置のための、請求項46に記載の医薬組成物。
【請求項48】
癌、特に固形腫瘍、より詳細には肺癌、乳癌、結腸癌及び前立腺癌の処置のための薬剤の製造における、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項49】
請求項44に記載の方法により調製される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項50】
実質的に上記で記載した、新規の化合物、方法、組成物及び使用。

【公表番号】特表2008−516904(P2008−516904A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536045(P2007−536045)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010703
【国際公開番号】WO2006/040050
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】