CDMA通信システムにおけるハイブリッド自動再送機構におけるデータ配送
【課題】HARQエンティティによって復元されたデータをCDMAシステムにおける高位のレイヤに正しい順番で配送する。
【解決手段】パケットは、再配列エンティティによってHARQエンティティから受信され、受信パケットの中から欠落パケットが検出される。パケットは、当該パケットに割り当てられた送信シーケンス番号(TSN)に基いて順番に送信され、欠落パケットは受信パケットのTSNに基いて検出される。欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送は停止される。その後、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが、(1)HARQエンティティから連続的に受信されたか、(2)失われたかについての決定が行われる。各欠落パケットによって以前に停止された受信パケットは、欠落パケットが失われたかあるいは受信されたことが決定された後に配送される。
【解決手段】パケットは、再配列エンティティによってHARQエンティティから受信され、受信パケットの中から欠落パケットが検出される。パケットは、当該パケットに割り当てられた送信シーケンス番号(TSN)に基いて順番に送信され、欠落パケットは受信パケットのTSNに基いて検出される。欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送は停止される。その後、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが、(1)HARQエンティティから連続的に受信されたか、(2)失われたかについての決定が行われる。各欠落パケットによって以前に停止された受信パケットは、欠落パケットが失われたかあるいは受信されたことが決定された後に配送される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第60/380408号(2002年5月13日出願、名称:“通信システムにおけるストール防止のための方法及び装置”)の便宜を請求しており、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
分野
本発明は概してデータ通信に関し、より詳細には、CDMA通信システムにおけるハイブリッド自動再送(HARQ)機構に関連して、より高いレイヤへのデータ配送のパフォーマンスを改善するための技術に関する。
【0003】
背景
ワイヤレス通信システムは、音声、パケットデータ、その他などの種々のタイプのサービスを提供するために広範に用いられている。これらのシステムは、複数のユーザによる通信をサポート可能な多元接続システムであり、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)あるいは他の多元接続技術をもとにしている。CDMAシステムは、システム容量の増大を含む、他のタイプのシステムに比べていくつかの利点を提供する。
【0004】
データ送信の信頼性を改善するために、いくつかの新しい世代のCDMAシステムは、受信機によって不正確に復号されたパケットを再送可能なハイブリッド自動再送(HARQ)機構を使用する。例えば、W−CDMAリリース5において、HARQは、物理層の上に位置するメディアムアクセスコントロール(MAC)-hsサブレイヤ内に含まれる。ダウンリンクに関して、送信機でのHARQエンティティは、データを連続的な送信シーケンス番号(TSN)が割り当てられるパケットに変換する。これらのパケットはTSNに基づいてシーケンシャルオーダで受信機に送信される。
【0005】
受信機において、対応するHARQエンティティは、パケット送信を受信して、各送信されたパケットを復号かつ復元することを試みる。しかしながら、無線リンクに起因するパケット送信の劣下によって、一部のパケットは正しく復号されない(すなわち、消滅してしまう)。このことが起こった場合には、否定応答(NAK)が受信機から送信機に送られて各消滅したパケットの再送が開始される。
【0006】
受信機HARQエンティティはまた、復元されたパケット(すなわち、正しく復号されたパケット)をより高いレイヤに提供する役目を有する。W−CDMAにおいては、パケットのTSNによって決定されているように、より高いレイヤが正しい順番のデータを予期する。しかしながら、HARQ機構においては、再送のために、パケットは受信機HARQエンティティによって順番が狂った状態で復元されてしまう。その結果、それらが受信機HARQによって復元されるときに、パケットを一次記憶して再度順番を揃えるために、受信機で再配列(re-ordering)エンティティが使用される。再配列エンティティは、それらがより高いレイヤにより利用可能となるときに、正しい順番でパケットを提供する。
【0007】
パケットが受信機HARQエンティティによって順番が狂った状態で受信されたとき、再配列エンティティは復元されたパケットのより高いレイヤへの配送を“停止(stall)”すなわち遅らせる。特に、パケットが欠落されたことが検出されたときにはいつでも、(1)欠落パケットが受信機HARQによって復元されるか、あるいは、(2)再配列エンティティが、欠落パケットは紛失されたものであり、受信機HARQによって復元できないことを確認するまで、再配列エンティティはより高いレイヤへのデータの配送を停止する。(2)の条件が真であった場合には、紛失されたデータを再送するために、より高いレイヤの他の再送機構が用いられる。
【0008】
欠落パケットが紛失されたことを宣言し、すでに復元されたパケットをより高いレイヤに提供する前に、再配列エンティティが待機すべき正しい時間を決定することが問題である。1つの目標は、復元されない紛失パケットを長時間あるいは無制限に待つことは望ましくないので、より高いレイヤへのデータ配送の停止を避けることである。短時間の待機は、この目標に対して適合する。対立する目標は、より高いレイヤによる長時間の遅延をもつ不必要な再送(支持されている場合)あるいはパケットの損失(より高いレイヤによって再送が実行されない場合)が最小になるように、紛失パケットの数多くの宣言を最小にすることである。長時間の待機は、パケットが確かに紛失されたことに対するより良い確認結果を提供する。この問題は、当業界では“停止回避”として知られている。
【0009】
したがって、CDMAシステムにおける停止回避のパフォーマンスを改善するための技術が当業界において望まれている。
【発明の概要】
【0010】
欠落パケットの影響を相殺して停止回避を改善するための技術について以下に説明する。特に、これらの技術は、より高いレイヤへのデータの配送が欠落されたペイロードによって停止された場合により良く対処するのに使用される。これらの技術は、データをより高いレイヤに配送するかどうかを決定するためにHARQプロセスからの情報を使用する。
【0011】
停止回避のパフォーマンスを改善するために種々の機構が単一あるいは組み合わせて提供される。これらの機構は、(1)パケットによってではなく、制御チャネルに関する各パケットの優先度の送信と、(2)各HARQチャネルに対する不作動タイマーのメインテナンスと、(3)1つまたはそれ以上のHARQチャネルを“流出”(flush)するための流出指示の転送(データが再配列エンティティにより高いレイヤへ流出されることになる)と、(4)各欠落パケットに対する一組の候補HARQチャネル(欠落パケットに使用されるチャネル)の形成と、(5)候補組におけるHARQチャネルについ検出された作動または不作動に基づく、欠落パケットが紛失されたか否かの決定、を含む。
【0012】
これらの機構について以下にさらに詳細に説明する。
【0013】
一実施形態において、正しい順番でHARQエンティティによって復元されたデータをCDMA通信システムにおけるより高いレイヤに配送するための方法が提供される。この方法に従って、パケットは再配列エンティティによってHARQエンティティから受信されて、受信パケットの中で欠落パケットが検出される。パケットは、当該パケットに割り当てられた送信シーケンス番号(TSN)に基づいて順次送信され、受信されたパケットのTSNに基づいて欠落パケットが検出される。より高いレイヤは正しい順番のデータを予期しているので、欠落パケットよりも遅れて配送された受信パケットは停止される。その後、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを引き続いて除去することによって、各欠落パケットが、(1)HARQエンティティから連続的に受信されているか、あるいは(2)失われたか、についての決定がなされる。以前に各欠落パケットによって停止された受信パケットは、欠落パケットが失われたかあるいは受信されたかについて決定された後で配送される。
【0014】
一組の候補HARQチャネルが各欠落パケットに対して形成される。候補組は例えば、パケットが欠落されたことが検出されたときあるいはそれよりも少し後にアクティブであるすべてのHARQチャネルを含む。HARQチャネルは、(1)それが特定の時間の間、非アクティブである場合、(2)パケットがHARQチャネルから復元された場合、(3)新たなチャネルがHARQチャネルに関して送信すべく検出された場合、(4)HARQチャネルを流出するむねの指示が受信された場合には、組から除去される。チャネルが非アクティブであるか否かを決定するために、各HARQチャネルに対して非作動タイマーが使用され、パケット送信が当該チャネルに関して受信されるときにはいつでも再開始される。
【0015】
これらの技術は、リリース5あるいはそれよりも遅いリリースを実装するW−CDMAシステムなどの種々のCDMAシステムに使用される。
【0016】
本発明の種々の側面及び実施形態について以下に詳細に説明する。本発明はさらに、方法、プログラムコード、デジタルシグナルプロセッサ、受信ユニット、送信ユニット、端末、基地局、システム及び、以下にさらに述べるように、本発明の種々の側面、実施形態及び特徴を実現する他の装置及び要素を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の特徴、性質、及び利点は、図面を参照した以下の詳細な説明からより明らかになる。図面において、同一の参照文字は明細書全体にわたって同一のものを示すのに使用される。
【図1】図1は、CDMA通信システムを示す図である。
【図2】図2は、W−CDMAリリース5によって規定されるレイヤ構造を示す図である。
【図3】図3は、高速データパケット接続(HSDPA)のためのHS−DSCHに関する送信のためのノードBにより実行されるデータカプセル化を示す図である。
【図4A】図4Aは、それぞれUTRAN側とUE側のためのW−CDMAリリース5によって規定されたMAC−hsエンティティを示す図(その1)である。
【図4B】図4Bは、それぞれUTRAN側とUE側のためのW−CDMAリリース5によって規定されたMAC−hsエンティティを示す図(その2)である。
【図5】図5は、HSDPAを実装するのに使用される種々のダウンリンク及びアップリンク物理チャネル間のタイミング関係を示す図である。
【図6A】図6Aは、特定の優先キューのために維持されたウインドウと、受信機再配列エンティティによって維持されるウインドウを示す図(その1)である。
【図6B】図6Bは、特定の優先キューのために維持されたウインドウと、受信機再配列エンティティによって維持されるウインドウを示す図(その2)である。
【図7A】図7Aは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その1)である。
【図7B】図7Bは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その2)である。
【図7C】図7Cは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その3)である。
【図7D】図7Dは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その4)である。
【図8】図8は、特定のHARQチャネルに関してパケットを送信するために送信部HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図9A】図9Aは、特定のHARQチャネルに関してパケットを受信するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その1)である。
【図9B】図9Bは、特定のHARQチャネルに関してパケットを受信するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その2)である。
【図9C】図9Cは、HARQチャネルに対してすべての非アクティビティタイマーを維持するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図9D】図9Dは、制御メッセージに関する流出指示を受信したときに受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図10】図10は、特定の優先キューに対して送信部再配列エンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図11A】図11Aは、特定の優先キューに対して受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その1)である。
【図11B】図11Bは、特定の優先キューに対して受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その2)である。
【図11C】図11Cは、遅延タイマーが満了になったことを示す指示を受信したときにはいつでも受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスの実施形態のフローチャートである。
【図11D】図11Dは、特定のHARQチャネルに関する完了したトランザクションに対する受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスの実施形態のフローチャートである。
【図12】図12は、HARQエンティティからパケットを受信するとともに、パケットをより高いレイヤに配送するために、受信機再配列エンティティによって実行される全体プロセスのフローチャートである。
【図13】図13は、ノードB及びUEの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、停止回避を改善するために記載された技術を実行するCDMA通信システム100を示す図である。システム100は、多数の端末106(説明を簡単にするために図1には1つの基地局と2つの端末のみが示されている)と通信を行う多数の基地局104を含む。基地局は、ノードB、基地トランシーバシステム(BTS)、アクセスポイントの名称で呼ばれるかあるいは他の名称で呼ばれる。基地局は、UMTS無線接続網(UTRAN)の一部である。基地局及び/又はその包囲領域は、術語が使用される文脈によってしばしばセルと呼ばれる。
【0019】
端末は、ユーザ装置(UE)、移動局、遠隔局、アクセス端末の名称で呼ばれるかあるいは他の名称で呼ばれる。各端末は、端末がアクティブか否か、データ送信のためにソフトハンドオーバが指示されているか否か、さらには、端末がソフトハンドオーバにあるか否かに応じて、所定のタイミングでダウンリンク及び/又はアップリンクに関して1つまたはそれ以上の基地局と通信を行う。ダウンリンク(すなわちフォワードリンク)は基地局から端末への送信を意味し、アップリンク(すなわちリバースリンク)は端末から基地局への送信を意味する。
【0020】
停止回避のパフォーマンスを改善するためにここに記載された技術は、種々のCDMA通信システムにおいて実行される。すなわち、CDMAシステム100は、W−CDMA、cdma2000、IS−856、IS−95、その他などの、1つまたはそれ以上の一般的に知られたCDMA標準を実行する。明確にするために、停止回避のパフォーマンスを改善するための種々の側面、実施形態及び実行詳細について、W−CDMAリリース5を支持するCDMAシステムを例に説明する。W−CDMA術語を使用して、基地局、端末そしてシステムコントローラは以下の説明ではそれぞれ、ノードB、UE、RNCと呼ぶ。
【0021】
W−CDMAは、音声、パケットデータなどの種々のタイプのサービスを支持する。W−CDMAにおいて、特定のUEに送信されるべきデータは、1つまたはそれ以上の転送チャネルに属するものとして処理される。次にこれらの転送チャネルは、(物理層において)UEに割り当てられた1つまたはそれ以上の物理チャネルにマッピングされる。物理チャネルは、(例えば、キャリア周波数、スクランブルコード、チャネライゼーションコードなど)の種々のパラメータによって規定される。
【0022】
W−CDMAリリース5はさらに、転送/物理チャネルと、ダウンリンクに関してデータの高速送信を可能にするUTRANの一部として規定されるプロシージャとの組である、高速ダウンリンクパケット接続(HSDPA)を支持する。HSDPAでは、データはブロックで処理され、次に、ダウンリンク転送チャネルである、高速ダウンリンク供給チャネル(HS−DSCH)上に重畳(multiplex)される。HS−DSCHは次に、多元UEによって共有される高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS−PDSCH)にマッピングされる。W−CDMAでは、HS−PDSCHに関する各パケット送信は2ミリ秒の時間間隔をもち、送信時間間隔(TTI)と呼ばれる。
【0023】
W−CDMAによって規定される次の転送及び物理チャネルについて以下に説明する。
【0024】
DPCH−専用物理チャネル
HS−DSCH−高速ダウンリンク共有チャネル
HS−SCCH−HS−DSCHのための共有された制御物理チャネル
HS−PDSCH−高速物理ダウンリンク共有チャネル
HS−DPCCH−高速専用物理制御チャネル(アップリンクに関する)
HS−PDSCHは、多元UEのために、時分割及び符号分割多元(TDM/CDM)方式でデータを送信するのに使用される。HS−PDSCHを正しく受信するのに使用される種々のパラメータを含む、HS−PDSCHのための制御情報は、関連するHS−SCCHを介して送信される。HS−SCCHは、正しく及び不正確に受信した(すなわち消去された)パケットを報告するために、UEからのフィードバックを搬送するのに使用される。
【0025】
図2は、W−CDMAリリース5によって規定されるレイヤ構造200を示す図である。レイヤ構造O200は、無線リンク制御(RLC)レイヤ210、メディアムアクセスコントロール(MAC)レイヤ220、物理レイヤ230を含む。RLCレイヤはデータの自動再送(ARQ)を実行し、概して無線ネットワークコントローラ(RNC)に配置される。RLCレイヤを介した再送は概して、RNCとUE間の往復時間が長いために、長時間の遅延に関連する。RLCレイヤにおいて、データは論理チャネルに属するものとして処理される。
【0026】
W−CDMAリリース5の場合、MACレイヤはさらに、MAC−dサブレイヤ222とMAC−hsサブレイヤ224に分割される。MAC−dサブレイヤは、(1)論理チャネルを共通の専用転送チャネルにマッピングすること、(2)1つまたはそれ以上の論理チャネルを1つの転送チャネル(C/T MUX)上に重畳(multiplex)すること、(3)暗号化/復号化すること、などを含む一組の機能を実行する。MAC−dサブレイヤは、データフローをMAC−hsサブレイヤに供給する。このときの各データフローはある種のスケジューリング属性に関連する。
【0027】
MAC−hsサブレイヤは、以下に述べるように、HSDPAに関連する特別な機能を実行する。MAC−hsサブレイヤはさらに、MAC−hサブレイヤと物理レイヤ間にインタフェースを提供する。
【0028】
物理レイヤは、MACレイヤに対してデータを送信したり、より高いレイヤに対してシグナリングを行う機構を提供する。
【0029】
W−CDMAに対する種々のレイヤ及びサブレイヤは、一般に利用可能な種々の標準文書に記載されている。
【0030】
図3は、HS−DSCHに関する送信のためのノードBによって実行されるデータのカプセル化を示している。W−CDMAにおいて、ダウンリンクに関して送信すべきデータは、それぞれがシーケンス番号(SN)とデータとを含むRLCプロトコルデータユニット(RLC PDU)におけるRLCレイヤによって提供される。MAC−dサブレイヤは、1つまたはそれ以上の論理チャネルに対してRLC PDUを受信し、対応するMAC−d PDUを形成するために各RLC PDUに対して(C/T)フィールドを挿入する。C/Tフィールドは、RLC PDUに関連する論理チャネルを識別する。
【0031】
MAC−hsサブレイヤは、MAC−d PDUを受信して、MAC−hs PDUを形成する。W−CDMAリリース5に対して、各MAC−dフローは、RLCレイヤで1つまたはそれ以上の論理チャネルに対するデータを含み、各MAC−d PDUは特別の優先度に関連する。データは優先度と利用可能な資源に応じて送信されるので、異なる優先度をもつデータは、MAC−hsサブレイヤ内に異なる優先度キューに基づいて送信される。したがって、データは、必要に応じて適正な優先度キューから取り出され、HS−DSCHに関して送信するためにさらに処理される。
【0032】
MAC−hs PDUを形成するために、MAC−hsサブレイヤはまずデータを受信し、特定の優先度キューから1つまたはそれ以上のMAC−d PDUを直列に連結して、MAC−hs PDUに対するペイロードを形成する。ペイロードを満たすために必要に応じて詰め込みビットが付加される。MAC−hsサブレイヤは次にペイロードにヘッダを付加してMAC−hs PDUを形成する。
【0033】
W−CDMAリリース5のために、MAC−hsヘッダは、(1)MAC−hs PDUにおける各MAC−d PDUの長さを示すサイズインデックスID(SID)フィールドと、(2)MAC−hs PDUに含まれるMAC−d PDUの数を示すNフィールドと、(3)割り当てられ、MAC−hs PDUを独自に識別するために使用される送信シーケンス番号と、(4)MAC−hs PDUに含まれるMAC−d PDUが取り出される特定の優先度キューを示すキューID(QID)とを含む。TSNは、UEが復元されたMAC−hs PDUを識別することを可能にし、順番の揃ったMAC−d PDUを、データが正しい順番で配送されることを予期するRLCレイヤに提供する。同じパケット内で異なるサイズのMAC−hs PDUの送信を可能にするための機構がW−CDMAによって提供される。しかし、これについては説明を簡単にするために述べない。
【0034】
MAC−hs PDUは必要に応じて直ちに生成される。各MAC−hs PDUは、HS−DSCHに関する送信ユニットである2msec TTIにおいて送信される。説明を簡単にするために、MAC−hs PDUは、ここでは“パケット”と呼ばれる。
【0035】
制御情報は、各パケット送信とともに共有のHS−SCCH上を同時に送信される。この制御情報は、(1)HARQプロセスID(HID)、(2)新たなデータインジケータ、(3)制御情報及び対応するデータ送信が意図する特定のUEを示す情報、(4)ここに述べない他の情報、を含む。HIDは、パケットに使用される特定のHARQプロセスを示す。各パケットは、(1)UTRANがパケットに対してHS−DPCCHに関してACKフィードバックを受信するか、あるいは、(2)送信機がパケットの送信を中止することを決定する、まで1回またはそれ以上送信及び再送される。各パケットは、当該パケットの送信/再送を制御するのに使用されるストップアンドウエイト(SAW)プロトコルのインスタンスである、特定のHARQプロセスに関連する。HIDに対して3つのビットが規定されるので、ある時点では8パケットまでのトランザクションが係属していることになる。8つのHARQプロセスは、パケットを送信するのに使用される8つの“HARQチャネル”としてみなされ、各HARQチャネルは、特定のHID値に関連し、かつ特定のHID値によって識別される。
【0036】
新たなデータインジケータは、特定のHARQチャネルに関する新たなパケットの送信を示すのに使用される。復号パフォーマンスを改善するために、UEは概して復号に先立って、同じパケットに対して受信されたすべての送信を(柔軟に)合成する。新たなデータインジケータは、現在の送信は新たなパケットに対するものであり、(以前のパケットに対するものである)同じHARQチャネルに対して前に受信したすべての送信は、廃棄することをUEに通知する。新たなデータインジケータは、同じHARQチャネル上を送信される連続的なパケットに対して“0”と“1”との間で切り替わる単一のビット値であり、実質的にはHARQチャネル上を送信されるパケットに対する1ビットシーケンス番号である。新たなデータインジケータが切り替わるのを観察することによってUEは新たなパケットを検出する。新たなデータインジケータはまた、“カラー”ビットとも呼ばれる。
【0037】
図4Aは、UTRABN側に対するW−CDMAリリース5によって規定されるMAC−hsエンティティ224aの図である。HS−DSCH送信を支持する各セルに対するUTRANにおける1つのMAC−hsエンティティが存在する。MAC−hsエンティティはHS−DSCH上を送信されるデータを処理し、HSDPAに対する物理的資源割り当てを管理する。
【0038】
UTRAN MAC−hsエンティティは、スケジューリング/優先度処理エンティティ410、HARQエンティティ420、FTRCエンティティ430を含む。スケジューリング/優先度処理エンティティは、優先度に従ってMAC−dエンティティからのデータフローを管理し、TSN及び処理すべき各パケットに対する優先度キューを決定し、パケットの送信/再送を決定する。MAC−dエンティティからのデータフローは、異なる優先度をもつデータを含み、異なる優先度キューに配置される。データはその後、優先度及び資源利用可能性に基づいて、適正な優先度キューから取り出され、HS−DSCHに関して送信/再送のためにさらに処理される。
【0039】
各UEに対するHARQ機能性を処理するために1つのHARQエンティティが提供される。HARQエンティティは、これらのパケットがUEに確実に送信されることを確実にするために、パケットの送信及び(必要に応じて)再送を実行する。パケットの再送は、UEからのフィードバックに基づいて実行される。このフィードバックは、パケットの復号が首尾よく行われたことを示すために確認応答(ACK)の形態をとるか、あるいは、パケットの復号が失敗したことを示すために否定応答(NAK)の形態をとる。
【0040】
TFRCエンティティは、HS−DSCHに関して送信すべきデータに対する適切な送信フォーマットと資源を選択する。
【0041】
図4Bは、UE側に対してW−CDMAリリース5によって規定されるMAC−hsエンティティ224bを表す図である。MAC−hsエンティティは、HSDPA特定の機能を処理し、UEで構成された各キューIDに対して、HARQエンティティ440、再配列キュー分配エンティティ450、一組の再配列バッファ462、再配列エンティティ464、デアッセンブリエンティティ466、を含む。すなわち、1つの再配列バッファが提供され、UEに対して使用される各優先度キューに関連する。
【0042】
UE HARQエンティティは、HARQに対して必要とされるすべてのタスクを処理する(例えば、各受信パケット送信に対して要求されたACK/NAKを生成する)。再配列キュー分配キューは、パケットに対して送信されたキューIDに基づいて、回復されたパケットを適正な再配列バッファに供給する。
【0043】
各再配列バッファに対する再配列エンティティは、各パケットに割り当てられたTSNに従ってバッファ内の復元されたパケットを再配列する。各優先度キューはTSN自身のシーケンスに関連する。再配列エンティティは次に復元されたときに連続するTSNをもつパケットをデアセンブリエンティティに供給する。パケットは、より低いTSNをもつパケットがない場合には、デアセンブリエンティティに配送されない(すなわち、“停止”される)。
【0044】
各再配列バッファに関連するデアセンブリエンティティは、提供されたパケットをデアセンブルする。デアセンブリは各パケット内のヘッダを除去してMAC−hsペイロード(図3を参照)を獲得し、MAC−hsペイロードに含まれるMAC−d PDUを抽出し、(もし存在するならば)詰め込みビットを廃棄することによって実行される。デアセンブリエンティティは次にMAC−d PDUをMAC−dサブレイヤを介してより上位のレイヤに供給する。
【0045】
W−CDMAリリース5は、多数の再配列エンティティと、同時に動作すべき多数のHARQプロセス(HARQチャネル)とを可能にする。各再配列エンティティは、1つの特別な優先度キューに対してデータを処理し、このタスクに対して1つの再配列バッファを用いる。すなわち、再配列エンティティと、優先度キューと、再配列バッファとの間に1対1の対応がある。HARQチャネルは、標準のストップアンドウエイトエンティティであり、各HARQチャネルは、優先度キュー(すなわち、再配列バッファ)に向けられたデータを搬送することができる。
【0046】
図5は、HSDPAを実装するのに使用される種々のダウンリンク及びアップリンク物理チャネル間のタイミング関係を示している。図5に示されるタイミング関係は、HSDPA送信を受信するように指定された特定のUEに関している。
【0047】
アップリンクDPCCHは、アップリンクDPCHに対するシグナリングを送信するためにUEによって使用される。アップリンクDPCCHのタイミングは基準に用いられ、他の物理的チャネルに対するタイミングはアップリンクDPCCHのタイミングに関して提供される。
【0048】
図5に示すように、パケットは、HS−DPSCHに関してサブフレーム512内のUEに送信される。各サブフレームは1つの2−ミリ秒スロットに及ぶ。サブフレーム512の開始は、アップリンクDPCCHに関するスロットの開始である時間T1 より所定の時間後に発生する。パケットは指定のUEに送信され、そこで受信されパケットを復元することが行われる。復号処理の結果に基づいて、UEは以下の(1)〜(3)の1つを報告する。(1)パケットが正しく受信されたことを示すためのACK、(2)パケットがエラー状態(すなわち消去された)で受信されたことを示すNAK、あるいは(3)対応するHS−SCCHの検出に失敗した(欠落した)場合には応答無し(すなわち、不連続送信(DTX)ビット)。このフィードバック情報は、アップリンクHS−DPCCHに関して指定のサブフレーム514におけるUEから送信される。サブフレーム514は、7.5スロットに、対応するサブフレーム512の終点から(0から255チップの間の値である)τx の遅延を足した時間として規定される時間T2 で開始される。遅延τxは、アップリンクDPCCH(T1 )に関するスロットの開始と、アップリンクHS−DPCCH(T2)に関するサブフレーム514の開始との間の、経過時間τyが256×mとなるように規定される。ここで、mは整数である。
【0049】
ダウンリンクHS−SCCH及びアップリンクHS−DPCCHについての制御情報の送信に対するHSDPA設計内容は以下の通りである。
【0050】
HS−SCCH(ダウンリンク)
・確率{欠落HS−SCCH}≦10-2
・確率{誤警報}≦10-4
HS−DPCCH(アップリンク)
・確率{ACK→NAK}≦10-2
・確率{NAK→ACK}≦10-4
・確率{DTX→ACK}≦10-2
上記のことは、ダウンリンクに関するHS−SCCHに対して、(1)パケットトランザクションに伴って制御メッセージを欠落する確率は、10-2以下かあるいはそれに等しくなければならない、(2)他のUEに送信された制御メッセージをUEに送信されたものとして誤検出する確率は、10-4以下かあるいはそれに等しくなければならない、ことを示している。アップリンクに関するHS−DPCCHに対して、(1)UEによって送信されるACKがノードBによってNAKとして受信される確率は、10-2以下かあるいはそれに等しくなければならない、(2)UEによって送信されるNAKがノードによってACKとして受信される確率は、10-4以下かあるいはそれに等しくなければならない、(3)UEによって送信されるDTXビットがノードBによってACKとして受信される確率は、10-2以下かあるいはそれに等しくなければならない、ことを示している。
【0051】
あるチャネル条件、特に、特定のUEに対するノードBにサービスを提供するのが、最良のアップリンクでない場合(1つのノードBから他のノードへのハンドオフはHSDPAに対して時間がかかるので、このことは頻繁に発生する)には、上記のエラーのACK/NAK確率を達成することは困難である。
【0052】
所定のパケットに関してACKエラーに対するNAKは、送信機側ではパケットが受信機によって正しく復元されることを仮定することを意味する。送信機は次にこのパケットを廃棄して、同じHARQチャネルを介して他のパケットの送信を開始する。したがって、ACKエラーに対するNAKは、MACレイヤでのパケット損失を意味する。
【0053】
NAKからACKエラーへの確率が高いことは、MACレイヤでの欠落パケットの発生が多いことに対応する。このことは、再配列エンティティによる停止の確率が高く、RLCレイヤではより多くの再送が必要となることにつながる。
【0054】
MACレイヤは、より高位のレイヤに対するデータの配送が正常に行われることを保証する必要がある。複数のHARQチャネルを使用するHARQ機構では、UEによってデータが不揃いの状態で復元されることを意味するので、再配列サブレイヤは、W−CDMAリリース5におけるMACレイヤにおいて追加された。パケットが復元されたとき、再配列サブレイヤは当該パケットを一次記憶し、再配列し、連続するパケットを(TSNによって決定されたように)高位のレイヤに配送する。再配列サブレイヤが、復元されたパケットのTSNにおけるギャップあるいはホールに基づいて、欠落パケットを検出したならば、最も早い欠落パケットのTSNよりも遅いTSNをもつすべてのパケットの配送を延ばす(すなわち、停止する)。欠落パケットが最終的に復元されたとき、再配列サブレイヤは、新たに復元されたパケットと、停止された以前に復元されたパケットとを提供する。
【0055】
これらの“停止回避”機構は、実装を可能にして、再配列エンティティが再送されないデータを無制限に待つ状況を避けるために、W−CDMAリリース5によって提供される。これらの停止回避機構は、
・ウインドウに基づく方法
・タイマーに基づく方法
・HARQアクティビティ方法、を含む。
【0056】
これらの方法の各々について以下に簡単に記述する。
【0057】
ウインドウに基づく方法
各パケットは特定のTSNによりタグ付けされているので、復元されたパケットは、UEで適正なシーケンスに組み立てられる。パケットはまず、ノードBによって順番に送信されるが、再送回数が変化する各パケットに対して必要になるのでこれらのパケットは順番の揃っていない状態で復元される。
【0058】
図6Aは、特定の優先度キューに対して維持されたウインドウを図示したものである。この優先度キューに対するデータは、6ビットTSNによって識別されるパケットにおいて送信される。TSN番号空間は、26 =64(すなわち、0から63)である。TSNフィールドは有限のサイズをもつという事実によって引き起こされるTSN番号空間におけるあいまいさを解決するために、受信機はウインドウを使用する。このウインドウのサイズは概して、TSN番号空間(すなわち、<32)の半分以下に設定され、8から16の小ささに設定される。ウインドウサイズはTSN番号空間よりも小さいので、ウインドウ内のパケットの順番は正確である。ウインドウのサイズを決定するにあたってはトレードオフがある。ウインドウが小さいならば、受信機での停止回避のパフォーマンスは増大し、受信機バッファサイズの要求は低減される。しかしながら、送信機での停止回避あるいは再送を中断するのに要する確率は(送信方法に応じて)増大する。
【0059】
新たなパケットが受信されたとき、ウインドウは前方に進む。受信機にとって、ウインドウの先導部分は、全ての復元されたパケットの“最近の”TSNに等しくなるように設定される。ウインドウの左方に向かうパケットは、連続する“より早い”TSNをもつ。TSN値は巻き取られる(wrap around)ので、最新のTSN値は実際上、TSNが巻き取られるたびにより早いTSNよりも小さくなる。ウインドウの追従端よりも早いTSNをもつ欠落パケットは失われたものとみなされる(すなわち、再送されなかった)。すなわち、ウインドウが前方に進むとき、追従ウインドウ端部よりも早いパケットは“流出(flush)”されて高位のレイヤに送信される。
【0060】
したがって、このウインドウ機構は、受信機での欠落パケットを流出するのに送信機によって使用される。しかしながら、ウインドウのサイズは、多数回の再送を可能になるべく大きくする必要があるので、欠落パケットを流出するには大量のデータが必要となる。したがって、ウインドウに基づく方法は、ブラウジングによって生成されるようなバーストタイプの閉ループトラフィックの場合に頻繁に起こるデータバーストの終端で部分的に効果がある。
【0061】
タイマーに基く方法
ウインドウに基く方法の制限の問題を解決するために、タイマーに基く機構がW−CDMAリリース5において導入された。タイマーに基く方法では、欠落パケットが受信機で上位レイヤへのパケットの配送を停止するたびに、“長い”タイマーが開始される。その後、他のパケットが検出されなかった場合には、いったん長いタイマーが満了すると、欠落パケットは復元されたとものとみなされ、この欠落パケットにより停止されたすべてのパケットは次に上位のレイヤに配送される。この機構は、再配列キューあたり1つの長いタイマー(あるいはW−CDMAリリース5において規定された8つの再配列キューに対して最大8つの長いタイマー)の保守を必要する。
【0062】
適正なHARQオペレーションを確実にするために、長いタイマーは、所定のパケットに対するすべての再送を完了するのに要する最も長い時間量よりも長い時間に設定する必要がある。欠落パケットを復元するために多数回の再送が実行される必要がある。さらに、再送を非同期でスケジューリングしたり、(例えば、チャネライゼーションコード及び送信電力などの)HSDPAに対して利用可能な資源の量が動的に変化するシステムにおいて、欠落パケットに対するすべての再送を完了するのに要する時間の量子化器は大きく変化する。したがって、このタイマーの値は長くする必要がある。一方、欠落パケットに対する再送は、タイマーの満了によって未完のうちに終了してしまう。この場合、高位のレイヤによって再送されるべく欠落パケットが必要となり、非常に望ましくない。再配列エンティティは、長いタイムが満了するまであるいは欠落ペイロードに対するすべての再送が完了するまでの長い時間、待機する必要がある。
【0063】
長いタイマーに対する大きな値に加えて、ウインドウ内のいくつかのパケットが欠落されたことが検出されたとき、これらの欠落パケットに対するタイマーは、効率よく配置される(すなわち、新たな欠落パケットが検出されたときはいつでも長いタイマーは再開される)。これは、欠落ペイロードを上位レイヤに配送するときの遅れが長くなることを意味する(可能な最長の遅延は最悪の場合における長いタイマーの値の2倍である)。
【0064】
HARQ動作方法
復元されたパケットの高位のレイヤへの配送が停止するのを回避するための第3の方法は、HARQチャネルに関する動作を検出することである。HARQチャネルのどのチャネルにもパケットの存在が予期されないとき(すなわち、以前のパケットトランザクションがすべて完了したとき)、すべての再配列キュー内のデータは、高位のレイヤに対する再配列エンティティによって配送可能である。この機構には2,3の欠点がある。第1は、この方法は、高位のレイヤにパケットを流出可能にするために、HARQチャネルのどのチャネルに関してもパケットトランザクションが係属中でないことを必要とする。第2は、受信機は、そのチャネルに関するパケットトランザクションが完了した場合にのみ、HARQチャネルを“区別する”ことである。受信機は所定のHARQチャネルに関して復元されるべきパケットをいつまでも待つので(例えば、送信機がパケットトランザクションを放棄する)、再配列キューはけっして流出されない。第3に、制御メッセージが欠落した場合(すなわち、受信機によって検出されなかった場合)、この制御メッセージに関するパケットは、引き続いて復元されなかったならば、再配列エンティティによって廃棄される可能性がある。このことは、欠落した制御メッセージを持つパケットが再送されて制御チャネルが首尾よく復号される前に、遅いTSNをもつ他のパケットが復元されて再配列エンティティに提供された場合も同様である。
【0065】
欠落したパケットの影響を相殺して停止回避パフォーマンスを改善するための技術がここに提供される。特に、これらの技術は、MAC−hsサブレイヤによるデータの高位レイヤへの配送が欠落ペイロードのために停止される状況により効果的に対処するのに使用される。これらの技術は、データを高位のレイヤに配送するか否かをよりよく決定するために、HARQプロセスからの情報を使用する。停止回避パフォーマンスを改善するのに使用される。
【0066】
・ ペイロードの代わりにHS−SCCHに関するキューIDを送信すること。
【0067】
・ 各HARQチャネルに対して不作動タイマーのメインテナンスを行うこと。
【0068】
・1つまたはそれ以上のHARQチャネルを“流出”するために流出指示を送信すること。これは、データが再配列エンティティによって高位のレイヤに流出されることを意味する。
【0069】
・欠落パケットを送信するのに使用されるチャネルとしての、各欠落パケットに対する一組の候補HARQチャネルを形成すること。候補組形成においては遅延タイマーが使用される。
【0070】
・欠落パケットが紛失されたか否かを決定するためにHARQチャネルに関する動作を決定すること。
【0071】
これらの機構の各々について以下に詳細に説明する。
【0072】
以下の説明において次の述語が使用される。
【0073】
・パケットトランザクション−送信および特定のHARQチャネルに関する特定パケットの1つまたはそれ以上の再送
・係属中のトランザクション−1つまたはそれ以上のさらなる再送が当該パケットに対して予期されるパケットトランザクション
・完了トランザクション−さらなる再送が当該パケットに対して予期されないパケットトランザクション
・ 欠落パケット受信機によって復元されず、復元された他のパケットよりも早いTSNをもつパケット(欠落パケットは、いまだ再送されている工程にあるかあるいは、送信機によって廃棄された)。
【0074】
・復元されたパケット受信機によって正しく復号されたパケット。
【0075】
・受信パケットこの述語は、どのエンティティを言及するかによって2つの意味を持つ。HARQエンティティに対して: 正しく復号されたかあるいは復号されなかった特別なHARQチャネルに関して受信されたパケット送信。HARQエンティティに対して:HARQエンティティから受信したがまだ上位のレイヤに配送されていない復元されたパケット。
・作動HARQチャネル−パケットトランザクションが係属中であり、当該チャネルに関する次の送信は現在のパケットの再送に対するものであるHARQチャネル。
【0076】
・不作動HARQチャネル−パケットトランザクションが完了し、当該チャネルに関して受信した次の送信が新たなパケットに対するものであるHARQチャネル。
【0077】
・候補HARQチャネル−欠落であると検出されたパケットを送信するのに使用されるHARQチャネル。
【0078】
制御チャネルに関するキューIDの送信
W−CDMAリリース5において、パケットに対する特定のキューIDを識別するキューIDは、当該パケットに対するヘッダの一部として送信される(図3を参照)。したがって、パケットペイロードが属する優先度キューは、パケットが復元された後に確認されることになる。その結果、当該パケットは復元されなかったので各欠落パケットに関する優先度キューを決定することはできない。
【0079】
パケットが欠落され、それが属する優先度キューが確認できないならば、データ配送は全ての再配列エンティティに対して停止される。このことはパフォーマンスを低下させる。
【0080】
一側面において、各パケットに対する優先度キューは、パケット送信とともに、制御メッセージに関して送信される。キューIDフィールドは、図3の点線のボックスで示されるように制御メッセージ内に含まれる。制御チャネルに関するキューIDを送信することによって、パケットそれ自身が正しく復号されたかエラーとなったかとは無関係に、関連する制御メッセージが受信機によって正しく検出される各パケットに対する優先度キューを特定することが可能である。そのような各パケットに対する優先度を特定する情報は、停止回避パフォーマンスをさらに改善するために、後述する他の機構に関連して使用される。例えば、後述する機構に関連して使用されるときに、そのような各パケットに対する優先度キューを特定することによって、高位のレイヤに流出されるべき優先度キューを決定することが可能である。このようにして、そのような各パケットは、他の再配列エンティティではなく、当該パケットに対する優先度キューに関連する再配列エンティティのみに影響を与える。したがって停止回避パフォーマンスは改善される。
【0081】
HARQチャネルのための不作動タイマー
所定の時間で1つのパケットを送信するために各HARQチャネルが使用される。パケットは、(1)送信機が当該パケットに対してACKを受信するかあるいは、(2)送信機がパケットの送信をあきらめる、まで、HARQチャネルに関して1回またはそれ以上の回数だけ送信及びときには再送される。いずれにしても、送信機はそのあと、同じHARQチャネルに関して新たなパケットを送信するとともに、新たなデータインジケータをフリップすることによってこのことを示す。
【0082】
受信機側で、特定のHARQチャネルに関するパケットトランザクションは、送信機は、それが以前のパケットの送信を停止することを決定することなしに、新たなパケットを送信しないので、(1)パケットが受信機によってHARQチャネルから正しく復元されるかあるいは、(2)受信機が(制御チャネルにおける新たなデータインジケータに基づいて)HARQチャネルに関する新たなパケットの送信を検出するまで、係属中であるとみなされる。
【0083】
受信機側で、新たなデータは、ある理由あるいはその他の理由で送信機によって廃棄される、受信機ウインドウにおける係属中データを“流出”する。例えば、優先度キューAに対して送信されるべきさらなるデータがないが、優先度キューBに対して送信されるべきデータが存在するならば、優先度キューBに対するデータは、優先度キューAに対して以前に使用された同じHARQチャネルに関して送信される。この場合、優先度キューBに対するデータは、優先度キューAに対するデータを効果的に“上書き”する。各HARQチャネルに対する新たなデータインジケータの切り替えは、受信機が以前のパケットがいつ送信機によって廃棄されるのかを確認することを可能にする。
【0084】
しかしながら、もはや送信するべきデータが存在しないならば、どのHARQチャネルに関しても動作が存在しない。新たな動作なしに、UEが、所定のパケットがネットワークによって廃棄されたかあるいは、パケットに対する再送が到来するかどうかを確認することが可能でない。送信機によって廃棄されたパケットを待っている各HARQチャネルに対してかつ、新たなパケットが送信されなかったことに対して、このHARQチャネルに関連する再配列エンティティは、それが利用可能なデータを高位のレイヤに配送する前に、再配列キューに対して維持された長いタイマーが経過するまで、待機しなければならない。HARQプロセスはそれ自身、HARQチャネルに関して新たなパケットの送信または現在のパケットの再送に対して無制限に待機しなければならない。
【0085】
他の側面において、“不作動”タイマーは、状況を避けるために各アクティブHARQチャネルに対して維持され、これによって、HARQエンティティは、送信機によって廃棄されたパケットの再送に対していつまでも待機する。本実施形態において、不作動タイマーは、そのHARQチャネルに対する制御チャネルに関して受信された制御メッセージに基づいて、HARQチャネルに関する動作を監視する。一実装において、新たな制御メッセージが特定のアクティブHARQチャネルに対する制御チャネルに関して受信されるたびに、そのチャネルに対する不作動タイマーが再開される。他の新たな制御メッセージが掃くチャネルに対して受信される前に、不作動タイマーが経過するならば、チャネルは不作動であるとみなされる。
【0086】
各HARQチャネルに対して不作動タイマーを使用する主な利点は、各再配列バッファに対して使用される長いタイマーほど長くする必要がないことである。これは、不作動タイマーは、アクティブHARQチャネルに対する1つの制御メッセージ(第1のメッセージが欠落した場合を考慮すれば2つの制御メッセージ)を受信することを予期される最大量時間をカバーする必要があるだけだからである。制御チャネルを欠落する確率はほぼ10-2であるから、続けて2つの制御チャネル送信を紛失する確率はほぼ10-4である。したがって、タイマーが2つの再送を実行するのに必要とする最大時間に設定されるならば、いぜん送信されているパケットを誤って廃棄する確率は、NAKからACKエラーの所望の確率とほぼ同じであり、これは、2つは実質的に同じ効果を有するので望ましい。これと比べて、長いタイマーは欠落パケット(及びただ2つの制御メッセージ送信ではない)に対する最大数の再送を処理するのに十分長くする必要がある。ローカル変数CurrNewDataは、各HARQチャネルに対して維持され、チャネルに関して最近の送信で受信される新たなデータインジケータに設定される。HARQチャネルが不作動であるとみなされるならば、当該チャネルに関する次の送信が新たなパケットに対して予期され、その場合、この送信に対する新たなデータインジケータは、CurrNewData値とは異なっている。しかしながら、新たな送信に対する新たなデータインジケータがCurrNewData値と同じならば、(例えばACKからNAKエラーにより)同じパケットが送信されていると仮定され、この場合、送信は廃棄され、ACKは送信機に送り戻される。
【0087】
HARQチャネルに対する流出指示
さらに他の側面において、流出指示は、制御チャネルに関して送信されて1つまたはそれ以上のHARQチャネルを流出するために、UEでHARQエンティティを先導するのに使用される。流出されたHARQチャネルは、当該チャネルに関する係属中のトランザクションが完了したことを示す。このHARQチャネルに関して待っている再配列エンティティはその後、以下に述べるように、この情報に基づいて適切な動作を実行する。種々の流出指示が種々の方法でUEに送信される。例えば、流出指示は、コードセットを指示するために用いられるフィールドまたは転送ブロックサイズを指示するのに用いられるフィールドにおける予約値を使用して制御メッセージにおいて送信される。UE受信機が流出指示を受信するならば、パケットを復号することは行われない。これに対する理由を以下に説明する。各流出されたHARQチャネルはその後、当該チャネルに関して受信が予期されるさらなる再送が存在しないことを示すために不作動モードに置かれる。
【0088】
1つまたはそれ以上のHARQチャネルは、単一の流出指示に基づいて流出される。第1実施形態において、流出指示はそれが送信される、制御メッセージにおけるHIDフィールドによって特定される、特定のHARQチャネルのみを流出する。この実施形態において、多数のHARQチャネルが流出されるときには多数の流出指示が送信される。第2実施形態において、流出指示は全てのHARQチャネルを流出する。この実施形態は流出指示に対する送信の数を低減する。しかしながら、流出指示の利用可能性は、再配列キューのいくつかに対するHARQチャネルのいくつかに関してデータが送信される必要がない場合にまで低減される。第3実施形態において、流出指示は、流出指示を送信するのに使用される同じ制御メッセージに含まれるキューIDフィールド特定の優先度キューに対してデータを予期している全てのHARQチャネルを流出する。この実施形態は、優先度キューに対して意図されたトラフィックバーストにおけるすべてのデータの送信の後に、特定の優先度キューに対するすべてのHARQチャネルを流出するのに使用される。
【0089】
流出指示の送信は大きな資源を必要とせず、特定のHARQチャネルに対して維持された不作動タイマーを早期に停止するために使用される。概して、システムは、どのUEが再配列バッファ内でパケットを欠落するリスクを増大させたかを知っている。例えば、サービス中のセル以外のセルに対するより良いリンクをもつUEあるいはDPCHに関する高フレームエラーレート(FER)は欠落パケットをもつ可能性が高い。これらのUEについて、各優先度キューに対するトラフィックバーストの送信が完了したときに流出指示が送信される。
【0090】
HARQチャネルに関するアクティビティの検出/欠落パケットに対する遅延タイマー
パケットの第1の送信がTSNに基づいて順番に発生するならば、欠落パケットは復元されたパケットのTSNによって指示される。特に、パケットは、遅いTSNをもつ他のパケットが最初に復元されたならば、欠落されたとみなされる。(TSN値がラップアラウンドするとき、遅いTSNは早いTSNよりも値がより小さい)。この場合、早いTSNをもつ欠落パケットは送信中であるとみなされる。
【0091】
パケットが欠落していることが検出された時点で、当該欠落パケットが送信される一組の候補HARQチャネルが特定される。その後、候補HARQチャネルに関するアクティビティは、これらのチャネルのいくつかが欠落パケットを送信するのに使用されたものであるかどうかを決定するために監視される。候補HARQチャネルは後述するように、当該組から順に除去される。すべての候補HARQチャネルが除去され、当該組が空であるならば、欠落パケットは紛失されたものとみなされる。この場合、適切なアクションが再配列エンティティによってとられる。
【0092】
当該候補に含めるべきHARQチャネルは、利用可能な情報に依存する種々の方法により選択される。第1実施形態において、候補組は、欠落パケットを検出したときに形成され、欠落パケットを検出するために用いられた復元パケットに対するHARQチャネルを除いて、パケット送信に使用されるすべてのHARQチャネルを含む。
【0093】
第2実施形態において、欠落パケットに対して設定される候補は、欠落パケットが検出された時点ですべてのアクティブHARQチャネルを含むように規定される。この時点での候補HARQチャネルのスナップは、欠落パケットに対する少なくとも1つの制御メッセージが受信されたならば正確なものである。これは、制御メッセージが欠落パケットに対応するHARQチャネルを作動状態に設定するとともに、当該チャネルが欠落パケットに対して設定された候補に含まれるからである。
【0094】
しかしながら、このスナップは、欠落パケットを送信するのに用いられるHARQチャネルに対するすべての制御メッセージが受信機によって欠落されるならば正確なものではない。例えば、HARQチャネルH1に関して送信されたパケットP1の第1の送信に対する制御メッセージが欠落されたならば、このチャネルは不作動状態を維持する。その後、(パケットP1がHARQチャネルH1に関して再送される前に)同じ優先度キューに対する他のパケットP2が他のHARQチャネルに関して送信され、正確に復号されたならば、パケットP1は欠落されたとして検出される。しかしながら、候補組は、HARQチャネルH1を含まない。なぜならば、それは、パケットP2が復元された後に当該組のスナップがとられたときには不作動となっているからである。このような事象が発生する可能性は低くく、その影響としては、パケットP1はそれが最後に復元されたときに再配列エンティティによって廃棄されることである。
【0095】
第3の実施形態は上記した問題を避ける実施形態であり、欠落パケットに対して設定された候補は、欠落パケットが検出された後の所定時間後に形成される。この遅延は、候補組が欠落パケットに対して形成される前に欠落パケットに対して少なくとも1つの制御メッセージが受信されることを確実にするのに十分長い時間が選択される。候補組のスナップを取る前に待機するべき時間の量を追跡するのに、“遅延”タイマー(ここではTM2として呼ばれる)が使用される。
【0096】
10-2である制御チャネルに対する特定の信頼性に基づいて、遅延タイマーは、1つのさらなる制御メッセージ送信を受信するのに十分な長さのみをもつ。遅延タイマーが用いられるならば、受信機は、不正確な候補組を形成して当該パケットを紛失するために、2つの連続する制御メッセージ送信を結果的に見逃す必要がある。制御チャネルに対する10-2 の欠落の確率に基づいて、2つの連続する制御チャネル欠落は、10-4 となり、これは受け入れがたい。遅延タイマーに対する長い値はその下の構成に影響を与えるというよりは、パフォーマンスを低下させる。
【0097】
第4実施形態において、候補組は、まず、欠落パケットが検出された時点で各欠落パケットに対して形成され、欠落パケットを検出するのに用いられる復元パケットのHARQチャネルを除いたすべてのHARQチャネルを含む。しかしながら、遅延タイマーもまた開始される。当該組内の候補HARQチャネルは、欠落パケットを送信するのにチャネルを用いることができないことが続けて決定されたならば、その後除去される。遅延タイマーの満了で候補組は修正され、この時点でアクティブでないすべてのHARQチャネルは、当該組から除去される。修正された候補組は、最初の候補組の半分の組(サブセット)である。第4実施形態において、上記した第3実施形態と同様に、すべての制御メッセージが受信機によって前に欠落されたことに対するHARQチャネルを捕捉するのに使用される。しかしながら、遅延タイマーの動作は、初期に形成された候補組からHARQチャネルを除去することに影響も与えず損なうこともない(例えば、遅いTSNをもつパケットが復元されることに対するHARQチャネル)。
【0098】
遅延タイマーを使用する第4実施形態において、このタイマーは、以下に詳細に説明するように、種々の方法により実装される。
【0099】
キューIDが制御チャネルに関して送信され、少なくとも1つの制御メッセージが欠落パケットに対して受信されるならば、欠落パケットに対する候補組は、この優先度キューに対して使用されるHARQチャネルを含んでいればよい。
【0100】
遅延タイマー及び流出指示機構は、候補組が形成されるときまでに、HARQチャネルを不動作状態に設定するのを援助する。例えば、所定のHARQチャネルに対する不作動タイマーは、遅延タイマーがアクティブの間に経過する。この場合、このHARQチャネルは候補組に含まれない。これらの機構は、候補HARQチャネルの組を制限し、これは、停止回避機構のパフォーマンスを改善するだろう。
【0101】
欠落パケットに対して候補組を形成するのに用いられるすべての実施形態において、候補HARQチャネルは、それらは欠落パケットを送信するのに使用することができないことが続いて決定されたならば、その後、組から除去される。特に、候補HARQチャネルは、チャネルに関する係属中のトランザクションが完了したならば、当該組から除去される。
【0102】
一実施形態において、HARQチャネルに関するパケットトランザクションは、次の条件のいずれか1つが発生するならば完了したものとみなされる:(1)パケットがHARQチャネルから除去される、(2)HARQチャネルがアクティブかつ、新たなパケットが当該チャネルに関して送信されたことが検出される、(3)HARQチャネルに対する不作動タイマーが満了する、(4)HARQチャネルに対して流出指示が受信される。条件(1)は、欠落パケットの復元あるいは欠落パケットよりも遅いパケットの復元、を意味する。条件(2)は、新たなデータインジケータの変化を検察することにより検出され、例えば、送信機が以前のパケットを廃棄してHARQチャネルに関して新たなパケットを送信することを決定したときに発生する。条件(1)及び(2)は、初期の送信は常に順番に実行され、係属中のトランザクションが完了するまで、新たなパケットは同じHARQチャネルに関して送信されない、ことを前提にしている。
【0103】
所定の欠落パケットにおいて、関連する候補組における各HARQチャネルは、上記した4つの状態のいずれかが発生する場合には除去される。候補組が空ならば、欠落パケットは失われた(すなわち、受信機によって復元されない)ものとみなされる。このような場合には適切な処置が実行される。例えば、この欠落パケットのために停止されたすべての復元パケットは高位のレイヤに配送される。
【0104】
上記したように、制御チャネルに関するキューIDの送信は、パフォーマンスを改善するために、上記の他の機構に関連して使用される。特に、制御チャネルに関するキューIDは、(1)欠落パケットに対する候補HARQチャネルの数を低減し、(2)優先度キューに対する不作動タイマーの調整を可能にし、(3)他の再配列エンティティがトランザクション中にあるときでさえも流出指示を可能にする。
【0105】
以下の記述において、候補組は、欠落パケットが検出されたときに開始される遅延タイマーの満了の後に形成される。
【0106】
例示的な送信
停止回避パフォーマンスを改善するために上記した種々の機構について、以下にいくつかの例示的な送信に関して述べる。これらの例においては、HS−DPCCHに関するNAK/ACKフィードバックは、(説明を簡単にするために)それが関連するパケット送信の時間に合わせて示されている。“送信された”フィードバック値は、アップリンクに関してUEによって送信されたものであり、“受信された”フィードバック値は、ノードBによって検出されたものである。パケットに対する第1の送信は、パケットのTSNに基づいて順番になっている。すなわち、欠落パケットは、UEによって復元されたパケットのTSNに基づいて決定される。
【0107】
以下の例において、パケットが欠落されたと決定されたときに遅延タイマーTM2)が設定される。欠落パケットに対する候補HARQチャネルの組は、遅延タイマーが満了した後に決定される。
【0108】
図7Aは、制御チャネルが受信され、制御メッセージ内の新たなデータインジケータがデータを再配列キューから高位レイヤに流出することに依存する場合を示している。
【0109】
時間T1 において、パケットはHARQチャネルH1に関して受信されるが正しく復号されない。このパケット送信において、受信機は、送信機によってACKとして誤って受信されるNAKフィードバックを送信する。HARQチャネルH1の状態はアクティブと設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対して不作動タイマー(TM1)を再開する。
【0110】
時間T2 において、TSNx をもつパケットはHARQチャネルH2に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH2の状態は不作動に設定される。復元されたパケットは次に、このパケットの優先度キューに対する再配列エンティティに送信される。再配列エンティティは、それがまさに受信したパケットのTSNxに基づいて、TSNx−1をもつパケットが欠落されたことを検出する。遅延タイマー(TM2)は次に、欠落パケットに対して開始される。TSNxをもつ復元されたパケットは、欠落パケットのために停止する。
【0111】
時間T3 において、パケットはHARQチャネルH3に関して受信されるが正しく復号されず、NAKフィードバックがこのパケット送信のために送信される。HARQチャネルH3 の状態はアクティブに設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対する不作動タイマーを再開する。
時間T4 において、欠落パケットに対する遅延タイマーが満了し、この欠落パケットに対する候補HARQチャネルの組が決定される。欠落パケットに対する候補組は、遅延タイマーの満了でアクティブ状態にあり、欠落パケットを送信するのに使用されるすべてのHARQチャネルを含む。すなわち候補組はH1とH3を含む。
【0112】
時間T5 において、TSNx+1をもつパケットは、HARQチャネルH3に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送られる。HARQチャネルH3の状態は不作動に設定され、HARQエンティティは、このチャネルに対して不作動タイマーを再開する。TSNx+1をもつ復元されたパケットは欠落パケットのために停止される。HARQチャネルH3に対するパケットトランザクションは、欠落パケットよりも遅いパケットに対して完了するので、このチャネルは、欠落パケットを送信するのに使用されるチャネルではない。すなわちH3は、現在H1のみを含む候補組から除去される。
【0113】
時間T6 において、新たなデータインジケータがD0からD1に切り換えられて、新たなパケットがHARQチャネルH1に関して受信された。新たなパケットはこのチャネルに関して送信機によって送信された。これは、時間T1において、それは以前のパケット送信に対して誤ってACKを受信するからである。新たなデータインジケータにおけるこの変化は、HARQチャネルH1に関する係属中パケットトランザクションが完了され、欠落パケットはこのチャネルに関して送信されないことを示す。すなわちH1は現在空になっている候補組から除去される。TSNx及びTSNx+1をもつ2つの停止パケットは次に高位レイヤに配送される。
【0114】
図7Bは、制御チャネルが受信され、不作動タイマー(TM1)は、データを再配列キューから高位レイヤに流出することに依存する。パケット送信は時間T6 において受信されなかったことを除いて、図7Bにおけるパケット送信は、図7Aに示されているものと類似している。時間T7 において、HARQチャネルH1に対する不作動タイマーは満了する。これは、欠落パケットがこのチャネルに関して受信されることを予期されないことを示している。すなわちH1は候補組から除去され、その後空になる。TSNx及びTSNx+1をもつ2つの停止パケットは次に高位レイヤに配送される。
図7Cは、制御チャネルが受信され、制御チャネルに関して送信された流出指示は、データを再配列キューから高位レイヤに流出することに依存する。図7Cにおけるパケット送信は、(パケット送信の代わりに)流出指示が時間T6 において受信されたことを除いて、図7Aに示されたものと同一である。この例において、流出指示は、制御メッセージにおいて識別される優先度キューに対して使用されるすべてのHARQチャネルをカバーする。H1及びH3は、それらが識別された優先度キューに対して使用されるので、次に流出される。欠落パケットに対して設定された候補は次に空になる。TSNx及びTSNx+1をもつ停止されたパケットは次に高位レイヤに配送される。
【0115】
図7Dは、制御チャネルが受信されず、DTXからNAKエラーは送信機によって受信される。図7Dは、遅延タイマーの使用が、一方では失われてしまった欠落パケットに対して設定される候補組の正しい決定を可能にする状況を示している。
【0116】
時間T1 において、パケットはHARQチャネルH1に関して送信されるが、制御チャネルは受信されなかった(すなわち失われた)。受信機はこのパケット送信の存在を知らず、NAKとして送信機によって誤って受信されるDTX(すなわち、フィードバックがない)を送信する。受信機はパケット送信に気がついていないので、HARQチャネルH1の状態は不作動に設定され、このチャネルに対する不作動タイマーは再開されない。
【0117】
時間T2 において、TSNxをもつパケットは、HARQチャネルH2に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH12の状態は不作動に設定され、このチャネルに対する不作動タイマーは再開される(図7Dに示さず)。復元されたパケットは次に、このパケットの優先度キューに対する再配列エンティティに送信される。再配列エンティティはそれがまさに受信したパケットのTSNxに基づいて、TSNx−1をもつパケットが欠落していることを検出する。遅延タイマーは次に欠落パケットに対して開始される。
【0118】
時間T3 において、パケット再送は時間T1 で送信機によって検出されたNAKに対してHARQチャネルH1に関して受信された。このパケットは正しく復号されず、NAKフィードバックはパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH1の状態はアクティブに設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対する不作動タイマーを再開させる(図7Dには図示せず)。
【0119】
時間T4 において、TSNx+1をもつ新たなパケットはHARQチャネルH2に関して受信され、新たなデータインジケータは新たな値に(すなわち、D0からD1に)変化する。このパケットは正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH2の状態は不作動に設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対して不作動タイマーを相殺する。
【0120】
時間T5 において、欠落パケットに対する遅延タイマーは満了する。この時点で、1つのアクティブHARQチャネルH1が存在する。候補組はHARQチャネルH1のみを含む。
【0121】
この例に示すように、遅延タイマーの使用は、欠落パケットに対して設定された正しい候補の決定を可能にする。遅延タイマーがない場合、TSNxをもつパケットに対する時間T1 における制御メッセージは欠落されるので、候補組は空の組となる。遅延タイマーがあるならば、遅延タイマーウインドウ内の時間T3 での第2の送信は、HARQチャネルH1が候補組内に含まれることを可能にする。
【0122】
時間T6 において、TSNx−1をもつ欠落パケットは、HARQチャネルH1に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。TSNx−1及びTSNxをもつパケットは次に高位のレイヤに配送される。
【0123】
時間T7 において、パケット再送は、時間T4 で否定応答された、TSNx+1をもつパケットに対するHARQチャネルH2に関して受信された。このパケットは正しく復号されて再配列エンティティによって高位のレイヤに配送される。ACKフィードバックは当該パケットに対して送信される。
【0124】
特別な実装
より明確にするために、送信機及び受信機でHARQエンティティ及び再配列エンティティによって実行される処理の特別な実装について以下に説明する。この実装は、欠落パケットに対する遅延タイマーにより候補組が欠落パケットに対してより正確に形成されることを可能にする。しかしながら、この遅延タイマーは上記したように必須のものではない。遅延タイマーが使用されないならば、最終的なふるまいは遅延タイマー値を0に設定することと同等になる。
【0125】
次の実装においては、キューIDが制御チャネルに関して送信され、所定のパケットの優先度キューは当該パケットが正しく復号されるまでHARQエンティティに対して既知ではない、ことを仮定する。この場合、パケットトランザクションが完了したとき、HARQエンティティはすべての再配列エンティティに通知する。これは失われたパケットは任意の優先度キューに対してのものであり得たからである。さらに、遅延タイマーが満了したとき、再配列エンティティはどのHARQチャネルがそれに対するデータを運んでいるのかを知らず、したがって、欠落パケットに対して設定された候補組におけるすべてのアクティブHARQチャネルを含む。
【0126】
送信機HARQ
図8は、特定のHARQチャネルに関してパケットを送信するために送信機HARQエンティティによって実行されるプロセス800の実施形態のフローチャートである。この実施形態において、各HARQチャネルに対してローカル変数NewDataが維持される。この変数は送信されるべきペイロードが変化するときに新たなパケットの第1の送信に対して切り替わる。この変数は“1”に初期化される。
【0127】
まず、送信すべきパケットが存在するか否かについての決定がなされる(ステップ812)。答えがNOならば、処理はステップ822に進む。さもなければ、これがパケットの第1の送信が否かについての決定がなされる(ステップ814)。答えが再びYESならば、NewData変数が切り替えられ(すなわち、第1の新たなパケットに対して“0”に設定される)、パケットに対する制御メッセージ内の新たなデータインジケータは、それがNewData値に設定されているので切り替えられる(ステップ816)。さもなければ、パケットが再送されているならば、ステップ816はスキップされて、NewData変数は切り替えられない。パケット(それがそこに送信されるならば)に対する(HID、キューID、新たなデータインジケータなどを含む)制御メッセージにおけるキューIDが、送信されているパケットの優先度キューに設定される(ステップ818)。パケットと制御メッセージとは次に送信のために物理レイヤに転送される(ステップ820)。
【0128】
ステップ822において、HARQチャネルに関する現在のパケット送信(存在するならば)に対してUEからACKが受信されたか否かについての決定がなされる。答えがYESならば、このチャネルに関して送信されている現在のパケットは廃棄され(ステップ824)、スケジューラは、このHARQチャネルが他のパケットを送信するのに利用可能であることを通知される(ステップ826)。ステップ826の後、あるいはステップ822においてACKが受信されなかったならば、処理はステップ812に戻る。
【0129】
受信機HARQ
図9A及び9Bは、特定のHARQチャネルに関してパケットを受信するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセス900の実施形態のフローチャートを示す。各HARQチャネルに対してローカル変数としてのCurrNewData、CurrQueueID、CurrStateが維持される。CurrNewData,変数は、HARQチャネルに関する現在の送信に対する新たなデータインジケータの値を保持し、CurrQueueID変数は、現在の送信に対するキューIDの値を保持する。CurrState変数は、HARQチャネルの現在の状態を示し、非アクティブかあるいはアクティブである。
【0130】
各HARQチャネルに対して1つの不作動タイマーが維持される。一実施形態において、不作動タイマーは、不作動タイマーが満了する前に、HARQチャネルに関して2つのパケット送信が発生する確率が高くなるのに十分長い時間に設定される。しかしながら、不作動タイマーに対して他の値も使用可能であり、これは本発明の範囲に入っている。
【0131】
各HARQチャネルに対する変数は、CurrNewDataを“1”に設定すると共に、CurrStateを非アクティブに設定することにより初期化される(ステップ910)。UEに対する制御チャネルに関して制御メッセージを受信したか否かについての決定がなされる(ステップS912)。答えがNOならば、処理はステップ912に戻って待機する。さもなければ、制御メッセージが流出指示を含むか否かについての決定がなされる(ステップ914)。答えがYESならば、実行されている特定の流出方法によって1つまたはそれ以上のHARQチャネルが流出される(ステップ916)。流出処理は図9Dについて以下に述べるごとく実行される。流出処理の一部として、各流出されたHARQチャネルに対する再配列エンティティは、パケットトランザクションがそのチャネルに関して完了したことを通知される。流出指示をもつ制御メッセージは流出HARQチャネルのみに送られ、制御メッセージと同時に送信されるパケットは存在しないので、処理はその後、ステップ912に戻り、次の制御メッセージを待つ。
【0132】
ステップ914において決定されたように、受信された制御メッセージがHARQチャネルを流出するために送信されなかった場合、それは、HS−DSCHに関するパケット送信に対して送信されたものである。この場合、現在のパケット送信に対して使用された特定のHARQチャネルは、制御メッセージにおけるHIDフィールドから決定される(ステップ922)。このHARQチャネルに対する不作動タイマーは次に再開される(ステップ924)。上記したように、HARQチャネルに対する不作動タイマーは、制御メッセージがチャネルに対して受信されるときはいつでも再開され、不作動タイマーが満了するまでにチャネルに対して何のアクティビティも検出されなかったならば、当該チャネルは非アクティブであるとみなされ、適切な行動が実行される。そのような状況を避けるために不作動タイマーが使用され、これによってHARQエンティティは、種々の理由により送信されなかった、特定のHARQチャネルに関するパケット送信をいつまでも待つ。不作動タイマーの満了があったときに実行されるべき処理について以下に説明する。
【0133】
次に、HARQチャネルの現在の状態がCurrState変数に基づいて決定され(ステップ926)、HARQチャネルに対して実行されるべき処理は、現在の状態に依存する。
【0134】
HARQチャネルが、非アクティブ状態であり、以前のパケットトランザクションが完了したことを示しているならば、現在の送信は新たなパケットに対する第1の送信であることが予期される。この場合、CurrNewData値がこのパケットトランザクションに対する制御メッセージの中の新たなデータインジケータに等しいか否かについての決定がなされる(ステップ930)。それらが同じであり、現在の送信が新たなパケットに対するものでないならば、受信パケットは廃棄され(ステップ932)、ACKが送信機へ返送され(ステップ934)、処理はステップ912に戻って次の制御メッセージを待機する。受信機が以前のパケット送信に対するACKを送信し、送信機が誤って代わりにNAKを受信し、以前のパケットを再送するならば、当該以前のパケットは再送する。
【0135】
一方、CurrNewData値が新たなデータインジケータに等しくなく、現在のトランザクションが新たなパケットに対するものでないならば、HARQチャネルに対する変数は、CuurStateをアクティブに(ステップ942)、CurrNewDataを制御メッセージ内の新たなデータインジケータに、CurrQueueIDを制御メッセージ内のキューIDに設定することにより(もしそれがそこに送られるならば)(ステップ946)、更新される。HS−DSCHに関して受信される新たなパケットは次に、CurrQueueID値によって識別される優先度キューに対して使用されるソフトバッファ内に記憶される(ステップ948)。処理は次に、ステップ958に進む。
【0136】
ステップ926に戻って、HARQチャネルがアクティブ状態にあるならば、現在の送信は、このトランザクションがまだ係属中であるので、現在のパケットに対する再送であることが予期される。この場合、CurrNewData値が制御メッセージ内の新たなデータインジケータと等しいか否かの決定がなされる(ステップ950)。もしそれらが同じならば、現在の送信はまさに再送であり、受信されたパケットはパケットの以前の送信と組み合わされ(ステップ952)、処理は次にステップ958に進む。
【0137】
一方、CurrNewData値がステップ950で決定されたように、新たなデータインジケータに等しくないならば、現在の送信は新たなパケットに対するものである。新たなパケットは、それが完了するかあるいは送信されたNAKに対するACKを誤って受信する前に、例えば送信機が係属中のトランザクションを廃棄することを決定したならば、送信される。この場合、ソフトバッファ内の以前のパケットは空にされる(ステップ954)。この以前のパケットに対する優先度キューが既知(例えば、制御メッセージに含まれるキューIDから獲得されるCurrQueueID値によって特定される)ならば、この優先度キューに対する再配列エンティティは、以前のパケットに対するトランザクションが完了したことを通知される(ステップ956)。以前のパケットの優先度キューが未知(例えば制御メッセージに関して送信されない)ならば、すべての再配列エンティティはこのHARQチャネルに関するトランザクションが完了したことを通知される。HARQチャネルに対する変数は、次に、CurrNewDataを制御メッセージ内の新たなデータインジケータに設定(ステップ944)そしてCurrQueueIDを制御メッセージ内のキューID値に設定する(もしそこに送られた場合)(ステップ946)ことにより更新される。HS−DSCHに関して受信された新たなパケットは次に、以前のパケットからまさに空にされたソフトバッファ内に記憶される(ステップ948)。処理は次にステップ958に進む。
【0138】
ステップ958において、当該パケットに対して受信された(存在した場合)以前の送信と組み合わされたパケットは次に、パケットを復元するために復号される。ステップ960において決定されたように、パケットが復元されなかったならば、次にNAKフィードバックは送信機に送信され(ステップ962)、処理はステップ912に戻る。一方、パケットが首尾よく復元されなかったならば、ACKフィードバックが送信され(ステップ964)、HARQチャネルの現在の状態は、現在のパケットトランザクションは完了し、このHARQチャネルに関してさらなる送信が予期されないことを示すために、非アクティブに設定され(ステップ966)、復元されたパケットは、CurrQueueID値によって特定される優先度キューに対する再配列エンティティに送信される(ステップ968)。処理はその後ステップ912に戻り、次の制御メッセージを待つ。
【0139】
図9Cは、HARQチャネルに対する不作動タイマーを維持するために受信機HARQエンティティによって実行されるプロセス970の実施形態のフローチャートである。このプロセスにおけるステップは各TTIに対して実行される。
【0140】
まず、不作動タイマーが満了したか否かについての決定がなされる(ステップ972)。各タイマーは、制御メッセージがタイマーに関連してHARQチャネルに関して受信されるときにはいつでも異なる時間で再開されるので、(存在するならば)ただ1つの不作動タイマーが所定のTTIで満了する。不作動タイマーが満了しないならば、処理はステップ972に戻って待機する。一方、満了した不作動タイマーをもつHARQチャネルに対するソフトバッファ内のデータは廃棄される(ステップ974)。満了した不作動タイマーをもつHARQチャネルに関する最後のパケット送信に対する優先度キューを処理する再配列エンティティは次に、このパケットトランザクションが完了したことを通知される(ステップ976)。満了した不作動タイマーをもつHARQチャネルの状態は次に非アクティブに設定され(ステップ978)、処理はステップ972に戻る。
【0141】
図9Dは、制御メッセージに関する流出指示を受信したときに、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスの実施形態のフローチャートである。このプロセスは図9Aにおけるステップ916に対して実行される。まず、流出すべきHARQチャネルが特定される(ステップ982)。一実施形態において、これらのHARQチャネルは、制御メッセージそれ自身に含まれるキューID値によって特定される特別な優先度キューに対して使用されるそれとして特定される。他の実施形態において、流出指示は特定のHARQチャネル、全てのHARQチャネル、あるいはいくつかの組の確定可能なHARQチャネルを流出する。いずれの場合であっても、各特定されたHARQチャネルに対するソフトバッファ内のデータは廃棄される(ステップ984)。各特定されたHARQチャネルの状態は次に、非アクティブに設定される(ステップ986)。各特定されたHARQチャネルを処理する再配列エンティティは次に、このチャネルに関するパケットトランザクションが完了したことを通知される(ステップ988)。処理は次に停止される。
【0142】
送信機再配列エンティティ
送信機は、各優先度キューに対するウインドウを維持する。このウインドウは受信機によって使用されるそれと同じサイズをもち、受信機が上記したようにいずれの場合もデータを廃棄するので送信されない古いデータを流出するのに使用される。送信機において、所定の優先度キューに対するパケットがそれらのTSNに基づいて順番に送信されるならば、ウインドウの先導端は、送信されるパケットの最後のTSNに設定される。その後、各新たなパケットが送信されるとき、ウインドウの先導端は、このパケットのTSNに移動する。ウインドウが各新たなパケット送信に向けて滑走するときに、ウインドウの後端よりも古いTSNをもつ全てのパケットは廃棄される。
【0143】
送信機において、1つの“送信機再配列エンティティ”は、各優先度キューに対するHS−DSCHに関して送信されるべきパケットを決定する役割をもつ。送信機再配列エンティティは送信機での再配列エンティティのプロトコルピア(protocol peer)に関して送信される。送信機再配列エンティティは、関連する優先度キューに対するウインドウを維持する。ローカル変数TxLeadWinEdgeは、ウインドウの先導端を示すために使用され、最初に“0”に設定される。ウインドウのサイズはローカル変数Window_Sizeによって記述される。
【0144】
図10は、特定の優先度キューに対する送信機再配列エンティティによって実行されるプロセス100の一実施形態のフローチャートである。図10に示されるステップは、新たなパケットがこの優先度キューに対して送信が予定されているときにはいつでも実行される。
【0145】
送信されるべき新たなパケットに関して、送信機再配列エンティティは最初に、TxLeadWinEdge変数をインクリメントすることによってウインドウを前方に進める(ステップ1012)。新たなパケットに対するTSNは次に更新されたTxLeadWinEdge値に設定される(ステップ1014)。ウインドウの外の任意の係属中のパケットは次に廃棄される(ステップ1016)。特に、TSN≦(TxLeadWinEdge−Window_Size)の関係をもつパケットは、ウインドウの外にあるので廃棄される。(Modulo-Window_Size処理はTSN数空間における巻付け(wrap-around)を明らかにするために実行される)。これらのパケットを廃棄する理由は、それらは受信機側でウインドウの外にあり、受信された場合には廃棄されるからである。新たなパケットは次にパケットを処理することを指定されたHARQエンティティに送信される(ステップ1018)。処理は次に停止される。
【0146】
受信機に対するチャネル状態が良好でない場合、流出指示は、特定の優先度キューに対するデータバーストのすべてのデータの送信が完了したときに受信機に送信される。この流出指示は、上記したように、優先度キューに対して使用されるすべてのHARQチャネルを流出するのに使用される。流出指示は例えば、サービスを提供しているセルがUEに対する最善のアップリンクをもつセルではなく、UEからのNAK/ACKフィードバックを正しく受信されない可能性が高いときに、送信される。
【0147】
受信機再配列エンティティ
受信機側において、1つの受信機再配列エンティティは、各優先度キューに対するデータを処理する役目をもつ。受信機再配列エンティティは、関連する優先度キューに対するHARQエンティティによって復元されるパケットを受信し、これらのパケットを再配列し、順番になっている当該パケットを高位のレイヤに配送する。再配列エンティティは送信機側で複製される。ローカル変数RxLeadWinEdgeは、優先度キューに対して受信した最後のTSNを示すために使用され、最初に“0”に設定される。ウインドウのサイズは、ローカル変数Window_Sizeによって記述される。範囲{(RxLeadWinEdge−Window_Size+1)…RxLeadWinEdge}は、受信ウインドウ内にあるとみなされる。
【0148】
一実施形態において、各受信機再配列エンティティは、ウインドウ内で検出された各ホールに対するものである、複数の遅延タイマーを開始することができる。遅延タイマーは、タイマーが満了する前に、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルに対して送信される少なくとも1つの制御メッセージ送信の確率が高くなるのに十分長い時間に設定される。
【0149】
図6Bは、受信機再配列エンティティによって維持されるウインドウを示す図である。パケットは特定されてそれらのTSNによって参照される。一実施形態において、受信機再配列エンティティの観点から、TSN数空間内の各パケットは4つの可能な状態:配送、受信、欠落、予期、の1つと関連付けられる。パケットは、(1)それがHARQエンティティから受信されて高位のレイヤに送信されたならば、配送されたと、(2)それがHARQエンティティから受信されたが高位のレイヤにはまだ配送されていないならば、受信されたと、(3)それがウインドウ内のホールの一部ならば、欠落したと、(4)それがウインドウの外に入るならば、予期される、とみなされる。パケットは、遅いTSNをもつ他のパケットがその前に受信されるならば、欠落とみなされる。ホールは、ウインドウ内に1つまたはそれ以上の連続する欠落パケットが存在するときにはいつでも出現する。任意の時点で、0、1あるいは複数のホールが存在する。最初に、ウインドウ内のすべてのパケットの状態は、配送された、に設定され、ウインドウの外のそれらは予期される、に設定される。
【0150】
一実施形態において、欠落状態における各パケット(すなわち、欠落パケット)に対して、受信機再配列エンティティは、欠落パケットに対する候補HARQチャネルを示すためにMarkVectorを維持する。すなわち、MarkVectorは、欠落パケットを送信するのにHARQチャネルのそれぞれが使用されたか否かを示すために使用される。MarkVectorは、すべての優先度キューに対する送信に使用されるすべてのHARQチャネルの数と等しいサイズを持ち、各可能なHARQチャネルに対して1つの要素を含む。
【0151】
各欠落パケットに対するMarkVectorは、欠落パケットがまず検出されたときに“初期化”される。所期の候補組は、“0”に設定されている欠落パケットを検出するのに使用された受信パケットに対するHARQチャネルに対する要素を除いて、“1”に設定されている各HARQチャネルに対する要素をもつ。“1”の値は、欠落パケットを送信するのに使用される関連するHARQチャネルを示しており、“0”の値は、欠落パケットを送信するのに使用されないチャネルを示している。すなわち、最初の候補組は、欠落パケットを送信するのに使用できなかった1つの既知のHARQチャネルを除いて、すべてのHARQチャネルを含む。その後、各候補HARQチャネルに対する要素は、当該チャネルは欠落パケットを送信するのに使用できなかったことが決定されたならば、“0”に設定される。このことは、(1)新たなパケットが当該チャネルに対する新たなデータインジケータの変化によって決定されるように、HARQチャネルに関して送信されるか、(2)当該チャネルに対する不作動タイマーが満了するか、(3)流出指示が当該チャネルに対して受信される、ならば真実となる。
【0152】
各欠落パケットに対するMaskVectorはまた、欠落パケットに対して適用可能な遅延タイマーが満了するならば、“変更”される。変更された候補組は、(これらのHARQチャネルに対するMaskVectorにおける要素を“0”に設定することにより)遅延タイマーが満了するときにアクティブでないすべてのHARQチャネルから空(purged of)にされる。次に、残りのHARQチャネルを候補組から除去するプロセスは前記した方法で実行される。
【0153】
図11A及び11Bは、特定の優先度キューに対する受信機再配列エンティティによって実行されるプロセス1100の実施形態のフローチャートである。まず、受信機再配列エンティティは、HARQチャネルHxに関するTSNrをもつパケットをHARQエンティティから受信する(ステップ1112)。次に、まさに受信したパケット(すなわち現在のパケット)は新たなパケットであるか否かについての決定がなされる(ステップ1114)。現在のパケットは、TSNrがウインドウの外に存在するならば新たなパケットであるとみなされ、TSNrがウインドウ内に存在するならば係属中パケットの再送であるとみなされる。現在のパケットが新たなパケットであるならば、処理はステップ1140に進む。
【0154】
一方、TSNrがウインドウ内に存在するならば、現在のパケットは、(1)以前の受信パケットの複製であるか、(2)ウインドウ内のホールを一部あるいは完全に満たす欠落パケットに対するものである。次に、現在のパケットがすでに受信されたかあるいは配送されたものかについての決定がなされる(ステップ1116)。答えがYESならば、現在のパケットは重複しているので廃棄され(ステップ1118)、処理は停止される。
【0155】
一方、答えがステップ1116においてNOならば、現在のパケットはウインドウ内の欠落パケットに対するものである。この場合、各早い欠落パケットのMaskVectorは、HARQチャネルHxに対応する要素を“0”に設定することにより更新される(ステップ1120)。これは、TSNrをもつ遅いパケットがこのチャネルに関して受信され、より早い欠落パケットを送信するのに使用されたものではない、からである。MaskVectorが更新されるたびに、MaskVectorのすべての要素が、候補組が空であり、欠落パケットが失われたことを示す“0”であるか否かを決定するためにチェックされる。MaskVectorがすべて“0”を含むならば、この欠落パケットによって停止されるすべての受信パケットは高位のレイヤに配送され、このパケットよりも早いすべてのパケットは、配送された、に設定される。
【0156】
現在のパケットの状態は次に、受信された、に設定される(ステップ1122)。ホールによって現在停止されていないすべての受信パケット(存在するならば)は、高位のレイヤに配送される(ステップ1124)。特に、ウインドウの左側から始まり最初のホール(すなわち欠落パケット)が検出されるまで連続する受信パケットが特定されて高位のレイヤに送信される。これら配送されたパケットの状態はまた、配送されたに設定される。
【0157】
一実施形態において、1つの遅延タイマーは、新たなパケットが再配列エンティティによって受信され、当該新たなパケットよりも早い(すなわち当該新たなパケットの左側に)1つまたはそれ以上の予期されたパケットが存在するときにはいつでも発生するホールである、“もとの”ホールにおける最後のパケットに対して維持される。ホール内の予期されたパケットの状態は欠落されたに変更される。以下にこのことについてさらに詳細に説明する。引き続き、パケットはこのホール内の欠落パケットに対する再配列エンティティによって受信される。当該ホールが1つのパケットの幅としてのものならば、受信パケットは当該ホールを完全に包囲し、遅延タイマーは取り消される。一方、ホールが複数のパケットを包囲し、現在のパケットがこのホール内の最後の欠落パケットであるならば、遅延タイマーは、一部包囲されたホールにおける(新たな)最後の欠落パケットに移動される。ホールが多数のパケットを包囲し、現在のパケットが当該ホール内の最後の欠落パケットではないならば、遅延タイマーは影響を受けない。この実装では、たとえこのホールが再配列エンティティによって遅く受信されたパケットによって複数のホールに連続的に分割されたとしても、(それらが同時に検出されるため)、ただ1つの遅延タイマーがもとのホール内のすべての欠落パケットに対して維持される必要がある。
【0158】
すなわち、遅延タイマーは現在のパケットに対して開始されたか否かについての決定がなされる(ステップ1126)。答えがNOであるならば、処理は停止される。一方、現在のパケットの左側に対してホールが存在するか否かの決定がなされる(ステップ1128)。答えがNOであるならば、現在のパケットに対する遅延タイマーは取り消される。これは、現在のパケットはホールを完全に満たすことを示し、この場合、遅延タイマーは維持される必要がないからである(ステップ1130)。一方、現在のパケットがホールを満たさないならば、遅延タイマーに関して何らのアクションも実行されない。いずれにしても、処理は次に停止される。
【0159】
ステップ1114に戻って、現在のパケットが新たなパケットであるならば、このパケットの状態は、受信されたに設定される(ステップ1140)。ウインドウ内の各欠落パケットに対するMaskVectorは次に更新されてチェックされ、パケットは、ステップ1120に対して上記したように、結果として再配列エンティティによって高位のレイヤに流出される(ステップ1142)。ウインドウは次に、ウインドウの先導端を設定すなわちRxLeadWinEdgeをTSNrに設定することにより前方に移動される(ステップ1144)。ウインドウの外のすべての受信パケットは次に高位のレイヤに配送され(ステップ1146)、ウインドウの外のすべてのパケットの状態は、予期されたに設定され(ステップ1148)、ウインドウの外のパケットに対して設定されたすべての遅延タイマーは停止される(ステップ1150)。ホールによって現在停止されていない受信パケットは、高位のレイヤに配送される(ステップ1152)。これはステップ1124に対して上記したように実行される。
【0160】
ホールが現在のパケットのちょうど左側に対して存在するか否かの決定がなされる(ステップ1154)。この決定は、TSNr−1をもつパケットの状態が、予期されたか否かをチェックすることによってなされる。答えがNOであるならば、処理は停止される。一方、ホールが存在するならば、ホール内の最後のパケットに対して遅延タイマーが開始される(すなわちTSNr−1とともに)。このホール内の各予期されたパケットは次に欠落に設定され、そのような各パケットに対するMaskVectorは、HARQチャネルHxに対応する要素を“0”に設定し、他のすべての要素を“1”に設定することにより初期化される(ステップ1158)。処理は次に停止される。
【0161】
上記した実施形態において、各もとのホール(すなわち、ウインドウを前方に移動させる新たなパケットにより検出されるホール)内のすべての欠落パケットに対して使用される1つの遅延タイマーが使用される。このタイマーは、ホール内の最後の欠落パケットに関連するが、ホール内のすべての欠落パケットに適用できる(すなわち参照される)わけではない。一実施形態において、その適用可能な遅延タイマー(すなわち、パケットの右側に対する第1の遅延タイマー)が満了したか否かを示すために、timer_overフラグが各欠落パケットに対して使用される。もとのホールが検出されたときに、ホール内の各欠落パケットに対するtimer_overフラグは、適用可能な遅延タイマーが満了しなかったことを示すために、“0”に設定される(ステップ1158)。遅延タイマーが満了するときに、このタイマーによって包囲されるすべての欠落パケットに対するtimer_overフラグは、“1”に設定され、この時点でアクティブではないかあるいは他の優先度キューに対して使用されるHARQチャネルを除去するために、これらすべての欠落パケットのMaskVectorsもまた上記の方法により変更される。この実装について以下にさらに詳細に説明する。
【0162】
欠落パケットに対するMaskVectorsは、(1)HARQエンティティが所定のHARQチャネルに関するパケットトランザクションが完了したことを示したときはいつでも、あるいは(2)関連する欠落パケットに対して維持される各遅延タイマーが満了したとき、などの種々の事象に基づいて更新/改正される。
【0163】
図11Cは、遅延タイマーが満了したという指示を受信したときはいつでも、受信機再配列エンティティによって実行されるプロセス1160の実施形態のフローチャートを示している。まず、遅延タイマーが満了したか否かについての決定がなされる(ステップ1162)。答えがNOであるならば、処理は停止される。一方、遅延タイマーが満了したならば、満了した遅延タイマーに関連する欠落パケットのTSNが決定されてTSNeとして記述される(ステップ1164)。上記したように、もとの各ホール内のすべての欠落パケットに対して1つのみが維持されるので、複数の欠落パケットはこの遅延タイマーに依存する。次に、この満了した遅延タイマーにより包囲された各欠落パケットに対するtimer_overフラグは、パケットに対するタイマーが満了したことを示すために“1”に設定される(ステップ1166)。この満了した遅延タイマーによって包囲された欠落パケットは、TSNeよりも早いTSNをもつそれらを含む。この遅延タイマーによって包囲された各欠落パケットに対するMaskVectorは次に(すなわち、欠落パケットに対する候補組を改正するために)“変更される”(ステップS1168)。欠落パケットに対するMaskVectorを変更するために、各HARQチャネルが考慮され、チャネルがアクティブでないかあるいはチャネルが他の優先度キューに対して使用されるならば、MaskVectorにおける対応する要素は、“0”に設定される。いまだ“1”に設定されているMaskVector内の要素に対応するHARQチャネルは、この場合、残りの候補HARQチャネルである。MaskVectorが変更されるならば、パケットが高位のレイヤに流出されるべきか否かについて決定するためにチェックされる。処理は次に停止される。
【0164】
図11Dは、特定のHARQチャネルに関する完了したトランザクションに対して受信機再配列エンティティによって実行されるプロセス1170の実施形態のフローチャートである。まず、パケットトランザクションがHARQチャネルに関して完了した受信機HARQエンティティから指示を受信したか否かについて決定される(ステップS1172)。答えがYESならば、適用可能な遅延タイマーが満了した(すなわち、timer_overフラグが“0”にリセットされる)各欠落パケットに対して、HARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素は、“0”に設定される(ステップS1174)。さらに、MaskVectorが更新されるならば、パケットが高位のレイヤに流出すべきであるか否かについて決定するためにチェックされる。HARQチャネルに関する完了したトランザクションに対して実行されるべき処理について以下の疑似コードにおいて詳細に説明される。処理は次に停止される。
【0165】
上記した実施形態において、各受信機再配列エンティティは複数の遅延タイマー(1つはウインドウ内で検出された各もとのホールに対するもの)を開始することができる。他の実施形態において、各再配列エンティティは、1つの遅延タイマーを任意の時間に動作させることができる。もとのホールが検出されたときにはいつでも、再配列エンティティに対する遅延タイマーは、もしそれが現在動作していないならば、開始させることが可能である。遅延タイマーの動作中に他のもとのホールが続いて検出されるならば、遅延タイマーはその時点で第2のもとのホールにおける欠落パケットに対して開始されない。その後、遅延タイマーが満了したならば、この遅延タイマーによって包囲された欠落パケット(すなわち、遅延タイマーに関連する欠落パケットのTSNeよりも早いTSNをもつ欠落パケット)は、図11Cにおけるステップ1162から1166に示されるように更新される。さらに(ステップ1166の後)、TSNeよりも遅いTSNsをもつ欠落パケットが存在するか否かについての決定がなされる。こたえがYESならば、遅延タイマーが再び開始され、最後の欠落パケットに関連付けられる。
【0166】
この代わりの実施形態は、各再配列エンティティによって維持される必要がある遅延タイマーの数を1に減らす。しかしながら、この実施形態は、最悪の場合、欠落パケットに対する遅延タイマー値を2倍にする。例えば、遅延タイマーは最初の欠落パケットに対して開始され、第2の欠落パケットは次の送信インターバルにおいて検出される。第2の欠落パケットに対する遅延タイマーは、第1の欠落パケットに対する遅延タイマーが満了するまで開始されない。第2の欠落パケットは次に、第1の欠落パケットと第2の欠落パケットの和に対する遅延タイマーの満了まで待機する必要がある。この代わりの実施形態は以下に示される疑似コードにおいてさらに詳細に説明される。
【0167】
図12は、HARQエンティティからパケットを受信してパケットを高位のレイヤに配送するために、再配列エンティティによって実行される全体のプロセス1200のフローチャートである。まず、正しく復号されたパケットはHARQエンティティから受信される(ステップ1212)。受信されたパケットの中から欠落パケットが次に検出される(ステップ1214)。これは、上記したように受信パケットのTSNsに基づいて達成される。欠落パケットが検出されたならば、検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの高位レイヤへの配送は停止される(ステップ216)。各欠落パケットに対して、(1)それがHARQエンティティから連続的に受信されたか、(2)上記したように、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって失われたか、についての決定がなされる(ステップ1218)。各欠落パケットによって停止された受信パケットは、その後、欠落パケットが失われたかあるいはHARQエンティティから受信したと決定された後に、高位のレイヤに配送される(ステップ1220)。
【0168】
図8から図11Cにおいて上記したプロセスの特別な実行に対する疑似コードを以下に示す。
【0169】
送信機HARQエンティティ
特定の優先度キューに対して再送が予定されるとき、送信機:
1−これがパケットに対する第1の送信であるならば:
2−新たなデータインジケータを切り換える;
1−QueueIDフィールドを送信されているパケットの優先度キューに設定する;
1−プロシージャを終了
ACKを受信するとき
1−送信される現在のパケットを廃棄;
1−このHARQエンティティは利用可能であることをスケジューラに示す;
1−プロシージャを終了する。
【0170】
受信機HARQエンティティ
受信機に対して送信された制御チャネル送信の受信があったとき:
1−制御メッセージが流出指示を含むならば:
2−QueueIDフィールドに示された優先度キューに対する流出指示を処理する(以下を見よ);
2−プロシージャを終了する
1−制御メッセージによって特定されたHARQチャネルに対する不作動タイマー(TM1)を開始/再開
1−特定されたHARQチャネルは非アクティブ状態にあるならば、
2−CurrNewDataは新たなデータインジケータと同じ値を持つならば:
3−受信されたパケットを廃棄する。
【0171】
3−アップリンクに関してACKを送信する
3−プロシージャを終了する。
【0172】
2−その他
3−HARQチャネルをアクティブ状態に設定する
3−CurrNewDataを新たなデータインジケータの値に設定する
3−CurrQueueIDをキューIDフィールドの値に設定する
3−ソフトバッファにおける受信パケット送信を記憶する
1−その他(HARQチャネルがアクティブ状態にあるならば):
2−CurrNewData = 新たなデータインジケータ
3−受信パケットをソフトバッファ内の蓄積された以前の送信とソフトウェア合成する
2−その他:
3−現在ソフトバッファ内にあるデータを廃棄する;
3−パケットトランザクションは完了したことをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに対して指示する(以下を参照)
3−CurrNewDataを新たなデータインジケータの値に設定する
3−CurrQueueIDをキューIDフィールドの値に設定する
ソフトバッファ内の受信パケット送信を記憶する
1−ソフトバッファ内のパケットを復号することを試みる
1−復号が成功したならば:
2−アップリンクに関するACKを送信する
2−HARQチャネルを非アクティブ状態に設定する
2−復元されたパケットをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに配送する
1−その他
2−アップリンクに関するNAKを送信する
1−プロシージャを終了する
送信機再配列エンティティ
所定のHARQチャネルに対する負作動タイマー(TM1)が満了したとき
1−現在ソフトバッファ内にあるデータを廃棄する
1−パケット送信が終了であることをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに対して指示する(以下を参照)
1−HARQチャネルを非アクティブ状態に設定する
1−プロシージャを終了する
所定の優先度キューのための流出指示を受信したとき
1−流出指示に対する制御メッセージにおけるキューID値と等しいCurrQueueIDをもつ各HARQチャネルに対して
2−データの受信を行わない
2−ソフトバッファ内のデータを廃棄する
2−HARQチャネルを非アクティブ状態に設定する
2−パケット送信が終了したことをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに対して指示する
1−プロシージャを終了する。
【0173】
受信機再配列エンティティ
1つの遅延タイマーが各もとのホールに対して維持される実施形態に関して
TSNrをもつ新たなパケットがHARQエンティティによって受信されるとき、受信機再発列エンティティは:
1−受信パケットが受信ウインドウ内にあるならば(RxLeadWinEdge − Window_Size ≦ TSNr < RxLeadWinEdge):
2−状態「欠落」における各TSNiに対して
3−もしTSNi<TSNrならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する
4−MaskVectorにおけるすべての要素が0に等しいならば:
5−TSNiに対して流出プロシージャ(以下を参照)を実行する
2−TSNrの状態が受信されるかあるいは配送されるならば、
3−受信パケットを廃棄する
2−さもなければ(TNSrに対する状態は欠落):
3−TSN<TSNrをもつ受信ウインドウ内のすべてのパケットの状態が配送されたならば:
4−TSNrに関連する遅延タイマー(TM2)が開始されたならばタイマーを停止する;
4−パケットを高位のレイヤに配送する;
4−TSNrの状態を配送されたに設定する;
4−受信ウインドウ内部の各TSNjに対して、TSNr+1から開始する
5−TSNjの状態が予期されたかあるいは欠落ならば:
6−TSNjについての反復を停止する
5−さもなければ、TSNjの状態が受信されたであるならば:
6−TSNlに対するデータを高位のレイヤに配送する;
TSNjの状態を配送されたに設定する;
6−遅延タイマーがTSNjと関連するならば、タイマーを停止する
6−次のTSNjに移行
3−さもなければ:
4−TSNrの状態を受信されたに設定する;
1−さもなければ(受信パケットは受信ウインドウの外にある:)
2−状態欠落における各TSNiに関して:
3−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
3−MaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいならば:
4−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
2−RxLeadWinEdgeをTSNrに設定する;
2−受信された、の状態で、受信ウインドウの外のTSNsに関連するすべてのデータを高位のレイヤに配送する;
2−受信ウインドウの外のTSNsに関連するすべての遅延タイマーTM2を停止する;
2−受信ウインドウの外のすべてのTSNsに対する状態を予期されたに設定する;
2−TSN<TSNrをもつ受信ウインドウ内のすべてのパケットの状態が受信されたかあるいは配送されたであるならば;
3−パケットを高位のレイヤに配送する;
3−TSNrの状態を配送されたに設定する;
2−さもなければ:
3−TSNrの状態を受信されたに設定する;
3−TSNr−1に関連する遅延タイマーTM2を開始する;
3−予期された、の状態でTSNj<TSNrをもつ受信ウインドウの内部の各TSNlに関して:
4−TSNjの状態を欠落に設定する;
4−タイマー_オーバフラグを“0”にリセットする;
4−TSNjに関連するMaskVectorにおいて:
5−このHARQチャネルに対応する要素を“0”に設定する;
5−他のHARQチャネルに対応する要素を“1”に設定する;
1−プロシージャを終了する;
HARQエンティティがパケットトランザクションは特定のHARQチャネルに対して終了であることを示したとき:
1−タイマー_オーバフラグが1に設定される欠落の状態におけるTSNiに関して:2−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
2.MaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいならば;
3−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
1−プロシージャを終了する
遅延タイマー(TM2)が満了するとき
1−TSNに対するTSN≦で、状態欠落における各TSNを考慮せよ;
2−タイマー_オーバフラグを“1”に設定する;
2−このTSNに対するMaskVector変数を考慮する;
2−各HARQエンティティについて:
3−HARQエンティティがアクティブ状態でない場合あるいはCurrQueueIDがこの再配列エンティティの優先度キューと異なるならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorの要素を“0”に設定する。
【0174】
1−プロシージャを終了する;
流出プロシージャ−TSNiに対するMaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいとき:
1−受信ウインドウ内及びTSNiよりも早いかあるいは等しい各TSNjに関して:
2−TSNiの状態が受信されたであるならば、関連するデータを高位のレイヤに配送する;
2−TSNjの状態を配送されたに設定する;
1−TSNi+1で開始する、受信ウインドウ内部の各TSNjに関して:
2−TSNjの状態が予期されたかあるいは欠落であるならば:
3−TSNjの反復を停止する。
【0175】
2−さもなければ、TSNjの状態が受信されたであるならば:
3−関連するデータを高位のレイヤに配送する;
3−TSNjの状態を配送されたに設定する;
3−次のTSNjに移行する
1−リターン
1つの遅延タイマーが各再配列エンティティに対して維持される実施形態について
TSNrをもつ新たなパケットがHARQエンティティによって配送されたとき、受信機再配列エンティティ:
1−受信パケットが受信ウインドウ以内であるならば(RxLeadWinEdge − Window_Size ≦TSNr < RxLeadWinEdge):
2−欠落の状態における各TSNiについて:
3−TSNi<TSNrならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
4−MaskVectorにおけるすべての要素が0に等しいならば:
5−TSNiに対する流出プロシージャ(以下を参照)を実行する
2−TSNrの状態が受信されたかあるいは配送されたならば:
3−受信パケットを廃棄する。
【0176】
2−さもなければ(TNSrに対する状態は欠落である):
3−TSN<TSNrをもつ受信ウインドウ内のすべてのパケットの状態が配送されたであるならば:
4−TSNrに関連する遅延タイマー(TM2)が開始されたならば、タイマーを停止する
4−パケットを高位のレイヤに配送する。
【0177】
4−TSNrの状態を配送されたに設定する
4−受信ウインドウ内部の各TSNjに関して、TSNr+1から開始する;
5−TSNjの状態が予期されたかあるいは欠落されたならば;
5−さもなければ、TSNjの状態が受信されたならば:
6−TSNjに対するデータを高位のレイヤに配送する
6−TSNjの状態を配送されたに設定する;
6−遅延タイマーがTSNjに関連しているならば、タイマーを停止する;
6−次のTSNjに移行する;
3−さもなければ:
4−TSNrの状態を受信されたに設定する
1−さもなければ(受信パケットは受信ウインドウの外にある):
2−欠落の状態における各TSNiに関して:
3−このHARQチャネルMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
3−MaskVectorにおけるすべての要素が“0”であるならば:
4−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
2−RxLeadWinEdgeをTSNrに設定する。
【0178】
2−受信された、の状態で受信機ウインドウの外のTSNsに関連するすべてのデータを高位のレイヤに配送する;
2−受信機ウインドウの外部のTSNsに関連するすべての遅延タイマーTM2を停止する;
2−受信機ウインドウの外部のすべてのTSNsに対する状態を予期されるに設定する。
【0179】
2−TSN<TSNrで受信ウインドウ以内のすべてのパケットの状態が受信されたかあるいは配送されたであるならば:
3−パケットを高位のレイヤに配送する;
3−TSNrの状態を配送されたに設定する;
2−さもなければ:
3−TSNrの状態を受信されたに設定する;
3−この再配列エンティティに対する遅延タイマーTM2が動作していないならば:
4−TSNr−1に関連する遅延タイマーTM2を開始する;
3−予期される、の状態かつTSNj<TSNrで受信ウインドウの内部の各TSNjに関して:
4−TSNjの状態を欠落に設定する;
4−タイマー_オーバフラグを“0”にリセットする;
4−TSNjに関連するMaskVectorにおいて:
5−このHARQチャネルに対応する要素を“0”に設定する;
5−他のHARQチャネルに対応する要素を“1”に設定する;
1−プロシージャを終了する;
HARQエンティティが、パケットトランザクションが特定のHARQチャネルに対して終了であることを示しているとき
1−タイマー_オーバフラグが1に設定されている欠落の状態における各TSNiに関して: 2−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する。
【0180】
2−MaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいならば:
3−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
1−プロシージャを終了する
遅延タイマー(TM2)が満了するとき:
1−タイマーに関連するTSNに対するTSN≦で、欠落の状態における各TSNを考慮する:
2−タイマー_オーバフラグを“1”に設定する;
2−このTSNに対するMaskVector変数を考慮する;
2−各HARQエンティティに対して:
3−HARQエンティティがアクティブ状態でないかあるいはCurrQueueIDがこの再配列エンティティの優先度キューとは異なっているならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorの要素を“0”に設定する;
1−欠落の状態における任意のTSNが存在するならば:
2−遅延タイマーを開始し、それを欠落の状態における最後のパケットのTSNに関連付ける;
1−プロシージャを終了する。
【0181】
流出プロシージャ−TSNiに対するMaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいとき
1−受信ウインドウ内及びTSNiよりも早いかあるいは等しい各TSNjに関して:
2−TSNjの状態が受信されたであるならば、関連するデータを高位のレイヤに配送する;
2−TSNjの状態を配送されたに設定する;
1−受信ウインドウ内部の各TSNjに関して、TSNi+1から開始する:
2−TSNjの状態が予期されたあるいは欠落であるならば:
3−TSNjについての反復を停止する。
【0182】
2−さもなければ、TSNjの状態が受信されたであるならば:
3−関連するデータを高位のレイヤに配送する;
3−TSNjの状態を配送されたに設定する;
3−次のTSNjに移行する;
1−リターン
送信機及び受信機側で種々のエンティティによって実行される処理についてよりよく理解するために、特定の実装に対する疑似コードが上記のように示されている。当業者ならばここに記載された教義に基づいて他の実施形態を容易に考案することができ、これらの他の種々の実装もまた本発明の範囲に入る。
【0183】
ここに記載された技術は、基盤となる再送機構(例えばHARQ)及び順番に並んだデータが要求される高位のレイヤをもつシステムに対する改善された停止回避パフォーマンスを提供する。これらの技術は、例えば、W−CDMAシステム、cdma2000システム及ぶその他などの種々の通信システムに対して使用される。これらの技術はまた、他のタイプの通信システム(例えばTDMA及びFDMAシステム)に対して使用される。
【0184】
図13は、ノードB104及びUE106の実施形態のブロック図である。ダウンリンクに関して、HSDPA送信を受信するように特定された特定のUEに対するHS−DSCH及びHS−SCCHに対するデータは、送信(TX)データプロセッサ1312によって処理(例えばフォーマット化、符号化、など)される。HS−DSCH及びHS=SCCHに対する処理は、参照によりすべてここに組み込まれた、TS.25−321 V5.0.0、TS.25−308 V5.2.0及び25−212 V5.0.0を含む、W−CDMAリリース5に対する適応可能な標準文書において記述されているように実行される。W−CDMAリリース5に対するこれら及び他の文書は一般に利用可能である。
【0185】
処理されたデータは次に、変調器(MOD)1314に供給され、変調されたデータを提供するためにさらに処理(例えば、チャネル化、拡散など)される。送信機(TMTR)ユニット1316は次に、変調されたデータを1つまたはそれ以上のアナログ信号に変換され、ダウンリンク信号を提供するために、さらに調整(例えば、増幅、ろ波、および周波数アップコンバート)される。ダウンリンク信号はデュプレクサ(D)1322を介して経路制御され、アンテナ1324を介して特定のUEに送信される。
【0186】
UEにおいて、ダウンリンク信号は、アンテナ1352により受信され、デュプレクサ1354を介して経路制御され、受信機(RCVR)ユニット1356に供給される。受信機ユニット1356は、受信信号を調整(例えば、ろ波、増幅、ろ波、および周波数ダウンコンバート)され、サンプルを提供するために調整された信号をさらにデジタル化する。復調器1358は次に、シンボルを提供するために、サンプルを受信して処理(例えば逆拡散、チャネル化、そしてデータ復調)される。復調器1358は、受信信号の複数のインスタンス(すなわちマルチパス成分)を処理可能なレーキ受信機を実装して混合されたシンボルを提供する。受信機(RX)データプロセッサ1360は次に、シンボルを復号し、受信パケットをチェックし、復号されたデータを提供する。復調器1358及びRXデータプロセッサ1360による処理は、変調器1314及びTXデータプロセッサ1312による処理とそれぞれ相補的である。
【0187】
一実施形態において、RXデータプロセッサ1360は、物理レイヤ及びMACレイヤ(例えばHARQエンティティ)の一部に対する処理を実行し、コントローラ1370はMACレイヤ(例えば再配列エンティティ)に対する処理の一部を実行し、さらにHARQの一部を実行する。この実施形態において、RXデータプロセッサ1360は(1)正しく復号された各パケットに対する復号されたデータ、(2)各パケット送信の状態(例えばACKあるいはNAK)、(3)満了した不作動及び遅延タイマーなどの指示、を提供する。コントローラ1370は次に、欠落パケットを検出し、それらが受信されて利用可能となったときに、パケットを高位のレイヤに供給する。コントローラ1370はさらに、TXデータプロセッサ1382に対してHARQ動作に対する適切なACK/NAKフィードバックを提供する。
【0188】
アップリンクに関して、アップリンクに対するデータ及びACK/NAKフィードバック情報はTXデータプロセッサ1382によって処理(例えばフォーマット化、符号化、など)され、さらに変調器1384によって処理(例えばチャネル化、拡散、など)され、アップリンク信号を提供するために、送信機ユニット1386によって調整(例えばアナログ信号に変換、増幅、ろ波、周波数アップコンバート)される。アップリンク信号は次に、デュプレクサ1354を介して経路制御され、アンテナ1352を介して基地局に送信される。
【0189】
ノードBにおいて、アップリンク信号はアンテナ1324によって受信され、デュプレクサ13422によって経路制御され、受信機ユニット1342に供給される。受信機ユニット1342は、受信信号を調整(例えば周波数ダウンコンバート、ろ波、増幅)し、さらに、一連のサンプルを提供するために調整された信号をデジタル化する。復調器1344は次に、シンボルを提供するためにサンプルを処理(例えば逆拡散、チャネル化など)し、RXデータプロセッサ1346はさらに、UEに対する復号されたデータを提供するためにシンボルを処理する。ダウンリンク及びアップリンクに対するデータ処理はW−CDMAにより記述されている。
【0190】
コントローラ1330は、RXデータプロセッサ1246からACK/NAKフィードバックを受信して、必要に応じて、HARQに対するパケットの再送を先導する。コントローラ1330及び1370はさらに、それぞれノードB及びUEで処理を制御する。各コントローラは、HARQ送信/再送に対してここに記述された技術のすべてあるいは一部を実装するように設計されている。プログラムコード及びコントローラ1330及び1370によって獲得されるデータは、メモリユニット1332及び1372にそれぞれ記憶される。
【0191】
停止回避パフォーマンスを改善するためにここに記述された技術は、種々の手段によって実現される。例えば、これらの技術は、ハードウェア、ソフトウェアあるいはそれらの組み合わせによって実現される。ハードウェアによる実現に関して、当該技術を実現するのに使用される素子(例えば、図8から図11Aに示されるプロセスを実行する素子)は、1つまたはそれ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、ここに記述された機能を実行するために設計された他の電子ユニット、あるいはそれらの組み合わせにより実現される。
【0192】
ソフトウェアによる実現において、これらの技術は、ここに記述された機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能、など)によって実現される。ソフトウェアコードは、メモリユニット(例えば、図13に示すメモリユニット1332及び1372)に記憶され、プロセッサ(例えばコントローラ1330及び1370)によって実行される。メモリユニットはプロセッサ内であるいはプロセッサの外部で実現され、その場合、当業界で知られた種々の手段を介してプロセッサに通信可能に結合されるであろう。
【0193】
開示された実施形態の上記の記述は、当業者が本発明を製造あるいは使用することを可能にするために提供された。当業者ならばこれらの実施形態に対する種々の変更を容易に思いつくことが可能であり、ここに規定された一般的な原理は、本発明の精神あるいは範囲から逸脱することなしに他の実施形態にも適用することができる。すなわち、本発明は、ここに示された実施形態に限定されることはなく、ここに開示された原理及ぶ特徴に適合する最も広い権利範囲が付与されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第60/380408号(2002年5月13日出願、名称:“通信システムにおけるストール防止のための方法及び装置”)の便宜を請求しており、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
分野
本発明は概してデータ通信に関し、より詳細には、CDMA通信システムにおけるハイブリッド自動再送(HARQ)機構に関連して、より高いレイヤへのデータ配送のパフォーマンスを改善するための技術に関する。
【0003】
背景
ワイヤレス通信システムは、音声、パケットデータ、その他などの種々のタイプのサービスを提供するために広範に用いられている。これらのシステムは、複数のユーザによる通信をサポート可能な多元接続システムであり、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)あるいは他の多元接続技術をもとにしている。CDMAシステムは、システム容量の増大を含む、他のタイプのシステムに比べていくつかの利点を提供する。
【0004】
データ送信の信頼性を改善するために、いくつかの新しい世代のCDMAシステムは、受信機によって不正確に復号されたパケットを再送可能なハイブリッド自動再送(HARQ)機構を使用する。例えば、W−CDMAリリース5において、HARQは、物理層の上に位置するメディアムアクセスコントロール(MAC)-hsサブレイヤ内に含まれる。ダウンリンクに関して、送信機でのHARQエンティティは、データを連続的な送信シーケンス番号(TSN)が割り当てられるパケットに変換する。これらのパケットはTSNに基づいてシーケンシャルオーダで受信機に送信される。
【0005】
受信機において、対応するHARQエンティティは、パケット送信を受信して、各送信されたパケットを復号かつ復元することを試みる。しかしながら、無線リンクに起因するパケット送信の劣下によって、一部のパケットは正しく復号されない(すなわち、消滅してしまう)。このことが起こった場合には、否定応答(NAK)が受信機から送信機に送られて各消滅したパケットの再送が開始される。
【0006】
受信機HARQエンティティはまた、復元されたパケット(すなわち、正しく復号されたパケット)をより高いレイヤに提供する役目を有する。W−CDMAにおいては、パケットのTSNによって決定されているように、より高いレイヤが正しい順番のデータを予期する。しかしながら、HARQ機構においては、再送のために、パケットは受信機HARQエンティティによって順番が狂った状態で復元されてしまう。その結果、それらが受信機HARQによって復元されるときに、パケットを一次記憶して再度順番を揃えるために、受信機で再配列(re-ordering)エンティティが使用される。再配列エンティティは、それらがより高いレイヤにより利用可能となるときに、正しい順番でパケットを提供する。
【0007】
パケットが受信機HARQエンティティによって順番が狂った状態で受信されたとき、再配列エンティティは復元されたパケットのより高いレイヤへの配送を“停止(stall)”すなわち遅らせる。特に、パケットが欠落されたことが検出されたときにはいつでも、(1)欠落パケットが受信機HARQによって復元されるか、あるいは、(2)再配列エンティティが、欠落パケットは紛失されたものであり、受信機HARQによって復元できないことを確認するまで、再配列エンティティはより高いレイヤへのデータの配送を停止する。(2)の条件が真であった場合には、紛失されたデータを再送するために、より高いレイヤの他の再送機構が用いられる。
【0008】
欠落パケットが紛失されたことを宣言し、すでに復元されたパケットをより高いレイヤに提供する前に、再配列エンティティが待機すべき正しい時間を決定することが問題である。1つの目標は、復元されない紛失パケットを長時間あるいは無制限に待つことは望ましくないので、より高いレイヤへのデータ配送の停止を避けることである。短時間の待機は、この目標に対して適合する。対立する目標は、より高いレイヤによる長時間の遅延をもつ不必要な再送(支持されている場合)あるいはパケットの損失(より高いレイヤによって再送が実行されない場合)が最小になるように、紛失パケットの数多くの宣言を最小にすることである。長時間の待機は、パケットが確かに紛失されたことに対するより良い確認結果を提供する。この問題は、当業界では“停止回避”として知られている。
【0009】
したがって、CDMAシステムにおける停止回避のパフォーマンスを改善するための技術が当業界において望まれている。
【発明の概要】
【0010】
欠落パケットの影響を相殺して停止回避を改善するための技術について以下に説明する。特に、これらの技術は、より高いレイヤへのデータの配送が欠落されたペイロードによって停止された場合により良く対処するのに使用される。これらの技術は、データをより高いレイヤに配送するかどうかを決定するためにHARQプロセスからの情報を使用する。
【0011】
停止回避のパフォーマンスを改善するために種々の機構が単一あるいは組み合わせて提供される。これらの機構は、(1)パケットによってではなく、制御チャネルに関する各パケットの優先度の送信と、(2)各HARQチャネルに対する不作動タイマーのメインテナンスと、(3)1つまたはそれ以上のHARQチャネルを“流出”(flush)するための流出指示の転送(データが再配列エンティティにより高いレイヤへ流出されることになる)と、(4)各欠落パケットに対する一組の候補HARQチャネル(欠落パケットに使用されるチャネル)の形成と、(5)候補組におけるHARQチャネルについ検出された作動または不作動に基づく、欠落パケットが紛失されたか否かの決定、を含む。
【0012】
これらの機構について以下にさらに詳細に説明する。
【0013】
一実施形態において、正しい順番でHARQエンティティによって復元されたデータをCDMA通信システムにおけるより高いレイヤに配送するための方法が提供される。この方法に従って、パケットは再配列エンティティによってHARQエンティティから受信されて、受信パケットの中で欠落パケットが検出される。パケットは、当該パケットに割り当てられた送信シーケンス番号(TSN)に基づいて順次送信され、受信されたパケットのTSNに基づいて欠落パケットが検出される。より高いレイヤは正しい順番のデータを予期しているので、欠落パケットよりも遅れて配送された受信パケットは停止される。その後、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを引き続いて除去することによって、各欠落パケットが、(1)HARQエンティティから連続的に受信されているか、あるいは(2)失われたか、についての決定がなされる。以前に各欠落パケットによって停止された受信パケットは、欠落パケットが失われたかあるいは受信されたかについて決定された後で配送される。
【0014】
一組の候補HARQチャネルが各欠落パケットに対して形成される。候補組は例えば、パケットが欠落されたことが検出されたときあるいはそれよりも少し後にアクティブであるすべてのHARQチャネルを含む。HARQチャネルは、(1)それが特定の時間の間、非アクティブである場合、(2)パケットがHARQチャネルから復元された場合、(3)新たなチャネルがHARQチャネルに関して送信すべく検出された場合、(4)HARQチャネルを流出するむねの指示が受信された場合には、組から除去される。チャネルが非アクティブであるか否かを決定するために、各HARQチャネルに対して非作動タイマーが使用され、パケット送信が当該チャネルに関して受信されるときにはいつでも再開始される。
【0015】
これらの技術は、リリース5あるいはそれよりも遅いリリースを実装するW−CDMAシステムなどの種々のCDMAシステムに使用される。
【0016】
本発明の種々の側面及び実施形態について以下に詳細に説明する。本発明はさらに、方法、プログラムコード、デジタルシグナルプロセッサ、受信ユニット、送信ユニット、端末、基地局、システム及び、以下にさらに述べるように、本発明の種々の側面、実施形態及び特徴を実現する他の装置及び要素を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の特徴、性質、及び利点は、図面を参照した以下の詳細な説明からより明らかになる。図面において、同一の参照文字は明細書全体にわたって同一のものを示すのに使用される。
【図1】図1は、CDMA通信システムを示す図である。
【図2】図2は、W−CDMAリリース5によって規定されるレイヤ構造を示す図である。
【図3】図3は、高速データパケット接続(HSDPA)のためのHS−DSCHに関する送信のためのノードBにより実行されるデータカプセル化を示す図である。
【図4A】図4Aは、それぞれUTRAN側とUE側のためのW−CDMAリリース5によって規定されたMAC−hsエンティティを示す図(その1)である。
【図4B】図4Bは、それぞれUTRAN側とUE側のためのW−CDMAリリース5によって規定されたMAC−hsエンティティを示す図(その2)である。
【図5】図5は、HSDPAを実装するのに使用される種々のダウンリンク及びアップリンク物理チャネル間のタイミング関係を示す図である。
【図6A】図6Aは、特定の優先キューのために維持されたウインドウと、受信機再配列エンティティによって維持されるウインドウを示す図(その1)である。
【図6B】図6Bは、特定の優先キューのために維持されたウインドウと、受信機再配列エンティティによって維持されるウインドウを示す図(その2)である。
【図7A】図7Aは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その1)である。
【図7B】図7Bは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その2)である。
【図7C】図7Cは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その3)である。
【図7D】図7Dは、データを再配列キューからより高いレイヤへと流出するために種々の機構が依存する、4つのデータ送信方法を示す図(その4)である。
【図8】図8は、特定のHARQチャネルに関してパケットを送信するために送信部HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図9A】図9Aは、特定のHARQチャネルに関してパケットを受信するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その1)である。
【図9B】図9Bは、特定のHARQチャネルに関してパケットを受信するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その2)である。
【図9C】図9Cは、HARQチャネルに対してすべての非アクティビティタイマーを維持するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図9D】図9Dは、制御メッセージに関する流出指示を受信したときに受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図10】図10は、特定の優先キューに対して送信部再配列エンティティによって実行されるプロセスのフローチャートである。
【図11A】図11Aは、特定の優先キューに対して受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その1)である。
【図11B】図11Bは、特定の優先キューに対して受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスのフローチャート(その2)である。
【図11C】図11Cは、遅延タイマーが満了になったことを示す指示を受信したときにはいつでも受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスの実施形態のフローチャートである。
【図11D】図11Dは、特定のHARQチャネルに関する完了したトランザクションに対する受信機再配列エンティティによって実行されるプロセスの実施形態のフローチャートである。
【図12】図12は、HARQエンティティからパケットを受信するとともに、パケットをより高いレイヤに配送するために、受信機再配列エンティティによって実行される全体プロセスのフローチャートである。
【図13】図13は、ノードB及びUEの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、停止回避を改善するために記載された技術を実行するCDMA通信システム100を示す図である。システム100は、多数の端末106(説明を簡単にするために図1には1つの基地局と2つの端末のみが示されている)と通信を行う多数の基地局104を含む。基地局は、ノードB、基地トランシーバシステム(BTS)、アクセスポイントの名称で呼ばれるかあるいは他の名称で呼ばれる。基地局は、UMTS無線接続網(UTRAN)の一部である。基地局及び/又はその包囲領域は、術語が使用される文脈によってしばしばセルと呼ばれる。
【0019】
端末は、ユーザ装置(UE)、移動局、遠隔局、アクセス端末の名称で呼ばれるかあるいは他の名称で呼ばれる。各端末は、端末がアクティブか否か、データ送信のためにソフトハンドオーバが指示されているか否か、さらには、端末がソフトハンドオーバにあるか否かに応じて、所定のタイミングでダウンリンク及び/又はアップリンクに関して1つまたはそれ以上の基地局と通信を行う。ダウンリンク(すなわちフォワードリンク)は基地局から端末への送信を意味し、アップリンク(すなわちリバースリンク)は端末から基地局への送信を意味する。
【0020】
停止回避のパフォーマンスを改善するためにここに記載された技術は、種々のCDMA通信システムにおいて実行される。すなわち、CDMAシステム100は、W−CDMA、cdma2000、IS−856、IS−95、その他などの、1つまたはそれ以上の一般的に知られたCDMA標準を実行する。明確にするために、停止回避のパフォーマンスを改善するための種々の側面、実施形態及び実行詳細について、W−CDMAリリース5を支持するCDMAシステムを例に説明する。W−CDMA術語を使用して、基地局、端末そしてシステムコントローラは以下の説明ではそれぞれ、ノードB、UE、RNCと呼ぶ。
【0021】
W−CDMAは、音声、パケットデータなどの種々のタイプのサービスを支持する。W−CDMAにおいて、特定のUEに送信されるべきデータは、1つまたはそれ以上の転送チャネルに属するものとして処理される。次にこれらの転送チャネルは、(物理層において)UEに割り当てられた1つまたはそれ以上の物理チャネルにマッピングされる。物理チャネルは、(例えば、キャリア周波数、スクランブルコード、チャネライゼーションコードなど)の種々のパラメータによって規定される。
【0022】
W−CDMAリリース5はさらに、転送/物理チャネルと、ダウンリンクに関してデータの高速送信を可能にするUTRANの一部として規定されるプロシージャとの組である、高速ダウンリンクパケット接続(HSDPA)を支持する。HSDPAでは、データはブロックで処理され、次に、ダウンリンク転送チャネルである、高速ダウンリンク供給チャネル(HS−DSCH)上に重畳(multiplex)される。HS−DSCHは次に、多元UEによって共有される高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS−PDSCH)にマッピングされる。W−CDMAでは、HS−PDSCHに関する各パケット送信は2ミリ秒の時間間隔をもち、送信時間間隔(TTI)と呼ばれる。
【0023】
W−CDMAによって規定される次の転送及び物理チャネルについて以下に説明する。
【0024】
DPCH−専用物理チャネル
HS−DSCH−高速ダウンリンク共有チャネル
HS−SCCH−HS−DSCHのための共有された制御物理チャネル
HS−PDSCH−高速物理ダウンリンク共有チャネル
HS−DPCCH−高速専用物理制御チャネル(アップリンクに関する)
HS−PDSCHは、多元UEのために、時分割及び符号分割多元(TDM/CDM)方式でデータを送信するのに使用される。HS−PDSCHを正しく受信するのに使用される種々のパラメータを含む、HS−PDSCHのための制御情報は、関連するHS−SCCHを介して送信される。HS−SCCHは、正しく及び不正確に受信した(すなわち消去された)パケットを報告するために、UEからのフィードバックを搬送するのに使用される。
【0025】
図2は、W−CDMAリリース5によって規定されるレイヤ構造200を示す図である。レイヤ構造O200は、無線リンク制御(RLC)レイヤ210、メディアムアクセスコントロール(MAC)レイヤ220、物理レイヤ230を含む。RLCレイヤはデータの自動再送(ARQ)を実行し、概して無線ネットワークコントローラ(RNC)に配置される。RLCレイヤを介した再送は概して、RNCとUE間の往復時間が長いために、長時間の遅延に関連する。RLCレイヤにおいて、データは論理チャネルに属するものとして処理される。
【0026】
W−CDMAリリース5の場合、MACレイヤはさらに、MAC−dサブレイヤ222とMAC−hsサブレイヤ224に分割される。MAC−dサブレイヤは、(1)論理チャネルを共通の専用転送チャネルにマッピングすること、(2)1つまたはそれ以上の論理チャネルを1つの転送チャネル(C/T MUX)上に重畳(multiplex)すること、(3)暗号化/復号化すること、などを含む一組の機能を実行する。MAC−dサブレイヤは、データフローをMAC−hsサブレイヤに供給する。このときの各データフローはある種のスケジューリング属性に関連する。
【0027】
MAC−hsサブレイヤは、以下に述べるように、HSDPAに関連する特別な機能を実行する。MAC−hsサブレイヤはさらに、MAC−hサブレイヤと物理レイヤ間にインタフェースを提供する。
【0028】
物理レイヤは、MACレイヤに対してデータを送信したり、より高いレイヤに対してシグナリングを行う機構を提供する。
【0029】
W−CDMAに対する種々のレイヤ及びサブレイヤは、一般に利用可能な種々の標準文書に記載されている。
【0030】
図3は、HS−DSCHに関する送信のためのノードBによって実行されるデータのカプセル化を示している。W−CDMAにおいて、ダウンリンクに関して送信すべきデータは、それぞれがシーケンス番号(SN)とデータとを含むRLCプロトコルデータユニット(RLC PDU)におけるRLCレイヤによって提供される。MAC−dサブレイヤは、1つまたはそれ以上の論理チャネルに対してRLC PDUを受信し、対応するMAC−d PDUを形成するために各RLC PDUに対して(C/T)フィールドを挿入する。C/Tフィールドは、RLC PDUに関連する論理チャネルを識別する。
【0031】
MAC−hsサブレイヤは、MAC−d PDUを受信して、MAC−hs PDUを形成する。W−CDMAリリース5に対して、各MAC−dフローは、RLCレイヤで1つまたはそれ以上の論理チャネルに対するデータを含み、各MAC−d PDUは特別の優先度に関連する。データは優先度と利用可能な資源に応じて送信されるので、異なる優先度をもつデータは、MAC−hsサブレイヤ内に異なる優先度キューに基づいて送信される。したがって、データは、必要に応じて適正な優先度キューから取り出され、HS−DSCHに関して送信するためにさらに処理される。
【0032】
MAC−hs PDUを形成するために、MAC−hsサブレイヤはまずデータを受信し、特定の優先度キューから1つまたはそれ以上のMAC−d PDUを直列に連結して、MAC−hs PDUに対するペイロードを形成する。ペイロードを満たすために必要に応じて詰め込みビットが付加される。MAC−hsサブレイヤは次にペイロードにヘッダを付加してMAC−hs PDUを形成する。
【0033】
W−CDMAリリース5のために、MAC−hsヘッダは、(1)MAC−hs PDUにおける各MAC−d PDUの長さを示すサイズインデックスID(SID)フィールドと、(2)MAC−hs PDUに含まれるMAC−d PDUの数を示すNフィールドと、(3)割り当てられ、MAC−hs PDUを独自に識別するために使用される送信シーケンス番号と、(4)MAC−hs PDUに含まれるMAC−d PDUが取り出される特定の優先度キューを示すキューID(QID)とを含む。TSNは、UEが復元されたMAC−hs PDUを識別することを可能にし、順番の揃ったMAC−d PDUを、データが正しい順番で配送されることを予期するRLCレイヤに提供する。同じパケット内で異なるサイズのMAC−hs PDUの送信を可能にするための機構がW−CDMAによって提供される。しかし、これについては説明を簡単にするために述べない。
【0034】
MAC−hs PDUは必要に応じて直ちに生成される。各MAC−hs PDUは、HS−DSCHに関する送信ユニットである2msec TTIにおいて送信される。説明を簡単にするために、MAC−hs PDUは、ここでは“パケット”と呼ばれる。
【0035】
制御情報は、各パケット送信とともに共有のHS−SCCH上を同時に送信される。この制御情報は、(1)HARQプロセスID(HID)、(2)新たなデータインジケータ、(3)制御情報及び対応するデータ送信が意図する特定のUEを示す情報、(4)ここに述べない他の情報、を含む。HIDは、パケットに使用される特定のHARQプロセスを示す。各パケットは、(1)UTRANがパケットに対してHS−DPCCHに関してACKフィードバックを受信するか、あるいは、(2)送信機がパケットの送信を中止することを決定する、まで1回またはそれ以上送信及び再送される。各パケットは、当該パケットの送信/再送を制御するのに使用されるストップアンドウエイト(SAW)プロトコルのインスタンスである、特定のHARQプロセスに関連する。HIDに対して3つのビットが規定されるので、ある時点では8パケットまでのトランザクションが係属していることになる。8つのHARQプロセスは、パケットを送信するのに使用される8つの“HARQチャネル”としてみなされ、各HARQチャネルは、特定のHID値に関連し、かつ特定のHID値によって識別される。
【0036】
新たなデータインジケータは、特定のHARQチャネルに関する新たなパケットの送信を示すのに使用される。復号パフォーマンスを改善するために、UEは概して復号に先立って、同じパケットに対して受信されたすべての送信を(柔軟に)合成する。新たなデータインジケータは、現在の送信は新たなパケットに対するものであり、(以前のパケットに対するものである)同じHARQチャネルに対して前に受信したすべての送信は、廃棄することをUEに通知する。新たなデータインジケータは、同じHARQチャネル上を送信される連続的なパケットに対して“0”と“1”との間で切り替わる単一のビット値であり、実質的にはHARQチャネル上を送信されるパケットに対する1ビットシーケンス番号である。新たなデータインジケータが切り替わるのを観察することによってUEは新たなパケットを検出する。新たなデータインジケータはまた、“カラー”ビットとも呼ばれる。
【0037】
図4Aは、UTRABN側に対するW−CDMAリリース5によって規定されるMAC−hsエンティティ224aの図である。HS−DSCH送信を支持する各セルに対するUTRANにおける1つのMAC−hsエンティティが存在する。MAC−hsエンティティはHS−DSCH上を送信されるデータを処理し、HSDPAに対する物理的資源割り当てを管理する。
【0038】
UTRAN MAC−hsエンティティは、スケジューリング/優先度処理エンティティ410、HARQエンティティ420、FTRCエンティティ430を含む。スケジューリング/優先度処理エンティティは、優先度に従ってMAC−dエンティティからのデータフローを管理し、TSN及び処理すべき各パケットに対する優先度キューを決定し、パケットの送信/再送を決定する。MAC−dエンティティからのデータフローは、異なる優先度をもつデータを含み、異なる優先度キューに配置される。データはその後、優先度及び資源利用可能性に基づいて、適正な優先度キューから取り出され、HS−DSCHに関して送信/再送のためにさらに処理される。
【0039】
各UEに対するHARQ機能性を処理するために1つのHARQエンティティが提供される。HARQエンティティは、これらのパケットがUEに確実に送信されることを確実にするために、パケットの送信及び(必要に応じて)再送を実行する。パケットの再送は、UEからのフィードバックに基づいて実行される。このフィードバックは、パケットの復号が首尾よく行われたことを示すために確認応答(ACK)の形態をとるか、あるいは、パケットの復号が失敗したことを示すために否定応答(NAK)の形態をとる。
【0040】
TFRCエンティティは、HS−DSCHに関して送信すべきデータに対する適切な送信フォーマットと資源を選択する。
【0041】
図4Bは、UE側に対してW−CDMAリリース5によって規定されるMAC−hsエンティティ224bを表す図である。MAC−hsエンティティは、HSDPA特定の機能を処理し、UEで構成された各キューIDに対して、HARQエンティティ440、再配列キュー分配エンティティ450、一組の再配列バッファ462、再配列エンティティ464、デアッセンブリエンティティ466、を含む。すなわち、1つの再配列バッファが提供され、UEに対して使用される各優先度キューに関連する。
【0042】
UE HARQエンティティは、HARQに対して必要とされるすべてのタスクを処理する(例えば、各受信パケット送信に対して要求されたACK/NAKを生成する)。再配列キュー分配キューは、パケットに対して送信されたキューIDに基づいて、回復されたパケットを適正な再配列バッファに供給する。
【0043】
各再配列バッファに対する再配列エンティティは、各パケットに割り当てられたTSNに従ってバッファ内の復元されたパケットを再配列する。各優先度キューはTSN自身のシーケンスに関連する。再配列エンティティは次に復元されたときに連続するTSNをもつパケットをデアセンブリエンティティに供給する。パケットは、より低いTSNをもつパケットがない場合には、デアセンブリエンティティに配送されない(すなわち、“停止”される)。
【0044】
各再配列バッファに関連するデアセンブリエンティティは、提供されたパケットをデアセンブルする。デアセンブリは各パケット内のヘッダを除去してMAC−hsペイロード(図3を参照)を獲得し、MAC−hsペイロードに含まれるMAC−d PDUを抽出し、(もし存在するならば)詰め込みビットを廃棄することによって実行される。デアセンブリエンティティは次にMAC−d PDUをMAC−dサブレイヤを介してより上位のレイヤに供給する。
【0045】
W−CDMAリリース5は、多数の再配列エンティティと、同時に動作すべき多数のHARQプロセス(HARQチャネル)とを可能にする。各再配列エンティティは、1つの特別な優先度キューに対してデータを処理し、このタスクに対して1つの再配列バッファを用いる。すなわち、再配列エンティティと、優先度キューと、再配列バッファとの間に1対1の対応がある。HARQチャネルは、標準のストップアンドウエイトエンティティであり、各HARQチャネルは、優先度キュー(すなわち、再配列バッファ)に向けられたデータを搬送することができる。
【0046】
図5は、HSDPAを実装するのに使用される種々のダウンリンク及びアップリンク物理チャネル間のタイミング関係を示している。図5に示されるタイミング関係は、HSDPA送信を受信するように指定された特定のUEに関している。
【0047】
アップリンクDPCCHは、アップリンクDPCHに対するシグナリングを送信するためにUEによって使用される。アップリンクDPCCHのタイミングは基準に用いられ、他の物理的チャネルに対するタイミングはアップリンクDPCCHのタイミングに関して提供される。
【0048】
図5に示すように、パケットは、HS−DPSCHに関してサブフレーム512内のUEに送信される。各サブフレームは1つの2−ミリ秒スロットに及ぶ。サブフレーム512の開始は、アップリンクDPCCHに関するスロットの開始である時間T1 より所定の時間後に発生する。パケットは指定のUEに送信され、そこで受信されパケットを復元することが行われる。復号処理の結果に基づいて、UEは以下の(1)〜(3)の1つを報告する。(1)パケットが正しく受信されたことを示すためのACK、(2)パケットがエラー状態(すなわち消去された)で受信されたことを示すNAK、あるいは(3)対応するHS−SCCHの検出に失敗した(欠落した)場合には応答無し(すなわち、不連続送信(DTX)ビット)。このフィードバック情報は、アップリンクHS−DPCCHに関して指定のサブフレーム514におけるUEから送信される。サブフレーム514は、7.5スロットに、対応するサブフレーム512の終点から(0から255チップの間の値である)τx の遅延を足した時間として規定される時間T2 で開始される。遅延τxは、アップリンクDPCCH(T1 )に関するスロットの開始と、アップリンクHS−DPCCH(T2)に関するサブフレーム514の開始との間の、経過時間τyが256×mとなるように規定される。ここで、mは整数である。
【0049】
ダウンリンクHS−SCCH及びアップリンクHS−DPCCHについての制御情報の送信に対するHSDPA設計内容は以下の通りである。
【0050】
HS−SCCH(ダウンリンク)
・確率{欠落HS−SCCH}≦10-2
・確率{誤警報}≦10-4
HS−DPCCH(アップリンク)
・確率{ACK→NAK}≦10-2
・確率{NAK→ACK}≦10-4
・確率{DTX→ACK}≦10-2
上記のことは、ダウンリンクに関するHS−SCCHに対して、(1)パケットトランザクションに伴って制御メッセージを欠落する確率は、10-2以下かあるいはそれに等しくなければならない、(2)他のUEに送信された制御メッセージをUEに送信されたものとして誤検出する確率は、10-4以下かあるいはそれに等しくなければならない、ことを示している。アップリンクに関するHS−DPCCHに対して、(1)UEによって送信されるACKがノードBによってNAKとして受信される確率は、10-2以下かあるいはそれに等しくなければならない、(2)UEによって送信されるNAKがノードによってACKとして受信される確率は、10-4以下かあるいはそれに等しくなければならない、(3)UEによって送信されるDTXビットがノードBによってACKとして受信される確率は、10-2以下かあるいはそれに等しくなければならない、ことを示している。
【0051】
あるチャネル条件、特に、特定のUEに対するノードBにサービスを提供するのが、最良のアップリンクでない場合(1つのノードBから他のノードへのハンドオフはHSDPAに対して時間がかかるので、このことは頻繁に発生する)には、上記のエラーのACK/NAK確率を達成することは困難である。
【0052】
所定のパケットに関してACKエラーに対するNAKは、送信機側ではパケットが受信機によって正しく復元されることを仮定することを意味する。送信機は次にこのパケットを廃棄して、同じHARQチャネルを介して他のパケットの送信を開始する。したがって、ACKエラーに対するNAKは、MACレイヤでのパケット損失を意味する。
【0053】
NAKからACKエラーへの確率が高いことは、MACレイヤでの欠落パケットの発生が多いことに対応する。このことは、再配列エンティティによる停止の確率が高く、RLCレイヤではより多くの再送が必要となることにつながる。
【0054】
MACレイヤは、より高位のレイヤに対するデータの配送が正常に行われることを保証する必要がある。複数のHARQチャネルを使用するHARQ機構では、UEによってデータが不揃いの状態で復元されることを意味するので、再配列サブレイヤは、W−CDMAリリース5におけるMACレイヤにおいて追加された。パケットが復元されたとき、再配列サブレイヤは当該パケットを一次記憶し、再配列し、連続するパケットを(TSNによって決定されたように)高位のレイヤに配送する。再配列サブレイヤが、復元されたパケットのTSNにおけるギャップあるいはホールに基づいて、欠落パケットを検出したならば、最も早い欠落パケットのTSNよりも遅いTSNをもつすべてのパケットの配送を延ばす(すなわち、停止する)。欠落パケットが最終的に復元されたとき、再配列サブレイヤは、新たに復元されたパケットと、停止された以前に復元されたパケットとを提供する。
【0055】
これらの“停止回避”機構は、実装を可能にして、再配列エンティティが再送されないデータを無制限に待つ状況を避けるために、W−CDMAリリース5によって提供される。これらの停止回避機構は、
・ウインドウに基づく方法
・タイマーに基づく方法
・HARQアクティビティ方法、を含む。
【0056】
これらの方法の各々について以下に簡単に記述する。
【0057】
ウインドウに基づく方法
各パケットは特定のTSNによりタグ付けされているので、復元されたパケットは、UEで適正なシーケンスに組み立てられる。パケットはまず、ノードBによって順番に送信されるが、再送回数が変化する各パケットに対して必要になるのでこれらのパケットは順番の揃っていない状態で復元される。
【0058】
図6Aは、特定の優先度キューに対して維持されたウインドウを図示したものである。この優先度キューに対するデータは、6ビットTSNによって識別されるパケットにおいて送信される。TSN番号空間は、26 =64(すなわち、0から63)である。TSNフィールドは有限のサイズをもつという事実によって引き起こされるTSN番号空間におけるあいまいさを解決するために、受信機はウインドウを使用する。このウインドウのサイズは概して、TSN番号空間(すなわち、<32)の半分以下に設定され、8から16の小ささに設定される。ウインドウサイズはTSN番号空間よりも小さいので、ウインドウ内のパケットの順番は正確である。ウインドウのサイズを決定するにあたってはトレードオフがある。ウインドウが小さいならば、受信機での停止回避のパフォーマンスは増大し、受信機バッファサイズの要求は低減される。しかしながら、送信機での停止回避あるいは再送を中断するのに要する確率は(送信方法に応じて)増大する。
【0059】
新たなパケットが受信されたとき、ウインドウは前方に進む。受信機にとって、ウインドウの先導部分は、全ての復元されたパケットの“最近の”TSNに等しくなるように設定される。ウインドウの左方に向かうパケットは、連続する“より早い”TSNをもつ。TSN値は巻き取られる(wrap around)ので、最新のTSN値は実際上、TSNが巻き取られるたびにより早いTSNよりも小さくなる。ウインドウの追従端よりも早いTSNをもつ欠落パケットは失われたものとみなされる(すなわち、再送されなかった)。すなわち、ウインドウが前方に進むとき、追従ウインドウ端部よりも早いパケットは“流出(flush)”されて高位のレイヤに送信される。
【0060】
したがって、このウインドウ機構は、受信機での欠落パケットを流出するのに送信機によって使用される。しかしながら、ウインドウのサイズは、多数回の再送を可能になるべく大きくする必要があるので、欠落パケットを流出するには大量のデータが必要となる。したがって、ウインドウに基づく方法は、ブラウジングによって生成されるようなバーストタイプの閉ループトラフィックの場合に頻繁に起こるデータバーストの終端で部分的に効果がある。
【0061】
タイマーに基く方法
ウインドウに基く方法の制限の問題を解決するために、タイマーに基く機構がW−CDMAリリース5において導入された。タイマーに基く方法では、欠落パケットが受信機で上位レイヤへのパケットの配送を停止するたびに、“長い”タイマーが開始される。その後、他のパケットが検出されなかった場合には、いったん長いタイマーが満了すると、欠落パケットは復元されたとものとみなされ、この欠落パケットにより停止されたすべてのパケットは次に上位のレイヤに配送される。この機構は、再配列キューあたり1つの長いタイマー(あるいはW−CDMAリリース5において規定された8つの再配列キューに対して最大8つの長いタイマー)の保守を必要する。
【0062】
適正なHARQオペレーションを確実にするために、長いタイマーは、所定のパケットに対するすべての再送を完了するのに要する最も長い時間量よりも長い時間に設定する必要がある。欠落パケットを復元するために多数回の再送が実行される必要がある。さらに、再送を非同期でスケジューリングしたり、(例えば、チャネライゼーションコード及び送信電力などの)HSDPAに対して利用可能な資源の量が動的に変化するシステムにおいて、欠落パケットに対するすべての再送を完了するのに要する時間の量子化器は大きく変化する。したがって、このタイマーの値は長くする必要がある。一方、欠落パケットに対する再送は、タイマーの満了によって未完のうちに終了してしまう。この場合、高位のレイヤによって再送されるべく欠落パケットが必要となり、非常に望ましくない。再配列エンティティは、長いタイムが満了するまであるいは欠落ペイロードに対するすべての再送が完了するまでの長い時間、待機する必要がある。
【0063】
長いタイマーに対する大きな値に加えて、ウインドウ内のいくつかのパケットが欠落されたことが検出されたとき、これらの欠落パケットに対するタイマーは、効率よく配置される(すなわち、新たな欠落パケットが検出されたときはいつでも長いタイマーは再開される)。これは、欠落ペイロードを上位レイヤに配送するときの遅れが長くなることを意味する(可能な最長の遅延は最悪の場合における長いタイマーの値の2倍である)。
【0064】
HARQ動作方法
復元されたパケットの高位のレイヤへの配送が停止するのを回避するための第3の方法は、HARQチャネルに関する動作を検出することである。HARQチャネルのどのチャネルにもパケットの存在が予期されないとき(すなわち、以前のパケットトランザクションがすべて完了したとき)、すべての再配列キュー内のデータは、高位のレイヤに対する再配列エンティティによって配送可能である。この機構には2,3の欠点がある。第1は、この方法は、高位のレイヤにパケットを流出可能にするために、HARQチャネルのどのチャネルに関してもパケットトランザクションが係属中でないことを必要とする。第2は、受信機は、そのチャネルに関するパケットトランザクションが完了した場合にのみ、HARQチャネルを“区別する”ことである。受信機は所定のHARQチャネルに関して復元されるべきパケットをいつまでも待つので(例えば、送信機がパケットトランザクションを放棄する)、再配列キューはけっして流出されない。第3に、制御メッセージが欠落した場合(すなわち、受信機によって検出されなかった場合)、この制御メッセージに関するパケットは、引き続いて復元されなかったならば、再配列エンティティによって廃棄される可能性がある。このことは、欠落した制御メッセージを持つパケットが再送されて制御チャネルが首尾よく復号される前に、遅いTSNをもつ他のパケットが復元されて再配列エンティティに提供された場合も同様である。
【0065】
欠落したパケットの影響を相殺して停止回避パフォーマンスを改善するための技術がここに提供される。特に、これらの技術は、MAC−hsサブレイヤによるデータの高位レイヤへの配送が欠落ペイロードのために停止される状況により効果的に対処するのに使用される。これらの技術は、データを高位のレイヤに配送するか否かをよりよく決定するために、HARQプロセスからの情報を使用する。停止回避パフォーマンスを改善するのに使用される。
【0066】
・ ペイロードの代わりにHS−SCCHに関するキューIDを送信すること。
【0067】
・ 各HARQチャネルに対して不作動タイマーのメインテナンスを行うこと。
【0068】
・1つまたはそれ以上のHARQチャネルを“流出”するために流出指示を送信すること。これは、データが再配列エンティティによって高位のレイヤに流出されることを意味する。
【0069】
・欠落パケットを送信するのに使用されるチャネルとしての、各欠落パケットに対する一組の候補HARQチャネルを形成すること。候補組形成においては遅延タイマーが使用される。
【0070】
・欠落パケットが紛失されたか否かを決定するためにHARQチャネルに関する動作を決定すること。
【0071】
これらの機構の各々について以下に詳細に説明する。
【0072】
以下の説明において次の述語が使用される。
【0073】
・パケットトランザクション−送信および特定のHARQチャネルに関する特定パケットの1つまたはそれ以上の再送
・係属中のトランザクション−1つまたはそれ以上のさらなる再送が当該パケットに対して予期されるパケットトランザクション
・完了トランザクション−さらなる再送が当該パケットに対して予期されないパケットトランザクション
・ 欠落パケット受信機によって復元されず、復元された他のパケットよりも早いTSNをもつパケット(欠落パケットは、いまだ再送されている工程にあるかあるいは、送信機によって廃棄された)。
【0074】
・復元されたパケット受信機によって正しく復号されたパケット。
【0075】
・受信パケットこの述語は、どのエンティティを言及するかによって2つの意味を持つ。HARQエンティティに対して: 正しく復号されたかあるいは復号されなかった特別なHARQチャネルに関して受信されたパケット送信。HARQエンティティに対して:HARQエンティティから受信したがまだ上位のレイヤに配送されていない復元されたパケット。
・作動HARQチャネル−パケットトランザクションが係属中であり、当該チャネルに関する次の送信は現在のパケットの再送に対するものであるHARQチャネル。
【0076】
・不作動HARQチャネル−パケットトランザクションが完了し、当該チャネルに関して受信した次の送信が新たなパケットに対するものであるHARQチャネル。
【0077】
・候補HARQチャネル−欠落であると検出されたパケットを送信するのに使用されるHARQチャネル。
【0078】
制御チャネルに関するキューIDの送信
W−CDMAリリース5において、パケットに対する特定のキューIDを識別するキューIDは、当該パケットに対するヘッダの一部として送信される(図3を参照)。したがって、パケットペイロードが属する優先度キューは、パケットが復元された後に確認されることになる。その結果、当該パケットは復元されなかったので各欠落パケットに関する優先度キューを決定することはできない。
【0079】
パケットが欠落され、それが属する優先度キューが確認できないならば、データ配送は全ての再配列エンティティに対して停止される。このことはパフォーマンスを低下させる。
【0080】
一側面において、各パケットに対する優先度キューは、パケット送信とともに、制御メッセージに関して送信される。キューIDフィールドは、図3の点線のボックスで示されるように制御メッセージ内に含まれる。制御チャネルに関するキューIDを送信することによって、パケットそれ自身が正しく復号されたかエラーとなったかとは無関係に、関連する制御メッセージが受信機によって正しく検出される各パケットに対する優先度キューを特定することが可能である。そのような各パケットに対する優先度を特定する情報は、停止回避パフォーマンスをさらに改善するために、後述する他の機構に関連して使用される。例えば、後述する機構に関連して使用されるときに、そのような各パケットに対する優先度キューを特定することによって、高位のレイヤに流出されるべき優先度キューを決定することが可能である。このようにして、そのような各パケットは、他の再配列エンティティではなく、当該パケットに対する優先度キューに関連する再配列エンティティのみに影響を与える。したがって停止回避パフォーマンスは改善される。
【0081】
HARQチャネルのための不作動タイマー
所定の時間で1つのパケットを送信するために各HARQチャネルが使用される。パケットは、(1)送信機が当該パケットに対してACKを受信するかあるいは、(2)送信機がパケットの送信をあきらめる、まで、HARQチャネルに関して1回またはそれ以上の回数だけ送信及びときには再送される。いずれにしても、送信機はそのあと、同じHARQチャネルに関して新たなパケットを送信するとともに、新たなデータインジケータをフリップすることによってこのことを示す。
【0082】
受信機側で、特定のHARQチャネルに関するパケットトランザクションは、送信機は、それが以前のパケットの送信を停止することを決定することなしに、新たなパケットを送信しないので、(1)パケットが受信機によってHARQチャネルから正しく復元されるかあるいは、(2)受信機が(制御チャネルにおける新たなデータインジケータに基づいて)HARQチャネルに関する新たなパケットの送信を検出するまで、係属中であるとみなされる。
【0083】
受信機側で、新たなデータは、ある理由あるいはその他の理由で送信機によって廃棄される、受信機ウインドウにおける係属中データを“流出”する。例えば、優先度キューAに対して送信されるべきさらなるデータがないが、優先度キューBに対して送信されるべきデータが存在するならば、優先度キューBに対するデータは、優先度キューAに対して以前に使用された同じHARQチャネルに関して送信される。この場合、優先度キューBに対するデータは、優先度キューAに対するデータを効果的に“上書き”する。各HARQチャネルに対する新たなデータインジケータの切り替えは、受信機が以前のパケットがいつ送信機によって廃棄されるのかを確認することを可能にする。
【0084】
しかしながら、もはや送信するべきデータが存在しないならば、どのHARQチャネルに関しても動作が存在しない。新たな動作なしに、UEが、所定のパケットがネットワークによって廃棄されたかあるいは、パケットに対する再送が到来するかどうかを確認することが可能でない。送信機によって廃棄されたパケットを待っている各HARQチャネルに対してかつ、新たなパケットが送信されなかったことに対して、このHARQチャネルに関連する再配列エンティティは、それが利用可能なデータを高位のレイヤに配送する前に、再配列キューに対して維持された長いタイマーが経過するまで、待機しなければならない。HARQプロセスはそれ自身、HARQチャネルに関して新たなパケットの送信または現在のパケットの再送に対して無制限に待機しなければならない。
【0085】
他の側面において、“不作動”タイマーは、状況を避けるために各アクティブHARQチャネルに対して維持され、これによって、HARQエンティティは、送信機によって廃棄されたパケットの再送に対していつまでも待機する。本実施形態において、不作動タイマーは、そのHARQチャネルに対する制御チャネルに関して受信された制御メッセージに基づいて、HARQチャネルに関する動作を監視する。一実装において、新たな制御メッセージが特定のアクティブHARQチャネルに対する制御チャネルに関して受信されるたびに、そのチャネルに対する不作動タイマーが再開される。他の新たな制御メッセージが掃くチャネルに対して受信される前に、不作動タイマーが経過するならば、チャネルは不作動であるとみなされる。
【0086】
各HARQチャネルに対して不作動タイマーを使用する主な利点は、各再配列バッファに対して使用される長いタイマーほど長くする必要がないことである。これは、不作動タイマーは、アクティブHARQチャネルに対する1つの制御メッセージ(第1のメッセージが欠落した場合を考慮すれば2つの制御メッセージ)を受信することを予期される最大量時間をカバーする必要があるだけだからである。制御チャネルを欠落する確率はほぼ10-2であるから、続けて2つの制御チャネル送信を紛失する確率はほぼ10-4である。したがって、タイマーが2つの再送を実行するのに必要とする最大時間に設定されるならば、いぜん送信されているパケットを誤って廃棄する確率は、NAKからACKエラーの所望の確率とほぼ同じであり、これは、2つは実質的に同じ効果を有するので望ましい。これと比べて、長いタイマーは欠落パケット(及びただ2つの制御メッセージ送信ではない)に対する最大数の再送を処理するのに十分長くする必要がある。ローカル変数CurrNewDataは、各HARQチャネルに対して維持され、チャネルに関して最近の送信で受信される新たなデータインジケータに設定される。HARQチャネルが不作動であるとみなされるならば、当該チャネルに関する次の送信が新たなパケットに対して予期され、その場合、この送信に対する新たなデータインジケータは、CurrNewData値とは異なっている。しかしながら、新たな送信に対する新たなデータインジケータがCurrNewData値と同じならば、(例えばACKからNAKエラーにより)同じパケットが送信されていると仮定され、この場合、送信は廃棄され、ACKは送信機に送り戻される。
【0087】
HARQチャネルに対する流出指示
さらに他の側面において、流出指示は、制御チャネルに関して送信されて1つまたはそれ以上のHARQチャネルを流出するために、UEでHARQエンティティを先導するのに使用される。流出されたHARQチャネルは、当該チャネルに関する係属中のトランザクションが完了したことを示す。このHARQチャネルに関して待っている再配列エンティティはその後、以下に述べるように、この情報に基づいて適切な動作を実行する。種々の流出指示が種々の方法でUEに送信される。例えば、流出指示は、コードセットを指示するために用いられるフィールドまたは転送ブロックサイズを指示するのに用いられるフィールドにおける予約値を使用して制御メッセージにおいて送信される。UE受信機が流出指示を受信するならば、パケットを復号することは行われない。これに対する理由を以下に説明する。各流出されたHARQチャネルはその後、当該チャネルに関して受信が予期されるさらなる再送が存在しないことを示すために不作動モードに置かれる。
【0088】
1つまたはそれ以上のHARQチャネルは、単一の流出指示に基づいて流出される。第1実施形態において、流出指示はそれが送信される、制御メッセージにおけるHIDフィールドによって特定される、特定のHARQチャネルのみを流出する。この実施形態において、多数のHARQチャネルが流出されるときには多数の流出指示が送信される。第2実施形態において、流出指示は全てのHARQチャネルを流出する。この実施形態は流出指示に対する送信の数を低減する。しかしながら、流出指示の利用可能性は、再配列キューのいくつかに対するHARQチャネルのいくつかに関してデータが送信される必要がない場合にまで低減される。第3実施形態において、流出指示は、流出指示を送信するのに使用される同じ制御メッセージに含まれるキューIDフィールド特定の優先度キューに対してデータを予期している全てのHARQチャネルを流出する。この実施形態は、優先度キューに対して意図されたトラフィックバーストにおけるすべてのデータの送信の後に、特定の優先度キューに対するすべてのHARQチャネルを流出するのに使用される。
【0089】
流出指示の送信は大きな資源を必要とせず、特定のHARQチャネルに対して維持された不作動タイマーを早期に停止するために使用される。概して、システムは、どのUEが再配列バッファ内でパケットを欠落するリスクを増大させたかを知っている。例えば、サービス中のセル以外のセルに対するより良いリンクをもつUEあるいはDPCHに関する高フレームエラーレート(FER)は欠落パケットをもつ可能性が高い。これらのUEについて、各優先度キューに対するトラフィックバーストの送信が完了したときに流出指示が送信される。
【0090】
HARQチャネルに関するアクティビティの検出/欠落パケットに対する遅延タイマー
パケットの第1の送信がTSNに基づいて順番に発生するならば、欠落パケットは復元されたパケットのTSNによって指示される。特に、パケットは、遅いTSNをもつ他のパケットが最初に復元されたならば、欠落されたとみなされる。(TSN値がラップアラウンドするとき、遅いTSNは早いTSNよりも値がより小さい)。この場合、早いTSNをもつ欠落パケットは送信中であるとみなされる。
【0091】
パケットが欠落していることが検出された時点で、当該欠落パケットが送信される一組の候補HARQチャネルが特定される。その後、候補HARQチャネルに関するアクティビティは、これらのチャネルのいくつかが欠落パケットを送信するのに使用されたものであるかどうかを決定するために監視される。候補HARQチャネルは後述するように、当該組から順に除去される。すべての候補HARQチャネルが除去され、当該組が空であるならば、欠落パケットは紛失されたものとみなされる。この場合、適切なアクションが再配列エンティティによってとられる。
【0092】
当該候補に含めるべきHARQチャネルは、利用可能な情報に依存する種々の方法により選択される。第1実施形態において、候補組は、欠落パケットを検出したときに形成され、欠落パケットを検出するために用いられた復元パケットに対するHARQチャネルを除いて、パケット送信に使用されるすべてのHARQチャネルを含む。
【0093】
第2実施形態において、欠落パケットに対して設定される候補は、欠落パケットが検出された時点ですべてのアクティブHARQチャネルを含むように規定される。この時点での候補HARQチャネルのスナップは、欠落パケットに対する少なくとも1つの制御メッセージが受信されたならば正確なものである。これは、制御メッセージが欠落パケットに対応するHARQチャネルを作動状態に設定するとともに、当該チャネルが欠落パケットに対して設定された候補に含まれるからである。
【0094】
しかしながら、このスナップは、欠落パケットを送信するのに用いられるHARQチャネルに対するすべての制御メッセージが受信機によって欠落されるならば正確なものではない。例えば、HARQチャネルH1に関して送信されたパケットP1の第1の送信に対する制御メッセージが欠落されたならば、このチャネルは不作動状態を維持する。その後、(パケットP1がHARQチャネルH1に関して再送される前に)同じ優先度キューに対する他のパケットP2が他のHARQチャネルに関して送信され、正確に復号されたならば、パケットP1は欠落されたとして検出される。しかしながら、候補組は、HARQチャネルH1を含まない。なぜならば、それは、パケットP2が復元された後に当該組のスナップがとられたときには不作動となっているからである。このような事象が発生する可能性は低くく、その影響としては、パケットP1はそれが最後に復元されたときに再配列エンティティによって廃棄されることである。
【0095】
第3の実施形態は上記した問題を避ける実施形態であり、欠落パケットに対して設定された候補は、欠落パケットが検出された後の所定時間後に形成される。この遅延は、候補組が欠落パケットに対して形成される前に欠落パケットに対して少なくとも1つの制御メッセージが受信されることを確実にするのに十分長い時間が選択される。候補組のスナップを取る前に待機するべき時間の量を追跡するのに、“遅延”タイマー(ここではTM2として呼ばれる)が使用される。
【0096】
10-2である制御チャネルに対する特定の信頼性に基づいて、遅延タイマーは、1つのさらなる制御メッセージ送信を受信するのに十分な長さのみをもつ。遅延タイマーが用いられるならば、受信機は、不正確な候補組を形成して当該パケットを紛失するために、2つの連続する制御メッセージ送信を結果的に見逃す必要がある。制御チャネルに対する10-2 の欠落の確率に基づいて、2つの連続する制御チャネル欠落は、10-4 となり、これは受け入れがたい。遅延タイマーに対する長い値はその下の構成に影響を与えるというよりは、パフォーマンスを低下させる。
【0097】
第4実施形態において、候補組は、まず、欠落パケットが検出された時点で各欠落パケットに対して形成され、欠落パケットを検出するのに用いられる復元パケットのHARQチャネルを除いたすべてのHARQチャネルを含む。しかしながら、遅延タイマーもまた開始される。当該組内の候補HARQチャネルは、欠落パケットを送信するのにチャネルを用いることができないことが続けて決定されたならば、その後除去される。遅延タイマーの満了で候補組は修正され、この時点でアクティブでないすべてのHARQチャネルは、当該組から除去される。修正された候補組は、最初の候補組の半分の組(サブセット)である。第4実施形態において、上記した第3実施形態と同様に、すべての制御メッセージが受信機によって前に欠落されたことに対するHARQチャネルを捕捉するのに使用される。しかしながら、遅延タイマーの動作は、初期に形成された候補組からHARQチャネルを除去することに影響も与えず損なうこともない(例えば、遅いTSNをもつパケットが復元されることに対するHARQチャネル)。
【0098】
遅延タイマーを使用する第4実施形態において、このタイマーは、以下に詳細に説明するように、種々の方法により実装される。
【0099】
キューIDが制御チャネルに関して送信され、少なくとも1つの制御メッセージが欠落パケットに対して受信されるならば、欠落パケットに対する候補組は、この優先度キューに対して使用されるHARQチャネルを含んでいればよい。
【0100】
遅延タイマー及び流出指示機構は、候補組が形成されるときまでに、HARQチャネルを不動作状態に設定するのを援助する。例えば、所定のHARQチャネルに対する不作動タイマーは、遅延タイマーがアクティブの間に経過する。この場合、このHARQチャネルは候補組に含まれない。これらの機構は、候補HARQチャネルの組を制限し、これは、停止回避機構のパフォーマンスを改善するだろう。
【0101】
欠落パケットに対して候補組を形成するのに用いられるすべての実施形態において、候補HARQチャネルは、それらは欠落パケットを送信するのに使用することができないことが続いて決定されたならば、その後、組から除去される。特に、候補HARQチャネルは、チャネルに関する係属中のトランザクションが完了したならば、当該組から除去される。
【0102】
一実施形態において、HARQチャネルに関するパケットトランザクションは、次の条件のいずれか1つが発生するならば完了したものとみなされる:(1)パケットがHARQチャネルから除去される、(2)HARQチャネルがアクティブかつ、新たなパケットが当該チャネルに関して送信されたことが検出される、(3)HARQチャネルに対する不作動タイマーが満了する、(4)HARQチャネルに対して流出指示が受信される。条件(1)は、欠落パケットの復元あるいは欠落パケットよりも遅いパケットの復元、を意味する。条件(2)は、新たなデータインジケータの変化を検察することにより検出され、例えば、送信機が以前のパケットを廃棄してHARQチャネルに関して新たなパケットを送信することを決定したときに発生する。条件(1)及び(2)は、初期の送信は常に順番に実行され、係属中のトランザクションが完了するまで、新たなパケットは同じHARQチャネルに関して送信されない、ことを前提にしている。
【0103】
所定の欠落パケットにおいて、関連する候補組における各HARQチャネルは、上記した4つの状態のいずれかが発生する場合には除去される。候補組が空ならば、欠落パケットは失われた(すなわち、受信機によって復元されない)ものとみなされる。このような場合には適切な処置が実行される。例えば、この欠落パケットのために停止されたすべての復元パケットは高位のレイヤに配送される。
【0104】
上記したように、制御チャネルに関するキューIDの送信は、パフォーマンスを改善するために、上記の他の機構に関連して使用される。特に、制御チャネルに関するキューIDは、(1)欠落パケットに対する候補HARQチャネルの数を低減し、(2)優先度キューに対する不作動タイマーの調整を可能にし、(3)他の再配列エンティティがトランザクション中にあるときでさえも流出指示を可能にする。
【0105】
以下の記述において、候補組は、欠落パケットが検出されたときに開始される遅延タイマーの満了の後に形成される。
【0106】
例示的な送信
停止回避パフォーマンスを改善するために上記した種々の機構について、以下にいくつかの例示的な送信に関して述べる。これらの例においては、HS−DPCCHに関するNAK/ACKフィードバックは、(説明を簡単にするために)それが関連するパケット送信の時間に合わせて示されている。“送信された”フィードバック値は、アップリンクに関してUEによって送信されたものであり、“受信された”フィードバック値は、ノードBによって検出されたものである。パケットに対する第1の送信は、パケットのTSNに基づいて順番になっている。すなわち、欠落パケットは、UEによって復元されたパケットのTSNに基づいて決定される。
【0107】
以下の例において、パケットが欠落されたと決定されたときに遅延タイマーTM2)が設定される。欠落パケットに対する候補HARQチャネルの組は、遅延タイマーが満了した後に決定される。
【0108】
図7Aは、制御チャネルが受信され、制御メッセージ内の新たなデータインジケータがデータを再配列キューから高位レイヤに流出することに依存する場合を示している。
【0109】
時間T1 において、パケットはHARQチャネルH1に関して受信されるが正しく復号されない。このパケット送信において、受信機は、送信機によってACKとして誤って受信されるNAKフィードバックを送信する。HARQチャネルH1の状態はアクティブと設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対して不作動タイマー(TM1)を再開する。
【0110】
時間T2 において、TSNx をもつパケットはHARQチャネルH2に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH2の状態は不作動に設定される。復元されたパケットは次に、このパケットの優先度キューに対する再配列エンティティに送信される。再配列エンティティは、それがまさに受信したパケットのTSNxに基づいて、TSNx−1をもつパケットが欠落されたことを検出する。遅延タイマー(TM2)は次に、欠落パケットに対して開始される。TSNxをもつ復元されたパケットは、欠落パケットのために停止する。
【0111】
時間T3 において、パケットはHARQチャネルH3に関して受信されるが正しく復号されず、NAKフィードバックがこのパケット送信のために送信される。HARQチャネルH3 の状態はアクティブに設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対する不作動タイマーを再開する。
時間T4 において、欠落パケットに対する遅延タイマーが満了し、この欠落パケットに対する候補HARQチャネルの組が決定される。欠落パケットに対する候補組は、遅延タイマーの満了でアクティブ状態にあり、欠落パケットを送信するのに使用されるすべてのHARQチャネルを含む。すなわち候補組はH1とH3を含む。
【0112】
時間T5 において、TSNx+1をもつパケットは、HARQチャネルH3に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送られる。HARQチャネルH3の状態は不作動に設定され、HARQエンティティは、このチャネルに対して不作動タイマーを再開する。TSNx+1をもつ復元されたパケットは欠落パケットのために停止される。HARQチャネルH3に対するパケットトランザクションは、欠落パケットよりも遅いパケットに対して完了するので、このチャネルは、欠落パケットを送信するのに使用されるチャネルではない。すなわちH3は、現在H1のみを含む候補組から除去される。
【0113】
時間T6 において、新たなデータインジケータがD0からD1に切り換えられて、新たなパケットがHARQチャネルH1に関して受信された。新たなパケットはこのチャネルに関して送信機によって送信された。これは、時間T1において、それは以前のパケット送信に対して誤ってACKを受信するからである。新たなデータインジケータにおけるこの変化は、HARQチャネルH1に関する係属中パケットトランザクションが完了され、欠落パケットはこのチャネルに関して送信されないことを示す。すなわちH1は現在空になっている候補組から除去される。TSNx及びTSNx+1をもつ2つの停止パケットは次に高位レイヤに配送される。
【0114】
図7Bは、制御チャネルが受信され、不作動タイマー(TM1)は、データを再配列キューから高位レイヤに流出することに依存する。パケット送信は時間T6 において受信されなかったことを除いて、図7Bにおけるパケット送信は、図7Aに示されているものと類似している。時間T7 において、HARQチャネルH1に対する不作動タイマーは満了する。これは、欠落パケットがこのチャネルに関して受信されることを予期されないことを示している。すなわちH1は候補組から除去され、その後空になる。TSNx及びTSNx+1をもつ2つの停止パケットは次に高位レイヤに配送される。
図7Cは、制御チャネルが受信され、制御チャネルに関して送信された流出指示は、データを再配列キューから高位レイヤに流出することに依存する。図7Cにおけるパケット送信は、(パケット送信の代わりに)流出指示が時間T6 において受信されたことを除いて、図7Aに示されたものと同一である。この例において、流出指示は、制御メッセージにおいて識別される優先度キューに対して使用されるすべてのHARQチャネルをカバーする。H1及びH3は、それらが識別された優先度キューに対して使用されるので、次に流出される。欠落パケットに対して設定された候補は次に空になる。TSNx及びTSNx+1をもつ停止されたパケットは次に高位レイヤに配送される。
【0115】
図7Dは、制御チャネルが受信されず、DTXからNAKエラーは送信機によって受信される。図7Dは、遅延タイマーの使用が、一方では失われてしまった欠落パケットに対して設定される候補組の正しい決定を可能にする状況を示している。
【0116】
時間T1 において、パケットはHARQチャネルH1に関して送信されるが、制御チャネルは受信されなかった(すなわち失われた)。受信機はこのパケット送信の存在を知らず、NAKとして送信機によって誤って受信されるDTX(すなわち、フィードバックがない)を送信する。受信機はパケット送信に気がついていないので、HARQチャネルH1の状態は不作動に設定され、このチャネルに対する不作動タイマーは再開されない。
【0117】
時間T2 において、TSNxをもつパケットは、HARQチャネルH2に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH12の状態は不作動に設定され、このチャネルに対する不作動タイマーは再開される(図7Dに示さず)。復元されたパケットは次に、このパケットの優先度キューに対する再配列エンティティに送信される。再配列エンティティはそれがまさに受信したパケットのTSNxに基づいて、TSNx−1をもつパケットが欠落していることを検出する。遅延タイマーは次に欠落パケットに対して開始される。
【0118】
時間T3 において、パケット再送は時間T1 で送信機によって検出されたNAKに対してHARQチャネルH1に関して受信された。このパケットは正しく復号されず、NAKフィードバックはパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH1の状態はアクティブに設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対する不作動タイマーを再開させる(図7Dには図示せず)。
【0119】
時間T4 において、TSNx+1をもつ新たなパケットはHARQチャネルH2に関して受信され、新たなデータインジケータは新たな値に(すなわち、D0からD1に)変化する。このパケットは正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。HARQチャネルH2の状態は不作動に設定され、HARQエンティティはこのチャネルに対して不作動タイマーを相殺する。
【0120】
時間T5 において、欠落パケットに対する遅延タイマーは満了する。この時点で、1つのアクティブHARQチャネルH1が存在する。候補組はHARQチャネルH1のみを含む。
【0121】
この例に示すように、遅延タイマーの使用は、欠落パケットに対して設定された正しい候補の決定を可能にする。遅延タイマーがない場合、TSNxをもつパケットに対する時間T1 における制御メッセージは欠落されるので、候補組は空の組となる。遅延タイマーがあるならば、遅延タイマーウインドウ内の時間T3 での第2の送信は、HARQチャネルH1が候補組内に含まれることを可能にする。
【0122】
時間T6 において、TSNx−1をもつ欠落パケットは、HARQチャネルH1に関して受信されて正しく復号され、ACKフィードバックはこのパケット送信に対して送信される。TSNx−1及びTSNxをもつパケットは次に高位のレイヤに配送される。
【0123】
時間T7 において、パケット再送は、時間T4 で否定応答された、TSNx+1をもつパケットに対するHARQチャネルH2に関して受信された。このパケットは正しく復号されて再配列エンティティによって高位のレイヤに配送される。ACKフィードバックは当該パケットに対して送信される。
【0124】
特別な実装
より明確にするために、送信機及び受信機でHARQエンティティ及び再配列エンティティによって実行される処理の特別な実装について以下に説明する。この実装は、欠落パケットに対する遅延タイマーにより候補組が欠落パケットに対してより正確に形成されることを可能にする。しかしながら、この遅延タイマーは上記したように必須のものではない。遅延タイマーが使用されないならば、最終的なふるまいは遅延タイマー値を0に設定することと同等になる。
【0125】
次の実装においては、キューIDが制御チャネルに関して送信され、所定のパケットの優先度キューは当該パケットが正しく復号されるまでHARQエンティティに対して既知ではない、ことを仮定する。この場合、パケットトランザクションが完了したとき、HARQエンティティはすべての再配列エンティティに通知する。これは失われたパケットは任意の優先度キューに対してのものであり得たからである。さらに、遅延タイマーが満了したとき、再配列エンティティはどのHARQチャネルがそれに対するデータを運んでいるのかを知らず、したがって、欠落パケットに対して設定された候補組におけるすべてのアクティブHARQチャネルを含む。
【0126】
送信機HARQ
図8は、特定のHARQチャネルに関してパケットを送信するために送信機HARQエンティティによって実行されるプロセス800の実施形態のフローチャートである。この実施形態において、各HARQチャネルに対してローカル変数NewDataが維持される。この変数は送信されるべきペイロードが変化するときに新たなパケットの第1の送信に対して切り替わる。この変数は“1”に初期化される。
【0127】
まず、送信すべきパケットが存在するか否かについての決定がなされる(ステップ812)。答えがNOならば、処理はステップ822に進む。さもなければ、これがパケットの第1の送信が否かについての決定がなされる(ステップ814)。答えが再びYESならば、NewData変数が切り替えられ(すなわち、第1の新たなパケットに対して“0”に設定される)、パケットに対する制御メッセージ内の新たなデータインジケータは、それがNewData値に設定されているので切り替えられる(ステップ816)。さもなければ、パケットが再送されているならば、ステップ816はスキップされて、NewData変数は切り替えられない。パケット(それがそこに送信されるならば)に対する(HID、キューID、新たなデータインジケータなどを含む)制御メッセージにおけるキューIDが、送信されているパケットの優先度キューに設定される(ステップ818)。パケットと制御メッセージとは次に送信のために物理レイヤに転送される(ステップ820)。
【0128】
ステップ822において、HARQチャネルに関する現在のパケット送信(存在するならば)に対してUEからACKが受信されたか否かについての決定がなされる。答えがYESならば、このチャネルに関して送信されている現在のパケットは廃棄され(ステップ824)、スケジューラは、このHARQチャネルが他のパケットを送信するのに利用可能であることを通知される(ステップ826)。ステップ826の後、あるいはステップ822においてACKが受信されなかったならば、処理はステップ812に戻る。
【0129】
受信機HARQ
図9A及び9Bは、特定のHARQチャネルに関してパケットを受信するために、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセス900の実施形態のフローチャートを示す。各HARQチャネルに対してローカル変数としてのCurrNewData、CurrQueueID、CurrStateが維持される。CurrNewData,変数は、HARQチャネルに関する現在の送信に対する新たなデータインジケータの値を保持し、CurrQueueID変数は、現在の送信に対するキューIDの値を保持する。CurrState変数は、HARQチャネルの現在の状態を示し、非アクティブかあるいはアクティブである。
【0130】
各HARQチャネルに対して1つの不作動タイマーが維持される。一実施形態において、不作動タイマーは、不作動タイマーが満了する前に、HARQチャネルに関して2つのパケット送信が発生する確率が高くなるのに十分長い時間に設定される。しかしながら、不作動タイマーに対して他の値も使用可能であり、これは本発明の範囲に入っている。
【0131】
各HARQチャネルに対する変数は、CurrNewDataを“1”に設定すると共に、CurrStateを非アクティブに設定することにより初期化される(ステップ910)。UEに対する制御チャネルに関して制御メッセージを受信したか否かについての決定がなされる(ステップS912)。答えがNOならば、処理はステップ912に戻って待機する。さもなければ、制御メッセージが流出指示を含むか否かについての決定がなされる(ステップ914)。答えがYESならば、実行されている特定の流出方法によって1つまたはそれ以上のHARQチャネルが流出される(ステップ916)。流出処理は図9Dについて以下に述べるごとく実行される。流出処理の一部として、各流出されたHARQチャネルに対する再配列エンティティは、パケットトランザクションがそのチャネルに関して完了したことを通知される。流出指示をもつ制御メッセージは流出HARQチャネルのみに送られ、制御メッセージと同時に送信されるパケットは存在しないので、処理はその後、ステップ912に戻り、次の制御メッセージを待つ。
【0132】
ステップ914において決定されたように、受信された制御メッセージがHARQチャネルを流出するために送信されなかった場合、それは、HS−DSCHに関するパケット送信に対して送信されたものである。この場合、現在のパケット送信に対して使用された特定のHARQチャネルは、制御メッセージにおけるHIDフィールドから決定される(ステップ922)。このHARQチャネルに対する不作動タイマーは次に再開される(ステップ924)。上記したように、HARQチャネルに対する不作動タイマーは、制御メッセージがチャネルに対して受信されるときはいつでも再開され、不作動タイマーが満了するまでにチャネルに対して何のアクティビティも検出されなかったならば、当該チャネルは非アクティブであるとみなされ、適切な行動が実行される。そのような状況を避けるために不作動タイマーが使用され、これによってHARQエンティティは、種々の理由により送信されなかった、特定のHARQチャネルに関するパケット送信をいつまでも待つ。不作動タイマーの満了があったときに実行されるべき処理について以下に説明する。
【0133】
次に、HARQチャネルの現在の状態がCurrState変数に基づいて決定され(ステップ926)、HARQチャネルに対して実行されるべき処理は、現在の状態に依存する。
【0134】
HARQチャネルが、非アクティブ状態であり、以前のパケットトランザクションが完了したことを示しているならば、現在の送信は新たなパケットに対する第1の送信であることが予期される。この場合、CurrNewData値がこのパケットトランザクションに対する制御メッセージの中の新たなデータインジケータに等しいか否かについての決定がなされる(ステップ930)。それらが同じであり、現在の送信が新たなパケットに対するものでないならば、受信パケットは廃棄され(ステップ932)、ACKが送信機へ返送され(ステップ934)、処理はステップ912に戻って次の制御メッセージを待機する。受信機が以前のパケット送信に対するACKを送信し、送信機が誤って代わりにNAKを受信し、以前のパケットを再送するならば、当該以前のパケットは再送する。
【0135】
一方、CurrNewData値が新たなデータインジケータに等しくなく、現在のトランザクションが新たなパケットに対するものでないならば、HARQチャネルに対する変数は、CuurStateをアクティブに(ステップ942)、CurrNewDataを制御メッセージ内の新たなデータインジケータに、CurrQueueIDを制御メッセージ内のキューIDに設定することにより(もしそれがそこに送られるならば)(ステップ946)、更新される。HS−DSCHに関して受信される新たなパケットは次に、CurrQueueID値によって識別される優先度キューに対して使用されるソフトバッファ内に記憶される(ステップ948)。処理は次に、ステップ958に進む。
【0136】
ステップ926に戻って、HARQチャネルがアクティブ状態にあるならば、現在の送信は、このトランザクションがまだ係属中であるので、現在のパケットに対する再送であることが予期される。この場合、CurrNewData値が制御メッセージ内の新たなデータインジケータと等しいか否かの決定がなされる(ステップ950)。もしそれらが同じならば、現在の送信はまさに再送であり、受信されたパケットはパケットの以前の送信と組み合わされ(ステップ952)、処理は次にステップ958に進む。
【0137】
一方、CurrNewData値がステップ950で決定されたように、新たなデータインジケータに等しくないならば、現在の送信は新たなパケットに対するものである。新たなパケットは、それが完了するかあるいは送信されたNAKに対するACKを誤って受信する前に、例えば送信機が係属中のトランザクションを廃棄することを決定したならば、送信される。この場合、ソフトバッファ内の以前のパケットは空にされる(ステップ954)。この以前のパケットに対する優先度キューが既知(例えば、制御メッセージに含まれるキューIDから獲得されるCurrQueueID値によって特定される)ならば、この優先度キューに対する再配列エンティティは、以前のパケットに対するトランザクションが完了したことを通知される(ステップ956)。以前のパケットの優先度キューが未知(例えば制御メッセージに関して送信されない)ならば、すべての再配列エンティティはこのHARQチャネルに関するトランザクションが完了したことを通知される。HARQチャネルに対する変数は、次に、CurrNewDataを制御メッセージ内の新たなデータインジケータに設定(ステップ944)そしてCurrQueueIDを制御メッセージ内のキューID値に設定する(もしそこに送られた場合)(ステップ946)ことにより更新される。HS−DSCHに関して受信された新たなパケットは次に、以前のパケットからまさに空にされたソフトバッファ内に記憶される(ステップ948)。処理は次にステップ958に進む。
【0138】
ステップ958において、当該パケットに対して受信された(存在した場合)以前の送信と組み合わされたパケットは次に、パケットを復元するために復号される。ステップ960において決定されたように、パケットが復元されなかったならば、次にNAKフィードバックは送信機に送信され(ステップ962)、処理はステップ912に戻る。一方、パケットが首尾よく復元されなかったならば、ACKフィードバックが送信され(ステップ964)、HARQチャネルの現在の状態は、現在のパケットトランザクションは完了し、このHARQチャネルに関してさらなる送信が予期されないことを示すために、非アクティブに設定され(ステップ966)、復元されたパケットは、CurrQueueID値によって特定される優先度キューに対する再配列エンティティに送信される(ステップ968)。処理はその後ステップ912に戻り、次の制御メッセージを待つ。
【0139】
図9Cは、HARQチャネルに対する不作動タイマーを維持するために受信機HARQエンティティによって実行されるプロセス970の実施形態のフローチャートである。このプロセスにおけるステップは各TTIに対して実行される。
【0140】
まず、不作動タイマーが満了したか否かについての決定がなされる(ステップ972)。各タイマーは、制御メッセージがタイマーに関連してHARQチャネルに関して受信されるときにはいつでも異なる時間で再開されるので、(存在するならば)ただ1つの不作動タイマーが所定のTTIで満了する。不作動タイマーが満了しないならば、処理はステップ972に戻って待機する。一方、満了した不作動タイマーをもつHARQチャネルに対するソフトバッファ内のデータは廃棄される(ステップ974)。満了した不作動タイマーをもつHARQチャネルに関する最後のパケット送信に対する優先度キューを処理する再配列エンティティは次に、このパケットトランザクションが完了したことを通知される(ステップ976)。満了した不作動タイマーをもつHARQチャネルの状態は次に非アクティブに設定され(ステップ978)、処理はステップ972に戻る。
【0141】
図9Dは、制御メッセージに関する流出指示を受信したときに、受信機HARQエンティティによって実行されるプロセスの実施形態のフローチャートである。このプロセスは図9Aにおけるステップ916に対して実行される。まず、流出すべきHARQチャネルが特定される(ステップ982)。一実施形態において、これらのHARQチャネルは、制御メッセージそれ自身に含まれるキューID値によって特定される特別な優先度キューに対して使用されるそれとして特定される。他の実施形態において、流出指示は特定のHARQチャネル、全てのHARQチャネル、あるいはいくつかの組の確定可能なHARQチャネルを流出する。いずれの場合であっても、各特定されたHARQチャネルに対するソフトバッファ内のデータは廃棄される(ステップ984)。各特定されたHARQチャネルの状態は次に、非アクティブに設定される(ステップ986)。各特定されたHARQチャネルを処理する再配列エンティティは次に、このチャネルに関するパケットトランザクションが完了したことを通知される(ステップ988)。処理は次に停止される。
【0142】
送信機再配列エンティティ
送信機は、各優先度キューに対するウインドウを維持する。このウインドウは受信機によって使用されるそれと同じサイズをもち、受信機が上記したようにいずれの場合もデータを廃棄するので送信されない古いデータを流出するのに使用される。送信機において、所定の優先度キューに対するパケットがそれらのTSNに基づいて順番に送信されるならば、ウインドウの先導端は、送信されるパケットの最後のTSNに設定される。その後、各新たなパケットが送信されるとき、ウインドウの先導端は、このパケットのTSNに移動する。ウインドウが各新たなパケット送信に向けて滑走するときに、ウインドウの後端よりも古いTSNをもつ全てのパケットは廃棄される。
【0143】
送信機において、1つの“送信機再配列エンティティ”は、各優先度キューに対するHS−DSCHに関して送信されるべきパケットを決定する役割をもつ。送信機再配列エンティティは送信機での再配列エンティティのプロトコルピア(protocol peer)に関して送信される。送信機再配列エンティティは、関連する優先度キューに対するウインドウを維持する。ローカル変数TxLeadWinEdgeは、ウインドウの先導端を示すために使用され、最初に“0”に設定される。ウインドウのサイズはローカル変数Window_Sizeによって記述される。
【0144】
図10は、特定の優先度キューに対する送信機再配列エンティティによって実行されるプロセス100の一実施形態のフローチャートである。図10に示されるステップは、新たなパケットがこの優先度キューに対して送信が予定されているときにはいつでも実行される。
【0145】
送信されるべき新たなパケットに関して、送信機再配列エンティティは最初に、TxLeadWinEdge変数をインクリメントすることによってウインドウを前方に進める(ステップ1012)。新たなパケットに対するTSNは次に更新されたTxLeadWinEdge値に設定される(ステップ1014)。ウインドウの外の任意の係属中のパケットは次に廃棄される(ステップ1016)。特に、TSN≦(TxLeadWinEdge−Window_Size)の関係をもつパケットは、ウインドウの外にあるので廃棄される。(Modulo-Window_Size処理はTSN数空間における巻付け(wrap-around)を明らかにするために実行される)。これらのパケットを廃棄する理由は、それらは受信機側でウインドウの外にあり、受信された場合には廃棄されるからである。新たなパケットは次にパケットを処理することを指定されたHARQエンティティに送信される(ステップ1018)。処理は次に停止される。
【0146】
受信機に対するチャネル状態が良好でない場合、流出指示は、特定の優先度キューに対するデータバーストのすべてのデータの送信が完了したときに受信機に送信される。この流出指示は、上記したように、優先度キューに対して使用されるすべてのHARQチャネルを流出するのに使用される。流出指示は例えば、サービスを提供しているセルがUEに対する最善のアップリンクをもつセルではなく、UEからのNAK/ACKフィードバックを正しく受信されない可能性が高いときに、送信される。
【0147】
受信機再配列エンティティ
受信機側において、1つの受信機再配列エンティティは、各優先度キューに対するデータを処理する役目をもつ。受信機再配列エンティティは、関連する優先度キューに対するHARQエンティティによって復元されるパケットを受信し、これらのパケットを再配列し、順番になっている当該パケットを高位のレイヤに配送する。再配列エンティティは送信機側で複製される。ローカル変数RxLeadWinEdgeは、優先度キューに対して受信した最後のTSNを示すために使用され、最初に“0”に設定される。ウインドウのサイズは、ローカル変数Window_Sizeによって記述される。範囲{(RxLeadWinEdge−Window_Size+1)…RxLeadWinEdge}は、受信ウインドウ内にあるとみなされる。
【0148】
一実施形態において、各受信機再配列エンティティは、ウインドウ内で検出された各ホールに対するものである、複数の遅延タイマーを開始することができる。遅延タイマーは、タイマーが満了する前に、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルに対して送信される少なくとも1つの制御メッセージ送信の確率が高くなるのに十分長い時間に設定される。
【0149】
図6Bは、受信機再配列エンティティによって維持されるウインドウを示す図である。パケットは特定されてそれらのTSNによって参照される。一実施形態において、受信機再配列エンティティの観点から、TSN数空間内の各パケットは4つの可能な状態:配送、受信、欠落、予期、の1つと関連付けられる。パケットは、(1)それがHARQエンティティから受信されて高位のレイヤに送信されたならば、配送されたと、(2)それがHARQエンティティから受信されたが高位のレイヤにはまだ配送されていないならば、受信されたと、(3)それがウインドウ内のホールの一部ならば、欠落したと、(4)それがウインドウの外に入るならば、予期される、とみなされる。パケットは、遅いTSNをもつ他のパケットがその前に受信されるならば、欠落とみなされる。ホールは、ウインドウ内に1つまたはそれ以上の連続する欠落パケットが存在するときにはいつでも出現する。任意の時点で、0、1あるいは複数のホールが存在する。最初に、ウインドウ内のすべてのパケットの状態は、配送された、に設定され、ウインドウの外のそれらは予期される、に設定される。
【0150】
一実施形態において、欠落状態における各パケット(すなわち、欠落パケット)に対して、受信機再配列エンティティは、欠落パケットに対する候補HARQチャネルを示すためにMarkVectorを維持する。すなわち、MarkVectorは、欠落パケットを送信するのにHARQチャネルのそれぞれが使用されたか否かを示すために使用される。MarkVectorは、すべての優先度キューに対する送信に使用されるすべてのHARQチャネルの数と等しいサイズを持ち、各可能なHARQチャネルに対して1つの要素を含む。
【0151】
各欠落パケットに対するMarkVectorは、欠落パケットがまず検出されたときに“初期化”される。所期の候補組は、“0”に設定されている欠落パケットを検出するのに使用された受信パケットに対するHARQチャネルに対する要素を除いて、“1”に設定されている各HARQチャネルに対する要素をもつ。“1”の値は、欠落パケットを送信するのに使用される関連するHARQチャネルを示しており、“0”の値は、欠落パケットを送信するのに使用されないチャネルを示している。すなわち、最初の候補組は、欠落パケットを送信するのに使用できなかった1つの既知のHARQチャネルを除いて、すべてのHARQチャネルを含む。その後、各候補HARQチャネルに対する要素は、当該チャネルは欠落パケットを送信するのに使用できなかったことが決定されたならば、“0”に設定される。このことは、(1)新たなパケットが当該チャネルに対する新たなデータインジケータの変化によって決定されるように、HARQチャネルに関して送信されるか、(2)当該チャネルに対する不作動タイマーが満了するか、(3)流出指示が当該チャネルに対して受信される、ならば真実となる。
【0152】
各欠落パケットに対するMaskVectorはまた、欠落パケットに対して適用可能な遅延タイマーが満了するならば、“変更”される。変更された候補組は、(これらのHARQチャネルに対するMaskVectorにおける要素を“0”に設定することにより)遅延タイマーが満了するときにアクティブでないすべてのHARQチャネルから空(purged of)にされる。次に、残りのHARQチャネルを候補組から除去するプロセスは前記した方法で実行される。
【0153】
図11A及び11Bは、特定の優先度キューに対する受信機再配列エンティティによって実行されるプロセス1100の実施形態のフローチャートである。まず、受信機再配列エンティティは、HARQチャネルHxに関するTSNrをもつパケットをHARQエンティティから受信する(ステップ1112)。次に、まさに受信したパケット(すなわち現在のパケット)は新たなパケットであるか否かについての決定がなされる(ステップ1114)。現在のパケットは、TSNrがウインドウの外に存在するならば新たなパケットであるとみなされ、TSNrがウインドウ内に存在するならば係属中パケットの再送であるとみなされる。現在のパケットが新たなパケットであるならば、処理はステップ1140に進む。
【0154】
一方、TSNrがウインドウ内に存在するならば、現在のパケットは、(1)以前の受信パケットの複製であるか、(2)ウインドウ内のホールを一部あるいは完全に満たす欠落パケットに対するものである。次に、現在のパケットがすでに受信されたかあるいは配送されたものかについての決定がなされる(ステップ1116)。答えがYESならば、現在のパケットは重複しているので廃棄され(ステップ1118)、処理は停止される。
【0155】
一方、答えがステップ1116においてNOならば、現在のパケットはウインドウ内の欠落パケットに対するものである。この場合、各早い欠落パケットのMaskVectorは、HARQチャネルHxに対応する要素を“0”に設定することにより更新される(ステップ1120)。これは、TSNrをもつ遅いパケットがこのチャネルに関して受信され、より早い欠落パケットを送信するのに使用されたものではない、からである。MaskVectorが更新されるたびに、MaskVectorのすべての要素が、候補組が空であり、欠落パケットが失われたことを示す“0”であるか否かを決定するためにチェックされる。MaskVectorがすべて“0”を含むならば、この欠落パケットによって停止されるすべての受信パケットは高位のレイヤに配送され、このパケットよりも早いすべてのパケットは、配送された、に設定される。
【0156】
現在のパケットの状態は次に、受信された、に設定される(ステップ1122)。ホールによって現在停止されていないすべての受信パケット(存在するならば)は、高位のレイヤに配送される(ステップ1124)。特に、ウインドウの左側から始まり最初のホール(すなわち欠落パケット)が検出されるまで連続する受信パケットが特定されて高位のレイヤに送信される。これら配送されたパケットの状態はまた、配送されたに設定される。
【0157】
一実施形態において、1つの遅延タイマーは、新たなパケットが再配列エンティティによって受信され、当該新たなパケットよりも早い(すなわち当該新たなパケットの左側に)1つまたはそれ以上の予期されたパケットが存在するときにはいつでも発生するホールである、“もとの”ホールにおける最後のパケットに対して維持される。ホール内の予期されたパケットの状態は欠落されたに変更される。以下にこのことについてさらに詳細に説明する。引き続き、パケットはこのホール内の欠落パケットに対する再配列エンティティによって受信される。当該ホールが1つのパケットの幅としてのものならば、受信パケットは当該ホールを完全に包囲し、遅延タイマーは取り消される。一方、ホールが複数のパケットを包囲し、現在のパケットがこのホール内の最後の欠落パケットであるならば、遅延タイマーは、一部包囲されたホールにおける(新たな)最後の欠落パケットに移動される。ホールが多数のパケットを包囲し、現在のパケットが当該ホール内の最後の欠落パケットではないならば、遅延タイマーは影響を受けない。この実装では、たとえこのホールが再配列エンティティによって遅く受信されたパケットによって複数のホールに連続的に分割されたとしても、(それらが同時に検出されるため)、ただ1つの遅延タイマーがもとのホール内のすべての欠落パケットに対して維持される必要がある。
【0158】
すなわち、遅延タイマーは現在のパケットに対して開始されたか否かについての決定がなされる(ステップ1126)。答えがNOであるならば、処理は停止される。一方、現在のパケットの左側に対してホールが存在するか否かの決定がなされる(ステップ1128)。答えがNOであるならば、現在のパケットに対する遅延タイマーは取り消される。これは、現在のパケットはホールを完全に満たすことを示し、この場合、遅延タイマーは維持される必要がないからである(ステップ1130)。一方、現在のパケットがホールを満たさないならば、遅延タイマーに関して何らのアクションも実行されない。いずれにしても、処理は次に停止される。
【0159】
ステップ1114に戻って、現在のパケットが新たなパケットであるならば、このパケットの状態は、受信されたに設定される(ステップ1140)。ウインドウ内の各欠落パケットに対するMaskVectorは次に更新されてチェックされ、パケットは、ステップ1120に対して上記したように、結果として再配列エンティティによって高位のレイヤに流出される(ステップ1142)。ウインドウは次に、ウインドウの先導端を設定すなわちRxLeadWinEdgeをTSNrに設定することにより前方に移動される(ステップ1144)。ウインドウの外のすべての受信パケットは次に高位のレイヤに配送され(ステップ1146)、ウインドウの外のすべてのパケットの状態は、予期されたに設定され(ステップ1148)、ウインドウの外のパケットに対して設定されたすべての遅延タイマーは停止される(ステップ1150)。ホールによって現在停止されていない受信パケットは、高位のレイヤに配送される(ステップ1152)。これはステップ1124に対して上記したように実行される。
【0160】
ホールが現在のパケットのちょうど左側に対して存在するか否かの決定がなされる(ステップ1154)。この決定は、TSNr−1をもつパケットの状態が、予期されたか否かをチェックすることによってなされる。答えがNOであるならば、処理は停止される。一方、ホールが存在するならば、ホール内の最後のパケットに対して遅延タイマーが開始される(すなわちTSNr−1とともに)。このホール内の各予期されたパケットは次に欠落に設定され、そのような各パケットに対するMaskVectorは、HARQチャネルHxに対応する要素を“0”に設定し、他のすべての要素を“1”に設定することにより初期化される(ステップ1158)。処理は次に停止される。
【0161】
上記した実施形態において、各もとのホール(すなわち、ウインドウを前方に移動させる新たなパケットにより検出されるホール)内のすべての欠落パケットに対して使用される1つの遅延タイマーが使用される。このタイマーは、ホール内の最後の欠落パケットに関連するが、ホール内のすべての欠落パケットに適用できる(すなわち参照される)わけではない。一実施形態において、その適用可能な遅延タイマー(すなわち、パケットの右側に対する第1の遅延タイマー)が満了したか否かを示すために、timer_overフラグが各欠落パケットに対して使用される。もとのホールが検出されたときに、ホール内の各欠落パケットに対するtimer_overフラグは、適用可能な遅延タイマーが満了しなかったことを示すために、“0”に設定される(ステップ1158)。遅延タイマーが満了するときに、このタイマーによって包囲されるすべての欠落パケットに対するtimer_overフラグは、“1”に設定され、この時点でアクティブではないかあるいは他の優先度キューに対して使用されるHARQチャネルを除去するために、これらすべての欠落パケットのMaskVectorsもまた上記の方法により変更される。この実装について以下にさらに詳細に説明する。
【0162】
欠落パケットに対するMaskVectorsは、(1)HARQエンティティが所定のHARQチャネルに関するパケットトランザクションが完了したことを示したときはいつでも、あるいは(2)関連する欠落パケットに対して維持される各遅延タイマーが満了したとき、などの種々の事象に基づいて更新/改正される。
【0163】
図11Cは、遅延タイマーが満了したという指示を受信したときはいつでも、受信機再配列エンティティによって実行されるプロセス1160の実施形態のフローチャートを示している。まず、遅延タイマーが満了したか否かについての決定がなされる(ステップ1162)。答えがNOであるならば、処理は停止される。一方、遅延タイマーが満了したならば、満了した遅延タイマーに関連する欠落パケットのTSNが決定されてTSNeとして記述される(ステップ1164)。上記したように、もとの各ホール内のすべての欠落パケットに対して1つのみが維持されるので、複数の欠落パケットはこの遅延タイマーに依存する。次に、この満了した遅延タイマーにより包囲された各欠落パケットに対するtimer_overフラグは、パケットに対するタイマーが満了したことを示すために“1”に設定される(ステップ1166)。この満了した遅延タイマーによって包囲された欠落パケットは、TSNeよりも早いTSNをもつそれらを含む。この遅延タイマーによって包囲された各欠落パケットに対するMaskVectorは次に(すなわち、欠落パケットに対する候補組を改正するために)“変更される”(ステップS1168)。欠落パケットに対するMaskVectorを変更するために、各HARQチャネルが考慮され、チャネルがアクティブでないかあるいはチャネルが他の優先度キューに対して使用されるならば、MaskVectorにおける対応する要素は、“0”に設定される。いまだ“1”に設定されているMaskVector内の要素に対応するHARQチャネルは、この場合、残りの候補HARQチャネルである。MaskVectorが変更されるならば、パケットが高位のレイヤに流出されるべきか否かについて決定するためにチェックされる。処理は次に停止される。
【0164】
図11Dは、特定のHARQチャネルに関する完了したトランザクションに対して受信機再配列エンティティによって実行されるプロセス1170の実施形態のフローチャートである。まず、パケットトランザクションがHARQチャネルに関して完了した受信機HARQエンティティから指示を受信したか否かについて決定される(ステップS1172)。答えがYESならば、適用可能な遅延タイマーが満了した(すなわち、timer_overフラグが“0”にリセットされる)各欠落パケットに対して、HARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素は、“0”に設定される(ステップS1174)。さらに、MaskVectorが更新されるならば、パケットが高位のレイヤに流出すべきであるか否かについて決定するためにチェックされる。HARQチャネルに関する完了したトランザクションに対して実行されるべき処理について以下の疑似コードにおいて詳細に説明される。処理は次に停止される。
【0165】
上記した実施形態において、各受信機再配列エンティティは複数の遅延タイマー(1つはウインドウ内で検出された各もとのホールに対するもの)を開始することができる。他の実施形態において、各再配列エンティティは、1つの遅延タイマーを任意の時間に動作させることができる。もとのホールが検出されたときにはいつでも、再配列エンティティに対する遅延タイマーは、もしそれが現在動作していないならば、開始させることが可能である。遅延タイマーの動作中に他のもとのホールが続いて検出されるならば、遅延タイマーはその時点で第2のもとのホールにおける欠落パケットに対して開始されない。その後、遅延タイマーが満了したならば、この遅延タイマーによって包囲された欠落パケット(すなわち、遅延タイマーに関連する欠落パケットのTSNeよりも早いTSNをもつ欠落パケット)は、図11Cにおけるステップ1162から1166に示されるように更新される。さらに(ステップ1166の後)、TSNeよりも遅いTSNsをもつ欠落パケットが存在するか否かについての決定がなされる。こたえがYESならば、遅延タイマーが再び開始され、最後の欠落パケットに関連付けられる。
【0166】
この代わりの実施形態は、各再配列エンティティによって維持される必要がある遅延タイマーの数を1に減らす。しかしながら、この実施形態は、最悪の場合、欠落パケットに対する遅延タイマー値を2倍にする。例えば、遅延タイマーは最初の欠落パケットに対して開始され、第2の欠落パケットは次の送信インターバルにおいて検出される。第2の欠落パケットに対する遅延タイマーは、第1の欠落パケットに対する遅延タイマーが満了するまで開始されない。第2の欠落パケットは次に、第1の欠落パケットと第2の欠落パケットの和に対する遅延タイマーの満了まで待機する必要がある。この代わりの実施形態は以下に示される疑似コードにおいてさらに詳細に説明される。
【0167】
図12は、HARQエンティティからパケットを受信してパケットを高位のレイヤに配送するために、再配列エンティティによって実行される全体のプロセス1200のフローチャートである。まず、正しく復号されたパケットはHARQエンティティから受信される(ステップ1212)。受信されたパケットの中から欠落パケットが次に検出される(ステップ1214)。これは、上記したように受信パケットのTSNsに基づいて達成される。欠落パケットが検出されたならば、検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの高位レイヤへの配送は停止される(ステップ216)。各欠落パケットに対して、(1)それがHARQエンティティから連続的に受信されたか、(2)上記したように、欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって失われたか、についての決定がなされる(ステップ1218)。各欠落パケットによって停止された受信パケットは、その後、欠落パケットが失われたかあるいはHARQエンティティから受信したと決定された後に、高位のレイヤに配送される(ステップ1220)。
【0168】
図8から図11Cにおいて上記したプロセスの特別な実行に対する疑似コードを以下に示す。
【0169】
送信機HARQエンティティ
特定の優先度キューに対して再送が予定されるとき、送信機:
1−これがパケットに対する第1の送信であるならば:
2−新たなデータインジケータを切り換える;
1−QueueIDフィールドを送信されているパケットの優先度キューに設定する;
1−プロシージャを終了
ACKを受信するとき
1−送信される現在のパケットを廃棄;
1−このHARQエンティティは利用可能であることをスケジューラに示す;
1−プロシージャを終了する。
【0170】
受信機HARQエンティティ
受信機に対して送信された制御チャネル送信の受信があったとき:
1−制御メッセージが流出指示を含むならば:
2−QueueIDフィールドに示された優先度キューに対する流出指示を処理する(以下を見よ);
2−プロシージャを終了する
1−制御メッセージによって特定されたHARQチャネルに対する不作動タイマー(TM1)を開始/再開
1−特定されたHARQチャネルは非アクティブ状態にあるならば、
2−CurrNewDataは新たなデータインジケータと同じ値を持つならば:
3−受信されたパケットを廃棄する。
【0171】
3−アップリンクに関してACKを送信する
3−プロシージャを終了する。
【0172】
2−その他
3−HARQチャネルをアクティブ状態に設定する
3−CurrNewDataを新たなデータインジケータの値に設定する
3−CurrQueueIDをキューIDフィールドの値に設定する
3−ソフトバッファにおける受信パケット送信を記憶する
1−その他(HARQチャネルがアクティブ状態にあるならば):
2−CurrNewData = 新たなデータインジケータ
3−受信パケットをソフトバッファ内の蓄積された以前の送信とソフトウェア合成する
2−その他:
3−現在ソフトバッファ内にあるデータを廃棄する;
3−パケットトランザクションは完了したことをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに対して指示する(以下を参照)
3−CurrNewDataを新たなデータインジケータの値に設定する
3−CurrQueueIDをキューIDフィールドの値に設定する
ソフトバッファ内の受信パケット送信を記憶する
1−ソフトバッファ内のパケットを復号することを試みる
1−復号が成功したならば:
2−アップリンクに関するACKを送信する
2−HARQチャネルを非アクティブ状態に設定する
2−復元されたパケットをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに配送する
1−その他
2−アップリンクに関するNAKを送信する
1−プロシージャを終了する
送信機再配列エンティティ
所定のHARQチャネルに対する負作動タイマー(TM1)が満了したとき
1−現在ソフトバッファ内にあるデータを廃棄する
1−パケット送信が終了であることをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに対して指示する(以下を参照)
1−HARQチャネルを非アクティブ状態に設定する
1−プロシージャを終了する
所定の優先度キューのための流出指示を受信したとき
1−流出指示に対する制御メッセージにおけるキューID値と等しいCurrQueueIDをもつ各HARQチャネルに対して
2−データの受信を行わない
2−ソフトバッファ内のデータを廃棄する
2−HARQチャネルを非アクティブ状態に設定する
2−パケット送信が終了したことをCurrQueueIDに対応する再配列エンティティに対して指示する
1−プロシージャを終了する。
【0173】
受信機再配列エンティティ
1つの遅延タイマーが各もとのホールに対して維持される実施形態に関して
TSNrをもつ新たなパケットがHARQエンティティによって受信されるとき、受信機再発列エンティティは:
1−受信パケットが受信ウインドウ内にあるならば(RxLeadWinEdge − Window_Size ≦ TSNr < RxLeadWinEdge):
2−状態「欠落」における各TSNiに対して
3−もしTSNi<TSNrならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する
4−MaskVectorにおけるすべての要素が0に等しいならば:
5−TSNiに対して流出プロシージャ(以下を参照)を実行する
2−TSNrの状態が受信されるかあるいは配送されるならば、
3−受信パケットを廃棄する
2−さもなければ(TNSrに対する状態は欠落):
3−TSN<TSNrをもつ受信ウインドウ内のすべてのパケットの状態が配送されたならば:
4−TSNrに関連する遅延タイマー(TM2)が開始されたならばタイマーを停止する;
4−パケットを高位のレイヤに配送する;
4−TSNrの状態を配送されたに設定する;
4−受信ウインドウ内部の各TSNjに対して、TSNr+1から開始する
5−TSNjの状態が予期されたかあるいは欠落ならば:
6−TSNjについての反復を停止する
5−さもなければ、TSNjの状態が受信されたであるならば:
6−TSNlに対するデータを高位のレイヤに配送する;
TSNjの状態を配送されたに設定する;
6−遅延タイマーがTSNjと関連するならば、タイマーを停止する
6−次のTSNjに移行
3−さもなければ:
4−TSNrの状態を受信されたに設定する;
1−さもなければ(受信パケットは受信ウインドウの外にある:)
2−状態欠落における各TSNiに関して:
3−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
3−MaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいならば:
4−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
2−RxLeadWinEdgeをTSNrに設定する;
2−受信された、の状態で、受信ウインドウの外のTSNsに関連するすべてのデータを高位のレイヤに配送する;
2−受信ウインドウの外のTSNsに関連するすべての遅延タイマーTM2を停止する;
2−受信ウインドウの外のすべてのTSNsに対する状態を予期されたに設定する;
2−TSN<TSNrをもつ受信ウインドウ内のすべてのパケットの状態が受信されたかあるいは配送されたであるならば;
3−パケットを高位のレイヤに配送する;
3−TSNrの状態を配送されたに設定する;
2−さもなければ:
3−TSNrの状態を受信されたに設定する;
3−TSNr−1に関連する遅延タイマーTM2を開始する;
3−予期された、の状態でTSNj<TSNrをもつ受信ウインドウの内部の各TSNlに関して:
4−TSNjの状態を欠落に設定する;
4−タイマー_オーバフラグを“0”にリセットする;
4−TSNjに関連するMaskVectorにおいて:
5−このHARQチャネルに対応する要素を“0”に設定する;
5−他のHARQチャネルに対応する要素を“1”に設定する;
1−プロシージャを終了する;
HARQエンティティがパケットトランザクションは特定のHARQチャネルに対して終了であることを示したとき:
1−タイマー_オーバフラグが1に設定される欠落の状態におけるTSNiに関して:2−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
2.MaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいならば;
3−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
1−プロシージャを終了する
遅延タイマー(TM2)が満了するとき
1−TSNに対するTSN≦で、状態欠落における各TSNを考慮せよ;
2−タイマー_オーバフラグを“1”に設定する;
2−このTSNに対するMaskVector変数を考慮する;
2−各HARQエンティティについて:
3−HARQエンティティがアクティブ状態でない場合あるいはCurrQueueIDがこの再配列エンティティの優先度キューと異なるならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorの要素を“0”に設定する。
【0174】
1−プロシージャを終了する;
流出プロシージャ−TSNiに対するMaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいとき:
1−受信ウインドウ内及びTSNiよりも早いかあるいは等しい各TSNjに関して:
2−TSNiの状態が受信されたであるならば、関連するデータを高位のレイヤに配送する;
2−TSNjの状態を配送されたに設定する;
1−TSNi+1で開始する、受信ウインドウ内部の各TSNjに関して:
2−TSNjの状態が予期されたかあるいは欠落であるならば:
3−TSNjの反復を停止する。
【0175】
2−さもなければ、TSNjの状態が受信されたであるならば:
3−関連するデータを高位のレイヤに配送する;
3−TSNjの状態を配送されたに設定する;
3−次のTSNjに移行する
1−リターン
1つの遅延タイマーが各再配列エンティティに対して維持される実施形態について
TSNrをもつ新たなパケットがHARQエンティティによって配送されたとき、受信機再配列エンティティ:
1−受信パケットが受信ウインドウ以内であるならば(RxLeadWinEdge − Window_Size ≦TSNr < RxLeadWinEdge):
2−欠落の状態における各TSNiについて:
3−TSNi<TSNrならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
4−MaskVectorにおけるすべての要素が0に等しいならば:
5−TSNiに対する流出プロシージャ(以下を参照)を実行する
2−TSNrの状態が受信されたかあるいは配送されたならば:
3−受信パケットを廃棄する。
【0176】
2−さもなければ(TNSrに対する状態は欠落である):
3−TSN<TSNrをもつ受信ウインドウ内のすべてのパケットの状態が配送されたであるならば:
4−TSNrに関連する遅延タイマー(TM2)が開始されたならば、タイマーを停止する
4−パケットを高位のレイヤに配送する。
【0177】
4−TSNrの状態を配送されたに設定する
4−受信ウインドウ内部の各TSNjに関して、TSNr+1から開始する;
5−TSNjの状態が予期されたかあるいは欠落されたならば;
5−さもなければ、TSNjの状態が受信されたならば:
6−TSNjに対するデータを高位のレイヤに配送する
6−TSNjの状態を配送されたに設定する;
6−遅延タイマーがTSNjに関連しているならば、タイマーを停止する;
6−次のTSNjに移行する;
3−さもなければ:
4−TSNrの状態を受信されたに設定する
1−さもなければ(受信パケットは受信ウインドウの外にある):
2−欠落の状態における各TSNiに関して:
3−このHARQチャネルMaskVectorにおける要素を“0”に設定する;
3−MaskVectorにおけるすべての要素が“0”であるならば:
4−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
2−RxLeadWinEdgeをTSNrに設定する。
【0178】
2−受信された、の状態で受信機ウインドウの外のTSNsに関連するすべてのデータを高位のレイヤに配送する;
2−受信機ウインドウの外部のTSNsに関連するすべての遅延タイマーTM2を停止する;
2−受信機ウインドウの外部のすべてのTSNsに対する状態を予期されるに設定する。
【0179】
2−TSN<TSNrで受信ウインドウ以内のすべてのパケットの状態が受信されたかあるいは配送されたであるならば:
3−パケットを高位のレイヤに配送する;
3−TSNrの状態を配送されたに設定する;
2−さもなければ:
3−TSNrの状態を受信されたに設定する;
3−この再配列エンティティに対する遅延タイマーTM2が動作していないならば:
4−TSNr−1に関連する遅延タイマーTM2を開始する;
3−予期される、の状態かつTSNj<TSNrで受信ウインドウの内部の各TSNjに関して:
4−TSNjの状態を欠落に設定する;
4−タイマー_オーバフラグを“0”にリセットする;
4−TSNjに関連するMaskVectorにおいて:
5−このHARQチャネルに対応する要素を“0”に設定する;
5−他のHARQチャネルに対応する要素を“1”に設定する;
1−プロシージャを終了する;
HARQエンティティが、パケットトランザクションが特定のHARQチャネルに対して終了であることを示しているとき
1−タイマー_オーバフラグが1に設定されている欠落の状態における各TSNiに関して: 2−このHARQチャネルに対応するMaskVectorにおける要素を“0”に設定する。
【0180】
2−MaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいならば:
3−TSNiに対する流出プロシージャを実行する
1−プロシージャを終了する
遅延タイマー(TM2)が満了するとき:
1−タイマーに関連するTSNに対するTSN≦で、欠落の状態における各TSNを考慮する:
2−タイマー_オーバフラグを“1”に設定する;
2−このTSNに対するMaskVector変数を考慮する;
2−各HARQエンティティに対して:
3−HARQエンティティがアクティブ状態でないかあるいはCurrQueueIDがこの再配列エンティティの優先度キューとは異なっているならば:
4−このHARQチャネルに対応するMaskVectorの要素を“0”に設定する;
1−欠落の状態における任意のTSNが存在するならば:
2−遅延タイマーを開始し、それを欠落の状態における最後のパケットのTSNに関連付ける;
1−プロシージャを終了する。
【0181】
流出プロシージャ−TSNiに対するMaskVectorにおけるすべての要素が“0”に等しいとき
1−受信ウインドウ内及びTSNiよりも早いかあるいは等しい各TSNjに関して:
2−TSNjの状態が受信されたであるならば、関連するデータを高位のレイヤに配送する;
2−TSNjの状態を配送されたに設定する;
1−受信ウインドウ内部の各TSNjに関して、TSNi+1から開始する:
2−TSNjの状態が予期されたあるいは欠落であるならば:
3−TSNjについての反復を停止する。
【0182】
2−さもなければ、TSNjの状態が受信されたであるならば:
3−関連するデータを高位のレイヤに配送する;
3−TSNjの状態を配送されたに設定する;
3−次のTSNjに移行する;
1−リターン
送信機及び受信機側で種々のエンティティによって実行される処理についてよりよく理解するために、特定の実装に対する疑似コードが上記のように示されている。当業者ならばここに記載された教義に基づいて他の実施形態を容易に考案することができ、これらの他の種々の実装もまた本発明の範囲に入る。
【0183】
ここに記載された技術は、基盤となる再送機構(例えばHARQ)及び順番に並んだデータが要求される高位のレイヤをもつシステムに対する改善された停止回避パフォーマンスを提供する。これらの技術は、例えば、W−CDMAシステム、cdma2000システム及ぶその他などの種々の通信システムに対して使用される。これらの技術はまた、他のタイプの通信システム(例えばTDMA及びFDMAシステム)に対して使用される。
【0184】
図13は、ノードB104及びUE106の実施形態のブロック図である。ダウンリンクに関して、HSDPA送信を受信するように特定された特定のUEに対するHS−DSCH及びHS−SCCHに対するデータは、送信(TX)データプロセッサ1312によって処理(例えばフォーマット化、符号化、など)される。HS−DSCH及びHS=SCCHに対する処理は、参照によりすべてここに組み込まれた、TS.25−321 V5.0.0、TS.25−308 V5.2.0及び25−212 V5.0.0を含む、W−CDMAリリース5に対する適応可能な標準文書において記述されているように実行される。W−CDMAリリース5に対するこれら及び他の文書は一般に利用可能である。
【0185】
処理されたデータは次に、変調器(MOD)1314に供給され、変調されたデータを提供するためにさらに処理(例えば、チャネル化、拡散など)される。送信機(TMTR)ユニット1316は次に、変調されたデータを1つまたはそれ以上のアナログ信号に変換され、ダウンリンク信号を提供するために、さらに調整(例えば、増幅、ろ波、および周波数アップコンバート)される。ダウンリンク信号はデュプレクサ(D)1322を介して経路制御され、アンテナ1324を介して特定のUEに送信される。
【0186】
UEにおいて、ダウンリンク信号は、アンテナ1352により受信され、デュプレクサ1354を介して経路制御され、受信機(RCVR)ユニット1356に供給される。受信機ユニット1356は、受信信号を調整(例えば、ろ波、増幅、ろ波、および周波数ダウンコンバート)され、サンプルを提供するために調整された信号をさらにデジタル化する。復調器1358は次に、シンボルを提供するために、サンプルを受信して処理(例えば逆拡散、チャネル化、そしてデータ復調)される。復調器1358は、受信信号の複数のインスタンス(すなわちマルチパス成分)を処理可能なレーキ受信機を実装して混合されたシンボルを提供する。受信機(RX)データプロセッサ1360は次に、シンボルを復号し、受信パケットをチェックし、復号されたデータを提供する。復調器1358及びRXデータプロセッサ1360による処理は、変調器1314及びTXデータプロセッサ1312による処理とそれぞれ相補的である。
【0187】
一実施形態において、RXデータプロセッサ1360は、物理レイヤ及びMACレイヤ(例えばHARQエンティティ)の一部に対する処理を実行し、コントローラ1370はMACレイヤ(例えば再配列エンティティ)に対する処理の一部を実行し、さらにHARQの一部を実行する。この実施形態において、RXデータプロセッサ1360は(1)正しく復号された各パケットに対する復号されたデータ、(2)各パケット送信の状態(例えばACKあるいはNAK)、(3)満了した不作動及び遅延タイマーなどの指示、を提供する。コントローラ1370は次に、欠落パケットを検出し、それらが受信されて利用可能となったときに、パケットを高位のレイヤに供給する。コントローラ1370はさらに、TXデータプロセッサ1382に対してHARQ動作に対する適切なACK/NAKフィードバックを提供する。
【0188】
アップリンクに関して、アップリンクに対するデータ及びACK/NAKフィードバック情報はTXデータプロセッサ1382によって処理(例えばフォーマット化、符号化、など)され、さらに変調器1384によって処理(例えばチャネル化、拡散、など)され、アップリンク信号を提供するために、送信機ユニット1386によって調整(例えばアナログ信号に変換、増幅、ろ波、周波数アップコンバート)される。アップリンク信号は次に、デュプレクサ1354を介して経路制御され、アンテナ1352を介して基地局に送信される。
【0189】
ノードBにおいて、アップリンク信号はアンテナ1324によって受信され、デュプレクサ13422によって経路制御され、受信機ユニット1342に供給される。受信機ユニット1342は、受信信号を調整(例えば周波数ダウンコンバート、ろ波、増幅)し、さらに、一連のサンプルを提供するために調整された信号をデジタル化する。復調器1344は次に、シンボルを提供するためにサンプルを処理(例えば逆拡散、チャネル化など)し、RXデータプロセッサ1346はさらに、UEに対する復号されたデータを提供するためにシンボルを処理する。ダウンリンク及びアップリンクに対するデータ処理はW−CDMAにより記述されている。
【0190】
コントローラ1330は、RXデータプロセッサ1246からACK/NAKフィードバックを受信して、必要に応じて、HARQに対するパケットの再送を先導する。コントローラ1330及び1370はさらに、それぞれノードB及びUEで処理を制御する。各コントローラは、HARQ送信/再送に対してここに記述された技術のすべてあるいは一部を実装するように設計されている。プログラムコード及びコントローラ1330及び1370によって獲得されるデータは、メモリユニット1332及び1372にそれぞれ記憶される。
【0191】
停止回避パフォーマンスを改善するためにここに記述された技術は、種々の手段によって実現される。例えば、これらの技術は、ハードウェア、ソフトウェアあるいはそれらの組み合わせによって実現される。ハードウェアによる実現に関して、当該技術を実現するのに使用される素子(例えば、図8から図11Aに示されるプロセスを実行する素子)は、1つまたはそれ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、ここに記述された機能を実行するために設計された他の電子ユニット、あるいはそれらの組み合わせにより実現される。
【0192】
ソフトウェアによる実現において、これらの技術は、ここに記述された機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能、など)によって実現される。ソフトウェアコードは、メモリユニット(例えば、図13に示すメモリユニット1332及び1372)に記憶され、プロセッサ(例えばコントローラ1330及び1370)によって実行される。メモリユニットはプロセッサ内であるいはプロセッサの外部で実現され、その場合、当業界で知られた種々の手段を介してプロセッサに通信可能に結合されるであろう。
【0193】
開示された実施形態の上記の記述は、当業者が本発明を製造あるいは使用することを可能にするために提供された。当業者ならばこれらの実施形態に対する種々の変更を容易に思いつくことが可能であり、ここに規定された一般的な原理は、本発明の精神あるいは範囲から逸脱することなしに他の実施形態にも適用することができる。すなわち、本発明は、ここに示された実施形態に限定されることはなく、ここに開示された原理及ぶ特徴に適合する最も広い権利範囲が付与されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CDMA通信システムにおいて、ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティによって復元されたデータを正しい順番で高位のレイヤに配送するための方法であって、
前記HARQエンティティからパケットを受信することと、
前記受信されたパケットの中から欠落パケットを検出することと、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止することと、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することにより、各欠落パケットが前記HARQエンティティから連続的に受信されるかあるいは失われたかを決定することと、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから受信されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送することと、
を具備する方法。
【請求項2】
HARQチャネルは、それが特定の時間の間、非アクティブであるときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して送信されるパケットが復元されたときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
HARQチャネルは、新たなパケットが前記HARQチャネルに関して送信されるべきであることが検出されたときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルを流出するための指示が受信されたときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各HARQチャネルは、制御メッセージにおけるフィールドによって特定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CDMA通信システムはリリース5あるいはそれよりも後のリリースを実装するW−CDMAシステムである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CDMA通信システムにおいて、ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティによって復元されたデータを正しい順番で高位のレイヤに配送するための方法であって、
前記HARQエンティティからパケットを受信することと、
前記受信パケットの中から欠落パケットを検出することと、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止することと、
各欠落パケットに対して、
前記欠落パケットを送信するのに使用される候補HARQチャネルの組を決定することと、
前記HARQチャネルに関して係属中のトランザクションが完了したときに、前記組の中の各候補HARQチャネルを除去することと、
すべての候補HARQチャネルが前記組から除去されたときに前記欠落パケットは失われたと宣言することと、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから連続的に受信されたと宣言されたときに、前記欠落パケットによって停止された受信パケットを配送することと、
を具備する方法。
【請求項9】
前記パケットは、前記パケットに割り当てられた送信シーケンス番号(TSN)に基づいて、順番に送信される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記欠落パケットは、前記受信パケットのTSNに基づいて検出される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各欠落パケットに対する候補HARQチャネルの組は、前記欠落パケットが検出された時点でアクティブであるHARQチャネルを含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して少なくとも1つのパケット送信が受信されたときに、アクティブであるとみなされる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各欠落パケットに対する候補HARQチャネルの前記組は、前記欠落パケットが検出されたときからの特定の遅延である時刻に到着するHARQチャネルを含む請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記特定の遅延は、前記欠落パケットが検出されたときに開始されるタイマーによって決定される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1つのタイマーは、任意の時間に検出されたすべての欠落パケットに対して維持される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記特定のパケットは、HARQチャネルに関して少なくとも1つのパケット送信を受信する可能性が高くなることが確実になるように選択される請求項13に記載の方法。
【請求項17】
各欠落パケットに対する候補HARQチャネルの前記組は、パケットデータ送信に対して使用される各HARQチャネルに対する1つの成分をもつマスクベクトルによって記述される請求項8に記載の方法。
【請求項18】
HARQチャネルに関して係属中のトランザクションは、前記HARQチャネルが特定の時間の間、非アクティブであるときに完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項19】
係属中トランザクションをもつ各HARQチャネルに対して不作動タイマーを維持することをさらに具備し、前記不作動タイマーが満了したときに前記HARQチャネルに関する前記係属中のトランザクションが完了したとみなされる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各HARQチャネルに対する前記不作動タイマーは、パケット送信が前記HARQチャネルに関して受信されたときはいつでも再開される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記特定の時間は、前記HARQチャネルに関して少なくとも2つのパケットトランザクションを受信する可能性が高くなることが確実になるように選択される請求項18に記載の方法。
【請求項22】
HARQチャネルに関して係属中のトランザクションは、パケットが前記HARQチャネルから復元されたときに完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項23】
HARQチャネルに関する係属中のトランザクションは、新たなパケットが前記HARQチャネルに関して送信されるべきであることが検出されたときに、完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項24】
前記新たなパケットは、各パケットトランザクションとともに送信された新たなデータインジケータの変化に基づいて検出される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
HARQチャネルに関する係属中のトランザクションは、前記HARQチャネルを流出する指示を受信したときに完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項26】
前記CDMA通信システムは、リリース5あるいはそれよりも後のリリースを実装するW−CDMAシステムである請求項8に記載の方法。
【請求項27】
前記CDMA通信システムは、cdma2000システムである請求項8に記載の方法。
【請求項28】
CDMA通信システムにおいて、ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティによって復元されたデータを正しい順番で高位のレイヤに配送するための方法であって、
データ送信に使用される複数のHARQチャネルの各々に対して不作動タイマーを維持することと、
受信されたパケットの中から欠落パケットを検出することと、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止することと、
前記欠落パケットが、HARQチャネルに対する不作動タイマーに基づいて、受信されたかあるいは失われたと決定された後で、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送することと、
を具備する方法。
【請求項29】
各HARQチャネルに対する不作動タイマーは、パケット送信が前記HARQチャネルに関して受信されたときはいつでも再開される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
各不作動タイマーの期間は、前記HARQチャネルに関して少なくとも2つのパケットを受信する確率が高くなることが確実になるように選択される請求項28に記載の方法。
【請求項31】
CDMA通信システムにおいてパケットデータを送信するための方法であって、
各パケットを送信するべき優先度を決定することと、
各パケットに対する制御メッセージを形成し、その中に前記パケットの優先度を含めることと、
データチャネルに関してパケットを送信することと、
前記データチャネルに付随する制御チャネルに関して制御メッセージを送信することと、
を具備する方法。
【請求項32】
各優先度に対する前記パケットは順番に送信される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおけるパケットデータ送信を処理するための方法であって、
前記パケットデータ送信に対する流出指示を受信することと、
前記流出指示によって流出されるべき1つまたはそれ以上のHARQチャネルの組を特定することと、
前記組における各HARQチャネルを流出することと、
流出されている前記組における1つまたはそれ以上のHARQチャネルに応答して、1つまたはそれ以上のタスクを実行することと、
を具備する方法。
【請求項34】
前記組は、前記流出指示を送信するのに使用される制御メッセージにおいて特定された1つのHARQチャネルを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組は、特定の優先度に対するデータを送信するのに使用されたすべてのHARQチャネルを含み、前記特定の優先度は、前記流出指示を送信するのに使用される制御メッセージにおいて特定される請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記組は、データ送信に使用されるすべてのHARQチャネルを含む請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記1つまたはそれ以上のタスクを実行することは、流出される1つまたはそれ以上のHARQチャネルに関して待機しているパケットを高位のレイヤに送信することを含む請求項33に記載の方法。
【請求項38】
ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティからパケットを受信し、
前記受信したパケットの中から欠落パケットを検出し、
前記検出されたパケットよりも遅い受信パケットの配送を停止し、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQチャネルから連続的に受信されたかを決定し、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから受信されたと決定された後で、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送する、ために、
デジタル情報を解釈することができるデジタル信号処理装置(DSPD)に通信可能に結合されたメモリ。
【請求項39】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける装置であって、
HARQエンティティからパケットを受信する手段と、
前記受信したパケットの中で欠落パケットを検出する手段と、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止する手段と、
前記欠落パケットを送信するのに使用されたHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから連続的に受信されたかを決定する手段と、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから受信されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送する手段と、
を具備する装置。
【請求項40】
HARQチャネルは、それが特定の時間の間、非アクティブであるときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項41】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して送信されるパケットが復元されたときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項42】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して新たなパケットが送信されるべきことが検出されたときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項43】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルを流出する指示が受信されたときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項44】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける装置であって、
データ送信に使用される複数のHARQチャネルの各々に対して不作動タイマーを維持する手段と、
受信されたパケットの中から欠落パケットを検出する手段と、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止する手段と、
前記欠落パケットが、HARQチャネルに対する前記不作動タイマーに基づいて受信されたかあるいは失われたと決定された後で、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送する手段と、
を具備する装置。
【請求項45】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける受信機であって、
復元されたパケットを提供するためにデータ送信を処理するべく動作するRXデータプロセッサと、
前記復元されたパケットの中で欠落パケットを検出し、
前記検出された欠落パケットよりも遅い復元パケットの配送を停止し、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたかを決定し、
前記欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された復元パケットを配送するべく動作可能なコントローラと、
を具備する受信機。
【請求項46】
HARQチャネルは、それが特定の時間間隔の間、非アクティブであるときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項47】
HARQチャネルは、それが前記HARQチャネルに関して送信されるパケットが復元されたときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項48】
HARQチャネルは、新たなパケットが前記HARQチャネルに関して送信されることが検出されたときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項49】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルを流出する指示が受信されたときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項50】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける端末であって、
復元されたパケットを提供するためにデータ送信を処理するべく動作するRXデータプロセッサと、
前記復元されたパケットの中で欠落パケットを検出し、
前記検出された欠落パケットよりも遅い復元パケットの配送を停止し、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたかを決定し、
前記欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された復元パケットを配送するべく動作可能なコントローラと、
を具備する端末。
【請求項51】
前記CDMA通信システムは、リリース5あるいはそれ以降のリリースを実装するW−CDMAである請求項50に記載の端末。
【請求項1】
CDMA通信システムにおいて、ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティによって復元されたデータを正しい順番で高位のレイヤに配送するための方法であって、
前記HARQエンティティからパケットを受信することと、
前記受信されたパケットの中から欠落パケットを検出することと、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止することと、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することにより、各欠落パケットが前記HARQエンティティから連続的に受信されるかあるいは失われたかを決定することと、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから受信されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送することと、
を具備する方法。
【請求項2】
HARQチャネルは、それが特定の時間の間、非アクティブであるときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して送信されるパケットが復元されたときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
HARQチャネルは、新たなパケットが前記HARQチャネルに関して送信されるべきであることが検出されたときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルを流出するための指示が受信されたときに除去される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
各HARQチャネルは、制御メッセージにおけるフィールドによって特定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記CDMA通信システムはリリース5あるいはそれよりも後のリリースを実装するW−CDMAシステムである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
CDMA通信システムにおいて、ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティによって復元されたデータを正しい順番で高位のレイヤに配送するための方法であって、
前記HARQエンティティからパケットを受信することと、
前記受信パケットの中から欠落パケットを検出することと、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止することと、
各欠落パケットに対して、
前記欠落パケットを送信するのに使用される候補HARQチャネルの組を決定することと、
前記HARQチャネルに関して係属中のトランザクションが完了したときに、前記組の中の各候補HARQチャネルを除去することと、
すべての候補HARQチャネルが前記組から除去されたときに前記欠落パケットは失われたと宣言することと、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから連続的に受信されたと宣言されたときに、前記欠落パケットによって停止された受信パケットを配送することと、
を具備する方法。
【請求項9】
前記パケットは、前記パケットに割り当てられた送信シーケンス番号(TSN)に基づいて、順番に送信される請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記欠落パケットは、前記受信パケットのTSNに基づいて検出される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
各欠落パケットに対する候補HARQチャネルの組は、前記欠落パケットが検出された時点でアクティブであるHARQチャネルを含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して少なくとも1つのパケット送信が受信されたときに、アクティブであるとみなされる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各欠落パケットに対する候補HARQチャネルの前記組は、前記欠落パケットが検出されたときからの特定の遅延である時刻に到着するHARQチャネルを含む請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記特定の遅延は、前記欠落パケットが検出されたときに開始されるタイマーによって決定される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
1つのタイマーは、任意の時間に検出されたすべての欠落パケットに対して維持される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記特定のパケットは、HARQチャネルに関して少なくとも1つのパケット送信を受信する可能性が高くなることが確実になるように選択される請求項13に記載の方法。
【請求項17】
各欠落パケットに対する候補HARQチャネルの前記組は、パケットデータ送信に対して使用される各HARQチャネルに対する1つの成分をもつマスクベクトルによって記述される請求項8に記載の方法。
【請求項18】
HARQチャネルに関して係属中のトランザクションは、前記HARQチャネルが特定の時間の間、非アクティブであるときに完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項19】
係属中トランザクションをもつ各HARQチャネルに対して不作動タイマーを維持することをさらに具備し、前記不作動タイマーが満了したときに前記HARQチャネルに関する前記係属中のトランザクションが完了したとみなされる請求項18に記載の方法。
【請求項20】
各HARQチャネルに対する前記不作動タイマーは、パケット送信が前記HARQチャネルに関して受信されたときはいつでも再開される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記特定の時間は、前記HARQチャネルに関して少なくとも2つのパケットトランザクションを受信する可能性が高くなることが確実になるように選択される請求項18に記載の方法。
【請求項22】
HARQチャネルに関して係属中のトランザクションは、パケットが前記HARQチャネルから復元されたときに完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項23】
HARQチャネルに関する係属中のトランザクションは、新たなパケットが前記HARQチャネルに関して送信されるべきであることが検出されたときに、完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項24】
前記新たなパケットは、各パケットトランザクションとともに送信された新たなデータインジケータの変化に基づいて検出される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
HARQチャネルに関する係属中のトランザクションは、前記HARQチャネルを流出する指示を受信したときに完了したとみなされる請求項8に記載の方法。
【請求項26】
前記CDMA通信システムは、リリース5あるいはそれよりも後のリリースを実装するW−CDMAシステムである請求項8に記載の方法。
【請求項27】
前記CDMA通信システムは、cdma2000システムである請求項8に記載の方法。
【請求項28】
CDMA通信システムにおいて、ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティによって復元されたデータを正しい順番で高位のレイヤに配送するための方法であって、
データ送信に使用される複数のHARQチャネルの各々に対して不作動タイマーを維持することと、
受信されたパケットの中から欠落パケットを検出することと、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止することと、
前記欠落パケットが、HARQチャネルに対する不作動タイマーに基づいて、受信されたかあるいは失われたと決定された後で、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送することと、
を具備する方法。
【請求項29】
各HARQチャネルに対する不作動タイマーは、パケット送信が前記HARQチャネルに関して受信されたときはいつでも再開される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
各不作動タイマーの期間は、前記HARQチャネルに関して少なくとも2つのパケットを受信する確率が高くなることが確実になるように選択される請求項28に記載の方法。
【請求項31】
CDMA通信システムにおいてパケットデータを送信するための方法であって、
各パケットを送信するべき優先度を決定することと、
各パケットに対する制御メッセージを形成し、その中に前記パケットの優先度を含めることと、
データチャネルに関してパケットを送信することと、
前記データチャネルに付随する制御チャネルに関して制御メッセージを送信することと、
を具備する方法。
【請求項32】
各優先度に対する前記パケットは順番に送信される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおけるパケットデータ送信を処理するための方法であって、
前記パケットデータ送信に対する流出指示を受信することと、
前記流出指示によって流出されるべき1つまたはそれ以上のHARQチャネルの組を特定することと、
前記組における各HARQチャネルを流出することと、
流出されている前記組における1つまたはそれ以上のHARQチャネルに応答して、1つまたはそれ以上のタスクを実行することと、
を具備する方法。
【請求項34】
前記組は、前記流出指示を送信するのに使用される制御メッセージにおいて特定された1つのHARQチャネルを含む請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組は、特定の優先度に対するデータを送信するのに使用されたすべてのHARQチャネルを含み、前記特定の優先度は、前記流出指示を送信するのに使用される制御メッセージにおいて特定される請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記組は、データ送信に使用されるすべてのHARQチャネルを含む請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記1つまたはそれ以上のタスクを実行することは、流出される1つまたはそれ以上のHARQチャネルに関して待機しているパケットを高位のレイヤに送信することを含む請求項33に記載の方法。
【請求項38】
ハイブリッド自動再送(HARQ)エンティティからパケットを受信し、
前記受信したパケットの中から欠落パケットを検出し、
前記検出されたパケットよりも遅い受信パケットの配送を停止し、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQチャネルから連続的に受信されたかを決定し、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから受信されたと決定された後で、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送する、ために、
デジタル情報を解釈することができるデジタル信号処理装置(DSPD)に通信可能に結合されたメモリ。
【請求項39】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける装置であって、
HARQエンティティからパケットを受信する手段と、
前記受信したパケットの中で欠落パケットを検出する手段と、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止する手段と、
前記欠落パケットを送信するのに使用されたHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから連続的に受信されたかを決定する手段と、
前記欠落パケットが失われたかあるいは前記HARQエンティティから受信されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送する手段と、
を具備する装置。
【請求項40】
HARQチャネルは、それが特定の時間の間、非アクティブであるときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項41】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して送信されるパケットが復元されたときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項42】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルに関して新たなパケットが送信されるべきことが検出されたときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項43】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルを流出する指示が受信されたときに除去される請求項39に記載の装置。
【請求項44】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける装置であって、
データ送信に使用される複数のHARQチャネルの各々に対して不作動タイマーを維持する手段と、
受信されたパケットの中から欠落パケットを検出する手段と、
前記検出された欠落パケットよりも遅い受信パケットの配送を停止する手段と、
前記欠落パケットが、HARQチャネルに対する前記不作動タイマーに基づいて受信されたかあるいは失われたと決定された後で、各欠落パケットによって停止された受信パケットを配送する手段と、
を具備する装置。
【請求項45】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける受信機であって、
復元されたパケットを提供するためにデータ送信を処理するべく動作するRXデータプロセッサと、
前記復元されたパケットの中で欠落パケットを検出し、
前記検出された欠落パケットよりも遅い復元パケットの配送を停止し、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたかを決定し、
前記欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された復元パケットを配送するべく動作可能なコントローラと、
を具備する受信機。
【請求項46】
HARQチャネルは、それが特定の時間間隔の間、非アクティブであるときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項47】
HARQチャネルは、それが前記HARQチャネルに関して送信されるパケットが復元されたときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項48】
HARQチャネルは、新たなパケットが前記HARQチャネルに関して送信されることが検出されたときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項49】
HARQチャネルは、前記HARQチャネルを流出する指示が受信されたときに除去される請求項45に記載の受信機。
【請求項50】
ハイブリッド自動再送(HARQ)機構をもつCDMA通信システムにおける端末であって、
復元されたパケットを提供するためにデータ送信を処理するべく動作するRXデータプロセッサと、
前記復元されたパケットの中で欠落パケットを検出し、
前記検出された欠落パケットよりも遅い復元パケットの配送を停止し、
前記欠落パケットを送信するのに使用されるHARQチャネルを連続的に除去することによって、各欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたかを決定し、
前記欠落パケットが失われたかあるいは連続的に復元されたと決定された後に、各欠落パケットによって停止された復元パケットを配送するべく動作可能なコントローラと、
を具備する端末。
【請求項51】
前記CDMA通信システムは、リリース5あるいはそれ以降のリリースを実装するW−CDMAである請求項50に記載の端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−231490(P2012−231490A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−134929(P2012−134929)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2009−256305(P2009−256305)の分割
【原出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134929(P2012−134929)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2009−256305(P2009−256305)の分割
【原出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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