説明

CMT及び関連障害を処置するための新たな組成物

本発明は、シャルコ−マリートゥース病及び関連障害の処置のための組成物及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャルコ−マリートゥース病及び関連障害の処置のための組成物及び方法に関する。
【0002】
シャルコ−マリートゥース病(「CMT」)は、希少な遺伝性末梢多発性ニューロパチーである。約2,500人中1人が罹患し、この疾患は、末梢神経系の最も一般的な遺伝性障害である。その発症は、典型的には、一生のうち10歳まで又は20歳までに起こるが、それは乳児期に検出されうる。疾患の経過は慢性的であり、段階的な神経筋変性を伴う。疾患は、神経疼痛及び極度の筋肉障害を伴う場合、無力化される。CMTは、最も良く研究された遺伝的病理の1つであり、フランスにおいて約30,000症例がある。CMT患者の大半が、ミエリン遺伝子PMP22を含む17番染色体断片の重複を持ち(CMT1A型)、20数個の遺伝子が、異なる形態のCMTに関与している。したがって、元来は単一遺伝子性であるが、この病理は、可能性があるモジュレーター遺伝子に起因する臨床的な不均一性を顕在化させる。CMT患者において突然変異している遺伝子は、緊密に関連した分子経路の周辺に密集しており、シュワン細胞又はニューロンの分化に影響を及ぼすか、あるいは、末梢神経においてこれらの細胞の相互作用を変化させる。
【0003】
公的に利用可能なデータ(CMT1A疾患の分子機構及び病理学的発現を記載する)の検索によって、本発明者らは、いくつかの機能的細胞モジュール(PMP22遺伝子の転写調節、PMP22タンパク質のフォールディング/分解、シュワン細胞の増殖及びアポトーシス、ニューロンの死、細胞外マトリクス沈着及びリモデリング、免疫応答)を、CMT関連治療介入のための可能性のある正当な標的として優先順位をつけることができた。シャルコ−マリートゥースの病理学的発現の発症及び進行に対するこれらの調節解除された機能的モジュールの複合的影響によって、組み合わせCMT処置の潜在的有効性が正当化される。
【0004】
国際特許出願PCT/EP2008/066457には、動的病態モデルを構築し、CMT病の調節において関連する機能的な細胞経路を標的化することにより、シャルコ−マリートゥース病の処置のための薬物候補を同定する方法が記載される。
【0005】
国際特許出願PCT/EP2008/066457にはシャルコ−マリートゥース病の処置のための組成物が記載され、複数の薬物候補の群より選択される少なくとも2つの化合物を含む。
発明の概要
【0006】
本発明の目的は、CMT及び関連障害を処置するための新たな治療的組み合わせを提供することである。本発明は、このように、特定の薬物の組み合わせを使用して、CMT及び関連障害、特に中毒性ニューロパチー及び筋萎縮性側索硬化症を処置するための組成物及び方法に関する。
【0007】
本発明の目的は、より具体的には、哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための、バクロフェン、ソルビトール、ならびに、ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ナルトレキソン、ラパマイシン、フルルビプロフェン、及びケトプロフェン、その塩又はプロドラッグより選択される化合物を含む組成物に関する。
【0008】
本発明の特定の目的は、哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための、バクロフェン、ソルビトール、及びナルトレキソンを含む組成物に関する。
【0009】
本発明の別の目的は、哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための、(a)ラパマイシン、(b)ミフェプリストン又はナルトレキソン、及び(c)PMP22モジュレーターを含む組成物に関する。
【0010】
特定の実施態様において、PMP22モジュレーターは、アセタゾラミド、アルブテロール、アミロライド、アミノグルテチミド、アミオダロン、アズトレオナム、バクロフェン、バルサラジド、ベタイン、ベタネコール、ビカルタミド、ブロモクリプチン、ブメタニド、ブスピロン、カルバコール、カルバマゼピン、カルビマゾール、セビメリン、シプロフロキサシン、クロニジン、クルクミン、シクロスポリンA、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジノプロストン、ジスルフィラム、D−ソルビトール、デュタステリド、エストラジオール、エキセメスタン、フェルバメート、フェノフィブレート、フィナステリド、フルマゼニル、フルニトラゼパム、フルルビプロフェン、フロセミド、ガバペンチン、ガランタミン、ハロペリドール、イブプロフェン、イソプロテレノール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、L−カルニチン、リオサイロニン(T3)、リチウム、ロサルタン、ロキサピン、メロキシカム、メタプロテレノール、メタラミノール、メトホルミン、メタコリン、メチマゾール、メチルエルゴノビン、メトプロロール、メチラポン、ミコナゾール、ミフェプリストン、ナドロール、ナロキソン、ナルトレキソン;ノルフロキサシン、ペンタゾシン、フェノキシベンザミン、フェニルブチレート、ピロカルピン、ピオグリタゾン、プラゾシン、プロピルチオウラシル、ラロキシフェン、ラパマイシン、リファンピン、シンバスタチン、スピロノラクトン、タクロリムス、タモキシフェン、トレハロース、トリロスタン、バルプロ酸、その塩又はプロドラッグより選択される。
【0011】
本発明の別の目的は、哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための、ラパマイシン及びミフェプリストンを含む組成物である。
【0012】
本発明のさらなる目的は、1つ又はいくつかの医薬的に許容可能な賦形剤又は担体をさらに含む、上に開示する組成物(即ち、医薬的組成物)である。
【0013】
本発明の別の目的は、CMT又は関連障害を処置するための、上に開示する組成物に関する。
【0014】
本発明のさらなる目的は、CMT又は関連障害の処置用の薬物の製造のための、上に開示する化合物の組み合わせの使用に関する。
【0015】
本発明のさらなる目的は、CMT又は関連障害を処置するための方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に定義する組成物を投与することを含む。
【0016】
本発明のさらなる目的は、医薬的組成物を調製する方法であって、該方法が、上の化合物を、適切な賦形剤又は担体中で混合することを含む。
【0017】
本発明のより特定の目的は、CMT1aを被験体においてCMT1aを処置する方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に開示する化合物又は化合物の組み合わせを投与することを含む。
【0018】
本発明のさらなる特定の目的は、被験体において、中毒性ニューロパチーを処置する方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に開示する化合物又は化合物の組み合わせを投与することを含む。
【0019】
本発明のさらなる特定の目的は、被験体においてALSを処置する方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に開示する化合物又は化合物の組み合わせを投与することを含む。
【0020】
本明細書において開示する処置の種々の使用又は方法のいずれかは、また、患者がCMT又は関連障害、特にCMT1Aを有することを診断する、あるいは個人にCMT又は関連障害、特にCMT1Aを発症するリスクがあることを特定する任意の工程を含むことができる。
【0021】
この点において、本発明のさらなる目的は、CMT、特にCMT1aを処置する方法であって、該方法は、(1)被験体がCMT、特にCMT1aを有するか否かを評価すること、及び(2)CMT、特にCMT1aを有する被験体を、有効量の上に記載する化合物の組み合わせを用いて処置することを含む。被験体がCMT、特にCMT1aを有するか否かを決定することは、当技術分野においてそれ自体が公知の種々の試験(例えばDNAアッセイなど)により行うことができる。
【0022】
本発明は、任意の哺乳動物の被験体、特にヒト被験体において、CMT又は関連障害、より好ましくはCMT1aを処置するために使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】薬物の組み合わせの相乗効果、用量1:MBP発現に対するA)Mix7(用量1、10日目)、B)d−ソルビトール(SRB、500μM、10日目)、C)(R/S)バクロフェン(BCL、5μM、10日目)、及びD)ナルトレキソン(NTX、5μM、10日目)の効果。*:p<0.05:コントロール(=アスコルビン酸)と有意差あり(One−Way ANOVA、それに続くFisher Post−hoc検定);ns:統計的差なし。
【図2】薬物の組み合わせの相乗効果、用量6:MBP発現に対するA)Mix7(用量6、10日目)、B)SRB(160nM、10日目)、C)BCL(1.6nM、10日目)、及びD)NTX(1.6nM、10日目)の効果。*:p<0.05:コントロール(=アスコルビン酸)と有意差あり(One−Way ANOVA、それに続くFisher Post−hoc検定);ns:統計的差なし。
【図3】PMP22 TG同時培養中のアスコルビン酸との同時インキュベーションにおけるMBP発現に対するMix7(7用量)A)(10日目)及びB)(11日目)のポジティブ効果(コントロール(=アスコルビン酸)のパーセンテージ)。One−Way ANOVA、それに続くFisher post−hoc検定
【図4】雄ラットに対するMix1を用いた3及び6週間の処置のポジティブ効果(バーテストを使用して測定)。潜時を、テストの2つの最初のアッセイの平均値として測定した(白色バーは、プラセボを用いて処置されたコントロールラットを示す;黒色バーは、プラセボを用いて処置されたトランスジェニックラットを示す;灰色バーは、Mix1を用いて処置されたトランスジェニックラットを示す(** p<0.01)。統計は、Studentの両側検定を用いて実現する)。
【図5】雄ラットの歩行に対するMix1組成物を用いた3及び6週間(それぞれ左及び右のグラフ)処置のポジティブ効果(白色バーは、円滑歩行を示す;灰色バーは、非円滑歩行を示す;黒色バーは、重度の歩行不能を伴うラット示す。統計は、Studentの両側検定を用いて実現する)。
【図6】雄ラットに対する、傾斜板テスト(25°)を使用した、ラットにおけるMix1組成物のポジティブ効果。ラットを、処置後3、6、9、及び12週間調べた(白色バーは、プラセボを用いて処置されたコントロールラットを示す;黒色バーは、プラセボを用いて処置されたトランスジェニックラットを示す;灰色バーは、Mix1を用いて処置されたトランスジェニックラットを示す(** p<0.05)。統計は、Studentの両側検定を用いて実現する)。
【図7】雌ラットに対する、傾斜板テストを使用した、ラットにおけるMix2組成物を用いた3週間の処置のポジティブ効果(白色バーは、プラセボを用いて処置されたコントロールラットを示す;黒色バーは、プラセボを用いて処置されたトランスジェニックラットを示す;灰色バーは、Mix2を用いて処置されたトランスジェニックラットを示す(** p<0.01)。統計は、Studentの両側検定を用いて実現する)。
【図8】雄ラットに対する、オキサリプラチン誘発性ニューロパチーに対するMix1の保護効果(白色バーは、プラセボを用いて処置された野生型ラットを示す;黒色バーは、参照物ガバペンチンを用いて処置された野生型ラットを示す;灰色バーは、Mix1を用いて処置された野生型ラットを示す(* p<0.05;** p<0.01)。統計は、Studentの両側検定を用いて実現する)。
【図9】PMP22トランスジェニックラットと比較した、処置されたトランスジェニック動物におけるpmp22 RNA発現の有意な減少(Mix7用量3を用いた処置後9週間観察された)(参照遺伝子としてMPZ、Sereda et al, 1996)(p=0.0015)。pmp22遺伝子の導入遺伝子組込み及び過剰発現も確認されている;トランスジェニックPMP22ラットにおけるpmp22 RNAは、それらの野生型同腹仔コントロールと比較して、1.8倍過剰発現していた(p<1.10−4)。pmp22 RNAの抽出は、16週齢の雄ラットの坐骨神経で実施した(野生型についてn=18、トランスジェニックラットについてn=20、及びMix7用量3を用いて処置されたTGについてn=18)。統計分析を、Welchのt検定を使用することにより実施した。
【図10】クラスタリング分析を、35°での傾斜板テストスコアで実施し、不良な、中程度の、及び良好な成績クラスを全ての評価時点(3、6、及び9週間の処置(一緒に分析した))分布させるために行った。有意差をWTとTGプラセボの間で観察した:WTの68%が良好な成績群に属し、TGプラセボのわずか5%がこの群に属した(p=0.0003)。Mix7用量2及び用量3によってTGラットの成績が改善された。統計分析を、5%有意水準で傾向検定を適用することにより実施した(WTプラセボラットについてn=18、TGプラセボラットについてn=20、Mix7用量2を用いて処置されたTGについてn=17、及びMix7用量3を用いて処置されたTGについてn=18)。
【図11】Mix7用量3を用いた処置後9週間のバーテストにおけるTGラットの落下潜時を、サンドイッチ分散推定量を用いたCoxモデルを使用して分析し、5%有意水準でログランク検定を適用することにより参照TGプラセボと比較した。Mix7用量3は、処置後9週間に、TGラットの落下潜時を有意に増加させた。
【図12】野生型、トランスジェニックプラセボ、及びMix7用量3を用いて9週間にわたり毎日処置されたトランスジェニック動物の群の握力を、処置後の全ての時間(3、6、及び9週間)にわたりサンドイッチ分散推定量を用いたCoxモデルを使用してモデル化し、5%有意水準でログランク検定を適用することにより参照TGプラセボと比較した。対応するp値をKaplan−Meier曲線で示した。トランスジェニックプラセボラット(黒色の単純線、n=21)の前肢の握力での有意な減少が、WTラット(灰色の単純線、p=1.45.10−5、n=19)と比較して観察された。Mix7用量3を用いた処置によって、前肢の力が有意に増加した(黒色の破線;p=0.03、n=18)。
【図13】ピアソン相関検定によって、バーテストにおける落下潜時(処置後9週間)とpmp22 RNA発現レベルの間に有意な相関が示された:p=1,6.10−4(WT、TGプラセボ、及びMix7用量3を用いて処置されたTG(一緒に分析された));p=0,07(TGプラセボ及びMix7用量3を用いて処置されたTG(一緒に分析された))。pmp22 RNA発現が低いほど、バーテスト成績は良好であった。雄ラットは16週齢であった(WTラットについてn=18、白色丸;TGプラセボについてn=20、黒色丸、及びMix7用量3を用いて処置されたTGについてn=18、白色三角)。
【図14】ピアソン相関検定によって、バーテストにおける落下潜時(処置後9週間)と感受性神経の伝導速度(NCV)の間に有意な相関が示された:p=1,34.10−6(WT、TGプラセボ、及びMix7用量3を用いて処置されたTG(一緒に分析された))及びp=0,04(TGプラセボ及びMix7用量3を用いて処置されたTG(一緒に分析された))。伝導速度が高いほど、バーテストでの成績は良好であった。雄ラットは16週齢であった(WTラットについてn=18、白色丸;TGプラセボについてn=20、黒色丸、及びMix7用量3を用いて処置されたTGについてn=18、白色三角)。発明の詳細な説明
【0024】
本発明は、CMT又は関連障害を処置するための新たな治療的アプローチを提供する。本発明は、そのような疾患の効果的な改善を可能にし、任意の哺乳動物の被験体において使用してもよい新規の薬物の組み合わせを開示する。
【0025】
本発明の関連して、CMTは、CMT1A、CMT1B、CMT1C、CMT1D、CMT1X、CMT2A、CMT2B、CMT2D、CMT2E、CMT2−P0、CMT4A、CMT4B1、CMT4B2、CMT4D、CMT4F、CMT4、又はAR−CMT2A、より好ましくはCMT1aを含む。
【0026】
本発明の関連して、用語「CMT関連障害」は、異常な有髄化及びニューロンの喪失に導く、PMP22の異常発現に関連する他の疾患を指す。用語「CMT関連障害」は、特に、アルツハイマー病(AD)、AD型の老人性痴呆症(SDAT)、パーキンソン病、Lewis体痴呆症、血管性痴呆症、自閉症、軽度認知障害(MCI)、加齢関連の記憶障害(AAMI)及び加齢に関連する問題、脳炎後パーキンソニスム、統合失調症、欝病、双極性疾患及び他の気分障害、ハンチントン病、運動ニューロン疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)を含む)、多発性硬化症、特発性ニューロパチー、糖尿病性ニューロパチー、中毒性ニューロパチー(薬物処置により誘発されたニューロパチーを含む)、HIV、放射線、重金属、及びビタミン欠乏状態により引き起こされるニューロパチー、プリオンベースの神経変性(クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を含む)、牛海綿状脳症(BSE)、GSS、FFI、クールー、及びアルパース症候群を含む。
【0027】
好ましい実施態様において、「CMT関連障害」は、中毒性ニューロパチー、特に薬物誘発性ニューロパチー、又はALSを指す。
【0028】
本明細書で使用される障害の「処置」は、障害により引き起こされる疼痛の治療、抑制、予防法、遅延、又は低減を含む。用語「処置」は、特に、疾患進行及び関連症状の制御を含む。
【0029】
また、用語「化合物」は、本願で特に命名される化学的化合物、ならびに許容可能なその塩、水和物、エステル、エーテル、異性体、ラセミ体、抱合体、プロドラッグを伴う任意の医薬的組成物を指す。本願において列挙する化合物は、また、その対応するCASナンバーを用いて同定されうる。
【0030】
このように、本発明において使用する好ましい化合物は、バクロフェン(CAS 1134−47−0)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体;ソルビトール(CAS 50−70−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体;ナルトレキソン(CAS 16590−41−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体;ミフェプリストン(CAS 84371−65−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体;ピロカルピン(CAS 54−71−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体;メチマゾール(CAS 60−56−0)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体;ケトプロフェン(CAS 22071−15−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体;フルルビプロフェン(5104−49−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体ならびにラパマイシン(CAS 53123−88−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、ラセミ体、プロドラッグ、及び誘導体である。
【0031】
本発明において使用するさらなる化合物は、アセタゾラミド(CAS 59−66−5)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;アルブテロール(CAS 18559−94−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;アミロライド(CAS 2016−88−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;アミノグルテチミド(CAS 125−84−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;アミオダロン(CAS 1951−25−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;アズトレオナム(CAS 78110−38−0)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;バクロフェン(CAS 1134−47−0)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;バルサラジド(CAS 80573−04−2)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ベタイン(CAS 107−43−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ベタネコール(CAS 674−38−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ビカルタミド(CAS 90357−06−5)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ブロモクリプチン(CAS 25614−03−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ブメタニド(CAS 28395−03−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ブスピロン(CAS 36505−84−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;カルバコール(CAS 51−83−2)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;カルバマゼピン(CAS 298−46−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;カルビマゾール(CAS 22232−54−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;セビメリン(CAS 107233−08−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;シプロフロキサシン(CAS 85721−33−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;クロニジン(CAS 4205−90−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;クルクミン(CAS 458−37−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;シクロスポリンA(CAS 59865−13−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ジアゼパム(CAS 439−14−5)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ジクロフェナク(CAS 15307−86−5)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ジノプロストン(CAS 363−24−6)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ジスルフィラム(CAS 97−77−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;D−ソルビトール(CAS 50−70−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;デュタステリド(CAS 164656−23−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;エストラジオール(CAS 50−28−2)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;エキセメスタン(CAS 107868−30−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フェルバメート(CAS 25451−15−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フェノフィブレート(CAS 49562−28−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フィナステリド(CAS 98319−26−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フルマゼニル(CAS 78755−81−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フルニトラゼパム(CAS 1622−62−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フルルビプロフェン(CAS 5104−49−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フロセミド(CAS 54−31−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ガバペンチン(CAS 60142−96−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ガランタミン(CAS 357−70−0)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ハロペリドール(CAS 52−86−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;イブプロフェン(CAS 15687−27−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;イソプロテレノール(CAS 7683−59−2)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ケトコナゾール(CAS 65277−42−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ケトプロフェン(CAS 22071−15−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;L−カルニチン(CAS 541−15−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;リオサイロニン(T3)(CAS 6893−02−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;リチウム(CAS 7439−93−2)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ロサルタン(CAS 114798−26−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ロキサピン(CAS 1977−10−2)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メロキシカム(CAS 71125−38−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メタプロテレノール(CAS 586−06−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メタラミノール(CAS 54−49−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メトホルミン(CAS 657−24−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メタコリン(CAS 55−92−5)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メチマゾール(CAS 60−56−0)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メチルエルゴノビン(CAS 113−42−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メトプロロール(CAS 37350−58−6)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;メチラポン(CAS 54−36−4)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ミコナゾール(CAS 22916−47−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ミフェプリストン(CAS 84371−65−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ナドロール(CAS 42200−33−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ナロキソン(CAS 465−65−6)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ナルトレキソン(CAS 16590−41−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ノルフロキサシン(CAS 70458−96−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ペンタゾシン(CAS 359−83−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フェノキシベンザミン(CAS 59−96−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;フェニルブチレート(CAS 1821−12−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ピロカルピン(CAS 54−71−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ピオグリタゾン(CAS 111025−46−8)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;プラゾシン(CAS 19216−56−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;プロピルチオウラシル(CAS 51−52−5)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ラロキシフェン(CAS 84449−90−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;ラパマイシン(CAS 53123−88−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;リファンピン(CAS 13292−46−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;シンバスタチン(CAS 79902−63−9)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;スピロノラクトン(CAS 52−01−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;タクロリムス(CAS 104987−11−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;タモキシフェン(CAS 10540−29−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;トレハロース(CAS 99−20−7)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;トリロスタン(CAS 13647−35−3)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体;バルプロ酸(CAS 99−66−1)ならびにその可能な塩、エナンチオマー、プロドラッグ、及び誘導体である。
【0032】
用語「組み合わせ」は、いくつかの薬物を被験体に同時投与し、生物学的効果を起こす処置を指す。組み合わせ治療において、薬物を、一緒に又は別々に、同時に又は連続的に投与してもよい。また、薬物を、異なる経路又はプロトコールにより投与してもよい。
【0033】
本発明は、本明細書で、CMTのための効率的な処置を提供する特定の薬物の組み合わせの同定及び活性を開示する。より具体的には、本発明はインビトロ及びインビボでCMT又は関連障害に対する有意な効果を提供する新規の三つ組みの組み合わせを開示する。
【0034】
この点において、本発明は、バクロフェン、ソルビトール、ならびに、ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ナルトレキソン、ラパマイシン、フルルビプロフェン、及びケトプロフェン、その塩、エナンチオマー、ラセミ体、又はプロドラッグより選択される化合物を含む組成物に関する。
【0035】
より好ましくは、本発明は、バクロフェン、ソルビトール、ならびに、ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ナルトレキソン、及びケトプロフェンより選択される化合物を含む組成物に関する。
【0036】
最も好ましい実施態様において、本発明は、哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための、ナルトレキソン、バクロフェン、及びソルビトールを含む組成物に関する。
【0037】
好ましくは、上の組成物において、ソルビトールはD−ソルビトールであり、バクロフェンはRS−バクロフェン又はS−バクロフェン、より好ましくはRS−バクロフェンである。
【0038】
本発明の別の好ましい目的は、以下を含む組成物に関する:
哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための
(a)ラパマイシン、
(b)ミフェプリストン又はナルトレキソン、及び
(c)PMP22モジュレーター。
【0039】
本発明の別の好ましい目的は、以下を含む組成物である:
哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための
(a)ラパマイシン、
(b)ミフェプリストン、及び
(c)PMP22モジュレーター。
【0040】
PMP22モジュレーターは、細胞中のPMP22経路を調節し、ミエリン組織化の正常化及び/又はニューロン喪失の阻害を本質的に起こす又はそれに寄与する任意の化合物でありうる。PMP22モジュレーターは、アセタゾラミド、アルブテロール、アミロライド、アミノグルテチミド、アミオダロン、アズトレオナム、バクロフェン、バルサラジド、ベタイン、ベタネコール、ビカルタミド、ブロモクリプチン、ブメタニド、ブスピロン、カルバコール、カルバマゼピン、カルビマゾール、セビメリン、シプロフロキサシン、クロニジン、クルクミン、シクロスポリンA、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジノプロストン、ジスルフィラム、D−ソルビトール、デュタステリド、エストラジオール、エキセメスタン、フェルバメート、フェノフィブレート、フィナステリド、フルマゼニル、フルニトラゼパム、フルルビプロフェン、フロセミド、ガバペンチン、ガランタミン、ハロペリドール、イブプロフェン、イソプロテレノール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、L−カルニチン、リオサイロニン(T3)、リチウム、ロサルタン、ロキサピン、メロキシカム、メタプロテレノール、メタラミノール、メトホルミン、メタコリン、メチマゾール、メチルエルゴノビン、メトプロロール、メチラポン、ミコナゾール、ミフェプリストン、ナドロール、ナロキソン、ナルトレキソン;ノルフロキサシン、ペンタゾシン、フェノキシベンザミン、フェニルブチレート、ピロカルピン、ピオグリタゾン、プラゾシン、プロピルチオウラシル、ラロキシフェン、ラパマイシン、リファンピン、シンバスタチン、スピロノラクトン、タクロリムス、タモキシフェン、トレハロース、トリロスタン、バルプロ酸、その塩又はプロドラッグより選択される。
【0041】
好ましい実施態様において、化合物(c)は、ピロカルピン、メチマゾール、及びバクロフェンより選択される。この点において、本発明の最も好ましい組成物は以下を含む:
哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための
(a)ラパマイシン、
(b)ミフェプリストン、及び
(c)ピロカルピン、メチマゾール、及びバクロフェンより選択される化合物。
【0042】
そのような組成物の具体例は、以下を含む組成物である:
−ラパマイシン;ミフェプリストン及びピロカルピン;
−ラパマイシン;ミフェプリストン及びバクロフェン;
−ラパマイシン;ミフェプリストン及びメチマゾール;又は
−ラパマイシン;ナルトレキソン及びメチマゾール。
【0043】
実験のセクションは、これらの特定の薬物の組み合わせが、インビトロでPMP22発現を効果的に改善し、正常な有髄化及びニューロン完全性を回復させ、動物においてインビボでCMTを寛解させることができることを示す。結果は、また、これらの組み合わせが、動物を、化学療法誘発性ニューロパチーから保護することができることを示す。結果として、これらの組成物を使用し、化学療法誘発性ニューロパチーを予防又は低下させ、それにより、患者が化学療法をより長期間にわたり受けることが可能になる。
【0044】
本発明の別の目的は、ナルトレキソン、バクロフェン、及びさらに異なるPMP22阻害剤(上に定義する)を含む組成物である。
【0045】
本発明のさらなる目的は、1つ又はいくつかの医薬的に許容可能な賦形剤又は担体をさらに含む、上に開示する組成物(即ち、医薬的組成物)である。
【0046】
本発明の別の目的は、CMT又は関連障害を処置するための、上に開示する組成物に関する。
【0047】
本発明のさらなる目的は、CMT又は関連障害の処置用の薬物の製造のための、上に開示する化合物の組み合わせの使用に関する。
【0048】
本発明のさらなる目的は、CMT又は関連障害を処置するための方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に定義する組成物を投与することを含む。
【0049】
本発明のさらなる目的は、医薬的組成物を調製する方法であって、該方法が、上の化合物を、適切な賦形剤又は担体中で混合することを含む。
【0050】
本発明のより特定の目的は、被験体においてCMT1aを処置する方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に開示する化合物又は化合物の組み合わせを投与することを含む。
【0051】
本発明のさらなる特定の目的は、被験体において中毒性ニューロパチーを処置する方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に開示する化合物又は化合物の組み合わせを投与することを含む。
【0052】
本発明のさらなる特定の目的は、被験体においてALSを処置する方法であって、該方法が、それを必要とする被験体に、有効量の上に開示する化合物又は化合物の組み合わせを投与することを含む。
【0053】
本発明の治療は、薬物の組み合わせとして及び/又は任意の他の治療と併せて実施してもよい。それは、家庭、医院、診療所、病院の外来、又は病院で提供してもよく、医師が、治療の効果を綿密に観察し、必要とされる任意の判断を行うことができる。
【0054】
治療の持続期間は、処置されている疾患の段階、患者の年齢及び状態、ならびに患者が処置に対してどのように応答するかに依存する。
【0055】
加えて、追加のニューロパチー障害を発症するより大きなリスクを有する人(例、例えば、糖尿病に遺伝的に罹りやすい又はそれを有する、あるいは、腫瘍状態の処置下にある人など)は、起こり得るニューロパチー応答を緩和又は遅延させるための予防的処置を受けてもよい。
【0056】
組み合わせの各成分の投与量、投与頻度、及び投与方法を、別々に制御することができる。例えば、1つの薬物を経口投与してもよく、第2の薬物を筋肉内投与してもよい。組み合わせ治療を、休息期間を含むオン・オフサイクルで与えてもよく、患者の体が、任意のまだ予期せぬ副作用から回復する機会を有するようにする。薬物を一緒に製剤化してもよく、1回の投与で両方の薬物を送達するようにする。
【0057】
医薬的組成物の製剤化
【0058】
組み合わせの各薬物の投与は,他の成分と組み合わせて、患者の状態を寛解させることができる薬物の濃度をもたらす任意の適した手段によってもよい(それは、例えば、インビトロで、末梢神経への到達時のPMP22の発現上昇に対する効果により決定してもよい)。
【0059】
組み合わせの活性成分を純粋な化学薬品として投与することが可能であるが、それらを医薬的組成物(本発明に関連して、医薬製剤とも呼ばれる)として提供することが好ましい。可能な組成物は、経口、直腸、局所(経皮、口腔、及び舌下を含む)、又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)投与のために適したものを含む。
【0060】
より一般的には、これらの医薬製剤は、単一パッケージ、通常はブリスター・パックにそれぞれの処置期間中に使用される定量単位用量の投与のための多数の投与単位又は他の手段を含む「患者パック」で患者に処方する。患者パックは、バルク供給から患者の医薬品の供給分を分割する、従来の処方を上回る利点を有し、そこでは、薬剤師が、それにおいて、患者は、常に、患者パックに含まれる添付文書(通常、従来の処方において含まれない)を見ることができる。添付文書の包含によって、医師の指示に対する患者コンプライアンスが改善することが示されている。このように、本発明は、前記製剤のために適した包装材料と組み合わせた医薬製剤(本明細書において以前に記載した)をさらに含む。そのような患者パックにおいて、組み合わせ処置用の製剤の意図される使用は、処置において最も適切に製剤が使用されることを補助する説明書、器具、規定、適応、及び/又は他の手段により推論することができる。そのような基準によって、患者パックが本発明の組み合わせを用いた処置のために特に適した及びそのための使用のために適応されたものとなる。
【0061】
薬物が、任意の適切な量で、任意の適した担体物質中に含まれてもよく、組成物の全重量の1〜99重量%の量で存在しうる。組成物は、経口、非経口(例、静脈内、筋肉内)、直腸、皮膚、経鼻、膣内、吸入、皮膚(パッチ)、又は眼内投与経路のために適した投与形態で提供してもよい。このように、組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末剤、顆粒剤、懸濁剤、エマルジョン、液剤、ゲル(ヒドロゲルを含む)、ペースト、軟膏、クリーム、硬膏、水薬、浸透圧送達デバイス、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、スプレー、又はエアロゾルの形態でよい。
【0062】
医薬的組成物は、従来の医薬的慣行に従って製剤化してもよい(例、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照のこと)。
【0063】
本発明の医薬的組成物は、活性薬物を、実質的に投与直後に又は投与後の任意の所定時間に又は期間に放出するように製剤化してもよい。
【0064】
制御放出製剤は以下を含む:(i)薬物の実質的に一定な濃度を、体内で長期間にわたり生成する製剤;(ii)所定の遅延時間後に、薬物の実質的に一定な濃度を、体内で長期間にわたり生成する製剤;(iii)活性薬物物質の血漿レベルにおける変動に関連する望ましくない副作用を同時に最小限にしながら、比較的、一定した有効な薬物レベルを、体内で維持することにより、薬物作用を、所定の期間中持続させる製剤;(iv)例えば、制御放出組成物を、罹患した組織又は器官に隣接して又はその中での空間的に配置させることにより薬物作用を局在化させる製剤;及び(v)薬物を特定の標的細胞型に送達するための担体又は化学誘導体を使用することにより薬物作用を標的化する製剤。
【0065】
制御放出製剤の形態での薬物の投与が、組み合わせの薬物が以下を有する場合において特に好ましい:(i)狭い治療指数(即ち、有害な副作用又は毒性反応をもたらす血漿濃度と治療効果をもたらす血漿濃度の間の差は小さい;一般的に、治療指数(TI)は、半致死量(LD50)と半有効量(ED50)の比率として定義される);(ii)胃腸管における狭い吸収域;又は(iii)非常に短い生物学的半減期(1日の間での頻繁な投与が、血漿レベルを治療レベルに保持するために要求される)。
【0066】
多くの戦略のいずれかを、制御放出(放出速度が、問題になっている薬物の代謝速度を上回る)を得るために追求することができる。制御放出は、種々の製剤パラメーター及び成分(例、種々の型の制御放出組成物及びコーティングを含む)の適切な選択により得られうる。このように、薬物を、適切な賦形剤を用いて、医薬的組成物に製剤化し、それは、投与時に、薬物を制御様式(単一もしくは複数の単位錠剤又はカプセル組成物、油剤、懸濁剤、エマルジョン、マイクロカプセル、マイクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、及びリポソーム)で放出する。
【0067】
経口使用のための固形投与形態
【0068】
経口使用のための製剤は、活性成分を、非毒性の医薬的に許容可能な賦形剤との混合物で含む錠剤を含む。これらの賦形剤は、例えば、以下でありうる:不活性な希釈剤又は充填剤(例、スクロース、微結晶性セルロース、デンプン(ジャガイモデンプンを含む)、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム);造粒剤及び崩壊剤(例、セルロース誘導体(微結晶性セルロースを含む)、デンプン(ジャガイモデンプンを含む)、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、又はアルギン酸);結合剤(例、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はポリエチレングリコール);ならびに潤滑剤、流動促進剤、及び抗接着剤(例、ステアリン酸、シリカ、又はタルク)。他の医薬的に許容可能な賦形剤は、着色剤、香味剤、可塑剤、保湿剤、緩衝剤などでありうる。
【0069】
錠剤は非コーティングでもよく、又は、それらを公知の技術によりコーティングして、場合により、胃腸管での崩壊及び吸収を遅延させ、それにより、持続作用をより長期間にわたり付与することができる。コーティングは、活性薬物物質を所定のパターンで放出させるように適合してもよく(例、制御放出製剤を達成するために)、又は、胃の通過後まで活性薬物物質を放出させないように適合してもよい(腸溶コーティング)。コーティングは、糖コーティング、フィルムコーティング(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリレートコポリマー、ポリエチレングリコール、及び/又はポリビニルピロリドンに基づく)、又は腸溶コーティング(例、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、セラック、及び/又はエチルセルロースに基づく)でありうる。時間遅延材料(例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル)を用いてもよい。
【0070】
固形錠剤組成物は、望ましくない化学的変化(例、活性薬物物質の放出前の化学的分解)から組成物を保護するために適合されるコーティングを含みうる。コーティングを、固形投与形態に、Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されるものと同様の様式で適用してもよい。
【0071】
薬物を錠剤中で一緒に混合してもよく、又は、分割してもよい。例えば、第1の薬物は、錠剤の内部に含まれ、第2の薬物は、外側にあり、第2の薬物のほとんどの部分が、第1の薬物の放出の前に放出されるようにする。
【0072】
経口使用のための製剤は、また、チュアブル錠として、又は硬ゼラチンカプセルとして(それにおいて、活性成分を、不活性な固形希釈剤(例、ジャガイモデンプン、微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリン)と混合する)、あるいは、軟ゼラチンカプセル(それにおいて、活性成分を、水又は油媒体(例えば、液体パラフィン、又はオリーブオイル)と混合する)として提供してもよい。粉末剤及び顆粒剤を、上に言及する成分を使用して、錠剤及びカプセルの下に、従来の様式で調製してもよい。
【0073】
経口使用のための制御放出組成物は、例えば、活性薬物物質の溶解及び/又は拡散を制御することにより活性薬物を放出するように構築してもよい。
【0074】
溶解又は拡散制御放出は、薬物の錠剤、カプセル、ペレット、又は顆粒製剤の適切なコーティングにより、又は、適切なマトリクス中への薬物の取り込みにより達成することができる。制御放出コーティングは、上に言及するコーティング物質の1つ又は複数、及び/又は、例えば、セラック、蜜蝋、グリコワックス、キャスターワックス、カルナウバワックス、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、dl−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート、メタクリレートヒドロゲル、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリレート、及び/又はポリエチレングリコールを含みうる。制御放出マトリクス製剤において、マトリクス材料は、また、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバワックス及びステアリルアルコール、カーボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル−メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、及び/又はハロゲン化フルオロカーボンを含んでもよい。
【0075】
請求する組み合わせの薬物の1つ又は複数を含む制御放出組成物は、また、浮遊性錠剤又はカプセル(即ち、経口投与時に、胃腸内容物の上部に、特定の期間にわたり浮遊する錠剤又はカプセル)の形態でありうる。薬物の浮遊性錠剤製剤を、薬物の混合物を、賦形剤及び20〜75重量%の親水コロイド(例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)と造粒することにより調製することができる。得られた顆粒は、次に、錠剤に圧縮することができる。胃液との接触時、錠剤は、実質的に水に不透過性のゲルバリアを、その表面の周囲に形成する。このゲルバリアは、1未満の密度を維持する際に関与し、それにより、錠剤が、胃液中で浮遊性を維持することができる。
【0076】
経口投与用の液剤
【0077】
水の添加による水性懸濁剤の調製のために適した粉末剤、分散粉末剤、又は顆粒剤は、経口投与のための便利な投与形態である。懸濁液としての製剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1つ又は複数の保存剤との混合物中に活性成分を提供する。適した懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどである。
【0078】
非経口組成物
【0079】
医薬的組成物は、また、従来の非毒性の医薬的に許容可能な担体及びアジュバントを含む投与形態、製剤又は適した送達デバイスもしくはインプラントを介して、注射、注入、又は移植(静脈内、筋肉内、皮下など)により非経口的に投与してもよい。そのような組成物の製剤化及び調製は、医薬製剤の技術分野の当業者に周知である。
【0080】
非経口使用のための組成物は、単位投与形態で(例、単一用量アンプルで)、又はいくつかの用量を含むバイアル(その中に適した保存剤を加えてもよい)で提供してもよい(以下を参照のこと)。組成物は、液剤、懸濁剤、エマルジョン、注入デバイス、移植用の送達デバイスの形態でよく、又は、それは、水もしくは別の適した媒体を用いて、使用前に戻される乾燥粉末として提供してもよい。活性薬物とは別に、組成物は、適した非経口的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含んでもよい。活性薬物を、制御放出のためにマイクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどの中に取り込ませてもよい。組成物は、懸濁剤、可溶化剤、安定化剤、pH調整剤、及び/又は分散剤を含んでもよい。
【0081】
本発明の医薬的組成物は、無菌注射のために適した形態でありうる。そのような組成物を調製するために、適した活性薬物を、非経口的に許容可能な液体媒体中に溶解又は懸濁させる。用いてもよい許容可能な媒体及び溶媒は、水、適量の塩酸、水酸化ナトリウム、又は適した緩衝液の添加により適したpHに調整された水、1,3−ブタンジオール、リンゲル溶液、及び等張塩化ナトリウム溶液である。水性製剤は、また、1つ又は複数の保存剤(例、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、エチル、又はn−プロピル)を含んでもよい。薬物の1つが水にやや溶けにくい又はわずかしか溶けない場合において、溶解増強剤又は可溶化剤を加えることができ、又は、溶媒は10〜60重量%のプロピレングリコールなどを含んでもよい。
【0082】
制御放出の非経口組成物は、水性懸濁剤、マイクロスフェア、マイクロカプセル、磁気マイクロスフェア、油剤、油懸濁剤、又はエマルジョンの形態でありうる。あるいは、活性薬物を、生体適合性の担体、リポソーム、ナノ粒子、インプラント、又は注入デバイス中に取り込ませてもよい。マイクロスフェア及び/又はマイクロカプセルの調製における使用のための材料は、例えば、生分解性/生体内分解性ポリマー、例えばポリガラクチン、ポリ(イソブチルシアノアクリラート)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−L−グルタミン)などである。制御放出製剤を製剤化する際に使用してもよい生体適合性の担体は、炭水化物(例、デキストラン)、タンパク質(例、アルブミン)、リポタンパク質、又は抗体である。インプラントでの使用のための材料は、非生分解性(例、ポリジメチルシロキサン)又は生分解性(例、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(グリコール酸)、又はポリ(オルトエステル))でありうる。
【0083】
直腸組成物
【0084】
直腸適用のために、組成物のための適した投与形態は、坐剤(エマルジョン又は懸濁剤型)、及び直腸ゼラチンカプセル(液剤又は懸濁剤)を含む。典型的な坐剤製剤において、活性薬物を、適切な医薬的に許容可能な坐剤の基剤(例えばココアバター、エステル化脂肪酸、グリセリンゼラチン、及び種々の水溶性基剤又は分散基剤(ポリエチレングリコールなど)と組み合わせる。種々の添加剤、賦活剤、又は界面活性剤を取り込ませてもよい。
【0085】
経皮又は局所組成物
【0086】
医薬的組成物は、また、マイクロスフェア及びリポソームを含む従来の非毒性の医薬的に許容可能な担体及び賦形剤を含む投与形態又は製剤での経皮吸収のために皮膚に局所的に投与してもよい。製剤は、クリーム、軟膏、ローション、リニメント、ゲル、ヒドロゲル、液剤、懸濁剤、スティック、スプレー、ペースト、硬膏、及び他の種類の経皮薬物送達系を含む。医薬的に許容可能な担体又は賦形剤は、乳化剤、抗酸化剤、緩衝剤、保存剤、保湿剤、浸透賦活剤、キレート剤、ゲル形成剤、軟膏基剤、芳香剤、及び皮膚保護剤を含みうる。
【0087】
乳化剤は、天然ゴム(例、アカシアゴム又はトラガカントゴム)でありうる。
【0088】
保存剤、保湿剤、浸透賦活剤は、パラベン(例えばp−ヒドロキシ安息香酸メチル又はプロピルなど)、及び塩化ベンザルコニウム、グリセリン、プロピレングリコール、尿素などでありうる。
【0089】
皮膚への局所投与のための上に記載する医薬的組成物は、また、処置される身体の部分上への又はその近くへの局所投与に関連して使用してもよい。組成物は、直接適用のために、あるいは、特定の薬物送達デバイス(例えば包帯材など)、又は、代わりに、硬膏、パッド、スポンジ、ストリップ、もしくは適した柔軟材料の他の形態を用いた適用に適合してもよい。
【0090】
投与量及び処置の持続期間
【0091】
組み合わせの薬物を、同じもしくは異なる医薬的製剤で、同時に、又は、連続的に投与してもよいことが認められるであろう。連続投与である場合、活性成分の1つを投与する際の遅延は、活性成分の組み合わせの有効な効果の利益が失われないものとすべきである。この記載の組み合わせについての最小限の要件は、組み合わせが、活性成分の組み合わせの有効な効果の利益を伴う組み合わせ使用を意図するべきである。組み合わせの意図される使用は、本発明の組み合わせの使用を補助する器具、規定、適応、及び/又は他の手段により推論することができる。
【0092】
本発明の対象である治療的に効果的な量の薬物を、PMP22遺伝子の発現増加の効果を低下させるために有用な薬物の調製のために一緒に使用することができる;正常な有髄化及び神経完全性の回復、CMT病を発症するリスクを予防する又は低下させること、CMT病の進行を停止させる又は緩徐にすること(一旦、それが、臨床的に顕在化した場合)、及びニューロパチー事象の最初の又はその後の発生のリスクを予防する又は低下させること。
【0093】
本発明の活性薬物を分割用量で、例えば、1日に2又は3回投与してもよいが、組み合わせでの各々の薬物の1日1回用量が好ましく、単一の医薬的組成物中の全ての薬物の1日1回用量(単位投与形態)が最も好ましい。
【0094】
投与は、数日から数年にわたり1日1回から数回でありうるが、さらには患者の生涯にわたってもよい。慢性的な又は少なくとも定期的に反復される長期投与が、大半の症例において指示されうる。
・用語「単位用量形態」は、ヒト被験体用の単位投与量として適した物理的に別々の単位(例えばカプセル、錠剤、又は充填したシリンジシリンダーなど)を指し、各々の単位が、必要な医薬的担体と共に、所望の治療効果を生成すると算出された所定量の活性材料又は材料を含む。
【0095】
単位投与量のために好ましい組み合わせにおける各々の薬物の量は、処置される人の全身の健康状態を考慮し、いくつかの因子(投与方法、患者の体重及び年齢、CMT病により起こされるニューロパチー傷害の重症度、又は潜在的な副作用のリスクを含む)に依存しうる。
【0096】
加えて、特定の患者に関する薬理ゲノミクス(治療薬の薬物動態、薬力学、又は効力プロファイルに対する遺伝子型の効果)情報が、使用される投与量に影響を及ぼしうる。
【0097】
より高い投与量が要求されうる特に障害性のCMT病症例に応答する場合、又は、より低い投与量を選ぶべきである小児を処置する場合、を除き、組み合わせにおける各々の薬物の好ましい投与量は、長期間の維持処置のために通常処方される用量、又は、大規模の第3相臨床試験において安全であることが証明されている用量を超えない範囲内にありうる。
【0098】
例えば
・ラパマイシンについて、約1〜約100μg/kg/日、典型的には1〜50μg/kg、例えば5〜30μg/kg/日
・ミフェプリストンについて、約1〜約300μg/kg/日、典型的には10〜200μg/kg、例えば10〜80μg/kg/日
・ナルトレキソンについて、約1〜約100μg/kg/日、典型的には1〜50μg/kg、例えば1〜20μg/kg/日
・ピロカルピンについて、約1〜約100μg/kg/日、典型的には1〜50μg/kg、例えば1〜20μg/kg/日
・バクロフェンについて、約1〜約300μg/kg/日、典型的には10〜200μg/kg、例えば20〜100μg/kg/日
・メチマゾールについて、約1〜約100μg/kg/日、典型的には1〜50μg/kg、例えば1〜20μg/kg/日
【0099】
最も好ましい投与量は、長期間の維持処置のために通常処方されるものの1%〜10%までの量に相当しうる。
【0100】
実際に投与される薬物の量は、医師により、関連する状況(処置される状態、投与される正確な組成物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度、及び選ばれた投与経路を含む)に照らして決定されうることが理解されるであろう。従って、上の投与量の範囲は、一般的なガイダンスを提供し、本明細書における教示を支持することを意図するが、しかし、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0101】
以下の実施例は、例示の目的のために与えられるが、限定のためではない。
実施例
【0102】
A.薬物の組み合わせの調製
以下の薬物の組み合わせを調製した:
【表1】



【0103】
B.インビトロ実験
1.Mix1−6を用いて処置されたシュワン細胞でのPMP22発現アッセイ
1.1細胞培養
1.1.1:市販のラット初代シュワン細胞
【0104】
ラットシュワン細胞(SC)初代培養(Sciencell # R1700)のバイアルを解凍し、密度10000個細胞/cm2で、ポリ−L−リジンプレコーティング75cm2フラスコ中の「Sciencellシュワン細胞培地」(Sciencell社からの基礎培地# R1701)中に播種する。培養液は、基礎培地、5%ウシ胎仔血清(3H-Biomedical AB #1701-0025)、1%シュワン細胞増殖添加物(3H-Biomedical AB #1701-1752)、1%ゲンタマイシン(Sigma #G1397)、及び10μMフォルスコリン(Sigma # F6886)から成り、それらの増殖を促進する。
【0105】
コンフルエントに達した後(細胞バッチに依存して4〜10日)、シュワン細胞を、穏やかな撹拌により、又は、thy1.1イムノパニング(付着性繊維芽細胞からのSC単離を可能にする)により精製し、少なくとも95%純粋である培養物を生成する。SCを次にカウントし(トリパンブルー方法)、そしてポリ−L−リジンプレコーティング75cm2フラスコにおいて、同じSC培地中に播種する。コンフルエントで、細胞をリンスし、PBS(カルシウム及びマグネシウムを含有しない)中で希釈し、トリプシンで処理し(Invitrogen社からの1×希釈したトリプシン−EDTA#1540054)、カウントし、12ウェルディッシュにおいて、Sciencellシュワン細胞培地(5%FBS、1%細胞増殖添加物(CGS)、40μg/mlゲンタマイシン、及び4μMフォルスコリンを含有する)中にプレーティングする(140000個細胞/ウェル)。
【0106】
1.1.2オーダーメイドのラット初代シュワン細胞
【0107】
初代シュワン細胞培養液(SC)を、Sprague−Dawley新生仔ラット(P0〜P2)坐骨神経から確立する。全ての新生仔ラットを屠殺し、ペトリディッシュ中で単離する。解剖を無菌条件下で実施する。
【0108】
背面皮膚を、後肢及び下部胴体から除去する。坐骨神経を単離し、氷冷Leibovitz(L15、Invitrogen #11415)(1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(それぞれ50UI/ml及び50μg/ml;Invitrogen #15070)及び1%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma A6003)を添加)を含む培養ディッシュに移す。ラットごとに両方の神経を、氷冷L15を含む15mlチューブ中に移す。L15培地を次に除去し、2.4mlのDMEM(Invitrogen #21969035)(10mg/mlのコラゲナーゼ(Sigma #A6003)含有する)に交換する。神経を、この培地中で30分間にわたり37℃でインキュベートする。培地を次に除去し、両方の神経をトリプシン(10%トリプシンEDTA 10×、Invitrogen #15400054)(PBS(カルシウム及びマグネシウムを含有しない)(Invitrogen # 2007-03)中で希釈する)により20分間にわたり37℃で解離する。反応を、DNase IグレードII(0.1mg/ml Roche diagnostic #104159)及びウシ胎仔血清(FCS 10%、Invitrogen #10270)を含むDMEMの添加により停止する。細胞懸濁液を、10mlピペットを用いて粉砕し、50mlチューブ中のフィルターを通過させた(Swinnex 13mmフィルターユニット、Millipore、20μMナイロンメッシュフィルターを有する、Fisher)。細胞懸濁液を、350gで10分間にわたり室温(RT)で遠心し、ペレットをDMEM(10% FCS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有する)中に懸濁する。細胞をカウントし(トリパンブルー方法)、Falcon 100mm Primaria組織培養プレート中に密度5.10〜10個細胞/ディッシュで播種する。
【0109】
1日の培養後、培地を、DMEM、10% FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び10μMのシトシンb−D−アラビノフラノシド(Sigma #C1768)と変える。48時間後、培地を除き、細胞を、3回、DMEMを用いて洗浄する。SC増殖培地を次に加える(DMEM、10% FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、2μMのフォルスコリン(Sigma #F6886)、10μg/mlのウシ下垂体抽出物(PEX、Invitrogen #13028)から成る)。培地を2〜3日毎に交換する。
【0110】
8日の培養後(細胞バッチに依存して4〜10日)、シュワン細胞がコンフルエントに達し、培養物(多量の混入繊維芽細胞を含む)を、thy1.1イムノパニング方法により精製する。この精製後、細胞を、増殖培地中に、10000個細胞/cm2でポリ−L−リジンプレコーティング75cm2フラスコ中で懸濁する。一旦、それらがコンフルエントに達した場合、細胞をリンスし、トリプシン処理し(トリプシン−EDTA)、カウントし、12ウェルディッシュ中にプレーティングする(100000個細胞/ウェル)。
【0111】
1.1.3薬物インキュベーション
【0112】
細胞を12ウェルディッシュ中にプレーティングした後、培地を、1%のN2添加物(Invitrogen # 17502)、1% L−グルタミン(Invitrogen #25030024)、2.5% FBS(Sciencell #0025)、0.02μg/mlのコルチコステロン(Sigma # C2505)、4μMフォルスコリン、及び50μg/mlのゲンタマイシンを添加した規定培地(DMEM−F12(Invitrogen # 21331020)の混合物からなる)により交換する。増殖因子をこの培地に加えず、SC分化を促進する。
【0113】
24時間後、培地を、規定培地(DMEM−F12)(1%インシュリン−トランスフェリン−セレニウム-X(ITS、Invitrogen # 51300)、16μg/mlのプトレシン(Sigma # P5780)、0.02μg/mlのコルチコステロン、及び50μg/mlのゲンタマイシンを補足)により交換する。この段階で、プロゲステロン又はフォルスコリンのいずれも培地中に存在しない。
【0114】
1日後、シュワン細胞を、薬物の組み合わせにより、24時間の間刺激する(3ウェル/条件)。各々の化合物の調製を、細胞培養液へのその添加の直前に実施する。
【0115】
薬物を、規定培地(DMEM−F12から成る、(1%インシュリン−トランスフェリン−セレニウム-X(ITS、Invitrogen # 51300)、16μg/mlのプトレシン、0.02μg/mlのコルチコステロン、10nMプロゲステロン、及び50μg/mlのゲンタマイシンを含有する))に加える。薬物刺激の間でのフォルスコリンの非存在によって、アデニル酸シクラーゼ飽和が回避される。
【0116】
1.2.Thy1.1イムノパニングによるシュワン細胞の精製
【0117】
繊維芽細胞培養物の混入を予防するために、シュワン細胞を、クローンThy1.1(ATCC TIB-103(商標))イムノパニングプロトコールを使用して精製する。
【0118】
抗体をプレコーティングした100mm細菌ペトリディッシュを以下の通りに調製する:これらのディッシュを、PBSを用いて3回洗浄し、20mlのTris HCl溶液50mM、pH 9.5(10μg/mlのヤギ抗マウスIgM MU抗体(Jackson ImmunoResearch #115-005-020)を含有する)により一晩4℃で処理する;次に、PBSを用いて3回リンスし、PBSの溶液(0.02%のBSA及びT11D7e2ハイブリドーマ培養物(ATCC #TIB-103)から得られた上清(Thy1.1 IgM抗体を含む)を含有する)により2時間にわたり室温で処理する。最後に、プレートを、細胞懸濁液を加える前に、PBSを用いて3回洗浄する。
【0119】
SCを、トリプシンEDTAを用いて剥離する。細胞の大半を懸濁してすぐに、トリプシンを、DMEM−10% FBSを用いて中和させ、細胞を遠心する。解離した細胞のペレットを、15mlの培地(0.02% BSAを含有する)中に、密度0.66×10個細胞/ml(最高)で再懸濁し、ペトリディッシュに移す(約660万個の細胞/10ml/100mmディッシュ)。
【0120】
細胞懸濁液を、Thy 1.1コーティングしたペトリディッシュ中で、45分間の間、37℃で、15分毎に穏やかに撹拌しながらインキュベートし、非特異的結合を抑制する。Thy1.1を発現する繊維芽細胞の大半が、ディッシュ上に付着する。インキュベーションの終わりに、細胞懸濁液を回収し、遠心する。この細胞懸濁液は、理論上は、シュワン細胞だけを含む。細胞を遠心し、細胞ペレットを、増殖培地(10μMのフォルスコリンを含有する)中に、16000個細胞/cm2で、ポリ−L−リジン処理したT75cm2フラスコにおいて懸濁する。
【0121】
1.3定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(Q−RT−PCR)
【0122】
定量的RT−PCRを使用し、薬物刺激後にPMP22 mRNAのレベルを比較する(ラットシュワン細胞初代培養におけるハウスキーピングリボソームL13A mRNAと比べて)。
【0123】
冷滅菌済みPBSを用いてリンスした後、Qiagen RNeasyマイクロキット(Qiagen #74004)を使用してSCから各々の細胞サンプルからの全RNAを抽出し、精製する。核酸を、Nanodrop分光光度計により、1μlのRNAサンプルを使用して定量化する。RNAの完全性を、BioAnalyzer(Agilent)装置により決定する。
【0124】
RNAを、標準的プロトコールに従って、cDNAに逆転写する。PCR増幅用のcDNA鋳型を、200ngの全RNAから、SuperScript II逆転写酵素(Invitrogen # 18064-014)を60分間にわたり42℃で、オリゴ(dT)の存在において、最終容積20μl中で使用して合成する。
【0125】
cDNAを、≪LightCycler(登録商標)480≫システム(Roche Molecular Systems Inc.)を使用したPCR増幅に供する。各々のcDNAを、PCR増幅に使用する前に、5倍希釈する。このcDNAの2.5μlを、PCR反応溶液(最終容積10μl)に用いられる。予備実験によって、定量化を、両方の配列についての増幅プロセスの対数期において行うこと、及び、参照遺伝子の発現が、異なる培養条件において均一であることが確認された。
【0126】
PCR反応を、500nMのラットPMP22(NM_017037)のフォワードプライマー5−GGAAACGCGAATGAGGC−3(配列番号1)、及び500nMのリバースプライマー5−GTTCTGTTTGGTTTGGCTT−3(配列番号2)の増幅により実施する(148bpの増幅)。RPL13Aリボソーム(NM_173340)RNAの152−bpフラグメントを、並行して別々の反応において、結果の標準化のために、500nMのフォワードプライマー5−CTGCCCTCAAGGTTGTG−3(配列番号3)、及び500nMのリバースプライマー5−CTTCTTCTTCCGGTAATGGAT−3(配列番号4)を使用することにより増幅する。
【0127】
本発明者らはFRET化学を使用し、RT−Q−PCR解析を実施した。FRETプローブは、0.3μMのPmp22−FL−5−GCTCTGAGCGTGCATAGGGTAC(配列番号5)又はRpl13A−FL−5−TCGGGTGGAAGTACCAGCC(配列番号6)から成り、それらの3’末端は、ドナーフルオロフォア色素(フルオレセイン)を用いて標識される。0.15μM Red640プローブを以下の通りに定義する:Pmp22−red−5’−AGGGAGGGAGGAAGGAAACCAGAAA(配列番号7)又はRpl13A−red−5’−TGACAGCTACTCTGGAGGAGAAACGGAA(配列番号8)、それらの5’末端は、アクセプターフルオロフォア色素(ローダミンレッド640)を用いて標識される。
【0128】
各々のPCR反応には、2.5μlのcDNA鋳型を、最終容積10μlのマスターミックスキット(Roche #04-887301001)で含めた。
【0129】
以下のPCR条件を使用する:95℃で10秒、63℃で10秒及び72℃で12秒及び40℃で30秒(40回の増幅サイクル)。PMP22遺伝子発現の相対レベルを、標的遺伝子PMP22から生成される産物と内因性の内部標準RPL13Aの間の比率を決定することにより測定する。
【0130】
1.4フローサイトメトリー(FACS)によるPMP22タンパク質の発現解析
【0131】
薬物インキュベーションの8時間、24時間、及び48時間後に、上清を回収し、遠心し、凍結する。SCを、トリプシン−EDTAを用いて剥離する。細胞の大半を懸濁し次第、トリプシンを、DMEM(10% FCSを含有する)を使用して中和させる。
【0132】
細胞を含有する上清を回収し、遠心する。細胞のペレットをマイクロチューブ中に移し、PBS中で1回洗浄し、特定の溶液(AbCys #Reagent A BUF09B)を用いて固定する。10分後、細胞を、1回PBSを用いてリンスし、4℃に保つ。
【0133】
細胞固定後5日目、異なるインキュベーション時間の全ての細胞調製物を、以下のプロトコールを使用して標識する。
【0134】
細胞を7000rpmで5分間にわたり遠心し、ペレットを透過処理の溶液(AbCys #Reagent B BUF09B)中に懸濁し、一次PMP22抗体(Abcam #ab61220、1/50)を用いて1時間にわたり室温で標識する。細胞を次に7000rpmで5分間にわたり遠心し、細胞ペレットを1回PBS中でリンスする。二次抗体(Alexa Fluor 488(ヤギ抗ウサギIgG、Molecular Probes #A11008、1/100)に結合している)を、1時間にわたり室温で加える。細胞を次に7000rpmで5分間にわたり遠心し、細胞ペレットを1回PBS中でリンスする。標識は、三次抗体(Alexa Fluor 488(ニワトリ抗ヤギIgG、Molecular Probes #A21467、1/100)に結合している)を室温で1時間のインキュベーションで加えることにより増強させる。細胞を次に1回PBS中でリンスする。任意の抗体を有しないコントロール(非標識細胞)を実施して、自己蛍光レベルを決定し、光電子増倍管(photomultiplicator)の感度を適合させる。二次抗体及び三次抗体の両方を有するが、しかし、一次抗体を有しないコントロールを実施して、抗体の非特異的結合を評価する。
【0135】
データ取得及び分析は、5000個の細胞でのFACS Arrayサイトメーター及びFACS Arrayソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて実施される。前方散乱(FSC)(細胞容積(サイズ)に相関する)及び側方散乱(SSC)(細胞の内部の複雑さ(顆粒度)に依存する)を分析する。PMP22の発現について、分析を全細胞内で実施し、陽性細胞のパーセントを算出する。陽性細胞は、二次抗体を有するコントロールよりも高い蛍光強度を示す細胞である。
【0136】
SCの数を定量化するために、コントロール培地中の細胞を、抗S100タンパク質抗体を使用して分析する。
【0137】
細胞を以下のプロトコールに従って調製する:シュワン細胞を、抗S100タンパク質抗体(Dako #S0311、1/100)を用いて、1時間にわたり室温で染色する。この抗体を、PMP22免疫染色について上に記載するプロトコールに従って標識する(しかし、三次抗体を用いたインキュベーションを行わない)。
【0138】
1.5.薬物インキュベーション及び活性
【0139】
薬物を、24時間又は48時間にわたり、上に記載するものと同じ規定培地中で(3ウェル/条件)、フォルスコリンの非存在下で(しかし、10nMのプロゲステロンの存在において)インキュベートして、アデニル酸シクラーゼ刺激飽和を回避する。薬物インキュベーション後、上清を回収し、シュワン細胞をRT−Q−PCR解析のために凍結する。
【0140】
これらの実験を表1にまとめる。
【表2】

【0141】
2.CMTについての同時培養モデルにおけるMix7中の化合物の相乗効果の評価
同時培養のモデルを、CMT1Aのインビトロモデルとして使用した。有髄化のこのモデルは、雄PMP22トランスジェニック(TG)の解離された後根神経節(DRG)由来の感覚ニューロン及びシュワン細胞を同時培養することである。本試験の目的は、有髄化プロセスに対する3つのテスト化合物(+/−バクロフェン、ナルトレキソン、及びソルビトール)及びMix7(これら3つの薬物の混合物)の効果を評価することである。有髄化に対する3つのテスト化合物、及びそれらの混合物の効果を、アスコルビン酸の存在において、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)発現を検討することにより評価する。
【0142】
2.1材料及び方法
【0143】
妊娠15日目の妊娠雌ラットを頚椎脱臼により屠殺する。胎仔を子宮から除去し、これは発生の同じ胎仔期である。
【0144】
2.1.1遺伝子型決定
【0145】
各々の胎仔頭部の断片(3mm3)を、2mlチューブ(DNaseフリー)中に入れる。DNAを、SYBR Green Extract-N-Amp tissue PCRキット(Sigma、ref XNATG-1KT)を用いて抽出する。120μlの抽出溶液(Kit Sigma、ref XNATG-1KT)を、胎仔頭部の各々の断片上に加えた。頭部を、10分間にわたり室温でインキュベートする。このインキュベーションの終わりに、頭部を、5分間にわたり95℃で、抽出溶液中でインキュベートする。この最後のインキュベーションの直後に、100μlの中和溶液を加えて、各々のDNA抽出物を、無菌超純水(Biosolve、ref: 91589)を用いて1/40希釈し、使用まで+4℃で保存する。雌(F)及び雄(M)胎仔の遺伝子型決定を、DRGの解剖の間に、キットFast SYBR Green Master Mix(Applied Biosystem、4385612)を用いて実施する。各々の胎仔の性別を、雄のSRY遺伝子を使用して決定する。SRYプライマーは、Pharnextにより供給される(SRY−F(配列番号9):5’−GAGAGAGGCACAAGTTGGC−3’;SRY−R(配列番号10):5’−GCCTCCTGGAAAAAGGGCC−3’)。SRYプライマーを、無菌超純水(Biosolve、ref: 91589)中で3μMに希釈する。PCR用のミックスを、超純水(4μl/サンプル)、プライマー3μM(2μl/サンプル)、及びMaster Mix(10μl/サンプル)を用いて調製する。PCR96ウェルプレートにおいて、16μlのPCRミックスを各々のウェル中に入れる。各々の希釈DNAの4μlを、予定された適用場所に従って加える。PCRを、7500 fast RT-PCRシステム(Applied Biosystem)を使用して、以下のプログラムを用いて実行する:
開始:95℃−20秒
45サイクル:95℃−10秒、65℃−10秒、72℃−30秒(データ取得)。
融解曲線:95℃−15秒、64℃−1分、90℃−30秒(連続データ取得)、60℃15秒。増幅プロット及び融解曲線を、7500ソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて分析する。
【0146】
各々のサンプルについての結果を、ネガティブコントロール(超純水)及びポジティブコントロール(TG/雄及びWT/雌)と比較し、各々の胎仔の遺伝子型について結論を出す。
【0147】
2.1.2感覚ニューロン及びシュワン細胞の同時培養
【0148】
ラット後根神経節を、Cosgaya et al., 2002及びRangaraju et al., 2008により以前に記載された通りに培養する。
【0149】
各々の胎仔を、計数ペトリディッシュ(直径35mm)上に送る。胎仔の頭部を切断し、1.5mlチューブ(DNAaseフリー)に入れる;ADNを、Extract-N-Amp Tissue Kit(Sigma Aldrich)を用いて抽出する。遺伝子型決定(雄(M)及び雌(F)、野生型及びPMP22トランスジェニック)を、キットFast SYBR Green Master Mix(Applied Biosystem)を用いて実施する。この遺伝子型決定を、後根神経節(DRG)の解剖と並行して実施し、解剖の終わりに、培養の1つの種類(トランスジェニック雄からのDRG)だけが行われるようにする。各々の胎仔のDRGを回収し、Leibovitz(L15、Invitrogen)の氷冷培地中に入れる。解剖の終わりに、TGMのDRGをプールし、トリプシン処理(トリプシンEDTA、0.05%;Invitrogen)により20分間にわたり37℃で解離する。反応を、DMEM(10%のウシ胎仔血清(FBS)を含む)の添加により、DNAase I(Roche)の存在において停止させる。懸濁液を、10mlピペットを用いて粉砕する。細胞を次に350×gで10分間にわたり室温で遠心する。解離した細胞のペレットを、neurobasal培地(Invitrogen)(2%B27(Invitrogen)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen)、1%L−グルタミン、及び50ng/ml NGF(Sigma)を含む)中に再懸濁する。この培地はneurobasal培地である。生細胞を、Neubauer血球計算器において、トリパンブルー排除テスト(Sigma)を使用してカウントし、ポリ−L−リジンを用いて処理した96ウェルプレート(Greiner)中に10000個細胞/ウェルに基づいて播種する。プレートを、37℃で、加湿インキュベーターにおいて、空気(95%)−CO(5%)の雰囲気中で維持する。標準的な神経細胞培養液の半分を、1日おきに変える。培養物を、標準的なneurobasal培地中に7日間にわたり維持し、シュワン細胞の感覚ニューロン神経突起を集合させる。7日目に、培養物に、基底膜形成及び有髄化を開始させるために、標準的な神経細胞培地(50μg/mlアスコルビン酸を添加した又は添加していない)を供給する。
【0150】
2.1.3.薬物インキュベーション
【0151】
7日目に、以下のテスト化合物を(単独又は組み合わせで)培地(50μg/mlアスコルビン酸を含有する)中に加える:
・(RS)バクロフェン
・ナルトレキソン
・d−ソルビトール
・Mix7=3つの個々の化合物の組み合わせ
【0152】
これらの化合物又は化合物の組み合わせを、以下の濃度でテストする(表2):
【表3】

【0153】
テスト化合物を、5つの異なる時間にわたりインキュベートする:5、9、10、11、及び13日間。
3つの別々の及び独立したDRG(TG胎仔雄ラットから)の培養を行う。これらの条件を、アスコルビン酸の存在において評価する(6ウェル/条件)。全てのテスト化合物の使用準備済み溶液を、ストック溶液から即席で調製し、−20℃で保存する。この溶液を週1回調製する。標準的な神経細胞用培地(テスト化合物及びアスコルビン酸(各々、濃度1×)を添加している)の半分を1日おきに変える。
【0154】
2.1.4染色プロトコール
【0155】
5、9、10、11、及び13日のインキュベーション後、細胞を、エタノール(95%)及び酢酸(5%)の冷溶液により10分間にわたり固定する。細胞を透過処理し、PBS(0.1%サポニン及び10%ヤギ血清を含む)を用いて15分間にわたりブロッキングする。次に、細胞を、ミエリンの特異的マーカーと共にインキュベートする:ポリクローナル抗体抗ミエリン塩基性タンパク質(MBP)抗体(Sigma 118K0431)。
この抗体は、Alexa Fluor 568ヤギ抗ウサギIgG及びAlexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgG(Molecular probe 687621、623962)を用いて明らかにされる。ニューロンの核を、蛍光マーカー(ヘキスト溶液、Sigma ref B1155)により標識する。
【0156】
2.1.5.データ処理
【0157】
1ウェル当たり、20枚の写真を、InCell Analyzer(商標)1000(GE Healthcare)を使用して撮る(20×拡大)。全ての画像を、同じ条件において撮る。有髄軸索の全長の分析を、Developerソフトウェア(GE Healthcare)を使用して自動的に行った(軸索周囲の長さ及び面積)。全ての値を、平均値±標準誤差の平均値として表現する。統計分析を異なる条件で行う(ANOVA、それに続くフィッシャーのPLSD検定(可能な場合))。
【0158】
2.2.結果
【0159】
Mix7の効力における薬物の相乗効果
Mix7組み合わせから成る薬物の重要な相乗効果が、MBP発現で観察された。実際に、10日目(=培養の17日間)、(RS)−バクロフェン、ナルトレキソン、及びd−ソルビトールの組み合わせによって、用量1及び6でMBP発現が有意に増加する(図1A及び2Aに示す通り)。対照的に、個々に使用される上の薬物は、コントロールと比較して実質的な効果を有さない(図1B−D及び2B−D)。MBP発現に対する有意な効果が、また、10日間のインキュベーション後に、Mix7の用量2、3、4、5、及び7で記録される(図3A)。
【0160】
この効果は、依然として、11日目に、用量2〜7(図3B)を用いて、明かなベルシェープ型曲線で観察される。
【0161】
C.インビボでのCMT動物モデルにおける実験
【0162】
本発明者らは、ラットモデルにおける治療効果について化合物をテストした。実験群は、両方の性別の若いラットを用いて別々に形成される。ラットは、体重に基づく無作為化スケジュールに従って群に割り当てる。一部の実験において、無作為化は、バーテストでのラットの成績に基づく。両方の性別は、処置群と数字的に等しいかより多い別々のコントロール群により示される。
【0163】
ラットを、3〜6週間の間に各々の薬物バイオアベイラビリティーに依存して、薬物を用いて慢性的に処置する(強制的に与えるか、又は、Alzet浸透圧皮下ポンプ(DURECT Corporation Cupertino、CA)により注入する)。実施した全てのインビボ実験において、Mix7を経管栄養により投与する。
【0164】
動物を1週間に2回体重測定する(体重増量に対して用量を調整するために)。浸透圧ポンプが処置投与のために選ばれた場合、薬物の用量は、ポンプ持続期間(6週間)にわたりその年齢について予測される動物の推定平均体重に基づいて算出される。ポンプは、必要な場合、適切な麻酔プロトコールを用いて再移植する。
【0165】
行動テスト
【0166】
3又は4週間毎に、動物を行動テストに供する。各々のテストは、同じ研究者により、同じ部屋で、1日の同じ時刻に行なわれる;この均一性は全実験を通して維持される。全ての処置及び遺伝子型決定は、研究者に盲検化されている。「バーテスト」及び「握力」は、主に、試験全体にわたり成績を評価するために使用されてきた。バーテストのスケジュールは、動物の成長とともに変えてもよい(例えば、学習に起因する偏りを避けるために)。
【0167】
握力のアッセイは、筋力、感受性状態(例えば、痛みの触覚は、力の測定値を変えうる)、挙動成分(「動機づけ」)から成ると思われる握り成績におけるわずかな差の検出を可能にする。値は、前肢と後肢の間で異なり、動物の年齢に大きく依存する。
【0168】
握力テストでは、動物が、グリップをその前肢又はその後肢で別々に握る力を測定する。筋力計がグリップに配置されており、力を測定する(Foece Gauge FG-500A)。ラットは、実験者により、グリップをその前肢又はその後肢のいずれかで握るように保持され、ラットがグリップを放すまでラットを穏やかに後ろに引く。動物がグリップを放した時に測定される力を記録する。
【0169】
1匹の動物当たり前肢の力を測定する2回の連続試験及び後肢の力を測定する2回の連続試験が処理される;最大スコア(前肢について1つ、後肢について1つ)だけを(Nで)示す。
【0170】
バーテスト
【0171】
バーテストでは、固定ロッドを握るラットの能力を評価する。筋肉の脱力を呈するPmp22ラットは、このテストにおいて成績欠陥を示す(Sereda et al, 1996)。ラットのその4本の肢をロッドの真ん中に置く(直径:2.5cm;長さ:50cm;机の上30cm)。試験は連続的に実施する;本発明者らの実験における試験の回数及び持続時間は、動物のバッチに依存している。テストにおけるこのような変動を導入し、実験の経過におけるCMTラットの運動欠損の最善な検出に適したスケジュールを決定する。
【0172】
成績指数を各々のセッションで記録する:
−ロッドに60秒間(又はバッチ1、セッション1及び2については30秒間)つかまるために必要とされる試行の数。
−各々の試行においてバー上で過ごす時間(即ち、落下潜時)及びセッションでの平均。ラットがカットオフ時間、すなわち30又は60秒間にわたり、バー上に留まっていた後にセッションが終了する実験手順において、カットオフ時間(30又は60秒間)での成績は、完了していない試行に割り当てられる(例、バッチ8について、バー上に試行1、2及び3では10秒未満、次に試行4及び5では60秒間にわたり留まっていた動物では、60秒間が試行6〜10に割り当てられる)。
−落下数
【0173】
全身健康評価
【0174】
動物の体重、明白な徴候(毛の外観、体の姿勢、歩行、振戦など)を、実験を通してモニターする。評価尺度を記録のために使用する:0=正常、1=異常。
【0175】
歩行
【0176】
各々のラットを、新たなラットケージ(寸法55×33×18cm)(わらくずなし)中で5分間にわたり観察する。ラットの歩行を、4つのパラメーターを用いて評価する:
−スコア0:正常な歩行(円滑)
−スコア1:異常な歩行(円滑ではない又はラットがわずかな引きずりを有する)
−スコア2:中程度の不能(ラットが1本の肢を引きずるが、回復し、歩くことができる)
−スコア3:深刻な不能(ラットはその1本の後肢又は両方の後肢を引きずるが、しかし、1本/両方の引きずりを回復することができない)。
【0177】
傾斜板テスト
【0178】
滑り装置は、角度0°(水平)〜60°に傾斜させることができる30×50cmプレキシグラス板を有した。各々のラットを、最初に、25°の角度で傾斜させた板上に、頭を起こした位置(頭を起こした方向)で置いた;1分間で分けた2回の試験を実施する。30分後、同じ実験を、35°の角度に傾斜させた板上で、次に40°の角度に傾斜させた板上で実現する。この時間の間に、ラットをそのケージに戻した。板を、各々の試験後に掃除する。
ラットの成績を、4つの異なるスコアにより評価する:
−スコア0:滑りなし
−スコア1:少しの滑り(1本又は2本の肢)
−スコア2:中程度の滑り(4本の肢)、しかし、板の終わりまでではない
−スコア3:ラットが板の最低面まで滑っている。
【0179】
更なる試験
【0180】
適切である場合、ラットを電気生理学的評価、組織学的測定に供し、坐骨神経におけるpmp22 RNA発現レベルを定量化する。
【0181】
定量的RT−PCRによる坐骨神経におけるpmp22 RNAの定量化
【0182】
全RNAを、左坐骨神経から、Qiazol(ref N°79306、Qiagen Gmbh、Germany)を使用して単離し、その後RNeasy Mini Kit(ref N° 74106、Qiagen Gmbh、Germany)を用いた1段階精製方法(製造者のプロトコール(Qiagen-RNeasy Fibrous tissue Handbook)により記載される)を行った。DNA混入を、DNA-freeキット(Qiagen-Rnase-free dnase set 1500 Kunits、ref N° 1023460)の使用によるRNase-free DNase Iを用いた消化により除去した。
【0183】
RNA濃度をNanoDrop ND-1000により推定する。品質管理のテストをAgilent RNA 6000ナノチップにより、Agilent 2100 Bioanalyzerで行った。
【0184】
逆転写及びリアルタイムPCR:
定量的RT−PCR(RT−Q−PCR)を以下の通りに実施した:80ngの全RNAを、SuperScript(商標)II Reverse Transcriptase(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して、オリゴ(dT)12−18(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて、20μlの反応容積中で逆転写した。
【0185】
リアルタイムPCRを、ラピッドサーマルサイクラーシステム(LightCycler(登録商標)480 II、384-Well、Roche、Switzerland)を用いて実施した。増幅を、10μlの全容積中で、130nM〜1μMの間で最適化されたプライマー濃度を用いて実施する。プライマー及び鋳型は、LightCycler(登録商標)480 SYBR Green I Master(2×濃度、Roche、Cat.Ref N° 04 887 352 001)に添付されている。ヌクレオチド、MgCL、Taq DNAポリメラーゼ、及び緩衝液が、このミックス中に含まれる。増幅プロトコールには以下が組み入れられた:Taq DNAポリメラーゼの活性化のための95℃で10分間にわたる最初のインキュベーション、45サイクル(10秒間にわたる95℃変性、40秒間にわたる60℃アニーリング、及び10秒間にわたる72℃伸長)が続き(蛍光産物の検出は、単一の取得モードによる72℃伸長期間の終わりに実施した)、融解曲線のサイクル(5秒間にわたる95℃変性、60秒間にわたる63℃アニーリング、及び95℃)により終わる(63℃〜95℃まで、ランプ速度は0.11℃/秒である。蛍光産物の検出は連続的であった)。増幅の特異性を確認するために、各々のプライマー対からのPCR産物を、融解曲線解析に供した。相対的な定量化を、PCRサンプルの各々についての交差ポイント(Cp値)に基づいて実施した。サンプルの蛍光がバックグラウンド蛍光を上回り上昇するポイントを、サンプルの「交差ポイント(Cp)」と呼ぶ。Rattus norvegicusミエリンタンパク質ゼロ(MPZ)遺伝子を標準化のために使用した(Sereda et al, 2006)。RT−Q−PCR分析のために使用するプライマー(Eurofins MWG Operon、Germanyにより合成)の配列は以下である:
PMP22-フォワード:5’−TGTACCACATCCGCCTTGG−3’(配列番号11)及び
PMP22-リバース:5’−GAGCTGGCAGAAGAACAGGAAC−3’(配列番号12)。
MPZ-フォワード:5’−TGTTGCTGCTGTTGCTCTTC−3’(配列番号13)及び
MPZ-リバース:5’−TTGTGAAATTTCCCCTTCTCC−3’(配列番号14)。
【0186】
結果
【0187】
Mix1組成物は、バーテスト成績を、処置手順を通して改善する(図4)。
【0188】
Mix1は、トランスジェニックラットの歩行スコアを処置後3及び6週間に改善する(図5に示す)。
【0189】
Mix1は、トランスジェニックラットの成績を処置後3、6、9、及び12週間に傾斜板テスト(25°)において増加させる(図6に記載)。
【0190】
図7は、25、35、及び40°の傾斜板テストにおけるトランスジェニックラットの歩行スコアに対するMix2のポジティブ効果を例示する。
【0191】
Mix7(用量3)は、pmp22 RNA遺伝子発現を、pmp22トランスジェニックラットの坐骨神経において有意に減少させる(図9)。
【0192】
Mix7(用量2及び用量3)を用いて処置されたpmp22ラットの成績が、傾斜板テスト(35°)において改善される(図10)。より具体的には、ラットの29及び33%が良好な成績群に属する(TGプラセボ群での5%と比較して)。ラットの29及び11%が不良な成績群に属する(TGプラセボ群での60%と比較して)。p値(対TGプラセボ)は、Mix7−用量2を用いて処置されたTGラットでの0.0152と等しい。p値は、Mix7−用量3を用いて処置されたTGラットでの0.002と等しい(対TGプラセボ)。
【0193】
Mix7−用量3は、pmp22ラットの落下潜時を、バーテストにおいて、処置後9週間に有意に増加させる(図11):黒色の破線、p=4,56.10−2、n=18。TGプラセボラット(黒色の単純線、n=20)とWTプラセボラット(灰色の単純線、p=3,82.10−7、n=18)の間の有意差も観察される。
【0194】
図12は、Mix7−用量3を用いて処置されたpmp22ラットの握力の改善を例示する。
【0195】
図13は、バーテストでの潜時(Mix7−用量3を用いた処置後9週間)とpmp22 RNAの発現レベルとの間での有意な相関を示す。
【0196】
図14は、バーテストでの潜時(Mix7−用量3を用いた処置後9週間)と感受性神経(尾)の伝導速度の間での有意な相関を表示する。
【0197】
同様の結果が、他の組み合わせについて得られる(表3を参照のこと)。
【表4】

【0198】
これらのデータは、インビボで、本発明の組み合わせ及び計画がCMTの効果的な処置を可能にすることを示す。
【0199】
D.中毒性ニューロパチーのモデルにおけるインビボ効果
【0200】
薬物処置又は計画を、オキサリプラチン(3mg/kg)の最初の腹腔内注射の前日(D1)から、最後のテスト日の前日(D16)まで経口で投与する。オキサリプラチン処置群に属する動物に蒸留水を毎日投与する(10ml/kg)。動物に、テストされた処置及び蒸留水を、毎日、午前中に投与するのに対し、オキサリプラチンは午後に投与する。
【0201】
テスト日(即ち、D1、D4、D10)の間に、処置及び蒸留水をテスト後に投与する。テスト日(D4)に関して(化合物及び媒体の投与ならびにオキサリプラチン注射を含む)、処置及び蒸留水を、テスト後のオキサリプラチンの注射前に投与する。参照処置群からの動物に、テスト日(即ち、D1、D4、D10、及びD17)の間だけ投与する。
【0202】
冷アロディニアを、熱非侵害刺激(アセトンテスト)に対する応答を、D1に(オキサリプラチン(3mg/kg)の最初の注射後約24時間)(オキサリプラチンの急性効果)、D4、D10に(オキサリプラチンの慢性効果)及びD17に(処置の完了後1週間目でのオキサリプラチンの残存効果)測定することにより評価する。
【0203】
テストを、アセトンテストを使用して、参照の投与後2時間目に行う。参照物質はガバペンチン(100mg/kg、経口)である(1日1回×4テスト日)。
【0204】
アセトンテスト
【0205】
冷アロディニアを、アセトンテストを使用して評価する。このテストにおいて、後肢引っ込めの潜時を、両方の後肢の足底面へのアセトン液滴の適用後に測定する(反応時間)。応答の強度をスコア化する(冷スコア)。
【0206】
アセトンの冷却効果に対する反応時間を、アセトン適用後20秒(カットオフ)以内に測定する。アセトンに対する応答を、また、以下の4ポイントスケールで等級分けする:0(応答なし);1(肢の迅速な引っ込め、ひっかき);2(肢の長期引っ込め又は顕著なひっかき);3(肢の反復ひっかき、舐め又はかみつきを伴う)。
【0207】
ラットによる6回の試行を実施する。各々の実験群について、結果を、累積冷スコア(各々のラットについての6スコアの合計±SEMとして定義される)として表す。最低スコアは0(6回の試行のいずれに対しても応答なし)及び最高可能スコアは18(6回の試行の各々での肢の反復ひっかき及び舐め又はかみつき)である。
【0208】
ガバペンチン供給元:Zhejiang Chiral Medicine Chemicals, China
オキサリプラチン供給元:Sigma, France
【0209】
結果を図8に描写する。それらは、オキサリプラチン誘発性ニューロパチーに対する本発明の組成物の保護効果を明らかに示す。
【0210】
E.ALSのモデルにおけるインビボ効果
【0211】
動物モデル
【0212】
本発明者らは、SOD1G93Aラットモデル(Howland et alにより作製)を選び、これは筋萎縮性側索硬化症の病理を模倣している。このモデルは、脊髄、多くの脳領域ならびに末梢組織において突然変異SOD1遺伝子を過剰発現する。このモデルの運動ニューロン疾患の発症は約115日目である;それは、後肢の異常歩行として現れる。数日内に、後肢の麻痺が生じる。
【0213】
実験手順
【0214】
本発明者らは、繁殖用SOD1G93AラットとSprague Dawley雌ラットを交雑することによりコロニーを得た。ヘテロ接合性SOD1G93Aラットを、hSOD1に特異的なプライマーを用いた、尾DNAのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて同定する[1]。動物を室内(制御された照明(0500-1900hでの光)及び温度(23±1℃))で維持し、食物及び水を自由に摂取できるようにする。本試験における全ての動物手順を、動物愛護のガイドライン基準に従って行う。体重測定を毎週実施し、挙動テストを60日齢に開始し、終点まで継続した。処置は、毎日、経口又は皮下方法により5週齢から投与する。
【0215】
1.観察テスト:全身外観の特徴付け
各々のラットを、新たなラットケージ(寸法55×33×18cm)(わらくずなし)中で5分間にわたり観察した。5つの異なるパラメーターを記録する:
【0216】
歩行
−スコア0:正常な歩行(円滑)
−スコア1:異常な歩行(円滑ではない又はラットがわずかな引きずりを有する)
−スコア2:中程度の不能(ラットが1本の肢を引きずるが、回復し、歩くことができる)
−スコア3:深刻な不能(ラットはその1本の後肢又は両方の後肢を引きずるが、しかし、1本/両方の引きずりを回復することができない)。
毛の外観
−スコア0:きれいで絹のような毛
−スコア1:立毛又は汚い毛
振戦
−スコア0:振戦なし
−スコア1:振戦
体の位置
−スコア0:正常
−スコア1:異常(その背中を平たくする又は丸くする)
肢の位置
−スコア0:正常
−スコア1:後肢を伸ばす
【0217】
2.運動スコアテスト:運動欠陥の特徴付け
このテストでは、いずれかの側にひっくり返されたラットがそれら自身を30秒以内に立直す能力(立直り反射)を評価する(Gale et al)。ノンパラメトリックスコア化システムを、これらの判断基準に従って使用した(Matsumoto et al, Thonhoff et al):
−スコア0:ラットが、いずれかの側から30秒以内にそれを立直らせることができない
−スコア1:ラットが、一つの側だけから30秒以内にそれを立直らせることができない
−スコア2:ラットが、両方の側から30秒以内にそれを立直らせることはできるが、しかし、ケージ中で立つことはできない。常に、体の一部の部分を引きずる
−スコア3:ラットが、両方の側から30秒以内にそれを立直らせることはでき、ケージ中で立つことはできず、しかし、体の一部の部分を引きずらない
−スコア4:ラットが、両方の側から30秒以内にそれを立直らせることはでき、ケージ中で立つことはでき、しかし、目に見える機能的欠陥を有する
−スコア5:ラットが、両方の側から30秒以内にそれを立直らせることはでき、ケージ中で立つことはでき、目に見える機能的欠陥はない。疾患の終点をスコア0で固定する;ラットを次に安楽死させる。
【0218】
3.傾斜板テスト:運動欠陥の特徴付け
滑り装置は、角度0°(水平)〜60°に傾斜させることができる30×50cmプレキシグラス板を有した。各々のラットを、最初に、25°の角度で傾斜させた板上に、頭を起こした位置(頭を起こした方向)で置いた;1分間で分けた2回の試行を実施する。30分後、同じ実験を、35°の角度に傾斜させた板上で、次に40°の角度に傾斜させた板上で実現する。この時間の間に、ラットをそのケージに戻した。板を、各々の試行後に掃除する。ラットの成績を、4つの異なるスコアにより評価する:
−スコア0:滑りなし
−スコア1:少しの滑り(1本又は2本の肢)
−スコア2:中程度の滑り(4本の肢)、しかし、板の終わりまでではない
−スコア3:ラットが板の最低面まで滑っている。
【0219】
4.ワイヤメッシュテスト:困難な状況における運動能力の特徴付け
ワイヤメッシュを、ボックスと最上部で(角度70°)及びテーブルの端と底部で接触させた。各々のラットを、ワイヤメッシュの底部に置き、それらの同腹仔をボックス中に最上部で置くことにより登る動機づけをした。各々のラットを週1回訓練した(3回試行)。記録されたパラメーターは、ワイヤメッシュの最上部に達するまでの潜時であった。
【0220】
5.オープンフィールドテスト:自発運動活動の特徴付け
自発運動活動を、プレキシグラスボックス(45×45×30cm、Acti-Track、BIOSEB、Lyon、France)(床の1及び5cm上の、2本の軸に続いて16のフォトセルビームを有する)中で測定した。各々のラットでの自発活動及び探索活動を3時間の間に評価した。4つのパラメーターを記録する(全移動距離、飼育の数、移動距離及びオープンフィールドの中央で費やした時間のパーセンテージ)。
【0221】
【表5】














【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための、バクロフェン、ソルビトール、ならびに、ピロカルピン、メチマゾール、ミフェプリストン、ナルトレキソン、ラパマイシン、フルルビプロフェン、及びケトプロフェン、その塩、エナンチオマー、ラセミ体、又はプロドラッグより選択される化合物を含む組成物。
【請求項2】
ナルトレキソン、バクロフェン、及びD−ソルビトールを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
以下を含む組成物:
哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための
(a)ラパマイシン、
(b)ミフェプリストン又はナルトレキソン、及び
(c)ピロカルピン、メチマゾール、及びバクロフェンより選択される化合物。
【請求項4】
以下を含む請求項3記載の組成物:
哺乳動物の被験体に対する同時、別々、又は連続投与のための
(a)ラパマイシン、
(b)ミフェプリストン、及び
(c)ピロカルピン、メチマゾール、及びバクロフェンより選択される化合物。
【請求項5】
ラパマイシン、ミフェプリストン、及びピロカルピンを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
ラパマイシン、ミフェプリストン、及びバクロフェンを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
ラパマイシン、ミフェプリストン、及びメチマゾールを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項8】
ラパマイシン、ナルトレキソン、及びメチマゾールを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項9】
医薬的に適した賦形剤又は担体をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
CMT又は関連障害を処置する際での使用のための、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
CMT又は関連障害を処置するための薬物の製造又は処置計画のための、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項12】
CMT、中毒性ニューロパチー、又はALSを処置するための、請求項11記載の使用。
【請求項13】
化合物を、経口又は非経口又は髄腔内投与用の薬物溶出ポリマー、生体分子、ミセル又はリポソーム形成脂質又は水中油型エマルション、あるいはペグ化又は固形ナノ粒子又はマイクロ粒子を用いて製剤化される、請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物又は使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−528818(P2012−528818A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513558(P2012−513558)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057438
【国際公開番号】WO2010/139627
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(510149471)
【氏名又は名称原語表記】PHARNEXT
【Fターム(参考)】