説明

CNS障害の治療のためのアザベンゾオキサゾール

本発明は、本明細書に記載した式Iのα7ニコチン性受容体作動薬、並びにヒトを包含する哺乳動物に式Iのα7ニコチン性受容体作動薬を投与することを含む該哺乳動物における中枢神経系(CNS)障害及び他の障害の治療方法に関する。本発明はまた、医薬上許容される担体、及び式(I)の CNS−浸透性α7ニコチン性受容体作動薬を含む医薬組成物に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α7ニコチン性受容体作動薬、並びにヒトを含む哺乳動物にα7ニコチン性受容体作動薬を投与することによる哺乳動物における中枢神経系(CNS)の障害及び他の障害の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は、中枢神経系(CNS)の活性及び全身の種々の組織において大きな役割を演じる。それらは、認知、学習、気分、感情及び神経保護を包含する機能(これらに限定されない)に関与することが知られている。幾つかの型のニコチン性アセチルコリン受容体が存在し、そして各自は異なる役割を有するように見える。あるニコチン性受容体は、注意、学習及び記憶を包含するCNS機能(これらに限定されない)を調節し;またあるものは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)の制御により疼痛、炎症、癌及び糖尿病を調節する。ニコチンはこのような全ての受容体に影響を与え、そして種々の活性を有する。残念なことに、全ての活性が望ましとは限らない。実際には、ニコチンの望ましくない特性としては、その常習性及び低い効力対安全性比が挙げられる。
【0003】
統合失調症は、多種多様の症状を生じさせる遺伝的及び非遺伝的危険因子によって引き起こされる複合した多因子性疾患である。歴史的には、この疾患は、陽性及び陰性症状により特徴付けられてきた。陽性症状は妄想及び幻覚を包含し、そして陰性症状は無気力、引きこもり、意欲及び快感の欠如を包含する。最近になって、情動、注意、認知及び情報処理の欠陥は、この複合疾患において重要な病理であると認識されるようになった。この疾患の主な病原因子としての生物学的要素が単一でないことが明らかになってきた。実際、統合失調症は多くの低浸透度危険因子の組み合わせによって生じた症候群のようである。薬理学的研究により、ドーパミン受容体拮抗剤が、統合失調症の明らかな精神病性の特徴(陽性症状)、例えば妄想及び幻覚の治療に効果的であることが確立された。クロザピン(「非定型」抗精神病薬は、それがこの疾患の陽性症状だけでなく陰性症状の治療にも、またある程度までは認知症状の治療に有効なので、新規である。薬物としてのクロザピンの実用性は、その継続使用が無顆粒球症及び発作の危険性の上昇に導くので、大きく制限される。他の何れの抗精神病薬も、統合失調症の認知症状の治療には有効でない。これは、認知機能の回復が、統合失調症患者の成功した臨床結果及び機能転帰の最善の予測判断材料なので、重要である(Green, M.F., Am J. Psychiatry, 153:321-30, 1996)。
【0004】
延長線上で考えると、統合失調症の認知障害の治療には、この障害を有する患者により良い精神的健康状態を回復させるために、より良い薬物が必要であることは明らかである。統合失調症の認知欠陥の一つの側面は、感覚ゲーティング(sensory gating)の聴覚事象関連電位(P50)試験を用いて測定することができる。この試験では、海馬のニューロンの活動の脳波(EEG)記録を用いて一連の聴覚「クリック」に対する被験者の反応を測定する(Adler, L.E. et. al., Biol. Psychiatry, 46:8-18, 1999)。健常な個体は、最初のクリックに対して二度目のクリックよりも大きく反応する。一般的に、統合失調症及び統合失調症型の患者は、両方のクリックにほぼ同じに反応する(Cullum, C.M. et. al., Schizophr. Res., 10:131-41,1993)。これらのデータは、統合失調症患者が重要でない情報を「濾過」又は無視できないことを反映している。感覚の一時的なゲーティング欠陥は、この疾患の重要な病理学的特徴の一つのように思われる(Cadenhead, K.S. et. al., Am. J. Psychiatry, 157:55-9, 2000)。多数の研究は、ニコチンが統合失調症の感覚欠陥を正常化することを示している(Adler, L.E. et. al., Am. J. Psychiatry, 150:1856-61, 1993)。薬理学的研究は、感覚ゲーティングに対するニコチンの効果がα7 nAChRを介することを示している(Adler, L.E. et. al., Schizophr. Bull., 24:189-202, 1998)。実際、生化学的データは、統合失調症患者の海馬にはα7 nAChR受容体が50%少なく、従ってα7 nAChR機能の部分的欠損の理論的根拠を与えることを示している(Freedman, R. et. al., Biol. Psychiatry, 38:22-33, 1995)。興味深いことに、遺伝学的データはα7 nAChR遺伝子のプロモーター領域の多型が統合失調症の感覚ゲーティング欠陥に強く関連することを示している(Freedman, R. et. al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA, 94(2):587-92, 1997; Myles-Worsley, M. et. al., Am. J. Med. Genet, 88(5):544-50, 1999)。今まで、α7 nAChRのコード領域における突然変異は確認されていない。従って、統合失調症患者は統合失調症でない患者と同じα7 nAChRを発現する。選択的α7 nAChR作動薬は、FLIPRでの機能アッセイを用いて見出すことができる(WO 00/73431参照)。FLIPRは、96又は386ウェルプレートの各ウェルからの蛍光信号を最大30分間1秒を2回の速さで読み出すように設計されている。このアッセイを用いて、α7 nAChRの機能薬理を正確に測定することができる。このようなアッセイを行うために、α7/5−HT3チャンネルを薬物標的として用いてα7 nAChRの機能性形態を発現する細胞系、及び機能性5HT3Rを発現する細胞系が用いられる。両方の場合に、リガンド依存性イオンチャンネルをSH−EP1細胞で発現した。両方のイオンチャンネルは、FLIPRアッセイで堅固な信号を生じさせることができる。
【0005】
Bray, C, et al., “Mice Deficient in CHRNA7, a Subunit of the Nicotinic Acetylcholine Receptor, Produce Sperm with Impaired Motility”, Biol. Reprod. June 8, 2005は、精子ニコチン性アセチルコリン受容体が精子の運動性の維持にとって重要であるという遺伝学的証拠を報告している。
【0006】
Metz, Christine N., et al., 6 Nature Immunol. No 8, 756-757, 2005, and de Jonge, Wouter J., 6 Nature Immunol. No. 8., 844-851, 2005は、迷走神経の刺激により放出されたアセチルコリンがマクロファージにより発現されたアルファ7 nAChRに結合して炎症性サイトカイン産生を抑制することを報告している。著者は、抗炎症性経路をニコチンのようなコリン作動薬で操作することができ、術後イレウスを治療するための可能な治療的アプローチを提供するか、又は敗血症の間の宿主の炎症性反応を制御することを示している。
【0007】
α7ニコチン性受容体作動薬はまた、米国特許第6,809,094及び6,881,734号に記載されており、両者は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
α7ニコチン性受容体作動薬及び抗精神病薬を含む医薬組成物は、米国出願公開2003/045540に記載されており、これは全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
α7ニコチン性受容体作動薬を含有する本発明の組成物は、統合失調症及びアルツハイマー病における認知欠陥又は障害を治療するために有用である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、式Iの化合物
【化1】

[式中、
1は、−CN、−CF3、(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR2、−C(=O)NR23、−NR2C(=O)R3、−S(=O)23、−S(=O)2NR23、及び−NR23からなる群から選択され、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C6−C10アリール及びヘテロアリールのそれぞれは、R1がメチル基でないことを条件として場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、シアノ、CF3、−NR45、−NR4C(=O)R5、−NR4S(=O)25、−OR5、−OC(=O)R5、−C(=O)OR5、−C(=O)R5、−C(=O)NR45、−S(=O)2NR45から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されており;
2及びR3のそれぞれは、H、(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール又は5〜12員ヘテロアリールから独立して選択され;ここで、R2及びR3のそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、シアノ、CF3、−NR45、−NR4C(=O)R5、−NR4S(=O)25、−OR5、−OC(=O)R5、−C(=O)OR5、−C(=O)R5、−C(=O)NR45、−S(=O)2NR45及びR5から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されており;
又は、R2及びR3は、NR23の窒素と一緒になって、3〜8員ヘテロシクロアルキルを形成し;
4及びR5のそれぞれは、H、直鎖状若しくは分枝状(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール及び(5〜12員)ヘテロアリールから独立して選択され;
又は、R4及びR5は、NR45の窒素と一緒になって、3〜8員ヘテロシクロアルキルを形成する];
又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー若しくは互変異性体、又はその医薬上許容される塩に関する。
【0011】
本発明のより特定の実施形態は、R1が、(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール、5〜12員ヘテロアリールであり、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールのそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されている、式Iの化合物に関する。
【0012】
本発明のより特定の実施形態は、R1が、(C1−C8)アルキルであり;ここで、該アルキルは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されている、式Iの化合物に関する。
【0013】
本発明のより特定の実施形態は、R1が、(C6−C10)アリール及び5〜12員ヘテロアリールであり;ここで、該アリール及びヘテロアリールのそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されている、式Iの化合物に関する。
【0014】
本発明のより特定の実施形態は、R1が、−NR23、−O(C1−C6)アルキル、−O−(C6−C10)アリールからなる群から選択され、ここで、該アルキル及びアリールのそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されている、式Iの化合物に関する。
【0015】
本発明のより特定の実施形態は、R1が、(C2−C6)アルキルであり、ここで、該アルキルは、場合によりF、Br、Cl、(C6−C10)アリール及び5〜12員ヘテロアリールで独立して置換されている、式Iの化合物に関する。
【0016】
本発明のより特定の実施形態は、R1が、(C6−C10)アリールであり、ここで、該アリールは、場合によりF、Cl、Br、−(C1−C6)アルキル、−CF3、−CN、−O(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択される1個又は2個の置換基で置換されている、式Iの化合物に関する。
【0017】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、別に指摘しない限り、直鎖状又は分枝状部分を有する1価の飽和炭化水素基を包含する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びt−ブチルを包含するが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書で用いられる「シクロアルキル」という用語は、別に指摘しない限り、非芳香族の飽和の環状アルキル基を包含し、ここでアルキルは上記定義の通りである。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを包含するが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、別に指摘しない限り、芳香族炭化水素から1個の水素原子を除去することにより誘導される有機基を包含する。アリール基の例は、フェニル及びナフチルを包含するが、これらに限定されない。
【0020】
本明細書で用いられる「ヘテロ環式」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それぞれO、S及びNから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含有する非芳香族の環状基を指す。本発明のヘテロ環式はまた、1個又はそれ以上のオキソ基で置換された環系を包含し得る。非芳香族ヘテロ環式基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H−インドリル、キヌクリジニル及びキノリジニルを包含するが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」という用語は、1個又はそれ以上のヘテロ原子(O、S又はN)を含有する芳香族基を指す。1個又はそれ以上のヘテロ原子を含有する多環式基であって、該基の少なくとも1個の環が芳香族であるものは、「ヘテロアリール」基である。本発明のヘテロアリール基はまた、1個又はそれ以上のオキソ部分で置換された環系を包含し得る。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プリニル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフリル、フロピリジニル、ピロロピリミジニル及びアザインドリルを包含するが、これらに限定されない。
【0022】
上記のヘテロアリール、ヘテロ環式及びヘテロシクロアルキル基は、C−結合又はN−結合であってよい(これが可能な場合)。例えば、ピロールから誘導される基はピロリル−1−イル(N−結合)又はピロリル−3−イル(C−結合)であってよい。
【0023】
本発明の特定の化合物の例は下記の式Iの化合物、並びにそれらの医薬上許容される塩、水和物、溶媒和物、及び光学異性体及び他の立体異性体である:
4−(5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(3−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フェネチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;及び
4−(5−モルホリン−4−イル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン。
【0024】
別に指摘しない限り、本明細書で用いられる「1個又はそれ以上の置換基」という用語は、利用可能な結合部位の数に基づいて可能な1個〜最大数の置換基を指す。
【0025】
本明細書で用いられる「治療」という用語は、このような用語が適用される障害若しくは状態、又はこのような状態若しくは障害の一つ又はそれ以上の症状の進行の逆転、緩和、又はこのような用語が適用される障害若しくは状態の予防を指す。本明細書で用いられる「治療」という用語は、「治療すること」が直ぐ上で定義された通りの治療する行為を指す。
【0026】
式Iの化合物はキラル中心を含有し得るので、種々のエナンチオマー及びジアステレオマー形態で存在し得る。個々の異性体は公知方法、例えば分割、立体選択的反応、又は最終生成物若しくはその中間体の製造におけるクロマトグラフィー分離によって得ることができる。本発明は、ラセミ混合物及び個々のエナンチオマーとしての、及びこのような化合物のジアステレオ異性体、並びにこれらの混合物双方の式Iの化合物の全ての光学異性体及び全ての立体異性体に関し、そしてそれらをそれぞれ含有又は使用する全ての医薬組成物及び上記定義の治療方法に関する。
【0027】
本発明の式Iの化合物が塩基性化合物である限り、それらは全て、種々の無機酸及び有機酸と多種多様な異なる塩を形成することができる。このような塩は動物への投与のために医薬上許容されるものでなければならないが、実際には多くの場合、最初に塩基性化合物を医薬上許容されない塩として反応混合物から単離し、次いでアルカリ性試薬で処理して遊離塩基性化合物に単に変換した後に、遊離塩基を医薬上許容される酸付加塩に変換することが望ましい。本発明の塩基性化合物の酸付加塩は、塩基性化合物を水溶液中で又は好適な有機溶媒、例えばメタノール若しくはエタノール中で、実質的に当量の選択した無機酸若しくは有機酸で処理することにより容易に製造される。注意深く溶媒を蒸発させると、所望の固体塩が容易に得られる。本発明の上記の塩基性化合物の医薬上許容される塩の製造に用いられる酸は、非毒性酸付加塩、換言すれば、医薬上許容されるアニオンを含有する塩、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩又は重硫酸塩、リン酸塩若しくは酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩若しくは酸性クエン酸塩、酒石酸塩若しくは重酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(すなわち、1,1'−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3
−ナフトエ酸塩))を形成するものである。
【0028】
本発明はまた、同位体で標識された化合物を包含し、これらの化合物は、1個又はそれ以上の原子が天然に普通に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えられているという事実以外は、式Iで示す化合物と同一である。本発明の化合物に導入できる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clを包含する。上記の同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物、それらのプロドラッグ、及び該化合物又は該プロドラッグの医薬上許容される塩は、本発明の範囲内にある。特定の同位体で標識された本発明の化合物、例えば3H及び14Cのような放射性同位体が導入された化合物は、薬物に、及び/又は基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム、すなわち3H、及び炭素−14、すなわち14C同位体は、それらの製造及び検出が容易であるため特に好ましい。更に、より重い同位体、例えばジュウテリウム、すなわち2Hによる置換は、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増加又は必要用量の減少によって生じる一定の治療上の利点を与えることができ、従って状況によって好ましいことがある。同位体で標識された本発明のIの化合物及びそれらのプロドラッグは、同位体未標識試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識試薬を用いて以下のスキームに、並びに/又は実施例及び製造例に開示された手順を行うことにより、一般的に製造することができる。
【0029】
本発明はまた、式Iの化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0030】
本発明はまた、統合失調症の治療に有効である量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される担体を含む、ヒトを包含する哺乳動物における統合失調症を治療するための医薬組成物に関する。
【0031】
本発明はまた、統合失調症の治療に有効である量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩をヒトを包含する哺乳動物に投与することを含む、該哺乳動物の統合失調症の治療方法に関する。
【0032】
本発明はまた、α7ニコチン性受容体作動量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される担体を含む、ヒトを包含する哺乳動物における統合失調症を治療するための医薬組成物に関する。
【0033】
本発明はまた、α7ニコチン性受容体作動量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩をヒトを包含する哺乳動物に投与すること含む、該哺乳動物の統合失調症の治療方法に関する。
【0034】
本発明は、ヒトを包含する哺乳動物における注意及び/又は認知の欠陥を症状として含む障害又は状態の治療方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に該障害又は状態の治療に有効な量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む。
【0035】
本明細書で用いられる「注意及び/又は認知の欠陥を症状として含む障害」における「注意及び/又は認知の欠陥」というフレーズは、同じ一般的年齢集団内の他の個体と比較して、特定の個体において一つ又はそれ以上の認知的側面、例えば記憶、知性、又は学習及び論理的能力が正常以下の機能であることを指す。「注意及び/又は認知の欠陥」はまた、一つ又はそれ以上の認知的側面における特定個体のいずれかの機能の減少を指す。
【0036】
本発明は、ヒトを包含する哺乳動物における神経変性の障害又は状態の治療方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に該障害又は状態の治療に有効な量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む。
【0037】
本明細書で用いられる「神経変性の障害又は状態」は、別に指摘しない限り、中枢神経系のニューロンの機能不全及び/又はニューロンの死により引き起こされる障害又は状態を指す。これらの障害又は状態の治療は、これらの障害又は状態において危険性のあるニューロンの機能不全又はニューロンの死を予防し、そして/又は危険状態にあるューロンの機能不全又はニューロンの死により生じる機能喪失を補うように、損傷又は健康ニューロンの機能を強化する、薬剤の投与によって促進することができる。
【0038】
本発明により治療できる神経変性障害はアルツハイマー病を包含するが、これに限定されない。
【0039】
式Iの化合物は、α7ニコチン性アセチルコリン受容体作動薬の投与により治療し得る哺乳動物の状態の治療に有用であるか、又はこの状態を治療するための医薬の製造に有用である。式Iの化合物は、哺乳動物がα7ニコチン性アセチルコリン受容体作動薬の活性化により症状軽減を受ける哺乳動物の治療に有用であるか、又はこの哺乳動物を治療するための医薬の製造に有用である。
【0040】
例えば、本発明はまた、哺乳動物におけるアルツハイマー病の認知及び注意欠陥症状、アルツハイマー病のような疾患に関連する神経変性、初老期認知症(pre-senile dementia)(軽度認知障害)、老年認知症(senile dementia)、統合失調症若しくは精神病(それに関連する認知欠陥を含む)、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、気分及び情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界性人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動及び認知上の問題、エイズ認知症複合症(AIDS dementia complex)、ダウン症候群に関連する認知症(dementia)、レヴィー小体に関連する認知症、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、遅発性ジスキネジー、ピック病、外傷後ストレス障害、神経性過食症及び神経性食欲不振症を含む食物摂取の調節異常、喫煙中止及び依存薬物中止に関連する禁断症状、トゥーレット症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、疼痛に関連する症状、疼痛及び炎症、TNF−α関連疾患、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、筋肉変性、骨粗鬆症、骨関節炎、乾癬、接触皮膚炎、骨吸収疾患、アテローム性動脈硬化症、ページェット病、ブドウ膜炎、通風性関節炎、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、鼻炎、潰瘍性大腸炎、アナフィラキシー、喘息、ライター症候群、移植片の組織拒絶反応、虚血再かん流傷害、発作、多発性硬化症、脳マラリア、敗血症、敗血症性ショック、毒素性ショック症候群、感染による発熱及び筋肉痛、HIV−1、HIV−2、及びHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザ、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2を含む)、帯状疱疹、癌(多発性骨髄腫、急性及び慢性骨髄性白血病、又は癌関連悪液質)、糖尿病(膵臓ベータ細胞破壊、又はI及びII型糖尿病)、創傷治癒(熱傷、及び手術によるものを一般的に含む傷の治癒)、骨折治癒、虚血性心疾患、耳鳴、又は安定狭心症から選択される障害又は状態を治療するための、上記障害又は状態の治療に有効である量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。治療するのが好ましい状態は、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、気分及び情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界性人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動及び認知上の問題、エイズ認知症複合症、ダウン症候群に関連する認知症、レヴィー小体に関連する認知症、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、遅発性ジスキネジー、ピック病、外傷後ストレス障害、神経性過食症及び神経性食欲不振症を含む食物摂取の調節異常、喫煙中止及び依存薬物中止に関連する禁断症状、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、又は疼痛に関連する症状である。
【0041】
本発明はまた、男性不妊を治療するための医薬組成物に関する。
本発明はまた、炎症、例えば術後イレウスを治療するための医薬組成物に関する。
【0042】
本発明はまた、治療が必要な哺乳動物に上記障害又は状態の治療に有効である量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む、上記障害又は状態の治療方法に関する。
【0043】
本発明はまた、α7ニコチン性受容体作動量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される担体を含む、前のパラグラフに記載の障害又は状態を治療するための組成物であってよい医薬組成物に関する。
【0044】
本発明はまた、前のパラグラフに記載の障害又は状態の治療方法に関し、該方法はα7ニコチン性受容体作動量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩をこのような治療が必要な哺乳動物に投与することを含む。
【0045】
本発明はまた、哺乳動物がα7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化により症状軽減を受ける治療が必要な該哺乳動物に、式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む、前のパラグラフに記載の障害又は状態の治療方法に関する。障害又は状態は、例えばアルツハイマー病の認知及び注意欠陥症状、アルツハイマー病のような疾患に関連する神経変性、初老期認知症(軽度認知障害)、老年認知症であってよい。障害又は状態はまた、例えば、統合失調症又は精神病及びそれに関連する認知欠陥であってよい。障害又は状態はまた、例えば、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、気分及び情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界性人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動及び認知上の問題、エイズ認知症複合症、ダウン症候群に関連する認知症、レヴィー小体に関連する認知症、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、遅発性ジスキネジー、ピック病、外傷後ストレス障害、神経性過食症及び神経性食欲不振症を含む食物摂取の調節異常、喫煙中止及び依存薬物中止に関連する禁断症状、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、又は疼痛に関連する症状であってよい。
【0046】
本発明はまた、哺乳動物に式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む、治療が必要な哺乳動物における男性不妊の治療方法に関する。
【0047】
本発明はまた、治療が必要な哺乳動物に式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む、炎症、例えば術後イレウスの治療方法に関する。
【0048】
本発明はまた、式Iの化合物又はその医薬上許容される塩、及び抗精神病薬又はその医薬上許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0049】
本発明はまた、統合失調症の治療に有効である量の式Iの化合物又はその医薬上許容される塩、及び抗精神病薬又はその医薬上許容される塩を投与することを含む、統合失調症又は精神病に罹患した哺乳動物の治療方法に関する。式Iの化合物及び抗精神病薬は一緒に又は別個に投与することができる。式Iの化合物及び抗精神病薬は同時に又は間隔をおいて投与することができる。同時に投与する場合には、式Iの化合物及び抗精神病薬を単一医薬組成物に組み込むことができる。別法として、二つ異なる組成物、すなわち、式Iの化合物を含有する一方の組成物及び抗精神病薬を含有する他方の組成物を同時に投与することができる。
【0050】
抗精神病薬は、例えば、クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドール、ロキサピン(Loxapine)、メソリダジン(Mesoridazine)、モリンドン(Molindone)、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン又はトリフルオペラジンであってよい。これらの薬物は全て受容体ドメイン2に対する親和性を有する。抗精神病薬はまた、例えば、アセナピン(Asenapine)、ジプラシドン、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、セルチンドール、クエチアピン、アリピプラゾール又はアミスルプリドであってよい。
【0051】
本発明の特定の組み合わせは、少なくとも2種の活性成分:非定型抗精神病薬、そのプロドラッグ、その医薬上許容される塩又は該プロドラッグの医薬上許容される塩、及び式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を含む。本発明の組み合わせはまた、医薬上許容されるビヒクル、担体又は希釈剤を含む。
【0052】
これらの組み合わせは相乗作用をもたらすことができ、投与しようとする非定型抗精神病薬の投与量の低下を可能にする一方、非定型抗精神病薬の標準的用量で達成されるのと少なくとも同じ精神作用効果を達成する。非定型抗精神病薬の投与量を約25〜90%だけ、例えば、約40〜80%、典型的には約50〜70%だけ減少させることができる。非定型抗精神病薬の必要量の減少は、所定の式Iの化合物の量に依存するだろう。
【0053】
各治療薬の投与量の選択は、患者の障害又は状態に関連する症状の減少又は改善により判断して、患者に軽減を与え得る投与量の選択である。周知のように、各成分の投与量は幾つかの要因、例えば選択した特定化合物の効力、投与方式、患者の年齢及び体重、治療すべき症状の重症度等に依存する。投与量の決定は当業者の技術の範囲内にある。完全性に必要な範囲で、組成物の成分の合成及び投与量は上記特許又は Physicians' Desk Reference, 57th ed., Thompson, 2003 に記載された通りであり、これらは参照により本明細書に明示的に組み込まれる。望ましくは、ジプラシドンを活性成分として選択する場合、1日用量は約5mg〜約460mgを含む。より好ましくは、第一成分の各用量は約20mg〜約320mgのジプラシドン、より一層好ましくは約20mg〜約160mgのジプラシドンを含有する。小児用量は、例えば1日当り約0.5mg〜約40mgのように少量であってよい。この投与形態は、例えば1又は2回の経口用量で、投与すべき全1日用量を可能にする。
【0054】
非定型抗精神病薬の投与量の概要及び幾つかの好ましい投与量をここに記載する。このリストは完全であることを意図するものではなく、本発明の望ましい組み合わせの何れかのための単なる指針にすぎない。
【0055】
オランザピン:1日1回約0.25〜約100mg;好ましくは1日1回約1〜約30mg;最も好ましくは1日1回約1〜約25mg;
クロザピン:1日当り約12.5〜約900mg;好ましくは1日当り150〜約450mg;
リスペリドン:1日当り約0.25〜約16mg;好ましくは1日当り約2〜8mg;
セルチンドール:1日当り約0.0001〜約1.0mg/kg;
クエチアピン:1日1回又は分割投与で与えて約1.0〜約40mg/kg;
アセナピン:単回投与又は分割投与で与えて1日当り総量約0.005〜約60mg;
パリペリドン:約0.01mg/kg〜約4mg/kg体重、より好ましくは約0.04〜約2mg/kg体重;
ビフェプルノクス(Bifeprunox)。
【0056】
本発明により用いられる現在好ましい非定型抗精神病薬はジプラシドンである。ジプラシドン、(5−[2−[4−(1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル)ピペラジン−1−イル]エチル]−6−クロロインドリン−2−オン)は、5−HT1A 受容体作動薬並びにセロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害薬としてのインビトロ活性を有するベンゾイソチアゾリルピペラジン非定型抗精神病薬である(U.S. Patent No. 4,831,031)。シナプス後5−HT1A受容体は、抑うつ障害及び不安障害の両者に関与している(NM Barnes, T Sharp, 38 Neuropharmacology 1083-152,1999)。食物と共に摂取されたジプラシドンの経口バイオアベイラビリティーは約60%であり、半減期は約6〜7時間であり、そしてタンパク質結合は広範囲にわたる。
【0057】
ジプラシドンは統合失調症及び統合失調性気分障害(schizomood disorder)、難治性統合失調症、統合失調症における認知機能障害、統合失調性感情障害及び双極性障害に関連する情動及び不安症状を有する患者の治療のために効果的である。この薬物は安全かつ効果的な非定型抗精神病薬と考えられる(Charles Caley & Chandra Cooper, 36 Ann. Pharmacother., 839-51; (2002)。
【0058】
本発明は、精神の障害及び状態の治療に有用であり、その治療はジプラシドンの投与により促進される。従って、本発明は、例えば、米国特許第6,245,766;6,245,765;6,387,904;5,312,925;4,831,031号;及び1999年3月17日公開の欧州特許出願公開0901789(これらは全て参照により本明細書に組み込まれる)に示されるように、ジプラシドンの使用が示されるところの適用を有する。
【0059】
使用できる他の非定型抗精神病薬としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:
オランザピン、2−メチル−4−(4−メチル−1−ピペラジニル)−10H−チエノ[2,3−b][1,5]ベンゾジアゼピン。オランザピン(olanizapine)は公知化合物であり、そして米国特許第5,229,382号に統合失調症、統合失調症様障害、急性躁病、軽度不安状態及び精神病の治療のために有用であると記載されている。米国特許第5,229,382号は全体として参照により本明細書に組み込まれる;
クロザピン、8−クロロ−11−(4−メチル−1−ピペラジニル)−5H−ジベンゾ[b,e][1,4]ジアゼピン。クロザピンは米国特許第3,539,573号(これは全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。統合失調症の治療における臨床的有効性が記載されている(Hanes, et al., Psychopharmacol. Bull., 24, 62 (1988));
リスペリドン、3−[2−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)ピペリジノ]エチル]−2−メチル−6,7,8,9 −テトラヒドロ−4H−ピリド−[1,2−a]ピリミジン−4−オン。リスペリドン及び精神病の治療におけるその使用は米国特許第4,804,663号(これは全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている;
セルチンドール、1−[2−[4−[5−クロロ−1−(4−フルオロフェニル)−1H−インドール−3−イル]−1−ピペリジニル]エチル]イミダゾリジン−2−オン。セルチンドールは米国特許第4,710,500号に記載されている。統合失調症の治療におけるその使用は米国特許第5,112,838 及び5,238,945号に記載されている。4,710,500; 5,112,838;及び5,238,945 号は全体として参照により本明細書に組み込まれる;
クエチアピン、5−[2−(4−ジベンゾ[b,f][1,4]チアゼピン−11−イル−1−ピペラジニル)エトキシ]エタノール。クエチアピン及び統合失調症治療における実用性を示すアッセイでのその活性は米国特許第4,879,288号(これは全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。クエチアピンは典型的にはその(E)−2−ブテンジオエート(2:1)塩として投与される;
アリピプラゾール、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリル又は7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]−ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノン。アリピプラゾールは統合失調症の治療に用いられる非定型抗精神病薬であり、そして米国特許第4,734,416号及び米国特許第5,006,528号(これらは全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0060】
アミスルプリド、これは米国特許第4,401,822号に記載されている。米国特許第4,401,822号は全体として参照により本明細書に組み込まれる;
【0061】
アセナピン、トランス−5−クロロ−2−メチル−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール。アセナピンの製造及び使用は、米国特許第4,145,434及び 5,763,476号(これらの全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0062】
パリペリドン、3−[2−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]エチル]−6,7,8 ,9−テトラヒドロ−9−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン。パリパリドンの製造及び使用は、例えば、米国特許第6,320,048;5,158,952;及び5,254,556号(これらの全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0063】
ビフェプルノクス、2−[4−[4−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピリジニル]ブチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン。ビフェプルノクスの製造及び使用は、米国特許第6,225,312号(これは全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0064】
好ましい組み合わせは、ジプラシドンと、本発明の式Iの化合物又は医薬上許容される塩である。
【0065】
式Iの化合物は、下記の方法により、有機化学の技術で公知の合成方法、当業者によく知られている修飾及び誘導体化を用いて製造することができる。以下のスキーム及び議論において、R1、R2及びR3は、別に指摘しない限り、式Iの化合物の定義において上記で定義した通りである。好ましい方法は以下に記載する方法であるが、これらに限定されない。
【0066】
以下に記載する反応は、用いられる試薬及び物質に適切であり、かつ記載する反応に使用するために好適である溶媒中で行われる。以下に記載する合成方法の説明において、全ての反応条件は、実際のものであろうと又は提案されたものであろうと、溶媒、反応温度、反応持続時間、反応圧力、及び他の反応条件(例えば無水条件、アルゴン下、窒素下等)、並びに後処理手順を含めて、当業者ならば容易に認めるように、その反応にとって標準的である条件であると理解すべきである。文献で公知の別の方法もまた使用できる。
【0067】
【化2】

【0068】
式Iの化合物は、スキーム1に示すように製造することができる。スキーム1を参照して、1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナンIII(遊離塩基又は好適な塩として)を、Lが脱離基(好適な脱離基はメチルスルフィド又はアルキルスルフィドを包含するが、これらに限定されない)である式IIの化合物と、塩基(好適な塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ルチジン、水酸化ナトリウム若しくはカリウム、炭酸ナトリウム若しくはカリウム若しくはセシウム、ナトリウム若しくはカリウム tert−ブトキシド、又は 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンを包含するが、これらに限定されない)の存在下に反応させる。この反応は不活性反応溶媒、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ベンゼン、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下又は不存在下に行われる。この反応のための標準的な反応温度は70℃〜150℃である。
【0069】
振り返って、式IIの化合物は式Vの化合物から製造する。スキーム1に示すように、式Vの化合物を、水酸化カリウムの存在下に二硫化炭素と (文献と同様の手順のため、Katz, L.; Cohen, M. S. J. Org. Chem. 1954, 19, 758-766; Supin, G. S. et al.; J. Gen. Chem. USSR (EN) 1975, 45, 363-367; Sugimoto, H, Makino, I.; Hirai, K. J. Org. Chem. 1988, 53, 2263-2267 参照)、又はエチルキサントゲン酸カリウムと (Van Allan, J. A.; Deacon, B. D. Organic Syntheses; Wiley; New York, 1963; Collect. Vol. IV, pp 569-570; Chu-Moyer, M. Y.; Berger, R. J. Org. Chem. 1995, 60, 5721-5725)、不活性溶媒、例えば水、メタノール、エタノール又はイソプロパノール中 50℃〜100℃で反応させて、式IVの化合物を得る。別法として、式IVの化合物は、式Vの化合物をチオホスゲン (Zinner, H. et al.; Chem. Ber. 1960, 93, 2035-2040; Kimura, F.; Haga, T.; Sakashita, N.; Maeda, K.; Hayashi, H.; Seki, T.; Yoshida, T. Jpn. Patent 59 10,590; 1984; Chem. Abstr. 1984, 101, 38448; Chu-Moyer, M. Y.; Berger, R. J. Org. Chem. 1995, 60, 5721-5725) と、不活性反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、エチルエーテル又はジメトキシエタン (DME) (これらに限定されない)中、0℃〜30℃の範囲の温度で反応させるか、又はVをチオカルボニルイミダゾールと反応させることによって製造される。次いで式IVの化合物を、アルキル−X(式中、Xは良好な脱離基、例えばハロゲン、メシレート又はトリフレートである)で、塩基(好適な塩基は炭酸ナトリウム若しくはカリウム若しくはセシウム、ナトリウム若しくはカリウム tert−ブトキシド、又は酢酸ナトリウム若しくはカリウムを包含するが、これらに限定されず、炭酸ナトリウム若しくはカリウムが好ましい)の存在下に処理して、式IIの化合物に変換する。この反応は、不活性溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、エチルエーテル又はジメトキシエタン(DME)中、周囲温度で行われる。
【0070】
【化3】

【0071】
式Vの化合物は、市販されているか、又はスキーム2に示すように製造される。
【0072】
スキーム2を参照して、この合成は、XがCl又はBrである式VIIIの化合物から開始する。両方の式VIIIの化合物は、市販源から文献に記載されたニトロ化、塩素化又は臭素化手順を用いて便利に製造することができる。次いでVIIIを、T. W. Greene and P. G. M
Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1999 に記載された手順により相当するベンジルエーテルVIIに変換し、ここで、ジメチルホルムアミド(DMF)中の臭化ベンジル及び水素化ナトリウムを用いる手順が好ましい。
【0073】
スキーム2を参照して、R1がアルキル、アルケニル、C6−C11アリール又は5〜12員ヘテロアリールである式VI(a)の化合物は、ベンジルエーテルVII及びMがボロン酸、ボロン酸エステル、トリアルキル錫、マグネシウムハロゲン又は亜鉛と定義される式IXの試薬を用いて、パラジウム触媒、例えばパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(これらに限定されない)と共に、ホスフィン配位子、例えばトリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−プロパン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)(これらに限定されない)の存在下に、塩基、例えば酢酸カリウム若しくはナトリウム、炭酸ナトリウム若しくはカリウム若しくはセシウム、リン酸カリウム、フッ化セシウム及びナトリウム tert−ブトキシド(これらに限定されない)の存在下又は不存在下に、製造される。この反応は典型的には、不活性溶媒、例えば 1,4−ジオキサン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、トルエン、DMF、DMSO中、1%〜10%の水の存在下又は不存在下に、0℃〜約200℃の温度で行われる。
【0074】
スキーム2を参照して、式VI(b)の化合物は、ベンジルエーテルVII及び末端アルキンを用い、当技術分野で Sonogashira カップリング反応として知られている反応により製造される。この反応は典型的には、パラジウム触媒、例えばパラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)、酢酸パラジウム(II)、アリルパラジウムクロリド2量体、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム付加物、塩化パラジウム(II)又はジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物を用いて、銅塩、例えば CuI(これに限定されない)の存在下又は不存在下に、溶媒としての大過剰量の塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルアミン(これらに限定されない)の存在下に、又は塩基と好適な溶媒、例えば 1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエンとの混合溶媒の存在下に、0℃〜200℃の温度で行われる。
【0075】
スキーム2を参照して、式VI(c)の化合物は、ベンジルエーテルVIIを、文献に十分に記載されている条件を用いて、式Xのアミンで処理することによって製造される (Wagaw,
S.; Buchwald, S. L. J. Org. Chem. 1996, 61, 7240; Driver, M. S.; Hartwig, J. F.
J. Am. Chem. Soc. 1996, 118, 7217)。この反応は典型的には、パラジウム触媒、例えば酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物を用いて、ホスフィン配位子、例えば BINAP、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−プロパン又は1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンの存在下に、塩基、例えばナトリウム tert−ブトキシドの存在下に、好適な溶媒、例えばトルエン中で、60℃〜110℃の温度で行われる。
【0076】
スキーム2を参照して、次いで式VI(a)〜(c)の化合物は、水素化して式Vの化合物に変換される。この水素化はベンジル保護基を除去し、ニトロ基をアミノ基に還元し、そしてアルケニル若しくはアルキニル置換基の場合には、結合を相当するアルキル基に飽和させる。当技術分野でよく知られた多種多様の水素化条件をこの変換に適用できる。不活性溶媒、例えばメタノール、エタノール又は酢酸エチル中の水素圧 (45 PSI) 下の10%パラジウム/炭素が好ましい。
【0077】
【化4】

【0078】
別法として、式Iの化合物はまた、スキーム3に示すように合成することができる。式VIIIの化合物から出発して、ニトロ基を還元剤、例えば亜鉛、鉄、SnCl2、ヒドロ亜硫酸ナトリウム(これらに限定されない)で、不活性反応溶媒、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール中で還元すると式XIIの化合物が生成し、次いでこれをスキーム1で詳述した手順により式XIの化合物に変換する。
【0079】
スキーム3を参照して、式Iの化合物は、式XIの化合物を、Mがボロン酸、ボロン酸エステル、トリアルキル錫、マグネシウムハロゲン又は亜鉛と定義される式XIの試薬を用いて、パラジウム触媒、例えばパラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物を用いて、ホスフィン配位子、例えばトリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−プロパン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)(これらに限定されない)と共に、塩基、例えば酢酸カリウム若しくはナトリウム、炭酸ナトリウム若しくはカリウム若しくはセシウム、リン酸カリウム、フッ化セシウム又はナトリウム tert−ブトキシドの存在下又は不存在下に処理することにより、生成させることができる。この反応は典型的には、不活性溶媒、例えば 1,4−ジオキサン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ベンゼン、トルエン、DMF、DMSO中、1%〜10%の水の存在下又は不存在下に、0℃〜200℃の温度で行われる。
【0080】
スキーム3を参照して、式I(a)の化合物は、Xがクロロ又はブロモである式XIの化合物を、R2が一般的説明で定義したアルコールXIIIで処理することにより製造される。この反応は、通常、銅塩、例えば塩化銅(I)(CuCl)、銅(II)トリフレート及びヨウ化銅(I)(CuI)(これらに限定されない)の存在下に、配位子、例えば 2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン(TMHD)、1,10−フェナントロリン、8−ヒドロキシキノリン、2−アミノピリジン及びペンタン−2,4−ジオン(acac)(これらに限定されない)の存在下又は不存在下に、塩基、例えば炭酸セシウム、リン酸カリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、好ましくは炭酸セシウムの存在下又は不存在下に、反応させるアルコールを溶媒として用いるか又は不活性溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びN−メチルピロリドン(NMP)(これらに限定されない)中、約0℃〜約200℃の温度で行われる。別法として、I(a)は、XIをこのアルコールのナトリウム塩と共に、溶剤として相当するアルコールを用いて、加熱することにより生成する。
【0081】
スキーム3を参照して、式I(b)の化合物は、Xがクロロ又はブロモである式XIの化合物を、アミンXで処理することにより製造される。この反応は、パラジウム触媒、例えば酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、ジクロロ−[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物の存在下又は不存在下に、ホスフィン配位子、例えば BINAP、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−プロパン又は 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンの存在下又は不存在下に、強塩基、例えばナトリウム tert−ブトキシドの存在下又は不存在下に、好適な溶媒、例えばトルエン中で、60℃〜110℃の温度で行われる。
【0082】
式Iの化合物及びそれらの医薬上許容される塩(以下、「活性化合物」)は、経口、経皮(例えば、パッチの使用による)、鼻腔内、舌下、直腸、非経口又は局所経路の何れかによって投与することができる。経皮及び経口投与が好ましい。これらの化合物は、最も望ましくは、1日当たり約0.25mg〜約1500mg、好ましくは1日当たり約0.25mg〜約300mgの投与量で、単回又は分割投与で投与されるが、治療されている対象者の体重及び状態、並びに選択した特定の投与経路に応じて、変動が必然的に生じるであろう。しかしながら、1日当たり体重1kg当たり約0.01mg〜約10mgの範囲にある投与量レベルが、最も望ましく用いられる。それにもかかわらず、治療されている個人の体重及び状態、並びに該医薬に対する彼らの個々の反応だけでなく、選択した医薬製剤のタイプ、並びにこのような投与が行われる期間及び時間間隔に応じて、変動が起こり得る。ある場合には、上記範囲の下限よりも低い用量レベルで十分であり得る一方、他の場合には、それよりも大きい用量を1日を通して投与するために、最初に小さい用量に分割すれば、このようなより大きい用量を、有害な副作用を生じることなく使用することができる。
【0083】
活性化合物は、単独で又は医薬上許容される担体若しくは希釈剤と組み合わせて、上記の幾つかの経路の何れによっても投与することができる。より具体的には、活性化合物は多種多様な異なる投与形態で投与することができ、例えば、それらは種々の医薬上許容される不活性担体と組み合わせて、錠剤、カプセル剤、経皮パッチ剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、ハードキャンディー剤、散剤、スプレー剤、クリーム剤、軟膏剤(salves)、坐剤、ゼリー剤、ゲル剤、パスタ剤、ローション剤、軟膏(ointment)、水性懸濁液剤、注射用液剤、エリキシル剤、シロップ剤等の形態にすることができる。このような担体は、固体希釈剤又は充填剤、滅菌水性媒質及び種々の非毒性有機溶剤を包含する。加えて、経口医薬組成物は、好適には甘味付与及び/又は着香することができる。一般的に、活性化合物は、このような投与形態中に約5.0〜約70質量%の範囲の濃度レベルで存在する。
【0084】
経口投与のために、種々の賦形剤、例えば微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリシンを含有する錠剤を、種々の崩壊剤、例えば澱粉(好ましくは、トウモロコシ、バレイショ又はタピオカ澱粉)、アルギン酸及びある種の複合ケイ酸塩と共に、造粒結合剤、例えばポリビニルピロリドン、蔗糖、ゼラチン及びアカシアと一緒に用いることができる。加えて、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクを製錠目的に使用することができる。同様のタイプの固体組成物はまた、ゼラチンカプセルの充填剤として使用することができ;これに関して好ましい材料はまた、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコールを包含する。水性懸濁剤及び/又はエリキシル剤が経口投与のために望ましい場合には、活性成分を、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びそれらの種々の組み合わせのような希釈剤と一緒に、種々の甘味料又は着香料、着色料及び所望によりより乳化剤及び/又は懸濁化剤と組み合わせることができる。
【0085】
非経口投与のために、ゴマ油若しくは落花生油又は水性プロピレングリコールの何れか中の活性化合物の液剤を用いることができる。水性液剤は、必要に応じて適切に緩衝されるべきであり(好ましくは8より大きいpH)、そして液体希釈剤は最初に等張にすべきである。これらの水性液剤は、静脈内注射の目的に適している。油性液剤は、関節内、筋肉内及び皮下注射の目的に適している。無菌条件下でのこれら全ての溶液の製造は、当業者によく知られた標準的製薬技術により容易に行われる。
【0086】
活性化合物を局所的に投与することも可能であり、これは標準的製薬プラクティスによりクリーム、パッチ、ゼリー、ゲル、ペースト、軟膏等として行うことができる。
【0087】
本発明の化合物は、α7/5−HT3キメラ受容体の機能的活性化若しくは他のイオンチャンネル、例えば5−HT3若しくはIKrチャンネルに対しての高い選択性、又はそれらの組み合わせにより判断して、有利な効力を示す。他のイオンチャンネル、例えば5−HT3及び/又はIKrチャンネルに対する高い選択性は、本発明の化合物の典型的な利点である。
【0088】
特定受容体部位に対するニコチン結合を抑制することにおける活性化合物の有効性は、Lippiello, P. M. 及び Fernandes, K. G. の方法 (in “The Binding of L-[3H]Nicotine To A Single Class of High-Affinity Sites in Rat Brain Membranes”, Molecular Pharm., 29, 448-54, (1986))、並びに Anderson, D. J. 及び Arneric, S. P. の方法 (in “Nicotinic Receptor Binding of 3HCystisine, 3HNicotine and 3HMethylcarmbamylcholine In Rat Brain”, European J. Pharm., 253, 261-67 (1994)) の変法である下記の方法により決定することができる。Charles River からの雄性Sprague-Dawley ラット(200〜300g)をグループで、吊り下げ式ステンレス鋼線材ケージで飼育し、そして12時間の明/暗サイクルに維持した(午前7時〜午後7時の明期間)。ラットには標準的 Purina Rat Chow 及び水を自由を与えた。ラットを断頭により殺した。断頭の直後に脳を取り出した。脳組織から、若干の変更を加えたLippiello 及び Fernandez (Molec. Pharmacol., 29, 448-454, (1986)) の方法により、膜を調製した。全脳を取り出し、氷冷緩衝液ですすぎ、そして10体積(w/v)の緩衝液中で0℃において、Brinkmann PolytronTM (Brinkmann Instruments Inc., Westbury, NY)、セッティング6を用いて30秒間 ホモジナイズした。緩衝液は、室温でpH 7.5の50mM Tris HClからなっていた。ホモジネートを遠心分離により沈降させた(10分間;50,000xg; 0℃〜4℃)。上澄み液を捨て、そして膜をPolytronで穏やかに再懸濁し、そして再び遠心分離した(10分間;50,000xg;0℃〜4℃)。二度目の遠心分離の後、膜をアッセイ緩衝液に1.0g/100mLの濃度で再懸濁した。標準的アッセイ緩衝液の組成は、50mM Tris HCl、120mM NaCl、5mM KCl、2mM MgCl2、2mM CaCl2 であり、そして室温でpH 7.4 を有した。
【0089】
ルーチンアッセイをホウケイ酸ガラス試験管で行った。アッセイ混合物は典型的に、最終インキュベーション体積1.0mL中の膜タンパク質0.9mgからなっていた。各組の試験管がそれぞれ50μLのビヒクル、ブランク又は試験化合物溶液を含有する3組の試験管を用意した。各試験管に、アッセイ緩衝液中の [3H]−ニコチン200μL、次いで膜懸濁液750μLを加えた。各試験管中のニコチンの最終濃度は0.9nMであった。ブランク中のシチシンの最終濃度は1μMであった。ビヒクルは、水50mL当たり30μLの1N 酢酸を含有する脱イオン水からなっていた。試験化合物及びシチシンをビヒクルに溶解した。アッセイは、試験管に膜懸濁液を加えた後に回転することにより開始した。サンプルを、氷冷した振盪水浴中で0℃〜4℃においてインキュベートした。インキュベーションは、BrandelTM多マニホルド組織ハーベスター(Brandel Biomedical Research & Development Laboratories, Inc., Gaithersburg, MD)を用い、Whatman GF/BTMガラス繊維フィルター(Brandel Biomedical Research & Development Laboratories, Inc., Gaithersburg, MD)に真空下で通して急速濾過することにより終了した。アッセイ混合物を初回濾過した後、氷冷したアッセイ緩衝液でフィルターを2回洗浄した(各5mL)。次いでフィルターを計数バイアルに入れ、放射能を定量する前に、20mlのReady SafeTM (Beckman, Fullerton, CA)と共に激しく混合した。サンプルを、LKB Wallac RackbetaTM液体シンチレーションカウンター(Wallac Inc., Gaithersburg, MD)により効率40〜50%で計数した。全ての決定値は3連であった。
【0090】
計算:膜への特異的結合(C)は、ビヒクルのみ及び膜を含有するサンプル中の総結合(A)と、膜及びシチシンを含有するサンプル中の非特異的結合と(B)との差であり、すなわち、
特異的結合(C)=(A)−(B)である。
試験化合物の存在下の特異的結合(E)は、試験化合物の存在下の総結合(D)と、非特異的結合(B)との差であり、すなわち、(E)=(D)−(B)である。
%阻害=(1−((E)/(C))×100である。
上記のアッセイで試験した本発明の化合物は、好ましくは10μM未満のIC50値を示す。
【0091】
GH4C1細胞におけるα7ニコチン性受容体への[125I]−ブンガロトキシン結合:
GH4C1細胞系で発現されたニコチン性受容体のための膜調製物を作製した。簡単に述べると、湿潤質量1gの細胞をpolytronと共に、20mM Hepes、118mM NaCl、4.5mM KCl、2.5mM CaCl2、1.2mM MgSO4、pH 7.5を含有する緩衝液25mL中でホモジナイズした。ホモジネートを40,000xgで10分間4℃で遠心分離し、生成したペレットを上記のように再びホモジナイズして遠心分離した。最終ペレットを同じ緩衝液20mLに再懸濁した。放射性リガンド結合を、New England Nuclearからの比放射能が約16uCi/ugの[125I]アルファ−ブンガロトキシンにより、最終濃度0.4nMを用いて96ウェルマイクロタイタープレートで行った。プレートを、総結合のために25μlの薬物又はビヒクル、100μlの[125I]ブンガロトキシン及び125μlの組織調製物と共に、37℃で2時間インキュベートした。非特異的結合はmethyllycaconitineの存在下に最終濃度1μMで決定した。Skatron細胞ハーベスター(Molecular Devices Corporation, Sunnyvale, CA)上の0.5%ポリエチレンイミン処理したWhatman GF/BTMガラス繊維フィルター(Brandel Biomedical Research & Development Laboratories, Inc., Gaithersburg, MD)を用いて氷冷緩衝液で濾過することにより反応を終了し、フィルターを一夜乾燥し、そしてBetaプレートカウンター上でBetaplate Scint. (Wallac Inc., Gaithersburg, MD)を用いて計数した。データは、IC50(特異的結合の50%を阻害する濃度)として、又は見掛けKi、すなわちIC50/1+[L]/KDとして表される。[L]=リガンド濃度、KD=別の実験で決定した[125I]リガンドの親和定数である。
上記のアッセイで試験した本発明の化合物は、好ましくは10μM未満のIC50値を示す。
【0092】
シビレエイ電気板膜(Torpedo electroplax)におけるアルファ1ニコチン性受容体への[125I]−ブンガロトキシン結合:
凍結したシビレエイ電気板膜(100μl)を、20mM Hepes、118mM NaCl、4.5mM KCl、2.5mM CaCl2、1.2mM MgSO4、pH 7.5を含有する緩衝液213mlに2mg/mlのBSAと共に再懸濁した。放射性リガンド結合を、New England Nuclearからの比放射能が約16uCi/ugの[125I]アルファ−ブンガロトキシンにより、最終濃度0.4nMを用いて96ウェルマイクロタイタープレートで行った。プレートを、総結合のために25μlの薬物又はビヒクル、100μlの[125I]ブンガロトキシン及び125μlの組織調製物と共に、37℃で3時間インキュベートした。非特異的結合はアルファ−ブンガロトキシンの存在下に最終濃度1μMで決定した。
Skatron細胞ハーベスター上の0.5%ポリエチレンイミン処理したGF/Bフィルターを用いて氷冷緩衝液で濾過することにより反応を終了し、フィルターを一夜乾燥し、そしてBetaプレートカウンター上でBetaplate Scint.を用いて計数した。データは、IC50(特異的結合の50%を阻害する濃度)として、又は見掛けKi、すなわちIC50/1+[L]/KDとして表される。[L]=リガンド濃度、KD=別の実験で決定した[125I]リガンドの親和定数である。
上記のアッセイで試験した本発明の化合物は、好ましくは10nMより大きい、より好ましくは100nMより大きいIC50 値を示す。
【0093】
3H-LY278584を用いたNG-108細胞における5−HT3受容体結合:
NG-108細胞は5−HT3受容体を内因的に発現する。10%ウシ胎仔血清を含有し、L−グルタミンを補充した(1:100)DMEM中で細胞を成長させる。細胞を集密(confluence)まで成長させ、そして培地を除去し、フラスコをリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)ですすぐことにより細胞を収穫し、次いで5mM EDTAを含有するPBSと共に2〜3分間放置する。細胞を取り出して遠心管に注ぐ。フラスコをPBSですすいで遠心管に加える。細胞を40,000xg(Sorvall SS34ローター(Kendro Laboratory Products, Newtown, CT)中で20,000rpm)で10分間遠心分離する。上澄み液を(クロロクス(Chlorox))に排出し、この時点で残ったペレットを秤量し、そして結合アッセイに使用するまで凍結保存(−80℃)することができる。ペレット(新鮮又は凍結 − 96ウェルプレート当たり250mg)を、2mM MgCl2 (pH 7.4)を含有する50mM Tris HCl 緩衝液中で、Polytronホモジナイザー(設定15,000rpm)を用いて10秒間ホモジナイズする。ホモジネートを40,000xgで10分間遠心分離する。 上澄み液を排出し、ペレットを、Polytronを用いて2mM MgCl2 (pH 7.4) 緩衝液を含有する新鮮な氷冷した50mM Tris HCl中に再懸濁し、再び遠心分離する。最終ペレットをアッセイ緩衝液(154mM NaClを含有する50mM Tris HCl緩衝液(37℃でpH 7.4))中に再懸濁して、緩衝液1mL当たり12.5mgの最終組織濃度にする(1.25X最終濃度)。10% DMSO/50mM Tris緩衝液中に希釈した試験化合物及び放射性リガンド(3H-LY278584の最終濃度1nM)を含有する96ウェルポリプロピレンプレートに組織ホモジネートを加えることにより、インキュベーションを開始した。非特異的結合を、既知の強力5−HT3拮抗剤の飽和濃度(10μM ICS-205930)を用いて決定した。水浴中37℃で1時間のインキュベーションの後、96ウェルSkatron ハーベスター(前湿潤3秒;洗浄20秒;乾燥15秒)を用い、塩処理したWhatman GF/Bガラス繊維フィルター(0.5%ポリエチレンイミンに2時間前浸漬し、そして乾燥した)に真空下で通して急速濾過することによりインキュベーションを終了した。フィルターを一夜乾燥し、次いで10mLの BetaScintを含むWallacサンプルバッグに入れる。放射能を、BetaPlateカウンター(Wallac, Gaithersburg, MD)を用いた液体シンチレーション計数により定量した。特異的結合のパーセント阻害を、試験化合物の各濃度について計算する。IC50値(特異的結合の50%を阻害する濃度)を、濃度−反応データの線形回帰(ログ濃度対ロジットパーセント値)により決定する。Ki値をCheng & Prusoffにより計算する − Ki=IC50/(1+(L/Kd))、式中、Lは実験に使用した放射性リガンドの濃度であり、そしてKd値は別の飽和実験で決定された放射性リガンドの解離定数である。
上記のアッセイで試験した本発明の化合物は、好ましくは10nMより大きい、より好ましくは100 nMより大きいIC50値を示す。
【0094】
α7 nAChR作動薬のEC50を測定するための細胞ベースのアッセイ
α7−5HT3受容体の構築及び発現:
イオンチャンネルのリガンド結合ドメインを含有するヒトα7 nAChRからN−末端201アミノ酸をコードするcDNAを、マウス5HT3受容体の孔形成領域を含有するcDNAに、Eisele JL, et al., “Chimaeric nicotinic-serotonergic receptor combines distinct ligand binding and channel specificities,” Nature (1993), Dec. 2;366(6454):479-83に記載されたようにして、かつGroppi, et al.、WO 00/73431により変更して融合した。キメラα7−5HT3イオンチャンネルを、それぞれG-418及びハイグロマイシンBに対する耐性遺伝子を含有するpGS175及びpGS179に挿入する。両者のプラスミドを同時にSH-EP1細胞にトランスフェクトし、そして G-418及びハイグロマイシンBの両者に対して耐性である細胞系を選択した。キメライオンチャンネルを発現する細胞系を、それらが細胞表面上の蛍光α−ブンガロトキシンを結合する能力によって確認した。最高量の蛍光α−ブンガロトキシンを有する細胞を、蛍光活性化細胞選別装置(FACS)を用いて単離した。キメラα7−5HT3を安定的に発現した細胞系は、10%ウシ胎仔血清、L−グルタミン、100単位/ml ペニシリン/ストレプトマイシン、250ng/mg ファンギゾン、400μg/ml ハイグロマイシンB、及び400μg/ml G-418 を補充した非必須アミノ酸を含有する最小必須培地中で、37℃で6%CO2と共に標準的な哺乳動物細胞インキュベーターで、細胞を少なくとも4週間連続培養して成長させた後蛍光α−ブンガロトキシン結合を測定することによって確認した。
【0095】
キメラα7−5HT3受容体の活性のアッセイ
キメラα7−5HT3イオンチャンネルの活性をアッセイするために、このチャンネルを発現する細胞を、96又は384ウェル皿(Corning #3614)の何れかの各ウェルに細胞を入れ、そしてアッセイする前に集密まで成長させた。アッセイの日に、無水DMSOに溶解した2mM カルシウム・グリーン1、AM (Molecular Probes)と20%プルロニック F-127 (Molecular Probes)との1:1混合物で細胞を負荷した。この溶液を各ウェルの成長培地に直接加えて最終濃度2μMを得た。細胞を染料と共に37℃で60分間インキュベートし、そして WO 00/73431に記載されたようにして変更バージョンのアールの平衡塩類溶液(MMEBSS)で洗浄した。MMEBSS のイオン条件を、WO 00/73431に記載されたようにしてキメラα7−5HT3イオンチャンネルからのカルシウムイオンの流れが最大になるように調節した。キメラα7−5HT3イオンチャンネルに対する化合物の活性を、FLIPR 上で分析した。この機器を、電力 500ミリワットを用いて励起波長 488ナノメーターで設定した。蛍光の発光を、最大シグナル対ノイズ比を維持するために適切なFストップを用いて525ナノメーターより上で測定した。各化合物の作動薬活性は、キメラα7−5HT3イオンチャンネルを発現する細胞に化合物を直接加え、そしてキメライオンチャンネルの作動薬誘発活性化に起因して生じた細胞内カルシウムの増加を測定することによって、測定した。アッセイは、細胞内カルシウムの濃度依存性上昇をカルシウム・グリーン蛍光の濃度依存性変化として測定される程に、定量的である。化合物が細胞内カルシウムの50%最大増加を生じさせるために必要な有効濃度は、EC50と呼ばれる。
上記のアッセイで試験した本発明の化合物は、好ましくは10μM未満、より好ましくは1μM未満のIC50値を示す。
【0096】
下記の実験例により本発明を説明するが、これらに限定されない。実施例において、市販の試薬は更に精製することなく使用した。クロマトグラフィーによる精製は、Biotage (Dyax Corp, Biotage Division, Charlottesville, VA)からのプレパックしたシリカカラム上で行った。融点(mp)は、温度ランプ速度 10℃/分で Mettler Toledo FP62 融点測定装置(Mettler-Toledo, Inc., Worthington, OH)を用いて得たものであり、未補正である。プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、Varian INOVA400 (400MHz)分光計 (Varian NMR Systems, Palo Alto, CA)により重水素化溶媒中で記録した。化学シフトは、Me4Si (δ 0.00)に対する百万分の一(ppm、δ)で報告する。炭素−13核磁気共鳴(13C NMR)スペクトルは、Varian INOVA400 (100 MHz)により記録した。化学シフトは、重水素化クロロホルムの1:1:1三重項の中心線(δ 77.00)、重水素化メタノールの中央線(δ 49.0)又は重水素化ジメチルスルホキシドの中央線(δ 39.7)に対するppmで報告する。報告する炭素共鳴の数は、幾つかの分子では磁気的及び化学的に等価な炭素のために実際の炭素数とマッチしないことがあり、そして配座異性体のために実際の炭素数を超えることがある。質量スペクトル(MS)は、フローインジェクション大気圧化学イオン化(APCI)を用いたWaters ZMD 質量分析計(Waters Corporation, Milford, Mass)を用いて得た。質量検出を伴うガスクロマトグラフィー(GCMS)は、HP 5973質量選択検出器及びHP-1(架橋メチルシロキサン)カラム(Agilent Technologies, Wilmington, DE)を備えたHewlett Packard HP 6890シリーズ GC 装置を用いて得た。LC-MSスペクトルは、エレクトロスプレー(ESI+)及びバイナリHPLC ポンプを備えたWater ZQ 1525μ質量分析法により25℃で勾配溶離を用いて記録した。溶媒Aは、98% 水、0.01% ギ酸を含む 2% アセトニトリルであり、溶媒Bは、0.005% ギ酸を含む 100% アセトニトリルである。流速1mL/分で、95%A、5%Bから始めて0%A、100%Bで終わる3.55分間にわたる線形勾配を用いた。室温(RT)は20〜25℃を指す。略語「h」又は「hr」は「時間」を指す。1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナンは、公開された手順の僅かな変更により製造した:Rubstov, M.V.; Mikhlina, E.E.; Vorob'eva, V. Ya.; Yanina, A. Zh. Obshch. Khim. 1964, V34, 2222-2226を参照されたい。
【実施例】
【0097】
〔実施例1〕
4−(5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
中間体1
6−クロロ−2−ニトロ−ピリジン−3−オール
6−クロロ−ピリジン−3−オール (30.0g, 233mmol) 及び酢酸 (300mL)の0℃の攪拌混合物に、発煙硝酸(14.8mL, 350mmol) を滴下して加えた。添加終了後、この混合物を室温に温め、4時間攪拌した。次いでこの混合物を0℃に冷却し、混合物のpHを50質量%NaOH 水溶液で約7に調整した。この混合物をEtOAc (3×1000mL)で抽出した。有機層を一緒にし、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去し、生成した固体を塩化メチレン(600mL)に溶解し、過剰のNaHCO3 固体 (100g) と共に3時間攪拌した。次いでこの混合物を濾過し、濾液を濃縮して、6−クロロ−2−ニトロ−ピリジン−3−オール 29gを得た。C5H3ClN2O3 のGC−MS:保持時間 1.77 分, m/z 174 (M)+
【0098】
中間体2:
3−ベンジルオキシ−6−クロロ−2−ニトロ−ピリジン
DMF (30mL) 中の6−クロロ−2−ニトロ−ピリジン−3−オール(1.35g, 7.76mmol)N2下0℃の攪拌溶液に、NaH (341mg, 8.53mmol) を少量ずつ加えた。この混合物を0℃で20分間攪拌した。次いで塩化ベンジル(1.02mL, 8.53mmol) を滴下して加えた。添加終了後、この混合物を60℃に4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAc (500mL) 及びH2O (400mL) に分配した。有機層を分離し、更に H2O (2×100mL) 及びブライン (200mL) で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, 2:1 ヘキサン:EtOAc)で精製して、3−ベンジルオキシ−6−クロロ−2−ニトロ−ピリジン0.8gを得た。C12H9ClN2O3 の LC−MS:保持時間 2.6分, m/z 265.2 (M+H)+
【0099】
中間体3:
3−ベンジルオキシ−2−ニトロ−6−ビニル−ピリジン
ジオキサン(65mL)中の3−ベンジルオキシ−6−クロロ−2−ニトロ−ピリジン (5.0g, 18.9mmol) のN2下室温の攪拌溶液に、CsF (6.3g, 41.6mmol)、P(t−Bu)3 (ヘキサン中10%, 3.4mL, 1.1mmol)、Pd2(dba)3 (259mg, 0.28mmol) 及びビニル錫 (6.6mL, 22.7mmol)を加えた。次いでこの混合物を100℃に加熱し、一夜攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAc で希釈し、セライトのパッドに通して濾過した。このケーキを更に EtOAc (200mL) で洗浄した。一緒にした濾液を真空濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー (シリカゲル, 5:1 ヘキサン:EtOAc) で精製して、3−ベンジルオキシ−2−ニトロ−6−ビニル−ピリジン3.1g を得た。 1H−NMR (CD3OD, 400 MHz), δ: 7.77 (1H), 7.63 (1H), 7.30-7.42 (5H), 6.71 (1H), 6.11 (1H), 5.44 (1H), 5.28 (2H)。
【0100】
中間体4:
2−アミノ−6−エチル−ピリジン−3−オール
MeOH (10mL) 中の3−ベンジルオキシ−2−ニトロ−6−ビニル−ピリジン(500mg, 1.9mmol)の溶液に10% Pd/C (40mg, 0.38mmol) を加えた。この混合物をH2(45 PSI)下に室温で一夜振盪した。この混合物をセライトのパッドに通して濾過した。このケーキを更にEtOAc (50mL) で洗浄した。一緒にした濾液を真空濃縮して、2−アミノ−6−エチル−ピリジン−3−オール287mgを得た。1H−NMR (CD3OD, 400mHz), δ: 6.79 (1H), 6.34 (1H), 2.50 (2H), 1.16 (3H)。
【0101】
中間体5:
5−エチル−3H−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−チオン
EtOH (6mL) 中の 2−アミノ−6−エチル−ピリジン−3−オール (287mg, 2.1mmol) のN2下室温の攪拌溶液に、エチルキサントゲン酸カリウム (672mg, 4.2mmol) を加えた。反応混合物を90℃に加熱し、一夜攪拌した。この混合物を室温に冷却し、AcOHを用いて混合物の pHを5〜6に調整した。次いでこの混合物を EtOAc (50mL) で希釈し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去し、残留物を更に精製することなくそのまま使用した。C8H8N2OS のLC−MS:保持時間: 1.3分, m/z 181.2 (M+H)+
【0102】
中間体6:
5−エチル−2−メチルスルファニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン
DMF (20mL) 中の5−エチル−3H−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−チオン(2.1mmol) のN2下室温の攪拌溶液に、炭酸カリウム (1.38g, 10mmol) 及び MeI (0.5mL, 8.0mmol) を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。この混合物を EtOAc (50mL) で希釈し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー (シリカゲル, ヘキサン中5%〜30% EtOAc) で精製して、5−エチル−2−メチルスルファニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン107mgを得た。C9H10N2OSのGC−MS:保持時間: 1.8 分, m/z 195.2 (M+H)+
【0103】
〔実施例1〕
4−(5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
i−PrOH (1.0mL) 中の5−エチル−2−メチルスルファニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン (115mg, 0.59mmol) のN2下室温の攪拌溶液に、ジイソプロピルエチルアミン (310μL,
1.8mmol) 及び 1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナンのビス HCl塩 (177mg, 0.89mmol) を加えた。反応混合物を130℃に48時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、CH2Cl2で希釈し、NaHCO3、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー (シリカゲル, 1% NH4OH を含む10:1 CH2Cl2:MeOH) で精製して、4−(5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン56mgを得た。C15H20N4OのLC−MS:保持時間: 0.7分, m/z 273.3 (M+H)+
【0104】
〔実施例2〕
4−(5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
中間体7:
3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−ニトロ−ピリジン
DMF (300mL) 中の6−ブロモ−2−ニトロ−ピリジン−3−オール (WO 2004/002490 に記載されたように製造した) (23.2g, 106.4mmol)のN2下0℃の攪拌溶液に、NaH (4.7g, 117.1mmol) を少量ずつ加えた。この混合物を0℃で20分間攪拌した。次いで BnBr (14mL, 117.1mmol) を滴下して加えた。添加終了後、この混合物を60℃に3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAc (600mL) 及び H2O (800mL) に分配した。水層を更に EtOAc (2×300mL) で抽出した。有機層を合わせ、H2O (2×300mL)、ブライン (300mL) で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去した。残留物をCH2Cl2 (100mL) に最初に懸濁し、次いで濾過した。集めた結晶を更にEt2Oと摩砕して、3−ベンジルオキシ−6−ブロモ−2−ニトロ−ピリジン7.5gを得た。1H−NMR (CD3OD, 400mHz), δ: 7.78 (2H), 7.30−7.42 (5H), 5.29 (2H)。
【0105】
中間体8:
3−ベンジルオキシ−2−ニトロ−6−フェニル−ピリジン
トルエン (3mL) 中の中間体7 (200mg, 0.65mmol) のN2下室温の攪拌溶液に、H2O(1mL) 中の Pd(PPh3)4 (30mg, 0.026mmol)、Na2CO3 (138mg, 1.3mmol) 及びフェニルボロン酸 (95mg, 0.78mmol) を加えた。この混合物を100℃に加熱し、一夜攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、EtOAc で希釈し、セライトのパッドに通して濾過した。このケーキを更に EtOAc (50mL) で洗浄した。一緒にした濾液を真空濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン中 10%〜30% EtOAc)で精製して、3−ベンジルオキシ−2−ニトロ−6−フェニル−ピリジン216mgを得た。C18H14N2O3のLC−MS:保持時間: 2.9分, m/z 307.2 (M+H)+
【0106】
中間体9:
2−アミノ−6−フェニル−ピリジン−3−オール
MeOH (10mL) 中の 3−ベンジルオキシ−2−ニトロ−6−フェニル−ピリジン (215mg, 0.7mmol) 溶液に、10% Pd/C (15mg, 0.14mmol) を加えた。この混合物を H2(45 PSI) 下に一夜振盪した。この混合物をセライトのパッドに通して濾過した。このケーキを更に EtOAc (50mL) で洗浄した。一緒にした濾液を真空濃縮して、2−アミノ−6−フェニル−ピリジン−3−オール147mgを得た。C11H10N2OのLC−MS:保持時間: 1.2分, m/z 187.2 (M+H)+
【0107】
中間体10:
5−フェニル−3H−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−チオン
EtOH (2.6mL) 中の2−アミノ−6−フェニル−ピリジン−3−オール (147mg, 0.79mmol)
のN2下室温の攪拌溶液に、エチルキサントゲン酸カリウム (253mg, 1.6mmol) を加えた。次いで反応混合物を90℃に加熱し、一夜攪拌した。この混合物を室温に冷却し、混合物のpHを酢酸で5〜6に調整した。次いでこの混合物をEtOAc (50mL) で希釈し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去し、残留物を更に精製することなくそのまま使用した。C12H8N2OSのLC−MS:保持時間: 2.3分, m/z 229.2 (M+H)+
【0108】
中間体11:
2−メチルスルファニル−5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン
DMF (5mL) 中の 5−フェニル−3H−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−チオン (0.79mmol) のN2下室温の攪拌溶液に、炭酸カリウム (187mg, 1.35mmol) 及び MeI (67μL, 1.08mmol) を加えた。反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。この混合物をEtOAc (50mL) で希釈、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, ヘキサン中0%〜30% EtOAc)で精製して、2−メチルスルファニル−5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン100mg を得た。C13H10N2OSのLC−MS:保持時間: 2.3分, m/z 243.2 (M+H)+
【0109】
〔実施例2〕
4−(5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
i−PrOH (0.5mL) 中の 5−フェニル−2−メチルスルファニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン (100mg, 0.41mmol) のN2下室温の攪拌溶液に、ジイソプロピルエチルアミン (220μL, 1.3mmol) 及び1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナンのビス HCl塩 (123mg, 0.62mmol) を加えた。反応混合物を130℃に48時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、CH2Cl2で希釈し、NaHCO3、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー (シリカゲル, 1% NH4OHを含むCH2Cl2中 0%〜5% MeOH) で精製して、4−(5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン50mgを得た。C19H20N4OのLC−MS:保持時間: 1.6分, m/z 321.2 (M+H)+
【0110】
以下の化合物は、中間体7を用いて同様の手順により合成する。
〔実施例3〕
4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
C19H19FN4OのLC−MS:保持時間: 1.68分, 339.2 [M+H]+
【0111】
〔実施例4〕
4−[5−(3−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
C19H19FN4OのLC−MS:保持時間: 1.68分, 339.2 [M+H]+
【0112】
〔実施例5〕
4−[5−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル]−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
C19H19FN4OのLC−MS:保持時間: 1.59分, 339.2 [M+H]+
【0113】
〔実施例6〕
4−(5−フェネチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
中間体7を用いるカップリング工程のために、Pd(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)、フェニルアセチレン、ヨウ化銅及びジイソプロピルアミンを溶媒としてのトルエンと共に使用した。
C21H24N4OのLC−MS:保持時間: 1.5分, 349.2 [M+H]+
【0114】
〔実施例7〕
4−(5−モルホリン−4−イル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン
中間体7を用いるカップリング工程のために、トリス (ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、モルホリン、BINAP及びナトリウム t−ブトキシドを溶剤としてのトルエンと共に使用した。
C17H23N5O2のLC−MS:保持時間: 0.9分, 330.2 [M+H]+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の化合物又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー若しくは互変異性体、又はその医薬上許容される塩。
式中、
1は、−CN、−CF3、(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール、5〜12員ヘテロアリール、OR2、−C(=O)NR23、−NR2C(=O)R3、−S(=O)23、−S(=O)2NR23、及び−NR23からなる群から選択され、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C6−C10アリール及びヘテロアリールのそれぞれは、R1がメチル基でないことを条件として場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、シアノ、CF3、−NR45、−NR4C(=O)R5、−NR4S(=O)25、−OR5、−OC(=O)R5、−C(=O)OR5、−C(=O)R5、−C(=O)NR45、−S(=O)2NR45から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されており;
2及びR3のそれぞれは、H、(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール又は5〜12員ヘテロアリールから独立して選択され;ここで、R2及びR3のそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、シアノ、CF3、−NR45、−NR4C(=O)R5、−NR4S(=O)25、−OR5、−OC(=O)R5、−C(=O)OR5、−C(=O)R5、−C(=O)NR45、−S(=O)2NR45及びR5から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されており;
又は、R2及びR3は、NR23の窒素と一緒になって、3〜8員ヘテロシクロアルキルを形成し;
4及びR5のそれぞれは、H、直鎖状若しくは分枝状(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール及び(5〜12員)ヘテロアリールから独立して選択され;
又は、R4及びR5は、NR45の窒素と一緒になって、3〜8員ヘテロシクロアルキルを形成する。
【請求項2】
1が、(C1−C8)アルキル、(C3−C8)シクロアルキル、3〜8員ヘテロシクロアルキル、(C6−C10)アリール、5〜12員ヘテロアリールであり、ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールのそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5から独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1が、(C1−C8)アルキルであり;ここで、該アルキルは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5からなる群より独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1が、(C6−C10)アリール及び5〜12員ヘテロアリールであり;ここで、該アリール及びヘテロアリールのそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5からなる群より独立して選択される1個又はそれ以上
の置換基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1が、−NR23、−O(C1−C6)アルキル、及び−O−(C6−C10)アリールからなる群から選択され、ここで、該アルキル及びアリールのそれぞれは、場合によりF、Cl、Br、I、ニトロ、CN、CF3、−NR45、−OR5及びR5からなる群より独立して選択される1個又はそれ以上の置換基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
1が、(C2−C6)アルキルであり、ここで、該アルキルは、場合によりF、Br、Cl、(C6−C10)アリール及び5〜12員ヘテロアリールで置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1が、(C6−C10)アリールであり、ここで、該アリールは、場合によりF、Cl、Br、−(C1−C6)アルキル、−CF3、−CN、−O(C1−C6)アルキルからなる群から独立して選択される1個又は2個の置換基で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
下記の化合物:
4−(5−エチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フェニル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(4−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(3−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−[5−(2−フルオロ−フェニル)−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;
4−(5−フェネチル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン;及び
4−(5−モルホリン−4−イル−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル)−1,4−ジアザ−ビシクロ[3.2.2]ノナン、
からなる群から選択される化合物又はその医薬上許容される塩、水和物若しくは溶媒和物、又はその光学異性体若しくは立体異性体。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
アルツハイマー病の認知及び注意欠陥症状、アルツハイマー病のような疾患に関連する神経変性、初老期認知症(軽度認知障害)、老年認知症、統合失調症若しくは精神病(それに関連する認知欠陥を含む)、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、気分及び情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界性人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動及び認知上の問題、エイズ認知症複合症、ダウン症候群に関連する認知症、レヴィー小体に関連する認知症、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、遅発性ジスキネジー、ピック病、外傷後ストレス障害、神経性過食症及び神経性食欲不振症を含む食物摂取の調節異常、喫煙中止及び依存薬物中止に関連する禁断症状、トゥーレット症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、疼痛に関連する症状、疼痛及び炎症、TNF−α関連疾患、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、筋肉変性、骨粗鬆症、骨関節炎、乾癬、接触皮膚炎、骨吸収疾患、アテローム性動脈硬化症、ページェット病、ブドウ膜炎、通風性関節炎、炎症性腸疾患、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、クローン病、鼻炎、潰瘍性大腸炎、アナフィラキシー、喘息、ライター症候群、移植片の組織拒絶反応、虚血再かん流傷害、発作、多発性硬化症、脳マラリア、敗血症、敗血症性ショック、毒素性ショック症候群、感染による発熱及び筋肉痛、HIV−1、HIV−2、及びHIV−3、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザ、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2を含む)、帯状疱疹、癌(多発性骨髄腫、急性及び慢性骨髄性白血病、又は癌関連悪液質)、糖尿病(膵臓ベータ細胞破壊、又はI及びII型糖尿病)、創傷治癒(熱傷、及び手術によるものを一般的に含む傷の治癒)、骨折治癒、虚血性心疾患、耳鳴、又は安定狭心症から選択される障害又は状態を治療するための、上記障害又は状態の治療に有効である量の請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容される塩、及び医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物がα7ニコチン性アセチルコリン受容体の活性化により症状軽減を受ける治療が必要な該哺乳動物に、式Iの化合物又はその医薬上許容される塩を投与することを含む、上記治療が必要な哺乳動物における疾患又は状態の治療方法。
【請求項12】
疾患又は状態が、アルツハイマー病の認知及び注意欠陥症状、アルツハイマー病のような疾患に関連する神経変性、初老期認知症(軽度認知障害)、老年認知症、統合失調症、精神病及びそれに関連する認知欠陥、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、気分及び情動障害、筋萎縮性側索硬化症、境界性人格障害、外傷性脳損傷、脳腫瘍に関連する行動及び認知上の問題、エイズ認知症複合症、ダウン症候群に関連する認知症、レヴィー小体に関連する認知症、ハンチントン病、うつ病、全般性不安障害、加齢黄斑変性症、パーキンソン病、遅発性ジスキネジー、ピック病、外傷後ストレス障害、神経性過食症及び神経性食欲不振症を含む食物摂取の調節異常、喫煙中止及び依存薬物中止に関連する禁断症状、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、緑内障、緑内障に関連する神経変性、又は疼痛に関連する症状から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容される塩、及び抗精神病薬又はその医薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項14】
統合失調症の治療に有効である量の請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容される塩、及び抗精神病薬又はその医薬上許容される塩を投与することを含む、統合失調症又は精神病に罹患している哺乳動物の治療方法。
【請求項15】
疾患又は状態が、統合失調症に関連する認知欠陥、アルツハイマー病の認知及び注意欠陥症状、並びにアルツハイマー病に関連する神経変性から選択される、請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2008−519818(P2008−519818A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540742(P2007−540742)
【出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003364
【国際公開番号】WO2006/051394
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】