説明

CO検出方法、CO検出装置及びボイラ

【課題】燃焼装置で発生する燃焼ガスをNOx還元触媒により還元した後にCOを検出する場合に、燃焼ガス中のCOを正確に検出することが可能なCO検出方法、CO検出装置及びボイラを提供すること。
【解決手段】燃焼装置で生成され、NOx還元触媒で還元された燃焼ガスG2に含まれるCOを検出するCO検出装置25であって、COセンサ27と、前記燃焼ガスG2の少なくとも一部からなる検出対象ガスGSに含まれるHを選択的に酸化するH選択酸化触媒27と、前記H選択酸化触媒27で酸化された検出対象ガスGSを前記COセンサに導く筒状体30と、検出対象ガスGSにOを供給するエア供給ノズル32とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボイラをはじめとする燃焼装置で生成された燃焼ガスに含まれる一酸化炭素(以下、COという)を検出するCO検出方法、CO検出装置及びボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等の燃焼装置から発生する燃焼ガスを排出する際、燃焼ガスに含まれるCO、窒素酸化物(以下、NOxという)を所定の数値(例えば、規制値等)以下に低減する必要がある。
燃焼ガスに含まれるCO、NOxを低減する場合、燃焼ガスを触媒に通過させて、燃焼ガス中のCO、NOxを酸化、還元することが一般的である。
【0003】
このように、触媒に燃焼ガスを通過させて、燃焼ガス中のCO、NOxを低減する技術として、燃焼ガス中のNOx、CO等を所定の濃度比に調整したうえで触媒を通過させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このように、燃焼ガスを触媒に通過させることによりCOを削減する場合、触媒が劣化すると、COが充分に除去できなくなるおそれがあるため、触媒の二次側で、COセンサにより燃焼ガス中のCOを検出する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/043216号パンフレット
【特許文献2】特開2009−31080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、燃焼ガス中のCOをCOセンサで検出する際に、燃焼ガス中の水素(以下、Hという)がCOに比較して高いと、COセンサがHに反応してCO含有量を大きく出力する場合がある。
特に、ボイラの通常の酸素(以下、Oという)域(4〜5%)よりも著しく低い濃度で燃焼させる場合には、燃焼ガス中のH比がCOに比較して通常より高くなる傾向がある。
【0007】
一方、燃焼ガス中のCOに対するHの比率(H/CO)を小さくするために、COセンサの上流側でOを注入してCO、Hを燃焼させる方法もあるが、NOx還元の反応中間体であるアンモニア(以下、NHという)が注入したOによって酸化されて、NOxが再発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ボイラをはじめとする燃焼装置で発生する燃焼ガスをNOx還元触媒により還元した後にCOを検出する場合に、燃焼ガス中のCOを正確に検出することが可能なCO検出方法、CO検出装置及びボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1記載の発明は、燃焼装置で生成され、NOx還元触媒で還元された燃焼ガスに含まれるCOを検出するCO検出装置であって、COセンサと、前記燃焼ガスの少なくとも一部からなる検出対象ガスに含まれるHを選択的に酸化するH選択酸化触媒と、前記H選択酸化触媒で酸化された検出対象ガスを前記COセンサに導くガス流路形成手段と、検出対象ガスにOを供給するO供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、ボイラであって、請求項1又は請求項2に記載のCO検出装置を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、燃焼装置で生成され、NOx還元触媒で還元された燃焼ガスに含まれるCOをCOセンサにより検出するCO検出方法であって、前記燃焼ガスの少なくとも一部からなる検出対象ガスにOを供給するとともに、H選択酸化触媒により検出対象ガスに含まれるHを選択的に酸化し、前記COセンサを、前記H選択酸化触媒で酸化した検出対象ガスと接触させてCOを検出することを特徴とする。
【0012】
この発明に係るCO検出装置、CO検出方法、ボイラによれば、NOx還元触媒で還元された燃焼ガスに含まれるCOを検出する場合に、検出対象ガスにOを供給するとともに、検出対象ガス中のHをH選択酸化触媒により酸化して、燃焼ガスに含まれるCOに対するHの比率を小さくするため、COセンサによる燃焼ガス中のCOの検出を正確にすることができる。
この明細書において、検出対象ガスとは、燃焼ガスの全部又は一部から構成され、最終的にCOセンサと接触してCOを検出する対象のガスをいい、H選択酸化触媒で酸化される前か酸化された後であるかは問わない。すなわち、H選択酸化触媒で酸化される前後及びH選択酸化触媒と接触中のものを含む。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のCO検出装置であって、前記O供給手段は、前記H選択酸化触媒で酸化処理する前に、検出対象ガスにOを供給するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載のCO検出方法であって、前記H選択酸化触媒で酸化処理する前に、検出対象ガスにOを供給することを特徴とする。
【0015】
この発明に係るCO検出装置、CO検出方法によれば、H選択酸化触媒で酸化する前に検出対象ガスにOを供給するので、H選択酸化触媒による検出対象ガス中のHの酸化が促進される。その結果、COセンサが検出対象ガス中のCOを検出する際のHの影響を小さくしてCOを正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係るCO検出装置、CO検出方法、ボイラによれば、H選択酸化触媒により燃焼ガス中のHを削減して、COセンサがCOを検出する際のHの影響を小さくすることで、燃焼ガス中のCOをCOセンサによって正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボイラの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係るボイラのIII−III線に沿う横断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るNOx還元触媒を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係るCO検出装置の概略構成を示す図である。
【図5】第1の実施形態に係るH選択酸化触媒を示す図である。
【図6】第1の実施形態に係るH選択酸化触媒による燃焼ガス温度とCO、H、NHの転化率の関係を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るCO検出装置の概略構成を示す図である。
【図8】第2の実施形態に係るH選択酸化触媒による燃焼ガス温度とCO、H、NHの転化率の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図6を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1、図2は、第1の実施形態に係る小型貫流式のボイラ10を説明する図であり、図1は縦断面図を、図2は、図1のIII−III線に沿う横断面図を示している。
ボイラ10は、筐体11と、缶体12と、バーナ16と、燃焼ガス排出管17と、送風手段18と、燃料供給部19と、浄化装置20と、CO検出装置25と、エコノマイザ35と、制御部40とを備えている。
【0019】
缶体12は、水管群13と、水管群13の下方に位置する下部管寄せ14Aと、水管群13の上方に位置する上部管寄せ14Bとを備え、下部管寄せ14Aと上部管寄せ14Bとは、垂直方向に設けられた水管群13により通水可能に接続されている。
【0020】
上部管寄せ14Bには、圧力センサ7が接続されており、上部管寄せ14B内の蒸気の圧力を検出するようになっている。
また、下部管寄せ14Aの上部及び上部管寄せ14Bの下部には、キャスタブル(耐火物)11Aが配置されている。
【0021】
水管群13は、図2に示すように、複数の内側水管13Aと、バーナ16から燃焼ガス排出管17に向かって配列される複数の外側水管13Bとを備え、内側水管13Aは、複数の外側水管13Bにより構成された水管壁部13Cの内方に配置されている。
また、内側水管13Aの間には、バーナ16で生成された燃焼ガスG2が、燃焼ガス排出管17に向かって移動する燃焼ガス通路12Gが形成されている。
【0022】
水管壁部13Cは、複数の外側水管13Bと、複数の連結部材15とを備え、隣接する外側水管13B同士、外側水管13Bとバーナ16側の筐体内壁、外側水管13Bと燃焼ガス排出管17側の筐体内壁をそれぞれ連結部材15により連結することで形成され、燃焼ガス通路12Gを挟んで筐体11との間を仕切るように左右に一対配置されている。
【0023】
バーナ16は、例えば、水管群13側の面にノズル部16Aを有する箱型に形成されていて、ノズル部16Aには複数のノズル孔が平面状に配列され、送風手段により供給された予混合ガスG1がノズル部16Aに供給されるようになっている。
【0024】
また、バーナ16は、例えば、圧力センサ7により検出された蒸気の圧力に基づいて、燃焼状態(例えば、高燃焼、低燃焼)を制御可能とされている。
図1、図2において示したノズル部16Aから水管群13側に拡がる破線部は、ノズル部16Aで生成される火炎を概念的に表したものである。
【0025】
ノズル部16Aに供給された予混合ガスG1は、ノズル孔から噴射、燃焼されることにより高温の燃焼ガスG2となり、燃焼ガスG2は、燃焼ガス通路12Gを通過して水管群13の水を加熱するようになっている。
【0026】
燃焼ガス排出管17は、燃焼ガスG2をボイラ10の外部に排出する排出路17Aを構成するとともに燃焼ガス通路12Gの末端に接続され、水管群13を通過した燃焼ガスG2が排出路17Aに導かれて、エコノマイザ35に送られるようになっている。
【0027】
送風手段18は、送風機18Aと、給気通路18Bと、ダンパ18Cとを備え、送風機18Aにより加圧空気A1を給気通路18B及びCO検出装置25に移送し、給気通路18Bに移送された加圧空気A1は、燃料供給部19から供給された燃料ガスG0とが給気通路18B内で混合されて予混合ガスG1となりバーナ16に供給されるようになっている。
【0028】
送風機18Aは、送風ファンを回転して加圧空気A1を供給するものであり、この実施形態における送風機18Aは、バーナ16の燃焼状態に対応して送風ファンの回転数をインバータにより制御して加圧空気A1の送風量を調整するようになっている。
また、ダンパ18Cは、図示しないモータにより開度が制御可能とされており、送風機18Aとともに、又は単独で加圧空気A1の送風量を調整することができるようになっている。
【0029】
燃料供給部19は、燃料供給管19Aと、流量調整弁19Bとを備えており、流量調整弁19Bを制御することによりバーナ16の燃焼状態に対応する量の燃料ガスG0を燃料供給管19Aに供給するようになっている。
【0030】
浄化装置20は、例えば、排出管17に配置されたNOx還元触媒21から構成され、燃焼ガスG2に含まれるNOxを還元してNとすることにより、燃焼ガスG2に含まれるNOxを除去するようになっている。
【0031】
NOx還元触媒21は、例えば、図3に示すように厚さ方向に複数の通気孔Pが形成された矩形平板状の基材22の表面に、触媒活性材料として、例えば、白金(Pt)が担持された構成とされている。
【0032】
基材22は、帯状の平板からなる第1の基材22Aと波板からなる第2の基材22Bとを交互に重ね合わせたものを側板23により囲んで固定した構造とされている。
第1の基材22A及び第2の基材22Bは、それぞれ排ガスとの接触面積を広くするために表面処理が施されて表面に多数の微小凹凸が形成されたステンレス板からなり、この微小凹凸に触媒活性材料が担特されている。
【0033】
なお、NOx還元触媒21の構造は、特に限定されるものではなく、基材22に代えて、例えば、ステンレス以外の金属やセラミックにより形成された通気可能な基材の表面に触媒活性材料を担持させた構成としてもよい。
また、燃焼ガスG2と触媒活性材料との接触を通気孔Pによらず、一定しない方向に多数の通気孔が形成されたスポンジ状の多孔性構造、又は通気可能な流路が形成された容器内に多数収容した触媒活性材料が担持されたペレットの表面で行う構成としてもよい。
また、NOx還元触媒21の触媒活性材料として、Pt以外の貴金属(Ag、Au、Rh、Ru、Pt、Ir)又は金属酸化物(NiO、CuO、C、MnO)を用いてもよい。
【0034】
CO検出装置25は、図4に示すように、COセンサ26と、H選択酸化触媒27と、H選択酸化触媒27で酸化された検出対象ガスGSをCOセンサ26に導くためのガス流路29を形成する筒状筐体(流路形成手段)30と、検出対象ガスGSにOとして加圧空気A1を供給するエア供給ノズル(O供給手段)32とを備えている。
【0035】
COセンサ26は、例えば、検出対象ガスと接触してCOを検出する接触燃焼式のCOセンサから構成され、検出部を検出筒体30内の空間に露出して、検出筒体30とともに燃焼ガス排出管17の壁部にネジ固定されている。
【0036】
選択酸化触媒27は、図5に示すように、例えば、厚さ方向に複数の通気孔Pが形成された略円板状の基材28の表面に、触媒活性材料として、例えば、白金(Pt)が担持された構成とされている。
【0037】
基材28は、平板からなる第1の基材28Aと波板からなる第2の基材28Bとを重ね合わせて巻回し、第1の基材28Aと第2の基材28Bとが交互に重なるロール状に形成されたものを側板28Cにより囲んで固定した構造とされている。
【0038】
なお、H選択酸化触媒27の構造は、特に限定されるものではなく、基材28に代えて、例えば、ステンレス以外の金属やセラミックにより形成された通気可能な基材の表面に触媒活性材料を担持させた構成としてもよい。
また、検出対象ガスGSと触媒活性材料との接触を通気孔Pによらず、一定しない方向に多数の通気孔が形成されたスポンジ状の多孔性構造、又は通気可能な流路が形成された容器内に多数収容した触媒活性材料が担持されたペレットの表面で行う構成としてもよい。
また、H選択酸化触媒27の触媒活性材料として、Pt以外の貴金属(Ag、Au、Rh、Ru、Pd、Ir)又は金属酸化物(NiO、CuO、C、MnO)を用いてもよい。
【0039】
検出筒体30は筒状に形成され、筒が排出路17Aに沿って配置されるとともに、検出筒体30には、上流側の開口部30Aから、エア供給ノズル32、H選択酸化触媒27、COセンサ26がこの順に配置されており、すべての検出対象ガスGSがH選択酸化触媒27を通過するようになっている。
【0040】
エア供給ノズル32は、H選択酸化触媒27の上流側に配置されていて、送風機18Aから分岐して送られてきた加圧空気A1の一部を検出対象ガスGSに噴射して、検出対象ガスGSに含まれるOの濃度を高めて、H選択酸化触媒27による検出対象ガスGS中のHの酸化を促進するようになっている。
エア供給ノズル32から噴射する加圧空気A1によるOの供給量は、例えば、検出対象ガスGSが含有するHの2倍以上が好適である。
【0041】
CO検出装置25は、ボイラ10が高燃焼時に、H選択酸化触媒27を通過する検出対象ガスGSの温度が、CO、Hの酸化開始温度以上でかつNHの酸化開始温度以下となるように配置することが、Hを減少させるとともにNHからNOxを再発生させないうえで好適である。
【0042】
図6は、基材28に触媒活性材料としてPtを担持させたH選択酸化触媒27におけるCO,H、NHの転化率を示す図である。
選択酸化触媒27では、COは約100〜170℃の温度域で酸化が開始され、Hは約150℃で酸化が開始され、NHは約230℃で酸化が開始される。
そのため、H選択酸化触媒27を通過する検出対象ガスGSが約150℃以上〜約230℃以下の温度領域(図6において破線で挟んだ領域)となる位置にCO検出装置25を配置することが好適である。
【0043】
エコノマイザ35は、水管群13を通過してきた燃焼ガスG2の廃熱を利用して缶体12に供給する水を加熱することにより省エネルギーを図るものであり、燃焼ガスG2と図示しない給水源からの水を排出路17Aに配置された熱交換部に流通させて熱交換することで加熱してから下部管寄せ14Aに供給するようになっている。
【0044】
制御部40は、入力部41と、メモリ42と、演算部43と、ハードディスク44と、出力部46と、通信線47とを備え、入力部41、メモリ42、演算部43、ハードディスク44、出力部46は通信線47により相互にデータ等を通信可能に接続されている。
【0045】
入力部41は、例えば、図示しないキーボード等のデータ入力機器を有していて設定等を演算部43に出力可能とされ、圧力センサ7、CO検出装置25のCOセンサ26と信号線48Aにより接続され、圧力センサ7、COセンサ26から入力された信号を演算部43に出力するようになっている。
【0046】
出力部46は、送風機18A、ダンパ18C、流量調整弁19Bと信号線48Bより接続され、演算部43から出力された信号を送風機18A、ダンパ18C、流量調整弁19Bに出力するようになっている。
また、出力部46は、例えば、アラーム(不図示)と接続されており、COセンサ26のCO検出値が閾値を超えた場合に、アラーム信号を出力するようになっている。
【0047】
演算部43は、メモリ42の記憶媒体(例えば、ROM)に格納されたプログラムを読み込んで実行して、入力部41から入力された圧力センサ7からの信号に基づいて、上部管寄せ14B内の圧力を算出し、ハードディスク44に格納されたデータベース(不図示)を参照して、ボイラ10の燃焼量、送風機18A、ダンパ18C、流量調整弁19Bに対する制御量を算出するようになっている。
【0048】
ハードディスク44は、データベースを備えており、例えば、圧力センサ7から取得した現圧力を設定圧力に移行するための燃焼量、送風機18A、ダンパ18C、及び流量調整弁19Bに対する制御量を示す数値データがデータテーブルの形式で格納されている。
【0049】
次に、ボイラ10及びCO検出装置25の作用について説明する。
1)まず、送風機18Aを起動して、バーナ16及びCO検出装置25のエア供給ノズル32に加圧空気A1を供給する。
2)燃料供給部19の流量調整弁19Bを開いて、燃料供給管19Aから燃料ガスG0を供給し、送風機18Aからの加圧空気A1と燃料ガスG0を給気通路18B内で混合して予混合ガスG1とし、バーナ16に供給する。
3)バーナ16に供給された予混合ガスG1は、ノズル部16Aのノズル孔から噴出されて燃焼され、高温の燃焼ガスG2が生成される。
4)バーナ16で生成された燃焼ガスG2は、燃焼ガス通路12Gを通過して水管群13内の水を加熱した後、排出路17A内に流入して浄化装置20のNOx還元触媒21を通過する。
燃焼ガスG2は、NOx還元触媒21を通過することでNOxが低減される。
5)NOx還元触媒21を通過した燃焼ガスG2は、一部が検出対象ガスGSとしてCO検出装置25の開口部30Aから検出筒体30に流入する。
6)検出筒体30に流入した検出対象ガスGSには、エア供給ノズル32から噴出した加圧空気A1が付加されて、検出対象ガスGS中のOの含有量(濃度)が増加する。
7)Oの含有量が増加した検出対象ガスGSは、H選択酸化触媒27を通過してHのCOに対する比率が小さくなり、(H/CO)が一定又は所定範囲となる。
8)COセンサ26により、Hが減少した検出対象ガスGSのCOを検出する。
【0050】
第1の実施形態に係るCO検出装置25によれば、検出対象ガスGSがH選択酸化触媒27を通過することで、検出対象ガスGSに含まれるHが減少して、検出対象ガスGS中のCOに対するHの比(H/CO)が小さくなるため、COセンサ26がCOを検出する際のHの影響を抑制することができる。
【0051】
また、CO検出装置25によれば、検出対象ガスGSがH選択酸化触媒27を通過する際に、検出対象ガスGSに噴出された加圧空気A1により増加するOにより検出対象ガスGS中のHの酸化が促進される。
その結果、COセンサ26による燃焼ガスG2のCOを正確に検出することができる。
【0052】
次に、図7、図8を参照し、この発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なるのは、CO検出装置25に代えてCO検出装置50を設ける点であり、その他は第1の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
CO検出装置50は、図7に示すように、COセンサ51と、H選択酸化触媒52と、H選択酸化触媒52で酸化された検出対象ガスGSをCOセンサ51に導くためのガス流路54を形成する検出筐体(流路形成手段)55と、移送配管56と、検出対象ガスにOを供給するエア供給ノズル(O供給手段)57とを備えている。
【0054】
検出筐体55は、燃焼ガス排出管17内の排出路17Aに配置された導入部55Aと、燃焼ガス排出管17の外壁に配置された検出部55Bとを備えている。
移送配管56は、流入配管56Aと、排出配管56Bとを備え、流入配管56Aは導入部55Aの下流領域部分と検出部55Bの上流領域部分を、排出配管56Bは検出部55Bの下流領域部分と排出路17Aを検出対象ガスGSが流通可能に接続している。
その結果、排出路17Aを流れる燃焼ガスG2の一部が、検出対象ガスGSとして、導入部55Aから流入し、流入配管56Aを通じて検出部55Bに移送され、その後、排出配管56Bを経由して排出路17Aに排出されるようになっている。
【0055】
導入部55Aは、燃焼ガスG2の上流側が開口する有底筒形状に形成され、この開口部を覆うようにH選択酸化触媒52が配置されていて、COセンサ51に送られる検出対象ガスGSは、すべてH選択酸化触媒52を通過するようになっている。
また、検出部55Bは、両端有底筒状の筐体からなり、内部には、両端有底筒状の検出部55Bと、COセンサ51が、上流側からこの順に配置されている。
COセンサ51は、例えば、接触燃焼式のCOセンサとされ、検出筐体55の検出部55B内に露出して配置されている。
【0056】
選択酸化触媒52は、基材28の表面に担持する触媒活性材料が、例えば、パラジウム(Pd)とされている点においてH選択酸化触媒27と異なり、その他は同様の構成とされている。
なお、H選択酸化触媒52の構造は、第1の実施形態と同様、特に限定されるものではなく、触媒活性材料として、Pd以外の貴金属(Ag、Au、Rh、Ru、Pt、Ir)又は金属酸化物(NiO、CuO、C、MnO)を用いてもよい。
【0057】
CO検出装置50は、ボイラ10が高燃焼時に、H選択酸化触媒52を通過する検出対象ガスGSの温度が、CO、Hの酸化開始温度以上でかつNHの酸化開始温度以下となるように配置することが、Hを減少させるとともにNHからNOxを再発生させないうえで好適である。
【0058】
また、触媒活性材料としてPdを担持させたH選択酸化触媒52によるCO,H、NHの転化率は、図8に示すとおり、COは約150〜220℃の温度域で酸化が開始され、Hは約180℃で酸化が開始され、NHは約280℃で酸化が開始される。
【0059】
そのため、H選択酸化触媒52を通過する検出対象ガスGSが約200℃以上〜約280℃以下の温度領域(図8において破線で挟んだ領域)となる位置にCO検出装置50を配置することが好適である。
【0060】
次に、ボイラ10及びCO検出装置50の作用について説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
1)バーナ16で生成され、浄化装置20を通過してNOxが低減された燃焼ガスG2は、一部が検出対象ガスGSとしてCO検出装置50のH選択酸化触媒52を通過して導入部55Aに流入する。
検出対象ガスGSはH選択酸化触媒52を通過することでCOに対するHが減少する。
2)導入部55Aに流入した検出対象ガスGSは、流入配管56Aを経由して検出部55Bに移送される。
3)検出部55Bに移送された検出対象ガスGSは、エア供給ノズル57から噴出した加圧空気A1が付加されて、検出対象ガスGS中のOの含有量(濃度)が増加する。
の含有量が増加した検出対象ガスGSはHがさらに酸化されてCOに対するHが減少する。
4)COセンサ51により検出対象ガスGSのCOを検出する。
5)COセンサ51によりCOが検出された検出対象ガスGSは、排出配管56Bを経由して排出路17Aに排出される。
【0061】
第2の実施形態に係るCO検出装置50によれば、検出部55Bが燃焼ガス排出管17の外部に配置されているので、容易にメンテナンスを行なうことができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0063】
例えば、上記実施の形態においては、ボイラ10が、燃焼ガスG2がバーナ16から排出路17Aに向かって略直線的に形成された燃焼ガス通路12Gを流れる小型貫流型ボイラである場合について説明したが、小型貫流型ボイラの他、水管が環状に配列された多管式のボイラ、炉筒煙管ボイラ、温水ボイラやバーナにより加熱管を直接加熱する給湯器等、種々の燃焼装置に適用してもよい。また、燃焼装置において燃焼に用いるバーナは、複数のノズル孔が平面状に配置された予混合式バーナに限定されるものではない。
【0064】
上記実施の形態においては、COセンサ26、51がCO濃度の閾値を検出する場合について説明したが、CO濃度を測定するように構成してもよい。
【0065】
上記実施の形態においては、O供給手段が、例えば、送風機18Aで生成され分岐された加圧空気A1を噴出するエア供給ノズル32、57である場合について説明したが、検出対象ガスGSに空気等を供給する専用供給装置を配置してもよい。また、エア供給ノズル32、57に代えて、他の供給手段によりOを供給するように構成してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態においては、O供給手段が、Oとして加圧空気A1を検出対象ガスGSに供給する場合について説明したが、加圧空気A1に代えて、空気と異なるO濃度に調整された気体や純粋なOを供給してもよい。
【0067】
また、第1の実施形態においては、H選択酸化触媒27の上流側でOを供給し、第2の実施形態においては、H選択酸化触媒52の下流側でOを供給する場合について説明したが、H選択酸化触媒27、52の上流側、下流側のいずれにおいてOを供給するかは任意に設定することができ、H選択酸化触媒内にOを供給する構成としてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態においては、H選択酸化触媒27、52を通過した検出対象ガスGSからCOセンサ26、51までのガス流路29、54を形成するガス流路形成手段が、検出対象ガスGSをそれ以外の燃焼ガスG2と分離する検出筒体30、検出筐体55である場合について説明したが、例えば、H選択酸化触媒の下流側にCOセンサを接して配置する等、H選択酸化触媒で酸化された検出対象ガスGSがCOセンサで検出されるまでにHの影響を受けるような燃焼ガスG2との混合が抑制される場合には、検出対象ガス流路29、54の周囲の一部又は全部が開放された構成としてもよい。
【0069】
上記実施の形態においては、COセンサが接触燃焼式のCOセンサ26、51である場合について説明したが、例えば、Hガスの影響を受ける電気化学式COセンサに本発明を適用してもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、燃料ガスG0と加圧空気A1とが混合された予混合ガスG1をバーナ16に供給する場合について説明したが、バーナ16に供給する燃料は予混合ガスG1に限定されることなく、例えば、他の気体燃料、石油をはじめとする液体燃料、微粉炭としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
G2 燃焼ガス
GS 検出対象ガス
10 ボイラ
20 浄化装置
21 NOx還元触媒
25、50 CO検出装置
26、51 COセンサ
27、52 H選択酸化触媒
29、54 ガス流路
30 検出筒体(ガス流路形成手段)
32、57 エア供給ノズル(O供給手段)
55 検出筐体(ガス流路形成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置で生成され、NOx還元触媒で還元された燃焼ガスに含まれるCOを検出するCO検出装置であって、
COセンサと、
前記燃焼ガスの少なくとも一部からなる検出対象ガスに含まれるHを選択的に酸化するH選択酸化触媒と、
前記H選択酸化触媒で酸化された検出対象ガスを前記COセンサに導くガス流路形成手段と、
検出対象ガスにOを供給するO供給手段と、を備えることを特徴とするCO検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のCO検出装置であって、
前記O供給手段は、
前記H選択酸化触媒で酸化する前に、検出対象ガスにOを供給するように構成されていることを特徴とするCO検出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のCO検出装置を備えることを特徴とするボイラ。
【請求項4】
燃焼装置で生成され、NOx還元触媒で還元された燃焼ガスに含まれるCOをCOセンサにより検出するCO検出方法であって、
前記燃焼ガスの少なくとも一部からなる検出対象ガスにOを供給するとともに、H選択酸化触媒により検出対象ガスに含まれるHを選択的に酸化し、
前記COセンサを、前記H選択酸化触媒で酸化した検出対象ガスと接触させてCOを検出することを特徴とするCO検出方法。
【請求項5】
請求項4に記載のCO検出方法であって、
前記H選択酸化触媒で酸化する前に、検出対象ガスにOを供給することを特徴とするCO検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−52955(P2012−52955A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196800(P2010−196800)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】