説明

CTスキャナのための、効率的な準厳密3D画像再構成のアルゴリズム

CTスキャンは、軸に沿って移動する対象物体のスキャンの最中に回転する軸の周りを回転するよう支持されている、少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイと、を備えており、ここで各検出器のためのデータは、受けたX線エネルギーに応じて生成される。CTスキャンは更に、仮想検出器アレイの曲線上にデータのリサンプリングを実行するよう構成されたデータプロセッサを備えている。曲線は仮想平面検出器の傾斜線上に投影し、データの接線のフィルタリングを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願発明は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンに関し、特に(1)任意のビームライン形状から抽出されたCTデータを処理すること、(2)スキャナが広い視野を有する場合にアーチファクトを軽減すること、及び(3)画質を向上すると同時にハードウェア上での効率的で高速な実施を可能にすること、が可能な処理を採用したCTスキャナ及び画像再構成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ヘリカルCTスキャンの画像再構成処理は、2D処理及び3D処理に分類される。2D処理(Defrise, M., Noo, F.及びKudo, H.による “Rebinning-based algorithms for helical cone-beam CT”, Phys. Med. Biol. 46, 2001を参照)は、傾斜スライス(tilted slices)のためのパラレル断層撮影データセットを推定し、傾斜スライスのそれぞれにおいて2D逆投影を実行し、スライス毎にボリュームを再構成する。2D処理に関しては、形状(コーンビーム)のアーチファクトは円錐角(ガントリ回転面と直交方向の検出器の角度範囲)とともに増加する。3D処理では、投影データから直接ボリューム内にボクセルを再構成し、中間2Dへの逆投影の変換タスクを行わずにすむ。所与の円錐角において、3D処理で再構成された画像は、2D処理で再構成された画像と比べると、コーンビームのアーチファクトの生成が低減される。
【0003】
[0003]実施の容易さ、計算効率及びロバスト性から、医療用及びセキュリティ用のCTスキャナは、ヘリカルCTにおいて2D逆投影の再構成処理を利用しているのが通常である。新しいCTスキャナは、高速のスキャン速度及びより広い円錐角を有する検出器をますます必要としており、画像の再構成に2D処理が使用された場合、不十分なレベルの画像アーチファクトを招いてしまう。スキャン速度を増大し、画質を維持又は向上するためには、画像の再構成のための処理を、2D処理から3D処理へ移行する必要がある。
【0004】
[0004]3D画像再構成処理については、厳密な処理及び近似の処理が数多く論文に発表されている。最も広く使用されている3D近似処理は、フェルドカンプ・デイヴィス・クレス(FDK)処理であり、元々は軸スキャンのケースに関してFeldkamp, L. A., Davis, L. C. 及びKress, J. W.による “Practical cone-beam algorithm”, J. Opt. Soc. Am., Vol. 1 No. 6, 1984で発表されたものである。この処理は、実施が比較的容易であること、安定性、及び御しやすい特性により評判が良い。FDK処理のヘリカルスキャンへの拡大が初めて発表されたのは、Wang, G., Lin, T., Cheng, P. 及びSchiozaki, D. M.による“A general cone-beam reconstruction algorithm”, IEEE Trans. Med. Imaging, 12, 1993においてである。
【0005】
[0005]元々のヘリカルFDK処理では、比較的高レベルのコーンビームアーチファクトが生じる。論文で発表されたキーとなる2つの改良は、画質を大いに向上し、ヘリカルFDKを「準厳密な」処理に変えるものである。第1に、Yan, M.及びZhang, C.による“Tilted plane Feldkamp type reconstruction algorithm for spiral cone beam CT”, Med. Phys. 32 (11), 2005に記載されている傾斜面再構成アプローチは、所与のボクセルを再構成するために使用される光線間の数学的な不整合を低減することにより、画像アーチファクトを軽減する。第2に、線源軌跡と一致している傾斜線に沿ってデータをフィルタリングすること(接線フィルタリング)[Sourbelle, K.及びKalender, W.A.による”Generalization of Feldkamp reconstruction for Clinical Spiral Cone-Beam CT”]は、コーンビームのアーチファクトを大幅に軽減する。接線フィルタリングは、厳密な再構成処理の近似として抽出されて(Katsevich, A.による”An improved exact filtered backprojection algorithm for spiral computed tomography”, Advances in Aplied Mathematics, 32, 2004に発表されているように)、且つFDK処理を「準厳密な」処理に修正する。
【0006】
[0006]上述したような準厳密なヘリカルFDKは、現代のCTスキャナにとって魅力的な選択肢である。しかし、このような処理をCTスキャナで実施するのを妨げる少なくとも3つの制限がある。
【0007】
1) 論文にあるFDK処理は、平面検出器アレイ又は円筒形検出器アレイ用に設計されているので、従来とは異なるビームライン形状(様々な幾何学的な(任意の場合もある)形の非平面、非円筒形の検出器アレイ)を持つ現代のCTスキャンシステムには適用することができない。[Kudo, H., Noo, F.及びDefrise, M.による”Cone-beam filtered-backprojection for truncated helical data”, Phys. Med. Biol. 43, 1998]で説明された準厳密なFDK処理は、平面検出器形状にのみ適用可能である。つまり、従来とは異なる検出器形状の使用には特別な扱いが必要である。
【0008】
2) 論文にあるFDK処理は、視野の中心からの距離が増大していくにつれて、検出器アレイ上に投影されたボクセル位置のサンプリング間隔が増大するため、大きな視野(FOV)を有するスキャンシステムにおいてエイリアシングアーチファクトを生成する。
【0009】
3) 3D処理の計算の複雑性は、2D処理の場合よりも非常に高い。従って、効率的な処理及び数値実行とともに適宜のハードウェアプラットホームも必要である。特に、ハードウェアプラットホームが設けられると、処理及びその数値実行は、再構成時間の要件に合うようにしなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】回転ガントリ上に取り付けられたX線源及び検出器アレイを備えた手荷物のスキャンシステムの透視図であって、このスキャンシステムは、本明細書に記載されたシステム及び方法を組み入れるよう構成されている。
【図2】図1のシステムの端面断面図である。
【図3】図1のシステムのラジアル断面図である。
【図4】平面検出器アレイが使用された時のヘリカルスキャン形状の単純化された斜視図である。
【図5A】2Dの再構成技術の原理を示している単純化された斜視図である。
【図5B】3Dの再構成技術の原理を示している単純化された斜視図である。
【図6】完全回転データから画像データを生成するFDK処理の適用を示している、単純化された斜視図である。
【図7】FDK処理の基本ステップを示すフロー図である。
【図8A】X線フォトンの源から検出器アレイへの経路を示している単純化された図である。
【図8B】投影角セグメント180°+2Ymのサンプリング領域の例を示す図である。
【図9】基本的なヘリカルFDK処理のステップを示すフロー図である。
【図10】平面検出器アレイによって収集されたデータにおけるコーンビームアーチファクトを軽減するための接線フィルタリングの使用を示す、単純化された斜視図である。
【図11】ヘリカルFDK処理の一部として接線フィルタリングを提供するために使用される追加的なステップを示すフロー図である。
【図12】従来型の平面及び円筒形の検出器アレイを用いてデータをリサンプリングするのに必要なサンプル数と、任意のビームライン形状を有するアレイによって収集されたデータをリサンプリングする場合に必要なサンプル数との相対的差異を示す、単純化された図である。
【図13】本明細書で説明された改良に従い、仮想平面検出器上にデータをリサンプリングすることによって、任意のビームライン形状を有する非平面検出器アレイを採用しているスキャナが、いかにしてヘリカルFDK処理を採用することが可能になるかを示す、単純化された斜視図である。
【図14】任意のビームライン形状の非平面検出器アレイを採用しているタイプのスキャナにおいて、追加的な改良を用いたFDK処理のステップを示しているフロー図である。
【図15A】軸ガントリCS及び円筒形CSにおける検出器アレイを含んでいる再構成座標系(CS)を示している。
【図15B】検出器円筒形CSのuw面における検出器を示している。
【図16】任意のビームライン形状の検出器アレイからのデータの、仮想平面検出器アレイの傾斜線に対応する仮想円筒形検出器アレイの曲線上へのリサンプリングを示す概略図である。
【図17】円筒形検出器座標で可視化された、等角度の検出器アレイに関するフィルタリング線のグラフィック図である。
【図18】再構成平面R及びヘリカルな源の軌跡の例を示す図である。
【図19】再構成ポイントによってトレースされた軌跡の検出器座標の図であり、アップサンプリング及びスパース投影計算の結果を示している。
【図20A】列ディザリングを用いていない、検出器アレイ上でのリサンプリングを示している。
【図20B】列ディザリングを用いた、検出器アレイ上でのリサンプリングを示している。
【図21】FOVからの距離が増すことに伴う投影ボクセル位置のサンプリング間隔の増大の問題を示している概略図である。
【図22】投影軌跡のアップサンプリング技術を示している概略図である。
【図23】計算を低減する適応アップサンプリングの技術を示している概略図である。
【図24A】スパース投影を用いた逆投影技術を示している概略図である。
【図24B】スパース投影を用いた逆投影技術を示している概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0032]市場の考察により、CTスキャンの設計は、より高速なスキャン速度でありながら画質も維持できるようなものに向かっている。高速のヘリカルCT収集を達成する方法の1つは、検出器列の数を増大することにより、スキャンされる物体の対象範囲を増大することである。検出器列の数を増加することの短所は、検出器アレイの円錐角が増大することにより、より顕著なコーンビームの画像アーチファクトを生じさせることである。従って、アプリケーションで定められた通りの適切なレベルにコーンビームのアーチファクトを維持できる、適切な3D再構成処理を使用しなければならない。
【0012】
[0033]FDK処理に基づく近似3D画像再構成処理は、相対単純性及びロバスト性のために評判がよい。更に、先行技術で提案された改良と組み合わせられたFDK処理、即ち、傾斜面再構成及び接線フィルタリングにより、画像アーチファクトを標準的なFDK処理と比べて更に低減することができる。
【0013】
[0034]改良版の準厳密なヘリカルFDK処理は、現代のCTスキャナには魅力的な選択肢である。しかし、このような処理をCTスキャナ上で実施するのを妨げる少なくとも3つの制限がある。
【0014】
[0035]第1に、論文にあるFDK処理は、平面検出器アレイ又は円筒形検出器アレイ用に設計されている。更にまた、接線フィルタリングを含んでいる改良されたFDK処理は、平面検出器アレイのみのために設計されている。このような処理をそのまま適用する場合、従来とは異なるビームライン形状を有する現代のCTスキャンシステムには適用不可能である。本明細書において「従来とは異なるビームライン形状」及び「任意のビームライン形状」という用語はそれぞれ、検出器アレイが非均一間隔にある検出器を有する可能性のある非平面で非円筒形の表面を表すビームライン形状を意味している。従って、後述する通り、再構成の前にデータを平面又は円筒形の検出器の形状にリサンプリングすることができる。本明細書に記載された方法は、リサンプリングを実行すると同時に、リサンプリングされる検出器のサイズをできるだけ小さく保ち、画質(IQ)で妥協することなしに計算を低減するよう設計されている。
【0015】
[0036]第2に、論文にあるFDK処理は、視野(FOV)の中心からの距離が増大するにつれて、検出器アレイ上に投影されたボクセル位置のサンプリング間隔が増大することにより、大きなFOVを有するスキャナにおいてエイリアシングアーチファクトを生成する。特に、所与のビューにおけるX線源位置に近いボクセルについては、投影されたボクセル位置のサンプリング間隔が検出器のサイズを大きく上回るので、顕著なエイリアシングアーチファクトが生じる結果となる。
【0016】
[0037]第3に、3D処理の計算の複雑性は2D処理の場合よりも非常に高い。従って、効率的な処理及び数値実行とともに適宜のハードウェアプラットホームも必要である。特に、ハードウェアプラットホームが設けられると、処理及びその数値実行は、再構成時間の要件に合うようにしなければならない。
【0017】
[0038]本開示は、FDKから派生した新しい準厳密処理を採用するCTスキャナ及びスキャン技術について説明するものであり、この処理は任意のビームライン形状を扱い、広いFOVを有するスキャナにおけるアーチファクトを軽減し、画質を向上すると同時に、グラフィック処理ユニット(GPU)等のハードウェア上での効率的でより高速の実施を可能にする。
【0018】
[0039]本明細書で説明されるCTスキャンシステムの改良は、医療用スキャナ及び手荷物用スキャナ等の任意のCTスキャンシステムにおいて有用である。典型的な手荷物用スキャナの実施形態を図1〜3に示すが、例示されているスキャナは、1又は複数のこれらの改良を組み入れることが可能な一実施形態にすぎない。図1、2及び3を参照すると、図示されている手荷物用スキャンシステム100は、手荷物又は旅行鞄112をCTスキャンシステム120の中央開口を通して矢印114で示された方向に連続的に運搬して、旅行鞄上でヘリカルスキャンが実行できるようにするコンベヤシステム110を備えている。このコンベヤシステムは、手荷物を支持するためのモータ駆動ベルトを備えている。コンベヤシステム110は、複数の別個のコンベヤ部122を備えているよう例示されているが、他の形態のコンベヤシステムが使用されていてもよい。
【0019】
[0040]CTスキャンシステム120は、手荷物112の移動方向114と好ましくは平行の回転軸127(図3に示されている)の周囲の回転のために、ガントリ支持体125内に配置された円環形の回転プラットフォーム即ちディスク124を備えている。ディスク124は、ベルト116及びモータ駆動システム118等の任意の適宜の駆動メカニズム又は他の適宜の駆動メカニズムによって、回転軸127の周りを動くよう駆動される。回転プロットフォーム124は、コンベヤシステム110がそこを通して手荷物112を移動する中央開口126を定めている。回転軸は、スキャンシステムのZ軸を定め、一方X及びY軸(Z軸に垂直)は中央スキャン面(Z軸に垂直)に配置される。
【0020】
[0041]システム120は、プラットフォーム124の正反対側に配置されているX線チューブ128と検出器アレイ130とを備えている。以下でより詳細に説明するが、検出器アレイ130は、任意の形状の2次元アレイであるのが望ましい。システム120は更に、検出器アレイ130によって生成された信号を受け処理するためのデータ収集システム(DAS)134と、X線チューブ128に電力を供給するため、また或いはX線チューブ128の動作を制御するためのX線チューブ制御システム136とを備えている。システム120には、データ収集システム134の出力を処理し、システム120を作動及び制御するために必要な信号を生成するためのコンピュータシステム(図1の140に示されている)も設けられていることが望ましい。コンピュータシステム140は、生成された画像等の情報を表示するためのモニタを備えることもできる。システム120は更にシールド138を備えており、シールド138は、放射線がガントリ125の外に伝播するのを防ぐために、例えば鉛から作られている。
【0021】
[0042]X線チューブ128は、少なくとも1つの分離した焦点をつくるための少なくとも1つのカソード及びアノードを有しており、この少なくとも1つの分離した焦点からX線ビームはつくられ生成される。図1〜3の132に大まかに示されているビームは、3次元撮像フィールドを通過し、運搬システム110は手荷物112を運びこの3次元撮像フィールドを通り抜けさせる。検出器アレイ130は、ビームが撮像フィールドに置かれた手荷物を通過した後に、各ビーム132を受けることができる。次に、検出器アレイは、手荷物112のさらされた部分の密度を表す信号を生成する。従って、ビーム132はスキャンする空間の体積を定める。プラットフォーム124は、その回転軸127の周りを回転し、これによってX線源128及び検出器アレイ130を、運搬システム110が中央開口126を通して連続的に手荷物を運んでいる時に、手荷物112の周りを円形の軌跡で運び、複数の投影を対応する複数の投影角で生成できるようにする。データ収集システム134は、本明細書に記載されたデータ処理を実行するために、システム140内にプロセッササブシステムを備えている。
【0022】
[0043]図4に示すように、ガントリは、撮像された対象物体152に張り付けられた座標系で表現される。ヘリカルスキャンの最中は、X線源150からのビームは、検出器列156を備えた検出器アレイ154に向けられる。検出器アレイ154の各検出器列156は、検出器チャネル158を含んでいる。列及びチャネルの交差点が1つの検出器要素を特定している(各検出器の中心の軌跡によって特定されるのが通常である)。本図では、X線源150は、図示されているように撮像された対象物体152に対して、Z軸162に沿ってヘリカル軌跡160を横断する。
【0023】
[0044]上述したように、ヘリカルCTスキャンの画像再構成処理は、2D処理及び3D処理に分類することができる。所与の円錐角に関し、3D処理は2D処理に比べると、より少ないコーンビームアーチファクトを生成する。3D処理によって達成される相対的な画質の向上は、スキャナピッチ及び検出器列の数につれて高まる。
【0024】
[0045]2D処理及び3D処理の違いを図5に示す。図5(A)に示す2D処理では、168に表されているように、複数の傾斜面166に対する近似の1D平行投影164が抽出される。その際に、所与の傾斜面の全てのボクセルに対して1セットの近似平行投影が生成される。次に、平行投影データはフィルタリングされる。次に、2D逆投影処理が用いられて、所与の傾斜面に関して一組の1D平行データを使用して、複数の傾斜面上に画像を再構成する。
【0025】
[0046]それに対して3D処理は、中間的な2D処理への変換なしに画像の再構成を実行する。最も広く使用されている3D画像再構成処理の1つは、フェルドカンプ・デイヴィス・クレス(FDK)処理として知られている。FDK処理は、実施が比較的容易で、安定性があり、御しやすいため、業界では広く利用されている。FDK処理は、フィルタリング及び3D逆投影を含んでいる。まず第1に、投影データが検出器列にそってフィルタリングされる。第2に、フィルタリングされたデータの3D逆投影が実行される。図5(B)に示すように、3D逆投影ステップでは、ボクセル170は個別に正確に、3D空間で検出器アレイ172に直接投影されて、対応する検出器位置からフィルタリングされた投影値は、再構成されたボクセル170に関する密度値を作り出すために累算される。
【0026】
[0047]画像再構成処理の態様を、2つのタイプのスキャンモード、即ち、上述したヘリカルスキャンモード及びベルトの運動を停止することによって実現される軸スキャンモード、に関して更に説明する。軸スキャンモードでは、X線源が円形の軌跡に沿って撮像される対象物体の周りを移動する。
【0027】
[0048]軸スキャン用の元々のFDK処理の態様を、図6及び図7に示す。図6及び図7に示すように、FDK処理は以下のように要約することができる:様々な光線に関する様々なビーム路程(path length)を考慮するために、ステップ178において完全回転のデータ176が重み付けされる。ステップ180において、検出器列に沿って収集されたデータ上でフィルタリングが実行され、その後ステップ182において、フィルタリングされたデータが逆投影されて、逆投影画像184がつくられる。逆投影ステップの間に、各ビューに関して、再構成されたボクセルが検出器アレイ上に投影される。フィルタリングされた投影は、図6の186に示されているように、投影されたボクセル位置が検出器の間に当たる場合の値を取得するために補間される。そして補間済みのフィルタリングされた投影値が累算される。
【0028】
[0049]元々のFDK処理は、その安定性と実施の容易さから評判がいい。この処理を様々なスキャン形状に利用し、なお且つ画質を向上するために、この処理の数多くの拡張が提案されてきた。図8及び図9に示した、FDK処理の一定ピッチのヘリカルスキャンへの拡張は、Wangらによって最初に提案された(Wang, G. Lin. T, Cheng, P.及びSchiozaki, D. M.による”A General Cone-Beam Reconstruction Algorithm”, IEEE Trans. Med. Imaging, 12, 1993)。ヘリカルスキャン用のFDK処理では、図8(A)に例示するように、ボクセルを再構成するために、π+γ(ここでγは検出器アレイの扇形角)に値する投影データ(ハーフセグメント)のみが用いられる。ハーフセグメントのデータセットに関する図8(B)のサンプリング領域194は、検出器角及び投影角の空間で表されている。所与の投影方向が2つの対応する重複測定値(図8(A)の190及び図8(B)のサンプリング領域194の網掛け部分192に例として示されている)を有している場合、2つの反対方向に投影された光線からのデータは、全ての投影方向の寄与を均一化するために、重み付け且つ合算されなければならない。従って、図9に示すように、冗長重み付けも列のフィルタリングステップ180よりも前に導入されており(196に示されている)、適宜重み付けされるこれらの冗長測定値(redundant readings)を考慮に入れている。
【0029】
[0050]アーチファクトを軽減するためのヘリカルFDK処理の改良は、傾斜面再構成(例えば、Yan, M.及びZhang, C.による”Tilted Plane Feldkamp Type Reconstruction Algorithm for Spiral Cone Beam CT”, Med. Phys. 32(11), 2005を参照)及び接線フィルタリング(Sourbelle, K.及びKalender, W.A.による“Generalization of Feldkamp reconstruction for Clinical Spiral Cone-Beam CT”を参照)を含めて、最近になって提案された。
【0030】
[0051]傾斜面再構成の改良は、次の通りである。FDK処理は、使用されている源の軌跡セグメントが所与の平面にある時は、その平面に関する厳密な再構成を結果として生じる。しかし、一定速度のヘリカルな源の軌跡セグメントは任意の1つの平面に含まれない。実際の平面外の源の軌跡と、FDK処理を用いた平面内の推定との不整合性が、コーンビームのアーチファクトを生成する。ぴったり適合している源の軌跡セグメントを用いて、再構成すべきボクセルの平面を選択することにより、付随するアーチファクトを軽減することができる。ここでは傾斜面再構成アプローチが使用される。
【0031】
[0052]平面検出器アレイのための接線フィルタリングを図10及び図11に概略的に例示する。図11に示すように、平面検出器アレイ200(図10に示されている)から収集されたハーフセグメントデータ202は、ステップ204に示されているように、アーチファクトを軽減するために傾斜線に沿ってフィルタリングされる。平面検出器アレイ200から収集されたハーフセグメントデータ202は、FDK処理のステップ206で重み付けされて、ステップ208の冗長データの重み付けステップに続き、210でヘリカルな源の軌跡と一致する線に沿ってフィルタリングされる。次に、ステップ212でデータが逆投影される。
【0032】
[0053]上述したように、従来とは異なる検出器アレイを利用しているスキャナでFDK処理を用いるには課題がある。従来とは異なる(非平面の)検出器アレイを有するスキャンシステムにFDK処理を適合させて、且つ、最大画質(IQ)を達成するためには、以下に記載する課題に取り組む必要がある。
1.ヘリカルFDK処理の使用は、比較的高レベルのコーンビームアーチファクトを招く。論文で発表されている2つのキーとなる改良は、画質を大いに向上させる。第1に、Yan, M.及びZhang, C.による“Tilted plane Feldkamp type reconstruction algorithm for spiral cone beam CT”, Med. Phys. 32 (11), 2005 に記載されている傾斜面再構成アプローチは、所与のボクセルを再構成するために使用される光線間の数学的な不整合を低減することにより、画像アーチファクトを軽減する。第2に、線源軌跡をたどる傾斜線に沿ってデータをフィルタリング(接線フィルタリング)すること[例えば、Sourbelle, K.及び Kalender, W. A.による”Generalization of Feldkamp reconstruction for Clinical Spiral Cone-Beam CT”を参照]は、コーンビームのアーチファクトを大幅に軽減する。コーンビームアーチファクトを軽減するためにはこれらの処理の修正が実施されなければならない。
2.論文にあるFDK処理は、円筒形検出器アレイ用に設計されているので、従来とは異なる(非平面、非円筒)ビームライン形状を有する現代のCTスキャンシステムには適用することができない可能性がある。更に、接線フィルタリングアプローチは、平面検出器形状のためのみに提案されたものであった。従って、従来とは異なる検出器形状とともに接線フィルタリングの改良を有するFDK処理を用いるためには、再構成前にデータは適宜の検出器形状にリサンプリングされねばならない。この演算は、一方でリサンプリングされる検出器のサイズを可能な限り小さく保ち、且つ、IQにおいて妥協することなく計算を低減しながら、実行される。
3.論文にあるFDK処理は、視野(FOV)の中心からの距離が増大していくにつれて、検出器アレイ上に投影されたボクセル位置のサンプル間隔が増大することにより、大きな視野を有するスキャンシステムにおいてエイリアシングアーチファクトを生成する。
4.処理の計算の複雑性が2D処理の場合よりも非常に高い。従って、効率的な処理及び数値実行が必要とされる。特に、ハードウェアプラットホームが設けられると、処理及びその数値実行は、再構成時間の要件に合うようにしなければならない。
【0033】
[0054]上述したように、スキャナは、2つの従来型の形状、即ち平面及び円筒の1つからなる検出器アレイを、必ずしも備えているわけではなく、実際は、物理的には任意の1つの様々な形状からなることが可能であり、特にセキュリティの応用で用いられるスキャナはそうである。本明細書に記載された教示によると、図12の実施形態として示されているように、ここではスキャナは任意の形状の検出器アレイを使用しており、全てのデータサンプルが等角度又は等距離に間隔が取られるとは限らない検出器アレイを有していると定義されており、リサンプリングは、例えば2つのタイプの従来型形状即ち平面検出器アレイ及び円筒形検出器アレイのうちの1つの仮想アレイを用いて、等角度又は等距離の位置で取られる。上述したように、CTデータを収集且つ処理する方法の多くは、検出器アレイが平面及び円筒形の何れかであることを想定しているため、本明細書で教示されたように、任意の形状の検出器システムによって収集されたデータは、あたかも平面検出器アレイ又は円筒形検出器アレイによって収集されたように処理及び取扱われ(仮想平面検出器アレイ又は仮想円筒形アレイ上にリサンプリングされる)、その後すぐに、従来型の処理が用いられて新しいデータを処理する(図16を参照)。
【0034】
[0055]CTスキャンシステムの一実施形態により、上述の問題に対処する特性の組み込みが以下で説明される。図12及び図13に示すように、実際の検出器アレイ220は任意の非平面形状を有することができる。下記で更に詳細に説明するように、アレイ220で収集されたデータは、例えば仮想平面検出器アレイ又は仮想円筒形検出器アレイ226上に、等角度又は等距離の間隔でリサンプリングされることで、後続のフィルタリングステップを可能にし、アーチファクトを軽減させる。仮想平面検出器の場合の例として、図13に示すように、データは228に示されているように傾斜線上にリサンプリングされる。
【0035】
[0056]一実施形態では、任意の形状の検出器アレイを使用しているCTスキャナは、図14のフロー図で示している処理のステップ例を実行するよう構成されている。例示されている処理は、ハーフセグメントデータ232を受け、データに以下のステップを含む処理を行う。即ち、列のディザリングを伴う等角度のリサンプリング234、ファンビーム及びコーンビームの重み付け236、冗長重み付け238、接線フィルタリング240、適応アップサンプリング242、スパース計算を伴う逆投影244、そして必要であれば、追加ステップとして、逆投影されたボクセルのZ軸補間246である。
【0036】
[0057]図14の列ディザリングを伴う等角度リサンプリングステップ234において、検出器データは仮想検出器アレイ(図13のアレイ224)上にリサンプリングされる。接線フィルタリングアプローチを採用してアーチファクトを軽減するために、またFFTを用いた空間不変フィルタリング(space invariant filtering)を実行するために、任意の検出器形状で収集された検出器データは、228に示されているような傾斜線に沿ってフィルタリングされねばならない。本明細書の教示によると、このフィルタリングは、224に示されているような仮想平面検出器アレイ上の傾斜線に、データをリサンプリングすることにより実現される(等間隔のサンプルを提供するために)。或いは、図16の例に示されているように、データは、仮想円筒形検出器アレイの曲線上にリサンプリングされることも可能であり、これが仮想平面検出器の必要とされる線上に投影される(等角度のサンプルを提供するために)。図12に示すように、同一の角度をカバーして、同時に同一の中心で同等のサンプリングレートを達成するためには、等角度のリサンプリング(仮想円筒形アレイ上への)では、必要となるサンプルがより少数になり、そのため計算コストの低減が可能になる。その結果、この処理は、任意のビーム形状に適合し、必要とされる分解能が最小数の検出器素子で達成され、その一方で計算コストを低減することができる。
【0037】
[0058]同時に、ステップ234(図14に示されている)の間に、列ディザリングが用いられる。図20で更に詳細に説明されるように、列ディザリングは、異なるビューについて、リサンプリングされた検出器列の位置のシフトを含んでいる。その結果、異なる検出器角に関してリサンプリングされた検出器は、異なるビューで異なる帯域幅を有するが、平均すると、ほぼ同一の有効な帯域幅を有する。従って、リサンプリングされた検出器は、検出器角への帯域幅依存性を示さず、アーチファクトが除去される。更に具体的に、図20(B)に示す列ディザリングを用いた検出器サンプリングポイントを、図20(A)に示す列ディザリングなしの従来技術のアプローチのサンプリングポイントと対比する。図20(B)のディザリングアプローチは、単純化のために2つのビューを用いて示す。2番目のビューでは、検出器列は列の幅の半分だけシフトされている。図20では、検出器の中心は、検出器アレイ上に敷かれている水平線及び垂直線の交差によって示されている。図20(A)に示すように、サンプリングポイントが検出器の中心にある場合に高帯域幅(例えば図20(A)の検出器3)が達成される。しかし検出器4のデータは、補間されて低帯域幅にされなければならない。図からわかるように、検出器列及びリサンプリングされた曲線の相対位置は、全てのビューで同一である。各検出器チャネルは、全てのビューで一定の帯域幅を有しており、逆投影の最中に位相を組み込むアーチファクトを生じる結果となる。しかし、列ディザリングを用いると、検出器列及びリサンプリングされた曲線の相対位置がビューによって変化する。特定の検出器チャネルが様々なビューで異なる帯域幅を有していてもよい。ビューの平均では、全ての検出器は類似の帯域幅を有している。逆投影では、複数のビューが再構成に寄与する。従って、特定のチャネルの有効帯域幅は、多くのビューにわたる平均であり、全ての検出器チャネルで同じである。アーチファクトは、検出器にわたって帯域幅を均一化することによって低減される。実際は、様々な列のためのシフト値のシーケンスを選択するために、ランダムストラテジ又は決定性のステラテジを用いることができる。
【0038】
[0059]図14を再び参照すると、ファンビーム・コーンビーム重み付けステップ236で、リサンプリングされた検出器データは、Wang, G., Lin, T., Cheng, P.及びSchiozaki, D. M.による”A General Cone-Beam Reconstruction Process”, IEEE Trans. Med. Imaging, 12, 1993に記載されたもののように、ファンビーム及びコーンビームの重み付けを用いて重み付けされる。
【0039】
[0060]リサンプリングされコーンビーム重み付けされたデータは、図14の冗長重み付けステップ238において、冗長光線の存在を補償するために重み付けされる。所与のハーフスキャンセグメント及び所与の再構成ボクセルに関し、1又は2の光線(源の位置が反対側にある)が、所与の方向でボクセルを通過することができる。2つの光線が所与のボクセルを反対方向で通過する時、これらの2つの光線は補完光線(complementary rays)と称される。補完光線は、冗長データを生成するが、これは、セグメントの両側からの逆投影の寄与が互いに滑らかに推移することを保障するためには、重み付けされ合算されなければならない。Parker, D. L.による”Optimal Short Scan Convolution Reconstruction for Fan-Beam CT”, Med. Phys. 9(2), 1982に記載されているような重み付けスキームを、補完データを重み付けするために用いることができる。各投影での冗長重み付けは、各再構成平面に対して繰り返される。
[0061]図14の接線フィルタリングステップ240において、重み付けされたデータは、リサンプリングされた検出器アレイの列に沿ってフィルタリングされる。各リサンプリングされた列のデータは、傾斜線に沿ってサンプル化されるので、結果として生じるフィルタリングは、Sourbelle, K.及び Kalender, W.A.による”Generalization of Feldkamp reconstruction for Clinical Spiral Cone-Beam CT”の接線フィルタリングアプローチと等しい。このアプローチを用いて取得されたフィルタリング済みデータを、3D逆投影において用いることで、コーンビームのアーチファクトが最小化される。
【0040】
[0062]図14の逆投影ステップ244で、フィルタリングされたデータを逆投影することによって3D画像が再構成される。逆投影は、ハーフセグメントにおける各ビューに関して、各ボクセルをリサンプリングされた検出器上に投影し、その一方で補間済みのフィルタリングされた投影値を累算することによって実行される。広い視野(FOV)に関しては、逆投影ステップは、画像の位置にともなって変化するエイリアシングアーチファクトを生じる結果となる。これは、近接するビュー間のビュー角度間隔が、再構成されたボクセル及びX線源の相対位置に強度に依存しているためである。源に近接する画像位置は、最も大きなエイリアシングアーチファクトを示している(図21を参照)。
【0041】
[0063]図14の適応アップサンプリング242で、エイリアシングアーチファクトが修正される。本明細書に記載の教示によると、エイリアシングアーチファクトは、検出器上に投影されたボクセル軌跡をアップサンプリングすることによって低減される。例えば、図22に示すように、合成の源の位置290が2つのデータビュー292及び294間にそれぞれつくられる。検出器アレイ上に投影されたポイントの軌跡が、効果的にアップサンプリングされる。従って、296に示されているように、合成の源の位置に対応するボクセルの投影位置が生成される。逆投影の和は、合成の源の位置に対応する位置でサンプリングされた、補間済みのフィルタリングされた投影値で増補される。適応アップサンプリングステップ242は、1つ1つの再構成されたボリューム要素によって検出器アレイの表面にトレースされた線に沿っている投影の、フィルタリングを実行するステップであって、エイリアシングアーチファクトを大幅に除去するステップとして解釈してもよい。
【0042】
[0064]更に、最適な画質を達成するために求められる、アップサンプリング周波数を画像位置に適応させることによって、適応アップサンプリングステップの計算負荷は低減される。図23は、アップサンプリング周波数を、広いFOV用の画像位置に応じて適応させている例を示している。
【0043】
[0065]図23には、3つの同心円帯の2つのビューが示されており、例として、ゾーン300は源の最も近くにあり、ゾーン302は中間の距離にあり、ゾーン304は源からもっとも離れている。ボクセルは、ビューによって異なるゾーンに入っている。このタイプの配置では、最も近いゾーン300が一番強力なアップサンプリングゾーンであって、例えば、2つの追加的な配置308が各位置310の間に設けられており(図23(A)参照)、一方で中間ゾーン302は中程度のアップサンプリングゾーンであって、例えば1つの追加的な位置312が各位置310の間に設けられており(図23(B)参照)、そしてゾーン304は、追加的な位置が設けられていない非アップサンプリングゾーンである。なお、ゾーンは源Sとともに回転する。所与のボクセルが、ビューによって異なるゾーンに入っている。任意のボクセルに関し任意のビューにおいて、生じるサンプリング間隔はほぼ同一である。異なるアップサンプリングを有するゾーンが、画像の不連続性を防ぐために、互いに混ぜ合わされている。
【0044】
[0066]図14を再度参照すると、スパース計算を伴う逆投影ステップ244において、フィルタリングされた投影データは、再構成された画像位置上に逆投影される。出力駆動処理(output driven process)が使用されて傾斜面上の密度値を再構成する。計算コストを低減するために、スパース計算アプローチが実施されてもよい。このアプローチでは、各ボクセルの投影位置は、一連の等距離キービューに関してのみ正確に計算される。中間ビューに関する投影位置は、近接するキービューからの補間によって計算される。図24は、逆投影ステップの単純化された例を示している。逆投影の最も計算費用のかかる部分は、検出器アレイ上に投影されたボクセル位置を計算することである。本明細書の教示によると、投影された位置はキービューに関してのみ、分析的に計算される。例えば、キービューは等間隔で選択されてもよい。中間ビューに関する投影位置は、補間によって決定されるので、画質は保護される。
【0045】
[0067]具体的には、図24(A)に示すように、キービュー320に関しては、ボクセルの投影位置が厳密に計算される。中間ビュー322に関しては、ボクセルの投影位置が補間される。図24(B)では、中間ビューのための数学的に正確な投影位置が332に示されており、これは検出器アレイの表面上に投影されたボクセルの真の軌跡334に沿っている。中間ビューのための位置336が、近似線338に沿ってサンプリングされて、330に示した近接したキービューのための投影位置をつなぐ。
【0046】
[0068]最後に、図14で説明及び例示したように、必要であれば、追加ステップである画像データ246のZ軸補間が実行される。
[0069]ここで本方法の実施形態を、円筒形仮想検出器リサンプリングアプローチを用いて示す。
【0047】
[0070]座標系(CS)が示されている図15(A)及び図15(B)について、以下の定義を用いて説明する。
【0048】
【表1】

【0049】
[0071]図1〜3に示したタイプのスキャンシステムでは、軸ガントリCS及び再構成CS間の変換は、
【0050】
【数1】

【0051】
であり、ここでβはビュー角度で、Sbeltは回転可能ディスクの1回転においてベルトによって進められた距離である。
[0072]軸ガントリCSと検出器の円筒CSとの間の変換は、
【0052】
【数2】

【0053】
であり、ここで
【0054】
【数3】

【0055】
は、スキャナ設計によって与えられる検出器アレイの傾斜角である。検出器アレイの傾斜角は、v軸及びz軸間の角度である(検出器は軸ガントリCSのs軸の周りを回転する)。Rsd及びRscはそれぞれ、スキャナ設計によって与えられる、源から検出器までの距離及び源から中心までの距離である。
【0056】
[0073]図15(A)及び図15(B)を参照すると、uw面における検出器チャネル座標は、検出器設計によって与えられる。チャネルiに関する検出器チャネルu及びwの座標は、それぞれu[i]及びw[i]と表記される。各チャネルi∈[1..Ndet_DAS]に関する検出器角γ[i]は、事前に計算されておりスキャナの動作を実行するために供給されている。
【0057】
[0074]この方法は2つの準備ステップ、即ち(a)再構成形状設定及び(b)ビューセグメント選択によって初期化される。再構成形状設定ステップは、再構成画像グリッドを構成し、且つ必要なパラメータを計算する。ビューセグメント選択ステップは、データビューセグメントを再構成位置に関連付ける。
【0058】
[0075]再構成形状の設定は、再構成グリッド、リサンプリングされた検出器パラメータ、再構成平面、及びこの方法の後続ステップで使用される他のパラメータを特定するステップを含んでいる。
【0059】
[0076]この方法の一実施形態は次のものを含んでいる。
[0077]画像再構成グリッドは、平面ボクセルサイズdpixにおける画像サイズパラメータN、N及びN、画像中心座標x、y、及びスライス間隔dを用いて計算される。一連の再構成画像ボクセルインデクスΩは次のように選択される。
【0060】
【数4】

【0061】
ここで、ボクセル
【0062】
【数5】

【0063】
に関する座標(x,y,z)は、次のように計算される。
【0064】
【数6】

【0065】
[0078]検出器の仰角が計算される。図16に示したような円筒形検出器アレイであるとしよう。仰角は、所与の検出器に関して、検出器と交差する光線及び中心列を含んでいる平面間の角度と定義される。列j及び検出器チャネルiであれば、仰角はξ(j,i)と表記される。各検出器(列j,チャネルi)に関する仰角は、以下のように事前計算される。
(a)中心列平面より上の検出器のエレベーションは、
【0066】
【数7】

【0067】
で計算される。ここで、rcenは中心検出器列であり、hは検出器列の高さであり、それぞれスキャナ設計によって与えられる。
(b)仰角は次のように計算される。
【0068】
【数8】

【0069】
[0079]図16に示すように、リサンプリングされた検出器位置が特定される。仮想平面検出器平面Pは、軸ガントリCSのtp面に平行であり、s軸とs=Rsc−Rsdで交差していると定められている。一実施形態によると、仮想フィルタリング線が、仮想検出器平面P内で定められている。仮想フィルタリング線は平行であって、Θで表すフィルタリング角を、t軸と形成する。角度Θは、源の軌跡の接線と等しい。
【0070】
【数9】

【0071】
従って、仮想フィルタリング線は接線フィルタリングに求められる最適なフィルタリング線である。
[0080]p軸に沿ったフィルタリング線位置は、ビューインデクスに依存している。グローバルビューカウンタ値m∈[1..N]に関して、Nrowflat傾斜フィルタリング線が仮想平面検出器平面P内に導入されて、変位b,j∈[1...Nrowfilt]によってパラメータ化される。j番目のフィルタリング線に関しては、変位bがt=0(線と検出器P軸との交差点)で線のp座標である。bは次のように定義される。
【0072】
【数10】

【0073】
ここで、hfiltはリサンプリングされた検出器の高さ、即ちフィルタリング線の間隔であり、drand(m mod Nloop)∈[0..1]は、ビューmの全てのフィルタリング線のための一定変位である。
【0074】
[0081]上述したように、様々なビューに関する変位は、この処理に与えられたランダムシーケンスdrand(k)、k∈[1..Nloop]をラッピングアラウンド(wrapping around)することにより定義される。本明細書の教示によると、列のランダムシフトは、列のディザリングステップの実施形態例である。
【0075】
[0082]仮想検出器平面P内の各フィルタリング線は、リサンプリングされた検出器の列を形成する。リサンプリングされた検出器の1つの列に関するNfiltチャネルを定義する。チャネルiの検出器チャネル角γfiltは、
【0076】
【数11】

【0077】
によって与えられる。ここでWfiltはリサンプリングされた検出器におけるチャネル幅であり、且つScenfiltは、リサンプリングされた検出器における中心検出器である。
【0078】
[0083]従って、リサンプリングされた検出器は検出器チャネルにおいて等角度である。
[0084]仮想検出器平面P内の各フィルタリング線における各検出器チャネルに関して、検出器アレイ座標系における対応する列座標が計算される。チャネルiに関する検出器角γfiltに応じた、検出器アレイ上へのj番目のフィルタリング線の投影の列座標は、
【0079】
【数12】

【0080】
によって与えられる。
[0085]式10を用いて計算されたフィルタリング線を、図17の検出器座標系(検出器角γ及び列r)に示す。一実施形態では、式10を用いて計算されたフィルタリング線は、列のディザリングを伴う等角度リサンプリングステップ毎に特定された傾斜線である。
【0081】
[0086]リサンプリングされた検出器の中心検出器Scenfiltは、次のように計算される。
【0082】
【数13】

【0083】
[0087]ハーフファン角δは次のように計算される。
【0084】
【数14】

【0085】
[0088]対応するヘリカルな源の軌跡セグメントを持つ再構成平面が特定される。各再構成平面は、関連するヘリカル軌跡セグメントの中心ビューによって特定される。各中心ビューにおいて、源は対応する再構成平面にある。再構成平面は、2NHSのビューのセグメントに渡ってヘリカルな源の軌跡にほぼ一致する。
【0086】
[0089]一実施形態では、中心ビュー及び対応する再構成平面は、次のようにして定義される。
1.中心ビューは、ビュー間隔がNv_indexのビューで選択される。中心ビューmのビューインデクスkは、
【0087】
【数15】

【0088】
によって与えられる。
m,β[k]に対応するビュー角度は、
【0089】
【数16】

【0090】
によって与えられる。
2.再構成平面傾斜角γ(傾斜再構成平面及び軸平面間の角度)が計算される。γは、ヘリカルな源の軌跡と再構成平面との交差点である2つの位置を特定し、これは図18に示すようにビューvに対して対称である。角度γは、次のように計算される。
【0091】
【数17】

【0092】
ここでαは、再構成平面がヘリカルな源の軌跡と交差する角位置を特定する、再構成平面傾斜ファクタである。α=1のとき、平面がヘリカルな源の軌跡と交差する角位置は、π/2離れている。
3.各中心ビューmに関する再構成平面Rは、次のように定義される。
(a)平面は、ビューkに対応している源の位置
【0093】
【数18】

【0094】
を含んでおり、これは
【0095】
【数19】

【0096】
によって与えられる。
(b)平面のノーマルベクトル
【0097】
【数20】

【0098】
は、
【0099】
【数21】

【0100】
によって与えられる。
ここで、γは式15で計算された再構成平面傾斜角である。再構成平面Rは、図18に示されている。
4.各中心ビューmに関して、一連の再構成画像ボクセルインデクスΩが、次のようにして選択される。
【0101】
【数22】

【0102】
ここでボクセル
【0103】
【数23】

【0104】
の座標(x,y,z)は次のように計算される。
【0105】
【数24】

【0106】
式19によって定義された一連のボクセルが、中心ビューmに対応する傾斜面上に、z軸に沿って投影される一連のxyグリッドボクセルを定義する。
[0090]一実施形態によれば、図20(B)に例示されているように、列ディザリングを伴う等角度リサンプリングが採用されている。等角度リサンプリングに関連するステップ例は次の通りである。
1.各ビューmについて、フィルタリング線j∈[1..Nrowfilt]、及び検出器チャネルi∈[1..N]であれば、仰角ξは、
【0107】
【数25】

【0108】
として計算され、ここで列座標r(i)は式10を用いて計算される。
式9を用いて計算された検出器角γfiltは、γと表記される。
【0109】
【数26】

【0110】
2.角度γに対応する実数値の検出器チャネルインデクスcは、所与の一連の検出器角γ[i],i∈[1..Ndet_DAS]からのリニア補間を用いて、次のようにして得られる。
(a)左側の近接検出器チャネルの整数インデクスは、
【0111】
【数27】

【0112】
のように求められる。
(b)実数値のインデクスcは、近接検出器のインデクスからのリニア補間によって求められる。
【0113】
【数28】

【0114】
3.検出チャネルCint及びCint+1に関する、それぞれの実数値検出器の列値r及びrは、次のように計算される。
(a)検出器チャネルCintの近接検出器列の整数インデクス
【0115】
【数29】

【0116】
は、
【0117】
【数30】

【0118】
のようにして求められる。
(b)実数値列インデクスrは、近接検出器列のインデクスからのリニア補間によって求められる。
【0119】
【数31】

【0120】
(c)検出器チャネルCint+1に関する近接検出器列の整数インデクスrintは、
【0121】
【数32】

【0122】
のようにして求められる。
(d)実数値列インデクスrは、近接検出器列のインデクスからのリニア補間によって求められる。
【0123】
【数33】

【0124】
4.検出器チャネルcに対応する実数値列インデクスrは、r及びrの間のリニア補間によって求められる。
【0125】
【数34】

【0126】
5.フィルタリング線j及びチャネルiに関する補間された投影値Pint(i,j)は、収集された検出器データp(.,.)からのバイリニア補間を用いて、次のように計算される。
【0127】
【数35】

【0128】
[0091]上述したように、この処理は、重み付けステップ及びフィルタリングステップを含んでいる。各中心ビューに関して、対応するセグメントのビューに関するリサンプリングされた検出器データは、列に沿って重み付けされフィルタリングされる。重み付けは、ハーフスキャン冗長データ重み付け、及びファンビーム・コーンビーム重み付けから成る。
【0129】
[0092]ファンビーム・コーンビーム重み付けは、ファンビームのz方向の光線発散を補償する。ファンビーム重み付けは、検出器角のコサインによって与えられる。
[0093]冗長データ重み付けが必要なのは、不完全なヘリカルな源の軌跡セグメント及びファンビーム形状が逆投影ステップで直接用いられるためである。FOV内の位置に依存して、1つの光線又は2の補償光線の何れかが再構成ポイントを通過する。ヘリカルな源の軌跡の両側から発出されている2つの光線が再構成ポイントを通過する場合、対応するサンプルは重み付けされなければならない。重み付けは、2つの寄与が加算されてまとめられること、及び、任意の所与の再構成ポイントに関し、ヘリカルな源の軌跡の両側の光線からの寄与が、互いに滑らかに推移することを保障する。
【0130】
[0094]各中心ビューkに関し、FDK処理はk−NHSからk+NHSまでのビューを用いて、中心ビューkに関連するボクセル群を再構成する。ビューはそれぞれ重み付けされフィルタリングされる。重み付けは、中心ビューに対するビュー角度に依存する。
【0131】
[0095]以下に記す処理は、特定の中心ビューkに関する2NHSの再構成セグメント内のビューを処理するステップを含んでいる。
処理は次の通りである。
1.各ビューk∈[k−NHS..+NHS]、及び、リサンプリングされた検出器データPint(i,j)の各列j∈[1..Nrowfilt]に関し、各サンプルi∈[1..N]が重み付けされて、重み付けデータサンプルP(i,j)を以下のように形成する。
【0132】
【数36】

【0133】
ここでγfiltは、式9及を用いて計算された検出器角であり、W(k,k,i)は、パーカー重みであり、次のように計算される。まず、相対ビュー角度βが計算される。
【0134】
【数37】

【0135】
ここで、δは、式12で計算されるハーフファン角である。パーカー重みW(k,k,i)は、
【0136】
【数38】

【0137】
によって与えられる。
2.各ビューk∈[k−NHS..k+NHS]に関し、重み付けがなされたリサンプリングされた検出器データP(i,j)i∈[1..N]の各列j∈[1..Nrowfilt]は、次のようにフィルタリングされる。
(a)列は、長さMにゼロパディングされる。結果として生じる列は、P(i),i∈[1..M]と表記される。
(b)ゼロパディングされた列Pz(i)は、フーリエ変換されて、フーリエ変換列PFT(i)i∈[1..M]を形成する。
【0138】
【数39】

【0139】
(c)フーリエ変換列PFTは、フィルタ周波数応答で乗算されて、周波数ドメインにおいてフィルタリングされた列を形成する。
【0140】
【数40】

【0141】
(d)フィルタリングされた列は空間ドメインに変換し戻されて、フィルタリングされたビューkの列jになる。
【0142】
【数41】

【0143】
ここでGFILTは、次のように定義されたフィルタ周波数応答である。等しい長さMの等角度の検出器のランプフィルタカーネルは、j∈[1..M]に関して
【0144】
【数42】

【0145】
によって与えられる。フィルタの周波数応答は、
【0146】
【数43】

【0147】
として得られる。
[0096]一実施形態では、適応するアップサンプリング及びスパース計算を伴う逆投影が用いられる。選択された各中心ビューkに関し、逆投影ステップは、中心ビューkに関連するボクセル群Ωを再構成するために、k−NHSからk+NHSまでのフィルタリングされたビューを利用する。各中心ビューに関連しているボクセル群の選択は、上述の通りである。群の各ボクセルは、フィルタリングされたビューのそれぞれに投影される。補間がなされたフィルタリングされた投影値は、重み付けされ累算されて、再構成ボクセル値が生じる。
【0148】
[0097]FOVのエッジにおいて、投影されたボクセル位置のサンプリング間隔が広すぎるとエイリアシングアーチファクトを生じさせることが観察されている。これらのエイリアシングアーチファクトを修正するために、既存のビューへの投影は、検出器上に投影された再構成されたポイントによってトレースされた軌跡に沿ってフィルタリングされる。所与の再構成されたポイントに関して、フィルタリングは、2つの近接ビューに関する投影位置間にサンプル化された検出器上の位置で、補間がなされたフィルタリングされた投影値を計算することによって実行される。
【0149】
[0098]逆投影ステップは、最も計算的に要求の多いステップである。従って、必要とされる再構成速度を達成するために、追加的な特性即ちスパース投影計算が導入される。スパース投影計算の概念は、検出器上の所与の再構成ポイントの投影位置が、ビュー角度に応じて検出器の表面上の滑らかな曲線をたどっている、という事実に基づいている。従って、ポイントの投影座標の厳密な算出を、選択されたキービューのみに制限することで足りる。中間ビューに関する投影座標は、近接キービューに関して算出された投影座標をリニア補間することによって計算される。
【0150】
[0099]適応アップサンプリングは、次のようにして、スパース投影計算と統合される。再構成ポイントの投影座標は、一連のキービューに関して計算される。中間ビュー上のポイントの投影座標、及びアップサンプリングされた位置に相当する投影座標は両方とも、近接キービューに関して計算された座標からのリニア補間によって計算される。原理を図19に示す。
【0151】
[00100]所与のボクセルに関する投影座標の厳密な計算をここで詳細に説明する。ボクセル(x,y,z)に関し、ビューkに関する実数値列座標rfl、実数値チャネル座標cfl、及び逆投影重みWが、次のように計算される。
1.再構成座標系におけるボクセル(x,y,z)は、式1を用いて軸ガントリCSに変換される。軸ガントリCSにおけるボクセル座標は、(s,t,p)と表記される。
2.st面における源からボクセルまでの距離Lは、
【0152】
【数44】

【0153】
のように計算される。
3.検出器角は、
【0154】
【数45】

【0155】
のように計算される。
4.実数値検出器チャネルは
【0156】
【数46】

【0157】
のように計算される。
5.リサンプリングされた検出器実数値列座標は、
【0158】
【数47】

【0159】
のように計算される。
6.逆投影重みWは次のように計算される。
【0160】
【数48】

【0161】
[00101]逆投影ステップは、次のように実行される。所与の中心ビューkに関し、群Ω(式4で計算された座標(x,y,z))からの各ボクセル
【0162】
【数49】

【0163】
に関し、傾斜画像
【0164】
【数50】

【0165】
における再構成された値
【0166】
【数51】

【0167】
は、次のようにして得られる。
1.ゼロキービューに関する実数値列座標rfl及び実数値チャネル座標cflは、次のように初期化される。
【0168】
【数52】

【0169】
2.フィルタリングされた投影値であって、各キービューk∈[1…2NHS/Nsp]に関するボクセルの投影位置で補間された値が、累算される。各キービューに関し、追加的なNSP−1のリニア補間された(近接キービューに関する投影位置をつなぐ線に沿って)座標が計算され、対応する補間投影値が追加される。各ビューに関する投影位置も、2つのキービューに関する投影位置及び和にも追加されている対応する補間投影値をつなぐ線に沿って、N―1回サンプル化される。
【0170】
【数53】

【0171】
ここで検出器インデクス
【0172】
【数54】

【0173】
及び
【0174】
【数55】

【0175】
並びにビューインデクスkは、次のように計算される。
【0176】
【数56】

【0177】
ここで、実数値検出器チャネルc及び実数値検出器列rに対応するビューkに関するフィルタリングされた投影値は、バイリニア補間を用いて次のようにして取得される。
【0178】
【数57】

【0179】
[00102]z補間ステップは、傾斜面間のz軸方向の補間を実行して傾斜画像を形成する。非傾斜出力画像Iの各ボクセル(i,j,k)∈Ωに関して、密度値は次のように計算される。
1.ボトムの近接傾斜面インデクス
【0180】
【数58】

【0181】
は、次のようにして求められる。
【0182】
【数59】

【0183】
ここで座標z[i,j,m]は式19を用いて計算される。
2.密度値I(i,j,k)は、傾斜画像における値
【0184】
【数60】

【0185】
及び
【0186】
【数61】

【0187】
からのリニア補間によって次のように計算される。
【0188】
【数62】

【0189】
[00103]この開示について、特に好適な実施形態に関して図示及び説明をしてきたが、請求項によって定められた本開示の技術思想及び範囲から逸脱しなければ、形態及び詳細における様々な変更をなすことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイであって、該少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイの両方は、ある回転軸で、該軸に沿って移動する物体のスキャンの間に回転するよう支持され、各検出器のデータは受けたX線エネルギーの関数として生成される、前記少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイと、
仮想検出器アレイにおける曲線上への前記データのリサンプリングを実行するよう構成されたデータプロセッサであって、前記曲線は、仮想平面検出器における傾斜線上に投影して前記データの接線フィルタリングを可能にする、前記データプロセッサと
を備えたCTスキャナ。
【請求項2】
請求項1記載のデータプロセッサであって、前記仮想検出器アレイは、平らで等距離の検出器を持つ、データプロセッサ。
【請求項3】
請求項1記載のデータプロセッサであって、前記仮想検出器アレイは、円筒形で等角度の検出器を持つ、データプロセッサ。
【請求項4】
請求項1記載のデータプロセッサであって、データはハーフセグメントデータである、データプロセッサ。
【請求項5】
請求項4記載のデータプロセッサであって、該データプロセッサは、仮想検出器アレイにおける曲線上への、前記データの等角度のリサンプリングを実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項6】
請求項4記載のデータプロセッサであって、該データプロセッサは、仮想検出器アレイにおける曲線上への、前記データの列ディザリングを伴う等角度リサンプリングを実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項7】
請求項1記載のデータプロセッサであって、該データプロセッサは、前記データのファンビーム及びコーンビーム重み付けを実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項8】
請求項1記載のデータプロセッサであって、該データプロセッサは、前記データの冗長重み付けを実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項9】
請求項1記載のデータプロセッサであって、該データプロセッサは、前記データの接線フィルタリングを実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項10】
請求項1記載のデータプロセッサであって、該データプロセッサは、前記データの適応アップサンプリングを実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項11】
請求項1記載のデータプロセッサは、逆投影画像ボクセルを生成するために、スパース計算で前記データの逆投影を実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項12】
請求項11記載のデータプロセッサは、前記逆投影画像ボクセルのZ軸補間を実行するよう構成された、データプロセッサ。
【請求項13】
少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイを備えたCTスキャナで物体をスキャンするための処理であって、前記少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイの両方は、ある回転軸で、該軸に沿って移動する物体のスキャンの間に回転するよう支持され、前記方法は、
受けたX線エネルギーの関数として各検出器のデータを生成するステップと、
仮想検出器アレイにおける曲線上に前記データをリサンプリングするステップであって、前記曲線は、仮想平面検出器における傾斜線上に投影して前記データの接線フィルタリングを可能にする、ステップと
を含む、処理。
【請求項14】
請求項13記載の処理であって、リサンプリングするステップは、等距離の検出器を持つ平面仮想検出器アレイの曲線上に前記データをリサンプリングするステップを含む、処理。
【請求項15】
請求項13記載の処理であって、リサンプリングするステップは、等角度の検出器を持つ円筒形仮想検出器アレイの曲線上に前記データをリサンプリングするステップを含む、処理。
【請求項16】
請求項13記載の処理であって、データを生成するステップは、ハーフセグメントデータを生成するステップを含む、処理。
【請求項17】
請求項16記載の処理であって、リサンプリングするステップは、仮想検出器アレイにおける曲線上への、前記データの等角度のリサンプリングを含む、処理。
【請求項18】
請求項16記載の処理であって、リサンプリングするステップは、仮想検出器アレイにおける曲線上への、列ディザリングを伴う前記データの等角度リサンプリングを含む、処理。
【請求項19】
請求項13記載の処理であって、該処理は更に、前記データのファンビーム及びコーンビーム重み付けステップを含む、処理。
【請求項20】
請求項13記載の処理であって、該処理は更に、前記データの冗長重み付けステップを含む、処理。
【請求項21】
請求項13記載の処理であって、該処理は更に、前記データの接線フィルタリングステップを含む、処理。
【請求項22】
請求項13記載の処理であって、該処理は更に、前記データの適応アップサンプリングステップを含む、処理。
【請求項23】
請求項13記載の処理であって、該処理は更に、逆投影画像ボクセルを生成するために、スパース計算で前記データを逆投影するステップを含む、処理。
【請求項24】
請求項23記載の処理であって、該処理は更に、前記逆投影画像ボクセルのZ軸補間を実行するステップを含む、処理。
【請求項25】
少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイであって、該少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイの両方は、ある回転軸で、該軸に沿って移動する物体のスキャンの間に回転するよう支持され、各検出器のデータは、該検出器が受けたX線エネルギーの関数として生成される、前記少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイと、
リサンプリングの間に帯域幅の均一化を実行するよう構成されたデータプロセッサであって、データのリサンプリングのスキームは、様々なビューについて前記検出器アレイに対するリサンプリング線の相対位置を変え、それによって、リサンプリングされた各検出器のデータが各ビューで異なる帯域幅を有し、全てのビューが再構成されたボクセル密度値に寄与するときに、全ての検出器に対してほぼ同一の有効帯域幅を得るようにすることを含む、データプロセッサと
を備えたCTスキャナ。
【請求項26】
少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイであって、該少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイの両方は、ある回転軸で、該軸に沿って移動する物体のスキャンの間に回転するよう支持され、各検出器のデータは、該検出器が受けたX線エネルギーの関数として生成される、前記少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイと、
所定のフィルタリング線に沿って前記データの接線フィルタリングを提供するよう構成されたデータプロセッサと
を備えたCTスキャナ。
【請求項27】
少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイであって、該少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイの両方は、ある回転軸で、視野の内の該軸に沿って移動する物体のスキャンの間に回転するよう支持され、各検出器のデータは、該検出器が受けたX線エネルギーの関数として生成され、任意の2つの近接ビューについて、再構成された各ボクセルの前記検出器アレイ上への投影位置間の間隔は、各ビューにおける前記ボクセル及びX線の前記源の相対位置の関数として変化する、前記少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイと、
合成された源の位置で補間投影値を提供するよう構成され、前記合成された源の位置に対応する位置でサンプリングされた補間投影値で逆投影の和が増補されるようにする、データプロセッサと
を備えた、CTスキャナ。
【請求項28】
少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイであって、該少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイの両方は、ある回転軸で、視野の内の該軸に沿って移動する物体のスキャンの間に回転するよう支持され、各検出器のデータは、該検出器が受けたX線エネルギーの関数として生成され、任意の2つの近接ビューについて、各ボクセルの投影位置間の間隔は、各ビューにおける前記ボクセル及びX線の前記源の相対位置の関数として変化する、前記少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイと、
合成された源の位置で補間投影値を提供するよう構成され、前記合成された源の位置に対応する位置でサンプリングされた補間値で逆投影の和が増補されるようにする、データプロセッサと
を備え、
提供された補間投影値の数は逆投影画像の位置の関数として変化する、
CTスキャナ。
【請求項29】
請求項28記載のCTスキャナであって、前記視野は、視界の関数として重複するゾーンに分割され、提供された補間投影値の数は、前記ゾーンの関数として変化し、最終的な逆投影画像は、1つのゾーンからの再構成された値又は重複重み付けを用いて2つの重複ゾーンからの再構成された値を用いて結合される、CTスキャナ。
【請求項30】
少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイであって、該少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイの両方は、ある回転軸で、該軸に沿って移動する置かれた物体のスキャンの間に回転するよう支持され、各検出器のデータは、該検出器が受けたX線エネルギーの関数として生成される、前記少なくとも1つのX線源及び任意の形状のマルチ列検出器アレイと、
データプロセッサであって、
傾斜線データリサンプリングスキームであって、リサンプリングされた前記検出器アレイの表面上の投影ボクセルの真の軌跡がなめらかな曲線経路となる、前記傾斜線データリサンプリングスキームと、
選択されたキービューについてのみ投影位置を計算し、近接キービューの各対の間の少なくとも1つの中間ビューについて投影位置を補間することと
を提供するよう構成された前記データプロセッサと
を備えた、CTスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24A】
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【図24B】
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【公表番号】特表2012−531962(P2012−531962A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518516(P2012−518516)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/049138
【国際公開番号】WO2011/002442
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(591200896)アナロジック コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】