説明

D/A変換器およびこの変換器による磁気共鳴イメージング装置

【課題】高速で且つ安価な少ビットのD/A変換器を複数組み合わせ、高速作動する高分解能、高精度の多ビットD/A変換器を提供する。
【解決手段】Nビットのデジタルデータを、MSB側から(Na+Nc)ビットの第1チャンネルと、同じくLSB側から(Nc+Nb)ビットの第2チャンネルに出力配分するビットセレクタと、前記第1チャンネルに接続される第1D/A変換器と、前記第2チャンネルに接続される第2D/A変換器と、第1D/A変換器出力を増幅する増幅器と、この増幅器出力と前記第2D/A変換器出力とを加算する加算器と、増幅器出力から第2D/A変換器出力を減算する差分器と、前記差分器の出力に対応して前記第2D/A変換器のフルスケール出力値を変化するD/A変換補正手段と、前記加算器の加算結果を出力するアナログ変換手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、D/A(デジタル/アナログ)変換器に係わり、特に磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の磁場コイル駆動などに求められている高速で且つ高分解能、高精度のD/A変換器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)には、静磁場を発生する例えば静磁場磁石、或いは静磁場コイル、この静磁場に重畳される傾斜磁場を発生するための傾斜磁場コイル、更に高周波磁場を発生する高周波コイルと、これ等の磁場発生用コイルが所定の磁場強度となる印加電流とそのタイミングを制御するコイル駆動電源装置とが備えられている。さらに、これ等コイルの磁場の強度や経時安定性は、得られる画像の画質を左右するので、高精度の制御を行うためにデジタル値による制御が一般的に行われる(例えば、特許文献1を参照。)。特に傾斜磁場コイルの駆動においては、大電流を高精度、例えば0/00(パーミル)程度の精度で制御することが要求されるので、デジタル値による傾斜磁場信号が、高性能のD/A変換器によりアナログ値に変換されて、電流アンプを介して増幅された励磁電流がコイルに印加される。
【0003】
デジタルデータをアナログ値に変換するD/A変換器(変換回路)については、従来、16ビット以下の少ビットのD/A変換器では、低価格で比較的高速のものが、市場に提供されて一般的に普及している。一方、産業技術の進歩と共に、高精度のD/A変換器の必要性は高まり、上述のように、医用検査に使用される磁気共鳴イメージング装置の磁場コイルの駆動では、高分解能の画像を得るために、磁場を高精度で制御することが必要となり、更に高精度、高分解能の多ビットのD/A変換器を高安定に作動させることへの要求が高まっている。
【0004】
この様な高まる要求に対応し、高分解能とするため、回路構成において高速、或いは高分解能の素子を使用するによる従来技術の延長上で、多ビットで高精度のD/A変換器を実現することが試みられている。しかしこれ等には、素子性能の選択、或いは特性の調整などに高度な技術が必要であり、結果として非常に高価なものと成り、その用途は一般民生用としては、装置コストが高くなるので限界が有る。
【0005】
一方、入力ビット数を増加して高分解能化を図るD/A変換器を実現する技術として、上位のデータをアナログに変換するD/A変換機能と下位のデータをアナログに変換するD/A変換機能とを、安価な高速、高分解能の少ビットのD/A変換器M、Lにそれぞれ分担させ、変換結果を組み合わせてアナログ値の出力を実現しているもの(例えば、特許文献2、3を参照。)がある。しかし、これ等のD/A変換器においても、遅延回路やラッチ手段を作動させることにより、フルビットの変換の高速化には限界がある。
【0006】
また、D/A変換器には、基本的に、1/2LSBの精度しか保障していないため、組み合わせたそれぞれD/A変換器のこれ等ビット間誤差の累積により、量子化アナログ値の出力結果は、リニアリティが低下し所望の性能を達成できない問題点も有る。
【0007】
したがって、従来は、高速、高分解能のD/A変換器は、専門メーカーから、高度な技術が必要である単一のD/A変換チップにより、1個の部品として提供される非常に高価なD/A変換素子を使用せざるを得ず、これらを組み込んだ製品、装置は、コストが嵩み、高価な製品となることが避けられなかった。
【特許文献1】特開平5−3863号公報。
【特許文献2】特開平8−195677号公報。
【特許文献3】特開平4−68820号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、従来技術の延長で、高速、高分解能のD/A変換器を構成すると、分解能が高くなる程、コストの増加が著しく、ひいては装置自体がコスト高と成ることである。また、D/A変換器には、基本的に1/2LSBの精度しか保障されていないため、低コストの少ビットのD/A変換器を複数組み合わせると、性能特性のバラツキにより出力結果のリニアリティが低下し、所望の分解能及び精度を達成できない点である。
【0009】
本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、高速で且つ安価な少ビットの低分解能のD/A変換器を複数組み合わせ、これ等の性能特性のバラツキを抑え、高速作動する高分解能、高精度の多ビットD/A変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1のD/A変換器は、MSB側からLSB側へ、Naビット、Ncビット、Nbビットで構成するNビットのデジタルデータNが入力されて、MSB側から(Na+Nc)ビットで構成する第1チャンネルと、同じくMSB側から(Nc+Nb)ビットで構成する第2チャンネルとに出力配分設定するビットセレクタと、前記第1チャンネルに入力を接続する第1D/A変換器と、前記第2チャンネルに入力を接続する第2D/A変換器と、前記第1D/A変換器の出力を増幅率2Ncで増幅する増幅器と、前記増幅器の出力と前記第2D/A変換器の出力とを加算する加算器と、前記増幅器の出力から、前記第2D/A変換器の出力を減算する差分器と、ビットセレクタの前記第1チャンネルのNaビット及び前記第2チャンネルのNbビット全てを「0」とし、この2つのチャンネルのNcビット全てを「1」とする補正タイミングにおいて、前記差分器の出力に対応して前記第2D/A変換器のフルスケール出力値を変化するD/A変換補正手段と、前記第1チャンネルをデジタル入力データNの(Na+Nc)ビットとし、前記第2チャンネルのNcビット全てを「0」に、同チャンネルのNbビットを前記デジタルデータNのNbビットとする変換タイミングにおいて、前記加算器の加算結果を出力するアナログ変換手段とを具備してなり、前記D/A変換補正手段により前記フルスケール出力値を変化し、前記差分器の出力の絶対値が最小となるフルスケール出力値を維持した後、前記アナログ変換手段の出力結果を前記ビットセレクタに入力されたデジタルデータNのアナログ変換値とすることを特徴とするものを提供する。
【0011】
さらに、本発明の請求項2のD/A変換器は、請求項1の前記補正タイミングにおいて、前記D/A変換補正手段は、、前記差分器の正値出力に対しては前記第2D/A変換器のフルスケール出力値を増大し、負値出力に対しては減少する対応変化することを特徴とするものを提供する。
【0012】
さらに、本発明の請求項3のD/A変換器は、請求項1の前記補正タイミングにおいて、前記D/A変換補正手段は、前記差分器の正値出力に対しては前記増幅器の前記増幅率を減少し、前記差分器の負値出力に対しては前記増幅率を増大する対応変化することを特徴とするものを提供する。
【0013】
また、上記の目的を達成するために、本発明の請求項4の磁気共鳴イメージング装置は、傾斜磁場コイル電源部が駆動する傾斜磁場コイルによる傾斜磁場によって放射される被検体からの磁気共鳴信号に基づいて、この被検体に関する画像を再構成する磁気共鳴イメージング装置であって、前記傾斜磁場コイル電源部は、デジタルタイムシーケンスデータを発生する制御コンピュータ部により制御される傾斜磁場データ生成部と、前記デジタルタイムシーケンスデータを量子化アナログ値に変換する請求項1に記載のD/A変換器と、前記量子化アナログ値を前記傾斜磁場コイルの励磁電流とするレベルまで増幅する電流アンプとを具備したことを特徴とするものを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コストで、比較的高速の少ビット入力のD/A変換器により、安価で、且つ高速で、リニアリティ精度が高く、高分解能の多ビットD/A変換器を提供できる。また、高速、高精度の作動をする多ビットの高分解能のこのD/A変換器により磁場コイルを駆動する磁気共鳴イメージング装置は、装置のコストを抑えて、且つ高速、高分解能のMRI画像の撮像を行うことができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
図4は本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の構成を示す図である。この図4に示すMRI装置は、静磁場磁石51、傾斜磁場コイル52、傾斜磁場コイル駆動電源部53、寝台54、寝台制御部55、RFコイルユニット56a,56b,56c、送信部57、選択回路58、受信部59および制御コンピュータ部61、さらに、この制御コンピュータ部61に接続した記憶部62、入力部64、表示部63を具備する。また、傾斜磁場コイル駆動電源部53は、制御コンピュータ部61からの指示により傾斜磁場コイル52の駆動に関するデジタル情報を発生する傾斜磁場データ生成部53c、このデジタル情報をアナログ値に変換するD/A変換器53b、このアナログ値を傾斜磁場コイル52の励磁電流に変換する電流アンプ53aを具備する。
【0017】
静磁場磁石51は、中空の円筒形をなし、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石51としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0018】
傾斜磁場コイル52は、中空の円筒形をなし、静磁場磁石51の内側に配置される。傾斜磁場コイル52は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3種のコイルが組み合わされている。傾斜磁場コイル52は、上記の3種のコイルが傾斜磁場コイル駆動電源部53からそれぞれ個別に電流供給を受けて、磁場強度がX,Y,Zの各軸に沿って傾斜する傾斜磁場を発生する。なお、Z軸方向は、例えば静磁場と同方向とする。X,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮影断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0019】
被検体60は、寝台54の天板54aに載置された状態で傾斜磁場コイル52の空洞(撮影口)内に挿入される。寝台54は、寝台制御部55により駆動され、天板54aをその長手方向(図4における左右方向)および上下方向に移動する。通常、この長手方向が静磁場磁石51の中心軸と平行になるように寝台54が設置される。
【0020】
RFコイルユニット56aは、1つまたは複数のコイルを円筒状のケースに収容して構成される。RFコイルユニット56aは、傾斜磁場コイル52の内側に配置される。RFコイルユニット56aは、送信部57から高周波パルス(RFパルス)の供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0021】
RFコイルユニット56b,56cは、天板54a上に載置されたり、天板54aに内蔵されたり、あるいは被検体60に装着される。そして撮影時には、被検体60とともに傾斜磁場コイル52の空洞内に挿入される。RFコイルユニット56b,56cは、それぞれ複数の要素コイルを備えるアレイコイルが利用され、被検体60から放射される磁気共鳴信号を受信する。要素コイルのそれぞれの出力信号は、個別に選択回路58に入力される。
【0022】
送信部57は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部および高周波電力増幅部を有している。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばシンク関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。そしてこの結果として送信部57は、ラーモア周波数に対応するRFパルスをRFコイルユニット56aに供給する。
【0023】
選択回路58は、RFコイルユニット56b,56cから出力される多数の磁気共鳴信号からいくつかを選択する。そして選択回路58は、選択した磁気共鳴信号を受信部59へ与える。どのチャネルを選択するかは、制御コンピュータ部61から指示される。
【0024】
受信部59は、前段増幅器、位相検波器およびアナログデジタル変換器を有する処理系を複数チャネル備えている。これら複数チャネルの処理系へは、選択回路58が選択する磁気共鳴信号がそれぞれ入力される。前段増幅器は、磁気共鳴信号を増幅する。位相検波器は、前置増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。アナログデジタル変換器は、位相検波器から出力される信号をデジタル信号に変換する。受信部59は、各処理系により得られるデジタル信号をそれぞれ出力する。
【0025】
制御コンピュータ部61は、図示していないCPUやメモリ等を有しており、本実施形態のMRI装置を総括的に制御し、インタフェース部、データ収集部、再構成部および制御部の各機能部を有して構成されている。インタフェース部は、傾斜磁場コイル駆動電源部53、寝台制御部55、送信部57、受信部59および選択回路58等の接続される各部間で授受される信号の入出力を行う。データ収集部は、受信部59から出力されるデジタル信号を収集し、この収集結果、すなわち磁気共鳴信号データを、記憶部62に格納する。再構成部は、記憶部62に記憶された磁気共鳴信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成を実行し、被検体60内の所望の核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを得ることができる。
【0026】
記憶部62は、磁気共鳴信号データと、スペクトラムデータあるいは画像データとを、患者毎に記憶する。
【0027】
表示部63は、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を制御コンピュータ部61の制御部の制御下で表示する。表示部63としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0028】
入力部64は、オペレータからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部64は、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切り替えスイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0029】
以上が本実施形態に係るMRI装置の全体的な構成である。本実施形態における特徴は、傾斜磁場コイル52の駆動に関する多ビットのデジタル情報を、高精度の画質で、且つ高速にMRIデータを取得する励磁電流に関するアナログ値に変換する傾斜磁場コイル駆動電源部53のD/A変換器機能回路10aにある。
【0030】
(第1の実施形態)
以下に、傾斜磁場コイル駆動電源部53を構成する高精度、高速のD/A変換器回路について詳細に説明する。
【0031】
図1(a)は、2つの少ビットD/A変換器により、多ビットのD/A変換を行う本願実施形態のD/A変換器の機能ブロック構成図であり、同図(b)は、本実施形態を医用MRI装置の傾斜磁場コイルの駆動信号に使用した場合における、本実施形態のD/A変換器の補正タイミングとD/A変換作動タイミングの関係を例示したタイムチャートである。図2は、本実施形態において、変換デジタル入力の各ビットと、本実施形態を構成する2つの少ビットのD/A変換器、例えば、これ等を16ビット入力とした場合について、この2つのD/A変換器それぞれのデジタル入力の各ビットとの関係を示す模式図。図3(a)は、本実施形態を構成するビットセレクタ、及び差分器と加算器の接続の詳細を示し、同図(a)には補正タイミングにおける接続状況を、同図(b)には変換作動タイミングにおける接続状況をそれぞれ示す。
【0032】
本実施形態の構成の詳細に付いて、図1(a)に示すブロック図により説明する。本実施形態の多ビットのD/A変換器10が変換処理するNビットのデジタル入力のデータNは、MSBからLSBへ、NaビットのデータNa、NcビットのデータNc、NbビットのデータNbの3セグメントから成るデータで構成されるものとする。
【0033】
本実施形態の構成を示す図1(a)において、第1D/A変換器11及び第2D/A変換器12などにより構成される本実施形態の多ビットのD/A変換器10へ入力されるN(N=Na+Nc+Nb)ビットのデジタル入力のデータNは、D/A変換器10の入力端に備えられて、Nビット端子を有し、Nより少ないビット端子の第1チャンネル及び第2チャンネルの2組のデジタルデータチャンネルに分配出力するビットセレクタ15に入力する。第1チャンネルには、入力NビットのMSB側の(Na+Nc)ビットのデータが、第2チャンネルには、入力NビットのLSB側の(Nb+Nc)ビットのデータが、それぞれ出力されるように分配する。
【0034】
さらに、この第1チャンネルの各ビット端子は第1D/A変換器11の入力端子にMSB順を合せて接続し、第2チャンネルの各ビット端子は第2D/A変換器12の入力のLSB順を合せて接続する。
【0035】
第1チャンネルのデータが入力された第1D/A変換器11のアナログ出力が、増幅器13に入力されて、この増幅器13は増幅率2Ncで増幅を行って出力する。
【0036】
第2チャンネルのデータが入力された第2D/A変換器12は、その量子化アナログ値をする。
【0037】
増幅器13の出力と第2D/A変換器12の出力を加算器14に入力し、その加算結果を本願実施形態の多ビットのD/A変換器10の量子化アナログ変換値として、前記ビットセレクタ15の変換値タイミングの設定期間に出力する。
【0038】
増幅器13の出力に対し、第2D/A変換器12の出力を減算する差分器16にそれぞれ出力が入力され、その減算結果を少ビットの2つのD/A変換器11、12の量子化アナログ変換値の補正データとして、差分器16は前記ビットセレクタ15の補正タイミングの設定期間に出力する。
【0039】
差分器16の出力は、この出力のラッチ機能回路を含むゲインコントローラ17に入力する。このゲインコントローラ17は、その入力に対し、第2D/A変換器12のフルスケール出力値V2fulを変化する制御回路で、例えば、上述の第2D/A変換器12の出力を減算する接続の場合、差分器16の出力が正値の場合には、これをラッチしてフルスケール出力値V2fulを小さく減少し、負値の場合にはてフルスケール出力値V2fulを大きく増大するように、第2D/A変換器12の出力量子化アナログ値を変化させる構成が成される。ゲインコントローラ17のラッチ機能回路は、補正タイミングの設定期間の終了で、その時点の差分器16の出力値をラッチ、維持する。
【0040】
次に、上記の構成による本実施形態の多ビットのD/A変換器10の作用及び作動について説明する。なお、説明において、実施形態の具体的な数値例として、16ビットD/A変換器2個を用いて20ビットのD/A変換器を構成する例をあげる。この例では、上記で一般的な数値とした各数値は、図2の変換器21と変換器22aとの対を組とし、共通するNcビットはビット23とビット22aで、N=20、Na=Nb=4、Nc=12、(Na+Nc)=(Nc+Nb)=16である。
【0041】
なお、図2には、例えば、全24ビットとする変換器22b、或いは全31ビットとする変換器22i例示している。共通とするNcビットは、それぞれビット24a、或いはビット25aが対応する。
【0042】
本実施形態の多ビットのD/A変換器10は、図1(b)に示す補正設定フラグ101a、101b、・・・と、DA変換設定フラグ102a、102b、・・・とにより制御される補正モードと変換モードの2つの作動モードを組み合わせてD/A変換が行われる。
【0043】
補正フラグ101a、101b・・・が立つ補正モードでは、ビットセレクタ15は、図3(a)に接続状況を模式的に示すように、Nビットの入力デジタルデータNの中間部ビットである入力デジタルデータNcを、そのNcビットの全てを「1」とし、第1D/A変換器11のLSB側から順次、MSB方向へ対応ビット数まで配分し、一方第2D/A変換器12のMSB側から降順に、LSB方向へ対応するビット数まで降順に配分する。更に、この補正モードでは、第1D/A変換器11のMSBのNaビットに対応する各ビット入力と、第2D/A変換器12のLSBのNbビットに対応する各ビット入力とは、それぞれ「0」を入力するように設定される。
【0044】
一方、DA変換設定フラグ102a、102b、・・・が立つ変換モードでは、ビットセレクタ15は、図3(b)に接続状況を同じく模式的に示すように、Nビットからなる入力デジタルデータNのMSB側の(Na+Nc)ビットである入力デジタルデータ(Na+Nc)を、第1D/A変換器11のMSB側から順次、LSB方向へ対応ビット数まで配分する。一方第2D/A変換器12のMSB側からビット降順に、対応するLSB方向へNcビットまで、入力デジタルデータNのデータNcとの接続を断って、それぞれ「0」を入力するように設定する。入力デジタルデータNのLSB側のデータNbは、第2D/A変換器12のLSBのNbビットに対応する各ビット入力に入力するように設定する。
【0045】
すなわち、本実施形態のD/A変換器10は、図1(b)のタイムチャートに図示するように、補正タイミング105とD/A変換タイミング106の2つの作動モードが、交互に操作、作動するように、ビットセレクタ15が制御される。
【0046】
補正タイミング105の動作モードでは、補正クロック信号103a−1〜103a−nが、上述のようにビットセレクタ15を補正モードに設定し、入力デジタルデータNの2つのD/A変換器11、12へ共通に入力されるNc部分のビットデータを全て「1」に、他を「0」にしたデータを入力する。したがって、この補正タイミングでは、2つのD/A変換器11、12へ、それぞれ同値のデジタルデータを入力することになり、これ等の出力の差分結果、すなわち差分器16の出力107は、2つのD/A変換器間の出力誤差となる。
【0047】
この差分器16の出力(電圧)値に対応した制御信号値は、図3(a)に示すラッチ回路17aが補正タイミングの期間で解放され、変換タイミングの期間ではラッチが作動し入力デジタルデータNに同期して保持されて、ゲインコントローラ17bに入力される。このゲインコントローラ17bは、例えば第2D/A変換器出力が減算端子に入力される差分器16で、上述の構成で説明したように、フルスケール出力値V2fulを変化する制御により、正値のラッチ回路17a出力に対し、第2D/A変換器12の出力量子化アナログ値を大きくするように変化させ、負値に対しては小さくするように変化させる。この変化は、補正タイミングの次のクロックで差分器16の誤差分出力107a、107bが減少されて、補正タイミングの期間内のクロックで順次、2つのD/A変換器11、12間の誤差が補正され、出力値の差が小さくなる。例えば、補正タイミングの期間をミリ秒程度に設定すれば、H/A変換器11、12応答速度を2マイクロ秒程度、ゲインコントローラ部17の応答も含めて5マイクロ秒程度で1クロックを完了することができるので、充分収斂することになる。
【0048】
なお、2つの2つのD/A変換器11、12間の誤差を補正するには、上述の第2D/A変換器12の出力を補正調整することに替えて、第2D/A変換器12を安定化電源により駆動し、第1D/A変換器11の出力に接続する増幅器13の増幅率2Ncを、正値のラッチ回路17a出力に対しては僅かに下げて、負値には僅かに上げる制御を行っても、上述と同様の補正の結果を得ることができる。この第1D/A変換器11の増幅率調整では、第1D/A変換器出力が第2D/A変換器に対して補正されて、2つのD/A変換器11、12間の誤差を同様に補正することができる。
【0049】
補正タイミング105の期間終了の時点で、ラッチ回路17aからの制御信号値が維持(ラッチ)されて、その後はD/A変換器11、12間の誤差補正が維持され、次ぎのD/A変換タイミング106へと時間の経過をして、変換モードとなる。
【0050】
変換モードでは、DA変換設定フラグ102a、102b、・・・が立ち、ビットセレクタ15は、図3(b)に示すように接続、設定する。すなわち、上述したように、入力デジタルデータNのMSB側の(Na+Nc)ビットのデータ(Na+Nc)が、第1D/A変換器11のMSB側から降順でそれぞれ対応する各ビットに、第2D/A変換器12のMSB側のNcビットの各入力は、データNの入力を停止し、「0」が、LSB側のNbビットには、データNのLSB側の対応するデータNbが、それぞれ接続される設定をする。
【0051】
D/A変換タイミングの期間内のクロックで、入力デジタルデータNが、D/A変換器10に順次入力されると、変換の補正が設定される第2D/A変換器12は入力されたデータNbの量子化アナログ変換値を出力し、第1D/A変換器11は入力されたデータ(Na+Nc)の量子化アナログ変換値を出力し、更にこの変換値を増幅器13が、第2D/A変換器12の最大変換値の2Nbに相当する増幅率で増幅して出力する。2つのD/A変換器11、12の出力が加算器14で加算されて、入力デジタルデータNの変換された量子化アナログ値として出力108される。変換タイミングにおける所定のクロックの終了、タイミング期間の終了、或いは変換すべき入力デジタルデータNの一連データ列の終了により、変換モードを終了する。
【0052】
更に、引き続くD/A変換を行うために、再度の補正モードを繰返すか、或いは、先行した補正モードにおけるゲインコントローラ17bのラッチデータを維持して、D/A変換を継続するか、の何れかが変換のシーケンスの設計において設定されて、続く変換が実施される。図1(b)の例示では、再度の補正モードを行うタイムシーケンスを示している。
【0053】
駆動電源の安定性も含めた2つの少ビットで高速のD/A変換器11、12のそれぞれの出力特性が長時間に亘り安定している場合には、補正モードを実施する補正タイミングの設定頻度を、上述の変換と交互に行う場合より少なくしても良いことは言うまでもない。例えば、D/A変換器10の通電起動の直後にのみ補正モードをシーケンスで実施、或いは、差分器16の出力を表示して、フルスケール出力値V2fulをマニュアルで変更する、または、D/A変換器10の製造組立において、図3(a)の差分器16、ラッチ回路17a、及びゲインコントローラ17bと同様に構成した補正治具回路を一時的に接続して、フルスケール出力値V2fulを製品出荷時の調整・設定とするように実施しても良い。
【0054】
また、2つのD/A変換器11、12間の補正を、差分器16の出力の正負により増幅器13の増幅率を減増する調整を行い、差分器16の出力がゼロとなる増幅率に設定する第1D/A変換器12の出力を補正する補正タイミングによっても、同様の補正性能を得ることができる。
【0055】
本実施形態によれば、多ビットのD/A変換器を、高速作動する複数の少ビットD/A変換器を組み合わせて構成し、これ等の少ビットD/A変換器の特性バラツキを、共通に入力されるデジタルデータにより、一方の少ビットD/A変換器の出力を補正するので、直線性が優れた高精度の安価で高速作動する高分解能のD/A変換器を提供することができる。
【0056】
(第2の実施形態)
医用検査に使用される磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場コイルを、本実施形態のD/A変換器により駆動することは、好適と成る。例えば、図1(b)に図示したように、D/A変換タイミング106において傾斜磁場コイルのデジタルによる駆動信号が入力されてD/A変換結果108a−1、108a−j、108b、がコイルを駆動し、MR画像データを収集する。一方、このMR画像データ収集の期間、例えば1分乃至数分の直前に、補正タイミングを数ミリ秒の期間で設け、ビットNcにデータを入力する補正のビットセレクタの接続により、本実施形態のD/A変換器の複数の少ビットD/A変換器間の補正(差分器出力107a、107b)を行う。この補正タイミングと変換タイミングのタイムシーケンスを、磁気共鳴イメージング装置の制御コンピュータ(CPU)部に制御手順として予め設定して、所望の検査パターンを実施する。
【0057】
図5は、本願発明の第2の実施形態に係る図4に示す磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の傾斜磁場コイル駆動電源部53について、その構成を示す回路ブロック図である。本実施形態である磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場コイル駆動電源部53のD/A変換器回路部分は、前述の第1の実施形態に係る図1(a)に示したD/A変換器10により構成される。図1(a)のD/A変換器10は、図4若しくは図5には、ビットセレクタ15と主たる構成の2つのD/A変換器11,12からなる上下位ビット分割D/A変換回路10aとして示す。
【0058】
本実施形態のMRI装置に実装される傾斜磁場コイル駆動電源部53においては、図4に示すように、制御コンピュータ部61からX,Y,Zの各軸に対応して形成する傾斜磁場の情報が、先ず、傾斜磁場データ生成部53dに入力される。この傾斜磁場データ生成部53dでは、入力された情報に基づいて、X,Y,Zの各軸に沿って傾斜する磁場のデジタルデータの磁場タイムシーケンスデータと、上下位ビット分割D/A変換回路10aが補正タイミング或いは変換タイミングのフラグ信号が、制御コンピュータ部61から出力される指示信号により生成され、そのデジタルデータ或いはデジタル信号それぞれがビットセレクタ15へ入力される。図5には、例えば、ビットセレクタ15へ入力するデータは20ビットであり、これを上位側、下位側に端部の2ビットを重複してそれぞれ12ビットを第1、第2のD/A変換器11,12へ入力し、アナログ値へ変換する場合について、デジタル線(ビット)数及びアナログ線を示す。
【0059】
ビットセレクタ15では、傾斜磁場データ生成部53dが出力する補正タイミング或いは変換タイミングのフラグ信号により、後段の第1、第2のD/A変換器11,12へ入力するビットデータを切り替える。補正タイミングの切り替えでは、補正用データすなわち重複するビット(図5の例示では2ビット)を「1」に、他のビットを「0」とする設定に切り替える。変換タイミングでは、変換データすなわち図5の例示の20ビット入力では、MSB側12ビットを第1D/A変換器11の入力に、LSB側の重複ビット(2ビット)を除く10ビットを第2D/A変換器12の入力に、それぞれ傾斜磁場データ生成部53dから出力される傾斜磁場データ値(デジタル信号20ビット)を設定する接続切り替える。
【0060】
補正タイミングにおいては、上下位ビット分割D/A変換器10aの2つのD/A変換器11,12それぞれには、第1D/A変換器の出力の増幅も含めれば、同値のデジタルデータが入力されることになるので、この2つの変換結果を差分する差分器16の出力は、その時点のこれ等D/A変換器の設置設定条件における変換誤差を示すことになる。
【0061】
補正タイミング期間の各クロックにおいて、この変換誤差値をラッチ回路/ゲインコントローラ17のラッチ回路によりラッチホールドする。そして、フルスケール出力値V2fulを変化する同じくラッチ回路/ゲインコントローラ17のゲインコントローラが、例えば第2D/A変換器出力が引き算端子に入力される図5の接続では、ラッチ回路出力の正値の変換誤差値に対し、第2D/A変換器12の出力量子化アナログ値を大きくするように変化させ、負値に対しては小さくするように変化させる。ラッチ回路の時定数をクロック周期に調整し、補正タイミングの期間内のクロックで順次、2つのD/A変換器11、12間の誤差が補正され、差分器16の出力値が小さくなり、補正タイミング中に収斂する。
【0062】
変換タイミングでは、補正タイミングにより出力補正が成された2つのD/A変換器11、12に、ビットセレクタ15により、重複する中央のビットを一方のD/A変換器には接続しない入力ビットの設定、すなわち、例えば図5に図示するように、入力データのMSB側16ビットを第1D/A変換器11にフルビット入力とし、残りLSB側4ビットを第2D/A変換器12に入力し、MSB側8ビットには「0」を入力する設定をおこなう。このように入力ビットの対応が設定された上下位ビット分割D/A変換回路10aの加算器14の出力、すなわち上下位ビット分割D/A変換回路10aの出力には、ビットセレクタ15に接続した傾斜磁場データ生成部53dからの傾斜磁場の励磁電流の関係するデジタルの傾斜磁場データのアナログ変換結果が、例えば、図1(b)に示すD/A変換結果アナログ値108a−1、・・・108a−j、108bのように出力される。
【0063】
上下位ビット分割D/A変換回路10aの変換結果は、電流アンプ53aに入力されて、傾斜磁場コイル52の励磁電流に対応する電流値レベルまで増幅され、各軸のコイル(図4には纏めて傾斜磁場コイル52として図示)に供給される。
【0064】
このMR画像データ収集の期間、例えば1分乃至数分の直前に、補正タイミングを数ミリ秒の期間で設け、重複するビットNcにデータを入力する補正のビットセレクタの接続により、本実施形態のD/A変換器の複数の少ビットD/A変換器間の補正(差分器出力107a、107b)を行う。この補正の処理は、MR画像データの収集の時間に比べて短時間で行えるので、MRI検査に何ら支障を及ぼすこと無く、高分解能並びに高精度の画像データを得ることができる
なお、上述では補正タイミングにおける第2D/H変換器のフルスケール出力値V2fulを調整する上下位ビット分割D/A変換回路10aの2つのD/A変換器11、12間の補正を示したが、差分器16の出力の正負により増幅器13の増幅率を減増する調整を行い、差分器16の出力がゼロとなる増幅率に設定する第1D/A変換器12の出力を補正する補正タイミングによっても、同様の補正性能を得ることができる。
【0065】
本実施形態によれば、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の傾斜磁場コイルの駆動電源に、高速で作動する少ビット入力のD/A変換器複数による分割並列変換するD/A変換器を備える。この分割並列変換するD/A変換器は、予め補正タイミングにおいて、これ等複数のD/A変換器相互の出力補正を行った後、この補正設定を維持した変換タイミングにおいて、傾斜磁場コイル励磁電流に関するデジタルデータを、これ等複数のD/A変換器がMSB側、LSB側に分割・並列変換して高速で、高精度、高分解能のアナログ値を出力するD/A変換器を具備するので、形成される傾斜磁場の精度、品質が向上し、画質を向上させた高精度、高分解能のMR画像を高速に得ることができる磁気共鳴イメージング装置を提供できる。
【0066】
また、この補正の処理は、MR画像データの収集の時間に比べて短時間で行えるので、MRI検査に何ら支障を及ぼすこと無く、高分解能並びに高精度の画像データを得ることができる傾斜磁場コイルの駆動電源を提供できる。
【0067】
また、構成する少ビットD/A変換器は、高速処理を行うものが安価に入手できるので、コストを抑えた磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本願実施形態のD/A変換器の機能ブロック構成図、及びその補正タイミングとD/A変換作動タイミングの関係を例示したタイムチャート。
【図2】本実施形態を構成する2つのD/A変換器のデジタル入力各ビットと、デジタル入力各ビットとの関係の模式図。
【図3】本実施形態の補正タイミング及び変換作動タイミングのビットセレクタ、及び差分器と加算器の接続状況を示す図。
【図4】第2の実施形態の磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の構成図。
【図5】第2の実施形態の磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の傾斜磁場コイル駆動電源部53について、その構成を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
【0069】
10・・・多ビットのD/A変換器、
10a・・・上下位ビット分割D/A変換回路、
11・・・第1D/A変換器、
12・・・第2D/A変換器、
13・・・増幅器、
14・・・加算器、
15・・・ビットセレクタ、
16・・・差分器、
17・・・コントローラ、
17a・・・ラッチ回路、
17b・・・ゲインコントローラ、
21、22a、22b、22i・・・変換器、
23、23a、24a、25a・・・Ncビットに対応するビット、
51・・・静磁場磁石、
52・・・傾斜磁場コイル、
53・・・傾斜磁場コイル駆動電源部、
53a・・・電流アンプ、
53d・・・傾斜磁場データ生成
54・・・寝台、
54a・・・天板、
55・・・寝台制御部、
56a、56b、56c・・・RFコイルユニット、
57・・・送信部、
58・・・選択回路、
59・・・受信部、
60・・・被検体、
61・・・制御コンピュータ部、
62・・・記憶部、
63・・・表示部、
64・・・入力部、
101a、101b・・・補正設定フラグ1、
102a、102b・・・DA変換設定フラグ、
103a−1〜103a−n、103b−1〜・・・補正クロック信号、
104a−1〜104a−m、104b−1〜・・・D/A変換クロック信号、
105・・・補正参照データ値、
106・・・変換データ値、
107・・・補正(差分器)出力、
108a、108b、108n・・・D/A変換結果出力。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MSB側からLSB側へ、Naビット、Ncビット、Nbビットで構成するNビットのデジタルデータNが入力されて、MSB側から(Na+Nc)ビットで構成する第1チャンネルと、同じくMSB側から(Nc+Nb)ビットで構成する第2チャンネルとに出力配分設定するビットセレクタと、
前記第1チャンネルに入力を接続する第1D/A変換器と、
前記第2チャンネルに入力を接続する第2D/A変換器と、
前記第1D/A変換器の出力を増幅率2Ncで増幅する増幅器と、
前記増幅器の出力と前記第2D/A変換器の出力とを加算する加算器と、
前記増幅器の出力から、前記第2D/A変換器の出力を減算する差分器と、
ビットセレクタの前記第1チャンネルのNaビット及び前記第2チャンネルのNbビット全てを「0」とし、この2つのチャンネルのNcビット全てを「1」とする補正タイミングにおいて、前記差分器の出力に対応して前記第2D/A変換器のフルスケール出力値を変化するD/A変換補正手段と、
前記第1チャンネルをデジタル入力データNの(Na+Nc)ビットとし、前記第2チャンネルのNcビット全てを「0」に、同チャンネルのNbビットを前記デジタルデータNのNbビットとする変換タイミングにおいて、前記加算器の加算結果を出力するアナログ変換手段と、
を具備してなり、前記D/A変換補正手段により前記フルスケール出力値を変化し、前記差分器の出力の絶対値が最小となるフルスケール出力値を維持した後、前記アナログ変換手段の出力結果を前記ビットセレクタに入力されたデジタルデータNのアナログ変換値とすることを特徴とするD/A変換器。
【請求項2】
前記補正タイミングにおいて、前記D/A変換補正手段は、前記差分器の正値出力に対しては前記第2D/A変換器のフルスケール出力値を増大し、負値出力に対しては減少する対応変化することを特徴とする請求項1記載のD/A変換器。
【請求項3】
前記補正タイミングにおいて、前記D/A変換補正手段は、前記差分器の正値出力に対しては前記増幅器の前記増幅率を減少し、前記差分器の負値出力に対しては前記増幅率を増大する対応変化することを特徴とする請求項1記載のD/A変換器。
【請求項4】
傾斜磁場コイル電源部が駆動する傾斜磁場コイルによる傾斜磁場によって放射される被検体からの磁気共鳴信号に基づいて、この被検体に関する画像を再構成する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記傾斜磁場コイル電源部は、
デジタルタイムシーケンスデータを発生する制御コンピュータ部により制御される傾斜磁場データ生成部と、
前記デジタルタイムシーケンスデータを量子化アナログ値に変換する請求項1に記載のD/A変換器と、
前記量子化アナログ値を前記傾斜磁場コイルの励磁電流とするレベルまで増幅する電流アンプと、
を具備したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−153928(P2008−153928A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339719(P2006−339719)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】