説明

DPPIV阻害剤および心臓血管化合物の組み合わせ

【課題】有効な組み合わせ剤を提供すること。
【解決手段】高血圧、鬱血性心不全、左心室肥大、末梢性動脈疾患、糖尿病、特に2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、X症候群、月経前症候群、冠状動脈性心臓病、狭心症、血栓症、動脈硬化症、心筋梗塞、一過性虚血性発作、卒中、血管再狭窄、高血糖症、高インシュリン血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、インシュリン抵抗性、障害されたグルコース代謝、障害されたグルコース抵抗性の状態、障害された空腹時血漿グルコースの状態、肥満、勃起障害、皮膚および結合組織疾患、足潰瘍形成および潰瘍性大腸炎、内皮細胞機能障害および障害された血管コンプライアンスから選択される疾患および疾病の予防、進行の遅延または処置に有効なDPP IV阻害剤と心臓血管化合物を含む組み合わせの提供により課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩および心臓血管化合物(スタチンとは異なる)またはその薬学的に許容される塩を含む、組み合わせ製剤または医薬組成物の各々のような、組み合わせ(または組み合わせ剤)に関する。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、DPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩および少なくとも一つの心臓血管化合物、すなわち
(i)AT−レセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iv)ベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(v)アルファアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)カルシウムチャネルブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vii)アルドステロン合成酵素阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(viii)アルドステロンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ix)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(x)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(xi)エンドセリンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(xii)利尿剤またはその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される治療剤を含む、組み合わせ製剤または医薬組成物の各々のような組み合わせに関する。
【0003】
“少なくとも一つの治療剤”なる用語は、式(I)の化合物に加え、1個以上、例えば、2個、さらに3個の本発明により規定された活性成分を組み合わせることができることを意味する。
【0004】
本明細書で使用する“DPP−IV”なる用語は、CD26としても既知のジペプチジルペプチダーゼIVを意味する。DPP−IVは、セリンプロテアーゼが後−プロリン/アラニンを開裂するアミノジペプチダーゼとしてこの群に属しているが、特に二つのN−末端アミノ酸をプロリンまたはアラニンを2位に含むタンパク質から除去する。DPP−IVはグルコース代謝の制御に使用できる。なぜなら、その基質がペプチド−1(GLP−1)および胃阻害性ペプチド(GIP)のようなインシュリン作用性(insulino)ホルモングルカゴンを含むからである。GLP−1およびGIPは、その無傷の形でのみ活性である;それらの二つのN−末端アミノ酸の除去はそれらを不活性化する。
【0005】
DPP−IVの合成阻害剤のインビボ投与は、GLP−1およびGIPのN−末端分解を抑制し、これらのホルモンの血漿内濃度の増加、インシュリン分泌の増加およびしたがって改善されたグルコース耐性をもたらす。
【0006】
“DPP−IV阻害剤”は、DPP−IVおよび機能的に関連する酵素の酵素活性を、1−100%阻害のように阻害し、特に、GLP−1、GIP、ペプチドヒスチジンメチオニン、サブスタンスP、ニューロペプチドYおよび、典型的にアラニンまたはプロリン残基を第2アミノ末端位に含む他の分子を含むがこれらに限定されない、基質分子の活性を防止する分子を示すことを意図する。DPP−IV阻害剤での処置は、ペプチド基質の作用の期間を延長させ、その無傷の、非分解形の濃度を上昇させ、記載の発明と同等な生物活性のスペクトルを導く。
【0007】
この目的のために、化学化合物を、精製CD26/DPP−IVの酵素活性を阻害する能力に関して試験する。簡単に、CD26/DPP−IVの活性を、インビトロで、合成基質Gly−Pro−p−ニトロアニリド(Gly−Pro−pNA)を開裂する能力により測定する。Gly−Pro−pNAのDPP−IVによる開裂は、生成物p−ニトロアニリド(pNA)を遊離し、その生成速度が酵素活性の直接の比率である。特異的酵素阻害剤による酵素活性の阻害は、pNAの生成を遅くする。阻害剤と酵素の間のより強い相互作用が、より遅いpNAの生成速度をもたらす。したがって、pNAの蓄積の速度の阻害の程度が、酵素阻害の強度の直接指標である。pNAの蓄積は分光光度法で測定する。各化合物に関する阻害定数Kiを、固定した量の酵素と数個の異なる濃度の阻害剤および基質をインキュベーションすることにより決定する。
【0008】
本明細書において、“DPP−IV阻害剤”はまた、DPP−IV阻害剤の活性代謝物およびプロドラッグのようなその活性代謝物およびプロドラッグを含む。活性“代謝物”は、DPP−IV阻害剤が代謝された時に産生されるDPP−IV阻害剤の活性誘導体である。“プロドラッグ”は、DPP−IV阻害剤に代謝されるか、またはDPP−IV阻害剤と同じ代謝物に代謝される化合物のいずれかである。
【0009】
DPP−IV阻害剤は当分野で既知である。例えば、DPP−IV阻害剤いずれの場合も例えばWO98/19998、DE19616 486A1、WO00/34241、WO95/15309、WO01/72290、WO01/52825、WO9310127、WO9925719、WO9938501、WO9946272、WO9967278およびWO9967279に一般的におよび具体的に記載されている。いずれの場合も特に、化合物の請求項および作業実施例の最終生成物、最終生成物の対象、医薬製剤および請求の範囲を、これらの公報を引用して本明細書に包含させる。
【0010】
公開されている特許出願WO9819998は、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、特に1−[2−[5−シアノピリジン−2−イル]アミノ]−エチルアミノ]アセチル−2−シアノ−(S)−ピロリジン(NVP−DPP728)を記載する。
【0011】
DE19616 486A1はval−pyr、val−チアゾリジド、イソロイシル−チアゾリジド、イソロイシル−ピロリジドおよびイソロイシル−チアゾリジドのフマル酸塩およびイソロイシル−ピロリジドを記載する。
【0012】
公開されている特許出願WO0034241および公開されている特許US6110949はN−置換アダマンチル−アミノ−アセチル−2−シアノピロリジンおよびW(置換グリシル)−4−シアノピロリジンを各々記載する。目的のDPP−IV阻害剤は、特に請求項1から4に記載されている。
【0013】
公開されている特許出願WO9515309はアミノ酸2−シアノピロリジンアミドをDPP−IVの阻害剤として記載している。公開されている特許出願WO9529691は、アルファ−アミノアルキルホスホン酸のジエステルとの、特にプロリンまたは関連構造とのペプチジル誘導体を記載する。目的のDPP−IV阻害剤は特に表1から8に記載されているものである。
【0014】
WO01/72290において、目的のDPP−IV阻害剤は特に実施例1および請求項1、4および6に記載されているものである。
【0015】
WO01/52825は、(S)−1−{2−[5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル−アミノアセチル)−2−シアノ−ピロリジンまたは(S)−1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジンを具体的に記載する。
【0016】
公開されている特許出願WO9310127は、DPP−IV阻害剤として有用なプロリンボロン酸エステルを記載する。目的のDPP−IV阻害剤は、特に実施例1から19に記載されているものである。
【0017】
公開されている特許出願WO9925719は、ストレプトマイセス微生物の培養により生成されるDPP−IV阻害剤であるスルフォスチンを記載する。
【0018】
公開されている特許出願WO9938501は、N−置換4−8員複素環式環を記載する。目的のDPP−IV阻害剤は、特に請求項15から20に記載のものである。
【0019】
公開されている特許出願WO9946272は、DPP−IVの阻害剤としてのリン酸化合物を記載する。目的のDPP−IV阻害剤は特に請求項1から23に記載のものである。
【0020】
公開されている特許出願WO9967278およびWO9967279は、A−B−Cの形であり、Cが安定なまたは不安定なDPP−IVの阻害剤であるDPP−IVプロドラッグおよび阻害剤を記載する。
【0021】
引用して本明細書に包含させる上記の特許明細書に記載の任意の物質を、本発明の実施において使用するDPP−IV阻害剤として有用である可能性があるとみなす。
【0022】
好ましいDPP−IV阻害剤は、N−置換アダマンチル−アミノ−アセチル−2−シアノピロリジン、N(置換グリシル)−4−シアノピロリジン、N−(N’−置換グリシル)−2−シアノピロリジン、N−アミノアシルチアゾリジン、N−アミノアシルピロリジン、L−アロ−イソロイシルチアゾリジン、L−スレオ−イソロイシルピロリジンおよびL−アロ−イソロイシルピロリジン、1−[2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチルアミノ]アセチル−2−シアノ−(S)−ピロリジンおよびそれらの薬学的塩である。
【0023】
特に好ましいのは、式
【化1】

の1−{2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチルアミノ}アセチル−2(S)−シアノ−ピロリジンジヒドロクロライド、特にそのジヒドロクロライド、および、式
【化2】

の1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−(S)−ピロリジン、L−スレオ−イソロイシルチアゾリジン(Probiodrugの化合物コード:P32/98)およびそれらの薬学的塩である。
【0024】
特に好ましいのは、経口で活性なDPP−IV阻害剤である。
【0025】
AT−レセプターアンタゴニスト(アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニストまたはアンギオテンシンIIレセプターブロッカーとも呼ばれる)は、アンギオテンシンIIレセプターのAT−レセプターサブタイムに結合するが、レセプターの活性化をもたらさない活性成分であると理解される。ATレセプターの阻害の結果、これらのアンタゴニストは、例えば、抗高血圧剤として、または鬱血性心不全の処置に使用できる。
【0026】
ATレセプターアンタゴニストのクラスは、異なる構造特性を有する化合物を含み、特に好ましいのは非ペプチドのものである。例えば、バルサルタン(参照、EP443983)、ロサルタン(参照、EP253310)、カンデサルタン(参照、459136)、エプロサルタン(参照、EP403159)、イルベサルタン(参照、EP454511)、オルメサルタン(参照、EP503785)、タソサルタン(参照、EP539086)、テルミサルタン(参照、EP522314)、サプリサルタン、以下の式
【化3】

のE−1477なる名称の化合物、以下の式
【化4】

のSC−52458なる名称の化合物、および以下の式
【化5】

のZD−8731なる名称の化合物、またはいずれの場合もその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物を特記し得る。
【0027】
好ましいAT−レセプターアンタゴニストは市販されている薬剤であり、もっとも好ましいのはバルサルタンまたはその薬学的に許容される塩である。
【0028】
アンギオテンシンIからアンギオテンシンIIへの酵素的分解の、いわゆるACE−阻害剤(アンギオテンシン変換酵素阻害剤とも呼ばれる)による妨害は、血圧の制御の有用な変法であり、また鬱血性心不全の処置のための治療法である。
【0029】
ACE阻害剤のクラスは、異なる構造特性を有する化合物を含む。例えば、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラート、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラート、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モエキシプリル、モベルトプリル、ペントプリル、ペリンドプリル、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラミプリラート、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、およびゾフェノプリルからなる群から選択される化合物、または、いずれの場合もその薬学的に許容される塩を特記し得る。
【0030】
好ましいACE阻害剤は市販されている薬剤であり、もっとも好ましいのはベナゼプリル、ラミプリル、リシノプリルおよびエナラプリルである。
【0031】
腎臓から遊離されるレニンは循環中のアンギオテンシノーゲンを開裂し、デカペプチドアンギオテンシンIを形成する。これは続いて肺、腎臓および他の臓器のアンギオテンシン変換酵素により開裂され、オクタペプチドアンギオテンシンIIを形成する。動脈血管収縮により直接的に、および副腎からナトリウムイオン保持ホルモンアルドステロンを遊離することにより間接的に両方で血圧を増加させ、細胞外液量の増加を伴う。レニンの酵素的活性の阻害剤は、アンギオテンシンIの形成の減少をもたらす。その結果、少量のアンギオテンシンIIが生成される。活性ペプチドホルモンの減少した濃度は、直接、例えば、レニン阻害剤の抗高血圧活性の原因となる。したがって、レニン阻害剤またはその塩は、例えば、抗高血圧剤として、または鬱血性心不全の処置に用いることができる。
【0032】
レニン阻害剤のクラスは、異なる構造特性を有する化合物を含む。例えば、ジテキレン(化学名:[1S−[1R*,2R*,4R*(1R*,2R*)]]−1−[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]−L−プロリル−L−フェニルアラニル−N−[2−ヒドロキシ−5−メチル−1−(2−メチルプロピル)−4−[[[2−メチル−1−[[(2−ピリジニルメチル(mrthyl))アミノ]カルボニル]ブチル]アミノ]カルボニル]ヘキシル]−N−アルファ−メチル−L−ヒスチジンアミド);テルラキレン(化学名:[R−(R*,S*)]−N−(4−モルホリニルカルボニル)−L−フェニルアラニル−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2−ヒドロキシ−3−(1−メチルエトキシ)−3−オキソプロピル]−S−メチル−L−システインアミド);ザンキレン(化学名:[1S−[1R*[R*(R*)],2S*,3R*]]−N−[1−(シクロヘキシルメチル)−2,3−ジヒドロキシ−5−メチルヘキシル]−アルファ−[[2−[[(4−メチル−1−ピペラジニル)スルホニル]メチル]−1−オキソ−3−フェニルプロピル]アミノ]−4−チアゾールプロパンアミド)、特にそれらの塩酸塩;各々式
【化6】

または
【化7】

のRO−66−1132およびRO−66−1168からなる群からなる化合物を特記し得る。
【0033】
特に好ましいのは、式
【化8】

(化学的に2(S),4(S),5(S),7(S)−N−(3−アミノ−2,2−ジメチル−3−オキソプロピル)−2,7−ジ(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシ−5−アミノ−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシ−プロポキシ)フェニル]−オクタンアミド(一般名:アリスキレン)と定義され、EP678503Aに具体的に記載されている)の化合物または薬学的に許容される塩、特にヘミ−フマル酸塩である。
【0034】
該組み合わせ中のベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーは、好ましくは、アテノロール、ビソプロロール(特にそのフマル酸塩)、メトプロロール(特にそのヘミ−(R,R)フマル酸塩またはフマル酸塩)、エスモロール(特にその塩酸塩)、セリプロロール(特にその塩酸塩)、ベタキソロール(特にその塩酸塩)のようなβ1−ブロッカー、オキシプレノロール(特にその塩酸塩)、ピンドロール、プロパノロール(特にその塩酸塩)、チモロール(特にそのマレイン酸塩)、ブプラノロール(特にその塩酸塩)、ペンブトロール(特にその硫酸塩)、メピンドロール(特にその硫酸塩)、カルテオロール(特にその塩酸塩)またはナドロールのような非選択的β−ブロッカー、およびカルベジロールまたはラベタロールのようなα遮断作用を有するβ−ブロッカー;またはいずれの場合もその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物である。
【0035】
該組み合わせ中のアルファアドレナリン作動性レセプターブロッカーは、好ましくは、ドキサゾシン、プラゾシンまたはテラゾシン;またはいずれの場合もその薬学的に許容される塩からなる群から選択される代表的化合物である。これらのアルファアドレナリン作動性レセプターブロッカーはすべて抗高血圧剤として使用されている。
【0036】
カルシウムチャネルブロッカー(CCB)のクラスは、本質的にジヒドロピリジン(DHP)およびジアゼパムタイプおよびベラパミルタイプCCBのような非−DHPを含む。該組み合わせに有用なCCBは、好ましくは、アムロジピン、フェロジピン、リオシジン、イスラジピン、ラシジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニグルジピン、ニルジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピンおよびニバルジピンからなる群から選択されるDHP化合物、および好ましくは、フルナリジン、プレニルアミン、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、アニパミル、チアパミルおよびベラパミルからなる群から選択される非DHP化合物、およびいずれの場合もその薬学的に許容される塩である。これらのCCBはすべて、例えば、抗高血圧剤、抗狭心症剤または抗不整脈剤として、治療的に使用されている。
【0037】
好ましいCCBは、アムロジピン、ジルチアゼム、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピンおよびベラパミル、または、例えば、具体的なCCBに依存して、その薬学的に許容される塩を含む。DHPとして特に好ましいのはアムロジピンまたはその薬学的に許容される塩、特にベシル酸塩である。非DHPの特に好ましい代表は、ベラパミルまたはその薬学的に許容される塩、特に塩酸塩である。
【0038】
アルドステロン合成酵素は、コルチコステロンから18−OH−コルチコステロンを、および18−OH−コルチコステロンをアルドステロンにヒドロキシル化して形成することにより、コルチコステロンをアルドステロンに変換する酵素である。アルドステロン合成酵素阻害剤のクラスは、高血圧および原発性アルドステロン症の処置への適応が知られており、ステロイド性および非ステロイド性アルドステロン合成阻害剤の両方を含み、後者がもっとも好ましい。
【0039】
市販のアルドステロン合成酵素阻害剤または保健機関により承認されているアルドステロン合成阻害剤が好ましい。
【0040】
アルドステロン合成酵素阻害剤のクラスは、異なる構造特性を有する化合物を含む。例えば、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤アナストロゾール、ファドロゾール(その(+)−エナンチオマーを含む)、ならびに、ステロイド性アロマターゼ阻害剤エキセメスタン、または、いずれの場合も適用される場合、その薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物を特記し得る。
【0041】
もっとも好ましい非ステロイド性アルドステロン合成酵素阻害剤は、式
【化9】

のファドロゾールの塩酸塩の(+)−エナンチオマー(US4617307および4889861)またはその薬学的に許容される別の塩である。
【0042】
好ましいステロイド性アルドステロンレセプターアンタゴニストは、式
【化10】

のエプレレノン(参照、EP122232A)またはスピロノラクトンである。
【0043】
ナトリウム利尿ペプチドは、心房(ANP)、脳由来(BNP)およびC−タイプナトリウム利尿(CNP)ペプチドを含むペプチドのファミリーである。ナトリウム利尿ペプチドは、血管拡張、ナトリウム利尿、利尿、アルドステロン放出の減少、細胞増殖の減少、および交感神経系およびレニン−アンギオテンシン−アルドステロン系の阻害に作用し、血圧およびナトリウムと水のバランスの制御におけるこれらの関与を示唆する。中性エンドペプチダーゼ24.11(NEP)阻害剤は、ナトリウム利尿ペプチドの分解を妨げ、いくつかの心臓血管疾患の管理において有利な可能性がある薬理学的作用を発揮する。該組み合わせに有用なNEP阻害剤は、カンドキサトリル、シノルファン、SCH 34826およびSCH 42495に代表される群から選択される薬剤である。
【0044】
アンギオテンシン変換酵素および中性エンドペプチダーゼの両方に阻害効果を有する化合物、いわゆるデュアルACE/NEP阻害剤は、心臓血管系病態の処置に使用できる。好ましいデュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤は、例えば、オマパトリラート(参照、EP629627)、ファシドトリルまたはファシドトリラート(参照、EP419327)、またはZ 13752A(参照、WO97/24342)または、適当な場合、その薬学的に許容される塩である。
【0045】
エンドセリン(ET)は、血管内皮細胞で合成され、放出される非常に強力な血管収縮ペプチドである。エンドセリン(ET)は3つのイソ形(ET−1、ET−2およびET−3)で存在する。(ETは、ETの任意のまたはすべてのイソ形を意味する)。ETの上昇したレベルが、例えば、本態性高血圧の患者由来の血漿で報告されている。エンドセリンレセプターアンタゴニストは、ETにより誘導される血管収縮作用の阻害に使用できる。
【0046】
好ましいエンドセリンアンタゴニストは、例えば、ボセンタン(参照、EP526708A)、エンラセンタン(参照、WO94/25013)、アトラセンタン(参照、WO96/06095)、特にアトラセンタン塩酸塩、ダルセンタン(参照、EP785926A)、BMS 193884(参照、EP702012A)、シタキセンタン(参照、US5594021)、特にシタキセンタンナトリウム、YM 598(参照、EP882719A)、S 0139(参照、WO97/27314)、J 104132(参照、EP714897AまたはWO97/37665)、さらに、テゾセンタン(参照、WO96/19459)または、いずれの場合もその薬学的に許容される塩である。
【0047】
利尿剤は、例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、メチルクロロチアジドおよびクロロサリドンからなる群から選択されるチアジド誘導体である。もっとも好ましいのはヒドロクロロチアジドである。
【0048】
好ましいのは、式(I)のDPP−IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩および第2活性剤としてバルサルタン、ベナゼプリル、ラミプリル、リシノプリル、エナラプリル、アムロジピン、特にそのベシル酸塩、アリスキレン、特にそのヘミフマル酸塩、アテノロール、メトプロロール、特にそのヘミ(R,R)フマル酸塩またはフマル酸塩、オキシプレノロール、ドキサゾリン、ファドロゾールの(+)エナンチオマー、エプレレノン、オマパトリラート、Z 13752A、シタキセタンン、特にシタキセンタンナトリウム、ダルセンタンおよびヒドロクロロチアジドからなる群から選択される活性剤を含む、組み合わせ製剤または医薬組成物の各々である、組み合わせである。
【0049】
さらに好ましいのは、式(I)のDPP−IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩およびバルサルタン、ベナゼプリル、ラミプリル、リシノプリル、エナラプリル、アムロジピン、特にそのベシル酸塩、アリスキレン、特にそのヘミフマル酸塩、アテノロール、メトプロロール、特にそのヘミ(R,R)フマル酸塩またはフマル酸塩、オキシプレノロール、ドキサゾシン、ファドロゾールの(+)エナンチオマー、エプレレノン、オマパトリラート、Z 13752A、シタキセンタン、特にシタキセンタンナトリウムおよびダルセンタンからなる群から選択される一つの活性剤、および、さらに、第3の活性剤としてヒドロクロロチアジドを含む組み合わせ製剤または医薬組成物の各々のような、組み合わせである。
【0050】
一般名または商品名により特定した活性剤の構造は、標準概論“The Merck Index”の現版またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から得られ得る。それらの対応する内容は、本明細書に引用して包含させる。当業者は活性成分の特定が完全に可能であり、同様に、これらの参考文献に基づいて製造でき、インビトロおよびインビボの両方の標準試験モデルにおいて薬学的適応および特性を試験できる。
【0051】
対応する活性成分またはその薬学的に許容される塩は、水和物、または、結晶化に使用した他の溶媒を含む、溶媒和物の形でも使用し得る。
【0052】
組み合わせるべき化合物は、薬学的に許容される塩として存在できる。これらの化合物が、例えば、少なくとも一つの塩基性中心を有する場合、酸付加塩を形成できる。対応する酸付加塩はまた、所望により、さらに塩基性中心が存在するように形成できる。酸基(例えばCOOH)を含む化合物はまた塩基と塩を形成できる。
【0053】
なおさら驚くのは、DPP IV阻害剤またはその塩および(i)から(xii)の群からなる治療剤の組み合わせ投与が、優れた、特に、相乗的な治療効果をもたらすだけでなく、組み合わせ処置からさらに他の利益が得られることおよび本明細書に記載の組み合わせに使用した薬理学的活性化合物の一つのみを投与した単治療と比較してさらに驚くべき利益をもたらすことである。
【0054】
式(I)のDPP−IV阻害剤と、(i)から(xii)からなる群から選択される治療剤との組み合わせが、以下に特記した疾患のより有効な予防または好ましくは処置をもたらすことを、確率された試験モデルおよび特に本明細書に記載の試験モデルで示すことができる。特に、確立された試験モデルおよび特に本明細書に記載の試験モデルにより、本発明の組み合わせが下記に特記した疾患のより有効な予防または好ましくは処置をもたらすことを示すことができる。
【0055】
本明細書に記載の多くの組み合わせに関して、同時に投与した場合、さらに利点を、特に相乗的、治療効果を促進するだけでなく、同時の処置から得られる効果の驚くべき延長、治療的処置のより広い多様さおよび驚くべき有利な効果、例えば、糖尿病に関連した疾患および状態における体重のより少ない増加からもたらされるさらなる利点がもたらされる。さらに、ヒト患者、特に老齢者に関して、例えば、2つの錠剤を、食事前に、同時に摂取することが、交互の時間に、すなわち、より複雑な処置スケジュールにしたがって摂取するより簡便であり、覚えやすい。より好ましくは、本明細書に記載のすべての場合、両方の活性成分を固定された組み合わせ、すなわち、一つの錠剤として投与する。一つの錠剤を摂取することは2錠を同時に摂取するよりも扱いが幾分容易である。さらに、包装が少ない努力で達成できる。
【0056】
当業者は、前記および後記に記載の治療的適応および有利な効果を確認するための関連した標準動物試験モデルを選択することが十分可能である。
【0057】
式(I)のDPP−IV阻害剤または本発明で使用する活性剤の組み合わせの投与により影響される薬理活性は、例えば、関連技術分野で既知の対応する薬理学的モデルを使用して、証明できる。
【0058】
本発明の組み合わせの抗高血圧活性を評価するために、例えば、Lovenberg W:Animal models for hypertension research. Prog. Clin. Biol. Res. 1987, 229, 225-240が記載の方法を適用し得る。本発明の組み合わせが鬱血性心不全の処置に使用し得ることを評価するために、例えば、Smith HJ, Nuttall A:Experimental models of heart failure. Cardiovasc Res 1985, 19, 181-186を適用し得る。また、Doggrell SAおよびBrown L(Cardiovasc Res 1998, 39:89-105)が記載の高血圧および心不全のラットモデルを、組み合わせの薬理学的評価に使用し得る。トランスジェニック法のような分子学的試みが、例えばLuft et al.:Hypertension-induced end-organ damage.“A new transgenic approach for an old problem.” Hypertension 1999, 33, 212-218により記載されている。
【0059】
本発明の組み合わせのインシュリン分泌促進特性は、例えば、T. Ikenoue et al. Biol. Pharm. Bull. 29(4), 354-359(1997)の文献に記載のような方法にしたがい、測定できる。
【0060】
活性剤単独または組み合わせで投与した場合の心臓血管作用およびグルコース利用能の同時評価は、Nawano et al., Metabolism 48:1248-1255, 1999の文献に記載のようなZucker肥満ラットのようなモデルを使用して行うことができる。また、糖尿病性本態性高血圧ラットを使用した試験が、Sato et al., Metabolism 45:457-462, 1996の文献に記載されている。さらに、Cohen-Rosenthal糖尿病性高血圧ラット(Rosenthal et al., Hypertension. 1997;29:1260-1264)がまた血圧およびグルコース代謝の組み合わせの効果の同時評価に使用し得る。
【0061】
これらの8つの文献の対応する対象を、本明細書に引用して包含させる。
【0062】
したがって、本発明の組み合わせは、例えば、DPP IV阻害により阻害され得、インシュリン分泌の増加により阻害され、インシュリン感作により阻害され得る疾患および疾病の予防、進行の遅延または処置に使用し得る。特に、本発明の組み合わせは、例えば、高血圧(孤立性収縮期高血圧および家族性脂肪異常性(dyslipidemic)高血圧を含むが、これらに限定されない)、鬱血性心不全、左心室肥大、末梢性動脈疾患、糖尿病、特に2型糖尿病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性ネフロパシー、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性ニューロパシー、X症候群、月経前症候群、冠状動脈性心臓病、狭心症、血栓症、動脈硬化症、心筋梗塞、一過性虚血性発作、卒中、血管再狭窄、高血糖症、高インシュリン血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、インシュリン抵抗性、障害されたグルコース代謝、障害されたグルコース抵抗性の状態、障害された空腹時血漿グルコースの状態、肥満、勃起障害、皮膚および結合組織疾患、足潰瘍形成および潰瘍性大腸炎、内皮細胞機能障害および障害された血管コンプライアンスからなる群から選択される疾病または疾患の、予防、進行の遅延または処置に使用し得る。好ましくは、該組み合わせは高血圧、特に孤立性収縮期高血圧(ISH)、鬱血性心不全、内皮細胞機能障害、障害された血管コンプライアンス、障害されたグルコース耐性、およびII型糖尿病の処置に使用し得る。
【0063】
本明細書で定義する“DPP−IV阻害剤により阻害され得る疾患または状態”は、インシュリン抵抗性、障害されたグルコース代謝、障害されたグルコース耐性の状態、障害された空腹時血漿グルコースの状態、肥満、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、白内障、糖尿病性網膜症、糸球体硬化症、糖尿病性ニューロパシー、勃起障害、月経前症候群、環状動脈性心臓病、高血圧、狭心症、心筋梗塞、卒中、血管再狭窄、皮膚および結合組織疾患、足潰瘍形成および潰瘍性大腸炎、内皮細胞障害および障害された血管コンプライアンスを含むが、これらに限定されない。
【0064】
“心臓血管化合物[グループ(i)−(xii)から選択される]により阻害し得る疾患または状態”、“インシュリン分泌の促進により阻害し得る疾患または状態”と組み合わさった高血圧は、Journal of Hypertension 1999, 17:151-183、特に162で定義されている軽度、中程度および重度高血圧を含むが、これらに限定されない。特に好ましいのはISHである。ISHは、50歳以上のヒトでもっとも一般的な形の高血圧である。上昇した収縮期(140mmHgを超える)が、正常な拡張期血圧(90mmHgより低い)と組み合わさっていると定義される。上昇した収縮期血圧は、心臓血管疾患の独立した危険因子であり、例えば、心筋肥大および心不全を導き得る。ISHはさらに収縮期と拡張期血圧の差として定義される脈圧の増加により特徴づけられる。増加した脈圧は十分なもっとも制御しにくい高血圧のタイプと認識されている。上昇した収縮期および同様に脈圧の低下は、心臓血管死の明白な危険の減少を伴う。本明細書に記載のDPP−IV阻害剤および心臓血管化合物の組み合わせは、2型糖尿病に罹患している高血圧患者および2型糖尿病に罹患していない高血圧患者の両方においてISHおよび脈圧の低下を導くことが驚くべきことに発見された。
【0065】
“予防”なる用語は、本明細書に記載の状態の発生を防ぐための、健康な患者への組み合わせの予防的投与を意味する。さらに、“予防”なる用語は、このような組み合わせの、処置すべき状態の前段階にいる患者への予防的投与を意味する。
【0066】
本明細書で使用する“進行の遅延”なる用語は、組み合わせ製剤または医薬組成物のような組み合わせを、処置すべき状態の前段階の患者に投与することを意味する。ここで、対応する状態の前形は診断されている。JNC 7 Report(JAMA 2003, 289:2560-2572)で“説得力のある兆候”を伴う“前高血圧”と定義されているものを含む。前高血圧症は、120−139mmHgの間の収縮期圧または80−89mmHgの間の拡張期圧と定義される。
【0067】
“処置”なる用語は、疾患、状態、または疾病と戦う目的の患者の管理および治療と理解する。
【0068】
好ましくは、本発明の組み合わせにしたがった活性剤の共同で治療的有効量の活性剤を、同時に、または、任意の順番で連続的に、例えば、別々に、または、固定された組み合わせで投与できる。
【0069】
ある状況下で、異なる機能の作用の薬剤を合わせ得る。しかしながら、異なるモードの作用を有するが、同じ分野に作用する薬剤の任意の組み合わせを単に考慮すれば、有利な効果の組み合わせを必ずしも導かない。
【0070】
本発明のDPP−IV阻害剤またはいずれの場合も薬学的に許容される形の組み合わせ投与が、優れた、特に、強化されたまたは相乗的な治療効果だけでないものを導くという実験的発見がなおさら驚きである。それとは独立して、組み合わせ処置から得られる付加的利点は、効果の驚くべき延長、治療的処置のより広い多様さおよび驚くべき糖尿病に関連した疾患または状態における有利な効果、例えば体重のより増加抑制のような、さらなる利点が達成できる。本発明のさらに別のおよび好ましい態様は、孤立性収縮期高血圧および減少した血管弾力性を意味する障害された血管コンプライアンスの状態の予防、進行の遅延または処置である。
【0071】
“増強”は、各々の対応する薬理学的活性または治療効果の増加を意味する。本発明の組み合わせの一つの成分の、本発明の他の成分との共投与による増強は、一つの成分単独で達成されるよりも大きい効果が達成されることを意味する。
【0072】
“相乗効果”は、薬剤を、一緒に摂取した場合、単独で摂取した場合の各薬剤の効果の合計よりも大きい合計の共同の効果を意味する。
【0073】
2型糖尿病に関連する疾患または状態は、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症および糖尿病性ニューロパシーを含むが、これらに限定されない。
【0074】
さらに、インシュリン増感剤またはインシュリン分泌促進剤の慢性の共投与が、血管形態および機能に優れた効果を与え、血管硬直の減少および相当の血管コンプライアンスの維持および改善をもたらすことが判明した。
【0075】
したがって、DPP−IV阻害剤の心臓血管化合物への添加は、収縮期血圧における効果を増強し、さらに、血管硬直/コンプライアンスを改善することが判明した。逆に、心臓血管化合物の収縮期および拡張期血圧における認められた抗高血圧活性が、DPP−IV阻害剤の添加により増強され得る。これらの組み合わせの利点は、内皮細胞機能における付加的なまたは増強された効果、腎臓、心臓、眼および脳を含む種々の臓器/組織における血管機能および構造の改善にまで及ぶ。グルコースレベルの低下を介し、抗血栓および抗動脈硬化効果がまた証明されている。グルコースの減少は、心臓−腎系中の任意の構造的および機能的タンパク質のグリコシル化を予防し、または少なくし得る。この効果は、単独で別の機構により心臓血管機能および構造を改善するDPP−IV阻害剤と共に投与した場合、血管機能/構造における付加的なまたは相乗的な効果を発生させることにより、非常に有益であることが証明される。
【0076】
さらに、インシュリン抵抗性が、一部、糖尿病、高血圧および動脈硬化の発症に寄与し得る(Fukuda et al., 2001)。アンギオテンシンIIがインシュリンシグナル伝達を妨害し(Fukuda et al., 2001)、ACE阻害剤の使用によるレニンアンギオテンシン系の妨害がインシュリン感受性を部分的に回復させることが知られている(Sato et al., 1996;Nawano et al., 1999)。インシュリンは血管拡張および血圧の低下を起こすことができる(Baron and Steinberg, 1996)。インシュリン抵抗性の動物モデルであるZucker肥満ラットは、有意に高い血圧であることが示されている(Alonso-Galicia et al., 1996)。ACE阻害は、このモデルにおいて血圧を低下し、インシュリン感受性を改善する(Nawano et al., 1999)。本発明で同定されるような心臓血管化合物とDPP−IV阻害剤の組み合わせ投与は、さらなる抗高血圧効果を誘発し、高血圧患者における血管力学を、各薬剤単独を投与した後よりも大きく改善する。興味深いことに、心臓血管化合物およびDPP IV阻害剤の共投与は、インシュリンシグナル伝達経路のレニンアンギオテンシン誘発障害を予防し、同時にインシュリンレベルを上げ、グルコース利用能を改善することによりインシュリン感受性を部分的に回復させる。その結果、組み合わせ投与は、患者でしばしば共存する二つの状態である代謝および心臓血管異常の両方を同時に改善する。
【0077】
さらなる利点は、本発明により組み合わせる個々の医薬品のより少ない用量が、投与量の減少に使用でき、すなわち、例えば、必要な投与量がしばしば少ないだけでなく、少ない頻度で投与され、また、副作用の減少に使用できることである。これは、処置すべき患者の要求および必要性に依存する。
【0078】
例えば、本発明の組み合わせが、特に中程度の高血圧またはISHの処置に利益を提供し、これは、高血圧状態がなくてもすべての糖尿病患者に対して利点であり、例えば、二つの異なる作用のモードにより負の心臓血管事象の危険性を減少する。
【0079】
本発明のDPP−IV阻害剤は2型糖尿病の処置に有用であることが証明されており、同様に、例えば、微量アルブミン尿の改善のための血圧の低下に使用できる。高血圧の処置に関して治療量以下で、本発明の組み合わせは単に糖尿病、特に、2型糖尿病の処置に有用である。本発明で使用するDPP−IV阻害剤の減少した量の観点から、組み合わせの相当なセーフティープロフィールがあり、それにより第一選択治療として適する。
【0080】
本発明の組成物を投与した場合のさらなる利点は、本発明で組み合わせるべき個々の薬剤の少ない投与量が、投与量の減少に使用でき、すなわち、例えば、必要な投与量がしばしば少ないだけでなく、少ない頻度で投与され、また、副作用の減少に使用できることである。これは、処置すべき患者の要求および必要性に依存する。
【0081】
好ましくは、本発明の組み合わせの活性剤の合計の治療的有効量を、同時に、または、任意の順番で連続的に、例えば、別々に、または、固定された組み合わせで投与できる。
【0082】
本発明により使用する活性剤の組み合わせの投与によりもたらされる薬理活性は、例えば、例えば、関連分野の技術において既知の対応する薬理学的モデルの使用により証明できる。関連分野の当業者は、前記および後記に記載の治療的適応および有利な効果を確認するための関連した標準動物試験モデルを選択することが十分可能である。
【0083】
本発明の組み合わせの抗高血圧活性を評価するために、Lovenberg W:Animal models for hypertension research. Prog. Clin. Biol. Res. 1987, 229, 225-240により記載の方法を適用できる。鬱血性心不全の処置に使用し得る本発明の組み合わせの評価のために、例えば、Smith HJ, Nuttall A:Experimental models of heart failure. Cardiovasc Res 1985, 19, 181-186により記載の方法を適用し得る。トランスジェニック法のような分子学的試みが、例えばLuft et al.: Hypertension-induced end-organ damage.“A new transgemic approach for an old problem.” Hypertension 1999, 33, 212-218に記載されている。
【0084】
本発明の組み合わせ製剤のインシュリン分泌促進特性は、例えば、T. Ikenoue et al. Biol. Pharm. Bull. 29(4), 354-359(1997)の文献に記載の方法にしたがい測定し得る。
【0085】
これらの文献の対応する対象を、本明細書に引用して包含させる。
【0086】
前記および後記の本発明の医薬組成物は、同時の使用または任意の順番での連続的使用、例えば、別々の使用、または固定された組み合わせとして使用し得る。
【0087】
したがって、本発明はさらに、必要とするヒトを含む温血動物に、DPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、
(i)AT−レセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iv)ベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(v)アルファアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)カルシウムチャネルブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vii)アルドステロン合成酵素阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(viii)アルドステロンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ix)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(x)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(xi)エンドセリンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および
(xii)利尿剤またはその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤の組み合わせの、共同で有効な量を投与することを含む、
(a)2型糖尿病および関連疾患、疾病または状態(糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症および糖尿病性ニューロパシーを含むがこれらに限定されない)、
(b)インシュリン抵抗性およびX症候群、肥満
(c)老人の高血圧、家族性脂肪異常性高血圧および孤立性収縮期高血圧(ISH)を含む高血圧;高血圧に続く上昇したコラーゲン形成、線維症およびリモデリング(組み合わせの抗増殖作用);勃起障害、障害された血管コンプライアンス、卒中;高血圧に関係したまたは関係ないこれらすべての疾患または状態、
(d)鬱血性心不全、左心室肥大、心筋梗塞(MI)後の生存、冠状動脈障害、動脈硬化、狭心症、血栓症
(e)腎不全、特に慢性腎不全、糸球体硬化症、ネフロパシー、
(f)甲状腺機能低下症、
(g)高血圧を伴うまたは伴わない内皮細胞障害、
(h)高脂質血症、高リポタンパク血症、高トリグリセリド血症および高コレステロール血症、
(i)黄斑変性症、白内障、緑内障、
(j)皮膚および結合組織障害、および
(k)経皮経管的血管形成後の再狭窄および冠動脈バイパス手術後の再狭窄;末梢血管疾患、
からなる群から選択される疾患または状態の予防、進行の遅延、処置の方法に関する。
【0088】
さらに、本発明はDPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、
(i)AT−レセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iv)ベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(v)アルファアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)カルシウムチャネルブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vii)アルドステロン合成酵素阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(viii)アルドステロンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ix)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(x)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(xi)エンドセリンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および
(xii)利尿剤またはその薬学的に許容される塩、
からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤を含む、組み合わせの
(a)2型糖尿病および関連疾患、疾病または状態(糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症および糖尿病性ニューロパシーを含むがこれらに限定されない)、
(b)インシュリン抵抗性およびX症候群、肥満
(c)老人の高血圧、家族性脂肪異常性高血圧および孤立性収縮期高血圧(ISH)を含む高血圧;高血圧に続く上昇したコラーゲン形成、線維症およびリモデリング(組み合わせの抗増殖作用);勃起障害、障害された血管コンプライアンス、卒中;高血圧に関係したまたは関係ないこれらすべての疾患または状態、
(d)鬱血性心不全、左心室肥大、心筋梗塞(MI)後の生存、冠状動脈障害、動脈硬化、狭心症、血栓症
(e)腎不全、特に慢性腎不全、糸球体硬化症、ネフロパシー、
(f)甲状腺機能低下症、
(g)高血圧を伴うまたは伴わない内皮細胞障害、
(h)高脂質血症、高リポタンパク血症、高トリグリセリド血症および高コレステロール血症、
(i)黄斑変性症、白内障、緑内障、
(j)皮膚および結合組織障害、および
(k)経皮経管的血管形成後の再狭窄および冠動脈バイパス手術後の再狭窄;末梢血管疾患、
からなる群から選択される疾患または状態の予防、進行の遅延、または処置のための医薬の製造のための使用に関する。
【0089】
本発明は、さらに、
(a)2型糖尿病および関連疾患、疾病または状態(糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症および糖尿病性ニューロパシーを含むがこれらに限定されない)、
(b)インシュリン抵抗性およびX症候群、肥満
(c)老人の高血圧、家族性脂肪異常性高血圧および孤立性収縮期高血圧(ISH)を含む高血圧;高血圧に続く上昇したコラーゲン形成、線維症およびリモデリング(組み合わせの抗増殖作用);勃起障害、障害された血管コンプライアンス、卒中;高血圧に関係したまたは関係ないこれらすべての疾患または状態、
(d)鬱血性心不全、左心室肥大、心筋梗塞(MI)後の生存、冠状動脈障害、動脈硬化、狭心症、血栓症
(e)腎不全、特に慢性腎不全、糸球体硬化症、ネフロパシー、
(f)甲状腺機能低下症、
(g)高血圧を伴うまたは伴わない内皮細胞障害、
(h)高脂質血症、高リポタンパク血症、高トリグリセリド血症および高コレステロール血症、
(i)黄斑変性症、白内障、緑内障、
(j)皮膚および結合組織障害、および
(k)経皮経管的血管形成後の再狭窄および冠動脈バイパス手術後の再狭窄;末梢血管疾患、
からなる群から選択される疾患、疾病または状態の予防、進行の遅延または処置のための、DPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩と
(i)AT−レセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iv)ベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(v)アルファアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)カルシウムチャネルブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vii)アルドステロン合成酵素阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(viii)アルドステロンアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ix)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(x)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(xi)エンドセリンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および
(xii)利尿剤またはその薬学的に許容される塩、
からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物に関する。
【0090】
好ましくは、本発明の組み合わせによる共同で治療的有効量の活性剤は、同時に、連続して、または、任意の順番で別々に、または、固定した組み合わせで投与できる。
【0091】
前記および後記の本発明の医薬組成物は、同時の使用または任意の順番での連続的使用、例えば、別々の使用、または固定された組み合わせとして使用し得る。
【0092】
本発明のさらなる態様は、
(a)第1の単位投与形の一定量のDPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(b)第2の単位投与形等の成分(i)から(xii)または、いずれの場合も、適当な場合、その薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤、および
(c)第1、第2等の単位投与形のための容器
を含む、本発明による疾患または状態の予防、進行の遅延、処置のためのキットである。
【0093】
その変法において、本発明は同様に例えば、本発明により組み合わせるべき成分が、独立して投与できるか、または、区別された用量の成分の異なる固定された組み合わせの使用により投与できる、すなわち、同時にまたは異なる時点で投与できる、“複数の部分のキット”に関する。キットの部分は、次いで、例えば、同時にまたは時間的にずらして、すなわち、任意のキットの部分に関して、異なる時点で、および、同じまたは異なる時間間隔で投与できる。好ましくは、時間間隔は、部分の組み合わせの使用の処置する疾患または状態における効果が、任意の成分の単独の使用により得られる効果より大きいように選択する。
【0094】
本発明は、したがって、
(a)第1投与単位形の一定量のDPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(b)第2またはさらなる投与単位形の別々の (i)から(xii)および(i)から(xii)または、いずれの場合も、適当な場合、その薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤
を含む、複数の部分のキットに関する。
【0095】
本発明はさらに本発明の組み合わせを、同時の、別々のまたは連続使用のための指示書と共に含む、商品包装に関する。
【0096】
好ましい態様において、(商品)製剤は、活性成分として、本発明の組み合わせ((i)から(xii)の2個または3個またはそれ以上の別々の単位の形)を、本明細書に記載の(a)から(k)の疾患の進行の遅延または処置における、同時の、別々のまたは連続使用の指示書と共に含む、商品包装である。
【0097】
本明細書で好ましいとしたすべての記載は、本発明の組み合わせ、組成物、使用、処置法、“複数の部分のキット”および商品包装に適用される。
【0098】
医薬製剤は、薬理学的活性化合物を単独でまたは慣用の薬学的助剤と共に含む製剤を、恒温動物への経口およびまた経直腸のような経腸、または非経腸投与するためである。例えば、医薬製剤は、約0.1%から90%、好ましくは約1%から約80%の活性化合物を含む。経腸または非経腸、およびまた眼に投与するための医薬製剤は、例えば、被覆錠、錠剤、カプセルまたは座薬およびまたアンプルのような単位投与形である。これらはそれ自体既知の方法で、例えば、慣用の混合、造粒、被覆、溶解または凍結乾燥工程を使用して製剤できる。したがって、経口投与用の医薬製剤は、活性化合物を固体担体と合わせ、望ましい場合、得られた混合物を造粒し、必要に応じてまたは所望により、適当な助剤物質を添加した後に混合物または顆粒を錠剤にまたは被覆錠コアに加工することにより得ることができる。
【0099】
活性化合物の投与量は、投与の形態、恒温動物種、年齢および/または個々の状態のような種々の因子に依存し得る。
【0100】
本発明の医薬組み合わせの活性成分の好ましい投与量は、治療的有効量、特に、商品として利用可能なものである。
【0101】
通常、経口投与の場合、例えば、約75kgの体重の患者のために、約1mgから約360mgの1日投与量が概算される。
【0102】
活性化合物の投与量は、投与の形態、恒温動物種、年齢および/または個々の状態のような種々の因子に依存し得る。
【0103】
医薬製剤は、適当な投与単位形、例えば、カプセルまたは錠剤の形で、例えば、さらなる成分と共同で有効となる量を含んで提供される。
【0104】
例えば、約70kgの体重の温血動物、例えば、ヒトに投与すべき式(I)のDPP−IV阻害剤の投与量、特に酵素レニンの阻害に、例えば血圧の低下および/または緑内障の症状の改善のために有効な投与量は、患者あたり1日あたり約3mgから約3g、好ましくは約10mgから約1g、例えば約20mgから200mgであり、好ましくは、例えば同じサイズの1回から4回の単一量に分ける。通常、小児には成人投与量の約半量を投与する。各個体のための必要量は、例えば、活性成分の血清濃度を測定することによりモニターでき、最適レベルに調節する。単一投与量は、例えば、成人患者あたり10、40または100mgである。
【0105】
AT−レセプターアンタゴニストのクラスの代表であるバルサルタンは、適当な投与単位形、例えば、カプセルまたは錠剤で、患者に投与し得る治療的有効量、例えば、約20から約320mgのバルサルタンを含む形で提供される。活性成分の投与は、1日3回までから行い得、例えば、20mgまたは40mgのバルサルタンの1日投与量から開始し、1日80mgを介して、さらに1日160mgから1日320mgまで増加し得る。好ましくは、バルサルタンは1日2回、各々80mgまたは160mgの投与量で投与し得る。対応する投与量は、例えば、朝、昼または晩に摂取し得る。
【0106】
ACE阻害剤の好ましい投与単位形は、例えば約5mgから約40mg、好ましくは5mg、10mg、20mgまたは40mgのベナゼプリル;約6.5mgから100mg、好ましくは6.25mg、12.5mg、25mg、50mg、75mgまたは100mgのカプトプリル;約2.5mgから約40mg、好ましくは2.5mg、5mg、10mg、20mgまたは40mgのエナラプリル;約10mgから約40mg、好ましくは10mgまたは20mgのフォシノプリル;約2mgから約8mg、好ましくは2mgまたは4mgのペリンドプリル;約5mgから約40mg、好ましくは5mg、10mgまたは20mgのキナプリル;または約1.25mgから約20mg、好ましくは1.25mg、2.5mgまたは5mgのラミプリルを含む、例えば、錠剤またはカプセルである。
【0107】
レニン阻害剤の好ましい投与単位形は、例えば約5mgから約500mg、好ましくは、アリスキレンを使用する場合、例えば、50から250mg(遊離酸に相当)のアリスキレンを含む、例えば、1日1回投与する、例えば、錠剤またはカプセルである。
【0108】
ベータブロッカーの好ましい投与単位形は例えば約25mgから100mg、特に25mg、50mgまたは100mgのアテノロール;約2.5から10mg、特に2.5mg、5mgまたは10mgのビソプロロール、特にそのフマル酸塩;約50から200mg、特に50mg、100mgまたは200mgのメトプロロール、特にそのヘミ−(R,R)−フマル酸塩またはフマル酸塩;約100mgから2.5g、特に100mgまたは2.5gのエスモロール、特にその塩酸塩;200mgのセリプロロール、特にその塩酸塩;約50mgから100mg、特に50mgまたは100mgのタリノロール;約200mgから800mg、特に200mgまたは400mgのアセブトロール、特にその塩酸塩;約10mgから30mg、特に10mgまたは20mgのチモロール、特にそのマレイン酸塩;約5mgから20mg、特に5mg、10mgまたは20mgのベタキソロール、特にその塩酸塩;約20mgから80mg、特に20mg、40mgまたは80mgのナドロール、約40mgから160mg、特に、40mg、80mgまたは160mgのオキシプレノロール、特にその塩酸塩;約5mgから40mg、特に、5mg、10mg、20mgまたは40mgのピンドロール;約25mgから160mg、特に25mg、40mg、80mg、100mgまたは160mgのプロプラノロール、特にその塩酸塩;約50mgから100mg、特に50mgまたは100mgのブプラノロール、特にその塩酸塩;約2.5から40mg、特に2.5mg、5mg、10mg、20mgまたは40mgのペンブトロール、特にその硫酸塩;約2.5mgから10mg、特に2.5mg、5mgまたは10mgのカルテロール、特にその塩酸塩;約3.125mgから25mg、特に3.125mg、6.25mg、12.5mgまたは25mgのカルベジロール、約100mgから800mg、特に100mg、200mg、400mgまたは800mgのラベタロール、特にその塩酸塩を含む、例えば、錠剤またはカプセルである。
【0109】
好ましくは、自由な組み合わせの場合、好ましいのは承認され、市販されている発売されている製品のものである。
【0110】
特に好ましいのは低用量の組み合わせである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩および心臓血管化合物(スタチンとは異なる)またはその薬学的に許容される塩を含む、組み合わせ。
【請求項2】
DPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩および
(i)AT−レセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iv)ベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(v)アルファアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)カルシウムチャネルブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vii)アルドステロン合成酵素阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(viii)アルドステロンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ix)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(x)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(xi)エンドセリンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および
(xii)利尿剤またはその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
DPP−IV阻害剤が(S)−1−{2−[5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル−アミノアセチル)−2−シアノ−ピロリジンまたは(S)−1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジンである、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項4】
AT−レセプターアンタゴニストがロサルタン、オルメサルタンまたはバルサルタン、
ACE阻害剤がベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリルまたはラミプリル、
レニン阻害剤がアリスキレン、
ベータブロッカーがメトプロロール、
アルファブロッカーがドキサゾシン、
カルシウムチャネルブロッカーがアムロジピン、
アルドステロン合成酵素阻害剤がファドロゾールまたはファドロゾールの(+)−エナンチオマー、
アルドステロンレセプターアンタゴニストがエプレレノン、
中性エンドペプチダーゼ阻害剤がカンドキサトリルまたはシノルファン、
デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤がオマパトリラート、
エンドセリンレセプターアンタゴニストがボセンタン、
利尿剤がヒドロクロロチアジド
(ただし、いずれの場合もそれらの薬学的に許容され得る塩を含む。)
である、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項5】
(S)−1−{2−[5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル−アミノアセチル)−2−シアノ−ピロリジンまたは(S)−1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジンまたはその薬学的に許容される塩およびバルサルタンまたはその薬学的に許容される塩またはアリスキレンまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項6】
必要とするヒトを含む温血動物に、DPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩と、
(i)AT−レセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iv)ベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(v)アルファアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)カルシウムチャネルブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vii)アルドステロン合成酵素阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(viii)アルドステロンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ix)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(x)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(xi)エンドセリンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および
(xii)利尿剤またはその薬学的に許容される塩
からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤の組み合わせの、共同で有効な量を投与することを含む、
(a)2型糖尿病および関連疾患、疾病または状態、
(b)インシュリン抵抗性およびX症候群、肥満、
(c)老人の高血圧、家族性脂肪異常性(dyslipidemic)高血圧および孤立性収縮期高血圧(ISH)を含む高血圧;高血圧に続く上昇したコラーゲン形成、線維症およびリモデリング;勃起障害、血管コンプライアンス不全、卒中;高血圧に関係したまたは関係ないこれらすべての疾患または状態、
(d)鬱血性心不全、左心室肥大、心筋梗塞(MI)後の生存、冠状動脈障害、動脈硬化、狭心症、血栓症、
(e)腎不全、特に慢性腎不全、糸球体硬化症、ネフロパシー、
(f)甲状腺機能低下症、
(g)高血圧を伴うまたは伴わない内皮細胞障害、
(h)高脂質血症、高リポタンパク血症、高トリグリセリド血症および高コレステロール血症、
(i)黄斑変性症、白内障、緑内障、
(j)皮膚および結合組織障害、および
(k)経皮経管的血管形成後の再狭窄および冠動脈バイパス手術後の再狭窄;末梢血管疾患、
からなる群から選択される疾患または状態の予防、進行の遅延、処置の方法。
【請求項7】
(a)2型糖尿病および関連疾患、疾病または状態、
(b)インシュリン抵抗性およびX症候群、肥満、
(c)老人の高血圧、家族性脂肪異常性高血圧および孤立性収縮期高血圧(ISH)を含む高血圧;高血圧に続く上昇したコラーゲン形成、線維症およびリモデリング;勃起障害、血管コンプライアンス不全、卒中;高血圧に関係したまたは関係ないこれらすべての疾患または状態、
(d)鬱血性心不全、左心室肥大、心筋梗塞(MI)後の生存、冠状動脈障害、動脈硬化、狭心症、血栓症、
(e)腎不全、特に慢性腎不全、糸球体硬化症、ネフロパシー、
(f)甲状腺機能低下症、
(g)高血圧を伴うまたは伴わない内皮細胞障害、
(h)高脂質血症、高リポタンパク血症、高トリグリセリド血症および高コレステロール血症、
(i)黄斑変性症、白内障、緑内障、
(j)皮膚および結合組織障害、および
(k)経皮経管的血管形成後の再狭窄および冠動脈バイパス手術後の再狭窄;末梢血管疾患、
からなる群から選択される疾患または状態の予防、進行の遅延または処置のための医薬の製造における、請求項1から5のいずれかに記載の組み合わせの使用。
【請求項8】
(a)第1投与単位形の一定量のDPP IV阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(b)2個または3個またはそれ以上の(i)から(xii)の別々の単位形の、一定量の
(i)AT−レセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ii)アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iii)レニン阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(iv)ベータアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(v)アルファアドレナリン作用性レセプターブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vi)カルシウムチャネルブロッカーまたはその薬学的に許容される塩、
(vii)アルドステロン合成酵素阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(viii)アルドステロンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、
(ix)中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(x)デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤またはその薬学的に許容される塩、
(xi)エンドセリンレセプターアンタゴニストまたはその薬学的に許容される塩、および
(xii)利尿剤またはその薬学的に許容される塩、
(いずれの場合も適当な場合、その薬学的に許容される塩を含む。)
からなる群から選択される少なくとも一つの治療剤
を含む、複数の部分のキット。
【請求項9】
DPP−IV阻害剤が(S)−1−{2−[5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル−アミノアセチル)−2−シアノ−ピロリジンまたは(S)−1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジンであり、
AT−レセプターアンタゴニストがロサルタンオルメサルタンまたはバルサルタン、
ACE阻害剤がベナゼプリル、エナラプリル、リシノプリルまたはラミプリル、
レニン阻害剤がアリスキレン、
ベータブロッカーがメトプロロール、
アルファブロッカーがドキサゾシン、
カルシウムチャネルブロッカーがアムロジピン、
アルドステロン合成酵素阻害剤がファドロゾールまたはファドロゾールの(+)−エナンチオマー、
アルドステロンレセプターアンタゴニストがエプレレノン、
中性エンドペプチダーゼ阻害剤がカンドキサトリルまたはシノルファン、
デュアルアンギオテンシン変換酵素/中性エンドペプチダーゼ(ACE/NEP)阻害剤がオマパトリラート、
エンドセリンレセプターアンタゴニストがボセンタン、
利尿剤がヒドロクロロチアジド
(いずれの場合も、その薬学的に許容される塩を含む。)
である、請求項2記載の組み合わせ、請求項6記載の方法、請求項7記載の使用、請求項8記載の複数の部分のキット。
【請求項10】
(S)−1−{2−[5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル−アミノアセチル)−2−シアノ−ピロリジンまたは(S)−1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジンまたはその薬学的に許容される塩およびバルサルタンまたはその薬学的に許容される塩またはアリスキレンまたはその薬学的に許容される塩を含む、請求項2記載の組み合わせ、請求項7記載の使用、請求項8記載の複数の部分のキット。

【公開番号】特開2010−90173(P2010−90173A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10967(P2010−10967)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【分割の表示】特願2004−506803(P2004−506803)の分割
【原出願日】平成15年5月28日(2003.5.28)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】