説明

DRM変換装置およびDRM変換方法

【課題】
安全性または変換処理速度を考慮したDRM変換技術を提供する。
【解決手段】
複数種類のDRM変換に対応可能なDRM変換装置において、第1の種類のDRMから第2の種類のDRMへの複数の変換経路を示す変換経路情報を格納する記憶部と、第1の種類のDRMを第2の種類のDRMに変換するとき、変換経路情報に示された複数の変換経路のうちから変換経路を選択する変換経路選択部と、変換経路選択部により選択された変換経路で第1の種類のDRMを第2の種類のDRMに変換する変換部と、を備える。変換経路選択部は、それぞれの変換経路に関する評価値に基づいて変換経路を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,DRM変換装置およびDRM変換方法に関し、特に、複数のDRMの変換経路の選択に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DRM(Digital Rights Management)は広義にはデジタルコンテンツを安全に流通させるための技術の総称であり、狭義には特定の暗号化技術,コピー制御技術を指す。DRMにおいてはデジタルコンテンツを利用するための利用許諾条件が定められており、利用許諾条件に合致するユーザのみがコンテンツを利用することができる。
【0003】
しかしながら、現状では複数種類のDRM間には互換性がない。なぜならば,DRM毎に目的とする用途や用法が異なっており,それに従ってDRM毎に利用許諾条件の内容が異なるからである。
【0004】
これを解決するための例として、複数のDRMが適用されたデジタルコンテンツに対応可能なマルチDRM対応システムがある(特許文献1)。特許文献1記載の技術では、複数のDRMに対応するためにそれぞれのDRMの利用許諾条件の項目を包含する中間的フォーマットを作成し、変換元のDRMを中間フォーマットに変換し、この中間フォーマットから変換先のDRMに変換する。
【0005】
また、他の例として,DRM間で利用許諾情報の写像を行う際に,対応がとれない利用許諾条件に関しては,そのDRMコンテンツ内に拡張領域を設けて保持するDRM対応システムがある(非特許文献1)。非特許文献1記載の技術では、利用許諾条件をDRM方式毎に特化したものと共通形式で記述したものとの変換ルールを設け,相互に写像可能な状態にしておく。変換元DRMから共通形式に利用許諾条件を写像し,共通形式から変換先DRMに利用許諾条件を写像することで,複数のDRM間において利用許諾条件の写像を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-297451号公報
【非特許文献1】Yeonjeong Jeong, Jihyun Park, Jeonghyun Kim, Kisong Yoon, Electronics and Telecommunications Research Institute, “DRM CONTENT ADAPTATION SCHEME BETWEEN DIFFERENT DRM SYSTEMS FOR SEAMLESS CONTENT SERVICE”, pp.867-870, IEEE 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および非特許文献1記載の技術では、変換経路の安全性、変換処理速度等を考慮した最適経路でDRMを変換することは考慮されていない。
【0008】
例えば、特許文献1では、DRM方式を別のDRM方式に変換する場合に、DRM方式の変換が1段階しか考慮されておらず、3つのDRM方式DRM1、DRM2、DRM3において、DRM1はDRM2へ変更可能であり、DRM2はDRM3へ変換可能であっても、DRM1の適用されたコンテンツをDRM3へ変換することは考慮されていない。この際、変換経路の安全性、変換処理速度等は考慮されていない。
【0009】
また、例えば、非特許文献1では、DRM方式を別のDRM方式に変換する場合に、中間DRMに変換するため、二つのDRM方式DRM1、DRM2において、DRM1をDRM2に変換する場合、DRM1を中間DRMに変換し、中間DRMをDRM2に変換するため、DRM1をDRM2に直接変換するよりも、DRM1から中間DRMへの変換あるいは中間DRMからDRM2への変換の処理負荷が大きい場合、処理負荷がより大きくなる、という課題がある。また、この際、変換経路の安全性、変換処理速度等は考慮されていない。
【0010】
本発明は、DRM変換時の安全性または変換処理速度を考慮した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、複数種類のDRM変換に対応可能なDRM変換装置において、第1の種類のDRMから第2の種類のDRMへの複数の変換経路を示す変換経路情報を格納する記憶部と、第1の種類のDRMを第2の種類のDRMに変換するとき、変換経路情報に示された複数の変換経路のうちから変換経路を選択する変換経路選択部と、変換経路選択部により選択された変換経路で第1の種類のDRMを第2の種類のDRMに変換する変換部と、を備える。変換経路選択部は、それぞれの変換経路に関する評価値に基づいて変換経路を選択する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、DRM変換時の安全性または変換処理速度を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態のマルチDRM対応化装置110と外部システムとのデータのやりとりを表すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態内におけるデータ群と処理機構を表すブロック図である。
【図3】利用許諾条件取得処理部101の処理手順を表すフローチャートである。
【図4】DRM変換処理システム211の処理手順を表すフローチャートである。
【図5】DRM変換指示受信処理S402の処理手順を表すフローチャートである。
【図6】利用許諾条件共通化処理S403の処理手順を表すフローチャートである。
【図7】変換経路取得処理S404の処理手順を表すフローチャートである。
【図8】変換経路選択処理S405の処理手順を表すフローチャートである。
【図9】DRMフォーマット転送部209の処理手順を表すフローチャートである。
【図10】リモートシステム転送処理S1104の処理手順を表すフローチャートである。
【図11】利用許諾条件131写像処理S906の処理手順を表すフローチャートである。
【図12】変換方法138のデータ構造を表す表である。
【図13】利用許諾条件DB204のデータ構造を表す表である。
【図14】DRM変換可能テーブル205のデータ構造を表す表である。
【図15】DRM保持情報テーブル206のデータ構造を表す表である。
【図16】ローカルシステム対応DRM一覧207のデータ構造を表す表である。
【図17】リモートシステム対応DRM一覧208のデータ構造を表す表である。
【図18】利用許諾条件共通化方式DBのデータ構造を表す表である。
【図19】ローカルシステムとリモートシステムの相違を説明する概念図である。
【図20】マルチDRM対応化装置群150を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は,本発明の実施形態のマルチDRM対応化装置110と外部システムとのデータのやりとりを表すブロック図である。マルチDRM実現システム120は,マルチDRM対応化装置110と,マルチDRM対応化装置110にDRMコンテンツ136を与えるアンテナ140と,マルチDRM対応化装置によって変換された目標DRM(DRM e)137を再生するDRMコンテンツ再生機器141とからなる。また,マルチDRM対応化装置110は,DRM変換システム100に対してDRMコンテンツ136から利用許諾条件131を抽出して出力する利用許諾条件取得処理部101と,各DRMから変換可能であるDRMを表す各DRM変換可能性データ132や各DRMが保持するフィールド情報に関するデータである各DRM保持情報データ133を出力するDRM情報取得処理部104と,ローカルのシステムがどのようなDRMに対応しているかに関するデータであるローカルシステムDRM対応データ134やリモートのシステムがどのようなDRMに対応しているかに関するデータであるリモートシステムDRM対応データ135を出力する対応DRM取得処理部102と,利用許諾条件131を共通化するための利用許諾条件共通化方式139を出力する利用許諾条件共通化方式取得部105と,DRM変換システム100に対してDRMの変換方法138に関する指示を行うDRM変換指示部103からなる。
【0015】
なお,ローカルシステム1906とは,図19に示すように単一のマルチDRM対応化装置110が耐タンパ性が保証された回線1904で接続されたものを意味する。ローカルシステム1906の例としては,単一のDRMコンテンツ再生機器や,単一のソフトウェアパッケージ,単一のDRM処理用LSIなどが挙げられる。また,リモートシステム1907とは,ローカルなシステム間を接続する際に,耐タンパでない回線1905を経由しなければならないものを指す。マルチDRM対応化装置110はネットワークによって複数接続されており,複数のマルチDRM対応化装置110が相互に接続されたネットワークをマルチDRM対応化装置群150と定義する。
【0016】
また、図20は,本発明の実施形態のマルチDRM対応化装置群150を説明するための図である。本発明の実施形態のマルチDRM対応化装置群150は,HDDレコーダ(2001)2台と,耐タンパでない回線1905から成り,HDDレコーダ2001同士が耐タンパでない回線1905を介して接続されている。HDDレコーダ2001は,本発明の実施形態のマルチDRM対応化装置110である。前記のDRM対応化装置群150において,一方のHDDレコーダ2001をローカルシステム1906とし,他方のHDDレコーダ2001をリモートシステム1907とする。
【0017】
図14はDRMの変換可能テーブル205のデータ構造を説明する図である。DRMの変換可能テーブル205の列が変換元DRMを表し,行が変換先DRMを表す。変換元から変換先にDRMの変換がDRMの利用法の規定で許可されているならば○を,許可されていないならば×を,変換元と変換先が同一である場合は−を記述して作成された表である。前記の各DRM変換可能性データ132とは,DRMの変換可能テーブル205の行に対応するデータである。このデータにより,各DRMから他のDRMに変換する際に,どのDRMへの変換がDRMの利用法の規定で許可されているかを知ることが可能である。
【0018】
図15はDRM保持情報テーブル206のデータ構造を説明する図である。DRM保持情報テーブル206の列がDRMの種類を表し,DRMが扱う利用許諾条件131の項目を表している。各DRMにおいて,当該利用許諾条件131の項目が規定されている場合は○を,規定されていない場合は×を記述して作成された表である。前記の各DRM保持情報データ133とは,DRM保持情報テーブル206の行に対応するデータである。このデータにより,各DRMが有する利用許諾条件131の項目を知ることが可能である。
【0019】
図16はローカルシステム対応DRM一覧207のデータ構造を表す図である。ローカルシステム対応DRM一覧207の列が変換元DRMを表し,行が変換先DRMを表す。ローカルシステム1906において変換元から変換先にDRMの変換が可能ならば○を,が可能ではないならば×を,DRMの使用法の規定において変換が許可されていないならばnot allowedを,変換元と変換先が同一である場合は−を記述して作成された表である。ローカルシステムDRM対応データ134とは,ローカルシステム対応DRM一覧207の行に対応するデータである。ローカルシステム対応DRM一覧207を用いることで,前記マルチDRM対応化装置群150において,HDDレコーダ自身が,どのようなDRM変換を行うことが可能であるかを知ることが可能となる。
【0020】
図17はリモートシステム対応DRM一覧208のデータ構造を表す図である。リモートシステム対応DRM一覧208の各リモートシステムについて列が変換元DRMを表し,行が変換先DRMを表す。リモートシステム1907において変換元から変換先にDRMの変換が可能ならば○を,可能ではないならば×を,DRMの使用法の規定において変換が許可されていないならばnot allowedを,変換元と変換先が同一である場合は−を記述して作成された表である。リモートシステムDRM対応データ135とは,リモートシステム対応DRM一覧208の各リモートシステムの行に対応するデータである。リモートシステム対応DRM一覧208を用いることで,前記マルチDRM対応化装置群150において,あるHDDレコーダは,他のHDDレコーダがどのようなDRM変換を行うことが可能であるかを知ることが可能となる。
【0021】
図18は,利用許諾条件共通化方式DB212のデータ構造を表している。利用許諾条件共通化方式DB212の列はDRMの種類を表し,行は利用許諾条件131の項目を表す。共通化について以下に述べる。各DRMが保持する情報は,同じ内容を意味する情報であってもDRMによって名称や格納方式が異なっている場合がある。異なった形式のままでは変換の際にDRM間で情報の差異を比較する場合に困難が生ずる。これを避けるため,利用許諾条件131を共通形式に変換するための変換方式を作成し,作成した変換方式一覧にしたデータの例が利用許諾条件共通化方式DB212に示されている。利用許諾条件共通化方式139とは,利用許諾条件共通化方式DB212の行に対応するデータである。利用許諾条件共通化方式DB212において,利用許諾条件131の項目の変換の必要が無い場合はNo Transを,当該DRMがその利用許諾条件131項目を保持していない場合は−を,利用許諾条件131の項目の情報の格納方式を共通化するために必要な変換方式が存在する場合はB2’やB2’’のように当該変換方式の名称を記述して作成した表である。変換方式の例として,コンテンツのコピーに関する制限を加える利用許諾条件131において,同じコピー制限の内容を表すにもかかわらず,DRM 1では”One Generation”,DRM 2では”One Gene”という値を格納するように規定されていたとする。このとき,これらの情報を”One Generation”に統一するものとする。このとき,DRM 1に対しては既に”One Generation”という情報の形式になっているから変換が必要なく,No Transを利用許諾条件共通化方式DB212の当該DRMの当該利用許諾条件131の項目のセルに格納する。DRM 2に対しては,”One Generation”に共通化するのに対し,”One Gene”と規定されていることから,”One Gene”から”One Generation”への変換が変換方式として作成されていることになる。利用許諾条件共通化方式DB212で示される変換方式を用いて利用許諾条件131の共通化がなされる。”One Gene”から,”One Generation”への変換をB1’のように名称を付け,利用許諾条件共通化方式DB212の当該DRMの当該利用許諾条件131の項目のセルに格納する。
【0022】
図12は,変換方法138のデータ構造を表す表である。変換方法138とは,DRM変換システム100に対する情報である。変換方法138における最適化項目とは,変換所要時間,安全性など,DRM変換を行う際に重視すべき項目をDRM変換システム100に対して通知するための項目である。また,変換目標DRM(DRM e)137とは,どのようなDRMに変換するかという情報をDRM変換システム100に対して通知するための項目である。変換目標DRM(DRM e)137の入力に関しては目的に応じて必須の場合と必要ない場合があるが,本実施例では,変換目標DRM(DRM e)137が入力必須であるとする。変換を行うシステムの識別子とは,ローカルシステムとリモートシステムを含めたマルチDRM対応化装置110において,DRM変換を行うシステムを識別するための情報である。本実施例では,2台のHDDレコーダそれぞれにIDが振っており,HDDレコーダは互いにIDによってお互いを識別可能であるとする。このとき,変換を行うシステムの識別子に自身のIDが格納されていれば,自身がDRM変換を行うことを意味し,他方のHDDレコーダのIDが格納されていれば,他方のHDDレコーダにDRM変換を委託する必要があることを意味している。なお,変換を行うシステムの識別子は,システム作動時には空にする。
【0023】
図13は利用許諾条件DB204のデータ構造を説明する図である。各行はコンテンツIDに対応するコンテンツの利用許諾条件項目の設定の有無を示しており、設定されている場合は○、されていない場合は×が記述されている。例えば、コンテンツID Content C1に対応するコンテンツは、利用許諾条件項目Info B1、Info B2が設定されているが、利用許諾条件項目Info B3は設定されていない。
【0024】
図1に戻り、利用許諾条件取得処理部101は,アンテナ140からDRMコンテンツ136を受け取り,利用許諾条件131に関するデータをDRMコンテンツデータ136から受け取り,コンテンツの識別子と関連付けてDRM変換システム100に出力する。DRM変換システム100は,利用許諾条件取得処理部101においてDRMコンテンツ136から抽出した利用許諾条件131を変換し,DRMコンテンツ再生機器が対応する目標DRM(DRM e)137に変換して出力する装置である。DRM情報取得処理部104は,各DRMから変換が許可されているDRM群を各DRM変換可能性データ132として受け取る。DRM群を受け取る方法としては,ユーザによる入力や,各DRMから変換が許可されているDRM群を保持するデータベースとの通信による入力などが考えられる。また,DRM情報取得処理部104は,各DRMにどのような利用許諾条件131の項目が含まれているかを取得し,各DRM保持情報データ133としてDRM変換システム100に出力する。各DRMに含まれる利用許諾条件131の項目の取得方法については,ユーザによる入力や,各DRMに含まれる利用許諾条件131の項目に関する情報を保持するデータベースとの通信による入力などが考えられる。対応DRM取得処理部102では,ローカルないしは,リモートに存在するシステムがどのDRM対応可能であるかに関するデータを入力し,ローカルが対応するDRM群をローカルシステムDRM対応データ134,リモートが対応するDRM群をリモートシステムDRM対応データ135として,DRM変換システム100に出力する。ローカルないしは,リモートに存在するシステムがどのDRM対応可能であるかに関するデータの取得方法については,ユーザによる入力や,ローカルないしは,リモートに存在するシステムがどのDRM対応可能であるかに関するデータを保持するデータベースとの通信による入力などが考えられる。DRM変換指示部103は,DRM変換システム100に対して変換方法138を送信し変換の指示を行う。変換方法138は図12に示した形式に従う。
【0025】
なお,変換目標DRM(DRM e)137の入力は任意であるが,本実施例では,変換目標DRM(DRM e)137が入力されているものとする。利用許諾条件共通化方式取得処理部105は,DRM変換システム100に対して,利用許諾条件共通化方式139を出力する。利用許諾条件共通化方式139は,図18に示される形式で指定される。利用許諾条件共通化方式の取得方法については,ユーザによる入力や,利用許諾条件共通化方式を保持するデータベースとの通信による入力などが考えられる。本実施例では,各HDDレコーダは,自身と他方のHDDレコーダがどのようなDRMに変換可能であるかをユーザからの指示により,ローカルシステム対応DRM一覧207およびリモートシステム対応DRM一覧208として保持しているものとする。
【0026】
図2は,本発明の実施形態内におけるデータ群と処理機構を表すブロック図であり,DRM変換システム100に関する説明である。DRM変換システム100は,DRM変換用データ群210とDRM変換処理システム211から構成される。DRM変換用データ群210は,利用許諾条件DB204と利用許諾条件共通化方式DB212とDRM変換可能テーブル205とDRM保持情報テーブル206とローカルシステム対応DRM一覧207とリモートシステム対応DRM一覧208から構成される。DRM変換処理システム211は変換経路選択処理部202とDRM用フォーマット生成部203とDRMフォーマット転送部209から構成される。
【0027】
ここで、DRM変換処理システム211の変換経路選択処理部202、DRM用フォーマット生成部203、DRMフォーマット転送部209はハードウェアでもソフトウェアでも良い。ハードウェアである場合には、変換経路選択処理部202、DRM用フォーマット生成部203、DRMフォーマット転送部209のそれぞれが、DRM変換用データ群210に格納された各データを読み出して必要な処理を実行する。また、ソフトウェアである場合には、CPU等の演算装置がソフトウェアである変換経路選択処理部202、DRM用フォーマット生成部203、DRMフォーマット転送部209を読み出し、DRM変換用データ群210に格納された各データを読み出して適宜処理を実行する。また、DRM変換用データ群210は、例えばHDDや不揮発性メモリ等の記憶装置に格納されるものとする。
【0028】
利用許諾条件DB204は,利用許諾条件取得処理部101が受信したDRMコンテンツの利用許諾条件131を入力させ,データベースとして保持する。利用許諾条件共通化方式DB212は,利用許諾条件共通化方式取得処理部105から送信された利用許諾条件共通化方式139を入力させ,データベースとして保持する。DRM変換可能テーブル205は,DRM情報取得処理部104が受信した各DRM変換可能性データ132を入力させ,データベースとして保持する。DRM保持情報テーブル206はDRM情報取得処理部104が受信した各DRM保持情報データ133を入力させ,データベースとして保持する。ローカルシステム対応DRM一覧207は,対応DRM取得処理部102が受信した対応可能なDRMシステムのうち,ローカルなシステムで対応可能なDRMを表すローカルシステムDRM対応データ134を入力させ,データベースとして保持する。リモートシステム対応DRM一覧208は,対応DRM取得処理部102が受信した対応可能なDRMシステムのうち,リモートシステムが対応しているDRMを表すリモートシステムDRM対応データ135を入力させ,データベースとして保持する。
【0029】
変換経路選択処理部202は,DRM変換指示受信処理部103から変換方法138の指示を受け取り,最終的なDRMに変換するために必要な1つ,ないしは複数のDRM間の変換経路を導出する。また,DRMの変換経路にどのような組み合わせが考えられるかについてDRM変換可能テーブル205を用いて判断し,DRM保持情報テーブル206を用いてDRM間の利用許諾条件131の項目の差異など指標として経路を評価する。なお,利用許諾条件131の項目の差異を評価するために予め利用許諾条件共通化方式DB212で示される利用許諾条件共通化方式139を用いて,すべてのDRMの利用許諾条件131が共通化された利用許諾条件131で表示されているものとする。
【0030】
DRM用フォーマット生成部203は,変換経路選択処理部202で導出された変換経路を元に,利用許諾条件DB204に格納されている利用許諾条件131を変換先のDRMの利用許諾条件131の項目に写像する。そして,利用許諾条件共通化方式DB212の共通化方式の逆変換を行うことで,目標DRM(DRM e)137が生成される。DRMフォーマット転送部209では,ローカルシステムでDRM変換が完結しない場合にリモートへDRM付きコンテンツを転送するが,その転送の際に必要となる情報の付加や転送先決定に関する処理を行う。
【0031】
図2において,変換経路選択処理部202は,変換方法指示受信処理部103より変換方法138,つまり変換時に最適化項目(処理速度,安全性など)と変換目標とするDRMの種類(DRM e)と変換を行うシステムの識別子を受け取る。また,利用許諾条件DB204から,変換元DRMのコンテンツの利用許諾条件131を受け取る。変換経路選択処理部202は,直接,あるいはいくつかのDRMを経由して受け取った変換先のDRMに到達することが可能であるか否かをDRM変換可能テーブル205から判断する。そして,変換先のDRMに到達する経路をすべて列挙する。さらに,変換経路選択処理部202は,DRM保持情報テーブル206を利用して,DRMの変換経路全てに関して,評価値を算出する。算出された評価値は,利用許諾条件131の項目の差異などを元に,DRMの変換時に最適化項目として指定した内容についてどれだけ適切であるかに対する指標となる。
【0032】
評価値の算出式としては,最適化項目が安全性であれば,DRMの変換経路で用いられる暗号手法における鍵長の総和などが挙げられる。暗号時に用いる鍵のビット数を鍵長と呼ぶが,この鍵長が長いほど鍵自体の解析が困難であり,鍵長の総和は安全性の指標になりうるからである。次に,この評価値が最もよいものを変換経路として選択する。次に,変換経路選択処理部202はDRMフォーマット転送処理S901により、ローカルシステム対応DRM一覧115を利用して,ローカル内で変換が完了するか否かを判断する。変換経路選択処理で選択されたDRMの変換経路がローカル内で対応できない場合は,リモートシステム転送処理S904を行い,DRMの変換が可能なシステムに転送を行う。
【0033】
本実施例では,あるHDDレコーダに対してDRMコンテンツ136と変換方法138の受信があった場合,当該HDDレコーダは自身がDRM変換を行う場合と他方のHDDレコーダに変換を委託する場合と,自身が中間地点のDRM mまで変換を行い,DRM mから目標とするDRM eまでの変換を他方のHDDレコーダに委託する場合のすべてを含めて可能なDRM変換の経路を列挙し,列挙した全ての変換経路を評価して変換方法136で指定されている最適化項目をもっとも満たしているDRM変換経路を決定する。決定した変換経路において,あるHDDレコーダだけではすべてのDRM変換を行えないために,他方のHDDレコーダ,つまり,リモートシステムのDRM変換機能も必要な場合は,中間地点まで変換を行ったDRM mをリモートシステムのHDDレコーダに転送する。そして,リモートシステムのHDDレコーダにおいて,中間地点まで変換を行ったDRM mから目標とするDRM eまでの変換を行う。このとき,リモートシステムではDRM変換指示処理部138がローカルシステム1906において変換経路を導出済みであることをリモートシステムにおけるDRM変換システム100に対して通知する手段をもつことで,変換経路選択処理部202における変換経路選択のためのステップをスキップするものとする。変換経路選択処理のためのステップ及び,リモートシステム1907において変換経路が導出済みであることを判断する手法に関しては後述する。
【0034】
図3は,利用許諾条件取得処理部101におけるDRM付きコンテンツの処理フローについて表したフローチャートである。利用許諾条件取得処理部101は,DRM付きコンテンツを受信し(S302),DRMの仕様を用いてDRMの種類と利用許諾条件131を抽出する(S303)。抽出したDRMの種類と利用許諾条件131は利用許諾条件DB204に格納する(S304)。
【0035】
図4は,DRM変換処理システム211の処理手順を表したフローチャートである。DRM変換処理では,DRM変換指示を受信する(S402)。次に,DRM変換指示受信処理S402にて受信したDRM変換方法138のデータ構造から変換を行うシステムの識別子を取り出し,識別子が空でないならば処理を終了する。空の場合は以下の変換経路選択のためのステップに進む。まず,利用許諾条件共通化処理を行う(S403)。利用許諾条件共通化処理(S403)は,異なるDRMでは,同様の制約条件を与える利用許諾条件131の項目であっても異なった名称がつけられている可能性があるが,複数のDRM間でDRMが保持している情報の比較検討を目的として,保持している内容が同じ利用許諾条件131の項目に該当するならば,共通の形式に変換して扱うための処理である。なお,この利用許諾条件131変換方式は,利用許諾条件131変換方式DB212に格納されている。次に,変換経路取得処理を行う(S404)。これは,最終的なDRMに変換するために必要な1つ,ないしは複数のDRM間の変換経路を導出する処理手順である。次に,変換経路選択処理を行う(S405)。
【0036】
図5は,DRM変換指示処理S402の処理手順を表したフローチャートである。DRM変換指示受信処理では,ユーザまたは,システムより変換先DRMの種類DRM eを受け取る(S502)。次に,ユーザまたは,システムより最適化項目を受け取る(S503)。次にユーザーまたは,システムより変換を行うシステムの識別子を受け取る(S504)。
【0037】
図6は,利用許諾条件共通化処理S403の処理手順を表したフローチャートである。利用許諾条件共通化処理により,すべてのDRMで利用許諾条件131の内容を比較することが可能となる。手順としては,利用許諾条件DBからコンテンツの利用許諾条件131とDRMの種類を抽出する(S602)。次に利用許諾条件共通化方式DB212を用いて,S602で抽出したDRMに対応する利用許諾条件131変換方式を抽出する(S603)。利用許諾条件131変換方式をS602で抽出したDRMに適用することで,共通化された利用許諾条件131を得る(S604)。
【0038】
図7は,変換経路取得処理S404の処理手順を表したフローチャートである。この処理によって,DRM変換可能テーブル205を用いて,現在のDRMから,指定されたDRMに至るDRMのパスをすべて列挙することが可能となる。これを以下ではパスリストと呼ぶ。まず,変換元DRM aと変換目標DRM (DRM e)137とDRM aに至るまでの変換パスPaを入力する(S701)。変換経路取得処理S404は再帰関数であるが,初期状態ではDRM aに至るまでの変換パスPaはNULLの状態である。次に,入力されたDRM aとDRM eが等しいか否かを判定する(S702)。等しければ,Paをパスリストに追加し(S703),DRM aを抽出木から削除する(S704)。S702にて判定が偽だった場合や,S704が終了した場合は,DRM aを処理済であると設定する(S705)。次にDRM変換可能テーブル205を用いて,現在のDRM aから変換可能なDRM t1〜tnを全て抽出する(S706)。ここでnとは,変換可能なDRMの抽出された数を表す。S706で抽出したDRM群はDRM抽出木の葉に追加される。ここで,DRM抽出木とは,親に変換元のDRMを持ち,子に親から変換される可能性があるDRMを持つデータ構造である。このDRM抽出木を根から葉に向かって探索することで,葉のDRMに達するまでの変換パスを作成することができる。このことを利用して,各DRM t1〜tnに至るまでの変換パスPt1〜Ptnを作成する(S708)。そして,i = 1として(S709),ループで処理を行う。i番目のDRMであるDRM tiが処理済であるかを判定し(S710),処理済でなければ,変換元DRMをtiに設定し(S711),変換経路取得処理(S404)の再帰呼び出しを行う。そして,S710で判定が偽で合った場合や,1つ前の変換経路取得処理S404を終了した場合は,iをi+1に更新し(S712),更新したiがnより小さい場合はループ処理を行う。更新したiがnより小さい場合はパスリストを出力し(S714),変換経路取得処理S404を終了する。
【0039】
図8は,変換経路選択処理S405の処理手順を表したフローチャートである。まず,変換目標であるDRM(DRM e)と変換経路取得処理S404で作成したパスリストを入力する(S801)。次に,現在の評価値vcに初期値0を設定する(S802)。そして,パスリストからDRM経路を取り出し(S804),評価関数により評価値viを計算し(S806),より高い評価値が算出された場合は評価値を保存し(S808),選択したパスを最適パスとする(S809)。これをパスリストに含まれる全てのDRM経路に対して行い,パスリスト内における最適のDRM経路を出力する(S811)。
【0040】
図9は変換経路選択処理部202のDRMフォーマット転送処理S901の処理手順を示したフローチャートである。変換経路選択処理部202は、DRMフォーマット転送処理(S901)において、現在のDRM iと変換先のDRM eを受け取り、ローカルシステム対応DRM一覧207により、DRMsとDRMeにローカルシステムが対応しているかどうかを判断し(S902)、対応している場合はDRMフィールド写像処理(S903)を行い、対応していない場合はリモートシステム転送処理(S308)を行う。
【0041】
図10は,リモートシステム転送処理S308の処理手順を表したフローチャートである。まず,現在のDRM iと変換先のDRM eを受け取る(S1002)。次に,変換経路選択処理S405で選択した経路においてDRM i以降のDRMの種類を全て抽出する(S1003)。次に,リモートシステム対応DRM一覧から,S1003で抽出したDRMに対応するリモートシステムを抽出する(S1004)。このときS1003で抽出したDRMに対応するリモートシステムが存在しない場合は,転送失敗であり,選択可能経路を更新する(S1009)。リモートシステムが存在した場合は,転送先のDRMに合うようにDRMの利用許諾条件131を写像し(S1006),システムフォーマットを生成する(S1007)。ここでシステムフォーマットとは,DRMコンテンツの末尾に図12で示される変換方法138のデータ構造を追加してカプセル化したデータ構造を指す。これをリモートに転送することにより(S1008),リモートシステムが受信したシステムフォーマットを目標DRM(DRM e)137に変換することを可能とする。すなわち,システムフォーマットを受信したリモートシステムが当該システムにおいて受信したシステムフォーマットにおけるDRM eに至るまでの変換を行うシステムの識別子に従って目標DRM(DRM e)137への変換を行うことで,目標DRM(DRM e)137への変換が達成される。リモートシステムは,受信したデータにおいて,DRM eに至るまでの変換を行うシステムの識別子が空でないことから経路がすでにローカルシステム1906において導出済みであることを判断することが可能である。本実施例では,HDDレコーダは,最適化項目と,目標とするDRM eと,DRM eに至るまでの変換を行うシステムの識別子として他方のHDDレコーダの識別子をDRMコンテンツとともにカプセル化し,他方のHDDレコーダ(リモートシステムのHDDレコーダ)に転送する。リモートシステムのHDDレコーダでは,付加された情報を閲覧することにより,目標とするDRM eに変換するHDDレコーダが自身であることを判断することが可能である。
【0042】
図11は,利用許諾条件写像処理S906の処理手順を表すフローチャートである。まず,目標DRMと変換元のDRMの利用許諾条件131の項目をDRM保持情報テーブル206から取得する(S1102)。次に,変換元DRMの利用許諾条件131の項目を変換先DRMの対応する利用許諾条件131の項目に写像する(S1103)。次に,利用許諾条件共通化方式DB212から共通方式で記述された利用許諾条件131を目標DRM(DRM e)137の形式に低号させる方式を取得する(S1104)。そして,S1103において写像した利用許諾条件131の項目をS1104で取得した方式を用いて目標DRM(DRM e)137に適合するように変換する(S1105)。
【0043】
上記では,HDDレコーダ同士による接続の実施例を挙げたが,HDDレコーダに限定されず,携帯電話や汎用計算機などあらゆるDRMコンテンツを扱う機器において本発明は適用可能である。
【0044】
上記では,2台のHDDレコーダすべてにマルチDRM対応化装置110に示す機能を備えているとしたが,どれか一台のHDDレコーダをマルチDRM対応化装置110に示す機能を提供するホストとし,他のすべてのHDDレコーダをマルチDRM対応化装置110に示す機能を利用するクライアントとしてネットワークを構築してもよい。
【0045】
上記では,2台のHDDレコーダすべてにマルチDRM対応化装置110に示す機能を備えているとしたが,マルチDRM対応化装置110に示す機能を備える汎用計算機をサーバとし,サーバとすべてのHDDレコーダをマルチDRM対応化装置110に示す機能を利用するクライアントとしてネットワークを構築してもよい。
【0046】
上記では目標とするDRM(DRM e)を指定したが,目標とするDRMを未定として,DRM変換指示を行ってもよい。その場合は,あらゆる変換可能なDRMを選出し,それぞれのパラメータに対する適合度を指標化して表示する。これにより,適したDRMを選出することに役立てることが可能である。
上記DRM変換可能性データ132は,DRMの使用法の規定において変換が許可されたDRM群を表していたが,DRM変換可能性データ132としては,当該製品の製品仕様書から当該製品が変換可能なDRM群としてDRM変換システム100に出力してもよい。これによって,DRMによって規定される変換のみを可能とするという条件をさらにせばめて,当該製品が可能である変換のみを可能とする条件を有することが可能である。また,変換可能性における全ての経路のDRMのライセンスを保持していない場合などに,ライセンスを保有しているDRM経路のみを通すといった用途にも適用可能である。
【0047】
上記では,ローカルシステム1906とリモートシステム1907を耐タンパ性の観点から分別したが,ソフトウェア作成時において,あるDRMを経由することによりソフトウェアを再利用することを目的としてローカルシステム1906とリモートシステム1907を分別してもよい。たとえば,DRM 1からDRM 2へ変換するソフトウェアが存在し,DRM 2からDRM 3へ変換するソフトウェアを作成するソフトウェアが存在した場合,DRM 1からDRM 3へ変換するソフトウェアを作成せずとも,本特許の仕組みに従ってDRM 1からDRM 2へ変換するローカルシステムとDRM 2からDRM 3へ変換するローカルシステム1906間をリモートシステム1907として接続するとみなせば,前述のローカルシステム1906間でDRM 2が送受され,結果としてDRM 1からDRM 3への変換が可能となり,ソフトウェアの再利用が達成される。
【0048】
以上のように、本発明の実施形態では,DRM変換はDRMが適用されたコンテンツの既存のスキームを変更せずに行われる。したがって,中間的フォーマットを定義した方式に見られるようなDRMの規定外の使用を排除することが可能である。また,独自形式のフォーマットが将来的な変更に対応できないことによるシステムの破綻を避けることも可能となる。なお,本発明の実施形態では複数のシステムにおいてDRMを経由して変換が必要なことを表すため,最終的に変換先とすべきDRMの種類やDRMの変換経路に関する情報を拡張領域に保存する可能性がある。しかし,拡張領域に保存する情報は,DRMの利用許諾条件に関するものではなく,本システム特有の情報であるため,仮に変換先DRMがどのDRMであるかという情報が流出してもコンテンツ自体への影響は発生せず,秘匿性も低下しない。したがって,拡張領域に利用許諾条件を格納する方式に見られたようなDRMの利用許諾条件自体の安全性に影響を与える危険性も排除できる。
【0049】
さらに本発明の実施形態では,独自フォーマットの排除に加えて,DRMの利用法の規定を遵守することを容易にする要素として,DRMの変換可能性を示したテーブルを用いて,直接ないしは間接的に変換可能なものに限定して行うというものがある。DRMの変換可能性とは,当該DRMが他のどのDRMに変換してよいかについて表したものである。各DRMは,他のどのDRMにも自由に変換を行ってよいわけではなく,DRMの利用法の規定において,変換先とすることが許可されるDRMを規定内において列挙している。規定内で変換可能と明示されていないDRMには変換してはならない。DRM変換可能性に基づいて,変換が許可されたDRM群に限定してDRM変換を行うことにより,各DRMにおけるDRMの利用法を規定で許可されない変換のDRM群を排除ことが可能となる。
【0050】
本発明の実施形態では,DRM変換の際,直接的に現在のDRMから目的のDRMへの変換を行うだけでなく,変換経路の中間地点にDRMを設け,それを経由して目的のDRMへ間接的に変換することも可能としているため,中間的フォーマットを通さなくても変換方式の総数の過剰な増加を避けることが可能となる。たとえば,DRM間において単純に直接的な変換だけを考慮する場合は,DRMの順列の総数だけ変換システムが必要となる。しかし,本発明の実施形態において,間接的な変換において経由するDRMをDRM mとすると,DRM mがn個のDRMと対応するシステムが存在した場合,新たに変換するDRM m’はDRM mとの間の変換を可能とするシステムを構築すれば,自動的にDRM mから派生するn個のDRMとの変換も可能になる。
【0051】
また,本発明の実施形態では,前記の直接的な変換と間接的な変換により,変換元DRMから変換先DRMへの経路を複数通り可能とした。また,複数の経路を評価する手法を導入し,望ましい変換を選択できるようにした。
【0052】
また,本発明の実施形態では,ローカルシステムとリモートシステムがどのようなDRM変換に対応できるかに関する一覧を各システムにおいて保持し,それを参照することで,既存のDRM変換システムの汎用性と再利用性を提供することを可能とした。
【0053】
なお、機器が変換可能性における全ての経路のDRMのライセンスを保持していない場合などに,ライセンスを保有しているDRM経路のみを経由することが可能である。また,既存の複数の機器を利用して,DRM変換を行うことが可能である。機器間のコンテンツの授受は,DRMがかけられた状態そのもので授受されるため,DRMの利用法の規定を完全に遵守した状態で授受される。また,直接ないしは,間接的なシステムを統合するという性質をもって,コンビニエンスストアなどで,DRM変換サービスなどを提供することも可能になる。また,間接的に変換可能であるDRMにおいて,DRMの利用法を規定している文書において,明らかに変換が可能であるにもかからず当該の記述がない場合,間接的な経路を経由した変換により,対応可能なDRMを増やすことが可能となる。たとえば,DRM 1からDRM 2への変換を許可している文書とDRM 2からDRM 3への変換を許可している文書が存在した場合は,明らかにDRM 1からDRM 3への変換が可能であるが,文書には明示されていないようなケースであっても本特許は適用可能である。また,最終的なDRMを指定する方法と,どのようなDRMでもよいから最適なDRMを選出する用途が考えられ,前者は使用メディアがはっきりしているエンドユーザ向けのシステムとして利用でき,後者は超流通に適したDRMを著作権者が模索するために適している。また,既存のシステムからコンテンツを受け取りDRMの変換を請け負うサーバがあれば,既存のシステムは結果的にあらゆるDRMに対応することが可能になる。すなわち,既存のシステムは,サーバにDRM付きのコンテンツを送出する機能を備えるだけでよい。サーバは既存のシステムが対応したDRMを知るために,公開資料を用いる方法や,コンテンツと共に対応DRMを伝達させる方法が考えられる。また,ユーザ同士がP2Pネットワークシステムを形成することにより,あらゆるDRMに対応可能となる可能性がある。当該DRM変換を行うシステムをリモートシステムとして機能させれば, 様々なDRMに対応可能となる。
【符号の説明】
【0054】
100 DRM変換システム
101 利用許諾条件取得処理部
102 対応DRM取得処理部
103 DRM変換指示受信処理部
104 DRM情報取得処理部
105 利用許諾条件共通化方式取得処理部
110 マルチDRM対応化装置
120 マルチDRM実現システム
131 利用許諾条件
132 各DRM変換可能性データ
133 各DRM保持情報データ
134 ローカルシステムDRM対応データ
135 リモートシステムDRM対応データ
136 DRMコンテンツ
137 目標DRM(DRM e)
138 変換方法
139 利用許諾条件共通化方式
140 アンテナ
141 DRMコンテンツ再生機器
150 マルチDRM対応化装置群
202 変換経路選択処理部
203 DRM用フォーマット生成部
204 利用許諾条件DB
205 DRM変換可能テーブル
206 DRM保持情報テーブル
207 ローカルシステム対応DRM一覧
208 リモートシステム対応DRM一覧
209 DRMフォーマット転送部
210 DRM変換用データ群
211 DRM変換処理システム
212 利用許諾条件共通化方式DB
1904 耐タンパ性が保証された回線
1905 耐タンパでない回線
1906 ローカルシステム
1907リモートシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のDRM変換に対応可能なDRM変換装置において、
第1の種類のDRMから第2の種類のDRMへの複数の変換経路を示す変換経路情報を格納する記憶部と、
前記第1の種類のDRMを前記第2の種類のDRMに変換するとき、前記変換経路情報に示された複数の変換経路のうちから変換経路を選択する変換経路選択部と、
前記変換経路選択部により選択された変換経路で前記第1の種類のDRMを前記第2の種類のDRMに変換する変換部と、を備え、
前記変換経路選択部は、それぞれの変換経路に関する評価値に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換装置。
【請求項2】
請求項1記載のDRM変換装置において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路の安全性を示す評価値に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換装置。
【請求項3】
請求項2記載のDRM変換装置において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路で使用される暗号の鍵長に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換装置。
【請求項4】
請求項3記載のDRM変換装置において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路で使用される暗号の鍵長の総和が最大の変換経路を選択することを特徴とするDRM変換装置。
【請求項5】
請求項1記載のDRM変換装置において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路における変換処理速度に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換装置。
【請求項6】
請求項5記載のDRM変換装置において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路における変換処理速度が最大の変換経路を選択することを特徴とするDRM変換装置。
【請求項7】
請求項1記載のDRM変換装置において、
前記変換経路選択部は、第1の種類のDRMを第2の種類のDRMに変換するとき、前記第1の種類のDRMを中間フォーマットのデータに変換した後、前記中間フォーマットのデータを前記第2の種類のDRMに変換することを特徴とするDRM変換装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載のDRM変換装置において、
前記変換経路に関する評価値は、前記DRMが適用されるコンテンツデータに含まれていることを特徴とするDRM変換装置。
【請求項9】
複数種類のDRM変換に対応可能なDRM変換装置におけるDRM変換方法において、
前記DRM変換装置の変換経路選択部が、第1の種類のDRMを第2の種類のDRMに変換するとき、記憶部から前記第1の種類のDRMから前記第2の種類のDRMへの複数の変換経路を示す変換経路情報を読み出すステップと、
前記変換経路選択部が、前記読み出した複数の変換経路のうちから変換経路を選択するステップと、
前記DRM変換装置の変換部が、選択された変換経路で前記第1の種類のDRMを前記第2の種類のDRMに変換するステップと、を備え、
前記変換経路選択部は、それぞれの変換経路に関する評価値に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換方法。
【請求項10】
請求項9記載のDRM変換方法において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路の安全性を示す評価値に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換方法。
【請求項11】
請求項10記載のDRM変換方法において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路で使用される暗号の鍵長に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換方法。
【請求項12】
請求項11記載のDRM変換方法において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路で使用される暗号の鍵長の総和が最大の変換経路を選択することを特徴とするDRM変換方法。
【請求項13】
請求項9記載のDRM変換方法において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路における変換処理速度に基づいて変換経路を選択することを特徴とするDRM変換方法。
【請求項14】
請求項13記載のDRM変換方法において、
前記変換経路選択部は、前記それぞれの変換経路における変換処理速度が最大の変換経路を選択することを特徴とするDRM変換方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−262547(P2010−262547A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114102(P2009−114102)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】