説明

EL素子、導電膜形成用感光材料および導電膜

【課題】インジウムスズ酸化物(ITO)薄膜を導電膜として用いた場合と同等の輝度を有するEL素子、及びその導電膜の形成用感光材料を提供する。
【解決手段】支持体(21)上に、メッシュパターンを有する導電層(2)、蛍光体層(3)、反射絶縁層(4)および背面電極(5)をこの順で有するEL素子であって、前記導電層(2)の前記メッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、前記メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たすEL素子(1)。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL素子、導電膜形成用感光材料および導電膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な製造方法による導電膜が検討されている(例えば、特許文献1〜5参照)。この中で、ハロゲン化銀乳剤層を塗布し、該ハロゲン化銀乳剤層を、導電性のための銀の導電部と透明性の確保のための開口部とを有するパターン形状となるようにパターン露光することにより、導電膜として製造される銀塩方式の導電膜がある(例えば、特許文献6〜9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−13088号公報
【特許文献2】特開平10−340629号公報
【特許文献3】特開平10−41682号公報
【特許文献4】特公昭42−23746号公報
【特許文献5】特開2006−228469号公報
【特許文献6】特開2004−221564号公報
【特許文献7】特開2004−221565号公報
【特許文献8】特開2007−95408号公報
【特許文献9】特開2006−332459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の銀塩方式の導電膜は種々の用途が検討されており、本発明者は無機EL素子の面電極としての利用に着目して研究してきた。無機EL素子は、導電膜(透明電極)に対し、蛍光体層、反射絶縁層および背面電極が一体となったものとを貼り合せて形成したり、導電膜上に蛍光体層、反射絶縁層、背面電極、絶縁層を順次印刷して形成したりすることで得られる。しかしながら、この銀塩方式の導電膜を用いて無機EL素子を作製した場合には、インジウムスズ酸化物(ITO)を導電膜として用いた場合に比べて輝度が劣るものであった。
【0005】
本発明の目的は、ITO薄膜を導電膜として用いた場合と同等の輝度を有するEL素子、及びその導電膜の形成用感光材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、以下の発明によって達成された。
(1)支持体上に、メッシュパターンを有する導電層、蛍光体層、反射絶縁層および背面電極をこの順で有するEL素子であって、前記導電層の前記メッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、前記メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たすEL素子。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02
(2)前記の導電層のメッシュパターンの開口部の幅Xが100〜5000μmである、(1)項に記載のEL素子。
(3)前記の導電層のメッシュパターンの開口部の表面抵抗Yが106〜1015Ω/□である、(1)又は(2)項に記載のEL素子。
(4)前記の導電層のメッシュパターンの開口部が導電性微粒子を含有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のEL素子。
(5)前記導電性微粒子がアンチモンドープ酸化スズである、(4)項に記載のEL素子。
(6)前記の導電層のメッシュパターンの開口部が、導電性微粒子およびバインダーを1/33〜5/1の質量比で含有する、(4)又は(5)項に記載のEL素子。
(7)前記の導電層のメッシュパターンの開口部が、導電性微粒子およびバインダーを1/3〜5/1の質量比で含有する、(6)項に記載のEL素子。
(8)支持体上に、メッシュパターンを有する導電層を有する導電膜であって、前記導電層の前記メッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、前記メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たす導電膜。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02
(9)支持体上に銀塩含有乳剤層を有する導電膜形成用感光材料であって、前記銀塩含有乳剤層および銀塩含有乳剤層側のいずれかの層に導電性微粒子及びバインダーを含有し、当該層における前記バインダーの含有量が0.05〜0.5g/m2である導電膜形成用感光材料。
(10)前記バインダー量が0.05〜0.2g/m2である、(9)項に記載の導電膜形成用感光材料。
(11)前記導電性微粒子の含有量が0.05g/m2以上1g/m2以下である、(9)又は(10)項に記載の導電膜形成用感光材料。
(12)前記導電性微粒子の含有量が0.1g/m2以上0.5g/m2以下である、(11)項に記載の導電膜形成用感光材料。
(13)前記の銀塩含有乳剤層側のいずれかの層にコロイダルシリカを0.05〜0.3g/m2含有する、(9)〜(12)のいずれか1項に記載の導電膜形成用感光材料。
(14)(9)〜(13)のいずれか1項に記載の導電膜形成用感光材料をパターン露光し、現像処理することにより導電部が形成された導電膜。
なお、本発明における「銀塩含有乳剤層側」又は「導電層側」とは、透明支持体のバック面側の反対側であって銀塩含有乳剤層または導電層等が形成されている側をいう。
【発明の効果】
【0007】
本発明の導電膜形成用感光材料を用いれば、それをパターン露光後、現像処理することにより、高い導電性を有する導電膜を、メッキ処理を施すことなく低コストで製造できる。特に、高い導電性と透明性とを有する導電性材料(導電膜)を低コストで製造することができる。
本発明の導電膜形成用感光材料を用いて形成した導電膜を備えるEL素子は、ITO薄膜を導電膜として用いた場合と同等の輝度を有し、光学特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい一実施態様の無機EL素子の断面図である。
【図2】図1の無機EL素子における導電膜(透明電極)の拡大断面図である。
【図3】導電性微粒子含有層におけるバインダー量と輝度との関係を示すグラフである(実施例1)。
【図4】メッシュピッチと輝度との関係を示すグラフである(実施例2)。
【図5】導電性微粒子含有層(メッシュパターンの開口部)の表面抵抗と輝度との関係を示すグラフである(実施例3)。
【図6】メッシュパターンの開口部の幅と、メッシュパターンの開口部の表面抵抗との関係を示すグラフである(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の導電膜形成用感光材料は、支持体上に銀塩含有乳剤層を有する導電膜形成用感光材料であって、前記銀塩含有乳剤層および銀塩含有乳剤層側のいずれかの層に導電性微粒子及びバインダーを含有し、当該層(導電性微粒子含有層)におけるバインダーの含有量は0.05〜0.5g/m2である。本発明の導電膜形成用感光材料は、透明支持体上に実質的に銀塩含有乳剤層のみを有する実施形態、透明支持体上に銀塩含有乳剤層、導電性微粒子含有層を有する実施形態などが考えられる。透明支持体上に実質的に銀塩含有乳剤層のみを有する実施形態の場合、導電性微粒子およびバインダーは銀塩含有乳剤層に含有され、銀塩含有乳剤層が導電性微粒子含有層となる。
【0010】
本発明の導電膜形成用感光材料の各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[支持体]
本発明の導電膜形成用感光材料に用いられる支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などの透明支持体を挙げることができる。
支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)(融点:258℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN)(融点:269℃)、ポリエチレン(PE)(融点:135℃)、ポリプロピレン(PP)(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やトリアセチルセルロース(TAC)(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフィルム、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。
上記支持体の全可視光透過率は、70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、支持体として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
【0011】
[銀塩含有乳剤層]
本発明の導電膜形成用感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩乳剤を含む乳剤層(銀塩含有感光層)を有する。銀塩含有乳剤層(銀塩含有感光層)は、露光・現像により導電層となる。銀塩含有感光層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料などの添加剤を含有することができる。銀塩含有感光層は、特定形状のメッシュパターンで露光及び現像処理することで第一導電層を形成する。本発明における第一導電層は、好ましくはメッシュ状に形成された導電部分とそれ以外の開口部とを含む層である。乳剤層は2層以上設けてもよい。乳剤層の厚さは、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。
感光材料において、銀塩含有乳剤層は実質的に最上層に配置されている。ここで、「銀塩含有乳剤層が実質的に最上層である」とは、銀塩含有乳剤層が実際に最上層に配置されている場合のみならず、銀塩含有乳剤層の上に設けられた層の総膜厚が0.5μm以下であることを意味する。銀塩含有乳剤層の上に設けられた層の総膜厚は、好ましくは0.2μm以下である。
【0012】
(銀塩)
本発明に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩および酢酸銀などの有機銀塩が挙げられる。本発明においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においても用いることができる。銀塩含有乳剤層の銀塩の塗布量は、特に制限しないが、銀に換算して0.1〜40g/m2が好ましく、0.5〜25g/m2がより好ましく、0.5〜10g/m2がさらに好ましく、4〜8.5g/m2が特に好ましい。
【0013】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物等を含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよい。
また、高感度化のためにはK4[Fe(CN)6]やK4[Ru(CN)6]、K3[Cr(CN)6]のような六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3[Rh2Br9]等が挙げられる。
上記イリジウム化合物としては、K2[IrCl6]、K3[IrCl6]等のヘキサクロロイリジウム錯塩、ヘキサブロモイリジウム錯塩、ヘキサアンミンイリジウム錯塩、ペンタクロロニトロシルイリジウム錯塩等が挙げられる。
【0014】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤を製造する場合、その製造工程において、水洗・脱塩はアニオン性沈降剤を用いずに行うことが好ましい。アニオン性沈降剤を存在させることなく、pH操作のみによって乳剤を沈降させ、その上澄みを除去することによって水洗・脱塩を行うために、分散媒として化学修飾したゼラチンを用いることが好ましい。アミノ基の正の電荷を無電荷又は負の電荷に変えたゼラチンを分散媒として用いた場合、乳剤のpHを下げることのみで乳剤を沈降させることが可能となり、アニオン性沈降剤は不要となる。このようなゼラチンとしては、アセチル化、脱アミノ化、ベンゾイル化、ジニトロフェニル化、トリニトロフェニル化、カルバミル化、フェニルカルバミル化、スクシニル化、コハク化、フタル化等を施したゼラチン等がある。この中でも好ましいのは、フタル化ゼラチンを用いた場合である。フタル化ゼラチンを用いた場合、導電性の向上と塗布面状の向上とを両立することができる。
【0015】
(バインダー)
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーが用いられる。本発明において上記バインダーとしては、非水溶性ポリマーおよび水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。ゼラチンとしては、上述した化学修飾したゼラチンを用いてもよい。本発明では、ゼラチンを用いることが特に好ましい。
【0016】
乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。乳剤層中のバインダーの含有量は、Ag/バインダー体積比で1/10以上が好ましく、1/4以上がより好ましく、1/2以上がさらに好ましい。また、Ag/バインダー体積比は1/2〜10/1であることがさらに好ましい。1/2〜5/1であることが最も好ましい。
【0017】
(溶媒)
乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0018】
(その他の添加剤)
本発明に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、任意のものを好ましく用いることができ、例えば、増粘剤、酸化防止剤、マット剤、滑剤、帯電防止剤、造核促進剤、分光増感色素、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤などが挙げられる。また誘電率の高い物質を添加したり、表面を疎水性にするためにバインダーに疎水性基の導入・疎水性化合物を添加剤として添加してもよい。
【0019】
(導電性微粒子およびバインダー)
本発明の導電膜形成用感光材料は、銀塩含有乳剤層または銀塩含有乳剤層側のいずれかの層に導電性微粒子及びバインダーを含有する。なお、導電性微粒子を含有させる層(導電性微粒子含有層)が銀塩含有乳剤層側のいずれかの層である場合、その層は導電性材料を製造後、その導電層と電気伝導性を有すればその位置は特に制限されない。特に、銀塩含有乳剤層上に導電性微粒子およびバインダーを含有する層があることが好ましい。
【0020】
導電性微粒子含有層におけるバインダーの含有量は0.05〜0.5g/m2であり、好ましくは0.05〜0.3g/m2、より好ましくは0.05〜0.2g/m2である。バインダーの含有量が多い場合、導電性微粒子の含有量を多くしても導電性微粒子含有層の表面抵抗が十分に低下しない傾向があり、上記範囲にすることで導電性微粒子を必要以上に多くせずに、表面抵抗を十分に下げることができる。またバインダーの含有量が少なすぎる場合、製造工程に導電性微粒子が落ちる虞があり、工程管理上好ましくない。さらに、当該層におけるバインダーの含有量が多すぎる場合には輝度が下がるため好ましくなく、少なすぎる場合には導電性微粒子の分散が不安定になるため好ましくない。
【0021】
導電性微粒子含有層における導電性微粒子の含有量は、0.05〜1g/m2であることが好ましく、0.1〜0.5g/m2であることがより好ましく、0.2〜0.45g/m2であることがより好ましい。当該層における導電性微粒子の含有量が多すぎる場合には導電性微粒子の分散が不安定になるため好ましくない。また、少なすぎる場合には、当該感光材料をパターン露光し現像して形成されたメッシュパターンの導電部を有する導電膜において開口部が光らないことがあるため好ましくない。導電性微粒子含有層に含有される導電性微粒子及びバインダーの質量比(導電性微粒子/バインダー)は1/33〜5/1が好ましく、1/3〜5/1がより好ましい。
【0022】
本発明で用いられる導電性微粒子は、SnO2,ZnO,TiO2,Al23,In23,MgO,BaO,およびMoO3などの金属酸化物ならびにこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物にさらに異種原子を含む金属酸化物の粒子を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2,ZnO,TiO2,Al23,In23,MgOが好ましく、SnO2が特に好ましい。SnO2としては、アンチモンがドープされたSnO2が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO2が好ましい。本発明に用いる導電性微粒子の形状については特に制限はなく、粒状、針状等が挙げられる。導電性微粒子の粒子径は0.005〜0.12μmが好ましい。粒子径の下限値は、0.008μmがより好ましく、0.01μmがさらに好ましい。粒子径の上限値は、0.08μmがより好ましく、0.05μmがさらに好ましい。上記粒子径の条件を満たすことで、透明性に優れ、導電性の面内方向に均一な導電層を形成することができる。
導電性微粒子の粉体抵抗(9.8MPa圧粉体)の下限値は、0.8Ωcmが好ましく、1Ωcmがより好ましく、4Ωcmがさらに好ましい。導電性微粒子の粉体抵抗(9.8MPa圧粉体)の上限値は、35Ωcmが好ましく、20Ωcmがより好ましく、10Ωcmがさらに好ましい。上記粉体抵抗の条件を満たすことで、導電性の面内方向に均一な導電層を形成することができる。
比表面積(簡易BET法)は60〜120m2/gが好ましく、70〜100m2/gがより好ましい。これらの中でも、上記好適な条件をすべて満たしているものが特に好ましい。
また、導電性微粒子が球形の粒子の場合、平均粒子径は0.005〜0.12μmが好ましく、0.008〜0.05μmがより好ましく、0.01〜0.03μmがより好ましい(一次粒子径)。その粉体抵抗は0.8〜7Ωcmが好ましく、1〜5Ωcmがより好ましい。
針状の場合は平均軸長が、長軸0.2〜20μm、短軸0.01〜0.02μmが好ましい。その粉体抵抗は3〜35Ωcmが好ましく、5〜30Ωcmがより好ましい。
【0023】
銀塩含有乳剤層に導電性微粒子およびバインダーを含有させる場合、導電性微粒子の塗布量が0.05〜0.9g/m2であることが好ましく、0.1〜0.6g/m2であることがより好ましく、0.1〜0.5g/m2であることがさらに好ましく、0.2〜0.4g/m2であることが特に好ましい。
【0024】
本発明においては、導電性微粒子およびバインダーを、銀塩含有乳剤層以外の層を設けて含有させることもでき、銀塩含有乳剤層より上層でも下層でもよい。また、銀塩含有乳剤層と隣接する層に導電性微粒子とバインダーを含有させることも好ましい。ここで、乳剤層側の「上層」とは、透明支持体からより離れた表面層に近い側の層(あるいは表面層)をいい、「下層」とは透明支持体により近い側の層をいう。
導電性微粒子とバインダーを含有させる層が銀塩含有乳剤層とは別に設けられる場合(例えば、銀塩含有乳剤層の上層)、導電性微粒子の塗布量は0.1〜0.6g/m2であることが好ましく、0.1〜0.5g/m2であることがより好ましく、0.2〜0.4g/m2であることがさらに好ましい。導電性微粒子およびバインダーを含有させる層が、銀塩含有乳剤層よりも下層(例えば、下引層)のときは、導電性微粒子の塗布量が0.1〜0.6g/m2であることが好ましく、0.1〜0.5g/m2であることがより好ましく、0.16〜0.4g/m2であることがさらに好ましい。この場合にも、導電性微粒子含有層におけるバインダーの含有量は0.05〜0.5g/m2であり、好ましくは0.05〜0.3g/m2、より好ましくは0.05〜0.2g/m2である。
本発明においては、支持体上に、銀塩含有乳剤層、導電性微粒子含有層、保護層を有する実施形態であることが好ましい。保護層はバインダー(好ましくはゼラチン)および溶媒を含有する塗布液を用いて形成される。この場合、導電性微粒子含有層および保護層のバインダーの含有量の合計を0.05〜0.5g/m2とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3g/m2、さらに好ましくは0.05〜0.2g/m2である。保護層のバインダー含有量が多く過ぎる場合には、導電性微粒子層とそれに隣接する層との導電性が不十分となり、所望の効果が得られない場合がある。
【0025】
導電性微粒子の塗布量が前記上限値を超えると、透明性が実用的に不十分となり、透明導電フィルムとして不適となる傾向がある。さらに、導電性微粒子の塗布量が前記上限値を超えると、導電性微粒子の塗布工程において均一に分散させることが難しく、製造不良が増加する傾向がある。また前記下限値を未満であると、面内の電気特性が不十分となり、例えば、EL素子に使用した場合には輝度が実用的に不十分となる傾向がある。
【0026】
導電性微粒子を含有させる位置は銀塩含有乳剤層の上層であることが好ましく、これによりEL素子の輝度をより高くすることができる。これは、EL素子において蛍光体層により近くに存在する層中のバインダー含有量が、蛍光体にかかる電圧の誘電率に影響を与えるためであると考えられる。すなわち、乳剤層やその下層に導電性微粒子層を設け、これらの上に蛍光体層を設けて作製したEL素子は発光するものの、導電性微粒子層の上に設けられた乳剤層や保護層中のバインダーが存在するぶん輝度が低くなる。
【0027】
導電性微粒子含有層に含まれるバインダーは、導電性微粒子を支持体に密着させる作用を奏する。かかるバインダーとしては水溶性ポリマーを用いることが好ましい。上記バインダーとしては、例えば、乳剤層に使用されるバインダーと同様のものを使用することができる。
【0028】
[その他の層構成]
乳剤層の上に保護層を設けても良い。本発明において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する乳剤層上に形成される。その厚みは0.2μm以下が好ましい。保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法及び形成方法を適宜選択することができる。また、銀塩含有乳剤層よりも下に、例えば下引層を設けることもできる。
【0029】
〔導電膜〕
本発明の導電膜は、支持体(透明支持体が好ましい)上に、メッシュパターンを有する導電層を有する導電膜であって、前記導電層の前記メッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、前記メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たす。また下記(b)としては、より好ましくは下記(b1)であり、さらに好ましくは下記(b2)である。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02
式(b1) 105≦Y≦(1×1023)×X-4.02
式(b2) 105≦Y≦(3×1022)×X-4.25
【0030】
本発明に用いられる導電膜は、メッシュパターンの開口部の表面抵抗が上記条件を満たせばよく、前記導電膜形成用感光材料をパターン露光し、現像処理して得られるものが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0031】
本発明に用いられる導電膜において、導電層または導電層側のいずれかの層に導電性微粒子及びバインダーを含有する場合、導電層(第一導電層)としては、前記導電膜形成用感光材料をパターン露光し、現像処理して得られるもの、銅箔メッシュパターンを有する層、印刷方式により形成されたメッシュパターンを有する層が挙げられる。これらの第一導電層や第二導電層(導電性微粒子及びバインダーを含有する導電層側のいずれかの層、例えば保護層や下引層)以外に、さらに第二導電層に含有される導電性微粒子と異なる導電性微粒子を含有する層、ITOからなる層、導電性ポリマーを含有する層を設けてもよい。
【0032】
本発明に用いられる導電膜の第一導電層と第二導電層とは、以下の関係を満たすことが好ましい。このような関係を満たすことで、導電膜の面内の電気特性がより均一となり、無機EL素子としたときに面内全体で十分な輝度が得られる。
(1)第一導電層と第二導電層とでは、第一導電層の表面抵抗(surface resistivity)が小さい。
(2)第一導電層の表面抵抗は、1000Ω/sq以下(0.01Ω/sq以上)であり、第二導電層の表面抵抗は1×103Ω/sq以上(1×1014Ω/sq以下)である。
上記第一導電層の表面抵抗の上限値は、150Ω/sqであることがさらに好ましい。また上記第一導電層の表面抵抗の下限値は、0.1Ω/sqであることがさらに好ましく、1Ω/sqであることが特に好ましい。
上記第二導電層(導電性微粒子含有層)の表面抵抗の上限値は、1×1013Ω/sqであることがさらに好ましく、また上記第二導電層の表面抵抗の下限値は、1×108Ω/sqであることがさらに好ましく、1×109Ω/sqであることが特に好ましい。
【0033】
また、本発明に用いられる導電膜において、前記導電層にシリカを0.05〜0.3g/m2含有することが好ましい。シリカの含有量は、0.16g/m2以上がより好ましく、0.24g/m2以上がさらに好ましい。シリカの含有量は、0.5g/m2以下がより好ましく、0.4g/m2以下がさらに好ましい。シリカの含有量が多すぎる場合には、生産プロセスでシリカの分散が難しくなったり表面性が悪くなったりすることがある。
シリカとしては、コロイド状シリカ(コロイダルシリカ)を用いることが好ましい。
コロイダルシリカとしては、平均粒径が1nm以上1μm以下の無水ケイ酸の微粒子のコロイド(膠質)を指し、特開昭53−112732号、特公昭57−009051号、同57−51653号等に記載されているものを参考にすることができる。これらのコロイド状シリカはゾル−ゲル法で調製して使用することもできるし、市販品を利用することもできる。
コロイド状シリカをゾル−ゲル法で調製する場合には、Werner Stober et al.,J.Colloid and Interface Sci.,26,62-69(1968)、Ricky D.Badley et al.,Langmuir 6,792-801(1990)、色材協会誌,61〔9〕488-493(1988)等の記載を参考にして合成することができる。
また、市販品を使用する場合は、日産化学(株)製のスノーテックス−XL(平均粒径40〜60nm)、スノーテックス−YL(平均粒径50〜80nm)、スノーテックス−ZL(平均粒径70〜100nm)、PST−2(平均粒径210nm)、MP−3020(平均粒径328nm)、スノーテックス20(平均粒径10〜20nm、SiO2/Na2O>57)、スノーテックス30(平均粒径10〜20nm、SiO2/Na2O>50)、スノーテックスC(平均粒径10〜20nm、SiO2/Na2O>100)、スノーテックスO(平均粒径10〜20nm、SiO2/Na2O>500)等を好ましく使用することができる(いずれも商品名。ここでSiO2/Na2Oとは、二酸化ケイ素と水酸化ナトリウムとの含有質量比を、水酸化ナトリウムをNa2Oに換算して表したものであり、カタログに記載されている。)。市販品を利用する場合はスノーテックス−YL、スノーテックス−ZL、PST−2、MP−3020、スノーテックスCが特に好ましい。
【0034】
コロイド状シリカの主成分は二酸化ケイ素であるが、少量成分としてアルミナあるいはアルミン酸ナトリウム等を含んでいてもよく、さらに安定剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の無機塩基やテトラメチルアンモニウムのような有機塩基が含まれていてもよい。
また、コロイダルシリカとしては、特開平10−268464号公報記載の、太さ1〜50nm、長さ10〜1000nmの細長い形状を有するコロイド状シリカ、特開平9−218488号公報あるいは特開平10−111544号公報記載のコロイド状シリカと有機ポリマーとの複合粒子も好ましく用いることができる。
【0035】
以下、本発明の導電膜形成用感光材料をパターン露光し、現像処理して得られる導電膜の実施形態について詳述する。
本発明において、パターン露光・現像処理によって形成されるメッシュパターンは、メッシュ状で、且つ、直線が略直交した形態の直線格子パターンや、交差部間の導電部分が少なくとも1つの湾曲を有する波線格子パターン等がある。本発明では、導電層のメッシュパターンのピッチ(導電部分の線幅と開口部の幅の合計)が250〜1000μmであることが好ましい。導電部分の線幅は、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。線幅は、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。例えば、直線格子パターンでは、導電部分の線幅/開口部の幅、すなわち、ライン/スペースが、5/995〜10/595であることが好ましい。
本発明において、導電層のメッシュパターンの開口部の幅Xは50〜7000μmであり、100〜5000μmであることがより好ましく、200〜2000μmであることがさらに好ましい。
なお、本発明では、導電性が確保される範囲内で導電層上にさらに導電性ポリマーなどを塗布することにより、さらに高抵抗の透明導電層を形成してもよい。
【0036】
[露光]
銀塩含有乳剤層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
【0037】
[現像処理]
本発明の感光材料の現像処理は、銀塩含有層を露光した後、さらに現像処理が施される。上記現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
本発明では、上述のパターン露光及び現像処理を行うことによって、露光部分にメッシュパターン状の導電部分(金属銀部)が形成されると共に、未露光部に開口部(光透過性部)が形成される。
【0038】
本発明の感光材料の現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明の感光材料に対する定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
このようにして得られた導電膜は、銀塩含有乳剤層に導電性微粒子が入っている場合には、銀塩が抜けた光透過部に導電性微粒子が分散し、金属銀部よりも高抵抗の導電層が形成される。銀塩含有乳剤層以外の層に導電性微粒子が入っている場合にも、同様に光透過部に導電性微粒子が分散した導電層が形成される。当該導電膜は、EL素子の透明電極として、好ましく用いられる。なお、本発明の導電膜はEL素子の透明電極に限らず、透明電極が必要とされる各種の構造物にも使用できる。透明電極構造物としては、自発光表示装置やエレクトロクロミック装置などがある。
【0039】
<EL素子>
以下に、本発明のEL素子について詳しく述べる。
本発明のEL素子は、対向する一対の電極で蛍光体層を挟持した構成をもち、少なくとも一方の電極に前記導電膜を有する。EL素子としては、有機EL素子でも無機EL素子でもよい。本発明の無機EL素子の好ましい一実施態様の断面図を図1に示す。
本発明の好ましい一実施態様の無機EL素子1は、透明電極(前記導電膜)2、蛍光体層3、反射絶縁層4および背面電極5をこの順で有し、前記導電膜の導電層側に蛍光体層3を有する。透明電極2と背面電極5とは、電極6及び7を介して電気的に連結している。透明電極2に接する電極6には、補助電極として銀ペースト8が付与され、蛍光体層3側には絶縁ペースト9が付与される。
【0040】
蛍光体層3、反射絶縁層4、背面電極5を透明電極上に印刷して設けることもできるし、貼り合せて素子を形成することもできる。ここで、「印刷して設ける」とは、透明電極上に蛍光体層3、反射絶縁層4、背面電極5を直接印刷して設けることをいう。「貼り合わせ」とは、透明電極と、蛍光体層3、反射絶縁層4及び背面電極5が一体になったものとを熱圧着して形成するものをいう。
透明電極2と背面電極5とに電圧をかけることで、蛍光体層3内の蛍光体31に電位差が付与される。そして、その電位差が発光エネルギーとなり交流電源を使用して電位差を付与し続けることで発光状態が維持される。
【0041】
[透明電極]
本発明における透明電極2としては、前記の透明導電膜が用いられる。図2に、図1の無機EL素子における導電膜(透明電極)の拡大断面図を示す。図2において、導電膜2は、透明支持体21上に下引き層(Gel層)22、導電性微粒子含有層(酸化スズ層)23、銀メッシュパターンの導電層24が設けられており、酸化スズ層23又は導電層24にコロイダルシリカ粒子25が配置されていてもよい。図2に示すように、導電層のメッシュパターンの開口部23に導電性微粒子を含有することが好ましい。また、導電層のメッシュパターンの開口部が、導電性微粒子およびバインダーを1/33〜5/1(好ましくは1/3〜5/1)の質量比で含有することが好ましい。
【0042】
[蛍光体層]
蛍光体層(蛍光体粒子層)3は、蛍光体粒子31をバインダーに分散して形成する。バインダーとしては、シアノエチルセルロース系樹脂のように、比較的誘電率の高いポリマーや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ化ビニリデンなどの樹脂を用いることができる。蛍光体層3の厚みは1μm以上50μm以下が好ましい。
蛍光体層3に含有される蛍光体粒子31は、その母体材料としては、具体的には第II族元素と第VI族元素とから成る群から選ばれる少なくとも一つの元素と、第III族元素と第V族元素とから成る群から選ばれる少なくとも一つの元素とから成る半導体の微粒子であり、必要な発光波長領域により任意に選択される。例えば、ZnS,CdS,CaSなどを好ましく用いることができる。
蛍光体粒子31は、平均球相当直径が、好ましくは0.1μm以上〜15μm以下である。球相当直径の変動係数は、35%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以上25%以下である。これらの平均球相当直径は、レーザー光散乱方式を用いた堀場製作所製のLA−500(商品名)や、ベックマンコールター社のコールターカウンター等で測定することができる。
【0043】
[反射絶縁層]
本発明の無機EL素子1は、蛍光体層3と背面電極5との間に反射絶縁層(以下、場合により誘電体層ともいう)4を隣接することが好ましい。
誘電体層4は、誘電率および絶縁性が高く、且つ高い誘電破壊電圧を有する材料であれば任意のものを用いることができる。これらは金属酸化物、窒化物から選択され、例えばBaTiO3,BaTa26などが用いられる。誘電体物質を含む誘電体層4は、蛍光体粒子層3の片側に設けてもよく、また蛍光体粒子層3の両側に設けることも好ましい。
蛍光体層3および誘電体層4は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、あるいはスプレー塗布法などを用いて塗布またはスクリーン印刷等で成膜することが好ましい。
【0044】
[背面電極]
光を取り出さない側の背面電極5は、導電性を有する任意の材料が使用できる。導電性でさえあれば、例えば、ITO等の透明電極やアルミニウム/カーボン電極を用いてもよく、また上述した導電膜を背面電極としても使用してもよい。
【0045】
[封止・吸水]
本発明のEL素子は、適当な封止材料を透明導電膜の反対側に有することが好ましく、外部環境からの湿度や酸素の影響を排除するよう加工することが好ましい。素子の基板自体が十分な遮蔽性を有する場合には、作成した素子の上方に水分や酸素遮蔽性のシートを重ね、周囲をエポキシ等の硬化材料を用いて封止することができる。また、面状素子をカールさせないために両面に遮蔽性シート(防湿フィルム)を配しても良い。素子の基板が、水分透過性を有する場合は、両面に遮蔽性シートを配する必要がある。
【0046】
本発明のEL素子は、導電層のメッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たす。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02
導電層のメッシュパターンの開口部の幅Xは、100〜5000μmであることが好ましい。また、導電層のメッシュパターンの開口部の表面抵抗Yは、106〜1015Ω/□であることが好ましい。
本発明のEL素子は、ITO薄膜を導電膜として用いた場合と同等の輝度を有し、光学特性に優れる。さらに、本発明のEL素子は、例えば、30×30cmや30×50cm以上の大サイズでもEL素子の輝度が略均一な状態で全面発光するので好ましい。
【0047】
[電圧と周波数]
通常、分散型EL素子は、交流で駆動される。典型的には、100Vで50Hz〜400Hzの交流電源を用いて駆動される。
【0048】
以上、上述した本発明の感光材料、導電膜および無機EL素子では、以下に列挙する公知文献を適宜組み合わせて使用することができる。
特開2004-221564号公報、特開2004-221565号公報、特開2007-200922号公報、特開2006-352073号公報、WO2006/001461A1号パンフレット、特開2007-129205号公報、特開2007-235115号公報、特開2007-207987号公報、特開2006-012935号公報、特開2006-010795号公報、特開2006-228469号公報、特開2006-332459号公報、特開2007-207987号公報、特開2007-226215号公報、WO2006/088059A1号パンフレット、特開2006-261315号公報、特開2007-072171号公報、特開2007-102200号公報、特開2006-228473号公報、特開2006-269795号公報、特開2006-267635号公報、特開2006-267627号公報、WO2006/098333号パンフレット、特開2006-324203号公報、特開2006-228478号公報、特開2006-228836号公報、特開2006-228480号公報、WO2006/098336A1号パンフレット、WO2006/098338A1号パンフレット、特開2007-009326号公報、特開2006-336057号公報、特開2006-339287号公報、特開2006-336090号公報、特開2006-336099号公報、特開2007-039738号公報、特開2007-039739号公報、特開2007-039740号公報、特開2007-002296号公報、特開2007-084886号公報、特開2007-092146号公報、特開2007-162118号公報、特開2007-200872号公報、特開2007-197809号公報、特開2007-270353号公報、特開2007-308761号公報、特開2006-286410号公報、特開2006-283133号公報、特開2006-283137号公報、特開2006-348351号公報、特開2007-270321号公報、特開2007-270322号公報、WO2006/098335A1号パンフレット、特開2007-088218号公報、特開2007-201378号公報、特開2007-335729号公報、WO2006/098334A1号パンフレット、特開2007-134439号公報、特開2007-149760号公報、特開2007-208133号公報、特開2007-178915号公報、特開2007-334325号公報、特開2007-310091号公報、特開2007-311646号公報、特開2007-013130号公報、特開2006-339526号公報、特開2007-116137号公報、特開2007-088219号公報、特開2007-207883号公報、特開2007-207893号公報、特開2007-207910号公報、特開2007-013130号公報、WO2007/001008号パンフレット、特開2005-302508号公報、特開2005-197234号公報、特開2008-218784号公報、特開2008-227350号公報、特開2008-227351号公報、特開2008-244067号公報、特開2008-267814号公報、特開2008-270405号公報、特開2008-277675号公報、特開2008-277676号公報、特開2008-282840号公報、特開2008-283029号公報、特開2008-288305号公報、特開2008-288419号公報、特開2008-300720号公報、特開2008-300721号公報、特開2009-4213号公報、特開2009-10001号公報、特開2009-16526号公報、特開2009-21334号公報、特開2009-26933号公報、特開2008-147507号公報、特開2008-159770号公報、特開2008-159771号公報、特開2008-171568号公報、特開2008-198388号公報、特開2008-218096号公報、特開2008-218264号公報、特開2008-224916号公報、特開2008-235224号公報、特開2008-235467号公報、特開2008-241987号公報、特開2008-251274号公報、特開2008-251275号公報、特開2008-252046号公報、特開2008-277428号公報、特開2009-21153号公報。
【0049】
以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0050】
実施例1
(乳剤Aの調製)
・1液:
水 750ml
ゼラチン(フタル化処理ゼラチン) 8g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
【0051】
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005%KCl 20%水溶液)及びヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001%NaCl 20%水溶液)は、それぞれの錯体粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl 20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0052】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0053】
・4液
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
【0054】
その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。
【0055】
次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。
【0056】
水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4,pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、ヨウ化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=6.4,pAg=7.5,電導度=40μS/m,密度=1.2×103kg/m3,粘度=60mPa・sとなった。
【0057】
(乳剤層塗布液Aの調製)
上記乳剤Aに増感色素(SD−1)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAg、化合物(Cpd−3)8.0×10-4モル/モルAgを加え、よく混合した。
次いで1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩90mg/m2、ゼラチンに対して15質量%の粒径10μmのコロイダルシリカ、水性ラテックス(aqL−6)50mg/m2、ポリエチルアクリレートラテックス100mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトキシエチルメタクリレートとのラテックス共重合体(質量比88:5:7)100mg/m2、コアシェル型ラテックス(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(質量比37/63)、シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート(質量比84/16)、コア/シェル比=50/50)100mg/m2、ゼラチンに対し4質量%の化合物(Cpd−7)をそれぞれ添加して乳剤層塗布液Aを調製した。さらに、クエン酸を用いて塗布液AのpHを5.6に調整した。
【0058】
【化1】

【0059】
(無機EL素子試料Aの作製)
両面に塩化ビニリデンを含む防湿層下塗り(下引き層)を形成したポリエチレンテレフタレートフィルム支持体上に、ハロゲン化銀乳剤層/導電性微粒子層/密着付与層の構成となるように塗布して試料Aを作製した。
<ハロゲン化銀乳剤層>
上記のように調製した乳剤層塗布液Aを上記下引層上にAg8.0g/m2、ゼラチン0.94g/m2になるように塗布した。
<導電性微粒子層>
上記ハロゲン化銀乳剤層上部に下記6液を10ml/m2塗布して導電性微粒子層を設けた。
・6液:
水 1000ml
ゼラチン 15g
Sbドープ酸化スズ(石原産業社製、商品名 SN100P) 40g
Sbドープ酸化スズは球形の導電性微粒子であり、平均粒子径は0.01〜0.03μmの範囲内にあり(一次粒子径)、粉体抵抗は1〜5Ωcmの範囲内にあり、比表面積(簡易BET法)は70〜80m2/gの範囲内にあった。その他適宜、界面活性剤、防腐剤、pH調節剤を添加した。
<密着付与層>
上記のハロゲン化銀乳剤層および導電性微粒子層上部に下記7液を10ml/m2塗布して密着付与層を設けた。
・7液:
水 1000ml
ゼラチン 15g
その他適宜、界面活性剤、防腐剤、pH調節剤を添加した。
【0060】
このようにして得られた塗布品を乾燥後、試料Aとした。
試料Aでは、導電性微粒子層に導電性微粒子を0.4g/m2含有し、導電性微粒子/バインダー比が2/1(質量比)となるように導電性微粒子を塗布している。また、試料Aにおいて、導電性微粒子含有層以上のバインダー量は0.3g/m2塗布されている。なお、導電性微粒子単独の抵抗(導電膜抵抗)を調べるために、この塗布試料Aを露光・現像処理せず、定着処理のみ行いハロゲン化銀を抜いて表面抵抗を測定したところ、1×109Ω/□であった。
【0061】
(無機EL素子試料B〜Fの作製)
試料Aの作製において、前記の1液及び2液の塗布量およびゼラチン量を変えて、導電性微粒子含有層以上のバインダー量を下記表1に示すように0.25、0.2、0.15、0.1、0.05g/m2にそれぞれ変更したこと以外は試料Aと同様にして試料B〜Fを作製した。
(比較用無機EL素子試料G〜Iの作製)
また、導電性微粒子含有層をハロゲン化銀乳剤層下に設け、導電性微粒子含有層以上のバインダー量をハロゲン化銀乳剤層のバインダーも含めて下記表1に示すように1.3、1.0、0.8g/m2にそれぞれ変更したこと以外は試料Aと同様にして試料G〜Iを作製した。
(参考用無機EL素子試料Nの作製)
また、参考例として、ITO薄膜を導電膜として使用し試料Nを作製した。このITOは北川工業製のITOで透過率85%、ヘイズ1%のものを使用した。
【0062】
(露光・現像処理)
次いで、調製した試料A〜I及びNにライン/スペース=5μm/595μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスクライン/スペース=595μm/5μm(ピッチ600μm)の、スペースが格子状であるフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光し、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、サンプルを得た。
[現像液の組成]
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
【0063】
(エレクトロルミネセンス素子の作製)
上記のように作製された試料A〜I及びNを分散型無機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に組み込み、発光テストを行った。
作製方法は、平均粒子サイズが50〜60μmの蛍光体粒子を含む発光層を透明電極上にスクリーン印刷し、温風乾燥機を用いて110℃で1時間乾燥した。その後、平均粒子サイズが0.03μmの顔料を含む反射絶縁層、カーボンからなる背面電極層を逐次印刷を行い、110℃1時間乾燥させてしてEL素子を形成した。EL素子のサイズは、5cm×10cmであった。
【0064】
(評価)
電源として、定周波定電圧電源CVFT-Dシリーズ(東京精電株式会社製、商品名)を用いて発光輝度を測定した。輝度は、輝度計BM-9(株式会社トプコンテクノハウス製、商品名)を用いて、100V、400Hzの条件で測定した。結果を表1に示す。表1の結果に基づき、導電性微粒子含有層におけるバインダー量と輝度との関係を図3に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
表1及び図3の結果から明らかなように、導電性微粒子含有層におけるバインダー量が0.5g/m2を超える感光材料から得られた比較例の試料G〜Iに対して、同バインダー量が0.05〜0.5g/m2である感光材料から得られた本発明の試料A〜Fはいずれも高輝度であることがわかった。特に、導電性微粒子含有層におけるバインダー量が少ない程より高輝度になることがわかった。この理由としては定かではないが、導電性微粒子含有層におけるバインダーは誘電率が低く誘電阻害になるので、蛍光体にかかる実効電圧が低くなり、輝度が下がると考えられる。
【0067】
実施例2
(無機EL素子試料J〜Mの作製)
実施例1の試料Aの作製において、導電性微粒子含有層におけるバインダー量を0.05g/m2に変更したこと以外は試料Aと同様にして試料J〜Mを調製した。これらの試料に対して、露光の際のメッシュピッチを下記表2に示すように300、1000、1500、2000μmにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして露光・現像処理を行った。
【0068】
(エレクトロルミネセンス素子の作製)
実施例1と同様にして、作製された試料J〜M及び参考用試料Nをそれぞれ分散型無機EL素子に組み込み、発光テストを行った。結果を表2に示す。表2の結果に基づき、メッシュピッチと輝度との関係を図4に示す。
【0069】
【表2】

【0070】
表2及び図4の結果から明らかなように、導電性微粒子含有層におけるバインダー量が0.05g/m2である感光材料から得られた本発明の試料J〜Mでは、ITO薄膜を導電膜として用いた参考例の試料Nと同等の輝度が得られることがわかった。また、メッシュピッチを広げメッシュパターンの開口部(スペース)の幅を広げた本発明の試料L及びMでは、ITO薄膜を導電膜として用いた参考例の試料Nよりも輝度を高くすることができることがわかった。
【0071】
実施例3
(無機EL素子試料O〜Tの作製)
実施例1の試料Aの作製において、バインダー量を0.05g/m2に変更し、かつ、導電性微粒子の添加量を変えることで導電性微粒子含有層の表面抵抗を1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011、1×1012Ω/□にそれぞれ変更したこと以外は試料Aと同様にして試料O〜Tを作製した。これらの試料に対して、露光の際のメッシュピッチを下記表3に示すように300、600、1000、2000μm(メッシュ抵抗:30、80、130、250Ω/□)にそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして露光・現像処理を行った。なお、露光の際には、メッシュピッチが600μmの場合、ライン/スペース=5μm/595μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスクライン/スペース=595μm/5μmの、スペースが格子状であるフォトマスクを用いた。同様に、メッシュピッチに対応する現像銀像を与えうる格子状のフォトマスクを用いた。
【0072】
(エレクトロルミネセンス素子の作製)
実施例1と同様にして、作製された試料O〜Tを分散型無機EL素子に組み込み、発光テストを行った。結果を表3に示す。表3の結果に基づき、導電性微粒子含有層(メッシュパターンの開口部)の表面抵抗と輝度との関係を図5に示す。また、メッシュパターンの開口部の幅と、メッシュパターンの開口部の表面抵抗との関係を図6に示す。図5及び6中、例えば「1.00E+10」の表記は「1.00×1010」を表す。
なお、開口部の表面抵抗(Ω/□)は、デジタル超高抵抗/微少電流計8340A(商品名、株式会社エーディーシー社製)により測定した。
【0073】
【表3】

【0074】
表3及び図5の結果から明らかなように、メッシュピッチが300μmのときは表面抵抗を1011Ω/□まで導電性を下げても十分に発光したのに対し、メッシュピッチが2000μmのときは107Ω/□よりも導電性を下げると輝度が下がることがわかった。このことから、メッシュピッチが狭いときは、導電部(金属銀部)の幅が狭いので、開口部の抵抗が高くても蛍光体に電圧がかかり発光するが、一方、メッシュピッチが広くて開口部の抵抗が高い場合は、蛍光体に十分に電圧がかからなくなり発光しなくなると考えられる。
以上の結果から、図6に示すように、導電層のメッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たすことにより、効率よく高輝度のEL素子が得られることがわかった。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02
【0075】
また、ピッチおよび開口部の表面抵抗(導電性微粒子の含有量で調整)を下記表4のように変更して無機EL素子を作製したところ、これらの場合でも、発光テスト60cd/m2以上であり、実用上十分な輝度を有することがわかった。またこれらのテストでも、表3に記載の評価結果と同様の傾向があることがわかった。
【0076】
【表4】

【符号の説明】
【0077】
1 無機EL素子
2 透明電極(透明導電膜)
3 蛍光体層(蛍光体粒子層)
4 反射絶縁層(誘電体層)
5 背面電極
6,7 電極
8 銀ペースト(補助電極)
9 絶縁ペースト
21 透明支持体
22 下引き層(Gel層)
23 導電性微粒子含有層(酸化スズ層)
24 導電層(銀メッシュパターン)
25 コロイダルシリカ粒子
31 蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、メッシュパターンを有する導電層、蛍光体層、反射絶縁層および背面電極をこの順で有するEL素子であって、前記導電層の前記メッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、前記メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たすEL素子。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02
【請求項2】
前記の導電層のメッシュパターンの開口部の幅Xが100〜5000μmである、請求項1記載のEL素子。
【請求項3】
前記の導電層のメッシュパターンの開口部の表面抵抗Yが106〜1015Ω/□である、請求項1又は2に記載のEL素子。
【請求項4】
前記の導電層のメッシュパターンの開口部が導電性微粒子を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のEL素子。
【請求項5】
前記導電性微粒子がアンチモンドープ酸化スズである、請求項4記載のEL素子。
【請求項6】
前記の導電層のメッシュパターンの開口部が、導電性微粒子およびバインダーを1/33〜5/1の質量比で含有する、請求項4又は5に記載のEL素子。
【請求項7】
前記の導電層のメッシュパターンの開口部が、導電性微粒子およびバインダーを1/3〜5/1の質量比で含有する、請求項6記載のEL素子。
【請求項8】
支持体上に、メッシュパターンを有する導電層を有する導電膜であって、前記導電層の前記メッシュパターンの開口部の幅X(μm)と、前記メッシュパターンの開口部の表面抵抗Y(Ω/□)とが、下式(a)及び(b)を満たす導電膜。
式(a) 50≦X≦7000
式(b) 105≦Y≦(5×1023)×X-4.02
【請求項9】
支持体上に銀塩含有乳剤層を有する導電膜形成用感光材料であって、前記銀塩含有乳剤層および銀塩含有乳剤層側のいずれかの層に導電性微粒子及びバインダーを含有し、当該層における前記バインダーの含有量が0.05〜0.5g/m2である導電膜形成用感光材料。
【請求項10】
前記バインダー量が0.05〜0.2g/m2である、請求項9記載の導電膜形成用感光材料。
【請求項11】
前記導電性微粒子の含有量が0.05g/m2以上1g/m2以下である、請求項9又は10に記載の導電膜形成用感光材料。
【請求項12】
前記導電性微粒子の含有量が0.1g/m2以上0.5g/m2以下である、請求項11記載の導電膜形成用感光材料。
【請求項13】
前記の銀塩含有乳剤層側のいずれかの層にコロイダルシリカを0.05〜0.3g/m2含有する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の導電膜形成用感光材料。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載の導電膜形成用感光材料をパターン露光し、現像処理することにより導電部が形成された導電膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−238429(P2010−238429A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83222(P2009−83222)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】