説明

GABAAモジュレーターとしての三環式ヘテロ環化合物

本発明は、遊離塩基形または酸付加塩形での、式I


[式中、
R1は、所望により置換されていてもよいアリール基または所望により置換されていてもよいヘテロアリール基を示し; R2は、水素または水素とは異なる置換基を示し;
R3は、所望により置換されていてもよい、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基を示し; X1は、O、S、NR4、CR42を示し; X2は、O、S、NR4、CR42を示し; X3は、O、S、NR4、CR42を示し; X4は、O、S、NR4、CR42を示し; R4は、水素または水素とは異なる置換基を示し; R5は、水素またはアルキルを示し; Yは、OまたはSを示し; mは、0、1、2または3を示し; nは、0、1、2または3を示す]
で示される化合物、その製造法および医薬としてのその使用およびそれを含む医薬に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘテロ環式化合物、それらの製造、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬に関する。
【発明の概要】
【0002】
最初の局面において、本発明は、遊離塩基形または酸付加塩形での、式I
【化1】

[式中、
R1は、所望により置換されていてもよいアリール基または所望により置換されていてもよいヘテロアリール基を示し;
R2は、水素または水素とは異なる置換基を示し;
R3は、所望により置換されていてもよい、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基を示し;
X1は、O、S、NR4、CR42を示し;
X2は、O、S、NR4、CR42を示し;
X3は、O、S、NR4、CR42を示し;
X4は、O、S、NR4、CR42を示し;
R4は、水素または水素とは異なる置換基を示し;
R5は、水素またはアルキルを示し;
Yは、OまたはSを示し;
mは、0、1、2または3を示し;
nは、0、1、2または3を示す]
で示される化合物に関する。
【0003】
少なくとも1個の不斉炭素原子が式Iの化合物に存在するとき、該化合物は、光学的に活性な形態で、または光学異性体の混合物の形態で、例えば、ラセミ混合物の形態で存在する。ラセミ混合物を含むすべての光学異性体およびそれらの混合物は、本発明の一部である。
【0004】
式Iの化合物の酸付加塩は、好ましくは、薬学的に許容される塩である。そのような塩は、当分野で既知である。本明細書で使用される“薬学的に許容される塩”なる用語は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩を意味し、それは、生物学的もしくは他の点で所望されないものではない。多くの場合に、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれと同様の基の存在により、酸および/または塩基塩を形成することができる。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸と形成され得る塩、例えば、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/無水リン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩である。塩が由来し得る無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。塩が由来し得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基で形成され得る。塩が由来し得る無機塩基は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含み; 特に、好ましくは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。塩が由来し得る有機塩基は、例えば、第1級、第2級、および第3級アミン、置換アミン、例えば、天然に生じる置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、特に、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンを含む。本発明の薬学的に許容される塩は、慣用的な化学的方法により、親化合物、塩基もしくは酸部分から合成され得る。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形を、適当な塩基(例えば、水酸化Na、Ca、Mg、もしくはK、炭酸塩、重炭酸塩など)の化学量論量と反応させるか、またはこれらの化合物の遊離酸形を、適当な酸の化学量論量と反応させることにより製造され得る。そのような反応は、一般に、水もしくは有機溶媒で、または2つの混合物で行われる。一般に、実施可能であれば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールもしくはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。さらなる適当な塩の一覧表は、例えば、“Remington's Pharmaceutical Sciences”, 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., (1985); and in “Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use” by Stahl and Wermuth (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)に見出され得る。
【0005】
本発明は、本発明のすべての薬学的に許容される同位体標識化合物、すなわち、式(I)の化合物を含み、ここで、1個もしくはそれ以上の原子は、同じ原子番号ではあるが、通常天然に見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置換される。
【0006】
本発明の化合物に含有されるのに適当な同位体の例は、水素の同位体、例えば、2Hおよび3H、炭素の同位体、例えば、11C、13Cおよび14C、塩素の同位体、例えば、36Cl、フッ素の同位体、例えば、18F、ヨウ素の同位体、例えば、123Iおよび125I、窒素の同位体、例えば、13Nおよび15N、酸素の同位体、例えば、15O、17Oおよび18O、リンの同位体、例えば、32P、ならびに硫黄の同位体、例えば、35Sを含む。
【0007】
特定の式(I)の化合物の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬剤および/または基質組織分布試験において有用である。放射性同位体三重水素、すなわち、3Hおよび炭素-14、すなわち、14Cは、特に、組み込みの容易性および検出の簡易手段の観点で、この目的のために有用である。
【0008】
より重い同位体、例えば、重水素、すなわち、2Hでの置換は、より大きな代謝安定性、例えば、増加したインビボ半減期もしくは減少した用量必要性から生じる特定の治療利点を提供し得て、したがって、ある状況において好ましくあり得る。
【0009】
陽電子放射同位体、例えば、11C、18F、15Oおよび13Nでの置換は、基質受容体占有を調べるための陽電子放射断層撮影(PET)試験において有用であり得る。
【0010】
式(I)の化合物の同位体標識化合物は、一般に、当業者に既知の慣用的な技術により製造され得るか、または以前使用されていた非標識試薬の代わりに、適当な同位体標識試薬を用いて、下記の実施例および製造において記載されたものと同様の方法により製造され得る。
【0011】
2種以上の置換基R4および/またはR5が存在するとき、各置換基は、独立して、可能性のある置換基の一覧表から選択され得ることがさらに理解される。すなわち、1種のR4が水素であり得て、他の置換基R4が水素または水素とは異なるものであり得る。
【0012】
他に記載がなければ、下記の定義を本明細書で適用する。
【0013】
ハロゲン(またはハロ)は、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素を示す。
【0014】
アリールは、好ましくは、ナフチルまたはフェニル、特に、フェニルである。
【0015】
ヘテロシクリルは、少なくとも1個のヘテロ原子を含む、飽和もしくは部分飽和環系を示す。好ましくは、ヘテロシクリル基は、3から11個の環原子からなり、ここで、1-3個の原子はヘテロ原子である。ヘテロ環は、単環系として、または二環式もしくは三環式環系として存在し得て; 好ましくは、単環系またはベンゾ環化(benz-annelated)環系として存在し得る。二環式もしくは三環式環系は、2種もしくはそれ以上の環の環化により、原子、例えば、酸素、硫黄、窒素の架橋により、または架橋基、例えば、アルカンジイルもしくはアルケンジイルにより形成され得る。ヘテロ環は、オキソ(=O)、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルカンジイル、アルケンジイル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、ハロゲンアルキル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルからなる群から選択される2種もしくはそれ以上の置換基で置換され得る。ヘテロアリールは、少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香環系を示す。好ましくは、ヘテロアリール基は、3から11個の環原子からなり、ここで、1-3個の原子はヘテロ原子である。ヘテロアリール基は、単環系として、または二環式もしくは三環式環系として存在し得て; 好ましくは、単環系またはベンゾ環化環系として存在し得る。二環式もしくは三環式環系は、2種もしくはそれ以上の環の環化により形成され得る。ヘテロ環は、オキソ(=O)、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルカンジイル、アルケンジイル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、ハロゲンアルキル、アリール、アリールオキシ、アリールアルキルからなる群から選択される1種もしくはそれ以上の置換基で置換され得る。ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基の例は、下記を含む: ピロール、ピロリン、ピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾール、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾール、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、フラザン(オキサジアゾール)、ジオキソラン、チオフェン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、オキサゾール、オキサゾリン、オキサゾリジン、イソオキサゾール、イソキサゾリン、イソキサゾリジン、チアゾル、チアゾリン、チアゾリジン、イソチアゾル、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、チアジアゾール、チアジアゾリン、チアジアゾリジン、ピリジン、ピペリジン、ピリダジン、ピラジン、ピペラジン、トリアジン、ピラン、テトラヒドロピラン、チオピラン、テトラヒドロチオピラン、オキサジン、チアジン、ジオキシン、モルホリン、プリン、プテリン、ならびに対応するベンゾ環化ヘテロ環、例えば、インドール、イソインドール、クマリン、クマロネシノリン(cumaronecinoline)、イソチノリン、シンノリン。
【0016】
アリールアルキルは、アルキル基、例えば、メチルもしくはエチル基を介して分子に結合したアリール基を示し、好ましくは、フェネチルまたはベンジルである。同様に、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクリルは、アルキル基を介して分子に結合したシクロアルキル基またはアルキル基を介して分子に結合したヘテロシクリル基を示す。
【0017】
炭素含有基、部分もしくは分子は、1個から8個、好ましくは、1個から6個、より好ましくは、1個から4個、もっとも好ましくは、1個または2個の炭素原子を含む。2個以上の炭素原子を有する任意の非環式炭素含有基もしくは部分は、直鎖または分岐鎖である。
【0018】
ハロゲン置換基および部分、例えば、ハロゲンで置換されたアルキルは、モノ-、ポリ-または過-ハロゲン化され得る。
【0019】
好ましい態様において、本発明は、好ましくは、独立して、集合して、または任意の組合せで、もしくは準組み合わせでの、遊離塩基形または酸付加塩形での式I(式中、該置換基は、下記されたとおりである)の化合物に関する。
【0020】
R1は、好ましくは、アリール基またはヘテロアリール基を示し、ここで、該基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、モルホリノ(C1-8)アルコキシ、ピペリジノ(C1-8)アルコキシ、ピロリジノ(C1-8)アルコキシ、アミノスルホニル、(C1-8)アルキルアミノスルホニル、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノスルホニル、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシおよび-CH=CHCH=CH-(該置換基は、該アリール基の隣接した2個の環炭素原子と結合している)からなる群から選択される。
【0021】
R1は、特に好ましくは、アリール基またはヘテロアリール基を示し、ここで、該基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、アミノ(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、モルホリノ(C1-8)アルコキシ、ピペリジノ(C1-8)アルコキシ、ピロリジノ(C1-8)アルコキシ、アミノスルホニル、(C1-8)アルキルアミノスルホニル、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノスルホニル、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシおよび-CH=CHCH=CH-(該置換基は、該アリール基の隣接した2個の環炭素原子と結合している)からなる群から選択される。
【0022】
R1は、とりわけ好ましくは、ハロ、シアノ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、例えば、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、メトキシからなる群から選択される、1個もしくは2個の置換基で置換されたフェニルを示す。
【0023】
R1は、さらに非常に好ましくは、ピリジン、1,2-ピリミジン(ピリダジン)、1,3-ピリミジン、1,4-ピリミジン(ピラジン)からなる群から選択されるヘテロアリール基を示し、ここで、該ヘテロアリール基は、所望により、ハロ、シアノ、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、例えば、フルオロ、クロロ、シアノ、メチル、メトキシからなる群から選択される、1個もしくは2個の置換基で置換されている。
【0024】
R2は、好ましくは、水素、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、アミノスルホニル、(C1-8)アルキルアミノスルホニル、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノスルホニル、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキルおよび(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシからなる群から選択される。
【0025】
R2は、特に好ましくは、水素または(C1-4)アルキルを示す。
【0026】
R2は、非常に好ましくは、水素を示す。
【0027】
R3は、好ましくは、アリール基もしくは(C3-C8)シクロアルキル基、または3から8個の環原子を有するヘテロアリール基もしくは3から8個の環原子を有するヘテロシクリルを示し、ここで、該アリール基、(C3-C8)シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロ-アルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシ、-OCH2O-、-C(=O)OCH2-、-CH2OC(=O)-および-CH=CHCH=CH-(最後の4個の任意の置換基は、各々の場合に、該基の隣接した2個の環炭素原子と結合している)からなる群から選択される。
【0028】
R3は、特に好ましくは、アリール基もしくは(C3-C8)シクロアルキル基、または5もしくは6個の環原子を有するヘテロアリール基もしくは5もしくは6個の環原子を有するヘテロシクリル基を示し、
ここで、該アリール基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、シアノ、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、ニトロ、(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルチオ、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシからなる群から選択され;
該(C3-C8)シクロアルキル基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、シアノ、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、ニトロ、(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルチオ、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシからなる群から選択され;
該ヘテロアリール基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、シアノ、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、ニトロ、(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルチオ、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシからなる群から選択され(それにより、ヘテロアリール基は、1-3個の窒素原子を含む);
該ヘテロシクリル基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、シアノ、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、ニトロ、(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルチオ、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシからなる群から選択される(それにより、ヘテロシクリル基は、1-3個の窒素原子を含む)。
【0029】
R4は、各々独立して、好ましくは、水素、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、アミノスルホニル、(C1-8)アルキルアミノスルホニル、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノスルホニル、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキルもしくは(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシおよびヘテロアリールからなる群から選択される。
【0030】
R4は、各々独立して、特に好ましくは、水素、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、シアノ、(C1-8)アルコキシ、アミノ、(C1-8)アルキルアミノおよび2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノからなる群から選択される。
【0031】
R4は、各々独立して、非常に好ましくは、水素、(C1-4)アルキルならびにピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリール基からなる群から選択され、ここで、該ヘテロアリール基は、所望により、1個またはそれ以上の(C1-4)アルキルで置換されている。
【0032】
R5は、好ましくは、水素または(C1-4)アルキルを示す。
【0033】
R5は、特に好ましくは、水素またはメチルを示す。
【0034】
Yは、好ましくは、Oを示す。
【0035】
mは、好ましくは、0、1または2を示す。
【0036】
mは、特に好ましくは、1を示す。
【0037】
nは、好ましくは、1または2を示す。
【0038】
nは、特に好ましくは、1を示す。
【0039】
X1からX4の各々は、好ましくは、独立して、OまたはCR42を示す。
【0040】
X1からX4の各々は、特に好ましくは、CR42を示すか、またはX1、X3およびX4の各々は、特に好ましくは、CR42を示し、X2は、特に好ましくは、Oを示すか、またはX1、X3およびX4の各々は、特に好ましくは、CR42を示し、X2は、特に好ましくは、Sを示す。
【0041】
有利な態様において、本発明は、式IA
【化2】

[式中、
置換基は、式Iの化合物について定義されたとおりである]
で示される化合物に関する。
【0042】
さらに有利な態様において、本発明は、式IB
【化3】

[式中、
置換基は、式Iの化合物について定義されたとおりである]
で示される化合物に関する。
【0043】
さらに有利な態様において、本発明は、式IC
【化4】

[式中、
置換基は、式Iの化合物について定義されたとおりである]
で示される化合物に関する。
【0044】
さらに有利な態様において、本発明は、式ID
【化5】

[式中、
置換基は、式Iの化合物について定義されたとおりである]
で示される化合物に関する。
【0045】
さらに有利な態様において、1個または2個の置換基R4が水素とは異なり、残りの置換基R4が水素を示す。
【0046】
さらに有利な態様において、R1は、オルトおよび/もしくはパラ位で、またはパラ位で置換されたフェニルを示す。
【0047】
とりわけ好ましい態様において、本発明は、実施例において下記する、遊離塩基形または酸付加塩形での、式Iの化合物の1種もしくはそれ以上に関する。
【0048】
さらなる局面において、式Iの化合物およびそれらの塩の製造法であって、下記の工程:
A) 式II
【化6】

[式中、
置換基は、式Iで定義されたとおりであり、Lは、ハロゲン、メシレート、トシレートのような脱離基を示す]
で示される化合物を式III
【化7】

[式中、
R3、R5、mおよびYは、式Iにおいて、R3、R5、mおよびYについて定義されたとおりである]
で示される化合物と、所望により、水素化物のような塩基の存在下で; 所望により、1種もしくはそれ以上の希釈剤の存在下で、反応させるか; または
B) 式IV
【化8】

[式中、
置換基は、式Iで定義されたとおりである]
で示される化合物をPOCl3と、次いで、式III
【化9】

[式中、
R3、R5、mおよびYは、式Iにおいて、R3、R5、mおよびYについて定義されたとおりである]
で示される化合物と、所望により、水素化物のような塩基の存在下で; 所望により、1種もしくはそれ以上の希釈剤の存在下で、反応させ;
所望により、その後、生じた式Iの化合物の還元、酸化もしくは官能基化反応および/または所望により存在する保護基の除去を行い、
所望により、その後、遊離塩基形または酸付加塩形での、取得可能な式Iの化合物を回収すること
を含む、方法に関する。
【0049】
反応は、慣用的な方法、例えば、実施例に記載された方法に基づいて達成され得る。したがって、反応混合物の後処理および取得され得る化合物の精製は、既知の手順にしたがって実施され得る。酸付加塩は、既知の方法で遊離塩基から製造され得る(逆もまた然り)。
【0050】
式Iの化合物はまた、さらなる慣用的な方法、例えば、実施例に記載された方法により製造され得て、その方法は、本発明のさらなる局面である。
【0051】
式II、IIIおよびIVの出発物質は、既知であるか、または既知の化合物から出発する慣用的な手順、例えば、実施例に記載されたものに基づいて製造され得る。
【0052】
式Iの化合物および薬学的に許容されるそれらの酸付加塩(下記で、“本発明の薬剤”と呼ばれることもある)は、インビトロおよび動物で試験されると重要な薬理学的特性を示し、したがって、医薬における有効成分として有用である。本発明の薬剤は、GABA-A受容体についての選択的リガンドとして十分な有効性を有し、それは、さまざまな受容体サブタイプにおける望ましいGABA-A受容体調節活性を示し、さらに、それは、興味のある薬物動態学的特性、例えば、改善された経口バイオアビリティもしくは高められた代謝安定性を有し得る。
【0053】
主要な阻害性神経伝達物質であるγアミノ酪酸(GABA)のための受容体は、2つの主なクラスに分類される: リガンド依存性イオンチャネルスーパーファミリーのメンバーであるGABA-A受容体; およびG-タンパク質共役受容体スーパーファミリーのメンバーであるGABA-B受容体。個々のGABA-A受容体サブユニットをコードするcDNAの最初のクローニング以来、既知の哺乳類サブユニットの数は、少なくとも6個のαサブユニット、3個のβサブユニット、3個のγサブユニット、3個のρサブユニット、1個のδ、1個のε、1個のπおよび1個のφを含むまでに増加してきた。ホモ多量体受容体チャネルを形成するρサブユニット(以前は、GABA-C受容体として知られていた)を除いて、細胞にcDNAを一過的に導入することにより発現させたとき、αおよびβサブユニットまたはα、βおよびγサブユニットの五量体集合が十分に機能的なGABA-A受容体を形成するための最小限の必要性を構成することが示されている。実存する(which do exist)機能性受容体サブタイプ集合は、α1β2γ2、α2β2γ2もしくはα2β3γ2(α2β2/3γ2)、α3β2/3γ2およびα5β2γ2を含む。δ、ε、πおよびφサブユニットは、GABA-A受容体集団の中でわずかに存在するのみである。α1サブユニットを含むサブタイプ集合は、脳の多くの領域に存在し、ラットでGABA-A受容体の約40%を占めると考えられている。α2またはα3サブユニットを含むサブタイプ集合は、各々、ラットでGABA-A受容体の各々約25%または17%を占めると考えられている。α5サブユニットを含むサブタイプ集合は、海馬および皮質で主に発現している。すべての既知のGABA-A受容体の特性は、多くの調節部位の存在である。ベンゾジアゼピン(BZD)結合部位は、これらの中で最もよく研究されており、該部位を介して、ジアゼパムおよびミダゾラムのような抗不安薬ならびにゾルピデムおよびアルピデムのような睡眠薬がそれらの効果を及ぼす。α2β2/3γ2およびα3β2/3γ2サブタイプにおいてBZDアゴニストとして作用する薬剤は、望ましい抗不安特性を有すると考えられている。α1選択的GABA-A受容体モジュレーターであるゾルピデムおよびアルピデムは、睡眠薬として臨床上規定されており、それは、BZD結合部位で作用する既知の抗不安薬と関連する鎮静は、α1サブユニットを含むGABA-A受容体を介して仲介されることを示す。α5β2γ2受容体サブタイプのBZD部位における阻害活性を有する化合物は、記憶改善効果を有すると考えられている。
【0054】
GABA-A受容体モジュレーターは、機能性アッセイにおいて、GABA誘導シグナルの正の調節を示す。この調節は、例えば、哺乳類細胞株で発現させた組み換えGABA-A受容体で、例えば、電圧感受性染料および蛍光検出系を用いた膜貫通電圧のGABA-A受容体誘導変化の測定により、インビトロで決定され得る(Adkins, C.E., Pillai, G.V., Kerby, J., Bonnert, T.P., Haldon, C., Mckernan, R.M., Gonzalez, J.E., Oades, K., Whiting, P.J. & Simpson, P.B. [2001]. alpha4beta3delta GABA-A receptors characterized by fluorescence resonance energy transfer-derived measurements of membrane potential. J. Biol. Chem., 276, 38934-38939)。このアッセイにおいて、モジュレーター化合物は、GABA-A受容体を発現する細胞に、0.1 nMから10 μMの範囲の異なる濃度で前もって適用され、準最大濃度のGABA(0.1から10 μMの範囲)を細胞に提供する前に、またはそれと同時に、電圧感受性染料が添加される。蛍光シグナルは、GABA-A受容体チャネル開口の程度と相関する。これにより、機能的な方法で、モジュレーターにより誘導される効果の定量が可能となる。異なるGABA-A受容体サブユニットの組み合わせを発現させることにより、異なるGABA-A受容体変異型におけるモジュレーターの差異的な効果が試験され得る。他の機能性アッセイは、各々の受容体変異型を発現するアフリカツメガエル卵母細胞もしくは哺乳類細胞の電気生理学的記録を含む。さらに、イオン流入検出器は、異種発現系で、GABA-A受容体を機能的に調べるのに使用され得る。化合物とGABA-A受容体の親和性は、放射性要素、例えば、トリチウム化フルマゼニルを含む参照リガンドを用いて、放射性リガンド結合実験で測定され得る。
【0055】
本発明によるGABA-A受容体モジュレーターの活性および選択性は、例えば、インビトロで下記のとおり決定され得る: GABA-A受容体のβおよびγサブユニットと共にGABA-A受容体のα1、α2もしくはα3サブユニットを発現するトランスフェクト真核細胞株を、電圧感受性染料でインキュベートし、アゴニスト(典型的には、GABA)またはモジュレーター添加の効果を、蛍光分析プレートリーダーで記録する。GABA-A受容体チャネルの開口およびそれを介したアニオンの次の流入は、トランスフェクト細胞の膜貫通電圧を変化させ、電圧感受性染料の蛍光シグナルの変化を生じる。本発明の薬剤の存在下において、GABA-A受容体のα1、α2またはα3サブユニットを発現するトランスフェクト細胞に添加されたGABAの準最大濃度(例えば、EC20もしくはEC50)は、本発明の薬剤なしで得られた蛍光シグナルと比較して、少なくとも50%、好ましくは、少なくとも80%、理想的には、少なくとも、100%の蛍光シグナルの増加を誘発する。このアッセイで、本発明の薬剤は、約0.1から約10000 nMの濃度で、GABA誘導応答を調節する。
【0056】
インビボでGABA-A受容体モジュレーターは、さまざまな行動学的もしくは生化学的アッセイで試験され得て、それは、例えば、ストレスにより誘導される異常高熱試験のような抗不安様特性を評価する試験、明暗箱アッセイ、罰則飲食(punished drinking)(または、Vogel-conflict)試験、高架式迷路試験もしくは恐怖増強共学応答試験(fear-potentiated startle response test)、または鎮静もしくは運動障害特性を評価する試験、例えば、ロータロッドアッセイ、減損(detraction)試験、一次観察試験(primary observation test)または水平垂直移動試験(horizontal and vertical locomotion tests)を含む。
【0057】
GABA-A受容体調節活性のために、本発明の薬剤は、さまざまな障害である(disabilitating)神経医学的、精神病的もしくは神経学的状態、例えば、完全に、もしくは部分的にGABA-A受容体により調節されるか、またはそれが仲介し得る神経系の状態、障害もしくは疾患の処置または予防において有用である。そのような状態、障害もしくは疾患は、不安障害、例えば、広場恐怖症有り無しのパニック障害、パニック障害の病歴なしの広場恐怖症、動物もしくは他の特異的恐怖症、例えば、社会恐怖症、社会不安障害、不安、強迫性障害、例えば、外傷後もしくは急性ストレス障害、または全身性もしくは薬物誘導不安障害; 神経症; 発作; 癲癇、とりわけ、部分発作、二次的全身発作もしくは全身発作を含む、単一、複合もしくは部分発作[なし(典型もしくは非典型)、間代性筋けいれん性、間代性、緊張性、緊張性-間代性もしくは無緊張性発作]; けいれん; 偏頭痛; 鬱病性もしくは双極性障害を含む情動障害、例えば、単一エピソード性もしくは再発性大鬱病、大鬱病、気分変調性障害、気分変調症、躁鬱病NOS、双極I型もしくは双極II型躁鬱病もしくは循環性障害; 精神病性障害、例えば、統合失調症; 脳虚血から生じる神経変性; 急性、外傷性もしくは慢性の神経系の変性過程、例えば、パーキンソン病、ダウン症候群、老人性認知症、認知障害、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症もしくは脆弱X症候群; 注意欠陥障害、例えば、注意欠陥多動性障害; トゥレット症候群; 言語障害、例えば、吃書; 例えば、時差ぼけまたは交代制の仕事の影響を被る対象において、サーカディアンリズムの障害; 疼痛または痛覚; 痒み; 嘔吐、例えば、化学療法剤もしくは放射線により誘導される急性、遅延もしくは先行性嘔吐、乗り物酔い、または術後悪心嘔吐もしくは嘔吐; 摂食障害、例えば、拒食症もしくは過食症; 月経前症候群; 例えば、対麻痺患者での筋けいれんもしくは痙性; 聴覚障害、例えば、耳鳴もしくは加齢性聴覚低下; 尿失禁; または薬物関連障害、例えば、薬物乱用もしくは依存性、例えば、薬物、例えば、アルコール、離脱障害(withdrawal disorders)を含む。本発明の薬剤はまた、例えば、認知症状態、例えば、アルツハイマー病を患う対象において、認知機能を高めるために; 麻酔もしくは手順、例えば、胃内視鏡検査を含む内視鏡検査前の投薬として; またはインサイチュでGABA-A受容体に結合可能な化合物を検出するためのアッセイで、放射性リガンドもしくは陽電子放射断層撮影(PET)リガンドとして有用であり得る。
【0058】
上記の記載に関して、適当な用量は、例えば、使用される化合物、宿主、投与形態ならびに状態、障害もしくは疾患の性質および重篤度に依存して変わり得る。しかしながら、一般に、動物での満足のいく結果は、約0.1から約100 mg/kg/動物体重、好ましくは、約1から約50 mg/kg/動物体重の1日投与量で得られることが示される。より巨大な動物、例えば、ヒトにおいて、指定された1日投与量は、所望により投与される本発明の化合物の約10から約2000 mg、好ましくは、約10から約200 mgの範囲内であり、例えば、1日4回までの分割投与または持続放出型である。
【0059】
本発明の薬剤は、任意の慣用的な経路で、特に、経腸的に、好ましくは、経口で、例えば、錠剤もしくはカプセルの形態で、または非経腸的に、例えば、注射用溶液もしくは懸濁液の形態で投与され得る。
【0060】
上記したとおり、さらなる局面において、本発明は、例えば、GABA-A受容体により調節されるか、もしくはそれが介在し得る状態、障害もしくは疾患の処置または予防用医薬としての使用のための、本発明の薬剤に関する。
【0061】
さらなる局面において、本発明は、例えば、GABA-A受容体により調節されるか、もしくはそれが介在し得る状態、障害もしくは疾患の処置または予防のための、医薬における本発明の薬剤の有効成分としての使用に関する。
【0062】
さらなる局面において、本発明は、少なくとも1種の医薬担体もしくは希釈剤と共に、有効成分として本発明の薬剤を含む医薬組成物に関する。そのような組成物は、慣用的な方法で製造され得る。単位用量形は、例えば、約1から約1000 mg、好ましくは、約1から約500 mgの本発明の薬剤を含む。
【0063】
本発明の薬剤は、単独で、または例えば、上記した状態、障害もしくは疾患の処置または予防において有効な薬剤と組み合わせて投与され得る。そのような医薬的組み合わせ剤は、単位用量型の形態であり得て、それにより、各単位用量は、少なくとも1種の医薬担体または希釈剤と組み合わせた既定量の2種の成分を含む。あるいは、組み合わせ剤は、2種の成分を別々に含むパッケージの形態、例えば、2種の有効成分の同時もしくは別々の投与のために適応させたパックもしくはディスペンサーデバイスであり得て、ここで、これらの薬剤は、別々に配置される。さらなる局面において、本発明は、そのような医薬的組み合わせ剤に関する。
【0064】
さらなる局面において、本発明は、GABA-A受容体により調節されるか、もしくはそれが介在し得る状態、障害もしくは疾患の処置または予防用医薬の製造のための本発明の薬剤の使用に関する。
【0065】
さらなる局面において、本発明は、GABA-A受容体により調節されるか、もしくはそれが介在し得る状態、障害もしくは疾患の処置または予防のための方法であって、それを必要とする対象に治療上有効量の本発明の薬剤を投与することを含む、方法に関する。
【実施例】
【0066】
下記の実施例は、本発明を例示するものであり、それを限定するものではない。
【0067】
略称
AcOH 酢酸
aq. 水性
DCM ジクロロメタン
ESIMS エレクトロスプレイイオン化質量分析
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
h 時間
HV 高真空
min 分
MPLC 中速液体クロマトグラフィー
rt 室温
soln. 溶液
【0068】
HPLC条件(% = 容積での割合)
方法A (RtA = 保持時間A)
Agilent 1100 series LC pump; Agilent 1100 series DAD; Agilent 1100 series Col Oven; CTC PAL自動回収装置; Waters ZQ2000 MS; カラムWaters XTerra C18 2.5 μm; 3 x 30 mm; 50℃; 移動相: A 水95% + アセトニトリル5% + ギ酸0.2% / B アセトニトリル100% + ギ酸0.2%; 注入量 5 μl; 流速 600 μl/分; 勾配 5 - 95% B (3.5分); MSパラメーター 100 - 900 Da; ESI+ cone 17V。
【0069】
方法B (RtB = 保持時間B)
UPLC Waters Acquity; カラムAcquity UPLC BEH C18 1.7 μm; 2.1 x 50 mm; 勾配: 5から100%アセトニトリル(0.1% TFA) / 水(0.1% TFA), 2分 / 100% アセトニトリル(0.1% TFA), 0.5分; 流速0.6 mL/分; 35℃。
【0070】
実施例1:
3-(2-クロロ-ベンジルオキシ)-2-(4-クロロ-フェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]-キノリン
2-(4-クロロ-フェニル)-2,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-3-オン(1.88 g, 6.27 mmol)を、110℃で1時間、マイクロ波反応器中でPOCl3 (10 ml)と共に撹拌する。反応混合物を氷に入れ、EtOAcで希釈し、固体Na2CO3を用いて中性pHを生じ、EtOAcで抽出する。水性層をEtOAcで再抽出し、合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、蒸発させ、3-クロロ-2-(4-クロロ-フェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]キノリンを得る。
【0071】
前もって冷却したTHF (4 ml)中のNaH (鉱油中の55%分散物の 206 mg, 4.70 mmol)の溶液に、2-クロロ-ベンジル-アルコール(679 mg, 4.71 mmol)を加え、混合物を、室温まで30分間、温める。THF (6 ml)中の3-クロロ-2-(4-クロロ-フェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]キノリン(600 mg, 1.89 mmol)の溶液を加え、反応混合物を、60℃で3時間、加熱し、次いで、水でクエンチし、EtOAcで希釈し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過する。ろ液を蒸発させ、残った固体を、フラッシュクロマトグラフィーで精製する(50 g シリカゲル, 勾配 0-5分DCM:EtOAc 95:5, 5-55分DCM:EtOAc 95:5から65:35)。合わせた画分を真空で濃縮し、3-(2-クロロ-ベンジルオキシ)-2-(4-クロロ-フェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]キノリンを得て、それは、EtOHから再結晶化する[ESIMS [M+H]+ = 424; HPLC RtA = 2.38分]。
【0072】
出発物質は、下記のとおり製造することができる:
2-アミノメチレン-マロン酸ジエチルエステル
2-エトキシメチレン-マロン酸ジエチルエステル(20 ml, 100 mmol)およびEtOH中の10%アンモニア溶液(37 ml, 220 mmol)を、室温で1時間、撹拌する。混合物を蒸発させ、HVで乾燥させ、2-アミノメチレン-マロン酸ジエチルエステルを得て、それは、さらなる精製なしに使用される。
【0073】
2-(シクロヘキサ-1−エニルアミノメチレン)-マロン酸ジエチルエステル
トルエン(170 ml)中のシクロヘキサノン(4.6 ml, 44.3 mmol)の溶液に、2-アミノメチレン-マロン酸ジエチルエステル(8.3 g, 44.3 mmol)およびp-トルエンスルホン酸(305 mg, 1.77 mmol)を加える。反応混合物を、ディーン・スターク・トラップ(Dean-Stark trap)で、127℃で48時間、加熱し、水を除去する。粗混合物を、真空で濃縮し、MPLC (500 g シリカゲル, 溶離剤 シクロヘキサン:EtOAc 80:20から70:30)で精製し、2-(シクロヘキサ-1−エニルアミノメチレン)-マロン酸ジエチルエステルを得る。
【0074】
4-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
Dowtherm A (10 ml)中の2-(シクロヘキサ-1−エニルアミノメチレン)-マロン酸ジエチルエステル(1g, 3.74 mmol)溶液を、250℃で1時間、マイクロ波反応器で撹拌し、室温まで冷却し、Et2Oおよび石油エーテルで希釈し、0℃まで冷却する。沈殿した4-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステルをろ過し、HVで乾燥させる。
【0075】
4-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル
POCl3 (17 ml)中の4-ヒドロキシ-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(3.85 g, 17.0 mmol)溶液を、120℃で1時間、マイクロ波反応器で撹拌する。反応混合物を氷に入れ、EtOAcで希釈し、固体Na2CO3および4M NaOH溶液を用いて中和pHを生じ、EtOAcで抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、炭で処理し、ハイフロでろ過する。ろ液を蒸発させ、4-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステルを得る。
【0076】
2-(4-クロロ-フェニル)-2,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-3-オン
n-ブタノール(20 ml)中の4-クロロ-5,6,7,8-テトラヒドロ-キノリン-3-カルボン酸エチルエステル(1.66 g, 6.93 mmol)および(4-クロロ-フェニル)-ヒドラジンヒドロクロライド(2.53 g, 13.8 mmol)の溶液に、NEt3 (3.39 ml, 24.2 mmol)を加え、反応混合物を、125℃で1時間、還流まで加熱する。室温まで冷却した後、混合物を真空で濃縮し、Et2Oで希釈し、沈殿をろ過し、Et2OおよびH2Oで洗浄し、HVで乾燥させ、2-(4-クロロ-フェニル)-2,5,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]キノリン-3-オンを得る。
【0077】
実施例2〜80:
表1の化合物は、実施例1に記載したものと同様の方法で得ることができる。
【0078】
表1
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
【表4】

【0082】
【表5】

【0083】
【表6】

【0084】
【表7】

【0085】
【表8】

【0086】
表2:
GABA-A α2および/またはα1受容体モジュレーターとしての本発明の薬剤の活性を、上記したとおり試験する(βおよびγサブユニットと共にα1もしくは2サブユニットを発現するトランスフェクション真核細胞株の蛍光測定)。化合物を、3 μMおよびGABAの準最大濃度(EC20)で試験する。値を、本発明の薬剤なしに得られた蛍光シグナルと比較したときの、蛍光シグナルの増加の割合を意味する“%mod”として示す。
【0087】
【表9】

【0088】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基形または酸付加塩形での、式I
【化1】

[式中、
R1は、所望により置換されていてもよいアリール基または所望により置換されていてもよいヘテロアリール基を示し;
R2は、水素または水素とは異なる置換基を示し;
R3は、所望により置換されていてもよい、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基を示し;
X1は、O、S、NR4、CR42を示し;
X2は、O、S、NR4、CR42を示し;
X3は、O、S、NR4、CR42を示し;
X4は、O、S、NR4、CR42を示し;
R4は、水素または水素とは異なる置換基を示し;
R5は、水素またはアルキルを示し;
Yは、OまたはSを示し;
mは、0、1、2または3を示し;
nは、0、1、2または3を示す]
で示される化合物。
【請求項2】
R1が、アリール基またはヘテロアリール基を示し、ここで、該基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、モルホリノ(C1-8)アルコキシ、ピペリジノ(C1-8)アルコキシ、ピロリジノ(C1-8)アルコキシ、アミノスルホニル、(C1-8)アルキルアミノスルホニル、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノスルホニル、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシおよび-CH=CHCH=CH-(該置換基は、該アリール基の隣接した2個の環炭素原子と結合している)からなる群から選択され;
R2が、水素、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、アミノスルホニル、(C1-8)アルキルアミノスルホニル、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノスルホニル、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキルまたは(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシを示し;
R3が、アリール基もしくは(C3-C8)シクロアルキル基、または3から8個の環原子を有するヘテロアリール基もしくは3から8個の環原子を有するヘテロシクリル基を示し、
ここで、該アリール基、(C3-C8)シクロアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基は、非置換であるか、またはモノ-、ジ-もしくはテトラ-置換されており、任意の置換基は、独立して、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロ-アルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシ、-OCH2O-、-C(O)OCH2-、-CH2OC(O)-および-CH:CHCH:CH-(最後の4個の任意の置換基は、各々の場合に、該基の隣接した2個の環炭素原子と結合している)からなる群から選択され;
X1が、NR4、CR42を示し;
X2が、NR4、CR42を示し;
X3が、NR4、CR42を示し;
X4が、NR4、CR42を示し;
R4が、互いに独立して、水素、ハロゲン、(C1-8)アルキル、ハロゲンで置換された(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルキル、(C3-8) シクロアルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルキル、(C3-8)シクロアルキル(C1-8)アルコキシ、(C3-8)シクロアルコキシ(C1-8)アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、アリールオキシ、アリールオキシ(C1-8)アルキル、アリール(C1-8)アルコキシ、アリールオキシ(C1-8)アルコキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、カルバミル、ヒドロキシ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルコキシ、ハロゲンで置換された(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルチオ、(C1-8)アルキルチオ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルフィニル、(C1-8)アルキルスルフィニル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルスルホニル、(C1-8)アルキルスルホニル(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルキルアミノ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ、アミノ(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、ジ(C1-8)アルキルアミノ部分中に、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルキル、アミノ、(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノ(C1-8)アルコキシ、アミノスルホニル、(C1-8)アルキルアミノスルホニル、2個の同一のもしくは異なる(C1-8)アルキル部分を有するジ(C1-8)アルキルアミノスルホニル、ホルミル、(C1-8)アルキルカルボニル、ホルミルオキシ、(C1-8)アルキルカルボニルオキシ、ホルミル(C1-8)アルキル、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルキル、ホルミル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルキルカルボニル(C1-8)アルコキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル、(C1-8)アルコキシカルボニルオキシ、(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルキルもしくは(C1-8)アルコキシカルボニル(C1-8)アルコキシまたはヘテロアリールを示し;
R5が、水素または(C1-4)アルキルを示し;
Yが、OまたはSを示し;
mが、0、1または2を示し;
nが、1または2を示す]
である、遊離塩基形または酸付加塩形での、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
遊離塩基形または酸付加塩形での、請求項1または2に記載の式Iの化合物の製造法であって、下記の工程:
A) 式II
【化2】

[式中、
置換基は、請求項1の式Iで定義されたとおりであり、Lは、ハロゲン、トシレート、メシレートのような脱離基を示す]
で示される化合物を式III
【化3】

[式中、
R3、R5、mおよびYは、請求項1の式Iにおいて、R3、R5、mおよびYについて定義されたとおりである]
で示される化合物と、所望により、水素化物のような塩基の存在下で; 所望により、1種もしくはそれ以上の希釈剤の存在下で、反応させるか; または
B) 式IV
【化4】

[式中、
置換基は、請求項1の式Iで定義されたとおりである]
で示される化合物をPOCl3と、次いで、式III
【化5】

[式中、
R3、R5、mおよびYは、請求項1の式Iにおいて、R3、R5、mおよびYについて定義されたとおりである]
で示される化合物と、所望により、水素化物のような塩基の存在下で; 所望により、1種もしくはそれ以上の希釈剤の存在下で、反応させ;
所望により、その後、生じた式Iの化合物の還元、酸化もしくは官能基化反応および/または所望により存在する保護基の除去を行い、
所望により、その後、遊離塩基形または酸付加塩形での、取得可能な式Iの化合物を回収すること
を含む、方法。
【請求項4】
医薬としての使用のための、遊離形または薬学的に許容される塩形での請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
医薬における有効成分としての、遊離形または薬学的に許容される塩形での請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項6】
GABA-A受容体により調節されるか、もしくはそれが介在し得る状態、疾患もしくは障害の処置、予防もしくは進行の遅延用医薬の製造のための、遊離形または薬学的に許容される塩形での請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項7】
GABA-A受容体により調節されるか、もしくはそれが介在し得る状態、疾患もしくは障害の処置、予防もしくは進行の遅延のための方法であって、それを必要とする対象に治療上有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形での請求項1に記載の式Iの化合物を投与することを含む、方法。
【請求項8】
医薬担体もしくは希釈剤と共に、遊離形または薬学的に許容される塩形での請求項1に記載の式Iの化合物を有効成分として含む、医薬組成物。
【請求項9】
同時の、もしくは連続した投与のための、治療上有効量の遊離形または薬学的に許容される塩形での請求項1に記載の式Iの化合物および第2薬剤を含む、組み合わせ剤。

【公表番号】特表2010−535843(P2010−535843A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520564(P2010−520564)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060598
【国際公開番号】WO2009/021957
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】