説明

GNRH阻害剤としてのピラゾール誘導体

本発明は、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアンタゴニストとして有用である、式(I)(式中、R1、R2、R5、R6、R6a、R7、R8、A、BおよびMは、本明細書中に定義の通りである)を有する一群の新規なチエノピロール化合物に関する。本発明は、更に、該化合物の医薬製剤、該化合物を用いた処置方法、および該化合物の製造方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)活性を有するアンタゴニストである化合物に関する。本発明は、更に、医薬製剤、薬剤の製造における本発明の化合物の使用、このような化合物を用いた治療的処置方法、およびそれら化合物を製造する方法に関する。
【0002】
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)は、神経性刺激および/または化学的刺激に応答して、視床下部によって下垂体門脈循環中に分泌されるデカペプチドであり、下垂体による黄体形成ホルモン(LH)および濾胞刺激ホルモン(FSH)の生合成および放出を引き起こす。GnRHは、ゴナドリベリン、LH放出ホルモン(LHRH)、FSH放出ホルモン(FSH RH)およびLH/FSH放出因子(LH/FSH RF)を含めたその他の名称によっても知られている。
【0003】
GnRHは、LHおよびFSHの作用を(それらのレベルの調節によって)調節する場合に重要な役割を果たしているので、プロゲステロン、エストロゲンおよびアンドロゲンという性ホルモンを含めた両方の性の性腺ステロイドのレベルを調節する役割を有する。GnRHのより多くの考察は、WO98/5519号およびWO97/14697号に見出されうるが、それらの開示は本明細書中に援用される。
【0004】
いくつかの疾患は、GnRH活性の調節から、具体的には、このような活性に拮抗することによって利益を得ると考えられる。これらには、性ホルモン依存性癌、良性前立腺肥大および子宮筋腫のような、性ホルモンに関係した状態が含まれる。性ホルモン依存性癌の例は、前立腺癌、子宮癌、乳癌および下垂体性腺刺激細胞腺腫である。
【0005】
次は、GnRHアンタゴニストとして作用すると主張された化合物を開示している。
WO97/21435号、WO97/21703号、WO97/21704号、WO97/21707号、WO55116号、WO98/55119号、WO98/55123号、WO98/55470号、WO98/55479号、WO99/21553号、WO99/21557号、WO99/41251号、WO99/41252号、WO00/04013号、WO00/69433号、WO99/51231号、WO99/51232号、WO99/51233号、WO99/51234号、WO99/51595号、WO99/51596号、WO00/53178号、WO00/53180号、WO00/53179号、WO00/53181号、WO00/53185号、WO00/53602号、WO02/066477号、WO02/066478号、WO02/06645号およびWO02/092565号。
【0006】
GnRHアンタゴニストであるこのような化合物を更に提供することは、望まれると考えられる。したがって、本発明の第一の側面により、式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、Aは、直接結合または置換されていてよいC1-5アルキレンであり;
Bは、式(II)
【0009】
【化2】

【0010】
を有する基であり、ここにおいて、位置(a)において、式(II)は窒素原子に結合していて、そして基XはR8に結合していて;
Mは、−(CH20-2−O−であり;
1は、水素;置換されていてよいC1-8アルキル;または(CH2b−Ra
(式中、RaはC3-8シクロアルキルであり、bは0または1〜6の整数である)
であり;
2は、置換されていてよい単環式または二環式の芳香環構造であり、ここにおいて、任意の置換基は、シアノ、NR33a、置換されていてよいC1-8アルキル、置換されていてよいC1-8アルコキシまたはハロより選択され;
3およびR3aは、独立して、水素;置換されていてよいC1-8アルキルおよび置換されていてよいアリールより選択され;
5は、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環;または式III−a;III−b;III−c;III−d;III−e;III−f、III−g、III−h、III−iまたはIII−j
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、C1-4alkylはC1-4アルキルであり、hetは、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環である)
を有する基より選択され;
6およびR6aは、独立して、水素および置換されていてよいC1-8アルキルより選択され;またはR6およびR6aは一緒になって、カルボニルであり;
7は、水素または置換されていてよいC1-8アルキルであり;または
一緒になった
【0013】
【化4】

【0014】
は、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環を形成し、そしてR6aは、水素および置換されていてよいC1-8アルキルであり;
XおよびR8は、
(i)XはNであり、R8は、
シアノ、水素、ヒドロキシ、−O−Rb、−NRbc−C(O)O−Rb、−CONRbcまたはNH−C(O)−Rbより選択され、但し、RbおよびRcは、独立して、水素、およびC1-4アルキルであって、ヒドロキシ、アミノ、N−C1-4アルキルアミノ、N,N−ジ−C1-4アルキルアミノ、HO−C2-4アルキル−NH−またはHO−C2-4アルキル−N(C1-4アルキル)−で置換されていてよいものより選択される;
(ii)XはCHであり、R8はNO2である;および
(iii)X−R8は−O−である
より選択され;
11は、式:N(R910
(式中、R9は、水素、アリール、置換されていてよい3〜10員複素環式環または置換されていてよいC1-8アルキルであり、そしてR10は、水素または置換されていてよいC1-8アルキルである)
を有する基であり;または構造N(R910)は、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜10員複素環式環であり;
12およびR12aは、独立して、水素または置換されていてよいC1-8アルキルより選択され;またはR12およびR12aは、それらが結合している炭素と一緒になって、置換されていてよい3〜7員シクロアルキル環を形成し;
13およびR14は、
(i)R13は、水素;置換されていてよいC1-8アルキル;置換されていてよいアリール;−Rd−Ar(式中、RdはC1-8アルキレンであり、Arは、置換されていてよいアリールである);およびO、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜8員複素環式環より選択され;そしてR14は、水素;置換されていてよいC1-8アルキルおよび置換されていてよいアリールより選択される;
(ii)R5が、式III−a、III−bまたはIII−iを有する基である場合、基NR13(−R14)は、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜8員複素環式環である;または
(iii)R5が、構造III−eである場合、基
【0015】
【化5】

【0016】
は、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜8員複素環式環である
より選択される]
を有する化合物;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を提供する。
【0017】
本発明の第一の側面のもう一つの特徴により、式(I)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物および薬学的に許容しうる希釈剤または担体を含む医薬製剤を提供する。
【0018】
本発明の第一の側面のもう一つの特徴により、式(I)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物の次の使用を提供する。
(a)性腺刺激ホルモン放出ホルモン活性に拮抗する薬剤の製造における使用;
(b)患者の下垂体による黄体形成ホルモンの分泌を減少させるための患者への投与用薬剤の製造における使用;および
(c)患者の性ホルモンに関係した状態、好ましくは、前立腺癌および閉経期前乳癌より選択される性ホルモンに関係した状態を治療的に処置するおよび/または予防するための患者への投与用薬剤の製造における使用。
【0019】
本発明のもう一つの側面により、患者の性腺刺激ホルモン放出ホルモン活性に拮抗する方法であって、式(I)の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
本発明の化合物の薬学的に許容しうる塩は好適であるが、本発明の化合物の他の薬学的に許容し得ない塩も、例えば、本発明の化合物の薬学的に許容しうる塩の製造において有用でありうる。
【0021】
本発明は、本発明の化合物およびそれらの塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を含むが、本発明のもう一つの態様において、本発明は、本発明の化合物およびそれらの塩を含む。
【0022】
本明細書中において、特に断らない限り、アルキル、アルキレンまたはアルケニル部分は、直鎖状であってよいしまたは分岐状であってよい。
「アルキレン」という用語は、−CH2−基を意味する。したがって、例えば、C8アルキレンは−(CH28−である。
【0023】
「アリール」という用語は、フェニルまたはナフチルを意味する。
「カルバモイル」という用語は、−CONH2基を意味する。
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味する。
【0024】
「ヘテロシクリル」または「複素環式環」という用語は、5〜10員芳香族の単環式または二環式環、または5〜10員飽和または部分飽和の単環式または二環式環であって、この芳香環、飽和環または部分不飽和環が、環炭素原子によって、または窒素からの結合が可能である場合、例えば、ピリジン環の窒素に可能な結合はないが、ピラゾール環の1−窒素を介して結合が可能である場合は環窒素原子によって連結した、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される5個までのヘテロ原子を含有している環を意味する。5員または6員の芳香族複素環式環の例には、ピロリル、フラニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリジニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリルおよびチエニルが含まれる。9員または10員の二環式芳香族複素環式環は、5員環かまたは別の6員環に縮合した6員環を含む芳香族二環式環系である。5/6および6/6二環式環系の例には、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、ピリドイミダゾリル、ピリミドイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、シンノリニルおよびナフチリジニルが含まれる。飽和または部分飽和の複素環式環の例には、ピロリニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピリジニルおよびジヒドロピリミジニルが含まれる。この定義は、更に、硫黄原子がS(O)基またはS(O2)基に酸化された硫黄含有環を含む。
【0025】
「芳香環」という用語は、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される5個までのヘテロ原子を含有してよい5〜10員芳香族の単環式または二環式環を意味する。このような「芳香環」の例には、フェニル、ピロリル、フラニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリジニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリルおよびチエニルが含まれる。好ましい芳香環には、フェニル、チエニルおよびピリジルが含まれる。
【0026】
記号
【0027】
【化6】

【0028】
は、それぞれの基が、その分子の残部に連結している場合を示す。
疑わしさを免れるために、一緒になった
【0029】
【化7】

【0030】
が、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環を形成する場合、それら示された基は環化して、窒素含有複素環式環、すなわち、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有してよい
【0031】
【化8】

【0032】
を形成する。
1-8アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルおよび2−メチルペンチルが含まれ;C1-8アルキレンの例には、メチレン、エチレンおよび2−メチルプロピレンが含まれ;C1-8アルコキシの例には、メトキシ、エトキシおよびブチルオキシが含まれ;N−C1-4アルキルアミノの例には、N−メチルアミノおよびN−エチルアミノが含まれ;N,N−ジ−C1-4アルキルアミノの例、HO−C2-4アルキル−NHの例には、ヒドロキシメチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノおよびヒドロキシプロピアミノ(hydroxypropyamino)が含まれ、HO−C2-4アルキル−N(C1-4アルキル)の例には、N−メチルヒドロキシメチルアミノ、N−エチルヒドロキシエチルアミノおよびN−プロピルヒドロキシプロピアミノが含まれる。
【0033】
本発明の若干の化合物が、1個またはそれを超える不斉炭素原子によって光学活性体またはラセミ体で存在しうる限りにおいて、本発明は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗する性質を有するいずれかこのような光学活性体またはラセミ体をその定義中に含むということは理解されるはずである。光学活性体の合成は、当該技術分野において周知の有機化学の標準法(standard techniques)によって、例えば、光学活性な出発物質からの合成によってまたはラセミ体の分割によって行うことができる。同様に、これら化合物の活性は、以下に論じられる標準的な実験室技法(laboratory techniques)を用いて評価することができる。
【0034】
本発明は、更に、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗する性質を有する本発明の種々の特徴の化合物のいずれかおよび全ての互変異性体に関する。
本発明の若干の化合物は、溶媒和の形、例えば、水和した形、更には、非溶媒和の形で存在しうるということも理解されるであろう。本発明が、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗する性質を有するこのような溶媒和の形を全て包含するということは理解されるはずである。
【0035】
式(I)の好ましい化合物は、次のいずれか一つまたは次の組合せが当てはまるものである。
好ましくは、Aは、置換されていてよいC1-5アルキレンである。更に好ましくは、C1-4アルキレン。最も好ましくは、メチレンまたはエチレン。
【0036】
好ましくは、Mは−CH2−O−である。
好ましくは、R1は、水素または置換されていてよいC1-6アルキルである。より好ましくは、R1は、水素、メチル、エチルまたは tert−ブチルである。最も好ましくは、R1は水素である。
【0037】
好ましくは、R2は、置換されていてよい単環式芳香環構造であり、ここにおいて、任意の置換基は、シアノ、NRef、置換されていてよいC1-8アルキル(好ましくは、C1-4アルキル、例えば、メチルまたはエチル)、置換されていてよいC1-8アルコキシ(例えば、C1-6アルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシまたは tert−ブトキシ)またはハロ(例えば、F、BrまたはCl)より選択され、ここにおいて、ReおよびRfは、独立して、水素、C1-6アルキルまたはアリールより選択される。更に好ましくは、R2は、置換されていてよいフェニルであり、ここにおいて、任意の置換基は、シアノ、NRef、置換されていてよいC1-4アルキル、置換されていてよいC1-6アルコキシ、F、BrまたはClより選択され、ここにおいて、ReおよびRfは、上に定義の通りである。また更に好ましくは、R2は、置換されていてよいフェニルであり、ここにおいて、任意の置換基は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、tert−ブトキシ、FまたはClより選択される。最も好ましくは、R2は、
【0038】
【化9】

【0039】
(式中、Meはメチルである)
である。好ましくは、R2は、1個、2個または3個の置換基を有する。
好ましくは、R3およびR3aは、独立して、水素;置換されていてよいC1-6アルキルおよび置換されていてよいアリールより選択される。更に好ましくは、R3およびR3aは、独立して、メチル、エチル、tert−ブチルおよびフェニルより選択される。
【0040】
好ましくは、R5は、式III−a、III−g、III−hまたはIII−iまたはIII−j
【0041】
【化10】

【0042】
を有する基より選択される。更に好ましくは、R5は、次の基の一つより選択される。
【0043】
【化11】

【0044】
また更に好ましくは、R5は、次の基
【0045】
【化12】

【0046】
(式中、Meはメチルである)
の一つより選択される。最も好ましくは、R5は、次の基の一つより選択される。
【0047】
【化13】

【0048】
一つの態様において、R6およびR6aは、各々水素であり、そしてAは、C1-4アルキレン(好ましくは、メチレン)である。
本発明のもう一つの態様において、R6は水素であり、R6aはメチルであり、そしてAはC1-4アルキレン(好ましくは、メチレン)である。
【0049】
好ましくは、R7は、水素または置換されていてよいC1-6アルキルより選択される。更に好ましくは、R7は、水素、メチル、エチルまたは tert−ブチルである。
好ましくは、XおよびR8は、
(a)XはNであり、R8は、シアノまたは−C(O)O−Rbである;かまたは
(b)XはNであり、R8は水素である
である。更に好ましくは、XはNであり、そしてR8は、シアノまたは−C(O)O−Rb(式中、RbはC1-6アルキルである)である。
【0050】
本発明のもう一つの態様において、XはNであり、そしてR8は、−CONRbc(式中、RbおよびRcは、上に定義の通りである)である。
好ましくは、R9は、基N(R910)の一部分を含む、または水素、置換されていてよいアリール、置換されていてよい3〜10員複素環式環または置換されていてよいC1-4アルキルであり、ここにおいて、任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、置換されていてよいアリール、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員のヘテロシクリル、−O−Rb、C(O)NRbc、−NRbc、−NRcC(O)−Rb、−C(O)NRbc、−NRcS(O0-2)Rb、−S(O0-2)Rb(式中、RbおよびRcは、上に定義の通りである)より選択される。
【0051】
9が、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜10員複素環式環で置換されたC1-6アルキル基である場合、その複素環式環は、好ましくは、各々置換されていてよいピリジル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、フラニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニル、2−アゼチニルより選択される。更に好ましくは、式VI−a、VI−b、VI−c、VI−d、VI−e、VI−f、VI−g、VI−h、VI−i、VI−jまたはVI−k
【0052】
【化14】

【0053】
を有する基(但し、各々の基は、R16より選択される1個またはそれを超える基で置換されていてよい)。最も好ましくは、式VI−b、VI−iまたはVI−j
【0054】
【化15】

【0055】
[式中、R16は、水素、アリール、3〜10員複素環式環または置換されていてよいC1-4アルキルであり、ここにおいて、任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、置換されていてよいフェニル、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員ヘテロシクリル、−O−Rb、C(O)NRbc、−NRbc、−NRcC(O)−Rb、−C(O)NRbc、−NRcS(O0-2)Rb、−S(O0-2)Rb(式中、RbおよびRcは、上に定義の通りである)より選択される]
を有する基。
【0056】
好ましくは、R10は、基N(R910)の一部分を含む、または置換されていてよいC1-6アルキルである。更に好ましくは、R10は、基N(R910)の一部分を含む、またはメチル、エチルまたは tert−ブチルより選択される。
【0057】
N(R910)が、置換されていてよい3〜10員複素環式環である場合、N(R910)は、好ましくは、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個(好ましくは、1個または2個)のヘテロ原子を含有する5員または6員の単環式環より選択される。更に好ましくは、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個(好ましくは、1個または2個)のヘテロ原子を含有する5員または6員の単環式環は、ピロリジニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル ピペラジニル、イミダゾール、アゼチジニルまたはアゼチニルより選択される。更に好ましくは、構造N(R910)は、式IV−a、IV−b、IV−c、IV−dおよびIV−e
【0058】
【化16】

【0059】
を有する置換されていてよい基より選択される複素環式環であり、ここにおいて、任意の置換基は、好ましくは、R15について下に挙げられた基より選択される。更に好ましくは、構造N(R910)は、式Va、VbまたはVc
【0060】
【化17】

【0061】
を有する基より選択される。最も好ましくは、構造N(R910)は、式Vcを有する基である。R15は、水素、置換されていてよいアリール、置換されていてよい3〜10員複素環式環または置換されていてよいC1-4アルキルであり、ここにおいて、アリール、複素環式環またはC1-4アルキル上の任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、ハロ、置換されていてよいアリール、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員ヘテロシクリル、−O−Rb、C(O)NRbc、−NRbc、−NRcC(O)−Rb、−C(O)NRbc、−NRcS(O0-2)Rb、−S(O0-2)Rb(式中、RbおよびRcは、上に定義の通りである)より選択される。好ましくは、R15はヘテロシクリルである。更に好ましくは、R15は、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニルまたはチアゾリルより選択される。最も好ましくは、R15はピリジルである。
【0062】
本発明のもう一つの態様において、N(R910)は、置換されていてよい3〜10員複素環式環であり、ここにおいて、任意の置換基は、上に定義のR15より選択される。
好ましくは、R12およびR12aは、独立して、水素、置換されていてよいC1-6アルキルより選択され、またはR12およびR12aは、それらが結合している炭素と一緒になって、置換されていてよい3〜6員シクロアルキル環を形成する。更に好ましくは、R12およびR12aは、独立して、水素、メチル、エチルまたは tert−ブチルより選択される。最も好ましくは、R12およびR12aは、両方ともメチルである。
【0063】
好ましくは、R13およびR14は、独立して、水素;置換されていてよいC1-6アルキル;置換されていてよいフェニルおよび−Rd−フェニル(但し、RdはC1-6アルキレンである);またはおよびO、NおよびSより独立して選択される1〜3個(好ましくは、1個または2個)の追加のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環(好ましくは、5員または6員の単環式環)より選択される。更に好ましくは、R13およびR14は、独立して、水素またはC1-6アルキルより選択される。
【0064】
任意の置換基がいろいろな場所で述べられている場合、これは、1個、2個、3個またはそれを超える任意の置換基を意味する。上に特に断らない限り(すなわち、任意の置換基のリストが与えられる場合)、各々の置換基は、独立して、C1-8アルキル(例えば、C2-6アルキル、そして最も好ましくは、メチル、エチルまたは tert−ブチル);C3-8シクロアルコキシ、好ましくは、シクロプロポキシ、シクロブトキシまたはシクロペントキシ;C1-6アルコキシ、好ましくは、メトキシまたはC2-4アルコキシ;ハロ、好ましくは、ClまたはF;Hal3C−、Hal2CH−、HalCH2−、Hal3CO−、Hal2CHOまたはHalCH2O[式中、Halは、ハロ(好ましくは、F)である];RgCH2O−、RhC(O)N(R)−、RhSO2N(R)−またはRg−RhN−[式中、RgおよびRhは、独立して、水素またはC1-8アルキル(好ましくは、メチルまたはC2-6アルキルまたはC2-4アルキル)であり、またはRg−RhN−は、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有してよい置換されていてよいC3-8、好ましくは、C3-6複素環式環である];水素;またはRkC(O)O−またはRkC(O)−[式中、Rkは、水素、置換されていてよいフェニルまたはC1-6アルキル(好ましくは、メチル、エチル、イソプロピルまたは tert−ブチル)である]より選択することができる。Rg−RhN−で示された複素環式環の任意の置換基について、少なくとも1個(例えば、1個、2個または3個)の置換基は、C1-6アルキル(例えば、C2-4アルキル、より好ましくは、メチル);フェニル;CF3O−;F2CHO−;C1-8アルコキシ、好ましくは、メトキシ、エトキシまたはC3-6アルコキシ;C1-8アルコキシC(O)、好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルまたはC3-6アルコキシC(O)−;フェノキシカルボニル;フェノキシ;C1-8アルカノイル、好ましくは、アセチル、エタノイルまたはC3-6アルキアノイル(alkyanoyl);カルボキシ;C1-8アルキルS(O)nn(式中、nnは、0〜2の整数である)、好ましくは、メチルチオ、エチルチオ、C3-6アルキルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、C3-6アルキルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニルまたはC3-6アルキルスルホニル;ヒドロキシ;ハロ(例えば、F、ClまたはBr);RmnN−[式中、RmおよびRnは、独立して、水素またはC1-6アルキル(好ましくは、C2-4アルキル、より好ましくは、メチル、最も好ましくは、Rm=Rn=メチル)である];およびニトロより独立して選択されて与えられてよい。
【0065】
ある環の任意の置換基がいろいろな場所で述べられている場合、これは、最も好ましくは、C1-8アルキル(例えば、C2-6アルキル、そして最も好ましくは、メチル);C1-8アルコキシ、好ましくは、メトキシ、エトキシまたはC3-6アルコキシ;C1-8アルキルS(O)nn(式中、nnは、0〜2の整数である)、好ましくは、メチルチオ、エチルチオ、C3-6アルキルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、C3-6アルキルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニルまたはC3-6アルキルスルホニル;ハロ(例えば、F、ClまたはBr);シアノ;およびNO2より選択される1個、2個、3個またはそれを超える任意の置換基を意味する。
【0066】
本発明の好ましい群の化合物は、
11が、式:N(R910)を有する基であり;そして
N(R910)が、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有してよい置換されていてよい、好ましくは、ヘテロシクリルで置換された3〜8員複素環式環である式(I)の化合物;またはそれらの塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を含む。
【0067】
本発明の好ましい群の化合物は、
11が、式:N(R910)を有する基であり;
9が、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環で置換されたC1-6アルキル基であり;そして
10が、水素またはC1-6アルキルである式(I)の化合物;またはそれらの塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を含む。
【0068】
本発明の好ましい群の化合物は、式(Ia)
【0069】
【化18】

【0070】
(式中、A、B、M、X、R1、R5、R6、R6a、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR12aは、上に定義の通りである)
を有する化合物;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を含む。
【0071】
本発明の好ましい群の化合物は、式(Ib)
【0072】
【化19】

【0073】
(式中、R5は、IIIa、IIIb、IIIg、IIIiまたはIIIj
【0074】
【化20】

【0075】
より選択され、そして
A、B、M、X、R1、R5、R6、R6a、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R12a、R13およびR14は、上に定義の通りである)
を有する化合物;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を含む。
【0076】
本発明の更に好ましい群の化合物は、式(Ic)
【0077】
【化21】

【0078】
(式中、R5は、IIIa、IIIb、IIIg、IIIiまたはIIIj
【0079】
【化22】

【0080】
より選択され、そして
A、B、M、X、R1、R6、R6a、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R12a、R13およびR14は、上に定義の通りである)
を有する化合物;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を含む。
【0081】
本発明のまた更に好ましい群の化合物は、
5が、式IIIa
【0082】
【化23】

【0083】
を有する基であり、
NR13(−R14)が、置換されていてよい7〜8員二環式複素環式環であり、そして
A、B、X、R1、M、R6、R6a、R7、R8、R9、R10、R11、R12およびR12aが、上に定義の通りである式(Ia)、(Ib)または(Ic)の化合物;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を含む。
【0084】
本発明による好ましい化合物は、
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)プロピル]−4−[1S−メチル−2−(N’−イソプロポキシカルボニル−3−ピリド−4−イルピロリジン−1−イルカルボキシミダミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物である。
【0085】
もう一つの態様において、本発明による特に好ましい化合物は、化合物が、
(1Z)−({2−[3−(2,2−ジメチル−3−オキソ−3−ピロリジン−1−イルプロポキシ)−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]エチル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチリデンカルバミン酸イソプロピル;
(1Z)−({2−[3−(2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−7−イル)プロポキシ)−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]エチル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチリデンカルバミン酸イソプロピル;
(1Z)−({2−[3−[3−(ジエチルアミノ)−2,2−ジメチル−3−オキソプロポキシ]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]エチル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチリデンカルバミン酸イソプロピル;
N−{2−[3−[3−(ジエチルアミノ)−2,2−ジメチル−3−オキソプロポキシ]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]エチル}−3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−カルボキサミド;
またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物より選択されるものである。
【0086】
本発明の第一の側面のもう一つの特徴により、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)の化合物または本発明の好ましい化合物、またはそれらの塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物および薬学的に許容しうる希釈剤または担体を含む医薬製剤を提供する。
【0087】
本発明の第一の側面のもう一つの特徴により、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)の化合物または本発明の好ましい化合物、またはそれらの塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物の次の使用を提供する。
【0088】
(a)性腺刺激ホルモン放出ホルモン活性に拮抗する薬剤の製造における使用;
(b)患者の下垂体による黄体形成ホルモンの分泌を減少させるための患者への投与用薬剤の製造における使用;および
(c)患者の性ホルモンに関係した状態、好ましくは、前立腺癌および閉経期前乳癌より選択される性ホルモンに関係した状態を治療的に処置するおよび/または予防するための患者への投与用薬剤の製造における使用。
【0089】
式(I)のそれら化合物は、ヒトまたは動物の体内で分解されて式(I)の化合物を生じるプロドラッグの形で投与することができる。プロドラッグの例には、式(I)の化合物の in vivo 加水分解性エステルが含まれる。いろいろな形のプロドラッグが、当該技術分野において知られている。このようなプロドラッグ誘導体の例については、次を参照されたい。
【0090】
(a)Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985) and Methods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Academic Press, 1985);
(b)A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5 "Design and Application of Prodrugs", by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);
(c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992);
(d)H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, 285 (1988);および
(e)N. Kakeya, et al., Chem Pharm Bull, 32, 692 (1984)。
【0091】
カルボキシ基またはヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物の in vivo 加水分解性エステルは、例えば、ヒトまたは動物の体内で加水分解されて、親酸または親アルコールを生じる薬学的に許容しうるエステルである。カルボキシに適した薬学的に許容しうるエステルには、C1-6アルコキシメチルエステル、例えば、メトキシメチル;C1-6アルカノイルオキシメチルエステル、例えば、ピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;C3-8シクロアルコキシカルボニルオキシC1-6アルキルエステル、例えば、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル、例えば、5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;およびC1-6アルコキシカルボニルオキシエチルエステルが含まれる。
【0092】
ヒドロキシ基を含有する式(I)の化合物の in vivo 加水分解性エステルには、リン酸エステル(ホスホロアミド環状エステルを含めた)などの無機エステルおよびα−アシルオキシアルキルエーテルおよび関連化合物が含まれ、それらは、エステル分解の in vivo 加水分解の結果として、一つまたは複数の親ヒドキシ基を生じる。α−アシルオキシアルキルエーテルの例には、アセトキシメトキシおよび2,2−ジメチルプロピオニルオキシメトキシが含まれる。ヒドロキシについての in vivo 加水分解性エステル形成性基の選択肢には、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチルおよび置換されたベンゾイルおよびフェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカルボン酸エステルを生じる)、ジアルキルカルバモイルおよびN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを生じる)、ジアルキルアミノアセチルおよびカルボキシアセチルが含まれる。
【0093】
本発明の化合物の適当な薬学的に許容しうる塩は、例えば、充分に塩基性である本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機酸または有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸またはマレイン酸との酸付加塩である。更に、充分に酸性である本発明の化合物の適当な薬学的に許容しうる塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩またはマグネシウム塩;アンモニウム塩;または生理学的に許容しうる陽イオンを与える有機塩基との塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリンまたはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンとの塩である。
【0094】
式(I)の化合物は、次のような(a)〜(f)より選択される工程を含む方法によって製造することができるが、これら方法は、本発明のもう一つの特徴として提供される。
(a)XがNであり、R8がCNである化合物について、式XXXIIの化合物の次の通りの反応
【0095】
【化24】

【0096】
(b)XがNであり、R8が水素である化合物について、酸の存在下における式XXXIIIの化合物のシアノ基を切断して、式XXXIV
【0097】
【化25】

【0098】
を有する化合物を生じること
(c)XがCHであり、R8がNO2である化合物について、式XXXVの化合物の次の通りの反応
【0099】
【化26】

【0100】
(d)X−R8がOである化合物について、式XXXVIIの化合物の次の通りの反応
【0101】
【化27】

【0102】
(e)X−R8がOである化合物について、式XXXIXの化合物の次の通りの反応
【0103】
【化28】

【0104】
(f)Xが窒素である化合物を形成すること、および式XXXXIの化合物の次の通りの反応
【0105】
【化29】

【0106】
そしてその後必要ならば、
(i)式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換すること;
(ii)任意の保護基を除去すること;
(iii)塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を形成すること。
【0107】
本発明のそれら方法において、出発試薬または中間体化合物中のヒドロキシル基またはアミノ基などの若干の官能基は、保護基で保護される必要がありうるということは、当業者に理解されるであろう。したがって、式(I)の化合物の製造は、適当な段階で、一つまたはそれを超える保護基の付加および引き続きの除去を行うことができる。
【0108】
官能基の保護および脱保護は、'Protective Groups in Organic Chemistry', edited by J.W.F. McOmie, Plenum Press (1973) および 'Protective Groups in Organic Synthesis', 2nd edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience (1991) に記載されている。
【0109】
アミノ基またはアルキルアミノ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えば、アセチルなどのアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基または tert−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えば、ベンジルオキシカルボニル、またはアロイル基、例えば、ベンゾイルである。上の保護基の脱保護条件は、保護基の選択で必然的に異なる。したがって、例えば、アルカノイル基またはアルコキシカルボニル基のようなアシル基、またはアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなどの適当な塩基での加水分解によって除去することができる。或いは、tert−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸またはリン酸、またはトリフルオロ酢酸のような適当な酸での処理によって除去することができ、そしてベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、炭素上パラジウムなどの触媒上での水素化によって、またはルイス酸、例えば、トリス(トリフルオロ酢酸)ホウ素での処理によって除去することができる。第一級アミノ基に適した別の保護基は、例えば、アルキルアミン、例えば、ジメチルアミノプロピルアミンでのまたはヒドラジンでの処理によって除去することができるフタロイル基である。
【0110】
ヒドロキシ基に適した保護基は、例えば、アシル基、例えば、アセチルなどのアルカノイル基、アロイル基、例えば、ベンゾイル、またはアリールメチル基、例えば、ベンジルである。上の保護基の脱保護条件は、保護基の選択で必然的に異なるであろう。したがって、例えば、アルカノイルのようなアシル基またはアロイル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウムなどの適当な塩基での加水分解によって除去することができる。或いは、ベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、炭素上パラジウムなどの触媒上での水素化によって除去することができる。
【0111】
カルボキシ基に適した保護基は、例えば、エステル形成性基、例えば、水酸化ナトリウムなどの塩基での加水分解によって除去することができる、例えば、メチル基またはエチル基;または例えば、酸、例えば、トリフルオロ酢酸などの有機酸での処理によって除去することができる、例えば、tert−ブチル基;または例えば、炭素上パラジウムなどの触媒上での水素化によって除去することができる、例えば、ベンジル基である。
【0112】
実験
一般的な反応スキーム
【0113】
【化30】

【0114】
3のようなピラゾールは、次の二段階で合成することができる(スキームa)。
(1)ラクトンと適当なエステルとの反応により、クライゼン縮合を用いて、アルゴンのような不活性雰囲気の条件下、THFのような適当な溶媒中において約0℃の温度で、式2の化合物を形成する。
【0115】
(2)その後、式2の化合物のヒドラジンでの環化を、エタノールのような適当な溶媒中において室温で行って、ピラゾール3を形成する。
【0116】
【化31】

【0117】
そのピラゾール3と、式4の化合物との選択的アルキル化反応を、アルゴンのような不活性雰囲気の条件下、炭酸カリウムのような適当な塩基の存在下、DMAのような適当な溶媒中において約90℃の温度で行って、式5の化合物を形成することができる。次に、アミン6を、式5の化合物およびフタルイミドから、ジアゾカルボン酸ジエチル(DEAD)、ジアゾカルボン酸ジイソプロピル等のような活性剤と、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等との Mitsunobu 反応を用いて、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフランまたはそれらの混合物のような不活性溶媒中において製造後、ヒドラジンでの脱保護を行うことができる(スキームb)。
【0118】
【化32】

【0119】
適当なピラゾール6は、塩化メチレン、クロロホルムまたはTHF等のような不活性溶媒中におけるイソシアネートでの直接的処理によってかまたは、トリホスゲンとの反応(6→7)後、8を生じるのに必要な置換を有するアミンを加える(7→8)二段階法によって、尿素に変換することができる(スキームc)。
【0120】
【化33】

【0121】
適当なピラゾール(6)は、適当なイソチオシアネート(9)との反応によってグアニジン(guandine)またはグアニジン誘導体(12)に変換されて式10の化合物を形成後、適当なアミン(11)で置換することができる(スキームd)。
【0122】
したがって、本発明のもう一つの特徴により、式XXXXIVの置換ピラゾールの合成方法であって、式XXXXIIIの化合物とヒドラジンとの反応を含む方法を提供する。
【0123】
【化34】

【0124】
式中、
2は、上に定義の通りであり;そして
xおよびRyは、独立して、置換されていてよいアルキル、置換されていてよいアリールまたは置換されていてよいヘテロシクリル(heteocyclyl)より選択される。
【0125】
本発明のもう一つの特徴により、上に定義の式XXXXIIIの中間体化合物を提供する。
実施例
ここで、本発明を、次の非制限実施例で詳しく説明するが、ここにおいて、特に断らない限り、
(i)蒸発は、真空中のロータリーエバポレーションによって行ったし、処理手順は、乾燥剤などの残留固体の濾過による除去後に行った;
(ii)作業は、18〜25℃の範囲内である室温で且つアルゴンまたは窒素のような不活性ガスの雰囲気下で行った;
(iii)収率は、単に例示のために与えられ、必ずしも、達成可能な最大値ではない;
(iv)式(I)の最終生成物の構造は、核(一般的には、プロトン)磁気共鳴(NMR)および質量スペクトルの技術によって確認した;プロトン磁気共鳴化学シフト値は、δスケールで測定したが、ピーク多重性は、次のように、s,一重線;d,二重線;t,三重線;m,多重線;br,幅広;q,四重線,quin,五重線として示される;
(v)中間体は、概して、充分に特性決定されなかったが、純度は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外(IR)またはNMR分析によって評価した;
(vi)クロマトグラフィーは、シリカ(Merck Keiselgel:Art.9385)上で行った。
【0126】
略語
DCC 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DEAD アゾジカルボン酸ジエチル
DMSO ジメチルスルホキシド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DNS 2,4−ジニトロベンゼンスルホニル
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBt 1−ヒドロキシベノトリアゾール(hydroxybenotriazole)
LHMDS リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
THF テトラヒドロフラン
出発物質
出発物質は、次のように製造した。
【0127】
【化35】

【0128】
アルゴン下のTHF(300ml)中の3,5−ジメチル安息香酸メチル(25g;152mmol)およびブチロラクトン(40ml;520mmol)の溶液を、0℃に冷却し、LHMDS(200ml;200mmol;ヘキサン中1M)で滴下処理した。その混合物を撹拌し、室温に一晩暖めた。THFを蒸発させた。残留物をEt2O中に入れ、そして有機相を、飽和水性NaHCO3、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。その残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン(20〜40%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、油状物を生じたが、それは、徐々に結晶化して、2を白色固体(9.2g)として生じた。クロマトグラフィー中に、出発物質3,5−ジメチル安息香酸メチル(12.4g)を回収した。
【0129】
収率:回収された3,5−ジメチル安息香酸メチルに基づく55%。
【0130】
【化36】

【0131】
化合物2(7.43g;34mmol)を、EtOH(200ml)中に溶解させ、ヒドラジン水和物(17.2ml;354mmol)を加えた。その混合物を30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物をペンタンで研和して、3を白色固体(7.05g)として生じた。
【0132】
収率:90%
【0133】
【化37】

【0134】
アルゴン下のDMA(40ml)中の3(4.26g;18.4mmol)および4(4.51g;19.3mmol)の混合物を、K2CO3(5.07g;36.7mmol)で処理した。その混合物を撹拌し、90℃で2時間加熱した。混合物を飽和水性NaHCO3中に注ぎ、EtOAcで抽出し、そして有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。その残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、アルコール5を淡黄色油状物(6.56g)として生じた。
【0135】
収率:93%
【0136】
【化38】

【0137】
アルゴン下、0℃におけるTHF(100ml)中の5(3.85g;10mmol)、フタルイミド(1.62g;11mmol)およびトリフェニルホスフィン(10.5g;40mmol)の混合物を、DEAD(6.33ml;40mmol)で処理した。その混合物を、この温度で1時間撹拌し、その時に水を加えた。混合物をEt2Oで抽出し、そして有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。
【0138】
蒸発は粗製固体を生じたが、それを、更に精製することなく、直ちにEtOH(50ml)中に入れ、ヒドラジン水和物(5ml;100mmol)で処理した。その混合物を1.5時間撹拌後、EtOHを部分蒸発させた。CH2Cl2の添加は、フタルヒドラジドの沈殿を引き起こし、それを濾過し、CH2Cl2ですすぎ洗浄した。濾液を蒸発させ、そして残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)、次にMeOH/CH2Cl2(0〜8%MeOH)の漸増極性混合物で溶離して精製して、6をベージュ色固体(2.34g)として生じた。
【0139】
収率:61%
【0140】
【化39】

【0141】
出発物質4は、次のように製造した。
【0142】
【化40】

【0143】
1滴のDMFを含有する8(14.48g;80mmol)および臭化オキサリル(43.2g;200mmol)の混合物を、50℃で2時間加熱後、冷却した。過剰の臭化オキサリルを蒸発させ、残留物をトルエンと共沸させて、粗製9を生じ、それをCH2Cl2(25ml)中に直接入れ、0℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(14ml;80mmol)を加えた後、CH2Cl2(30ml)中のピロリジン(3.3ml;40mmol)の溶液を加えた。混合物を室温に一晩暖め、CH2Cl2で希釈し、水性HCl(2N)、水性NaOH(1N)、水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(5〜10%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、4を白色固体(6.5g)として生じた。
【0144】
収率:70%
【0145】
【化41】

【0146】
実施例1
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(ピロリジン−1−イル)プロポキシ]−4−[2−(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−カルボキサミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール
【0147】
【化42】

【0148】
CH2Cl2(2ml)中の6(150mg;0.39mmol)の溶液を、0℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(136μl;0.78mmol)を加えた後、CH2Cl2(2ml)中のクロロギ酸4−ニトロフェニル(83mg;0.41mmol)の溶液を加えた。その混合物を3時間撹拌し、その時に、CH2Cl2(2ml)中の4−(3−ピロリジル)−ピリジン(70mg;0.47mmol)の溶液を加え、その混合物を室温に一晩暖めた。混合物を、直接的に、フラッシュクロマトグラフィーにより、MeOH/EtOAc(0〜10%MeOH)の漸増極性混合物で溶離して精製して、実施例1をベージュ色固体(95mg)として生じた。
【0149】
収率:44%
【0150】
【化43】

【0151】
実施例2
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)プロピル]−4−[2−(N'−イソプロポキシカルボニル−3−ピリド−4−イルピロリジン−1−イルカルボキシミダミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール
【0152】
【化44】

【0153】
CH2Cl2(5ml)中の10(260mg;0.5mmol)の溶液を、0℃に冷却した。EDCI(145mg;0.75mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(130μl;0.75mmol)を加えた後、4−(3−ピロリジル)−ピリジン(111mg;0.75mmol)を加え、その混合物を室温に一晩暖めた。混合物をCH2Cl2で希釈し、そして有機相を飽和水性NaHCO3、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、実施例2をベージュ色固体(277mg)として生じた。
【0154】
収率:86%
【0155】
【化45】

【0156】
出発物質10は、次のように製造した。
【0157】
【化46】

【0158】
CH2Cl2(2ml)中の6(200mg;0.52mmol)の溶液を、0℃に冷却した。11(115mg;0.78mmol)の溶液を加え、その混合物を室温に1時間暖めた。混合物を水で処理し、CH2Cl2で希釈し、そして有機相をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、Et2O/ヘキサン(0〜100%Et2O)の漸増極性混合物で溶離して精製して、10をベージュ色固体(260mg)として生じた。
【0159】
収率:94%
【0160】
【化47】

【0161】
実施例3
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル]−4−[2−(N'−イソプロポキシカルボニル−3−ピリド−4−イルピロリジン−1−イルカルボキシミダミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール
【0162】
【化48】

【0163】
CH2Cl2(2ml)中のBb4(156mg;0.29mmol)の溶液を、0℃に冷却した。EDCI(85mg;0.44mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(77μl;0.44mmol)を加えた後、4−(3−ピロリジル)−ピリジン(56mg;0.38mmol)を加え、その混合物を室温に一晩暖めた。混合物をCH2Cl2で希釈し、そして有機相を飽和水性NaHCO3、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、MeOH/CH2Cl2(0〜100%MeOH)の漸増極性混合物で溶離して精製して、実施例3をベージュ色固体(180mg)として生じた。
【0164】
収率:96%
【0165】
【化49】

【0166】
出発物質Bb4は、次のように製造した。
【0167】
【化50】

【0168】
アルゴン下のDMA(20ml)中の3(1.23g;5.3mmol)およびBb1(1.32g;5.5mmol)の混合物を、K2CO3(1.46g;10.6mmol)で処理した。その混合物を撹拌し、70℃で2時間加熱した。混合物を飽和水性NaHCO3中に注ぎ、EtOAcで抽出し、そして有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、アルコールBb2を淡黄色油状物(1.92g)として生じた。
【0169】
収率:94%
【0170】
【化51】

【0171】
アルゴン下、0℃におけるTHF(50ml)中のBb2(1.92g;4.96mmol)、フタルイミド(0.8g;5.46mmol)およびトリフェニルホスフィン(5.24g;20mmol)の混合物を、DEAD(3.2ml;20mmol)で処理した。その混合物を、この温度で2時間撹拌し、その時に水を加えた。混合物をEt2Oで抽出し、そして有機相を水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。
【0172】
蒸発は粗製固体を生じたが、それを、更に精製することなく、直ちにEtOH(50ml)中に入れ、ヒドラジン水和物(2.5ml;50mmol)で処理した。その混合物を2時間撹拌後、EtOHを部分蒸発させた。CH2Cl2の添加は、フタルヒドラジドの沈殿を引き起こし、それを濾過し、CH2Cl2ですすぎ洗浄した。濾液を蒸発させ、そして残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、Bb3をベージュ色固体(0.865g)として生じた。
【0173】
収率:45%
【0174】
【化52】

【0175】
CH2Cl2(5ml)中のBb3(210mg;0.544mmol)の溶液を、0℃に冷却した。11(120mg;0.82mmol)の溶液を加え、その混合物を室温に1時間暖めた。混合物を水で処理し、CH2Cl2で希釈し、そして有機相をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーによりCH2Cl2で溶離して精製して、Bb4をベージュ色固体(235mg)として生じた。
【0176】
収率:81%
【0177】
【化53】

【0178】
出発物質Bb1は、次のように製造した。
【0179】
【化54】

【0180】
1滴のDMFを含有する8(14.48g;80mmol)および臭化オキサリル(43.2g;200mmol)の混合物を、50℃で2時間加熱後、冷却した。過剰の臭化オキサリルを蒸発させ、残留物をトルエンと共沸させて、粗製9を生じ、それをCH2Cl2(25ml)中に直接入れ、0℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(14ml;80mmol)を加えた後、CH2Cl2(30ml)中のピロリジン(3.3ml;40mmol)の溶液を加えた。混合物を室温に一晩暖め、CH2Cl2で希釈し、水性HCl(2N)、水性NaOH(1N)、水、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(5〜10%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、Bb1を白色固体(6.5g)として生じた。
【0181】
収率:70%
【0182】
【化55】

【0183】
実施例4
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル]−4−[2−(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−カルボキサミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール
【0184】
【化56】

【0185】
CH2Cl2(2ml)中のBb3(150mg;0.39mmol)の溶液を、0℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(135μl;0.78mmol)を加えた後、CH2Cl2(2ml)中のクロロギ酸4−ニトロフェニル(83mg;0.41mmol)の溶液を加えた。その混合物を3時間撹拌し、その時に、CH2Cl2(2ml)中の4−(3−ピロリジル)−ピリジン(70mg;0.47mmol)の溶液を加え、その混合物を室温に一晩暖めた。混合物を、直接的に、フラッシュクロマトグラフィーにより、MeOH/EtOAc(0〜10%MeOH)の漸増極性混合物で溶離して精製して、実施例4をベージュ色固体(138mg)として生じた。
【0186】
収率:63%
【0187】
【化57】

【0188】
実施例5
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)プロピル]−4−[1S−メチル−2−(N'−イソプロポキシカルボニル−3−ピリド−4−イルピロリジン−1−イルカルボキシミダミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール
【0189】
【化58】

【0190】
CH2Cl2(5ml)中のCNR(141mg;0.25mmol)の溶液を、0℃に冷却した。EDCI(72mg;0.37mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(65μl;0.37mmol)を加えた後、4−(3−ピロリジル)−ピリジン(46mg;0.31mmol)を加え、その混合物を室温に一晩暖めた。混合物をCH2Cl2で希釈し、そして有機相を飽和水性NaHCO3、ブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)の漸増極性混合物で溶離して精製して、実施例5をベージュ色固体(128mg)として生じた。
【0191】
収率:78%
【0192】
【化59】

【0193】
出発物質CNRは、次のように製造した。
【0194】
【化60】

【0195】
CH2Cl2(5ml)中のCe(150mg;0.35mmol)の溶液を、0℃に冷却した。CH2Cl2(1ml)中の11(77mg;0.53mmol)の溶液を加え、その混合物を室温に1時間暖めた。混合物を水で処理し、CH2Cl2で希釈し、そして有機相をブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。残留物を、フラッシュクロマトグラフィーにより、EtOAc/CH2Cl2(0〜20%EtOAc)で溶離して精製して、CNRをガム(141mg)として生じた。
【0196】
収率:70%
【0197】
【化61】

【0198】
実施例5.1〜5.2
次の実施例を、実施例5と同様に製造した。
【0199】
【化62】

【0200】
表は、上の構造に関する基R、反応条件、および上に与えられた実施例5の製造の説明に対応する各々の実施例の特性を示す。
実施例5.1
【0201】
【表1】

【0202】
クロマトグラフィー−EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)、そして次に、MeOH/CH2Cl2(0〜5%MeOH)
【0203】
【化63】

【0204】
実施例5.2
【0205】
【表2】

【0206】
クロマトグラフィー−EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)、そして次に、MeOH/CH2Cl2(0〜5%MeOH)
【0207】
【化64】

【0208】
実施例6
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)プロポキシ]−4−[1S−メチル−2−(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−カルボキサミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール
【0209】
【化65】

【0210】
CH2Cl2(5ml)中のCe(170mg;0.4mmol)の溶液を0℃に冷却し、DIEA(140μl;0.8mmol)を加えた。CH2Cl2(1ml)中のクロロギ酸4−ニトロフェニル(85mg;0.42mmol)の溶液を加え、その混合物を30分間撹拌させた。4−(3−ピロリジル)−ピリジン(71mg;0.48mmol)を加え、混合物を室温に1時間暖めた。その混合物を、直接的に、フラッシュクロマトグラフィーにより、MeOH/CH2Cl2(0〜10%MeOH)で溶離して精製して、実施例6を淡黄色粉末(212mg)として生じた。
【0211】
収率:88%
【0212】
【化66】

【0213】
実施例6.1〜6.
次の実施例を、実施例6と同様に製造した。
【0214】
【化67】

【0215】
表は、上の構造に関する基R、反応条件、および上に与えられた実施例6の製造の説明に対応する各々の実施例の特性を示す。
実施例6.1
【0216】
【表3】

【0217】
クロマトグラフィー−MeOH/EtOAc(0〜5%MeOH)
【0218】
【化68】

【0219】
実施例6.2
【0220】
【表4】

【0221】
クロマトグラフィー−EtOAc/CH2Cl2(0〜100%EtOAc)
【0222】
【化69】

【0223】
治療的使用
式(I)の化合物を、患者、例えば、男性および/または女性の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗する薬剤として提供する。この目的には、式(I)の化合物を、薬学的に許容しうる希釈剤または担体(例えば、水)をも含む医薬製剤の一部分として提供することができる。その製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤(例えば、脂質乳剤)、坐剤、軟膏剤、クリーム剤、滴剤、懸濁剤(例えば、水性または油状懸濁剤)または液剤(例えば、水性または油状液剤)の形であってよい。所望ならば、製剤は、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤、ラクトース、シアル酸、ステアリン酸マグネシウム、石膏、スクロース、トウモロコシデンプン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、ラッカセイ油、オリーブ油、カカオ脂およびエチレングリコールより独立して選択される一つまたはそれを超える追加の物質を含んでよい。
【0224】
本化合物は、好ましくは、患者に経口投与されるが、非経口投与または直腸投与などの他の投与経路が可能である。静脈内、皮下または筋肉内の投与について、患者は、0.1mgkg-1〜30mgkg-1(好ましくは、5mgkg-1〜20mgkg-1)の1日用量の化合物であって、1日1〜4回投与される化合物を与えられてよい。静脈内、皮下および筋肉内の用量は、ボーラス注射によって与えることができる。或いは、静脈内用量は、一定期間にわたる連続注入によって与えることができる。或いは、患者は、1日非経口用量にほぼ等しい1日経口用量を与えられてよく、その組成物は1日1〜4回投与される。適当な医薬製剤は、単位剤形での経口投与に適したもの、例えば、10mg〜1g(好ましくは、100mg〜1g)の本発明の化合物を含有する錠剤またはカプセル剤としてのものである。
【0225】
緩衝剤、薬学的に許容しうる補助溶媒(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールまたはEtOH)、またはヒドロキシプロピルβシクロデキストリンのような錯生成剤は、製剤化を助けるのに用いることができる。
【0226】
本発明の一つの側面は、患者の下垂体によるLHおよび/またはFSHの分泌を減少させるための本発明による化合物の使用に関する。これに関して、その減少は、下垂体によるLHおよびFSHの生合成の減少および/またはLHおよびFSHの放出の減少によることがありうる。したがって、本発明による化合物は、患者の性ホルモンに関係した状態を治療的に処置するおよび/または予防するのに用いることができる。「予防すること」により、本発明者は、患者がその状態になる危険を減少させることを意味する。「処置すること」により、本発明者は、患者の状態を根絶することまたはその重症度を減少させることを意味する。性ホルモンに関係した状態の例には、性ホルモン依存性癌、良性前立腺肥大、子宮筋腫、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣疾患、子宮類線維腫、前立腺肥大(prostatauxe)、子宮筋腫(myoma uteri)、多毛症および性的早熟である。性ホルモン依存性癌の例は、前立腺癌、子宮癌、乳癌および下垂体性腺刺激細胞腺腫である。
【0227】
本発明の化合物は、性ホルモンに関係した状態を処置する/予防するのに用いられる他の薬物および療法と組み合わせて用いることができる。
一定用量として製剤化する場合、このような組合せ製品は、本明細書中に記載の投与量範囲内の本発明の化合物と、承認された投与量範囲内の他の薬学的活性剤を用いる。逐次的使用は、組合せ製剤が不適当である場合に考えられる。
【0228】
医学腫瘍学の分野において、このような組合せの例には、次の種類の治療薬との組合せが含まれる。
(i)抗血管新生薬(例えば、リノマイド(linomide)、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、アンギオスタチン(angiostatin)、エンドスタチン(endostatin)、ラゾキシン(razoxin)、サリドマイド)、および血管内皮増殖因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKI)を含めたもの(例えば、論文の開示全体が本明細書中に援用される国際特許出願公開WO−97/22596号、WO−97/30035号、WO−97/32856号およびWO−98/13354号に記載のもの);
(ii)細胞分裂抑制薬であって、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン、トレミフェン(toremifene)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ヨードキシフェン(iodoxyfene))、プロゲストゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール(anastrozole)、レトロゾール(letrozole)、ボラゾール(vorazole)、エクセメスタン(exemestane))、抗プロゲストゲン、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、酢酸シプロテロン)、テストステロン5α−ジヒドロレダクターゼの阻害剤(例えば、フィナステリド)、抗浸潤薬(例えば、マリマスタト(marimastat)のようなメタロプロテイナーゼ阻害剤およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤)および増殖因子機能の阻害剤(このような増殖因子には、例えば、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子および肝細胞増殖因子が含まれ、このような阻害剤には、増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体、チロシンキナーゼ阻害剤およびセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤が含まれる)のようなもの;
(iii)免疫調節剤(biological response modifiers)(例えば、インターフェロン);
(iv)抗体(例えば、エドレコロマブ(edrecolomab));および
(v)医学腫瘍学で用いられる抗増殖薬/抗腫瘍薬およびそれらの組合せであって、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキサートのような葉酸拮抗薬、5−フルオロウラシルのようなフルオロピリミジン類、プリンおよびアデノシン類似体、シトシンアラビノシド);抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシン(idarubicin)、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、ミトラマイシンのようなアントラサイクリン系);白金誘導体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン);アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、チオテパ);有糸分裂阻止薬(例えば、ビンクリスチンのようなビンカアルカロイド類、およびタキソールおよびタキソテールのようなタキソイド類(taxoids));酵素(例えば、アスパラギナーゼ);チミジル酸シンターゼ阻害剤(例えば、ラルチトレキセド(raltitrexed));トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン類、アムサクリン、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan))のようなもの。
【0229】
本発明の化合物は、外科手術または放射線療法と組み合わせて用いることもできる。
検定
GnRHのアンタゴニストとして作用する本発明による化合物の能力は、次の in vitro 検定を用いて決定することができる。
【0230】
ラット下垂体GnRH受容体を用いた結合検定
この検定は、次のように行う。
1.ラット下垂体組織から調製された粗製原形質膜を、ウシ血清アルブミン(0.1%)、[I−125]D−t−Bu−Ser6−Pro9−エチルアミド−GnRHおよび試験化合物を含有するトリスHCl緩衝液(pH.7.5,50mM)中でインキュベートする。インキュベーションは、4℃で90分間〜2時間である。
【0231】
2.急速濾過し、ガラス繊維フィルターを介して繰り返し洗浄する。
3.膜に結合した放射性リガンドの放射能を、γカウンターを用いて決定する。このデータから、試験化合物のIC50を、GnRH受容体への放射性リガンド結合を50%阻害するのに必要な化合物の濃度として決定することができる。本発明による化合物は、1nM〜5μMの濃度で活性を有する。
【0232】
ヒトGnRH受容体を用いた結合検定
ヒトGnRH受容体を発現するCHO細胞から調製された粗製膜が、GnRH受容体源である。本発明による化合物の結合活性は、GnRH受容体への[125I]ブセレリンの特異的結合を50%阻害するのに必要な化合物濃度であるIC50として決定することができる。[125I]ブセレリン(ペプチドGnRH類似体)を、ここでは、その受容体の放射性標識リガンドとして用いる。
【0233】
LH放出の阻害を確認する検定
LH放出検定は、GnRHに誘発されるLH放出の減少によって示される化合物のアンタゴニスト活性を示すのに用いることができる。
【0234】
下垂体の調製
ラットから得られる下垂体を、次のように調製する。適当なラットは、一定温度(例えば、25℃)において12時間明/12時間暗サイクルで維持された Wistar 雄ラット(150〜200g)である。それらラットを、断頭によって屠殺後、下垂体を、ハンクスの平衡塩類溶液(HBSS)が入っている試験管に、無菌的に取り出す。それら下垂体を、次によって更に処理する。
【0235】
1.250xgで5分間の遠心分離;
2.HBSS溶液の吸引;
3.下垂体をペトリ皿に移した後、メスで細かく刻む;
4.細かく刻まれた組織を、0.2%コラゲナーゼおよび0.2%ヒアルロニダーゼを含有するHBSSの10mlアリコート中に3回連続して懸濁させることにより、その組織を遠心管に移す;
5.その管を水浴中において37℃で保持しながら、組織懸濁液を静かに撹拌することによる細胞分散;
6.ピペットを用いて20〜30回吸引して、未消化の下垂体フラグメントを3〜5分間沈降させる;
7.懸濁した細胞の吸引後、1200xgで5分間遠心分離;
8.0.37%NaHCO3、10%ウマ血清、2.5%ウシ胎児血清、1%非必須アミノ酸、1%グルタミンおよび0.1%ゲンタマイシンを含有するDMEMの培地中での細胞の再懸濁;
9.未消化の下垂体フラグメントを、コラゲナーゼおよびヒアルロニダーゼの30mlアリコートで3回処理;
10.細胞懸濁液をプールし、3x105個/mlの細胞濃度に希釈;
11.24ウェルトレーの各々に1.0mlのこの懸濁液を入れ、それら細胞を、5%CO2/95%空気の吸湿雰囲気中において37℃で3〜4日間維持する。
【0236】
化合物の試験
試験化合物を、DMSO中に、インキュベーション用培地中0.5%の最終濃度に溶解させる。
【0237】
検定の1.5時間前に、それら細胞を、0.37%NaHCO3、10%ウマ血清、2.5%ウシ胎児血清、1%非必須アミノ酸(100X)、1%グルタミン(100X)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(各10,000単位/ml)および25mM HEPESを含有するpH7.4のDMEMで3回洗浄する。検定直前に、再度、細胞をこの培地中で2回洗浄する。
【0238】
この後、試験化合物および2nM GnRHを含有する1mlの新鮮培地を、2個のウェルに加える。他の試験化合物については(2種類以上の化合物を試験することが望まれる場合)、これらを、他のそれぞれの二重試験用ウェルに加える。次に、インキュベーションを37℃で3時間行う。
【0239】
インキュベーション後、ウェルから培地を取り出し、その培地を2000xgで15分間遠心分離して、細胞性物質を全て除去することにより、各々のウェルを分析する。上澄みを取り出し、そして二重抗体ラジオイムノアッセイを用いて、LH含量について検定する。適当な対照(試験化合物不含)との比較を用いて、試験化合物がLH放出を減少させるかどうか確かめる。本発明による化合物は、1nM〜5μMの濃度で活性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、Aは、直接結合または置換されていてよいC1-5アルキレンであり;
Bは、式(II)
【化2】

を有する基であり、ここにおいて、位置(a)において、式(II)は窒素原子に結合していて、そして基XはR8に結合していて;
Mは、−(CH20-2−O−であり;
1は、水素;置換されていてよいC1-8アルキル;または(CH2b−Ra
(式中、RaはC3-8シクロアルキルであり、bは0または1〜6の整数である)
であり;
2は、置換されていてよい単環式または二環式の芳香環構造であり、ここにおいて、任意の置換基は、シアノ、NR33a、置換されていてよいC1-8アルキル、置換されていてよいC1-8アルコキシまたはハロより選択され;
3およびR3aは、独立して、水素;置換されていてよいC1-8アルキルおよび置換されていてよいアリールより選択され;
5は、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環;または式III−a;III−b;III−c;III−d;III−e;III−f、III−g、III−h、III−iまたはIII−j
【化3】

(式中、C1-4alkylはC1-4アルキルであり、hetは、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環である)
を有する基より選択され;
6およびR6aは、独立して、水素および置換されていてよいC1-8アルキルより選択され;またはR6およびR6aは一緒になって、カルボニルであり;
7は、水素または置換されていてよいC1-8アルキルであり;または
一緒になった
【化4】

は、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員複素環式環を形成し、そしてR6aは、水素および置換されていてよいC1-8アルキルであり;
XおよびR8は、
(i)XはNであり、R8は、
シアノ、水素、ヒドロキシ、−O−Rb、−NRbc−C(O)O−Rb、−CONRbcまたはNH−C(O)−Rbより選択され、但し、RbおよびRcは、独立して、水素、およびC1-4アルキルであって、ヒドロキシ、アミノ、N−C1-4アルキルアミノ、N,N−ジ−C1-4アルキルアミノ、HO−C2-4アルキル−NH−またはHO−C2-4アルキル−N(C1-4アルキル)−で置換されていてよいものより選択される;
(ii)XはCHであり、R8はNO2である;および
(iii)X−R8は−O−である
より選択され;
11は、式:N(R910
(式中、R9は、水素、アリール、置換されていてよい3〜10員複素環式環または置換されていてよいC1-8アルキルであり、そしてR10は、水素または置換されていてよいC1-8アルキルである)
を有する基であり;または構造N(R910)は、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜10員複素環式環であり;
12およびR12aは、独立して、水素または置換されていてよいC1-8アルキルより選択され;またはR12およびR12aは、それらが結合している炭素と一緒になって、置換されていてよい3〜7員シクロアルキル環を形成し;
13およびR14は、
(i)R13は、水素;置換されていてよいC1-8アルキル;置換されていてよいアリール;−Rd−Ar(式中、RdはC1-8アルキレンであり、Arは、置換されていてよいアリールである);およびO、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜8員複素環式環より選択され;そしてR14は、水素;置換されていてよいC1-8アルキルおよび置換されていてよいアリールより選択される;
(ii)R5が、式III−a、III−bまたはIII−iを有する基である場合、基NR13(−R14)は、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜8員複素環式環である;または
(iii)R5が、構造III−eである場合、基
【化5】

は、O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜8員複素環式環である
より選択される]
を有する化合物;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物。
【請求項2】
9が、水素、置換されていてよいアリール、置換されていてよい3〜10員複素環式環または置換されていてよいC1-8アルキルであり、そして
10が、水素または置換されていてよいC1-8アルキルであり、ここにおいて、
アリール、複素環式環およびC1-8アルキル上の任意の置換基が、ヒドロキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;置換されていてよいアリール;O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員ヘテロシクリル;−O−Rb;C(O)NRbc;−NRbc;−NRcC(O)−Rb;−C(O)NRbc;−NRcS(O0-2)Rb;−S(O0-2)Rb(式中、RbおよびRcは、請求項1に定義の通りである)より選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
9が、各々置換されていてよいピリジル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、フラニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニルまたは2−アゼチニルで置換されているC1-6アルキル基である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
構造N(R910)が、O、NおよびSより独立して選択される1〜3個の追加のヘテロ原子を含有していてよい置換されていてよい3〜10員複素環式環である請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
3〜10員複素環式環が、R15より選択される1個またはそれを超える基で置換されていてよく、ここにおいて、R15は、置換されていてよいアリール、置換されていてよい3〜10員複素環式環または置換されていてよいC1-4アルキルより選択され、ここにおいて、アリール、複素環式環またはC1-4アルキル上の任意の置換基が、ヒドロキシ;アミノ;ニトロ;シアノ;置換されていてよいアリール;O、NおよびSより独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する置換されていてよい3〜8員ヘテロシクリル;−O−Rb;C(O)NRbc;−NRbc;−NRcC(O)−Rb;−C(O)NRbc;−NRcS(O0-2)Rb;−S(O0-2)Rb(式中、RbおよびRcは、請求項1に定義の通りである)より選択される請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
5が、式III−a、III−g、III−h、III−iまたはIII−j
【化6】

を有する基より選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
XおよびR8が、
(a)XはNであり、R8は、シアノまたは−C(O)O−Rbである;または
(b)XはNであり、R8は水素である
より選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
2が、置換されていてよい単環式芳香環構造より選択され、ここにおいて、任意の置換基が、シアノ、NRef、置換されていてよいC1-8アルキル、置換されていてよいC1-8アルコキシまたはハロより選択され、ここにおいて、ReおよびRfは、独立して、水素、C1-6アルキルまたはアリールより選択される請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
1が水素である請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
化合物:
3−[2,2−ジメチル−3−オキソ−3−(アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル)プロピル]−4−[1S−メチル−2−(N’−イソプロポキシカルボニル−3−ピリド−4−イルピロリジン−1−イルカルボキシミダミド)エチル]−5−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−ピラゾール;またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物。
【請求項11】
薬剤として用いるための請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物および薬学的に許容しうる希釈剤または担体を含む医薬製剤。
【請求項13】
患者の性ホルモンに関係した状態を治療的に処置するおよび/または予防するための患者への投与用薬剤の製造における請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物の使用。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物、またはその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を製造する方法であって、次の工程(a)〜(f):
(a)XがNであり、R8がCNである化合物について、式XXXIIの化合物の次の通りの反応
【化7】

(b)XがNであり、R8が水素である化合物について、酸の存在下における式XXXIIIの化合物のシアノ基を切断して、式XXXIV
【化8】

を有する化合物を生じること
(c)XがCHであり、R8がNO2である化合物について、式XXXVの化合物の次の通りの反応
【化9】

(d)X−R8がOである化合物について、式XXXVIIの化合物の次の通りの反応
【化10】

(e)X−R8がOである化合物について、式XXXIXの化合物の次の通りの反応
【化11】

(f)Xが窒素である化合物を形成するための、式XXXXIの化合物の次の通りの反応
【化12】

のいずれか一つより選択される反応工程と、その後必要ならば、
(i)式(I)の化合物を式(I)の別の化合物に変換すること;
(ii)任意の保護基を除去すること;
(iii)塩、プロドラッグ若しくは溶媒和化合物を形成すること
を含む方法。

【公表番号】特表2006−501231(P2006−501231A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530359(P2004−530359)
【出願日】平成15年8月19日(2003.8.19)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003623
【国際公開番号】WO2004/018459
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】