説明

GSK−3阻害剤としてのN−(2−チアゾリル)アミド誘導体

【解決手段】本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)に関連する疾病、特に、アルツハイマー病等の神経変性疾患、またはインスリン非依存性糖尿病の治療および/または予防のための、N−(2−チアゾリル)アミド誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)に関連する疾病、特に、アルツハイマー病等の神経変性疾患、またはインスリン非依存性糖尿病の治療および/または予防のための、N−(2−チアゾリル)アミド誘導体の使用に関する。加えて、新規なGSK−3阻害剤、そのような化合物の製造方法およびそれらの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
近年、標的疾病に関連する酵素および他の生体分子の構造をよりよく理解することにより、新たな治療薬の探索が大きく助長されている。広範囲な研究の主題となっている酵素の重要な分類の一つは、プロテインキナーゼである。多くの疾病が、プロテインキナーゼが媒介する事象が誘発する異常な細胞性応答に関連する。これらの疾病には、自己免疫性疾患、炎症性疾患、神経系および神経変性疾患、癌、心血管系疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病またはホルモン関連疾患が含まれる。従って、医薬化学において、治療薬として有効なプロテインキナーゼ阻害剤を発見するため、多大な努力がなされてきた。
【0003】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は、異なる遺伝子でそれぞれコードされるαおよびβアイソフォームを含む、セリン/トレオニンプロテインキナーゼである(コグラン(Coghlan)ら、Chemistry & Biology、7巻、793-803頁(2000年);キム(Kim)およびキメル(Kimmel)、Curr. Opinion Genetics Dev.、10巻、508-514頁(2000年))。トレオニン/セリンキナーゼであるグリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は、種々の受容体結合シグナル伝達系において、極めて重要な役割を果たす(ドーブレ(Doble),BW、ウッドゲット(Woodgett),JR、J.Cell Sci. 2003年、116巻:1175-1186頁)。これらの伝達系内の調節異常は、II型糖尿病(カイダノビッチ(Kaidanovich),O、エルダー・フィンケルマン(Eldar-Finkelman),H、Expert Opin. Ther. Targets, 2002年、6巻:555-561頁)、アルツハイマー病(グリムズ(Grimes)CA、ジョープ(Jope)RS、Prog.Neurobiol. 2001年、65巻:391-426頁)、躁うつ病および神経変性疾患等のCNS疾患、および慢性炎症性疾患(ヘフリッヒ(Hoeflich)KP、ルオ(Luo)J、ルビエ(Rubie)EA、ツァオ(Tsao)MS、ジン(Jin)O、ウッドゲット(Woodgett)J、Nature 2000年, 406巻:86-90頁)等の、ヒトのいくつかのよく見られる疾患の発症において、重大な事象と考えられる。これらの疾病は、GSK−3が作用するある種の細胞シグナル伝達系の異常な働きによって発症するか、または、結果的に異常な働きをもたらす。
【0004】
GSK−3は、多数の調節タンパク質の活性をリン酸化および調節することがわかっている。これらのタンパク質には、グリコーゲン合成に必要な律速酵素であるグリコーゲンシンターゼ、微小管結合タンパク質タウ、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子e1F2B、および、ATPクエン酸リアーゼ、アキシン、熱ショック因子−1、c-Jun、c-Myc、c-Myb、CREBおよびCEPBαが含まれる。これらの多様なタンパク質の標的は、細胞の代謝、増殖、分化および成長の多くの態様において、GSK−3に関係している。
【0005】
現在、GSK−3の阻害によって、インスリンの模倣、タウの脱リン酸化およびアミロイドのプロセシング、または転写調節のそれぞれを通して、このようないまだ対処されていない疾病治療のための新規な医薬成分を開発する実行可能な戦略が示され得る(マルティネス(Martinez)A、カストロ(Castro)A、ドロンソロ(Dorronsoro)I、アロンソ(Alonso)M、Med. Res. Rev.、2002年、22巻:373-384頁)。
【0006】
溶解性および沈着アミロイドβペプチド(Aβ)の神経毒性効果は、アルツハイマー病(AD)患者の脳における特徴的な病理である。インビトロおよびインビボの両方の研究により、AβペプチドはWntシグナル伝達経路の有効性を損なうことが提案され、このメカニズムはβ−カテニンの内因性レベルの不安定化によって媒介されると考えられる(「Wntシグナルの活性化はβ−アミロイド原線維によって引き起こされる神経変性および行動障害を救う(Activation of Wnt signaling rescues neurodegeneration and behavioural impairments induced by beta-amyloid fibrils)」、デフェラーリ(de Ferrari)ら、Mol. Psychiatry. 2003年;8(2)巻:195-208頁)。AD細胞および動物実験モデルでは、リチウムまたはWntリガンドによってWntシグナル伝達経路を活性化することにより、β−カテニンの正常レベルおよび、bcl-2等のある種のWnt標的生存遺伝子の発現が回復して、Aβの効果が減少する。Wnt伝達経路の要素における疾患は、ADの発症および進行を導き得るいくつかの事象を誘発するであろう(アミロイド−β−ペプチド神経毒性の間のシグナル変換:アルツハイマー病における役割(Signal transduction during amyloid-beta-peptide neurotoxicity: role in Alzheimer disease)、フエンテアルバ(Fuentealba)ら、Brain Res. Rev. 2004年;47(1-3)巻:275-89頁)。
【0007】
大脳皮質のニューロンにおける神経原線維変化の存在は、AD患者の脳で起こる別の異常であり、過リン酸化タウタンパク質は、これらのニューロン沈着の主要な要素であると考えられる(「アルツハイマー病の神経原線維変化は、軸索微小管に関係するタウタンパク質と抗原決定基を共有する(Neurofibrillary tangles of Alzheimer disease share antigenic determinants with the axonal microtubule-associated protein tau)」、ウッド(Wood)JGら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1986年;83(11)巻:4040-3頁)。タウは、ニューロンの軸索の一部において、これらの細胞構造の機能を調節する微小管に関連する、6つのタンパク質アイソフォームの一組である。タウは、種々の微小管関連キナーゼによってリン酸化され得るが、GSK3βおよびcdk5は、その効果により神経原線維変化の多くを形成する(「微小管関連キナーゼによるヒトタウタンパク質のリン酸化:GSK3βおよびcdk5は鍵となる因子である(Phosphorylation of human tau protein by microtubule-associated kinases: GSK3( and cdk5 are key participants)」、フラハーティ(Flaherty)ら、J. Neurosci. Res. 2000年;62巻:463-472頁)。実際に、GSK−3の活性は、神経原線維変化を形成する繊維の集合を引き起こすと考えられる(「アルツハイマー病におけるグリコーゲンシンターゼキナーゼ3の変化は神経原線維変化の形成に関係する(Glycogen synthase kinase 3 alteration in Alzheimer disease is related to neurofibrillary tangle formation)」、バウム(Baum)ら、Mol. Chem. Neuropathol. 1996年;29(2-3)巻:253-61頁)。従って、タウタンパク質のリン酸化は、ADの病理において影響を有するGSK−3の別の重要な役割である。
【0008】
ADにおいて発生する生理学的事象に関連するこれらの事実は、GSK−3がこの疾病の治療のため、Wnt経路における調節だけではなく、Aβ神経原線維変化の形成における影響についても、重要な標的となり得ることを支持する。
【0009】
Wntシグナル伝達が関与する別の病理はパーキンソン病である。この疾病の生理学的特長は、ドーパミンを産生するニューロンの減少であるが、この事象を引き起こす原因は完全には分かっていない。Wntタンパク質は、これらの神経細胞の分化過程において、重要な役割を有する。GSK−3阻害剤によってβ−カテニンレベルを正常化することによって、ドーパミン作動性ニューロンの分化が増進する(「中脳腹側部前駆物質におけるGSK−3β阻害/β−カテニン安定化はドーパミンニューロンへの分化を増進する(GSK-3beta inhibition/beta-catenin stabilization in ventral midbrain precursors increases differentiation into dopamine neurons)」、カストロ−ブランコ(Castelo- Branco)ら、J Cell Sci. 2004年;117(Pt 24)巻:5731-7頁)。
【0010】
GSK−3は、グリコーゲンシンターゼのリン酸化によってインスリンの細胞作用を調節するという、重要な役割も演じるが、グリコーゲンシンターゼは、グリコーゲンを形成するグルコースモノマーの縮合を触媒する酵素である。グリコーゲンシンターゼはGSK−3および他のキナーゼによるリン酸化によって不活化し、この事象は細胞におけるインスリンの効果を減じる。実際、いくつかの選択的GSK−3阻害剤は、インビトロおよびインビボのモデルにおいて、インスリンの作用を模倣することが判明している(「グリコーゲンシンターゼキナーゼ3の合成リン酸化ペプチド阻害剤のインスリン様作用(Insulin mimetic action of synthetic phosphorylated peptide inhibitors of glycogen synthase kinase-3)」、プロトキン(Plotkin)ら、Pharmacol Exp Ther. 2003年;305(3)巻:974-80頁)。これらの実験結果によれば、GSK−3の阻害は、インスリン抵抗性および2型糖尿病の治療において、治療効果を有し得る。
【0011】
上記を考慮して、GSK−3阻害剤は、アルツハイマー病、パーキンソン病、糖尿病および他の疾病の治療法となる可能性がある。
【0012】
タウは、細胞におけるその主要な役割が微小管の安定化を促進することである、一群のタンパク質である。微小管は、重要な細胞器官、特にニューロンの、細胞骨格の主要成分である。ニューロンにおける細胞骨格の主要な役割は、構造的な支持体を提供して、軸索および細胞体樹状突起コンパートメントを形成することであり、これはCNSの正確な機能に必須の神経回路網の一部である。細胞骨格は、ニューロンの生存に重大な要素であり、多くの神経および神経変性疾患の特徴は細胞骨格の異常である。従って、タウおよび細胞骨格構造に関連する他のタンパク質は、多くの神経および神経変性疾患の治療のための有望な標的となり得る。
【0013】
タウアイソフォームは、単一遺伝子の選択的mRNAスプライシングに由来し、分子量50〜70kDaの6本の異なるペプチド鎖となる。タウタンパク質は、中枢および末梢神経系において高度に発現され、ニューロンの軸索に特に多く存在し、そこではCNSにおけるシナプス結合の組織化および完全性に寄与する。
【0014】
いくつかの研究において(ブランド(Brandt)およびリー(Lee)、J Biol. Chem. 1993年、268巻、3414-3419頁、および、トリンチェク(Trinczek)ら、Mol. Biol. Cell. 1995年、6巻、1887-1902頁)、タウが微小管の核形成、成長および集合を促進する能力があることが実証されている。タウのこれらの機能は、そのペプチド鎖の複数の部位で起こる、リン酸化/脱リン酸化によって制御される。多数のキナーゼは、インビトロでこれらの部位をリン酸化する能力があるが、インビボでリン酸化能力があるキナーゼは殆どない。正常な生理学的条件では、リン酸化タウと脱リン酸化タウとのバランスがあり、このバランスがタウの微小管および他のタンパク質への結合を制御する。しかしながら、いくつかの病理事象はこのバランスを崩壊させ、タウと微小管との間の相互作用を減じ、両細胞骨格要素を分解する可能性がある。タウの他の部位でのリン酸化は、タウ−タウ相互作用の増加およびそれに続くタウオリゴマーの形成を引き起こし、最終的には凝集して神経原線維変化(NFTs)となる。これらすべての変化は、軸索に沿ったシナプスへの微小管輸送系の破壊を誘発し、神経機能の障害および最終的には細胞死を引き起こす。
【0015】
従って、タウの異常調節は、一般にタウオパチーとして知られている、多くの神経疾患の特質であると考えられており、タウオパチーは、脳におけるタウフィラメントの異常蓄積が特徴である。他のものの中で、いくつかの顕著なタウオパチーは、アルツハイマー病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、ピック病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、クロイツフェルト・ヤコブ病、ダウン症候群またはプリオンタンパク質脳アミロイド・アンギオパチーである。
【0016】
現在、多くの研究者が、アルツハイマー病の他の主要な病理特質である、タウの異常調節とアミロイド斑の蓄積との関係に注目している。ある著者(プライス(Price)ら、Annu. Rev. Genet、1998年、32巻461-493頁、および、セルコー(Selkoe)、Trends Cell Biol. 1998年、8巻447-453頁)は、アミロイド病変はタウ病理のアップストリームを引き起こすことを提案しているが、関連のメカニズムは未だ明確に説明されていない。線維性アミロイドβの沈着が、後に神経変性を誘発するタウのリン酸化を引き起こすと考えられている。
【0017】
最新技術を踏まえ、GSK−3酵素およびタウタンパク質が一連の重要なヒトの疾病および疾患、特に神経および神経変性疾患と直接的に関係することを考えると、このような疾病および疾患の治療に有効な医薬を得るため、該酵素およびタウタンパク質リン酸化の有効な阻害剤を発見する必要がある。
【発明の開示】
【0018】
本発明は、以下に詳述する式(I)で規定される一群の化合物、即ち、N−(2−チアゾリル)アミド誘導体であって、GSK−3に対して阻害効果を示す化合物を提供する。従って、これら化合物は、GSK−3が関与する疾病および状態、特に神経および神経変性疾患および状態の治療に有用である。加えて、これらの化合物の多くはタウタンパク質のリン酸化に対する阻害効果を示すが、このリン酸化も多くの神経変性疾患において重要な役割を果たすことから、式(I)の化合物は、神経および神経変性疾患の治療または予防に、2つの役割をも有し得る。
【0019】
従って、本発明の第一の態様では、式(I)の化合物:

式中、
1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2、−CF3、C1〜C6の直鎖アルキルおよび−CNより選択され;
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;
Xは、
−2位で結合する、式(A)のインドール:

−3位で結合する、式(B)のインドール:

および
−3位で結合する、式(C)のインダゾール:

よりなる群から選択され;
式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;
または、それらのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグの使用であって、GSK−3が介在する疾病または状態の治療または予防用医薬の製造における使用が提供される。
【0020】
式(I)の化合物は、GSK−3活性を調節する必要のある生物学的分析において使用され得る。従って、本発明は、別の態様では、生物学的分析においてGSK−3を調節する反応性物質、好ましくはGSK−3活性を阻害する反応性物質としての、上記で規定される式(I)の化合物、またはそのあらゆる塩または溶媒和物の使用に言及する。
【0021】
本発明のさらなる態様では、GSK−3が関連する疾病の治療方法であって、そのような治療が必要な患者に、治療的有効量の少なくとも1つの一般式(I)の化合物またはその医薬組成物を投与することを含む方法に言及する。
【0022】
本発明のさらなる態様は、式(I)の新規化合物:

式中、
1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2、−CF3および−CNより選択され、ただしR1およびR2の少なくとも1つはHとは異なり;
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;
Xは、
−2位で結合する、式(A)のインドール:

−3位で結合する、式(B)のインドール:

および
−3位で結合する、式(C)のインダゾール:

よりなる群から選択され;
式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;
または、そのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグである。
【0023】
さらなる態様では、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の新規化合物に関する。
【0024】
本発明のさらなる態様は、式(I)の新規化合物の少なくとも1つ、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグまたは溶媒和物、および薬学的に許容される担体、補助剤または賦形剤を含む、医薬組成物である。
【0025】
最後に、本発明のもう一つの態様は、式(I)の新規化合物の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
式(I)の化合物の上記の定義において、以下の用語が有する意味を示す:
【0027】
「C1〜C6アルキル」とは、炭素および水素原子よりなる直鎖状または分枝状の炭化水素鎖基であり、不飽和を含まず、1〜6個の炭素原子を有し、分子の残部に単結合で結合するものを言い、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル等である。
【0028】
「C1〜C6の直鎖アルキル」とは、炭素および水素原子よりなる直鎖状炭化水素鎖基であり、不飽和を含まず、1〜6個の炭素原子を有し、分子の残部に単結合で結合するものを言い、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル等である。
【0029】
「C1〜C6アルコキシ」とは、式−ORaの基であって、Raは上記で規定した「C1〜C6アルキル」基であるものを言い、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等である。
【0030】
「ハロゲン」とは、塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素置換基を言う。
【0031】
第一の態様において、本発明は、式(I)の化合物:

式中、
1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2、−CF3、C1〜C6の直鎖アルキルおよび-CNより選択され;
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;
Xは、
−2位で結合する、式(A)のインドール:

−3位で結合する、式(B)のインドール:

および
−3位で結合する、式(C)のインダゾール:

よりなる群から選択され;
式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;
または、そのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグの使用であって、GSK−3が介在する疾病または状態の治療または予防用医薬の製造における使用を提供する。
【0032】
本発明で使用される好ましい化合物は、Xが、上述で規定される通りの、2位または3位で結合する、式(A)または(B)のインドールであるものである。さらに好ましい化合物は、Xが、上述で規定される通りの、3位で結合する、式(C)のインダゾールであるものである。
【0033】
使用される他の好ましい化合物は、R1およびR2の少なくとも1つがHとは異なるものである。
【0034】
使用されるさらに他の好ましい化合物は、R1およびR2の1つがHであるものである。
【0035】
好ましくは、R1またはR2の1つは、NO2またはハロゲンである。従って、より好ましい化合物は、R1およびR2の1つがNO2であり、他方がHであるものである。さらにより好ましい化合物は、R1がNO2であり、R2がHであるものである。
【0036】
さらに好ましい態様において、R3はHおよびメチルから選択される。
【0037】
さらに好ましい化合物は、R4〜R7が、独立して、C1〜C6アルコキシおよびHから選択されるものである。好ましくは、R4〜R7は全てHである。
【0038】
また、R8がHおよびメチルから選択される化合物も好ましい。
【0039】
好ましくは、mは0、1、2または3より選択され、m=0は、アミド基がカルボニル基によってXに直接結合することを意味する。
【0040】
好ましい態様では、本発明で使用される式(I)の化合物は、以下の化合物、または、それらのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される:

【0041】
本発明の枠組みの中で、GSK−3が媒介する疾病または疾患とは、GSK−3が関与するあらゆる疾病または状態、好ましくはGSK−3阻害を要するあらゆる疾病または状態を意味する。このような疾病または状態としては、制限されないが、糖尿病;糖尿病に関連する状態;アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン認知症症候群、ピック病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭認知症、ハンチントン病、エイズ認知症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症等の等の認知症、および急性脳梗塞、てんかん等の神経外傷性疾患を含む慢性神経変性疾患;抑うつ症、統合失調症および双極性障害、躁うつ病等の気分障害;脳卒中後の機能回復の促進;脳内出血(例えば、孤立性脳アミロイドアンギオパチーによる);脱毛;肥満;動脈硬化性心血管疾患;高血圧;多嚢胞性卵巣症候群;シンドロームX;虚血;脳損傷、特に外傷性脳損傷;癌;白血球減少症;ダウン症候群;レヴィー小体病;炎症;慢性炎症性疾患;癌;および過形成としての過増殖性疾患;および免疫不全から選択される、あらゆる疾病または疾患が挙げられる。
【0042】
好ましい態様において、疾病または状態は、進行性核上麻痺、ピック病、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、および急性脳梗塞、てんかん等の神経外傷性疾患、抑うつ症、統合失調症および双極性障害、躁うつ病等の気分障害、脳卒中後の機能回復の促進、脳内出血(例えば、孤立性脳アミロイドアンギオパチーによる)、肥満、シンドロームX、虚血、脳損傷、特に外傷性脳損傷、ダウン症候群、レヴィー小体病、炎症、慢性炎症性疾患、癌、および過形成としての過増殖性疾患より選択される。より好ましくは、疾病および状態は、アルツハイマー病、糖尿病、パーキンソン病、てんかんおよび気分障害より選択される。さらにより好ましくは、疾病および状態は、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかんおよび気分障害より選択される。
【0043】
特に明記しない限り、本発明で使用される式(I)の化合物は、1以上の同位体標識原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素をジュウテリウムまたはトリチウムで置換、または炭素を13C−または14C−標識炭素または15N−標識窒素で置換した以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0044】
「薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ」という用語は、あらゆる薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、またはレシピエントに投与した際に、本書に記載された化合物を(直接的または間接的に)提供する能力のある、あらゆる他の化合物を言う。しかしながら、薬学的に許容されない塩もまた、薬学的に許容される塩の製造に有用であり得ることから、本発明の範囲内であることが理解されるであろう。塩、プロドラッグおよび誘導体の製造は、当業界で知られている方法で実施し得る。
【0045】
例えば、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、慣用の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成される。一般的には、このような塩は、例えば、水中または有機溶媒中またはこれら二者の混合物中、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物を、化学量論量の適宜の塩基または酸と反応させることによって製造される。一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性溶剤が好ましい。酸付加塩の例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の鉱酸付加塩、および、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸等の有機酸付加塩が挙げられる。アルカリ付加塩の例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マグネシウム、アルミニウムおよびリチウム塩等の無機塩、および、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N−ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミンおよび塩基性アミノ酸塩等の有機アルカリ塩が挙げられる。
【0046】
特に好ましい誘導体は、本発明の化合物が患者に投与された際に、化合物のバイオアベイラビリティーが増加するもの(例えば、経口投与された化合物がより容易に血中に吸収され得ることによる)、または、親種と比較して、親化合物の生物学的一区画(例えば、脳またはリンパ系)への送達を増強するものである。
【0047】
本発明で使用される式(I)の化合物は、遊離化合物として、または溶媒和物(例えば、水和物)として、結晶形態であってもよく、両形態は本発明の範囲内である。溶媒和方法は、一般に、当業界内で知られている。好適な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物である。特に好ましい態様では、溶媒和物は水和物である。
【0048】
式(I)の化合物またはそれらの塩または溶媒和物は、好ましくは薬学的に許容される形態であるか、実質的に純粋な形態である。薬学的に許容される形態とは、とりわけ、希釈剤および担体等の通常の薬学的添加剤を除いて、薬学的に許容されるレベルの純度を有すること、および、通常の投与量レベルで毒性があると考えられる物質を含まないことを意味する。薬剤物質の純度レベルは、好ましくは50%を超え、より好ましくは70%を超え、最も好ましくは90%を超える。好ましい態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物またはプロドラッグの純度レベルは95%を超える。
【0049】
上述の式(I)で表される本発明で使用される化合物は、キラル中心の存在によるエナンチオマーまたは多重結合の存在による異性体(例えば、Z、E)を含み得る。単一異性体、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびその混合物は、本発明の範囲内である。
【0050】
式(I)の化合物は、GSK−3活性の調節を要する、生物学的分析に使用され得る。従って、別の態様では、本発明は、生物学的分析においてGSK−3を調節する反応性物質、好ましくはGSK−3活性を阻害する反応性物質としての、上記で規定される式(I)の化合物、またはそのあらゆる塩または溶媒和物の使用に言及する。
【0051】
本発明のさらなる態様は、GSK−3に関連する疾病、疾患または状態の治療または予防方法であって、そのような治療を要する患者に、治療的に有効量の少なくとも1つの一般式(I)の化合物またはそのあらゆる塩または溶媒和物、またはそれらの薬学的組成物を投与することを含む方法に言及する。
【0052】
本発明の別の態様は、式(I)の新規化合物:

式中、
1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2、−CF3および−CNより選択され、ただしR1およびR2の少なくとも1つはHとは異なり;
mは、0〜6の整数であり;
Xは、
−2位で結合する、式(A)のインドール:

−3位で結合する、式(B)のインドール:

および
−3位で結合する、式(C)のインダゾール:

よりなる群から選択され;
式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;
または、そのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグに関する。
【0053】
好ましい化合物は、Xが、上記で規定される通りの、2位または3位で結合する、式(A)または(B)のインドールであるものである。さらに好ましい化合物は、Xが、上記で規定される通りの、3位で結合する、式(C)のインダゾールであるものである。
【0054】
他の好ましい化合物は、R1およびR2の1つがHであるものである。
【0055】
好ましくは、R1またはR2の1つは−NO2またはハロゲンである。従って、より好ましい化合物は、R1およびR2の1つが−NO2であり、他方がHであるものである。さらにより好ましい化合物は、R1が-NO2であり、R2がHであるものである。
【0056】
さらに好ましい態様では、R3はHおよびメチルから選択される。
【0057】
さらに好ましい化合物は、R4〜R7が、独立して、C1〜C6アルコキシおよびHから選択されるものである。好ましくは、R4〜R7は全てHである。
【0058】
また、R8がHおよびメチルから選択される化合物も好ましい。
【0059】
好ましくは、mは0、1、2または3より選択され、m=0は、アミド基がカルボニル基によってXに直接結合することを意味する。
【0060】
好ましい態様では、本発明で使用される式(I)の化合物は、以下の化合物、または、それらのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される:

【0061】
特に明記しない限り、式(I)の新規化合物は、1以上の同位体標識原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。例えば、水素をジュウテリウムまたはトリチウムで置換、または炭素を13C−または14C−標識炭素または15N−標識窒素で置換した以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0062】
「薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ」という用語は、あらゆる薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、またはレシピエントに投与した際に、本書に記載された化合物を(直接的または間接的に)提供する能力のある、あらゆる他の化合物を言う。しかしながら、薬学的に許容されない塩もまた、薬学的に許容される塩の製造に有用であり得ることから、本発明の範囲内であることが理解されるであろう。塩、プロドラッグおよび誘導体の製造は、当業界で知られている方法で実施し得る。
【0063】
例えば、式(I)の新規化合物の薬学的に許容される塩は、慣用の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成される。一般的には、このような塩は、例えば、水中または有機溶媒中またはこれら二者の混合物中、遊離酸または塩基形態のこれらの化合物を、化学量論量の適宜の塩基または酸と反応させることによって製造される。一般的には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性溶剤が好ましい。酸付加塩の例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の鉱酸付加塩、および、例えば、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸等の有機酸付加塩が挙げられる。アルカリ付加塩の例としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、マグネシウム、アルミニウムおよびリチウム塩等の無機塩、および、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、N,N−ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミン、グルカミンおよび塩基性アミノ酸塩等の有機アルカリ塩が挙げられる。
【0064】
特に好ましい誘導体は、本発明の新規化合物が患者に投与された際に、化合物のバイオアベイラビリティーが増加するもの(例えば、経口投与された化合物がより容易に血中に吸収され得ることによる)、または、親種と比較して、親化合物の生物学的一区画(例えば、脳またはリンパ系)への送達を増強するものである。
【0065】
式(I)の新規化合物は、遊離化合物として、または溶媒和物(例えば、水和物)として、結晶形態であってもよく、両形態は本発明の範囲内である。溶媒和方法は、一般に、当業界内で知られている。好適な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物である。特に好ましい態様では、溶媒和物は水和物である。
【0066】
式(I)の新規化合物またはそれらの塩または溶媒和物は、好ましくは薬学的に許容される形態であるか、実質的に純粋な形態である。薬学的に許容される形態とは、とりわけ、希釈剤および担体等の通常の薬学的添加剤を除いて、薬学的に許容されるレベルの純度を有すること、および、通常の投与量レベルで毒性があると考えられる物質を含まないことを意味する。薬剤物質の純度レベルは、好ましくは50%を超え、より好ましくは70%を超え、最も好ましくは90%を超える。好ましい態様においては、式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物またはプロドラッグの純度レベルは95%を超える。
【0067】
上述の式(I)で表される新規化合物は、キラル中心の存在によるエナンチオマーまたは多重結合の存在による異性体(例えば、Z、E)を含み得る。単一異性体、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびその混合物は、本発明の範囲内である。
【0068】
さらに、本発明は、少なくとも1つの本発明の式(I)の新規化合物、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグまたは立体異性体と、患者へ投与するための薬学的に許容される担体、補助剤または賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。
【0069】
医薬組成物の例としては、経口、局所または非経口投与のための、あらゆる固体(錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤等)組成物、または、液体(液剤、懸濁剤または乳剤)組成物が含まれる。
【0070】
好ましい態様において、医薬組成物は経口形態である。経口投与に好適な投与形態は、錠剤およびカプセル剤であり得、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、またはポリビニルピロリドン等の結合剤;例えば、ラクトース、砂糖、トウモロコシでんぷん、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン等の充填剤;例えば、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウムまたは微結晶性セルロース等の崩壊剤;またはラウリル硫酸ナトリウム等の薬学的に許容される湿潤剤等の、当業界で知られている慣用の添加剤を含有し得る。
【0071】
固体の経口組成物は、慣用の混合、充填または錠剤化方法によって製造し得る。多量の充填剤を用いる組成物全体に活性薬剤を分布させるために、混合操作を反復し得る。このような操作は、当技術分野では慣行である。例えば、錠剤は、湿式または乾式造粒によって製造し、任意に、通常の医薬品業務でよく知られた方法に従ってコートし、特に腸溶コーティングでコートする。
【0072】
また、医薬組成物は、適宜の単位投与形態で、滅菌液剤、懸濁剤または凍結乾燥剤等の、非経口投与にも適合し得る。増量剤、緩衝剤または界面活性剤等の、適当な賦形剤を使用し得る。
【0073】
記載した製剤は、スペインおよび米国薬局方および同様の参考文献に記載または引用されたもの等の標準的な方法を用いて、製造されるであろう。
【0074】
本発明の式(I)の新規化合物または組成物は、静脈内注入、経口製剤、および腹腔内および静脈内投与等の、あらゆる好適な方法で投与され得る。患者の利便性および治療される疾病の多くの慢性特性により、経口投与が好ましい。
【0075】
一般的に、本発明の新規化合物の有効投与量は、選択される化合物、治療している疾患の重篤度および患者の体重の相対的効力によって決まるであろう。しかしながら、活性化合物は、典型的には、0.1〜1000mg/kg/日の範囲の典型的な一日総投与量を、一日一回以上、例えば毎日1、2、3または4回、投与されるであろう。
【0076】
本発明の新規化合物および組成物は、他の薬剤と共に使用して、併用療法を提供し得る。他の薬剤は、同一の組成物の一部を形成するか、別の組成物として提供されて同時または異なる時間に投与され得る。
【0077】
別の態様では、本発明は、医薬として使用するための、式(I)の新規化合物に言及する。
【0078】
式(I)の新規化合物は、それぞれ式(II)および(III)の好適なインダゾリル−またはインドリル酸を式(IV)のチアゾールとカップリングすることを含む経路策によって得ることができる:

式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;および
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;

式中、R1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2および−CNより選択され、ただしR1およびR2の少なくとも1つはHとは異なる。
【0079】
式(II)、(III)および(IV)の化合物は全て市販されている。
【0080】
X=インダゾールの化合物群の一般的方法
本発明の別の特別な態様では、以下の一般的方法に従って、Xがインダゾールである式(I)の化合物が得られる。式(II)の対応するインダゾール酸の無水THF溶液に、活性化試薬として無水THF中の1.5当量のCDIを添加する。得られる混合物を室温で約4〜5時間攪拌する。その後、THF中の1当量の式(IV)の対応するチアゾールを反応混合物に添加し、これを室温で約8〜10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗する。熟達者に知られている一般的精製方法に従って、精製を実施する。
【0081】

【0082】
X=インドールの化合物群の一般的方法
本発明のさらに特別な態様では、以下の一般的方法に従って、Xがインドールである式(I)の化合物が得られる。式(III)のインドール酸の無水THF溶液に、活性化試薬として無水THF中の1.5当量のCDIを添加する。得られる混合物を室温で約4〜5時間攪拌する。その後、THF中の1当量の式(IV)の対応するチアゾールを反応混合物に添加し、これを室温で約8〜10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗する。熟達者に知られている一般的精製方法に従って、精製を実施する。
【0083】

【0084】
本発明のさらなる説明として以下の実施例を挙げるが、いかなる場合にも本発明を制限する規定として考えるべきではない。
【実施例】
【0085】
製造例
本発明の式(I)のいくつかの化合物を製造する詳細な説明を以下に示す。
【0086】
実施例1
1H−インダゾール−3−カルボン酸(5−ニトロ−チアゾール−2−イル)アミド(化合物11)の製造

【0087】
無水THF中の3−インダゾール酸(3mmol、486mg)およびインダゾールの溶解性を上げるための1mlの無水ジメチルホルムアミド(DMF)の溶液に、無水THF中の1.5当量のCDI(4.5mmol、729mg)を添加する。得られる混合物を室温で4、5時間攪拌する。その後、THF中の2−アミノ−5−ニトロ−チアゾール(3mmol、435mg)を反応混合物に添加し、これを室温で10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗(3×10mL)する。有機層をNa2SO4で乾燥する。その後、溶媒を真空除去し、得られる残渣をCH2Cl2/MeOHの混合物で洗浄し、所望の化合物を黄色固体として得る(550mg、63%、290M+)。
1H-NMR (DMSO): 7.37 (t, 1H); 7.51 (t, 1H); 7.72 (d, 1H); 8.21 (d, 1H); 8.67 (s, 1H)
13C-NMR (DMSO): 107.9; 111.2; 120.8; 122.0; 123.4; 127.1; 135.5; 141.2; 141.8; 142.7; 161.7; 161.8
【0088】
実施例2
2−(インドール−3−イル)−N−(5−ニトロ−チアゾール−2−イル)アセトアミド(化合物4)の製造

【0089】
3−インドール酢酸(2.10g、12mmol)の無水THF溶液に、無水THF中の1.5当量のCDI(18mmol、2.916g)を添加する。得られる混合物を室温で5時間攪拌する。その後、THF中の2−アミノ−5−ニトロ−チアゾール(12mmol、1.740g)を反応混合物に添加し、これを室温で10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる褐色の粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗(3×10mL)する。有機層をNa2SO4で乾燥する。その後、溶媒を真空除去し、得られる残渣をCH2Cl2/MeOHの混合物で洗浄し、所望の化合物を黄色固体として得る(2.260g、62%、303M+)。
1H-NMR (DMSO): 3.96 (s, 2H); 6.97-7.5 (m, 5H); 8.6 (s, 1H); 10.9 (NH); 13.26 (NH)
13C-NMR (DMSO): 32.1; 106.4; 111.4; 118.4; 118.6; 121.1; 124.4; 126.9; 136.0; 141.7; 142.6; 161.9; 171.5
【0090】
実施例3
N−(5−クロロ−チアゾール−2−イル)−2−(インドール−2−イル)アセトアミド(化合物6)の製造

【0091】
3−インドール酢酸(525.5mg、3mmol)の無水THF溶液に、無水THF中の1.5当量のCDI(4.5mmol、729mg)を添加する。得られる混合物を室温で5時間攪拌する。その後、THF中の2−アミノ−5−クロロ−チアゾール(3mmol、513.5mg)および1当量のNEt3(0.41mL)を反応混合物に添加し、これを室温で10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる赤色油状の粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗(3×10mL)する。有機層をNa2SO4で乾燥する。その後、溶媒を真空除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCH2Cl2/MeOH:30/1で精製し、所望の化合物を白色固体として得る(500mg、収率:57%、293M+、290M−)。
1H-NMR (DMSO): 3.92 (s, 2H); 6.97 (m, 1H); 7.08 (m, 1H); 7.25 (d, 1H); 7.36 (m, 1H); 7.50 (s, 1H); 7.56 (d, 1H); 8.6 (s, 1H); 10.9 (NH); 12.56 (NH)
13C-NMR (DMSO): 31.85; 107.05; 111.38; 117.88; 118.45; 118.51; 121.06; 124.21; 126.96; 135.51; 135.99; 156.00; 170.20
【0092】
実施例4
2−(5−メトキシ−インドール−3−イル)−N−(5−ニトロ−チアゾール−2−イル)アセトアミド(化合物7)の製造

【0093】
(5−メトキシ−インドール−3−イル)酢酸(410mg、2mmol)の無水THF溶液に、無水THF中の1.5当量のCDI(3mmol、486mg)を添加する。得られる混合物を室温で5時間攪拌する。その後、THF中の2−アミノ−5−ニトロ−チアゾール(2mmol、290mg)を反応混合物に添加し、これを室温で10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる褐色の粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗(3×30mL)する。有機層をNa2SO4で乾燥する。その後、溶媒を真空除去し、得られる残渣をCH2Cl2/MeOHの混合物で洗浄し、所望の化合物を黄色固体として得る(384.5mg、収率:50%、333M+)。
1H-NMR (DMSO): 3.73 (s, 3H); 3.95 (s, 2H); 6.75 (dd, 1H); 7.09 (s, 1H); 7.25 (m, 2H); 8.71 (s, 1H); 10.90 (1H, NH)
13C-NMR (DMSO): 32.17; 55.33; 100.40; 106.18; 111.15; 112.09; 125.01; 127.31; 131.13; 141.62; 142.71; 153.15; 162.01; 171.60
【0094】
実施例5
2−(1−メチル−インドール−3−イル)−N−(5−ニトロ−チアゾール−2−イル)アセトアミド(化合物8)の製造

【0095】
(1−メチル−インドール−3−イル)酢酸(567.6mg、3mmol)の無水THF溶液に、無水THF中の1.5当量のCDI(4.5mmol、729mg)を添加する。得られる混合物を室温で5時間攪拌する。その後、THF中の2−アミノ−5−ニトロ−チアゾール(3mmol、435mg)を反応混合物に添加し、これを室温で10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる褐色の粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗(3×30mL)する。有機層をNa2SO4で乾燥する。その後、溶媒を真空除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCH2Cl2/MeOH:40/1で精製し、所望の化合物を黄色固体として得る(755.5mg、収率:80%、317M+)。
1H-NMR (DMSO): 3.76 (s, 3H); 3.96 (s, 2H); 7.04 (t, 1H); 7.13 (t, 1H); 7.28 (s, 1H); 7.41 (d, 1H); 7.57 (d, 1H); 8.62 (s, 1H)
13C-NMR (DMSO): 31.80; 32.25; 105.64; 109.61; 118.59; 118.67; 121.20; 127.21; 128.56; 136.39; 141.69; 142.59; 161.78; 171.31
【0096】
実施例6
2−(2−メチル−インドール−3−イル)−N−(5−ニトロ−チアゾール−2−イル)アセトアミド(化合物9)の製造

【0097】
(2−メチル−インドール−3−イル)酢酸(567.6mg、3mmol)の無水THF溶液に、無水THF中の1.5当量のCDI(4.5mmol、729mg)を添加する。得られる混合物を室温で5時間攪拌する。その後、THF中の2−アミノ−5−ニトロ−チアゾール(3mmol、435mg)を反応混合物に添加し、これを室温で10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる褐色の粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗(3×30mL)する。有機層をNa2SO4で乾燥する。その後、溶媒を真空除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCH2Cl2/MeOH:40/1で精製し、所望の化合物を黄色固体として得る(726mg、収率:77%、317M+)。
1H-NMR (DMSO): 2.30 (s, 3H); 3.96 (s, 2H); 6.71 (t, 1H); 6.86 (t, 1H); 7.21 (d, 1H); 7.41 (d, 1H); 8.60 (s, 1H);10.90 (1H, NH); 13.21 (1H, NH)
13C-NMR (DMSO): 11.35; 30.83; 102.66; 110.35; 117.49; 118.36; 120.13; 128.09; 133.68; 134.96; 141.67; 142.58; 161.79; 171.58
【0098】
実施例7
5−メトキシ−インドール−2−カルボン酸(5−ニトロ−チアゾール−2−イル)アミド(化合物10)の製造

【0099】
5−メトキシ−インドール−2−カルボン酸(382mg、2mmol)の無水THF溶液に、無水THF中の1.5当量のCDI(3mmol、486mg)を添加する。得られる混合物を室温で5時間攪拌する。その後、THF中の2−アミノ−5−ニトロ−チアゾール(2mmol、290mg)を反応混合物に添加し、これを室温で10時間攪拌する。反応が完了した時点で、溶媒を留去し、得られる褐色の粗生成物をCH2Cl2に溶解し、水洗(3×30mL)する。有機層をNa2SO4で乾燥する。その後、溶媒を真空除去し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCH2Cl2/MeOH:40/1で精製し、所望の化合物を黄色固体として得る(48mg、収率:5%、317M−)。
1H-NMR (DMSO): 3.79 (s, 3H); 6.95 (dd, 1H); 7.15 (s, 1H); 7.37 (d, 1H); 7.67 (s, 1H); 8.71 (s, 1H); 11.90 (1H, NH); 13.41 (1H, NH)
13C-NMR (DMSO): 55.19; 102.08; 107.11; 113.45; 117.11; 127.07; 128.14; 133.27; 141.75; 142.74; 154.07; 159.98; 162.41
【0100】
生物学的実施例
生物学的活性を調べるため、実施例1〜7で得られた化合物を、式(I)の別の6化合物と共に、異なる濃度で2つの異なる分析に付した。
【0101】
GSK−3β阻害:
この分析は、アップステイト・カタログ(Upstate Cat.)14-306に詳述されるプロトコルを基礎とし、若干変更したものである。
【0102】
組み換えヒトグリコーゲンシンターゼキナーゼ3βを、62.5μMのホスホ−グリコーゲンシンターゼペプチド−2(GS−2)(トクリス(TOCRIS)、Cat. 1352)、0.5μCiのγ−33P−ATPおよび最終濃度が12.5μMの非標識ATP(シグマ(Sigma)、A-9187)の存在下、11mMのMOPS、pH7.4、0.2mMのEDTA、1,25mMのEGTA、26,25mMのMgCl2および0.25mMのオルトバナジウム酸ナトリウム中で分析する。30℃で30分間インキュベートした後、一定量をP81ホスホセルロース紙上にスポットする。濾紙を、1%リン酸で各回少なくとも10分間、4回洗浄し、シンチレーションカウンター(パーキンエルマー(PerkinElmer)、マイクロベータ(Microbeta)1450)においてシンチレーション混合物を用いて計測する。実施例1〜7で合成した化合物、および式(I)の他の6つの化合物の存在下、25および50μMの濃度で、GSK−3の活性を試験する。得られた結果を、GSK−3活性のパーセントで表1に示す(下記参照)。
【0103】
タウのリン酸化阻害:
ヒト神経細胞芽腫SHSY5Y細胞を、最小必須培養液/栄養混合物F−12の存在下、播種した。1日後、細胞をサンプルと37℃で18時間処理する。処理後、培養物をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、抽出緩衝液(10mMのトリス塩酸、pH7.4、100mMのNaCl、1mMのEDTA、2mMのNa3VO4、1%のトリトンX−100、10%のグリセロール、0.1%のSDS、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、1mMのPMSFおよびプロテアーゼ阻害剤混合物(ロシュ(Roche)、Cat 1 697 498)中、4℃で30分溶解する。
【0104】
一定量の細胞溶解物を取り、サンドイッチELISA(バイオソース(Biosource)、Cat KHB7031)においてタウ[pS396]に対するリン酸化特異抗体を用いて、リン酸化されたヒトのタウを定量する。タウのリン酸化は、マイクロタイタープレートリーダー(カルテック(Cultek)、アントス(Anthos)2010)で450nmでの吸収を測定することにより評価する。
【0105】
実施例1〜7で合成した化合物、および式(I)の他の6つの化合物の効果は、異なる最終濃度、すなわち50、100および200μMで測定する。式(I)の全ての化合物を全ての濃度で測定しなかった。結果は、それぞれ「陰性」および「陽性」を意味する「NEG」および「POS」として表1に示す(以下参照)が、「NEG」はタウのリン酸化の阻害が化合物(I)の示された濃度では検出されなかったことを意味し、「POS」は示された濃度でタウのリン酸化の阻害が検出されたことを意味する。
【0106】


【0107】
タウのリン酸化分析に加えて、上述の化合物1、4、5、7、8、9、10および11の潜在毒性による細胞死を、LDH放出を測定することにより定量化する(ロシュ(Roche)、Cat 1 644 793)。細胞生存の定量のため、一定量の細胞溶解物を同容量の反応混合物と室温で20〜30分間インキュベートする。マイクロタイタープレートリーダーで490〜492nmのフィルター(カルテック(Cultek)、アントス(Anthos)2010)を用いて、吸光度を測定する。
【0108】
SH−SY5Y細胞において、化合物4および5については、処置24時間の時点で細胞生存を測定し(表2参照)、化合物1、7、8、9、10および11については、処置18時間の時点で測定した(表3参照)。一般的には、化合物で処置した後の細胞生存が80%未満の場合、その化合物は毒性があると考えられる。
【0109】

【0110】

【0111】
従って、得られた結果に照らして、式(I)の化合物は非毒性であると考え得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:

式中、
1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2、−CF3、C1〜C6の直鎖アルキルおよび-CNより選択され;
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;
Xは、
−2位で結合する、式(A)のインドール:

−3位で結合する、式(B)のインドール:

および
−3位で結合する、式(C)のインダゾール:

よりなる群から選択され;
式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;
または、そのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグの使用であって、GSK−3が介在する疾病または状態の治療または予防用医薬の製造における、使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、R1およびR2の少なくとも1つがHとは異なる、使用。
【請求項3】
請求項1または2に記載の使用であって、Xが、請求項1で規定される通りの、それぞれ2位または3位で結合する、式(A)または(B)のインドールである、使用。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用であって、Xが、請求項1で規定される通りの、3位で結合する、式(C)のインダゾールである、使用。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用であって、R1およびR2の1つが、H、NO2、ハロゲンまたはC1〜C6の直鎖アルキルである、使用。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の使用であって、R1およびR2の1つがHである、使用。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用であって、R1およびR2の1つが-NO2である、使用。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の使用であって、R1が-NO2であり、R2がHである、使用。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用であって、R4〜R7が、独立して、C1〜C6アルコキシおよびHから選択される、使用。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用であって、R4〜R7がHである、使用。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の使用であって、R3がHおよびメチルから選択される、使用。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用であって、R8がHおよびメチルから選択される、使用。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の使用であって、mが0、1、2または3である、使用。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用であって、式(I)の化合物が、以下の化合物、または、それらのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される、使用:

【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用であって、医薬が、GSK−3阻害を要する疾病または状態の治療または予防用である、使用。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用であって、疾病または状態が、糖尿病;糖尿病に関連する状態;アルツハイマー病、パーキンソン病、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン認知症症候群、ピック病、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病、クロイツフェルト・ヤコブ病、プリオンタンパク質脳アミロイドアンギオパチー、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭認知症、ハンチントン病、エイズ認知症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症等の等の認知症、および急性脳梗塞、てんかん等の神経外傷性疾患を含む慢性神経変性疾患;抑うつ症、統合失調症および双極性障害、躁うつ病等の気分障害;脳卒中後の機能回復の促進;脳内出血(例えば、孤立性脳アミロイドアンギオパチーによる);脱毛;肥満;動脈硬化性心血管疾患;高血圧;多嚢胞性卵巣症候群;シンドロームX;虚血;脳損傷、特に外傷性脳損傷;癌;白血球減少症;ダウン症候群;レヴィー小体病;炎症;慢性炎症性疾患;癌;および過形成としての過増殖性疾患;および免疫不全から選択される、使用。
【請求項17】
請求項16の使用であって、疾病または状態が、アルツハイマー病、糖尿病、パーキンソン病、てんかんおよび気分障害から選択される、使用。
【請求項18】
請求項17の使用であって、疾病または状態が、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかんおよび気分障害から選択される、使用。
【請求項19】
生物学的分析においてGSK−3を調節する反応性物質、好ましくはGSK−3活性を阻害する反応性物質としての、請求項1〜14のいずれか一項で規定される式(I)の化合物、またはそのあらゆる塩または溶媒和物の使用。
【請求項20】
式(I)の化合物:

式中、
1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2、−CF3および−CNより選択され、ただしR1およびR2の少なくとも1つはHとは異なり;
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;
Xは、
−2位で結合する、式(A)のインドール:

−3位で結合する、式(B)のインドール:

および
−3位で結合する、式(C)のインダゾール:

よりなる群から選択され;
式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;
または、そのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグ。
【請求項21】
請求項20に記載の化合物であって、Xが、請求項20で規定される通りの、それぞれ2位または3位で結合する、式(A)または(B)のインドールである、化合物。
【請求項22】
請求項20に記載の化合物であって、Xが、請求項20で規定される通りの、3位で結合する、式(C)のインダゾールである、化合物。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれか一項に記載の化合物であって、R1およびR2の1つが、H、NO2またはハロゲンである、化合物。
【請求項24】
請求項20〜23のいずれか一項に記載の化合物であって、R1およびR2の1つがHである、化合物。
【請求項25】
請求項20〜24のいずれか一項に記載の化合物であって、R1およびR2の1つが-NO2である、化合物。
【請求項26】
請求項20〜25のいずれか一項に記載の化合物であって、R1が-NO2であり、R2がHである、化合物。
【請求項27】
請求項20〜26のいずれか一項に記載の化合物であって、R4〜R7が、独立して、C1〜C6アルコキシおよびHから選択される、化合物。
【請求項28】
請求項27に記載の化合物であって、R4〜R7がHである、化合物。
【請求項29】
請求項20〜28のいずれか一項に記載の化合物であって、R3がHおよびメチルから選択される、化合物。
【請求項30】
請求項20〜29のいずれか一項に記載の化合物であって、R8がHおよびメチルから選択される、化合物。
【請求項31】
請求項20〜30のいずれか一項に記載の化合物であって、mが0、1、2または3である、化合物。
【請求項32】
請求項20に記載の化合物であって、以下の化合物、または、それらのあらゆる薬学的に許容される塩、溶媒和物およびプロドラッグから選択される、化合物:

【請求項33】
医薬として使用するための、請求項20〜30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
請求項20〜32のいずれかで規定される通りの式(I)の化合物の少なくとも1つ、またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグまたは溶媒和物、および薬学的に許容される担体、補助剤または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項35】
請求項20〜32のいずれかで規定される通りの、式(I)の化合物の製造方法であって、それぞれ式(II)および(III)のインダゾリル−またはインドリル酸を、式(IV)のチアゾールとカップリングさせることを含む、方法:

式中、
3は、HおよびC1〜C6の直鎖アルキルより選択され;
4、R5、R6およびR7は、独立して、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよびハロゲンから選択され;
8は、HおよびC1〜C6アルキルより選択され;および
mは、0、1、2、3、4、5または6であり;

式中、R1およびR2は、独立して、H、−NO2、ハロゲン、−NH2、−CF3および−CNより選択され、ただしR1およびR2の少なくとも1つはHとは異なる。

【公表番号】特表2009−535320(P2009−535320A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507096(P2009−507096)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054187
【国際公開番号】WO2007/125109
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(505132389)ノスシラ、ソシエダッド、アノニマ (12)
【氏名又は名称原語表記】NOSCIRA S.A.
【Fターム(参考)】