説明

HDR撮影機能を有するイメージセンサ

【課題】ハイダイナミックレンジ画像を生成するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】イメージセンサ30のリセットを1回行い、その後に2回以上、センサ30の読み出しを行ってデータを取得する。これらのイメージセンサ30の読み出しは、イメージセンサ30の次のリセットに先立って行われる。また、これらの読み出しは、互いに関連する所定の時間に行われる。これらの走査中に読み出されるデータは、画像信号処理部32によりデインターリーブされ、ハイダイナミックレンジ画像に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像撮影システム及び技術に関する。
【背景技術】
【0002】
この欄では、以下に説明及び/または請求する、本開示の様々な面に関する技術の様々な見地を読者に紹介することを目的としている。ここでの議論は、本開示の様々な面の理解をより深め易くするための背景の情報を読者に提供するのに役立つものと信じる。従って、これらの記載は、その目的のために読まれるべきであり、従来技術として認めるものではないことを理解されたい。
【0003】
ハイダイナミックレンジ(HDR)撮影は、一般的に、画像の最も明るい領域と最も暗い領域との間の輝度のダイナミックレンジが、標準のデジタル画像撮影技術よりも広い撮影及び表現を可能にする、一連の撮影技術に関する。ダイナミックレンジがより広くなると、HDR画像は、現実の場面における広いレンジの濃度レベルを、より正確に表現することができるようになる。HDR画像を撮影する1つの方法は、独立に撮影された複数の写真を1つにまとめることを含む。例えばこの処理は、複数の画像を異なる露出で続けて撮影し、得られた画像を処理して、1つの合成HDR画像を生成することを含む。
【0004】
しかしながら、独立に撮影された複数の画像から1つのHDR画像を生成する処理には欠点がある。例えば、生成された合成HDR画像が完全に一致しないような複数の画像が続けて撮影されたときに、変化が生じる。これは、合成HDR画像において動きの乱れを生じさせる。また、画像は、例えば、風による木の揺れ、人々や顔の軽微な変化等、その画像の場面における部分的な動きにより影響を受ける。更に、撮影される画像に基づいて、HDR画像が処理されるのにかかる時間が遅延する。そのため、HDR画像が生成されるスピード及び連続性を向上させる技術及びシステムが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
ここで開示する実施形態の要旨を以下に示す。これらの面は、単に、読者にこれら特定の実施形態の簡潔な要旨を提供する為になされるものであって、本開示の範囲を制限することを意図したものではないことは理解されるべきである。実際、本開示は、以下に記載されていない様々な面を包含する。
【0006】
本発明の実施形態は、特に、HDR撮影アプリケーションにおける、画像の生成に関する。例えば、一実施形態では、1つの画像はカメラのような画像撮影機器により撮影される。この撮影された画像は、画像撮影機器のイメージセンサにより電気信号(例えば、電圧)に変換された光のエネルギーの結果である。イメージセンサの複数回の走査(すなわち、読み出し)は、撮影する画像が露出アンダーの表現に対応する1回の読み出しと、撮影する画像が露出オーバーとなる表現に対応する第2の読み出しとになるようになされる。この読み出されたデータは、1つのパスを介して画像処理回路に送られ、画像信号処理部が第1及び第2走査からのデータを分離する。この分離されたデータは別々に格納され、画像信号処理部により組み替えられて、HDR画像が生成され、電子機器のディスプレイに表示するために送られる。
【0007】
上述したような様々な特徴の改善は、本開示の様々な見地に関連するものである。更なる特徴は、これらの様々な見地にも含まれるかも知れない。これらの改善及び追加の特徴は、単独または組み合わせで存在することもある。例えば、1以上の例示的な実施形態に関連して以下に議論する様々な特徴は、上述した本開示の見地の単独または組み合わせの何れかに含まれるかも知れない。繰り返すが、上記簡単な要旨は、主張する対象を限定すること無く、本開示の実施形態のある見地及び状況に、読者を親しみやすくすることをのみを意図している。
【0008】
本開示の様々な面は、以下の詳細な記述を読み、図面を参照することで、よりよく理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本開示で記載する見地に係るHDR画像処理技術を実施するように構成された画像撮影機器及び画像信号処理サブシステムを含む電子機器の一例の構成要素を示す概略ブロック図である。
【図2】図2は、図1の電子機器の画像撮影機器で実施されるベイヤーカラーフィルタ配列の2×2の画素ブロックを示す図である。
【図3】図3は、ハンドヘルド携帯電子機器の形態で表した本開示の見地にかかる図1の電子機器の正面図である。
【図4】図4は、図3に示すハンドヘルド電子機器の背面図である。
【図5】図5は、図1の電子機器により撮影される画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、図1の電子機器の画像撮影機器及び画像信号処理サブシステムのブロック図である。
【図7】図7は、図6の画像信号処理サブシステムの画像信号処理部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
以下に、本開示の1以上の特定の実施形態を記述する。これら記述された実施形態は、ここで開示される技術の単なる例である。また、これらの実施形態の簡潔な記述を提供するにあたり、実際に実行したときのすべての特徴を明細書に記述していないかも知れない。現実に実施するための開発において、何らかの光学または設計プロジェクトにおいてそうであるように、開発者の特定のゴールに到達するために、実施に応じてそれぞれ異なるシステム関連及びビジネル関連の拘束と折り合いをつける等、おびただしい数の実施のための決断がなされなければならないことは理解されるべきである。その上、そのような開発の努力は複雑で時間がかかるものであるが、それにも関わらず、この開示からの恩恵を受ける当業者にとって、設計、政策、製造の日常的な仕事であることは理解されよう。
【0011】
本開示の様々な実施形態の構成要素を紹介するときに、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、1以上の要素が存在することを表すことを意図している。「comprising」、「including」及び「having」は、包含的であることを意図しており、リストに挙げた要素の他にも追加的要素がある可能性を意味している。更に、本開示を「一実施形態」または「実施形態」と呼ぶ場合、列挙された特徴を含む追加的実施形態の存在を排除していると解釈されることを意図していないことを理解されたい。
【0012】
以下に説明するように、本開示は、一般的に、デジタルイメージセンサを用いたHDR画像の生成及び1回の露出中に複数画像の撮影をまとめるための様々な技術を提供する。図1は、本開示の実施形態に係るデジタル画像生成のための電子機器10の一例を示すブロック図である。電子機器10は、ラップトップまたはデスクトップコンピュータ、携帯電話、デジタルメディアプレイヤー等、1以上の撮像機器を用いて得られたデータ等の画像データを受信し、処理する、どのようなタイプの電子機器であってもよい。電子機器10は、一例として、カリフォルニア州クパティーノのアップル株式会社のiPod(登録商標)または iPhone(登録商標)などのような携帯電子機器であってもよい。また、電子機器10は、アップル株式会社のMacBook(登録商標)、MacBook(登録商標) Pro、MacBook Air(登録商標)、iMac(登録商標)、Mac(登録商標) Mini、Mac Pro(登録商標)またはiPad(登録商標)などのようなデスクトップ、ラップトップ、またはタブレットコンピュータであってもよい。別の実施形態において、電子機器10は、画像データを取得し、処理することのできる、他のメーカーの電子機器であってもよい。
【0013】
電子機器10は、機器10の機能に貢献する様々な内部及び/外部構成を含んでもよい。当業者であれば、図1に示される様々な機能ブロックが、ハードウエア要素(回路を含む)、ソフトウエア要素(コンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータコードを含む)、またはハードウエア及びソフトウエア要素の組み合わせを含むことは、分かるであろう。例えば、ここで示される実施形態において、電子機器10は、入力/出力(I/O)ポート12、入力機構14、1以上のプロセッサ16、メモリ機器18、不揮発性格納部20、拡張カード22、ネットワーク機器24、電源26、及び、ディスプレイ28を含む。更に、電子機器10は、デジタルカメラ及び画像処理回路(ISPサブシステム)32などの1以上の撮像機器30を含んでいてもよい。以下に更に説明するように、画像処理回路32は、合成HDR画像を生成するために、画像データを処理するための画像処理技術を実現する。
【0014】
プロセッサ16は、機器10の総括的な処理を制御する。例えば、プロセッサ16は、電子機器10のオペレーティングシステム、プログラム、ユーザ及びアプリケーションインターフェース、及び、その他の機能を実行する処理能力を提供する。プロセッサ16は、1以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1以上の専用マイクロプロセッサ、及び/またはアプリケーション専用マイクロプロセッサ(ASIC)、またはこういった処理構成要素の組み合わせなどの、1以上のマイクロプロセッサを含んでもよい。例えば、プロセッサ16は、1以上の処理エンジン(例えば、RISCまたはCISCプロセッサ、グラフィックプロセッサ(GPU)、ビデオプロセッサ、及び/または関連するチップセット)を含んでもよい。プロセッサ16は、機器10の様々な構成要素間でデータ及び命令をやり取りするための1以上のデータバスに接続されていることは理解されるであろう。ある実施形態では、プロセッサ16は、アップル株式会社から提供されているPhoto Booth(登録商標)、Aperture(登録商標)、iPhoto(登録商標)、 または Preview(登録商標)、または、アップル株式会社から提供されたiPhone(登録商標)のモデルにおける「カメラ」及び/または「写真」アプリケーションといった、電子機器10における撮像アプリケーションを実行する処理能力を提供する。一実施形態では、プロセッサ16は、アップル株式会社から提供されるFaceTime(登録商標)等の、機器10におけるビデオ会議アプリケーションを実行する能力を提供する。
【0015】
プロセッサ16 により処理される命令またはデータは、メモリ機器18などのコンピュータ可読媒体に格納される。メモリ機器18は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、または、読み出し専用メモリ(ROM)などの不揮発性メモリ、または、1以上のRAM及びROMデバイスの組み合わせとして提供される。メモリ18は、様々な情報を格納し、様々な目的に使用される。 例えば、メモリ18は、ベーシック入力/出力システム(BIOS)、オペレーティングシステム、様々なプログラム、アプリケーション、または、ユーザインターフェース機能や、プロセッサ機能などを含む、電子機器10で実行されるその他のルーチンといった、電子機器10のためのファームウエアを保持する。更に、メモリ18は、電子機器10が動作中のバッファリングまたはキャッシングに用いてもよい。例えば、一実施形態では、メモリ18は、ディスプレイ28に出力する時にビデオデータをバッファリングするための1以上のフレームバッファを含む。
【0016】
メモリ機器18に加えて、電子機器10はデータ及び/または命令の永続的な保持のための不揮発性格納部20を更に含む。不揮発性格納部20は、フラッシュメモリ、ハードドライブ、またはその他の光学、磁気及び/または固体記録媒体、またはこれらの組み合わせを含む。従って、図1では明確化のために1つの機器として記載されているが、不揮発性格納部20は、プロセッサ16と協動する、1以上の上述した格納機器の組み合わせを含むことは理解されよう。不揮発性格納部20は、ファームウエア、データファイル、画像データ、ソフトウエアプログラム及びアプリケーション、無線接続情報、個人情報、ユーザーの好み、及びその他の適したデータを保持するために用いられる。本開示の一様態によれば、不揮発性格納部20及び/またはメモリ機器18に格納された画像データは、ディスプレイに出力される前に、画像処理回路32により処理される。
【0017】
ディスプレイ28は、以下にさらに説明するように、オペレーティングシステムのためのGUIなどの機器10により生成される様々な画像、または、画像処理回路32により処理される画像データ(静止画像及びビデオデータを含む)を表示するために用いられる。上述したように、画像データは、撮像機器30を用いて取得された画像データ、または、メモリ18及び/または不揮発性格納部20から取り出された画像データを含む。ディスプレイ28は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、または、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの、適するタイプのディスプレイであればよい。一実施形態では、ディスプレイは、1インチあたり300以上の画素を有する、例えば、アップル株式会社のRetina Display(登録商標)などの、高解像度LEDディスプレイである。更に、別の実施形態では、ディスプレイ28を、電子機器10の入力機構(14)として機能する、上述したタッチセンシティブメカニズム(例えば、タッチスクリーン)と合わせて提供しても良い。
【0018】
上述したように、電子機器10は、静止画像及び動画像(例えば、ビデオ)の両方を取得するように構成されたデジタルカメラとして提供される撮像機器30を含んでいてもよい。カメラ30は、レンズと、光を捉えて電気信号に変換する1以上のイメージセンサを含んでも良い。例として、イメージセンサは、CMOSイメージセンサ(例えば、CMOSアクティブピクセルセンサ(APS))またはCCD(charge-coupled device)センサを含む。一般的に、カメラ30のイメージセンサは、画像シーンからの光を感知するための光検出器を各画素が含む画素配列を有する集積回路を含む。イメージセンサは、SMIA(Standard Mobile Imaging Architecture)インターフェースまたは他の適するシリアルまたはパラレルイメージセンサインターフェース、または、そのようなインターフェースの組み合わせを用いた、センサインターフェースを介してISPサブシステム32に接続しても良い。
【0019】
当業者であれば分かるように、センサの撮像画素の光検出器は、通常、カメラレンズを介して捉えられた光の強度を検知する。しかしながら、光検出器それ自身は、通常、捉えた光の波長を検知することはできないため、色情報を判断することはできない。従って、イメージセンサは、色情報を得るために、イメージセンサの画素配列の上に重ねられた、または配列されたカラーフィルタアレイ(CFA)を更に含んでもよい。カラーフィルタアレイは、イメージセンサのそれぞれの画素に重ねられ、周波数ごとに捉えた光を通過させる、小さなカラーフィルタの配列を含む。従って、結合して用いられた場合、カラーフィルタアレイとイメージセンサは、得られた画像を表す、カメラにより撮影された光に関して、周波数及び強度情報の両方を提供する。
【0020】
一実施形態において、カラーフィルタは、緑成分50%、赤成分25%、青成分25%のカラーパターンを供給するベイヤーカラーフィルタアレイを含む。図2は、2つの緑成分(Gr及びGbと記す)と、1つの赤成分(R)と、1つの青成分(B)とを含む、ベイヤーCFAの2×2の画素ブロックを示す。従って、ベイヤーカラーフィルタを用いるイメージセンサは、カメラ30により受光された、緑、赤、青の波長の光の強度に関する情報を提供し、画像の各画素は、3色(赤、緑、青)のうちの1つだけを記録する。「Raw画像データ」と呼ばれるこの情報は、1以上のデモザイク技術を用いて処理され、通常、各画素について赤、緑、青の値を補間することで、Raw画像データをフルカラー画像に変換する。このようなデモザイク技術は、ISPサブシステム32により行われる。
【0021】
次に、図3及び図4において、電子機器10は、携帯ハンドヘルド電子機器50の形態で表されているが、これは、アップル株式会社により提供されるiPod Touch(登録商標)またはiPhone(登録商標)等の、iPod(登録商標)の1つのモデルであってもよい。ハンドヘルド機器50は、内部構成要素を物理的なダメージから守り、電磁波の干渉(EMI)から遮断するように機能する、囲い52を有する。囲い52は、プラスチック、金属、合金、合成素材等の、適した素材または素材の組み合わせにより構成され、図3に示すように、無線ネットワーク(例えば、802.11 a/b/g/nネットワーキング)及び/または遠距離通信信号(例えば、GPRS、EDGE、3G、LTE等)等の特定周波数の電磁波が、囲い52内に構成された無線通信回路(例えば、ネットワーク機器24)を通過することができる。
【0022】
囲い52は様々なユーザ入力機構14を有し、これらを介してユーザはハンドヘルド機器50とのインターフェースを行う。例えば、各入力機構14は、押下または作動された時に、1以上の各デバイス機能を制御する。例として、1以上の入力機構14は、スリープ、ウェイク、または電源オン/オフモード間をトグルで切り替えたり、携帯電話アプリケーションの呼び出し音をオフにしたり、ボリューム出力を上げたり下げたりする等のために、表示すべき「ホーム」画面またはメニューを呼び出す。ここに示す入力機構14は単なる例であって、ハンドヘルド機器50は、ボタン、スイッチ、キー、つまみ、スクロールダイヤル等を含む様々な形態で存在する適するユーザ入力機構をいくつ有していてもよいことは理解されるであろう。
【0023】
ハンドヘルド機器50は、様々なI/Oポート12を含む。例えば、描かれたI/Oポート12は、データを送受信し、1以上の着脱可能、再充電可能、及び/または置き換え可能な電池を含む、電源26を充電するための専有接続ポート12a(例えば、アップル株式会社により提供されている30-pin dock-connector)を含む。I/Oポートは、更に、機器50を音声出力機器(例えば、ヘッドフォンまたはスピーカー)に接続するための音声接続ポート12bを含む。更に、ハンドヘルド機器50が携帯電話機能を提供する実施形態においては、I/Oポート12cは、SIM(subscriber identify module)カード(例えば、拡張カード22)を受け付けるために供給されている。
【0024】
LCD、OLED、または適したタイプのディスプレイであるディスプレイ28は、ハンドヘルド機器50により生成される様々な画像を表示する。例えば、ディスプレイ28は、電源の状態、信号強度、外部装置接続等の1以上のハンドヘルド機器50の状態をユーザにフィードバックするために、様々なシステム指標54を表示する。ディスプレイ28は、ユーザが機器50とやりとりを行えるようにするためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)56を表示する。ある実施形態では、表示中のGUI56のスクリーン画像は機器50で実行されているオペレーティングシステムのホーム画面を表しており、オペレーティングシステムは、例えば、アップル株式会社のMac OS(登録商標)またはiOS(登録商標)(以前のiPhone OS(登録商標))オペレーティングシステムの一バージョンである。
【0025】
GUI56は、ユーザ選択(例えば、特定アイコン58の選択に応じたユーザ入力を受信する)に応じて開かれる、または、実行される様々なアプリケーションに対応するアイコン58等、様々なグラフィカル要素を含む。いくつかの実施形態では、アイコン58の選択は、アイコン58の選択が、1以上の追加アイコンまたは他のGUI構成要素を含む、他のグラフィカルウィンドウを画面に導く、または開くように、階層ナビゲーション処理に導く。ここで示す実施形態において、アイコン58の1つは、画像を取得するために、機器50の前側にある第1前面カメラ30a及び、機器50の裏側にある第2背面カメラ30b(図3において点線で表す)の一方または両方と共に使用されるカメラアプリケーション66を表す。図4を簡単に参照すると、ハンドヘルド機器50の背面図は、背面カメラ30bがハウジング52と一体化され、ハンドヘルド機器50の背面に配置されていることを表すように描かれている。ここで示す実施形態において、ハンドヘルド機器50の背面は、背面カメラ30bを用いて撮影する画像シーンを照らすために用いられるフラッシュモジュール(またはストロボとも呼ぶ)64を含んでいてもよい。一例として、フラッシュモジュール64は、キセノン照明装置及び/または発光ダイオード(LED)を含む。一実施形態において、前面及び背面カメラ30a及び30bは、アップル株式会社から提供されているFaceTime(登録商標)に基づくビデオ会議アプリケーションを利用する等により、ビデオ会議能力を提供するために利用してもよい。
【0026】
更に、ハンドヘルド機器50は、様々な音声入力及び出力素子を含む。例えば、音声入力/出力素子70は、マイクロフォンなどの入力受信部を含む。従って、ハンドヘルド機器50が携帯電話機能を含む実施形態において、入力受信部は、ユーザの声などのユーザ音声入力を受ける。更に、音声入力/出力素子70は、メディアプレイヤーアプリケーション72を用いて音楽データを再生している間などに、音声信号をユーザに伝える機能を有する1以上のスピーカーを含む、1以上の出力トランスミッタを含む。携帯電話の実施形態において、図3に示すように、更に音声出力トランスミッタ74を含んでいてもよい。音声入力/出力素子70の出力トランスミッタのように、出力トランスミッタ74は、通話中の音声データなどの音声信号をユーザに伝える1以上のスピーカーを含む。従って、携帯電話の実施形態において、音声入力/出力素子70及び74は、電話の音声受信及び送信素子として、一体的に機能する。
【0027】
電子機器10がとることのできるいくつかの形態要因に関していくつかの状況を供給するにあたり、本開示において述べる実施形態にかかる、電子機器10において実施されるあるHDR撮影技術について、更に詳細に説明する。例えば、画像処理回路32は、合成HDR画像を生成するために、撮影された画像の画像マージングを行う。一実施形態において、HDR撮像のために、カメラ30は、一回の露光の間に、低露出レベル(露出アンダー)での1枚以上の画像と、高露出レベル(露出オーバー)での1枚以上の画像とを含む複数の画像を取得し、それらの画像を、画像処理回路32により1つの合成HDR画像を生成するために用いる。または、カメラ30は、低露出レベル(露出アンダー)での少なくとも1枚の画像と、通常の露出レベルでの少なくとも1枚の画像と、高露出レベル(露出オーバー)での少なくとも1つの画像とを取得してもよい。画像処理回路32は、これらの画像を処理して、合成HDR画像を生成する。
【0028】
図5は、カメラ30のイメージセンサにより撮影される画像76の例を示す。画像76は、カメラ30により、画像取得のローリングシャッタ方法(つまり、ライン走査による取得と、露光を開始するための画素に対するライン走査リセット)を用いた処理を介して撮影される。すなわち、カメラ30は、ある時刻における1つのスナップショットからではなく、撮像領域(フレーム)を同時に一度に露光する代わりに、カメラ30のイメージセンサの露光領域に亘ってシャッターを転がす(つまり、移動させる)ことで、画像を記録する。従って、1フレーム分の情報は、画像76のすべてが、再生中に1つの画像76として表示のために再構成されるものの、画像76のすべての部分が厳密に同時に記録されないように、カメラ30のイメージセンサの画素により行単位(縦位置または横位置のいずれか)で得られる。別の実施形態では、イメージセンサにおいて、フレーム全体を同時に露光するグローバルシャッタ方法での撮影を行ってもよい。
【0029】
図5に示すように、画像76の走査方向をライン78により示す。すなわち、ローリングシャッタリセット80は、イメージセンサの画素をリセットするために、画像76の一番上の部分82から、画像76の一番下の部分84まで移動する。イメージセンサの画素がローリングシャッタリセット80によりリセットされると、リセットされた画素は、画像76の一部に対応する光を集め始める。すなわち、カメラ30におけるイメージセンサの画素は露光され、露光した光は集められて、画像76の生成に用いられる。一実施形態によれば、ローリングシャッタリセット80は、固定の時間「t」(つまり、フレーム期間)の間に、画像76の部分82から部分84まで(すなわち、フレーム全体に亘って)移動する。例えば、この固定の時間「t」は、1/15秒、1/30秒、1/60秒、1/125秒、1/250秒、1/500秒、1/1000秒、1/5000秒、1/10000秒、または他の時間である。この固定の時間「t」は、アップル株式会社により提供されているPhoto Booth(登録商標)、Aperture(登録商標)、iPhoto(登録商標)、またはPreview(登録商標)、または、アップル株式会社によりiPhone(登録商標)のモデルで提供されている「カメラ」及び/または「Photo」アプリケーション等の、電子機器10における撮影アプリケーションを実行するプロセッサ16により自動的に調整されたり、または、ユーザにより、例えば、上記撮影アプリケーションの1つと対話している間に調整される。
【0030】
1回のフレーム露光中(つまり、ローリングシャッタリセット80がフレームを移動する間の固定の時間t)にHDR画像を生成するために、イメージセンサの同じ行の画素に対する複数回の読み出しが行われる。例えば、1行分の画素に蓄積されたデータの第1データ読み出し86は、時間nに開始される。ここでnは時間tの固定数分の1である。この時間nは、例えば、1/2、1/3、1/4、1/5、1/10、1/20、またはフレーム時間tの他の値である。この時間nは、図5において線88として表されている。つまり、第1データ読み出し86はローリングシャッタリセット80による1行分の画素のリセット後の時間nに行われる。従って、ローリングシャッタリセット80が、矢印78に従って下方向に動くにつれて、第1データ読み出し86は時間nをおいてローリングシャッタリセット80の後を追う。このようにすることで、フレームの各行の画素に格納されたデータは、その行の画素をローリングシャッタリセット80した後、時間nで読み出される。従って、イメージセンサを通過する第1データ読み出し86として読み出される各行の画素は、同じ時間nだけ露光されるため、この時間nを露光時間または積分時間と呼ぶ。
【0031】
なお、この第1データ読み出し86は、低露出レベル(露出アンダー)で得られた画像の生成に対応する。つまり、第1データ読み出し86は、画像76の陰の部分の描写はあまり良くないが、明るい部分ははっきりと描写されているような画像を生成するのに役に立つ。すなわち、第1データ読み出し86に対応するデータは、HDR画像の明るい部分を描写するのに役立つ。
【0032】
第1データ読み出し86に続いて、第2データ読み出し90が、例えば、イメージセンサの1行分の画素に蓄積されたデータについて行われる。この第2データ読み出し90は、図5の線92で示す時間mで行われる。この時間mは、時間nの数倍である。例えば、時間mは、nと等しい、nの1.5倍、nの2倍、nの2.5倍、nの3倍、nの3.5倍、nの4倍、または他のnの倍数である。一実施形態によれば、線92で表される時間mは、第2データ読み出し90が、全体として、時間nを4倍した時間(つまり4n)に行われるように、3nである。つまり、第2データ読み出し90は、ローリングシャッタリセット80による1行分の画素のリセットの後、時間4nで行われる。従って、ローリングシャッタリセット80が矢印78に沿って下方向へ移動すると、第2データ読み出し86は、時間4n後にローリングシャッタリセット80の後を追う。このようにすることで、フレームの各行の画素に蓄積されたデータが、1行分の画素のローリングシャッタリセット80の後、時間4nで読み出される。従って、イメージセンサを移動する第2データ読み出し90として読み出される各行の画素は、同じ時間4nの間、露光されることになる。これにより、複数回の露光(例えば、露光時間nで1回、露光時間4nで1回)を、1フレーム撮影の間に行うことができる。
【0033】
なお、第2データ読み出し90は、高露出レベル(露出オーバー)の画像の生成に対応する。即ち、第2データ読み出し90は、画像76の陰の部分ははっきりと描画されているが、明るい部分は白く飛んでしまっているような画像を生成するのに役に立つ。すなわち、第2データ読み出し90に対応するデータは、HDR画像の暗い部分を描写するのに役立つ。このようにすることで、第1データ読み出し86からのデータをHDR画像の明るい部分を生成するのに用い、第2データ読み出し90からのデータをHDR画像の暗い部分を生成するのに用いることができるため、合成HDR画像は拡大されたダイナミックレンジを有し、そのために、第1データ読み出し86または第2データ読み出し90のいずれか一方のデータから得られた画像よりも、見た目の良いものになる。更に、第1データ読み出し86及び第2データ読み出し90に加えて、その他のデータ読み出しを行っても良い。例えば、「通常の」露出(例えば、第1データ読み出し86が時間nで、第2データ読み出しが時間4nの場合、時間2n)に対応するような、第3データ読み出しを、第1データ読み出し86と第2データ読み出し90の間の時間に行っても良い。この第3データ読み出しを、第1データ読み出し86及び第2データ読み出し90からのデータと結合して、合成HDR画像を生成しても良い。
【0034】
更に、電子機器10において撮影アプリケーションを実行するプロセッサ16は、読み出し時間n、それに続く複数の読み出し時間、及び、データ読み出しの総回数を変更することができる。この変更は、撮影する対象物の明るさ、カメラの露出インデックス、ノイズ、または他の要因などの要因に関するフィードバックに基づいて行われる。 例えば、より多くのデータ読み出しをより遅いフレームレートで行い、遅れた読み出し時間tを低明るさレベルで行ってもよい。データ読み出し(例えば、データ読み出し86及び90)の読み出し回数の変更を通して、生成されるHDR画像への変更ができるように、露出時間を調整してもよい。
【0035】
図6は、HDR画像を生成するために用いられるカメラ30及び画像処理回路32の構成要素を示すブロック図である。カメラ30は光を捉えて電気信号に変換するイメージセンサ94を含む。イメージセンサ94は、例えば、CMOS イメージセンサ(例えば、CMOSアクティブピクセルセンサ(APS))またはCCD(charge-coupled device)センサである。一般的に、カメラ30のイメージセンサ94は、画像76からの光を感知するための光検出器を各画素が含む画素配列を有する集積回路を含む。画素は、図5を参照して上述したローリングシャッタリセット80を介してリセットされ、第1データ読み出し86、第2データ読み出し90、または他のデータ読み出し中に、取り込んだ光の値を電気信号として読み出すように駆動する。例えば、第1データ読み出し86は、露出アンダーの画像に対応するデータを生成するために上述した時間nで行われ、第2データ読み出し90は、露出オーバーの画像に対応するデータを生成するために時間4nで行われ、第3データ読み出しは、平均(つまり、標準)露出の画像に対応するデータを生成するために時間2nで行われる。
【0036】
ローリングシャッタリセット80、第1データ読み出し86、第2データ読み出し90、及びその他の読み出しは、走査回路95により行われる。走査回路95は、例えば、プロセッサ16から1以上の活性化信号を受信し、イメージセンサ94の様々な画素にデータ読み出し信号を送るように駆動する。例えば、走査回路95は、第1データ読み出し86(例えば、時間n)の間に1行分の画素に活性化信号を送ることで、活性化された行の画素からデータが送られるようにする。その後、走査回路95は、第2データ読み出し90(例えば、時間4n)の間に、同じ行の画素に活性化信号を送ることで、活性化された行の画素からデータが送られるようにする。これにより、走査回路95は、シャッタリセットに先立って、複数回、イメージセンサ94からデータを読み出せるようにする。
【0037】
イメージセンサ94から読み出されたデータは、アナログ/デジタル(A/D)変換器96に送られる。A/D変換器96は、例えば、イメージセンサ94と同じチップまたは回路に形成しても良いし、またはA/D変換器96は、イメージセンサと電気的に連結していてもよい。A/D変換器96は、例えば、パイプライン型A/D変換器またはカラムA/D変換器である。A/D変換器96は、例えば、第1データ読み出し86の間に、 イメージセンサ94から読み出したデータを受信し、受信したデータを、受信したデータ値に対応するデジタル信号(デジタルデータ)に変換する。このデジタルデータは、パス98を介して画像処理回路32に送られる。パス98は、MIPI CSI(Mobile Industry Processor Interface Camera Serial Interface)、SMIA(standard mobile industry architecture)インターフェース、または他の適したパラレルまたはシリアルインターフェースを含む。従って、一実施形態によれば、データは画像処理回路32にシリアルに送られる。
【0038】
しかしながら、上述したように、イメージセンサ94からの複数のデータ読み出しは、1回の露光中に行われる(例えば、第1データ読み出し86、第2データ読み出し90、及び/または他のデータ読み出し)。従って、各読み出しにおいて受信するデータは、パス98を共有しなければならない。これを達成するために、イメージセンサ94からの読み出しを互い違いに行ってもよい。すなわち、第1データ読み出し86からのデータを、第2読み出し90が始まるまでの間などにA/D変換器に送っても良い。このとき、まず、第1データ読み出し86に対応した行について、そして次に第2データ読み出し90に対応した行について、イメージセンサ94からデータを読み出す。この処理は、2つの読み出しが行われる時間がオーバーラップする限り、(例えば、交互に)繰り返される。更に、もし第3以上の読み出しが行われる場合、他の読み出しも同様にして互い違いにすればよく、各読み出しで得たデータを、互いに食い違うようにA/D変換器96に送れば良い。このようにして、A/D変換器96は、供給されたデータを受信する度にデジタル形式に変換するので、パス98により送られたデジタルデータは、例えば、第1データ読み出し86から読みだしたデータ、第2データ読み出し90から読み出したデータ、及び、その他の追加データ読み出しから読み出したデータを含んでもよい。
【0039】
一実施形態において、バッファ97はイメージセンサ94と同じチップまたは回路上に、ラインバッファ(つまり、読み出された1行分のデータに対応するデータを保持するメモリ)として構成される。このバッファ97は、データ読み出し(例えば、第1データ読み出し86)から受信したデータを、A/D変換器96による変換前に、ビンに分けて(例えば、4×4のビンに分ける)格納してもよい。つまり、一群の画素のデータを1つの画素値に結合することで、イメージセンサ94からのデータ読み出しに付随する読み出しノイズの影響を減らす。一実施形態において、インターフェース上で転送するデータ量を減らすために、露出オーバー及び露出アンダーの画像の両方に関するデータを、ビンに分けてもよい。
【0040】
更に、または、代わりに、複数のデータ読み出しのための一連のデータを一列に並べるためにバッファ97を用いても良い。即ち、バッファ97は、第2データ読み出し(例えば、第1データ読み出し86)を保持すること無く転送し、1回のデータ読み出し(例えば、第2データ読み出し90)の全体を転送のために保持するフレームバッファであってもよい。即ち、データ読み出しが互い違いに行われている間にパス98を介して送られるデータは、第1データ読み出し86から読み出された全てのデータと、続けて、第2データ読み出し90から読み出された全てのデータ(バッファ97から転送される)とを含む。このようにバッファ97を利用することで、データパス98からのデータを分離する際の複雑さを低減することができる(つまり、データパス98上のデータは混ざらない)。
【0041】
パス98を通ったデジタルデータは、画像処理回路32において受信される。上述したように、このデジタルデータは、イメージセンサ94の2回以上の読み出しによるデータ(すなわち、異なる露出時間に関するデータ)を含む。従って、一実施形態において、第1データ読み出し86、第2データ読み出し90、またはその他のデータ読み出しに対応するデジタルデータは、特定のデータ読み出し(例えば、第1データ読み出し86)に属することが識別できるように、1以上の識別ビット等の識別子を含む。このように、デジタルデータにはタグが付けられるため、例えば、画像信号処理部(ISP)100により、特定のデータ読み出しに関連する、受信したデジタルデータの正しい分類がなされる。更に、(例えば、データ読み出しを行うときに)ISP100を、読み出し時間を調整するために用いてもよい。例えば、ISP100を、露出、ホワイトバランス、及び撮像機器30の焦点といった要素に関する統計的なデータを生成するために用いてもよい。このデータは、撮像機器30、ひいてはHDR画像の読み出し回数を調整するために用いてもよい。
【0042】
上述したように、ISP100はデジタルデータを受信し、パス98から受信したデータをそれぞれの露出に分離するように動作してもよい。例えば、ISP100は、第1データ読み出し86から読み出されたデータを分離し、分離したデータを、記憶場所であるバッファ102に格納する。同様に、ISP100は、パス98を介して受信したデータから第2データ読み出し90から読み出されたデータを分離し、分離したデータを記憶場所であるバッファ104に格納する。いくつかの実施形態では、バッファ102及び104は、1つの物理的な回路における2つの別々の領域であってもよい。別の実施形態では、バッファ102及び104は、別のメモリ回路にあってもよい。更に、ISP100は、イメージセンサ94から読み出された数のデータ部分をそれぞれ分離するように動作し、例えば、実行された追加のデータ読み出しそれぞれに対応する追加のバッファを含んでもよい。
【0043】
例えば、第1データ読み出し86及び第2データ読み出し90に関する全てのデータが分離されると、各バッファ102及び104は、HDR画像を形成するために用いられる全てのデータセットを保持することになる。従って、ISP100はバッファ102及び104に格納されたデータを結合して、合成HDR画像を生成し、生成された合成HDR画像は、プロセッサ16が取り出せるように、バッファ106に送られる。一実施形態では、HDR画像は、バッファ102及び104に格納されたデータよりも、高いビット深度を有する。例えば、バッファ106に格納されたHDR画像は、バッファ102及び104に格納されたデータと比較して、1、2、3、またはそれ以上のビットの追加情報を含む。HDR画像のこの高いビット深度により、よりはっきりとした、及び/またはより見た目の良い画像を生成することができる。
【0044】
図7は、ISP100の動作の一実施形態の詳細を示すフローチャート108を示す。ステップ110において、ISP100はパス98からデジタルデータを受信する。ISP100はステップ112において、パス98から受信したデータを各露出に分離する。この分離は、受信データが特定のデータ読み出し(例えば、第1データ読み出し86)に属すると分類されるように、受信データに関連付けられた識別子(つまり、例えばデータに付加された、1以上の識別ビット)を分析することで、与えられたデータセットがどのデータ読み出しに対応するかを判断することで実現することができる。
【0045】
受信した画像データが分離されると、ISP100はステップ114において分離したデータを格納する。例えば、第1データ読み出し86からのデータは、記憶場所であるバッファ102に格納される。同様に、第2データ読み出し90からのデータは、バッファ102とは異なる記憶場所であるバッファ104に格納される。更に、その他の追加データ読み出しからのデータは、ISP100により追加バッファに格納される。.
【0046】
これらのデータ読み出しにかかる全てのデータが格納されると、ISP100は、ステップ116において、HDR画像を生成する。すなわち、バッファ102及び104それぞれ、及び使用される他の追加バッファは、HDR画像を形成するために用いられる全データセットを含む。ISP100は、ステップ118において、合成HDR画像を生成するために、バッファに格納されたデータを結合し、プロセッサ16に送るために、バッファ106に送る。このようにすることで、画像撮影機器30の1回のローリングシャッタリセット80からHDR画像を生成するためにISP100を用いることができる。
【0047】
上述したHDR撮影に関する様々な技術は、単なる例示として提供したものであることは理解されよう。従って、本開示は、提供した例にのみ限定されるべきものではないことは理解されたい。更に、HDR撮影技術は、ハードウエア(適するように構成された回路)、ソフトウエア(例えば、1以上の有形のコンピュータ可読媒体に格納された、実行可能なコードを含むコンピュータプログラムを介して)、または、ハードウエア及びソフトウエア構成要素両方の組み合わせを用いることを含む、適する状態で実施できることは分かるであろう。
【0048】
上述した特定の実施形態は例として示しており、これらの実施形態は、様々な変形及び別の形態に変えることが可能であることを理解されたい。更に、請求項は、開示された特定の形態に限定されることを意図しておらず、むしろ、本開示の精神及び範囲内にある全ての変形例、同等物、代案を包含することを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの画像の複数回の露光に関する画像データを送るデータパスと、
前記データパスと結ばれ、前記画像データを受信して、少なくとも1つの抽出条件に基づいて該画像データを少なくとも2つのカテゴリに分離する画像信号処理部と、
前記画像信号処理部と結ばれ、前記カテゴリの少なくとも1つからデータを格納する第1バッファと
を有することを特徴とする画像処理回路。
【請求項2】
前記画像信号処理部と結ばれ、前記カテゴリのうち2つめのカテゴリからデータを格納する第2バッファを有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理回路。
【請求項3】
前記画像信号処理部は、前記第1及び第2バッファそれぞれに格納された前記データを取り出し、該取り出したデータを用いて、ハイダイナミックレンジ画像を生成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理回路。
【請求項4】
前記画像信号処理部と結ばれ、前記ハイダイナミックレンジ画像を格納する第3バッファを更に有することを特徴とする請求項3に記載の画像処理回路。.
【請求項5】
前記少なくとも2つのカテゴリは、露出アンダー画像データカテゴリと、 露出オーバー画像データカテゴリとを含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理回路。
【請求項6】
画像信号処理部において、1つの画像の複数回の露光に関する画像データを受信する工程と、
前記画像信号処理部において、前記画像データを、少なくとも1つの抽出条件に基づいて少なくとも2つのカテゴリに分離する工程と、
第1のバッファに、前記カテゴリの少なくとも1つからデータを格納する工程と
を有することを特徴とする高解像度画像を生成する方法。
【請求項7】
第2バッファに、前記カテゴリのうち2つめのカテゴリからデータを格納する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び第2バッファそれぞれに格納された前記データを取り出し、該取り出したデータに基づいて、ハイダイナミックレンジ画像を生成する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第3バッファに、前記カテゴリのうち3つめのカテゴリからデータを格納し、前記第1、第2、及び第3バッファそれぞれに格納された前記データを取り出し、該取り出した検索したデータに基づいて、ハイダイナミックレンジ画像を生成する工程を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記画像データを少なくとも2つのカテゴリに分離することは、前記画像データを、露出アンダー画像データカテゴリと、露出オーバー画像データカテゴリとに分類することを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
1枚の画像の撮影に対応する光を受光するレンズと、
前記レンズと結ばれ、前記1枚の画像に対応する光を前記レンズから受光して、画素位置における受光した光に対応するデータ値を生成するイメージセンサと、
前記イメージセンサと結ばれ、前記受光した光に対応する第1データ値を前記イメージセンサの1行分の画素位置から第1の時間に読み出し、前記受光した光に対応する第2データ値を前記イメージセンサの前記1行分の画素位置から第2の時間に読み出す走査回路とを有し、
前記第1の時間と前記第2の時間は、前記画素位置の1回のシャッタリセットに先立っていることを特徴とする画像撮影機器。
【請求項12】
前記走査回路による第1の読み出しの間に、前記イメージセンサの全ての画素位置から読み出した全てのデータ信号を受信して格納するラインバッファを有することを特徴とする請求項11に記載の画像撮影機器。
【請求項13】
1枚の撮影画像に対応する光を受光して、イメージセンサの画素位置における前記受光した光に対応するデータ値を生成する前記イメージセンサと、
前記イメージセンサと結ばれ、前記受光した光に対応する第1データ値を前記イメージセンサの1行分の画素位置から第1の時間に読み出し、前記受光した光に対応する第2データ値を前記イメージセンサの前記1行分の画素位置から第2の時間に読み出す走査回路を有し、前記第1の時間と前記第2の時間は、前記画素位置の共通のシャッタリセットに先立っており、
前記イメージセンサと結ばれ、前記第1データ値と前記第2データ値とを受信して、該第1及び第2データ値を画像データに変換するアナログ/デジタル変換器と、
前記画像データを受信して、少なくとも1つの抽出条件に基づいて該画像データを少なくとも2つのカテゴリに分離する画像信号処理部と、
前記画像信号処理部と結ばれ、前記カテゴリの少なくとも1つからデータを格納する第1バッファと
を有することを特徴とする電子機器 。
【請求項14】
前記アナログ/デジタル変換器、前記イメージセンサ、及び画像信号処理部と結ばれ、シリアルデータラインを有するデータパスを有することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項15】
イメージセンサと結ばれ、前記走査回路による第1の読み出しの間に、前記イメージセンサの画素位置から読み出したデータ信号を格納する第2バッファを有することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項16】
前記画像信号処理部と結ばれ、前記カテゴリのうち2つめのカテゴリからデータを格納する第2バッファを有することを特徴とする請求項13に記載の電子機器。
【請求項17】
前記画像信号処理部は、前記第1及び第2バッファそれぞれに格納された前記データを取り出し、該取り出したデータを用いて、ハイダイナミックレンジ画像を生成することを特徴とする請求項16に記載の電子機器。
【請求項18】
1枚の画像に対応する光を受光して、該受光した光に対応する電気信号を生成するイメージセンサと、
1フレームの間に撮影された前記1枚の画像の前記受光した光に対応する前記電気信号を、第1の走査及び第2の走査の間に、1行分の画素から取り出すことで、前記イメージセンサの前記1行分の画素を走査する画像スキャナと、
前記1枚の画像に対して、前記画像スキャナにより行われる走査の頻度及び回数を制御するプロセッサと
を有することを特徴とする電子機器 。
【請求項19】
前記画像データを受信し、少なくとも1つの抽出条件に基づいて該画像データを少なくとも2つのカテゴリに分離して格納する画像信号処理部を有することを特徴とする請求項18に記載の電子機器。
【請求項20】
前記画像信号処理部は、前記分離され、格納された画像データを結合したデータに基づいて、ハイダイナミックレンジ画像を生成することを特徴とする請求項19に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−59017(P2013−59017A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−132345(P2012−132345)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】