説明

HIVインテグラーゼ阻害剤のカリウム塩

式:


の化合物Aのカリウム塩及びその製造方法が開示されている。化合物AはHIV感染を治療または予防するため、AIDSの発症を遅延させるため、及びAIDSを治療または予防するために有用なHIVインテグラーゼ阻害剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIVインテグラーゼ阻害剤、すなわち以下に定義する化合物Aのカリウム塩に関する。本発明はまた、化合物Aのカリウム塩の製造方法、前記塩を含む医薬組成物及び前記塩の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HIVレトロウイルスはAIDSの原因菌である。HIV−1レトロウイルスは、ウイルスエンベロープ糖タンパク質(gp 120)とTリンパ球やCD4(+)Tヘルパー細胞中に存在するCD4分子の特定領域との高親和性相互作用により細胞への侵入を増加させるために主にCD4受容体(58kDの膜貫通型タンパク質)を用いている(L.A.Laskyら,Cell,54:975−985(1987))。HIV感染は、患者において感染直後には臨床的に症状発現しない無症候期間があることを特徴とする。その後、免疫系が徐々にHIV誘導破壊されると日和見感染に罹りやすくなり、最後には持続的全身性リンパ節腫脹、発熱や体重低下のような症状を特徴とするARC(AIDS関連複合症候群)が生じ、その後完全にAIDSとなる。
【0003】
レトロウイルスが細胞に侵入すると、ウイルスRNAはDNAに変換し、その後DNAは宿主細胞DNAに組み込まれる。ウイルスDNAの組み込みはウイルス生活周期において必須のステップである。組み込みは3ステップで、すなわちウイルスDNA配列を有する安定な核タンパク質複合体の構築ステップ;線状プロウイルスDNAの3’末端からの2つのヌクレオチドの開裂ステップ;及び宿主標的部位で作製したスタッガーカットでのプロウイルスDNAの陥凹3’OH末端の共有結合ステップで32kDa酵素であるインテグラーゼにより媒介されると考えられている。上記方法における第4ステップの生じた間隙の修復合成は細胞酵素によりなされ得る。
【0004】
化合物のN−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1−メチル−2−(1−メチル−1−{[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル)カルボニル]アミノ}エチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミド(以下、“化合物A”と呼ぶ)は強力なHIVインテグラーゼ阻害剤である。化合物Aの構造は以下の通りである:
【0005】
【化8】

化合物Aは国際公開番号WO 03/035077に開示されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明は化合物Aのカリウム塩、特に結晶性塩に関する。化合物Aのカリウム塩は、遊離塩基に比して有意に高い水溶解度を有しており、1つの結晶形(本明細書中で結晶形1と同定)は動物モデルで遊離塩基に比して改善された薬物動態を発揮する。更に、化合物Aの結晶性Na塩を製造しようとする試みは未だ成功せず、非晶質物質しか得られなかったことに注目されたい。
【0007】
本発明はまた、化合物Aのカリウム塩の製造方法、並びにHIVインテグラーゼを阻害するため、HIV感染を治療または予防するため、及びAIDSの発症を治療、予防または遅延させるための化合物Aの塩の使用方法をも包含する。
【0008】
本発明の上記した実施態様並びに他の実施態様、態様及び特徴は記載、実施例及び請求の範囲に詳しく記載されており、またはこれらから明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、化合物Aのカリウム塩、前記塩を含む医薬組成物、並びに前記塩の製造及び使用方法を提供する。化合物Aのカリウム塩及び前記塩を含む医薬組成物は、成人、小児及び幼児においてHIVインテグラーゼを阻害するため、HIV感染を予防するため、HIV感染を治療するため、AIDSの発症を遅延させるため、AIDSを予防するため及びAIDSを治療するために有用である。AIDSの発症の遅延、AIDSの予防、AIDSの治療、或いはHIV感染の治療または予防はHIV感染の広範囲の状態(AIDS、症候性及び無症候性ARC、及びHIVの実際または潜在的暴露)の治療を含むと定義されるが、これらに限定されない。例えば、本発明の化合物Aのカリウム塩及びその医薬組成物は、HIVに過去に暴露したと疑われる、例えば輸血、体液交換、刺傷、偶然の針の突き刺しまたは手術中の患者血液への接触の事後にHIV感染を処置する際に有用である。本発明の塩は「サルベージ」治療においても使用され得る。すなわち、化合物Aのカリウム塩は、従来の治療法(例えば、公知のプロテアーゼ阻害剤を1つ以上の公知の逆転写酵素阻害剤と組み合わせて使用する治療法)により検出できないレベルに達し、その後公知の阻害剤に対して耐性のHIV突然変異体の出現のためにリバウンドしたウイルス量を有するHIV陽性被験者においてHIV感染、AIDSまたはARCを治療するために使用され得る。
【0010】
化合物AはHIVインテグラーゼの阻害剤である。化合物Aを鎖転移を組換えインテグラーゼにより触媒するインテグラーゼ阻害アッセイで試験したところ、強力な阻害剤であることが判明した。鎖転移アッセイはWO 02/30930の実施例193に記載されている。化合物Aは、Vaccaら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:4096−4100(1994)に従って実施したTリンパ球細胞の急性HIV感染を阻害するためのアッセイにおいて活性であることが判明した。
【0011】
本発明の実施態様は、化合物Aの結晶性カリウム塩である。本発明の別の実施態様は、化合物Aの無水結晶性カリウム塩である。本発明の更に別の実施態様は、化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩である化合物Aの無水結晶性のカリウム塩であり、結晶形1塩の特徴は銅Kα線(すなわち、線源はCuKα1及びKα2線の組合せである)を用いて得たX線粉末回折パターンが5.9°、20.0°及び20.6°の2θ値(すなわち、2θ値で反射)を含むことである。この実施態様の1態様では、化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩の特徴は、銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが5.9°、12.5°、20.0°、20.6°及び25.6°の2θ値を含むことである。この実施態様の別の態様では、化合物Aの結晶形1結晶性K塩は元々定義されているかまたは上記態様に定義されている通りであり、更に窒素下密閉カップにおいて10℃/分の加熱速度で得た示差走査熱量測定曲線が約279℃のピーク温度を有する1つの吸熱を示すことを特徴とする。この実施態様の更に別の態様では、結晶形1結晶性K塩は元々定義されているかまたは上記態様のいずれかに定義されている通りであり、更にモノカリウム塩であることを特徴とする。化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩は、ラット及びイヌにおいて化合物Aそれ自体に比して優れた経口アベイラビリティー及び改良された薬物動態(例えば、改良されたCmax及びAUC)を示す。
【0012】
本発明の別の実施態様は、化合物Aの結晶形3結晶性カリウム塩である化合物Aの無水結晶性カリウム塩であり、結晶形3塩の特徴は銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが7.4°、7.8°、12.3°、21.6°及び64.7°の2θ値を含むことである。この実施態様の1態様では、結晶形3結晶性K塩は更に窒素下密閉カップにおいて10℃/分の加熱速度で得た示差走査熱量測定曲線が約284℃のピーク温度を有する1つの吸熱を示すことを特徴とする。
【0013】
本発明の別の実施態様は、水和結晶性K塩である化合物Aの結晶性カリウム塩である。更に別の実施態様では、水和結晶性カリウム塩は化合物Aの結晶形2水和結晶性カリウム塩であり、結晶形2塩の特徴は銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが7.9°、13.8°及び24.5°の2θ値の値を含むことである。この実施態様の1態様では、化合物Aの結晶形2結晶性カリウム塩の特徴は銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが7,9°、13.8°、15.7°、24.5°及び31.5°の2θ値を含むことである。この実施態様の別の態様では、化合物Aの結晶形2結晶性K塩は元々定義されているかまたは上記態様に定義されている通りであり、更に窒素下密閉カップにおいて10℃/分の加熱速度で得た示差走査熱量測定曲線が約146℃及び239℃のピーク温度を有する2つのブロードな吸熱及び約276℃のピーク温度を有する第3の鋭い吸熱を示すことを特徴とする。
【0014】
本発明は、元々定義されているかまたは上記実施態様または態様のいずれかに記載されている化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物を包含する。
【0015】
本発明はまた、元々上に定義されているかまたは上記実施態様または態様のいずれかに記載されている化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を混合することにより作成される製品からなる医薬組成物をも包含する。
【0016】
本発明はまた、(i)元々上に定義されているかまたは上記実施態様または態様のいずれかに記載されている化合物Aのカリウム塩及び(ii)HIV抗ウイルス剤、免疫調節剤及び抗感染剤からなる群から選択される抗HIV剤の医薬配合剤を包含し、前記した化合物AのK塩及び抗HIV剤は各々HIVインテグラーゼを阻害するため、HIV感染を治療または予防するため、或いはAIDSの発症を治療、予防または遅延するために前記配合剤を有効とする量で使用されている。1実施態様では、医薬配合剤は化合物Aのカリウム塩及びHIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤及びヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤からなる群から選択される抗ウイルス剤である抗HIV剤を含む。
【0017】
本発明の医薬配合剤(すなわち、化合物Aのカリウム塩と別の抗HIV剤の組合せ)は別々または一緒に投与され得、別々に投与するときには活性化合物を同時にまたは時間をずらして(例えば、交互に)投与してもよい。活性化合物を一緒に(それ自体でまたはより一般的には医薬組成物の形態で)投与するときには、両方が単一組成物の一部であっても(例えば、場合により1つ以上の賦形剤を含む化合物の混合物)、または一緒にまたは別々に包装され得る個々の組成物(例えば、それぞれ活性化合物の1つ及び場合により1つ以上の賦形剤を含有しているカプセル化組成物)中に存在させてもよい。
【0018】
本発明の他の実施態様には以下のものが含まれる:
(a)HIV感染の治療または予防を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩を投与することを含む前記被験者におけるHIV感染の治療または予防方法;
(b)AIDSの発症の遅延を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩を投与することを含む前記被験者におけるAIDSの発症の遅延方法;
(c)AIDSの治療または予防を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩を投与することを含む前記被験者におけるAIDSの治療または予防方法;
(d)HIVインテグラーゼの阻害を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩を投与することを含む前記被験者におけるHIVインテグラーゼの阻害方法;
(e)HIV感染の治療または予防を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物を投与することを含む前記被験者におけるHIV感染の治療または予防方法;
(f)AIDSの発症の遅延を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物を投与することを含む前記被験者におけるAIDSの発症の遅延方法;
(g)AIDSの治療または予防を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物を投与することを含む前記被験者におけるAIDSの治療または予防方法;
(h)HIVインテグラーゼの阻害を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物を投与することを含む前記被験者におけるHIVインテグラーゼの阻害方法;
(i)化合物Aのカリウム塩をAIDS抗ウイルス剤、免疫調節剤及び抗感染剤からなる群から選択される少なくとも1つの抗HIV剤と組み合わせて投与し、化合物AのK塩及び抗HIV剤の各々を当該組合せを方法において有効とする量で使用する(a)、(b)、(c)または(d)の方法;
(j)化合物Aのカリウム塩をHIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤及びヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤からなる群から選択される少なくとも1つの抗ウイルス剤と組み合わせて投与し、化合物AのK塩及び抗ウイルス剤の各々を方法において当該組合せを有効とする量で使用する(a)、(b)、(c)または(d)の方法;
(k)化合物AのK塩をAIDS抗ウイルス剤、免疫調節剤及び抗感染剤からなる群から選択される少なくとも1つの抗HIV剤と組み合わせて投与し、化合物AのK塩及び抗HIV剤の各々を当該組合せを方法において有効とする量で使用する(e)、(f)、(g)または(h)の方法;
(l)化合物Aのカリウム塩をHIVプロテアーゼ阻害剤、非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤及びヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤からなる群から選択される少なくとも1つの抗ウイルス剤と組み合わせて投与し、化合物AのK塩及び抗ウイルス剤の各々を方法において当該組合せを有効とする量で使用する(e)、(f)、(g)または(h)の方法。
【0019】
本発明の追加実施態様は、使用する化合物Aのカリウム塩が上記した各種実施態様及び態様の1つに記載されている化合物Aのカリウム塩である上記(a)〜(l)に記載されている方法を包含する。
【0020】
本発明はまた、(a)HIVインテグラーゼを阻害するため、(b)HIV感染を治療または予防するため、或いは(c)AIDSの発症を治療、予防または遅延するために(i)使用するため、(ii)薬剤として使用するため、または(iii)前記薬剤の製造において使用するための本発明の化合物Aのカリウム塩も包含する。これらの使用において、本発明の化合物AのK塩は、場合によりHIV抗ウイルス剤、抗感染剤及び免疫調節剤から選択される1つ以上の抗HIV剤と組み合わせて使用され得る。これらの使用の実施態様には、使用する化合物Aのカリウム塩が上記した各種実施態様及び態様の1つに記載されている化合物Aのカリウム塩である上記使用が含まれる。
【0021】
本発明は化合物Aの結晶性カリウム塩の製造方法(或いは、本明細書中で“方法P1”または“P1方法”と称する)を包含し、その方法は、
(A1−1)カリウム塩基の水溶液を化合物A、水及び第1量のアルコールからなる混合物と混合して、化合物Aの塩基性溶液を形成し、場合によりこの溶液を濾過し、(A1−2)ステップA1−1で形成した溶液に接種し、場合によりこの接種溶液を第2量のアルコールで希釈し、或いは
(B1−1)化合物A及び第1量のハロゲン化アルカン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシド及びアルカンニトリルからなる群から選択される有機溶媒からなる混合物を接種し、(B1−2)ステップB1−1の接種混合物にカリウム塩基の水溶液を添加し、
(C1)ステップA1−2またはステップB1−2から生じた接種溶液をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む。
【0022】
P1方法のすべてのステップを場合によりかき混ぜながら(例えば、撹拌しながら)実施するが、そうすることが好ましい。
【0023】
化合物Aの水及びアルコール(例えば、エタノール)中溶解度は限られており、従って化合物Aをアルコール−水混合物中に完全に溶解させることは困難であり得る。従って、ステップA1−1において使用される化合物A−アルコール−水混合物は通常水性塩基の添加前スラリーの形態である。ステップA1−1の間、塩基をスラリー状化合物Aと反応させて、化合物AをK塩に変換させる。K塩はアルコール−水混合物中に比較的にかなり溶解性であるので、その結果スラリーは一般的には比較的に透明な塩溶液に変換する。ステップA1−1において場合により濾過する目的は、未溶解または沈澱した化合物Aを溶液から除去し及び/または接種前に溶液を清澄化することである。
【0024】
化合物Aは、ステップA1−1において最終的に所望の結晶性K塩の少なくとも一部を形成する量で使用され得る。しかしながら、方法からの結晶性K塩の生成量を最大限とし得るようにステップA1−1における水性塩基の添加終了時及び接種前にK塩のかなり過飽和な溶液を与える量の化合物Aを使用することが好ましい。
【0025】
ステップA1−2において場合によりアルコールで希釈する目的は、K塩の結晶化に有利な条件を与えることである。すなわち、K塩は水中よりもアルコール中での溶解度が乏しいい。
【0026】
ステップA1−1において使用されるアルコールは、使用する条件下で液相中に存在し、化学的に不活性であり、化合物A及びカリウム塩基が接触し、化合物Aの所望のK塩が結晶化できるように化合物Aを溶解、懸濁及び/また分散させるアルコールであり得る。アルコールは、一般的には化合物のK塩の結晶化に有利な条件を与えるように化合物Aが化合物AのK塩よりも高い溶解度を有するものである。ステップA1−1において使用するのに適したアルコールにはアルキルアルコール及びシクロアルキルアルコール、例えばC1−6アルキルアルコール及びC4−6クロアルキルアルコールが含まれる。適当なアルコールの例にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロブタノール及びシクロペンタノールが含まれる。1実施態様では、アルコールはC1−4アルキルアルコールである。別の実施態様では、アルコールはメタノールまたはエタノールである。ステップA1−1において使用するのに好ましいアルコールはエタノールである。
【0027】
ステップB1−1において使用される有機溶媒は、使用する条件下で液相中に存在し、化学的に不活性であり、化合物A及びカリウム塩基が接触し、化合物Aの所望のK塩が結晶化できるように化合物Aを溶解、懸濁及び/また分散させるハロゲン化アルカン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシドまたはアルカンニトリルであり得る。接種前の有機溶媒−化合物A混合物の物理的状態は溶媒の選択、化合物Aの使用量や温度のような要因に依存する。混合物は、例えば化合物Aが有機溶媒中に完全に溶解している溶液または化合物Aの一部(少量〜大量)が未溶解のままであるスラリーであり得る。幾つかの溶媒(例えば、DMSO、アセトニトリル、NMP及びDMF)は一般的には、化合物Aの濃度及びステップB1−1において一般的に使用される条件下で化合物Aと溶液を形成する(すなわち、化合物Aの本質的にすべてを溶解している)。B1−1混合物中の未溶解化合物Aは一般的にはステップB1−2において水性塩基を添加している間に溶解し、その後K塩として結晶化するかまたは溶液中に残存する。
【0028】
ステップB1−1における有機溶媒は、化合物AのK塩の結晶化に有利な条件を与えるように一般的には化合物Aが化合物AのK塩よりも高い溶解度を有するものである。
【0029】
ステップB1−1において使用するのに適した溶媒の代表例には四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、エチルエーテル、MTBE、THF、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DMF、DMAC、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、DMSO、アセトニトリル及びプロピオニトリルが含まれる。
【0030】
方法P1の実施態様は、ステップB1−1において使用される有機溶媒がC1−8直鎖状または分岐状ハロゲン化アルカン、ジアルキルエーテル(ここで、各アルキルは独立してC1−4アルキルである)、2個の(同一または異なる)−O−C1−4アルキル基で置換されているC1−4直鎖状または分岐状アルカン、C4−6環状エーテルまたはジエーテル、トリ−(C1−4アルキル)アミン、N,N−ジ−(C1−4アルキル)−C1−4アルキルアミド、N−(C1−4アルキル)ピロリドン、ジ−(C1−4アルキル)スルホキシドまたはC2−4アルカンニトリルである元々上記されている方法である。
【0031】
別の実施態様では、ステップB1−1において使用される有機溶媒はアセトニトリル、プロピオニトリル、THF、DMF、DMAC、N−メチルピロリドンまたはN−エチルピロリドンである。好ましい実施態様では、溶媒はアセトニトリルまたはNMPである。
【0032】
ステップA1−1またはステップB1−2において使用されるカリウム塩基は、適当には水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムまたはカリウムアルコキシドからなる。用語「カリウムアルコキシド」はアルキルアルコールのカリウム塩を指す。カリウムアルコキシドは適当にはC1−6アルキルアルコールの塩(すなわち、RがC1−6アルキルであるKOR)であり、一般的にはC1−4アルキルアルコールの塩である。適当なカリウムアルコキシドの例にはカリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド及びカリウムイソプロポキシドが含まれる。P1方法の実施態様は、カリウムアルコキシドをステップA1−1において使用し、アルコールがアルコキシド塩基と同一のアルキル基を有する、すなわちMeOHをKOMeと使用し、EtOHをKOEtと一緒に使用し、i−PrOHをカリウムイソプロポキシドと一緒に使用し、その他諸々である元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されている方法である。
【0033】
方法P1の別の実施態様は、ステップA1−1またはステップB1−2において使用されるカリウム塩基がKOH、KOM及びKOEtからなる元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されている方法である。この実施態様の態様では、カリウム塩基はKOHである。
【0034】
カリウム塩基(例えば、KOH)は、化合物Aに対して所望のカリウム塩の少なくと一部が形成される任意の比率で使用され得る。塩基は適当には化合物Aの当量あたり約0.1ないし約3当量の量で添加され得る。塩基は一般的には、使用する反応条件(例えば、温度、撹拌の程度等)下で化合物Aの少なくとも大部分(すなわち、50%以上)を所望の塩に変換させ得る比率で添加される。過剰量の塩基を使用すると加水分解生成物が形成され得、当量以下の量の塩基を使用すると変換レベルが過度に制限されて、過剰量の未反応化合物Aが生ずる恐れがある。従って、塩基は一般的には化合物Aの当量あたり約0.5ないし約1.1当量の量で添加され、より一般的には化合物Aの当量あたり約0.9ないし約1.0当量(例えば、約0.90ないし約0.98当量)の量で添加される。
【0035】
化合物AのK塩の所望の結晶形の結晶化を誘導または助ける量の種晶がステップA1−2またはステップB1−2において使用され得る。比較的非常に少量の種晶は、結晶化を誘導または助けるには最小限にしか有効でないので一般的には使用されない。一方、非常に大量の種晶も、結晶化を生起させるのに必要な量を超える材料は無駄であるので一般的には使用されない。従って、種晶は、適当には化合物Aの重量に基づいて約0.2ないし約10重量%(例えば、約0.5ないし約10重量%)の量で使用され(例えば、10重量%は100gの化合物Aにつき10gの種晶を使用することを意味する)、一般的には化合物Aの重量に基づいて約1ないし約5重量%の量で使用される。
【0036】
ステップA1−1及びA1−2、またはステップB1−1及びB1−2は広い温度範囲で実施され得る。ステップA1−1またはステップB1−2の温度は化合物Aが反応媒体(すなわち、上記した適当な有機溶媒及び水の塩基含有接種溶液)中に溶解し、化合物Aの結晶性塩は前記媒体中に少なくとも部分的に不溶性であるような温度である。各ステップを適当には約0ないし約60℃の温度で実施し、一般的には約20ないし約50℃、より一般的には約20ないし約30℃(例えば、約20ないし約25℃)の温度で実施する。
【0037】
ステップC1におけるエージングは、化合物AのK塩の所望の結晶形が形成される任意の温度で実施され得る。ステップC1は適当には約0ないし約60℃の温度で実施され、一般的には約0ないし約50℃(例えば、約15ないし約50℃)、より一般的には約0ないし約30℃(例えば、約20ないし約30℃)の温度で実施する。
【0038】
P1方法の実施態様は、ステップA1−1、A1−2及びC1、またはステップB1−1、B1−2及びC1をすべて同一温度範囲で実施する元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されている方法である。この実施態様の態様では、各ステップを約20ないし約30℃(例えば、約20ないし約25℃)の温度で実施する。
【0039】
P1方法の別の実施態様は、ステップA1−1及びA1−2、またはステップB1−1及びB1−2の各々を同一温度範囲で実施するが、ステップC1はより低温で実施する元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されている方法である。この実施態様の態様では、ステップA1−1及びA1−2、またはステップB1−1及びB1−2の各々を約20ないし約30℃(例えば、約20ないし約25℃)の温度で実施し、ステップC1を約0ないし約20℃(例えば、約0ないし約10℃)の温度で実施する。この実施態様の別の態様では、ステップA1−1及びA1−2、またはステップB1−1及びB1−2の各々を約20ないし約30℃(例えば、約20ないし約25℃)の温度で実施し、ステップC1を約0ないし約10℃(例えば、約0ないし約5℃)の温度で実施する。
【0040】
エージング時間は、特にエージング温度、溶媒の選択、塩基の選択、並びに化合物A、塩基及び種晶の相対量に依存して広い範囲で変更可能である。エージングは一般的には理論収率の50%以上、好ましくは90%以上のK塩を母液から得るのに十分な時間実施する。いずれにせよ、エージング時間は一般的には約0.1ないし約24時間の範囲、より一般的には約0.5ないし約12時間である。エージング時間が長くなると結晶性生成物中に含まれる不純物の量が多くなる恐れがあると知見されているので、一般的には比較的に長いエージング時間(例えば、約12時間以上)を避けることが望ましい。
【0041】
ステップA1−1で使用される水/アルコールの比率は広範囲で変更可能である。一方、化合物Aのカリウム塩は水中に比較的にかなり溶解し、よって母液からの結晶化収率を高めるために使用する水の量を制限することが望ましい。アルコール/水の容量/容量比は適当には約80:20ないし約20:80であり得、一般的には約70:30ないし約30:70、より一般的には約60:40ないし約40:60(例えば、約55:45ないし約45:55)である。
【0042】
ステップA1−2において、接種溶液を追加量のアルコールで希釈してもよい。上記したように、化合物AのK塩は水中よりもアルコール中に溶解しにくく、よってアルコールで希釈するとK塩の結晶化に有利な条件が生ずる傾向がある。希釈した接種溶液中の溶媒アルコール/水の容量/容量比は適当には少なくとも約60:40であり得、一般的には少なくとも約80:20(例えば、約95:5ないし約80:20)、より一般的には少なくとも約90:10(例えば、約95:5ないし約90:10)である。
【0043】
ステップB1−2において有機溶媒及び水は化合物Aの結晶性K塩の少なくとも一部が形成される相互比率で存在させ得る。上記したように、化合物Aの有機溶媒中の溶解度は化合物AのK塩よりも高く、よって有機溶媒の比率を高めるとK塩の結晶化に有利となる傾向にある。一方、化合物AのK塩は一般的には有機溶媒中よりも水中により多く溶解し、よって結晶化中母液に残る塩の量を最小限とするために水性塩基の添加を介して系に導入される水の量を制限することが望ましい。ステップB1−2溶液中の有機溶媒/水の容量/容量比は適当には少なくとも約70:30であり得、一般的には少なくとも約80:20(例えば、約95:5ないし約80:20)、より一般的には少なくとも約90:10(例えば、約95:5ないし約90:10)である。
【0044】
P1方法の他の実施態様には、各方法が更に
(D1)化合物Aの結晶性K塩をエージングした溶液から回収する
ことを含む元々上記されており、上記実施態様の各々に記載されている方法が包含される。この実施態様の態様では、結晶性K塩を濾過により回収して結晶性ケーキを得、場合によりこのケーキをステップA1−1で使用したアルコールまたはステップB1−1で使用した有機溶媒と同一または異なる別の有機溶媒で洗浄し、乾燥する。
【0045】
P1方法の別の実施態様は、
(A1−1)KOHの水溶液を化合物A、水及び第1量のエタノールからなる混合物と混合して、化合物Aの塩基性溶液を形成し、場合によりこの溶液を濾過し、
(A−2)ステップA1−1で形成した溶液に接種し、接種溶液を第2量のエタノールで希釈して、希釈した接種溶液を得、
(C1)ステップA1−2の希釈した接種溶液をエージングして、化合物Aの結晶性K塩を得る
ことを含む方法である。
【0046】
上記実施態様の態様には、以下の特徴(i)〜(viii)の1つ以上を含む直前に記載されている方法が含まれる:
(i)ステップA1−1を約20ないし約50℃(例えば、約20ないし約30℃)の温度で実施する;
(ii)ステップA1−2を約20ないし約50℃(例えば、約20ないし約30℃)の温度で実施する;
(iii)ステップC1を約0ないし約30℃(例えば、約0ないし約20℃または約0ないし約10℃)の温度で実施する;
(iv)ステップA1−1において、塩基性溶液は約70:30ないし約30:70のエタノール/水の容量/容量比を有する;
(v)ステップA1−2において、希釈した接種溶液は少なくとも約80:20のエタノール/水の容量/容量比を有する;
(vi)種晶を化合物Aの全重量に基づいて約0.2ないし約5重量%(または、約1ないし約5重量%)の量で使用する;
(vii)KOHを化合物Aの当量あたり約0.9ないし約1.1当量(例えば、約0.9ないし約0.98当量)の量で使用する;及び
(viii)方法は更に、化合物Aの結晶性K塩を回収する(例えば、エージングした溶液から濾過により結晶性K塩を分離することにより結晶性ケーキを得、場合によりこのケーキを第3量のエタノールで洗浄し、乾燥する)ステップD1を含む。
【0047】
P1方法の更に別の実施態様は、
(B1−1)化合物A及びアセトニトリルからなる溶液に接種し、
(B1−2)ステップB1−1からの接種溶液にKOHの水溶液を添加し、
(C1)ステップB1−2の溶液をエージングして、化合物Aの結晶性K塩を得る
ことを含む方法である。
【0048】
上記実施態様の態様には、以下の特徴(i)〜(viii)の1つ以上を含む直前に記載されている方法が含まれる:
(i)ステップB1−1を約20ないし約50℃(例えば、約20ないし約30℃)の温度で実施する;
(ii)ステップB1−2を約20ないし約50℃(例えば、約20ないし約30℃)の温度で実施する;
(iii)ステップC1を約20ないし約50℃(例えば、約20ないし約30℃)の温度で実施する;
(iv)ステップB1−2で得た接種溶液は少なくとも約90:10のアセトニトリル/水の容量/容量比を有する;
(v)種晶を化合物Aの全重量に基づいて約0.2ないし約5重量%(または、約1ないし約5重量%)の量で使用する;
(vi)KOHを化合物Aの当量あたり約0.9ないし約1.1当量(例えば、約0.9ないし約0.98当量)の量で使用する;及び
(vii)方法は更に、化合物Aの結晶性K塩を回収する(例えば、エージングした溶液から濾過により結晶性K塩を分離することにより結晶性ケーキを得、場合によりこのケーキをアセトニトリルで洗浄し、乾燥する)ステップD1を含む。
【0049】
本発明のP1方法の追加実施態様には、方法で使用される種晶が化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩からなり、方法により生じた結晶性塩は化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩からなる元々上記されており、上記実施態様の各々に記載されている方法が包含される。
【0050】
方法P1における上記した接種ステップは、接種なしでも化合物Aの結晶性K塩を得ることができる点で任意である。しかしながら、接種は、一般的には結晶化を誘導または助ける手段として、特に特定結晶形(例えば、結晶形1)を製造する手段として好ましい。
【0051】
本発明は化合物Aの結晶性カリウム塩の製造方法(或いは、本明細書中で“方法P2”または“P2方法”と称する)を包含し、その方法は、
(A2)(i)化合物A、(a)第1量のジアルキルケトン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシド及びアルカンニトリルからなる群から選択される第1溶媒及び(b)第1量のアルコール、アルカン、アルキルカルボン酸のアルキルエステル及び芳香族炭化水素からなる群から選択される第2溶媒からなる供給溶液、及び(ii)カリウムアルコキシド塩基及び第2量の第2溶媒からなる供給混合物を第2量の第1溶媒及び第3量の第2溶媒からなる溶媒混合物中でスラリー化した種晶を含む晶析器に添加して結晶化混合物を得、その際供給溶液及び供給混合物の少なくとも実質部分を晶析器に同時に添加し、
(B2)ステップA2で得た結晶化混合物をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む。
【0052】
本明細書中で使用されている用語「晶析器」は、化合物AのK塩の結晶化を実施する反応容器を意味する。
【0053】
供給溶液及び供給混合物の少なくとも実質部分(すなわち、各供給物について量は独立して少なくとも60%〜100%の範囲である)をステップA2において晶析器に同時に(すなわち、同時間に)添加する。よって、例えば、方法P2において供給溶液及び供給混合物の少なくとも約60%(例えば、約60%ないし約99%)、少なくとも約80%(例えば、約80%ないし約99%)、少なくとも約90%(例えば、約90%ないし約99%)、または100%をステップA2において晶析器に同時に添加し得る。しかしながら、供給物のいずれかまたは両方の少量を晶析器に非同時に添加してもよく、この中には非限定的に1回の同時添加の前または後に或いは2回の別々の同時添加の間に供給物の一方または両方の一部を非同時に添加することを含む。1実施態様では、(化合物Aを含有する)供給溶液のすべて及び(塩基を含有する)供給混合物の実質部分が晶析器に添加されるまで2つの供給物を同時に添加した後、供給混合物の残りを添加する。
【0054】
化合物Aに対して塩基の濃度が局所的に高くなるのを避けるまたは最低限にするためにステップA2における添加を攪拌しながら実施することが適当である。そうすると、加水分解生成物が形成され得る。実際、全方法(ステップA2及びB2)は一般的にはかき混ぜながら(例えば、撹拌しながら)実施する。
【0055】
ステップA2の供給溶液では、化合物Aは第1及び第2溶媒により形成される媒体中に完全に溶解されている。一方、ステップA2の供給混合物はアルコキシド塩基が第2溶媒中に完全に溶解している溶液であっても、塩基が第2溶媒中に部分的にしか溶解しないスラリーであってもよい。供給混合物の物理的状態は、溶媒及び塩基の選択及び相対量並びに温度のような要因に依存する。供給混合物は好ましくは溶液、例えばアルコキシドをアルコール中に含む溶液である。
【0056】
第1及び第2溶媒の重要な機能は、化合物Aが完全に溶解し、アルコキシド塩基との接触のために直ぐに利用できるように供給溶液中の化合物Aに対する媒体としてである。第2溶媒の重要な機能は、アルコキシド塩基を溶解、懸濁及び/または分散させて化合物Aと接触し、反応し得るように供給混合物中のアルコキシド塩基に対する媒体としてである。加えて、方法P2における第1及び第2溶媒は一緒になって、化合物AのK塩の結晶化に有利な条件を与えるべく化合物Aは比較的に高い溶解度を有し、所望の化合物AのK塩は比較的低い溶解度を有する溶媒系を構成する。前記した要因のすべてが第1及び第2溶媒の特定の対が供給溶液中で使用される相対比、結晶スラリー及びエージングステップを選択する際に考慮される。例えば、化合物Aは、溶媒容量比が約20:80ないし約80:20のMeCN(第1溶媒)−EtOH(第2溶媒)混合物中での溶解度がMeCNまたはEtOH単独中での溶解度に比してより高いことを知見した。一方、K塩はどんな容量比でも比較的非常に低い溶解度を有している。従って、MeCN及びEtOHをP2方法における第1及び第2溶媒として選択する場合、これらの溶媒は一般的には、適当な供給溶液、供給混合物及び結晶スラリーを形成するため、最終溶媒容量比(すなわち、供給溶液及び供給混合物を晶析器に充填終了時の第1及び第2溶媒の容量比)を20:80〜80:20の範囲とするために使用される。
【0057】
化合物Aは、供給溶液中に最終的に所望の結晶性カリウム塩の少なくとも一部が形成される任意の濃度で使用され得るが、一般的には方法からの結晶化K塩の生成量を最大限とするためにかなり過飽和のK塩溶液を形成し得る飽和供給溶液を与える濃度またはそれに近い濃度で供給溶液中に使用される。
【0058】
第1溶媒は、使用する条件下で液相中に存在し、化学的に不活性であり、それ自体または適当量の第2溶媒と組み合わせて供給溶液中に使用されている化合物Aを全部溶解し得るジアルキルケトン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシドまたはアルカンニトリルであり得る。化合物Aは一般的には第2溶媒それ自体よりも第1溶媒それ自体中により多く溶解し、第1溶媒は一般的には主に供給溶液における化合物Aの溶解に関与している。
【0059】
第1溶媒として使用するのに適した物質は、ジ−(C1−4アルキル)ケトン、ジアルキルエーテル(ここで、各アルキルは独立してC1−4アルキルである)、2個の(同一または異なる)−O−C1−4アルキル基で置換されているC1−4直鎖状または分岐状アルカン、C4−6環状エーテルまたはジエーテル、トリ−(C1−4)アルキルアミン、N,N−ジ−(C1−4アルキル)−C1−4アルキルアミド、N−(C1−4アルキル)ピロリドン、ジ−(C1−4アルキル)スルホキシド及びC2−4アルカンニトリルからなる群から選択される物質からなる。
【0060】
ステップA2において第1溶媒として使用するのに適した物質の例にはアセトン、エチルエーテル、MTBE、THF、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DMF、DMAC、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、DMSO、アセトニトリル及びプロピオニトリルが含まれる。好ましい実施態様では、第1溶媒はアセトン、THF、DMF、NMP、DMSOまたはアセトニトリルである。
【0061】
第2溶媒として使用するのに適した物質は、C1−4アルキルアルコール、C1−4直鎖状または分岐状アルカン、C1−4アルキルカルボン酸のC1−4アルキルエステル、またはモノ−、ジ−またはトリ−C1−4アルキルベンゼンである物質からなる。
【0062】
ステップA2において第2溶媒として使用するのに適した物質の例にはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン及びエチルベンゼンが含まれる。好ましい実施態様では、第2溶媒はエタノール、ヘプタン、酢酸エチルまたはトルエンである。
【0063】
ステップA2において使用するのに特に適している第1溶媒及び第2溶媒の組合せにはアセトニトリル/エタノール及びNMP/エタノールが含まれる。
【0064】
ステップA2において使用するのに適しているカリウムアルコキシドはP1方法での説明において上記したものと同じである。P2方法の実施態様は、ステップA2において使用するカリウムアルコキシドがC1−4アルキルアルコールのカリウム塩である元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されているP2方法である。P2方法の好ましい実施態様において、カリウムアルコキシドはKOMeまたはKOEtであり、特にKOEtである。別の好ましい実施態様において、第2溶媒はC1−4アルキルアルコールであり、塩基は対応のカリウムアルコキシドである。すなわち、この方法において次の組合せ:MeOH+KOMe、EtOH+KOEt、i−PrOH+KOi−Pr等々が使用される。
【0065】
カリウムアルコキシド塩基は、化合物Aに対して所望の結晶性カリウム塩の少なくとも一部が形成される任意の比率で使用され得るが、一般的には化合物Aの少なくとも大部分が結晶性K塩に変換され得る量で使用される。本方法で使用するのに適したカリウムアルコキシドの量は、P1方法におけるカリウム塩基の使用に関して上記した量と同じである。P1方法のように、過剰量のカリウムアルコキシドを使用すると、KOEtを塩基として使用したきに形成されると考えられる下記するような加水分解生成物が形成され得る。
【0066】
【化9】

【0067】
更にP1方法と同様に、当量以下の量の塩基を使用すると結晶性K塩へあまり変換されない。
【0068】
化合物AのK塩の所望の結晶形の結晶化を誘導または助ける量の種晶がステップA2において使用され得る。P1方法において使用される種晶の量に関して上記したと同様の考察がここでもなされる。種晶は適当にはステップA2において化合物Aの重量に基づいて約1ないし約30重量%の量で使用され、一般的には約10ないし約25重量%、より一般的には約15ないし約25重量%(例えば、約20重量%)の量で使用される。
【0069】
ステップA2及びB2は各々広い温度範囲で実施され得る。ステップA2は適当には約0ないし約60℃の温度で実施され得、一般的には約20ないし約50℃、より一般的には約30ないし約50℃(例えば、約40ないし約45℃)の温度で実施される。ステップB2は適当には約0ないし約60℃の温度で実施され得、一般的には15ないし約50℃、より一般的には約20ないし約40℃の温度で実施される。好ましい実施態様において、ステップB2のエージングは最初約30ないし約40℃の温度で実施し、その後エージングステップが完了/停止するまで約20ないし約30℃の温度で実施する。温度を低下させると一般的には化合物AのK塩の溶解度が低下すると同時に結晶性K塩の収率が上昇する。
【0070】
同時添加の間に使用される晶析器への供給溶液及び供給混合物の添加速度は同一でも異なっていてもよく、各々広い範囲で変更可能である。ただし、同時添加の間に供給溶液及び供給混合物の実質部分が晶析器に充填されるとする。好ましい実施態様では、同時添加の間アルコキシド塩基の当量/化合物Aの当量の比が一定であるように添加速度がコントロールされるが、一定比(或いは、“固定比”と称する)を維持するために必要な添加速度は供給溶液中の化合物Aの濃度及び供給混合物中の塩基の濃度に依存する。別の好ましい実施態様では、(化合物Aを含有する)供給溶液のすべてが添加され、残りの(アルコキシド塩基を含有する)供給混合物が添加されるまでアルコキシド塩基の当量/化合物Aの当量を一定比とする速度で供給溶液及び供給混合物を晶析器に同時に添加する。
【0071】
アルコキシド塩基の当量/化合物Aの当量の比を同時添加の間一定とするとき、第1溶媒/第2溶媒の容量比も一定であり、これによりP1方法よりも優れた効果が得られる。上記したP1方法では、K塩の非制御核形成及び凝集が比較的高レベルで起こる恐れがある。結晶性K塩中の有機溶媒の吸蔵もかなり生ずる恐れがある。非制御核形成、凝集及び吸蔵のすべてが方法P1の添加ステップA1−1またはB1−2の間溶媒組成が絶えず変化する(よって、過飽和プロフィールが絶えず変化する)ことに一部起因していると考えられる。すなわち、水性カリウム塩基を化合物A含有媒体に添加するにつれて水の量が絶えず多くなる。P2方法では、同時添加中の溶媒組成を一定に維持することにより非制御核形成及び凝集が軽減され得、こうすると凝集物ではなく主に一次結晶からなる結晶性生成物を得ることができる。
【0072】
更に、最終溶媒容量比が2つの供給物を添加する前の結晶スラリー中の第1溶媒/第2溶媒の容量比(すなわち、“結晶スラリー溶媒容量比”)と同一であることが好ましい。これにより、核形成がコントロールされ、凝集が避けられ、スラリーがステップA2において使用するために適切な溶媒比を有している点でエージングステップから生じた結晶性生成物の一部をその後のランにおいて結晶スラリーとして使用するのが助けられる(すなわち、結晶を“ヒール”として使用するのが助けられる)。
【0073】
明確に反対の記載がない限り、本明細書中で溶媒容量比は混合前に約25℃の温度で測定した各溶媒の容量の比を指す。よって、例えば、溶媒X/溶媒Yについて80:20の結晶スラリー溶媒容量比は、80容量部の溶媒X(例えば、80mLのX)及び20容量部の溶媒Y(例えば、20mLのY)を別々に約25℃で秤量し、その後秤量した量の溶媒を使用して種晶スラリーを作成することを意味する。
【0074】
P2方法の実施態様には、以下の特徴(i)〜(viii)の1つ以上を含む元々上記されている方法が含まれる:
(i)ステップA2において、カリウムアルコキシド塩基を化合物Aの当量あたり約0.5ないし約1.1当量(または、約0.9ないし約1.1当量または約0.90ないし約1.0当量)の量で使用する;
(ii)ステップA2を約0ないし約60℃(または、約20ないし約50℃、約30ないし約50℃,または約40ないし約45℃)の温度で実施する;
(iii)ステップA2において、供給溶液のすべて及び供給混合物の実質部分が添加されるまで供給溶液及び供給混合物を晶析器に同時に添加した後、残りの供給混合物を添加する;
(iv)ステップA2において種晶を約1ないし約30重量%(または、約10ないし約25重量%または約15ないし約25重量%)の量で使用する;
(v)ステップB2を約0ないし約60℃(または、約15ないし約50℃または約20ないし約40℃、或いは最初は約30ないし約40℃、その後エージングステップが完了/停止するまで約20ないし約30℃)の温度で実施する;
(vi)ステップA2における結晶化混合物は約80:20ないし約20:80(または、約60:40ないし約20:80)の第1溶媒/第2溶媒の最終溶媒容量比を有する;
(vii)ステップA2において供給溶液及び供給混合物を添加する前に、結晶スラリーは約80:20ないし約20:80(または、約60:40ないし約20:80)の第1溶媒/第2溶媒の結晶スラリー溶媒容量比を有する;及び
(viii)結晶スラリー溶媒容量比は最終溶媒容量比とほぼ同じである。
【0075】
P2方法の他の実施態様には、
第1溶媒がアセトン、エチルエーテル、MTBE、THF、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DMF、DMAC、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、DMSO、アセトニトリルまたはプロピオニトリルである;
第2溶媒がメタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンまたはエチルベンゼンである;及び
カリウムアルコキシドがKOMeまたはKOEtである;
直前に記載されている実施態様(すなわち、特徴i〜viiiの1つ以上を含む方法)に記載されている方法が含まれる。
【0076】
上記した実施態様の各々の1態様で、第1溶媒はアセトン、THF、DMF、NMP、DMSOまたはアセトニトリルであり、第2溶媒はEtOH、ヘプタン、EtOAcまたはトルエンであり、カリウムアルコキシドはKOEtである。
【0077】
P2方法の更に別の実施態様には、供給溶液及び供給混合物の同時添加の間供給物をアルコキシド塩基の当量/化合物Aの当量を一定比とする速度で晶析器に添加する直前に記載されている2つの実施態様に記載されている方法が含まれる。
【0078】
P2方法の他の実施態様には、更に
(C2)エージングした混合物から化合物Aの結晶性K塩を回収する
ことを含む元々上記されており、上記実施態様の各々に記載されている方法が含まれる。この実施態様の1態様では、結晶性K塩を濾過により回収して結晶性ケーキを得、場合によりこのケーキを第3量の第1溶媒、第2溶媒またはその組合せで洗浄し、乾燥する。
【0079】
P2方法の更に別の実施態様は、
(A2)化合物A、第1量のアセトニトリル及び第1量のエタノールからなる供給溶液;及びカリウムエトキシド及び第2量のエタノールからなる溶液である供給混合物を第2量のアセトニトリル及び第3量のエタノールからなる溶媒混合物中でスラリー化した種晶を含む晶析器に添加して結晶化混合物を得、この際第1及び第2溶液の少なくとも実質部分を晶析器に同時に添加し、
(B2)ステップA2で得た結晶化混合物をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む方法である。
【0080】
上記実施態様の態様には、以下の特徴(i)〜(x)の1つ以上を含む直前に記載されている方法が含まれる:
(i)ステップA2において、カリウムエトキシドを化合物Aの当量あたり約0.5ないし約1.1当量(または、約0.9ないし約1.1当量または約0.90ないし約1.0当量)の量で使用する;
(ii)ステップA2を約0ないし約60℃(または、約20ないし約50℃、約30ないし約50℃または約40ないし約45℃)の温度で実施する;
(iii)ステップA2において、供給溶液のすべて及び供給混合物の実質部分を添加するまで供給溶液及び供給混合物を晶析器に同時に添加し、その後供給混合物の残りを添加する;
(iv)ステップB2を約0ないし約60℃(または、約15ないし約50℃、約20ないし約40℃、或いは約30ないし約40℃、その後完了まで約20ないし約30℃)の温度で実施する;
(v)種晶を約1ないし約30重量%(または、約10ないし約25重量%または約15ないし約25重量%)の量で使用する;
(vi)ステップA2における結晶化混合物は約80:20ないし約20:80(または、約60:40ないし約20:80、約50:50ないし約20:80または約30:70ないし約20:80)のアセトニトリル/エタノールの最終溶媒容量比を有する;
(vii)ステップA2における供給溶液及び供給混合物の添加前、結晶スラリーは最終溶媒容量比とほぼ同じアセトニトリル/エタノールの結晶スラリー溶媒容量比を有する;
(viii)供給溶液及び供給混合物の同時添加中、供給物をカリウムエトキシドの当量/化合物Aの当量を一定比(すなわち、固定比)とする速度で晶析器に添加する;
(ix)ステップA2における供給溶液及び供給混合物の添加時間は約0.5ないし約24時間(または、約8ないし約16時間、例えば約12時間)である;及び
(x)方法は更に化合物Aの結晶性K塩を回収するステップC2を含む(例えば、エージングした溶液から濾過により結晶性K塩を分離することにより結晶性ケーキを得、場合によりこのケーキをエタノールで洗浄し、乾燥する)。
【0081】
本発明のP2方法の追加実施態様には、方法で使用される晶種が化合物Aの結晶形1 結晶性カリウム塩からなり、方法により生ずる結晶性塩が化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩からなる元々上記されており、上記実施態様の各々に記載されている方法が含まれる。
【0082】
方法P2に上記した接種ステップは、接種なしでも化合物Aの結晶性K塩を得ることができる点で任意である。しかしながら、接種は一般的には結晶化を誘導または助ける手段として、特に特定の結晶形(例えば、結晶形1)を製造する手段として好ましい。
【0083】
本発明は化合物Aの結晶性カリウム塩の製造方法(或いは、本明細書中で“方法P3”または“P3方法”と称する)を包含し、その方法は、
(A3)(i)化合物A及び第1量のジアルキルケトン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシド及びアルカンニトリルからなる群から選択される水溶解性有機溶媒からなる第1溶液、及び(ii)KOH及び第1量の水からなる第2溶液を第2量の有機溶媒及び第2量の水からなる混合物中でスラリー化した種晶を含む晶析器に添加し、この際第1及び第2溶液の少なくとも実質部分を晶析器に同時に添加し、
(B3)ステップAで得た結晶化混合物をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む。
【0084】
P3方法のすべてのステップを場合によりかき混ぜ(例えば、撹拌)ながら実施することが好ましいが、かき混ぜ(例えば、撹拌)は任意である。
【0085】
この方法は、(カリウムアルコキシドを有機溶媒中に含むのに対して)KOHの水溶液を使用する以外はP2方法に類似している。P2方法における第1溶媒として使用するのに適していると上に開示されている溶媒は一般的にはP3方法における有機溶媒として使用するのにも適している。本明細書中で使用されている用語「水溶解性(water-dissolving)有機溶媒」は、第2溶液中のKOHが第1溶液中の化合物Aと接触して化合物AのK塩が形成され得るように水が有機溶媒中に十分に溶解し得ることを意味する。有機溶媒及び水をステップA3から生じた結晶化混合物中に単一の液相が形成される比率で使用することが好ましい。
【0086】
化合物Aは、最終的に所望の結晶性カリウム塩の少なくとも一部が形成される任意の濃度で第1溶液中に使用してもよいが、一般的には飽和第1溶液を与える濃度またはそれに近い濃度で第1溶液中に使用する。飽和に近い〜飽和の第1溶液を適当な最終溶媒容量比(以下参照)と組み合わせて使用すると、その後非常に過飽和のK塩溶液が生じ、方法からの結晶化K塩の生成量が最大となり得る。
【0087】
P3方法において使用するのに適したKOHの量は、一般的にはP1及びP2方法において使用するのに適していると上記されている塩基の量と同じである。また、方法P3のステップA3において使用するための種晶の適当な量並びに方法P3のステップA3及びB3を実施するのに適した温度は、一般的には方法P2における類似ステップのために適していると上記されているものと同じである。P2方法における第1及び第2溶液の晶析器への添加速度に関する上記した記載はP3方法における添加速度にも適用する。
【0088】
有機溶媒/水の容量比は、化合物AのK塩の結晶化に有利な条件を与えるべく化合物Aが比較的高い溶解度を有し、所望の化合物AのK塩は比較的に低い溶解度を有する溶媒系を与えるように適当に選択される。一般的には、化合物Aは所望のK塩よりも有機溶媒中により多く溶解する。一方、K塩は化合物Aよりも水中により溶解する。従って、溶媒系は一般的には母液中でのK塩の損失を避けるかまたは最小にするために大量の有機溶媒を含有している。方法P3において使用する有機溶媒/水の最終溶媒容量比は適当には約50:50ないし約99:1であり、一般的には約70:30ないし約98:2であり、より一般的には約80:20ないし約97:3(例えば、約95:5)である。
【0089】
P3方法の実施態様には以下の要件(i)〜(viii)の1つ以上を含む元々上記されている方法が含まれる:
(i)
(i−a)有機溶媒はジ−(C1−4アルキル)ケトン、ジアルキルエーテル(ここで、各アルキルは独立してC1−4アルキルである)、2個の(同一または異なる)−O−C1−4アルキル基で置換されているC1−4直鎖状または分岐状アルカン、C4−6環状エーテルまたはジエーテル、トリ−(C1−4)アルキルアミン、N,N−ジ−(C1−4アルキル)−C1−4アルキルアミド、N−(C1−4アルキル)ピロリドン、ジ−(C1−4アルキル)スルホキシドまたはC2−4アルカンニトリルである;
(i−b)有機溶媒はアセトン、THF、DMF、NMP、DMSOまたはアセトニトリルである;または
(i−c)有機溶媒はアセトニトリルである;
(ii)KOHをステップA3において化合物Aの当量あたり約0.5ないし約1.1当量(または、約0.9ないし約1.1当量、約0.90ないし約1.0当量または約0.90ないし約0.99当量)の量で使用する;
(iii)ステップA3を約0ないし約60℃(または、約20ないし約50℃、約30ないし約50℃または約40ないし約45℃)の温度で実施する;
(iv)ステップB3を約0ないし約60℃(または、約15ないし約50℃または約20ないし約40℃)の温度で実施する(或いは、最初約30ないし約40℃の温度で実施し、停止/完了まで約20ないし約30℃で実施する);
(v)種晶を約1ないし約30重量%(または、約10ないし約25重量%または約15ないし約25重量%)の量で使用する;
(vi)ステップA3における結晶化混合物は約50:50ないし約99:1(または、約70:30ないし約98:2、約80:20ないし約97:3または約95:5)の有機溶媒/水の最終溶媒容量比を有する;
(vii)結晶スラリー溶媒容量比は最終溶媒容量比とほぼ同じである;及び
(viii)ステップA3における第1及び第2溶液の同時添加の間、これらの溶液をKOHの当量/化合物Aの当量を一定比(すなわち、固定比)とする速度で晶析器に添加する。
【0090】
P3方法の他の実施態様には、各方法が更に
(C3)化合物Aの結晶性K塩をエージングした混合物から回収する
ことを含む元々上記されており、上記実施態様の各々に記載されている方法が含まれる。この実施態様の態様では、結晶性K塩を濾過により回収して結晶性ケーキを得、場合によりこのケーキを第3量の水、有機溶媒またはその組合せで洗浄し、乾燥する。
【0091】
本発明のP3方法の追加実施態様には、方法において使用する種晶が化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩からなり、方法から生ずる結晶性塩が化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩からなる元々上記されており、上記実施態様の各々に記載されている方法が含まれる。
【0092】
方法P3における上記した接種ステップは、接種なしでも化合物Aの結晶性K塩を得ることができる点で任意である。しかしながら、接種は一般的には結晶化を誘導または助ける手段であり、特に特定の結晶形(例えば、結晶形1)を製造する手段として好ましい。
【0093】
本発明はまた、化合物Aの無水結晶形1結晶性カリウム塩の製造方法(或いは、本明細書中で“方法P4”または“P4方法”と称する)を包含し、その方法は、
(A4)化合物Aの結晶形2水和結晶性カリウム塩をアルキルアルコール、ジアルキルケトン及びアルカンニトリルからなる群から選択される溶媒中に含むスラリーを形成し、
(B4)前記スラリーをエージングして、化合物Aの無水結晶形1結晶性カリウム塩を得る
ことを含む。
【0094】
ステップA4においてスラリー溶媒として使用するのに適した物質は、C1−4アルキルアルコール、ジ−(C1−4アルキル)ケトン及びC2−4アルカンニトリルからなる群から選択される物質からなる。スラリー溶媒として特に適した物質の亜群はC1−4アルキルアルコール、アセトン及びアセトニトリルから選択される物質からなる。好ましいスラリー溶媒はメタノール、エタノール、アセトン及びアセトニトリルから選択される。ステップA4におけるスラリー形成を適当には約0〜40℃の温度で実施し、一般的には約10ないし約40℃、より一般的には約20ないし約40℃(例えば、約20ないし約30℃)の温度で実施する。ステップB4におけるエージングをステップA4と同一の温度で実施するのが適当である。エージング時間は溶媒の選択、エージング温度等のような要因に応じて変動し得るが、一般的には約0.5ないし約15日間の時間実施する。
【0095】
エージングステップの終了時、生じた結晶性K塩は慣用の手段、例えば濾過、任意の溶媒洗浄(例えば、新鮮なスラリー溶媒)及び乾燥により回収され得る。
【0096】
本発明は化合物Aの結晶形2結晶性カリウム塩の製造方法(或いは、本明細書中で“方法P5”または“P5方法”と称する)をも包含し、その方法は、化合物A、KOH、アセトン及び少なくとも微量の水からなる溶液を音波処理して、化合物Aの結晶形2結晶性カリウム塩を得ることを含む。
【0097】
P5方法では、KOHを適当には化合物Aの当量あたり約0.95ないし約1.1当量の量で使用し、一般的には化合物Aの当量あたり約1当量の量で使用する。音波処理は、反応容器を超音波浴に浸すかまたは容器に超音波照射源を取り付け、結晶化が生起するのに十分な時間音波処理することにより実施され得る。音波処理及びその後の結晶化は、適当には約10ないし約40℃の温度で実施し、一般的には約20ないし約30℃の温度で実施する。音波処理ステップを適当には約0.5〜10分間実施し、一般的には約0.5ないし約2分間実施する。化合物Aの水和K塩を形成させるためには少なくとも微量の水を存在させなければならない。適当量の水は溶液中に使用したアセトンの重量に基づいて少なくとも約1重量%である。1実施態様では、水を約1ないし約3重量%(例えば、約1.2ないし約2重量%)の量で存在させる。
【0098】
音波ステップの終了時、生じた結晶性K塩は慣用手段により回収され得る(或いは、「単離され得る」)。例えば、結晶性生成物を溶液から濾過により分離し、場合により有機溶媒(例えば、アセトン)で洗浄し、(例えば、真空により及び/または加熱により)乾燥し得る。
【0099】
本明細書中で使用されている用語「接種」及びその変形(例えば、「接種された」)は、溶液からの化合物Aの結晶性カリウム塩の結晶化を誘導及び/または助けるために化合物Aのカリウム塩の溶液をそのまままたは適当な溶媒中のスラリーとしての化合物Aの結晶性カリウム塩(例えば、結晶形1)と接触させることを意味する。
【0100】
用語「エージング」及びその変形(例えば、「エージングした」)は、反応物質(例えば、カリウム塩基及び化合物A)を反応(例えば、K塩の形成)を完了させるのに有効な条件下で有効な時間接触させ続けることを意味する。
【0101】
本明細書中での「当量」の言及はモル当量を意味する。
【0102】
本明細書中で使用されている用語「実質的」(または、「実質的に」)は、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%(例えば、少なくとも約95%)を意味する。よって、例えば、時間の実質部分は時間の少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約80%、等を意味する。別の例として、二元溶媒系の実質部分が溶媒Aのとき、該溶媒系中の溶媒の少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約80%、等は溶媒Aである。更に別の例として、実質的に完全な反応は少なくとも約60%完了(すなわち、反応物の所望生成物及び/または副生成物への変換が少なくとも60%起こった)、好ましくは少なくとも約80%完了、等である。
【0103】
本明細書中に開示、説明されている化合物のあるものは互変異性体の形態を有する。例えば、式S(以下参照)の化合物は以下のものを含めた互変異性体を有する。
【0104】
【化10】

【0105】
上記化合物が本発明の一部をなす範囲で、本発明は単独でまたは混合状態のすべての互変異性体を含むと理解される。
【0106】
上記したように、本発明は、HIVインテグラーゼを阻害するため、HIV感染を治療または予防するため、AIDSの発症を治療、予防または遅延するために前記阻害、治療、予防または遅延を要する被験者に対して有効量の化合物Aのカリウム塩を(単独でまたは医薬組成物の活性成分として)投与することを含む。本発明はまた、化合物Aのカリウム塩と抗HIV剤との併用も含む。
【0107】
本発明の化合物AのK塩に関して用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与する」)は、阻害、治療または予防を要する個人に対して前記塩を与えることを意味する。化合物Aのカリウム塩を1つ以上の他の活性物質(例えば、HIV感染またはAIDSの治療または予防に有用な抗ウイルス剤)と組み合わせて投与する場合、「投与」及びその変形はそれぞれ化合物またはプロドラッグと他の物質を同時に(別々にまたは一緒に)または時間をずらして与えることを含むと理解される。
【0108】
本明細書中で使用されている用語「組成物」は、特定成分を含む製品及び特定成分の組み合わせから直接または間接的に生ずる製品を包含すると意図される。
【0109】
「医薬的に許容され得る」は、医薬組成物の成分は相互に適合性でなければならず、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0110】
本明細書中で使用されている用語「被験者」は、治療、観察または実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0111】
本明細書中で使用されている用語「有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す活性化合物または医薬の量を意味する。有効量は、治療しようとする疾患または状態の症状を緩和するための「治療有効量」であり得る。有効量は、予防しようとする疾患または状態の症状を予防するための「予防有効量」でもあり得る。本明細書中で、この用語はHIVインテグラーゼを阻害し、よって求めている応答を引き出すのに十分な量(すなわち、「阻害有効量」)の活性化合物を含む。本発明では、活性成分(すなわち、化合物A)をカリウム塩として投与し、活性成分の量の言及は化合物Aの遊離フェノール形態を指す。
【0112】
用語「抗HIV剤」は、HIV複製または感染に必要なインテグラーゼまたは別の酵素の阻害、HIV感染の予防、HIV感染の治療、AIDSの発症の遅延、AIDSの予防またはAIDSの治療の1つ以上において有効である物質を意味する。適当な抗HIV剤にはHIV/AIDS抗ウイルス剤、抗感染剤及び免疫調節剤が含まれる。適当な抗HIV剤には下表1にリストしたものが含まれる:
【0113】
【表1】








【0114】
本発明の化合物Aのカリウム塩は、HIVインテグラーゼを阻害するため、HIV感染を治療または予防するため、或いはAIDSの発症を治療、予防または遅延させるために活性物質と該物質の作用部位を接触させる手段を用いて投与され得る。カリウム塩は、個別の治療物質としてまたは治療物質の組合せで医薬品と併用するのに利用可能な慣用手段により投与され得る。カリウム塩のみを投与してもよいが、一般的には選択した投与ルート及び標準の医薬プラクティスに基づいて選択される医薬用担体と一緒に投与される。本発明の化合物AのK塩は、例えば有効量のK塩及び慣用の非毒性医薬的に許容され得る担体、佐剤及びビヒクルを含有する医薬組成物の1回量剤形で経口、非経口(皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入を含む)、吸入スプレーにより、または経腸的に投与され得る。経口投与に適した液体製剤(例えば、懸濁液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)は当業界で公知の技術に従って作成され得、一般的な媒体(例えば、水、グリコール、油、アルコール等)を使用することができる。経口投与に適した固体製剤(例えば、散剤、ピル剤、カプセル剤及び錠剤)は当業界で公知の技術に従って作成され得、固体賦形剤(例えば、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等)を使用することができる。非経口組成物は当業界で公知の技術に従って作成され得、一般的には担体として滅菌水及び場合により他の成分(例えば、溶解助剤)を使用することができる。注射液剤は当業界で公知の方法に従って作成され得、この場合担体は生理食塩液、グルコース溶液、または生理食塩液とグルコースの混合物を含有する溶液からなる。本発明の医薬組成物の製造に適した方法及び前記組成物中に使用するのに適した成分の詳細はA.R.Gennaro編,Reminton’s Pharmaceutical Sciences,18版,Mack Publishing Co.(1990年)発行に記載されている。
【0115】
好ましい実施態様では、化合物Aのカリウム塩は、化合物AのK塩及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、HPMC 2910)を含み、錠剤に圧縮されている医薬組成物の形態で経口投与される。別の好ましい実施態様では、化合物Aのカリウム塩は、化合物AのK塩、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、HPMC K4M)及びラクトース(例えば、噴霧乾燥した含水ラクトース)を含み、錠剤に圧縮されている医薬組成物の形態で経口投与される。
【0116】
化合物Aのカリウム塩は、0.001〜1000mg/kg−哺乳動物(例えば、ヒト)体重/日の用量範囲(本明細書に記載されている用量はすべて活性成分基準である)で1回または複数回に分けて経口投与され得る。1つの好ましい用量範囲は0.01〜500mg/kg体重/日であり、1回または複数回に分けて経口投与される。別の好ましい用量範囲は0.1〜100mg/kg体重/日であり、1回または複数回に分けて経口投与される。経口投与の場合、組成物は治療しようとする患者に対する用量を症状に合わせて調節するために1.0〜1000mgの活性成分、特に1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900及び1000mgの活性成分を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で提供され得る。成人に対する化合物Aのカリウム塩(例えば、結晶形1)の好ましい用量はカプセル剤または錠剤の形態での100〜600mgの量の1日2回経口投与である。特定患者に対する具体的用量レベル及び投与頻度は患者の年齢、体重、全身健康状態、性別及び食事;投与モード及び時期;排泄速度;薬物の組合せ;及び特定状態の重症度を含めた各種要因に応じて変更され得る。
【0117】
本発明はまた、式Q:
【0118】
【化11】

の化合物の製造方法(或いは、本明細書中で“方法P6”または“P6方法”と称する)も包含し、その方法は式:RXを有するハロゲン化アルキルを極性非プロトン性溶媒中、マグネシウム塩基及びカルシウム塩基から選択される塩基の存在下で式S:
【0119】
【化12】

[式中、RはC1−6アルキルであり、RはO−C1−6アルキルまたはN(R)R(ここで、R及びRは各々独立してHまたはC1−6アルキルである)であり、RはHまたはC1−6アルキルであり、LはC1−6アルキレンであり、Wはアミン保護基であり、Xはハロゲンである]
の化合物と反応させることを含む。
【0120】
式Qに含まれる化合物は、HIVインテグラーゼ阻害剤であるWO 03/035077に記載されている化合物A及び他の1−アルキル−2−アミノアルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミド化合物を含めた薬理学的に活性な物質を製造する際に中間体として使用され得る。上記化合物に関するWO 03/035077に記載されている製造ルートでは、5−ヒドロキシ基を保護した後ピリミジンをN1−アルキル化することを含む。WO 03/035077に開示されており、以下スキーム1に示されている化合物Aの製造は代表的である。
【0121】
【化13】

【0122】
本発明の方法は、本発明方法が5−ヒドロキシ基を保護するステップを必要としないのでWO 03/035077に記載されている類似のアルキル化方法よりも優れている。保護ステップを含むことは、保護ステップのない類似方法と比較して余分のステップのために方法の複雑さ及びコストが増し(特に大規模操作の場合)、中間体アルキレートの収率及び所望化合物の全収率も低下する可能性があるので不利である。下記実施例1のステップ5は本発明のアルキル化方法を説明している。実施例1のステップ5の方法により、一般的にはスキーム1に示すWO 03/035077の方法で得たN1−アルキル化中間体(化合物pf)の収率に等しいかまたはそれよりも高い収率でN1−アルキル化中間体(化合物)が得られる。
【0123】
更に、スキーム1においてLiH−ジオキサン以外の溶媒−塩基組合せの使用は適当でないことが判明した。より具体的には、他の組合せ(例えば、NaH、CsCO、LiO−t−Bu、テトラメチルグアニジン、LiCO及びNaPOの1つとDME、ジグリム、トリグリム、DMF、THF、トルエン、1,3−ジオキソラン、DMAC、酢酸イソプロピル、EtOH及びMcCNの1つの組合せ)を使用すると、ベンゾイル保護基が脱保護され及び/またはO−メチル化を促す選択性、すなわち
【0124】
【化14】

を与える選択性をもたらすことが判明した。
【0125】
スキーム1方法におけるLiHは、その使用により可燃性水素ガスを放出することがあるので安全性の問題を呈する。ジオキサンは発癌性であり、厳しい放出規制を受けている。従って、LiHとジオキサンの組合せを特に大規模に使用することは複雑であり、コストがかかり、余り魅力的でない。対照的に、本発明の方法はLiH以外の塩基を使用しており、ジオキサンを使用しなくてよい。本発明の方法は代わりに塩基を使用し、溶媒を使用することができ、溶媒の代表例は6−ヒドロキシ基のO−メチル化よりもN−メチル化を助けることが判明した。この観察された5−ヒドロキシ基のO−メチル化よりもN−メチル化に対する選択性により、本発明の方法では5−ヒドロキシ基の保護が必要でない。
【0126】
方法P6で使用される塩基はマグネシウム含有塩基またはカルシウム含有塩基であり得る。この方法で使用するのに適したマグネシウム及びカルシウム塩基には式M(R(式中、MはMgまたはCaであり、各Rは独立してHまたは−O−C1−6アルキルである)を有するものが含まれる。塩基の例にはMgH、Mg(OMe)、Mg(OH)、Mg(OEt)、MgHOMe、MgHOEt、CaH、Ca(OMe)及びCa(OEt)が含まれる。好ましくは、塩基はマグネシウム塩基である。1実施態様では、P6方法は塩基が式Mg(R(式中、Rは上記した通りである)を有するマグネシウム塩基からなる元々上記されている通りである。この実施態様の1態様では、塩基はMg(O−C1−4アルキル)である。この実施態様の別の態様では、塩基はMg(OMe)である。
【0127】
塩基は、化合物S及びハロゲン化アルキルに対して式Qを有する所望のN−アルキル化化合物の少なくとも一部を形成する任意の比率で使用され得るが、塩基は一般的には使用する反応条件(例えば、温度)下で化合物Sの化合物Qへの変換を最適化し得る比率で使用され得る。塩基は適当には化合物Sの当量あたり約0.5ないし約10当量の量で使用され、一般的には化合物Sの当量あたり約1ないし約10当量の量で使用され、より一般的には化合物Sの当量あたり約1ないし約5当量(例えば、約1.5ないし約2当量)の量で使用される。
【0128】
方法P6で使用されるハロゲン化アルキルは、好適には式RX(式中、RはC1−6アルキルであり、Xはハロゲン(すなわち、F、C1、BrまたはI)である)を有するものである。1実施態様では、P6方法はハロゲン化アルキルが式RX(式中、RはC1−4アルキルであり、Xはクロリド、ブロミドまたはヨージドである)を有するものである元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されている通りである。この実施態様の1態様では、Xはヨージドである。この実施態様の別の態様では、ハロゲン化アルキルはMeIまたはEtIであり、この態様の別の特徴ではハロゲン化アルキルはMelである。
【0129】
ハロゲン化アルキルは、塩基及び化合物Sに対して式Qを有する所望のN−アルキル化化合物の少なくとも一部を形成する任意の比率で使用され得るが、ハロゲン化物は一般的には使用する反応条件(例えば、温度)下で化合物Sの化合物Qへの変換を最適化し得る比率で使用され得る。ハロゲン化アルキルは適当には化合物Sの当量あたり約0.5ないし約20当量の量で使用され、一般的には化合物Sの当量あたり約1ないし約20当量の量で使用される。より一般的には、ハロゲン化アルキルは化合物Sの当量あたり約1ないし約10当量(例えば、約1〜5当量)の量で使用される。ハロゲン化アルキルを化合物Sに対して過剰量、例えば化合物Sの当量あたり約2ないし約6当量(例えば、約3ないし約5当量または約4当量)の量で使用することが好ましい。
【0130】
方法P6で使用される溶媒は、使用する条件下で液相中にあり、化学的に不活性であり、反応物質を接触させて、所望の化合物Qを形成し得るべく反応物質を溶解、懸濁及び/または分散させる任意の極性非プロトン性溶媒であり得る。方法において使用する条件下でO−アルキル化副生成物へのO−アルキル化よりも所望化合物QへのN−アルキル化を助ける溶媒が好ましい。極性非プロトン性溶媒は適当にはハロゲン化アルカン、エーテル、エステル、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、スルホキシドまたはニトリルであり、一般的には第3級アミド、N−アルキルピロリドンまたはスルホキシドである。1実施態様では、P6方法は、極性非プロトン性溶媒がN,N−ジ−(C1−6アルキル)−C1−6アルキルアミド、N−(C1−6アルキル)ピロリドンまたはジ−(C1−6アルキル)スルホキシドである元々上に定義されているかまたは上記実実施態様に記載されている通りである。この実施態様の態様では、極性非プロトン性溶媒はN,N−ジ−(C1−3アルキル)−C1−3アルキルアミド、N−(C1−3アルキル)ピロリドンまたはジ−(C1−3アルキル)スルホキシドからなる。この実施態様の別の態様では、極性非プロトン性溶媒はDMF、DMAC、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンまたはDMSOである。この態様の特徴では、極性非プロトン性溶媒はDMSOである。
【0131】
方法P6は、化合物Qを形成する反応(N−アルキル化)を検出し得る任意の温度で実施され得る。反応は適当には約−20ないし約100℃の温度で実施され得、一般的には約0ないし約100℃の温度で実施され、より一般的には約15ないし約80℃の温度で実施される。P6方法の1実施態様では、温度は約20ないし約60℃の範囲であり、方法ステップを最初約20℃で実施し、その後約60℃の温度に加熱する。
【0132】
方法P6においてWとして使用するのに適したアミン保護基(及びその除去のための物質及び条件)は当業界で公知であり、その例には参照により本明細書に含まれるとするGreene及びWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,p.494−653,第3版,Wiley−Interscience(1999年)発行;及び参照により本明細書に含まれるとするMcOmie,Protective Groups in Organic Synthesis,p.44−74,Plenum(1973年)発行に記載されているものが含まれる。1実施態様では、P6方法は、Wが
(1)アリールで置換されているC1−6アルキル(ここで、アリールは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1〜5個の置換基で置換されている)、
(2)C(=O)−C1−4アルキル、
(3)C(=O)−C1−4ハロアルキル、
(4)C(=O)−C1−4アルキレン−アリール(ここで、アリールは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1〜5個の置換基で置換されている)、
(5)C(=O)−O−C1−4アルキル、
(6)C(=O)−O−(CH0−1−CH=CH、及び
(7)C(=O)−O−C1−4アルキレン−アリール(ここで、アリールは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1〜5個の置換基で置換されている)
からなる群から選択される元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されている通りである。
【0133】
上記実施態様の1態様では、Wは
(1)−CH−フェニル(ここで、フェニルは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1〜3個の置換基で置換されている)、
(2)−C(=O)−C1−4アルキル、
(3)−C(=O)−CF
(4)−C(=O)−CC1
(5)−C(=O)−CH−フェニル(ここで、フェニルは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1〜3個の置換基で置換されている)、
(6)−C(=O)−O−C1−4アルキル、
(7)−C(=O)−O−CH−CH=CH、及び
(8)−C(=O)−O−CH−フェニル(ここで、フェニルは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1〜3個の置換基で置換されている)
からなる群から選択される。
【0134】
上記実施態様の別の態様では、Wはベンジル、アセチル、t−ブチルオキシカルボニル(すなわち、Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニルまたは2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニルである。この態様の特徴では、WはCbzである。
【0135】
P6方法の実施態様は、RがC1−3アルキルであり、RがO−C1−3アルキルであり、RがHまたはC1−3アルキルであり、LがC1−3アルキレンであり、Wは−C(=O)−O−C1−4アルキル、−C(=O)−O−CH−CH=CHまたは−C(=O)−O−CH−フェニル(ここで、フェニルは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1〜3個の置換基で置換されている)であり、Xが塩素、臭素またはヨウ素である元々上記されている方法である。この実施態様の態様では、RはC1−3アルキルであり、RはO−C1−3アルキルであり、RはHまたはC1−3アルキルであり、LはCH、CHCH、CH(CH)またはC(CHであり、WはBoc、AllocまたはCbzであり、Xはヨウ素である。
【0136】
P6方法の別の実施態様は、式Q−A:
【0137】
【化15】

の化合物の製造方法であり、その方法は、ハロゲン化メチルを極性非プロトン性溶媒中、マグネシウム塩基の存在下で式(S−A):
【0138】
【化16】

の化合物と反応させることを含む。
【0139】
上記実施態様の態様は、下記する特徴(i)〜(vii)の1つ以上を含む直前に記載されている方法を含む:
(i)マグネシウム塩基はMgHまたはMg(O−C1−3アルキル)である(または、Mg(OMe)である);
(ii)極性非プロトン性溶媒はN,N−ジ−(C1−3アルキル)−C1−3アルキルアミド、N−(C1−3アルキル)ピロリドンまたはジ−(C1−3アルキル)スルホキシドである(例えば、溶媒はDMF、DMAC、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンまたはDMSOである;または溶媒はDMSOである);
(iii)反応を約0ないし約100℃(または、約20ないし約60℃)の温度で実施する;
(iv)ハロゲン化メチルは塩化メチル、臭化メチルまたはヨウ化メチル(または、ヨウ化メチル)である;
(v)ハロゲン化メチルを化合物S−Aの当量あたり約1ないし約5当量(または、約3ないし約5当量)の量で使用する;
(vi)マグネシウム塩基を化合物S−Aの当量あたり約1ないし約5当量(または、約1.5ないし約2当量)使用する;及び
(vii)Wはベンジル、アセチル、Boc、Cbz、Alloc、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニルまたは2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニルである(または、化合物S−Aが化合物であり、化合物Q−Aが化合物であるようにWはCbzである)。
【0140】
方法P6の別の実施態様は、更に反応媒体から化合物Qを回収することを含む元々上記されているかまたは上記実施態様に記載されている方法である。方法P6により、O−アルキル化副生成物が形成され得、この副生成物は所望のN−アルキル化生成物(すなわち、化合物Q)から当業界で公知の方法(例えば、沈殿した固体の適当な溶媒での洗浄またはクロマトグラフィー)により分離され得る。例えば、化合物は固体をMTBE−MeOHで洗浄することにより対応のO−アルキル化副生成物から分離され得る。
【0141】
方法P1〜P6を含めた本明細書中に記載した化学的方法の反応ステップの進行は、反応物質(例えば、化合物S)の消失及び/または所望生成物(例えば、化合物Q)の出現をTLC、HPLC、IR、NMRまたはGCのような分析技術を用いてモニターすることにより追跡され得る。
【0142】
本明細書中で使用した略語には以下のものが含まれる:
AIDS = 後天性免疫不全症候群、
ARC = AIDS関連複合症候群、
AUC = 血漿濃度対最終サンプリングまでの時間(例えば、24時間)をプロットした曲線下面積、
Bz = ベンゾイル、
max = 最大血漿濃度、
DIEA = ジイソプロピルエチルアミン、
DMAC = N,N−ジメチルアセトアミド、
DMADC= ジメチルアセチレンジカルボキシレート、
DME = 1,2−ジメトキシエタン、
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド、
DMSC = ジメチルスルホキシド、
DSC = 示差走査熱量測定、
Eq. = 当量、
EtOAc= 酢酸エチル、
EtOH = エタノール、
HIV = ヒト免疫不全ウイルス、
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー、
i−Pr = イソプロピル、
IPA = イソプロピルアルコール、
KF = 水に対するカールフィッシャー滴定、
KOEt = カリウムエトキシド、
LC = 液体クロマトグラフィー、
LCAP = LC面積%、
LCWP = LC重量%、
Me = メチル、
MeCN = アセトニトリル、
MeOH = メタノール、
MSA = メタンスルホン酸、
MTBE = メチル−t−ブチルエーテル、
MW = 分子量、
NMM = N−メチルモルホリン、
NMP = N−メチルピロリドン、
NMR = 核磁気共鳴、
t−Bu =tert−ブチル、
TG = 熱重量分析、
THE = テトラヒドロフラン、
XRPD = X線粉末回折。
【0143】
特に反対の記載がない限り、本明細書中に示した範囲はすべて含む。例えば、約15℃ないし約80℃の温度範囲は温度が約15℃または約80℃、或いはその間の値であり得ることを意味する。
【0144】
下記実施例は本発明及びその実施を説明するためにのみ役立つ。これらの実施例は本発明の範囲または趣旨に限定すると解釈されない。
【実施例1】
【0145】
化合物A及びその結晶形1結晶性カリウム塩の製造
ステップ1:ストレッカーアミン形成
【0146】
【化17】

【0147】
【表2】

【0148】
アセトンシアノヒドリン(11.5kg,12.3L)を5ガロン容量のオートクレーブに装入し、容器を5psi窒素圧下に置いた。オートクレーブを10℃まで冷却し、GCアッセイで測定して反応が完了転換に達する( 0.5%未満)まで30psiに加圧したアンモニアガス(〜3.44kg)を容器に供給した。生じた懸濁液をポリジャグに移し、オートクレーブをMTBE(約17L)で濯いだ。次いで、反応混合物及び濯ぎ液を100L容量の抽出器に装入し、MTBE(15L)を装入し、混合物を撹拌し、層を注意深く分離した。水性層をMTBE(5L)で逆抽出し、層を注意深く分離した。有機層を合わせ、バッチ濃縮器を備えた100L容量のフラスコにインラインフィルターを介して装入し、バッチを約20Lまで濃縮(15〜20℃,低真空)して過剰のアンモニアを除去した。アミノニトリルをNMRにより97%アッセイ収率(11.1kg)でMTBE溶液として得た。
【0149】
ステップ2:ベンジルオキシカルボニル(CBz)保護基の付加
【0150】
【化18】

【0151】
【表3】

【0152】
5L容量の滴下漏斗、熱電対及び窒素入口を含む目視で清浄な100L容量のフラスコにシアノアミンをMTBE中に含む59重量%溶液(4.44アッセイkg)を装入した。濃度が約15mL/gとなるように溶液を更にMTBE(62.5L)で希釈した。次いで、クロロギ酸ベンジル(1.20当量,10.42kg,61.10モル)をバッチ温度を35℃以下に維持するような速度で滴下漏斗を介して15分間かけて装入した。次いで、バッチ温度を35℃以下に維持しながら、DIEA(1.3当量,8.88kg,68.70モル)を黄色スラリーに1.5時間かけて添加した。DIEAを添加するにつれてスラリーは僅かにより溶解性となったが、撹拌を停止すると2つの相が観察された。反応混合物を20〜25℃で16時間エージングした後、DI水(20L,4.5mL/g)をバッチに装入した。次いで、バッチを100L容量の抽出器に移し、相を分離した。次いで、有機層を水(3×10L)及びブライン(15L)で順次洗浄した。有機層を10μmインラインフィルターを介して100L容量の丸底フラスコに移した後、溶媒を90:10 ヘプタン:MTBEに転換した。溶媒転換中に結晶化が起こり、生じた白色結晶性生成物を濾過し、90:10 ヘプタン:MTBE(3×5L)で洗浄した。全部で10.1kgの生成物(収率88%)が99HPLC A%以上で得られた。全部で26.7kgの生成物が3バッチで平均単離収率86%で得られた。
【0153】
ステップ3:アミドキシム形成
【0154】
【化19】

【0155】
【表4】

【0156】
アミノニトリル(15g)をIPA(40mL)中に含む溶液を撹拌しながら60℃に加温し、この温度で水中NHOH(5.05mL)を20分間かけて添加した。次いで、透明な混合物を60℃で3時間エージングした。2時間後生成物がこの温度で晶出し始めた。次いで、スラリーを0〜5℃に冷却し、n−ヘプタン(40mL)を20分間かけて滴下した。0〜5℃で2時間撹拌した後、スラリーを濾過し、ケーキをヘプタン中20% IPA溶液(60mL)で洗浄し、次いで真空下窒素流を用いて室温で乾燥して、純粋なアミドキシムを収率88%で得た。
【0157】
ステップ4:ヒドロキシピリミジノンの形成
【0158】
【化20】

【0159】
【表5】

【0160】
アミドキシム(2.90kg)をメタノール(12L)中に含むスラリーにアセチレンジカルボン酸ジメチル(1.77kg)を20分間かけて添加した。スラリーの温度が15〜20分間で20℃から30℃に上昇するように僅かな発熱が認められた。1.5時間後、HPLCは中間体シス/トランス付加物への変換が95%以上であることを示した。次いで、溶媒を減圧下(最大温度=50℃)でキシレンと転換し、2容量[2×7.5L]を添加し、7.5Lの最終容量まで減量した。次いで、反応混合物を90℃に加熱し、残存するMeOHを窒素掃流でフラッシュしながらこの温度で2時間保持した。次いで、温度を3.5時間かけて125℃に10℃ずつ上昇させ、この温度で2時間保持した。最後に、温度を5時間で135℃に上昇させた。次いで、反応混合物を60℃に冷却し、MeOH(2.5L)を添加した。30分後、MTBE(9L)をゆっくり添加して、種子床を作成した。次いで、バッチを14時間で0℃に冷却し、更に−5℃に冷却し、1時間エージングした後濾過した。固体を10% MeOH/MTBE(6L、次いで4L;0℃に予冷)で置換洗浄し、フィルターポットで窒素掃流しながら乾燥して、2.17kg(補正収率51.7%;99.5重量%)を得た。
【0161】
HPLC方法:カラム:Zorbax C−8 4.6mm×250mm;12分かけて40% ACN/60% 0.1% HPO→90% ACN/10% 0.1% HPO,3分間保持した後1分間かけて40% ACNに戻す;保持時間:アミドキシム=2.4分,DMAD=6.7分,中間体付加物=8.4及び8.6分(8.4分ピーク より速く環化),生成物=5.26分,キシレン〜幾つかのピーク=10.4〜10.7分。
【0162】
ステップ5:N−メチル化
【0163】
【化21】

【0164】
【表6】

【0165】
ピリミジンジオール(2kg)をDMSO(16L)中に含む溶液にMg(OMe)をMeOH(11.95kg)中に含む溶液を添加し、その後過剰のMeOHを真空下(30mmHg)40℃で30分間蒸発させた。次いで混合物を20℃に冷却し、MeI(1.38L)を添加し、混合物を20〜25℃で2時間撹拌した後、密閉フラスコにおいて加圧下60℃で5時間撹拌した。HPLCは、反応が完了したことを示した。次いで、混合物を20℃に冷却し、MeOH(14L)を添加した後、2M HCl(20L)[発熱]を60分間かけてゆっくり添加した。次いで、過剰Iをクエンチするために亜硫酸水素ナトリウム(5重量%,2L)を添加すると、溶液は白色に変わった。次いで、水(40L)を40分間かけて添加し、スラリーを氷浴において40分間撹拌した後、濾過した。濾過ケーキをまず水(20L)で洗浄し、次いでMTBE:MeOH 9/1(30L)で洗浄して、O−メチル化副生成物を除去した。HPLCは、洗浄後のO−メチル化生成物は0.5A%未満であることを示した。固体を真空下N流中室温で一晩乾燥して、1.49kgのN−メチルピリミドン(収率70%,出発物質及び生成物の純度について補正)を得た。
【0166】
ステップ6:アミンカップリング
【0167】
【化22】

【0168】
【表7】

【0169】
N−メチル化ピリミジノン(1.4kg)をEtOH(14L)中に含むスラリーに4℃で4−フルオロベンジルアミン(1.05kg)を15分間かけてゆっくり添加し、最初の1モル当量のアミンの添加中9℃までの発熱が観察された。スラリーは非常に粘性になり、激しく撹拌する必要があった。反応物を2時間かけて72℃に加温し、この温度で1時間45分間維持した。溶液は45℃で非常に粘性となり、50℃までの僅かの発熱が観察された。その後、スラリーはゆっくりとほぐれ、72℃で1時間後均質となった。反応終了時のHPLCサンプルアッセイ(HPLC方法は上記ステップ4に使用したものに類似していた)はN−メチル化ピリミジノンが0.5A%未満であることを示した。次いで、反応物を60℃に冷却し、酢酸(0.55L)を30分間かけて添加した後、水(6.7L)を30分間かけて添加し、結晶化を開始させるために種晶(3.0g)を添加した。60℃で30分後、更に水(7.3L)を30分間かけて添加し、反応混合物を周囲温度まで一晩冷却した。13時間後、温度は20℃であり、この時点で反応混合物を濾過し、スラリーを50% 水/EtOH(2×4L)で洗浄した。固体をフィルターポット上で真空/N流下で一定重量まで乾燥して、白色固体生成物(1.59kg;補正収率90%;上記ステップ4で使用したのと類似のHPLC方法により測定してLCWP 99%及びLCAP 99.7%)を得た。
【0170】
ステップ7:Cbz−アミドの水素化
【0171】
【化23】

【0172】
【表8】

【0173】
ステンレス鋼製水素化容器を以下の反応条件下でMeOH、Pd/C触媒及びMSAで予備処理した。次いで、予備処理した容器においてCbz−アミド(10g)をMeOH(80mL)中でスラリー化した。スラリーにMSA(1.45mL)を室温で一度に添加した。水素化容器に5% Pd/C(0.15g,50%湿潤)も添加した。真空/水素パージのサイクルを3回連続して実施して水素を容器に充填した。その後、混合物を40psig、50℃で3〜4時間水素化した。水素化後、水(8mL)を反応混合物に添加し、混合物を撹拌し、触媒を濾過し、4:1 MeOH:水(20mL)で洗浄した。合わせた濾液のpHを1N NaOH(22.4mL)をゆっくり添加することによりpH7〜8.0に調節すると、固体が沈澱した。スラリーを0〜5℃で4時間撹拌し、固体を濾過し、水(30mL)で洗浄し、回収し、真空下50℃で乾燥した。生成物のアミン(水和物として)を白色結晶性固体(7.7g)として96%の収率(KFについて補正)、LCWP 89%、LCAP 99.8%、KF=11重量%で得た。
【0174】
HPLC方法A(生成物アッセイ):カラム:25cm×4.6mm Zorbax RX−C8;移動相:A=0.1% HPO,B=CHCN、0分(80% A/20% B),20分(20% A/80% B),25分(20% A/80% B);流速:1.0mL/分;波長:210nm;カラム温度:40℃;保持時間:デスフルオロアミン副生成物=5.5分,アミン生成物=5.85分,トルエン=16.5分,Cbz−アミド=16.82分。
【0175】
HPLC方法B(生成物純度):カラム:25cm×4.6mm YMC−basic;移動相:A=pH6.1に調節した25ミリモル KHPO,B=CHCN、0分(90% A/10% B),30分(30% A/70% B),35分(30% A/70% B);流速:1mL/分;波長:210nm;カラム温度:30℃;保持時間:デスフルオロアミン=9.1分,アミン=10.1分,トルエン=24.2分,Cbzアミド=25.7分。
【0176】
ステップ8:オキサジアゾールカップリング
A部:オキサジアゾールK塩の製造
【0177】
【化24】

【0178】
【表9】

【0179】
5−メチルテトラゾール(2.50kg)、トリエチルアミン(3.03kg)をトルエン(32L)中に含む混合物に0℃で塩化エチルオキサリル(4.01kg)を温度を5℃以下に維持する速度でゆっくり添加した。生じたスラリーを0〜5℃で1時間撹拌した後、トリエチルアミン/HCl塩を濾別した。固体を冷トルエン(5℃,27L)で洗浄した。合わせた濾液を0℃に保持し、熱トルエン溶液(50℃,15L)を40〜50分間かけてゆっくり添加した(Nガス発生)後、溶液を60〜65℃で1時間エージングした。20℃で冷却した後、トルエン溶液を10% ブライン(5L)で洗浄し、次いで溶媒をエタノールに交換した(8Lに減量した後、17LのEtOHを添加し、8Lまで濃縮し、次いで最終容量を41Lとするように33LのEtOHを添加)。エタノール溶液を10℃に冷却し、水性KOH(8.0L)を30分間かけて添加し、生じた濃厚スラリーを室温で40分間撹拌した。この間、オキサジアゾールK塩が晶出した。固体を濾別し、EtOH(11L)で洗浄し、最後にMTBE(15L)で洗浄した。固体を真空下窒素流で20℃で一晩乾燥して、4.48kg(90.8%)のK塩を得た。
【0180】
B部:オキサジアゾールカップリング
【0181】
【化25】

【0182】
【表10】

【0183】
500mL容量の丸底フラスコに強く撹拌しながらオキサジアゾールK塩(33.8g)を充填し、次いでMeCN(280mL)及びDMF(0.33mL)を充填した。次いで、生じたスラリーを0〜5℃に冷却し、内部温度を5℃未満に維持するために塩化オキサリル(23.7g)を20分間かけて添加した。次いで、生じたアシルクロリドを含有するスラリーを1時間エージングした。
【0184】
2L容量の丸底フラスコに遊離アミン(30g)及びTHF(821mL)を順次添加した。生じたスラリーを0〜5℃に冷却した後、NMM(21.56g)を添加し、こうして得られたスラリーを低温で10分間撹拌した。既に製造したアシルクロリドを含有するスラリーを遊離アミンスラリーに温度が5℃を超えないように20分間かけてゆっくり添加した。次いで、スラリーを0〜5℃で1.5時間エージングした。この時点で、HPLCはアミンを示さなかった(LCAP <0.5%,変換率 100%)。次いで、反応混合物をNHOH(水中30%)(69mL)を3分間かけて添加してクエンチした。生じた黄色スラリーを10℃未満の温度で更に1時間撹拌した。次いで、黄色スラリーをHCl(2N)(500mL)でpH2〜3に酸性化した。生じた赤ワイン色溶液にIPA(920mL)を添加した。次いで、低沸点有機溶媒を減圧下(40トル)室温で蒸発させて、1100mLの最終溶液容量とした。この容量で結晶性化合物Aが結晶化し始めた。次いで、この新しいスラリーに水(400mL)を10分間かけて添加し、スラリーを室温で一晩エージングした。エージングしたスラリーを濾過し、得られた固体を水(170mL)で洗浄した後、冷MeOH(300mL,予め氷浴において冷却)でスウィッシュ(swish)洗浄し、最後に水(700mL)でスウィッシュ洗浄した。こうして得た固体を真空下窒素流で乾燥して、35.5gの化合物A(収率91%)を得た。
【0185】
ステップ9:化合物Aの結晶性カリウム塩の形成
アセトニトリル(50mL)及び無水化合物A(5.8g,97.4重量%)を室温で撹拌機を備え、窒素入り口(すなわち、結晶化を窒素下で実施)を備えたジャケット付き125mL容量の丸底フラスコに装入した。固体が完全に溶解するまで生じたスラリーを45℃で撹拌した。次いで、化合物Aの結晶形1結晶性K塩(0.184g,理論K塩に対して3重量%)を種として溶液に装入した。次いで、バッチを45℃で維持しながら、30%(w/v)水性KOH溶液(0.98当量,2.33mL,0.0125モル)を以下の装入プロフィール:
5時間かけて0.466mL,0.0932mL/時(20モル%)
7時間かけて1.864mL,0.2663mL/時(80モル%)
に従って添加した
生じたスラリーを20℃に冷却し、母液中の化合物Aの濃度が4g/L未満と測定されるまで20℃でエージングした。バッチを濾過し、ケーキをMeCN(3×12mL)で洗浄した後、存在するMeCN及び水の量が熱重量分析で測定して1重量%未満であったと測定されるまで少量の窒素で掃流しながら減圧下45℃で乾燥した。化合物AのK塩をHPLC分析により>99 A%で得た。
【実施例2】
【0186】
化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩
A:製造
エタノール(147mL)、水(147mL)及び化合物A(HPLCにより97.9gアッセイ)を撹拌機、滴下漏斗、窒素注入口(すなわち、製造は窒素下で実施)及び熱電対を備えた1L容量の丸底フラスコに装入した。懸濁液に21℃で10分間かけて水性KOH(45%w/w,0.98当量,18.5mL,216ミリモル)を添加した。生じた懸濁液を0.5時間撹拌すると、固体の大部分は溶解し、その後バッチを直接撹拌機、滴下漏斗、窒素注入口及び熱電対を備えた5L容量の丸底フラスコに1μmフィルターを介して濾過した。1Lフラスコを1:1(v/v) 水/EtOH(48mL)で濯ぎ、濯ぎ液を5L容量の晶析器に濾過して入れた。濾過溶液に室温で化合物Aの結晶性結晶形1K塩(200mg)を接種した後、1時間エージングして、優れた結晶床を形成し、その後懸濁液を20℃で1.5時間かけてEtOH(1.57L)で希釈した。次いで、バッチを約4℃に冷却し、母液中の化合物Aの濃度が4.7g/Lと測定されるまでエージングした。バッチを濾過し、晶析器をEtOH(50mL)を用いてフィルターに濯ぎ、ケーキをEtOH(4×100mL)で洗浄した後、NMRにより存在するEtOHの量がカリウム塩に対して約0.4モル%となるまで真空下窒素テントを用いて乾燥した。化合物Aのカリウム塩を88% 収率(HPLCにより91.5gアッセイ、HPLC分析により99面積%)で得た。
【0187】
B:特性評価
Aに記載されているように製造したK塩のXRPDパターンは、Philips Analytical X’ Pert Pro X線粉末回折計において約12分かけて2.5°から40°2θへの連続走査(すなわち、40秒/ステップで0.02°ステップサイズ)、2RPSステージ回転及び測角走査軸を用いて作成した。ソースとして銅K−アルファ1(Kα1)及びK−アルファ2(Kα2)線を用いた。実験は周囲条件下で実施した。XRPDパターンを図1に示す。2θ値及び対応の格子間間隔は以下のものを含む。
【0188】
【表11】

【0189】
Aに記載されているように製造したK塩を窒素雰囲気中、クリンプ加工したピンホールアルミニウムパンにおいて室温から350℃へ10℃/分の加熱速度でTA Instruments DSC 2910示差走査回折計によっても分析した。図2に示すDSC曲線は、約279℃のピーク温度及び約230.0J/gmの随伴溶融熱を有する1つの鋭い吸熱を示した。この吸熱は溶融のためと考えられる。
【0190】
熱重量分析は、Perkin−ElmerモデルTGA 7を用いて窒素下室温から約350℃へ10℃/分の加熱速度で実施した。TG曲線は250℃までの加熱の間0.3%の重量損失を示した。
【0191】
吸湿性データは、VTI Symmetrical Vapor Sorption Analyzer Model SGA−1で得た。データは1ステップ毎に室温、5〜95% 相対湿度、5% 相対湿度に戻して集めた。平衡条件は180分の最大平衡時間で5分で0.01重量%の変化であった。データから、95% RH、25℃で平衡化したとき材料が1.8%の増量を有していることが分かった。5% RHに戻して平衡化したとき、材料はほぼその乾燥重量に戻った。吸湿性実験後の材料のXRPD分析から、材料が変化した相を持たなかったことが分かった。
【0192】
Aに記載したように製造したK塩もBrinkmann Metrohm 716 DMS Titrinoを用いてHCl滴定することによってもアッセイした。アッセイ結果は、塩がモノカリウム塩であったことを示した。
【実施例3】
【0193】
化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩
化合物A(45g)を35℃で50:50(v/v) EtOH:MeCN(434mL)中に溶解して、濃度96g/Lの溶液を調製した。KOEtのEtOH溶液(38g,24重量% KOEt)をEtOH(342g)と混合して、エトキシドをエタノール中に含む2.4重量%溶液を調製した。K塩(9.1g)を70:30 エタノール:アセトニトリル(177mL)に添加することにより種子床(化合物Aの結晶形1結晶性K塩)を調製し、その後種子をIKAモデルT50湿式ミルを用いて30分間湿式粉砕して、約48,600粒子数(すなわち、1〜500μmの粒子サイズ)及び10.4μmの平均粒子サイズを有する結晶床を作成した。
【0194】
種子スラリー(186mL)を晶析器に装入し、化合物AのEtOH:MeCN溶液を全部をジャケット付注射器ポンプに充填した。注射器ポンプジャケットは45℃に維持し、晶析器ジャケットは37℃で維持して、35℃のバッチ温度とした。次いで、バッチ温度を35℃に維持しながら、化合物A溶液及びKOEt溶液を晶析器に同時に添加した。添加の最初の5時間の間、化合物A溶液を0.29mL/分の速度で添加し、KOEt溶液は0.23mL/分の速度で添加し、その後次の7時間の間充填速度は化合物A溶液に関して0.83mL/分、KOEt溶液に関して0.66mL/分に変えた。7時間の終了時(全添加時間は12時間)、化合物A溶液はすべて添加し、KOEtはすべての溶液が装入されるまで0.66mL/分で添加し続けた。添加後、バッチを3時間かけて35℃から20℃に冷却し、次いで20℃で2.5時間エージングし、濾過した。濾過後、生じたケーキを置換/スラリー/置換洗浄シーケンスでEtOH(3×45mL)で洗浄し、窒素を1時間流し、次いで45℃で真空オーブンにおいて一晩乾燥して、94%の収率で化合物Aの結晶性K塩を得た。
【実施例4】
【0195】
化合物Aの結晶形2結晶性カリウム塩
固体KOH(47.9mg)及び化合物A(402.4mg)をアセトン(8mL)に添加し、沈澱が形成されるまで生じた溶液をFisher Scientific超音波モデルFS3 OHを用いて40kHzで数分間音波処理した。次いで、サンプルを乾燥するまで吸引濾過した。
【0196】
上記したように製造した単離結晶性カリウム塩のXRPDパターンは、実施例2で使用したのと同一の計器及び設備を用いて得た。XRPDパターンを図3に示す。2θ値及び対応の格子面間隔は以下のものを含む。
【0197】
【表12】

【0198】
直前に記載したように製造したK塩を窒素雰囲気下、クリンプ加工したピンホールアルミニウムパンにおいて室温から350℃へ10℃/分の加熱速度でTA Instruments DSC 2920示差走査熱量計により分析した。図4に示すDCS曲線は、約146℃で脱溶媒和のためと考えられるブロードな吸熱(随伴溶融熱=9.66J/gm)、約238℃で結晶形1への相変化によると考えられるブロードな吸熱(溶融熱=21.16J/gm)、その後約276℃で結晶形1の溶融と考えられる鋭い吸熱(溶融熱=124.6J/gm)を示した。実施例2において結晶形1について得た対応値と比較したピーク温度及び溶融熱の差は、特に結晶性サンプルの違い(例えば、不純物レベルまたは結晶欠陥の違い)及び/またはこのDSC走査での結晶形1への不完全変換及びその後の結晶形1の溶融中の分解のためとみられる。
【0199】
実施例2に記載されているように実施した熱重量分析を本実施例に記載されているように製造した結晶性K塩の数個のサンプルに対して実施した。結果は、材料(結晶形2)は200℃までの加熱の間約1.6ないし約3.5%の揮発物を失う可変の溶媒和であることを示している。サンプルに対した実施したTG−質量分析及びKF滴定は、結晶形2が水を含有していることを示している。結晶形2中に存在する水のソースは結晶化手順で使用したアセトン及び/または固体KOH中の不純物として存在する水であろう。結晶形2を脱溶媒和温度を超えて加熱し、エージングすると、直ぐに再水和する。XRPD研究から、結晶形2を脱溶媒和温度を超えるが結晶形1への変換の転移温度以下に加熱しても相は未変化であることが判明し、これは結晶形2は同形であり得ることを示している。240℃以上に加熱し、XRPDにより分析した結晶形2のサンプルは結晶形1に部分的に変換されたことが判明した。
【実施例5】
【0200】
化合物Aの結晶形3結晶性カリウム塩
化合物A(1当量)をMeCN(0.05モル)中に含む溶液にKOH(1当量)の標準0.5N水溶液を添加し、混合物を室温で15分間撹拌した。生じた溶液を−78℃浴で冷凍させ、凍結乾燥して、非晶質カリウム塩を得た。次いで、非晶質塩の一部を熱EtOH(0.034M)中に溶解し、数分以内に材料は晶出した。混合物を室温で15分間放置した後、濾過し、乾燥して、結晶性カリウム塩を得た。第1バッチのH NMR(300MHz,d6−DMSO):11.70−11.20(1H,br.s),9.751H,s),7.33(2H,dd,J=8.8,5.8Hz),7.12(2H,t,J=8.8Hz),4.44(2H,d,5.8Hz),3.40(3H,s),2.56(3H,s),1.70(6H,s)。
【0201】
上記したように得た結晶性K塩のXRPDパターンは、Philips Analytical X’Pert Pro X線粉末回折計において約2分間かけて2.5°から40°2θの連続走査(すなわち、5秒/ステップで0.02°ステップサイズ)、2RPSステージ回転及び測角走査軸を用いて作成した。XRPDパターンを図5に示す。2θ値及び対応の格子面間隔は以下のものを含む。
【0202】
【表13】

【0203】
上記したように得たK塩も実施例2に記載されているのと同一の計器及び同一の方法を用いてDSCによって分析した。図6に示すDCS曲線は、約284℃で1つの鋭い吸熱(溶融熱=195.8J/gm)を示した。上記実施例2に記載されている方法で実施した熱重量分析は、200℃までの加熱中0.5重量%の減量を示した。実施例2に記載されているのと同一の方法で得た吸湿性データは、95% RH、25℃で平衡化したとき1%の重量増加を示した。逆に5% RHに戻して平衡化すると、材料はその乾燥重量に戻った。吸湿性研究で使用した後の材料のXRPD分析は、材料が変化した相を持たなかったことを示した。
【実施例6】
【0204】
化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩を含有する錠剤処方
【0205】
【表14】

【0206】
遊離フェノール基準で100mgの化合物Aを含有する圧縮錠剤は、顆粒外ステアリン酸マグネシウムを除いて上記した成分すべてをブレンダー(スイス国バーゼルに所在のTurbula(登録商標)Type T2Fシェーカー−ミキサー)において10分間混合することにより作成した。約1gに秤量した混合した材料の一部をベンチトッププレス(インディァナ州ウォバッシュに所在Carver Inc.製Auto Carver Model Auto “C”,カタログ番号3888)において1×0.5インチの長方形工具を用いて12MPa(4KN)まで圧縮して圧縮物(または、スラッグ)とした。次いで、スラッグを1mm開口を有する篩に通すことにより顆粒にサイジングした。顆粒をTurbulaブレンダーにおいて顆粒外ステアリン酸マグネシウムと5分間混合した後、滑沢化した顆粒を13/32インチの標準凹面丸形工具を有するAuto Carverプレスを用いて錠剤に圧縮した。
【0207】
【表15】

【0208】
上表に記載した組成を有する圧縮錠剤はAに記載したと同様の手順を用いて作成した。
【実施例7】
【0209】
化合物Aの結晶形1結晶性カリウム塩を含有する錠剤処方
【0210】
【表16】

【0211】
遊離フェノール基準で400mgの化合物Aを含有する圧縮錠剤は、ローラー圧縮及び錠剤圧縮プロセスの流れにより作成した。ポロキサマー407、ステアリン酸マグネシウム及びステアリルフマル酸ナトリウムをNo.30及びNo.60メッシュサイズの篩を用いて順次予め篩い分けした後、Patterson−Kelly(PK)V型ブレンダーにおいて顆粒外ステアリン酸マグネシウムを除いた他のすべての成分と5分間混合した。次いで、混合した材料をNo.35スクリーンメッシュを用いて篩い分けして凝集物をばらばらにした後、篩い分けした材料を更に同一のPKブレンダーにおいて約15〜20分間混合した。次いで、ブレンドをFreundタイプTFミニローラー/コンパクターを用いて40Kgf/cmのロール圧、3rpmのロール速度及び10rpmのスクリュー速度でローラー圧縮させた。生じたリボンを丸形羽根車,スクリーンサイズ39R(すなわち、丸孔サイズ0.039インチ;おおよそのメッシュサイズNo.20)を取り付け、1700rpmで操作する小型Quadro Comilにおいて粉砕した。次いで、生じた顆粒をPKブレンダーにおいて0.5% 顆粒外ステアリン酸マグネシウムと混合して、最終ブレンドを得た。次いで、滑沢化した顆粒を平な楕円形工具を有する回転錠剤プレスを用いてKeyモデルHT−300硬度検査計を用いて測定して16〜20キロポンド(すなわち、156.9〜196.1ニュートン)の硬度を得るのに必要な圧縮力で圧縮した。
【0212】
上記した明細書は例示の目的で提示した実施例と共に発明の原理を教示しているが、本発明の実施は請求の範囲内に入る一般的な変更、改変及び/または修飾のすべてを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】実施例2で製造した化合物Aのカリウム塩のX線粉末回折パターンである。
【図2】実施例2で製造した化合物Aのカリウム塩のDSC曲線である。
【図3】実施例4で製造した化合物Aのカリウム塩のX線粉末回折パターンである。
【図4】実施例4で製造した化合物Aのカリウム塩のDSC曲線である。
【図5】実施例5で製造した化合物Aのカリウム塩のX線粉末回折パターンである。
【図6】実施例5で製造した化合物Aのカリウム塩のDSC曲線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

である化合物Aのカリウム塩。
【請求項2】
結晶性カリウム塩である請求項1に記載の化合物Aのカリウム塩。
【請求項3】
無水結晶性カリウム塩である請求項2に記載の化合物Aの結晶性カリウム塩。
【請求項4】
銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが5.9°、20.0°及び20.6°の2θ値を含むことを特徴とする請求項3に記載の化合物Aの無水結晶性カリウム塩。
【請求項5】
更に、窒素下密閉カップにおいて10℃/分の加熱速度で得た示差走査熱量測定曲線が約279℃のピーク温度を有する1つの吸熱を示すことを特徴とする請求項4に記載の化合物Aの無水結晶性カリウム塩。
【請求項6】
銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが5.9°、12.5°、20.0°、20.6°及び25.6°の2θ値を含むことを特徴とする請求項4に記載の化合物Aの無水結晶性カリウム塩。
【請求項7】
更に、窒素下密閉カップにおいて10℃/分の加熱速度で得た示差走査熱量測定曲線が約279℃のピーク温度を有する1つの吸熱を示すことを特徴とする請求項6に記載の化合物Aの無水結晶性カリウム塩。
【請求項8】
モノカリウム塩である請求項4から7のいずれか一項に記載の化合物Aの無水結晶性カリウム塩。
【請求項9】
銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが7.4°、7.8°、12.3°、21.6°及び64.7°の2θ値を含むことを特徴とする請求項3に記載の化合物Aの無水結晶性カリウム塩。
【請求項10】
更に、窒素下密閉カップにおいて10℃/分の加熱速度で得た示差走査熱量測定曲線が約284℃のピーク温度を有する1つの吸熱を示すことを特徴とする請求項9に記載の化合物Aの無水結晶性塩。
【請求項11】
水和結晶性カリウム塩である請求項2に記載の化合物Aの結晶性カリウム塩。
【請求項12】
銅Kα線を用いて得たX線粉末回折パターンが7.9°、13.8°及び24.5°の2θ値を含むことを特徴とする請求項11に記載の化合物Aの水和結晶性カリウム塩。
【請求項13】
銅Kα1線を用いて得たX線粉末回折パターンが7.9°、13.8°、15.7°、24.5°及び31.5°の2θ値を含むことを特徴とする請求項12に記載の化合物Aの水和結晶性カリウム塩。
【請求項14】
更に、窒素下密閉カップにおいて10℃/分の加熱速度で得た示差走査熱量測定曲線が約146℃及び239℃のピーク温度を有する2つのブロードな吸熱及び約276℃のピーク温度を有する第3の鋭い吸熱を示すことを特徴とする請求項12または13に記載の化合物Aの水和結晶性塩。
【請求項15】
有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩及び医薬的に許容され得る担体を混合することにより作成される生成物からなる医薬組成物。
【請求項17】
HIV感染の治療または予防、AIDSの発症の遅延、或いはAIDSの治療または予防を要する被験者に対して有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩を投与することを含む前記被験者におけるHIV感染の治療または予防、AIDSの発症の遅延、或いはAIDSの治療または予防方法。
【請求項18】
HIVインテグラーゼの阻害を要する被験者に対して有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩を投与することを含む前記被験者におけるHIVインテグラーゼの阻害方法。
【請求項19】
HIVインテグラーゼの阻害を要する被験者においてHIVインテグラーゼを阻害するための請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩の使用。
【請求項20】
HIV感染の治療または予防、或いはAIDSの発症の治療、予防または遅延を要する被験者においてHIV感染を治療または予防するため、或いはAIDSの発症を治療、予防または遅延させるための請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩の使用。
【請求項21】
HIVインテグラーゼの阻害を要する被験者においてHIVインテグラーゼを阻害するための薬剤の製造に使用するための請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩。
【請求項22】
HIV感染の治療または予防、或いはAIDSの発症の治療、予防または遅延を要する被験者においてHIV感染を治療または予防するため、或いはAIDSの発症を治療、予防または遅延させるための薬剤の製造に使用するための請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物Aのカリウム塩。
【請求項23】
(A1−1)カリウム塩基の水溶液を化合物A、水及び第1量のアルコールからなる混合物と混合して、化合物Aの塩基性溶液を形成し、及び場合により前記溶液を濾過し、ならびに(A1−2)ステップA1−1で形成した溶液に接種し、及び場合により接種溶液を第2量のアルコールで希釈し、或いは
(B1−1)化合物A及び第1量のハロゲン化アルカン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシド及びアルカンニトリルなる群から選択される有機溶媒からなる混合物に接種し、ならびに(B1−2)ステップB1−1の接種混合物にカリウム塩基の水溶液を添加し、及び
(C1)ステップA1−2またはステップB1−2から生じた接種溶液をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む化合物Aの結晶性カリウム塩の製造方法。
【請求項24】
ステップA1−1またはステップB1−2で使用するカリウム塩基は水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムまたはカリウムアルコキシドを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ステップA1−1またはステップB1−2においてカリウム塩基は化合物Aの当量あたり約0.1ないし約3当量の量で使用する請求項23に記載の方法。
【請求項26】
ステップA1−1及びA1−2、またはステップB1−1及びB1−2はそれぞれ約0ないし約60℃の温度で実施する請求項23に記載の方法。
【請求項27】
ステップA1−1で形成される塩基性溶液は約80:20ないし約20:80のアルコール/水の容量/容量比を有する請求項23に記載の方法。
【請求項28】
接種溶液をステップA1−2で場合により希釈した時、希釈した接種溶液は少なくとも約60:40の溶媒アルコール/水の容量/容量比を有する請求項23に記載の方法。
【請求項29】
ステップB1−2から生じた溶液は少なくとも約70:30の有機溶媒/水の容量/容量比を有する請求項23に記載の方法。
【請求項30】
(A1−1)KOHの水溶液を化合物A、水及び第1量のエタノールからなる混合物と混合して、化合物の塩基性溶液を形成し、場合により前記溶液を濾過し;
(A1−2)ステップA1−1で形成した溶液に接種し、接種溶液を第2量のエタノールで希釈して、希釈した接種溶液を得;
(C1)ステップA1−2の希釈した接種溶液をエージングして、化合物Aの結晶性K塩を得る
ことを含む請求項23に記載の方法。
【請求項31】
ステップA1−1を約20ないし約30℃の温度で実施し;
ステップA1−2を約20ないし約30℃の温度で実施し;
ステップC1を約0ないし約20℃の温度で実施し;
ステップA1−1において塩基性溶液は約70:30ないし約30:70のエタノール/水の容量/容量比を有し;
ステップA1−2において希釈した接種溶液は少なくとも約80:20のエタノール/水の容量/容量比を有し;
種晶を化合物Aの全重量に基づいて約1ないし約5重量%の量で使用し;及び
KOHを化合物Aの当量あたり約0.9ないし約1.1当量の量で使用する;
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
(B1−1)化合物A及びアセトニトリルからなる溶液に接種し;
(B1−2)ステップB1−1で形成した接種溶液にKOHの水溶液を添加し;
(C1)ステップB1−2の溶液をエージングして、化合物Aの結晶性K塩を得る
ことを含む請求項23に記載の方法。
【請求項33】
ステップB1−1を約20ないし約30℃の温度で実施し;
ステップB1−2を約20ないし約30℃の温度で実施し;
ステップC1を約20ないし約30℃の温度で実施し;
ステップB1−2で得た接種溶液は少なくとも約90:10のアセトニトリル/水の容量/容量比を有し;
種晶を化合物Aの全重量に基づいて約1ないし約5重量%の量で使用し;
KOHを化合物Aの当量あたり約0.9ないし約1.1当量で使用する
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
(A2)
(i)化合物A、及び(a)第1量のジアルキルケトン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシド及びアルカンニトリルからなる群から選択される第1溶媒及び(b)第1量のアルコール、アルカン、アルキルカルボン酸のアルキルエステル及び芳香族炭化水素からなる群から選択される第2溶媒からなる供給溶液、及び
(ii)カリウムアルコキシド塩基及び第2量の第2溶媒からなる供給混合物
を第2量の第1溶媒及び第3量の第2溶媒からなる溶媒混合物中でスラリー化した種晶を含む晶析器に添加して結晶化混合物を得、この際前記した供給溶液及び供給混合物の少なくとも実質部分を晶析器に同時に添加し、及び
(B2)ステップA2で得た結晶化混合物をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む化合物Aの結晶性カリウム塩の製造方法。
【請求項35】
ステップA2においてカリウム塩基を化合物Aの当量あたり約0.5ないし約1.1当量の量で使用し;
ステップA2を約0ないし約60℃の温度で実施し;
種晶をステップA2において約1ないし約30重量%の量で使用し;
ステップB2を約0ないし約60℃の温度で実施し;
ステップA2における結晶化混合物は約80:20ないし約20:80の第1溶媒/第2溶媒の最終溶媒容量比を有し;
ステップA2において供給溶液及び供給混合物を添加する前に、結晶スラリーは約80:20ないし約20:80の第1溶媒/第2溶媒の結晶スラリー溶媒容量比を有する
請求項34に記載の方法。
【請求項36】
第1溶媒はアセトン、エチルエーテル、MTBE、THF、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DMF、DMAC、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、DMSO、アセトニトリルまたはプロピオニトリルであり;
第2溶媒はメタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサン、ヘプタン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンまたはエチルベンゼンであり;及び
カリウムアルコキシドはKOMeまたはKOEtである
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
第1溶液及び第2溶液を同時添加している間、これらの溶液をアルコキシド塩基の当量/化合物Aの当量を一定比とする速度で晶析器に添加する請求項35に記載の方法。
【請求項38】
(A2)化合物A、第1量のアセトニトリル及び第1量のエタノールからなる供給溶液及びカリウムエトキシド及び第2量のエタノールからなる溶液である供給混合物を第2量のアセトニトリル及び第3量のエタノールからなる溶媒混合物中でスラリー化した種晶を含む晶析器に添加して結晶化混合物を得、この際前記した第1及び第2溶液の少なくとも実質部分を晶析器に同時に添加し、及び
(B2)ステップA2で得た結晶化混合物をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む請求項34に記載の方法。
【請求項39】
ステップA2においてカリウムエトキシドを化合物Aの当量あたり約0.9ないし約1.1当量の量で使用し;
ステップA2を約20ないし約30℃の温度で実施し;
ステップB2を最初約30ないし約40℃の温度、次いで完了まで約20ないし約30℃で実施し;
種晶を約10ないし約25重量%の量で使用し;及び
ステップA2における結晶化混合物は約80:20ないし約20:80のアセトニトリル/エタノールの最終溶媒容量比を有する
請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステップA2において供給溶液及び供給混合物を添加する前に、結晶スラリーは最終溶媒容量比とほぼ同じアセトニトリル/エタノールの結晶スラリー溶媒容量比を有する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
供給溶液及び供給混合物を同時添加している間、これらの供給物をカリウムエトキシドの当量/化合物Aの当量を一定比とする速度で晶析器に添加する請求項40に記載の方法。
【請求項42】
(A3)(i)化合物A及び第1量のジアルキルケトン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、環状エーテルまたはジエーテル、トリアルキルアミン、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、ジアルキルスルホキシド及びアルカンニトリルからなる群から選択される水溶解性有機溶媒からなる第1溶液及び(ii)KOH及び第1量の水からなる第2溶液を、第2量の有機溶媒及び第2量の水からなる混合物中でスラリー化した種晶を含む晶析器に添加し、この際前記した第1及び第2溶液の少なくとも実質部分を晶析器に同時に添加し、
(B3)ステップAで得た結晶化混合物をエージングして、化合物Aの結晶性カリウム塩を得る
ことを含む化合物Aの結晶性カリウム塩の製造方法。
【請求項43】
化合物A、KOH、アセトン及び少なくとも微量の水からなる溶液を音波処理して、化合物Aの結晶性カリウム塩を得ることを含む化合物Aの結晶形2結晶性カリウム塩の製造方法。
【請求項44】
(A4)化合物Aの結晶形2水和結晶性カリウム塩をアルキルアルコール、ジアルキルケトン及びアルカンニトリルからなる群から選択される溶媒中に含むスラリーを形成し;及び
(B4)スラリーをエージングして、化合物Aの無水結晶形1結晶性カリウム塩を得る
化合物Aの結晶形1無水結晶性カリウム塩の製造方法。
【請求項45】
式Q:
【化2】

の化合物の製造方法であり、
式RXのハロゲン化アルキルを、極性非プロトン性溶媒中、及びマグネシウム塩基及びカルシウム塩基から選択される塩基の存在下で式S:
【化3】

[式中、RはC1−6アルキルであり、RはOC1−6アルキルまたはN(R)R(R及びRは各々独立してHまたはC1−6アルキルである)であり、RはHまたはC1−6アルキルであり、LはC1−6アルキレンであり、Wはアミン保護基であり、及びXはハロゲンである]
の化合物と反応させることを含む方法。
【請求項46】
塩基はMg(R(各Rは独立してHまたは−O−C1−6アルキルである)であるマグネシウム塩基からなる請求項45に記載の方法。
【請求項47】
極性非プロトン性溶媒はハロゲン化アルカン、エーテル、エステル、第3級アミド、N−アルキルピロリドン、スルホキシドまたはニトリルからなる請求項45に記載の方法。
【請求項48】
反応を約−20ないし約100℃の温度で実施する請求項45に記載の方法。
【請求項49】
式RXのハロゲン化アルキルを化合物Sの当量あたり約0.5ないし約20当量の量で使用する請求項45に記載の方法。
【請求項50】
塩基を化合物Sの当量あたり約0.5ないし約10当量の量で使用する請求項45に記載の方法。
【請求項51】
Wを
(1)−CH−フェニル(フェニルは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1ないし3個の置換基で置換されている)、
(2)−C(=O)−C1−4アルキル、
(3)−C(=O)−CF
(4)−C(=O)−CCl
(5)−C(=O)−CH−フェニル(フェニルは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1ないし3個の置換基で置換されている)、
(6)−C(=O)−O−C1−4アルキル、
(7)−C(=O)−O−CH−CH=CH、及び
(8)−C(=O)−O−CH−フェニル(フェニルは場合により各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1ないし3個の置換基で置換されている)
からなる群から選択する請求項45に記載の方法。
【請求項52】
式Qの化合物は式Q−A:
【化4】

の化合物であり、式Sの化合物は式S−A:
【化5】

の化合物であり、ハロゲン化アルキルはハロゲン化メチルであり、及び塩基はマグネシウム塩基である請求項45に記載の方法。
【請求項53】
ハロゲン化メチルはCHIであり;
マグネシウム塩基はMg(OCHであり;
極性非プロトン性溶媒はDMF、DMAC、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンまたはDMSOであり;
反応を約0ないし約100℃の温度で実施し;
ハロゲン化メチルを化合物S−Aの当量あたり約1ないし約5当量の量で使用し;
マグネシウム塩基を化合物S−Aの当量あたり約1ないし約5当量の量で使用する
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
式S−Aの化合物は化合物
【化6】

であり、及び式Q−Aの化合物は化合物
【化7】

である請求項53に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−521933(P2008−521933A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544570(P2007−544570)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/043781
【国際公開番号】WO2006/060730
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】