説明

HIV感染患者における抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の治療のためのオメガ−3脂肪酸の利用

本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における、抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の、循環リポタンパク質の非HDL画分の制限による治療を目的とした医薬品の調製のための、オメガ−3脂肪酸、又はオメガ−3脂肪酸の海洋源及び/もしくは植物源の利用、ならびに、同時に、別々に、又は一定時間にわたって利用するための、少なくとも一つのオメガ−3脂肪酸及び少なくとも一つの抗レトロウイルス剤を含む複合物質を目的としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の治療のための、オメガ−3脂肪酸の利用に関するものである。
【0002】
本発明はまた、HIV感染患者における抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の治療のための、同時に、別々に、又は一定時間にわたって利用するための複合物質としての、少なくとも一つのオメガ−3脂肪酸及び少なくとも一つの抗レトロウイルス剤を含む物質にも関するものである。
【背景技術】
【0003】
今日、抗レトロウイルス治療はHIV感染患者における死亡率を著しく減少させることが可能であるが、抗レトロウイルス治療は、HIV感染患者においてさまざまな代謝障害、特に、高脂血症、とりわけ高コレステロール血症といった脂質代謝障害を誘発することがきわめて多い。
【0004】
この二次性高脂血症は、抗レトロウイルス治療の際に利用される抗プロテアーゼによって誘発される肝臓の活性化に起因すると考えられる。
【0005】
脂質代謝障害は、長期化した場合に重大な心血管系の合併症をひき起こす可能性がある。かくして、脂質代謝障害は、それらが制御されない場合、抗レトロウイルス治療を受けている患者の寿命を大幅に短縮させる可能性がある。
【0006】
高脂血症の診断は、特に血漿総コレステロール(TC)の測定及び血漿総トリグリセリド(TG)の測定を含む、血中脂質検査に基づいている。
【0007】
コレステロール及びトリグリセリドは、そのままの状態で血漿中を輸送されるわけではない。非常に疎水性の高いこれらの物質は、その可溶化を可能にする専門の輸送系を必要とする。
【0008】
トリグリセリドに富むリポタンパク質(TRL)は、肝臓又は腸に由来する。これらのリポタンパク質は、トリグリセリドと同時にコレステロール(遊離又はエステル化)を有する。リポタンパク質リパーゼ及び肝性リパーゼの作用下でのトリグリセリドの漸進的な損失は、より小さく、かつ、より密度の高い、コレステロールに比較的富むリポタンパク質(「中間密度リポタンパク質」を略してIDL、そして、「低密度リポタンパク質」を略してLDL)の形成を導く。
【0009】
遊離コレステロールと会合した、これらのTRLのリン脂質−タンパク質外被の断片は、離脱して、高密度粒子すなわちHDL(高密度リポタンパク質)を生み出す。
【0010】
かくして、TRLの代謝による変転の結果、当然、LDL及びHDLの血漿中におけるLDL及びHDLの存在量が増大する。生理学的条件においては、これらのリポタンパク質粒子の取込みは、コレステロールに富む二つのクラス(LDL及びHDL)の安定したレベルの維持を可能にする。
【0011】
VLDL((超低密度リポタンパク質)、肝臓由来のTRL)が余剰である場合、リポタンパク質リパーゼによる急速な変換により、コレステロールに富むこれらの画分、LDL及びHDLが、少なくとも過渡的に増大する。HDL−コレステロールレベルと血漿トリグリセリドレベルとの間の逆相関が、何年も前から実証されてきた。
【0012】
LDL量を減少させることが、長い間、高コレステロール血症に対する治療の主たる目的であった。しかしながら、その他のリポタンパク質も心血管疾患の発生において重要な役割を果たすと思われる。
【0013】
近年の研究により、(LDL、IDL及びVLDLを含む)循環リポタンパク質の非HDL画分が、例えば心筋梗塞、又はアテローム性動脈硬化症といった、一部の心血管疾患の主要なリスク因子であることが示された。
【0014】
オメガ−3脂肪酸は、充分に実証されたトリグリセリド低下特性を有する。この効果の作用メカニズムは、BrownとGoldsteinのチームの研究作業により一部明らかにされた。この物質は、ステロール及び脂肪酸の肝臓での合成に関与する遺伝子の発現を調節する。
【0015】
血漿中の循環脂質の輸送系を考えると、他のパラメータを変化させることなく根本的な構成成分(トリグリセリド、コレステロール、リン脂質など)の一つを変化させることは不可能である。
【0016】
トリグリセリドに対するオメガ−3脂肪酸の効果は充分に立証されているものの、循環コレステロールの代謝に対するこの物質の有益な効果は今までのところ全く証明されていない。一般的な高脂血症の集団において、多くの場合、特に短期治療の際に、オメガ−3脂肪酸はコレステロール、特にアテローム発生性のLDLに結びつくその画分を増大させる傾向をもつ。
【0017】
予期せぬことに、出願人は、HIVに感染し抗レトロウイルス治療を受けている患者にオメガ−3脂肪酸を投与すると、患者の血漿コレステロールレベルを維持するか、又は、その増大を制限することができるということを発見した。より詳細には、オメガ−3脂肪酸の投与により、循環リポタンパク質の非HDL画分を維持、又は制限することができる。
【0018】
かくして、抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染患者において、特に、食餌療法、運動、又は抗レトロウイルス治療の変更がコレステロール代謝に対して有益な効果をもたないことが判明した場合に、この抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症を予防又は治療するために、オメガ−3脂肪酸を利用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の、循環リポタンパク質の非HDL画分の制限による治療を目的とした医薬品の調製のための、オメガ−3脂肪酸、又はオメガ−3脂肪酸の海洋源及び/もしくは植物源の利用を目的としている。
【0020】
抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の治療というのは、この高コレステロール血症の予防処置、又は治療処置を意味する。
【0021】
高コレステロール血症の予防処置というのは、高コレステロール血症の発現を予防すること、すなわち、血漿総コレステロール量を約2g/l以下の量に維持することを目的とする処置を意味している。
【0022】
高コレステロール血症の治療処置というのは、血漿総コレステロール量を約2g/l以下の量に低減させることを目的とする処置を意味する。
【0023】
本発明は、特に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の予防処置を目的とした医薬品の調製を目的としている。
【0024】
オメガ−3脂肪酸は、分子のメチル末端から三つ目の炭素原子にある二重結合を有する多価不飽和脂肪酸である。オメガ−3脂肪酸は、3系エイコサノイド及び不飽和度の高い脂肪酸の生成に関与する。これらの物質は、細胞膜レベルで中心的役割を果たし、生体の数多くの生化学的プロセス、すなわち、血圧の調節、血管の弾性、免疫反応及び抗炎症反応、血小板の凝集などに介入する。
【0025】
このファミリーの中で、唯一アルファリノレン酸(ALA)のみが「必須」といわれる。実際、その他のオメガ−3脂肪酸は体内でALAから作られることができる。これは、アマの実及びその油、アサの実及びその油、ならびにカノーラ油及びダイズ油の中に特に存在する。
【0026】
エイコサペンタエン酸(EPA)はALAから合成される脂肪酸であるが、これはまた、一部の食品、特に一部の脂肪分の多い魚から直接取り出すことができる。EPAは、なかでも動脈及び心臓の保護に寄与し、抗炎症及び抗アレルギー効果をもつ3系エイコサノイドに変換される。
【0027】
ドコサヘキサエン酸(DHA)は、オメガ−3の変換によるもう一つの誘導体である。これは同様に、海洋産物、特に一部の脂肪分の多い魚の中に存在する。これは、脳及び網膜の発達、ならびに精子の運動機能の形成において必須の役割を果たす。
【0028】
本発明の枠内では、オメガ−3脂肪酸は、有利には、アルファリノール酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、及びステアリドン酸、ならびにそれらの混合物の中から選択される。
【0029】
オメガ−3脂肪酸の植物源は、有利には、アマの油及び実、アサの油及び実、カボチャの油及び実、ダイズ油、カノーラ油、ならびに/又はカシス種子の油の中から選択される。
【0030】
オメガ−3脂肪酸の海洋源は、有利には、サバ、サケ、ニシン、イワシ、マグロ、又はマスといったような魚の肉から抽出した油、クリル油、ならびに/又はアザラシ油の中から選択される。
【0031】
オメガ−3脂肪酸、又はその海洋源及び/もしくは植物源は、経口で、特に栄養補助食品として投与するか、又は非経口投与(注射による)することができる。
【0032】
有利には、患者によるオメガ−3脂肪酸の摂取は、血漿コレステロール量を低減させる目的の食餌療法又は運動と組み合わされる。
【0033】
好ましくは魚肉の天然油、例えばオメガ−3脂肪酸が30%のものが利用され、それには、油1g中に180mgのEPA及び120mgのDHAを含有する経口投与のためのカプセルの形状の、フランスでMAXEPA(登録商標)という名称で市販されている油などがある。
【0034】
本発明の枠内では、抗レトロウイルス治療というのは、逆転写酵素阻害剤(RTI)及び/又はアンチプロテアーゼ(AP)を利用する、HIV感染に対する治療を意味する。
【0035】
RTIは、ウイルス酵素である逆転写酵素の作用を妨げ、かくして宿主細胞のDNAに寄生するウイルスDNAへのウイルスRNAの転写を妨害するために、細胞内に干渉する。
【0036】
APは、感染した細胞が作り出す新しいウイルスの成熟を可能にするウイルス酵素であるプロテアーゼの活性を攻撃することにより、HIV増殖のもう一つの段階に作用する。(RT阻害剤よりも最高で1000倍も強力である)アンチプロテアーゼの作用により、細胞は、新しい細胞を感染させる能力をもたない未成熟なビリオンを産生する。
【0037】
本発明に従った抗レトロウイルス治療は、場合によっては単数又は複数のアンチプロテアーゼ(AP)と会合した状態で、単数又は複数の逆転写酵素阻害剤(RTI)を利用することができる。
【0038】
かくして、本発明に従った抗レトロウイルス治療は、二剤併用療法、つまり二つのRTIが会合したものを利用すること、又は三剤併用療法、つまり二つのRTIに一つのAPが会合したものを利用すること、またさらには、抗レトロウイルスの多剤併用療法、つまり単数又は複数のRTIと単数又は複数のAPが会合したもの、従来では4つの物質が会合したものであることができる。
【0039】
有利には、オメガ−3脂肪酸は、1〜3g/日、好ましくは約2g/日の割合で投与される。
【0040】
本発明に従ったオメガ−3脂肪酸の利用は、抗レトロウイルス治療を受け、かつ、この抗レトロウイルス治療がひき起こす顕著な高トリグリセリド血症を伴う高脂血症を患っているHIV感染患者において特に有効であることが判明している。
【0041】
本発明はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス治療が引き起こす高コレステロール血症の、循環リポタンパク質の非HDL画分の制限による治療のため、同時に、別々に、又は一定時間にわたって利用するための複合物質として、少なくとも一つのオメガ−3脂肪酸、又はオメガ−3脂肪酸の海洋源及び/もしくは植物源、ならびに少なくとも一つの抗レトロウイルス剤を含む物質も目的としている。
【0042】
有利には、オメガ−3脂肪酸は、アルファリノール酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、及びステアリドン酸、ならびにそれらの混合物の中から選択される。
【0043】
有利には、オメガ−3脂肪酸の植物源は、アマの油及び実、アサの油及び実、カボチャの油及び実、ダイズ油、カノーラ油、ならびに/又はカシス種子の油の中から選択される。
【0044】
有利には、オメガ−3脂肪酸の海洋源は、サバ、サケ、ニシン、イワシ、マグロ、又はマスといったような魚の肉から抽出した油、クリル油、ならびに/又はアザラシ油の中から選択される。
【0045】
本発明に従うと、抗レトロウイルス剤は、特に、逆転写酵素阻害剤(RTI)及びアンチプロテアーゼ(AP)、ならびにこれらの組合せの中から選択される。
【0046】
RTIは、ジドブジン、ディダノシン、ザルシタビン、ラミドゥビン(lamiduvine)、ネビパリン(neviparine)、デラビルジン、及びエファビレンツ、ならびにこれらの組合せの中から選択されることができ、APは、リトナビル、インジナビル、サキナビル、及びスルフィナビル(sulfinavir)、ならびにこれらの組合せの中から選択されることができる。
【0047】
前述の通り、本発明に従った複合物質中に含まれるオメガ−3脂肪酸、又はその動物源及び/もしくは植物源、ならびに抗レトロウイルス剤は、同時に、別々に、又は一定時間にわたって用いることができる。
【0048】
同時にというのは、同時投与を意味する。この場合、これら二つの必須成分は投与の前に混合されてもよいし、又は同時に投与されてもよい。また、これらを別々に、つまり、本発明に従った複合物質の成分のいずれが先に投与されるかに関わらず、順に投与することも可能である。最後に、一定時間にわたる投与方法、つまり、規則的又は不規則的な間隔で中断したり再開したりする間欠的な投与方法を利用することもできる。二つの成分の投与の経路及び部位は異なっていてもよい。
【0049】
前述の通り、オメガ−3脂肪酸、又はその動物源及び/もしくは植物源は、一般に経口で、特に栄養補助食品として投与されるか、又は非経口で投与される。
【0050】
好ましくは、複合物質中には、魚の天然油、例えばオメガ−3脂肪酸が30%のものが利用され、それには、フランスでMAXEPA(登録商標)という名称で市販されているものなどがある。
【0051】
抗レトロウイルス剤は、一般に経口投与される。
【0052】
好ましくは、オメガ−3脂肪酸は、高コレステロール血症の治療を目的とする場合には抗レトロウイルス治療の開始時に投与され、また、高コレステロール血症の予防を目的とする場合には抗レトロウイルス治療の開始前に投与される。
【0053】
有利には、本発明に従った複合物質は、オメガ−3脂肪酸の有効な一日量、好ましくは1〜3gのオメガ−3脂肪酸を含有する。複合物質中に含まれるオメガ−3脂肪酸の量は、さまざまなパラメータ、例えば、治療すべき個体、又は処置の性質、つまりその処置が予防であるか治療であるかによって異なる。
【0054】
抗レトロウイルス剤については、適切な量は、HIV感染の治療において通常利用されている量である。
【0055】
本発明は、以下の実施例により例示される。
【実施例】
【0056】
A) オメガ−3脂肪酸に富む食餌を与えたマウスモデルで実施した研究作業で、以下のことが示された。
− 高密度リポタンパク質(HDL)の代謝回転の加速、
− 生体の末梢細胞からのコレステロール流出の増大、
− 肝臓レベルでHDLの取込みに関与するSR−B1受容体の発現の増大、
− コレステロールの分解に関与する7−ヒドロキシラーゼ及びステロール15α−ヒドロキシラーゼの発現を調節する遺伝子の発現の増大、
− 処置対象動物において倍増した、ステロールの糞便中排泄の増大。
【0057】
これらの要素の全体は、処置対象動物の生体のコレステロールの枯渇を導き、オメガ−3脂肪酸の抗アテローム性に関与する。
【0058】
B) 抗レトロウイルスの多剤併用療法で治療され、かつ顕著な高トリグリセリド血症を患っているHIVキャリア患者における臨床研究を実施することにより、オメガ−3脂肪酸による循環コレステロールレベルに対する調節プロセスの実態が明らかになり、処置対象群はそのコレステロールレベルを維持していたが、一方プラセボ群は、試験全体を通して続行した食餌療法にもかかわらず数値が増大した。
【0059】
HIV感染のキャリアであり、かつ抗レトロウイルスの多重療法で治療され、顕著な高トリグリセリド血症を伴う高脂血症を有する患者において、オメガ−3脂肪酸(EPA及びDHA)が30%に濃縮された油6グラムを毎日摂取させることで、処置の8週間後にトリグリセリド血症の総量が減少し、プラセボに比べてコレステロールレベルが安定化した。このコレステロールレベルの安定化は、有効成分により処置した群においてこの研究の間にHDL−コレステロールがわずかに増大したことが証明しているように、循環リポタンパク質の非HDL画分に関係するものである。
【0060】
かくして、オメガ−3脂肪酸は、HIV感染のキャリアであり、かつ、抗レトロウイルス抗レトロウイルスの多剤併用療法で治療され、顕著な高トリグリセリド血症を伴う高脂血症を有する患者という特定の枠内で、血漿コレステロールの代謝にプラスの影響を及ぼす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の、循環リポタンパク質の非HDL画分の制限による治療を目的とした医薬品の調製のための、オメガ−3脂肪酸、又はオメガ−3脂肪酸の海洋源及び/もしくは植物源の利用方法。
【請求項2】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス治療がひき起こす高コレステロール血症の予防処置を目的とした医薬品の調製のための、請求項1に記載の利用方法。
【請求項3】
オメガ−3脂肪酸が、アルファリノール酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、及びステアリドン酸、ならびにこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の利用方法。
【請求項4】
オメガ−3脂肪酸の植物源が、アマの油及び実、アサの油及び実、カボチャの油及び実、ダイズ油、カノーラ油、ならびに/又はカシス種子の油の中から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の利用方法。
【請求項5】
オメガ−3脂肪酸の海洋源が、サバ、サケ、ニシン、イワシ、マグロ、もしくはマスといったような魚の肉から抽出した油、クリル油、ならびに/又はアザラシ油の中から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の利用方法。
【請求項6】
HIV感染患者が、抗レトロウイルス治療を受け、かつ、この抗レトロウイルス治療がひき起こす顕著な高トリグリセミド血症を伴う高脂血症を患っていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の利用方法。
【請求項7】
抗レトロウイルス治療が、抗レトロウイルスの二剤併用療法、三剤併用療法、又は多剤併用療法であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の利用方法。
【請求項8】
抗レトロウイルス治療が、場合によっては単数又は複数の抗プロテアーゼ(AP)と会合した状態で、単数又は複数の逆転写酵素阻害剤(RTI)を利用することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の利用方法。
【請求項9】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者における抗レトロウイルス治療が引き起こす高コレステロール血症の、循環リポタンパク質の非HDL画分の制限による治療のため、同時に、別々に、又は一定時間にわたって利用するための複合物質としての、少なくとも一つのオメガ−3脂肪酸、又はオメガ−3脂肪酸の海洋源及び/もしくは植物源、ならびに少なくとも一つの抗レトロウイルス剤を含む物質。
【請求項10】
脂肪酸が、アルファリノール酸(ALA)、エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)、及びステアリドン酸、ならびにこれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の物質。
【請求項11】
オメガ−3脂肪酸の植物源が、アマの油及び実、アサの油及び実、カボチャの油及び実、ダイズ油、カノーラ油、ならびに/又はカシス種子の油の中から選択されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の物質。
【請求項12】
オメガ−3脂肪酸の海洋源が、サバ、サケ、ニシン、イワシ、マグロ、もしくはマスといったような魚の肉から抽出した油、クリル油、ならびに/又はアザラシ油の中から選択されることを特徴とする、請求項9又は10に記載の物質。
【請求項13】
抗レトロウイルス剤が、逆転写酵素阻害剤(RTI)、及び、抗プロテアーゼ(AP)、ならびにこれらの組合せの中から選択されることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一つに記載の物質。
【請求項14】
逆転写酵素阻害剤が、ジドブジン、ディダノシン、ザルシタビン、ラミドゥビン(lamiduvine)、ネビパリン(neviparine)、デラビルジン、及びエファビレンツ、ならびにこれらの組合せの中から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の物質。
【請求項15】
抗プロテアーゼが、リトナビル、インジナビル、サキナビル、及びスルフィナビル(sulfinavir)、ならびにこれらの組合せの中から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の物質。

【公表番号】特表2008−521863(P2008−521863A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543861(P2007−543861)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056431
【国際公開番号】WO2006/058920
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(506331240)
【氏名又は名称原語表記】PIERRE FABRE MEDICAMENT
【Fターム(参考)】