説明

ICカード作製キット及びICカード作製システム

【課題】 誤りが少なく、また、誤った場合でもすぐに作り直すことができるICカード作製キットを提供すること。
【解決手段】 シート状の紙により形成されたシール部材110に、同じ大きさ・形状の第一の領域112と第二の領域113とを形成し、この第一の領域112にICインレット120を貼り付け、これらの領域の境界に容易に折り曲げることができるミシン目115を形成しておくことで、このミシン目115に沿って第一の領域112と第二の領域113の間にICインレット120を挟み込むようにこれらを貼り合わせることで、容易にICカードを作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行うICインレットに貼り付けるシール部材、このようなシール部材を用いたICカード作製キット及びこのようなシール部材を用いたICカード作製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アンテナ部とICチップとをフィルム内に内蔵したICインレットを用いて、外部のリーダ・ライタからの電磁波を介して電力を得ることで、ICチップを外部のリーダ・ライタに直接接触させることなく、電磁波を介してデータの送受信を行うことができる非接触式のデータ管理システムが使用されている。
【0003】
このような非接触式のデータ管理システムでは、例えば、アンテナ部とICチップとをフィルム内に内蔵したICインレットに個人情報等を印刷したラベルを貼り付けた社員証等のカードが使用されている。
【0004】
そして、このようなカードは、位置合わせされてコンベア上を進んでくるICインレットに、例えば、図5に表されているような一枚のシート500に複数のラベル501が印刷されたものを貼り合わせることにより製造されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−276371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のように、位置合わせされてコンベア上を進んでくるICインレットに、一枚のシートに複数のラベルが印刷されたものを貼り合わせる場合には、ラベルの表面に印刷されている情報とICインレットのICチップのメモリに記憶されている情報とが錯誤により異なってしまう場合があり、このような場合には、一度に貼り合わされた複数のラベルが全て間違っていることが多く、これを訂正するのには大変な時間と労力がかかっていた。
【0006】
そこで、本発明は、誤りが少なく、また、誤った場合でもすぐに作り直すことができるICカード作製キット及びICカード作製システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、一方の面を表示面とし、他方の面を接着面とするシート状のシール部材であって、前記シール部材は、第一の領域と、前記第一の領域に隣接し、かつ、前記第一の領域と同じ形状及び大きさの第二の領域と、を備え、前記第一の領域と前記第二の領域との間の境界線には、折り目が形成されているシール部材と、電磁波を受信するアンテナ部と、前記アンテナ部に接続され、電磁波を介してデータの送受信を行うICチップと、を備え、前記第一の領域又は前記第二の領域の何れか一方に形成されたICインレットと、を有し、前記第一の領域又は前記第二の領域のいずれか他方には接着剤が塗布されており、前記第一の領域と前記第二の領域の接着面同士が重なり合う方向に前記折り目を折り曲げることにより、前記ICインレットを前記第一の領域と前記第二の領域との間に挟み込むことができるようにしたことを特徴とするICカード作製キットを提供する。
【0008】
このようなICカード作製キットを提供することで、一つのシール部材に一つの情報を印刷し、また、ICインレットのICチップに情報を記憶させて、これらを貼り合わせることにより、容易にカードを作製することができるほか、これらの情報が一致していることを確認してからこれらを貼り合わせることで、これらの情報が異なる情報となってしまうことを防止することができ、また、これらの情報が異なってしまってもすぐに作り直すことができるようになる。
【0009】
ここで、シール部材に形成する折り目は、ミシン目とすることも可能であり、また、表示面から接着面に向かって所定の深さにまで到達する切り込みとすることも可能である。
【0010】
また、本発明は、クライアントコンピュータと、前記クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続されたサーバーコンピュータと、からなるICカード作製システムであって、前記クライアントコンピュータにおいて入力された所定の個人情報を、前記コンピュータネットワークを介して、前記サーバーコンピュータに送信し、前記サーバーコンピュータは、受信した前記個人情報に基づいてシール部材の所定の領域に所定の前記個人情報を印刷するとともに、ICインレットのメモリ領域に前記個人情報を記憶するものであり、前記シール部材は、一方の面を表示面とし、他方の面を接着面とするシート状に形成され、前記シール部材は、第一の領域と、前記第一の領域に隣接し、かつ、前記第一の領域と同じ形状及び大きさの第二の領域と、を備え、前記第一の領域と前記第二の領域との間の境界線には、折り目が形成されたものであって、前記ICインレットは、電磁波を受信するアンテナ部と、前記アンテナ部に接続され、電磁波を介してデータの送受信を行うICチップと、を備え、前記シール部材の前記大地の領域又は前記第二の領域の何れか一方に形成されたものであり、前記第一の領域又は前記第二の領域のいずれか他方には接着剤が塗布されており、前記第一の領域と前記第二の領域の接着面同士が重なり合う方向に前記折り目を折り曲げることにより、前記ICインレットを前記第一の領域と前記第二の領域との間に挟み込むことでICカードを作成することができるようにしたことを特徴とするICカード作製システムを提供する。
【0011】
このようなICカード作製システムを提供することにより、コンピュータネットワークを介して容易かつ個別にICカードを作製することができるほか、これらの情報が一致していることを確認してからこれらを貼り合わせることで、これらの情報が異なる情報となってしまうことを防止することができ、また、これらの情報が異なってしまってもすぐに作り直すことができるようになる。
【0012】
ここで、シール部材に形成する折り目は、ミシン目とすることも可能であり、また、表示面から接着面に向かって所定の深さにまで到達する切り込みとすることも可能である。
【0013】
なお、ICカードの表示面に印刷し、また、ICカードのメモリ領域に記憶する個人情報としては、氏名と、個人の写真画像と、会社名と、会社の郵便番号と、会社の住所と、会社の電話番号と、会社のファックス番号と、社員番号と、所属部署と、配属年月日と、が含まれていることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、一枚のシート毎に情報を印刷して貼り合わせるようにすることで、誤りが少なく、また、誤った場合でもすぐに作り直すことができるICカード作製キットを提供することができる。
【0015】
また、本発明におけるICカード作製システムによれば、インターネット等のコンピュータネットワークを介して、容易にICカードを作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の第一の実施形態に係るICカード作製キット100の正面図である。
【0017】
本実施形態に係るICカード作製キット100は、シール部材110と、ICインレット120と、により構成されている。
【0018】
シール部材110は、シート状の紙により形成されており、図1に表されたシール部材110表面は、印刷を施す表示面111aにされており、図1に表されたシール部材110の裏面は、接着剤が塗布された接着面111bにされている。
【0019】
なお、シール部材110の裏面にあるため図示していないが、シール部材110の接着面111bには、この接着面111bから容易に取り外すことができる剥離紙が貼り付けられている。
【0020】
シール部材110には、第一の領域112と、第二の領域113と、余白領域114と、が形成されている。
【0021】
ここで、第一の領域112と第二の領域113とは隣接しており、第一の領域112及び第二の領域113は、余白領域114から切断されており、この余白領域114から切り離すことができるようにされている。
【0022】
また、第一の領域112と第二の領域113とは、同じ大きさ・形状の矩形状に形成されており、これらの間の境界線には、ミシン目115が形成されているため、このミシン目115に沿って折り返すことにより、第一の領域112と第二の領域113とは重ね合わせることができるようにされている。
【0023】
シール部材110の第一の領域112の接着面111bには、電磁波を受信するアンテナ部121と、このアンテナ部121に接続されており、電磁波を介してデータの送受信を行うICチップ122と、をフィルム123内に備えるICインレット120が貼付されている。
【0024】
以上のように本実施形態に係るICカード作製キット100を構成したので、図2(ICカード作製キット100の使用例を表す斜視図)に表されているように、電磁波を受信するアンテナ部121と、このアンテナ部121に接続されており、シート部材110を接着面111b同士が重なり合う方向にミシン目115を折り曲げることにより、ICインレット120をその内部に貼り付けることがで、容易にICインレット120を内包するICカードを作製することができる。
【0025】
なお、第一の領域112及び第二の領域113の形状・大きさについては、これらの内側に挟み込むICインレット120の大きさ・形状に合わせて適宜変更することができる設計事項である。
【0026】
また、本実施形態においては、シール部材110を紙により形成したが、このような紙を使用する代わりにシート状の樹脂フィルムを使用することも可能である。
【0027】
なお、以上のようにして作製されたICカードについては、表面にラミネート加工を施すことにより汚れや水に強くなる。
【0028】
図3は、本発明の第二の実施形態に係るICカード作製キット200の正面図である。
【0029】
本実施形態に係るICカード作製キット200は、シール部材210と、ICインレット120と、により形成されている。
【0030】
本実施形態に係るシール部材210は、第一の実施形態と同様に、シート状の紙により形成されており、図3に表されたシール部材210の表面は、印刷を施す表示面211aにされており、その裏面は、接着剤が塗布された接着面211bにされている。
【0031】
なお、第一の実施形態と同様に、シール部材210の裏面にあるため図示していないが、シール部材210の接着面211bには、この接着面211bから容易に取り外すことができる剥離紙が取り付けられている。
【0032】
また、本実施形態に係るシール部材210には、第一の領域212と、第二の領域213と、が形成されており、第一の実施形態とは異なり、余白領域は設けられていない。
【0033】
第一の実施形態と同様に、第一の領域212と第二の領域213とは隣接している。
【0034】
また、第一の領域212と第二の領域213とは、同じ大きさ・形状の矩形状に形成されており、これらの間の境界線には、第一の実施形態とは異なり、表示面211aから接着面211bに向かって所定の深さまで切り込まれた切り込み線216が形成されているため、この切り込み線216に沿って折り返すことにより、第一の領域212と第二の領域213とは重ね合わせることができるようにされている。
【0035】
なお、表示面211aから接着面211bに向かってどの程度の深さにまで切り込みを入れるかは、この切り込み線216の部分で容易に折り返すことができる範囲で適宜変更することができる設計事項である。
【0036】
また、ICインレット120は、樹脂製のフィルム123内に、電磁波を受信するアンテナ部121と、このアンテナ部121に接続されており、電磁波を介してデータの送受信を行うICチップ122と、を備えている。
【0037】
そして、このICインレット120は、シール部材210の第一の領域212の接着面211bに貼付されている。
【0038】
以上のように本実施形態に係るICカード作製キット200を構成したので、第一の実施形態と同様に、第一の領域212と第二の領域213とをICインレット120が貼着されている方向に切り込み線216で折り曲げることにより、このICインレット120を内包するICカードを容易に作製することができる。
【0039】
なお、第一の実施形態と同様に、第一の領域212及び第二の領域213の形状・大きさについては、これらの内側に挟み込むICインレット120の大きさ・形状に合わせて適宜変更することができる設計事項である。
【0040】
また、本実施形態においては、シール部材210を紙により形成したが、このような紙を使用する代わりにシート状の樹脂フィルムを使用することも可能である。
【0041】
図4は、本発明の第三の実施形態に係るICカード作製システム300の概略構成図である。
【0042】
本実施形態に係るICカード作製システム300は、クライアントコンピュータ331と、クライアントコンピュータ331にインターネット332を介して接続されたサーバーコンピュータ333と、により構成されている。
【0043】
クライアントコンピュータ331は、インターネット332を介してサーバーコンピュータ333と相互に通信可能なウェブブラウザを実行可能なものであればよく、例えば、パーソナルコンピュータ、インターネット通信機能付き携帯電話、インターネット通信機能付きPDA(Personal Digital Assistant)等を使用することができる。
【0044】
サーバーコンピュータ333は、CPU(Central Processing Unit)334と、メインメモリ335と、補助メモリ336と、プリンター337と、リーダ・ライタ338と、を備えている。
【0045】
サーバーコンピュータ104の補助メモリ107には、ウェブサイトデータ記憶領域が設けられており、クライアントコンピュータ331からの接続要求に応じて、ウェブサイトデータ記憶領域に記憶されているウェブサイトデータをクライアントコンピュータ331に送信し、クライアントコンピュータ331はウェブブラウザを介して、このウェブサイトデータを開くことができるようにされている。
【0046】
そして、クライアントコンピュータ331は、ウェブブラウザで開かれたウェブサイトにおいて、氏名と、個人の写真画像と、会社名と、会社の郵便番号と、会社の住所と、会社の電話番号と、会社のファックス番号と、社員番号と、所属部署と、配属年月日と、からなる個人情報を入力し、サーバーコンピュータ333に送信する。
【0047】
クライアントコンピュータ331から個人情報が送信されたサーバーコンピュータ333は、個人情報を補助メモリ336に記憶するとともに、メインメモリ335に呼び出し、CPU334により予め定められたフォントサイズや画像サイズに個人情報を変換し、図1に表されているシール部材110の第一の領域112及び第二の領域113の予め定められた箇所にプリンター337で印刷を行う。
【0048】
なお、シール部材110への印刷様式については、個人情報の種類に応じて適宜変更することができる設計事項である。
【0049】
また、CPU334は、メインメモリ335に呼び出した個人情報を図2に表されているICインレット120の記憶領域にリーダ・ライタ338を介して記憶させる。
【0050】
このようにして作製されたシール部材110とICインレット120は、シール部材110の第一の領域112又は第二の領域113の何れか一方に貼着された状態で、ICカード作製キットとして個人情報の送信先に郵送等により送られる。
【0051】
そして、送信先では、シール部材110に印刷されている情報とICインレット120に記憶されている情報とが一致していることを確認した上で、これらを貼り合わせることで、ICカードを容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第一の実施形態に係るシール部材110の正面図。
【図2】シール部材110の使用例を表す斜視図。
【図3】第二の実施形態に係るICカード作製キット200。
【図4】第三の実施形態に係るICカード作製システム300の概略構成図。
【図5】従来使用されていたシート500の正面図。
【符号の説明】
【0053】
100、200 ICカード作製キット
110、210 シール部材
112、212 第一の領域
113、213 第二の領域
115 ミシン目
120 ICインレット
121 アンテナ部
122 ICチップ
123 フィルム
216 切り込み線
300 ICカード作製システム
331 クライアントコンピュータ
332 インターネット
333 サーバーコンピュータ
337 プリンター
338 リーダ・ライタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面を表示面とし、他方の面を接着面とするシート状のシール部材であって、
前記シール部材は、第一の領域と、前記第一の領域に隣接し、かつ、前記第一の領域と同じ形状及び大きさの第二の領域と、を備え、
前記第一の領域と前記第二の領域との間の境界線には、折り目が形成されているシール部材と、
電磁波を受信するアンテナ部と、前記アンテナ部に接続され、電磁波を介してデータの送受信を行うICチップと、を備え、前記第一の領域又は前記第二の領域の何れか一方に形成されたICインレットと、
を有し、
前記第一の領域又は前記第二の領域のいずれか他方には接着剤が塗布されており、前記第一の領域と前記第二の領域の接着面同士が重なり合う方向に前記折り目を折り曲げることにより、前記ICインレットを前記第一の領域と前記第二の領域との間に挟み込むことができるようにしたことを特徴とするICカード作製キット。
【請求項2】
前記折り目は、ミシン目であることを特徴とする請求項1に記載のICカード作製キット。
【請求項3】
前記折り目は、表示面から接着面に向かって所定の深さにまで到達する切り込みであることを特徴とする請求項1に記載のICカード作製キット。
【請求項4】
クライアントコンピュータと、前記クライアントコンピュータにコンピュータネットワークを介して接続されたサーバーコンピュータと、からなるICカード作製システムであって、
前記クライアントコンピュータにおいて入力された所定の個人情報を、前記コンピュータネットワークを介して、前記サーバーコンピュータに送信し、
前記サーバーコンピュータは、受信した前記個人情報に基づいてシール部材の所定の領域に所定の前記個人情報を印刷するとともに、ICインレットのメモリ領域に前記個人情報を記憶するものであり、
前記シール部材は、一方の面を表示面とし、他方の面を接着面とするシート状に形成され、
前記シール部材は、第一の領域と、前記第一の領域に隣接し、かつ、前記第一の領域と同じ形状及び大きさの第二の領域と、を備え、
前記第一の領域と前記第二の領域との間の境界線には、折り目が形成されたものであって、
前記ICインレットは、電磁波を受信するアンテナ部と、前記アンテナ部に接続され、電磁波を介してデータの送受信を行うICチップと、を備え、前記シール部材の前記大地の領域又は前記第二の領域の何れか一方に形成されたものであり、
前記第一の領域又は前記第二の領域のいずれか他方には接着剤が塗布されており、前記第一の領域と前記第二の領域の接着面同士が重なり合う方向に前記折り目を折り曲げることにより、前記ICインレットを前記第一の領域と前記第二の領域との間に挟み込むことでICカードを作成することができるようにしたことを特徴とするICカード作製システム。
【請求項5】
前記折り目は、ミシン目であることを特徴とする請求項4に記載のICカード作製システム。
【請求項6】
前記折り目は、表示面から接着面に向かって所定の深さにまで到達する切り込みであることを特徴とする請求項4に記載のICカード作製システム。
【請求項7】
前記個人情報には、氏名と、個人の写真画像と、会社名と、会社の郵便番号と、会社の住所と、会社の電話番号と、会社のファックス番号と、社員番号と、所属部署と、配属年月日と、が含まれていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一項に記載のICカード作製システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−331022(P2006−331022A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152848(P2005−152848)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(598119131)越後札紙株式会社 (9)
【Fターム(参考)】