説明

ICカード及びICカード製造方法

【課題】耐久性を改善し、且つ表面性を高い次元で改善する。
【解決手段】ICチップ2a、アンテナ2bを有するICモジュールを含む部品が搭載され、接着剤6,7が充填されてなる非接触のICカード1において、ICチップ2aの近傍に放熱構造200を有している。ICチップ2a、アンテナ2bを有するICモジュールを含む部品が搭載され、接着剤6,7が充填されてなる非接触のICカード1を製造するICカード製造方法において、ICチップ2a、接着剤6,7に放熱構造200を隣接させ、ICモジュールを駆動し、ICモジュールが発生した発熱を放熱構造200より放熱し、隣接した接着剤6,7を軟化させ、軟化した接着剤6,7を平板201にてプレスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、偽造、変造防止等の安全性(セキュリティ)が要求される個人情報等を記憶するICチップ及びアンテナを有するICモジュールを内蔵する非接触のICカード及びICカード製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
身分証明書カード(IDカード)やクレジットカードなどには、従来磁気記録方式によりデータを記録する磁気カードが広く利用されてきた。しかしながら、磁気カードはデータの書き換えが比較的容易にできるため、データの改ざん防止が十分でないこと、磁気のため外的な影響を受けやすく、データの保護が十分でないこと、さらに記録できる容量が少ないなどの問題点があった。そこで、近年ICチップを内蔵したICカードが普及し始めている。
【0003】
ICカードは、表面に設けられた電気接点やカード内部のループアンテナを介して外部の機器とデータの読み書きをする。ICカードは磁気カードに比べて記憶容量が大きく、セキュリティ性も大きく向上している。特に、カード内部にICチップと外部との情報のやりとりをするためのアンテナを内蔵し、カード外部に電気接点を持たない非接触式ICカードは、電気接点をカード表面にもつ接触式ICカードに比べてセキュリティ性が優れ、IDカードのようにデータの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用されつつある。
【0004】
このようなICカードとして、例えば第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップおよびアンテナを有するICモジュールを封入するものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
このICカードはセキュリティ性が高いために耐久性が偽造変造の観点からも重要になっている。特に、カード内部にICチップと外部との情報のやりとりをするためのアンテナなどの電気部品が内蔵されているため、その耐久性を確保するためさまざまな試みが行われている。しかしながら、さまざまな用途に使用され普及しつつある中、ICカードに格納されているセキュリティの高い情報を読み出す読み出し機(リーダーライター)についても様々な種類が普及してきている。非接触で通信するICカードでは電磁誘導等により起電力を得て動作をする。非常に強い磁界強度中では大きな電圧がかかりICチップを発熱させ、ひいては回路の破壊やカード樹脂の変形等発生する問題が発生していた。また、これらの耐久性を改善するだけでなく、個人情報等を記載するためには、昇華印画、溶融印字等で濃度変動なくカスレのないようにするよう平滑なカード表面性が必要になる。
【特許文献1】特開2005-173936号公報
【特許文献2】特開2005-202682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のICカードの製造方法では、カード製造時に表裏の第1のシート材と第2のシート材でICモジュールを接着剤とともに貼りあわせカード状に製造する工程において、高熱高圧でプレスする方法が採用されていた。高温で貼りあわせると、表裏のシート材の熱伸縮により内蔵するICモジュールの形状で“ヒケ”と言われる変形が残ったり、ICチップが存在する部位が凸になりやすくなったり、カード最表面の画像を施す受像層が限定されたりする問題があった。それを解決する方法として、低温で製造する液硬化型樹脂や光硬化型樹脂等提案されている。しかしながら、充填される樹脂は成型するために一定の弾性を必要とするため、十分にカード表面の平面性が得られるわけでなく、最終的に顔画像や個人情報など表面に印字印画を施す際、文字がかすれるなどの問題が十分解決できていなかった。
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、耐久性を改善し、且つ表面性を高い次元で改善するICカード及びICカード製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成されている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品が搭載され、接着剤が充填されてなる非接触のICカードにおいて、前記ICチップの近傍に放熱構造を有していることを特徴とするICカードである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記放熱構造が金属、熱伝導性樹脂から選ばれ、前記ICチップの少なくとも回路面を除く面に隣接して設けることを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記放熱構造が金属、熱伝導性樹脂から選ばれ、前記ICチップの回路面側及び反対面側に隣接し、前記ICチップを挟み込んでいることを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品が搭載され、接着剤が充填されてなる非接触のICカードを製造するICカード製造方法において、前記ICチップ、接着剤に放熱構造を隣接させ、前記ICモジュールを駆動し、前記ICモジュールが発生した発熱を前記放熱構造より放熱し、隣接した前記接着剤を軟化させ、軟化した前記接着剤を平板にてプレスすることを特徴とするICカード製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0013】
請求項1に記載の発明では、ICチップの近傍に放熱構造を有しており、貼りあわせ後に更に、ICカードを磁界に曝し、ICチップを動作させ、発生した熱によりシート材間に充填している接着剤を軟化させるとともに、加圧を施しカード表面の平滑化を行い、最終的に顔画像や個人情報など表面に印字印画を施す際、文字がかすれのない、高品質なICカードを作成することができる。また、内部より加熱するため最表面への熱の影響が少なくすることができる。また、非接触で通信するICカードでは電磁誘導等により起電力を得て動作をし、非常に強い磁界強度中では大きな電圧がかかりICチップを発熱させ、ひいては回路の破壊やカード樹脂の変形等発生する問題が発生するが、チップ近傍に放熱構造物を有することから、ICチップの発熱を効率よく分散、放熱することができICチップの耐久性が向上する。
【0014】
請求項2に記載の発明では、放熱構造が金属、熱伝導性樹脂から選ばれ、ICチップの少なくとも回路面を除く面に隣接して設けることで、放熱効率がよく、ICチップの背面に熱を排出できICチップの耐久性が向上する。
【0015】
請求項3に記載の発明では、放熱構造が金属、熱伝導性樹脂から選ばれ、ICチップの回路面側及び反対面側に隣接しICチップを挟み込んでいることで、放熱効率がよく、ICチップ周囲の接着剤を温め、軟化させることができ加圧を施しカード表面の平滑化を行い、最終的に顔画像や個人情報など表面に印字印画を施す際、文字がかすれのない、高品質なICカードを作成することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、製造時にシート材でICモジュールを接着剤とともに貼り合わせカード状に製造する工程において、貼り合わせ後に更に、ICカードを磁界に曝し、ICチップを動作させ、発生した熱により表裏のシート材間に充填している接着剤樹脂を軟化させるとともに、加圧を施しカード表面の平滑化を行い、最終的に顔画像や個人情報など表面に印字印画を施す際、文字がかすれのない、高品質なICカードを作成することができる。また、内部より加熱するため最表面への熱の影響が少なくすることができる。また、放熱構造が外部からの過熱時には逆に熱伝導を促進し加熱時間の短縮となり、文字がかすれのない、高品質なカードを作成することができる。また、非接触で通信するICカードでは電磁誘導等により起電力を得て動作し、非常に強い磁界強度中では大きな電圧がかかりICチップを発熱させ、ひいては回路の破壊やカード樹脂の変形等発生する問題が発生するが、チップ近傍に放熱構造物を有することから、ICチップの発熱を効率よく分散、放熱することができICチップの耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明のICカード及びICカード製造方法の実施の形態について説明するが、この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0018】
この発明のICカードへの適用の一例として、例えば具体的には、名刺、ネームプレート、パスポート、診察カード、テレホンカード、身分証明書、運転免許証、定期券、キャッシュカード等を包含するものであって、一般に手札程度の大きさであり、かつ多くの場合携帯して使用するものである。ここでは、例えば会社の従業員カードの例について説明するが、適用例はこの形態に限定されるものではない。ICカードは塩化ビニル樹脂の合成樹脂などで作成された基材の一部に設けられた凹部にICモジュールを収容したもので、非接触に電気信号を授受するためのアンテナで電磁波を発生及び/又は電磁波を受ける構成を有するICカードである。
【0019】
図1はこのような表面に金属端子のない非接触のICカードの1例を示す平面図である。図において、ICカード1には、基材2c上にICチップ2a及びR/W(リード/ライト)のための信号授受部としてアンテナ2bを有するICモジュールを含む部品を実装されてなるICユニット2が設けられている。ICチップ2aは点圧強度が弱いためにICチップ2a近傍に補強板を有することも好ましい。ICカード1のキー情報部3は、ICカード1と他のカードを識別するための属性識別情報で、例えばICカード1の表面に付されたコード番号である。また、ICカード1の文字情報部4はICカード1の表面に付された氏名・職場・発行日などの文字情報であり、画像情報部5は顔などの画像情報である。
【0020】
図2はICカードの層構成を模式的に示す断面図である。第1のシート材10と第2のシート材20の間に、基材2c上にICチップ2a及びアンテナ2bを有するICモジュールを含む部品が搭載され、接着剤6,7が充填されてICユニット2が接着剤層内に封入したICカード1の構成である。第1のシート材10は、受像層を有し、第2のシート材20は、筆記層を有する。
【0021】
この発明は、図1及び図2に示すような非接触のICカード1であり、この非接触のICカード1は図3乃至図7に示すように、ICチップ2aの近傍に放熱構造200を有し、放熱構造200は、放熱構造200は金属、熱伝導性樹脂から選ばれる。
【0022】
また、この発明は、非接触のICカード1を製造するICカード製造方法であり、図8に示すように、ICチップ2a、接着剤6,7に放熱構造200を隣接させ、ICモジュールを駆動し、ICモジュールが発生した発熱を放熱構造200より放熱し、隣接した接着剤6を軟化させ、軟化した接着剤6を平板201にてプレスする。このICカード製造方法では、リーダーライターKにより磁界強度中にICカード基材が入るよう調整している。
【0023】
この発明は、カード製造時に表裏の第1のシート材10と第2のシート材20でICモジュールを接着剤6,7とともに貼り合わせカード状に製造する工程において、図8に示すように、貼り合わせ後に更に、ICカード1を磁界に曝し、ICチップ2aを動作させ、発生した熱により表裏の第1のシート材10と第2のシート材20間に充填している接着剤6,7の樹脂を軟化させるとともに、平板201にてプレスして加圧を施しカード表面の平滑化を行い、最終的に顔画像や個人情報など表面に印字印画を施す際、文字がかすれのない、高品質なICカード1を作成することができる。このように、ICカード1の内部より加熱するため最表面への熱の影響が少なくすることができ、製造時カード平面性が向上する。
【0024】
また、ICチップ2aを基材上2cに配したアンテナ2bに接続し固定する場合、従来より樹脂により固定することが知られている。また、強固に固定するため硬化型樹脂を用いる方式も知られている。特に、熱硬化する場合、硬化反応が完了するまで一定の時間加熱する必要があるが、コストを考えると短時間で硬化反応を進めるため樹脂をすばやく過熱する必要がある。また、長時間高温を印加するとアンテナ2bを配した基材2cが変形してしまい、引いては表裏の第1のシート材10と第2のシート材20でICモジュールを接着剤とともに貼り合わせカード状に製造したICカード1は、最終的に顔画像や個人情報など表面に印字印画を施す際、文字がかすれのない、高品質なICカード1を作成することができなくなる。
【0025】
また、この発明は、放熱構造200が外部からの過熱時には逆に熱伝導を促進し加熱時間の短縮となり、文字がかすれのない、高品質なICカード1を作成することができる。また、非接触で通信するICカード1では電磁誘導等により起電力を得て動作をし、非常に強い磁界強度中では大きな電圧がかかりICチップ2aを発熱させ、ひいては回路の破壊やカード樹脂の変形等発生する問題が発生するが、この発明では、ICチップ2a近傍に放熱構造200を有することから、ICチップ2aの発熱を効率よく分散、放熱することができICチップ2aの発熱による回路の破壊耐久性が向上する。
【0026】
放熱構造200としては、熱伝導率の高い金属材料、熱伝導樹脂から選ばれる材料を用いる。熱伝導率が高い熱伝導性樹脂は、熱伝導率の高い金属粒子、金属酸化物粒子を、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂、湿気硬化接着剤、シリコングリース等一般に用いられる樹脂に分散したものが、好ましく用いられる。
【0027】
熱硬化型樹脂材料としては、常温で流動性を示し、加熱により硬化性を示す樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン、シリコーン樹脂等を挙げることができる。特に、発泡が容易で耐衝撃性の高いポリウレタン、エポキシ樹脂が好ましい。
【0028】
光硬化型樹脂材料としては、ラジカル重合性成分及び光ラジカル重合開始剤、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物が用いることができる。
【0029】
この発明では、特に制限はないが好ましくは硬化後の膜の柔軟性があることより、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物を用いることが好ましい。湿気硬化型樹脂材料としては、特開平2-16180、特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278で開示されている。具体的には、ウレタン系樹脂、アルコキシド基含有シリコーン系樹脂などが挙げられる。湿気硬化接着剤の1例として、分子末端にイソシアネート基含有ウレタンポリマーを主成分とし、このイソシアネート基が水分と反応して架橋構造を形成するものがある。湿気硬化型接着剤としては、例えば積水化学工業社製9613N、住友スリーエム社製TE030、TE100、日立化成ポリマー社製ハイボン4820、カネボウエヌエスシー社製ボンドマスター170シリーズ、Henkel社製Macroplast QR3460等があげられる。
【0030】
また、放熱構造200を設ける方法は、この発明の趣旨に反しなければ適宜用いることができる。補強構造200はICチップ2aの回路面以外を覆うように設けることがICチップ2aの背面に熱を排出し好ましい。また、ICチップ2aの回路面側にも放熱構造200がある場合、更に放熱効率がよく、ICチップ2a周囲の接着剤を温め、軟化させることができ好ましい。
【0031】
第1の放熱構造200を設ける具体的実施形態は、実施例1、2として、図3、4に示す。図3の実施例1は、基材2cとしてPETシート2c1を用い、このPETシート2c1にアンテナ2bが形成されている。ICチップ2aの回路面2a1側がバンプ2dを介してアンテナ2bに接続され、この実施形態の第1の放熱構造200では、金属補強板200aを用い、放熱構造と共用し、補強板接着剤210によってICチップ2aとともに基材2cに固定されている。補強板接着剤210はICチップ2aの全体を覆っており、金属補強板200aはICチップ2aの回路面2a1側と反対面2a2側に隣接しており、ICチップ2aの背面に熱を排出でき好ましい。図4の実施例2は、基材2cとして不織布シート2c2を用い、この不織布シート2c2にアンテナ2bが覆われている。ICチップ2aの回路面2a1側がアンテナ2bに接続され、この実施形態の第1の放熱構造200では、金属補強板200aを用い、放熱構造と共用し、ICチップ2a、アンテナ2bとともに基材2cに覆われている。金属補強板200aは補強板接着剤210によってICチップ2aの回路面2a1側と反対面2a2側に隣接しており、ICチップ2aの背面に熱を排出でき好ましい。
【0032】
この実施形態の第1の放熱構造200では、熱伝導率の高い金属を用い、表面積を大きくすることが好ましい。好ましくは、30mm以上、500mm以下、更に好ましくは50mm以上、300mm以下が好ましい。30mm2以下では放熱効果が少なく、500mm以上では金属により非接触通信特性が劣化する。熱伝導率は20W/mK以上、500W/mK以下、好ましくは50W/mK以上、400W/mK以下が好ましい。
【0033】
第2の放熱構造200を設ける具体的実施形態は、実施例3として、図5に示す。図5の実施例3は、図3の実施例1と同様に構成されるが、金属補強板200aを熱伝導性粒子を分散した熱伝導性樹脂211で固定することで、金属補強板200aへのICチップ2aからの放熱効率をより高めるので好ましい。さらにICチップ2aの回路面2a1以外を封止するよう熱伝導性樹脂211で封止し、金属補強板200aは熱伝導性粒子を分散した熱伝導性樹脂211で固定する方式が更に好ましい。熱伝導性樹脂は、熱伝導率が0.5W/mK以上、50W/mK以下、好ましくは1W/mK以上、20W/mK以下が好ましい。0.5W/mK以下では放熱効果が少なく、50W/mK以上では熱伝導性粒子比率が多く補強板の固定性能が低下する。
【0034】
第3の放熱構造200を設ける具体的実施形態は、実施例4,5として図6,7に示す。図6の実施例4及び図7の実施例5は、図3の実施例1と同様に構成されるが、それぞれの金属補強板200aは熱伝導性樹脂211によってICチップ2aの回路面2a1側と反対面2a2側の両側に隣接している。金属補強板200aは、ICチップ2aの回路面2a1側に接続しているアンテナ2bのICチップ2a近傍の表面積を大きくする。さらに、金属補強板200aは、熱伝導性粒子を分散した熱伝導性樹脂211で固定することで、金属補強板200aへのICチップ2aからの放熱効率をより高めることができる。基材2c上に金属箔を設けエッチングによりアンテナパタンを作成し、フェースダウン方式でICチップ2aをアンテナ2bに接合するフリップチップ方式の場合、金属アンテナのICチップ2a近傍の表面積を大きくでき、さらに金属補強板200aの表面積をとることで、大きな効果を得ることができるので好ましい。
【0035】
以下、この発明の構成を詳細に説明する。
[ICカード用材料]
<基材>
この発明のICカード用のシート材の基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、 生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸 、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、または上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは30〜300μm、望ましくは50〜200μmである。
【0036】
ICカードを作成する際、同一または配向角を合わしても良く、場合によっては異なる基材または厚さの異なる支持体を複数積層し、貼り合わせ等により構成されたICカードを作成しても良い。
【0037】
また、支持体上に、易接化処理を施してもよく、カップリング剤、ラテックス、親水性樹脂、帯電防止樹脂などの樹脂層より形成される。場合により支持体をコロナ処理、プラズマ処理等の易接処理を施しても良い。また、熱収縮を低減するためにアニール処理などを行っても良い。
【0038】
前記支持体には必要に応じてエンボス、サイン、ICメモリ、光メモリ、磁気記録層、偽変造防止用印刷層(パール顔料層、透かし印刷層、マイクロ文字等)、エンボス印刷層、ICチップ隠蔽層等を設けることができる。
【0039】
[ICカード用材料への付加可能な材料]
前記記載のICカード用の基材には必要に応じて、ICカードの材料構成に合わし、受像層、クッション層、筆記層、フォーマット印刷層などを設けることができる。なお、筆記層を設ける場合、受像層とは反対側のカード面に設けることが好ましい。
【0040】
[第1のシート材]
この発明における第1のシート材とはカード券面側に位置する部材を表すが、カード券面に位置する受像層、クッション層などを必要に応じて設けることができる。受像層とは、書誌情報及び識別情報を熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式等により形成することができる層のことを表す。
【0041】
熱転写により情報を記録する方式としては一般的に知られている昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式等が挙げられる。インクジェット方式で記録する方法としては、一般的に知られている方法を用いることができ具体的には特開2000−44857、特開平9−71743で記載されているような情報記録することができる。この発明では、特に画像形成材料として制限はなく用いることができる。
【0042】
<受像層>
前記記載の基材上に下記記載の受像層などを設けて第1のシート材などを構成することができる。
【0043】
以下、この発明に用いることができる受像層を形成する成分について詳述する。
【0044】
この発明における受像層用のバインダーは、通常に知られているバインダーを適宜に用いることができる。例えばポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマー(例えばイソブチルエーテル、プロピオン酸ビニル等)との共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、三酢酸セルロース、ポリスチレン、スチレンと他のモノマー(例えばアクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化エチレン等)との共重合体、ビニルトルエンアクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、およびそれらの変性物などを挙げることができるが、好ましいのは、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニルと他のモノマーとの共重合体、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタ−ル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、スチレンと他のモノマーとの共重合体、エポキシ樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などさまざまのバインダーを使用することができる。具体的な1例として受像層を特開平6−286350号、特開平5−64989号に記載のような金属イオン化合物やキレート化合物、離型材料等の材料を用い重層により受像層する方法が挙げられる。また、必要に応じて基材色調剤として染料や顔料、膜強度を向上させるために硬膜剤、カチオン媒染剤、退色防止剤、アニオン、カチオンまたは非イオンの各種界面活性剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0045】
この発明に受像層として形成される材料を溶媒又は水に分散あるいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し、その受像層用塗工液を前記基材上に塗工し、乾燥する塗工法によって製造することができる。支持体に形成される受像層の厚みは、一般に0.01〜30μm、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.03〜20μm程度である。
<クッション層>
この発明には必要に応じて、印字性を良化させるためにクッション層を設けることができる。クッション層を構成する材質としては例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエン、特開2002−222403記載の光硬化型樹脂等を用いることができる。クッション層の厚さは通常、1〜50μm、好ましくは3〜30μmである。この発明でいうクッション層とは、ICカード用に作成した受像層と基材の間、筆記層と支持体の間のいずれの形態であればよく特に制限はなく、複数層合ってもかまわない。
[第2のシート材]
この発明における第2のシート材とはカード裏面側に位置する部材を表すが、カード裏面に位置する筆記層、クッション層などを必要に応じて設けることができる。
<筆記層>
前記記載の基材上に下記記載の受像層などを設け第2のシート材などを設けることができる。
【0046】
この発明には必要に応じて、カードに追加情報を記録するために筆記層を設けてもよい。
【0047】
筆記層は、バインダーと各種の添加剤で形成することができる。筆記層は、ICかードの裏面に筆記をすることができるようにした層である。この層が筆記性を有するため少なくとも1層以上からなることが好ましく、好ましくは1〜5層より形成されていることが好ましい。このような筆記層としては、例えば無機微細粉末、多孔質物質等を用いることができる。多孔質物質としては、例えば、シリカ(沈降性、またはゲルタイプ)、タルク、カオリン、クレー、アルミナホワイト、ケイソウ土、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等を使用することができる。なお、上記多孔質物質としては、上記化合物等の中から1種、または2種以上を混合して使用されるようにしてもよい。多孔質物質を含むことができ特に限定はない。
【0048】
また、他にバインダーを用いることができ、例えばセラック、ロジンおよびその誘導体、硝化綿および繊維素誘導体、ポリアミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、石油樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリプロピレン、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、水溶性樹脂等を用いることができる。また、紫外線により共重合し硬化するプレポリマーを含有するUV硬化型樹脂を用いてもよい。それに用いる共重合性化合物としてはポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアックリレート、ウレタンアクリレート、アルキドアクリレートがあげられる。中でも、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、が好ましく用いられる。なお、上記樹脂としては、上記化合物等の中から1種、または2種以上を混合して使用されるようにしてもよい。多孔質物質の粒径としては、1〜10μmのものを用いることができ、好ましくは平均粒径が1〜8μmであることが好ましい。樹脂に対する多孔質物質の重量比は、固形分比で樹脂100重量部に対し、20重量部〜100重量部であることが好ましい。その他の添加剤としてワックス、界面活性剤、溶剤、水を含んでいてもよく特に制限はない。
【0049】
この筆記層の厚さは、好ましくは、5〜40μm、更に好ましくは5〜30μmである。前記筆記層を形成する場合、場合により支持体との密着性を良好にするために接着層、または筆記性を良好にするためにクッション層などを設けてもよい。この発明の場合、仕上がった筆記層の表面Raが2.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0μm、更に好ましくは0.3〜1.8μmである。表面粗さが0.2μm以下であると筆記性が劣化し問題となる。2.0μm以上であるとこの発明の筆記可能層への表面保護材料との密着性劣化と、表面の粗さが粗いために筆記可能層に手作業又は昇華熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェット方式に昇華熱転写、溶融熱転写、インクジェット、油性ペン、水性ペン、印鑑等により個人識別情報を記載した場合が滲んだりし判別がしずらく問題となる。
[印刷層]
この発明においては、第1のシート材、第2のシート材上に印刷層を設けることができる。具体的には受像層上または筆記層上にフォーマット印刷からなる情報坦持体を設けることができる。情報坦持体は、第1のシート材と第2のシート材は貼り合わせる前後いずれかにフォーマット印刷または、情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができる。特に限定はないが、この発明においては、オフセット印刷などで設けることが好ましい。
【0050】
また、ICカードには、フォーマット印刷からなる情報坦持体が具備されており、識別情報及び書籍情報を記録した複数の選ばれる少なくとも一つが設けられた情報坦持体層からなる。具体的には、罫線、社名、カード名称、注意事項、発行元電話番号等が表記されている。
【0051】
この発明のフォーマット印刷層は目視による偽造防止の為に透かし印刷、細紋等が採用されてもよく、偽造変造防止層としては印刷物、ホログラム、バーコード、マット調柄、細紋、地紋、凹凸パターンなどで適時選択さ、可視光吸収色材、紫外線吸収材、赤外線吸収材、蛍光増白材、ガラス蒸着層、ビーズ層、光学変化素子層、パールインキ層、燐片顔料層、IC隠蔽層、透かし印刷層などから表シートに印刷等で設けることも可能である。
【0052】
フォーマット印刷からなる情報坦持体の形成には、日本印刷技術協会出版の「平版印刷技術」、「新・印刷技術概論」、「オフセット印刷技術」、「製版・印刷はやわかり図鑑」等に記載されている一般的なインキを用いて形成することができ、光硬化型インキ、油溶性インキ、溶剤型インキなどにカーボンなどのインキにより形成される。
【0053】
この発明においては、フォーマット印刷層に使用することができる印刷層は、バインダー樹脂の代表例としては、例えば活性光線硬化性樹脂、ポリメタクリル酸メチル系のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、弗素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン等を挙げることができる。この発明においては光硬化型樹脂層であることが好ましく、更に好ましくは(a)一個以上の不飽和結合を有するモノマーもしくはオリゴマーの一種類以上からなるバインダー成分25〜95重量部、(b)開始剤1〜20重量部とを含む組成物からなる光硬化型樹脂組成物からなる印刷インキ層を用いることがカード表面強度の点から特に好ましいものである。
【0054】
活性光線硬化樹脂を用いる場合、水銀灯、UVランプ、キセノン等の光源により、100mj〜500mjの露光で硬化し用いることができる。
[ICモジュール材料]
<電子部品>
ICカードは、電子部品を有したICモジュールを備えている。電子部品とは、情報記録部材のことを示し、具体的には当該ICカードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及びICチップに接続されたコイル状のアンテナである。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。この発明はこれに限定はされず、情報記録部材に必要な電子部品であれば特に限定はない。ICモジュールは電子部品を有し、場合によって支持体や筐体に実装された部品を指す。この発明では、電子部品の形態に特に制限はないが、ICチップをフェースダウンでアンテナに接続させるフリップチップ実装方式の電子部品において特に効果がある。
【0055】
<ICチップ>
この発明で用いられることのできるICチップの大きさに制限はないが、機械的強度の点からICチップの厚さは、5μm以上120μm以下であることが好ましい。好ましくは、10μm〜120μm、より好ましくは20μm〜120μmである。120μm以上であるとICチップ自身の強度が低下し、点圧強度、衝撃性、曲げ性が劣化する。5μm以下であると現状の加工技術では、均一に薄膜化できず表面性が劣化するため、点圧強度、衝撃性、曲げ性が劣化する。
【0056】
<補強構造物>
この発明では、ICチップの耐久性向上のためICチップに補強構造物を固定する。この発明の補強構造物は、機械的強度に優れることが好ましい。強度確保のため補強構造物を厚くするとカード厚みが厚くなり、表面印画性などが低下するため補強構造物は高強度の素材が好ましい。金属、セラミック、カーボンファイバー、ガラス繊維、アラミト゛繊維、高弾性樹脂などが上げられる。これらより選択される。1種または複数からなる複合材料でもよい。特にヤング率100GPa以上の素材が主構造に使用されているのが好ましい。厚みとしては、10〜300μm、好ましくは、20〜200μm、さらに好ましくは、30〜150μmがよい。補強構造物の形状としては、この発明の趣旨に反しない限り、適宜用いることができる。この発明では、補強構造物形状は、1つ以上あれば特に制限はない。この発明では、補強構造物を放熱構造と共用することが好ましい。補強構造物の表面積を大きくすることが好ましい。表面積を大きくするため、補強構造物の表面をブラスト処理等で粗面化することが更に好ましい。好ましくは、30mm2以上、500mm2以下、更に好ましくは50mm2以上、300mm2以下が好ましい。30mm2以下では放熱効果が少なく、500mm2以上では金属により非接触通信特性が劣化する。熱伝導率は20W/mK以上、500W/mK以下、好ましくは50W/mK以上、400W/mK以下が好ましい。特に熱伝導率の高い金属材料が好ましく選択される。
<アンテナ>
ICモジュールはアンテナとしてアンテナコイルを有するものであるが、アンテナパターンを有する場合、導電性ペースト印刷加工、或いは銅箔エッチング加工、巻線溶着加工等のいずれかの方法を用いてもよい。プリント基板としては、ポリエステル等の熱可塑性のフィルムが用いられ、更に耐熱性が要求される場合はポリイミドが有利である。通信性から場合により樹脂、絶縁層などで被覆していても良い。
【0057】
アンテナコイルを含む回路パターンは金属箔タイプであることが好ましく、場合により途中のコイルパターンと短絡することないよう別工程で電気的に接続することも可能である。この発明では、ICチップの回路面に形成されるバンプが、アンテナ形成されているフィルム支持体と対向してアンテナとバンプが電気的に接続される。この発明では、アンテナパターンを放熱構造と共用することが好ましい。ICチップ近傍において表面積を大きくすることが好ましい。好ましくは、30mm2以上、500mm2以下、更に好ましくは50mm2以上、300mm2以下が好ましい。30mm2以下では放熱効果が少なく、500mm2以上では金属により非接触通信特性が劣化する。熱伝導率は20W/mK以上、500W/mK以下、好ましくは50W/mK以上、400W/mK以下が好ましい。 金属箔は特に熱伝導率の高い金属材料が好ましく選択される。
<接着剤>
この発明の場合、取り扱いしやすさから好ましくは、熱、光などのトリガーにより架橋する材料であることが好ましい。具体的には熱硬化型、湿気硬化型、光硬化型などの樹脂材料であることが好ましい。特に硬化型の場合、硬化前の熱による変形がしやすい樹脂であることが、この発明では好ましい。硬化後に変形しやすい場合、市場での熱耐久性が低下してしまう。
【0058】
熱硬化型樹脂材料としては、常温で流動性を示し、加熱により硬化性を示す樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリブタジエン、シリコーン樹脂等を挙げることができる。特に、発泡が容易で耐衝撃性の高いポリウレタン、エポキシ樹脂が好ましい。
【0059】
光硬化型樹脂材料としては、ラジカル重合性成分及び光ラジカル重合開始剤、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物が用いることができる。本発明では、特に制限はないが好ましくは硬化後の膜の柔軟性があることより、カチオン重合性成分及び光カチオン重合開始剤からなる組成物を用いることが好ましい。
【0060】
カチオン重合性成分としては、例えば、ビスフェノール−エポキシ樹脂、フェノリックエポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールエポキシ樹脂、ポリアルキレングリコールエポキシ樹脂、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が好適に用いられる。さらに、イソプロピルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物、オキセタンなどを用いることも可能である。具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性、カチオン重合成ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0061】
光カチオン重合開始剤とは、光によってカチオン種を発生させる重合開始剤のことであり、一般的にはオニウム塩がよく知られている。オニウム塩としては、ルイス酸のジアゾニウム塩、ルイス酸のヨードニウム塩、ルイス酸のスルホニウム塩などが用いられる。これらの化合物の具体例としては、例えば、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩、六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩、六フッ化ヒ素のトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩、四フッ化アンチモンのトリ−4−メチルフェニルスルホニウム塩等が挙げられる。これらに限定されるものではなく、光照射によってカチオン種を発生させる化合物であれば使用可能である。
【0062】
湿気硬化型樹脂材料としては、特開平2−16180、特開2000-036026、特開2000-219855、特開2000-211278で開示されている。具体的には、ウレタン系樹脂、アルコキシド基含有シリコーン系樹脂などが挙げられる。湿気硬化接着剤の1例として、分子末端にイソシアネート基含有ウレタンポリマーを主成分とし、このイソシアネート基が水分と反応して架橋構造を形成するものがある。湿気硬化型接着剤としては、例えば積水化学工業社製9613N、住友スリーエム社製TE030、TE100、日立化成ポリマー社製ハイボン4820、カネボウエヌエスシー社製ボンドマスター170シリーズ、Henkel社製Macroplast QR3460等があげられる。
<画像記録体の画像形成方法>
作成されたICカードに画像要素すなわち顔画像等の認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷から選ばれる少なくとも1つを設けた発行済みICカードを、画像記録体と称する。顔画像等の認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷から選ばれる少なくとも1つは、第1シート部材又は第2シート部材のいずれに設けてもよく、好ましくは第1シート部材側に設けることが好ましい。この発明では、画像記録を行なう際にカード表面の平滑性を向上させ、記録する画像記録体のカスレなどの品質低下を抑止させる。
【0063】
顔画像は通常の場合、階調を有するフルカラー画像で、例えば昇華型感熱転写記録方式、溶融型感熱転写記録方式、電子写真方式、インクジェット方式等により作製されている。この発明においては、昇華型感熱転写記録方式により顔画像等の認証識別画像、属性情報画像を記録することが好ましい。
【0064】
属性情報は氏名、住所、生年月日、資格等であり、属性情報は通常文字情報として記録され溶融型感熱転写記録方法が一般的である。フォーマット印刷又は、情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができる。
[実施例]
以下、この発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、この発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、以下において「部」は「重量部」を示す。
【0065】
「実施例1」
<ICモジュール1の作成>
図3に示すように、エッチングによりアルミアンテナパターンの形成された厚み38μmの透明PET支持体のPETシート2c1に、厚み50μm、3×3mm角のICチップ2aとアンテナ2bを電気的に接合し、接着剤2g(住友電工社製スミマックECR-8015TO)厚み20μmで固定し、次いでICチップ2aの回路面2a1と反対面2a2側に補強板接着剤210として、2液硬化型弾性エポキシ接着剤:(東邦化成工業株式会社製 ウルタイト1540セット)を用いた主剤と硬化剤を使用し、10μmの厚さになるようポッティングしその上にSUS301からなる厚み150μmの10×10mmの放熱フィンを有する角板状の放熱構造200を共用する補強板を用いて、ICチップ2aを封止するよう加圧プレスして接着させ、硬化密着させてICモジュール1を得た(表面積200mm2)。
<カード基材の作成>
下記作成の受像層を有する第1のシート材、筆記層を有する第2のシート材を作成方法で作成し、下記ICカード基材作成方法によりテストカード1を作成した。
<第1のシート材作成方法>
表シート材の基材として帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W−188μm、低熱収グレード上に下記組成の第1受像層形成用塗工液、第2受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが第1受像層2.5μm、第2受像層0.5μmになるように積層することにより受像層を形成した。
<受像層の形成>
〈第1受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 6部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBX−1〕
【0066】
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2受像層形成用塗工液〉
ポリエチレンワックス 2部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックE1000〕
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254〕
メチルセルロース〔信越化学工業(株)製:SM15〕 0.1部
水 90部
(受像層へのフォーマット印刷層の形成)
受像層上に樹脂凸印刷法により、フォーマット印刷(従業員証、氏名)を行いフォーマット印刷済第1のシート材を作成した。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
<第2のシート材の作成方法>
裏シート材の基材として帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W−188μm低熱収グレード上に第1筆記層形成用塗工液、第2筆記層形成用塗工液及び第3筆記層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが第1筆記層から5μm、15μm、0.2μmになるように積層することにより筆記層を形成した。筆記層の塗布後の最表面のRaは、1.56μmであった。
〈第1筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂〔東洋紡績(株)製:バイロン200〕 8部
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
カーボンブラック 微量
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2筆記層形成用塗工液〉
ポリエステル樹脂 4部
〔東洋紡績(株)製:バイロナールMD1200〕
シリカ 6部
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 2部
水 90部
〈第3筆記層形成用塗工液〉
ポリアミド樹脂〔三和化学工業(株)製:サンマイド55〕 5部
メタノール 95部
(筆記層へのフォーマット印刷層の形成)
筆記層上に樹脂凸印刷法により、樹脂凸印刷(罫線、発行者名、発行者電話番号)を行いフォーマット印刷済第2のシート材1を作成した。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
【0067】
前記作成された、第1のシート材、第2のシート材を用い、下記の製造方法でICカード基材を得ることができた。
<ICカード基材の製造方法>
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態としての画像記録体、その製造装置及びその製造方法について説明をする。
[ICカードの作成]
第1のシート材、第2のシート材を用い、図9のICカード作成装置によりICカードを作成した。
【0068】
以下、ICカード作成装置について説明する。
<ICカード基材作成方法1>
実施形態としての図9のICカード作成装置について説明をする。この発明のICカード作成装置は、長尺シート状で第2のシート材(裏シート)と、枚葉シート状で第1のシート材(表シート)とが供給部A、Bに配備される。接着剤溶解供給部Cにおいて積水化学工業株式会社製 湿気硬化型ホットメルト接着剤MK2013接着剤を窒素下120℃で溶融し、接着剤溶解供給部Cから接着剤供給部Dに供給し、この接着剤供給部DからTダイ塗布方式により第1のシート材に接着剤を供給し、第1のシート材の塗布部上にICチップ、補強構造体、アンテナ等から構成されるICモジュールをICモジュール供給部Eから配置され、シート搬送部材Fにより搬送される。
【0069】
接着剤溶解供給部CにおいてICカード用接着剤、積水化学工業株式会社製 湿気硬化型ホットメルト接着剤MK2013接着剤を窒素下120℃で溶融し、接着剤溶解供給部Cから接着剤供給部Gに供給し、この接着剤供給部GからTダイ塗布方式により第2のシート材(裏シート)に接着剤を供給した。
【0070】
上記、接着剤塗工された第1のシート材、第2のシート材を加熱/加圧ロールH(圧力3kg/cm2、ロール表面温度65℃)により貼合され、膜厚制御ロールIにより760μmに制御されたICカード基材用の原版が作成され、カード基材搬送部材Jにより搬送される。
【0071】
次いで、図8に示すように、リーダーライターKにより7.5A/mの磁界強度中にICカード基材が入るよう調整し、30秒間平板201にてICカード基材の両側よりプレスした(圧力3kg/cm2、ロール表面温度65℃)。
【0072】
ICカード基材は、接着剤の硬化、支持体との密着性が十分に行われたてから化粧断裁することが好ましく、この発明では、23℃/55%環境下で14日硬化促進させた後、原版を図10に示すカード打ち抜き機Mにより55mm×85mmサイズ、厚さ760μmのICカード基材300を得ることができた。
<ICカードへの書誌情報及び識別情報用の作成>
ついで下記記載の昇華型および溶融型感熱転写記録用インクシート1、表面保護層用転写箔1を用い、ICカード発行装置で書誌情報及び識別情報の記録を行い、ICカードを作成した。図11はICカード発行装置としてのカードプリンタであり、カードプリンタには、上方位置にカード基材供給部310及び情報記録部320が配置され、下方位置に、透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部370が配置され、この後更に透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部370が配置され、画像記録体としてICカードを作成する。
【0073】
カード基材供給部310には、例えば、図9及び図10で作成されたカード使用者の個人情報を書き込むために予め枚葉状にカットされた複数枚のカード基材350が、顔写真を記録する面を上に向けてストックされている。この例では、カード基材350が支持体と受像層からなり、このカード基材350は1枚ずつカード基材供給部310から所定のタイミングで自動供給される。
【0074】
情報記録部320には、イエローリボンカセット321、マゼンタリボンカセット322、シアンリボンカセット323、ブラックリボンカセット324が配置され、それぞれに対応して記録ヘッド325〜328が配置されている。イエローリボン、マゼンタリボン、シアンリボン等の熱転写シートによる熱転写で、カード基材350が移動されている間に、その受像層の所定領域にカード使用者の顔写真等の諧調を有する画像領域が記録される。
【0075】
また、文字リボンカセット331及び記録ヘッド332が配置され、文字リボン等の熱転写シートによる熱転写で、その氏名やカード発行日等の認証識別情報が記録され、画像記録層が形成される。この情報記録部320では、イメージワイズに加熱して前記受像層に諧調情報画像を形成し、画像を形成する際の記録ヘッド条件は0.01〜0.3kg/cmの範囲で加圧し、ヘッドの温度50〜500℃で形成する。
【0076】
透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部及び/又は樹脂層付与部370では、転写箔カセット371が配置され、この転写箔カセット371に対応して熱転写ヘッド372が配置されている。光学変化素子転写箔343及び/又は透明保護転写箔364、硬化型転写箔366を転写し、光学変化素子転写層及び/透明保護転写層、硬化型済保護層含有転写層が設けられる。
[昇華型感熱転写記録用インクシート作成1と記録方法]
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を各々の厚みが1μmになる様に設け、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクシートを得た。
【0077】
カード上への書誌情報及び識別情報の記録は、昇華型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより画像に階調性のある人物画像を形成した。
〈イエローインク層形成用塗工液〉
イエロー染料
(三井東圧染料(株)製MSYellow) 3部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈マゼンタインク層形成用塗工液〉
マゼンタ染料
(三井東圧染料(株)製 MS Magenta) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈シアンインク層形成用塗工液〉
シアン染料
(日本化薬(株)製 カヤセットブルー136) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
(溶融型感熱転写記録用のインクシートの作成(受像層面溶融印字用))
[溶融型感熱転写記録用インクシート作成1と記録方法]
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のインク層形成用塗工液を厚みが2μmになるように塗布乾燥してインクシートを得た。
【0078】
カード上への書誌情報及び識別情報の記録は、溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報を形成することができた。
〈インク層形成用塗工液〉
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
〔三井デュポンケミカル社製:EV40Y〕
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂〔荒川化学工業(株)製:タマノル521〕 5部
メチルエチルケトン 90部
[カード表面保護転写箔の作成]
ついで下記記載の表面保護転写箔1を用い、ICカード発行装置でカードへの表面保護を実施した。
[表面保護層使用樹脂の合成]
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタアクリル酸メチル73部、スチレン15部、メタアクリル酸12部とエタノール500部、α、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、トリエチルアンモニウムクロライド3部、グリシジルメタクリレート1.0部を加え、3時間反応させ目的のアクリル系共重合体の合成バインダー活性光線硬化層使用樹脂1を得た。
<表面保護転写箔1の作成>
(離型層形成塗工液) 膜厚0.2μm
ポリビニルアルコール(GL−05)
(日本合成化学(株)製) 10部
水 90部
離型層は、90℃/30secの乾燥条件により塗工を行った。
(活性光線硬化性化合物) 膜厚7.0μm
新中村化学社製 A−9300/新中村化学社製 EA−1020= 35/11.7 5部
反応開始剤
イルガキュア184日本チバガイギー社製 5部
活性光線硬化層使用樹脂1 48部
大日本インキ界面活性剤F−179 0.25部
トルエン 500部
塗布後の活性光線硬化性化合物は、90℃/30secで乾燥を行い、次いで水銀灯(300mJ/cm2)で光硬化を行った。
〈中間層形成塗工液〉 膜厚1.0μm
ポリビニルブチラール樹脂
〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕 3.5部
タフテックスM−1913(旭化成) 5部
硬化剤 ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製 1.5部
メチルエチルケトン 90部
塗布後硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.5μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体
〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕 2部
水 45部
エタノール 45部
塗布後、70℃/30secで乾燥を行った。
【0079】
画像、文字が記録された前記受像体又は透明樹脂層上に前記構成からなる活性光線硬化型カード表面保護転写箔1を用いて表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけて転写をおこないICカードを作成した。
「実施例2」
ICモジュール2とした以外は実施例1と同様にした。
<ICモジュール2の作成>
図4に示すように、厚み50μm、3×3mm角のICチップ2aに、SUS301からなる厚み150μmの5×5mmの放熱フィンを有する角板状の放熱構造200を共用する補強板(表面積50mm2)を、回路面2a1と反対面2a2側に2液硬化型弾性エポキシ接着剤:(東邦化成工業株式会社製 ウルタイト1540セット)を用いた主剤と硬化剤を使用し、10μmの厚さになるようし接着し、次いで銅線よりなる巻き線タイプのアンテナを形成しICチップ2aに形成したバンプ2dに接合した。ついで、ICモジュールをポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布シート2c2で両側より挟みICモジュールシートを作製しICモジュール2を得た。
「実施例3」
ICモジュール3とした以外は実施例1と同様にした。
<ICモジュール3の作成>
図5に示すように、ICチップ2aと補強板を密着させる補強板接着剤を、熱伝導性樹脂(住友ベークライト社製 スミコンTK200(熱伝導率20W/m・K))211を用いたい以外はICモジュール1と同様にしてICモジュール3を得た。
「実施例4」
ICモジュール4とした以外は実施例1と同様にした。
<ICモジュール4の作成>
図6に示すように、厚み38μmの透明PET支持体のPETシート2c1に設けたアルミ箔をエッチングによりアンテナパターンを形成するとともに、同時にICチップ2aを搭載する近傍を図6のような形状にアルミ箔をエッチングにより放熱構造機能を持つよう補強板の上面投影面積より大きい面積になるよう形成した。ついで、厚み50μm、3×3mm角のICチップ2aとアンテナ2bを電気的に接合し接着剤2g(住友電工社製スミマックECR-8015TO)厚み20μmで固定し、次いで、ICチップ2aの回路面2a1と反対面2a2側に補強板接着剤として、2液硬化型弾性エポキシ接着剤:(東邦化成工業株式会社製 ウルタイト1540セット)を用いた主剤と硬化剤を使用し、10μmの厚さになるようポッティングしその上にSUS301からなる厚み150μmの10×10mmの放熱フィンを有する角板状の放熱構造200を共用する補強板とICチップ2aを封止するよう加圧プレスし接着させ、硬化密着させてICモジュール4を得た。(表面積200mm2
「実施例5」
ICモジュール5とした以外は実施例1と同様にした。
<ICモジュール5の作成>
図7に示すように、放熱構造200をアンテナパターンと同一のアルミ箔をエッチングにより、補強板の上面からの投影範囲と略同一の投影範囲でICチップ2aを挟み込むよう配した以外は、ICモジュール4と同様にし、ICモジュール5を得た。
「比較例」
ICモジュー6とした以外は実施例1と同様にした。
<ICモジュール6の作成>
図12に示すように、エッチングによりアルミアンテナパターンの形成された厚み38μmの透明PET支持体のPETシートに、SUSからなる4mm×4mmのリードフレーム上に厚み50μm、3×3mm角のICチップを接着剤(住友電工社製スミマックECR-8015TO)厚み20μmで固定し、次いでICチップの回路面と反対面側に封止樹脂として、エポキシ接着剤:(日立化成工業株式会社製 CEL-4630)を用い、リードフレームと合わせ、厚み250μmになるようにICチップを封止し硬化密着させた。さらに、リードフレームとアンテナを電気的に接合してICモジュール6を得た。
[評価方法]
<高磁界印加試験>
作成したICカードを50枚ずつ磁界強度10A/mで5分印加し、試験後のIC動作不良率を求め、耐熱性を評価した。
【0080】
◎・・・不良率1%以下
○・・・不良率5%以下1%以下より大きい
△・・・不良率10%以下1%より大きい
×・・・不良率10%より大きい
<印字性>
作成したカードを溶融型、昇華型感熱転写画像を印画し、かすれ具合を評価した。
【0081】
◎・・・問題なく印画できる
○・・・一部濃度が低下する部分があるが判別できるレベルである
△・・・一部濃度が低下し判別できないレベルである
×・・・完全に色抜けする部分がある
【産業上の利用可能性】
【0082】
この発明は、偽造、変造防止等の安全性(セキュリティ)が要求される個人情報等を記憶するICチップ及びアンテナを有するICモジュールを内蔵する非接触のICカード及びICカード製造方法に適用でき、耐久性を改善し、且つ表面性を高い次元で改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】ICカードの構成を示す平面図である。
【図2】ICカードの構成を示す断面図である。
【図3】ICモジュール1を示す図である。
【図4】ICモジュール2を示す図である。
【図5】ICモジュール3を示す図である。
【図6】ICモジュール4を示す図である。
【図7】ICモジュール5を示す図である。
【図8】ICカードの作成を示す図である。
【図9】ICカード作成装置を示す構成図である。
【図10】カード打ち抜き機の斜視図である。
【図11】ICカード発行装置を示す構成図である。
【図12】比較例のICモジュール6を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ICカード
2a ICチップ
2b アンテナ
2c 基材
6,7 接着剤
200 放熱構造
201 平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品が搭載され、接着剤が充填されてなる非接触のICカードにおいて、
前記ICチップの近傍に放熱構造を有していることを特徴とするICカード。
【請求項2】
前記放熱構造が金属、熱伝導性樹脂から選ばれ、前記ICチップの少なくとも回路面を除く面に隣接して設けることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項3】
前記放熱構造が金属、熱伝導性樹脂から選ばれ、前記ICチップの回路面側及び反対面側に隣接し、前記ICチップを挟み込んでいることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項4】
ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品が搭載され、接着剤が充填されてなる非接触のICカードを製造するICカード製造方法において、
前記ICチップ、接着剤に放熱構造を隣接させ、前記ICモジュールを駆動し、
前記ICモジュールが発生した発熱を前記放熱構造より放熱し、隣接した前記接着剤を軟化させ、
軟化した前記接着剤を平板にてプレスすることを特徴とするICカード製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−226736(P2007−226736A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50199(P2006−50199)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】