説明

ICコイン処理装置

【課題】第1の目的は、限られた空間において、ICコインの収容量を増大することのできるICコイン処理装置を提供することにある。
第2の目的は、発行できるICコインの保留量を多くすることによって、遊戯機の稼動率が向上し遊戯店の売上向上に寄与できるようになるICコイン処理装置を提供することにある。
【解決手段】投入口51、投入口に投入されたICコインの記憶情報を読み取るリードライター装置12および該リードライター装置から受け入れたICコイン15を前記リードライター装置へ戻す搬送部70を備えるICコイン処理装置において、前記搬送部はICコインをバラで保留するボウル13と、
ICコインを一個ずつ送り出す前記ボウルの底部に配置された回転ディスク14と、該回転ディスクから送り出されたICコインを列にして案内する案内路23とを含むことを特徴とするICコイン処理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線を利用して非接触でデータを書き込み読み出しの一方若しくは両方ができるICコインを使用して、種々の遊技機、例えばスロットマシンやパチンコあるいはゲーム機などで遊技することができるようにしたICコイン処理装置に係わり、特に遊技機を使用する際に必要な遊技用媒体の貸し出しに使用するICコインに対するデータの書き込み、読み出しを行うためのICコイン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のような遊技機で遊技を行うためには、客は遊技媒体貸出機にて紙幣や硬貨などの貨幣を投入して遊技機で必要となるメタルやパチンコ玉等のその貸し出しを受けて、所望の遊技台でメタル等を投入し、プレーに興じるが一般的であった。
しかし、プレーの度に貨幣を投入し遊技媒体を手に入れるという煩わしさや、両替等の煩わしさの解消のためにICコインを利用して遊技媒体の貸し出しを行うものが出現している。
すなわち、ICコイン処理装置によりICコインに支払い代金或いは残金額など、所謂価値データを記憶し、かつその読み取りやプレーした分に応じて金額、度数などを減算しその価値データの変更書き込みの処理を行い、プレーができるようにした遊技機である。
【0003】
そのICコイン処理装置としては、例えば特許文献1は、ICコインを列状にストックするICコインストック払出通路の搬出口近傍にライト装置を配し、また投入されたICコインが通過するICコイン投入通路中にリードライト装置を配し、ICコインストック払出通路から払い出されたICコインにライト装置で遊技媒体データを書き込み、また同払い出されたICコイン及び投入コインに対してリードライト装置で遊技媒体データを書き込み、読み出しを行う一方、遊技媒体データが残存しているICコインを払い出し口に払い出し、遊技媒体データが残存していないICコインをICコイン搬送ベルトでICコインストック通路に戻すものである。
【0004】
また、特許文献2は、ICコインを上下方向に一列に貯留する押上通路とICコイン投入口とを有し、押上通路から払い出されるICコインおよび投入されたICコインを、回転制御されるローターに設けたコインホルダに保持し、その保持したICコインにICコイン処理装置でデータの書き込み、読み取りを行う一方、残価値の有るICコインは払い出すように、また残価値データの無いICコインは押上通路へと貯留させるように、コインホルダーの位置を制御して達成しているものである。
【0005】
【特許文献1】特開20001−312703号(図1−図6、3頁−5頁)
【特許文献2】特開2004−141490号(図1−図8、6頁−19頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した両文献に示す台間機にあっては、価値データの書き込み用として収容されるICコインが、ICコインストック払出通路1や押し上げ通路70といった通路構造の収容部で一列に収容されているものである。このようなICコインの収容場所が通路である場合、ICコインの収容量は、ICコインの直径と通路長に決定される。ICコインは高額価値情報が記憶されているため、紛失し難いように大径に作られている。従って、通路構造のICコイン貯留部ではICコインの収容量が少ないものとなってしまう。
【0007】
また、ICコインストック払出通路1では、その通路許容長は台間機の奥行き寸法で制限されてしまい、さらに後部に位置する搬送ベルト7の設置スペース分を除いた通路寸法以内で設定するという規制がかかる。また押上通路70では、その通路許容高さを、台間機の全体高さの中でICコイン処理装置のために割り当てられる設置スペース内で確保せねばならないという制限がかかる。よって、いずれのものであっても、ICコインの収容量は不十分である。
【0008】
ICコインの収容量が少ないものだと、ICコインが空となった時には、その台間機は使用停止とされるか、若しくは残価値データを有するICコインを持つ客だけ受け付け可能とする処置が取られたりするので、結局新規の客の利用を減らすことになって、遊技機の稼働率が落ち遊技店全体の営業に影響するといった問題がある。
【0009】
さらに、ICコインが通路内や搬送部で詰まったりしたトラブル時に、その除去を行ったり、また管理上ICコインを全て排出回収する必要があるが、ICコインをそのストック払出通路より取り出すには、通路内に手を挿入し難く作業が容易に行えない。
また取り出す時に、通路内の残留コインがこぼれたり、搬送部から落下することもある。そのため後でそれらを拾い、戻し入れたりするという余計な作業も強いられたりする問題があった。
また押上通路より除去するにはICコイン処理装置を分解する必要があったりするため、手間がかかるといった問題がある。また除去や回収には、ICコインの払い出しギア12や搬送ベルト7、正逆回転駆動されるローター62などコイン払い出し装置をそのために駆動しなければ行えないといった面倒で時間も要し、作業効率性も悪いなどメンテナンス性の面で劣るといった問題もあった。
【0010】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、限られた空間において、ICコインの収容量を増大することのできるICコイン処理装置を提供することにある。
【0011】
また、発行できるICコインの保留量を多くすることによって、遊技機の稼動率が向上し遊技店の売上向上に寄与できるようになるICコイン処理装置を提供することにある。
【0012】
さらに、装置内から詰まったICコインを除去したり回収を必要とした時に、ICコインを落下させたりする心配がなく、確実にかつ容易に回収作業や修理作業が行えるという、メンテナンス性に優れたICコイン処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するため、本発明にかかるICコイン処理装置は以下のように構成される。投入口、該投入口に投入されたICコインの記憶情報を読み取るリードライター装置および該リードライター装置から受け入れたICコインを前記リードライター装置へ戻す搬送部を備えるICコイン処理装置において、
前記搬送部はICコインをバラで保留するボウルと、ICコインを一個ずつ送り出す前記ボウルの底部に配置された回転ディスクと、該回転ディスクから送り出されたICコインを列にして案内する案内路とを含むものである。
【0014】
この構成によれば、ボウルおよび回転ディスクより成るICコイン送り出し部、ICコインを上方へ搬送する案内路、ICコインのリードライター装置の3つの機能部をコンパクトに寄せ集めて、ICコインの循環路を形成することができる。ICコインの供給源であるボウルには、ICコインがバラ積みされるので、収容量は、ICコインの容積とボウルの容積に依存する。ボウルは、所望の巾にすることができるので、ICコインが寝た状態で保留することができる。よって限られたスペースの中で、より多くのICコインを保留できる。
【0015】
このため、従来装置の如き、短い通路にしかICコインがストックされていないため、少ない量しか貯留できないという構造や機構に見られるような、ICコインが直ぐ捌けて客にプレーの機会を失わせてしまうといった状況は少なくなり、客へのサービス性のアップに寄与することができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1のICコイン処理装置において、ボウルをリードライター装置の下方にボウルを配置するようにしたものである。この構成により、リードライター装置で記憶情報の読み取りを終えたICコインは、経路短くして確実にボウルに収容させることができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1のICコイン処理装置において、前記案内路は、ICコインを円弧状に連ねて送る案内路を有するものである。
この場合には、経路長を長く取り得る円弧状の案内路の採用により、ICコインの収容量を、より増加することができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項のICコイン処理装置において、前記案内路は、前記円弧の中心を支点に回動可能としたものである。
案内路はその円弧の中心を支点に回動する構成なので、詰まりコインを除去するときなど、案内路の出口が下に向くように回動操作することで、容易に除去回収することができ、便利である。
【0019】
請求項5の発明は、請求項4に記載のICコイン処理装置において、前記案内路の前記回転ディスクとの分離操作に連動して、前記案内路の下端のICコインを保持する保持手段を有するものである。
案内路の下端に設けた保持手段が、案内路の回転ディスクとの分離操作時に連動して案内路中に突出し最下端のICコインを保持するようになっているので、回収作業時にICコインが落下することは無い。このため回収作業や修理を手間取ることなく終えることができる。
【0020】
請求項6の発明においては、請求項3、4および5のICコイン処理装置において、前記案内路は、左右一対の半円弧状の溝部を形成した案内路形成板の溝部を、所望の間隔で向き合わせることにより、円弧状の案内路が形成されるようにしたものである。
この構成によって、二枚の半円弧状をした案内路形成板を合体することにより、湾曲した案内路を造作も無く形成することができる。また構成部品も少なくしてかつ安価に製作することができる。
また案内路の巾は、案内路形成板同士を離す距離を適宜に設定することで、様々の径のICコインに適合した案内路を容易に作成することができる。また、両案内路形成板の合わせ部には、離間して向き合う溝部により案内路と連通する空隙部が作られるので、この空隙部からコインを摘むことができるようになるため、詰まりコインの除去なども容易に行えるようになる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項3ないし6にそれぞれ記載のICコイン処理装置において、前記案内路の出口に出口幅を狭まる方向に附勢された可動ローラを配置し、該可動ローラはその周面が下に向かうほどすぼまる逆円錐形状になっているものである。
この構成により湾曲形状の案内路のためICコインが出口から上向き傾向の放出となっても、可動ローラの周面が逆円錐状となっているため、ICコインとローラー周面とは直角関係の当たり合になる。このためICコインが可動ローラと当たっても上方へ向かう分力が生まれず、ICコインが上向きに出ないように抑えることができる。故に案内路の出口からICコインを略水平方向に搬出させることができ、湾曲した軌跡を辿るような搬送でも、出口からICコインを下位のICコイン送り出し部の方へ向かわせて、順調に循環させることができるようになる。
【0022】
第8の発明は、請求項1のICコイン処理装置において、リードライター装置は、ICコインを投入口からリードライター部に案内する傾斜案内路、前記投入口の反対側に位置する循環口、前記循環口から前記リードライター部にICコインを案内する循環通路、前記リードライター部の下に配置した振分通路、前記」振分通路に連なり、前記投入口の下方に配置した返却口、前記振分通路から前記ボウルに連なる回収通路を有するものである。
これにより、外部から投入されたICコイン並びにボウルから送り出された遊技機内部のICコインに対し、リードライター部でデータ処理を行う一方、必要に応じてICコインを返却し、またはボウルに回収するように振り分けて、ICコインの処理を着実に行うことができる。ボウルには振り分け処理されたICコインを十分な量溜めることができるので、またボウルからICコインを送り出し、循環口、循環通路、リードライター部を経てボウルへと途切れることなく巡らして、再利用を図ることができる。また遊技機内の限られたスペース内でICコインを効率的にかつ順調に循環させて客に提供することができる。
【0023】
第9の発明は、請求項1および7のICコイン処理装置において、前記リードライター部の上方位置に、前記案内路の出口から略水平姿勢で出たICコインを前記リードライター部へ導入する導入体を配設し、この導入体にICコインの落下口を偏在して設けると共に、前記導入体には、この落下口とオフセットしかつそのオフセット側に備わる支持壁にてICコインを片持ち支持する受け入り通路と、前記落下口に向かってなだらかに下がる傾斜内底面とを設けて、これら受け入れ通路と傾斜内底面によりICコインが水平姿勢から垂直姿勢に変換されて前記落下口に落下案内されるようにしたものである。
【0024】
この構成で、略水平姿勢で案内路から搬出されたICコインはオフセットした受け入れ通路を前方へと移動するにつれ重心が外れて、落下口側に傾むいて落ち出す。落下して姿勢変換用傾斜面の面上に落ちると、その傾斜面によって滑落して行くうちに徐々に縦向き姿勢に変わり、落下口に入り込む。水平から垂直への姿勢変換のための手段として、ICコインが移動するにつれ重心が外れて自重で傾き始めるように受け入れ通路を出口からシフトすると共に、これの底面の一部を落下口に向けた傾斜面とするだけで果たせるので、大幅な構造的な変更を要しないで対応できる。
【0025】
第10の発明は、請求項1,8,9のICコイン処理装置において、前記導入体には、前記出口から略水平姿勢で飛び出たICコインと先端が当接し該ICコインを垂直姿勢になるように回転作用を与える突起を前記落下口の近傍の上方に設けたものである。
【0026】
この構成によれば、案内体の出口から払い出されたICコインの行き先に突起があるため、必然的にICコインはこの突起に衝突する。衝突でICコインには回転作用が及ぼされ水平姿勢から垂直姿勢に変えられてゆく。よってICコインはリードライター装置に、そのデータ処理に有利な縦向き姿勢で送り込まれることになるので、信頼性の高い処理を約束できる。
【実施例】
【0027】
以下本発明の一実施例の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明のICコイン処理装置を内蔵した台間機を示す斜視図であり、先ずその全体構成について説明する。
台間機1は、遊技場で横一列に多数並んだパチスロ台、スロットマシン機、パチンコ台などの遊技台と遊技台との間に設置されて、遊技台で使うメダルやパチンコ玉などの遊技媒体を払い出すための装置で、客はこれに紙幣や硬貨を投入しメダル等を購入する。実施例では遊技機としてパチスロ台を例に取る。それゆえ台間機1は、メダルを払い出すものとして説明する。
また台間機1で行われる全ての作動の制御、すなわちメタルの払い出し制御、投入貨幣の真偽や金額計数等の処理制御、ICコインの払い出し制御等、さらに本発明のICコインリーダーライター装置によるデータの送受信制御など、一切を統合的に制御する制御回路100が台間機1の中間部に配した制御ボックス部76内に設置されている。
【0028】
台間機1は、幅狭で遊技台と同程度の高さの細長な金属製の函状本体2を有し、内部に種々の装置が内蔵されている。本体2内に下方部から順に、メダル払い出し装置3、メダル収容部4、紙幣識別装置5が配設され、紙幣識別装置5の上方に本発明のICコイン処理装置6が配設されている。
【0029】
メダル払い出し装置3は、メダルを収容するボール部を有し、その内底面にメダルを払い出すための回転盤(図示せず)を具備している。該回転盤は払い出し指令があると電気モータにより回転駆動され、回転盤に設けた単一或いは複数個の孔状の受け入れ部に、メタル収容部4から落下したメダルが落下した後、回転盤によって1個ずつ払い出されるようになっている。
払い出されたメダルは、下向きに傾斜する樋状のノズルを介して遊技機前面の下部に配置されている受皿に供給される。メダル収容部4の前部には、メダル補給時に手前に開けられる扉4bが設けられている。扉4bは係人が所持するキーを錠部72に差し込んで施錠/開錠される。また扉4bの下位置には表示部8が設けられている。
【0030】
紙幣識別装置5は、前面に紙幣投入口5bを有し、投入された紙幣は内部に設けた例えば磁気センサーやフォトセンサー等を用いた磁気的、光学的な識別検知部で紙幣の真偽が判別される。判別の結果、真正紙幣は識別装置5内の紙幣ストック部に収容され、偽紙幣は紙幣投入口5bに返却される。また投入された紙幣の金額が前述した表示部8に表示される。
【0031】
次にICコイン処理装置6について説明する。先ずICコイン処理装置6でデータを書き込まれ、また読み取られるICコインについて簡単に説明すると、
ICコインは、データを送受信するためのアンテナと半導体メモリーチップ等を内蔵し、プラスチックなど樹脂部材で全体を薄い厚みで円形状にモールドしたコイン形状のものであり、軽量で取り扱い易い。そしてこのICコインを外部に設置された読み取り装置或いは読み取り/書き込み装置に翳したり近接させることで、装置側のアンテナとの間でデータ通信を行うことができる。
【0032】
図2は、このICコイン処理装置6の全体を示した斜視図であり、図3はその正面図、図4はその背面図、図5はその右側面図、図6は図2における左側面図であり、さらに図7は図6におけるA−A線断面図であって、ICコイン処理装置の内部構造が示されている。
そして図8はICコイン処理装置を構成する案内体を回動した時の正面図、図9はその縦断断面図を示し、そして 図10はICコイン処理装置を上面から見た時の斜視図である。
さらに図11は案内体をICコイン送り出し部から分離した際の様相を示す正面図、図12はその斜視図、図13は案内体とICコイン送り出し部との結合時の状態を示す要部断面図である。
【0033】
ICコイン処理装置6は、大きくは3つの構成部、すなわちICコインを貯留しかつ送り出す装置であるICコイン送り出し部10と、ICコイン送り出し部10から送り出されたICコインを列状にして所定の方向へ案内する案内路23が形成された案内体11と、ICコインに対してデータの書き込み及び読み取りを行うリードライター装置12とから成る。そして、ICコイン送り出し部10と、ICコインを列状に送る案内路23とが、ICコインの搬送部70を構成するものとなっている。
【0034】
ICコイン送り出し部10は、合成樹脂製のフレーム17と、フレーム17に装着され、ICコイン15をバラ積み状態で収容する合成樹脂製のボール13と、該ボール13の内底部に傾斜して設けられたICコイン送り出し用の回転ディスク14とを有する。
なお前記回転ディスク14はフレーム17の上部に設置した傾斜したベース部17bに回転自在に装着されている。フレーム17の内部には、前記回転ディスク14を駆動するための電気モーター16が収容されている。また前記ベース部17bの裏面側には前記電気モーター16の動力を前記回転ディスク14に減速伝達するためのギア19が内蔵されている。
【0035】
さらにフレーム17には、前記案内体11を回動自在に支持するための金属製のアームフレーム24が取り付け固定されている。アームフレーム24の両側にアーム24R,24Lが立脚形成され、そのアーム24R,24Lの先端に回動支軸25が設けられている。前記案内体11はこの回動軸25に回動可能に軸支されている。
【0036】
またアームフレーム24の前面部には、前記案内体11をICコイン送り出し部10に固定するための固定孔45(図9,図12,図13参照)が設けられている。この固定孔45に、後述するように、案内体11側に設けたコ字形の係合突起44(図12参照)が嵌合して案内体11を取り付け固定する構成になっている。なおこの係合突起44と固定穴45とにより前記案内体11の固定手段90(図13参照)が構成されるものであるが、固定手段90に付いての詳細は後述する。
【0037】
前記回転ディスク14には、ICコイン15を一個宛受け入れできる1つの貫通孔71が設けられている。
回転ディスク14は、前記ボール13の下部に延設した円筒部13a内の底位置で回転し、その円筒部内凹所に貯留しているICコイン15を攪拌しながら前記貫通孔71内に保持すると共に、円筒部13aの周壁上方の所定個所に設けた送り出し口30(図8参照)から後述する案内路23へと1個ずつ送り出す。
また前記送り出し口30には、固定ローラと、この固定ローラにバネ76により常に接近する方向に附勢された可動ローラ73(図8,図9参照)とから構成されたガイド手段が設けられている。
【0038】
なお、固定ローラーも実際には、若干動きえるようにバネ手段で所定位置に附勢保持し、万が一ICコインが送出口で噛み込みロックするようなことがあった場合に、固定ローラが移動しICコインに対して衝撃が緩和できるようにして、ICコインの損傷防止を図っている。ただそのバネ手段は、可動ローラーを附勢しているバネよりも著しくバネ力の強いものなので、可動ローラーに比べ実質的に固定状態にあるものと言えるので、説明上固定ローラーと記述した。そして前記ガイド手段は、ICコイン15が可動ローラ73を移動させながら両ローラー間を押し広げて出ることで、ICコイン15を弾き出すように機能するものである。このガイド手段を構成する固定ローラと可動ローラ73は、傾斜した前記ベース部17bの上面に配置されている。
【0039】
前記ボール13はプラスチックなどの合成樹脂部材で一体形成された成形品で、かつベース17bに対して着脱可能とされている。すなわち図2、図3等に示すようにボール13の底部の中間部当たりには、先端に係止爪(図示せず)を有した一対の取付脚18が一体形成されており、一方、この取付脚18と対応させてベース17bの下端部側には一対の係止孔(図示せず)が設けられている。
したがって、取り付け脚18をこの係止孔に差し込み、先端の係止爪を取付孔に弾性的に係止することで、ボール13はベース17bに対し簡単に着脱自在に装着可能となっている。これによりボール13や回転ディスク周辺の掃除などを容易に行えるようになる。
【0040】
次にICコインを列状に搬送する案内路23を形成する案内体11について説明する。
案内体11は、半円弧状の形体をした二枚の合成樹脂製の案内路形成板20R,20Lより形成されている。そしてそれぞれの案内路形成板20R,20Lには、その一方の側面部の周囲にコ字型の溝部22,22がその円弧状の外面に沿うように形成されている。また、案内路形成板20R,20Lのそれぞれの中心部には、円筒状の軸受け部26,26が一体形成されている。
案内体11の形成に当たっては、この二枚の案内路形成板20R,20Lを、その溝部22,22を向き合わせて組み合わせる。溝部22と溝部22は所望の間隔で離れて対抗している。
組み合わせ後、要所,要所に固定ビス21を複数本挿通させて締め付け固定する。
これにより、ICコイン15を円弧状の軌跡を辿るように運ぶことのできる略C字形状の案内路23を有した案内体11が形成される。
さらに案内体11には、所望の間隔で溝部22,22が向き合うことにより、それらの間に案内路23と連通する空隙部35が形成され、案内路23の一部が外部に露出するようになる。
ここで、コ字型の溝部22の深さ(案内路形成板の半径方向の幅)は、ICコイン15の厚みより大きく設定される。また向き合う溝部22,22によって形成される案内路23の幅は、搬送される搬送ICコイン15の直径より多少大きめである。溝部22,22間の間隔はそのような案内路23の幅になるように設定される。
【0041】
案内路23をこのような湾曲したC字形状等にすると、ICコイン処理装置6を台間機1内で設置するスペースの高さが限られている場合、同じ設置スペース高さであっても、ICコインが垂直に上りながら運ばれる直線的な案内路よりもC字形状等の案内路23の方が案内路の経路長が長くなり、ICコイン15の貯留量を増やすことができて有利である。
また離間して向き合う溝部22,22により作られる空隙部35から、手指を案内路23に入れ、詰まったICコインなどを摘んで案内路23の出口31に向かって移動させることができるので、その除去を容易にすることができる。
【0042】
こうして作られた案内体11は、ICコイン送り出し部10の上方に回動自在に設けられる。
すなわち案内体11は、その円弧の中心を支点に回動可能にICコイン送り出し部10連結されている。
案内体11の円弧の中心に軸受筒部26,26が形成されている。一方ICコイン送り出し部10のアーム24R,24Lの先端部に、案内体11と同心の回動支軸25が設けられている。案内体11はその軸受筒部26,26を前記回動支軸25に挿通し回動可能に支持する。
この場合、回動支軸25に圧縮コイルスプリング28を介挿し、該スプリングにより案内体11を常に右アーム24R側に附勢した状態にして装着する。
このように案内体11全体が、右アーム24Rに附勢されている時、案内体11のコ字形の係合突起44は圧縮コイルスプリング28のスプリング力でアームフレームの前面24Fの固定孔45に、図12,図13に示すように、その固定孔45の孔口縁部に挟むように嵌合し、案内体11はICコイン送り出し部10と一体に結合する。
こうして案内体11をICコイン送り出し部10にセットしたときには、案内体11側の入り口29(図9参照)とICコイン送り出し部10側の送り出し口30(図9参照)とは合致し、ICコイン送り出し部10から送り出したICコイン15を案内路23側へとスムーズに運ぶことができる。
【0043】
ICコイン送り出し部10の駆動により、案内体11の案内路23に下部の入り口29より略45°位傾斜している姿勢で入ったICコイン15は、後続のICコインに押されC字形状の案内路23を上昇移動する過程でCコイン15の表裏面が反転して上部の出口31からは、略水平な姿勢になって、戻り出るような格好で搬出される。
案内路23の出口31にはICコイン検知センサー32が設けられており、該ICコイン検知センサーがICコイン15の通過を検知すると検知信号が出力する。この検知信号でICコイン送り出し部10の回転ディスク14の回転を停止させ、ICコイン15を1個だけ確実に放出するように制御している。
【0044】
ここで前記出口31の一側には、バネで出口幅を狭める方向に弾性的に附勢されている可動ローラ33が設けられている。
ICコイン15が可動ローラー33をバネに抗して出口幅を広げるように移動させながら通過し、その最大径部が通過した際に可動ローラ33がバネで復帰することにより弾き出されて払い出されるようになっている。
そしてその可動ローラ33は、そのローラの周面が下方部に向かい漸次径少になる逆円錐形状34に形成されている。
【0045】
通常、可動ローラと案内路とは直角な位置関係で配置される。この場合には移動するICコインとローラーとの当たり角度も直角で、ICコインと可動ローラとは全面当たり(ICコインの周縁全体がローラーの周面に全面的に当たる)している。
したがって、ICコインはその移動方向へのみの力を受け、上下方向に移動させたりする作用力は生まれず、ICコインは上下の動きをすることは無い。
しかし、上述したような円弧状に曲がっている案内路23をICコイン15が移動する場合には、ICコイン15は可動ローラ33に対して斜め上向きに、すなわち鈍角で当たり、可動ローラー33の周面にICコイン15が全面当たりしないで、ICコイン15が片当たり(ICコインの周縁の下端部)するようになる。
このため、ICコイン15の斜め上向きの当たり力が、可動ローラ33に沿うような上方への分力を生じる。これによりICコイン15は斜め上向きに向かう力を受け上向きに出ようとするので、後述するICコイン処理部に向かって導入するには不利である。
【0046】
そこで、可動ローラ33の周面を、斜めに移動するICコインと全面当たりをするようにテーパー面、すなわち下にすぼまる逆円錐形状の周面34にする。こうすることにより、ICコイン15の周縁が可動ローラー33の周面34と全面当たりし、ICコイン15を上方へ移動させる分力が生じなくなるので、斜め上向きに出るのを抑えることができるようになり、ICコイン処理部へスムーズに導入することが可能になる。
さらにICコイン15が可動ローラ33を通過する過程では、可動ローラ33の傾斜した周面34がICコイン15を上に動かないように抑えることともなり、ICコイン15の上下の動きも抑えられて水平に円滑に出るようになる。
このようの周面形状の可動ローラ33の採用で湾曲した案内路23であってもICコイン15が上方へ出るのが抑制され、また上下の動きをも減少させることができるので、ICコイン15を出口31からほぼ水平な姿勢で安定して払い出せるようになる。
【0047】
ところで、案内体11の下端部には、案内体11のICコイン送り出し部10に対する着脱動作に連動して、案内路23内の下端のICコイン15を保持する保持手段が設けられている。
保持手段は、実施例では揺動自在に設けた保持板36であり、案内路23に進入しICコイン15を保持する状態と案内路23から抜け出てICコイン15の通過を自由にする退避状態とに移動する。
前記保持板36は、合成樹脂などの樹脂材で形成されていると共に、後述する圧縮コイルスプリング38を受けるための四角い板状でやや湾曲した形状のバネ受け部39を有している。
前記バネ受け部39の一側部には、バネ受け部39と反対側方向に伸びかつ案内体11の空隙部35に臨むような位置に形成された略L字型に屈曲形成された弾性ストッパー部片40を有している。
【0048】
前記保持板36は、右案内路形成板20Rの下端部に配した水平な支軸37にその中間部の軸部が挿通されて揺動可能に軸支されている。かつ案内体11の外周面と前記バネ受け板39との間には圧縮コイルスプリング38が介挿されている。したがって、保持板36は常にこの圧縮コイルスプリング38により反時計方向に回動附勢されている。
この時には保持板36の弾性ストッパー部片40の一部40cが案内路23内に空隙部35を介して入り込んでいる。このため最下端のICコイン15がこの保持板36で落下しないように保持される。
一方弾性ストッパー部片40が案内路23から退避すれば、ICコイン15の通過を可能にする。こうして保持板36はICコインの保持/釈放作用を果たすようになる。
【0049】
それについて更に説明すると、案内体11をICコイン送り出し部10から分離した図9に示すような状態から図7に示すように再度ICコイン送り出し部10側へと回動して結合したとき、図9の状態の保持板36が、図7の状態の保持板36に強制的に変形させられている。
すなわち図6に示す状態にある保持板36は、バネ受け部39が図9の状態より内側(案内体の外周面に接近する方向)に撓んで、圧縮コイルスプリング38を押し縮めており、また弾性ストッパー部片40がアームフレーム24の前面24Fに強く当てがわれるため、弾性ストッパー部片40は、図9の状態より軸部との間を狭くする内方向に撓ませられた状況になっている。
保持板36がこのように強制的に撓んで全体的に若干時計方向に回動するため、弾性ストッパー部片40の一部40cは空隙部35から外に退避し、ICコイン15と非接触でその通行を妨害しないようになる。
なお、弾性ストッパー部片40はその内方に撓んで蓄勢する弾力で、アームフレーム24の前面24Fを強く押しているために、その反発力で案内体11には常に時計方向の回動力が作用している。
【0050】
この状況から案内体11をICコイン送り出し部10から分離すると、セット時に保持板36を撓ませていた外力が無くなり、保持板36は圧縮コイルスプリング38のバネ力で復帰し反時計方向に回動する。
その結果、図9に示すように保持板36の弾性ストッパー部片40の一部40cが空隙部35を通して案内路23内に進出し、最下位のICコイン15bのコイン面に押し当たり、該コイン15bを案内路23から落下しないように保持する。こうして最下位のICコイン15bが保持されるので、案内路23中に保留されている全てのICコイン15が保持されるようになる。
この後、案内体11をリードライタ装置12から引き出すなり、下方に回動するなりして外した後で、案内体11を回動操作すれば、その出口31から案内路23内のICコイン15を回収することができる。また詰まったコインを除去することができる。
【0051】
なお、案内体11を分離する時は案内体11を回動支軸25の圧縮コイルスプリング28に抗して左アーム24L側へと移動させる。すると案内体11をICコイン送り出し部10に固定していた係合突起44とアームフレーム24の固定孔45との嵌合状態が、図12に示すように外れるので、案内体11は回転が自由となってICコイン送り出し手段10から取り外せるようになる。またこの時同時に、保持板36の弾性ストッパー部片40がアームフレーム24の前面24Fを蹴り上げるため、案内体11が図11に示すように若干時計方向に回動させられる。
これにより案内体11はアームフレーム24の戻り止め用突起42を越えて少し先の位置にまで回動して、その側面26が前記突起24と当たり合うようになりストッパー機能が働くようになる。これにて案内体11が圧縮コイルスプリング28で押し戻されることはない。
【0052】
次に案内体11をベース17に固定する手段、詳しくはアームフレーム24に固定するための固定手段90に付き説明する。
案内体11をICコイン送り出し部10にセットした時、案内体11は図2に示されるように、案内体11の軸受け部26近傍の正面側端面部48が、右アーム24Rの突端に水平に張り出し形成した戻り止め用突起42と係合する。これにより案内体11は回り止めされている。
また、案内体の下端部が図12および図13に示した、右案内路形成板20Rの下面下端部に一体形成して設けた断面コ字型の掛け止め体44と、アームフレーム24の前面24Fに切り欠き形成により設けた矩形状の固定孔45との嵌合により結合固定されている。
この断面コ字型の掛け止め体44とアームフレーム24の前面24Fの矩形状の固定孔45とよりなる固定手段90と、前述の戻り止め用突起42と案内体11側の正面側端面部48との当たり合いとの協動により、案内体11はセット状態に固定保持される。
【0053】
案内体11が上述したように圧縮スプリング28で右アーム20R側に引き寄せられるとき、掛け止め体44のコの字型部がアームフレーム24の固定孔45にその穴口縁部を挟み込んで掛け止まる。これにより掛け止め体44と固定孔45とが圧縮コイルスプリング28の弾力で嵌合保持され、案内体11をICコイン送り出し部10に回転不能に取り付け固定することができる。
またこの状況の時、保持板36の弾性ストッパー部片40が支持フレーム24の前面24Fに圧接し撓む反発力で、案内体11全体が時計方向(持ち上がる方向)に回動力を受けている。このため上述の掛け止め体44と固定孔45との掛け止めが、より強まるようになって固定状態がさらに強化されている。
そしてコイン詰まり等で、案内体11をICコイン送り出し部10から分離する必要があるときに、案内体11を圧縮コイルスプリング28を押し縮めて左アーム24L側に寄せる。
戻り止め用突起42との係合を越えるほどに案内体11を移動させると、掛け止め体44は固定孔45から抜け出て固定状態が外れ、案内体11は回転自由となる。
またこの時点で、案内体11の軸受け部26近傍の側面側端面部49が戻り止め用突起42と係合する位置関係になり、案内体11の戻り止めが行われる。この後、案内体11は、この戻り止め用突起42をガイドして回動できるようになる。
【0054】
次にICコインのリードライター装置12について説明する。
前面のパネル部50にICコインの投入口51と返却口52とが設けられている。また表示部53を有し、これには客に対する操作の説明や装置の作動状況等、お知らせ、またICコインの残額や残り度数などの情報などが表示される。またICコインの返却等のための操作ボタン54を備えている。
パネル部50の裏部には、リードライタ部12Aを内蔵し、かつアンテナ装置55を外面に備えた合成樹脂製のボックス形状の装置本体56が設けられている。装置本体56の下部はボウル13の前端部の切り欠き口85に嵌め込まれて支持されている。ICコインのリードライター装置12は、その奥行きの1/2ほどがボウル13の上方開口部に位置した格好で、ICコイン送り出し部10の上方に取り付け設置されている。
【0055】
装置本体56の上部には、投入口51から投入されたICコインを転動案内させるための傾斜した合成樹脂製の傾斜案内路57と、案内体11から搬出されたICコイン15を受け入れてリードライタ部12Aへ落下案内する合成樹脂製の導入体58とが設けられている。
また傾斜案内路57と導入体58との合流部に落下口59が形成されている。落下口59は、さらに下向きの落下通路60から本体装置56の受け入れ口86(図2参照)を経て本体装置56の内部通路に連絡している。
ここで導入体58には、図10に示すように、上面部に前記案内路23の出口31と向かい合う循環口77を有し、循環口77からリードライター部12AへICコイン15を案内する導入体内部通路78が形成されている。導入体内部通路78は通路幅がICコイン15より僅かに幅広の略長方形状に形成されている。
また導入体内部通路78には前記落下口59が右端側に偏在して設けられている。導入体内部通路78、落下口59、下向きの落下通路60及び本体装置の受け入れ口86は、循環口77から案内体11に搬出されたICコイン15をリードライタ部12Aに案内する循環通路61を構成する。
【0056】
この場合、案内体11から略水平姿勢で出たICコインを導入体内部通路78にスムーズに入れ、かつこの狭いエリアの通路78内で容易にICコインを垂直な縦向き姿勢に変えて落下口59に落とし込む必要がある。
そこで、導入体内部通路78において、ICコイン15を支えるための支承壁が通路78の落下口59側には無く、その反対側には狭い幅で通路の行き手方向に延びる支承壁79を設けている。
このため導入体内部通路78に入ったICコイン15は、片方の支承壁79で片側だけを支持される。すなわち片持ち支持されて移動しその移動中にICコインの重心が外れて行って、落下口59側に自然に傾くようになる。
また導入体内部通路78はそのガイド側壁80r,80lを落下口59から遠ざかる方向に曲げて、ICコイン105が進むに従い重心がより外れるようなひねった通路構造としている。このためICコインはこの通路構造により自然に縦向きに回転するようになる。
【0057】
さらにまた、導入体内部通路78の内部には、落下口59に向けてなだらかに傾斜するICコイン姿勢変換用の傾斜内底面81が形成してある。この傾斜内底面81は落下口59に近づくほどに傾斜度合いが大きくなる傾斜底面にすることが好ましい。
これにより導入体内部通路78に入ったICコイン15は通路78を移動するにつれて自重でその端部15Dが下向きに傾いて落下する。また傾斜内底面81に落下した後、その斜面81に沿って落ちて行くうちに更に垂直姿勢に変わって行くようになる。こうしてICコイン15は水平姿勢から最終的にはほぼ垂直姿勢に変更されて落下口59に入る。
ICコイン15が導入体58内を進んで落下口59に入る頃には、ほぼ縦向き姿勢に変わって入り込むようになる。したがって、案内体11がICコイン15を略水平に払い出す構造の案内体11であっても、リードライター部12Aで読み/書き込み処理するのに有利な縦向き姿勢で、ICコイン15を装置本体56の内部通路に何ら支障なく送り込むことができる。
【0058】
さらに、図7に示すように、導入体内部通路78に入り込んだICコイン15に対して先端が当たるように設けられ、当たったICコインはその勢いを減じられ、そして下向きにすなわち垂直姿勢になるように回転作用を及ぼすことのできる突起88を設けるようにしてもよい。突起88は、樹脂製でかつ先端はRにした舳先状の形をした板体のようなものとすることができる。この突起88は導入体内部通路78を施蓋する蓋89の裏に設けるようにする。
上述したように、姿勢変換用の傾斜内底面81や、ICコインの重心を外すようにひねった導入体内部通路78、さらにICコインの飛び出る先に配置した突起88等により、通路の長手方向の距離が十分になく、また通路巾もICコインの幅程度しかないという狭い場所の導入体内部通路78でも、ICコインを水平姿勢から縦向き姿勢にと姿勢変換を行わせることができるようになる。
【0059】
装置本体56の内部通路の部分には、ICコインに対するリードライター処理のために、導入されたICコイン15を一時的に通路中に止めて保持することができる出没自在なストッパー部材74(図7参照)を設けている。
これによりICコイン15は、前記アンテナ装置55によりデータの送受信が行なわれる間、安定して保持されるのでデータの書き込み/読み取り処理が精確に行われる。またプレー時には、そのプレー分に応じた減額処理とその書き込み/読み取りが保持中に逐次行われる。
【0060】
前記装置本体56の内部通路の下流側には、ICコイン15を返却口52とボウル13とに振り分けるように分岐形成された振分通路62が設けられている。振分通路62は、ICコインの返却口52に連絡する払い出し通路63と、ICコイン送り出し部10のボウル13に連絡する回収通路64とより成る。そして両通路の分岐部に、どちらかの通路63,64を前記内部通路と連通するように切り換える通路切り換え部材65が回動自在に配置されている。通路切り換え部材65は、例えば一側を上下方向に配した軸66により枢支した回動自在なシャッターの如きものを採用して選択的に送り先を切り換えることができる。
そして、例えば通常時、シャッターを閉止状態に設定して返却口52に通じる通路構成と成し、一方必要時にシャッターが回動し開くとボウル13へと通じるような通路構成とする。なお、どちらのケースでも、ストッパー手段74は退避作動する。
【0061】
図14は、台間機1の作動を統合的に制御するブロック回路である。制御回路100は中央演算処理部(CPU)、記憶装置であるRAM、ROMを含み、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うものとなっている。
制御回路100の入力側には操作ボタン54、ICコイン検知センサー32が接続されている。また制御回路100の出力側には、通路を切り換える通路切り換え部材65、リードライター部12Aを構成するアンテナ装置55、回転ディスクを回転駆動する電気モータ16、リードライター部12Aで処理中はICコインを保持するストッパー手段74等が接続されている。
【0062】
制御の概略を述べると、ICコインが投入されると、制御回路100はストッパー手段74を通路に突出作動しICコイン15を保持する。同時にアンテナ装置55を作動して、ICコインに対してICコイン処理装置によるデーターの書き込み/読み取り処理などデータ処理が実行される。ICコインの価値データに応じた回数分プレーが行われる。プレーが中途で終了した場合、制御回路100で残額が有ることが判断された時には、ICコインリードライター装置12に受け入れストッパー手段74で保持したICコインに残額を書き込む。続いて通路切り換え部材65を返却口52側に切り換え作動し、同時にストッパー手段74を通路から退避作動する。これにより残額価値データを有したICコインが払い出される。一方、残額が無くなったことが制御回路100で判断されたときには、通路切り換え部材65をボウル13側に切り換え作動し、同時にストッパー手段74を通路から退避作動させて、0価値データのICコインをボウル13に回収する。回収したICコインは次回の払い出し要求時にICコイン送り出し部10を稼動して再利用する。
【0063】
ところで、ICコイン送り出し部10が動作してボウル13内のICコインを発行するケースとしては、様々な態様が想定される。
1.その一つとして、貨幣の投入により回転ディスク14が回転しボウル13内のICコインが一枚宛案内体11から放出され、リーダーライター装置12内に保持した後、これに貨幣に応じた価値データを書き込み、そしてプレーに応じた分の減額処理を行って、客のプレー途中での返却指示にて残額価値のあるICコインを払い出し口52に払い出す。一方、使い切って価値データが0となったことが判別されたら、その保持していたICコインを、通路を切り換えてボウル13に回収しリサイクルに利用する。
【0064】
2.貨幣の投入時にはICコインを発行せず、貨幣投入時にその投入金額の価値データを記憶し、かつその金額内でのプレーを可能にすると共にプレー分に応じた減額処理を行うように制御回路100で制御し、そして途中で客の返却指示があると、始めて回転ディスク14を駆動し案内体11から一枚宛のICコインを放出して、これにリードライター装置12で残額価値データを書き込み払い出し口5に払い出す。
この方式であると、一回の書き込み処理と一回のICコイン送り出し動作で済み、さらに使い切った場合には何らICコインの発行は成されないので、非常に効率的で経済的に処理が行える。また頻繁な書き込み/読み取り処理が無いので、書き込み/読み取りのエラーの発生率も極限し、信頼性の高い処理を維持できるようになる。
【0065】
3.また、外部から投入されたICコインの場合に、リードライター装置12でその価値データを読み取ると同時に制御回路100で記憶し、更にそのICコインを0価値データにする処理を行って、ボウル13に取り込む。その後、上述と同様に価値データをプレーに応じて減額処理を行い、返却時にボウル13内からICコインを発行し、これに残額データを書き込んで払い出し口に払い出すという方式も可能である。
【0066】
4.更に、予め価値データを有するICコインをボウル13内に貯留して置き、上述と同様に投入金額の記憶、それに基づくプレー、さらに減額処理を行い、返却指令時には残額と同等分だけの枚数のICコインを、回転ディスク14を稼動し、ボウル13から発行すると言う方式も取り得る。
これらの方式は、ユーザーの便宜性、店舗の運営方針などを考慮して適宜な方式を選択すれば良い。
【0067】
次に上記構成の台間機1の作用を説明する。なお、払い出し方式として、上述の2を採用したケースを例に採る。
既発行済みのICコインを客が投入口51に投入した場合、傾斜通路57→落下口59→リードライター装置12の内部通路に至り、該通路中に突出しているストッパー手段74で投入ICコイン15は一時的に保持される。リードライター装置12で価値データが読み取られ、客のプレー釦操作でプレーが可能になる。プレー回数に応じた残額処理がリードライター装置12で逐次行われ、プレーが中止するとストッパー手段74が退出動作し内部通路の外に出る。この時、通路切り換え部材65は非動作で内部通路は払い出し通路63側に連絡している。このため、残価値データを書き込まれたICコイン15が返却口52に払い出され、客の手元に戻る。
【0068】
価値データ分全てが使い切られ、残価値が0となった時には、通路切り換え部材65が開くように作動し、その開き口を介して内部通路が回収通路64の方に連通する。このため、ストッパー手段74が退出動作すると、0価値データのICコイン15は、内部通路→回収通路64→ボウル13へと回収され、新規な発行用ICコインとしてIC送り出し部10に留まり再利用される。
【0069】
一方、客が紙幣を紙幣挿入口5bに挿入した場合、紙幣識別装置5による真偽検査の結果得た金額情報を記憶処理し、その価値データ内でのプレーが可能になり、上記と同様にプレー回数分に応じた減額のための演算処理が制御回路部100で逐次行われる。そしてプレーが中止され返却指令があると、ICコイン送り出す部10に駆動指令が入力し、電気モーター16が駆動し回転ディスク14が回転してボウル13内のICコインが一個、搬出部11に送り込まれる。
送り込まれるICコイン15で円弧状の案内路23内のICコイン15が後続のICコインに押されて上方へ順繰りに運ばれる。そのため最先端のICコイン15が一個搬出され、かつ出口31を出る時、そのICコイン15は弾性附勢されている可動ローラー33を移動しながら通過するため、可動ローラー33が復帰する際に弾き飛ばされて導入体58に入る。
またICコインが出たことがICコイン検知センサー32で検出され回転ディスク14は停止する。
周面が逆円錐形状34の可動ローラ33により上向き方向の動きが抑えられて略水平姿勢で出たICコイン15は導入体58に入る。導入体58の受け入れ通路78内で姿勢変換用の傾斜内底面61に落下し該傾斜内底面61を滑り行くうちに徐々に垂直姿勢に変わって行く。また突起88との衝突による回転作用も加わり、垂直姿勢に変換されて行く。
ICコインはこうして垂直姿勢に変換されて円滑に落下口59→内部通路へと至り、装置本体56の所でストッパー手段74により一時的に保持される。そしてリードライター装置12により、残価値データが新たに書き込まれた後、そのICコイン15がストッパー手段74の退避動作により払い出し通路63の方へ転がって払い出される。
【0070】
上述したようにICコイン送り出し部のボウルからICコインが円弧状の案内路を経て発行されると共に、残価値0となったものがボウルに戻され、再度発行に供すると言った循環するような構成になっている。この循環する過程で、送り出し部が具備するボウル13および搬路長が長く確保できる円弧状の案内路23なる個所で、ICコインを従来の構成、機構のものと比較して、より多く貯留することができる。このため、ICコインの発行切れとなる状況が減り、客へのサービス性がアップし、また売上向上等も期待できる。またICコインの補給作業も軽減し管理面的な作業も容易になる。
【0071】
更に、ICコインが排出されない等のトラブルや、定期的な点検などメンテナンス時には、リードライター装置12を外す。続いて案内体11を強制的に左アーム24L側へ移動する。固定手段81である突起44と固定穴45との嵌合が外れて案内体11がフリーに回転操作可能になる。同時に復帰回動する保持板36により、図13に示すように、その弾性ストッパー部片40の角部40cが案内路23中に進出し、最下位のICコイン15bを押さえ込みその落下を阻止する。これにより案内路23中に重積しているICコイン15を保持することができるので、案内体11を回動すればその出口31より難なく取り出すことができる。また詰まりコインの除去もできるので、故障などのトラブルにも速やかに対処することができる。また案内路23内やその周辺の清掃およびICコイン送り出し部10の点検調整なども容易に行うことができる。ここで投入したICコインによるプレーが行われ、その価値データが0となった場合に、シャッターなる通路切り換え部材65を制御してICコインをボウル13に回収し一旦貯留する。こうすると、次に購買客に対して再びICコイン払い出し部10を稼動し、価値データを記憶させ新規に発行するICコインとして再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、本発明のICコイン処理装置を備えた台間機の斜視図である。
【図2】図2は、ICコイン処理装置に全体を示す斜視図である。
【図3】図3は、ICコイン処理装置の正面図である。
【図4】図4は、ICコイン処理装置の背面図である。
【図5】図5は,ICコイン処理装置の右側面図である。
【図6】図6は、ICコイン処理装置の図2における左側面図である。
【図7】図7は、図6のA−A線断面図である。
【図8】図8は、ICコイン送り出し部と案内体との分離時の様相を示した正面図である。
【図9】図9は、図8の状態の時の断面図である。
【図10】図10は、ICコイン処理装置を上方から見た時の斜視図である。
【図11】図11は、案内体がICコイン送り出し部から外れた際の様相を示した正面図である。
【図12】図12は、図11の状態の時の斜視図である。
【図13】図13は、図11の状態の時の要部を示す部分断面図である。
【図14】図14は、台間機1の作動を統合的に制御するブロック回路である。
【符号の説明】
【0073】
1 台間機
6 ICコイン処理装置
10 ICコイン送り出し部
11 案内体
12 リードライター装置
12A リードライター部
13 ボウル
14 回転ディスク
15,15b ICコイン
20R,20L 案内路形成板
22 溝部
23 案内路
31 出口
33 可動ローラ
36 保持手段
40 弾性ストッパー部片
52 返却口
57 傾斜案内路
58 導入体
61 循環通路
62 振分通路
64 回収通路
70 搬送部
77 循環口
78 導入体内部通路
79 支承壁
81 傾斜内底面
88 突起
100 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口(51)、該投入口に投入されたICコイン(15)の記憶情報を読み取るリードライター装置(12)および該リードライター装置から受け入れたICコインを前記リードライター装置へ戻す搬送部(70)を備えるICコイン処理装置において、
前記搬送部はICコインをバラで保留するボウル(13)と、
ICコインを一個ずつ送り出す前記ボウルの底部に配置された回転ディスク(14)と、
該回転ディスクから送り出されたICコインを列にして案内する案内路(23)とを含むことを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項2】
前記ボウル(13)は、前記リードライター装置(12)の下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のICコイン処理装置。
【請求項3】
前記案内路(23)は、円弧状であることを特徴とする請求項1に記載のICコイン処理装置。
【請求項4】
前記案内路(23)は、前記円弧の中心を支点に回動可能であることを特徴とする請求項のICコイン処理装置。
【請求項5】
前記案内路(23)の前記回転ディスク(14)との分離操作に連動して、前記案内路の下端のICコインを保持する保持手段(36)を有する請求項4に記載のICコイン処理装置。
【請求項6】
前記案内路(23)は、左右一対の半円弧状の溝部(22)を形成した案内路形成板(20R,20L)の前記溝部を所望の間隔で向き合わせることにより前記円弧状の案内路が形成されることを特徴とする請求項4および5のそれぞれに記載のICコイン処理装置。
【請求項7】
前記案内路(23)の出口(31)に出口幅を狭める方向に附勢された可動ローラ(33)を配置し、該可動ローラはその周面(34)が下に向かうほどすぼまる逆円錐形状になっていることを特徴とする請求項3ないし7のそれぞれに記載のICコイン処理装置。
【請求項8】
前記リードライター装置(12)は、ICコイン(15)を前記投入口(51)からリードライター部(12A)に案内する傾斜案内路(57)、前記投入口の反対側に位置する循環口(77)、前記循環口から前記リードライター部にICコインを案内する循環通路(61)、前記リードライター部の下に配置した振分通路(62)、前記振分通路に連なり前記投入口の下方に配置した返却口(52)、前記振分通路から前記ボウル(13)に連なる回収通路(64)を有することを特徴とする請求項1に記載のICコイン処理装置。
【請求項9】
前記リードライター部(12A)の上方位置に、前記案内路(23)の出口(31)から略水平姿勢で出たICコイン(15)を前記リードライター部へ導入する導入体(58)を配設し、この導入体にICコインの落下口(59)を偏在して設けると共に、前記導入体には、前記落下口とオフセットしかつそのオフセット側に備わる支承壁(79)にてICコインを片持ち支持する導入体内部通路(78)と、前記落下口に向かってなだらかに下がる傾斜内底面(81)とを設けて、これら導入体内部通路と前記傾斜内底面によりICコインが水平姿勢から垂直姿勢に変更されて前記落下口に落下案内されることを特徴とする請求項1および8のいずれかに記載のICコイン処理装置。
【請求項10】
前記導入体(12A)には、前記出口(31)から略水平姿勢で飛び出たICコイン(15)と先端が当接し該ICコインが垂直姿勢となるように回転作用を与える突起(88)を前記落下口(59)の近傍の上方に設けたことを特徴とする請求項1,8,9のいずれかに記載のICコイン処理装置。






























【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−215798(P2007−215798A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40349(P2006−40349)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】