説明

ICコイン処理装置

【課題】 ICコイン処理装置の内部レイアウトを合理化してその小型化を達成すること。
【解決手段】 当該ICコイン処理装置は、垂直方向に扁平な筐体100を備え、筐体の厚さ方向に対応する側面の1つには、上から順に投入口101、第1排出口102、及び第2排出口103を設け、ICコイン10は、投入口から投入されて第1排出口から排出されるまでは垂直に起こした姿勢で移動し、ストック部300に貯留されて第2排出口から排出されるまでは水平に寝かせた姿勢で移動するものとし、ストック部の中心軸Lは、読取りアンテナ210の読取り位置側に(20±6)°の角度で傾斜しており、ストック部の下端部、書込みアンテナ220の書込み位置、及びICコインをその書込み位置から第2排出口103へ搬送する第4経路440は、直線的に連続し且つ第2排出口に向って下り勾配している構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICコインについてデータの読取り及び書込みを行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコやスロットマシンといった遊戯台の側部には、遊戯媒体の貸出し装置が設置されている。いわゆる台毎サンド、或は台間機等と称されるものである。
【0003】
遊戯媒体の貸出し装置は、基本的には紙幣や硬貨が投入されるとその価格に応じた量の遊戯媒体を供給するものであるが、近年では、遊戯客の便宜を図り、所定の情報記録媒体を扱うものが主流となりつつある。すなわち、投入した紙幣や硬貨の価格を限度に遊戯客が遊戯媒体の貸出し量を任意に設定し、遊戯客がその遊戯台を離れる際には、投入価格と貸出した遊戯媒体との差額を情報記録媒体に記録してこれを提供し、遊戯客が他の遊戯台で再び遊戯をする場合は、紙幣や硬貨の代わりにその情報記録媒体を貸出し装置に投入することができる構成となっている。特許文献1乃至3には、情報記録媒体としてICコインを処理する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−232048号公報
【特許文献2】特開2001−300114号公報
【特許文献3】特開2001−312703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、遊戯媒体の貸出し装置は、更なる多機能化及び高性能化が求められるものの、設置スペースが限られており、情報記録媒体としてICコインを処理する装置についても、その設置スペースを有効に利用するべく小型のものが望まれている。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ICコイン処理装置の内部レイアウトを合理化してその小型化を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1請求項に記載した発明は、ICコインに記録されたデータの読取り、及び前記ICコインへのデータの書込みを行うICコイン処理装置において、当該ICコイン処理装置は、垂直方向に扁平な筐体を備え、前記筐体の厚さ方向に対応する側面の1つには、上から順に投入口、第1排出口、及び第2排出口を設け、前記筐体の内部には、前記データを読取る読取りアンテナと、前記データを書込む書込みアンテナと、前記ICコインを上下方向に積層して貯留する円筒型のストック部と、前記ICコインを前記投入口から前記読取りアンテナの読取り位置へ搬送する第1経路と、前記ICコインを前記読取りアンテナの読取り位置から前記第1排出口へ搬送する第2経路と、前記ICコインを前記読取りアンテナの読取り位置から前記ストック部へ搬送する第3経路と、前記ICコインを前記ストック部の下端部から前記書込みアンテナの書込み位置へ送り出すベルトコンベヤと、前記ICコインを前記書込みアンテナの書込み位置から前記第2排出口へ搬送する第4経路と、前記ICコインを前記投入口で停止させる第1ゲートと、前記ICコインを前記読取りアンテナの読取り位置で停止させる第2ゲート及び第3ゲートと、前記ICコインを前記書込みアンテナの書込み位置で停止させる第4ゲートとを備え、前記第1ゲートを開放すると前記投入口に投入された前記ICコインが前記読取りアンテナの読取り位置にもたらされ、前記第2ゲートを開放すると前記読取りアンテナの読取り位置で停止させた前記ICコインが前記第2経路にもたらされ、前記第3ゲートを開放すると前記読取りアンテナの読取り位置で停止させた前記ICコインが前記第3経路にもたらされ、前記ICコインは、前記投入口から投入されて前記第1排出口から排出されるまでは垂直に起こした姿勢で移動し、前記ストック部に貯留されて第2排出口から排出されるまでは水平に寝かせた姿勢で移動するものとし、前記ストック部の中心軸は、前記読取りアンテナの読取り位置側に(20±6)°の角度で傾斜しており、前記ストック部の下端部、前記書込みアンテナの書込み位置、及び前記第4経路は、直線的に連続し且つ前記第2排出口に向って下り勾配している構成のICコイン処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ICコイン処理装置の内部レイアウトを合理化してその小型化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係り、ICコイン処理装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係り、ICコイン処理装置の内部を示す側面透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すICコイン処理装置1は、情報記録媒体としてICコインを用いる遊戯媒体の貸出し装置に組込まれるユニットであり、ICコイン10に記録されたデータの読取り、及びICコインへのデータの書込みを行うものである。
【0010】
このICコイン処理装置1は、垂直方向に扁平な筐体100を備え、筐体100の厚さ方向に対応する側面の1つには、上から順に投入口101、第1排出口102、及び第2排出口103が設けられている。遊戯媒体の貸出し装置に対しては、投入口101、第1排出口102、及び第2排出口103が設けられた側面が正面側となるように組込まれる。
【0011】
本例の筐体は、本体部110の内部に所定の構成部材を配置して、これに所定の形状の蓋部120を装着してなるものである。ICコイン10は、本体部110と蓋部120との間を通過する構成となっている。
【0012】
筐体100の内部には、データを読取る読取りアンテナ210と、データを書込む書込みアンテナ220と、ICコイン10を上下方向に積層して貯留する円筒型のストック部300が設けられている。
【0013】
また、ICコイン10を投入口101から読取りアンテナ210の読取り位置へ搬送する第1経路410と、読取りアンテナ210の読取り位置から第1排出口102へ搬送する第2経路420と、読取りアンテナ210の読取り位置からストック部300へ搬送する第3経路430と、ICコイン10をストック部300の下端部から書込みアンテナ220の書込み位置へ送り出すベルトコンベヤ500と、ICコイン10を書込みアンテナ220の書込み位置から第2排出口103へ搬送する第4経路440とが設けられている。
【0014】
ベルトコンベヤ500は、モータ501の出力軸に設けられたウォームギア502に輪列503を連結し、この輪列503を介してモータ駆動する構成となっている。
【0015】
更に、ICコイン10を投入口101で停止させる第1ゲート610と、読取りアンテナ210の読取り位置で停止させる第2ゲート620及び第3ゲート630と、書込みアンテナ220の書込み位置で停止させる第4ゲート640とが設けられている。
【0016】
各ゲート610,620,630,640はそれぞれ、筐体100の内部に配置されたソレノイド611,621,631,641にリンク部612,622,632,642を介して連結されており、ソレノイド611,621,631,641に対する通電・断電に応じて開閉する構成となっている。
【0017】
そして、第1ゲート610を開放すると投入口101に投入されたICコイン10が読取りアンテナ210の読取り位置にもたらされ、第2ゲート620を開放すると読取りアンテナ210の読取り位置で停止させたICコイン10が第2経路420にもたらされ、第3ゲート630を開放すると読取りアンテナの読取り位置で停止させたICコイン10が第3経路430にもたらされる構成となっている。
【0018】
また、ICコイン10の通過位置の各要所には、ICコイン10が第1ゲート610を通過したことを検出する第1センサ710と、ICコイン10が第2ゲート620を通過したことを検出する第2センサ720と、ICコイン10が第3ゲート630を通過したことを検出する第3センサ730と、ストック部300に貯留されたICコイン10が許容量に達したことを検出する第4センサ740と、ベルトコンベヤ500にてICコイン10が書込みアンテナ220の書込み位置へ送り出されたことを検出する第5センサ750と、ICコイン10が第4ゲート640を通過したことを検出する第6センサ760とが設けられている。本例の場合、これらのセンサとしては、光透過センサを採用している。
【0019】
読取りアンテナ210、書込みアンテナ220、ベルトコンベヤ500、各ゲート610,620,630,640、及び各センサ710,720,730,740,750,760は、不図示の制御回路にて制御されている。これらの制御方法は特に限定はしないが、基本的に、遊戯媒体の貸出し装置における紙幣や硬貨の投入価格、遊戯媒体の貸出し量、及び読取ったICコイン10のデータに応じて第2排出口103から排出するICコイン10に書込みを行う構成となっている。読取り時に異常があるICコイン10は、第1排出口102から排出される。いずれかのセンサ710,720,730,740,750,760にて異常が検出された場合は、第1ゲート610を閉鎖する。
【0020】
本例の場合、ICコイン10は、投入口101から投入されて第1排出口102から排出されるまでは垂直に起こした姿勢で移動し、ストック部300に貯留されて第2排出口103から排出されるまでは水平に寝かせた姿勢で移動する。ICコイン10は、第3経路430からストック部300に落下する際に倒れ込み、水平方向に寝かせた姿勢となる。尚、具体的形状は特に限定はしないが、第3経路430には、ICコイン10が所定の方向に強制的に倒れ込むような凹凸を設けるとよい。
【0021】
ストック部300の中心軸Lは、読取りアンテナ210の読取り位置側に(20±6)°の角度で傾斜しており、ストック部300の下端部、書込みアンテナ220の書込み位置、及び第4経路440は、直線的に連続し且つ第2排出口103に向って下り勾配している。
【0022】
このような構成によると、ICコイン処理装置1の内部レイアウトを合理化ししてその小型化を達成することができる。以下に、その考え方を説明する。
【0023】
本例によると、ICコイン10は、ベルトコンベヤ500による書込みアンテナ220への送り出しを除けば、その自重で落下移動することとなる。また、ICコイン10を垂直に起こした姿勢で移動する場合と、水平に寝かせた姿勢で移動させる場合とを組合せることにより、ICコイン10の移動スペース全体の狭小化を達成している。特に、水平に寝かせた姿勢で移動させる場合は、ICコイン10の転がりを利用できないところ、本例では、ストック部300の下端部、書込みアンテナ220の書込み位置、及び第4経路440を直線的に連続するものとし、第2排出口103に向って下り勾配させている。つまり、ICコイン10を円滑に移動させるための工夫である。更に、このとき円筒型のストック部300の中心軸Lは、読取りアンテナ210の読取り位置側に傾斜することとなる。本願発明者は、ICコイン10の移動が良好となる傾斜角度を特定すべく試作と実験を繰り返した結果、ストック部300の中心軸Lを(20±6)°の角度で傾斜させるとよいことをつきとめて、本発明を完成させた。ストック部300の下端部、書込みアンテナ220の書込み位置、及び第4経路440の勾配は、中心軸Lの角度に依存する。中心軸Lの角度が小さ過ぎると、その勾配が緩やかになりICコイン10の移動がおぼつかなくなる。また、中心軸Lの角度が大き過ぎると、第2排出口103の位置が下がるので装置が大型化する。そこで本例では、中心軸Lの角度をこのような値に設定している。より実用的な角度は(17±2)°であり、最も望ましい角度は(16±1)°である。
【0024】
以上説明したように、本例のICコイン処理装置は、遊戯媒体の貸出し装置に組込まれるユニットとして極めて合理的に構成されたものである。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のICコイン処理装置は、情報記録媒体としてICコインを用いる遊戯媒体の貸出し装置に組込まれるユニットとして好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 ICコイン処理装置
10 ICコイン
100 筐体
101 投入口
102 第1排出口
103 第2排出口
110 本体部
120 蓋部
210 読取りアンテナ
220 書込みアンテナ
300 ストック部
410 第1経路
420 第2経路
430 第3経路
440 第4経路
500 ベルトコンベヤ
501 モータ
502 ウォームギア
503 輪列
610 第1ゲート
611 ソレノイド
612 リンク部
620 第2ゲート
621 ソレノイド
622 リンク部
630 第3ゲート
631 ソレノイド
632 リンク部
640 第4ゲート
641 ソレノイド
642 リンク部
710 第1センサ
720 第2センサ
730 第3センサ
740 第4センサ
750 第5センサ
760 第6センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICコインに記録されたデータの読取り、及び前記ICコインへのデータの書込みを行うICコイン処理装置において、
当該ICコイン処理装置は、垂直方向に扁平な筐体を備え、
前記筐体の厚さ方向に対応する側面の1つには、上から順に投入口、第1排出口、及び第2排出口を設け、
前記筐体の内部には、前記データを読取る読取りアンテナと、
前記データを書込む書込みアンテナと、
前記ICコインを上下方向に積層して貯留する円筒型のストック部と、
前記ICコインを前記投入口から前記読取りアンテナの読取り位置へ搬送する第1経路と、
前記ICコインを前記読取りアンテナの読取り位置から前記第1排出口へ搬送する第2経路と、
前記ICコインを前記読取りアンテナの読取り位置から前記ストック部へ搬送する第3経路と、
前記ICコインを前記ストック部の下端部から前記書込みアンテナの書込み位置へ送り出すベルトコンベヤと、
前記ICコインを前記書込みアンテナの書込み位置から前記第2排出口へ搬送する第4経路と、
前記ICコインを前記投入口で停止させる第1ゲートと、
前記ICコインを前記読取りアンテナの読取り位置で停止させる第2ゲート及び第3ゲートと、
前記ICコインを前記書込みアンテナの書込み位置で停止させる第4ゲートとを備え、
前記第1ゲートを開放すると前記投入口に投入された前記ICコインが前記読取りアンテナの読取り位置にもたらされ、
前記第2ゲートを開放すると前記読取りアンテナの読取り位置で停止させた前記ICコインが前記第2経路にもたらされ、
前記第3ゲートを開放すると前記読取りアンテナの読取り位置で停止させた前記ICコインが前記第3経路にもたらされ、
前記ICコインは、前記投入口から投入されて前記第1排出口から排出されるまでは垂直に起こした姿勢で移動し、前記ストック部に貯留されて第2排出口から排出されるまでは水平に寝かせた姿勢で移動するものとし、
前記ストック部の中心軸は、前記読取りアンテナの読取り位置側に(20±6)°の角度で傾斜しており、
前記ストック部の下端部、前記書込みアンテナの書込み位置、及び前記第4経路は、直線的に連続し且つ前記第2排出口に向って下り勾配していることを特徴とするICコイン処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−176554(P2010−176554A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20526(P2009−20526)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】