説明

ICタグユニット、及び管理システム

【課題】利便性を維持しながらも、高いセキュリティを得ることが可能なICタグユニット、及びそのICタグユニットを用いた管理システムの提供。
【解決手段】ICタグユニット10は、ICタグ20と、操作部14に特定操作が加えられたことを検出するための状態検出センサー12とを備えている。状態検出センサー12は、特定操作を受ける前は、端子12A,12Bと接続線12Cとが接続された通電状態であり、特定操作を受けた後は、端子12A,12Bから接続線12Cが脱落した不通状態となる。しかも、不通状態は、通電状態とは不可逆的な状態である。ICタグ20は、リーダライタ装置からの動作指令が書込指令であれば、規定物品情報を記憶部に記憶する。ただし、動作指令が書込指令であっても、状態検出センサー12が不通状態であれば、規定物品情報を破棄し、その規定物品情報を記憶部に記憶することなく、処理部の動作を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグユニット、及びそのICタグユニットを用いた管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商品の販売期限(賞味期限,消費期限など)や人の入退室(入退場)等、予め定められた対象(以下、管理対象と称す)を管理するための管理システムが知られている。
【0003】
この種の管理システムとして、無線により外部からの信号を受信すると、記憶部に記憶された管理対象についての情報(データ)を送信するICタグと、そのICタグに対して信号を送信してICタグの記憶部に情報を書き込むと共に、ICタグからの情報を受信するリーダライタ装置とを備えたものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−83250号公報
【特許文献2】特開2004−339789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ICタグの中には、リーダライタ装置からの信号(データ)に従って、記憶部に記憶した情報を書き換え可能に構成されたもの(以下、書換ICタグと称す)がある。
【0006】
その書換ICタグを、上述した管理システムに用いることを考える(以下、想定管理システムと称す)。この想定管理システムでは、一般的に、リーダライタ装置を介して入力された情報が予め登録されたパスワードと一致した場合、ICタグの記憶部に記憶された情報を書き換える権限を有した人物(以下、管理者とする)であるものと判断する。そして、ICタグでは、管理者が入力した情報に従って、記憶部に記憶された管理対象についての情報を書き換えたりまたは追加したりすることがなされる。
【0007】
しかしながら、このような想定管理システムでは、パスワードが一致すれさえすれば、管理者以外の人物であっても、管理対象についての情報を書き換えたりまたは追加したりすることが可能となる。つまり、管理者以外の人物によって、管理対象についての情報が、不正に書き換えられたり、追加されたりする可能性がある。
【0008】
そして、管理対象についての情報が不正に書き換えられたり追加されたりすると、管理対象を正確に管理できないだけでなく、管理システムの利用者に不都合が生じる(例えば、商品の購入者に偽りの賞味期限が知らされるなど)という問題がある。
【0009】
また、ICタグの中には、記憶部に記憶された情報を一度だけ書き換え可能に構成されたもの(いわゆるOneWay型のICタグ)や、記憶部に記憶された情報を読み込むことだけが可能な読み込み専用のもの(いわゆるROM型のICタグ)が知られている。これらのICタグを上述した管理システムに用いれば、管理対象についての情報が不正に書き換えられたり追加されたりすることを低減できる。
【0010】
しかし、これらのOneWay型のICタグやROM型のICタグは、記憶部に記憶した情報を書き換えることができず、利用者にとって使い勝手が悪いという問題がある。
つまり、従来のICタグは、利用者の使い勝手を維持しつつも、高いセキュリティを得ることができないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、利便性を維持しながらも、高いセキュリティを得ることが可能なICタグユニット、及びそのICタグユニットを用いた管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するためになされた本発明は、データを記憶する記憶手段と、記憶手段へのデータの書き込み制御を実行する書込実行手段と、予め規定された信号を外部から受信すると、記憶手段に記憶されているデータを送信する送受信手段とを備えたICタグユニットに関するものである。
【0013】
その本発明のICタグユニットでは、状態検出手段が、特定の操作(例えば、後述する実施形態にて説明するように、特定の部材を剥離したり,引き抜いたり)を受け付けると第1状態とは不可逆的な状態である第2状態へと変化する状態変化機構の状態を検出し、その検出の結果、状態変化機構が第1状態から第2状態へと切り替わると、書込制御手段が、書込実行手段による書き込み制御の実行を禁止する。ただし、ここで言う第1状態とは、特定の操作を受け付ける前の状態変化機構の状態である。
【0014】
このような本発明のICタグユニットに備えられた状態変化機構は、一度、特定の操作を受け付け、第2状態に変更されると、第1状態へと戻されることがない。
したがって、本発明のICタグユニットによれば、状態変化機構が第1状態から第2状態へと切り替えられると、以降、書き込み制御の実行禁止が解除されることがない。よって、本発明のICタグユニットによれば、第2状態へ変化した後は、記憶部に記憶された情報が書き換えられることを防止でき、高いセキュリティを得ることができる。しかも、本発明のICタグユニットでは、状態変化機構が第2状態へと変化する以前の第1状態であれば、記憶部に対して情報を自由に書き込むことができ、利用者にとっての使い勝手のよいものとなる。
【0015】
つまり、本発明のICタグユニットによれば、利便性を維持しながらも、高いセキュリティを得ることができる。
さらに、本発明において、書込制御手段は、請求項2に記載のように、状態変化機構が第1状態である場合には、書込実行手段による書き込み制御の実行を許可するように構成されていることが望ましい。
【0016】
このように構成された本発明のICタグユニットでは、特定の操作を受け付ける前は、記憶手段に対するデータの書き込みが可能である。このため、必要なデータを記憶手段に書き込んだ後、状態変化機構を第2状態に変化させるように、本発明のICタグユニットを使用すれば、必要なデータを確実に記憶手段に保持させることができる。
【0017】
ところで、本発明における状態変化機構が、第1状態において通電可能な配線からなる場合、請求項3に記載のように、第2状態では、配線が切断された状態、または配線の抵抗値が第1状態から変化した状態となるように構成されていることが望ましい。
【0018】
つまり、本発明における状態変化機構は、配線を切断、または配線の抵抗値を変化させることで、第1状態とは不可逆的な状態(即ち、第2状態)を作り出すように構成されていても良い。
【0019】
そして、本発明における状態変化機構は、請求項4に記載のように、特定の操作を受け付けてから予め規定された時間長が経過した後、第2状態へと切り替わるように構成されていても良い。
【0020】
このように構成されたICタグユニットによれば、特定の操作を受け付けてから、データの書き込みが禁止される(即ち、不可能となる)までにタイムラグが生じる。このため、特定の操作が加えられた後、規定された時間長が経過するまでの間は、ICタグユニットの記憶手段にデータを書き込むことができる。
【0021】
なお、時間長が経過した後に第2状態へと切り替わるように構成するためには、配線を形成する素材として、それぞれ導電性を有し、かつ、大気中の水分に触れると抵抗が変化する吸湿抵抗変化物や、大気中の酸素に触れると抵抗が変化する酸化抵抗変化物、大気にさらされると蒸発する蒸発導電性物などを用いることが考えられる。
【0022】
特に、本発明における状態変化機構は、請求項5に記載のように、第1状態から第2状態へと切り替わったことを通知する状態通知機構を備えるように構成されていても良い。
このように構成されたICタグユニットによれば、状態変化機構が第1状態から第2状態へと変化したか否か、即ち、記憶手段に対してデータの書き込みを実行可能な状態であるか不可能な状態であるかを、利用者に認識させることができる。
【0023】
なお、状態通知機構は、請求項6に記載のように、第2状態へと切り替わったことを、表示色の変化によって通知するように構成されていても良い。
つまり、このように構成された状態通知機構では、第1状態から第2状態へと状態変化機構が切り替わったことを視覚的に通知する。この結果、利用者は、第2状態へと切り替わったことを、容易に認識することができる。
【0024】
特に、状態通知機構を、大気にさらされると色が変化する塗料などを用いて構成すれば、簡易な構成で上記効果を得ることができる。
ところで、本発明は、ICタグユニットが取り付けられた物品の状態を管理する管理システムとしてなされたものでも良い。
【0025】
ただし、本発明の管理システムは、請求項7に記載のように、状態管理手段が、送受信手段から送信されたデータである取得データに基づいて、物品の状態を管理し、その管理結果を、報知手段が報知するように構成されている必要がある。
【0026】
なお、管理すべき物品(以下、管理物品と称す)や管理すべき項目(以下、管理項目と称す)に応じて、ICタグユニットを取り付ける物品や、ICタグユニットの記憶手段に記憶するデータは変更される。
【0027】
例えば、工業製品の部分品が管理物品であり、その部分品が真正品であるか否かを、管理項目とする。この場合、本発明の管理システムにおける状態管理手段は、請求項8に記載のように、取得データの中に識別データが含まれているか否かに基づいて、物品の状態として、部分品が真正品であるか否かを管理するように構成されていることが望ましい。ただし、ここで言う識別データとは、ICタグユニットの記憶手段に記憶されるデータの1つであり、部分品を識別するために部分品毎に予め設定されたデータである。
【0028】
このように構成された管理システムによれば、部分品が真正品であるか否かを管理することができ、この結果、部分品として真正品以外のものが利用されることを低減できる。
また、例えば、工業製品の部分品を管理物品とし、その部分品の品質を保証可能な期間を管理項目とする。この場合、本発明の管理システムにおける状態管理手段は、請求項9に記載のように、取得データ中に含まれる品質保証データに基づいて、物品の状態として、部分品の品質が保証される期間内であるか否かを管理するように構成されていることが望ましい。ただし、ここで言う品質保証データとは、記憶手段に記憶されるデータの1つであり、部分品の製造年月日、または部分品の使用開始年月日のうち、少なくとも一方である。
【0029】
このように構成された本発明の管理システムによれば、部分品の品質を保証可能な期間内であるか否かを管理することができ、部分品の品質が保証されるべき期間内であることを利用者に認識させることができる。
【0030】
なお、部分品の品質が保証される期間内であるか否かの管理は、製造年月日や使用開始年月日からの経過時間を管理することで実施しても良いし、品質を保証可能な期限(例えば、年月日)を経過したか否かを管理することで実施しても良い。
【0031】
ここで言う工業製品の部分品としては、例えば、自動車を構成する部分品(ここでいう自動車には、プラスチック製の電気自動車などを含む)や、レーザプリンタ(もしくはコピー機)に装着されるカートリッジ(現像カートリッジやドラムカートリッジ)及び感光体ドラム、インクジェットプリンタに装着されるインクタンクなどが考えられる。
【0032】
さらに、例えば、食料品を管理物品とし、その食料品の品質を保証可能な期間を管理項目とする。この場合、本発明の管理システムにおける状態管理手段は、請求項10に記載のように、取得データ中に含まれる品質管理データに基づいて、物品の状態として、食料品の品質が保証される期間内であるか否かを管理するように構成されていることが望ましい。ただし、ここで言う品質管理データとは、記憶手段に記憶されるデータの1つであり、食料品の製造年月日、賞味期限、消費期限のうち、少なくとも1つを含むものである。
【0033】
このように構成された本発明の管理システムによれば、食料品の品質を保証可能な期間内であるか否かを管理することができる。この結果、利用者(消費者)は、食料品の品質が保証された期間内であることを認識することができる。
【0034】
なお、食料品の品質が保証される期間内であるか否かの管理は、製造年月日からの経過時間が規定範囲内であるか否かを管理することで実施しても良いし、現在の年月日が賞味期限や消費期限を経過したか否かを管理することで実施しても良い。
【0035】
また、ここで言う食料品は、人が食するものであり、例えば、生鮮食料品や加工食品の他に、医薬品、医薬部外品を含むものである。
ところで、本発明のICタグユニットは、請求項11に記載のように、物流の対象となる物流対象物に取り付けられるものであって、記憶手段が記憶するデータが、物流対象物の荷元、荷受け日時、荷受け場所、運搬人、流通経路、流通時刻、荷渡し日時、荷渡し場所、運搬に使用する車両,航空機,鉄道,船舶,のうち、少なくとも1つを含むように構成されていてもよい。
【0036】
このように構成されたICタグユニットであれば、記憶手段のデータを読み出すことで、配達記録の情報を取得することができる。また、状態変化機構が第2状態へと切り替えることで、その時点で記憶手段に記憶されている情報の信頼性を高めることができる。
【0037】
また、本発明のICタグユニットは、請求項12に記載のように、物品に取り付けられるものであって、記憶手段が記憶するデータは物品に対して予め定められた位置を示す情報を含むように構成されていてもよい。
【0038】
このように構成されたICタグユニットであれば、記憶手段のデータを読み出すことで、物品に定められた位置を確認することができる。
ところで、本発明のICタグユニットにおいて書込制御手段は、請求項13に記載のように、状態変化機構が第1状態であれば、書込実行手段による書き込み制御の実行を禁止し、状態変化機構が第1状態から第2状態へと切り替わると、書込実行手段による書き込み制御の実行を許可するように構成されていても良い。
【0039】
このように構成されたICタグユニットでは、状態変化機構が第1状態である間、即ち、特定の操作を受け付けるまでの間は、記憶手段に対するデータの書き込み制御の実行が防止される。
【0040】
そして、第2状態は、第1状態とは不可逆状態であるため、状態変化機構は、一度、特定の操作を受け付け、第2状態に変更されると、第1状態へと戻されることがない。
したがって、このように構成されたICタグユニットによれば、状態変化機構が第1状態から第2状態へと切り替えられた時、即ち、データの書き込みが可能となったタイミングまでは、記憶手段に対してデータの書き込みがなされていない状態であることを保証できる。換言すれば、本発明のICタグユニットによれば、特定の操作を受け付けるまでは、ICタグユニットが未使用であることを保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】情報処理システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】リーダライタ装置31が実行するライト処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図3】リーダライタ装置31が実行するリード処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図4】対象物品8に取り付けられたICタグユニット10の構成図である。
【図5】剥離部16の概略構成を示した説明図である。
【図6】通知機構13の概略構成を示した説明図である。
【図7】状態検出センサー12の周辺構造を示した説明図である。
【図8】ICタグ20の構成を示したブロック図である。
【図9】処理部25の動作手順を示したフローチャートである。
【図10】状態検出センサー112の変形例を示した説明図である。
【図11】第2実施形態における対象物品管理システム70の概略構成を示したブロック図である。
【図12】第2実施形態において、情報処理装置35が実行するレジ精算処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図13】第3実施形態における状態検出センサー周辺の構成を示した説明図である。
【図14】第4実施形態における対象物品管理システム80の概略構成を示したブロック図である。
【図15】第4実施形態において、情報処理装置82が実行する部分品管理処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図16】第5実施形態における配達記録管理システム301の概略構成を示したブロック図である。
【図17】第5実施形態におけるICタグユニット310の構成図である。
【図18】第5実施形態におけるICタグ20Aの構成を示したブロック図である。
【図19】配達記録管理システムの運用を説明するフローチャートである。
【図20】第5実施形態におけるライト処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図21】第5実施形態におけるリード処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図22】第5実施形態におけるICタグ制御処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図23】ICタグユニットの変形例を示す構成図である。
【図24】ICタグユニットの変形例を示す構成図である。
【図25】第6実施形態における図書管理システム401の概略構成を示したブロック図である。
【図26】第6実施形態における検索処理及び棚卸処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図27】第7実施形態における入場システム501の概略構成を示したブロック図である。
【図28】ICタグユニット510及び入場機520を示す構成図である。
【図29】第7実施形態における入場処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
まず、図1は、本発明が適用されたICタグユニット10を中心に構成された情報処理システム1の概略構成を示したブロック図である。
【0043】
〈情報処理システムについて〉
本実施形態における情報処理システム1は、物品に取り付けられるICタグユニット10と、ICタグユニット10との間でデータを送受信するリーダライタ装置31とを備えている。以下、ICタグユニット10が取り付けられる物品を対象物品と称す。
【0044】
このうち、ICタグユニット10は、対象物品についてのデータ(以下、物品情報と称す、詳しくは後述する)を記憶すると共に、その記憶した物品情報を、リーダライタ装置31からの動作指令に従って送信するICタグ20を中心に構成されたものである。
【0045】
また、リーダライタ装置31は、無線通信により、少なくともICタグ20に対する動作指令を送信すると共に、ICタグユニット10からの物品情報を受信するものである。〈リーダライタ装置について〉
次に、リーダライタ装置について説明する。
【0046】
このリーダライタ装置31は、使用者からの情報の入力を受け付ける入力受付部31Aと、入力受付部31Aにて受け付けた情報に従って処理を実行する制御部31Bとを備えている。
【0047】
その制御部31Bは、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、制御部31Bは、アンテナ31Cから予め規定された通信距離内(通信可能範囲内)に存在するICタグユニット10との間で、ICタグユニット10が実行すべき動作内容を表す動作指令を少なくとも含む信号を送信する無線通信処理を行う。
【0048】
この無線通信処理として、ICタグユニット10内のICタグ20に物品情報を書き込むための書込指令、及び物品情報を送信するライト処理と、ICタグ20に記憶されている物品情報を取得するための読出指令を送信するリード処理とのうち、少なくとも一方が用意されている。
【0049】
ここで、図2は、リーダライタ装置31によって実行されるライト処理の処理手順を示したフローチャートである。
このライト処理は、起動されると、図2に示すように、S310では、ICタグ20に記憶すべき物品情報が、入力受付部31Aを介して入力されたか否かを判断する。その判断の結果、物品情報が入力されると、S320へと進む。
【0050】
そのS320では、S310にて入力受付部31Aを介して入力された物品情報、及び書込指令を、アンテナ31Cを介して出力する。
続くS330では、本ライト処理を終了するための終了指令が、入力受付部31Aを介して入力されたか否かを判断する。その判断の結果、終了指令が入力されていなければ、S310へと戻り、終了指令が入力されていれば、本ライト処理を終了する。
【0051】
次に、リード処理について、図3を参照して説明する。その図3は、リーダライタ装置31によって実行されるリード処理の処理手順を示したフローチャートである。
このリード処理は、起動されると、図3に示すように、S410にて、アンテナ31Cを介して読出指令を送信する。
【0052】
続いて、ICタグ20からの返信される物品情報を、アンテナ31Cを介して取得したか否かを判断する(S420)。その判断の結果、物品情報を取得していなければ、当該リーダライタ装置31の通信範囲内にICタグ20が存在しないか、あるいは存在していても物品情報を返信してこないものと判断して、S410へと戻り、読出指令を再度送信する。
【0053】
一方、物品情報を取得していれば、即ち、当該リーダライタ装置31の通信範囲内にICタグ20が存在していれば、S430へと進む。そのS430では、ICタグユニット10から返信された物品情報を用いた物品情報処理を実行する。
【0054】
なお、具体的に、本実施形態における物品情報処理では、ICタグ20から取得した物品情報を、図示しない外部装置に出力する。ただし、物品情報処理は、これに限るものではなく、例えば、物品情報を取得したことを、当該リーダライタ装置31の使用者に通知することでも良いし、その取得した物品情報の内容を、当該リーダライタ装置31の使用者に通知することでも良い。
【0055】
そして、S440では、本リード処理を終了するための終了指令が入力されたか否かを判断する。その判断の結果、終了指令が入力されていなければ、S410へと戻り、読出指令を再度出力する。一方、終了指令が入力されていれば、リード処理を終了する。
【0056】
なお、本実施形態のリーダライタ装置31は、通信可能範囲内に複数の通信対象(具体的にはICタグユニット10)が存在していても各通信対象と通信可能な機能(アンチコリジョン機能)を有している。
〈ICタグユニット10について〉
次に、ICタグユニット10について説明する。
【0057】
ここで、図4は、対象物品8に取り付けられたICタグユニット10の構成図である。
このICタグユニット10は、ICタグ20を収容した本体部19と、予め規定された特定の操作(以下、特定操作と称す)を利用者から受け付けるための操作受付部11とを備えている。
【0058】
このうち、操作受付部11は、利用者が特定操作を加えるための操作部14と、操作部14に特定操作が加えられたことを検出するための状態検出センサー12と、操作部14に特定操作が加えられたことを利用者に通知するための通知機構13とを備えている。
【0059】
操作部14は、本体部19に貼付される剥離部16と、剥離部16に固定されたピン17とからなる。
そして、剥離部16は、空気(特に、酸素)を透過しない材料にて形成された薄膜からなる。その剥離部16は、図5に示すように、全体として、長尺状の五角形に形成されており、無色透明に形成された矩形状の部位である窓部18を有している。
【0060】
その剥離部16は、人の手で剥離可能な程度の粘着力を有した粘着剤により、本体部19に貼付される。ただし、粘着剤は、本体部19から剥離部16が容易に剥離可能となるように、剥離部16における長手方向の一方の端部(以下、把持端と称す)16Aには付されていないものとする。
【0061】
また、ピン17は、本体部19に穿設された孔(以下、嵌入孔と称す)19Aに嵌入されるように円柱状に形成された部材であり、剥離部16と連動するように剥離部16に固定されている。
【0062】
つまり、操作部14は、剥離部16が本体部19から剥離されることを特定操作として受け付けるように構成されている。なお、特定操作を受け付けると、剥離部16に固定されたピン17は、本体部19から剥離される際に嵌入孔19Aから抜き取られる。
【0063】
また、通知機構13は、剥離部16を本体部19に貼付した際に、剥離部16に形成された窓部18に被覆されるように本体部19の表面上19Bに設けられている。その通知機構13は、図6(A)に示すように、予め規定された規定色KCの塗料が塗布された背景部13Bと、特定操作を受け付ける前の状態である旨を示す「書込可能」表示(以下、状態情報と称す)13Cが、背景部13B上に記述された状態情報表示部13Aとからなる。
【0064】
なお、状態情報表示部13Aに状態情報13Cを記述するための塗料は、詳細な説明は省略するが、大気(特に酸素)に触れていない状態では、規定色KCとは異なる色であり、酸素に触れると規定色KCに変化する周知のものである。以下、特定操作を受け付ける前の状態を操作前状態と称し、特定操作を受け付けた後の状態を操作後状態と称す。
【0065】
つまり、通知機構13は、操作前状態においては、図6(A)に示すように、剥離部16(より正確には窓部18)により被覆されているため、状態情報表示部13Aの状態情報13Cと背景部13Bとの表示色が異なる。そして、剥離部16が本体部19から剥離されると、背景部13Bが大気(酸素)に触れ、図6(B)に示すように、状態情報表示部13Aと背景部13Bとの表示色が同一の規定色KCとなる。
【0066】
換言すれば、通知機構13は、状態情報表示部13Aと背景部13Bとの表示色が同一色であるか相違するかによって、操作部14に対して利用者が特定操作を加えたか否かを、利用者に識別(視認)させるように構成されている。
【0067】
〈状態検出センサー〉
ここで、状態検出センサー12について説明する。
図7(A)は、本体部19の嵌入孔19A周辺に形成された状態検出センサー12を嵌入孔19Aの上方から見た上面図であり、図7(B)は、状態検出センサー12を嵌入孔19Aの側方から見た側面図である。
【0068】
図7に示すように、この状態検出センサー12は、本体部19から嵌入孔19A内に突出した2つの端子12A,Bと、その2つの端子12A,Bを接続するための接続線12Cとを備えている。
【0069】
なお、接続線12Cは、導電性を有した線状の部材からなり、端子12Aの先端から嵌入孔19A内に突出するように形成されている。その接続線12Cは、嵌入孔19Aにピン17が嵌入されることで、端子12Aの先端を基点にして折り曲げられ、端子12Bに接触する。ただし、接続線12Cは、端子12Aとの接続強度が、嵌入孔19Aからピン17が引き抜かれると、接続線12Cが端子12Aから脱落する程度に形成されている。
【0070】
つまり、状態検出センサー12は、操作前状態においては、端子12A,12Bと接続線12Cとが接続されたローインピーダンスな状態(即ち、本発明の第1状態、以下、通電状態と称す)である。そして、操作後状態においては、端子12A,12Bから接続線12Cが脱落したハイインピーダンスな状態(即ち、本発明の第2状態、以下、不通状態と称す)となる。しかも、接続線12Cが端子12A,12Bから脱落した状態(即ち、不通状態)は、接続線12Cが端子12A,12B間を接続した状態(即ち、通電状態)とは不可逆的な状態である。
〈ICタグについて〉
次に、ICタグについて説明する。
【0071】
ここで、図8は、ICタグの概略構成を示したブロック図である。
このICタグ20は、図8に示すように、送受信アンテナ21を介してリーダライタ装置31との間で信号(電磁波)を送受信する送受信部22と、送受信部22にて受信した信号に従って起電力を発生して、ICタグ20を構成する各部に対して電源を供給する電源部23とを備えている。さらに、ICタグ20は、物品情報を記憶する記憶部24と、リーダライタ装置31からの動作指令に従って、ICタグ20を構成する各部22,23,24を制御する処理部25とを備えている。
【0072】
このうち、記憶部24は、電源供給が遮断されても記憶内容を保持すると共に、記憶内容を書き換え可能な不揮発性のメモリ(例えば、EEPROMなど)からなる。
また、処理部25は、少なくともCPUを有したマイクロコンピュータを中心に構成されている。さらに、この処理部25には、状態検出センサー12が接続されている。
〈処理部の動作について〉
次に、処理部25の動作について説明する。
【0073】
ここで、図9は、処理部25の動作手順を示したフローチャートである。
処理部25は、リーダライタ装置31からの信号(より正確には、動作指令)を送受信部22が受信して、電源部23から電源供給が開始されると、起動されるものである。以下、処理部25が起動する契機となった動作指令を、今動作指令と称す。
【0074】
この処理部25の動作は、図9に示すように、まず、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する(S110)。
なお、この書込禁止フラグは、設定されていれば、記憶部24へのデータの書き込みが禁止であることを表し、クリアされていれば、記憶部24へのデータの書き込みが許可されていることを表すものである。
【0075】
そのS110での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みでなければ、S120へと進み、状態検出センサー12からの検出信号に従って、剥離部16が本体部19から剥離済みであるか否かを判断する。
【0076】
具体的には、状態検出センサー12からの検出信号が、端子12A,B間が導通する状態(即ち、ローインピーダンス)であれば、剥離部16が本体部19から剥離されていないものと判断する。一方、検出信号が、端子12A,B間が導通しない状態(即ち、ハイインピーダンス)であれば、剥離部16が本体部19から剥離されたものと判断する。
【0077】
そして、S120での判断の結果、剥離部16が本体部19から剥離されていれば、書込禁止フラグを設定して(S130)、その後、S140へと進む。
つまり、剥離部16が本体部19から剥離された後、リーダライタ装置31からの動作指令を最初に受信した際に、書込禁止フラグが設定される。
【0078】
なお、S110での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みである場合には、剥離部16が本体部19から剥離されてから、リーダライタ装置31からの動作指令を複数回受信したものと判断し、書込禁止フラグを設定したまま、S140へと進む。また、S120での判断の結果、剥離部16が剥離済みでない場合、書込禁止フラグを未設定に維持したまま、S140へと進む。
【0079】
続くS140では、今動作指令が書込指令であるか否かを判断する。その判断の結果、今動作指令が書込指令であれば、S150にて、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する。
【0080】
そして、S150での判断の結果、書込禁止フラグがクリアされていれば、リーダライタ装置31から送信された物品情報を記憶部24に書き込んだ後、処理部25の動作を終了する。すなわち、剥離部16が本体部19から剥離されていなければ、処理部25は、記憶部24に記憶されている物品情報を最新の物品情報に更新したり、記憶部24に最新の物品情報を追加したりする。
【0081】
そして、その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
一方、S150での判断の結果、書込禁止フラグが設定されていれば、リーダライタ装置31から送信された物品情報を破棄した上で、処理部25の動作を終了する。すなわち、剥離部16が剥離済みであれば、記憶部24に対する書き込み制御が禁止される。
【0082】
そして、その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
ところで、S140での判断の結果、今動作指令が書込指令でなければ、S170へと進む。
【0083】
そのS170では、今動作指令が読出指令であるか否かを判断する。この判断の結果、今動作指令が読出指令であれば、S180にて、記憶部24に記憶されている物品情報を読み出す。そして、その記憶部24から読み出した物品情報を、送受信部22へと出力する。すると、送受信部22は、その記憶部24から読み出した物品情報をリーダライタ装置31へと送信する。
【0084】
その後、処理部25の動作を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
一方、S170での判断の結果、今動作指令が読出指令以外の動作指令であれば、即ち、今動作指令が、書込指令又は読出指令以外のもの(例えば、ICタグ20の動作をテストするためのチェック指令など)であれば、S190へと進む。そのS190では、今動作指令に従った制御(例えば、チェック指令であれば、ICタグ20が正常に動作するか否かをチェックするチェック動作)を実行する。その後、処理部25の動作を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0085】
つまり、ICタグ20では、リーダライタ装置31からの動作指令を受信すると、処理部25が起動して、その受信した動作指令に従った内容の制御を実行する。そして、処理部25は、通常、動作指令が読出指令であれば、記憶部24に記憶されている物品情報をリーダライタ装置31に対して送信する。
【0086】
一方、動作指令が書込指令であれば、リーダライタ装置31から送信された物品情報を記憶部24に記憶する。ただし、動作指令が書込指令であっても、書込禁止フラグが設定されていれば、リーダライタ装置31から送信された物品情報を記憶することなく、処理部25の動作を終了する。
【0087】
[第1実施形態の効果]
以上、説明したように、本実施形態のICタグ20は、使用者から特定操作(個々では、剥離部16を本体部19から剥離すること)を操作部14が受け、状態検出センサー12がハイインピーダンスとなると、リーダライタ装置31から受信した物品情報の記憶部24への書き込みを禁止する。なお、ICタグ20は、状態検出センサー12がハイインピーダンスとなると、この物品情報を記憶部24に対して書き込む処理に替えて、リーダライタ装置31からの物品情報を受信しないように構成しても良い。
【0088】
そのハイインピーダンスは、一度、剥離部16が剥離されることで、端子12A,12Bから接続線12Cが脱落、あるいは接続線12Cが切断した通電不可能な状態であり、しかも、剥離部16が本体部19から剥離される前の通電状態とは不可逆的な状態である。
【0089】
したがって、本実施形態のICタグ20によれば、剥離部16が本体部19から剥離されると、以降、書き込み制御の実行禁止が解除されることがない。よって、本実施形態のICタグユニット10によれば、剥離部16を本体部19から剥離することを特定操作として受け付けた後は、記憶部24に対する書き込みが実行されることを防止できる。
【0090】
これらの結果、利便性を向上させつつ、高いセキュリティを得ることが可能なICタグユニット10を提供することができる。
また、本実施形態のICタグユニット10では、剥離部16が本体部19から剥離されると、状態情報表示部13Aが、背景色と同一色に変化する。
【0091】
このため、本実施形態のICタグユニット10によれば、そのICタグユニット10に対して書込制御を実行可能な状態であるのか不可能な状態であるのかを、利用者の視覚に意味を有した情報によってうったえる。この結果、利用者は、記憶部24への書き込みが不可能な状態へと切り替わったことを、ICタグユニット10の使用方法を習得することなく、文字情報で容易に認識することができ、書き込みが不可能であるにも拘わらず誤って実行する等の誤操作を低減できる。
【0092】
[第1実施形態の変形例]
以上、本発明の第1実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0093】
例えば、上記実施形態のICタグユニット10においては、状態検出センサー12及び接続線12Cは、接続線12Cが、嵌入孔19Aからピン17が引き抜かれると、端子12Aから脱落する線材から構成されていたが、状態検出センサー12及び接続線12Cの構成は、これに限るものではない。
【0094】
図10に示すように、状態検出センサー112は、本体部19に形成された窪み119A内に突出した端子112A,112Bを有し、剥離部116の背面に固着され、かつ導電性を有した薄膜112Dが接続線12Cとして機能するように構成されていても良い。
【0095】
この場合、薄膜112Dは、剥離部16が本体部19に貼付されている間、窪み119A内に突出した端子112A,112Bと接触する位置に固着されている必要がある。
また、上記実施形態におけるICタグユニット10では、記憶部24へのデータの書き込みが禁止されているか否かを、書込禁止フラグを利用して表したが、記憶部24へのデータの書き込みが禁止されているか否かを表す方法は、これに限るものではない。例えば、剥離部16が剥離されると、その旨を示す(例えば、ローレベルな)信号を維持するようなラッチ回路を処理部25に設けても良い。そして、その信号が維持されている期間は、記憶部24への書込を禁止するように構成しても良い。
【0096】
さらに言えば、例えば、ICタグ20が、処理部25と記憶部24との間のデータバスを、書き込み用と読み込み用とのそれぞれを備えている場合には、剥離部16が本体部19から剥離されると、その書き込み用のデータバスを切断するように構成されていても良い。すなわち、ICタグ20は、特定操作を受け付けると、データの書き込みを物理的に不可能とするように構成されていても良い。
【0097】
また、上記実施形態におけるICタグユニット10では、ICタグ20の電源供給方式として、リーダライタ装置31からの信号を受信すると、その受信した信号によって発生する起電力をICタグ20を構成する各部に供給するパッシブ方式としていたが、電源供給の方式は、ICタグ20に搭載した電源(電池)から各部に供給するアクティブ方式としても良い。
【0098】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態として、第1実施形態における情報処理システム1を用いて構成した対象物品管理システムについて説明する。
【0099】
ここで、図11は、本実施形態の対象物品管理システムの概略構成を示したブロック図である。
〈対象物品管理システムについて〉
この対象物品管理システム70は、小売店において、消費者が購入する商品の状態,商品の販売数(以下、商品状態等と称す)を管理すると共に、消費者が購入する全商品を精算するためのものである。
【0100】
このため、対象物品管理システム70は、商品それぞれに取り付けられるICタグユニット110と、そのICタグユニット110に物品情報を書き込むためのライト装置71と、ICタグユニット110に書き込まれた物品情報を取得して、購入商品を精算するための複数台の金銭登録機30と、精算に必要な物品情報を記憶するサーバ72とを備えている。
【0101】
このうち、ICタグユニット110は、第1実施形態にて説明したものと同一であるため、ICタグユニット110を構成する各部については、第1実施形態におけるICタグユニット10を構成する各部と同一の符合を付して、ここでの説明は省略する。
【0102】
また、ライト装置71は、第1実施形態にて説明したライト処理のみを実行可能に構成されたリーダライタ装置31である。このため、ライト装置71を構成する各部については、第1実施形態におけるリーダライタ装置31を構成する各部と同一の符合を付して、ここでの説明は省略する。
【0103】
このライト装置71によりICタグ20の記憶部24に書き込まれる物品情報には、商品を識別するための識別情報(以下、商品識別情報と称す)が、少なくとも含まれている。
【0104】
特に、商品が食料品である場合には、商品識別情報に加えて、その食料品の製造日時、その食料品の製造者名、その食料品の賞味期限または消費期限を、物品情報として含んでいる。なお、本実施形態における食料品とは、いわゆる生鮮食料品,加工食品に加えて、医薬品,医薬部外品、特定健康食品を含むものである。
【0105】
本実施形態において、ICタグユニット110は、商品、または商品を包装する容器(以下、商品等と称す)に取り付けて使用される。このICタグユニット110を商品等に取り付ける形態としては、ICタグユニット110をシート状に形成して、商品等に貼付しても良いし、ICタグユニット110をチップ状に形成して、商品等に埋設しても良い。
【0106】
このICタグユニット110を取り付ける場合、小売店の店員は、対象物品が食料品以外の商品(例えば、衣料品や生活雑貨)であれば、ライト装置71の入力受付部31Aを介して、商品識別情報のみを物品情報として入力する。一方、対象物品が食料品であれば、ライト装置71の入力受付部31Aを介して、商品識別情報,製造日時,製造者名,賞味期限(または消費期限)を物品情報として入力する。
【0107】
そして、ライト装置71にライト処理を実行させて、物品情報をICタグ20の記憶部24に記憶させる。その上で、小売店の店員は、ICタグユニット110の剥離部16を本体部19から剥離し、その剥離部16が剥離されたICタグユニット110を商品等に取り付ける。
【0108】
すなわち、商品等に取り付けられたICタグユニット110は、剥離部16が本体部19から剥離されたものであり、ICタグ20の記憶部24には、物品情報が記憶されている。
【0109】
また、サーバ72は、ROM,RAM,CPUを少なくとも有した周知のマイクロコンピュータ、及び記憶装置を中心に構成された周知のものである。
そのサーバ72の記憶装置には、各商品について、商品識別情報と、その商品識別情報に対応する商品(以下、当該商品と称す)の種類(例えば、当該商品が食料品であるか否か)と、当該商品の販売価格とが対応付けて格納されている。
【0110】
以下、商品識別情報と販売価格とを対応付けた情報を販売情報と称す。なお、この販売情報は、小売店の店員などにより、必要に応じて随時変更されるものである。
〈金銭登録機について〉
次に、金銭登録機について説明する。
【0111】
この金銭登録機30それぞれは、無線通信により、ICタグ20に対する読出指令を出力して、ICタグユニット110から物品情報を取得するリード装置33と、リード装置33にて取得した物品情報に基づいて、商品状態等を管理すると共に、消費者が購入する商品の全金額を精算する情報処理装置35とを備えている。
【0112】
このうち、リード装置33は、第1実施形態にて説明したリード処理のみを実行可能に構成されたリーダライタ装置31である。
すなわち、本実施形態においては、商品等に取り付けられたICタグユニット110と、リード装置33とにより、第1実施形態にて説明した情報処理システム1を構成している。
【0113】
一方、情報処理装置35は、ROM,RAM,CPUを少なくとも有した周知のマイクロコンピュータ35Aを中心に構成され、操作部35B,及び報知部35Cを備えている。
【0114】
このうち、操作部35Bは、外部からの操作に従って情報の入力を受け付けるものである。また、報知部35Cは、マイクロコンピュータ35Aからの信号に従って画像を表示する表示部と、マイクロコンピュータ35Aからの信号に従って音声を出力する音声出力部とを備えている。
【0115】
つまり、情報処理装置35は、マイクロコンピュータ35Aが処理プログラムに従って処理を実行するように構成されている。そして、情報処理装置35を構成するマイクロコンピュータ35Aは、商品状態等を管理すると共に、それらの商品販売を精算するための精算処理を実行する。
【0116】
ここで、図12は、精算処理の処理手順を示したフローチャートである。
この精算処理は、情報処理装置35が起動されると、情報処理装置35のマイクロコンピュータ35Aによって実行されるものである。
【0117】
そして、図12に示すように、精算処理は、起動されると、S720にて、リード装置33から物品情報が入力されたか否かを判断する。その判断の結果、物品情報が入力されていなければ、入力されるまで待機する。一方、物品情報が入力されると、S730へと進む。
【0118】
すなわち、商品等に取り付けられたICタグ20が、リード装置33の通信範囲を通過すると、リード装置33がICタグ20から取得した物品情報が、情報処理装置35に入力される。
【0119】
そして、S730では、S720にて入力された物品情報(以下、今物品情報と称す)に含まれている商品識別情報が、食料品であることを表しているか否か、即ち、当該商品が食料品であるか否かを判断する。その判断の結果、当該商品が食料品であれば、S740へと進む。
【0120】
そのS740では、現在の日時が、今物品情報に含まれている賞味期限を経過しているか否かを判断する。そして、判断の結果、現在の日時が、賞味期限を経過していなければ、S750へと進む。
【0121】
さらに、S750では、現在の日時から賞味期限までの時間長(以下、保証可能期間と称す)が、予め規定された規定時間長未満であるか否かを判断する。その判断の結果、保証可能期間が規定時間長未満であれば、当該商品が割引対象であるか否かを判断して、S760へと進む。
【0122】
そのS760では、保証可能期間に基づいて、当該商品に対する割引率を決定し、S770へと進む。
本実施形態では、保証可能期間が短いほど、当該商品に対する割引率が階段状に大きなものとなるように、保証可能期間の長さと割引率とが対応付けられた割引率マップに従って、一義的に決定する。例えば、割引率マップは、保証可能期間が20日から29日までの期間は、10%の割引率が、保証可能期間が10日から19日までの期間は、20%の割引率が、保証可能期間が0日から9日までの期間は、30%の割引率に設定されている。
【0123】
ところで、S730での判断の結果、当該商品が食料品でなければ(例えば、当該商品が、衣料品や生活雑貨である場合)には、S740からS760を実行することなく、S770へと進む。また、S750での判断の結果、保証可能期間が規定時間長以上である場合にも、S770へと進む。すなわち、当該商品の売価を販売価格から割り引く必要がない場合には、S760を実行することなく、S770へと進む。
【0124】
そして、S770では、当該商品の販売金額(いわゆる売価)を算出する。
本実施形態では、サーバ72に格納されている当該商品についての販売価格に、S760にて決定した割引率(より正確には、1−割引率/100)を乗じた価格を販売金額として算出する。ただし、S730またはS750にて否定判断されて(即ち、S760を経ることなく)S770へと進んだ場合には、サーバ72に格納されている当該商品に対する販売価格そのものを販売金額として算出する(即ち、割引率を0とする)。
【0125】
続いて、今サイクルのS770にて算出した販売金額を、前サイクルまでに算出した販売金額の積算値に加算し(S780)、S800へと進む。すなわち、S780では、消費者が購入予定の全商品について販売金額を合計する。
【0126】
ところで、S740での判断の結果、現在の日時が、賞味期限を経過していれば、S790へと進む。
そのS790では、当該商品の賞味期限が切れており、当該商品が販売対象として不適切である旨を報知部35Cに出力させる。すなわち、S790では、当該商品の賞味期限が過ぎていることを音声出力部から出力させると共に、その旨を表す画像を表示部に表示させる。そして、その後、S800へと進む。
【0127】
さらに、S800では、商品の販売数、販売金額を確定するための精算指令が、操作部35Bを介して入力されたか否かを判断する。その判断の結果、精算指令が入力されていなければ、S720へと戻り、精算指令が入力されると、S810へと進む。
【0128】
そして、S810では、S790にて確定された商品の販売数及び販売金額を、サーバ72に記憶すると共に、その販売数及び販売金額をレシートに印刷する。つまり、消費者が購入した商品について精算する。
【0129】
その後、S720へと戻り、新たな物品情報が取得されるまで待機する。
つまり、精算処理では、ICタグ20から取得した物品情報を、サーバ72中の情報に照合することで、当該商品が食料品であり、賞味期限が切れていないか判断する。さらに、その当該商品について、賞味期限が切れていなければ、割引対象であるか否かを判断し、割引対象であれば、販売金額を自動的に割り引く。
[第2実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の対象物品管理システム70では、商品等が店頭に並べられた時点でICタグ20に書き込まれている物品情報が不正に書き換えられることがない。このため、消費者は、商品等に取り付けられたICタグユニット110から取得できる情報に従って、商品等を安心して購入できる。
【0130】
特に、本実施形態における精算処理によれば、賞味期限切れの商品を精算時に報知するため、賞味期限が切れた商品を誤って販売してしまうことを防止できる。
また、本実施形態における精算処理によれば、賞味期限が近づいている食料品を自動的に割り引くため、従来のように割り引きボタンを一回一回操作する必要がなくなる。このため、小売店の店員が商品の割引を失念することを防止できる。
[第2実施形態の変形例]
以上、本発明の第2実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0131】
例えば、上記実施形態では、ICタグユニット110を商品等に取り付けることは、小売店などで実施していたが、このICタグユニット110を商品等に取り付けることは、商品等を製造するメーカが商品等を出荷する際に実施しても良い。
【0132】
また、上記実施形態における精算処理では、S740にて、当該商品が食料品である場合、その食料品の賞味期限が切れているか否かを判断したが、このS740では、消費期限が切れているか否かを判断しても良い。
【0133】
また、上記実施形態においては、リード装置33と情報処理装置35とが専用の接続線にて接続されていたが、リード装置33は、情報処理装置35と汎用の接続線によって接続されていても良いし、無線によって接続されていても良い。
【0134】
なお、対象物品管理システム70は、商品の在庫管理に用いても良い。つまり、物品情報を書き換えたり、追加したりする必要のない対象物品にICタグユニット110が取り付けられ、そのICタグユニット110から取得した情報を管理するように適用されていれば、適用箇所はどのようなものであっても良い。
【0135】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態における情報処理システムは、第1実施形態における情報処理システム1とは、ICタグユニットの状態検出センサーの構成が異なるのみである。
【0136】
このため、第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態とは異なる状態検出センサーの構成を中心に説明する。
〈操作受付部について〉
ここで、図13は、本実施形態における状態検出センサーを中心とした操作受付部11の構成を示した説明図である。
【0137】
本実施形態の状態検出センサー212は、本体部19に形成された窪み219A内に突出した端子212A,212Bと、両端子212A,212Bに接触するように窪み219A内に配置された状態変化物質212Eとからなる。
【0138】
そして、状態変化物質212Eは、詳細な説明は省略するが、導電性を有し、かつ大気に触れると蒸発する蒸発導電性物からなり、接続線12Cとして機能するように構成されている。
【0139】
[第3実施形態の効果]
このような状態変化物質212E(即ち、蒸発導電性物)を接続線12Cとして用いれば、窪み219Aに配置する蒸発導電性物質の量を増加することで、端子212A,212B間を通電可能な時間を長くすることができる。すなわち、このように構成された状態検出センサー212を備えたICタグユニットでは、特定操作(ここでは、剥離部16を本体部19から剥離すること)が加えられた後、端子212A,212B間を通電不可能となるまでに時間を要する。換言すれば、このようなICタグユニットによれば、特定操作が加えられてから、記憶部24にデータの書き込みが不可能となるまでにタイムラグを設けることができる。
【0140】
[第3実施形態の変形例]
以上、本発明の第3実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0141】
例えば、上記実施形態における接続線12Cは、剥離部16が剥離されると、端子12A,B(または、212A,B)間が通電されないように構成されていたが、接続線12Cは、剥離部16が剥離されると抵抗が変化するように構成されていても良い。すなわち、状態検出センサー12(212)は、接続線12Cの抵抗値が、予め規定された抵抗値から設定限度以上変化した場合、剥離部16が本体部19から剥離されたものと処理部25が判断するように構成されていても良い。
【0142】
この場合、接続線12Cとして、本体部19に形成された窪み219A内に配置された状態変化物質212Eが用いられている必要がある。しかも、その状態変化物質212Eとしては、それぞれ導電性を有し、かつ、大気中の水分に触れると抵抗が変化する吸湿抵抗変化物(塩化カリウムや塩化マグネシウム)や、大気中の酸素に触れると抵抗が変化する酸化抵抗変化物のうち、一方が用いられている必要がある。
【0143】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態として、第3実施形態における情報処理システム1を用いて構成した対象物品管理システムについて説明する。
【0144】
ここで、図14は、本実施形態の対象物品管理システムの概略構成を示したブロック図である。
〈対象物品管理システムについて〉
この対象物品管理システム80は、外部から入力された印刷データに基づいて、記録媒体(例えば、原稿)に画像を形成する画像形成装置において、その画像形成装置に用いられる消耗部品の交換時期等を管理するためのものである。
【0145】
このため、対象物品管理システム80は、画像形成装置を構成する特定の部品それぞれに取り付けられるICタグユニット210と、ICタグユニット210に物品情報を書き込むと共に、その書き込まれている物品情報を取得するリーダライタ装置83と、リーダライタ装置83にて取得した情報に基づいて、交換時期等を管理する情報処理装置82とを備えている。
【0146】
このうち、ICタグユニット210及びリーダライタ装置83は、第3実施形態にて説明したものと同一であるため、これらのICタグユニット210及びリーダライタ装置83を構成する各部には、第3実施形態におけるICタグユニット及びリーダライタ装置を構成する各部と同一の符合を付して、ここでの説明は省略する。
【0147】
なお、本実施形態においては、対象物品管理システム70を構成するリーダライタ装置83、及び情報処理装置82は、画像形成装置内に組み込まれている。
そして、リーダライタ装置83及び情報処理装置82が組み込まれる画像形成装置は、感光ドラム上に静電潜像を形成するスキャナユニットと、画像形成プロセスを実行するためのプロセスカートリッジと、記録媒体に画像を定着させる定着ユニット等とを備えた、周知のレーザプリンタとして構成されている。
【0148】
このうち、プロセスカートリッジは、画像形成プロセスとして、帯電,現像,転写,クリーニング(感光体のクリーニング)を行うための構成を備えたカートリッジであり、画像形成装置本体に対し着脱可能に装着されている。このプロセスカートリッジは、ドラムカートリッジと、このドラムカートリッジに着脱可能に装着される現像装置である現像カートリッジとから構成されている。
【0149】
すなわち、ドラムカートリッジは、感光ドラム、帯電器、転写ローラ等を内蔵するものであり、現像カートリッジは、非磁性の現像剤であるトナーを収納するものである。なお、これらのドラムカートリッジや現像カートリッジは、周知のように、記録媒体に画像を形成した回数や、時間の経過によって、品質が劣化する。つまり、これらのカートリッジは、適切なタイミングで交換することが求められる消耗部品である。
〈情報処理装置について〉
次に、情報処理装置82について説明する。
【0150】
この情報処理装置82は、ROM,RAM,CPUを少なくとも有した周知のマイクロコンピュータ82Aを中心に構成され、補助記憶装置(例えば、HDD),操作部82B,及び報知部82Cを備えている。
【0151】
このうち、操作部82Bは、外部からの操作に従って情報の入力を受け付けるものである。また、報知部82Cは、マイクロコンピュータ82Aからの信号に従って画像を表示する表示部と、マイクロコンピュータ82Aからの信号に従って音声を出力する音声出力部とを備えている。
【0152】
そして、本実施形態において、情報処理装置82を構成するマイクロコンピュータ82Aは、対象物品が真正品であるか否か、その対象物品の品質保証期間内であるか否かを管理する部分品管理処理を実行する。
【0153】
なお、本実施形態においては、ドラムカートリッジや現像カートリッジには、ICタグユニット210が取り付けられた状態で出荷される。すなわち、ICタグユニット210は、対象物品としてのドラムカートリッジや現像カートリッジに取り付けて使用される。以下、ICタグユニット210が取り付けられたカートリッジを当該カートリッジと称す。
【0154】
そして、画像形成装置の利用者は、ICタグユニット210の剥離部16を本体部19から剥離し、その剥離部16が剥離されたICタグユニット210が取り付けられたカートリッジを画像形成装置に装着する。
【0155】
このとき、リーダライタ装置83にライト処理を実行させて、物品情報をICタグ20の記憶部24に記憶させる。
そして、本実施形態において、ICタグ20の記憶部24に記憶される物品情報には、当該カートリッジが装着される画像形成装置を識別するための識別コードと、当該カートリッジを画像形成装置に装着した日時(ここでは、年月日とする)である装着日時とを、少なくとも含んでいる。なお、識別コードは、画像形成装置毎に予め規定された範囲内の文字列(数字列)からなり、情報処理装置35の記憶装置に格納されている。
【0156】
ここで、図15は、部分品管理処理の処理手順を示したフローチャートである。
この部分品管理処理は、情報処理装置35が起動されると(本実施形態では、画像形成装置が起動されると)、情報処理装置35のマイクロコンピュータ82Aによって実行されるものである。
【0157】
そして、部分品管理処理は、起動されると、まず、S905にて、リーダライタ装置83から物品情報が入力されたか否かを判断する。その判断の結果、物品情報が入力されていなければ、S910へと進む。
【0158】
そのS910では、物品情報が前回入力されてから、もしくは部分品管理処理が起動されてからの経過時間(以下、第1経過時間と称す)が、予め規定された所定時間(即ち、時間長)以上であるか否かを判断する。その判断の結果、第1経過時間が所定時間未満であれば、S905へと戻る。一方、S910での判断の結果、第1経過時間が所定時間以上であれば、ドラムカートリッジや現像カートリッジに、ICタグユニット210が取り付けられていない、即ち、カートリッジが不正品であるものと判断して、S915へと進む。
【0159】
そのS915では、不正品の使用中止を促す旨を報知させるための信号を報知部82Cに出力する。すると、音声出力部は、不正品の使用中止を促す旨を音声にて出力し、表示部は、不正品の使用中止を促す旨の画像を表示する。そして、その後、S905へと戻る。
【0160】
ところで、S905にて、物品情報が入力されると、即ち、当該カートリッジそれぞれから物品情報が取得されると、S920へと進む。
続くS920では、S905にてリーダライタ装置83から入力された物品情報中の識別コード(以下、今取得コードと称す)を、登録済コードに照合する。ただし、ここで言う登録済コードとは、予め画像形成装置に記憶されている識別コードである。
【0161】
そして、S930では、S920にて照合した結果、今取得コードと登録済コードとが一致したか否かを判断する。その判断の結果、今取得コードが登録済コードに一致すれば、S950へと進む。
【0162】
そのS950では、当該カートリッジが画像形成装置に装着されてからの経過時間(以下、第2経過時間と称す)が、予め規定された使用限界期限内であるか否かを判断する。ここで言う、使用限界期限とは、当該カートリッジが画像形成装置に装着されてから、その当該カートリッジの品質を保証可能な期間の時間長である。
【0163】
また、第2経過時間が使用限界期限内であるか否かを判断する具体的な方法としては、現時点での日時から、物品情報中に含まれている装着日時を引いた時間長(即ち、差)が、使用限界期限よりも小さければ、第2経過時間が使用限界期限内であるものとすることが考えられる。
【0164】
そのS950での判断の結果、第2経過時間が使用限界期限内であれば、S905へと戻る。そして、新たな物品情報が入力されるまで待機する。これは、当該カートリッジが真正品であり、現時点においては、当該カートリッジの品質を保証可能であるものとして、その当該カートリッジの使用継続に不都合がないためである。
【0165】
一方、S950での判断の結果、第2経過時間が使用限界期限を超えていれば、S960へと進む。このような場合、当該カートリッジは真正品であるものの、当該カートリッジの品質を保証できないもの、または一度使用済みとなった現像カートリッジに現像材(トナー)のみを再度詰め直した再生品であるものと判断できるためである。
【0166】
なお、S930での判断の結果、今取得コードが登録済コードに一致していない場合、即ち、現在使用されているカートリッジが不正品であるものと判断して、S960へ進む。ここでいう不正品とは、ICタグユニット210とは異なるICタグ(例えば、記憶部24に識別コードが記憶されていないICタグ)が取り付けられたカートリッジや、再生品を表す。
【0167】
そのS960では、当該カートリッジを真正品であり、かつ品質が保証されたもの(以下、新カートリッジと称す)に交換すべき旨を報知させるための信号を報知部82Cに出力する。すると、音声出力部は、当該カートリッジを新カートリッジに交換すべき旨を音声にて出力し、表示部は、当該カートリッジを新カートリッジに交換すべき旨の画像を表示する。そして、その後、S905へと戻り、新たな物品情報が入力されるまで待機する。
【0168】
つまり、本実施形態の部分品管理処理では、物品情報を取得可能であるか否か、または物品情報中に識別データが含まれているか否かに基づいて、当該カートリッジが真正品であるか否かを管理する。これと共に、本実施形態の部分品管理処理では、物品情報中に含まれている装着日時に基づいて、部分品の品質を保証可能か否かを管理している。
[第4実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の対象物品管理システム80では、カートリッジを画像形成装置に装着した際にICタグ20に書き込まれる物品情報が、画像形成装置の使用時などに不正に書き換えられること防止できる。
【0169】
特に、本実施形態における部分品管理処理によれば、当該カートリッジに不正品が利用されている場合、その不正品の使用中止を促す旨を報知するため、カートリッジに不正品が利用され続けることを低減できる。
【0170】
さらに、本実施形態における部分品管理処理によれば、当該カートリッジを画像形成装置に装着してから、その当該カートリッジの品質を保証可能な期限が経過したか否かを判断することができる。そして、本実施形態の部分品管理処理によれば、当該カートリッジの品質を保証可能な期限が経過していれば、当該カートリッジを新品に交換するように促すため、カートリッジの品質を保証可能な状態に保つことが可能となる。
【0171】
その結果、画像形成装置による画像形成の品質を保証できる。
さらには、本実施形態では、特定操作を受け付けてから記憶部24への書き込みが禁止されるまでにタイムラグを有した(即ち、第3実施形態における)ICタグユニット210を用いて対象物品管理システム80を構成しているため、当該カートリッジを画像形成装置に装着した後に、物品情報を記憶部24に書き込むことができる。
[第4実施形態の変形例]
以上、本発明の第4実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0172】
例えば、上記実施形態における部分品管理処理では、当該カートリッジが不正品である場合、S915にて、不正品の使用中止を促す旨を、S960にて、当該カートリッジを新カートリッジに交換すべき旨を報知していたが、当該カートリッジが不正品である場合、S915やS960では、画像形成装置の使用を中止する処理を実行しても良い。
【0173】
また、上記実施形態における部分品管理処理において、当該カートリッジが再生品である場合、画像形成装置への装着から所定時間を経過した後に、部品交換を実行するように促す旨の報知を実行しても良い。
【0174】
ところで、上記実施形態では、画像形成装置のカートリッジを対象物品として、対象物品管理システム80を構築していたが、対象物品管理システム80を適用する工業製品は、画像形成装置に限るものではない。例えば、電池ユニット(例えば、ノートパソコンや、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、電動アシスト自転車、電気自動車などに用いられるもの)を対象物品としても良い。
【0175】
さらには、対象物品管理システム80が対象物品とする工業製品は、複数の部分品を組み合わせて構成される自動車であってもよい。そして、対象物品管理システム80が自動車に適用される場合、自動車を構成する、または自動車に搭載される多くの部分品(例えば、タイヤや、シート、ナビゲーション装置、バンパー、スポイラーなど、以下、自動車構成部品と称す)それぞれを対象物品としても良い。つまり、対象物品管理システム80が自動車に適用される場合、自動車構成部品それぞれに、ICタグユニット210が取り付けられる。
【0176】
なお、この対象物品管理システム80を適用される自動車は、動力発生源として、内燃機関(ガソリンエンジンやディーゼルエンジン)を搭載したものでも良いし、燃料電池(いわゆる燃料電池車)及びモータ(いわゆる電気自動車)を搭載したものでも良いし、内燃機関とモータとの両方を搭載したもの(いわゆるハイブリッド車)でも良い。
【0177】
また、対象物品管理システム80を自動車に適用する場合、リーダライタ装置83と情報処理装置82とは自動車内に組み込まれている必要がある。
そして、このような場合、情報処理装置82を構成するマイクロコンピュータは、対象物品が真正品(いわゆる純正品)であるか否かを管理する部分品管理処理を実行する必要がある。さらに、部分品管理処理を実行するためには、ICタグ20の記憶部24に記憶される物品情報として、自動車を識別するために自動車毎に予め規定された識別コードと、自動車構成部品の使用開始日時とを、少なくとも含んでいる必要がある。
【0178】
なお、対象物品管理システム80を自動車に適用する場合の部分品管理処理は、第4実施形態にて説明した部分品管理処理からS950を省略することの他は、第4実施形態にて説明した部分品管理処理と同様であればよい。
【0179】
以上説明したようにして、対象物品管理システム80を自動車に適用すると、自動車構成部品が真正品であるか否かを、利用者に報知することができる(例えば、流用品や盗難品は、ICタグユニット210が取り付けられていなかったり、識別コードが自車両の識別コードと異なったりするため、不正品として報知される)。このため、本実施形態の部分品管理処理によれば、不正部品が使用されることを低減することができる。
【0180】
さらに、このように対象物品管理システム80を自動車に適用した場合、部分品管理処理では、自動車構成部品の交換時期を、利用者に報知するため、自動車の利用者は、適切なタイミングで自動車構成部品を交換することができ、自動車を適切な状態に維持することができる。特に、タイミングベルトや、エンジンオイルを収納した収納容器にICタグユニット210を取り付け、それらの自動車構成部品(即ち、タイミングベルトや、エンジンオイル)を対象部品とすれば、消耗部品の交換時期を、自動車の利用者に認識させることができる。
【0181】
また、特定操作を受け付けてから記憶部24への書き込みが禁止されるまでにタイムラグを有した(即ち、第3実施形態における)ICタグユニット210を用いて対象物品管理システム80を構成すれば、自動車を工場から出荷する際に、剥離部16を本体部19から剥離し、その自動車をディーラから利用者に引き渡す際に、記憶部24に物品情報を記憶することが可能となる。
【0182】
以下、上記実施形態1〜4に対する変形例を説明する。
上記実施形態のICタグ20(より正確には、処理部25)は、剥離部16が本体部19から剥離される(即ち、特定操作を受け付ける)と、記憶部24へのデータの書き込みが禁止されるように構成されていたが、処理部25は、特定操作を受け付けると記憶部24へのデータの書き込みが許可されるように構成されていても良い。
【0183】
すなわち、処理部25は、剥離部16が本体部19から剥離されたことが状態検出センサー12の出力から検出されると、記憶部24へのデータの書込を許可するフラグを設定し、そのフラグが設定される前は、記憶部24へのデータの書込を禁止するように構成されていても良い。つまり、ICタグ20は、状態検出センサー12の状態が通電状態であれば、記憶部24へのデータの書き込みが禁止されており、状態検出センサー12の状態が不通状態へと切り替わったことをトリガーとして、記憶部24へのデータの書き込みが許可されるものでも良い。
【0184】
このように構成されたICタグユニット10によれば、剥離部16が本体部19から剥離された時点で、記憶部24にデータが記憶されていないこと、即ち、そのICタグユニット10が未使用品であることを保証できる。
[実施形態と特許請求の範囲との対応関係]
最後に、上記実施形態1〜4の記載と、特許請求の範囲の記載との関係を説明する。
【0185】
上記実施形態におけるICタグ20の記憶部が、本発明の記憶手段に相当し、ICタグ20の送受信部が本発明の送受信手段に相当し、ICタグユニット10の状態検出センサー12が本発明の状態検出手段に相当する。上記実施形態におけるICタグ20の処理部が、本発明の書込実行手段、書込制御手段に相当する。
【0186】
そして、上記実施形態における情報処理装置35が、本発明の状態管理手段、及び報知手段に相当する。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
<配達記録管理システムの構成>
本実施形態の配達記録管理システム301の概略構成図を図16に示す。配達記録管理システム301は、郵便物,小包,貨物、書留等の物流対象物302に関する流通経路の記録を行うものであって、配達業者などによって使用されるシステムである。
【0187】
この配達記録管理システム301は、物流対象物302に取り付けて用いられるICタグユニット310と、物流対象物302の流通過程における様々な場所に配置されるライト装置320と、配達業者の事務所などに配置されるリーダ装置330と、リーダ装置330と通信可能なサーバ340と、を備えている。
【0188】
本実施例のICタグユニット310は、図17に示すように、配達伝票として住所等の情報を記載する記載欄315を有するシート形状であって、貼付部311と、剥離部312と、が切取線313を介して繋がってなるものである。この切取線313は、貼付部311と剥離部312とを分離しやすくするためのものであり、例えばミシン目によってなるものである。
【0189】
貼付部311の裏面311A(図17に示す記載欄315が備えられた面の裏面)は、接着剤等により物流対象物302に貼り付けられる。一方、剥離部312の裏面312Aは、ICタグユニット310の隅の一部分(角部314)のみが物流対象物302に接着されており、物流対象物302から容易に剥離可能となっている。
【0190】
また、剥離部312の裏面312A(または剥離部312内部)にはICタグ20Aが配置されている。
このICタグ20Aは、図18に示すように、送受信アンテナ21Aを介してライト装置320,リーダ装置330との間で信号(電磁波)を送受信する送受信部22Aと、送受信部22Aにて受信した信号に従って起電力を発生して、ICタグ20Aを構成する各部に対して電源を供給する電源部23Aとを備えている。さらに、ICタグ20Aは、物品情報(物流対象物302の配達に関する情報であって、詳細は後述する)を記憶する記憶部24Aと、ライト装置320,リーダ装置330からの動作指令に従って、ICタグ20Aを構成する各部22A,23A,24Aを制御する処理部25Aとを備えている。
【0191】
このうち、記憶部24Aは、電源供給が遮断されても記憶内容を保持すると共に、記憶内容を書き換え可能な不揮発性のメモリ(例えば、EEPROMなど)からなる。
また、処理部25Aは、少なくともCPUを有したマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0192】
さらに、この処理部25Aは状態検出配線26(箔配線)の両端が接続されている。この状態検出配線26は、処理部25Aの回路の一部を構成している。そして、この状態検出配線26が通電可能な状態では、ライト装置320からの書込指令に応じて記憶部24Aに対して物品情報を書き込むことができるが、状態検出配線26が切断されると処理部25Aの一部が破壊され、記憶部24Aに対して物品情報の書き込みができなくなる。
【0193】
この状態検出配線26は、図17に示すように、貼付部311及び剥離部312の裏面にて切取線313をまたぐように配置されている。
ここで、剥離部312が貼付部311と繋がっている場合には、状態検出配線26が通電可能であるため、ICタグ20Aへの物品情報の書き込みが可能である。一方、剥離部312を貼付部311から分離させた状態では、状態検出配線26が断線するため、ICタグ20Aへの物品情報の書き込みが不能となる。
【0194】
また、図16に示すライト装置320は、無線通信により、少なくともICタグ20Aに対する動作指令を送信するものである。
このライト装置320は、図1に示すリーダライタ装置31と同様の構成を有しており、使用者からの情報の入力を受け付ける入力受付部320Aと、入力受付部320Aにて受け付けた情報に従って処理を実行する制御部320Bとを備えている。なお、ICタグ20Aに記憶すべき物品情報は、入力受付部320Aによって受け付けられる。
【0195】
その制御部320Bは、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、制御部320Bは、送受信アンテナ320Cから予め規定された通信距離内(通信可能範囲内)に存在するICタグ20Aに物品情報を書き込むための書込指令を送信する後述するライト処理を行う。
【0196】
また、図16に示すリーダ装置330は、無線通信により、少なくともICタグ20Aに対する動作指令を送信すると共に、ICタグ20Aからの物品情報を受信するものである。
【0197】
このリーダ装置330は、基本的にライト装置320と同様の構成であって、入力受付部330A,制御部330B,送受信アンテナ330Cを備えている。制御部330Bは、送受信アンテナ330Cから予め規定された通信距離内(通信可能範囲内)に存在するICタグ20Aに記憶されている物品情報を取得する後述するリード処理を行う。なお、リード処理により取得した物品情報は、サーバ340に送信される。
【0198】
また、サーバ340は、ROM,RAM,CPUを少なくとも有した周知のマイクロコンピュータ340A、及び記憶装置340Bを中心に構成された周知のものである。
そのサーバ340の記憶装置340Bは管理データベースを有している。この管理データベースには、各物流対象物302についての物品情報が記憶される。
【0199】
なお、本実施形態のライト装置320及びリーダ装置330は、通信可能範囲内に複数の通信対象(具体的にはICタグユニット310)が存在していても各通信対象と通信可能な機能(アンチコリジョン機能)を有している。
<配達記録管理システムの運用>
配達記録管理システム301の運用を、図19のフローチャートに基づいて説明する。本実施例の配達記録管理システム301は、荷受け時,配送過程,荷渡し時に物品情報をICタグ20Aに書き込む(ライト装置320を用いて、ライト処理による書き込みを行う)ものである。
【0200】
まずステップ1(以降、ステップをSと記載する)として、所定の記録タイミングとなったときに、ICタグ20Aに物品情報の書き込みを行う。続くS2にて、S1での書き込みが最終書き込みであるか否かを判断し、最終書き込みでなければS1に戻る。一方、最終書き込みであれば、S3に移行する。
【0201】
上記S1,S2の具体例を挙げる。まず、S1として、配達業者が物流対象物302の荷受け時(最初の記録タイミング)に、ライト装置320を用いて、物品情報として荷元,荷受け日時,荷受け場所,物流対象物の種類,の各情報をICタグ20Aに書き込む。ここでの書き込みは最終書き込みではないため、S2はNOとなり、次の記録タイミングで再度S1を実行することとなる。
【0202】
次に、二度目のS1として、物流対象物302を集積する集積センターなどの配送過程(次の記録タイミング)で、ライト装置320を用い、物品情報として、運搬に使用する車両(または航空機,船舶,鉄道),運搬人,現在の場所(流通経路),現在日時(流通時刻)の各情報をICタグ20Aに書き込む。ここでの書き込みも最終書き込みではないため、S2はNOとなる。
【0203】
次に、三度目のS1として、荷渡し前(最後の記録タイミング)に、ライト装置320を用い、物品情報として、荷渡し日時,荷渡し場所,荷渡し担当者の各情報をICタグ20Aに書き込む。
【0204】
上記書き込みは最終書き込みであるため、次にS3の状態変化作業に移る。本実施例では、剥離部312を剥離する作業を行う。これにより、状態検出配線26が断線し、以降ICタグ20Aへの書き込みが不能となる。この作業の後、物流対象物302を送り先に渡す。
【0205】
次に、S4として、状態変化作業を終了したICタグ20Aの管理を行う。本実施例では、配達業者の事務所などに持ち帰ったICタグ20Aの情報をリーダ装置330にて読み取り(リード処理による読み取りを行い)、サーバ340の管理データベースに記憶する。
<ライト装置による処理>
ライト装置320によって実行されるライト処理の処理手順を、図20に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0206】
このライト処理は、まず、S510において、ICタグ20Aに記憶すべき物品情報が、入力受付部320Aを介して入力されたか否かを判断する。その判断の結果、物品情報がライト装置320に入力されていれば、S520へと進む。
【0207】
そのS520では、S510にて入力受付部320Aを介して入力された物品情報、及び書込指令を、送受信アンテナ320Cを介してICタグ20Aに出力する。
続くS530では、本ライト処理を終了するための終了指令が、入力受付部320Aを介して入力されたか否かを判断する。その判断の結果、終了指令が入力されていなければ、S510へと戻り、終了指令が入力されていれば、本ライト処理を終了する。
<リーダ装置による処理>
リーダ装置330によって実行されるリード処理の処理手順を、図21に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0208】
このリード処理は、起動されると、図21に示すように、S540にて、送受信アンテナ330Cを介して読出指令をICタグ20Aに送信する。
続くS550にて、ICタグ20Aからの返信される物品情報を、送受信アンテナ330Cを介して取得したか否かを判断する。その判断の結果、物品情報を取得していなければ、当該リーダ装置330の通信範囲内にICタグ20Aが存在しないか、あるいは存在していても物品情報を返信してこないものと判断して、S540へと戻り、読出指令を再度送信する。
【0209】
一方、物品情報を取得していれば、即ち、当該リーダ装置330の通信範囲内にICタグ20Aが存在し、そのICタグ20Aが物品情報を返信していれば、S560へと進む。そのS560では、ICタグ20Aから送信された物品情報を、サーバ340に出力する。その後、リード処理を終了する。
<ICタグによる処理>
ICタグ20Aの処理部25Aによって実行されるICタグ制御処理の処理手順を、図22に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0210】
処理部25Aは、ライト装置320またはリーダ装置330からの信号(より正確には、動作指令)を送受信部22Aが受信した際に、電源部23Aから電源供給が開始されて起動されるものである。
【0211】
この処理部25Aの動作は、図22に示すように、まず、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する(S610)。
そのS610での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みでなければ、S620へと進み、状態変化作業済みであるか否かを判断する。本実施例における状態変化作業とは、上記剥離部312を貼付部311から分離する作業である。上述したように、剥離部312を貼付部311から分離すると、処理部25Aの回路の一部が断線するため、ICタグ20Aのハード構成上、物品情報の書き込みが不能となる。
【0212】
このS620では、状態検出配線26が通電可能であれば上記作業は行われていないと判断し、状態検出配線26が通電可能でなければ上記作業が既に行われていると判断する。
【0213】
そして、S620での判断の結果、状態変化作業済みであれば、書込禁止フラグを設定して(S630)、その後、S640へと進む。
つまり、状態検出配線26が断線された後、ライト装置320またはリーダ装置330からの動作指令を最初に受信した際に、書込禁止フラグが設定される。
【0214】
なお、この書込禁止フラグは、設定されていれば、状態検出配線26が断線し記憶部24Aへのデータ(物品情報など)の書き込みがハード構成上不能となっていることを表し、設定されていなければ、記憶部24Aへのデータの書き込みがハード構成上可能であることを表すものである。
【0215】
また、書き込み禁止フラグが設定されている状態では、物品情報の書き込みのみでなく、制御ソフト,アプリケーションソフトの書き込みも禁止される。
なお、S610での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みである場合には、S640へと進む。また、S620での判断の結果、状態変化作業が未だ行われていない場合、書込禁止フラグを未設定に維持したまま、S640へと進む。
【0216】
続くS640では、受信した動作指令がライト装置320からの書込指令であるか否かを判断する。その判断の結果、動作指令が書込指令であれば、S650にて、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する。
【0217】
そして、S650での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みでなければ、ライト装置320から送信された物品情報を記憶部24Aに書き込んだ後(S660)、本処理を終了する。その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0218】
一方、S650での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みであれば、ライト装置320から送信された物品情報を破棄した上で、本処理を終了する。そして、その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0219】
ところで、S640での判断の結果、受信した動作指令が書込指令でなければ、S670へと進む。
そのS670では、動作指令がリーダ装置330からの読出指令であるか否かを判断する。この判断の結果、動作指令が読出指令であれば、S680にて、記憶部24Aに記憶されている物品情報を読み出す。そして、その記憶部24Aから読み出した物品情報を、送受信部22Aへと出力する。すると、送受信部22Aは、その記憶部24Aから読み出した物品情報をリーダ装置330へと送信する。その後本処理を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0220】
一方、S670での判断の結果、動作指令が、書込指令又は読出指令以外のもの(例えば、ICタグ20Aの動作をテストするためのチェック指令など)であれば、S690へと進む。そのS690では、動作指令に従った制御(例えば、チェック指令であれば、ICタグ20Aが正常に動作するか否かをチェックするチェック動作)を実行する。その後、本処理を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0221】
つまり、ICタグ20Aでは、ライト装置320またはリーダ装置330からの動作指令を受信すると、処理部25Aが起動して、その受信した動作指令に従った内容の制御を実行する。そして、処理部25Aは、通常、動作指令が読出指令であれば、記憶部24Aに記憶されている物品情報をリーダ装置330に対して送信する。
【0222】
一方、動作指令が書込指令であれば、ライト装置320から送信された物品情報を記憶部24Aに記憶する。ただし、動作指令が書込指令であっても、書込禁止フラグが設定されていれば、ライト装置320から送信された物品情報を記憶することなく、処理部25Aの動作を終了する。
[第5実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の配達記録管理システム301では、物流対象物302が送り先に渡された以降、即ち、剥離部312が貼付部311から分離して状態検出配線26が断線した状態では、ハード構成上、物品情報の書き込みが行えない。よって、仮に制御ソフト上での書き込み禁止を無視する手段を用いても、書き込みは実行できないので、ICタグ20Aに書き込まれている物品情報が不正に書き換えられることが抑制できるため、配達記録の情報の信頼性を高めることができる。
【0223】
さらに、物品情報がICタグ20Aに記憶されるため、記録タイミングとなる場所では、情報を入力する装置(ライト装置320)のみ存在すればよい。従来のシステムでは、物流対象物302では物品情報を保持できない,または,物品情報を保持できたとしても、その内容が改変される可能性があるため、記録タイミングとなる場所それぞれにおいてICタグ20Aの情報(または単に識別情報)を読み込んでオンラインデータベースに照合・登録する必要があり、オンラインデータベースと接続したシステムを記録タイミングとなる場所それぞれに配置する必要があったが、本実施形態ではそのようなシステムが必要なくなるため、利便性が向上する。
[第5実施形態の変形例]
以上、本発明の第5実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0224】
例えば、上記実施形態においては、記録タイミングが、荷受け時,配送過程,荷渡し時,の3点である構成を例示したが、これら以外のタイミングで行ってもよい。
また、上記実施形態においては、接着剤にてICタグユニット310を物流対象物302に接着させる構成を例示したが、その構成に限定されない。
【0225】
例えば、物流対象物302として野菜,家畜などの商品を想定する場合、図23(A)に示すICタグユニット350のように構成してもよい。このICタグユニット350は、ICタグ20Aと同様の構成を有するICタグ20Bを備えており、結束バンド351にて物流対象物302に取り付けられる構成となっている。
【0226】
このICタグユニット350は、結束バンド351を備える主要部352と切り離し部353に分かれており、切り離し部353を折り曲げて切り離す(状態変化作業を行う)ことで状態検出配線26Bが断線しICタグ20Bへの書き込みが不能となる。また、折り曲げることで書き込みが不能となる旨が示される表示部354を備えている。
【0227】
なお、上記ICタグユニット350では、主要部352側にICタグ20Bが配置されているため、商品にICタグ20Bを残しておくことができる。
このICタグユニット350を用いる場合、運搬・流通段階では物品情報をICタグ20Bへ書き込むのみであり、物流対象物302が最終消費者に渡る段階で、切り離し部353を切り離してICタグ20Bを書き込み不能とし、物流対象物302とともに消費者に渡す。
【0228】
これにより、ICタグ20Bが消費者に渡るため、消費者は、そのICタグ20Bの情報を見て、商品の生産者の情報や、出荷の情報、流通の情報を知ることが可能となり、顧客満足度を向上して商品価値を高めることができる。また、消費者が記憶内容を改変することができないため、ICタグ20Bの情報の信頼性が高まり、無用なトラブルを回避できる。
【0229】
なお、消費者によるICタグ20Bの情報の確認は、タグリーダライタの機能を有する携帯電話等により実行させることが考えられる。
なお、切り離し部353を切り離した後、所定時間が経過するまで書き込みが可能となるように構成してもよい。所定時間の設定は、空気電池を活用することが考えられる。例えば、切り離し部353を切り取ると、空気電池の封が剥がされる構造としておき、空気電池の発電が続く間は、発電による電力で所定の電気回路が維持され、その電気回路が維持される間はICタグ20Bへの書き込みが可能となるように構成するとよい。
【0230】
また、上記以外に、ICタグユニットを図23(B)のように構成することが考えられる。このICタグユニット360は、ICタグ20Aと同様の構成を有するICタグ20Cを備える主要部361と、主要部361から剥離可能なシール状の切り離し部362と、からなる。
【0231】
このICタグユニット360では、主要部361の裏面361A(図23(B)にて表示される側の面361Bの裏面)が接着面となっており、物流対象物302に貼り付けることができる。そして、切り離し部362を主要部361から剥離する(状態変化作業を行う)と、状態検出配線26Cが断線しICタグ20Cへの書き込みが不能となる。また、図示しないが、切り離し部362を剥離した後の面には、書き込みが不能となる旨が示されている。
【0232】
このように構成されたICタグユニット360を用いる配達記録管理システムでは、上記図23(A)のICタグユニット350と同様の効果を得ることができる。
また、上記以外に、図23(C)のように構成することが考えられる。このICタグユニット370は、シールが2層化されてなるものであり、物流対象物302に貼り付けられるベースシール371と、ベースシール371の上面に貼り付けられる表面シール372と、を備えている。
【0233】
ベースシール371の接着剤は強力なものであって、一度取り付けたものを剥がすとベースシール371が破れるように構成されている。表面シール372の粘着材は比較的弱く構成されている。
【0234】
ベースシール371の下面371Aには、ICタグ20Aと同様の構成を有するICタグ20Dが配置されている。また、表面シール372を剥がすと、状態検出配線26Dが断線しICタグ20Dへの書き込みが不能となるように構成されている。
【0235】
このように構成されたICタグユニット370を用いる配達記録管理システムでは、表面シール372を剥がした場合のみでなく、ベースシール371を剥がそうとした場合にもベースシール371が破れて状態検出配線26Dが断線し、ICタグ20Dへの書き込みが不能となる。したがって、貼り変えられたICタグユニット370は、ベースシール371の破損やICタグ20Dへの書き込みができないことにより貼り変えた事実が容易に判明するため、ICタグユニット370を別の物流対象物302に貼り変えて偽装することが防止できる。
【0236】
ところで、上記実施形態及び変形例においては、状態変化作業を行うとICタグユニットが分離して、ICタグを有するピースとICタグを有さないピース(断線した状態検出配線の一部のみ有するピース)とに分離する構成を例示したが、状態変化作業により、状態検出配線以外の構成要素の一部がICタグの主たる部分と分離するように構成してもよい。例えば、物品情報の書き込みのみに用いるチップがICタグの主たる部分と分離するように構成してもよい。
【0237】
また、上記実施形態及び変形例においては、ICタグへの書き込みを防止するためにICタグユニットを分離させる状態変化作業を行った後には、分離した何れか一方にのみICタグが配置される構成を例示したが、両方にICタグが配置されるように構成してもよい。
【0238】
例えば、図24に示すICタグユニット380のように構成することが考えられる。このICタグユニット380は、物流対象物302として、例えばブランド品などの商品を想定している。
【0239】
このICタグユニット380は、消費者タグ381と、販売店タグ382と、からなり、それぞれICタグ20E,20Fを備えている。それらICタグ20同士は状態検出配線26Eで接続されており、消費者タグ381と販売店タグ382とを引き剥がすと、状態検出配線26Eが断線しICタグ20E,20Fへの書き込みが不能となるように構成されている。また、消費者タグ381と販売店タグ382との合わせ面に、この面が見えると書き込みが不能となる旨が示されている。
【0240】
このICタグユニット380には、製造工場において製造場所、シリアル番号などの情報を記憶させ、流通過程では輸送経路を示す情報を記憶させ、販売店では販売日時、販売店名、購入者名などの情報を記憶する。消費者タグ381と販売店タグ382とには全く同じ情報が記憶されていてもよいし、一部または全部に異なる情報が記憶されていても良い。
【0241】
そして、販売時に消費者タグ381と販売店タグ382とを引き剥がし、消費者タグ381を商品とともに購入者に渡し、販売店タグ382は販売店で管理(データベースに登録)する。
【0242】
このように構成されたICタグユニット380を用いる配達記録管理システムであれば、購入者は、流通経路の情報を記憶する消費者タグ381を入手する。この消費者タグ381は、ICタグ20Eへの書き込みができない状態となっているため、その情報の信憑性が高まることにより、品質保証機能を高めることができる。
【0243】
また、購入者と販売店との両方に、流通経路等の記録されたICタグが渡るため、後の検証に利用することができ都合がよい。
なお、消費者タグ381のICタグ20Eと、販売店タグ382のICタグ20Fと、を結ぶように状態検出配線26Eが配線される構成を例示したが、それぞれのICタグに異なる状態検出配線が備えられており、消費者タグ381と販売店タグ382を剥がしたときに、何れの状態検出配線も断線して、何れのICタグにも書き込みができなくなるように構成されていてもよい。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
<図書管理システムの構成>
本実施形態の図書管理システム401の概略構成図を図25に示す。
【0244】
この図書管理システム401は、図書館などで図書の管理をする際に用いられるものであり、図書402に取り付けて用いられるICタグユニット410と、リーダライタ装置420と、リーダライタ装置420と通信可能なサーバ430と、リーダ装置440と、を備えている。
【0245】
本実施例のICタグユニット410は、図23(B)に示すICタグユニット360と同様の構成であるため、図23(B)に示す符号を用いて説明する。ICタグユニット410は、ICタグ20Cを有しており、主要部361の表側の面361Bに図書情報(分類番号、通し番号等)が記載可能に構成されている。ICタグ20Cは、後述するICタグ制御処理を実行する。ICタグ20Cは、図18に示すように、ICタグ20Aと同様の送受信アンテナ21C,送受信部22C,電源部23C,記憶部24C,処理部25C,状態検出配線26Cを備えている。
【0246】
また、図25に示すリーダライタ装置420は、無線通信によりICタグユニット410との間でデータを送受信する装置であって、使用者からの情報の入力を受け付ける入力受付部420Aと、入力受付部420Aにて受け付けた情報に従って処理を実行する制御部420Bとを備えている。
【0247】
その制御部420Bは、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、制御部420Bは、送受信アンテナ420Cから予め規定された通信距離内(通信可能範囲内)に存在するICタグユニット410との間で、ICタグユニット410が実行すべき動作内容を表す動作指令を少なくとも含む信号を送信する無線通信処理を行う。
【0248】
この無線通信処理として、リーダライタ装置420は、例えば、図20に示すライト処理,図21に示すリード処理,図26に示す棚卸処理を実行する。
また、図25に示すリーダ装置440は、無線通信によりICタグユニット410との間でデータを送受信する装置であって、上述したリーダライタ装置420の入力受付部420A,制御部420B,送受信アンテナ420Cと同様の機能を有する入力受付部440A,制御部440B,送受信アンテナ440Cを有している。更に制御部440Bからの指令に基づいて情報を表示する表示画面441を有している。このリーダ装置440は、例えば、図26に示す検索処理を実行する。
【0249】
また、サーバ430は、ROM,RAM,CPUを少なくとも有した周知のマイクロコンピュータ430A、及び記憶装置430Bを中心に構成された周知のものである。
そのサーバ430の記憶装置430Bは、図書管理データベースを有している。この図書管理データベースには、図書402についての物品情報が記憶される。本実施例における物品情報とは、図書402の個体を識別する識別情報,分類情報,書名,著者名,概要である。また、この図書管理データベースは、書架と、その書架に配置される図書402の識別情報を関連付けて記憶している。
【0250】
なお、本実施形態のリーダライタ装置420及びリーダ装置440は、通信可能範囲内に複数の通信対象(具体的にはICタグユニット410)が存在していても各通信対象と通信可能な機能(アンチコリジョン機能)を有している。
<図書管理システムの運用>
(1)ICタグユニットの図書への取り付け
ICタグユニット410の図書402への取り付けの流れを、図19のフローチャートに基づいて説明する。
【0251】
まずS1として、所定の記録タイミングとなったときに、ICタグユニット410のICタグ20Cに物品情報の書き込み(リーダライタ装置420によるライト処理)を行う。続くS2にて、S1での書き込みが最終書き込みであるか否かを判断し、最終書き込みでなければS1に戻る。一方、最終書き込みであれば、S3に移行する。
【0252】
本実施例における所定の記録タイミングとは、図書402の形式的な分類(識別情報,分類情報,書名,著者名)を記録するタイミング,専門的な情報(概要)を記録するタイミングなどがある。
【0253】
例えば、S1として、司書が図書402の形式的な分類を示す情報をICタグ20Cに書き込む。ここでの書き込みは最終書き込みではないため、S2はNOとなり、次の記録タイミングで再度S1を実行することとなる。
【0254】
次に、二度目のS1として、当該図書の概要情報を専門司書がICタグ20Cに書き込む。上記書き込みは最終書き込みであるため、次にS3の状態変化作業に移る。本実施例では、図23(B)に示す切り離し部362を主要部361から切り離す作業を行う。これにより、状態検出配線26Cが断線し、以降、ICタグ20Cへの書き込みが不能となる。
【0255】
次に、S4として、状態変化作業を終了したICタグ20Cの管理を行う。本実施例では、ICタグ20Cの情報をリーダライタ装置420にて読み取り(リーダライタ装置420によるリード処理)、サーバ430の図書管理データベースに記憶する。
【0256】
その後、図書402を所定の書架に配置する。なお、ICタグユニット410の図書402への取り付けはどのタイミングで行ってもよい。
(2)蔵書棚卸時の運用
図書館の蔵書棚卸時(蔵書が正しく存在するか否かのチェック時)の運用を説明する。
【0257】
リーダライタ装置420を用い、所定範囲(例えば1つの書架)に存在する図書402に取り付けられた全てのICタグユニット410から物品情報を取得する。ここでのリーダライタ装置420の具体的な処理は、後述する棚卸処理にて説明する。
【0258】
次に、取得した物品情報と、サーバ430に記憶された図書管理データベースの情報とを比較し、当該書架に配置される図書402の一致、不一致をチェックする。
その後、他の書架に収納すべき図書402を移動し、不足している図書402を調査対象として決定する。なお、ここで言う物品情報には図書402の識別情報が含まれており、図書管理データベースと照合することで当該図書402の配置されるべき書架(位置)が分かる。即ち、識別情報は、位置を示す情報でもある。
(3)図書館利用時の運用
図書館を利用する利用者の運用を説明する。
【0259】
リーダ装置440に、分類情報,キーワードなどの検索情報を入力する。次に、リーダ装置440を用いて、所定範囲(例えば1つの書架)に存在する図書402に取り付けられた全ての、あるいは一部のICタグユニット410から物品情報を取得する。
【0260】
リーダ装置440は、分類情報に一致する図書402や、書名,著者名,及び概要に入力したキーワードが含まれる図書402を抽出してリーダ装置440の表示画面441に出力する。ここでのリーダ装置440の具体的な処理は、後述する検索処理にて説明する。
【0261】
また、一つの図書402に対してICタグユニット410から情報を読み出すと、ICタグ20Cに記憶された情報のうち、閲覧が許可されている情報が表示画面441に出力される。
<リーダライタ装置による処理>
リーダライタ装置420によって実行されるライト処理の処理手順を、図20に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0262】
このライト処理は、まず、S510において、ICタグ20Cに記憶すべき物品情報が、入力受付部420Aを介して入力されたか否かを判断する。その判断の結果、物品情報がリーダライタ装置420に入力されていれば、S520へと進む。
【0263】
そのS520では、S510にて入力受付部420Aを介して入力された物品情報、及び書込指令を、送受信アンテナ420Cを介してICタグ20Cに出力する。
続くS530では、本ライト処理を終了するための終了指令が、入力受付部420Aを介して入力されたか否かを判断する。その判断の結果、終了指令が入力されていなければ、S510へと戻り、終了指令が入力されていれば、本ライト処理を終了する。
【0264】
次に、リーダライタ装置420によって実行されるリード処理の処理手順を、図21に示すフローチャートに基づいて説明する。
このリード処理は、起動されると、図21に示すように、S540にて、送受信アンテナ420Cを介して読出指令をICタグ20Cに送信する。
【0265】
続くS550にて、ICタグ20Cからの返信される物品情報を、送受信アンテナ420Cを介して取得したか否かを判断する。その判断の結果、物品情報を取得していなければ、当該リーダライタ装置420の通信範囲内にICタグ20Cが存在しないか、あるいは存在していても物品情報を返信してこないものと判断して、S540へと戻り、読出指令を再度送信する。
【0266】
一方、物品情報を取得していれば、即ち、当該リーダライタ装置420の通信範囲内にICタグ20Cが存在し、そのICタグ20Cが物品情報を返信していれば、S560へと進む。そのS560では、ICタグ20Cから送信された物品情報を、サーバ430に出力する。その後、リード処理を終了する。
【0267】
次に、リーダライタ装置420によって実行される棚卸処理の処理手順を、図26に示すフローチャートに基づいて説明する。
この棚卸処理は、リーダライタ装置420の入力受付部420Aに棚卸を行う旨の入力がなされた際に開始する。本処理では、まずS565として、情報受け付けを行う。具体的には、入力受付部420Aにより入力される、棚卸を行う書架の識別番号を受け付ける。
【0268】
続くS570,S575の処理は、図21において説明したS540,S550の処理と同様である。なお、S575にて物品情報を取得していれば、即ち、当該リーダ装置440の通信範囲内にICタグ20Cが存在し、そのICタグ20Cが物品情報を返信してきていれば、S580へと進む。
【0269】
続くS580にて、入力受付部420Aに、読み込み終了の操作が入力されているか否かを判断する。上記操作が入力されていなければ、処理がS570に戻る。一方、上記操作が入力されていれば、S585へと進む。
【0270】
続くS585では、物品情報出力を行う。具体的には、読み込み終了の操作が入力されるまでに取得した物品情報をサーバ430に出力する。その後、本処理を終了する。なお、この後サーバ430では、図書管理データベースを参照して、棚卸を行った書架に配置されている図書402の物品情報と照合し、書架に配置すべき図書と一致しない図書、不足する図書の情報をディスプレイ等に出力する。
<リーダ装置による処理>
リーダ装置440によって実行される検索処理の処理手順を、図26に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0271】
この検索処理は、入力受付部440Aに検索を行う旨の入力がなされた際に開始する。本処理では、まずS565として、情報受け付けを行う。具体的には、入力受付部440Aにより入力される検索情報を受け付ける。
【0272】
続くS570,S575の処理は、図21において説明したS540,S550の処理と同様である。なお、S575にて物品情報を取得していれば、即ち、当該リーダ装置440の通信範囲内にICタグ20Cが存在し、そのICタグ20Cが物品情報を返信してきていれば、S580へと進む。
【0273】
続くS580にて、入力受付部440Aに、読み込み終了の操作が入力されているか否かを判断する。上記操作が入力されていなければ、処理がS570に戻る。一方、上記操作が入力されていれば、S585へと進む。
【0274】
続くS585では、物品情報出力を行う。具体的には、取得した物品情報に基づき、検索情報と一致する物品情報を有する図書402の書名等を表示画面441に出力する。その後、本処理を終了する。
<ICタグによる処理>
ICタグ20Cによって実行されるICタグ制御処理の処理手順を、図22に示すフローチャートに基づいて説明する。ICタグ20Cが備える処理部25Cは、リーダライタ装置420またはリーダ装置440からの信号(より正確には、動作指令)を送受信部22Cが受信した際に、電源部23Cから電源供給が開始されて起動されるものである。
【0275】
このICタグ20Cの処理部は、図22に示すように、まず、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する(S610)。
そのS610での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みでなければ、S620へと進み、状態変化作業済みであるか否かを判断する。本実施例における状態変化作業とは、ICタグ20Cにおける主要部361から切り離し部362を切り離す作業である。上述したように、主要部361から切り離し部362を切り離すと、状態検出配線26Cが断線し、即ち処理部の回路の一部が断線するため、ICタグ20Cのハード構成上、物品情報の書き込みが不能となる。
【0276】
このS620では、状態検出配線26Cが通電可能であれば上記作業は行われていないと判断し、状態検出配線26Cが通電可能でなければ上記作業が既に行われていると判断する。
【0277】
そして、S620での判断の結果、状態変化作業済みであれば、書込禁止フラグを設定して(S630)、その後、S640へと進む。
つまり、状態検出配線26Cが断線された後、リーダライタ装置420またはリーダ装置440からの動作指令を最初に受信した際に、書込禁止フラグが設定される。
【0278】
なお、この書込禁止フラグは、設定されていれば、状態検出配線26Cが断線し、記憶部24Cへのデータ(物品情報など)の書き込みがハード構成上不能となっていることを表し、設定されていなければ、記憶部24Cへのデータの書き込みがハード構成上可能であることを表すものである。
【0279】
また、書き込み禁止フラグが設定されている状態では、物品情報の書き込みのみでなく、制御ソフト,アプリケーションソフトの書き込みも禁止される。
なお、S610での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みである場合には、S640へと進む。また、S620での判断の結果、状態変化作業が未だ行われていない場合、書込禁止フラグを未設定に維持したまま、S640へと進む。
【0280】
続くS640では、受信した動作指令がリーダライタ装置420からの書込指令であるか否かを判断する。その判断の結果、動作指令が書込指令であれば、S650にて、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する。
【0281】
そして、S650での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みでなければ、リーダライタ装置420から送信された物品情報を記憶部24Cに書き込んだ後(S660)、本処理を終了する。その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0282】
一方、S650での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みであれば、リーダライタ装置420から送信された物品情報を破棄した上で、本処理を終了する。そして、その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0283】
ところで、S640での判断の結果、受信した動作指令が書込指令でなければ、S670へと進む。
そのS670では、リーダライタ装置420またはリーダ装置440からの読出指令であるか否かを判断する。この判断の結果、動作指令が読出指令であれば、S680にて、記憶部24Cに記憶されている物品情報を読み出す。そして、その記憶部24Cから読み出した物品情報を、送受信部22Cへと出力する。すると、送受信部22Cは、その記憶部24Cから読み出した物品情報を読み出し指令の発信元のリーダライタ装置420またはリーダ装置440へと送信する。その後本処理を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0284】
一方、S670での判断の結果、動作指令が、書込指令または読出指令以外のもの(例えば、ICタグ20Cの動作をテストするためのチェック指令など)であれば、S690へと進む。そのS690では、動作指令に従った制御(例えば、チェック指令であれば、ICタグ20Cが正常に動作するか否かをチェックするチェック動作)を実行する。その後、本処理を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
[第6実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の図書管理システム401では、図書402に取り付けられるICタグユニット410のICタグ20Cに書き込まれている物品情報が不正に書き換えられることが抑制できるため、図書に関する情報の信頼性を高めることができる。
【0285】
また、複数の図書402から情報を一度に集めて検索や棚卸を行うことができるため、本の検索や棚卸を容易に行えるようになる。
また、図書402の概要などの詳細情報をリーダ装置440で読み込んで参照できる。
[第6実施形態の変形例]
以上、本発明の第6実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0286】
例えば、上記実施形態においては、図書の管理を行うシステムを例示したが、レンタル品や備品を管理する場面においても、棚卸などに利用することができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
<入場システムの構成>
本実施形態の入場システム501の概略構成図を図27に示す。入場システム501は、チケットを利用して入場する施設において使用されるシステムである。
【0287】
この入場システム501は、チケットとして利用されるICタグユニット510と、施設の入口等に設置される入場機520と、入場機520と通信可能なサーバ530と、を備えている。
【0288】
ICタグユニット510は、図28(A)に示すように、シート状に形成されており、第1片511と、第2片512と、が切取線513を介して繋がってなるものである。この切取線513は、第1片511と第2片512とを分離しやすくするためのものであり、例えばミシン目によってなるものである。第1片511の内部にはICタグ20Gが配置されている。
【0289】
このICタグ20Gは、図18に示すICタグ20Aと同様に、状態検出配線26Gと、図示しない送受信アンテナ,送受信部,電源部,記憶部,処理部などを備えており、入場機520が備える後述するリーダライタ装置521からの動作指令に応じて記憶部への物品情報の書き込み、読み出しを行う。なお、本実施形態における物品情報とは、予め記憶されているICタグユニット510の識別情報,及び入場時に入場機520により入力される入場日時情報,入場機情報が該当する。
【0290】
状態検出配線26Gは、上記処理部の回路の一部を構成している。そして、この状態検出配線26Gが通電可能な状態では、リーダライタ装置521からの書込指令に応じて記憶部に対して物品情報を書き込むことができるが、状態検出配線26Gが切断されると処理部の一部が破壊され、記憶部に対して物品情報の書き込みができなくなる。
【0291】
上記状態検出配線26Gは、図28(A)に示すように、第1片511と第2片512との内部にて切取線513をまたぐように配置されている。
ここで、第1片511と第2片512とが繋がっている場合には、状態検出配線26Gが通電可能であるため、ICタグ20Gへの物品情報の書き込みが可能である。一方、第1片511と第2片512とを分離させた状態では、状態検出配線26Gが断線するため、ICタグ20Gへの物品情報の書き込みが不能となる。
【0292】
また、入場機520は、図27に示すように、リーダライタ装置521と、入場券処理装置522と、制御装置523と、を有するものである。
リーダライタ装置521は、送受信アンテナ521A,制御部521Bなどを有しており、ICタグ20Gに対する動作指令(書込指令,読出指令)と、読出指令に応じて返信された物品情報の取得が可能に構成されている。
【0293】
入場券処理装置522は、図28(B)に示すように、入場機520の入券口524に投入したICタグユニット510を出券口525にまで搬送する装置であって、その搬送の過程において第2片512を切り取って保管すると共に、リーダライタ装置521による各処理を行わせる。
【0294】
説明を図27に戻る。制御装置523は、リーダライタ装置521及び入場券処理装置522を統轄制御するものであって、ROM,RAM,CPUを少なくとも有した周知のマイクロコンピュータ、及び記憶装置を中心に構成された周知のものである。
【0295】
また、サーバ530は、ROM,RAM,CPUを少なくとも有した周知のマイクロコンピュータ、及び記憶装置を中心に構成された周知のものである。
そのサーバ530の記憶装置は入場管理データベースを有している。この入場管理データベースには、リーダライタ装置521にてICタグ20Gから読み取られた物品情報が記憶される。
<入場機による処理>
入場機520の制御装置523による入場処理の処理手順を、図29に示すフローチャートに基づいて説明する。本処理は、入券口524にICタグユニット510が投入された際に開始する。
【0296】
まず、S1010として、リーダライタ装置521に後述するリード処理を行わせ、ICタグ20Gに記憶されるICタグユニット510の物品情報を読み込む。
続いて、S1012として、ICタグ20Gに識別情報以外の情報が書き込まれているか否かを判断する。具体的には、S1010にて読み込んだ物品情報に後述するS1020にて書き込まれる入場日時情報や入場機情報が含まれていた場合に、情報の書き込みがある、即ち既に入場処理を行ったICタグユニット510であると判断し、S1014にて再入場可能であるか否かを判断する。
【0297】
S1014では、再入場可能な期間であるか、または再入場可能である情報を入力されているか否かをチェックする。具体的には、再入場可能な期間内であるか、前回の入場が正規の入場機を介して行われているか、S1010にて取得した識別番号が、入場を許可された識別番号としてサーバ530に記憶されているか、などがチェックされる。再入場可能であれば、S1016にてICタグユニットを出券口に搬送し、本処理を終了する。一方、再入場不可である場合には、処理がS1080に移行する。
【0298】
また、S1012にて、識別情報以外の情報が書き込まれていない場合、S1020として、リーダライタ装置521に書込指令を送信させ、ICタグ20Gに物品情報として入場日時情報、当該入場機を識別する入場機情報を書き込む。
【0299】
続いて、S1030として、S1020における書き込みが完了したか否かを判断する。書き込みができない場合、半券が予め切り取られている,または不正な入場券である可能性があるとして、S1080に処理が移行する。
【0300】
一方、書き込みが完了している場合、S1040として入場券処理装置522に半券(第2片512)を切り取らせる。これにより、状態検出配線26Gが断線し記憶部へのデータ(物品情報など)の書き込みがハード構成上不能となる。
【0301】
その後S1050として書き込み不可か否かを判断する。具体的には、リーダライタ装置521に、ICタグ20Gに書込禁止フラグが設定されているか否かを問い合わさせて、当該フラグが設定されていれば書き込み不可と判断する。
【0302】
なお、この書込禁止フラグは、設定されていれば、状態検出配線26Gが断線し記憶部へのデータ(物品情報など)の書き込みがハード構成上不能となっていることを表し、設定されていなければ、記憶部へのデータの書き込みがハード構成上可能であることを表すものである。また、書き込み禁止フラグが設定されている状態では、物品情報の書き込みのみでなく、制御ソフト,アプリケーションソフトの書き込みも禁止される。
【0303】
上記S1050にて、書き込みが不可でなければ、半券の切り取り時にエラーが発生した,または不正な入場券である可能性があるとして、S1080に処理が移行する。
書き込みが不可であれば、S1060として、出券口525にICタグユニット510の第1片511を送り出し、その後S1070として、S1010にて取得した識別情報,入場日時情報,及び入場機情報をサーバ530に送信する。なお、サーバ530は、入場管理データベースにそれらの情報を記憶する。その後、本処理を終了する。
【0304】
また、S1014にて再入場が可能でない場合、S1030にて書き込みが完了できない場合、及び、S1050にて書き込み不可とならない場合には、S1080として、ICタグユニット510を入券口に戻し、その後S1090として入場券異常の出力を外部装置(管理者呼び出しスピーカなど)に行い、本処理を終了する。
<ICタグによる処理>
ICタグ20Gによって実行されるICタグ制御処理の処理手順は、図22に基づいて説明する。
【0305】
このICタグ20Gの処理部は、まず、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する(S610)。
そのS610での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みでなければ、S620へと進み、状態変化作業済みであるか否かを判断する。本実施例における状態変化作業とは、入場券処理装置522による半券(第2片512)を切り取る作業である。
【0306】
このS620では、状態検出配線26Gが通電可能であれば上記作業は行われていないと判断し、状態検出配線26Gが通電可能でなければ上記作業が既に行われていると判断する。
【0307】
そして、S620での判断の結果、状態変化作業済みであれば、書込禁止フラグを設定して(S630)、その後、S640へと進む。
つまり、状態検出配線26Gが断線された後、リーダライタ装置521からの動作指令を最初に受信した際に、書込禁止フラグが設定される。
【0308】
なお、S610での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みである場合には、S640へと進む。また、S620での判断の結果、状態変化作業が未だ行われていない場合、書込禁止フラグを未設定に維持したまま、S640へと進む。
【0309】
続くS640では、受信した動作指令がリーダライタ装置521からの書込指令であるか否かを判断する。その判断の結果、動作指令が書込指令であれば、S650にて、書込禁止フラグが設定済みであるか否かを判断する。
【0310】
そして、S650での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みでなければ、リーダライタ装置521から送信された物品情報を記憶部に書き込んだ後(S660)、本処理を終了する。その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0311】
一方、S650での判断の結果、書込禁止フラグが設定済みであれば、リーダライタ装置521から送信された物品情報を破棄した上で、本処理を終了する。そして、その後、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0312】
ところで、S640での判断の結果、受信した動作指令が書込指令でなければ、S670へと進む。
そのS670では、リーダライタ装置521からの読出指令であるか否かを判断する。この判断の結果、動作指令が読出指令であれば、S680にて、記憶部に記憶されている物品情報を読み出す。そして、その記憶部から読み出した物品情報を、送受信部へと出力する。すると、送受信部は、その記憶部から読み出した物品情報をリーダライタ装置521へと送信する。その後本処理を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
【0313】
一方、S670での判断の結果、動作指令が、書込指令または読出指令以外のもの(例えば、ICタグ20Gの動作をテストするためのチェック指令など)であれば、S690へと進む。そのS690では、動作指令に従った制御(例えば、チェック指令であれば、ICタグ20Gが正常に動作するか否かをチェックするチェック動作)を実行する。その後、本処理を終了して、次の動作指令が入力されるまで待機する。
<リーダライタ装置による処理>
リーダライタ装置521によって実行されるリード処理の処理手順を、図21に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0314】
このリード処理は、起動されると、図21に示すように、S540にて、送受信アンテナ521Aを介して読出指令をICタグ20Gに送信する。
続くS550にて、ICタグ20Gからの返信される物品情報を、送受信アンテナ521Aを介して取得したか否かを判断する。その判断の結果、物品情報を取得していなければ、当該リーダライタ装置521の通信範囲内にICタグ20Gが存在しないか、あるいは存在していても物品情報を返信してこないものと判断して、S540へと戻り、読出指令を再度送信する。
【0315】
一方、物品情報を取得していれば、即ち、当該リーダライタ装置521の通信範囲内にICタグ20Gが存在し、そのICタグ20Gが物品情報を返信していれば、S560へと進む。そのS560では、ICタグ20Gから送信された物品情報を、制御装置523に出力する。その後、リード処理を終了する。
[第7実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の入場システム501では、入場時にICタグユニット510のICタグ20Gが書き込み可能な状態、または、再入場可能なデータが記憶されていたり、入場可能な日時データに合致していたりする場合でないと入場が許可されない。また、入場時に入場者に戻るのは半券(第1片511)のみであり、またその半券のICタグ20Gは書き込みが不可となる状態となっている。したがって、その第1片511に基づいてICタグユニット510を再生したり、使用可能な状態にしたりすることは非常に困難となるため、偽造入場券が作成されてしまうことを抑制することができる。
【0316】
また、第1片511にICタグ20Gが残るため、そのICタグ20Gを施設内での催し物の受付や予約などに利用することができる。またその受付や予約のタイミングでICタグ20Gから読み出した物品情報と、サーバ530に記憶された物品情報と、を照合することで、例えば既に使用期限の切れた半券の不正利用を防止することができる。
【0317】
さらに、例えば施設の入場者数が多く入場口が混雑した場合や入場機520が故障した場合など、入場機520を使用せずに入場を行わせたい場合において、本実施形態のICタグユニット510では、人手によって第2片512を切り落とすだけで、ICタグ20Gへの書き込みを防止することができる。これにより、入場の混雑が解消できるうえ、そのICタグ20Gを入場券の偽造に用いることを困難にすることができたり、使用済みとして再入場を不可能にしたりすることができる。
[第7実施形態の変形例]
以上、本発明の第7実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0318】
例えば、上記実施形態においては、入場の管理を行うシステムを例示したが、乗車券や所定期間使用できる券など利用することができる。
【符号の説明】
【0319】
1…情報処理システム 8…対象物品 10,110,210…ICタグユニット 11…操作受付部 12,112,212…状態検出センサー 12A,B、112A,B、212A,B…端子 12C…接続線 13…通知機構 13A…状態情報表示部 13B…背景部 13C…状態情報 14…操作部 16…剥離部 17…ピン 18…窓部
19…本体部 19A…嵌入孔 19B…表面上 20,20A〜20G…ICタグ 21…送受信アンテナ 22…送受信部 23…電源部 24…記憶部 25…処理部 30…金銭登録機 31,83…リーダライタ装置 31A…入力受付部 31B…制御部 31C…送受信アンテナ 33…リード装置 35,82…情報処理装置 35A,82A…マイクロコンピュータ 35B,82B…操作部 35C,82C…報知部 70,80…対象物品管理システム 71…ライト装置 72…サーバ 112D…薄膜 212E…状態変化物質 219A…窪み 301…配達記録管理システム、302…物流対象物、310…ICタグユニット、311…貼付部、312…剥離部、313…切取線、314…角部、315…記載欄、320…ライト装置、330…リーダ装置、340…サーバ、350…ICタグユニット、351…結束バンド、352…主要部、353…切り離し部、354…表示部、360…ICタグユニット、361…主要部、362…切り離し部、370…ICタグユニット、371…ベースシール、372…表面シール、380…ICタグユニット、381…消費者タグ、382…販売店タグ、401…図書管理システム、402…図書、410…ICタグユニット、420…リーダライタ装置、430…サーバ、440…リーダ装置、441…表示画面、501…入場システム、510…ICタグユニット、511…第1片、512…第2片、513…切取線、520…入場機、521…リーダライタ装置、522…入場券処理装置、523…制御装置、524…入券口、525…出券口、530…サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段へのデータの書き込み制御を実行する書込実行手段と、
予め規定された信号を外部から受信すると、前記記憶手段に記憶されているデータを送信する送受信手段と
特定の操作を受け付ける前の状態を第1状態とし、前記特定の操作を受け付けると前記第1状態とは不可逆的な状態である第2状態へと変化する状態変化機構を有し、前記状態変化機構の状態を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段での検出の結果、前記状態変化機構が第1状態から第2状態へと切り替わると、前記書込実行手段による書き込み制御の実行を禁止する書込制御手段と
を備えることを特徴とするICタグユニット。
【請求項2】
前記書込制御手段は、
前記状態検出手段での検出の結果、前記状態変化機構が第1状態であれば、前記書込実行手段による書き込み制御の実行を許可することを特徴とする請求項1に記載のICタグユニット。
【請求項3】
前記状態変化機構は、
前記第1状態において通電可能な配線からなり、
前記第2状態では、前記配線が切断された状態、または前記配線の抵抗値が前記第1状態から変化された状態となるように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のICタグユニット。
【請求項4】
前記状態変化機構は、
前記特定の操作を受け付けてから予め規定された時間長が経過した後、前記第2状態へと切り替わるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のICタグユニット。
【請求項5】
前記状態変化機構は、
前記第1状態から前記第2状態へと切り替わったことを通知する状態通知機構を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のICタグユニット。
【請求項6】
前記状態通知機構は、
前記第2状態へと切り替わったことを、表示色の変化によって通知することを特徴とする請求項5に記載のICタグユニット。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載され、かつ物品に取り付けられるICタグユニットと、
前記送受信手段から送信されたデータである取得データに基づいて、前記物品の状態を管理する状態管理手段と、
前記状態管理手段での管理結果を報知する報知手段と
を備えることを特徴とする管理システム。
【請求項8】
前記物品とは、工業製品の部分品であり、
前記部分品を識別するために前記部分品毎に予め設定されたデータを識別データとし、前記記憶手段に記憶されるデータの1つとして、識別データを少なくとも含み、
前記状態管理手段は、
前記取得データの中に前記識別データが含まれているか否かに基づいて、前記物品の状態として、前記部分品が真正品であるか否かを管理することを特徴とする請求項7に記載の管理システム。
【請求項9】
前記物品とは、工業製品の部分品であり、
前記部分品の製造年月日、または前記部分品の使用開始年月日のうち、少なくとも1つを品質保証データとし、前記記憶手段に記憶されるデータの1つとして、前記品質保証データを含み、
前記状態管理手段は、
前記取得データ中に含まれる前記品質保証データに基づいて、前記部分品の品質が保証される期間内であるか否かを前記物品の状態として管理することを特徴とする請求項7に記載の管理システム。
【請求項10】
前記物品とは、食料品そのもの、または食料品を収納したパッケージであり、
前記食料品の製造年月日、賞味期限、消費期限のうち、少なくとも1つを品質管理データとし、前記記憶手段に記憶されるデータとして、前記品質管理データを含み、
前記状態管理手段は、
前記取得データ中に含まれる前記品質管理データに基づいて、前記食料品の品質が保証される期間内であるか否かを前記物品の状態として管理することを特徴とする請求項7に記載の管理システム。
【請求項11】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載されたICタグユニットであって、
物流の対象となる物流対象物に取り付けられるものであり、
前記記憶手段が記憶するデータは、前記物流対象物の荷元、荷受け日時、荷受け場所、運搬人、流通経路、流通時刻、荷渡し日時、荷渡し場所、運搬に使用する車両,航空機,鉄道,船舶,のうち、少なくとも1つを含む
ことを特徴とするICタグユニット。
【請求項12】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載されたICタグユニットであって、
物品に取り付けられるものであり、
前記記憶手段が記憶するデータは、前記物品に対して予め定められた位置を示す情報を含む
ことを特徴とするICタグユニット。
【請求項13】
データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段へのデータの書き込み制御を実行する書込実行手段と、
予め規定された信号を外部から受信すると、前記記憶手段に記憶されているデータを送信する送受信手段と
特定の操作を受け付ける前の状態を第1状態とし、前記操作を受け付けると前記第1状態とは不可逆的な状態である第2状態へと変化する状態変化機構を有し、前記状態変化機構の状態を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段での検出の結果、前記状態変化機構が第1状態であれば、前記書込実行手段による書き込み制御の実行を禁止し、前記状態変化機構が第1状態から第2状態へと切り替わると、前記書込実行手段による書き込み制御の実行を許可する書込制御手段とを備えることを特徴とするICタグユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−28715(P2011−28715A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258068(P2009−258068)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】