IC媒体処理装置
【課題】使用する毎に収納ケースからIC媒体を取り出すようなわずらわしさがなく、仮にスキミングされてもスキミングされたことを検知できるIC媒体処理装置を提供する。
【解決手段】IC媒体から、該IC媒体が読取要求を受けた際に記憶した読取時記憶情報と、該IC媒体が書込要求を受けた際に記憶した書込時記憶情報と、IC媒体情報とを読取る読取手段と、前記読取手段で読取った前記IC媒体情報に基づいて前記IC媒体の利用に伴う処理を前記IC媒体に書込み処理する書込手段と、前記読取時記憶情報の記憶と前記書込時記憶情報の記憶とを前記IC媒体に両方実行させるべく前記読取手段による読取りと前記書込手段による書込みとを一組の動作として実行する制御手段と、前記読取時記憶情報と前記書込時記憶情報とに基づいてスキミングの有無を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたIC媒体処理装置。
【解決手段】IC媒体から、該IC媒体が読取要求を受けた際に記憶した読取時記憶情報と、該IC媒体が書込要求を受けた際に記憶した書込時記憶情報と、IC媒体情報とを読取る読取手段と、前記読取手段で読取った前記IC媒体情報に基づいて前記IC媒体の利用に伴う処理を前記IC媒体に書込み処理する書込手段と、前記読取時記憶情報の記憶と前記書込時記憶情報の記憶とを前記IC媒体に両方実行させるべく前記読取手段による読取りと前記書込手段による書込みとを一組の動作として実行する制御手段と、前記読取時記憶情報と前記書込時記憶情報とに基づいてスキミングの有無を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたIC媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばIC媒体がスキミングされたことを検知できるようなIC媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、定期券やプリペイドカードさらにはクレジットカードやキャッシュカード等の記憶媒体として、利用者の利便性から、非接触で通信できる非接触型のIC媒体が普及してきている。
【0003】
このような非接触型のIC媒体は、IC媒体に直接触れなくても非接触で通信することができる。このため、IC媒体の内部データが不正に読取られる所謂スキミングがなされても、所有者が気づかない可能性がある。詳述すると、例えば所有者がIC媒体を衣服のポケットやカバン等に入れていると、満員電車の車内等でポケットやカバン等の外から不正なリーダ装置によってIC媒体と非接触通信され、IC媒体の内部データが読取られてしまうことが考えられる。このようなスキミングが行われると、IC媒体がポケットやカバンから一度も取り出されていないため、所有者はスキミングに気づかないことになる。
【0004】
このようなスキミングを防止する方法として、IC媒体を収納する収納ケースが提案されている(特許文献1参照)。この収納ケースは、電磁波を遮蔽する電磁波シールド手段を有しており、収納されたIC媒体をこの電磁波シールド手段によって非接触通信できないようにするものである。
【0005】
しかし、この収納ケースは、上述した満員電車の車内等でのスキミングを防止することはできるが、所有者はIC媒体を使用する際に収納ケースからIC媒体を毎回取り出さなければならず、非常にわずらわしいという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−188215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑み、使用する毎に収納ケースからIC媒体を取り出すようなわずらわしさがなく、仮にスキミングされてもスキミングされたことを検知できるIC媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、読取要求を受けると情報を送信し書込要求を受けると情報を書込むIC媒体から、該IC媒体が読取要求を受けた際に記憶した読取時記憶情報と、該IC媒体が書込要求を受けた際に記憶した書込時記憶情報と、該IC媒体が記憶しているIC媒体情報とを読取る読取手段と、前記読取手段で読取った前記IC媒体情報に基づいて前記IC媒体の利用に伴う処理を前記IC媒体に書込み処理する書込手段と、前記読取時記憶情報の記憶と前記書込時記憶情報の記憶とを前記IC媒体に両方実行させるべく前記読取手段による読取りと前記書込手段による書込みとを一組の動作として実行する制御手段と、前記読取時記憶情報と前記書込時記憶情報とに基づいてスキミングの有無を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたIC媒体処理装置であることを特徴とする。
【0009】
前記IC媒体は、非接触型または接触型のIC媒体など、読取要求を受けると情報を送信し書込要求を受けると情報を書込む適宜の媒体で構成することができる。
【0010】
前記読取時記憶情報は、IC媒体が読取要求を受けた際に、該IC媒体が自己の機能によって自動的に記憶する情報で構成することができる。
前記書込時記憶情報は、IC媒体が書込要求を受けた際に該IC媒体が自己の機能によって自動的に記憶する情報で構成する、あるいはIC媒体処理装置がIC媒体に書込み処理する際に該IC媒体処理装置が書込み命令する情報で構成することができる。
【0011】
前記出力手段は、スキミングの有無などの情報を表示する表示手段、スキミングがあった場合に点灯する警告ランプ、スキミングがあった場合に鳴動するブザー、スキミングの有無などの情報を特定のメールアドレスにメール送信するメール送信手段、スキミングの有無などの情報を係員端末に送信する送信手段、スキミングの有無などの情報をIC媒体に書込む書込手段など、適宜の手段で構成することができる。
【0012】
この発明により、使用する毎に収納ケースからIC媒体を取り出すようなわずらわしさがなく、仮にスキミングされてもスキミングされたことを検知できるIC媒体処理装置を提供することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記読取時記憶情報として読取回数を取得し、前記書込時記憶情報として書込回数を取得し、前記判定手段を、前記読取回数と前記書込回数とが一致しない場合にスキミングがあったと判定する構成にすることができる。
【0014】
これにより、過去にスキミングがあったか否かを短時間で判定することができる。つまり、利用毎にカウントアップされる読取回数と書込回数を用いて判定することにより、過去の複数回にわたる利用の間に1度でもスキミングされていれば、これを読取回数と書込回数の比較という1回の比較で検知することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明により、使用する毎に収納ケースからIC媒体を取り出すようなわずらわしさがなく、仮にスキミングされてもスキミングされたことを検知できるIC媒体処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1として、非接触型のICカード3に対して改札機1が情報の読取りをした読取回数と情報の書込みをした書込回数とを比較することでスキミングの有無を判定するシステムについて説明する。
【0018】
図1は改札機1の構成を示すブロック図であり、図2は非接触型のICカード3の構成を示すブロック図である。この改札機1とICカード3によってスキミングの有無を判定するスキミング有無判定システムが構成されている。
【0019】
図1に示すように、改札機1は、CPU21と、該CPU21に接続されたROM11、メモリ13、ICカードリーダライタ22、ディスプレイ23、音声ユニット24、警告ランプ25、およびLAN26で構成されている。
【0020】
ROM11は、スキミングの有無を判定するカウンタ比較プログラム11aと、スキミングがあったと判定した場合にスキミングがあったことを通知するスキミング通知プログラム11bとを記憶している。
【0021】
メモリ13は、CPU21によって利用され、ICカード3から読取った読取時カウンタデータ13aや書込時カウンタデータ13b等のデータを一時記憶する。
【0022】
CPU21は、ROM11に記憶されたカウンタ比較プログラム11aやスキミング通知プログラム11bに従い、メモリ13を一時記憶領域に利用して各種制御動作を実行する。
【0023】
ICカードリーダライタ22は、CPU21の制御信号に従って、ICカード3に対してデータの読取りと書込みを実行する。
ディスプレイ23は、CPU21の制御信号に従って各種の情報の表示を行う。この表示する情報としては、通過可否に関する通過可否情報や、スキミングされたことを示すスキミング情報がある。
【0024】
音声ユニット24は、CPU21の制御信号に従って各種の音声通知を行う。この音声通知には、運賃不足等の原因により通過不可であることを示す通過不可情報や、スキミングされたことを示すスキミング情報などがある。
【0025】
警告ランプ25は、CPU21の制御信号に従って、警告時に点灯するランプである。この警告ランプ25は、運賃不足等の原因により通過不可である場合やスキミングされたと判定した場合等に点灯して警告する。
LAN26は、上位装置や他の改札機と接続する通信装置であり、CPU21の制御信号に従って、接続されている他の装置とのデータ通信を実行する。
【0026】
図2に示すように、ICカード3は、CPU32と、該CPU32に接続された通信装置31および不揮発性メモリ33とで構成されている。
通信装置31は、CPU32の制御信号に従って、改札機1のICカードリーダライタ22などのリーダライタ装置と非接触で通信する。
CPU32は、各種制御動作を実行する。
【0027】
不揮発性メモリ33は、読取要求を受けた際に読取時カウンタデータ33bに記憶している読取回数をカウントアップする読取時カウンタ更新プログラム33aと、読取時カウンタデータ33bと、書込要求を受けた際に書込時カウンタデータ33dに記憶している書込回数をカウントアップする書込時カウンタ更新プログラム33cと、書込時カウンタデータ33dとを記憶している。
【0028】
図3は、改札機1のCPU21が実行する動作を示すフローチャートである。
CPU21は、ICカードリーダライタ22でICカード3を検知するまで待機し(ステップS1:NO)、ICカード3を検知すると(ステップS1:YES)、ICカードリーダライタ22を用いてICカード3に読取要求電文を送信する(ステップS2)。このときの読取要求電文は、読取時カウンタデータ33bとして記憶されている読取時カウンタ、書込時カウンタデータ33dとして記憶されている書込時カウンタ、及び乗車券としての乗車券データ(券種、発駅、着駅、区数、乗車駅情報、及び経由駅情報といった情報)を応答送信させる信号である。
【0029】
CPU21は、ICカード3から読取時カウンタおよび書込時カウンタを取得し、読取時カウンタデータ13aおよび書込時カウンタデータ13bとしてメモリ13に記憶する(ステップS3)。なお、このときCPU21は、乗車券データも取得し、この乗車券データもメモリ13に記憶する。
【0030】
CPU21は、読取時カウンタと書込時カウンタを比較し、両者が一致していれば(ステップS4:YES)、通常の改札処理を実行する(ステップS6)。この改札処理では、ステップS2で取得しステップS3でメモリ13に記憶した乗車券データに基づいて利用者の通過可否を判定し、通過可であれば通過を許容し、通過不可であれば通過を禁止してエラー通知する。
【0031】
CPU21は、ICカードリーダライタ22を用いてICカード3に書込要求電文を送信し、改札処理の結果をICカード3の不揮発性メモリ33に書込み(ステップS7)、処理を終了する。
【0032】
前記ステップS4で読取時カウンタと書込時カウンタが一致しなかった場合には(ステップS4:NO)、改札機1はスキミングされたことを通知した上で(ステップS5)、ステップS6に処理を進める。スキミングされたことの通知は、改札機1に接客画面として設けられたディスプレイ23にスキミングされていることを表示する、警告ランプ25を点灯あるいは点滅する、音声ユニット24によりブザー音を鳴らす、スキミングされていることを知らせる電子メールをLAN26により送信する、図示省略する係員端末にスキミングされていることを知らせる情報をLAN26により送信する、または、スキミングされていることを知らせる情報をICカードリーダライタ22によりICカード3に書込むといった適宜の方法で行う。なお、電子メールを送信する場合は、予め定めた電子メールアドレスに送信する、あるいはICカード3から電子メールアドレスを読取りその電子メールアドレスに送信するとよい。また、スキミングされていることを知らせる情報をICカードリーダライタ22によりICカード3に書込む場合は、ICカード3が書込時カウンタデータ33dをカウントアップしないように指示するカウントアップ禁止信号をあわせて送信する。
【0033】
図4は、読取要求を受けたICカード3のCPU32が実行する動作を示すフローチャートである。
CPU32は、読取要求があるまで待機し(ステップS11:NO)、読取要求があると(ステップS11:YES)、通信装置31により読取要求電文を受信する(ステップS12)。この読取要求電文には、例えば、読取時カウンタ、書込時カウンタ、及び乗車券データの応答送信を指示する電文などがある。
【0034】
CPU32は、不揮発性メモリ33の読取時カウンタ更新プログラム33aを実行し、読取時カウンタデータ33bをカウントアップする(ステップS13)。
【0035】
CPU32は、通信装置31を用いて改札機1のICカードリーダライタ22に読取要求電文で要求された情報を応答送信し(ステップS14)、処理を終了して待機状態に戻る。なお、このとき応答送信する情報のうち読取時カウンタは、前記ステップS13でカウントアップする前の値を送信するとよい。これにより、今回の読取要求に対するカウントを含まない前回処理までの読取時カウントおよび書込時カウントを応答送信することができる。
【0036】
図5は、書込要求を受けたICカード3のCPU32が実行する動作を示すフローチャートである。
CPU32は、書込要求があるまで待機し(ステップS21:NO)、書込要求があると(ステップS21:YES)、通信装置31により書込要求電文を受信する(ステップS22)。この書込要求電文には、例えば、改札機1の通過に関する通過データ(駅名、コーナー名、号機番号、現在日付、乗車/降車などにより構成)を書込み指示する電文などがある。
【0037】
CPU32は、不揮発性メモリ33の書込時カウンタ更新プログラム33cを実行し、書込時カウンタデータ33dをカウントアップする(ステップS23)。
【0038】
CPU32は、通信装置31を用いて改札機1のICカードリーダライタ22に書込要求電文で渡された通過データなどの情報を不揮発性メモリ33に書込み(ステップS24)、処理を終了する。
【0039】
以上の構成により、スキミングされた場合にスキミングされたことを通知できる改札機1を提供することができる。詳述すると、改札機1は、1回の改札処理にて読取り処理(ステップS2〜S3)と書込み処理(ステップS7)を必ず1回ずつ一組の動作として実行するため、ICカード3の読取時カウンタ更新プログラム33aと書込時カウンタ更新プログラム33cはいずれも必ず1回ずつ実行され、読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dが両方とも必ず1ずつカウントアップされる。従って、読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dは常に一致することになる。
【0040】
これに対し、スキミング装置によってICカード3のスキミングが行われると、スキミング装置が発する読取要求によりICカード3の読取時カウンタ更新プログラム33aが起動して読取時カウンタデータ33bをカウントアップする。しかしスキミング装置は書込み処理を実行しないため、書込時カウンタ更新プログラム33cは実行されず書込時カウンタデータ33dがカウントアップされない。このため、読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dが不一致となる。
【0041】
改札機1は、ICカード3が利用される毎に読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dの一致を確認しているため、スキミングによって両者が不一致となれば、即座にこれを検知して通知することができる。特に満員電車などの車内でスキミングが行われたような場合には、降車駅の改札機1にてスキミングがあったことを通知できる。このため、スキミングされたことを早期に発見でき、スキミングされたICカード3を使用停止にするなどの対策を早期に実行できる。
【0042】
次に、実施例2として、非接触型のICカード4に対して読取りと書込みを一組の動作として両方行うように改札機2を構成しておき、以前の読取時にICカード4が記憶した情報と以前の書込時にICカード4が記憶した情報とを改札機2がICカード4から読取って一致するか否か比較することで、一組の動作が正しく実行されたか否か判定してスキミングの有無を判定するシステムについて説明する。
【0043】
図6は改札機2の構成を示すブロック図であり、図7は非接触型のICカード4の構成を示すブロック図である。
改札機2は、ハードウェアとしては、実施例1と同一のROM11、メモリ13、CPU21、ICカードリーダライタ22、ディスプレイ23、音声ユニット24、警告ランプ25、およびLAN26に、HDD(ハードディスクドライブ)15を追加して構成されている。
【0044】
ROM11は、通過データ(駅名、コーナー名、号機番号、現在日付、乗車/降車などにより構成)から識別コードを作成する識別コード作成プログラム11e、識別コードによってスキミングの有無を判定する識別コード評価プログラム11f、および、スキミングがあったと判定した場合にスキミングがあったことを通知するスキミング通知プログラム11gを記憶している。
【0045】
メモリ13は、CPU21によって利用され、ICカード4から読取ったICカード読取時識別コードデータ13eやICカード乗車履歴13f等のデータを一時記憶する。
【0046】
HDD15は、自駅情報、自コーナー情報、自号機情報、および実日時情報といった設置場所等に関する各種情報15aを記憶している。
その他の構成要素については、実施例1と同一であるので、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、ICカード4は、ハードウェアとしては実施例1と同一の通信装置31、CPU32、および不揮発性メモリ33で構成されている。
不揮発性メモリ33には、読取時に受信する読取時識別コードを書込む読取時識別コード書込プログラム33f、読取時識別コードデータ33g、および乗車履歴である乗車履歴データ33hが記憶されている。読取時識別コードデータ33gは、複数の読取時識別コードが蓄積されており、乗車履歴データ33hは、複数の乗車履歴が蓄積されている。この乗車履歴は、通過した改札機2の自駅情報、自コーナー情報、自号機情報、および実日時情報等で構成されている。
【0048】
その他の構成については、実施例1と同一であるので、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
図8は、改札機2のCPU21が実行する動作を示すフローチャートであり、図9は読取要求電文のフォーマットを示す説明図である。
CPU21は、ICカードリーダライタ22でICカードを検知するまで待機し(ステップS41:NO)、ICカードを検知すると(ステップS41:YES)、ICカードリーダライタ22を用いてICカード4に読取要求電文40(図9参照)を送信する(ステップS42)。
【0050】
このときの読取要求電文40には、ICカード読取時識別コードデータ41(図9参照)が含まれている。このICカード読取時識別コードデータ41は、CPU21が識別コード作成プログラム11eによってHDD15内の各種情報15aを符号化して作成する。
【0051】
また、読取要求電文40には、乗車券としての乗車券データ(券種、発駅、着駅、区数、乗車駅情報、及び経由駅情報といった情報)をICカード4に応答送信させる電文も含まれている。
【0052】
CPU21は、ICカード4から読取時識別コードデータ33g内の全ての読取時識別コードおよび乗車履歴データ33h内の全ての乗車履歴を取得し、ICカード読取時識別コードデータ13eおよびICカード乗車履歴13fとしてメモリ13に記憶する(ステップS43)。なお、このときCPU21は、乗車券データも取得し、この乗車券データもメモリ13に記憶する。
【0053】
CPU21は、ステップS43で取得した全ての乗車履歴について識別コード作成プログラム11eにより識別コードを作成し、この作成した識別コードとICカード読取時識別コードデータ13e内の識別コードが全て一致する正しい関係にあるか判定する(ステップS44)。
【0054】
正しい関係にあれば(ステップS44:YES)、通常の改札処理を実行する(ステップS46)。この改札処理では、ステップS42で取得しステップS43でメモリ13に記憶した乗車券データに基づいて利用者の通過可否を判定し、通過可であれば通過を許容し、料金不足等によって通過不可であれば通過を禁止してエラー通知する。
【0055】
CPU21は、ICカードリーダライタ22を用いてICカード4に書込要求電文を送信し、乗車履歴をICカード4の不揮発性メモリ33に乗車履歴データ33hとして書込み(ステップS47)、処理を終了する。
【0056】
前記ステップS44で正しい関係になかった場合には(ステップS44:NO)、改札機2はスキミングされたことを通知した上で(ステップS45)、ステップS46に処理を進める。スキミングされたことの通知は、改札機2に接客画面として設けられたディスプレイ23にスキミングされていることを表示する、警告ランプ25を点灯あるいは点滅する、音声ユニット24によりブザー音を鳴らす、スキミングされていることを知らせる電子メールをLAN26により送信する、図示省略する係員端末にスキミングされていることを知らせる情報をLAN26により送信する、または、スキミングされていることを知らせる情報をICカードリーダライタ22によりICカード4に書込むといった適宜の方法で行う。なお、電子メールを送信する場合は、予め定めた電子メールアドレスに送信する、あるいはICカード4から電子メールアドレスを読取りその電子メールアドレスに送信するとよい。
【0057】
図10は、ステップS44で説明した判定を詳述するフローチャートである。
CPU21は、メモリ13からICカード読取時識別コードデータ13eを取得し(ステップS51)、メモリ13からICカード乗車履歴13fを取得する(ステップS52)。
【0058】
CPU21は、ICカード乗車履歴13fの駅、コーナー、号機、乗車日付を入力として識別コード作成プログラム11eを実行し、乗車履歴の識別コードを求める(ステップS53)。
【0059】
CPU21は、求めた乗車履歴の識別コードとICカード読取時識別コードデータ13eのICカード読取時識別コードが全て等しいか否か判定し、等しければ(ステップS54:YES)、処理OK(ステップS55)として前述したステップS46(図8参照)に処理を進める。1つでも等しくなければ(ステップS54:NO)、処理NG(ステップS56)として前述したステップS45に処理を進める。
【0060】
図11は、ICカード4が読取要求電文40を受信した際にCPU32が実行する動作のフローチャートを示す。
CPU32は、読取要求があるまで待機し(ステップS61:NO)、読取要求があると(ステップS61:YES)、通信装置31により読取要求電文40を受信する(ステップS62)。
【0061】
CPU32は、読取要求電文40に含まれているICカード読取時識別コードデータ41を取得し(ステップS63)、このICカード読取時識別コードデータ41を不揮発性メモリ33に読取時識別コードデータ33gとして書込む(ステップS64)。
【0062】
CPU32は、通信装置31を用いて改札機2のICカードリーダライタ22に読取要求電文40で要求された情報を応答送信し(ステップS64)、処理を終了する。
【0063】
以上の構成により、スキミングされた場合にスキミングされたことを通知できる改札機2を提供することができる。詳述すると、改札機2による改札処理では、読取処理(ステップS42〜S43)と書込処理(ステップS47)とを必ず一組の動作として実行し、ICカード4に読取時識別コードデータ33gと乗車履歴データ33hとを正しい値で必ず記憶させる。
【0064】
しかし、スキミング装置によりICカード4に対してスキミングが行われると、読取要求電文内に正しいICカード読取時識別コードデータ41が存在しないため、ICカード4の読取時識別コードデータ33gに書込まれるICカード読取時識別コードが空になるか正しくないコードとなる。このため、乗車履歴データ33hを符号化しても読取時識別コードデータ33gと一致しなくなり、読取時識別コードデータ33gと乗車履歴データ33hの関係が正しくなくなる。
【0065】
改札機2は、ICカード4が利用される毎に読取時識別コードデータ33gと乗車履歴データ33hの関係が正しいか否かを確認しているため、スキミングによって正しくないとなれば、即座にこれを検知して通知することができる。特に満員電車などの車内でスキミングが行われたような場合には、降車駅の改札機2にてスキミングがあったことを通知できる。このため、スキミングされたことを早期に発見でき、スキミングされたICカード4を使用停止にするなどの対策を早期に実行できる。
【0066】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のIC媒体処理装置は、実施形態の改札機1に対応し、
以下同様に、
IC媒体は、ICカード3に対応し、
制御手段は、ステップS2,S3,S7を実行するCPU21に対応し、
判定手段は、ステップS4を実行するCPU21に対応し、
読取手段は、ステップS2〜S3を実行するICカードリーダライタ22に対応し、
書込手段は、ステップS7を実行するICカードリーダライタ22に対応し、
出力手段は、ディスプレイ23、音声ユニット24、警告ランプ25、またはLAN26に対応し、
読取時記憶情報は、読取時カウンタデータ33bに対応し、
書込時記憶情報は、書込時カウンタデータ33dに対応し、
IC媒体情報は、乗車券データに対応し、
読取回数は、読取時カウンタに対応し、
書込回数は、書込時カウンタに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】改札機の構成を示すブロック図。
【図2】非接触型のICカードの構成を示すブロック図。
【図3】改札機のCPUが実行する動作を示すフローチャート。
【図4】読取要求時のICカードのCPUが実行する動作のフローチャート。
【図5】書込要求時のICカードのCPUが実行する動作のフローチャート。
【図6】実施例2の改札機の構成を示すブロック図。
【図7】実施例2の非接触型のICカードの構成を示すブロック図。
【図8】実施例2の改札機のCPUが実行する動作を示すフローチャート。
【図9】実施例2の読取要求電文のフォーマットを示す説明図。
【図10】実施例2の判定を詳述するフローチャート。
【図11】実施例2のICカードが読取要求電文を受信した際にCPUが実行する動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
1…改札機
3…ICカード
21…CPU
22…ICカードリーダライタ
23…ディスプレイ
24…音声ユニット
25…警告ランプ
26…LAN
33b…読取時カウンタデータ
33d…書込時カウンタデータ
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばIC媒体がスキミングされたことを検知できるようなIC媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、定期券やプリペイドカードさらにはクレジットカードやキャッシュカード等の記憶媒体として、利用者の利便性から、非接触で通信できる非接触型のIC媒体が普及してきている。
【0003】
このような非接触型のIC媒体は、IC媒体に直接触れなくても非接触で通信することができる。このため、IC媒体の内部データが不正に読取られる所謂スキミングがなされても、所有者が気づかない可能性がある。詳述すると、例えば所有者がIC媒体を衣服のポケットやカバン等に入れていると、満員電車の車内等でポケットやカバン等の外から不正なリーダ装置によってIC媒体と非接触通信され、IC媒体の内部データが読取られてしまうことが考えられる。このようなスキミングが行われると、IC媒体がポケットやカバンから一度も取り出されていないため、所有者はスキミングに気づかないことになる。
【0004】
このようなスキミングを防止する方法として、IC媒体を収納する収納ケースが提案されている(特許文献1参照)。この収納ケースは、電磁波を遮蔽する電磁波シールド手段を有しており、収納されたIC媒体をこの電磁波シールド手段によって非接触通信できないようにするものである。
【0005】
しかし、この収納ケースは、上述した満員電車の車内等でのスキミングを防止することはできるが、所有者はIC媒体を使用する際に収納ケースからIC媒体を毎回取り出さなければならず、非常にわずらわしいという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−188215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑み、使用する毎に収納ケースからIC媒体を取り出すようなわずらわしさがなく、仮にスキミングされてもスキミングされたことを検知できるIC媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、読取要求を受けると情報を送信し書込要求を受けると情報を書込むIC媒体から、該IC媒体が読取要求を受けた際に記憶した読取時記憶情報と、該IC媒体が書込要求を受けた際に記憶した書込時記憶情報と、該IC媒体が記憶しているIC媒体情報とを読取る読取手段と、前記読取手段で読取った前記IC媒体情報に基づいて前記IC媒体の利用に伴う処理を前記IC媒体に書込み処理する書込手段と、前記読取時記憶情報の記憶と前記書込時記憶情報の記憶とを前記IC媒体に両方実行させるべく前記読取手段による読取りと前記書込手段による書込みとを一組の動作として実行する制御手段と、前記読取時記憶情報と前記書込時記憶情報とに基づいてスキミングの有無を判定する判定手段と、該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えたIC媒体処理装置であることを特徴とする。
【0009】
前記IC媒体は、非接触型または接触型のIC媒体など、読取要求を受けると情報を送信し書込要求を受けると情報を書込む適宜の媒体で構成することができる。
【0010】
前記読取時記憶情報は、IC媒体が読取要求を受けた際に、該IC媒体が自己の機能によって自動的に記憶する情報で構成することができる。
前記書込時記憶情報は、IC媒体が書込要求を受けた際に該IC媒体が自己の機能によって自動的に記憶する情報で構成する、あるいはIC媒体処理装置がIC媒体に書込み処理する際に該IC媒体処理装置が書込み命令する情報で構成することができる。
【0011】
前記出力手段は、スキミングの有無などの情報を表示する表示手段、スキミングがあった場合に点灯する警告ランプ、スキミングがあった場合に鳴動するブザー、スキミングの有無などの情報を特定のメールアドレスにメール送信するメール送信手段、スキミングの有無などの情報を係員端末に送信する送信手段、スキミングの有無などの情報をIC媒体に書込む書込手段など、適宜の手段で構成することができる。
【0012】
この発明により、使用する毎に収納ケースからIC媒体を取り出すようなわずらわしさがなく、仮にスキミングされてもスキミングされたことを検知できるIC媒体処理装置を提供することができる。
【0013】
この発明の態様として、前記読取時記憶情報として読取回数を取得し、前記書込時記憶情報として書込回数を取得し、前記判定手段を、前記読取回数と前記書込回数とが一致しない場合にスキミングがあったと判定する構成にすることができる。
【0014】
これにより、過去にスキミングがあったか否かを短時間で判定することができる。つまり、利用毎にカウントアップされる読取回数と書込回数を用いて判定することにより、過去の複数回にわたる利用の間に1度でもスキミングされていれば、これを読取回数と書込回数の比較という1回の比較で検知することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明により、使用する毎に収納ケースからIC媒体を取り出すようなわずらわしさがなく、仮にスキミングされてもスキミングされたことを検知できるIC媒体処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1として、非接触型のICカード3に対して改札機1が情報の読取りをした読取回数と情報の書込みをした書込回数とを比較することでスキミングの有無を判定するシステムについて説明する。
【0018】
図1は改札機1の構成を示すブロック図であり、図2は非接触型のICカード3の構成を示すブロック図である。この改札機1とICカード3によってスキミングの有無を判定するスキミング有無判定システムが構成されている。
【0019】
図1に示すように、改札機1は、CPU21と、該CPU21に接続されたROM11、メモリ13、ICカードリーダライタ22、ディスプレイ23、音声ユニット24、警告ランプ25、およびLAN26で構成されている。
【0020】
ROM11は、スキミングの有無を判定するカウンタ比較プログラム11aと、スキミングがあったと判定した場合にスキミングがあったことを通知するスキミング通知プログラム11bとを記憶している。
【0021】
メモリ13は、CPU21によって利用され、ICカード3から読取った読取時カウンタデータ13aや書込時カウンタデータ13b等のデータを一時記憶する。
【0022】
CPU21は、ROM11に記憶されたカウンタ比較プログラム11aやスキミング通知プログラム11bに従い、メモリ13を一時記憶領域に利用して各種制御動作を実行する。
【0023】
ICカードリーダライタ22は、CPU21の制御信号に従って、ICカード3に対してデータの読取りと書込みを実行する。
ディスプレイ23は、CPU21の制御信号に従って各種の情報の表示を行う。この表示する情報としては、通過可否に関する通過可否情報や、スキミングされたことを示すスキミング情報がある。
【0024】
音声ユニット24は、CPU21の制御信号に従って各種の音声通知を行う。この音声通知には、運賃不足等の原因により通過不可であることを示す通過不可情報や、スキミングされたことを示すスキミング情報などがある。
【0025】
警告ランプ25は、CPU21の制御信号に従って、警告時に点灯するランプである。この警告ランプ25は、運賃不足等の原因により通過不可である場合やスキミングされたと判定した場合等に点灯して警告する。
LAN26は、上位装置や他の改札機と接続する通信装置であり、CPU21の制御信号に従って、接続されている他の装置とのデータ通信を実行する。
【0026】
図2に示すように、ICカード3は、CPU32と、該CPU32に接続された通信装置31および不揮発性メモリ33とで構成されている。
通信装置31は、CPU32の制御信号に従って、改札機1のICカードリーダライタ22などのリーダライタ装置と非接触で通信する。
CPU32は、各種制御動作を実行する。
【0027】
不揮発性メモリ33は、読取要求を受けた際に読取時カウンタデータ33bに記憶している読取回数をカウントアップする読取時カウンタ更新プログラム33aと、読取時カウンタデータ33bと、書込要求を受けた際に書込時カウンタデータ33dに記憶している書込回数をカウントアップする書込時カウンタ更新プログラム33cと、書込時カウンタデータ33dとを記憶している。
【0028】
図3は、改札機1のCPU21が実行する動作を示すフローチャートである。
CPU21は、ICカードリーダライタ22でICカード3を検知するまで待機し(ステップS1:NO)、ICカード3を検知すると(ステップS1:YES)、ICカードリーダライタ22を用いてICカード3に読取要求電文を送信する(ステップS2)。このときの読取要求電文は、読取時カウンタデータ33bとして記憶されている読取時カウンタ、書込時カウンタデータ33dとして記憶されている書込時カウンタ、及び乗車券としての乗車券データ(券種、発駅、着駅、区数、乗車駅情報、及び経由駅情報といった情報)を応答送信させる信号である。
【0029】
CPU21は、ICカード3から読取時カウンタおよび書込時カウンタを取得し、読取時カウンタデータ13aおよび書込時カウンタデータ13bとしてメモリ13に記憶する(ステップS3)。なお、このときCPU21は、乗車券データも取得し、この乗車券データもメモリ13に記憶する。
【0030】
CPU21は、読取時カウンタと書込時カウンタを比較し、両者が一致していれば(ステップS4:YES)、通常の改札処理を実行する(ステップS6)。この改札処理では、ステップS2で取得しステップS3でメモリ13に記憶した乗車券データに基づいて利用者の通過可否を判定し、通過可であれば通過を許容し、通過不可であれば通過を禁止してエラー通知する。
【0031】
CPU21は、ICカードリーダライタ22を用いてICカード3に書込要求電文を送信し、改札処理の結果をICカード3の不揮発性メモリ33に書込み(ステップS7)、処理を終了する。
【0032】
前記ステップS4で読取時カウンタと書込時カウンタが一致しなかった場合には(ステップS4:NO)、改札機1はスキミングされたことを通知した上で(ステップS5)、ステップS6に処理を進める。スキミングされたことの通知は、改札機1に接客画面として設けられたディスプレイ23にスキミングされていることを表示する、警告ランプ25を点灯あるいは点滅する、音声ユニット24によりブザー音を鳴らす、スキミングされていることを知らせる電子メールをLAN26により送信する、図示省略する係員端末にスキミングされていることを知らせる情報をLAN26により送信する、または、スキミングされていることを知らせる情報をICカードリーダライタ22によりICカード3に書込むといった適宜の方法で行う。なお、電子メールを送信する場合は、予め定めた電子メールアドレスに送信する、あるいはICカード3から電子メールアドレスを読取りその電子メールアドレスに送信するとよい。また、スキミングされていることを知らせる情報をICカードリーダライタ22によりICカード3に書込む場合は、ICカード3が書込時カウンタデータ33dをカウントアップしないように指示するカウントアップ禁止信号をあわせて送信する。
【0033】
図4は、読取要求を受けたICカード3のCPU32が実行する動作を示すフローチャートである。
CPU32は、読取要求があるまで待機し(ステップS11:NO)、読取要求があると(ステップS11:YES)、通信装置31により読取要求電文を受信する(ステップS12)。この読取要求電文には、例えば、読取時カウンタ、書込時カウンタ、及び乗車券データの応答送信を指示する電文などがある。
【0034】
CPU32は、不揮発性メモリ33の読取時カウンタ更新プログラム33aを実行し、読取時カウンタデータ33bをカウントアップする(ステップS13)。
【0035】
CPU32は、通信装置31を用いて改札機1のICカードリーダライタ22に読取要求電文で要求された情報を応答送信し(ステップS14)、処理を終了して待機状態に戻る。なお、このとき応答送信する情報のうち読取時カウンタは、前記ステップS13でカウントアップする前の値を送信するとよい。これにより、今回の読取要求に対するカウントを含まない前回処理までの読取時カウントおよび書込時カウントを応答送信することができる。
【0036】
図5は、書込要求を受けたICカード3のCPU32が実行する動作を示すフローチャートである。
CPU32は、書込要求があるまで待機し(ステップS21:NO)、書込要求があると(ステップS21:YES)、通信装置31により書込要求電文を受信する(ステップS22)。この書込要求電文には、例えば、改札機1の通過に関する通過データ(駅名、コーナー名、号機番号、現在日付、乗車/降車などにより構成)を書込み指示する電文などがある。
【0037】
CPU32は、不揮発性メモリ33の書込時カウンタ更新プログラム33cを実行し、書込時カウンタデータ33dをカウントアップする(ステップS23)。
【0038】
CPU32は、通信装置31を用いて改札機1のICカードリーダライタ22に書込要求電文で渡された通過データなどの情報を不揮発性メモリ33に書込み(ステップS24)、処理を終了する。
【0039】
以上の構成により、スキミングされた場合にスキミングされたことを通知できる改札機1を提供することができる。詳述すると、改札機1は、1回の改札処理にて読取り処理(ステップS2〜S3)と書込み処理(ステップS7)を必ず1回ずつ一組の動作として実行するため、ICカード3の読取時カウンタ更新プログラム33aと書込時カウンタ更新プログラム33cはいずれも必ず1回ずつ実行され、読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dが両方とも必ず1ずつカウントアップされる。従って、読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dは常に一致することになる。
【0040】
これに対し、スキミング装置によってICカード3のスキミングが行われると、スキミング装置が発する読取要求によりICカード3の読取時カウンタ更新プログラム33aが起動して読取時カウンタデータ33bをカウントアップする。しかしスキミング装置は書込み処理を実行しないため、書込時カウンタ更新プログラム33cは実行されず書込時カウンタデータ33dがカウントアップされない。このため、読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dが不一致となる。
【0041】
改札機1は、ICカード3が利用される毎に読取時カウンタデータ33bと書込時カウンタデータ33dの一致を確認しているため、スキミングによって両者が不一致となれば、即座にこれを検知して通知することができる。特に満員電車などの車内でスキミングが行われたような場合には、降車駅の改札機1にてスキミングがあったことを通知できる。このため、スキミングされたことを早期に発見でき、スキミングされたICカード3を使用停止にするなどの対策を早期に実行できる。
【0042】
次に、実施例2として、非接触型のICカード4に対して読取りと書込みを一組の動作として両方行うように改札機2を構成しておき、以前の読取時にICカード4が記憶した情報と以前の書込時にICカード4が記憶した情報とを改札機2がICカード4から読取って一致するか否か比較することで、一組の動作が正しく実行されたか否か判定してスキミングの有無を判定するシステムについて説明する。
【0043】
図6は改札機2の構成を示すブロック図であり、図7は非接触型のICカード4の構成を示すブロック図である。
改札機2は、ハードウェアとしては、実施例1と同一のROM11、メモリ13、CPU21、ICカードリーダライタ22、ディスプレイ23、音声ユニット24、警告ランプ25、およびLAN26に、HDD(ハードディスクドライブ)15を追加して構成されている。
【0044】
ROM11は、通過データ(駅名、コーナー名、号機番号、現在日付、乗車/降車などにより構成)から識別コードを作成する識別コード作成プログラム11e、識別コードによってスキミングの有無を判定する識別コード評価プログラム11f、および、スキミングがあったと判定した場合にスキミングがあったことを通知するスキミング通知プログラム11gを記憶している。
【0045】
メモリ13は、CPU21によって利用され、ICカード4から読取ったICカード読取時識別コードデータ13eやICカード乗車履歴13f等のデータを一時記憶する。
【0046】
HDD15は、自駅情報、自コーナー情報、自号機情報、および実日時情報といった設置場所等に関する各種情報15aを記憶している。
その他の構成要素については、実施例1と同一であるので、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、ICカード4は、ハードウェアとしては実施例1と同一の通信装置31、CPU32、および不揮発性メモリ33で構成されている。
不揮発性メモリ33には、読取時に受信する読取時識別コードを書込む読取時識別コード書込プログラム33f、読取時識別コードデータ33g、および乗車履歴である乗車履歴データ33hが記憶されている。読取時識別コードデータ33gは、複数の読取時識別コードが蓄積されており、乗車履歴データ33hは、複数の乗車履歴が蓄積されている。この乗車履歴は、通過した改札機2の自駅情報、自コーナー情報、自号機情報、および実日時情報等で構成されている。
【0048】
その他の構成については、実施例1と同一であるので、同一要素に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
図8は、改札機2のCPU21が実行する動作を示すフローチャートであり、図9は読取要求電文のフォーマットを示す説明図である。
CPU21は、ICカードリーダライタ22でICカードを検知するまで待機し(ステップS41:NO)、ICカードを検知すると(ステップS41:YES)、ICカードリーダライタ22を用いてICカード4に読取要求電文40(図9参照)を送信する(ステップS42)。
【0050】
このときの読取要求電文40には、ICカード読取時識別コードデータ41(図9参照)が含まれている。このICカード読取時識別コードデータ41は、CPU21が識別コード作成プログラム11eによってHDD15内の各種情報15aを符号化して作成する。
【0051】
また、読取要求電文40には、乗車券としての乗車券データ(券種、発駅、着駅、区数、乗車駅情報、及び経由駅情報といった情報)をICカード4に応答送信させる電文も含まれている。
【0052】
CPU21は、ICカード4から読取時識別コードデータ33g内の全ての読取時識別コードおよび乗車履歴データ33h内の全ての乗車履歴を取得し、ICカード読取時識別コードデータ13eおよびICカード乗車履歴13fとしてメモリ13に記憶する(ステップS43)。なお、このときCPU21は、乗車券データも取得し、この乗車券データもメモリ13に記憶する。
【0053】
CPU21は、ステップS43で取得した全ての乗車履歴について識別コード作成プログラム11eにより識別コードを作成し、この作成した識別コードとICカード読取時識別コードデータ13e内の識別コードが全て一致する正しい関係にあるか判定する(ステップS44)。
【0054】
正しい関係にあれば(ステップS44:YES)、通常の改札処理を実行する(ステップS46)。この改札処理では、ステップS42で取得しステップS43でメモリ13に記憶した乗車券データに基づいて利用者の通過可否を判定し、通過可であれば通過を許容し、料金不足等によって通過不可であれば通過を禁止してエラー通知する。
【0055】
CPU21は、ICカードリーダライタ22を用いてICカード4に書込要求電文を送信し、乗車履歴をICカード4の不揮発性メモリ33に乗車履歴データ33hとして書込み(ステップS47)、処理を終了する。
【0056】
前記ステップS44で正しい関係になかった場合には(ステップS44:NO)、改札機2はスキミングされたことを通知した上で(ステップS45)、ステップS46に処理を進める。スキミングされたことの通知は、改札機2に接客画面として設けられたディスプレイ23にスキミングされていることを表示する、警告ランプ25を点灯あるいは点滅する、音声ユニット24によりブザー音を鳴らす、スキミングされていることを知らせる電子メールをLAN26により送信する、図示省略する係員端末にスキミングされていることを知らせる情報をLAN26により送信する、または、スキミングされていることを知らせる情報をICカードリーダライタ22によりICカード4に書込むといった適宜の方法で行う。なお、電子メールを送信する場合は、予め定めた電子メールアドレスに送信する、あるいはICカード4から電子メールアドレスを読取りその電子メールアドレスに送信するとよい。
【0057】
図10は、ステップS44で説明した判定を詳述するフローチャートである。
CPU21は、メモリ13からICカード読取時識別コードデータ13eを取得し(ステップS51)、メモリ13からICカード乗車履歴13fを取得する(ステップS52)。
【0058】
CPU21は、ICカード乗車履歴13fの駅、コーナー、号機、乗車日付を入力として識別コード作成プログラム11eを実行し、乗車履歴の識別コードを求める(ステップS53)。
【0059】
CPU21は、求めた乗車履歴の識別コードとICカード読取時識別コードデータ13eのICカード読取時識別コードが全て等しいか否か判定し、等しければ(ステップS54:YES)、処理OK(ステップS55)として前述したステップS46(図8参照)に処理を進める。1つでも等しくなければ(ステップS54:NO)、処理NG(ステップS56)として前述したステップS45に処理を進める。
【0060】
図11は、ICカード4が読取要求電文40を受信した際にCPU32が実行する動作のフローチャートを示す。
CPU32は、読取要求があるまで待機し(ステップS61:NO)、読取要求があると(ステップS61:YES)、通信装置31により読取要求電文40を受信する(ステップS62)。
【0061】
CPU32は、読取要求電文40に含まれているICカード読取時識別コードデータ41を取得し(ステップS63)、このICカード読取時識別コードデータ41を不揮発性メモリ33に読取時識別コードデータ33gとして書込む(ステップS64)。
【0062】
CPU32は、通信装置31を用いて改札機2のICカードリーダライタ22に読取要求電文40で要求された情報を応答送信し(ステップS64)、処理を終了する。
【0063】
以上の構成により、スキミングされた場合にスキミングされたことを通知できる改札機2を提供することができる。詳述すると、改札機2による改札処理では、読取処理(ステップS42〜S43)と書込処理(ステップS47)とを必ず一組の動作として実行し、ICカード4に読取時識別コードデータ33gと乗車履歴データ33hとを正しい値で必ず記憶させる。
【0064】
しかし、スキミング装置によりICカード4に対してスキミングが行われると、読取要求電文内に正しいICカード読取時識別コードデータ41が存在しないため、ICカード4の読取時識別コードデータ33gに書込まれるICカード読取時識別コードが空になるか正しくないコードとなる。このため、乗車履歴データ33hを符号化しても読取時識別コードデータ33gと一致しなくなり、読取時識別コードデータ33gと乗車履歴データ33hの関係が正しくなくなる。
【0065】
改札機2は、ICカード4が利用される毎に読取時識別コードデータ33gと乗車履歴データ33hの関係が正しいか否かを確認しているため、スキミングによって正しくないとなれば、即座にこれを検知して通知することができる。特に満員電車などの車内でスキミングが行われたような場合には、降車駅の改札機2にてスキミングがあったことを通知できる。このため、スキミングされたことを早期に発見でき、スキミングされたICカード4を使用停止にするなどの対策を早期に実行できる。
【0066】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のIC媒体処理装置は、実施形態の改札機1に対応し、
以下同様に、
IC媒体は、ICカード3に対応し、
制御手段は、ステップS2,S3,S7を実行するCPU21に対応し、
判定手段は、ステップS4を実行するCPU21に対応し、
読取手段は、ステップS2〜S3を実行するICカードリーダライタ22に対応し、
書込手段は、ステップS7を実行するICカードリーダライタ22に対応し、
出力手段は、ディスプレイ23、音声ユニット24、警告ランプ25、またはLAN26に対応し、
読取時記憶情報は、読取時カウンタデータ33bに対応し、
書込時記憶情報は、書込時カウンタデータ33dに対応し、
IC媒体情報は、乗車券データに対応し、
読取回数は、読取時カウンタに対応し、
書込回数は、書込時カウンタに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】改札機の構成を示すブロック図。
【図2】非接触型のICカードの構成を示すブロック図。
【図3】改札機のCPUが実行する動作を示すフローチャート。
【図4】読取要求時のICカードのCPUが実行する動作のフローチャート。
【図5】書込要求時のICカードのCPUが実行する動作のフローチャート。
【図6】実施例2の改札機の構成を示すブロック図。
【図7】実施例2の非接触型のICカードの構成を示すブロック図。
【図8】実施例2の改札機のCPUが実行する動作を示すフローチャート。
【図9】実施例2の読取要求電文のフォーマットを示す説明図。
【図10】実施例2の判定を詳述するフローチャート。
【図11】実施例2のICカードが読取要求電文を受信した際にCPUが実行する動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0068】
1…改札機
3…ICカード
21…CPU
22…ICカードリーダライタ
23…ディスプレイ
24…音声ユニット
25…警告ランプ
26…LAN
33b…読取時カウンタデータ
33d…書込時カウンタデータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取要求を受けると情報を送信し書込要求を受けると情報を書込むIC媒体から、該IC媒体が読取要求を受けた際に記憶した読取時記憶情報と、該IC媒体が書込要求を受けた際に記憶した書込時記憶情報と、該IC媒体が記憶しているIC媒体情報とを読取る読取手段と、
前記読取手段で読取った前記IC媒体情報に基づいて前記IC媒体の利用に伴う処理を前記IC媒体に書込み処理する書込手段と、
前記読取時記憶情報の記憶と前記書込時記憶情報の記憶とを前記IC媒体に両方実行させるべく前記読取手段による読取りと前記書込手段による書込みとを一組の動作として実行する制御手段と、
前記読取時記憶情報と前記書込時記憶情報とに基づいてスキミングの有無を判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えた
IC媒体処理装置。
【請求項2】
前記読取時記憶情報として読取回数を取得し、
前記書込時記憶情報として書込回数を取得し、
前記判定手段を、前記読取回数と前記書込回数とが一致しない場合にスキミングがあったと判定する構成にした
請求項1記載のIC媒体処理装置。
【請求項1】
読取要求を受けると情報を送信し書込要求を受けると情報を書込むIC媒体から、該IC媒体が読取要求を受けた際に記憶した読取時記憶情報と、該IC媒体が書込要求を受けた際に記憶した書込時記憶情報と、該IC媒体が記憶しているIC媒体情報とを読取る読取手段と、
前記読取手段で読取った前記IC媒体情報に基づいて前記IC媒体の利用に伴う処理を前記IC媒体に書込み処理する書込手段と、
前記読取時記憶情報の記憶と前記書込時記憶情報の記憶とを前記IC媒体に両方実行させるべく前記読取手段による読取りと前記書込手段による書込みとを一組の動作として実行する制御手段と、
前記読取時記憶情報と前記書込時記憶情報とに基づいてスキミングの有無を判定する判定手段と、
該判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えた
IC媒体処理装置。
【請求項2】
前記読取時記憶情報として読取回数を取得し、
前記書込時記憶情報として書込回数を取得し、
前記判定手段を、前記読取回数と前記書込回数とが一致しない場合にスキミングがあったと判定する構成にした
請求項1記載のIC媒体処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−65411(P2008−65411A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239770(P2006−239770)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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