説明

III族窒化物結晶の製造方法、III族窒化物結晶基板およびIII族窒化物半導体デバイス

【課題】転位密度が低く不純物濃度の低いIII族窒化物結晶をその結晶を破損させることなく製造する方法を提供する。
【解決手段】反応容器7のGa−Na−Li融液2に窒素ガス(窒素含有ガス3)を溶解させて、GaN下地基板1の主面1m上に厚さ100μmのGaN結晶を成長させた(a)。つづいて、反応容器7に金属Naをいれ、加熱により結晶処理用液体4であるNa融液を形成した後、窒素ガス(窒素含有ガス3)を溶解させて、GaN結晶(III族窒化物結晶10)の熱処理を行なった。この結果、結晶の表面に荒れが起こったものの、結晶の破損には至らず、またGaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、Na濃度が5×1015cm-3と熱処理前のNa濃度と同様であったのに対し、Li濃度が3×1016cm-3と熱処理前のLi濃度に比べて大幅に低減した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイス、電子デバイスなどのIII族窒化物半導体デバイスの基板などに好適に用いられるIII族窒化物結晶の製造方法、かかる製造方法により製造されたIII族窒化物結晶基板、およびかかる基板上に少なくとも1層のIII族窒化物半導体層が形成されているIII族窒化物半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
発光デバイス、電子デバイスなどに好適に用いられるIII族窒化物結晶は、フラックス法、高窒素圧溶液法、融液成長法などの液相法、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積)法などの気相法によって製造される。ここで、液相法は、気相法に比べて、容易に転位密度が低い結晶が得られる点で有利であるが、結晶表面および/または結晶中に不純物が取り込まれやすいという問題がある。
【0003】
このような結晶表面または結晶中に不純物が存在するIII族窒化物結晶から得られる基板を、発光デバイスまたは電子デバイスの基板として用いた場合は、デバイスの特性の低下または歩留まりの低下などの問題が生じる。これは、不純物を含有するIII族窒化物結晶基板上にIII族窒化物半導体層を成長させる際に、III族窒化物結晶基板中またはその表面に存在する不純物がIII族窒化物半導体層に拡散し、III族窒化物半導体層の電気的特性の制御が不可能になるためと考えられる。
【0004】
上記問題を解決するために、液相法により製造されたIII族窒化物結晶中またはその表面に存在する不純物を除去する方法として以下の方法が提案されている。
【0005】
特開2004−224600号公報(以下、特許文献1という)は、たとえば、ナトリウムフラックス法で成長させたGaN結晶中またはその表面の不純物を除去するために、そのGaN結晶をNH3ガス雰囲気中600℃で5時間熱処理することを、または、そのGaN結晶をGa融液中200℃で4時間熱処理することを開示する。
【0006】
また、特開2006−36622号公報(以下、特許文献2という)は、たとえば、ナトリウムフラックス法で製造されたGaN結晶を水蒸気雰囲気下500℃で0.5時間熱処理して、その結晶中またはその表面に存在するNa(ナトリウム)などの不純物を無機化合物化することにより、その結晶からその無機物が拡散するのを防止できることを開示する。
【0007】
しかし、本発明者らの実験によると、上記特許文献1または特許文献2の熱処理によっては、結晶中または結晶表面に存在する不純物を除去することが確認できなかった。また、その熱処理によりその結晶を劣化、分解または破損させる問題点もあった。
【特許文献1】特開2004−224600号公報
【特許文献2】特開2006−36622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点を解決し、転位密度が低く不純物濃度の低いIII族窒化物結晶をその結晶を破損させることなく製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記製造方法により製造されたIII族窒化物結晶基板およびその基板上に少なくとも1層のIII族窒化物半導体層が形成されているIII族窒化物半導体デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液相法によりIII族元素とIII族元素の溶媒として少なくとも1種類の金属元素とを含む結晶成長用液体を用いてIII族窒化物結晶を成長させる工程と、金属元素の少なくとも1種類を含む結晶処理用液体中でIII族窒化物結晶を熱処理する工程とを含むIII族窒化物結晶の製造方法である。
【0010】
本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法においては、結晶処理用液体はさらにIII族元素を含むことができる。また、液相法によりIII族窒化物結晶を成長させる工程において、下地基板としてのIII族窒化物結晶基板上にIII族窒化物結晶を成長させることを特徴とすることができる。また、III族窒化物結晶を熱処理する工程において、結晶処理用液体に窒素含有ガスが供給されることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法において、III族窒化物結晶を熱処理する工程の後、熱処理されたIII族窒化物結晶の表面の少なくとも一部を除去する工程をさらに含むことができる。ここで、熱処理されたIII族窒化物結晶の表面の少なくとも一部を除去する工程は、III族窒化物結晶の表面を気相エッチングすることにより行なうことを特徴とすることができる。
【0012】
また、本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法において、結晶成長用液体および結晶処理用液体は金属元素としてナトリウムを含むことができる。また、結晶成長用液体は金属元素としてリチウムを含み、III族窒化物結晶を熱処理する工程において、III族窒化物結晶のリチウム濃度が低減されることを特徴とすることができる。
【0013】
本発明は、上記の製造方法により製造された、主面の直径が45mm以上であるIII族窒化物結晶基板である。また、本発明は、上記の製造方法により製造された、リチウム濃度が1×1017cm-3以下であるIII族窒化物結晶基板である。また、本発明は、上記のIII族窒化物結晶基板上に少なくとも1層のIII族窒化物半導体層が形成されているIII族窒化物半導体デバイスである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、転位密度が低く不純物濃度の低いIII族窒化物結晶をその結晶を破損させることなく製造する方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記製造方法により製造されたIII族窒化物結晶基板およびその基板上に少なくとも1層のIII族窒化物半導体層が形成されているIII族窒化物半導体デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態1)
図1を参照して、本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法の一実施形態は、図1(a)に示すように液相法によりIII族元素とIII族元素の溶媒として少なくとも1種類の金属元素とを含む結晶成長用液体2を用いて、III族窒化物結晶10を成長させる工程と、図1(b)に示すように金属元素の少なくとも1種類を含む結晶処理用液体4中でIII族窒化物結晶10を熱処理する工程とを含む。
【0016】
実施形態1で用いられる液相法は、溶媒を用いる液相法であれば、特に制限はないが、転位密度が低くIII族窒化物結晶を低コストで製造できる観点から、フラックス法を用いることが好ましい。フラックス法において用いられる溶媒をフラックスと呼ぶ。
【0017】
ここで、フラックス法とは、たとえば、図1(a)を参照して、600℃以上1400℃以下程度の温度と0.1MPa以上300MPa以下程度の圧力下で、III族元素とIII族元素のフラックス(溶媒)として少なくとも1種類の金属元素を含む結晶成長用液体2に窒素含有ガス3を供給することにより、結晶成長用液体2に窒素含有ガス3を溶解させて、III族窒化物結晶10の成長を行なうものである。フラックス法において、結晶成長用液体2としては、III族元素とIII族元素のフラックスとして少なくとも1種類の金属元素とを含む融液(結晶成長用融液)が用いられる。フラックスとしては、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、遷移金属元素などが用いられる。たとえば、III族元素がGa(ガリウム)の場合には、アルカリ金属元素であるNa(ナトリウム)、Li(リチウム)など、アルカリ土類金属元素であるCa(カルシウム)などが好ましく用いられる。また、III族元素がAl(アルミニウム)の場合には遷移金属元素であるCu(銅)、Ti(チタン)、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cr(クロム)などが好ましく用いられる。
【0018】
ここで、III族窒化物結晶10を成長させる工程において、成長させるIII族窒化物結晶の大型化の観点から、下地基板1上にIII族窒化物結晶10を成長させることが好ましい。また、下地基板1は、特に制限はないが、上記観点から、成長させるIII族窒化物結晶10との結晶格子の整合性が高いサファイア結晶、SiC結晶またはIII族窒化物結晶で形成されていることが好ましく、中でもIII族窒化物結晶で形成されていることが特に好ましい。
【0019】
液相法(たとえば、フラックス法)により結晶用液体2中で成長させた不純物の多いIII族窒化物結晶10を結晶処理用液体4中で熱処理することにより、III族窒化物結晶10中および表面の不純物が、結晶処理用液体4中に放出されて除去される。こうして、不純物濃度の低いIII族窒化物結晶10が得られる。フラックス法により成長させたIII族窒化物結晶10を熱処理するための結晶処理用液体4としては、結晶成長用液体2にフラックスとして含まれる金属元素の少なくとも1種類を含む融液(結晶処理用融液)であることが好ましい。
【0020】
ここで、III族窒化物結晶10を熱処理する工程において、結晶の劣化、分解および破損を抑制するため、結晶処理液体4に窒素含有ガス3が供給されることが好ましい。ここで、供給される窒素含有ガス3の分圧(すなわち、結晶の熱処理圧力)は、0.1MPa以上であることが好ましい。0.1MPaよりも低いと第1のIII族窒化物結晶の劣化、分解および/または破損が進みやすい。
【0021】
また、III族窒化物結晶の熱処理温度は、600℃以上であることが好ましい。600℃よりも低いと、不純物の拡散が遅く、III族窒化物結晶からの不純物の除去が困難となる。600℃以上であれば、熱処理温度は高いほど不純物の拡散が速くなり、不純物を結晶の外に排出させやすい。したがって、好適な熱処理温度の上限は特に無いが、1600℃よりも高いとIII族窒化物結晶の分解および/または破損させないように長時間の熱処理をすることが困難となってくる。
【0022】
また、III族窒化物結晶の熱処理時間は、5時間以上であることが好ましい。5時間よりも短いとIII族窒化物結晶からの不純物の除去が困難となる。5時間以上ならば熱処理時間は長いほど不純物の除去量は多くなる。したがって、好適な熱処理時間の上限は特に無いが、500時間よりも長いと、それ以上熱処理時間を長くする事による不純物除去の効果が少なくなってくる。
【0023】
ここで、結晶成長用液体2および結晶処理用液体4は金属元素としてNa(ナトリウム)を含むことが、III族窒化物結晶10の成長および熱処理が低い温度および低い圧力条件で熱力学的な平衡状態に近い状態で行なえる観点から、好ましい。
【0024】
また、結晶成長用液体2には、金属元素としてNaに加えてLi、Caなどが含まれていることが、III族窒化物結晶10の成長を促進させる観点から、好ましい。このため、たとえば、フラックス法によりIII族窒化物結晶10としてGaN結晶を成長させる場合、結晶成長を促進させる観点から、結晶成長用液体2は、Naに加えてLiとを含有するフラックスとIII族元素であるGaとを含む融液が用いられる。かかるNaとLiは、その他の不純物とともに、GaN結晶中および表面に取り込まれる。GaN結晶に取り込まれた不純物のうち、特にLiは、原子半径が小さいため結晶中で拡散しやすく、またIII族窒化物結晶においてはアクセプターとして働くため、GaN結晶(III族窒化物結晶10)の電気的特性を低下させる問題がある。
【0025】
ここで、GaN結晶(III族窒化物結晶10)を熱処理する工程において、GaN結晶を成長させる工程の際に用いた結晶成長用液体2に比べて、Li濃度が低い結晶処理用液体4を用いてGaN結晶を熱処理することにより、GaN結晶中およびその表面に存在するLiが除去され、GaN結晶のLi濃度が低減される。結晶処理用液体4は、そのLi濃度が低いほど好ましく、Liが含まれていないことがより好ましい。
【0026】
(実施形態2)
図1を参照して、本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法の他の実施形態は、図1(a)に示すように液相法によりIII族元素とIII族元素の溶媒として少なくとも1種類の金属元素とを含む結晶成長用液体2を用いて、III族窒化物結晶10を成長させる工程と、図1(b)に示すようにIII族元素と金属元素の少なくとも1種類とを含む結晶処理用液体4中でIII族窒化物結晶10を熱処理する工程とを含む。
【0027】
本実施形態で用いられる液相法は、溶媒を用いる液相法であれば、特に制限はないが、転位密度が低いIII族を低コストで製造できる観点から、フラックス法を用いることが好ましい。フラックス法において、結晶成長用液体2としては、III族元素とIII族元素のフラックスとして少なくとも1種類の金属元素とを含む融液(結晶成長用融液)が用いられる。また、結晶処理用液体4としては、結晶成長用液体2にフラックスとして含まれる金属元素の少なくとも1種類を含む融液(結晶処理用融液)が用いられる。
【0028】
すなわち、実施形態1において用いられる結晶処理用液体には結晶成長用液体2のフラックス(溶媒)に含有される金属元素の少なくとも1種類が含まれているのに対し、実施形態2において用いられる結晶処理用液体4には、結晶成長用液体2のフラックスに含有される金属元素の少なくとも1種類に加えてIII族元素が含まれている点に特徴がある。
【0029】
実施形態2においては、結晶処理用液体4には、結晶成長用液体2のフラックスに含有される金属元素の少なくとも1種類に加えてIII族元素が含まれていることから、III族窒化物結晶を熱力学的な平衡状態に極めて近い状態で熱処理を行なうことができ、熱処理の際の結晶の劣化、分解および/または破損をさらに抑制することができる。
【0030】
なお、実施形態1の場合と同様に、III族窒化物結晶10を成長させる工程において、下地基板1としてのIII族窒化物下地基板上にIII族窒化物結晶10を成長させることが好ましい。また、III族窒化物結晶10を熱処理する工程において、結晶処理用液体4に窒素含有ガス3が供給されることが好ましい。また、結晶成長用液体2および結晶処理用液体4は金属元素としてナトリウムを含むことが好ましい。さらに、結晶成長用液体2は金属元素としてリチウムを含み、III族窒化物結晶10を熱処理する工程において、III族窒化物結晶10のリチウム濃度が低減されることが好ましい。
【0031】
たとえば、フラックス法によりIII族窒化物結晶10としてGaN結晶を成長させる場合、結晶成長を促進させる観点から、結晶成長用液体2は、Naに加えてLiを含有するフラックスとIII族元素であるGaとを含む融液が用いられる。かかるNaとLiは、その他の不純物とともに、GaN結晶中および表面に取り込まれる。GaN結晶に取り込まれた不純物のうち、特にLiは、GaN結晶(III族窒化物結晶10)の電気的特性を低下させる問題がある。
【0032】
ここで、GaN結晶(III族窒化物結晶10)を熱処理する工程において、
GaN結晶を成長させる工程の際に用いた結晶成長用液体2に比べてLi濃度が低く、またIII族元素であるGaを含む結晶処理用液体4を用いてGaN結晶を熱処理することにより、熱力学的な平衡状態に極めて近い状態でGaN結晶中およびその表面に存在するLiが除去され、GaN結晶のLi濃度が低減される。結晶処理用液体4は、そのLi濃度が低いほど好ましく、Liが含まれていないことがより好ましい。
【0033】
(実施形態3)
図1を参照して、本発明にかかるさらに他のIII族窒化物結晶の製造方法は、図1(a)に示すように液相法によりIII族元素とIII族元素の溶媒として少なくとも1種類の金属元素とを含む結晶成長用液体2を用いてIII族窒化物結晶10を成長させる工程(結晶成長工程)と、図1(b)に示すように金属元素の少なくとも1種類を含む結晶処理用液体4中でIII族窒化物結晶10を熱処理する工程(結晶熱処理工程)と、図1(c)および(d)に示すように熱処理されたIII族窒化物結晶10の表面の少なくとも一部10pを除去する工程を含む。こうして、たとえば、下地基板1上にIII族窒化物結晶10が形成されているIII族窒化物結晶基板10sが得られる。ここで、III族窒化物結晶の成長工程および熱処理工程は、実施形態1または実施形態2と同様に行なわれる。
【0034】
また、図2を参照して、図2(a)に示すように下地基板1上に厚さの大きいIII族窒化物結晶10を成長させて熱処理した場合は、図2(b)に示すように下地基板1上に形成されたIII族窒化物結晶10を下地基板1の主面1mに平行にスライスして、2つ以上に分けてそれぞれの表面の少なくとも一部1p,10pを除去することにより、下地基板1上にIII族窒化物結晶10が形成されているIII族窒化物結晶基板10sとIII族窒化物結晶10で形成されているIII族窒化物結晶基板10tとが得られる。
【0035】
本実施形態においては、III族窒化物結晶10を熱処理した工程の後、熱処理されたIII族窒化物結晶10の表面の少なくとも一部を除去する工程(表面処理工程ともいう、以下同じ)をさらに含むことにより、結晶品質のよいIII族窒化物結晶が得られる。ここで、III族窒化物結晶の表面の少なくとも一部を除去する方法には、特に制限はなく、機械的研磨、化学機械的研磨などの各種研磨、気相エッチング、液相エッチングなどの各種エッチングが挙げられる。ここで、各種研磨は結晶表面を鏡面とする場合に効果的な方法であり、各種エッチングは各種研磨などにより結晶表面に形成された加工変質層を除去するのに効果的な方法である。また、上記表面処理工程は、1回に限定されず、複数回行なってもよい。
【0036】
本実施形態においては、上記表面処理工程は、III族窒化物結晶10の表面を気相エッチングすることにより行なうことが好ましい。気相エッチングにより、結晶表面に形成された加工変質層を容易に除去することができる。ここで、上記表面処理工程を複数回行ない、前の1回以上の表面処理工程を各種研磨により行ない、後の1回以上の表面処理工程を各種エッチングにより行なうことは、表面が鏡面で加工変質層のないIII族窒化物結晶が得られる観点から、好ましい。かかる観点から、各種エッチングは、気相エッチングであることがより好ましい。
【0037】
(実施形態4)
図1および図2を参照して、本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の一実施形態は、実施形態1から実施形態3までのいずれかの製造方法により製造された、主面10mの直径が45mm以上であるIII族窒化物結晶基板10s,10tである。実施形態1から実施形態3までのいずれかの製造方法により下地基板1上にIII族窒化物結晶10を成長させることにより、主面10mの直径が45mm以上のIII族窒化物結晶基板が容易に得られる。
【0038】
(実施形態5)
図1および図2を参照して、本発明にかかるIII族窒化物結晶基板の一実施形態は、実施形態1から実施形態3までのいずれかの製造方法により製造された、リチウム濃度が1×1017cm-3以下であるIII族窒化物結晶基板10s,10tである。実施形態1から実施形態3までのいずれかの製造方法により、リチウム濃度が1×1017cm-3以下であるIII族窒化物結晶基板10s,10tが容易に得られる。
【0039】
(実施形態6)
図3を参照して、本発明にかかるIII族窒化物半導体デバイスの一実施形態は、実施形態4または実施形態5のIII族窒化物結晶基板90上に少なくとも1層のIII族窒化物半導体層99が形成されているIII族窒化物半導体デバイス900である。実施形態4または実施形態5のIII族窒化物結晶基板90は転位密度が低く不純物濃度が低いため、このIII族窒化物結晶基板90上には結晶性のよいIII族窒化物半導体層99が形成され、特性が高いIII族窒化物半導体デバイス900が歩留まりよく得られる。
【0040】
図3を参照して、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス900は、たとえば、以下の構造を有する。すなわち、GaN結晶基板90の一方の主面90m上に、少なくとも1層のIII族窒化物半導体層99として、n型GaN層91、Al0.3Ga0.7N層92、Al0.04Ga0.96N層93、Al0.08Ga0.92N層94、Al0.3Ga0.7N層95およびp型GaN層96が形成されている。また、このp型GaN層96上の一部には、p型電極97が形成されている。また、GaN結晶基板90の他方の主面90n上には、n型電極98が形成されている。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
1.III族窒化物結晶の成長
まず、図1(a)を参照して、下地基板1として、HVPE法により製造された直径が50mmで厚さが300μmである主面1mが(0001)面であるウルツ鉱型GaN下地基板を準備し、この下地基板1上にフラックス法によりGaN結晶を100μm成長させた。ここで、下地基板1の転位密度は、5×107cm-2であった。
【0042】
具体的には、まず、図1(a)を参照して、反応容器7であるpBN(熱分解窒化ホウ素)製坩堝中に、上記下地基板1をその主面1mである(0001)面を上に向けて上記坩堝(反応容器7)の底面に置き、20gの金属Gaと16.8gの金属Naと0.16gの金属Liを入れて875℃まで加熱して、結晶成長用液体2であるGa−Na−Li融液を形成した。次いで、このGa−Na−Li融液(結晶成長用液体2)中に窒素ガス(窒素含有ガス3)をそのガス分圧が3.0MPaと一定になるように30時間供給することにより、Ga−Na−Li融液中に窒素ガスを溶解させて、GaN下地基板1の主面1m上に厚さ100μmのGaN結晶を成長させた。こうして、GaN下地基板1とGaN結晶(III族窒化物結晶10)が一体化した結晶が得られた。
【0043】
このGaN結晶(III族窒化物結晶10)について、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた分析による転位密度(以下、TEM分析による転位密度という)は、1×107cm-2以下であった。さらに、高精度に転位密度を測定するため、このGaN結晶を250℃に加熱された燐酸と硫酸の混合溶液中に1時間浸漬することにより、GaN結晶に転位に対応するエッチピットを生成させた。このエッチピットの密度(EPD)で測定される転位密度(以下、EPD測定による転位密度という)は、3.7×106cm-2であった。このことから、フラックス法(液相法)で成長されたGaN結晶(III族窒化物結晶10)は、HVPE法(気相法)で成長されたGaN下地基板1に比べて、より転位密度が低いことが確認された。
【0044】
さらに、このGaN結晶(III族窒化物結晶10)の不純物濃度は、2次イオン質量分析法(SIMS)により測定したところ、Na濃度が5×1015cm-3と低濃度であり、Li濃度が2×1018cm-3と高濃度であった。また、GaN下地基板1の不純物濃度は、SIMSで測定したところ、Na濃度が5×1015cm-3と低濃度であり、Li濃度が2×1018cm-3と高濃度であった。これは、フラックス法によるGaN結晶(III族窒化物結晶10)の成長中にフラックス中のLiがGaN結晶内に大量に取り込まれたとともに、フラックス中のLiがGaN下地基板1内に大量に拡散したものと考えられる。
【0045】
2.III族窒化物結晶の熱処理
次に、図1(b)を参照して、GaN下地基板1とGaN結晶(III族窒化物結晶10)が一体化した結晶と16.8gの金属Naを反応容器7に入れ、875℃まで加熱することにより、GaN結晶に接触させる結晶処理用液体4であるNa融液を形成した。このNa融液(結晶処理用液体4)中に窒素ガス(窒素含有ガス3)をそのガス分圧が2MPaと一定になるように250時間供給することにより、Na融液中に窒素ガスを溶解させて、GaN結晶(III族窒化物結晶10)の熱処理を行なった。この結果、結晶の表面に荒れが起こり、フラックス法により成長させたGaN結晶の厚さが20μm低減し、GaN下地基板1の厚さが15μm低減したが、結晶の破損には至らなかった。この熱処理を施したGaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、SIMSにより測定したところ、いずれも、Na濃度が5×1015cm-3と熱処理前のNa濃度と同様であったのに対し、Li濃度が3×1016cm-3と熱処理前のLi濃度に比べて大幅に低減していた。
【0046】
3.III族窒化物結晶基板の製造
次に、図1(c)および(d)を参照して、熱処理後の上記結晶におけるGaN結晶(III族窒化物結晶10)の表面を、ダイヤモンド砥粒を用いて表面粗さRa(ここで、表面粗さRaとは、粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm角(10μm×10μm=100μm2)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から測定曲面までの距離を合計してそれを基準面積で平均した値をいう。)が5nm以下になるように研磨加工し、さらに塩素ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)により表面から3μm程度の深さまでエッチングして、ダイヤモンド砥粒による表面研磨加工によって生じた加工変質層を完全に除去して、GaN結晶基板(III族窒化物結晶基板)とした。
【0047】
得られたGaN結晶基板のTEM分析による転位密度は1×107cm-2以下であり、EPD測定による転位密度は3.7×106cm-2であった。また、表面の研磨およびRIE後のGaN結晶の不純物濃度は、Na濃度が5×1015cm-3、Li濃度が3×1016cm-3といずれも低濃度であった。すなわち、III窒化物半導体デバイスに好適な転位密度が低く不純物濃度が低いGaN結晶基板(III族窒化物結晶基板)が得られた。
【0048】
4.III族窒化物半導体デバイスの製造
次に、図3を参照して、上記GaN結晶基板(III族窒化物結晶基板90)の表面を洗浄した後、その一方の主面90mである(0001)面上に、MOCVD法により、厚さ1μmのn型GaN層91、厚さ10nmのAl0.3Ga0.7N層92、厚さ3nmのAl0.04Ga0.96N層93、厚さ3nmのAl0.08Ga0.92N層94、厚さ10nmのAl0.3Ga0.7N層95、厚さ10μmのp型GaN層96を順次エピタキシャル成長させた。次いで、このp型GaN層96上の一部には、直径80μmでPd層(厚さ5nm)とAu層(厚さ5nm)による積層構造を持つp側電極97を形成した。また、GaN結晶基板(III族窒化物結晶基板90)の他方の主面90n上には、Al層(厚さ10nm)とAu層(厚さ10nm)による積層構造を持つn側電極98を形成して、LEDデバイスを得た。このLEDデバイスの波長360nmにおける発光ピーク強度を測定して、この発光ピーク強度の相対値を1.00とした。本実施例の結果を表1にまとめた。なお、表1のGaN結晶の転位密度の欄には、EPD測定による転位密度を記載した。
【0049】
(実施例2)
1.III族窒化物結晶の成長
実施例1と同様にして、直径が50mmで厚さが300μmである主面が(0001)面であるウルツ鉱型GaN下地基板1上にフラックス法によりGaN結晶を100μm成長させた。こうして、GaN下地基板1とGaN結晶(III族窒化物結晶10)が一体化した結晶が得られた。得られた上記結晶において、GaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、実施例1と同様に、いずれも、Na濃度が5×1015cm-3と低濃度であり、Li濃度が2×1018cm-3と高濃度であった。
【0050】
2.III族窒化物結晶の熱処理
次に、上記のGaN下地基板1とGaN結晶(III族窒化物結晶10)が一体化した結晶を、結晶処理用液体4として20gの金属Gaと16.8gの金属Naから形成されるGa−Na融液を用いたこと以外は、実施例1と同様に熱処理した。この結果、実施例1に見られたような結晶の厚さの低減は認められなかった。この熱処理後の結晶において、GaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、いずれも、Na濃度が5×1015cm-3と熱処理前のNa濃度と同様であったのに対し、Li濃度が3×1016cm-3と熱処理前のLi濃度に比べて大幅に低減していた。
【0051】
3.III族窒化物結晶基板の製造
次に、熱処理後の上記結晶におけるGaN結晶(III族窒化物結晶10)の表面に、実施例1と同様にして、研磨およびRIEを行ない、GaN結晶基板(III族窒化物結晶基板)を得た。
【0052】
また、このGaN結晶基板のGaN結晶のTEM分析による転位密度は1×107cm-2以下であり、EPD測定による転位密度は3.7×106cm-3であった。また、表面の研磨およびRIE後のGaN結晶の不純物濃度は、Na濃度が5×1015cm-3、Li濃度が3×1016cm-3といずれも低濃度であった。すなわち、III窒化物半導体デバイスに好適な転位密度が低く不純物濃度が低いGaN結晶基板(III族窒化物結晶基板)が得られた。
【0053】
4.III族窒化物半導体デバイスの製造
次に、実施例1と同様にして、LEDデバイスを得た。このLEDデバイスの波長360nmにおける発光ピーク強度の実施例1のLEDデバイスの発光ピーク強度に対する相対値は1.11であった。本実施例の結果を表1にまとめた。
【0054】
(比較例1)
1.III族窒化物結晶の成長
実施例1と同様にして、直径が50mmで厚さが300μmである主面が(0001)面であるウルツ鉱型GaN下地基板1上にフラックス法によりGaN結晶を100μm成長させた。こうして、GaN下地基板1とGaN結晶(III族窒化物結晶10)が一体化した結晶が得られた。得られた上記結晶において、GaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、実施例1と同様に、いずれも、Na濃度が5×1015cm-3と低濃度であり、Li濃度が2×1018cm-3と高濃度であった。
【0055】
2.III族窒化物結晶の熱処理
次に、特許文献1に記載の一つの方法で上記結晶中の不純物の除去を試みた。具体的には、上記結晶をNH3ガス雰囲気下600℃で5時間熱処理した。この熱処理後の結晶において、GaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、いずれも、Na濃度が5×1015cm-3と熱処理前のNa濃度と同様であり、Li濃度が2×1018cm-3と熱処理前のLi濃度と同様に高濃度であった。また、熱処理後の結晶には表面荒れが起こり、GaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の表面部が、いずれもその熱処理前の表面から5μm程度の深さまで分解されていた。すなわち、本比較例の熱処理によっては、本発明者らの実験では結晶中の不純物の除去効果が確認できず、NH3ガスによる結晶表面における微量のGaNの分解が認められた。
【0056】
3.III族窒化物結晶基板の製造
次に、熱処理後の上記結晶におけるGaN結晶(III族窒化物結晶10)の表面に、実施例1と同様にして、研磨およびRIEを行ない、GaN結晶基板(III族窒化物結晶基板)を得た。
【0057】
また、このGaN結晶基板のTEM分析による転位密度は1×107cm-2以下であり、EPD測定による転位密度は3.7×106cm-3であった。また、表面の研磨およびRIE後のGaN結晶の不純物濃度は、Na濃度が5×1015cm-3と低濃度であったが、Li濃度が2×1018cm-3と高濃度であった。
【0058】
4.III族窒化物半導体デバイスの製造
次に、実施例1と同様にして、LEDデバイスを得た。このLEDデバイスの波長360nmにおける発光ピーク強度の実施例1のLEDデバイスの発光ピーク強度に対する相対値は0.17であった。本比較例の結果を表1にまとめた。
【0059】
(比較例2)
1.III族窒化物結晶の成長
実施例1と同様にして、直径が50mmで厚さが300μmである主面が(0001)面であるウルツ鉱型GaN下地基板1上にフラックス法によりGaN結晶を100μm成長させた。こうして、GaN下地基板1とGaN結晶(III族窒化物結晶10)が一体化した結晶が得られた。得られた上記結晶において、GaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、実施例1と同様に、いずれも、Na濃度が5×1015cm-3と低濃度であり、Li濃度が2×1018cm-3と高濃度であった。
【0060】
2.III族窒化物結晶の熱処理
次に、特許文献1に記載の他の方法で上記結晶中の不純物の除去を試みた。具体的には、反応容器7内に、上記結晶および20gの金属ガリウムを入れ、200℃に加熱して上記結晶に接触するGa融液を形成した。次いで、上記結晶からの窒素の脱離を防止するために、Ga融液に窒素ガスをそのガス分圧が3MPaで一定になるように供給して、Ga融液に窒素ガスを溶解させて、4時間上記結晶の熱処理を行なった。
【0061】
この熱処理後の結晶において、GaN結晶(III族窒化物結晶10)およびGaN下地基板1の不純物濃度は、いずれも、Na濃度が5×1015cm-3と熱処理前のNa濃度と同様であり、Li濃度が2×1018cm-3と熱処理前のLi濃度と同様に高濃度であった。すなわち、本比較例の熱処理によっては、本発明者らの実験では結晶中の不純物の除去効果が確認できなかった。
【0062】
3.III族窒化物結晶基板の製造
次に、熱処理後の上記結晶におけるGaN結晶(III族窒化物結晶10)の表面に、実施例1と同様にして、研磨およびRIEを行ない、GaN結晶基板(III族窒化物結晶基板)を得た。
【0063】
また、このGaN結晶基板のGaN結晶のTEM分析による転位密度は1×107cm-2以下であり、EPD測定による転位密度は3.7×106cm-3であった。また、表面の研磨およびRIE後のGaN結晶の不純物濃度は、Na濃度が5×1015cm-3と低濃度であったが、Li濃度が2×1018cm-3と高濃度であった。
【0064】
4.III族半導体デバイスの製造
次に、実施例1と同様にして、LEDデバイスを得た。このLEDデバイスの波長360nmにおける発光ピーク強度の実施例1のLEDデバイスの発光ピーク強度に対する相対値は0.22であった。本比較例の結果を表1にまとめた。
【0065】
【表1】

【0066】
ここで、比較例1,2においては熱処理によるIII族窒化物結晶のLi濃度の低減効果が認められなかったのに対し、実施例1,2においては熱処理によるIII族窒化物結晶のLi濃度の大幅な低減効果が認められた。これは、比較例1,2の熱処理の際にはフラックスであるNaが存在しないのに対し、実施例1,2の熱処理の際には、フラックスであるNa、あるいはフラックスであるNaおよびIII族元素であるGaが存在するため、GaNが熱力学的に平衡状態に近い状態で熱処理することが可能となったためと考えられる。また、実施例1,2は、比較例1,2に比べて、熱処理後のGaN結晶基板のLi濃度が低いため、LEDの発光ピーク強度が極めて高かった。
【0067】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。ここで、(a)は液相法によりIII族窒化物結晶を成長させる工程を示し、(b)はIII族窒化物結晶を熱処理する工程を示し、(c)は熱処理後のIII族窒化物結晶を示し、(d)は(c)のIII族窒化物結晶の表面の一部を除去する工程を示す。
【図2】本発明にかかるIII族窒化物結晶の製造方法の他の実施形態を示す概略断面図である。ここで、(a)は熱処理後のIII族窒化物結晶を示し、(b)は(a)のIII族窒化物結晶の表面の一部を除去する工程を示す。
【図3】本発明にかかるIII族窒化物半導体デバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 下地基板、1m,10m 主面、1p,10p 除去される表面の少なくとも一部、2 結晶成長用液体、3 窒素含有ガス、4 結晶処理用液体、7 反応容器、10 III族窒化物結晶、10s,10t,90 III族窒化物結晶基板、91 n型GaN層、92 Al0.3Ga0.7N層、93 Al0.04Ga0.96N層、94 Al0.08Ga0.92N層、95 Al0.3Ga0.7N層、96 p型GaN層、97 p型電極、98 n型電極、99 III族窒化物半導体層、900 III族窒化物半導体デバイス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相法により、III族元素と前記III族元素の溶媒として少なくとも1種類の金属元素とを含む結晶成長用液体を用いて、III族窒化物結晶を成長させる工程と、
前記金属元素の少なくとも1種類を含む結晶処理用液体中で前記III族窒化物結晶を熱処理する工程と、を含むIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項2】
前記結晶処理用液体はさらにIII族元素を含む請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項3】
前記液相法により前記III族窒化物結晶を成長させる工程において、下地基板としてのIII族窒化物結晶基板上に前記III族窒化物結晶を成長させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項4】
前記III族窒化物結晶を熱処理する工程において、前記結晶処理用液体に窒素含有ガスが供給されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項5】
前記III族窒化物結晶を熱処理する工程の後、熱処理された前記III族窒化物結晶の表面の少なくとも一部を除去する工程をさらに含む請求項1から請求項4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項6】
熱処理された前記III族窒化物結晶の表面の少なくとも一部を除去する工程は、前記III族窒化物結晶の表面を気相エッチングすることにより行なうことを特徴とする請求項5に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項7】
前記結晶成長用液体および前記結晶処理用液体は前記金属元素としてナトリウムを含む請求項1から請求項6までのいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項8】
前記結晶成長用液体は前記金属元素としてリチウムを含み、
前記III族窒化物結晶を熱処理する工程において、前記III族窒化物結晶のリチウム濃度が低減されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれかの製造方法により製造された、主面の直径が45mm以上であるIII族窒化物結晶基板。
【請求項10】
請求項1から請求項8までのいずれかの製造方法により製造された、リチウム濃度が1×1017cm-3以下であるIII族窒化物結晶基板。
【請求項11】
請求項9または請求項10のIII族窒化物結晶基板上に少なくとも1層のIII族窒化物半導体層が形成されているIII族窒化物半導体デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−18961(P2009−18961A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182709(P2007−182709)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(598058298)
【Fターム(参考)】