説明

IL−18阻害薬剤

【課題】低分子のIL−18阻害薬剤を提供する。
【解決手段】3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン18(IL−18)阻害薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン18(IL-18)は、最初に、Tリンパ球におけるIFN-γの産生を誘導することが見つかったサイトカインであり、自然及び獲得免疫系に重要な役割を演じている(非特許文献1)。IL-18の異常な発現が、アレルギー、自己免疫疾患及び神経障害などの炎症状態の原因であることが示唆されている(非特許文献1)。IL-18及びIgEの血清濃度はアトピー性皮膚炎(AD)の重篤度と相関しており、これらの患者では、IL-18血清濃度が健常個体よりも有意に高かった(非特許文献1及び2)。さらに、リポ多糖(LPS)に応答して、AD患者の末梢血から作製された白血球は、健常個体の細胞より多くのIL-18を産生した(非特許文献1及び2)。気管支喘息の患者では、血清IL-18のレベルも上昇し、それは疾患の重篤度と相関するようである(非特許文献1及び2)。また、IL-18及びIL-18Rαの多型遺伝子がアレルギーと関連して見つかっている(非特許文献1及び2)。総合的に考えると、これらの研究は、IL-18が炎症状態を引き起こし、維持する原因であることを強く示唆している。従って、IL-18はアレルギー治療の理想的な治療ターゲットである可能性がある(非特許文献1及び2)。
【0003】
臨床においては、アレルギーを含む多くの疾病の治療のための治療剤としてヒト化抗体が広く使用されている(非特許文献2及び3)。抗IL-18抗体が、マウスにおいて肝障害の予防に効果的であることが証明されているが、現在までのところ、患者を治療するためのIL-18に特異的な阻害剤はない(非特許文献2、4及び5)。細胞株でIFN-γ産生を抑制することができるヒト抗hIL-18抗体(h18-108)が最近報告されている(非特許文献6)。治療目的には、hIL-18の自然内因性阻害剤であるIL-18結合タンパク質(IL-18BP)も治療剤としての使用のための理想的な候補かもしれない。一つの理由は、それがIL-18の自然阻害剤であり、その機能的ホモログがポックスウイルスに見つかっており、ポックスウイルスは免疫系を逃れるためにタンパク質を利用するからである。また、自己免疫疾患の重篤度は、IL-18及びIL-18BPの相対的レベルによって影響されているように見える。さらに、IL-18BPは種々のマウスモデルにおける疾病の進展を妨げることが示されている(非特許文献7)。このことは、IL-18BPが治療剤としての可能性を持つことを強力に示唆している。しかしながら、現在までのところ、IL-18をターゲットとする低分子化合物は同定されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低分子のIL−18阻害薬剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、in silicoバーチャルリガンドスクリーニングシステムを用いてヒトIL-18阻害剤のスクリーニングを行い、IL-18標的薬のシードとしての低分子化合物を得た。hIL-18の構造解析を行い、スクリーニングのための構造部位を探索した。3Dリガンドデータベース(30万個の化合物)から各リガンドを1個1個検討して、hIL-18の表面への結合親和性を評価した。その結果は、30個の化合物が結合性を持ち、阻害活性を有することを示した。hIL-18阻害アッセイにおいては、標的細胞により産生されたIFN-γの量によって、阻害のレベルを決定した。最終的に、30個の化合物のうち4個がそのアッセイでin vitroの阻害を示した。本発明はこれらの知見により完成されたものである。
【0006】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、医薬組成物。
(2)3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、インターロイキン18阻害剤。
(3)3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、インターロイキン18が関与する疾患の予防及び/又は治療剤。
(4)インターロイキン18が関与する疾患が、免疫異常疾患、COPD、肺胞たんぱく症、心不全又は肺高血圧症を伴う循環不全である(3)記載の予防及び/又は治療剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、低分子のIL−18阻害薬剤が提供された。本発明のIL−18阻害薬剤は、今後のさらなる改良のシードとなりうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】IL-18阻害剤。A) ヒト細胞株KG-1によるIFN-γ産生の阻害。●;3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone、▲; 3-tert-Butyl-5-methylcatechol, △;3-bromo-4'-methylchalcone、○;3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone、×;コントロール。B)化合物の構造とIC50(マイクロモル)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
【0010】
本発明は、3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、医薬組成物を提供する。
【0011】
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)は、Sigma-Aldrich Co..から購入することができる(Product No. S564842)。
【0012】
3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)は、Sigma-Aldrich Co..から購入することができる(Product No. S359246)。
【0013】
3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)は、Sigma-Aldrich Co..から購入することができる(Product No. S525790)。
【0014】
3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)は、Sigma-Aldrich Co..から購入することができる(Product No.
S236446)。
【0015】
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)及び3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、シクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジエタノールアミン等の有機アミン塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸塩、アンモニウム塩などを例示することができるが、これらに限定されず。医薬的に許容できるものであればよい。
【0016】
また、3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)及び3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)は、常法に従ってエステルに変換することができる。エステルの種類は特に限定されず、化合物の水酸基に脂肪族又は芳香族アシル基が導入されたものを例示することができるが、3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)及び3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)と同様に医薬としての有用性を有しており、医薬的に許容できるものであればよい。脂肪族アシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイルなどの炭素数2〜20個のアルカノイル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニルなどの炭素数2〜20個のアルコキシカルボニル基などを例示することができるが、これらに限定されない。脂肪族アシル基のアルキル部分は、環状構造、二重結合、三重結合などを有してもよい。芳香族アシル基としては、ベンゾイル、α−ナフトイル、β−ナフトイルなどの炭素数7〜11個のアリールカルボニル基などを例示することができるが、これらに限定されない。芳香族アシル基のアリール部分は、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基などを有してもよい。
【0017】
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)及び3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)の分子内に不斉炭素が存在する場合は、ラセミ体および光学活性体も包含される。
【0018】
また、3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩及びそれらのエステルは、様々な溶媒和物、例えば水、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどとの溶媒和物としても存在でき、これらの溶媒和物を含む医薬組成物も本発明に包含される。溶媒和物は医薬的に許容できるものであるとよい。
【0019】
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)及び3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)は、インターロイキン18阻害活性を有するので、これらの化合物、その塩、そのエステル及びその溶媒和物はインターロイキン18阻害剤として使用できる。主に、医療分野で使用可能であり、インターロイキン18が関与する疾患の予防及び/又は治療剤として使用できる。インターロイキン18が関与する疾患としては、免疫異常疾患(例えば、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、移植後GVHD、アレルギー疾患、自己炎症性疾患など)、COPD(慢性閉塞肺疾患)、肺胞たんぱく症、心不全、循環不全(肺高血圧症などを伴う)などを例示することができる。また、生化学細胞実験などの研究試薬として利用することもできる。
【0020】
医薬品として使用する場合には、3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物は、常法により製剤化した医薬製剤(例えば、注射剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤など)として、ヒト又は動物に投与することができる。投与は、経口、経鼻、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内などの種々の経路によって行うことができる。例えば、有効成分の量に換算して、1日あたり5-20mg/kg(体重)、好ましくは1日あたり10mg/kg(体重)±2mg/kg(体重)の投与量で、1回または数回に分けて経口投与又は非経口投与するとよいが、その投与量や投与回数は、症状、年齢、投与方法などにより適宜変更しうる。注射剤に製剤化する場合には、蒸留水、生理食塩水などの担体を用いるとよく、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤に製剤化する場合には、デンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウムなどの賦形剤、デンプンのり液、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤など、デンプン、寒天、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤などを用いるとよい。製剤中の有効成分の含有率は、1〜99重量%の間で変動させることができる。例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの形態をとる場合には、有効成分を5〜80重量%含有させるのが好ましく、注射剤の場合には、有効成分を1〜10重量%含有させるのが好ましい。
【実施例】
【0021】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
〔実施例1〕
方法
(化合物)
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)及び3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)は、Sigma-Aldrich Co..から購入した。
【0023】
(KG-1細胞におけるIFN-γ産生阻害の測定)
hIL-18阻害アッセイにおいて、阻害のレベルは、既報のように、KG-1細胞により産生されるIFN-γの量で決定した(Kimura T, Kato Z, Ohnishi H, Tochio H, Shirakawa M, Kondo N. Expression, purification and structural analysis of human IL-18 binding protein: a potent therapeutic molecule for allergy. Allergology international 2008; 57:367-76.)。簡単に説明すると、10%熱失活ウシ胎仔血清(Sigma Aldrich, USA)、L-グルタミン(2 umol/L) (Wako, Japan)、ペニシリン(100 U/ml) (Meiji, Japan)、及びストレプトマイシン(100 microgram/ml) (Meiji, Japan)を補充したRPMI 1640 (Invitrogen, USA)中でヒト骨髄単球性KG-1細胞(ATCC CCL246)を増殖させた。rhIL-18(Kimura T, Kato Z, Ohnishi H, Tochio H, Shirakawa M, Kondo N. Expression, purification and structural analysis of human IL-18 binding protein: a potent therapeutic molecule for allergy. Allergology international 2008; 57:367-76.) 及び化合物を上記のRPMI 1640培地に混合した。混合したサンプルを37℃で1時間インキュベートした。その後、100μlの混合物を96ウェルプレート(Nunc, Denmark)のウェルに添加した。ウェルは、100μlのKG-1細胞(3 × 106 cells/ml)(rhIL-18の最終濃度は2ng/mlであり、化合物の最終濃度は0-200 nMであった)を含有していた。さらにプレートを37℃で24時間5% CO2中でインキュベートした。培養上清を回収し、KG-1により産生されたIFN-γの量をELISA 30で決定した。その後、IC50、KG-1によるIFN-γの産生の50%を阻害するのに必要なアンタゴニストの濃度を計算した。
【0024】
結果
結果を図1に示す。化合物のIC50は、3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone: 8.1 μM, 3-bromo-4'-methylchalcone: 19.7 μM, 3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone: 19.3 μM、3-tert-Butyl-5-methylcatechol: 16.8 μMであった。これらの化合物は、将来の薬のシードとしての可能性を示唆している。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のインターロイキン18阻害剤は、慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、移植後GVHD、アレルギー疾患、自己炎症性疾患などの免疫異常疾患、COPD、肺胞たんぱく症、心不全、肺高血圧症などを伴う循環不全などのインターロイキン18が関与する疾患の予防及び/又は治療剤として、使用することができる。また、研究試薬として、使用することもできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Nakanishi K, Yoshimoto T, Tsutsui H, Okamura H. Interleukin-18 is a uniquecytokine that stimulates both Th1 and Th2 responses depending on its cytokinemilieu. Cytokine & growth factor reviews 2001; 12:53-72.
【非特許文献2】Arend WP, Palmer G, Gabay C. IL-1, IL-18, and IL-33 families of cytokines.Immunological reviews 2008; 223:20-38.
【非特許文献3】Spector SL, Tan RA. Advances in allergic skin disease: omalizumab is apromising therapy for urticaria and angioedema. The Journal of allergy andclinical immunology 2009; 123:273-4.
【非特許文献4】Kimura T, Kato Z, Ohnishi H, Tochio H, Shirakawa M, Kondo N. Expression,purification and structural analysis of human IL-18 binding protein: a potenttherapeutic molecule for allergy. Allergology international 2008; 57:367-76.
【非特許文献5】Hamasaki T, Hashiguchi S, Ito Y, Kato Z, Nakanishi K, Nakashima T, et al. Humananti-human IL-18 antibody recognizing the IL-18-binding site 3 with IL-18signaling blocking activity. Journal of Biochemistry 2005; 138:433-42.
【非特許文献6】Hamasaki T, Hashiguchi S, Ito Y, Kato Z, Nakanishi K, Nakashima T, et al. Humananti-human IL-18 antibody recognizing the IL-18-binding site 3 with IL-18signaling blocking activity. Journal of Biochemistry 2005; 138:433-42.
【非特許文献7】Kimura T, Kato Z, Ohnishi H, Tochio H, Shirakawa M, Kondo N. Expression,purification and structural analysis of human IL-18 binding protein: a potenttherapeutic molecule for allergy. Allergology international 2008; 57:367-76.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、医薬組成物。
【請求項2】
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、インターロイキン18阻害剤。
【請求項3】
3−(3,4−ジクロロフェニル)1−アクリロナフトン(3-(3,4-dichlorophenyl)1-acrylonaphthone)、3−tert−ブチル−5−メチルカテコール(3-tert-Butyl-5-methylcatechol)、3−ブロモ−4’−メチルカルコン(3-bromo-4'-methylchalcone)、3−(4−(3−オキソ−ピリジン−3−イル−プロペニル)−フェニル)−1−ピリジン−3−3イル−プロペノン(3-(4-(3-oxo-3-pyridin-3-yl-propenyl)-phenyl)-1-piridin-3-3yl-propenone)、それらの塩、それらのエステル及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する、インターロイキン18が関与する疾患の予防及び/又は治療剤。
【請求項4】
インターロイキン18が関与する疾患が、免疫異常疾患、COPD、肺胞たんぱく症、心不全又は肺高血圧症を伴う循環不全である請求項3記載の予防及び/又は治療剤。

【図1】
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【公開番号】特開2011−246369(P2011−246369A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119645(P2010−119645)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【Fターム(参考)】