説明

LAPC−4前立腺癌細胞のIGF−1受容体およびアンドロゲン依存性増殖に対するノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)の阻害効果

IGF−1受容体キナーゼ阻害剤を用いて前立腺癌を治療する方法および組成物が本明細書に開示される。また、IGF−1受容体発現のレベルを確認し、IGF−1受容体キナーゼ阻害剤を用いて治療するか否かを決定することによって前立腺癌を治療する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には癌を治療する方法に関する。さらに詳しくは、IGF−1受容体の阻害剤、例えばNDGAからなる製剤を用いて前立腺癌に苦しむ個人を治療する方法に関する。前記方法は、患者の前立腺癌細胞を、本発明の製剤と、前記癌細胞の治療において治療結果を有するような十分な量および十分な時間で接触させることを含む。
(政府の権利)
【0002】
本発明は、米国立衛生研究所によって認可された政府補助金認可番号第NIH/K23CA115775号の下で政府の支援によりなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
前立腺癌は、男性において最も一般的な癌であり、毎年、新しい癌症例全体の33%を超える割合を占める。前立腺癌は、比較的低い死亡率を有するが、米国の男性の癌死亡の第3番目の主原因であり、2006年の推定死亡数は約27,350である。前立腺癌の発生率はまた、年齢と共に上昇し、65歳を超える男性については1000%を超える上昇である。
【0004】
前立腺癌の特徴の一つは、種々様々なリガンド指向および同時刺激メカニズムに依存するプロセスである、増殖のアンドロゲン刺激に対する腫瘍の感受性である。Nietoら、Scherらの論文参照。また、前立腺癌細胞内のある種の非アンドロゲンシグナル伝達メカニズムが、腫瘍細胞の増殖も調節するかもしれないし、その多くがテストステロン欠乏環境での進行性疾患の出現に関与するかもしれないという仮定を立てている人達もいる。これらの非アンドロゲンメカニズムのあるものは、細胞表面チロシンキナーゼ、例えばインスリン様増殖因子−1受容体(IGF−1R)を含むと思われる。Basergaの論文、Burfeindらの論文、Nickersonらの論文およびPollakの論文参照。しかし、たとえあるとしても、ヒト前立腺癌の発症に対するそれぞれの経路の寄与は、未だ知られていない。
【0005】
良性または局在性の前立腺癌の現行の治療は、癌に冒された器官の除去および/または局所放射線療法からなり、腫瘍の根絶または除去の成功レベルはかなり高い。転移性患者では、治療はまた、初期には有効であり、疾患の寛解をもたらすであろうアンドロゲン遮断療法を伴っていてもよい。男性ではアンドロゲン遮断療法(これは、主としてテストステロンおよびジヒドロテストステロンのレベルを標的とする)は、去勢(睾丸摘出)を含むリガンド除去、および/または抗アンドロゲン治療からなり得る。アンドロゲン遮断療法は、多くの場合に前立腺癌それ自体の影響の重要性を目立たなくさせる深刻な副作用、例えば睾丸摘出に付随する性交能力および性欲の喪失、ならびに骨粗鬆症、貧血および肝機能障害の発症を招き得る。
【0006】
初期には有効であるが、前立腺腫瘍は、アンドロゲン遮断療法後2〜3年以内に再発する可能性がある。この段階で、このような療法は効果がない可能性がある。また、これらの再発腫瘍は、従来療法に反応せず、多くの場合治療不能であると考えられる。さらにまた、外科的手段および/または放射線療法手段によって良性または局在性の前立腺癌について治療を受けた患者はまた、後に前立腺癌の浸潤性または微小転移性増殖を発症することがあり、その個人をアンドロゲン遮断療法およびその付随する副作用にさらすことがある。
【0007】
従って、前立腺癌の増殖および転移の有効な治療に対する差し迫った必要性が依然としてある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Basergaの論文
【非特許文献2】Burfeindらの論文
【非特許文献3】Nickersonらの論文
【非特許文献4】Pollakの論文
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前立腺癌に苦しむヒトを治療するのに使用するために製造される製剤を含み、その製剤は製薬学的に許容できる担体とIGF−1受容体阻害剤とからなる。前記製剤は、具体的には、アンドロゲン非応答性前立腺癌に苦しむ個人またはアンドロゲン応答性前立腺癌に苦しむ個人を治療するのに使用するために製造されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記製剤は、ヒトを治療するのに使用するために製造されてもよく、この場合の前記IGF−1受容体阻害剤は、小分子阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは抗体からなる群から選択される。さらにまた、前記小分子阻害剤は、NDGA、NVP−AEW541およびピクロポドフィリンからなる群から選択でき、前記製剤は、良性、局在性および転移性からなる群から選択される種類の前立腺癌を治療するのに使用するために製造される。
【0011】
前記製剤は、アンドロゲンホルモン遮断剤、例えばLHRH類似物質、LHRHアンタゴニスト、抗アンドロゲン、エストロゲン、およびケトコナゾールからなる群から選択される薬剤をさらに含有する。
【0012】
前記製剤は、化学療法剤または細胞傷害性薬剤である抗癌剤を含有していてもよく、前記化学療法剤は、シクロホスファミドであってもよくかつ前記細胞傷害性薬剤は、クロラムブシルである。
【0013】
前記製剤は、非受容体チロシンキナーゼを阻害する薬剤を含有していてもよく、前記薬剤は、ダサチニブ、AZD0530、AP23846、PP2およびUCS15Aからなる群から選択される。
【0014】
本発明の具体的な実施形態において、前記製剤は、前立腺癌に苦しむヒトを治療するのに使用するために製造され、NDGA溶媒、例えばDMSO中に存在させてもよいNDGAからなりかつさらに副腎アンドロゲン阻害剤を含有していてもよい。
【0015】
本明細書において、前立腺癌に苦しむ個人を治療する方法であって、前記個人を、IGF−1受容体に対する少なくとも一つの阻害剤を含有する製剤を用いて治療する、前立腺癌に苦しむ個人を治療する方法が提供される。IGF−1受容体に対する阻害剤は、小分子阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは抗体であってもよい。あるいは、前記阻害剤は、IGF−1受容体のチロシンキナーゼまたは自己リン酸化活性を阻害し得る。単なる例として、IGF−1受容体に対する阻害剤は、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、NVP−AEW541およびピクロポドフィリンならびにこれらの組み合わせからなる群から選択してもよい。あるいは、IGF−1受容体阻害剤は、米国特許出願第10/814,199号(米国特許公開US2004/0209930号)明細書に開示されているTyrphostin AG−538またはIGF−1R阻害剤、例えば米国特許第7,081,454号、同第7,189,716号、同第7,232,826号、同第6,337,338号、国際公開第WO00/35455号、同第WO02/102804号、同第WO02/092599号、同第WO03/024967号、同第WO03/035619号、同第WO03/035616号、同第WO03/018022号各明細書に記載されているIGF−1R阻害剤を包含し得、これらの明細書全部は、このような阻害剤を開示および記載するために参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0016】
本発明によって治療される前立腺癌は、良性または局在性であってもよいし、あるいは前立腺癌は、転移性または浸潤性であってもよい。本発明の方法は、同時アンドロゲン遮断療法を受けていない前立腺癌に苦しむ個人を治療するのに使用し得る。さらに別の実施形態において、前立腺癌に苦しむ個人は、本明細書において提供されるIGF−1受容体療法と一緒に同時アンドロゲン遮断療法を受ける。
【0017】
さらに別の実施形態において、本発明は、さらに、少なくとも一種の抗癌剤、細胞傷害性薬剤または化学療法剤を前記製剤と共に提供することからなり得る。細胞傷害性薬剤または化学療法剤としては、アルキル化剤またアルキル化作用を有する薬剤、例えばシクロホスファミド(CTX、例えば、CYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(CHL、例えば、LEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(CisP、例えば、PLATINOL(登録商標))ブスルファン(例えば、MYLERAN(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどや、抗代謝拮抗物質、例えばメトトレキセート(MTX)、エトポシド(VP16、例えば、VEPESID(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(例えば、XELODA(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などや、抗生物質、例えばアクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR、例えば、ADRIAMYCIN(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンなどや、アルカロイド類、例えばビンカアルカロイド類、例えばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンなど、ならびにその他の抗腫瘍剤、例えばパクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標))およびパクリタキセル誘導体、細胞増殖抑制剤、グルココルチコイド類、例えばデキサメタゾン(DEX、例えば、DECADRON(登録商標))およびコルチコステロイド類、例えばプレドニゾン、ヌクレオシド酵素阻害剤、例えばヒドロキシ尿素、アミノ酸枯渇酵素、例えばアスパラギナーゼ、ロイコボリンおよびその他の葉酸誘導体、ならびに類似の多様な抗腫瘍剤を挙げ得る。また、追加薬剤として、以下の薬剤:アミフォスチン(例えば、ETHYOL(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシンリポ(例えば、DOXIL(登録商標))、ゲムシタビン(例えば、GEMZAR(登録商標))、ダウノルビシンリポ(例えば、DAUNOXOME(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えば、TAXOTERE(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT11(イリノテカン)、10−ヒドロキシ7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンβ、インターフェロンα、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシルを使用してもよい。
【0018】
別の実施形態において、前記製剤は、非受容体チロシンキナーゼを阻害する薬剤をさらに含有していてもよい。単なる例として、非受容体チロシンキナーゼに対する阻害剤は、ダサチニブ、AZD0530、AP23846、PP2またはUCS15Aおよびこれらの組み合わせからなる群から選択してもよい。
【0019】
また、本明細書において、前立腺癌に苦しむ個人を、NDGAを含有する製剤を用いて治療する方法が提供される。幾つかの実施形態において、前立腺癌は、良性または局在性であってもよい。別の実施形態において、前立腺癌は、転移性または浸潤性であってもよい。さらに別の実施形態において、前立腺癌に苦しむ個人は、同時アンドロゲン遮断療法を受けない。さらに別の実施形態において、前立腺癌に苦しむ個人は、本明細書において提供されるIGF−1受容体療法と一緒に同時アンドロゲン遮断療法を受ける。また、他の実施形態は、前立腺癌に苦しむ個人に提供される製剤中に、抗癌剤および/または非受容体チロシン キナーゼを阻害する薬剤を含有し得る。このような薬剤としては、単なる例としてダサチニブ、AZD0530、AP23846、PP2またはUCS15Aおよびこれらの組み合わせを挙げ得る。
【0020】
また、本明細書において、アンドロゲン応答性前立腺癌に苦しむ個人を、IGF−1受容体阻害剤と抗癌剤とを含有する製剤を用いて治療することからなる方法が提供される。幾つかの実施形態において、IGF−1受容体阻害剤は、小分子阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたは抗体であり得る。単なる例として、前記小分子阻害剤は、NDGA、NVP−AEW541またはピクロポドフィリンおよびこれらの組み合わせからなる群から選択し得る。
【0021】
さらに、本明細書において、アンドロゲン応答性前立腺癌に苦しむ個人を、最初に前記個人の試料中のIGF−1受容体発現のレベルを確認し、IGF−1受容体発現のレベルに基づいて、前記個人をIGF−1受容体に対する阻害剤を用いて治療するか否かを決定することからなる、治療する方法が提供される。幾つかの実施形態において、IGF−1受容体発現のレベルは、IGF−1受容体発現の基準レベルと比較して高められる。
【0022】
幾つかの実施形態において、前記試料は、組織、血漿、血液、血清、毛髪、細胞、器官、痰、唾液、精液、前立腺液および尿道球腺液からなる群から選択し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明は、添付の図面と共に読むと以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣行に従って、図面の種々の特徴は、正確な縮尺通りではないことが強調される。それどころか、種々の特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大または縮小される。図面には、以下の図が含まれる:
【0024】
【図1】前立腺癌細胞株LAPC−4の増殖に対するジヒドロテストステロン(DHT)およびその他のアンドロゲンの効果を表すグラフ(a)、(b)および(c)を含む。
【図2】DHT誘導細胞増殖に対するIGF−1受容体阻害剤、例えばNVP−AEW541およびピクロポドフィロトキシン(PPP)の効果を表すグラフ(a)および(b)を含む。
【図3】DHT誘導前立腺癌細胞増殖の阻害に対するNDGAの効果を表すグラフ(a)および(b)を含む。
【図4】IGF−1受容体自己リン酸化の阻害に対するNDGAの効果を表すグラフ(a)および(b)を含む。
【図5】IGF−1受容体の発現を高めるDHTの効果、およびNDGAによるIGF−1受容体の発現の阻害を表すウェスタンブロット(a)、(c)および(d)並びグラフ(b)および(e)を表す。
【図6】アンドロゲン受容体コンフォメーションではなくDHT誘導IGF−1受容体遺伝子発現を阻害するNDGAの効果を表すグラフ(a)および(b)を含む。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の治療のための方法および製剤が記載される以前には、本発明が、記載された特定の方法、製剤または使用に限定されないこと、もちろんそれ自体は変化させ得ることが理解されるべきである。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本発明の範囲は付属の特許請求の範囲によって限定されるだけであるので、限定することを意図するものでないことが理解されるべきである。
【0026】
数値の範囲が提供される場合には、特にその文脈が明確に指示しない限りは、下限の単位の少数第2位まで、その範囲の上限と下限の間に入るそれぞれの数値も具体的に開示されていることが理解される。任意の記載された数値または記載された範囲に入る数値と、任意の他の記載された数値またはその記載された範囲に入る数値との間のそれぞれの小さい範囲は、本発明の範囲内に包含される。これらの小さい範囲の上限と下限は、独立してその範囲に含まれていてもよいしまたは含まれていなくてもよく、いずれかまたどちらでもなくまたは両方の限界が前記小さい範囲に含まれる場合のそれぞれの範囲も本発明の範囲内に包含され、記載された範囲内の任意の明確に除外された限界に従う。記載された範囲が、前記限界の一方または両方を含む場合には、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除く範囲もまた、本発明に含まれる。
【0027】
特に定義されない限りは、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および物質に類似しているかまたは等価の任意の方法および物質が、本発明の実施および試験において使用できるが、幾つかの可能なおよび好ましい方法および物質が、以下に記載される。本明細書において挙げた全ての刊行物は、それに関連して該刊行物が引用される方法および/または物質を開示し、記載するために参照することによって本明細書におい組み込まれる。この開示は、矛盾が存在する程度まで、組み込まれる刊行物の任意の開示に優先することが理解される。
【0028】
本明細書および付属の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「一つの」、「その」は、特に文脈が明確に指示しない限りは、複数指示対象を含むことに注目しなければならない。従って、例えば、「分子」に対する言及は、複数のこのような分子を含み、また「投与」に対する言及は、一つ以上の投与および当業者に知られているこれらの等価物などに対する言及を含む。
【0029】
本明細書において論議される刊行物は、本出願の出願日前のその開示についてのみ提供される。本明細書において、本発明が従来の発明によってこのような刊行物に先行する資格がないと認めると解釈されるべきではない。また、提供される刊行物の日付は、独立して確認される必要があるかもしれない実際の刊行日と異なり得る。
【0030】
本明細書において、少なくとも一つのチロシンキナーゼ阻害剤を用いて治療することからなる前立腺癌に苦しむ個人を治療する方法が提供される。
【0031】
ある実施形態において、
【0032】
IGF−1RおよびそのリガンドIGF−1およびIGF−2は、種々様々なヒト癌の増殖、耐アポトーシス性および浸潤の調節において重要な役割を果たす(7−10)。多数の研究により、前立腺癌におけるIGF系についての役割が確立されている。第1に、臨床および疫学データは、高められた血清IGF−1レベルが前立腺癌についての危険因子であることを示している(11、12)。第2に、IGF類は、培養細胞において前立腺癌の増殖を増加させる(13、14)。第3に、アンチセンスによるIGF−1Rの抑止は、生体内でのラット前立腺細胞による増殖および浸潤を抑制する(4)。さらに、異種移植片におけるアンドロゲン非依存性増殖に対する幾つかのアンドロゲン感受性細胞寿命の向上は、IGF−1とIGF−1Rの両方の発現の上昇によって達成される。
【0033】
メソ−ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)(ブタンジオール)は、クレオソートブッシュ(Larrea tridentata)〔より一般的には、チャパラル(chaparral)またはクレオソートブッシュ(creosote bush)として知られている〕から単離される化合物である。クレオソートブッシュは、米国南西部およびメキシコで生育し、その葉および/または茎の抽出物は、種々の疾患を治療するためにこれらの地域のピマインディアンおよび他の文明によって経口摂取されている(15)。本発明者らの研究室よりも前の研究は、精製されたNDGAがIGF−1Rチロシンキナーゼを阻害することを実証している(16−18)。乳癌細胞および神経芽細胞において、NDGAは、組織培養物において増殖を阻止しかつ動物において腫瘍形成を抑制する(17、19)。本発明者らは、最近、この受容体がほぼ全ての前立腺癌および転移において発現されることを報告した(20)。従って、IGF−1Rは、これらの癌において可能性のある標的である。
【0034】
本研究において、アンドロゲンによって刺激された前立腺癌細胞の成長および増殖に対するNDGAの効果が、評価される。ヒト前立腺癌細胞株LAPC−4は、アンドロゲン受容体(AR)またはPTENに突然変異がなく、かつそれが増殖のアンドロゲン刺激に対して感受性であるという理由で利用された(21、22)。本発明者らは、今般、組織培養において培養したLAPC−4細胞において、NDGAは、IGF−1Rチロシンキナーゼの直接阻害と、IGF−1Rタンパク質のアンドロゲン促進発現の阻害との両方と協力して増殖を弱めることを報告した。
(幾つかの定義)
【0035】
特に明示しない限りは、以下の用語は、本明細書および付属の特許請求の範囲で使用される場合には、以下の意味を有する。
【0036】
本明細書で使用される「発現」とは、以下の事象:(1)細胞内のDNA配列からRNA鋳型の産生(例えば、転写によって)、(2)細胞内のRNA転写物のプロセッシング(例えば、スプライシング、校正、5´キャップ形成および/または3´末端形成によって)、(3)細胞内のRNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳、(4)細胞内のポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾、(5)細胞表面のポリペプチドまたはタンパク質の提示、(6)細胞からポリペプチドまたはタンパク質の分泌または放出、の一つ以上を指す。
【0037】
本明細書で使用される「過剰発現」とは、同じ細胞内の同一ポリペプチドまたはタンパク質の内因性の発現のレベルと比べてより高いレベルの発現を指す。幾つかの実施形態において、高いレベルの発現は、2%から200%高いことからなる。幾つかの実施形態において、高いレベルの発現は、2倍から1000倍高いことからなる。幾つかの実施形態において、高いレベルの発現は、2倍から1000倍高いことからなる。幾つかの実施形態において、高いレベルの発現は、2倍から10,000倍高いことからなる。幾つかの実施形態において、高いレベルの発現は、予め検出不可能なレベルの発現と比べた場合に検出可能なレベルの発現からなる。幾つかの実施形態において、「過剰発現」とは、外因性ポリペプチドまたはタンパク質の検出可能なレベルの発現を指す。
【0038】
本明細書で使用される「IGF−1受容体の過剰発現」とは、IGF−1受容体ポリペプチド、または別のポリペプチドに融合したIGF−1受容体ポリペプチドの過剰発現を指す。幾つかの実施形態において、「IGF−1受容体の過剰発現」とは、IGF−1受容体mRNA、またはIGF−1受容体をコードするヌクレオチドの過剰発現を指す。幾つかの実施形態において、「IGF−1受容体の過剰発現」とは、IGF−1受容体ポリペプチドの断片の過剰発現を指す。
【0039】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基の重合体を指すために本明細書では同じ意味で使用される。これらの用語は、天然産アミノ酸の重合体、および一つ以上のアミノ酸残基が非天然産アミノ酸、例えばアミノ酸類似物質であるアミノ酸の重合体に適用される。本明細書で使用されるこれらの用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結されている任意の長さのアミノ酸鎖、例えば完全長タンパク質(例えば、抗原)を包含する。
【0040】
「アミノ酸」という用語は、天然産および非天然産アミノ酸、ならびに天然産酸アミノ酸に類似した方法で機能するアミノ酸類似物質およびアミノ酸模倣物質を指す。天然コードアミノ酸は、20種の一般的なアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)ならびにピロリシンおよびセレノシステインである。アミノ酸類似物質とは、天然産アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合されているα炭素をもつ薬剤、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似物質、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド主鎖を有するが、天然産アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。
【0041】
アミノ酸は、本明細書では、その一般的に知られている三文字記号によって呼ばれるかまたはIUPAC−IUB生化学命名委員会によって推奨される一文字記号によって呼ばれる。同様に、ヌクレオチドは、その一般的に受け入れられている一文字コードによって呼ばれる。
【0042】
「核酸」または「ヌクレオチド」という用語は、一本鎖または二本鎖の形のデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、またはリボヌクレオチドおよびこれらの重合体を指す。特に限定されない限りは、この用語は、参照核酸と類似の結合特性を有しかつ天然産ヌクレオチドに類似した方法で代謝される天然ヌクレオチドの公知類縁体を含有する核酸を包含する。特に具体的に限定されない限りは、前記の用語はまた、オリゴヌクレオチド類似物質、例えばPNA(ペプチド核酸)、アンチセンス技術で使用されるDNAの類似物質(ホスホロチオエート、ホスホロアミデートなど)を指す。特に明示されない限りは、特定の核酸配列はまた、その同類修飾変異体(縮重コドン置換を含むが、これに限定されない)および相補的配列ならびに明確に示される配列も暗黙のうちに包含する。具体的には、縮重コドンの置換は、一つ以上の選択された(または全ての)コドンの第3の位置が混成塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生成させることによって達成される(Batzerら,Nucleic Acid Res.,19:5081(1991);Ohtsukaら,J.Biol.Chem.,260:2605−2608(1985);およびCassolら,(1992);Rossoliniら,Mol.Cell.Probes,8:91−98(1994))。
【0043】
「単離された」および「精製された」という用語は、その天然環境から実質的にまたは本質的に取り出されるか、あるいはその天然環境中で濃縮される物質を指す。例えば、単離された核酸は、試料中の通常それを側面に配置している複数の核酸あるいはその他の核酸または成分(タンパク質、脂質など)の少なくとも幾つかから分離される核酸である。別の例では、ポリペプチドは、それがその天然環境から実質的にまたは本質的に取り出されるかあるいはその天然環境中で濃縮される場合には精製される。核酸およびタンパク質の精製および単離方法は、文書化された方法である。「実質的に」の実施形態は、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を含む。
【0044】
「治療」、「治療する」などの用語は、本明細書において、一般的に所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味するために使用される。前記の効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという点から予防的であり得るおよび/または疾患および/または該疾患に起因する副作用を部分的にまたは完全に治癒するという点から治療的であり得る。一般的に、発明の方法は、癌、特に前立腺癌と呼ばれる疾患を治療することを含み、受容体部位に結合することが知られているチロシンキナーゼ受容体阻害剤などの化合物の組み合わせを利用することによって種々様々な異なるタイプの癌に適用し得る。本明細書において使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトのこのような疾患の治療をカバーし、かつ以下の(a)〜(c)を含む:
【0045】
(a)疾患を有すると未だ診断されていない疾患に罹患し易いかもしれない被験者において疾患を予防および/または診断すること、
【0046】
(b)疾患を阻止すること、すなわちその発症を止めること、および/または
【0047】
(c)疾患を軽減すること、すなわち疾患を退縮させること。
【0048】
本発明は、前立腺癌を有する患者を治療することに関し、特に標準的な外科的方法では一般に治療できない特殊な型の前立腺癌を治療することに関する。さらに詳しくは、「治療は」は、好ましい環境において、癌、特に前立腺癌を患う患者に治療的に検出可能で有益な効果を提供することを意味することを意図する。
(医薬組成物および投与の方法の例)
【0049】
医薬組成物は、一種以上の生理学的に許容できる担体、例えば活性薬剤を製薬学的に使用される調剤に加工することを促進する賦形剤および助剤を使用して製剤される。適切な製剤は、選択される投与の経路に左右される。医薬組成物についての概要は、例えば、Remington、「薬剤の科学と実施、第19版」(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John、「E.,Remingtonの薬学」、Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.およびLachman,L.偏、「薬剤剤形」、Marcel Decker,New York,N.Y.,1980、および「薬剤剤形および薬品送達系、第7版」、(Lippincott Williams & Wilkins,1999)に見出される。
【0050】
本明細書において、IGF−1受容体阻害剤と、製薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤、または担体とを含有する医薬組成物が提供される。また、IGF−1受容体阻害剤は、場合によっては、併用療法におけるように、他の有効成分と混合されている医薬組成物として投与される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、他の薬剤または医薬、担体、補助剤、例えば防腐剤、安定剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、および/または緩衝液を含有する。また、他の医薬組成物は、治療上価値のある物質も含有する。
【0051】
本明細書で使用される医薬組成物とは、IGF−1受容体阻害剤と、その他の化学成分、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤との混合物を指す。前記医薬組成物は、生体へのIGF−1受容体阻害剤の投与を促進する。本明細書において提供される治療の方法または使用の実施において、治療有効量のIGF−1受容体阻害剤は、医薬組成物で、治療すべき状態、疾患または障害を有する哺乳動物に投与される。好ましくは、哺乳動物は、ヒトである。治療有効量は、前記状態の重症度および段階、患者の年齢および相対的健康、使用するIGF−1受容体阻害剤の効力およびその他の因子に依存して変化する。抗体が、場合により、混合物の成分として単独でまたは一種以上の治療剤と組み合わせて使用される。
【0052】
本明細書に記載の医薬製剤は、場合により、多数の投与経路、例えば経口、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)、鼻腔内、口腔内、局所、直腸、または経皮投与経路で患者に投与されるが、これらに限定されない。本明細書に記載の医薬製剤としては、水性液体分散物、自己乳化性分散物、固溶体、リポソーム分散物、エアロゾル、固体製剤、散剤、即時放出製剤、放出制御製剤、急速溶解製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、ならびに混合即時および放出制御製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、有効成分としてIGF−1受容体阻害剤を、遊離酸または遊離塩基の形態で、あるいは製薬学的に許容できる塩の形態で含有する。また、本明細書に記載の方法および医薬組成物は、同じ種類の活性を有するIGF−1受容体阻害剤のN−オキシド、結晶形態(多形体としても知られている)、および活性代謝産物の使用を含む。幾つかの状況において、IGF−1受容体阻害剤は、互変異性体として存在する。全ての互変異性体は、本明細書において提供される薬剤の範囲に含まれる。また、幾つかの実施形態において、IGF−1受容体阻害剤は、溶媒和されていない形態でおよび製薬学的に許容できる溶媒、例えば水、エタノールなどで溶媒和された形態で存在する。本明細書に示されたIGF−1受容体阻害剤の溶媒和された形態もまた、本明細書に開示されているとみなされる。
【0054】
「担体物質」は、医薬品において任意の一般的に使用される賦形剤を包含し、本明細書に開示された薬剤との相溶性、および所望の製剤の放出特性に基づいて選択されるべきである。典型的な担体物質としては、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。
【0055】
また、IGF−1受容体阻害剤を含有する本明細書に記載の医薬組成物は、任意の適当な製剤、例えば治療すべき患者による経口摂取のための、水性経口分散物、液剤、ゲル、シロップ、エリキシル、スラリー、懸濁物などや、固形経口製剤、エアロゾル、放出制御製剤、急速溶解製剤、発泡製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル、遅延放出製剤、持続放出製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、ならびに混合即時および放出制御製剤に製剤されるが、これらに限定されない。
【0056】
経口使用のための医薬製剤は、場合により、一種以上の固体賦形剤を、IGF−1受容体阻害剤と混合し、場合により得られた混合物を粉砕し、所望ならば適当な助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって得られる。適当な賦形剤としては、例えば、充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールなどの糖類や、セルロース調剤、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微晶質セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、あるいはその他、例えばポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムが挙げられる。所望ならば、崩壊剤、例えば架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、あるいはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムが加えられる。
【0057】
糖衣錠コアは、適当なコーティングを有する。この目的には、濃厚糖溶液が一般に使用され、これは、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有する。複数の活性薬剤用量の種々の組み合わせを確認または特定するために、色素または顔料が、場合により錠剤または糖衣錠コーティングに加えられる。
【0058】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される固形剤形は、錠剤(懸濁錠剤、急速溶解錠剤、噛むことにより崩壊する錠剤、急速崩壊錠剤、発泡性錠剤、またはカプレットを含む)、丸剤、散剤(滅菌包装散剤、分散性散剤、または発泡性散剤を含む)、カプセル(軟カプセルまたは硬カプセルの両方、例えば、動物性ゼラチンまたは植物性HPMCから作製されるカプセル、あるいは「スプリンクルカプセル」を含む)、固体分散物、固溶体、生分解性製剤、放出制御製剤、パルス放出製剤、多粒子製剤、ペレット剤、粒剤、またはエアロゾルの形態である。別の実施形態において、医薬製剤は、散剤の形態である。さらに別の実施形態において、医薬製剤は、錠剤、例えば急速溶融錠剤の形態であるが、これに限定されない。また、IGF−1受容体阻害剤の医薬製剤は、場合により、単一カプセル製剤または多重カプセル製剤として投与される。 幾つかの実施形態において、医薬製剤は、二つ、または三つ、または四つのカプセルまたは錠剤として投与される。
【0059】
別の態様において、剤形は、マイクロカプセル製剤を含む。幾つかの実施形態において、一つ以上の別の相溶性物質が、マイクロカプセル物質に存在する。典型的な物質としては、以下に限定されないが、pH調節剤、浸食促進剤、発泡防止剤、発泡剤、酸化防止剤、着香剤、および担体物質、例えば結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定剤、潤滑剤、湿潤剤、および希釈剤が挙げられる。
【0060】
IGF−1受容体阻害剤を含有する前記製剤の放出を遅らせるのに有用な典型的なマイクロカプセル物質としては、ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(HPC)、例えばKlucel(登録商標)またはNisso HPC、低置換ヒドロキシプロピルセルロースエーテル(L−HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル(HPMC)、例えばSeppifilm−LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Methocel(登録商標)−E、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843、メチルセルロース重合体、例えばMethocel(登録商標)−A、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート Aqoat(HF−LS、HF−LG,HF−MS)およびMetolose(登録商標)、エチルセルロース(EC)およびその混合物、例えばE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)−EC、Surelease(登録商標)、ポリビニルアルコール(PVA)、例えばOpadry AMB、ヒドロキシエチルセスロース、例えばNatrosol(登録商標)、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAqualon(登録商標)−CMC、ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコール共重合体、例えばKollicoat IR(登録商標)、モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、変性食品デンプン、アクリル重合体およびアクリル重合体とセルロースエーテルとの混合物、例えばEudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)FS 30D、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)RD100、Eudragit(登録商標)E100、Eudragit(登録商標)L12.5、Eudragit(登録商標)S12.5、Eudragit(登録商標)NE30D、およびEudragit(登録商標)NE40D、セルロースアセテートフタレート、セピフィルム、例えばHPMCとステアリン酸との混合物、シクロデキストリン、およびこれらの物質の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
IGF−1受容体阻害剤を含有する本明細書に記載の製剤を含む医薬固形経口製剤は、場合により、IGF−1受容体阻害剤の放出制御を提供するためにさらに製剤される。放出制御とは、所望のプロフィールに従って配合されている剤形からの長期にわたるIGF−1受容体阻害剤の放出を指す。放出制御プロフィールとしては、例えば、持続放出プロフィール、パルス放出プロフィール、および遅延放出プロフィールが挙げられる。即時放出組成物とは対照的に、放出制御組成物は、所定のプロフィールに従って長期間にわたって薬剤を患者に送達することを可能にする。このような放出速度は、治療有効レベルの薬剤を長期間提供し、それによってより長い期間の薬理反応を提供し、同時に従来の急速放出製剤と比べて副作用を最小にする。このようなより長い期間の反応は、対応する短時間作用即時放出製剤を用いて達成されない多数の固有の利点を提供する。
【0062】
別の実施形態において、IGF−1受容体阻害剤を含有する本明細書に記載の製剤は、パルス製剤を使用して送達される。パルス製剤剤形は、制御された遅延時間後の所定の時間点でまたは特定の部位で一つ以上の即時放出パルスを提供することができる。IGF−1受容体阻害剤を含有する本明細書に記載の製剤を含むパルス製剤は、場合により、米国特許第5,011,692号、同第5,017,381号、同第5,229,135号、および同第5,840,329号明細書に記載のパルス製剤を含むが、これらに限定されない種々様々なパルス製剤を使用して投与される。本発明の製剤と共に使用するのに適する他のパルス放出製剤としては、例えば米国特許第4,871,549号、同第5,260,068号、同第5,260,069号、同第5,508,040号、同第5,567,441号および同第5,837,284号明細書に記載のパルス放出製剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
経口投与様の液状製剤剤形は、場合により、以下に限定されないが製薬学的に許容できる水性経口分散物、エマルジョン、溶液、エリキシル、ゲルおよびシロップを含む群から選択される水性懸濁物である。例えば、Singhら,Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,2nd Ed.,pp.754−757(2002)参照。IGF−1受容体阻害剤の他に、液状製剤剤形は、場合により、添加剤、例えば(a)崩壊剤、(b)分散剤、(c)湿潤剤、(d)少なくとも一種の防腐剤、(e)増粘剤、(f)少なくとも一種の甘味剤、および(g)少なくとも一種の着香剤を含有する。幾つかの実施形態において、水性分散物は、さらに結晶形成阻害剤を含有する。
【0064】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬製剤は、自己乳化性薬物送達系(SEDDS)である。エマルジョンは、他の相中の通常は液滴の形態の1つの不混和性相の分散物である。一般に、エマルジョンは、激しい機械分散によって作られる。SEDDSは、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンとは対照的に、過剰の水に加えられると、外部機械分散または攪拌なしでエマルジョンを自然に形成する。SEDDSの利点は、溶液全体に液滴を分布させるのに穏やかな混合を必要とするだけであるということである。また、水または水性相が、場合により投与の直前に添加され、不安定または疎水性有効成分の安定性を確保する。従って、SEDDSは、疎水性有効成分の経口および非経口送達に有効な送達系を提供する。幾つかの実施形態において、SEDDSは、疎水性有効成分の生体利用性の向上を提供する。自己乳化性製剤剤形の製造方法としては、例えば米国特許第5,858,401号、同第6,667,048号および同第6,960,563号明細書に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
適当な鼻腔内製剤としては、例えば、米国特許第4,476,116号、同第5,116,817号および同第6,391,452号明細書に記載の製剤が挙げられる。経鼻剤形は、一般に有効成分の他に多量の水を含有する。少量のその他の成分、例えばpH調節剤、乳化剤または分散剤、防腐剤、界面活性剤、ゲル化剤、または緩衝剤およびその他の安定剤および可溶化剤が、場合により存在する。
【0066】
吸入による投与のために、IGF−1受容体阻害剤は、場合によりエアロゾル、ミストまたは粉末としての形態である。本明細書に記載の医薬組成物は、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適当なガスを使用しながら加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で都合よく送達される。加圧エアロゾルの場合には、投薬単位は、計量された量を送達するためにバルブを備えることによって決定される。単なる例として、吸入器または注入器で使用するためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジであって、IGF−1受容体阻害剤と、適当な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンとの粉末混合物を含有するカプセルおよびカートリッジが製剤される。
【0067】
IGF−1受容体阻害剤を含有する口腔製剤としては、米国特許第4,229,447号、同第4,596,795号、同第4,755,386号および同第5,739,136号明細書に記載の製剤が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に記載の口腔剤形は、場合によりさらに、剤形を口腔粘膜に付着させる役目もする生分解性(加水分解性)高分子担体を含有する。口腔剤形は、所定の時間にわたって徐々に浸食されるように製造され、この場合にIGF−1受容体阻害剤の送達は、本質的に全体に提供される。口腔薬物送達は、経口薬物投与に遭遇する不都合、例えば、遅い吸収、胃腸管に存在する液体による活性薬剤の分解および/または肝臓での初回通過による不活性化を回避する。生分解性(加水分解性)高分子担体は、一般に口腔粘膜の湿潤表面に付着する親水性(水溶性および水膨潤性)重合体からなる。本明細書において有用な高分子担体の例としては、アクリル酸重合体および共重合体、例えば、「カルボマー」(B.F.Goodrich社から得られるCabopol(登録商標)は、1つのこのような重合体である)として知られている重合体が挙げられる。本明細書に記載の口腔剤形に組み込まれるその他の成分としては、崩壊剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤、香味物質、着色剤、防腐剤などが挙げられるが、これらに限定されない。口腔または舌下投与のために、前記組成物は、場合により従来の方法で製剤される錠剤、ロゼンジまたはゲルの形態をとる。
【0068】
IGF−1受容体阻害剤の経皮製剤は、米国特許第3,598,122号、同第3,598,123号、同第3,710,795号、同第3,731,683号、同第3,742,951号、同第3,814,097号、同第3,921,636号、同第3,972,995号、同第3,993,072号、同第3,993,073号、同第3,996,934号、同第4,031,894号、同第4,060,084号、同第4,069,307号、同第4,077,407号、同第4,201,211号、同第4,230,105号、同第4,292,299号、同第4,292,303号、同第5,336,168号、同第5,665,378号、同第5,837,280号、同第5,869,090号、同第6,923,983号、同第6,929,801号および同第6,946,144号明細書に記載の経皮製剤により投与される。
【0069】
本明細書に記載の経皮製剤は、少なくとも三つの成分、(1)IGF−1受容体を阻害するなくとも一つの薬剤の製剤、(2)浸透促進剤、および(3)水性補助剤を含有する。また、経皮製剤は、種々の成分、例えばゲル化剤、クリームおよび軟膏基剤などを含有するが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、経皮製剤は、経皮製剤の皮膚からの吸収を高めかつ除去を防止するために織って作られた支持材料または不織支持材料をさらに含有する。別の実施形態において、本明細書に記載の経皮製剤は、皮膚内への拡散を促進するために飽和または過飽和状態を維持する。
【0070】
幾つかの実施形態において、IGF−1受容体の阻害剤を含有する製剤の経皮投与に適した製剤は、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを用いかつ親油性エマルジョンまたは緩衝水溶液であるか、重合体または接着剤に溶解されるおよび/または分散される。このようなパッチは、場合により医薬剤の連続、パルス、またはオンデマンド送達のために構成される。さらに別の経皮送達は、場合によりイオン注入パッチなどの手段により達成される。また、経皮パッチは、製剤の制御放出を提供する。吸収の速度は、場合により速度調節膜を使用することによってまたは重合体マトリックスまたはゲル内に活性薬物を捕捉することによって遅らせる。反対に、吸収促進剤が吸収を高めるために使用される。吸収促進剤または担体は、皮膚を通して通過を促進するために吸収性の製薬学的に許容できる溶媒を含有する。例えば、経皮デバイスは、支持部材、IGF−1受容体阻害剤を場合により担体と共に含有する製剤を含有するリサーバ、場合により前記製剤を宿主の皮膚に長期間にわたって制御された所定の速度で送達する速度調節障壁、および前記デバイスを皮膚に固定する手段からなる帯具の形態である。
【0071】
筋肉内、皮下または静脈内注射に適したIGF−1受容体に対する阻害剤を含有する製剤は、生理学的に許容できる滅菌水溶液または非水溶液、分散物、懸濁物またはエマルジョン、および滅菌注射可能溶液または分散物に再構成するための滅菌粉末を含有する。適当な水性または非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルとしては、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモフォールなど)、これらの適当な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能な有機エステル類、例えばオレイン酸エチルが挙げられる。例えば、適切な流動性は、コーティング剤、例えばレシチンの使用によって、分散物の場合には必要とされる粒度の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持される。皮下注射に適した製剤はまた、任意の添加剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分注剤を含有する。
【0072】
静脈内注射について、IGF−1受容体に対する阻害剤は、場合により水溶液、好ましくは生理学的相溶性緩衝液、例えばハンクス溶液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液中に製剤される。経粘膜投与について、浸透させるべき障壁に適した浸透剤が前記製剤に使用される。他の非経口注射について、適切な製剤は、水溶液または非水溶液を、好ましくは生理学的相溶性緩衝液または賦形剤と共に含有する。
【0073】
非経口注射剤は、場合によりボーラス注射または持続注入を含む。注射用製剤は、場合により、単位剤形で、例えばアンプルでまたは反復投与容器で、添加された防腐剤と共に提供される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、滅菌懸濁液、溶液、あるいは油性または水性ビヒクル中のエマルジョンとして非経口注射に適した形態であり、製剤化剤、例えば懸濁剤、安定剤および/または分散剤を含有する。非経口投与用の製剤としては、水溶性形態のIGF−1受容体阻害剤の水溶液が挙げられる。また、IGF−1受容体阻害剤の懸濁液は、場合により適切な油性注射懸濁液として調製される。
【0074】
幾つかの実施形態において、IGF−1受容体に対する阻害剤は、局所投与されかつ種々様々な局所投与可能な組成物、例えば溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、香油、クリームまたは軟膏に製剤される。 このような医薬組成物は、場合により、可溶化剤、安定剤、等張性増強剤、緩衝液および保存剤を含有する。
【0075】
IGF−1受容体阻害剤はまた、場合により従来の坐薬基剤、例えばカカオバターまたは他のグリセリド類、ならびに合成重合体、例えばポリビニルピロリドン、PEGなどを含有する直腸組成物、例えば浣腸、直腸ゲル、直腸フォーム、直腸エアロゾル、坐薬、ゼリー坐薬、または停留浣腸に製剤される。前記組成物の座薬形態において、低融点ワックス、例えば以下に限定されないが、場合によりカカオバターと組み合わせた脂肪酸グリセリドの混合物が、最初に溶融する。
【0076】
投薬方法および治療計画の例
【0077】
IGF−1受容体阻害剤を含有する製剤は、場合により、改善から少なくとも部分的に恩恵を受ける前立腺癌の予防的および/または治療的処置用の医薬の調製において使用される。また、本明細書に記載の疾患または状態を治療する方法であって、このような治療を必要とする患者において本明細書に記載の疾患または状態を治療する方法は、本明細書に記載のようなIGF−1受容体阻害剤、またはその製薬学的に許容できる塩、製薬学的に許容できるN−オキシド、製薬学的に活性な代謝産物、製薬学的に許容できるプロドラッグ、または製薬学的に許容できる溶媒和物を含有する医薬組成物の、前記患者に対する治療有効量での投与を含む。
【0078】
患者の状態が改善しない場合には、医師の裁量で、IGF−1受容体阻害剤の投与は、場合により、患者の疾患または状態の症状を改善するか、あるいは抑制するかまたは限定することを目的として、慢性的に、すなわち長期間、例えば患者の寿命期間全体を通じて投与される。
【0079】
患者の状態が改善しない場合には、医師の裁量で、IGF−1受容体阻害剤の投与が、場合により、連続的に提供される、あるいは、投与される薬剤の用量は、一時的に減らされるかまたはある長さの時間(すなわち「休薬期間」)、一時的に中断される。休薬期間の長さは、場合により2日から1年の間で、例えば、単なる例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日の間で変化する。休薬期間中の用量の減少は、10%〜100%、例えば、単なる例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。
【0080】
患者の状態の改善がいったん生じると、必要ならば、維持量が投与される。その後に、投薬量および投与の頻度、またはその両方が、改善される疾患、障害または状態が保持されるレベルまで症状の関数として減少される。幾つかの実施形態において、患者は、症状の再発に応じて長期的に間歇的治療を必要とする。
【0081】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、正確な用量の単回投与に適した単位剤形である。単位剤形において、前記製剤は、適量のIGF−1受容体阻害剤を含有する適当な単位量に分割される。幾つかの実施形態において、単位投薬量は、前記製剤の分離量の別々の量を含有するパッケージの形態である。非限定的な例は、パッケージされた錠剤またはカプセル剤、ならびにバイアルまたはアンプル中の散剤である。幾つかの実施形態において、水性懸濁物組成物は、単回投与再密閉不可能容器にパッケージされる。あるいは、複数回投与再密閉可能容器が使用され、その場合には組成物に防腐剤を含有させることが典型的である。単なる例として、非経口注射用の製剤は、単位剤形(これは、アンプルを含むが、これに限定されない)で、または添加された防腐剤と共に複数回投与容器で提供される。
【0082】
投薬の例として、体重約70kgの男性患者には、50から250mg/日の範囲内のNDGAの用量を投与し得る。これらの用量は、90日間にわたって前記用量を連日提供するなど、ある期間にわたって提供し得る。前記の範囲は、個々の治療計画に関して変数の数が多いことから、単なる示唆であり、これらの推奨される値からのかなりの逸脱は稀ではない。このような投薬は、場合により、多数の変数、以下に限定されないが、使用するIGF−1受容体阻害剤の活性、治療すべき疾患または状態、投与の方法、個々の患者の要求、治療する疾患または状態の重症度、および開業医の判断に応じて変化する。
【0083】
このような治療計画の毒性および治療効果は、場合により、細胞培養物または実験動物において決定され、例えばLD50(集団の50%を死に至らせる用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)の決定を含むが、これに限定されない。毒性効果と治療効果との間の用量比が、治療指数であり、これはLD50とED50の間の比率として表される。高い治療指数を示すIGF−1受容体阻害剤が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータが、場合により、ヒトに使用するための用量の範囲を製剤するのに使用される。このようなIGF−1阻害剤の用量は、最小限の毒性で、ED50を含む血中濃度の範囲内にあることが好ましい。用量は、場合により、この範囲内で、用いる剤形および利用する投与の経路に応じて変化する。
併用治療
【0084】
本明細書に記載のIGF−1受容体組成物はまた、場合により、治療すべき状態の治療効果について選択されるその他の治療剤と組み合わせて使用される。一般的に、本明細書に記載の組成物と、(併用療法が用いられる実施形態においては)その他の薬剤とは、同じ医薬組成物で投与する必要はなく、また物理的および化学的特性が異なるために、場合により異なる経路で投与される。初期投与は、一般に確立されたプロトコールに従って行われ、この場合に、観察された効果、用量、投与の方法およびその後に変更される投与の時間に基づいて行われる。
【0085】
ある場合には、本明細書に記載のIGF−1受容体阻害組成物を、別の治療剤と組み合わせて投与することが適切である。ある場合には、例えば、抗癌剤は、IGF−1受容体阻害剤と組み合わせて投与してもよい。このような抗癌剤は、少なくとも一種の細胞傷害性薬剤または化学療法剤を前記製剤と共に含有していてもよい。細胞傷害性薬剤または化学療法剤としては、アルキル化剤またアルキル化作用を有する薬剤、例えばシクロホスファミド(CTX、例えば、CYTOXAN(登録商標))、クロラムブシル(CHL、例えば、LEUKERAN(登録商標))、シスプラチン(CisP、例えば、PLATINOL(登録商標))ブスルファン(例えば、MYLERAN(登録商標))、メルファラン、カルムスチン(BCNU)、ストレプトゾトシン、トリエチレンメラミン(TEM)、マイトマイシンCなどや、抗代謝拮抗物質、例えばメトトレキセート(MTX)、エトポシド(VP16、例えば、VEPESID(登録商標))、6−メルカプトプリン(6MP)、6−チオグアニン(6TG)、シタラビン(Ara−C)、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン(例えば、XELODA(登録商標))、ダカルバジン(DTIC)などや、抗生物質、例えばアクチノマイシンD、ドキソルビシン(DXR、例えば、ADRIAMYCIN(登録商標))、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンなどや、アルカロイド、例えばビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチンなど、ならびにその他の抗腫瘍剤、例えばパクリタキセル(例えば、TAXOL(登録商標))およびパクリタキセル誘導体、細胞分裂抑制剤、グルココルチコイド、例えばデキサメタゾン(DEX、例えば、DECADRON(登録商標))およびコルチコステロイド、例えばプレドニゾン、ヌクレオシド酵素阻害剤、例えばヒドロキシ尿素、アミノ酸枯渇酵素、例えばアスパラギナーゼ、ロイコボリンおよびその他の葉酸誘導体、ならびに類似の多様な抗腫瘍剤を挙げ得る。また、追加薬剤として、以下の薬剤、アミフォスチン(例えば、ETHYOL(登録商標))、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシンリポ(例えば、DOXIL(登録商標))、ゲムシタビン(例えば、GEMZAR(登録商標))、ダウノルビシンリポ(例えば、DAUNOXOME(登録商標))、プロカルバジン、マイトマイシン、ドセタキセル(例えば、TAXOTERE(登録商標))、アルデスロイキン、カルボプラチン、オキサリプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT11(イリノテカン)、10−ヒドロキシ7−エチル−カンプトテシン(SN38)、フロクスウリジン、フルダラビン、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンβ、インターフェロンα、ミトキサントロン、トポテカン、ロイプロリド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシルを使用してもよい。
【0086】
単なる例として、本明細書に記載のIGF−1受容体阻害剤組成物を受け入れて患者が経験する副作用の一つが吐き気である場合には、制吐剤を最初の治療剤と組み合わせて投与することが適切である。いずれの場合にも、治療する疾患、障害または状態にかかわらず、患者が経験する総合的恩恵は、前記二つの治療剤の単なる付加であるかまたは患者が相乗的恩恵を経験することである。
【0087】
治療有効量は、複数の薬剤が併用治療で使用される場合には変化する。併用治療計画で使用するための薬剤とその他の薬剤の治療有効量を実験的に決定する方法は、文書化されている方法である。このような方法の一例は、メトロノーム様投与の使用である、すなわち、毒性副作用を最小限にするためにより頻繁なより少ない用量の提供である。併用療法は、さらに、患者の臨床管理を手助けするため何度か開始し、中止する定期的な治療を含む。
【0088】
いずれの場合でも、複数の治療剤(その一つが本明細書に記載のIGF−1受容体である)が、任意の順序でまたは場合によっては同時に投与される。同時に投与される場合には、複数の治療剤は、場合により、単一の一つにした形態でまたは複数の形態で(単なる例として、単一の丸薬としてまたは二つの別個の丸薬として)提供される。幾つかの実施形態において、治療剤の一つが複数回投与で提供されるか、または両方の治療剤が複数回投与として提供される。同時に投与されない場合には、複数回投与の間の時間は、場合によりゼロ週以上から四週未満まで変化する。また、併用方法、組成物および製剤は、二つの薬剤だけの使用に限定されるべきではなく、多数の薬剤の組み合わせの使用も意図される。
【0089】
緩和が求められる疾患状態を治療、予防または改善させる投与計画は、場合により、種々様々な因子に従って変更されることが理解される。これらの因子としては、患者が患う疾患、ならびに患者の年齢、体重、性別、食事および病状が挙げられる。従って、幾つかの実施形態において、実際に用いられる投与計画は、広範囲にわたって変化し、従って本明細書に記載の投与計画から逸脱する。
【0090】
本明細書に開示される併用療法を構成する医薬剤は、場合により、併用剤形であるかまたは実質的に同時投与を目的とした別個の剤形である。併用療法を構成する医薬剤はまた、場合により連続的に投与され、いずれかの治療剤は、2段階投与を必要とする計画によって投与される。二段階投与計画は、場合により、複数の活性薬剤の連続投与または別個の複数の活性薬剤の間隔をおいた投与を必要とする。複数の投与段階の間の期間間隔は、それぞれの医薬剤の特性、例えば効能、溶解性、生体利用性、血中半減期および動態プロフィールに応じて数分から数時間までの範囲に及ぶ。標的分子濃度の日内変動が、場合により、最適投与間隔を決定するのに使用される。
【0091】
また、IGF−1阻害剤は、場合により、患者に付加恩恵または相乗恩恵を提供する方法と組み合わせて使用される。単なる例として、患者が、IGF−1受容体阻害剤の医薬組成物および/または他の治療剤との組み合わせを、個人がある種の疾患または状態と関連している突然変異遺伝子の保有者であるかまたは前記療法から恩恵を受けるか否かを調べる遺伝子検査と組み合わせる本明細書に記載の方法において、治療的および/または予防的恩恵を見出すことが予期される。
【0092】
IGF−1受容体阻害剤および追加療法は、場合により、疾患または状態の発症の前に、発症中にまたは発症後に投与され、IGF−1受容体阻害剤を含有する組成物を投与するタイミングは、幾つかの実施形態において変化する。従って、例えば、IGF−1受容体阻害剤は、予防薬として使用され、疾患または状態の発症を防止するために状態または疾患を発現する傾向を有する患者に連続的に投与される。IGF−1受容体阻害剤および組成物は、場合により、症状の発生中にまたは症状の発生後できるだけ早く投与される。前記薬剤の投与は、場合により、症状の発生の最初の48時間以内に、好ましくは症状の発生の最初の48時間以内に、さらに好ましくは症状の発生現の最初の6時間以内に、最も好ましくは症状の発生の最初の3時間以内に開始される。初期投与は、場合により、任意の実用的経路、例えば静脈内注射、ボーラス注射、約5分から約5時間にわたる輸液、丸剤、カプセル剤、経皮パッチ、口腔内送達など、またはこれらの組み合わせによる。IGF−1受容体阻害剤は、疾患または状態の発生が検出されるかまたは疑われた後にできる限り速やかに、疾患の治療に必要な時間の長さ、例えば約1ヶ月から約3ヶ月までの期間投与されることが好ましい。治療の長さは、場合により、それぞれの患者について変化し、この場合にその長さは公知の基準を使用して決定される。例えば、GF−1受容体阻害剤またはIGF−1受容体阻害剤を含有する製剤、あるいはその組み合わせは、少なくとも2週間、好ましくは約1ヶ月から約5年間、さらに好ましくは約1ヶ月から約3年間投与される。
【0093】
本発明の種々の実施形態が本明細書に示され、記載されているが、このような実施形態は単なる例として提供されることが当業者には明らかであろう。当業者には、多数の改変、変化および置換が本発明から逸脱することなく見出されるであろう。本発明の幾つかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態の種々の代替が本発明の実施において用いられることが理解されるべきである。
(実施例)
【0094】
以下の実施例は、当業者に、本発明どのように構成し、使用するかについて完全な開示および記載を提供するように示され、発明者らが発明と考えている範囲を限定することを意図するものではなく、また以下の実験が、実施された実験の全部または実施した実験のみであることを表すことを意図するものではない。使用した数値(例えば、量、温度など)に関して精度を保証する努力をしたが、幾つかの実験誤差および逸脱が考慮されるべきである。特に明示しない限りは、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
【0095】
NDGAとIGF−1は、Insmed Corporation社(Richmond、VA)から入手した。以下のものは、購入した。IGF−1受容体に対する抗体(C−20)、ホスホチロシンを認識するホスホ特異抗体(PY20)、およびHRP複合抗ホスホチロシン抗体(PY20HRP)は、Santa Cruz Biotechnology社(Santa Cruz,CA)から購入し、αIR3(IGF−1受容体に対するモノクロナール抗体)は、CalBiochem社(San Diego,CA)から購入し、ホスホ特異抗体pIGF−IR(Y1131)は、Cell Signalinng社(Beverly、MA)から購入し、メチルトリエノロン(R1881)は、Perkin Elmer Life Sciences,Inc.社(Boston、MA)から購入した。また、被覆プロテインAセファロースCL4Bは、Amersham Biosciences社(Uppsala、Sweden)から購入した。明記しない限りは、全てのその他の試薬は、Sigma社(St.Louis,MO)から購入した。
【実施例1】
【0096】
LAPC−4前立腺癌細胞の増殖試験
LAPC−4前立腺癌細胞を、フェノール無含有RPMI+10%FCS RPMI中に37℃、5%COで保持した。ステロイド無含有培地は、10%デキストラン被覆チャコール処理血清(10%CDSS RPMI)を補足したフェノール無含有RPMIからなっていた。LAPC−4細胞を、このステロイド無含有10%CDSS RPMI中で3日間インキュベートし、その後に96ウエルプレートに移植した(5×10細胞/ウエル)。細胞を一夜付着させ、次いでビヒクル対照としてのDMSOと共にアンドロゲンと種々の濃度のNDGAで処理した。アンドロゲンと阻害剤で処理した培地を、3日目に補給した。このプレートを、7日目にマイクロプレートをペーパータオル上に裏返しにし付着細胞を破損させることなく増殖培地を取り除くために穏やかに吸い取らせ、これらの細胞を−80℃で少なくとも30分間凍結することによって収穫した。LAPC−4前立腺癌細胞の増殖を、CyQuant細胞増殖アッセイ(Molecular Probe,Eugene,OR)を使用するかまたはBCAアッセイ(Pierce,Rockford,IL)により調べた。細胞増殖を、0日目の対照細胞に対する内容物の%として算出した。
【0097】
培養においてLAPC−4細胞の増殖を促進するアンドロゲン、すなわちジヒドロテストステロン(DHT)の能力を評価した(図1)。示したそれぞれの値は、3重反復測定の平均値+SDである。図1aおよび2bでは、細胞増殖は、BCAで測定し、図1cでは、CyQuant法で測定した。全ての以後の試験において、CyQuant法が、増殖を測定するのに用いられた。
【0098】
DHTは、10nMで最大7日間細胞増殖を促進した(図1a)。3つの別個の実験において、7日目で、増殖を促進するDHTの影響は、対照よりも大きい83+8%であった(n=3、平均値+SEM)。DHTの主要な効果が、0.1nMで観察され、最大効果が1.0から10mMで監察された(図1b)。2つの別のアンドロゲン、すなわちテストステロンおよびR1881は、両方共に1nMで、同様の効果を有していた(図1c)。
【実施例2】
【0099】
DHTによって誘導された前立腺癌細胞増殖に対するIGF−1受容体阻害剤の効果
DHTによって誘導された増殖の増加に対するIGF−1受容体の役割を理解するために、本発明者らは、作用の関連のないメカニズムによりこの受容体を阻害する分子、NVP−AEW541およびピクロポドフィリン(PPP)を試験した。Garcia−Echeverriaらの論文(2004年)およびGirnitaらの論文(2004年)参照。前者は、ATPが受容体に結合するのを妨害し、後者は、基質のリン酸化を妨害する。両方の薬剤は、非アンドロゲン介在増殖に対してはるかに小さい効果で、増殖を促進するための1nMのDHTの効果を完全に妨害した。図2を参照して、それぞれの値は、3重反復測定についての平均値+SDであった。NVP−AEW541は、1μmから10μmの間で有効であり(図2a)、PPPは、100nMから400nMの間で有効であった(図2b)。従って、これらのデータは、DHTとIGF−1受容体が細胞増殖の促進において共同機能を有するであろうという仮説、およびIGF−1受容体の機能または活性を妨害することでアンドロゲン処理によって介在される前立腺癌細胞増殖を完全に妨害するという仮説を支持する。
【実施例3】
【0100】
NDGAはDHTによって誘導された前立腺癌細胞の増殖を阻止する
LAPC−4細胞を、上記のようにして3日間アンドロゲン不足にした。細胞を、次の通りに0.4%ベース寒天層上の0.2%寒天層中の96ウエルプレートに移植した。0.4%寒天層を調製するために、0.8%寒天溶液を、37℃で、2X10%CDSS RPMIと混合した。細胞を収穫し、培地(10%CDSS RPMI)に再懸濁した。移植されるべきそれぞれのウエルについて、20μlの0.8%寒天を、40μlの細胞および20μlの2X10%CDSS RPMIと混合した。上層が固化したときに、1nMジヒドロテストステロン(DHT)を、50μlの1X5%CDSS RPMIに加えた。NDGAを、翌日に50μlの1X培地に加えた。細胞を3日目に補給した。細胞を、37℃、5%COで6日間増殖させた。実験は、6日目に液状培養物をアスピレータ吸引することにより終わらせ、3Mグアニジンイソチオシアネート中で、45℃で1時間可溶化させた。次いで、CyQuant細胞増殖アッセイを用いた。
【0101】
DHTによって誘導された細胞増殖に対するNDGAの効果を、最初に、組織培養プレートで増殖させた細胞において評価した。図3を参照して、それぞれの値は、3重反復測定についての平均値+SDである。NDGAは、非アンドロゲン介在増殖に対してより小さい効果で、1から30μMの間の濃度で増殖のアンドロゲン刺激を阻害した(図3a)。5つの別個の実験において、アンドロゲン刺激増殖を阻害するNDGAの最大半値効果は、5+1μM(平均値+SEM)であった。DHTの代わりにテストステロンを使用した場合に、増殖のアンドロゲン刺激の同様の阻害が観察された。また、細胞を軟寒天中で増殖させた場合にDHTの効果を阻害するNDGAの同様の効果が生じ、NDGAが足場非依存性増殖を阻止したことを示した(図3b)。
【実施例4】
【0102】
LAPC−4前立腺癌細胞におけるリガンド刺激IGF−1受容体自己リン酸化
IGF−1受容体自己リン酸化のために、細胞を、実験の3日前に10%CDSS RPMIに移した。次いで、細胞を、1nMのDHTの存在下で6ウエルプレートに移植した。1日または3日のインキュベーション期間の終わりに、細胞を、2時間、血清不足にさせた。NDGAを、DMSOに溶解し、培地で希釈し、その後に細胞に37℃で1.5時間加えた。インキュベーション中のDMSOの最終濃度は、0.3%であった。次いで、細胞を3nMのIGF−1を用いて37℃で10分間刺激した。培地を急速にアスピレータ吸引し、細胞を4℃の氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄することによって反応を停止させた。細胞を、収穫し、50mMのHEPES、150mMのNaCl、1%トリトンX−100、1mMのPMSF、および2mMバナジン酸塩に4℃で1時間可溶化させた。タンパク質を、BCAアッセイで調べた。IGF−1受容体の自己リン酸化を、ELISAで調べた。Youngrenらの論文(2005年)参照。手短に言えば、10μgの細胞溶解液タンパク質を、IGF−1受容体に対するモノクロナール抗体(αIR3、2μg/ml)で被覆された96ウエルプレートの三つ組の(triplicate)ウエルに加え、4℃で18時間インキュベートした。プレートを5回洗浄し、次いで50mMのHEPES(pH7.6)、150mMのNaCl、0.05%Tween−20、1mMのPMSF、2mMバナジン酸塩および1mg/mlのバシトラシンに希釈したHRP複合抗ホスホチロシン抗体(0.3μg/ml)を、22℃で2時間加えた。プレートを5回洗浄し、その後にTMB基質を用いて発色させ、これを1.0MのHPOで終わらせた。受容体の自己リン酸化の値を、450nmで吸光度を測定することによって調べた。
【0103】
NDGAが乳癌、神経芽細胞腫、およびその他の癌においてIGF−1受容体のリガンドによって誘導された活性化を急速に阻害するという先の観察結果を考慮して、前立腺癌細胞におけるIGF−1受容体に対するこの薬剤の効果を試験した。LAPC−4細胞を、1mMのDHTと共に1日または3日間インキュベートした。1日のインキュベーション後に、IGF−1との10分間のインキュベーションによるこのIGF−1受容体の自己リン酸化の刺激はほとんどなかった(図4a)。対照的に、DHTと共に3日間インキュベートした細胞では、この機能の2倍の刺激があった(図4a、b)。この時点で、NDGAは、テストステロン介在増殖の阻害について認められた濃度範囲と同様の濃度範囲にわたってIGF−1によって誘導されたIGF−1受容体の自己リン酸化を阻害した(図4b)。3つの別個の実験において、IGF−1受容体キナーゼを阻害するNDGAの最大半値効果は、12+2μM(平均値+SEM)であった。IGF−1が、DHTとの1日のインキュベーション後ではなく3日間のインキュベーション後にIGF−1受容体を活性化するという観察は、NDGAが作用の第二のメカニズム、すなわち前立腺癌細胞においてアンドロゲン刺激増殖の阻害を有し得るという可能性を高めた。
【0104】
(実施例4:インスリン受容体/IGF−1受容体試験)
細胞を、前記のようにして10%CDSS RPMI中でアンドロゲン不足にさせ、その後に種々の用量のアンドロゲンおよび/またはNDGAを有する10mmペトリ皿に移植した。インキュベーション期間の終わりに、細胞を、PBSで2回洗浄し、溶解緩衝液〔50mMのHEPES(pH7.6)、150mMのNaCl、0.1%トリトンX−100、1mMのPMSF、2mMのNaVO〕を用いて4℃で1時間可溶化させた。250μgの細胞溶解液から抗IGF−1受容体β(C−20)被覆プロテインAセファロースCL4Bを用いて、IGF−1受容体の免疫沈降を行った。免疫沈降試料を、還元条件下でSDS−PAGEに流した。ニトロセルロース膜に移した後に、IGF−1受容体のレベルを、ウェスタンブロットで評価した。このニトロセルロース膜を、4℃で一夜インキュベーションした後に、TBSTで3回洗浄し、次いで同じブロッキング緩衝液中で1:50,000希釈したHRP複合抗ウサギIgGと共に室温で90分間インキュベートした。洗浄後に、ブロットを、Super Signal(Pierce Chemicals,Rockford,IL)と共にインキュベートし、フィルムに露出させた。
【0105】
還元条件下でSDS−PAGEに流し、ニトロセルロース膜に移し、1%ミルク、TBST中の1%BSAに1:1000希釈した抗インスリン受容体抗体CT−3を用いて4℃で一夜プローブすることによって分析した15μgの全タンパク質において、インスリン受容体の量を調べた。同じブロッキング緩衝液に1:2000希釈した第2の抗マウスIgGを、室温で90分間施用した。ブロットをSuperSignalと共にインキュベートし、フィルムに露出させた。
【0106】
PCRを、Taqman緩衝液(Applied Biosystems製PCR緩衝液、20%グリセロール、2.5%ゼラチン、受動対照として60nMのRox)、5.5mMのMgC1、0.5mMの各プライマ、0.2μMの各デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、200nMプローブ、および0.025単位/μlのAmpliTaq Gold(Applied Biosystems、CA)と5ngのcDNAとの20μl反応容量を用いて三重反復で行った。上述の諸成分の大きなマスタ混合物(プライマ、プローブおよびcDNAを差し引く)を、それぞれの実験用に調製し、個々の管、すなわち各cDNA試料用の管に一定分量を取った。次いで、前記一定分量のマスタ混合物に、cDNAを加えた。マスタ混合物をcDNAと共に、384ウエルプレートに一定分量を取り、9個のウエルを各cDNA試料用に使用した。前記のプライマとプローブを一緒に混合し、384ウエルプレート内のマスタ混合物とcDNAに加えた。PCRを、ABI7900HT(Applied Biosystems,CA)で、以下のサイクルパラメータ、95℃、1分間を1サイクル、95℃、15秒間を40サイクル、60℃、1分間を使用して行った。分析は、ABI7900HTに搭載したSDSソフトウエア(バージョン2.3)を使用して行った。三つの反応のそれぞれの組についてのCt値を、全部のその後の計算のために平均した。PCRプライマとTaqManプローブの配列は、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA)によって合成されるかまたはApplied Biosystems社(Foster City、CA)から購入した。これらの配列は、次の通りであった。
H.シクロフィリン
前進 TCTCAAATCAGAATGGGACAGGT(配列番号1)
逆進 TGAGAACCGTTTGTGTTGCG(配列番号2)
プローブ 5´−Fam−TTCCATTACAAGCATGATCGGGAGGGT−bhq−3´(配列番号3)
IGF−1R
前進 GAGATCTTGTACATTCGCACCAAT(配列番号4)
逆進 TTAACTGAGAAGAGGAGTTCGATGCT(配列番号5)
プローブ 5´−Fam−CTTCAGTTCCTTCCATTCCCTTGGXX−bhql−3´(配列番号6)
【0107】
IGF−1受容体は、前立腺癌細胞の形成および増殖において役割を果たし得る。Basergaの論文(1995年)、Pandiniらの論文(2005年)。また、LAPC−4以外の前立腺癌細胞株において、アンドロゲンが、IGF−1受容体の発現および機能を高めることが明らかにされている。Pandiniらの論文(2005年)、Fanらの論文(2007年)。従って、LAPC−4細胞におけるIGF−1受容体の発現に対するDHTの効果が、測定された。ウェスタンブロット分析により、DHTがIGF−1受容体の含有量を著しく増加させることが示された(図5a)。効果は、インキュベーションの2日後に観察され、インキュベーションの3日後にほぼ最大であった。増殖の刺激と同様に、DHTの顕著な効果が0.1nMで観察され、最大効果が1.0から10nMで観察された(図5b)。また、IGF−1受容体mRNA含有量の増大もまた観察された。IGF−1受容体遺伝子の発現が、定量PCRにより測定された。DHTが、0.1nMでIGF−1受容体遺伝子の発現を最大に高めることが明らかにされた(図6a)。
【0108】
DHTによって誘導されたIGF−1受容体の増加とは対照的に、DHTによる密接に関連したインスリン受容体(IR)の含有量の変化はなかった(図5c)。
【0109】
また、細胞を、NDGAの不存在下でおよび存在下で、nMのDHTと共に3日間インキュベートした(図5d)。IGF−1受容体のレベルは、DHTによって増加され、この増加は、NDGAの濃度を5μMから15μMまで上昇させることによって徐々に抑制された。3つの別個の実験において、DHTによって誘導されたIGF−1受容体含有量を阻害するNDGAの効果は、11+2μM(平均値+SEM)であった(図5e)。また、10μMでは、NDGAが、IGF−1受容体の発現を高めるDHTの効果を完全に抑制することが明らかにされた(図6a)。
【実施例5】
【0110】
NDGAは、DHTによって誘導されるアンドロゲン受容体のコンフォメーションの変化を阻害しない
IGF−1受容体の転写は、アンドロゲンによって刺激されるが、IGF−1遺伝子それ自体はARによって直接調節されないが、むしろそれは新たなタンパク質合成およびおそらくはSrcおよびMEK1を含む間接的効果であるという証拠がある。Wuらの論文(2005年)参照。従って、本発明者らは、NDGAは、AR活性化を直接に阻害することなくアンドロゲンによって誘導されるIGF−1受容体の発現を阻害することができると予測した。NDGAがAR活性を阻害するか否かを調べるために、本発明者らは、DHTによって誘導されるコンフォメーションの変化を測定するために、蛍光共鳴エネルギ移動(FRET)を利用するアッセイを用いた。Schaufeleらの論文(2005年)。
【0111】
FRETアッセイは、前記のようにして行った。手短に言えば、CFP−AR−YFP融合物(CARY)を安定的に発現する細胞を、DHTおよびNDGAと共に黒い透明底の96ウエルプレートに移した。この細胞を、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、単色計に基づいた蛍光プレートリーダ(Safire,Tecan,Inc.,NC)で、PBS中で読み取った。各プレートは、移入されなかった陽性および陰性対照を含んでいた。FRET:ドナーの比を、バックグランド減算およびFRETシグナルに対するアクセプター(YFP)寄与についての補正に従って算出した。
【0112】
コンフォメーションの変化は、AR活性化経路における近位のステップであり、これはARシグナル伝達とIGFシグナル伝達の間の混線の二次効果に感受性がないと思われる。AR FRETレポータを発現するLAPC−4細胞株を使用すると、NDGAは、DHTによって誘導されるARのコンフォメーションの変化に影響を及ぼさないことが観察された(図6b)。それよりもむしろ、ARのFRET分析は、AR作用に対するNDGA効果がアンドロゲンによって誘導されるARのコンフォメーションの変化の後に生じることを示唆している。従って、これらの結果は、NDGAが初期のAR活性化よりも遠位のステップでIGF−1受容体の発現を阻害する働きをすることを示唆している。また、これらの結果はまた、NDGA阻害の別の可能なメカニズムはIGF−1受容体発現のアンドロゲン刺激の弱めることによることも示唆している。
【0113】
Nickersonとその同僚による先の研究は、LAPC−4腫瘍を有する異種移植マウスでの腫瘍増殖は、IGF−1受容体とそのリガンドIGF−1の両方の発現に関連することを実証している。Nickersonらの論文(2001年)。Pandiniとその同僚は、LNCaP細胞のアンドロゲン刺激は、IGF−1受容体mRNAの発現の増加をもたらすことを報告している。Pandiniらの論文(2005年)。この効果は、タンパク質合成の阻害ならびにSrcおよびMEK1、すなわち非受容体チロシンキナーゼおよび二重チロシン/トレオニンキナーゼそれぞれの阻害剤によってブロックされることから間接的であると思われた。Fanらもまた、アンドロゲンがIGF−1受容体mRNAの発現をアップレギュレートすることを報告している。Fanらの論文(2007年)。また、Fanらは、1)核内因子Foxolが、AR作用を阻害すること、および2)IGF−1シグナル伝達は、Foxolをリン酸化し、不活性化し、高められたAR機能をもたらすこと報告している。従って、彼らは、ARシグナル伝達とIGF−1受容体シグナル伝達の間の陽性フィードバックループを提案している。同論文。この一連の実験は、アンドロゲンが、LAPC−4細胞においてIGF−1受容体の発現に影響を及ぼし、アンドロゲンによって刺激される腫瘍増殖に対するNDGAの効果の基礎となることを確認する。従って、アンドロゲン刺激に応答して高められたIGF−1受容体発現と、ARおよびIGF−1受容体による腫瘍増殖に対する共同効果の可能性との組み合わせられた効果は、IGF−1受容体阻害を、アンドロゲン依存性前立腺癌を有する患者においておよび去勢抵抗性疾患を有する患者において魅力ある臨床的戦略にする。
【0114】
臨床的に、従来のアンドロゲンシグナル伝達に対する代替(または共同)経路を標的とすることは、患者に臨床効果を提供する幾つかの恩恵を提供する。その第1は、アンドロゲン遮断療法を利用せずに腫瘍細胞においてアンドロゲンシグナル伝達を弱めることによって、アンドロゲン遮断の期間およびその骨粗鬆症の付随する毒性、脳血管障害および心筋梗塞、顔面紅潮、および性欲の喪失のリスクの上昇を遅らせるかまたは抑制し得ることである。その第2は、アンドロゲン遮断の状況でIGF受容体を標的とすることは、アンドロゲン遮断療法に対する腫瘍の感受性を長続きさせるか、療法に反応してアポトーシスを行う腫瘍区画内の細胞の割合を増加させるか、または去勢抵抗性療法の出現に関与するシグナルの一つを弱めることによって、結果を改善し得ることである。最後に、このような療法は、二次療法として二次アンドロゲン遮断治療、例えば副腎アンドロゲン阻害剤と組み合わせてまたは単剤療法として利用し得る。アンドロゲン依存性前立腺癌とアンドロゲン非依存性前立腺癌の両方を有する患者におけるNDGAの予備臨床評価が、実施されており、合理的な安全性および臨床効果の早期立証を実証している。Ryanらの論文(2008年)。特に、この一連の実験によって予測されるように、非去勢レベルのテストステロンおよび上昇PSAを有する患者においてその疾患の唯一の兆候として生じたPSAの上昇の速度に対する適度の軽減効果およびPSAの適度の減少が、観察された。
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【0115】
前記は、本発明の原理を単に例証するものである。本明細書に明確に記載または示されていないが、本発明の原理を具現し、本発明の精神および範囲内に含まれる種々の構成を当業者が考え出すことができることが理解されるであろう。また本明細書に記載した全ての例および条件付きの用語は、主として、本発明の原理と、技術の促進に本発明者らが貢献する概念とを読者が理解することを手助けすることを主に目的とし、このような具体的に記載された例および条件に限定されることがないと解釈されるべきである。さらにまた、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびに本発明の具体例を列挙する本明細書の全ての記載は、本発明の構造的均等物および機能的均等物の両方を包含することが意図される。さらに、このような均等物は、現在知られている均等物と、将来開発される均等物、すなわち構造に関係なく同じ機能を実行する、開発される任意の要素との両方を含むことが意図される。従って、本発明の範囲は、本明細書に示され、記載された典型的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲と精神は、付属の特許請求の範囲によって具体化される。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図2a】

【図2b】

【図3a】

【図3b】

【図4a】

【図4b】

【図5a】

【図5b】

【図5c】

【図5d】

【図5e】

【図6a】

【図6b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前立腺癌に苦しむヒトを治療するのに使用するために製造される製剤であって、
製薬学的に許容できる担体と、
IGF−1受容体阻害剤と、
を含有する製剤。
【請求項2】
アンドロゲン非応答性の前立腺癌に苦しむ個人の治療に使用するために製造される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
アンドロゲン応答性の前立腺癌に苦しむ個人の治療に使用するために製造される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
前記IGF−1受容体阻害剤が、小分子阻害剤、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗体からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記小分子阻害剤が、NDGA、NVP−AEW541およびピクロポドフィリンからなる群から選択され、前記製剤が良性、局在性および転移性からなる群から選択される種類の前立腺癌の治療に使用するために製造される、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
さらにアンドロゲンホルモン遮断剤を含有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
LHRH類似物質、LHRHアンタゴニスト、抗アンドロゲン、エストロゲン、およびケトコナゾールからなる群から選択される薬剤をさらに含有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
前記抗癌剤が、化学療法剤または細胞傷害性薬剤であり、前記化学療法剤がシクロホスファミドであってもよく、前記細胞傷害性薬剤がクロラムブシルである、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
非受容体チロシンキナーゼを阻害する薬剤をさらに含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記薬剤が、ダサチニブ、AZD0530、AP23846、PP2およびUCS15Aからなる群から選択される、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
治療有効量のメソ−ノルジヒドログアイアレチン酸 (NDGA)をさらに含有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
NDGA溶媒をさらに含有する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記溶媒がDMSOである、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
副腎アンドロゲン阻害剤をさらに含有する、請求項1に記載の製剤。

【公表番号】特表2011−519925(P2011−519925A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508495(P2011−508495)
【出願日】平成21年5月4日(2009.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/002781
【国際公開番号】WO2009/137044
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(306000186)ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア (10)
【Fターム(参考)】