説明

LEDモジュール及びLED表示装置

【課題】LEDモジュールの前面側に位置する者と、背面側に位置する者に対して同時に表示を行うことができるLEDモジュールを提供する。
【解決手段】透光性基板2と、透光性基板2に縦横に所定間隔を開けて配設され、透光性基板2に沿う方向に光を照射するLED部4と、LED部4からの光の照射領域の各々に対応配置して透光性基板2に設けられ、LED部4の照射光を透光性基板2の前面側と背面側とに出射させる光制御部5とを備えるLEDモジュールであって、光制御部5を透光性樹脂51内に拡散片52を分散して構成すると共に、透光性基板2上にLED部4の配線44となる透明導電膜を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを画素に用いて表示を行うLEDモジュール及びLED表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(発光ダイオード)を画素に用いて表示を行うLEDモジュールが知られている。例えば特許文献1には、方形メッシュ状基板の交点箇所の前面にLEDを設けて画素となるLEDを縦横に配列し、各LEDに対応する制御部及び駆動部及びこれらを接続する配線を前記方形メッシュ状基板の縦の桟若しくは横の桟の裏面に設けるLEDモジュールが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−345900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の様な既存のLEDモジュールは、基板のLED設置側である基板の前面側に対してLEDを発光させ、LEDモジュールの前面側に位置する者に対して表示を行うものである。しかしながら、LEDモジュールの表示に於いては、LEDモジュールの前面側に位置する者と、背面側に位置する者に対して同時に表示を行えるLEDモジュールも求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、LEDモジュールの前面側に位置する者と、背面側に位置する者に対して同時に表示を行うことができるLEDモジュール及びLED表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のLEDモジュールは、透光性を有する透光性基板と、前記透光性基板に所定間隔を開けて配設され、前記透光性基板に沿う方向に光を照射するLED部と、前記LED部からの光の照射領域の各々に対応配置して前記透光性基板に設けられ、前記LED部の照射光を少なくとも前記透光性基板の前面側と背面側とに出射させる光制御部とを備えることを特徴とする。透光性基板は、例えばガラス、シリコン、絶縁性樹脂フィルム等とすることが可能であり、又、LED部を縦横に設ける透光性基板、或いはLED部を縦若しくは横に設ける細長の透光性基板等とすることが可能である。また、LED部には、近接して配置されるRGBのLEDを一単位として設ける構成の他、単色のLEDを設けることも可能である。また、LED部には、前方へ照射するLEDを横向きに設置する構成としてもよいが、LEDの発光が横向きに照射されるサイドビュー型のLEDを設置する構成とすると好適である。
【0007】
また、本発明のLEDモジュールは、前記光制御部を前記LED部の発光部を被覆し、前記LED部の照射光を拡散して出射する構成とすることを特徴とする。前記構成により、広範囲で画素を認識可能にし、広範囲からLEDモジュールの表示を視認できるようにすることができる。また、輝点の均一性を高めることができる。
【0008】
また、本発明のLEDモジュールは、前記光制御部を透光性樹脂内に、前記透光性樹脂よりも溶融温度が高い拡散片を分散し埋設して構成することを特徴とする。前記構成により、低コスト且つ簡単な構造で、効果的な光拡散効果を得ることができると共に、より広範囲で画素を認識可能にし、より広範囲からLEDモジュールの表示を視認できるようにすることができる。また、拡散片を透光性樹脂に分散して成形し、容易に光制御部を製造することができる。
【0009】
また、本発明のLEDモジュールは、前記光制御部を前記透光性基板の屈折率以下の素材で形成することを特徴とする。前記構成により、全反射が起こらずに、透光性基板に光を入射させ、透光性基板の背面側から効率的に光を出射させることができる。
【0010】
また、本発明のLEDモジュールは、前記透光性基板を可撓性若しくは柔軟性の素材で形成することを特徴とする。前記構成により、LEDモジュールを曲面形状に変形し、曲面形状で前面側と背面側から視認可能なLEDモジュールとすることができる。更に、ロール状に巻いて小さくすることが可能となり、運搬時の可搬性を高め、設置時に目的の形状に展開することができる。更に、ロール状に巻いて収納することが可能となり、収納スペースの省スペース化を図ることができる。また、透光性基板を一般的な鋏等で切断可能な、例えばPETと同等の機械的特性を有する厚さ0.5mm以下の加工性の高い素材で形成すると、利用者が透光性基板を配線パターンを切断しない範囲で切断し、LEDモジュールの外形を任意の形に変更することが可能となり、多様な用途のLEDモジュールを構成することができる。
【0011】
また、本発明のLEDモジュールは、前記透光性基板上に成膜され、前記LED部の配線となる透明導電膜を備えることを特徴とする。前記構成により、LEDの配線領域を透明化し、透光性を大幅に高めて一層美観を向上することができる。尚、透明導電膜には、例えばITO(酸化インジウム錫)の他、酸化亜鉛系の材料を用いるなど適宜であり、又、透明導電膜の配線パターンに於ける絶縁溝の幅は、加工性、絶縁性、透光性基板の配線可能領域の面積等の観点から、30μm〜100μmとすることが好ましい。
【0012】
また、本発明のLEDモジュールは、前記透明導電膜のうち所定の透明導電膜に、前記透明導電膜よりも導電性が高い不透明の導電性材料を線状に塗設することを特徴とする。通常、透明導電膜による電圧降下は非常に高くなるが、前記構成により、透光性の低下を抑制しつつ、配線パターンの電圧降下を低下させ、全体の消費電力の一層の低減を図ることができる。尚、前記導電性材料は、透光性を妨げないために、1mm以下の細さで塗設することが好ましい。また、前記導電性材料は前記要件を充足するものであれば適宜であるが、例えばドータイト(登録商標)等の導電性ペーストとすることが好ましい。また、前記導電性材料を線状に設ける構成に代え、所定間隔を開けて点状に設ける構成とすることも可能である。
【0013】
また、本発明のLED表示装置は、本発明のLEDモジュールの複数を所定パターンで複数配列して構成されることを特徴とする。前記構成により、本発明のLEDモジュールの特徴を有する大画面のLED表示装置等を得ることができる。
【0014】
尚、本明細書開示の発明には、各発明や各実施形態の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のLEDモジュール或いはLED表示装置は、透光性基板に沿う方向にLED部で光を照射し、光の照射領域に設けられる光制御部でLEDの照射光を前面側と背面側に出射させることにより、LEDモジュールの前面側に位置する者と、背面側に位置する者に対して同時に表示を行うことができる。また、透光性基板を用いることにより、前面側から背面側へのシースルーと、背面側から前面側へのシースルーを確保し、両面のそれぞれについて反対側が透けて見える表示を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明について実施形態のLEDモジュールに基づき説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
第1実施形態のLEDモジュール1は、図1〜図3に示すように、透光性を有する透光性基板2と、透光性基板2に縦横に所定間隔を開けて配設される灯体部3とを備え、灯体部3は、透光性基板2に沿う方向に光を照射するLED部4と、LED部4からの光の照射領域に対応配置して透光性基板2に設けられ、LED部4の照射光を透光性基板2の前面側と背面側とに出射させる光制御部5とで構成される。
【0018】
透光性基板2は、正面視矩形であり、絶縁性を有し、例えばアクリル樹脂等の硬質樹脂、ガラス等の硬質の素材で形成されている。尚、透光性基板2の素材はLEDモジュール1の用途等に応じて適宜であり、硬質の素材以外に軟質の素材とすることも可能である。例えば一般的な鋏等で容易に切断可能なPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)等の柔軟な樹脂フィルムで形成してもよい。
【0019】
LED部4は、発光部41と、筐体42と、載置される発光部41と筐体42を支持する矩形の支持基板43とを有し、配線44を介して図4に示す制御部45及び駆動部46に接続されている。発光部41と筐体42はLEDモジュール1の前面側に位置するように配置され、支持基板43はLEDモジュール1の背面側に位置するように配置され、支持基板43は接着剤等により透光性基板2に固着されている。発光部41はサイドビュー型であり、発光部41から側方に向かって光を照射し、透光性基板2の前面に沿う方向に光を照射するように設置されており、後述する光制御部5の略中心に向かって光を照射するようになっている。配線44には、適宜の導通線を用いることが可能であるが、例えばITO(酸化インジウム錫)等の透明導電膜を用いる構成、或いはITO等の透明導電膜を用い、透明導電膜よりも導電性が高い不透明の導電性ペーストを線状に塗設すると好適である。
【0020】
LED部4と配線44を介して接続される制御部45及び駆動部46は、例えば透光性基板2の周縁近傍に設けられる。各LED部4に対応する制御部45には、その内蔵されているメモリに調光制御信号を認知するためのアドレスが設定記憶されている。各LED部4に対応する制御部45及び駆動部46には、送信装置6から調光制御信号が供給されると共に、電源装置7から電源が供給されるようになっており、図4のSは調光制御信号の信号線、Pは電源線、Gは接地線である。送信装置6から供給される調光制御信号は、例えばDMX信号等の各LED部4の全ての制御部45の設定アドレスに対応する調光制御データを含むものであり、各制御部45は調光制御信号の中から自己の設定アドレスに対応する調光制御データを認知し、対応するLED部4の駆動部46で駆動するようになっている。尚、47r、47g、47bは各LED部4に内蔵されている赤、緑、青の表示用LEDである。
【0021】
光制御部5は、LED部4の発光部41の周囲を被覆して設けられ、略半球形の透光性樹脂51と、透光性樹脂51内に略均一で分散して埋設されている略球形の拡散片52とで構成される。略半球形の透光性樹脂51の凸曲面511はLEDモジュール1の前面側に向けて配置され、その平面512はLEDモジュール1の背面側に向けて配置され、透光性基板2に接着剤等により固着されている。透光性樹脂51に形成された取付孔53には、LED部4の一部、本実施形態では発光部41と筐体42の一部と支持基板43の一部が挿入して固着されている。
【0022】
透光性樹脂51は、例えばアクリル、ポリカーボネート等の各種プラスチックの成形材料を素材として形成される。透光性樹脂51或いは光制御部5は、所要の機能を有する適宜の素材で形成することが可能であるが、透光性基板2の屈折率以下の素材とすると好ましく、より好適には透光性基板2の屈折率と同一の素材とするとよい。即ち、透光性基板2よりも透光性樹脂51の屈折率が大きい場合、臨界角以上の光が全反射して透光性樹脂51に篭もり、意図しない光が透光性基板2の前面側に出射され、前面側と背面側で光が偏ってしまうのに対し、透光性基板2よりも透光性樹脂51の屈折率が小さい場合、前記全反射が起こらず、透光性基板2に光を入射させ、透光性基板2の背面側から効率的に光を出射させることができ、更に、透光性基板2と透光性樹脂51の屈折率が同じ場合には、透光性基板2と透光性樹脂51間で生ずる屈折を無くし或いは極力抑制し、より意図に沿った形で制御して光を透光性基板2の背面側から出射させることができる。
【0023】
また、本実施形態に於ける拡散片52は、略球形のガラスビーズとしており、本例の拡散片52の直径は約10μm〜200μm程度とする。尚、拡散片52の大きさは、光制御部5の大きさの約1/100〜1/10程度とすると良好である。前記ガラスビーズは、透光性樹脂51内に製造時に攪拌混合することで分散して配置している。拡散片52には適宜の素材を用いることが可能であるが、ガラスビーズは透光性樹脂51よりも一般に耐熱性に優れ、溶けにくいため、透光性樹脂51に混合して光制御部5を製造する作業が容易になると共に、安価であるため、拡散片52の素材として良好である。更に、ガラスビーズ以外にも、透光性樹脂51よりも溶融温度が高い透光性の樹脂等の材料を用いると、製造作業が容易になるので好ましい。また、拡散片52の形状は球形以外にも適宜であり、又、その直径は前記寸法に限定されないが、発光部41の寸法の5分の1以下とすることが好ましい。尚、透光性樹脂51と透光性基板2と一体形成することも可能であり、その場合には拡散片52を透光性樹脂51内に設けない構成、或いは拡散片52と透光性樹脂51と透光性基板2の双方に設ける構成とすることが可能である。
【0024】
第1実施形態のLEDモジュール1は単体でも使用可能であるが、LEDモジュール1を所定パターンで複数配列してLED表示装置を構成するようにしてもよい。例えば図1に示すように、縦桟と横桟で構成される格子形配列器具8を用い、格子形配列器具8によってLEDモジュール1をマトリクス状に配置し、複数のLEDモジュール1がマトリクス状に配置されたLED表示装置とするものである。縦桟と横桟の対向面にはそれぞれ長手方向に沿って凹溝が形成され、前記凹溝に各LEDモジュール1の周縁近傍を係合することで、LEDモジュール1が格子形配列器具8に着脱可能に取り付けられる。各LEDモジュール1から引き出される配線は例えば縦桟又は横桟又はその双方に沿って、LED表示装置の周縁部分或いは外側周辺に引き出され、前記周縁部分或いは外側周辺に配置される制御部、駆動部及び電源回路等に接続される。前記構成により、例えば大画面のLED表示装置を構成することができる。尚、前記格子形配列器具8によるLED表示装置に代え、縦桟と横桟で構成される格子形配列器具の各開口の四隅に対応してビス穴を設け、前記ビス穴に挿入するビスでLEDモジュール1を前記格子形配列器具に取り付けてLED表示装置を構成する等としてもよい。
【0025】
第1実施形態のLEDモジュール1及びLED表示装置は、透光性基板2に沿う方向にLED部4で光を照射し、光の照射領域に設けられる光制御部5で照射光を前面側と背面側に出射させることにより、LEDモジュールの前面側に位置する者と、背面側に位置する者に対して同時に表示を行うことができる。また、光制御部5の前面側が半球面或いは凸曲面であることから視野角を向上することができ、前面側に於いて広範囲で視認可能な表示を行うことができる。また、透光性基板2により前面側から背面側へのシースルーと、背面側から前面側へのシースルーを確保し、両面のそれぞれについて反対側が透けて見える表示を実現することができる。また、光制御部5を拡散片52で光拡散するものとすることにより、低コスト且つ簡単な構造で光拡散効果を得て、広範囲で画素を認識可能にし、広範囲からLEDモジュール1の表示を視認することができる。また、灯体部の発光部41を光制御部5内に埋設することにより、円に近いより均一な輝点を得ることができ、鮮明さを高めることができる。
【0026】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のLEDモジュール1は、図5及び図6に示すように、灯体部のLED部4aと光制御部5aのみが第1実施形態と相違する。LED部4aは、発光部41aと、筐体42aとで構成され、第1実施形態と同様に、透明導電膜等の配線44を介して制御部45及び駆動部46に接続されている。LED部4aは、LEDモジュール1の前面側に位置するように配置され、筐体42aは透光性基板2に固着されている。発光部41aはサイドビュー型であり、発光部41aから側方に向かって光を照射し、透光性基板2の前面に沿う方向に光を照射するように設置されており、光制御部5aの略中心に向かって光を照射するようになっている。
【0027】
光制御部5aは、略半球形の透光性樹脂51aと、透光性樹脂51a内に略均一で分散して埋設されている略球形の拡散片52aとで構成されているが、第1実施形態と異なり、取付孔は形成されていない。略半球形の透光性樹脂51aの凸曲面511aはLEDモジュール1の前面側に向けて配置され、その平面512aはLEDモジュール1の背面側に向けて配置され、透光性基板2に接着剤等により固着されている。また、光制御部5aは、LED部4aの発光部41aから離間した位置に設けられ、透光性樹脂51aの側方からLED部4aの照射光が入射するようになっている。その他の構成は第1実施形態と同様である。第2実施形態の構成では、より柔らかい光による表示を得ることができると共に、灯体部の光制御部内への埋設が不要となって灯体部の実装が容易になる。
【0028】
〔第3実施形態〕
第3実施形態のLEDモジュール1は、図7(a)に示すように、灯体部のLED部4bと光制御部5bのみが第1実施形態と相違する。LED部4bは、発光部41bと筐体42bとで構成されており、第2実施形態と同様の構成で、同様に接続され、配置される。光制御部5bは、肉厚の略小判形であり、透光性樹脂51bで形成され、透光性樹脂51b内に拡散片52bが略均一に分散して配置されている。光制御部5bは、その一方の平面部53bを透光性基板2の一方の面に沿うように配置し、且つその長軸方向を光の照射方向に揃えて配置される。そして、光制御部5bは、LED部4bの発光部41bから離間した位置に設けられ、透光性樹脂51bの側方から略長軸方向に沿ってLED部4の照射光が入射するようになっている。その他の構成は第1実施形態と同様である。前記構成では、LEDモジュール1の前面側に光を照射すると共に、背面側に透光性基板2を透過して光を照射して、LEDモジュール1の前面側と背面側に位置する者に対して良好な表示を行うことができる。更に、より柔らかい光による表示を得ることができると共に、灯体部の光制御部内への埋設が不要となって灯体部の実装が容易になる。
【0029】
〔第4実施形態〕
第4実施形態のLEDモジュール1は、図7(b)に示すように、灯体部のLED部4cと光制御部5cのみが第1実施形態と相違する。LED部4cは、発光部41cと筐体42cとで構成されており、第2実施形態と同様の構成で、同様に接続され、配置される。光制御部5cは、板状であり、ガラスビーズ等の拡散片を混入した樹脂を塗布された乳白色の拡散板、或いは樹脂内に拡散片を混入した拡散板で構成され、片面を透光性基板2の一方の面に沿うように配置されている。そして、光制御部5cは、LED部4cの発光部41cから離間した位置に設けられ、光制御部5cの側方からLED部4cの照射光が入射するようになっている。その他の構成は第1実施形態と同様である。前記構成では、LEDモジュール1の前面側に光を照射すると共に、背面側に透光性基板2を透過して光を照射して、LEDモジュール1の前面側と背面側に位置する者に対して良好な表示を行うことができる。更に、より柔らかい光による表示を得ることができると共に、灯体部の光制御部内への埋設が不要となって灯体部の実装が容易になる。
【0030】
〔第5実施形態〕
第5実施形態のLEDモジュール1は、図7(c)に示すように、灯体部のLED部4dと光制御部5dのみが第1実施形態と相違する。LED部4dは、発光部41dと筐体42dとで構成されており、第2実施形態と同様の構成で、同様に接続され、配置される。光制御部5dは、前面側と背面側とに面状に略均等な照度で光を照射する導光板であり、片面を透光性基板2の一方の面に沿うように配置して固着されている。そして、光制御部5dは、LED部4dの発光部41dから離間した位置に設けられ、光制御部5dの側方からLED部4dの照射光が入射するようになっている。その他の構成は第1実施形態と同様である。前記構成では、LEDモジュール1の前面側に光を照射すると共に、背面側に透光性基板2を透過して光を照射して、LEDモジュール1の前面側と背面側に位置する者に対して良好な表示を行うことができる。更に、より柔らかい光による表示を得ることができると共に、灯体部の光制御部内への埋設が不要となって灯体部の実装が容易になる。
【0031】
〔第6実施形態〕
第6実施形態のLEDモジュール1は、図7(d)に示すように、灯体部のLED部4eと光制御部5eのみが第1実施形態と相違する。LED部4dは、発光部41eと筐体42eとで構成されており、形状が異なる点以外は第2実施形態と同様の構成で、同様に接続され、配置される。光制御部5eは、例えば正面視略コ字形の中空のケース51eが透光性基板2に固着され、一方の端部に於けるケース51e内に略三角錐状の反射板52eが設けられている。発光部41eは反射板52eから所定距離離間して対向するように配置され、発光部41eから反射板52eに向けて出射される照射光が反射板52eで反射される。反射板52eの放物面である一方の反射面521eで反射された照射光は、LEDモジュール1の前面側から出射し、放物面である他方の反射面522eで反射された照射光は、透光性基板2を透過してLEDモジュール1の背面側から出射する。その他の構成は第1実施形態と同一である。前記構成により、LEDモジュール1の前面側と背面側の双方で優れた表示を行うことができる。更に、より柔らかい光による表示を得ることができると共に、灯体部の光制御部内への埋設が不要となって灯体部の実装が容易になる。
【0032】
〔実施形態の変形例等〕
本発明は第1〜第6実施形態以外にも各種の変形を行うことが可能である。例えば、各実施形態の透光性樹脂による光制御部、導光板による光制御部、反射板による光制御部では、前記光制御部に表示用LEDを接触して配置する構成、或いは非接触で配置する構成とすることが可能であり、又、透光性樹脂による光制御部で前記接触する構成とする場合には、例えば表示用LEDを透光性樹脂内に埋め込む構成、或いは光制御部の球面等の基本的な形状に接触させる構成等とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、LEDを画素に用いて表示するLEDモジュール及びLED表示装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態のLEDモジュールの正面図。
【図2】第1実施形態のLEDモジュールの部分正面図。
【図3】図2のA―A線矢視断面図。
【図4】第1実施形態のLEDモジュールの制御構成を示すブロック図。
【図5】第2実施形態のLEDモジュールの部分正面図。
【図6】図5のB−B線矢視断面図。
【図7】(a)は第3実施形態のLEDモジュールに於ける灯体部の断面図、(b)は第4実施形態のLEDモジュールに於ける灯体部の断面図、(c)は第5実施形態のLEDモジュールに於ける灯体部の断面図、(d)は第6実施形態のLEDモジュールに於ける灯体部の断面図。
【符号の説明】
【0035】
1…LEDモジュール 2…透光性基板 3…灯体部 4、4a、4b、4c、4d、4e…LED部 41、41a、41b、41c、41d、41e…発光部 42、42a、42b、42c、42d、42e…筐体 43…支持基板 44…配線 45…制御部 46…駆動部 47r、47g、47b…表示用LED 5、5a、5b、5c、5d、5e…光制御部 51、51a、51b…透光性樹脂 511、511a…凸曲面 512、512a…平面 52、52a、52b…拡散片 53…取付孔 53b…平面部 51e…ケース 52e…反射板 521e、522e…反射面 6…送信装置 7…電源装置 8…格子形配列器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する透光性基板と、
前記透光性基板に所定間隔を開けて配設され、前記透光性基板に沿う方向に光を照射するLED部と、
前記LED部からの光の照射領域の各々に対応配置して前記透光性基板に設けられ、前記LED部の照射光を少なくとも前記透光性基板の前面側と背面側とに出射させる光制御部とを備えることを特徴とするLEDモジュール。
【請求項2】
前記光制御部を前記LED部の発光部を被覆し、前記LED部の照射光を拡散して出射する構成とすることを特徴とする請求項1記載のLEDモジュール。
【請求項3】
前記光制御部を透光性樹脂内に、前記透光性樹脂よりも溶融温度が高い拡散片を分散し埋設して構成することを特徴とする請求項2記載のLEDモジュール。
【請求項4】
前記光制御部を前記透光性基板の屈折率以下の素材で形成することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のLEDモジュール。
【請求項5】
前記透光性基板を可撓性若しくは柔軟性の素材で形成することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のLEDモジュール。
【請求項6】
前記透光性基板上に成膜され、前記LED部の配線となる透明導電膜を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のLEDモジュール。
【請求項7】
前記透明導電膜のうち所定の透明導電膜に、前記透明導電膜よりも導電性が高い不透明の導電性材料を線状に塗設することを特徴とする請求項6記載のLEDモジュール。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のLEDモジュールの複数を所定パターンで複数配列して構成されることを特徴とするLED表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−239235(P2009−239235A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87000(P2008−87000)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(599040713)株式会社コマデン (12)
【Fターム(参考)】