説明

LEDモジュール

【課題】 高輝度化および放熱の推進を図ることが可能なLEDモジュールを提供すること。
【解決手段】 LEDチップ21を具備するLEDユニット2を備えるLEDモジュールA1であって、主面11cおよび底面11dを有しセラミックスからなる底板部111、を含む本体11と、底板部111を貫通する貫通導体部15cと、貫通導体部15cに導通し、主面11cに形成されており、かつLEDユニット2を搭載するためのパッド12bと、を有するケース1をさらに備えており、貫通導体部15cは、主面11c側に露出し、かつ平面視においてLEDユニット2と重なる主面露出部151cと、主面露出部151cに繋がり、かつ底面11dに到達する底面到達部152cと、を有しており、パッド12bは、主面露出部151cの少なくとも一部を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてLEDチップを備えるLEDモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
図23は、従来のLEDモジュールの一例を示している(たとえば、特許文献1参照)。同図に示されたLEDモジュール900は、ガラスエポキシ樹脂からなる長矩形状の基板910に3つのLEDチップ931,932,933が搭載された構造とされている。基板910には、複数の電極921,922,923,924が形成されている。電極921,922,923には、LEDチップ931,932,933がそれぞれダイボンディングされている。電極924は、いわゆるコモン電極であり、LEDチップ931,932,933のそれぞれに対してワイヤを介して導通している。3つのLEDチップ931,932,933は、ケース950によって囲われている。ケース950は、略枠状の不透光樹脂製であり、その内側空間に透光樹脂(図示略)が充填されている。LEDモジュール900は、基板910の長手方向に延びる図中下方の面を実装面として回路基板などに実装される、いわゆるサイドビュータイプのLEDモジュールとして構成されている。LEDチップ931,932,933は、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を出射するものである。これらのLEDチップ931,932,933からの光を混色させることにより、LEDモジュール900は、白色光を出射することが指向されている。
【0003】
LEDモジュール900は、様々な電子機器の照明光源として用いられるため、高輝度化が強く求められる。しかしながら、LEDチップ931,932,933は、発光により発熱する。この熱によって基板910の温度が過度に上昇すると、ガラスエポキシ樹脂からなる基板910が不当に変形するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−24794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、高輝度化および放熱の推進を図ることが可能なLEDモジュールを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供されるLEDモジュールは、1以上のLEDチップを具備するLEDユニットを備えるLEDモジュールであって、互いに反対側を向く主面および底面を有しセラミックスからなる底板部、を含む本体と、上記底板部を貫通する貫通導体部と、上記貫通導体部に導通し、上記主面に形成されており、かつ上記LEDユニットを搭載するための1以上のパッドと、を有するケースをさらに備えており、上記貫通導体部は、上記主面側に露出し、かつ平面視において上記LEDユニットと重なる主面露出部と、上記主面露出部に繋がり、上記底面に到達し、かつ平面視において上記LEDユニットとは重ならない位置に設けられた底面到達部と、を有しており、上記パッドは、上記主面露出部の少なくとも一部を覆っていることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記主面露出部は、平面視において上記LEDユニットを内包している。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記底面到達部は、平面視において少なくともその一部が上記LEDユニットと重ならない位置にある。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記パッドは、上記主面露出部のすべてを覆っている。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記貫通導体部は、Agからなる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記パッドは、Auからなる表層を有する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記底板部の上記底面には、上記貫通導体部と導通する実装電極が形成されている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記本体は、上記主面に接合され上記LEDユニットを囲み、かつ樹脂からなる枠状部をさらに含む。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枠状部は、上記LEDユニットを囲む内向き側面であるリフレクタを有する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記リフレクタは、上記主面の法線に対して直角である断面の寸法が、上記主面から離間するほど大となっている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枠状部に囲まれた領域に充てんされており、上記LEDユニットを覆い、かつ、上記LEDユニットからの光を透過する樹脂材料と、上記LEDユニットからの光によって励起されることにより上記LEDユニットからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料と、からなる透光樹脂をさらに備える。
【0017】
このような構成によれば、上記LEDユニットからの熱は、上記パッドから上記主面露出部および上記底面到達部を介して上記ケースの底面側に伝わりやすい。これにより、上記LEDモジュールの放熱を高めることができる。
【0018】
本発明の第2の側面によって提供されるLEDモジュールは、1以上のLEDチップを具備するLEDユニットを備えるLEDモジュールであって、上記LEDユニットを搭載するための1以上のパッドと、上記パッドが形成された主面およびこの主面と反対側を向く底面を有する底板部、および上記主面に接合され上記LEDユニットを囲む枠状部、を含む本体と、を有するケースをさらに備えており、上記底板部は、セラミックスからなり、上記枠状部は、樹脂からなることを特徴としている。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枠状部は、上記LEDユニットを囲む内向き側面であるリフレクタを有する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記リフレクタは、上記主面の法線に対して直角である断面の寸法が、上記主面から離間するほど大となっている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枠状部に囲まれた領域に充てんされており、上記LEDユニットを覆い、かつ、上記LEDユニットからの光を透過する樹脂材料と、上記LEDユニットからの光によって励起されることにより上記LEDユニットからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料と、からなる透光樹脂をさらに備える。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記パッドに導通し、上記底板部を貫通する貫通導体部をさらに有しており、上記貫通導体部は、上記主面側に露出し、かつ平面視において上記LEDユニットと重なる主面露出部と、上記主面露出部に繋がり、上記底面に到達し、かつ平面視において上記LEDユニットとは重ならない位置に設けられた底面到達部と、を有しており、上記パッドは、上記主面露出部の少なくとも一部を覆っている。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記主面露出部は、平面視において上記LEDユニットを内包している。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記底面到達部は、平面視において少なくともその一部が上記LEDユニットと重ならない位置にある。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記パッドは、上記主面露出部のすべてを覆っている。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記貫通導体部は、Agからなる。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記パッドは、Auからなる表層を有する。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記底板部の上記底面には、上記貫通導体部と導通する実装電極が形成されている。
【0029】
このような構成によれば、上記LEDユニットからの熱が上記主面露出部および上記底面到達部を介して上記底面側へと伝わりやすい。したがって、上記LEDモジュールの放熱性を高めることができる。
【0030】
また、セラミックスは、熱膨張率が比較的小さいため、熱変形が生じにくい。このため、上記LEDユニットからの発熱量が増加する傾向となる上記LEDモジュールの高輝度化を図った場合であっても、上記ケースが不当に変形してしまうことを抑制することができる。一方、枠状部は、上記LEDユニットからの熱が比較的伝わりにくい。このため、この枠状部を樹脂によって形成しても過大な熱変形は生じにくい。そして、上記枠状部の材料となる樹脂は、セラミックスよりも一般的に反射率が高い。これにより、上記LEDモジュールの高輝度化を図ることができる。
【0031】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールを示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールを示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールを示す要部拡大平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に基づくLEDモジュールを示す底面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に基づくLEDモジュールを示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図7のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に基づくLEDモジュールを示す要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールを示す平面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】図11のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールを示す要部拡大断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールを示す平面図である。
【図16】図15のXVI−XVI線に沿う断面図である。
【図17】図15のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【図18】本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールを示す要部拡大断面図である。
【図19】本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールを示す要部拡大断面図である。
【図20】本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールを示す要部拡大平面図である。
【図21】本発明の第6実施形態に基づくLEDモジュールを示す断面図である。
【図22】本発明の第7実施形態に基づくLEDモジュールを示す断面図である。
【図23】従来のLEDモジュールの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0034】
図1〜図6は、本発明に係るLEDモジュールの一例を示している。本実施形態のLEDモジュールA1は、ケース1、複数のLEDユニット2、ツェナーダイオード3、ワイヤ4、および透光樹脂5(図1においては省略)を備えている。LEDモジュールA1は、比較的高輝度な高出力タイプのLEDモジュールであり、平面視寸法が5mm角程度、厚さが0.9mm程度とされている。
【0035】
ケース1は、本体11、複数のパッド12a,12b、複数のボンディングパッド13a,13b、パッド16、1対の実装電極14a,14b、および複数の貫通導体部15a,15b,15c,15dからなる。
【0036】
本体1は、底板部111および枠状部112を有する。底板部111は、矩形板状でありたとえばアルミナなどの白色のセラミックスからなる。底板部111は、主面11cおよび底面11dを有する。枠状部112は、底板部111の主面11cに接合されており、平面視枠形状である。枠状部112は、白色の樹脂からなる。この樹脂としては、たとえばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、液晶ポリマ(LCP)、ポリフタルアミド(PPA)樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、セラミックスよりも反射率が高い。枠状部112の内向き側面は、リフレクタ11aとされている。リフレクタ11aは、複数のLEDチップ21から図2における左右方向に進行してきた光を反射することにより、図中上方へと向かわせるためのものである。リフレクタ11aは、主面11cの法線と直角である断面の寸法が、主面11cから離間するほど大となるテーパ形状とされている。本実施形態においては、リフレクタ11aには、4つの凹部11bが形成されている。4つの凹部11bは、平面視における断面形状が略三角形状とされており、主面11cに達している。主面11cは、略円形状とされており、リフレクタ11aの下端縁とつながっている。
【0037】
複数のパッド12a,12bは、主面11c側に配置されており、本実施形態においては、3つのパッド12aと3つのパッド12bとが2列に配列されている。12a,12bは、矩形状であり、主面11c側からたとえばNi/Auの順で積層されたメッキ層からなる。表層がAuからなる場合、Au層の厚さは0.1μm程度とされる。
【0038】
複数のボンディングパッド13a,13bは、主面11cに形成されており、本実施形態においては、3つのボンディングパッド13aと3つのボンディングパッド13bとが2列に配列されている。ボンディングパッド13a,13bは、矩形状であり、パッド12a,12bと同様のメッキ構造とされている。ボンディングパッド13a,13bのうち四隅に位置するボンディングパッド13a,13bは、それぞれの1/3程度の部分が、4つの凹部11bにそれぞれ収容された格好となっている。
【0039】
パッド16は、主面11cの比較的端縁寄りに配置されており、パッド12a,12bおよびボンディングパッド13a,13bと同様のメッキ構造とされている。
【0040】
図6に示すように、1対の実装電極14a,14bは、本体11のうちリフレクタ11aおよび主面11cが形成されている側とは反対側の底面11dに形成されており、それぞれが略矩形状とされている。同図において実装電極14aは、実装電極14bよりも顕著に大きく、平面視において複数のLEDチップ21と重なっている。
【0041】
複数の貫通導体部15a,15b,15c,15dは、本体11を貫通しており、たとえばAgまたはWからなる。本実施形態においては、3つの貫通導体部15aは、3つのボンディングパッド13aと実装電極14aとを接続している。また、3つの貫通導体部15bは、3つのパッド12aと実装電極14aとを接続している。また、3つの貫通導体部15cは、3つのパッド12bと実装電極14aとを接続している。そして、1つの貫通導体部15cは、パッド16と実装電極14aとを接続している。さらに、3つの貫通導体部15dは、3つのボンディングパッド13bと実装電極14bとを接続しており、クランク状に形成されている。
【0042】
貫通導体部15b,15cは、主面露出部151b,151cと底面到達部152b,152cとを有している。図2および図3に示すように、主面露出部151b,151cは、主面11c側に露出しており、底板部111の厚さ方向における寸法が比較的小であり、平面視寸法が比較的大である板状部分である。底面到達部152b,152cは、主面露出部151b,151cの底面11d側部分に繋がっており、その下端が底面11dに到達している。底面到達部152b,152cは、底板部111の厚さ方向における寸法が比較的大であり、平面視寸法が比較的小である円柱状部分である。本実施形態においては、主面露出部151b,151cは、平面視寸法がLEDユニット2よりも大であり、平面視においてLEDユニット2を内包している。また、底面到達部152b,152cは、平面視においてLEDユニット2を避けた位置に設けられている。
【0043】
底板部111および貫通導体部15a,15b,15c,15dは、たとえば、セラミックス材料とAg材料またはW材料とを適宜順に積層したものを焼成することにより形成できる。この底板部111に対してメッキを施すことによりパッド12a,12b、ボンディングパッド13a,13bおよび実装電極14a,14bが形成できる。そして、樹脂製の枠状部112を底板部111に接合することにより、ケース1が得られる。
【0044】
本実施形態においては、主面露出部151bの全体がパッド12aによって覆われており、主面露出部151cの全体がパッド12bによって覆われている。また、図4に示すように、主面露出部151bのうち平面視において底面到達部152bと重なる部分は、その上面が若干くぼんだ形状となっている。パッド12aのうちこの部分と重なる部分は、その上面が若干くぼんだ形状となっている。このくぼみは、ケース1の製造工程の焼成工程において、液状となったAg材料またはW材料の液面がくぼんだものが残存していると考えられる。また、パッド12aは、メッキによって形成されるため、貫通導体部15bに生じたくぼみに沿って上面がくぼんだ形状となっている。この点は、主面露出部151cおよび底面到達部152cも同様である。
【0045】
複数のLEDユニット2は、LEDモジュールA1の光源であり、本実施形態においては複数のLEDチップ21からなる。各LEDチップ21は、たとえばGaN系半導体からなるn型半導体層、p型半導体層、およびこれらに挟まれた活性層を有しており、青色光を発する。各LEDチップ21は、パッド12a,12bに対して共晶接合されている。各LEDチップ21の平面視寸法は、パッド12a,12bの平面視寸法よりも小である。すなわち、パッド12a,12bの平面視における外縁は、LEDチップ21の外縁よりもわずかに外側に位置している。本実施形態においては、LEDチップ21は、いわゆる2ワイヤタイプのLEDチップとして構成されている。
【0046】
ツェナーダイオード3は、複数のLEDチップ21に過大な逆電圧が印加されることを防止するためのものであり、一定電圧以上の過大な逆電圧が印加されたときにのみ逆電流を通す機能を果たす。ツェナーダイオード3は、パッド16に対してたとえばAgペーストを介して接合されている。
【0047】
複数のワイヤ4は、たとえばAuからなり、その一端がボンディングパッド13a,13bにボンディングされており、その他端がLEDチップ21またはツェナーダイオード3にボンディングされている。
【0048】
透光樹脂5は、リフレクタ11aおよび主面11cによって囲まれた領域に充填されており、複数のLEDチップ21、ツェナーダイオード3、および複数のワイヤ4を覆っている。透光樹脂5は、たとえば透明なシリコーン樹脂に蛍光体物質が混入された材料からなる。上記蛍光体物質は、たとえばLEDチップ21からの青色光によって励起されることにより黄色光を発する。この黄色光とLEDチップ21からの青色光とが混色することにより、LEDモジュールA1からは白色光が出射される。なお、上記蛍光体物質に代えて青色光によって励起されることにより赤色光を発する蛍光体物質と緑色光を発する蛍光体物質とを用いてもよい。
【0049】
次に、LEDモジュールA1の作用について説明する。
【0050】
本実施形態によれば、LEDユニット2は、パッド12a,12bを介して主面露出部151b,151cによって支持されている。このため、LEDユニット2からの熱が主面露出部151b,151cおよび底面到達部152b,152cを介して底面11d側へと伝わりやすい。したがって、LEDモジュールA1の放熱性を高めることができる。
【0051】
図4に示すように、底面到達部152b,152cは、主面露出部151b,151cにくぼみを生じさせる原因となりやすい。このくぼみにより、パッド12a,12bの表面がくぼんだ形状となることが多い。底面露出部152b,152cが平面視においてLEDユニット2から避けた位置に設けられていることにより、パッド12a,12bのくぼみをLEDユニット2が覆う関係とはならない。これにより、LEDユニット2とパッド12a,12bとの間に隙間が生じてしまうことを回避することができる。
【0052】
主面露出部151b,151cは、底面到達部152b,152cと比較して平面視寸法が大である。このため、顕著なくぼみを生じさせにくい。主面露出部151b,151cが平面視においてLEDユニット2を内包するサイズおよび位置とされていることにより、パッド12a,12bのうちLEDユニット2と重なる部分はその表面が平坦な形状となっている。これにより、LEDユニット2を安定して搭載することができる。
【0053】
セラミックスからなる底板部111は、熱膨張率が比較的小さいため、熱変形が生じにくい。このため、LEDユニット2からの発熱量が増加する傾向となるLEDモジュールA1の高輝度化を図った場合であっても、ケース1が不当に変形してしまうことを抑制することができる。枠状部112は、LEDユニット2からの熱が比較的伝わりにくい。このため、この枠状部112を樹脂によって形成しても過大な熱変形は生じにくい。そして、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、液晶ポリマ(LCP)、ポリフタルアミド(PPA)樹脂に代表される枠状部112の材料となる白色樹脂は、アルミナなどのセラミックスよりも反射率が高い。これにより、LEDモジュールA1の高輝度化を図ることができる。
【0054】
図7〜図22は、本発明の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0055】
図7〜図10は、本発明の第2実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュールA2は、LEDユニット2の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、LEDユニット2は、LEDチップ21およびサブマウント基板22によって構成されている。
【0056】
サブマウント基板22は、たとえばSiからなり、LEDチップ21がマウントされている。サブマウント基板22には、配線パターンが形成されている。この配線パターンは、LEDチップ21の電極(図示略)に導通するとともに、LEDチップ21によって覆われていない領域に延びている部分を有する。本実施形態においては、この配線パターンにワイヤ4がボンディングされている。図10に示すように、サブマウント基板22は、たとえばAgペースト17によってパッド12a,12bに対して接合されている。この接合は、共晶接合によって行ってもよい。
【0057】
主面露出部151b,151cの平面視寸法は、サブマウント基板22の平面視寸法よりも大とされており、主面露出部151b,151cの平面視における外縁は、サブマウント基板22の外縁よりもわずかに外側に位置している。
【0058】
このような実施形態によっても、LEDモジュールA2の放熱性の向上と高輝度化とを図ることができる。
【0059】
図11〜図14は、本発明の第3実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュールA3は、LEDユニット2の構成が上述したいずれの実施形態と異なっている。本実施形態においては、LEDユニット2は、LEDチップ21のみからなり、いわゆる1ワイヤタイプのLEDユニットとして構成されている。また、LEDモジュールA1,A2においてケース1に備えられていたボンディングパッド13aおよび貫通導体部15aは、LEDユニット2が1ワイヤタイプであることに伴って備えられていない。
【0060】
本実施形態においては、LEDチップ21の上面および下面に電極(図示略)が形成されている。上面に形成された電極には、ワイヤ4がボンディングされている。下面に形成された電極は、パッド12a,12bに対してたとえば共晶接合によって接合されている。
【0061】
主面露出部151b,151cの平面視寸法は、LEDチップ21の平面視寸法よりも大とされており、主面露出部151b,151cの平面視における外縁は、LEDチップ21の外縁よりもわずかに外側に位置している。
【0062】
このような実施形態によっても、LEDモジュールA3の放熱性の向上と高輝度化とを図ることができる。
【0063】
図15〜図18は、本発明の第4実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュールA4は、LEDユニット2の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、LEDユニット2は、LEDチップ21およびサブマウント基板22からなり、いわゆる1ワイヤタイプのLEDユニットとして構成されている。
【0064】
サブマウント基板22は、たとえばSiからなり、LEDチップ21がマウントされている。サブマウント基板22には、絶縁膜を介して配線パターンが形成されている。この配線パターンは、LEDチップ21の電極(図示略)に導通するとともに、LEDチップ21によって覆われていない領域に延びている部分を有する。本実施形態においては、この配線パターンにワイヤ4がボンディングされている。また、サブマウント基板22は、たとえばドーピング処理により導通体とされている。LEDチップ21の他の電極(図示略)は、サブマウント基板22に接しており、導通している。サブマウント基板22は、たとえばAgペースト17によってパッド12a,12bに対して接合されている。この接合は、共晶接合によって行ってもよい。
【0065】
本実施形態においても、主面露出部151b,151cの平面視寸法は、サブマウント基板22の平面視寸法よりも大とされており、主面露出部151b,151cの平面視における外縁は、サブマウント基板22の外縁よりもわずかに外側に位置している。
【0066】
このような実施形態によっても、LEDモジュールA4の放熱性の向上と高輝度化とを図ることができる。
【0067】
図19および図20は、本発明の第5実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュールA5は、LEDユニット2の構成が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、LEDユニット2は、LEDチップ21のみによって構成されている。LEDチップ21は、下面に2つの電極を有する、いわゆるフリップチップタイプのLEDチップとして構成されている。
【0068】
LEDチップ21は、パッド12a,12bにボンディングされている。パッド12aは、貫通導体部15bの主面露出部151bを覆っており、パッド12bは、貫通導体部15cの主面露出部151cを覆っている。主面露出部151b,151cは、平面視においてLEDモジュール2と重なる部分をそれぞれ有している。
【0069】
このような実施形態によっても、LEDモジュールA5の放熱性の向上と高輝度化とを図ることができる。
【0070】
図21は、本発明の第6実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュールA6は、本体11がセラミックスによって一体的に形成されている点が、上述したLEDモジュールA1と異なっており、これ以外の点はLEDモジュールA1と同様である。
【0071】
このような実施形態によっても、LEDモジュールA6の放熱性の向上を図ることができる。
【0072】
図22は、本発明の第7実施形態に基づくLEDモジュールを示している。本実施形態のLEDモジュールA7は、貫通導体部15b,15cが、全体的に円柱形状とされている点が、上述したLEDモジュールA1と異なっており、これ以外の点はLEDモジュールA1と同様である。貫通導体部15cは、平面視においてLEDモジュール2を避けた位置に設けられており、その上面がパッド12bと接している。
【0073】
このような実施形態によっても、LEDモジュールA7の高輝度化とを図ることができる。
【0074】
本発明に係るLEDモジュールは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLEDモジュールの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0075】
A1,A2,A3,A4,A5,A6,A7 LEDモジュール
1 ケース
11 本体
111 底板部
112 枠状部
11a リフレクタ
11b 凹部
11c 主面
11d 底面
12a,12b パッド
13a,13b ボンディングパッド
14a,14b 実装電極
15a,15b,15c,15d 貫通導体部
151b,151c 主面露出部
152b,152c 底面到達部
16 パッド
2 LEDユニット
21 LEDチップ
22 サブマウント基板
3 ツェナーダイオード
4 ワイヤ
5 透光樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のLEDチップを具備するLEDユニットを備えるLEDモジュールであって、
互いに反対側を向く主面および底面を有しセラミックスからなる底板部、を含む本体と、上記底板部を貫通する貫通導体部と、上記貫通導体部に導通し、上記主面に形成されており、かつ上記LEDユニットを搭載するための1以上のパッドと、を有するケースをさらに備えており、
上記貫通導体部は、上記主面側に露出し、かつ平面視において上記LEDユニットと重なる主面露出部と、上記主面露出部に繋がり、上記底面に到達し、かつ平面視において上記LEDユニットとは重ならない位置に設けられた底面到達部と、を有しており、
上記パッドは、上記主面露出部の少なくとも一部を覆っていることを特徴とする、LEDモジュール。
【請求項2】
上記主面露出部は、平面視において上記LEDユニットを内包している、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項3】
上記底面到達部は、平面視において少なくともその一部が上記LEDユニットと重ならない位置にある、請求項1または2に記載のLEDモジュール。
【請求項4】
上記パッドは、上記主面露出部のすべてを覆っている、請求項1ないし3のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項5】
上記貫通導体部は、Agからなる、請求項1ないし4のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項6】
上記パッドは、Auからなる表層を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項7】
上記底板部の上記底面には、上記貫通導体部と導通する実装電極が形成されている、請求項1ないし6のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項8】
上記本体は、上記主面に接合され上記LEDユニットを囲み、かつ樹脂からなる枠状部をさらに含む、請求項1ないし7のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項9】
上記枠状部は、上記LEDユニットを囲む内向き側面であるリフレクタを有する、請求項8に記載のLEDモジュール。
【請求項10】
上記リフレクタは、上記主面の法線に対して直角である断面の寸法が、上記主面から離間するほど大となっている、請求項9に記載のLEDモジュール。
【請求項11】
上記枠状部に囲まれた領域に充てんされており、上記LEDユニットを覆い、かつ、上記LEDユニットからの光を透過する樹脂材料と、上記LEDユニットからの光によって励起されることにより上記LEDユニットからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料と、からなる透光樹脂をさらに備える、請求項8ないし10のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項12】
1以上のLEDチップを具備するLEDユニットを備えるLEDモジュールであって、
上記LEDユニットを搭載するための1以上のパッドと、上記パッドが形成された主面およびこの主面と反対側を向く底面を有する底板部、および上記主面に接合され上記LEDユニットを囲む枠状部、を含む本体と、を有するケースをさらに備えており、
上記底板部は、セラミックスからなり、
上記枠状部は、樹脂からなることを特徴とする、LEDモジュール。
【請求項13】
上記枠状部は、上記LEDユニットを囲む内向き側面であるリフレクタを有する、請求項12に記載のLEDモジュール。
【請求項14】
上記リフレクタは、上記主面の法線に対して直角である断面の寸法が、上記主面から離間するほど大となっている、請求項13に記載のLEDモジュール。
【請求項15】
上記枠状部に囲まれた領域に充てんされており、上記LEDユニットを覆い、かつ、上記LEDユニットからの光を透過する樹脂材料と、上記LEDユニットからの光によって励起されることにより上記LEDユニットからの光とは異なる波長の光を発する蛍光材料と、からなる透光樹脂をさらに備える、請求項12ないし14のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項16】
上記ケースは、上記パッドに導通し、上記底板部を貫通する貫通導体部をさらに有しており、
上記貫通導体部は、上記主面側に露出し、かつ平面視において上記LEDユニットと重なる主面露出部と、上記主面露出部に繋がり、上記底面に到達し、かつ平面視において上記LEDユニットとは重ならない位置に設けられた底面到達部と、を有しており、
上記パッドは、上記主面露出部の少なくとも一部を覆っている、請求項12ないし15のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項17】
上記主面露出部は、平面視において上記LEDユニットを内包している、請求項16に記載のLEDモジュール。
【請求項18】
上記底面到達部は、平面視において少なくともその一部が上記LEDユニットと重ならない位置にある、請求項16または17に記載のLEDモジュール。
【請求項19】
上記パッドは、上記主面露出部のすべてを覆っている、請求項16ないし18のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項20】
上記貫通導体部は、Agからなる、請求項16ないし19のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項21】
上記パッドは、Auからなる表層を有する、請求項16ないし20のいずれかに記載のLEDモジュール。
【請求項22】
上記底板部の上記底面には、上記貫通導体部と導通する実装電極が形成されている、請求項16ないし21のいずれかに記載のLEDモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−238633(P2012−238633A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104923(P2011−104923)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】