説明

LED灯具

【課題】照明の照度確保と、LEDの発熱軽減とを両立することができるLED灯具を提供する。
【解決手段】舟形LED灯具1の本体部分をレンズ部材2により構成し、光源であるLED3からの照射光をレンズ部材2に通して拡散し、この光を照明として照射する。LED灯具1に発熱対策と照度不足対策とを施す。発熱対策として、例えばレンズ部材2の側壁5a,5bに放熱孔22,23を設けたり、LED3の基板11をアルミ材としたり、基板11に銅棒28,29を取り付けたり、抵抗14,15を空中配線構造としたりする。照度不足対策としては、レンズ部材2のレンズ部16の曲率を大きく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源にLEDを使用したLED灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、長寿命という利点から光源としてLED(Light Emitting Diode)が広く使用される傾向にある。この照明具の一種には、例えば図26に示すような舟形のLED灯具81(特許文献1〜3等参照)がある。この舟形のLED灯具81は、例えば車両のルームランプ等に使用されている。
【0003】
LED灯具81において円筒状のケース本体82の両端には、ケース本体82と略同径の一対の口金83,83が電気接続端子として設けられている。ケース本体82において上面82a(光照射面側)には、大きく開く開口穴82bが形成され、この開口穴82bに光源として複数のLED84,84…が並び配置されている。そして、一対の口金83,83の間に電位差が生じるとLED84,84…が点灯し、開口穴82bから引き出されたLED84,84…の光によって周囲を照明する。
【0004】
ところで、LED84の光には指向性があるため、LED84では特定の地点をスポット的に照明することしかできない。よって、図26に示すLED灯具81で、車内を広範囲に亘り照明するには、例えば開口穴82bにレンズを取り付け、レンズの光拡散効果を利用して、LED84の光を広範囲に広げる方式が想定される。こうすれば、光源としてLED84を使用しても、車内全域を広く照明することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】意匠登録第1316788号公報
【特許文献2】実用新案登録第3134384号公報
【特許文献3】特開2007−331697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、開口穴82bをレンズで閉じると、レンズによって閉じられた密閉空間にLED84が配置されることになる。よって、LED84が長時間に亘り点灯して熱を持つと、この熱が密閉空間に溜まり、LED84又は周囲の電子部品が発熱する状況に陥る。LED84には、熱を持つと照度(照明の明るさ)が落ちる特性があるので、レンズを取り付けて照明範囲を広げようとした場合、これに背反して、レンズにより閉じられた空間に溜まる熱でLED84が発熱し、これが照度低下の懸念に繋がる。
【0007】
本発明の目的は、照明の照度確保と、LEDの発熱軽減とを両立することができるLED灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、両端に一対の給電端子を有する本体部に光源としてLEDが取り付けられ、当該LEDの照射光によって周囲を照明するLED灯具において、前記LEDの照射光を広範囲に広げて前記本体部の外部に放射するレンズと、 前記LED点灯時に灯具に発生する熱を放熱する放熱手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、LEDの光を広範囲に広げて放射するレンズを設けたので、LEDという光に指向性がある光源を使用しても、広範囲に亘り光を照明することが可能となる。よって、照明照度が確保され、より明るい照明が可能となる。また、灯具にレンズを設けると、灯具に発生する熱がレンズによって遮られて熱の逃げ場がなくなり、LEDが発熱して照度が低下する可能性がある。しかし、本構成では、LED点灯時の発生熱を放熱する放熱手段を設けたので、発生熱が灯具内に留まらず、LED発熱が抑制される。よって、熱による負荷がLEDにかからずに済むので、発熱を要因とするLEDの照度低下も生じ難い。
【0010】
本発明では、前記レンズは、前記本体部と一体の透明材により形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、レンズを本体部との一体部品としたので、取り扱う部品点数が少なく済み、部品の組付工数も削減可能となる。
【0011】
本発明では、前記放熱手段は、前記LEDの基板として設けられたアルミ製基材であることを要旨とする。
この構成によれば、LED点灯時に基板上の電子部品(LED含む)が発熱すると、発生熱がアルミ製基板によって放熱される。このため、LEDの基板の一部材によって発生熱を放熱することが可能となるので、部品点数を増やすことなくLED放熱が可能となる。
【0012】
本発明では、前記放熱手段は、前記LEDの基板に取り付けられた放熱用金属材であることを要旨とする。
この構成によれば、LED点灯時に基板上の電子部品(LED含む)が発熱すると、発生熱が放熱用金属材によって基板から逃がされる。このため、放熱用金属材という外気に触れる金属材によって発生熱を放熱することが可能となるので、LED放熱をより効率よく行うことが可能となる。
【0013】
本発明では、前記放熱手段は、前記本体部において前記LEDを収納する収納空間を外部に導通する放熱孔であることを要旨とする。
この構成によれば、LED点灯時に基板上の電子部品(LED含む)が発熱すると、発生熱が放熱孔から本体部の外部に逃がされる。このため、発生熱を本体部の外部に放出するという放熱効率の高い形式によって、LED放熱を行うことが可能となる。
【0014】
本発明では、前記放熱手段は、前記LEDの点灯回路の素子を、基板から浮かして配線する空中配線構造であることを要旨とする。
この構成によれば、LED点灯時に素子が発熱しても、素子は空中配線構造をとるので、素子の熱が基板に至り難くなる。よって、素子の発生熱が結果としてLEDに至り難くので、LED発熱を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明では、前記レンズの形状を加工して前記LEDの照射光をより広範囲に拡散させることにより、照明の照度を高く設定する照度確保手段を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、レンズ形状に加工を施すことでレンズに照度確保手段を設けたので、LEDの光を照度確保手段によって高い照度で照明することが可能となる。よって、照明が照度不足に陥り難くなり、高い照明照度を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、照明の照度確保と、LEDの発熱軽減とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の舟形LED灯具の外観を示し、(a)が表側から見た斜視図、(b)が裏側から見た斜視図。
【図2】LED灯具の部品構造を示す分解斜視図。
【図3】LED灯具の外観詳細を示し、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が左側面図、(d)が正面図、(e)が右側面図、(f)が裏面図。
【図4】アッパーケースにおけるレンズ部の形状を示す模式図。
【図5】(a),(b)は、レンズ部における光の拡散原理を示す説明図。
【図6】LED灯具が取付状態において軸回転し難くなっていること示す説明図。
【図7】LED灯具の基板構造を示す断面図。
【図8】銅棒が取り付けられた基板を示し、(a)が側面図、(b)が裏面から見た斜視図。
【図9】口金の内部構造を示す縦断面図。
【図10】LED灯具の点灯回路の回路図。
【図11】LED灯具の変形例を示し、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が左側面図、(d)が正面図、(e)が右側面図、(f)が裏面図。
【図12】LED灯具の他の変形例を示す斜視図。
【図13】LED灯具の他の変形例を示す斜視図。
【図14】LED灯具の他の変形例を示し、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が左側面図、(d)が正面図、(e)が右側面図、(f)が裏面図。
【図15】LED灯具の他の変形例を示し、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が左側面図、(d)が正面図、(e)が右側面図、(f)が裏面図。
【図16】LED灯具の他の変形例を示し、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が左側面図、(d)が正面図、(e)が右側面図、(f)が裏面図。
【図17】LED灯具の他の変形例を示し、(a)が平面図、(b)が背面図、(c)が左側面図、(d)が正面図、(e)が右側面図、(f)が裏面図。
【図18】第2実施形態のウェッジ型LED灯具の外観を示す斜視図。
【図19】LED灯具の部品構造を示す分解斜視図。
【図20】LED灯具の内部構造を示す縦断面図。
【図21】別例における基板構造を示す斜視図。
【図22】(a)〜(c)は他の別例におけるLED灯具の側壁部分を示す斜視図。
【図23】他の別例におけるアッパーケースの斜面部付近の構造を示す模式図。
【図24】他の別例における基板上面の部品配置形状を示す平面図。
【図25】他の別例における放熱孔の形状を示す模式図。
【図26】第2実施形態のウェッジ型LED灯具の別例を示し、(a)が正面図、(b)が平面図。
【図27】第2実施形態のウェッジ型LED灯具の別例を示し、(a)及び(b)が図26(b)に示す断面の断面図、(c)が(a)及び(b)のC方向から見た基板の図。
【図28】従来のLED灯具の外観を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明を車内のルームランプに具体化したLED灯具の第1実施形態を図1〜図17に従って説明する。
【0019】
図1〜図3に示すように、舟形のLED灯具1には、LED灯具1の本体部分(ケース)として透明のレンズ部材2が設けられている。レンズ部材2は、透明樹脂(透明材)により形成されるとともに略直方体形状をなし、光源であるLED3からの光を拡散して広範囲に照射することが可能である。レンズ部材2は、LED灯具1のレンズ及び外枠ケースを構成する部品である。なお、レンズ部材2が本体部を構成する。
【0020】
レンズ部材2は、アッパーケース4とロアケース5との2部品からなるとともに、アッパーケース4及びロアケース5を上下方向で組み付けることにより一部品に形成されている。LED灯具1は、車体天井に対してアッパーケース4が下に位置する向き(図1(b)の状態)に取り付けられるとともに、下側に位置するLED3から光を下方に照射することによって、車内を照明する。
【0021】
レンズ部材2の灯具長さ方向(図1のY軸方向)の両端には、一対の円筒状の口金6,7が取り付けられている。口金6,7は、LED灯具1の電気接続端子である。図2に示すように、アッパーケース4の両端には、一対の半円弧状の取付片8,8が延設されている。また、ロアケース5の両端にも、一対の半円弧状の取付片9,9が延設されている。そして、アッパーケース4とロアケース5と組み付けると、互いに組み合う取付片8,8と9,9との各組がそれぞれ筒状となり、この筒部分が口金6,7に係入されることによって、レンズ部材2に口金6,7が組み付けられている。なお、口金6,7が給電端子を構成する。
【0022】
図2に示すように、レンズ部材2の内部には、LED灯具1の電子部品を収納するための部品収納部10が形成されている。部品収納部10は、アッパーケース4の内部の凹みと、ロアケース5の内部の凹みとから形成され、アッパーケース4及びロアケース5の内壁に囲まれた空間から形成されている。なお、部品収納部10が収納空間を構成する。
【0023】
レンズ部材2の部品収納部10には、LED灯具1の基板11が収納されている。基板11には、LED灯具1の点灯回路12が実装されている。この場合、基板11の表面(装面)11aには、LED灯具1の光源として複数のLED(Light Emitting Diode)
3,3…が実装されている。これらLED3,3…は、灯具幅方向(図2のX軸方向)及び灯具長さ方向Yに沿って計9個が格子状に配列されている。また、図1に示すように、基板11の裏面11bには、複数の抵抗14,15が実装されている。基板11は、組み付けの際、ロアケース5の取付片9,9に形成された係止溝9a,9aによって位置決めされる。なお、抵抗14,15が点灯回路の素子を構成する。
【0024】
また、本例の場合、基板11には、LED3に流される電流を一定とする定電流素子13が実装されている。ところで、自動車などのバッテリー電源では、電源電圧の変動が大きく、電圧によって、明るさが変化する問題がある。本例のように定電流素子13を搭載すれば、供給する電源の電圧変動があっても、この電流値を一定に保持することが可能となり、安定した照明が可能である。なお、定電流素子13が点灯回路の素子を構成する。
【0025】
図4、図5に示すように、アッパーケース4において上壁4aの内面には、上壁4aをレンズ部16として機能させる円弧状突部17が突設されている。ところで、この種のレンズ部16では、図5に示すように、LED3からの照射光が円弧状突部17に入射すると、一部は反射してLED3側に戻るが、残りが角度を変えて円弧状突部17内に入射する。そして、この光がレンズ部16の上面に至ると、ここでも一部は反射するが、残りが更に角度を変えてレンズ部16の外部に出射し、これが照明光となる。なお、レンズ部16がレンズを構成し、円弧状突部17が照度確保手段を構成する。
【0026】
よって、レンズ部16は、LED3からの照射光を入射すると、入射光を拡散効果によって散らすことで、LED3の光を広範囲に照射させる。このため、LED3の照射光に指向性があっても、レンズ部16によって光が広範囲化されるので、LED灯具1の照度が確保され、車内全域が明るく照明される。
【0027】
また、この種のレンズ部16は、図5に示すように、円弧状突部17の曲率に応じて光拡散効果が決まる。つまり、円弧状突部17の曲率が小さい(図5(a)の状態)と、光拡散効果があまり得られず、照明範囲は狭くなってしまう。一方、円弧状突部17の曲率が大きい(図5(b)の状態)と、光拡散効果が大きくなって、照明範囲を広くとれる。よって、本例の場合、通常(図4の破線)よりも曲率を大きくする(図4の実線)ことによって、レンズ部16の光拡散効果を高めている。
【0028】
図4に示すように、アッパーケース4の4つの側壁4b〜4eの内面には、外部からLED灯具1を見たときの意匠性を確保するレンズカット部18が設けられている。レンズカット部18は、灯具高さ方向(図1や図2のZ軸方向)に沿って複数の溝19を切ることによって形成されている。レンズカット部18は、この溝19と突20とが交互に並ぶ形状によって形成されている。このレンズカット部18によって、側壁4b〜4eの外面からは内部にある部品が見えないようになっており、意匠性が確保されている。また、上述のように、円弧状突部17で反射された一部の光が、側壁4b〜4eから外側に向かって照射される際に、このレンズカット部18の光の拡散効果によって側壁周囲に亘って一様に光が照射される。
【0029】
図2に示すように、基板11の灯具長さ方向Yの両端には、基板本体11cから所定量だけ飛び出した一対の突出片11d,11dが突設されている。レンズ部材2に対する組付け状態の際、基板11は、これら突出片11d,11dが口金6,7の内部に入り込
む組み付け位置関係をとる。突出片11d,11dのそれぞれの先端には、配線用の接続端子21,21が設けられ、これらが各々の口金6,7に電気接続される。
【0030】
図1〜図3に示すように、ロアケース5において灯具幅方向Xの一対の側壁5a,5bは、LED点灯時にLED灯具1に発生する熱を外部に逃がす一対の放熱孔22,23が形成されている。LED3が点灯すると、LED3やその周辺の電子部品から熱が発生するため、この発生熱を放熱孔22,23からレンズ部材2の外部に放出する。放熱孔22,23は、ロアケース5の端縁を切り欠くことによって形成され、ロアケース5の切欠部分とアッパーケース4の端縁とで囲まれる領域によって形成される。放熱孔22,23は、側壁5a,5bにおいて灯具長さ方向Yの一帯に亘り形成されている。なお、放熱孔22,23が放熱手段を構成する。
【0031】
ところで、本例の場合、アッパーケース4及びロアケース5によって囲まれる略密閉の部品収納部10に基板11(LED3や各素子13〜15)が収納される。このため、LED3や各素子13〜15から発生した熱が、ケース内の空気に伝わり、内部の空気温度が上昇する。空気は、熱伝導性のよい金属と比較すると、熱伝導率が小さく比熱が大きいために、一旦熱を保有すると、この熱が長時間に亘り残り、LED3の温度上昇の助長に繋がる。よって、本例の場合は、レンズ部材2の側面に放熱孔22,23を設け、この放熱孔22,23を介して内部の空気と外部の空気とが交互に入れ替わるようにすることによってケース内の熱を外部に逃がす、いわゆる対流放熱によって、温度の高い空気がケース内に残らないようにする。
【0032】
ロアケース5の上面において灯具幅方向Xの両側には、外側に向かうに従い面が下がっていく一対の斜面部24が形成されている。ロアケース5に斜面部24を設けるのは、ロアケース5の重量を減らして、LED灯具1の重心をより低い位置に設定するためである。よって、LED灯具1を車体に取り付けた後に、図6に示すように、LED灯具1が口金6(7)の軸L回りに沿って回動し難くなるので、取り付け後の位置決め状態が確保される。また、ロアケース5の重量は、ロアケース5にのみ放熱孔22,23や斜面部24を形成することにより、アッパーケース4の重量よりも軽量に形成されている。
【0033】
図7に示すように、基板11は、複数の部材を何重にも重ねた多層構造をとっている。本例の場合、例えばアルミ製基材25を中央に置いて、その両側に絶縁層26,26が被膜され、これら絶縁層26,26の表面に配線パターン(銅線)27,27がそれぞれ形成されている。基板11の基材にアルミ製基材25を使用するのは、LED点灯時にLED3や各素子13〜15に発生する熱をアルミ製基材25に逃がす、いわゆる熱伝導によって、LED3の温度上昇を抑制するためである。なお、アルミ製基材25が放熱手段を構成する。
【0034】
図8に示すように、基板11の裏面には、LED点灯時の発生熱を放熱するための一対の銅棒28,29が取り付けられている。本例の場合、図8(a)の紙面左側を28とし、紙面右側を29とする。銅棒28は、基板11上の電子部品と電気接触しないように絶縁層30を介して基板11に固定され、その反対側が口金6に各々接続されている。また、銅棒29も同様に、絶縁層31を介して基板11に固定され、その反対側が口金7に接続されている。
【0035】
銅棒28,29は、LED3や各素子13〜15で発生する熱を熱伝導によって口金6,7から外部に放出する。また、銅棒28,29は、その周辺に存在する空気によって冷却される。つまり、ケース内部の空気が銅棒28,29から受け取った熱は、上述のように、放熱孔22,23を介して対流放熱によって放熱することが可能となる。なお、銅棒28,29が放熱手段(放熱用金属材)を構成する。
【0036】
図9に示すように、基板11の抵抗14,15は、基板11から所定間隔を持って浮いた状態で基板11に接続された空中配線構造をとっている。抵抗14(15)は、基板11において外寄りの位置、つまり突出片11dの近傍位置に配置され、一端が基板11の裏面11bに接続され、他端が接続端子21に接続されている。このため、LED点灯時に抵抗14(15)が熱を持っても、基板11と抵抗14(15)とが接していない(基板11と抵抗14(15)の間に空気が介在している)ために熱伝導によって熱が伝わり難くなる。また、抵抗14で発生した熱は、基板11と抵抗14(15)の間に介在している空気によって冷却され、さらにその空気に伝わった熱は、上述のように対流放熱によって放熱される。なお、抵抗14,15だけでなく、定電流素子13を空中配線構造としてもよい。
【0037】
また、基板11には、LED3や素子13〜15等の発熱部材が取り付くために、口金6(7)に比べて温度が高い。よって、各素子13〜15を口金6(7)と基板11との間に接続した際、各素子13〜15の発生熱は温度の低い方に流れるため、各素子13〜15の発生熱は基板11側ではなく口金6(7)側に逃げる。よって、単なる空中配線構造のみならず、各素子13〜15の発生熱が口金6(7)に逃げるという熱伝導によっても、LED3の温度上昇を抑制することが可能である。
【0038】
図10に示すように、LED灯具1の点灯回路12には、複数のダイオード(図示略)をブリッジ状に組んだブリッジ回路32が設けられている。ブリッジ回路32は、LED灯具1を左右反対に車体に組み付けても、電位の+−逆取り付けを許容するものである。LED3,3…は、直列接続された3つのLED3を1つの組として、これら組が並列接続されている。ブリッジ回路32は、4端子のうちの2端子が車両バッテリ(図示略)に接続され、残りの2端子がLED群及び抵抗群の直列回路に接続されている。
【0039】
さて、本例の場合、アッパーケース4にレンズ部16を設け、LED3の光をレンズ部16により拡散することによって、LED3の照射光を照明として外部放射する。よって、LED3の光には指向性があるが、LED3の光をレンズ部16に通して外部放出することにより、LED3の照射光を広範囲に広がった光として照明することが可能となる。このため、車内全域を明るく照らし出すことが可能となる。
【0040】
ところで、アッパーケース4にレンズ部16を設け、かつレンズ部材2の側壁4b〜4eで基板11の周囲を覆うと、レンズ部材2において基板11を収納する部品収納部10が密閉された空間となってしまう。よって、LED点灯時にLED3やその周辺の電子部品が発熱すると、熱の逃げ場がなく、密閉空間に溜まり、LED3の発熱が助長される。LED3には、温度が上がると照度が落ちる特性があるので、基板11の収納空間が密閉の場合には、この密閉空間に溜まる熱によって、照度が低下する懸念がある。
【0041】
しかし、本例の場合は、LED点灯時にLED灯具1に発生する熱をレンズ部材2の外部に逃がすために、レンズ部材2の側壁5a,5bに放熱孔22,23を形成したり、基板11をアルミ製基材25により形成したり、基板11に銅棒28,29を取り付けたり、抵抗14,15を空中配線構造としたりする。このため、LED3やその周辺の電子部品に発生した熱が、効果的に部品収納部10の外部に逃がされるので、LED3の発熱が抑制される。よって、LED3の照度が明るい状態で確保される。
【0042】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)LED灯具1の本体部分をレンズ部材2により形成し、LED灯具1の点灯時には、LED3の照射光をレンズ部材2のレンズ部16に通して拡散させた後、この光を照明として拡散して車内に照射する。このため、LED3の光には指向性があるが、レンズ部16を通すことで広範囲に広がる光として照射することが可能となるので、LED灯具1の照度を高くすることができる。ところで、LED3の光照射経路上にレンズ部16を配置し、その周囲をアッパーケース4の側壁4b〜4eで囲うと、LED灯具1の部品収納部10は略密閉空間となって点灯時の発生熱が部品収納部10に溜まり、この熱でLED3が発熱し易くなる。しかし、本例の場合には、放熱孔22,23、アルミ製基板、銅棒28,29、空中配線構造などの発熱対策を施したので、LED3の発熱を軽減することもできる。よって、LED灯具1の照度確保と、LED3の発熱軽減とを両立することができる。
【0043】
(2)LED灯具1の本体ケース自体をレンズ部材2により形成したので、LED灯具1のケースとレンズとを一体化することが可能となる。よって、取り扱う部品が少なくすみ、部品の組付工数も削減することができる。
【0044】
(3)発熱対策として基板11をアルミ製基板とした場合、基板11の一部材によってLED3(周辺の素子も含む)の発生熱を放熱することが可能となるので、部品点数を増やすことなくLED3を放熱することができる。
【0045】
(4)発熱対策として基板11に銅棒28,29を取り付けた場合、銅棒28,29という外気に触れる金属体によってLED3(周辺の素子も含む)の発生熱を放熱することが可能となるので、LED放熱をより効率よく行うことができる。また、銅棒28,29は、基板11上の電子部品と電気接触しないように絶縁層30を介して基板11に固定され、その反対側が口金6,7に各々接続されているため、LED3(周辺の素子も含む)の発生熱は、熱伝導によって口金6,7に伝えられ放熱される。
【0046】
(5)発熱対策としてレンズ部材2に放熱孔22,23を形成した場合、LED点灯時に部品収納部10に溜まった熱を、LED灯具1の外部に放出することが可能となる。よって、発生熱を灯具外に放出するという放熱効率の高い形式(対流放熱)によって、LED放熱を行うことができる。
【0047】
(6)発熱対策として空中配線構造を使用した場合、LED点灯時に抵抗14,15が発熱しても、この熱が基板11、ひいてはLED3に至り難くなる。よって、抵抗14,15に生じた熱が結果としてLED3に至り難くなるので、LED3をより発熱し難くすることができる。
【0048】
(7)照度不足対策として、レンズ部16の円弧状突部17の曲率を大きく設定したので、LED3の光をより広範囲に拡散することができる。よって、LED灯具1の照明が照度不足とならずに済み、高い照明照度を確保することができる。
【0049】
(8)LED3に大電流を流してLED3を高い照度で照明させる場合、LED灯具1に定電流素子13を搭載すれば、電流値が一定に抑えられ、安定した照明が可能である。しかし、これに相反して定電流IC13は熱を持ち易く、定電流IC13の熱がLED3に悪影響を与えないとも言えない。そこで、本例のような発熱対策を講じれば、定電流IC13が積極的に放熱されるので、定電流素子13を搭載してもその熱がLED3に至り難いという点で、非常に有益であると言える。
【0050】
(9)LEDへの電流制限を抵抗14,15のみとした場合、電源電圧に比例してLED3に流れる電流が増えるため、高照度でLED3を点灯させようとすると、LED自体の発熱が大きくなる。また、抵抗14,15自体に流れる電流も増加するので、抵抗自体の発熱も増加し、LED3の温度上昇が顕著になる。しかし、定電流素子13の場合には、電源電圧が高くなってもLED3に流れる電流は一定のため、LED3の発熱も一定となり、電源電圧変動に対して発熱が抑えられることになる。
【0051】
(10)ロアケース5に放熱孔22,23及び斜面部24の両方を設けたので、ロアケース5の重量をより減らせることになる。よって、LED灯具1を車体に取り付けた際の重心をより安定させることが可能となるので、取り付け状態においてLED灯具1を軸O回りに沿って一層回転し難くすることができる。
【0052】
なお、舟形LED灯具1は上記構成に限らず、変形例を以下に列記する。
・図11に示すように、レンズ部16の表面に、半円状の突部41を形成してもよい。また、レンズ部16の灯具幅方向Xの両側に、LED3の光を外部に引き出すための一対の逃げ部42,42を形成してもよい。さらに、レンズ部材2の上壁4aを、口金6,7よりも低く形成してもよい。
【0053】
・図12に示すように、図11の形状のLED灯具1においてLED3を複数配置してもよい。図12は、2つのLED3,3を灯具幅方向X(横向き)に並び配置した例である。
【0054】
・図13に示すように、図11の形状のLED灯具1においてLED3を複数配置する場合、LED3を灯具長さ方向Y(縦向き)に配置してもよい。
・図14に示すように、図11の形状のLED灯具1(LED3が1つの例)において、レンズ部16の表面に半円状の突部41を形成しなくてもよい。
【0055】
・図15に示すように、レンズ部材2の胴体形状を、斜面部24のない単なる断面四角形状としてもよい。
・図16に示すように、レンズ部材2の胴体形状を、断面円形状としてもよい。
【0056】
・図17に示すように、レンズ部材2の胴体形状を断面円形状とした場合、レンズ部16の表面から、図16に示す突部41を省略した形状としてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図18〜図20に従って説明する。なお、本例は、LED灯具のタイプ(型)を、第1実施形態の舟形からウェッジ型に変更したのみの構成である。よって、第1実施形態と同一箇所は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0057】
図18及び図19に示すように、ウェッジ型のLED灯具51には、LED灯具51を取り付け先に接続する際の接続箇所として樹脂製のウェッジベース52が設けられている。ウェッジベース52には、円筒状のレンズ部材2を係入するための筒状の取付部53と、基板11(図19参照)から延びる一対の接続端子21,21の係止箇所となる扁平部54とが設けられている。
【0058】
基板11の一対の接続端子21,21は、扁平部54の通し孔54a,54aから引き出され、その後、手前に折り返されることにより、これらが給電部55,55として扁平部54に係止されている。なお、給電部55が給電端子を構成する。
【0059】
レンズ部材2は、根元の周縁を取付部53の内部に係入することによってウェッジベース52に取り付け固定されている。レンズ部材2には、LED3の光の一部が出射される円筒状の筒部56と、この筒部56の上部に形成されたレンズ部57とが設けられている。レンズ部57は、外表面に形成された断面円弧状突部からなる。レンズ部57は、筒部56と同軸上に配置されるとともに、筒部56よりも小径に形成されている。よって、レンズ部材2には、筒部56とレンズ部57との境面に段部60が周方向に亘り一帯に形成されている。なお、レンズ部57がレンズ及び照度確保手段を構成する。
【0060】
図20に示すように、基板11は、ウェッジベース52の内部に形成された部品収納部61に嵌り込む状態で取り付けられている。基板11は、実装面にLED3が1つ取り付けられ、部品収納部61内において横向きに配置されている。LED3が点灯すると、LED3の照射光がレンズ部16から拡散して引き出され、これが照明として車内に照射される。なお、部品収納部61が収納空間を構成する。
【0061】
本例のウェッジ型LED灯具51は、図20に示すように、発熱対策として抵抗14,15が空中配線されている。また、照度確保対策としては、レンズ部57の外面に円弧状突部が形成され、この突部の曲率が大きめに設定されている。よって、この種のウェッジ型LED灯具51でも、レンズ部57に光を通して照明するので、照明の照度を確保することが可能となる。また、抵抗14,15を空中配線とするので、LED点灯時に抵抗14,15に発生する熱がLED3に伝わり難くなるので、LED3の発熱を抑制することが可能となる。
【0062】
本実施形態の構成によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(10)に加え、以下の効果を得ることができる。
(11)ウェッジ型LED灯具51でも、LED灯具1の照度確保と、LED3の発熱軽減とを両立することができる。
【0063】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1及び第2実施形態において、発熱対策は、放熱孔22,23を形成する対策、アルミ製基板を使用する対策、銅棒を基板11に取り付ける対策、抵抗14,15を空中配線構造とする対策の全てを用いることに限定されない。つまり、これら対策のうち少なくとも1つを備えていればよい。
【0064】
・第1及び第2実施形態において、LED灯具1,51には、発熱対策及び照度不足対策の両方が施されることに限らず、少なくとも一方が形成されていればよい。
・第1実施形態において、放熱用金属は、図21に示すように、例えば突出片11dに係止されるリング状形状としてもよい。
【0065】
・第1及び第2実施形態において、放熱手段は、図22(a)に示すように、例えば基板11に取り付けた金属板71を放熱孔22,23から外部に露出させる構造としてもよい。また、図22(b)に示すように、金属板71を略90度折り曲げて、金属板71がLED灯具1の側部で邪魔にならないようにしてもよい。さらに、図22(c)に示すように、金属板71の表面(表裏両方も可)に凹凸部71aを設けてフィン形状とすることにより、空気に触れる面積を増やして、高い冷却効果を確保してもよい。
【0066】
・第1実施形態において、図23に示すように、斜面部24を放熱孔22,23よりも外側に飛び出す形状としてもよい。この場合、斜面部24に結露が付着して流れ落ちる場合であっても、結露が放熱孔22,23に流入し難くなる。よって、基板11を水滴付着から保護することができる。
【0067】
・第1及び第2実施形態において、図24に示すように、基板11上のLED3の一列を省略し、この部分に放熱用の銅棒72を取り付けてもよい。この場合、LED3の搭載個数を減らした際の空きスペースを、銅棒72の配置箇所として有効利用することができる。
【0068】
・第1実施形態において、放熱孔22,23の形状は、図25に示すように孔が水平面に対して斜めを向くものでもよい。この場合、放熱孔22,23が水平方向に大きく開口しなくなるので、放熱孔22,23から埃がレンズ部材2内へ侵入する状況を生じ難くすることができる。また、取付け状態においてLED灯具1が軸Lの回りに回転して、斜面部24を結露が流れ落ちることになっても、放熱孔22,23の孔内面が斜面となっているため、結露が放熱孔22,23の内部に流入し難くなる。よって、放熱孔22,23からの結露侵入も抑制することができる。
【0069】
・第1及び第2実施形態において、レンズ部材2は、レンズ機能を持つ形状のものに限定されず、例えば光の照射面が単にフラットとなったレンズ機能を持たない形状のものでもよい。ところで、従来のLED灯具においては、LED灯具に基板を覆う箱状のケースがない、つまり、基板の両端に一対の金口が設けられただけのような構造をとるものや、図26に示すように、ケース本体82の上面82aにおいて大きく開く開口穴82bを形成するものがあった。そこで、単なる略箱状のケース内に基板11を収納して基板を覆うだけの構造でも、基板上の各部品に埃が付着したり、結露が生じて導通したりするという不具合を防止することが可能になるので、この構造でも非常に顕著な作用効果を得ることが可能となる。また、LED灯具の流通や取付時において、誤って基板を破損するという問題があったが、ケースによって基板全体を覆うことによって取り扱いが容易にもなる。しかしながら、このような構造をとる場合、ケース内に熱が溜まることを要因とするLED3の温度上昇の問題があった。よって、レンズ機能を持たないLED灯具に本例の放熱対策を講じても、LED3の温度上昇を抑えることができるという点で、非常に有益であると言える。また、この場合も、放熱孔22,23を例えば図25に示す形状とすれば、結露対策や埃侵入対策も可能となる。
【0070】
・第1及び第2実施形態において、レンズ部16,57は、レンズ部材2と一体であることに限定されず、これとは別部材であってもよい。この場合、レンズ部16,57のみを透明とし、レンズ部16,57を支持するケース相当部分を非透明の部材としてもよい。
【0071】
・第1及び第2実施形態において、レンズ部材2の透明とは、純粋な透明に限らず、例えば乳白色など透明ではあるが色を有するものも広義として含む。
・第1実施形態において、レンズ部材2は、複数部品から形成されることに限らず、例えば1つの部品からなるものでもよい。
【0072】
・第1実施形態において、口金6,7は、円筒形状に限らず、例えばピン形状としてもよい。
・第1及び第2実施形態において、LED3は、広義として照射光に指向性を持つ光源を広義として含む。
【0073】
・第1及び第2実施形態において、LED3の発光色は、無職透明に限定されず、白、赤、緑、青など、種々の色が採用可能である。
・第1及び第2実施形態において、レンズ部16、57の内面は、表面が円弧状に形成されることに限らず、例えば断面三角形状など、所望する拡散効果に合わせて適宜変更可能である。
【0074】
・第1及び第2実施形態において、円弧状突部17,59の表面に溝を設けて、光の拡散方向を適宜変更することも可能である。
・第1実施形態において、レンズ部材2と口金6(7)とは、ほぼ同一大きさの部品に限定されず、例えばレンズ部材2が口金6(7)よりも大きな部品サイズをとるものでもよい。
【0075】
・第1実施形態において、放熱用金属材は、銅に限らず、例えばアルミ等の他の材質を使用してもよい。
・第1実施形態において、放熱孔22,23は、側壁5a,5bに形成されることに限定されず、例えば側壁5c,5d(図2等参照)に形成してもよい。また、放熱孔22,23は、ロアケース5に形成されることに限らず、例えばアッパーケース4に形成されたり、両方に亘り形成されたりしてもよい。
【0076】
・第2実施形態において、図20の破線に示すように、内面のみならず外面も半球状に盛り上がる形状とし、外側を外側円弧状突部58とし、内側を内側円弧状突部59としてもよい。
【0077】
・第1及び第2実施形態において、空中配線構造は、素子が基板11から距離をとって浮くものであれば、どのような配置構造でもよい。
・第1及び第2実施形態において、LED灯具1は、舟形やウェッジ型に限らず、光源をLED3とするものであれば、どのような型でもよい。
【0078】
・第1及び第2実施形態において、LED灯具1,51は、車内ルームランプに使用されることに限定されず、他の装置や機器に応用してもよい。
【0079】
・第2実施形態において、図26及び図27に示すような構造にしてもよい。図26(a)は本例の正面図、図26(b)は本例の平面図である。また、図27(a)は、図26(b)のC−O−D断面図、図27(b)は、図26(b)のA−O−B断面図、図27(c)は、図27(a)及び(b)図中の矢印C方向から見た場合の基板11のみを示す図である。なお、図27(a)及び(b)において、後述するレンズ部材2の内面に形成されたレンズカット部18を省略して示している。
【0080】
第2実施形態において、レンズ部材2は、根元の周縁を取付部53の内部に係入することによってウェッジベース52に取り付け固定されていたが、本例では、図26(a)に示すように、基板11を、レンズ部材2(筒部56)と取付部53とで挟持して固定している。
【0081】
即ち、図27(c)に示すように、基板11にはその周縁に4カ所の切り欠き部11cを設けている。また、図27(a)に示すように、筒部56の下部周縁には、4本の係入片56aを設けている。また、筒部56の下部周縁側壁には、4カ所に内部と外部を連通するように切り欠き部56bを設けている。
【0082】
なお、レンズ部材2の内面には、レンズカット部18が設けられている。このレンズカット部18は、レンズ部材2の高さ方向(図26(a)参照)に沿って複数の溝19を切ることによって形成され、この溝19と突20とが交互に並ぶ形状になっている。このレンズカット部18によって、側壁4b〜4eの外面からは内部にある部品が見えないようになっており、意匠性が確保されている。また、上述のように、円弧状突部57で反射された一部の光が、側壁から外側に向かって照射される際に、このレンズカット部18の光の拡散効果によって側壁周囲に亘って一様に光が照射される。
【0083】
まず、この基板11を取付部53の周縁上部に基板11の互いの円弧周縁を合わせるようにして載置する。次に、基板11の周縁11dの4カ所の切り欠き部11cによって形成された孔(11c)に、接着剤を塗布した筒部56の係入片56aを挿入して取付部53と筒部56とを接着固定する(図27(b)参照)。つまり、基板11は、筒部56の下部周縁56cと取付部53の上部周縁53aとで挟持され固定される。なお、筒部56の側壁に設けられた切り欠き部56bは、筒部56の内外を連通する孔を形成する(図26(a)参照)。
【0084】
第2実施形態においては、基板11の位置決めが容易ではなく、しかも、筒部56と取付部53との接合固定によって、LED基板が筒部56の内部に密閉されることによってLEDの温度上昇が懸念されていた。
【0085】
以上、本例によれば、基板11の位置決めが容易になされるとともに、筒部56(レンズ部2)の取り付けが容易になる。また、筒部56の側壁に設けられた切り欠き部56b(放熱手段)によって、筒部56の内外を連通する孔を形成したので、筒部56内外の空気の移動が起こり、LED3の温度上昇を抑えることができる。また、基板11の周縁11d(放熱手段)が外気と触れるため、基板11が冷却されることでLEDの温度上昇を抑えることができる。
【0086】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)本体部に光源としてLEDが取り付けられ、前記LEDの給電端子がウエッジベースに取り付け支持されたウェッジ型のLED灯具において、前記LEDの照射光を広範囲に広げて前記本体部の外部に放射するレンズと、前記LED点灯時に灯具に発生する熱を前記本体部の外部に逃がす放熱手段とを備えたことを特徴とするLED灯具。この構成によれば、このようなウェッジ型LED灯具であっても、照明の広範囲確保と、LEDの発熱軽減とを両立することが可能となる。
【0087】
(ロ)両端に一対の給電端子を有する本体部に光源としてLEDが取り付けられ、当該LEDの光によって周囲を照明するLED灯具において、前記LEDの照射光を広範囲に広げて前記本体部の外部に放射するレンズと、前記レンズの形状を加工して前記LEDの照射光をより広範囲に拡散させることにより、照明の照度を高く設定する照度確保手段とを備えたことを特徴とするLED灯具。ところで、LEDの光には指向性があるので、この種のLED灯具では、LEDの光をレンズによって拡散照射しないと、広範囲を照明できず、照度不足に陥る懸念がある。しかし、本構成では、LEDの光の拡散を促進する照度確保手段を設けたので、照度不足を解消することが可能となる。なお、この技術思想は、ウェッジ型にも応用可能である。
【0088】
(ハ)両端に一対の給電端子を有する本体部に光源としてLEDが取り付けられ、当該LEDの光によって周囲を照明するLED灯具において、前記本体部を形成する壁部によって、前記基板を周囲から囲むようにして収納する部品収納部と、前記LED点灯時に灯具に発生する熱を放熱する放熱手段とを備えたことを特徴とするLED灯具。ところで、例えばレンズ機能のない本体部の内部にLEDを収納すると、熱が本体部外に逃げず、LEDが温度上昇する懸念に繋がり、これが照度低下を招く。しかし、本構成によれば、このような形状をとるLED灯具であっても、放熱手段によって点灯時の発生熱を放熱することが可能となるので、LEDの過度な温度上昇を抑制することができる。なお、この技術思想は、ウェッジ型にも応用可能である。
【0089】
(二)請求項7において、前記照度確保手段は、前記レンズの内面に突設された円弧状
突部である。
【符号の説明】
【0090】
1…LED灯具(舟形)、2…本体部としてのレンズ部材、3…LED、6,7…給電端子を構成する口金、10…収納空間を構成する部品収納部、11…基板、12…点灯回路、13…点灯回路の素子を構成する定電流IC、14,15…点灯回路の素子を構成する抵抗、16…レンズを構成するレンズ部、17…照度確保手段を構成する円弧状突部、22,23…放熱手段を構成する放熱孔、25…放熱手段を構成するアルミ製基材、28,29…放熱手段(放熱用金属材)を構成する銅棒、51…LED灯具(ウェッジ型)、55…給電端子を構成する給電部、57…レンズを構成するレンズ部、59…照度確保手段を構成する円弧状突部、61…収納空間を構成する部品収納部、72…放熱手段(放熱用金属材)を構成する銅棒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に一対の給電端子を有する本体部に光源としてLEDが取り付けられ、当該LEDの照射光によって周囲を照明するLED灯具において、
前記LEDの照射光を広範囲に広げて前記本体部の外部に放射するレンズと、
前記LED点灯時に灯具に発生する熱を放熱する放熱手段と
を備えたことを特徴とするLED灯具。
【請求項2】
前記レンズは、前記本体部と一体の透明材により形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のLED灯具。
【請求項3】
前記放熱手段は、前記LEDの基板として設けられたアルミ製基材である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED灯具。
【請求項4】
前記放熱手段は、前記LEDの基板に取り付けられた放熱用金属材である
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のLED灯具。
【請求項5】
前記放熱手段は、前記本体部において前記LEDを収納する収納空間を外部に導通する放熱孔である
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のLED灯具。
【請求項6】
前記放熱手段は、前記LEDの点灯回路の素子を、基板から浮かして配線する空中配線構造である
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のLED灯具。
【請求項7】
前記レンズの形状を加工して前記LEDの照射光をより広範囲に拡散させることにより、照明の照度を高く設定する照度確保手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のLED灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−230751(P2011−230751A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192067(P2010−192067)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000144544)レシップホールディングス株式会社 (179)
【Fターム(参考)】