説明

LED発光素子用リードフレーム及びその製造方法

【課題】LEDチップが搭載されるパッドを有するLEDチップ搭載部と、該LEDチップ搭載部と離間して配置され前記LEDチップに電気的に接続されるリードを形成する電気的接続エリア部とが、タイバーによって複数連結された多面付けリードフレームと、前記LEDチップ搭載部および前記電気的接続エリア部の一部を除く前記多面付けリードフレームの部位を覆う樹脂部とを備え、該樹脂部とともに前記タイバーを切断により除去して個片基板を製造するためのLED素子用リードフレーム基板であって、個片基板への切断時にリードフレーム基板が反ってしまい切断装置に入らないという問題があった。
【解決手段】この課題を解決するため、前記個片基板は六角形状とし、さらに、当該個片基板が平面充填されたLED素子用リードフレーム基板とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode)素子用リードフレーム基板および発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、LED素子が実装されるリードフレームは、鉄−ニッケル等の合金薄板、銅−ニッケル−錫等の合金薄板からなるリードフレーム用金属板材を、その片面または両面から塩化第二鉄等のエッチャントを用いてフォトエッチング加工することで製造される。また、かかるリードフレームは、LEDチップを搭載するためのパッド(アイランド部)を有するLEDチップ搭載部と、このLEDチップ搭載部に対して離間配置された、LEDチップと電気的に接続されるインナーリード及びアウターリードを有する電気的接続エリア部を備えている(特許文献1〜3参照)。
上記リードフレームのパッドは、その表面側にLED素子を載置するための搭載部(搭載面)と、その裏面側には、LEDチップから発生する駆動熱やLEDチッブ周囲の環境条件による熱を放散されるための放熱部(放熱板)を備えており、LEDチップに熱が蓄積されないように、パッド裏面側の放熱部から外界側に熱が放出されるように構成されている。
【0003】
このようなリードフレーム(単位リードフレーム)の製造工程は以下の通りである。まず、金属板材をエッチングするなどして、複数のリードフレームパターンが、タイバーと称される連結部によって連結されたリードフレーム(多面付けリードフレーム)を形成する。その後、樹脂モールド成形を行って、LED素子用リードフレーム基板(以降、樹脂つき多面付けリードフレーム基板をこう呼ぶ)を形成し、LED素子の配線工程の前後のいずれかの工程でこのLED素子用リードフレーム基板をタイバーが貫通する切断線に沿って切断して個片化することより製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−8071号公報
【特許文献2】特開2003−347600号公報
【特許文献3】特開2004−172160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術のLED素子用リードフレーム基板には以下の問題があった。
LED素子用リードフレーム基板を切断して個片化する際においては、LED素子用リードフレーム基板ごと切断装置に収め、所定の切断パターンに対応する切断工具を当該基板に当てて一気に切断する。切断時には樹脂部とともにタイバーを正確に切断、除去しなくてはならないため、切断装置に収められたリードフレーム基板は所定の位置に正確に配置する必要がある。
しかしながら、LED素子用リードフレーム基板に設けられたモールド樹脂の厚みや金属リードフレームの露出面積は表裏で同じではなく、基板の部位によっても異なっている。そのため、LED素子用リードフレーム基板全体では反りが生じてしまい、切断装置に収めても正確な位置に配置できず、切断時にずれが生じて不良品となってしまったり、切断工具を傷めてしまうという問題がある。さらに、反りがひどい場合には切断装置そのものに収容することができず、切断が不可能になってしまうという問題がある。
【0006】
図6は、従来のLED素子用リードフレーム基板を示す模式図である。図6では、リードフレーム1の平面視において互いに直交する側面に沿う方向を、X方向(図6の左側から右側に向かう方向)、Y方向(図6の下側から上側に向かう方向)と称する。
単位リードフレーム1BはLEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3から構成されている。LEDチップ搭載部2は、X方向に隣接する単位リードフレームのLEDチップ搭載部とタイバーを介して接続されている。また、電気的接続エリア部3も、X方向に隣接する電気的接続エリア部とタイバーを介して接続されている。単位リードフレーム1Bにおいて、離間領域Gを介してLEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3は対向している。Y方向に隣接する単位リードフレームとは、タイバーを介して、LEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3が接続されている。このように単位リードフレームが接続されてリードフレームを構成している。
【0007】
このようなリードフレームに樹脂パッケージ4が形成されて従来のリードフレーム基板12となる。リードフレーム基板12は、図6に示すX方向切断線DX及びY方向切断線DYによって切り分けられ、それぞれがLEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3に加えてリフレクター部を備えた、個片化されたリードフレーム基板となる。
このように従来のリードフレーム基板12は、X方向及びY方向に等間隔で個々のリードフレーム基板が配置されているが、その切断線が直線状であり、かつ方向軸がX方向とY方向の2軸であるため、樹脂パッケージやリードフレームの膨張係数の違いに起因するそりが基板全体に影響しやすいという問題があった。特に、2方向の軸にそってそりが集中するため、基板全体としてのそりが大きくなり、切断装置に入らないという問題があった。
また、リフレクター部の面積に対して個片基板の面積が大きく、切断時の材料のロスが多いという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、反りを抑え、切断装置内の正確な位置に収容することが可能であるLED素子用リードフレーム基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために成された第一の発明は、LEDチップが搭載されるパッドを有するLEDチップ搭載部と、該LEDチップ搭載部と離間して配置され前記LEDチップに電気的に接続されるリードを形成する電気的接続エリア部とが、タイバーによって複数連結された多面付けリードフレームと、前記LEDチップ搭載部および前記電気的接続エリア部の一部を除く前記多面付けリードフレームの部位を覆う樹脂部とを備え、該樹脂部とともに前記タイバーを切断により除去して個片基板を製造するためのLED素子用リードフレーム基板であって、前記個片基板は六角形状であることを特徴とするLED素子用リードフレーム基板である。
また、第二の発明は、上記第一の発明に加えて、前記個片基板により平面充填されたことを特徴とするLED素子用リードフレーム基板である。
【発明の効果】
【0010】
上記第一の発明によれば、最も小さな個片基板面積で最大のリフレクター部を収容することができるので、発光効率を最大化することができる。
上記第二の発明によれば、六角形状の個片基板が平面充填状態に配置されているため、リフレクタが互い違いに配置され、方向軸が0°、120°、240°の3本となるため、従来のXとYの2軸であるLED素子用リードフレーム基板と比較して反りの影響が出にくいという効果がある。
さらに、発光素子を個片化する前のLED素子用リードフレーム基板の状態で、六角形状の個片基板が平面充填により配置されていれば、当該LED素子用リードフレーム基板を個片化する際に出る切断ロスを最小限に抑えることができる。また、基板全体では切断線がジグザクとなり直線でなくなるため、材料の膨張係数の違いに起因するそりが基板に及ぼす影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態のLED素子用リードフレーム基板を示す模式的な平面図である。
【図2】本発明の実施形態の発光素子の構成を示す模式的な平面図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】図2におけるB−B断面図である。
【図5】本発明に用いるリードフレームの一例を示す模式図である。
【図6】従来のLED素子用リードフレーム基板を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の実施形態のLED素子用リードフレーム基板について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の本発明の実施形態のLED素子用リードフレーム基板を示す模式的な平面図である。
図1から図4では、リードフレーム1及び発光素子50の平面視において互いに120°で交わる方向軸を想定し、0°方向(図1の左側から右側に向かう方向)、120°方向(図1の右下から左上に向かう方向)、240°方向(図1の右上から左下に向かう方向)と称する。
【0013】
図2は、本発明の実施形態の発光素子の構成を示す模式的な平面図である。図3は、図2におけるA−A断面図である。図4は、図2におけるB−B断面図である。
【0014】
本実施形態の発光素子50の概略構成は、図1、図2に示すように、外形が六角形状に形成されており、銅−ニッケル−錫等の合金板をフォトエッチング加工することにより形成された後、切断されて個片化されたリードフレーム1A(図2参照)と、LED素子であるLEDチップ10と、個片化されたリードフレーム1AおよびLEDチップ10をパッケージングする樹脂パッケージ4(樹脂部)と、LEDチップ10を光透過可能に封止する透明樹脂部9とを備える。
ここで、個片化されたリードフレーム1Aおよび樹脂パッケージ4は、個片化されたリードフレーム基板11A(個片基板、図2参照)を構成している。
樹脂パッケージ4の中心部には、円状に開口し内部側のLEDチップ搭載部2、電気的接続エリア部3に向かうにつれて縮径するテーパー面で構成された穴部であるリフレクター部5が設けられている。
【0015】
本発明で用いる平面充填とは、同一形状の多角形により、互いが重なり合わず、かつ隙間がないように平面を埋め尽くした状態を指す。例えば、ハニカム構造を挙げることができる。
最終的な発光素子50は、リフレクター部5を備え、この内側にLEDチップ10が実装されており、このリフレクター部の形状は光が広がる効率を考慮すると円形であることが好ましい。そして、平面充填可能な多角形について、同じ面積であった場合、最も大きな円を内接する(納める)ことができるのは正六角形となる。
従って、同一形状により平面充填可能な図形としては、三角形、四角形、六角形を挙げることができるが、本発明では六角形状、特に正六角形とすることが好ましい。
発光素子を個片化する前のLED素子用リードフレーム基板の状態で、六角形状の個片基板が平面充填により配置されていれば、当該LED素子用リードフレーム基板を個片化する際に出る切断ロスを最小限に抑えることができる。
そして、本発明のLED素子用リードフレーム基板は、六角形状の個片基板が平面充填状態に配置されているため、リードフレーム基板全体における切断線はジグザグとなり、リフレクター部が互い違いに配置され、方向軸が0°、120°、240°(60°)の3本となるため、従来のXとYの2軸である従来のLED素子用リードフレーム基板と比較して反りの影響が出にくいという効果がある。
また、個片化されたリードフレーム基板(個片基板)が六角形状であれば、発光素子50を複数並べて発光装置とする際に、発光素子で効率よく平面を埋めることができる。
【0016】
個片化されたリードフレーム1Aは、LEDチップ10を搭載するために1乃至複数箇所に形成されたパッド2aを有するLEDチップ搭載部2と、LEDチップ10との電気的接続を行うためのリード3aが形成された電気的接続エリア部3を有している。
LEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3とは、リフレクター部5の内部側で離間領域Gをあけて0°方向に対して直交する方向に対向されており、0°方向に延びる離間領域Gに樹脂パッケージ4の一部が充填されることにより、電気的に絶縁されている(図3参照)。本実施形態では、パッド2aはLEDチップ搭載部2においてリフレクター部5の内側の領域、リード3aは電気的接続エリア部3においてリフレクター部5の内側の領域に設けられている。
【0017】
図2に示すように、六角形状の発光素子50が備える個片化されたリードフレーム1Aは、それぞれ一辺ずつ、角棒状のタイバー部T〜Tを備えている。すなわち、0°の方向軸に平行な辺からはタイバー部TとTが、120°の方向軸に平行な辺からはタイバー部TとTが、240°の方向軸に平行な辺からはタイバー部TとTとが、それぞれ突出している。
【0018】
タイバー部TとTは、個片化されたリードフレーム1Aが個片化される前の後述するリードフレーム1において、LEDチップ搭載部2同士を30°方向に連結していた後述のタイバー部60が切断されることにより形成されたものである。
タイバー部TとTは、個片化されたリードフレーム1Aが個片化される前の後述するリードフレーム1において、LEDチップ搭載部2同士を90°方向に連結していた後述のタイバー部70が切断されることにより形成されたものである。
タイバー部TとTは、個片化されたリードフレーム1Aが個片化される前の後述するリードフレーム1において、LEDチップ搭載部2同士を150°方向に連結していた後述のタイバー部80が切断されることにより形成されたものである。
【0019】
パッド2aとリード3aとの表面には、LEDチップ10のボンディングおよびリード3aに対するワイヤーボンディングを良好に行うためのめっきが施されている。めっきの種類としては、銀めっき、金めっき、パラジウムめっきなどの中から用途に合わせて自由に選択することができる。また、銀めっき、金めっき、パラジウムめっきなどを施すに先立ち、熱拡散性の優れたニッケルめっきなど下地めっきを行ってもよい。
【0020】
樹脂パッケージ4は、発光素子50の主要な外形を形成しており、図2〜図4に示すように、リフレクター部5の開口の周囲を覆う上面4eと、30°方向、90°方向、150°方向、210°方向、270°方向、330°方向の側面をそれぞれ構成するS〜Sとを備える。
これら側面S〜Sは、後述するリードフレーム1を0°方向、120°方向、240°方向に沿って切断することで形成されたものである。
このため、後述のタイバー部60、70、80の切断によってできたタイバー部T〜Tの切断面は、側面S〜Sと、それぞれ同一平面に整列している。すなわち、TとTの切断面は側面S及びSと、TとTの切断面は側面S及びSと、TとTの切断面は側面S及びSと、それぞれ同一平面に整列している。
【0021】
また、上面4eに対して厚さ方向反対側となる面は、図2から図4に示すように、タイバー部TとTの間に位置し電気的接続エリア部3の外周を囲む領域と、タイバー部TとTの間に位置し電気的接続エリア部3の外周を囲む領域と、タイバー部TとTの間に位置しLEDチップ搭載部2の外周を囲む領域と、タイバー部TとTの間に位置しLEDチップ搭載部2の外周を囲む領域と、タイバー部TとTの間に位置する電気的接続エリア部3の外周及びLEDチップ搭載部2の外周と、タイバー部TとTの間に位置する電気的接続エリア部3の外周及びLEDチップ搭載部2の外周と、離間領域とで構成される領域とに、LEDチップ搭載部2および電気的接続エリア部3の表面と整列した平面からなる底面4fが形成されている。
【0022】
樹脂パッケージ4の材質としては、例えば、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、芳香族系ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂)などが挙げられ、これらの樹脂から1種の樹脂を用いたり、複数の樹脂を混合した混合樹脂を用いたりすることができる。
また、樹脂パッケージ4には、リフレクター部5における反射特性を向上するため、SiO、TiO、Al、酸化ジルコニウム、セラミック材からなる微粒子、あるいは、これら微粒子を1種以上混合したからなる混合物などを採用することができる。混合物を用いる場合、混合比率は構成することで、反射率特性を適宜の反射率に調整することができる。例えば、上記の添加剤を組み合わせることで、90〜99%の反射率が得られる。
また、これらの添加物は、硬質の微粒子であるため、樹脂パッケージ4を補強する効果もある。
【0023】
LEDチップ10は、リフレクター部5の略中心となる位置においてn極電極がパッド2aにボンディングされている。また、LEDチップ10のp極電極は、ボンディングワイヤーWによって、リード3aと電気的に接続されている。
LEDチップ10が搭載されたリフレクター部5の内側には、透明樹脂が充填されて透明樹脂部9が形成され、これにより、LEDチップ10が透明樹脂部9内に封止されている。透明樹脂部9の材質としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂などを採用することができる。
このため、LEDチップ10で励起されたLED光は、透明樹脂部9内を進んでリフレクター部5によって反射されることにより、リフレクター部5の開口側に放射されるようになっている。
なお、本実施形態では、例えば図3、4に示すように、透明樹脂部9の開口側の表面は、樹脂パッケージ4の上面4eと整列した平坦面として描かれているが、透明樹脂部9の表面は、例えばドーム状に突出した形状に形成してもよい。この場合、透明樹脂部9が集光作用を備えるためドーム形状によってLED光の放射角を適宜の放射角に調整することができる。
【0024】
次に、本実施形態のLED素子用リードフレーム基板11の製造方法の一例について説明する。図5は、本発明の実施形態のリードフレームの平面図である。図1は、本発明の実施形態のLED素子用リードフレーム基板を示す平面図である。
【0025】
本方法では、発光素子50を製造するため、図1に示す1枚のリードフレーム基板11(LED素子用リードフレーム基板)を製造し、このリードフレーム基板11を切断して個片化することにより発光素子50の構成要素である個片化されたリードフレーム基板11Aを形成する。
このため、リードフレーム基板11は、六角形状の個片化されたリードフレーム基板11Aが各辺で接して複数隣接して配置され、それらの間に90°方向に切断するため0°方向に延ばされた0°方向切断線Dと、30°方向に切断するため120°方向に延ばされた120°方向切断線D120と、150°方向に切断するため60°方向に延ばされた60°方向切断線D60とが設けられた形状を有する。
図1は模式図のため、0°方向切断線D、120°方向切断線D120、60°方向切断線D60直線で描いているが、実際には、切断に用いるダイシングブレードの刃幅やレーザー光線の光線幅に等しい幅を有する帯状の領域である。また、図示の直線を帯状の領域の中心軸線を表している。
【0026】
リードフレーム基板11を製造するには、リードフレーム1を製造した後に、樹脂パッケージ4を成形する。そこで、まず、リードフレーム1の形状について説明する。
【0027】
リードフレーム1は、個片化されたリードフレーム基板11Aの90°方向となる方向(以下、単に90°方向)に沿って、LEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3とが交互に間隔をおいて配列され、個片化されたリードフレーム基板11Aの0°方向となる方向(以下、単に0°方向)に沿っては、LEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3が互い違いに間隔をおいて隣り合うように配列されている。
1つの個片化されたリードフレーム1Aを構成するLEDチップ搭載部2および電気的接続エリア部3の対、すなわち、0°方向切断線D、60°方向切断線D60、120°方向切断線D120で囲まれる六角形(二点鎖線で示す)内のLEDチップ搭載部2および電気的接続エリア部3を単位リードフレーム1Bと称すると、単位リードフレーム1BにおけるLEDチップ搭載部2および電気的接続エリア部3の間には、板厚方向に貫通して離間領域Gを形成する孔部gが設けられている。孔部gはタイバー部60、70、80によって挟まれた領域で閉じられている。
【0028】
各LEDチップ搭載部2の270°方向の側面には、隣接する他の単位リードフレーム1Bが備える電気的接続エリア部3の90°方向側面と接続する角棒状のタイバー部70(タイバー)が架設されている。
このような構成のタイバー部70により、単位リードフレームのLEDチップ搭載部2と、これに90°方向で隣接する単位リードフレームの電気的接続エリア部3は連結されている。
各LEDチップ搭載部2の210°方向の側面には、隣接する他の単位リードフレーム1Bが備える電気的接続エリア部3の30°方向の側面と接続する角棒状のタイバー部60(タイバー)が架設されている。
このような構成のタイバー部60により、単位リードフレームのLEDチップ搭載部2と、これに210°方向で隣接する単位リードフレームの電気的接続エリア部3は連結されている。
各LEDチップ搭載部2の330°方向の側面には、隣接する他の単位リードフレーム1Bが備える電気的接続エリア部3の150°方向の側面と接続する角棒状のタイバー部80(タイバー)が架設されている。
このような構成のタイバー部80により、単位リードフレームのLEDチップ搭載部2と、これに330°方向で隣接する単位リードフレームの電気的接続エリア部3は連結されている。
【0029】
このようなリードフレーム1の構成により、リードフレーム1は、0°方向切断線D、60°方向切断線D60、120°方向切断線D120が交差する領域を内側に含む孔部gが形成された孔あき板状の部材である。
また、本実施形態では、リードフレーム1の外縁部は矩形枠状に形成され、この外縁部の枠体間において、30°方向(210°方向)を連結するタイバー部60及び330°方向(150°方向)を連結するタイバー部80によって交互に連結された複数のLEDチップ搭載部2及び電気的接続エリア部3とが一体化されており、90°方向においてはタイバー部70によって90°方向(270°方向)に隣接する単位リードフレームのLEDチップ搭載部2と電気的接続エリア部3とが連結され、一体化された板状部材になっている。
【0030】
発光素子50の製造工程は、リードフレーム形成工程、樹脂パッケージ成形工程、LEDチップ搭載工程、透明樹脂部成形工程、および切断工程を備える。
【0031】
リードフレーム形成工程は、例えば、銅−ニッケル−錫等の金属合金からなる金属板材をエッチング処理することにより孔部gを貫通させて、リードフレーム1を形成する工程である。エッチング処理は、金属板材の表裏面をハーフエッチング処理してもよいし、金属板材の一方の面から一方向にエッチング処理してもよい。
例えば、リードフレーム1の表面となる金属板材の一方の面にフォトレジストを塗布して、フォトレジスト層を形成する。
次に、孔部gを除く領域を覆うパターン露光用フォトマスクを介してフォトレジスト層を露光し、フォトレジスト層を現像して非露光部のフォトレジストを除去し、必要に応じて硬膜処理を行う。
これにより、金属板材の一方の面は、リードフレーム1の表面における孔部gを除く領域のパターンを有するフォトレジストによって覆われ、孔部gに対応する表面は、フォトレジスト非形成部となる。
【0032】
次に、リードフレーム1の裏面となる金属板材の他方の面に、耐腐食用の樹脂フィルムを貼着して、この金属板材のフォトレジスト非形成部を、一方の面側から金属板材の厚さの半分以上の深さまで、例えば塩化第二鉄等のエッチャントを用いてエッチング加工(ハーフエッチング処理)する。
ハーフエッチング処理終了後、洗浄を行い、フォトレジストおよび耐腐食用樹脂フィルムを除去する。
【0033】
次に、リードフレーム1の表面に耐腐食用の樹脂フィルムを貼着し、リードフレーム1の裏面となる金属板材の他方の面にフォトレジストを塗布して、フォトレジスト層を形成する。そして、表面からのエッチング処理と同様に孔部gを除く領域をハーフエッチング処理する。
これにより、孔部gが金属板材の厚さ方向に貫通し、リードフレーム1が形成される。
ここで、タイバーの形状は、角棒状には限定されず、例えば、切断線の両端部から切断線の中心に向かって断面積が減少する形状や、厚さ方向に段差が形成された形状などの断面積が変化する形状でもよい。
以上で、リードフレーム形成工程が終了する(図5参照)。
【0034】
次に、樹脂パッケージ成形工程を行う。本工程は、リードフレーム1に樹脂パッケージ4を形成する工程である。
すなわち、樹脂パッケージ4の形状を成形するための金型の凹部内にリードフレーム1を装填する。このとき、リードフレーム1の裏面は、金型の成形面に密着して配置され、リードフレーム1の表面は、金型の成形面に対して、隙間を有している。
リードフレーム1を装填したら、例えば射出成形によって、樹脂パッケージ4を構成する樹脂材料を金型内に充填して成形を行う。
まず、樹脂材料は、リードフレーム1の表面において、パッド2aおよびリード3a以外の所定領域に、樹脂パッケージ4の形状に充填される。
さらに、樹脂パッケージ4を形成する樹脂材料は、金型の凹部とリードフレームとの間に形成された隙間に回り込むように充填されて固化する。このため、リードフレーム1の孔部gには樹脂材料が充填される。
樹脂材料の充填が終了し、樹脂材料が固化したら成形品を脱型する。
ここで、LEDチップ搭載部2、電気的接続エリア部3と金型の合わせ面の密着状態等により、例えばリフレクター部5の開口下部5a(図1参照)等から成形バリが発生し、リフレクター部5内に露出するパッド2a、リード3aが樹脂に覆われている場合がある。そのような場合は、適宜のバリ除去手段を用いて、パッド2a、リード3a上の樹脂の除去を行う。
これにより、図1に示すようなリードフレーム基板11が製造される。
以上で、樹脂パッケージ成形工程が終了する。
【0035】
次に、LEDチップ搭載工程を行う。本工程は、リードフレーム基板11の各パッド2a、各リード3aにめっき被膜を形成した後、LEDチップ10をパッド2aに搭載して、リード3aに配線する工程である。
まず、電解めっき法や無電解めっき法によって、パッド2a、リード3aに銀めっき、金めっき、パラジウムめっきなどを施す。
次に、LEDチップ10のn極電極をパッド2aにボンディングし、ボンディングされたLEDチップ10のp極電極をボンディングワイヤーWによって、リード3aに配線する。
以上で、LEDチップ搭載工程が終了する。
【0036】
次に、透明樹脂部成形工程を行う。本工程は、LEDチップ10が搭載されたリードフレーム基板11の各リフレクター部5に透明樹脂部9を充填してLEDチップ10を封止、透明樹脂部9を固化させる工程である。
例えば、透明樹脂部9の材質として、シリコーン系樹脂を採用する場合、液体状態にしてリフレクター部5内に充填してから加熱して固化させる。
以上で、透明樹脂部成形工程が終了する。
【0037】
次に、切断工程を行う。本工程は、リードフレーム基板11を、例えばダイシング装置などの切断装置にセットして、タイバー部70を90°方向に切断するため0°方向に延ばされた0°方向切断線D、タイバー部60を30°方向に切断するため120°方向に延ばされた120°方向切断線D30、タイバー部80を150°方向に切断するため60°方向に延ばされた60°方向切断線D60において切断を行い、これにより個片化されたリードフレーム基板11Aを製造する工程である。
本発明のリードフレーム基板の切断線は、図1に示すように一基板内で直線となっていない場合がある。この場合は切断線形状に対応した抜き刃を使用したり、打ち抜きしたり、レーザー光線によって切断することができる。あるいは、切断ロスは多くなるが、D、D60、D120のいずれかの切断線が連続するように配置することにより直線状のダイシングソーを使用することができる。
【0038】
本発明のLED素子用リードフレーム基板は、六角形状の個片基板が平面充填状態に配置されているため、先に述べたように切断線はジグザグとなり、切断装置の制限はあるが、リフレクター部が互い違いに配置され、方向軸が0°、60°、130°の3本となるため、図5に示す従来のXとYの2軸であるLED素子用リードフレーム基板と比較して反りの影響が出にくいという効果がある。
【0039】
本工程では、リードフレーム1の構成から、0°方向切断線Dにおいて切断する際には、樹脂パッケージ4とともに、タイバー部70が切断される。また、60°方向切断線D60において切断する際には、樹脂パッケージ4とともに、タイバー部80が切断される。そして、120°方向切断線D120において切断する際には、樹脂パッケージ4とともに、タイバー部60が切断される
また、タイバー部60はタイバー部TとTに、タイバー部70はタイバー部TとTに、タイバー部80はタイバー部TとTにそれぞれ分断される。
このようにして、リードフレーム基板11から複数の個片化されたリードフレーム基板11Aが製造される。
以上で、切断工程が終了する。
このようにして、発光素子50が製造される。
【0040】
なお、上記の説明では、LEDチップ搭載工程および透明樹脂部成形工程を行った後で切断工程を行う場合の例で説明したが、切断工程は、適宜の時期に行うことができる。
例えば、樹脂パッケージ成形工程の次にLEDチップ搭載工程を行った後に切断工程を行ってもよい。
【0041】
また、上記実施形態に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 リードフレーム
1A 個片化されたリードフレーム
1B 単位リードフレーム
2 LEDチップ搭載部
2a パッド
3 電気的接続エリア部
3a リード
4 樹脂パッケージ(樹脂部)
、S、S、S、S、S 側面
4f 底面
4e 上面
5 リフレクター部
、T、T、T、T、T タイバー部
60、70、80 タイバー部(タイバー)
9 透明樹脂部
10 LEDチップ
11 リードフレーム基板
11A 個片化されたリードフレーム基板(個片基板)
12 (従来の)リードフレーム基板
50 発光素子
DX X方向切断線
DY Y方向切断線
0°方向切断線
30 30°方向切断線
60 60°方向切断線
G 離間領域
g 孔部
W ボンディングワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップが搭載されるパッドを有するLEDチップ搭載部と、該LEDチップ搭載部と離間して配置され前記LEDチップに電気的に接続されるリードを形成する電気的接続エリア部とが、タイバーによって複数連結された多面付けリードフレームと、
前記LEDチップ搭載部および前記電気的接続エリア部の一部を除く前記多面付けリードフレームの部位を覆う樹脂部とを備え、該樹脂部とともに前記タイバーを切断により除去して個片基板を製造するためのLED素子用リードフレーム基板であって、
前記個片基板は六角形状であることを特徴とするLED素子用リードフレーム基板。
【請求項2】
前記個片基板により平面充填されたことを特徴とする請求項1記載のLED素子用リードフレーム基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−243788(P2012−243788A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109146(P2011−109146)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】