LED素子用リードフレーム基板およびその製造方法
【課題】実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板を提供する。
【解決手段】本発明のLED素子用リードフレーム基板2は、複数の貫通孔15が形成され、LED素子3が搭載されるパッド部11と、ワイヤーを用いてLED素子と電気的に接続される接続エリア12とを有するリードフレーム10と、平面視においてパッド部および接続エリアを囲むリフレクター部22と、貫通孔を埋める充填部21とを有し、リードフレームに取り付けられた樹脂部20とを備え、パッド部および接続エリアの周囲において、充填部の上面21aがパッド部および接続エリアの上面よりも低い位置に設定されていることを特徴とする。
【解決手段】本発明のLED素子用リードフレーム基板2は、複数の貫通孔15が形成され、LED素子3が搭載されるパッド部11と、ワイヤーを用いてLED素子と電気的に接続される接続エリア12とを有するリードフレーム10と、平面視においてパッド部および接続エリアを囲むリフレクター部22と、貫通孔を埋める充填部21とを有し、リードフレームに取り付けられた樹脂部20とを備え、パッド部および接続エリアの周囲において、充填部の上面21aがパッド部および接続エリアの上面よりも低い位置に設定されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)素子が搭載、実装されるLED素子用リードフレーム基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製リードフレームと絶縁樹脂の複合体からなるLED素子用リードフレーム基板(以下、単に「リードフレーム基板」と称する。)にLED素子が実装されたLEDパッケージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
通常、リードフレーム基板は、LEDチップを搭載するための一つ乃至複数のパッド部と、LEDチップ(LED素子)と電気的接続を行うための電気的接合エリアを同一平面に備え、パッド部と電気的接合エリア間、およびそれらとリードフレーム外周部の間に存在する空隙が絶縁性のモールド樹脂によって埋められて形成されている。モールド樹脂の成形にはトランスファーモールドが用いられることが多い。
LED素子は、モールド樹脂の成形後に、ワイヤーボンディング等により電気的接合エリアと接続されてパッド部に搭載され、実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−172160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トランスファーモールドでは液状の樹脂が高圧で充填されるため、上述のパッド部や電気的接合エリアの表面には、樹脂バリや樹脂汚染(以下、「樹脂バリ等」と称する。)が生じることが多い。樹脂バリ等は、LEDチップ実装時におけるワイヤーボンディングの信頼性に悪影響を及ぼすという問題がある。また、樹脂バリ等の量が多いと、パッド部や電気的接合エリアを完全に被覆してしまい、そのままでは実装が困難となる場合もある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、パッド部や電気的接合エリア上に樹脂バリ等が発生しにくいLED素子用リードフレーム基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様であるLED素子用リードフレーム基板は、複数の貫通孔が形成され、LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記貫通孔を埋める充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部とを備え、前記パッド部および前記接続エリアの周囲において、前記充填部の上面が前記パッド部および前記接続エリアの上面よりも低い位置に設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第二の態様は、LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記パッド部と前記接続エリアとの間隙に充填される充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部とを備えたLED素子用リードフレーム基板の製造方法であって、金属板にエッチングにより貫通孔を形成し、前記パッド部および前記接続エリアを有する前記リードフレームを形成するエッチング工程と、前記パッド部および前記接続エリアの周囲に形成された前記貫通孔に対応する形状の凸部を有する上型を、前記凸部の少なくとも一部が前記貫通孔に進入するように取り付けて樹脂を注入し、前記リードフレームに対して前記樹脂部を形成する樹脂部形成工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のLED素子用リードフレーム基板によれば、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板とすることができる。
また、本発明のLED素子用リードフレーム基板の製造方法によれば、パッド部や電気的接合エリア上に樹脂バリ等が発生を抑えてLED素子用リードフレーム基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態におけるLED素子用リードフレーム基板を用いたLEDパッケージを示す平面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】(a)から(g)は、同LEDパッケージの製造方法の流れを示す図である。
【図4】(a)から(f)は、本発明の第二実施形態における同LEDパッケージの製造方法の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態のLEDパッケージ1を示す平面図であり、図2は、図1のA−A線における断面図である。LEDパッケージ1は、図1および図2に示すように、金属製のリードフレーム10と、リードフレーム10に取り付けられた樹脂部20とを有するリードフレーム基板2と、リードフレーム基板2に実装されたLEDチップ(LED素子)3とを備えている。
【0012】
リードフレーム10は、金属合金製の板状の材料にエッチング加工を施し、当該材料の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔15を設けることにより形成されており、LEDチップ3が搭載されるパッド部11と、平面視においてパッド部11を挟んで対向する接続エリア12とを備えている。
【0013】
図2に示すように、パッド部11および接続エリア12はリードフレーム10の厚さ方向の一方の面(上面)に形成されており、上面と反対側の下面には、パッド部11および接続エリア12と接続された放熱部13Aおよび13Bがそれぞれ形成されている。放熱部13Aおよび13Bの下面上における面積は、それぞれパッド部11および接続エリア12の上面における面積よりも大きく形成されており、LEDチップ3から発生する駆動熱やLEDチップ3の周辺環境条件による熱を外部に拡散させ、LEDチップ3に熱が蓄積されることを抑制している。
【0014】
樹脂部20は、エッチングによりリードフレーム10に形成された貫通孔15を埋める充填部21と、リードフレーム10の上面に形成されるリフレクター部22とを備えている。
充填部21は、パッド部11および接続エリア12と、放熱部13Aおよび13Bとを露出させるように形成されている。リフレクター部22は、図1に示すように、LEDパッケージ1の平面視においてパッド部11および接続エリア12を囲むように形成されており、図2に示すように、リフレクター部22に囲まれた領域が、LEDチップ3が実装されるキャビティCとなっている。リフレクター部22のうちキャビティCを規定する内面22Aは、上端から下端に向かうに従いキャビティCの面方向(リードフレーム10の上面と平行な方向)における断面積が小さくなるようにテーパー状に形成されている。
パッド部11および接続エリア12の周囲であって、平面視においてリフレクター部22に囲まれた領域の充填部21は、図2に示すように、厚さt1がリードフレーム10の厚さt2よりも小さく、その上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低い位置に設定されている。
【0015】
パッド部11および接続エリア12の上面には、メッキ層14が形成され、LEDチップ3実装時の電気的接続の信頼性が高められている。LEDチップ3は、パッド部11の上面に固着して搭載され、各接続エリア12の上面とLEDチップ3の図示しない端子とが金線等のワイヤー4を用いたワイヤーボンディングにより電気的に接続されてリードフレーム基板2に実装されている。
【0016】
キャビティC内には透明性を有する封止樹脂41が充填されており、実装されたLEDチップ3および各ワイヤー4が封止されている。
【0017】
上記のように構成されたリードフレーム基板2およびLEDパッケージ1の製造方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、リードフレームとなる金属板30を準備し、金属板30の上面30Aおよび下面30Bにレジスト層31を積層する。レジスト層31の積層は、感光性レジストを塗布する、ドライフィルムレジストを貼付する等の方法により行うことができる。
【0018】
次に、所定のパターンを有するフォトマスク(不図示)を用いてレジスト層31に対して露光、現像処理等を行い、図3(b)に示すように、金属板30の上面30Aおよび下面30Bにレジストパターン32を形成する(レジストパターン形成工程)。フォトマスクのパターンは、上面側においては、パッド部11および接続エリア12の位置および形状に対応し、下面側においては、放熱部13Aおよび13Bの位置および形状に対応している。
【0019】
次に、金属板30の上面30Aおよび下面30B側から塩化第二鉄等のエッチャントを用いてエッチング加工する。これにより、レジストパターン32の存在しない部位が金属板30の厚さ方向にエッチングされて複数の貫通孔15が形成される。レジストパターン32を除去すると、パッド部11および接続エリア12と、放熱部13Aおよび13Bとを有するリードフレーム10が完成する(エッチング工程)。
【0020】
さらに、パッド部11および接続エリア12の上面にメッキ処理を行い、図3(c)に示すように、メッキ層14を形成する(メッキ処理工程)。メッキの種類としては、銀メッキ、金メッキ、パラジウムメッキなどを用いることができる。また、これらのメッキ処理を施す前に、耐熱拡散性が優れたニッケルメッキなどの下地メッキを施してもよい。
本実施形態では、パッド部11および接続エリア12の上面のみにメッキ層14を形成しているが、これに加えて放熱部13A、13Bにメッキ層を形成してもよいし、リードフレーム10をメッキ浴につける等によりリードフレーム10の外面全体にメッキ層14が形成されてもよい。
【0021】
続く樹脂部形成工程では、図3(d)に示すように、上型101と下型(不図示)とでリードフレーム10を厚さ方向に挟み、公知のトランスファーモールドによって樹脂部20の樹脂材料を充填し、樹脂部20を形成する。
ここで、上型101には、パッド部11および接続エリア12の周囲に形成された貫通孔15に対応した形状の複数の凸部102が設けられている。すなわち、各凸部102は、対応する貫通孔に進入して嵌合することにより、貫通孔の上部開口をほぼ隙間なく密閉することができる。
樹脂部20の樹脂材料は、上型101の各凸部102が対応する貫通孔に進入、嵌合するようにリードフレーム10に取り付けられた状態で注入される。
樹脂部形成工程が終了すると、リードフレーム基板2が完成する。
【0022】
図3(e)は、充填部21およびリフレクター部22を有する樹脂部20が形成されたリードフレーム基板2を示す図である。パッド部11および接続エリア12の周囲の貫通孔15の上部は、上型101が進入していたため樹脂材料が充填されていない。その結果、充填部の上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低くなっている。
樹脂部形成工程においては、上型101とリードフレーム10との隙間から漏れた樹脂材料により樹脂バリ等が生じることがあるが、充填部の上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低いため、ほとんどの樹脂バリ等は貫通孔15の内面上に形成されるにとどまり、パッド部11および接続エリア12上にはほとんど樹脂バリは発生しない。
【0023】
次に、図3(f)に示すように、パッド部11にLEDチップ3を搭載し、ワイヤー4によるワイヤーボンディングでLEDチップ3と各接続エリア12とを電気的に接続して、LEDチップ3を実装する。パッド部11および接続エリア12に樹脂バリ等が生じていないため、LEDチップを接続信頼性が高い状態で実装することができる。
【0024】
最後に、キャビティC内の空間を埋めるように封止樹脂41を充填すると、図3(g)に示すように、LEDパッケージ1が完成する。
【0025】
本実施形態のリードフレーム基板2およびその製造方法によれば、樹脂部形成工程において、凸部102を有する上型101を使用し、各凸部102がリードフレーム10の対応する貫通孔に進入、嵌合するようにリードフレーム10に取り付けられた状態で樹脂材料が注入される。このため、充填部21の上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低い位置になり、発生する樹脂バリ等のほとんどが貫通孔の壁面上に位置する。したがって、LEDチップ3実装時の接続信頼性に大きく影響するパッド部11および接続エリア12に対する樹脂バリ等の悪影響を著しく低減し、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板を製造することができる。
【0026】
本発明のリードフレーム基板およびその製造方法において、パッド部および接続エリアに対する樹脂バリ等の影響を充分に抑制するためには、充填部の上面とパッド部および接続エリアの上面との高さの差を1μm以上とするのが好ましい。
【0027】
次に本発明の第二実施形態について、図4(a)から図4(f)を参照して説明する。第二実施形態のリードフレーム基板の製造方法は、メッキ処理工程のタイミングのみが第一実施形態と異なっており、製造されたリードフレーム基板は、第一実施形態のリードフレーム基板2と実質的に同一である。
なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0028】
まず、第一実施形態と同様の手順で、エッチング工程まで行い、図4(a)に示すように、リードフレーム10を形成する。ここでは、まだメッキ処理工程を行わない。
【0029】
次に、図4(b)に示すように、リードフレーム10に上型101を取り付けて樹脂部形成工程を行い、図4(c)に示すように、樹脂部20を形成する。
【0030】
樹脂部20が形成された後、メッキ処理工程を行い、図4(d)に示すように、パッド部11および接続エリア12にメッキ層14を形成する。これで、リードフレーム基板2が完成する。
図4(e)および図4(f)に示すその後の工程は第一実施形態と同様である。
【0031】
本実施形態のリードフレーム基板の製造方法においても、第一実施形態と同様に、パッド部11および接続エリア12に対する樹脂バリ等の悪影響を著しく低減し、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板を製造することができる。
【0032】
また、樹脂部20の形成後にメッキ処理工程を行うため、メッキ層14の形成前にパッド部11および接続エリア12状に樹脂バリ等が存在しないかどうかを確認することができる。したがって、万一パッド部11および接続エリア12に樹脂バリ等が存在していた場合は、製造ラインから外したり、バリ取り処理等の必要な工程を加えたりする等により、最終製品における不良品発生率を低減することができる。
【0033】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したり、各実施形態の構成を組み合わせたりすることが可能である。
【0034】
例えば、上述の各実施形態では、上型のみ凸部を有する例を説明したが、これに代えて、下型にも放熱部13A、13B等の周囲の貫通孔に対応する形状の凸部を設け、上型と同様に凸部を当該貫通孔に進入、嵌合させて樹脂部形成工程を行ってもよい。このようにすると、放熱部においても樹脂バリ等の発生を抑えることができ、外部基板等との接続信頼性を高めることができる。
【0035】
また、本発明のLEDパッケージの製造方法においては、メッキ処理工程は必須ではないため、省略されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
2 LED発光素子用リードフレーム基板
3 LEDチップ(LED素子)
4 ワイヤー
10 リードフレーム
11 パッド部
12 接続エリア
15 貫通孔
20 樹脂部
21 充填部
21a 上面
22 リフレクター部
30 金属板
101 上型
102 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)素子が搭載、実装されるLED素子用リードフレーム基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製リードフレームと絶縁樹脂の複合体からなるLED素子用リードフレーム基板(以下、単に「リードフレーム基板」と称する。)にLED素子が実装されたLEDパッケージが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
通常、リードフレーム基板は、LEDチップを搭載するための一つ乃至複数のパッド部と、LEDチップ(LED素子)と電気的接続を行うための電気的接合エリアを同一平面に備え、パッド部と電気的接合エリア間、およびそれらとリードフレーム外周部の間に存在する空隙が絶縁性のモールド樹脂によって埋められて形成されている。モールド樹脂の成形にはトランスファーモールドが用いられることが多い。
LED素子は、モールド樹脂の成形後に、ワイヤーボンディング等により電気的接合エリアと接続されてパッド部に搭載され、実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−172160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トランスファーモールドでは液状の樹脂が高圧で充填されるため、上述のパッド部や電気的接合エリアの表面には、樹脂バリや樹脂汚染(以下、「樹脂バリ等」と称する。)が生じることが多い。樹脂バリ等は、LEDチップ実装時におけるワイヤーボンディングの信頼性に悪影響を及ぼすという問題がある。また、樹脂バリ等の量が多いと、パッド部や電気的接合エリアを完全に被覆してしまい、そのままでは実装が困難となる場合もある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、パッド部や電気的接合エリア上に樹脂バリ等が発生しにくいLED素子用リードフレーム基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様であるLED素子用リードフレーム基板は、複数の貫通孔が形成され、LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記貫通孔を埋める充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部とを備え、前記パッド部および前記接続エリアの周囲において、前記充填部の上面が前記パッド部および前記接続エリアの上面よりも低い位置に設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第二の態様は、LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記パッド部と前記接続エリアとの間隙に充填される充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部とを備えたLED素子用リードフレーム基板の製造方法であって、金属板にエッチングにより貫通孔を形成し、前記パッド部および前記接続エリアを有する前記リードフレームを形成するエッチング工程と、前記パッド部および前記接続エリアの周囲に形成された前記貫通孔に対応する形状の凸部を有する上型を、前記凸部の少なくとも一部が前記貫通孔に進入するように取り付けて樹脂を注入し、前記リードフレームに対して前記樹脂部を形成する樹脂部形成工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のLED素子用リードフレーム基板によれば、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板とすることができる。
また、本発明のLED素子用リードフレーム基板の製造方法によれば、パッド部や電気的接合エリア上に樹脂バリ等が発生を抑えてLED素子用リードフレーム基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一実施形態におけるLED素子用リードフレーム基板を用いたLEDパッケージを示す平面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】(a)から(g)は、同LEDパッケージの製造方法の流れを示す図である。
【図4】(a)から(f)は、本発明の第二実施形態における同LEDパッケージの製造方法の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一実施形態について、図1から図3を参照して説明する。
図1は、本実施形態のLEDパッケージ1を示す平面図であり、図2は、図1のA−A線における断面図である。LEDパッケージ1は、図1および図2に示すように、金属製のリードフレーム10と、リードフレーム10に取り付けられた樹脂部20とを有するリードフレーム基板2と、リードフレーム基板2に実装されたLEDチップ(LED素子)3とを備えている。
【0012】
リードフレーム10は、金属合金製の板状の材料にエッチング加工を施し、当該材料の厚さ方向に貫通する複数の貫通孔15を設けることにより形成されており、LEDチップ3が搭載されるパッド部11と、平面視においてパッド部11を挟んで対向する接続エリア12とを備えている。
【0013】
図2に示すように、パッド部11および接続エリア12はリードフレーム10の厚さ方向の一方の面(上面)に形成されており、上面と反対側の下面には、パッド部11および接続エリア12と接続された放熱部13Aおよび13Bがそれぞれ形成されている。放熱部13Aおよび13Bの下面上における面積は、それぞれパッド部11および接続エリア12の上面における面積よりも大きく形成されており、LEDチップ3から発生する駆動熱やLEDチップ3の周辺環境条件による熱を外部に拡散させ、LEDチップ3に熱が蓄積されることを抑制している。
【0014】
樹脂部20は、エッチングによりリードフレーム10に形成された貫通孔15を埋める充填部21と、リードフレーム10の上面に形成されるリフレクター部22とを備えている。
充填部21は、パッド部11および接続エリア12と、放熱部13Aおよび13Bとを露出させるように形成されている。リフレクター部22は、図1に示すように、LEDパッケージ1の平面視においてパッド部11および接続エリア12を囲むように形成されており、図2に示すように、リフレクター部22に囲まれた領域が、LEDチップ3が実装されるキャビティCとなっている。リフレクター部22のうちキャビティCを規定する内面22Aは、上端から下端に向かうに従いキャビティCの面方向(リードフレーム10の上面と平行な方向)における断面積が小さくなるようにテーパー状に形成されている。
パッド部11および接続エリア12の周囲であって、平面視においてリフレクター部22に囲まれた領域の充填部21は、図2に示すように、厚さt1がリードフレーム10の厚さt2よりも小さく、その上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低い位置に設定されている。
【0015】
パッド部11および接続エリア12の上面には、メッキ層14が形成され、LEDチップ3実装時の電気的接続の信頼性が高められている。LEDチップ3は、パッド部11の上面に固着して搭載され、各接続エリア12の上面とLEDチップ3の図示しない端子とが金線等のワイヤー4を用いたワイヤーボンディングにより電気的に接続されてリードフレーム基板2に実装されている。
【0016】
キャビティC内には透明性を有する封止樹脂41が充填されており、実装されたLEDチップ3および各ワイヤー4が封止されている。
【0017】
上記のように構成されたリードフレーム基板2およびLEDパッケージ1の製造方法について説明する。
まず、図3(a)に示すように、リードフレームとなる金属板30を準備し、金属板30の上面30Aおよび下面30Bにレジスト層31を積層する。レジスト層31の積層は、感光性レジストを塗布する、ドライフィルムレジストを貼付する等の方法により行うことができる。
【0018】
次に、所定のパターンを有するフォトマスク(不図示)を用いてレジスト層31に対して露光、現像処理等を行い、図3(b)に示すように、金属板30の上面30Aおよび下面30Bにレジストパターン32を形成する(レジストパターン形成工程)。フォトマスクのパターンは、上面側においては、パッド部11および接続エリア12の位置および形状に対応し、下面側においては、放熱部13Aおよび13Bの位置および形状に対応している。
【0019】
次に、金属板30の上面30Aおよび下面30B側から塩化第二鉄等のエッチャントを用いてエッチング加工する。これにより、レジストパターン32の存在しない部位が金属板30の厚さ方向にエッチングされて複数の貫通孔15が形成される。レジストパターン32を除去すると、パッド部11および接続エリア12と、放熱部13Aおよび13Bとを有するリードフレーム10が完成する(エッチング工程)。
【0020】
さらに、パッド部11および接続エリア12の上面にメッキ処理を行い、図3(c)に示すように、メッキ層14を形成する(メッキ処理工程)。メッキの種類としては、銀メッキ、金メッキ、パラジウムメッキなどを用いることができる。また、これらのメッキ処理を施す前に、耐熱拡散性が優れたニッケルメッキなどの下地メッキを施してもよい。
本実施形態では、パッド部11および接続エリア12の上面のみにメッキ層14を形成しているが、これに加えて放熱部13A、13Bにメッキ層を形成してもよいし、リードフレーム10をメッキ浴につける等によりリードフレーム10の外面全体にメッキ層14が形成されてもよい。
【0021】
続く樹脂部形成工程では、図3(d)に示すように、上型101と下型(不図示)とでリードフレーム10を厚さ方向に挟み、公知のトランスファーモールドによって樹脂部20の樹脂材料を充填し、樹脂部20を形成する。
ここで、上型101には、パッド部11および接続エリア12の周囲に形成された貫通孔15に対応した形状の複数の凸部102が設けられている。すなわち、各凸部102は、対応する貫通孔に進入して嵌合することにより、貫通孔の上部開口をほぼ隙間なく密閉することができる。
樹脂部20の樹脂材料は、上型101の各凸部102が対応する貫通孔に進入、嵌合するようにリードフレーム10に取り付けられた状態で注入される。
樹脂部形成工程が終了すると、リードフレーム基板2が完成する。
【0022】
図3(e)は、充填部21およびリフレクター部22を有する樹脂部20が形成されたリードフレーム基板2を示す図である。パッド部11および接続エリア12の周囲の貫通孔15の上部は、上型101が進入していたため樹脂材料が充填されていない。その結果、充填部の上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低くなっている。
樹脂部形成工程においては、上型101とリードフレーム10との隙間から漏れた樹脂材料により樹脂バリ等が生じることがあるが、充填部の上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低いため、ほとんどの樹脂バリ等は貫通孔15の内面上に形成されるにとどまり、パッド部11および接続エリア12上にはほとんど樹脂バリは発生しない。
【0023】
次に、図3(f)に示すように、パッド部11にLEDチップ3を搭載し、ワイヤー4によるワイヤーボンディングでLEDチップ3と各接続エリア12とを電気的に接続して、LEDチップ3を実装する。パッド部11および接続エリア12に樹脂バリ等が生じていないため、LEDチップを接続信頼性が高い状態で実装することができる。
【0024】
最後に、キャビティC内の空間を埋めるように封止樹脂41を充填すると、図3(g)に示すように、LEDパッケージ1が完成する。
【0025】
本実施形態のリードフレーム基板2およびその製造方法によれば、樹脂部形成工程において、凸部102を有する上型101を使用し、各凸部102がリードフレーム10の対応する貫通孔に進入、嵌合するようにリードフレーム10に取り付けられた状態で樹脂材料が注入される。このため、充填部21の上面21aがパッド部11および接続エリア12の上面よりも低い位置になり、発生する樹脂バリ等のほとんどが貫通孔の壁面上に位置する。したがって、LEDチップ3実装時の接続信頼性に大きく影響するパッド部11および接続エリア12に対する樹脂バリ等の悪影響を著しく低減し、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板を製造することができる。
【0026】
本発明のリードフレーム基板およびその製造方法において、パッド部および接続エリアに対する樹脂バリ等の影響を充分に抑制するためには、充填部の上面とパッド部および接続エリアの上面との高さの差を1μm以上とするのが好ましい。
【0027】
次に本発明の第二実施形態について、図4(a)から図4(f)を参照して説明する。第二実施形態のリードフレーム基板の製造方法は、メッキ処理工程のタイミングのみが第一実施形態と異なっており、製造されたリードフレーム基板は、第一実施形態のリードフレーム基板2と実質的に同一である。
なお、以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0028】
まず、第一実施形態と同様の手順で、エッチング工程まで行い、図4(a)に示すように、リードフレーム10を形成する。ここでは、まだメッキ処理工程を行わない。
【0029】
次に、図4(b)に示すように、リードフレーム10に上型101を取り付けて樹脂部形成工程を行い、図4(c)に示すように、樹脂部20を形成する。
【0030】
樹脂部20が形成された後、メッキ処理工程を行い、図4(d)に示すように、パッド部11および接続エリア12にメッキ層14を形成する。これで、リードフレーム基板2が完成する。
図4(e)および図4(f)に示すその後の工程は第一実施形態と同様である。
【0031】
本実施形態のリードフレーム基板の製造方法においても、第一実施形態と同様に、パッド部11および接続エリア12に対する樹脂バリ等の悪影響を著しく低減し、実装されるLEDチップの接続信頼性が高いLED素子用リードフレーム基板を製造することができる。
【0032】
また、樹脂部20の形成後にメッキ処理工程を行うため、メッキ層14の形成前にパッド部11および接続エリア12状に樹脂バリ等が存在しないかどうかを確認することができる。したがって、万一パッド部11および接続エリア12に樹脂バリ等が存在していた場合は、製造ラインから外したり、バリ取り処理等の必要な工程を加えたりする等により、最終製品における不良品発生率を低減することができる。
【0033】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したり、各実施形態の構成を組み合わせたりすることが可能である。
【0034】
例えば、上述の各実施形態では、上型のみ凸部を有する例を説明したが、これに代えて、下型にも放熱部13A、13B等の周囲の貫通孔に対応する形状の凸部を設け、上型と同様に凸部を当該貫通孔に進入、嵌合させて樹脂部形成工程を行ってもよい。このようにすると、放熱部においても樹脂バリ等の発生を抑えることができ、外部基板等との接続信頼性を高めることができる。
【0035】
また、本発明のLEDパッケージの製造方法においては、メッキ処理工程は必須ではないため、省略されてもよい。
【符号の説明】
【0036】
2 LED発光素子用リードフレーム基板
3 LEDチップ(LED素子)
4 ワイヤー
10 リードフレーム
11 パッド部
12 接続エリア
15 貫通孔
20 樹脂部
21 充填部
21a 上面
22 リフレクター部
30 金属板
101 上型
102 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔が形成され、LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、
平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記貫通孔を埋める充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部と、
を備え、
前記パッド部および前記接続エリアの周囲において、前記充填部の上面が前記パッド部および前記接続エリアの上面よりも低い位置に設定されていることを特徴とするLED素子用リードフレーム基板。
【請求項2】
LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、
平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記パッド部と前記接続エリアとの間隙に充填される充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部とを備えたLED素子用リードフレーム基板の製造方法であって、
金属板にエッチングにより貫通孔を形成し、前記パッド部および前記接続エリアを有する前記リードフレームを形成するエッチング工程と、
前記パッド部および前記接続エリアの周囲に形成された前記貫通孔に対応する形状の凸部を有する上型を、前記凸部の少なくとも一部が前記貫通孔に進入するように取り付けて樹脂を注入し、前記リードフレームに対して前記樹脂部を形成する樹脂部形成工程と、
を備えることを特徴とするLED素子用リードフレーム基板の製造方法。
【請求項1】
複数の貫通孔が形成され、LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、
平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記貫通孔を埋める充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部と、
を備え、
前記パッド部および前記接続エリアの周囲において、前記充填部の上面が前記パッド部および前記接続エリアの上面よりも低い位置に設定されていることを特徴とするLED素子用リードフレーム基板。
【請求項2】
LED素子が搭載されるパッド部と、ワイヤーを用いて前記LED素子と電気的に接続される接続エリアとを有するリードフレームと、
平面視において前記パッド部および前記接続エリアを囲むリフレクター部と、前記パッド部と前記接続エリアとの間隙に充填される充填部とを有し、前記リードフレームに取り付けられた樹脂部とを備えたLED素子用リードフレーム基板の製造方法であって、
金属板にエッチングにより貫通孔を形成し、前記パッド部および前記接続エリアを有する前記リードフレームを形成するエッチング工程と、
前記パッド部および前記接続エリアの周囲に形成された前記貫通孔に対応する形状の凸部を有する上型を、前記凸部の少なくとも一部が前記貫通孔に進入するように取り付けて樹脂を注入し、前記リードフレームに対して前記樹脂部を形成する樹脂部形成工程と、
を備えることを特徴とするLED素子用リードフレーム基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−186388(P2012−186388A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49536(P2011−49536)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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