説明

MAO−B阻害物質としてのベンズアゼピン誘導体

本発明は次式I(式中、R1、R2、R3、R4、およびR5、X、X’、Y、およびY’は発明の詳細な説明及び請求項に定義されたとおりである)で示される新規ベンズアゼピン誘導体、その製法、該化合物を含有する医薬、ならびにモノアミンオキシターゼB活性の選択的阻害が役割を果たすかまたは関係する疾患の治療または予防のために有用な医薬を製造するための該化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンズアゼピン誘導体、それらの製造方法、前記誘導体を含有する医薬組成物、ならびに疾患の予防および治療におけるそれらの使用に関する。
【0002】
第1の態様において、本発明は、式I:
【0003】
【化10】

【0004】
(式中、
1は、水素またはメチルであり;
2は、水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6は、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’は−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’は−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’は−CH2−であり、そしてY−Y’は−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R2は−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R2は水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である)で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩を提供する。
【0005】
本発明は、本明細書における化合物の個々の立体異性体、ならびにそのラセミおよび非ラセミ混合物を含む。
【0006】
本特許出願において用いられる一般用語の以下の定義は、問題の用語が単独または組合せのどちらで出現するかに関わらず適用される。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形が、文脈が他の事柄を明瞭に示していなければ複数形を含むことに留意しなければならない。
【0007】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を示す。
【0008】
本明細書において用いられる用語「(C1〜C3)−アルキル」は、炭素原子1〜3個の直鎖状または分枝状飽和炭化水素残基を示す。(C1〜C3)−アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルである。(C1〜C3)−アルキルは、非置換であるかまたはハロゲンにより置換されていてもよい。置換された(C1〜C3)−アルキルの例としては、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0009】
置換されたフェニルの例としては、3−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、2,6−ジフルオロフェニルおよび2,3,4−トリフルオロフェニルが挙げられる。
【0010】
化合物の「薬学的に許容され得る塩」は、薬学的に許容され得る、一般に安全で非毒性であり、生物学的または他の面でも望ましくないものではなく、親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。これらの塩は、無機または有機酸から誘導される。可能であれば、式Iで示される化合物を、薬学的に許容され得る塩に変換してもよい。
【0011】
薬学的に許容され得る塩への言及は全て、同じ酸付加塩の溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形態(多型)を含むことを理解しなければならない。
【0012】
薬学的に許容され得る酸付加塩の例としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などで形成された酸付加塩、または有機酸、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフト酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、トリフルオロ酢酸などで形成された酸付加塩が挙げられる。
【0013】
一つの実施形態において、本発明は、R1が水素である式Iで示される化合物を提供する。
【0014】
一つの実施形態において、本発明は、R2が水素である式Iで示される化合物を提供する。別の実施形態において、本発明は、R2が−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6(式中、R6は、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3である)である式Iで示される化合物を提供する。別の実施形態において、本発明は、R2が−CH3、−CH2C(O)NH2または−CH(CH3)C(O)NH2である式Iで示される化合物を提供する。別の実施形態において、本発明は、R2が−S(O)2CH3または−C(O)R6(式中、R6は、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3である)である式Iで示される化合物を提供する。
【0015】
一つの実施形態において、本発明は、R3、R4およびR5が、独立して、水素またはハロゲンである、式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、R3、R4およびR5が水素である式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、R3、R4およびR5がフッ素である式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、R3およびR4が水素であり、R5がフッ素である、式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、R3が水素であり、R4およびR5がフッ素である、式Iで示される化合物を提供する。
【0016】
一つの実施形態において、本発明は、X−X’が−CH2−CH2−であり、Y−Y’が−CH2−CH2−である、式Iで示される化合物を提供する。別の実施形態において、本発明は、X−X’が−CH2−CH2−であり、Y−Y’が−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、X−X’が−CH=CH−であり、Y−Y’が−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、X−X’が−CH2−C(O)−であり、Y−Y’が−CH2−CH2−である、式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、X−X’が−CH2−C(O)−であり、Y−Y’が−CH=CH−である、式Iで示される化合物を提供する。更に別の実施形態において、本発明は、X−X’が−CH2−であり、Y−Y’が−CH2−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0017】
一つの実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R2が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R2が水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である、式Iで示される化合物を提供する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’およびY−Y’が、−CH2−CH2−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3が、ハロゲンであり;
4およびR5が、独立して、水素またはハロゲンであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’およびY−Y’が、−CH2−CH2−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が、−CH=CH−であり;
Y−Y’が、−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3または−C(O)R6であり;
3が、ハロゲンであり;
4およびR5が、独立して、水素またはハロゲンであり;
6が、−CH3または−CH2OCH3であり;
X−X’が、−CH=CH−であり;
Y−Y’が、−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が、−CH2−CH2−であり;
Y−Y’が、−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素であり;
3が、ハロゲンであり;
4およびR5が、独立して、水素またはハロゲンであり;
X−X’が、−CH2−CH2−であり;
Y−Y’が、−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が、−CH2−C(O)−であり、
Y−Y’が、−CH2−CH2−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素またはハロゲンであり;
6が、−CH3であり;
X−X’が、−CH2−C(O)−であり;
Y−Y’が、−CH2−CH2−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が、−CH2−であり;
Y−Y’が、−CH2−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、
1が、水素であり;
2が、水素であり;
3が、ハロゲンであり;
4およびR5が、独立して、水素またはハロゲンであり;
X−X’が、−CH2−であり;
Y−Y’が、−CH2−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物を提供する。
【0028】
一つの実施形態において、本発明は、
1−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−エタノン、
1−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−メトキシ−エタノン、
2−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−オキソ−アセトアミド、
3−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−3−オキソ−プロピオンアミド、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸メチルエステル、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルバルデヒド、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−メタンスルホニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸アミド、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸エチルアミド、
2−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−アセトアミド、
(RS)−2−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−プロピオンアミド、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−メトキシアセチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
3−アセチル−8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−3−オン、
7−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−3−オン、
7−ベンジルオキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
3−アセチル−7−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン及び
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−2−オン
から選択される、式Iで示される化合物を提供する。
【0029】
別の態様において、本発明は、
1が、水素またはメチルであり;
2が、水素であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R2が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R2が水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である、式Iで示される化合物の製造方法であって、
式II:
【0030】
【化11】

【0031】
(式中、P1は、例えば、tert−ブトキシカルボニル、メトキシカルボニルまたは9−フルオレニルメトキシカルボニル基のような保護基である)で示される化合物から保護基を開裂させることを含む製造方法を提供する。
【0032】
別の態様において、本発明は、
1が、水素またはメチルであり;
2が、水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R3が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R5であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R3が水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である、式Iで示される化合物の製造方法であって、
式III:
【0033】
【化12】

【0034】
で示される化合物を式IV:
【0035】
【化13】

【0036】
(式中、ZはOHであるか、またはR2が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6である場合には、Zはハロゲンもしくはスルホン酸残基であってもよい)で示される化合物と反応させることを含む製造方法を提供する。
【0037】
別の形態において、本発明は、
1が、水素またはメチルであり;
2が、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’が、同時に−CH2−C(O)−ではない、式Iで示される化合物の製造方法であって、
2が水素である式Iで示される化合物を、活性化アシル誘導体と反応させること、または縮合試薬を用いた酸の縮合反応によるか、もしくは活性化スルホニル誘導体との反応によるか、もしくはイソシアナートとの反応により反応させることを含む、製造方法を提供する。
【0038】
活性化アシル誘導体の例としては、ハロゲン化アシル、アシル無水物、およびクロロホルマートが挙げられる。
【0039】
活性化スルホニル誘導体の例としては、ハロゲン化スルホニルおよびスルホニル無水物が挙げられる。縮合試薬の例としては、カルボジイミドが挙げられる。
【0040】
別の態様において、本発明は、
1が、水素またはメチルであり;
2が、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、−C(O)NH2または−CH2C(O)NH2であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’が、同時に−CH2−C(O)−ではない、式Iで示される化合物の製造方法であって、
2が水素である式Iで示される化合物を、活性化アシル誘導体と反応させることまたは縮合試薬を用いた酸との縮合反応により反応させること、および得られたエステル官能基を対応するアミドに変換することを含む製造方法を提供する。
【0041】
別の形態において、本発明は、
1が、水素またはメチルであり;
2が、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2または−CH(CH3)C(O)NH2であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’が同時に−CH2−C(O)−ではないか、または他方が−CH=CH−である場合に、X−X’およびY−Y’が−CH2−CH2−ではない、式Iで示される化合物の製造方法であって、
2が水素である式Iで示される化合物をアルキル化剤と反応させることを含む製造方法を提供する。
【0042】
アルキル化剤の例としては、ハロゲン化物、トシラート、メシラートおよびトリフラートが挙げられる。
【0043】
本発明によれば、X−X’およびY−Y’が−CH2−CH2−である一般式Iで示される化合物は、例えば、以下に記載したとおり製造することができる。
【0044】
ベンズアゼピン誘導体:V[J. Heterocycl. Chem. (1971) 8(5),779-783]を出発原料として用い、R2が水素であり、X−X’およびY−Y’が−CH2−CH2−である、式Iで示される化合物を、適切に保護された式VIで示されるベンズアゼピン誘導体を用いて得ることができる。アミノ保護基としてのP1は、選択されたものであってもよく、以下のステップにおいて導入されるベンジル残基の存在下で開裂させてもよく、例えば、tert−ブトキシカルボニル、メトキシカルボニル、または9−フルオレニルメトキシカルボニルであってもよい。
【0045】
【化14】

【0046】
フェノール:VIのアルキル化は、塩基、例えば、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムの存在下で、それ自体が公知の方法により実行する。塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシラートまたはメシラートが、アルキル化剤として考慮される。反応は、反応条件下で不活性の溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはN,N−ジメチルホルムアミド中で、約0〜140℃の温度で実行する。別のアプローチとして、不活性溶媒(例えば、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン)中で、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンまたはトリブチルホスフィン)の存在下、ジアルキルアゾジカルボキシラート(例えば、ジエチルアゾジカルボキシラートまたはジイソプロピルアゾジカルボキシラート)を用いた、場合により置換されたベンジルアルコールのMitsunobu反応により、式VIIで示されるエーテル類が誘導される。特にR3、R4およびR5が水素である式VIIで示されるベンジル誘導体において、ベンジル基は、保護基として用いることができ、水素添加分解による開裂の後、前述の方法を用いた異なる置換ベンジル基により、後期段階で置換してもよい。
【0047】
2が水素である式Iで示されるアミンの製造では、保護基は、P1の性質に応じて、当該技術分野の熟練者に一般に知られる適切な方法で、例えばtert−ブトキシカルボニル基の場合には酸性条件下で、またはメトキシカルボニル基もしくは9−フルオレニルメトキシカルボニル基の場合には塩基性条件下で、開裂させなければならない。
【0048】
2が水素である式Iで示される化合物の誘導体化により、R2が(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6である、式Iで示される化合物を直接誘導してもよい。R2がアシル残基である場合、活性化酸誘導体、例えば、酸塩化物もしくは酸無水物を用いてもよく、またはそれ自体が公知の酸とアミンとの縮合方法を適用してもよい。R2がアルコキシカルボニル残基である場合、クロロホルマートを用いてもよい。R2がアミノカルボニル残基である場合、イソシアナート、例えば、トリメチルシリルイソシアナートまたはアルキルイソシアナートを用いてもよい。R2がスルホニル残基である場合、活性化誘導体、例えば、塩化スルホニルまたはスルホニル無水物を用いてもよい。R2がアルキル残基を示している場合、アルキル化は、塩基、例えば炭酸カリウムまたは炭酸セシウムの存在下で、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシラートまたはメシラートをアルキル化剤として用い、それ自体が公知の方法により実行する。その反応は、反応条件下で不活性の溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはN,N−ジメチルホルムアミド中で、約0〜140℃の温度で実行する。
【0049】
2が水素である式Iで示される化合物の誘導体化は、式IX(式中、R2.1は、R2に変換され得る官能基、例えばアンモノリシスにより対応するアミドに変換されるアルキルエステルを含む)で示される化合物を介して実行してもよい。
【0050】
式IXで示される化合物は、R2.1がアシル、アルコキシカルボニルまたはスルホニル残基を表す、式VIIIで示される化合物を介して直接得ることができる。式VIIIで示される化合物は、R2が水素である式Iで示される化合物の誘導体化の場合には、先に記載した手順を用いて製造することができる。
【0051】
【化15】

【0052】
X−X’が−CH=CH−であり、Y−Y’が−CH2−C(O)−である、式Iで示される化合物は、以下に概説するとおり、中間体8−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン(XII)を介し、文献から公知の手順またはそれに非常に類似した手順、例えばJ. Med. Chem. 33(5) 1496-1504 (1990)に記載されたとおりに得ることができる。
【0053】
3−ヒドロキシフェニル酢酸(ここでのR9は、メチルまたはベンジルの意味を有する)の活性化誘導体の縮合から出発して[Synthesis 9, 1214-1216 (2000)]、アミノアセトアルデヒドアセタール(ここでのR10は、例えばメチルまたはエチルの意味を有する)との反応により、アミド:XIを誘導する。酸性条件、例えば酢酸中の濃塩酸、またはポリリン酸の下で、基:R9の少なくとも一部を失う下で、7員環への閉環を実施し、アゼピノンXIIを得る。
【0054】
式Iで示される化合物への更なる誘導体化は、既に先に記載した手順に従う。
【0055】
2がアシル、アルコキシカルボニルまたはスルホニル残基である場合、式Iで示される化合物は、既に先に記載した手順に従って得ることができる。R2がアルキルである場合、アルキル化は、溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドまたはTHF)中で、塩基(例えばカリウムtert−ブタノラートのようなアルコラート、または水素化ナトリウムのような水素化物)の存在下、塩化物、臭化物、ヨウ化物、トシラートまたはメシラートをアルキル化剤として用い、それ自体が公知の方法により実行する。
【0056】
【化16】

【0057】
X−X’が−CH2−CH2−であり、Y−Y’が−CH2C(O)−である、式Iで示される化合物は、先に記載した方法により中間体XIIIを介して得ることができる。アセピノンXIIIは、XIIの水素化により得ることができる。
【0058】
【化17】

【0059】
X−X’が−CH2−C(O)−であり、Y−Y’が−CH=CH−である、式Iで示される化合物は、既に先に記載した方法により以下に概説するとおり、式XVIまたはXVI−1で示される中間体から出発して製造することができる。
【0060】
中間体アゼピノンXVIは、異なる方法で得ることができる。
(a)対応する6員環の合成に関するHeterocycle 9(9),1197(1978)に記載された手順に従って、塩化ジアルコキシアセチルによるフェネチルアミン:XIVのアシル化から、ジアルコキシアセトアミド:XVを得、それを酸、例えば濃硫酸によりアゼピノン:XVIに環化する。ここでのR10は、メチルまたはベンジルの意味を有していてもよく、少なくとも一部が環化工程の際に失われ得る一時的な基を表す。
【0061】
【化18】

【0062】
(b)あるいはChem. Pharm. Bull. 37(4) 939-943(1989)に記載された手順に従って、アゼピノン:XVIへの環化を、Pummerer型反応により、スルフィド:XVIIIを介して、これを例えばナトリウムメタペリオダートによりα−(メチルスルフィニル)アセトアミド:XX(R11=メチル)に酸化し、酸(例えば、4−トルエンスルホン酸)処理、またはトリフルオロ酢酸無水物での処理により、アゼピノン:XXに環化することにより実施することができる。RaneyニッケルによるXXの脱硫から、保護基:P2に応じてアゼピノン:XXIまたはXVIが得られる。P2は、代表的なアミノ保護基、例えば、tert−ブトキシカルボニルまたはベンジルオキシカルボニルを表していてもよい。
【0063】
【化19】

【0064】
(c)式XXIVで示される不飽和類似体は、Chemistry-A European Journal 7(24), 5286-5298(2001)に記載されたのと同様な手順で得ることができ、この場合、式XXIIで示されるヨウ化ビニルを、銅(I)チオフェン−2−カルボキシラートおよび塩基の存在下でジアルコキシアセトアミドと反応させて、エナミド:XXIIIを得る。以下に記載するとおり、酸性条件下での環化から、アゼピノン:XXIV(例えば、R9=メチル)が得られる。
【0065】
【化20】

【0066】
式XXIIで示される化合物は、対応するα,β−不飽和芳香族カルボン酸から出発し、例えばTetrahedron Letters 42(52) 9253(2001)に記載される酸化的ハロデカルボキシレーション(oxidative halodecarboxylation)と、その後の、例えばSynthesis (3),236-238(1988)に記載される、対応するヨウ化物へのハロゲン交換反応により製造することができる。
【0067】
当業者に公知の環拡大反応により、式XXXおよびXVI−1で示される化合物を誘導することができる。そのような反応の例は、例えばSchmidt転位またはBeckmann転位など、以下に概説しているが、両者とも、例えば市販の6−メトキシ−2−テトラロン(XXV)から出発する。
【0068】
XXVのアジ化水素酸での処理により、式XXXおよびXVI−1で示されるアゼピノンの混合物を得、分離した後、それぞれ一般式XIIIまたはIで示される化合物に変換してもよい。合成の後期段階で分離を行ってもよい。
【0069】
【化21】

【0070】
同様の方法で、オキシム:XXVIを通して、試薬、例えば、五塩化リン、硫酸またはポリリン酸で処理した後の転位により、式XXXおよびXVI−1で示される各アゼピノンの混合物を得ることができる。
【0071】
【化22】

【0072】
式XVI−1で示されるアゼピノンを得る別のアプローチは、J. Org. Chem. 53, 5793-5796 (1988)に記載される四酢酸鉛による、式XXVIIで示されるイソキノリンエナミドの酸化的環拡大により得られる[式XXVIIで示される化合物は、R9=メチルについてはTetrahedron Letters 43 (29) 5089-5091(2002)に記載されるとおり、またはBioorg. Med. Chem. Lett. 13 (17),2853 (2003)に記載されるとおり製造することができる]。
【0073】
【化23】

【0074】
式Iで示される化合物の薬学的に許容され得る塩は、それ自体が公知の方法により、塩に転換される化合物の性質を考慮しながら容易に製造することができる。無機酸または有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などは、式Iで示される塩基性化合物の薬学的に許容され得る塩の形成に適している。
【0075】
以下の実施例は、式Iで示される化合物の幾つかの例の製造を例示するために示している。それらは、本発明の範囲を限定するものではなく、単に代表例と考えるべきである。用語「室温」は、「RT」と略した。
【0076】
実施例1:1−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−エタノン
a)7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸tert-ブチルエステル:
水40mlとジオキサン80mlとの混合物中の2,3,4,5−テトラヒドロ−7−ヒドロキシ−1H−3−ベンズアゼピン[J. Heterocycl. Chem. 8:779-783 (1971)]2.3g(14.1mmol)の白色懸濁液を、炭酸ナトリウム4.48g(42.3mmol)およびジ−tert−ブチルジカルボナート6.27g(28.2mmol)で連続して0℃で処理した。混合物を放置してRTまで昇温させ、18時間撹拌した。仕上げのために、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルで処理し、直ちに水層を分離して、酢酸エチルで2回洗浄した。ひとまとめにした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、ろ液を減圧下で蒸発させた。精製のために、得られた粗材料(黄色油状物6.21g)を、n−ヘキサンと酢酸エチルとの3:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸tert-ブチルエステル2.81g(理論値の76%)が白色固形物として得られた[MS:m/e=262(M+H)+]。
b)7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル:
アセトン33ml中の7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸tert-ブチルエステル2.75g(10.4mmol)の懸濁液を、固体形態の炭酸カリウム1.56g(11.5mmol)および臭化3−フルオロベンジル1.48ml(11.5mmol)で連続して処理した。混合物を還流下で18時間加熱した。仕上げのために、シリカゲル1gを冷却した反応混合物に添加し、その後、減圧下で蒸発させた。精製のために、得られた残渣を、n−ヘキサンと酢酸エチルとの4:1混合物を溶離液として用いたフラッシュクロマトグラフィーによるシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル3.42g(理論値の88%)が無色油状物として得られた[MS:m/e=371(M+H)+]。
c)7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩:
メタノール47ml中の7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸tert−ブチルエステル3.18g(8.6mmol)の溶液を、塩酸(37%)6.8ml(85.6mmol)で処理して、その黄色がかった溶液を45℃で1時間加熱した。仕上げのために、反応混合物を減圧下で蒸発させて、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩2.42g(理論値の92%)を白色固形物として得、更に精製せずに次のステップで用いた[MS:m/e=272(M+H)+]。
d)1−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−エタノン:
ジクロロメタン1ml中の7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩50mg(0.16mmol)の溶液を、トリエチルアミン50μl(0.36mmol)で処理した。0℃に冷却した後、塩化アセチル13μl(0.18mmol)を溶液に添加して、0℃で30分間撹拌し続けた。仕上げのために、飽和塩化アンモニウム水溶液2mlを添加して、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ蒸発させて、粗材料99mgを得た。精製のために、材料を、ジクロロメタンとメタノールとの98:2混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。1−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−エタノン44mg(理論値の87%)が無色油状物として得られた[MS:m/e=313(M)+]。
【0077】
実施例2:1−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−メトキシエタノン
N−エチルジイソプロピルアミンを塩基として用い、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]およびメトキシ酢酸クロリドから、実施例1、d)と同様に表題化合物を製造した[収率:無色油状物として理論値の98%;MS:m/e=344(M+H)+]。
【0078】
実施例3:2−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−オキソアセトアミド
a)[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−オキソ酢酸エチルエステル:
トリエチルアミンを塩基として用い、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]およびエチルシュウ酸クロリドから、実施例1、d)と同様に表題化合物を製造した[収率:無色油状物として理論値の88%;MS:m/e=372(M+H)+]。
b)2−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−オキソアセトアミド:
密閉した試験管中で、ジオキサン0.5ml中の[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−オキソ酢酸エチルエステル52mg(0.14mmol)と、水酸化アンモニウム水溶液(25%)0.7ml(4.6mmol)との混合物を、100℃で2時間加熱した。仕上げのために、反応混合物を減圧下で蒸発させた。水とアセトニトリル(+ギ酸0.1%)との95:5混合物〜5:95混合物の勾配を溶離液として利用して、残渣を分取HPLCにより精製し、2−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−オキソアセトアミド43mg(理論値の88%)を白色固形物として得た[MS:m/e=360(M+NH4+]。
【0079】
実施例4:3−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−3−オキソプロピオンアミド
a)3−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−3−オキソプロピオン酸エチルエステル:
トリエチルアミンを塩基として用い、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]およびエチルマロン酸クロリドから、実施例1、d)と同様に表題化合物を製造した[収率:無色油状物として理論値の70%;MS:m/e=386(M+H)+]。
b)3−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−3−オキソプロピオンアミド:
密閉した試験管中で、ジオキサン0.3ml中の3−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−3−オキソプロピオン酸エチルエステル23mg(0.06mmol)と、水酸化アンモニウム水溶液0.7ml(4.6mmol)との混合物を、100℃で4時間加熱した。仕上げのために、反応混合物を減圧下で蒸発させた。水とアセトニトリル(+ギ酸0.1%)との95:5混合物〜5:95混合物の勾配を溶離液として利用して、残渣を分取HPLCにより精製し、3−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−3−オキソプロピオンアミド11mg(理論値の52%)を白色固形物として得た[MS:m/e=357(M+H)+]。
【0080】
実施例5:7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸メチルエステル
トリエチルアミンを塩基として用い、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]およびメチルクロロホルマートから、実施例1、d)と同様に表題化合物を製造した[収率:無色油状物として理論値の95%;MS:m/e=330(M+H)+]。
【0081】
実施例6:7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボアルデヒド
無水酢酸147μlとギ酸74μlとの混合物を、60℃で2時間撹拌した。その後、溶液をRTまで冷却し、テトラヒドロフラン1mlで希釈して、テトラヒドロフラン1mlとジクロロメタン2mlとの混合物中の7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン250mg(0.9mmol)の溶液で処理した。添加した直後に懸濁液が形成され、それをRTで1時間撹拌した。仕上げのために、反応混合物をジクロロメタンで希釈して、水で2回洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ蒸発させた。精製のために、得られた材料(黄色油状物256mg)を、ジクロロメタンとメタノールとの99:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボアルデヒド226mg(理論値の82%)が無色油状物として得られた[MS:m/e=300(M+H)+]。
【0082】
実施例7:7−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メタンスルホニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン
テトラヒドロフラン8ml中の7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]200mg(0.65mmol)の溶液を、トリエチルアミン198μl(1.4mmol)で処理した。混合物を0℃に冷却して、メタンスルホクロリド56μl(0.7mmol)を添加した。0℃で30分経過した後、反応混合物を水で2回抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ蒸発させて、純粋な7−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メタンスルホニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン215mg(理論値の95%)を白色固形物として得た[MS:m/e=349(M)+]。
【0083】
実施例8:7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸アミド
N,N−ジメチルホルムアミド2ml中の7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]250mg(0.8mmol)とN−エチルジイソプロピルアミン423μl(2.4mmol)との混合物を、トリメチルシリルイソシアナート336μl(2.4mmol)で0℃で処理した。混合物をRTで4時間撹拌した。仕上げのために溶媒を減圧下で蒸発させ、直ちに赤色の残渣をジクロロメタンに溶解させた。有機層を水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ蒸発させた。精製のために、得られた粗材料(赤色固形物289mg)を、ジクロロメタンとメタノールとの98:2混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸アミド175mg(理論値の68%)が白色固形物として得られた[MS:m/e=315(M+H)+]。
【0084】
実施例9:7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸エチルアミド
ジクロロメタン1ml中の7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]50mg(0.16mmol)とトリエチルアミン27μl(0.2mmol)との混合物を、エチルイソシアナート13μl(0.16mmol)で−20℃で処理した。混合物を放置してRTまで昇温させ、18時間撹拌したた。仕上げのために、溶媒を蒸発させた。精製のために、得えられた粗材料(白色固形物88mg)を、ジクロロメタンとメタノールと水酸化アンモニウムとの98:2:0.1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸エチルアミド47mg(理論値の85%)が白色固形物として得られた[MS:m/e=343(M+H)+]。
【0085】
実施例10:2−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−アセトアミド
アセトン1ml中の7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]70mg(0.23mmol)の溶液を、炭酸カリウム69mg(0.5mmol)および2−クロロアセトアミド24mg(0.25mmol)で連続して処理した。反応混合物を18時間加熱還流した。仕上げのために、シリカゲル1gを冷却した反応混合物に添加し、その後、それを減圧下で蒸発させた。精製のために、得られた粗材料を、ジクロロメタンとメタノールと水酸化アンモニウムとの95:5:0.1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。2−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−アセトアミド38mg(理論値の51%)が白色固形物として得られた[MS:m/e=329(M+H)+]。
【0086】
実施例11:(RS)−2−[7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−プロピオンアミド
炭酸カリウムを塩基として用い、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン塩酸塩[実施例1、c)]および(RS)−2−ブロモプロピオンアミドから、実施例10と同様に表題化合物を製造した[収率:白色固形物として理論値の85%;MS:m/s=343(M+H)+]。
【0087】
実施例12:8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン
J. Med. Chem. 33:1496-1504 (1990)に記載された手順と同様に、中間体8−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン(b)を以下の方法で製造した。
a)2−(3−ベンジルオキシフェニル)−N−(2,2−ジメトキシエチル)−アセトアミド:
ジクロロメタン50ml中の3−(ベンジルオキシ)フェニル酢酸5.0g(20.6mmol)(Synthesis 9:1214-1216(2000))の懸濁液に、塩化チオニル4.5ml(62mmol)を、RTで10分内で滴下した。得られた黄色がかった溶液を、還流下で90分間撹拌した。冷却後に、反応混合物を減圧下で蒸発させ、粗酸塩化物をRT、HV下に保持し、黄褐色がかった油状物5.38gを得た。その後、温度が5〜10℃に保持されるように冷却しながら、ジクロロメタン15ml中の前述の酸塩化物の溶液を、ジクロロメタン30ml中のアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール2.17g(20.6mmol)およびトリエチルアミン2.09g(20.6mmol)の溶液に滴下した。反応混合物を放置してRTまで昇温させ、1時間撹拌し続けた。仕上げのために、反応混合物をジクロロメタン100mlで希釈し、その後、水50mlで洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ蒸発させた。得られた2−(3−ベンジルオキシフェニル)−N−(2,2−ジメトキシエチル)−アセトアミド6.7g(理論値の98%)は、更に精製ずに次のステップで用いるのに十分に純粋であった。
b)8−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
濃塩酸6ml中の2−(3−ベンジルオキシフェニル)−N−(2,2−ジメトキシエチル)−アセトアミド1.0g(3.0mmol)の懸濁液を、氷酢酸6mlで処理した。反応混合物をRTで60時間撹拌した。仕上げために、反応混合物を氷と水との混合物で加水分解した。沈殿した生成物を濾過用漏斗で回収し、その後、RT、HV下で乾燥させた。8−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン316mg(理論値の59%)がベージュ色の粉末として得られた[MS:m/e=174(M−H)+]。
c)8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
アセトン15mlとN,N−ジメチルホルムアミド1mlとの混合物中の8−ヒドロキシ−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン400mg(2.3mmol)の溶液を、炭酸カリウム351mg(2.5mmol)で処理した。その後、臭化3−フルオロベンジル500mg(2.5mmol)を、その橙色溶液に添加した。反応混合物を60℃で18時間撹拌すると、褐色がかった懸濁液が形成した。仕上げのために、冷却した反応混合物を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を直接、ヘプタンと酢酸エチルとの1:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにかけた。8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン404mg(理論値の62%)が黄色がかった粉末として得られた[MS:m/e=284(M+H)+]。
【0088】
実施例13:8−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
不活性雰囲気下の乾燥フラスコ中で、8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン70mg(0.25mmol)をテトラヒドロフラン5mlに溶解し、その溶液を0℃に冷却した。直ちに水素化ナトリウム(油中に50%)14mg(0.3mmol)を添加して、0℃で15分間撹拌し続けた。最後に、ヨウ化メチル17μl(0.3mmol)を添加した。反応混合物を放置してRTまで昇温させ、90分間撹拌し続けた。反応を完了させるために、混合物を40℃で2時間加熱した。仕上げのために、反応混合物を減圧下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル10mlに溶解して、その溶液を水4mlで抽出し、その後、硫酸ナトリウムで乾燥させて、減圧下で蒸発させた。精製のために、得られた粗材料を、ヘプタンと酢酸エチルとの2:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。8−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン51mg(理論値の69%)が黄色がかった固形物として得られた[MS:m/e=297(M)+]。
【0089】
実施例14:8−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メトキシアセチル−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン
不活性雰囲気下の乾燥フラスコ中で、8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン50mg(0.18mmol)を、ジクロロメタン3mlに溶解し、その溶液を0℃に冷却した。直ちにトリエチルアミン21mg(0.21mmol)を添加して、0℃で撹拌し続けた。最後に、メトキシ酢酸クロリド18μl(0.2mmol)を添加した。反応混合物を放置してRTまで昇温させ、18時間撹拌し続けた。仕上げのために、反応混合物を減圧下で蒸発させた。精製のために、得られた粗材料を直接カラムに移して、ジクロロメタンとメタノールとの99:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。8−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メトキシアセチル−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン15mg(理論値の24%)が白色粉末として得られた[MS:m/e=356(M+H)+]。
【0090】
実施例15:3−アセチル−8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン
不活性雰囲気下の乾燥フラスコ中で、8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン103mg(0.36mmol)および酢酸ナトリウム72mg(0.9mmol)を、無水酢酸0.3mlに懸濁させた。その溶液を140℃で4時間加熱した。仕上げのために、反応混合物を冷却し、その後、減圧下で蒸発させた。残渣を氷/水1.5mlおよび酢酸エチル4mlで処理した。水層を分離して、酢酸エチル4mlで再抽出した。ひとまとめにした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、溶媒を減圧下で蒸発させた。精製のために、得られた粗材料を、ヘプタン〜ヘプタンと酢酸エチルとの4:1混合物の勾配を溶離液として利用したシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。3−アセチル−8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン91mg(理論値の77%)が薄黄色固形物として得られた[MS:m/e=325(M)+]。
【0091】
実施例16:8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン
a)8−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン70mg(0.4mmol)を、エタノール2mlに溶解した。パラジウム(炭素上に10%)22mgを添加した後、RTおよび大気圧で水素化を実施した。60時間後に、触媒をろ別して溶媒を蒸発させ、粗8−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン62mg(理論値の88%)を得、更に精製せずに次のステップで用いた[MS:m/e=176(M−H)+]。
b)8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
アセトン30ml中の8−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン719mg(4.1mmol)の溶液を、炭酸カリウム664mg(4.8mmol)で処理した。その後、臭化3−フルオロベンジル883mg(4.7mmol)をその溶液に添加して、反応混合物を50℃で36時間撹拌した。仕上げのために、冷却した反応混合物を減圧下で蒸発させ、得られた残渣を直接、ジクロロメタンとメタノールとの99:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにかけた。8−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン210mg(理論値の18%)を黄色がかった粉末として得た[MS:m/e=286(M+H)+]。
【0092】
実施例17:7−(2,3,4−トリフルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−(2,3,4−トリフルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オン
a)7−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−メトキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−オン:
酢酸3.4ml中の6−メトキシテトラロン500mg(2.7mmol)とアジ化ナトリウム350mg(5.4mmol)との混合物を、70℃に加熱した。その後、70℃の温度が保持されるようにして、硫酸0.85ml(15.2mmol)を滴下した。完全に添加した後、反応混合物を氷上で加水分解し、その後、固体炭酸水素ナトリウムで中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を分離して、硫酸ナトリウムで乾燥させ蒸発させた。精製のために、残渣を、ジクロロメタンとメタノールとの95:5混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。7−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンと7−メトキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−オンとの混合物200mg(理論値の39%)が褐色固形物として得られた[MS:m/e=192(M+H)+]。
b)7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オン:
ジクロロメタン4ml中の7−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−メトキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−3−オンとの混合物200mg(1.0mmol)の溶液を0℃に冷却して、三臭化ホウ素4.18ml(4.2mmol)を滴下して処理した。反応混合物を放置してRTまで昇温させ、1時間撹拌し続けた。仕上げのために、混合物を水酸化ナトリウム(2M)の溶液1.05ml(2.1mmol)で処理して、ジクロロメタンで抽出した。水層を酸化して、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後、減圧下で蒸発させた。異性体の粗混合物である褐色固形物74mgを、更に精製および特性決定を行わずに次のステップで用いた[MS:m/e=178(M+H)+]。
c)7−(2,3,4−トリフルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−(2,3,4−トリフルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オン:
2−ブタノン4ml中の7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オン60mg(0.34mmol)と、炭酸カリウム94mg(0.7mmol)と、臭化2,3,4−トリフルオロベンジル86mg(0.37mmol)との混合物を、90℃で18時間加熱した。仕上げのために、反応混合物を冷却して、減圧下で蒸発させた。精製のために、粗生成物を、ジクロロメタンとメタノールとの98:2混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。7−(2,3,4−トリフルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンと7−(2,3,4−トリフルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オンとの3:4混合物50mg(理論値の46%)が薄黄色固形物として得られた[MS:m/e=322(M+H)+]。
【0093】
実施例18:7−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オン
実施例17、c)に記載されたものと同様の手法で、2−ブタノン中、炭酸カリウムの存在下で7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンと7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オンとの混合物を、臭化2,6−ジフルオロベンジルでアルキル化して、7−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンと7−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オンとの混合物を得た。前述の異性体混合物を、n−ヘプタンとエタノールとの4:1混合物を溶離液として用いた分取HPLCカラムで分離した。最初に溶離された7−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オン[MS:m/e=304(M+H)+]と、後に溶離された7−(2,6−ジフルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン[MS:m/e=304(M+H)+]とが、2:7の比でそれぞれ白色固形物として得られた。
【0094】
実施例19:7−ベンジルオキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン
a)7−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンおよび7−メトキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オン:
酢酸3.4ml中の6−メトキシ−2−テトラロン500mg(2.8mmol)とアジ化ナトリウム354mg(5.4mmol)との混合物を、70℃に加熱した。その後、温度が70℃に保持されるようにして、硫酸(96%)0.85mlを滴下した。完全に添加した後、15分間撹拌し続けた。仕上げのために、反応混合物を氷上で加水分解し、直ちに水酸化ナトリウム(2M)を添加して中和し、ジクロロメタンで抽出した。精製のために、得られた粗材料を、ジクロロメタンとメタノールとの99:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。最初に溶離された異性体7−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンは、薄褐色固形物として180mg(理論値の35%)得られ[MS:m/e=191(M)+]、第2の異性体7−メトキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−3−オンは、薄褐色固形物として73mg(理論値の14%)得られた[MS:m/e=191(M)+]。
b)7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
ジクロロメタン10ml中の7−メトキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン1.07g(5.6mmol)の溶液を、ジクロロメタン(1M)中の三臭化ホウ素の溶液22.3mlで0℃で処理した。RTで1時間撹拌した後、反応混合物を蒸発させて、残渣を直接、ジクロロメタンとメタノールとの95:5混合物を溶離液として用いたクロマトグラフィーにかけた。7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン625mg(理論値の63%)が薄褐色固形物として得られた[MS:m/e=178(M+H)+
c)7−ベンジルオキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
実施例17、c)に記載されたものと同様の手法で、2−ブタノン中、炭酸カリウムの存在下で、90℃で7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンを、臭化ベンジルでアルキル化して、7−ベンジルオキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンを白色固形物として得た[MS:m/e=268(M+H)+]。
【0095】
実施例20:7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
実施例17、c)に記載されたものと同様の手法で、2−ブタノン中、炭酸カリウムの存在下で、7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン[実施例19、b]]を、臭化3−フルオロベンジルでアルキル化して、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンを白色固形物として得た[MS:m/e=286(M+H)+]。
【0096】
実施例21:7−(3−クロロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
実施例17、c)に記載されたものと同様の手法で、2−ブタノン中、炭酸カリウムの存在下で、7−ヒドロキシ−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン[実施例19、b]を、臭化3−クロロベンジルでアルキル化して、7−(3−クロロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オンを白色固形物として得た[MS:m/e=302(M+H)+]。
【0097】
実施例22:3−アセチル−7−(3−クロロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン:
無水酢酸0.12ml中の7−(3−クロロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン50mg(0.2mmol)と酢酸ナトリウム33mg(0.4mmol)との混合物を、145℃で4.5時間加熱した。仕上げのために、反応混合物を冷却して、水およびジクロロメタンで処理した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、最後に蒸発させた。精製のために、得られた粗材料を、ヘプタンと酢酸エチルとの4:1混合物を溶離液として用いたシリカゲルのクロマトグラフィーにかけた。3−アセチル−7−(3−クロロベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[d]アゼピン−2−オン45mg(理論値の79%)が白色泡状物として得られた[MS:m/e=344(M+H)+]。
【0098】
実施例23:7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−オン:
a)7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−オン:
実施例19、c)に記載されたものと同様の手法で、7−メトキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−オン[実施例19、a]を三臭化ホウ素によりエーテル開裂させて、7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−オンを白色固形物として得た[MS:m/e=178(M+H)+]。
b)7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−オン:
実施例17、c)に記載されたものと同様の手法で、2−ブタノン中、炭酸カリウムの存在下で、7−ヒドロキシ−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−オンを臭化3−フルオロベンジルでアルキル化して、7−(3−フルオロベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−2−オンを白色固形物として得た[MS:m/e=286(M+H)+]。
【0099】
式Iで示される化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、式Iで示される化合物の個々の異性体、ならびにそのラセミおよび非ラセミ混合物(以後、医薬化合物)と同じく、薬理活性を有し、医薬品として有用である。詳細には、医薬化合物は、モノアミンオキシダーゼBの活性を選択的に阻害する。
【0100】
該医薬化合物の薬理活性は、例えば以下のとおり実証することができる。
【0101】
ヒトMAO−AおよびMAO−BをコードしているcDNAを、Schlaeger and Christensen [Cytotechnology 15:1-13 (1998)]により記載された手順を利用して、EBNA細胞に一過的にトランスフェクトした。トランスフェクトの後、細胞をPolytronホモジナイザーを用いて、0.5mM EGTAおよび0.5mMフッ化フェニルメタンスルホニルを含有する20mM Tris HCl(pH8.0)緩衝液中で均質化した。細胞膜を45,000×gでの遠心分離により得て、0.5mM EGTAを含有する20mM Tris HCl緩衝液(pH8.0)での2回のリンスステップの後、膜を最終的に上記緩衝液中に再懸濁させて、使用するまでアリコートを−80℃で貯蔵した。
【0102】
MAO−AおよびMAO−Bの酵素活性を、Zhou and Panchuk-Voloshina[Analytical Biochemistry 253:169-174 (1997)]により記載された方法から採用した分光光度アッセイを利用して、96穴プレートでアッセイした。簡潔に述べると、膜のアリコートを、様々な濃度の化合物を含むかまたは含まない0.1Mリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)中で、37℃30分間インキュベートした。この期間の後、1U/mlホースラディッシュペルオキシダーゼ(Roche Biochemicals)および80μM N−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン(Amplex Red, Molecular Probes)と一緒にMAO基質チラミンを添加することにより、酵素反応を開始させた。試料を、最終容量200μl中、37℃で30分間更にインキュベートし、その後、吸光度を、SpectraMaxプレートリーダ(Molecular Devices)を用いて570nmの波長で測定した。バックグランド(非特異的)吸光度を、MAO−Aではクロルギリン10μM、またはMAO−BではL−デプレニル10μMの存在下で測定した。
【0103】
コンピュータプログラムを用いたパラメータ4種のロジスティック方程式にデータを当てはめて、二重測定での9種の阻害濃度を利用して得られた阻害曲線から、IC50値を決定した。
【0104】
本発明の化合物は、特異的MAO−B阻害物質である。上記のアッセイで測定した式Iで示される化合物のIC50値は、10μM以下の範囲内であり、代表的には1μM以下、理想的には0.1μM以下である。以下の表は、例示的なIC50値を示している。
【0105】
【表1】

【0106】
したがって医薬化合物は、モノアミンオキシダーゼBの選択的阻害剤として、例えばモノアミンオキシダーゼBの活性が役割を果たすまたは関係する疾患および状態の治療または予防において有用である。そのような状態としては、詳細には急性および/または慢性神経疾患が挙げられる。
【0107】
急性および/または慢性神経疾患としては、精神病、精神分裂病、アルツハイマー病、軽度認知障害のような認知障害および記憶障害、年齢関連認知機能低下、血管性痴呆症、パーキンソン病、うつまたは不安に関連する記憶障害、ダウン症候群、発作、外傷性脳損傷、および注意欠陥障害が挙げられる。他の処置可能な適応症は、バイパス手術または移植により誘発された脳機能の低下、脳への血液供給の不足、脊髄損傷、頭部損傷、妊娠による低酸素、心停止および低血糖である。更に処置可能な適応症は、急性および慢性疼痛、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSによる痴呆、目の損傷、網膜症、特発性パーキンソン病または薬剤によるパーキンソン病、ならびにグルタミン酸欠乏性機能(glutamate-deficient functions)を誘発する状態、例えば、筋痙攣、痙攣、片頭痛、尿失禁、ニコチン中毒、精神病エピソード、アヘン中毒、不安、嘔吐、運動障害およびうつである。
【0108】
一つの実施形態において、急性および/または慢性神経疾患は、アルツハイマー病である。別の実施形態において、急性および/または慢性神経疾患は、軽度認知障害または老人性痴呆症である。
【0109】
本明細書において用いられる急性および/または慢性神経疾患の処置を必要とする哺乳類は、例えば、急性および/または慢性神経疾患を罹患しているヒト、または罹患するリスクのあるヒトなどの哺乳類を意味する。
【0110】
本明細書において用いられ、急性および/または慢性神経疾患に適用される用語「処置」は、現在、患者を悩ませるそのような疾患または前記疾患に関連する症状を緩和、改善、軽減または後退させること、およびそのような障害またはその症状が発現するのを予防することを指す。
【0111】
医薬化合物は、例えば医薬配合剤の形態で、医薬として用いることができる。該医薬配合剤は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖皮錠、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤または懸濁剤の形態で、経口投与することができる。しかし、投与は経腸的に(例えば坐剤の形態で)または非経口的に(例えば注射剤の形態で)実行してもよい。
【0112】
薬学的に許容され得る担体、賦形剤などの「薬学的に許容され得る」は、特定の化合物が投与される対象に、薬理学的に許容され得て実質的に非毒性であることを意味する。
【0113】
「治療上効果的な量」は、疾患の症状を予防、軽減もしくは改善するのに効果的な量、または処置される対象の生存を延長させるのに効果的な量を意味する。
【0114】
本発明の更なる目的は、本発明の化合物に基づく医薬およびそれらの製造、ならびにモノアミンオキシダーゼB阻害物質により仲介される疾患のコントロールまたは予防における該化合物の使用、および対応する医薬の製造のための該化合物の使用である。
【0115】
医薬化合物は、医薬配合剤の製造のために、薬学的に不活性の無機または有機担体と共に加工処理することができる。ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などを、例えば、錠剤、コーティング錠、糖皮錠および硬ゼラチンカプセル剤用の担体として用いることができる。軟ゼラチンカプセル剤に適した担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形および液体ポリマーなどであるが、活性物質の性質にもよるが、軟ゼラチンカプセル剤の場合には通常、担体は必要ない。液剤およびシロップ剤の製造に適した担体は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコースなどである。補助薬、例えば、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などを、式Iで示される化合物の水溶性塩の水性注射剤に用いることができるが、原則として必要ない。坐剤に適した担体は、例えば、天然油または硬化油、ワックス、脂肪、半液体または液体ポリオールなどである。
【0116】
加えて、該医薬配合剤は、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香料、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、または抗酸化剤を含有していてもよい。それらは、他の薬学的に有用な物質を含有していてもよい。
【0117】
先に述べたとおり、医薬化合物および薬学的に不活性の賦形剤を含有する医薬も、そのような医薬の製造方法と同じく本発明の目的であり、その製造方法は、1種以上の医薬化合物と、所望なら1種以上の他の薬学的に有用な物質を、1種以上の薬学的に不活性の担体と共に生薬投与形態にすることを含む。
【0118】
投与量は、広い限界内で変動してもよく、もちろん個々の症例の各要件に適合させる。一般に、経口または非経口投与に効果的な投与量は、0.01〜20mg/kg/日であり、0.1〜10mg/kg/日の投与量が、記載した適応症全てについて好ましい。したがって体重70kgの成人への一日用量は、0.7〜1400mg/日、好ましくは7〜700mg/kgである。
【0119】
実施例A:錠剤
以下の組成の錠剤を、従来の手法で製造した:
mg/錠
活性成分 100
粉末ラクトース 95
白色コーンスターチ 35
ポリビニルピロリドン 8
カルボキシメチルスターチナトリウム 10
ステアリン酸マグネシウム 2
錠剤の重量 250
【0120】
実施例B:錠剤
以下の組成の錠剤を、従来の手法で製造した:
mg/錠
活性成分 200
粉末ラクトース 100
白色コーンスターチ 64
ポリビニルピロリドン 12
カルボキシメチルスターチナトリウム 20
ステアリン酸マグネシウム 4
錠剤の重量 400
【0121】
実施例C:カプセル剤
以下の組成のカプセル剤を製造した:
mg/カプセル
活性成分 50
結晶性ラクトース 60
微結晶セルロース 34
タルク 5
ステアリン酸マグネシウム 1
カプセル充填重量 150
【0122】
適切な粒度を有する活性成分、結晶性ラクトースおよび微結晶セルロースを、互いに均質に混合し、ふるいにかけ、その後、タルクおよびステアリン酸マグネシウムを混和した。最終的な混合物を適切な寸法の硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0123】
実施例D:注射剤
注射剤は以下の組成を有していてもよく、通常の手法で製造した。
活性成分 1.0mg
1N HCl 20.0μl
酢酸 0.5mg
NaCl 8.0mg
フェノール 10.0mg
1N NaOH q.s. ad pH5
q.s. ad 1ml
【0124】
前述の事柄によれば、本発明は、
(a)モノアミンオキシダーゼBの選択的阻害物質として用いられるための、例えば本明細書中の前述の特定の適応症において使用されるための医薬化合物;
(b)活性成分としての(a)に示した医薬化合物を、薬学的に許容され得る希釈剤または担体と共に含む医薬組成物;
(c)モノアミンオキシダーゼB活性の選択的阻害が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の治療または予防のための、(a)に示した医薬化合物および担体を含む医薬組成物;
(d)本明細書中の前述の特定の適応症の処置を必要とする対象における処置方法であって、(a)に示した医薬化合物を治療上効果的な量投与することを含む処置方法;
(e)モノアミンオキシダーゼB活性の選択的阻害が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、(a)に示した医薬化合物を治療上効果的な量投与することを含む方法;
(f)モノアミンオキシダーゼB活性の選択的阻害が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の治療または予防のための医薬を製造するための、(a)に示した医薬化合物の使用;
(g)(a)に示した化合物の製造方法、
も提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


(式中、
1は、水素またはメチルであり;
2は、水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6は、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’は−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’は−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’は−CH2−であり、そしてY−Y’は−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R2は−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R2は水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である)で示される化合物、および薬学的に許容され得るその塩。
【請求項2】
1が水素である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項3】
2が水素である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項4】
2が、−CH3、−CH2C(O)NH2または−CH(CH3)C(O)NH2である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項5】
2が、−S(O)2CH3または−C(O)R6(式中、R6は、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3である)である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項6】
3、R4およびR5が、独立して、水素またはハロゲンである、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項7】
X−X’が−CH2−CH2−であり、Y−Y’が−CH2−CH2−である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項8】
X−X’が−CH2−CH2−であり、Y−Y’が−CH2−C(O)−である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項9】
X−X’が−CH=CH−であり、Y−Y’が−CH2−C(O)−である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項10】
X−X’が−CH2−C(O)−であり、Y−Y’が−CH2−CH2−である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項11】
X−X’が−CH2−C(O)−であり、Y−Y’が−CH=CH−である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項12】
X−X’が−CH2−であり、Y−Y’が−CH2−CH2−C(O)−である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項13】
1が、水素であり;
2が、水素、−CH3、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R2が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R2が水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項14】
1−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−エタノン、
1−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−メトキシ−エタノン、
2−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−2−オキソ−アセトアミド、
3−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−3−オキソ−プロピオンアミド、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸メチルエステル、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルバルデヒド、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−メタンスルホニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[d]アゼピン、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸アミド、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−カルボン酸エチルアミド、
2−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−アセトアミド、
(RS)−2−[7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−3−イル]−プロピオンアミド、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−3−メトキシアセチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
3−アセチル−8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
8−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(2,3,4−トリフルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−3−オン、
7−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−3−オン、
7−ベンジルオキシ−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
7−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン、
3−アセチル−7−(3−クロロ−ベンジルオキシ)−1,3,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[d]アゼピン−2−オン及び
7−(3−フルオロ−ベンジルオキシ)−1,2,4,5−テトラヒドロ−ベンゾ[c]アゼピン−2−オン
から選択される、請求項1記載の式Iで示される化合物。
【請求項15】
1が、水素またはメチルであり;
2が、水素であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R2が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R2が水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である、請求項1記載の式I:
【化2】


で示される化合物の製造方法であって、
式II:
【化3】


(式中、P1は、tert−ブトキシカルボニル、メトキシカルボニルまたは9−フルオレニルメトキシカルボニル基からなる群から選択される保護基である)で示される化合物から保護基:P1を開裂させることを含む製造方法。
【請求項16】
1が、水素またはメチルであり;
2が、水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2、−CH(CH3)C(O)NH2、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−C(O)NH2、−CH2C(O)NH2、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’の一方が−CH2−CH2−であり、他方が−CH=CH−である場合、もしくはX−X’およびY−Y’の両方が−CH=CH−である場合には、R3が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R5であるか、またはX−X’およびY−Y’が−CH2−C(O)−である場合には、R3が水素、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2もしくは−CH(CH3)C(O)NH2である、請求項1記載の式I:
【化4】


で示される化合物の製造方法であって、
式III:
【化5】


で示される化合物を式IV:
【化6】


(式中、ZはOHであるか、またはR2が−S(O)2CH3もしくは−C(O)R6である場合には、Zはハロゲンもしくはスルホン酸残基であってもよい)で示される化合物と反応させることを含む製造方法。
【請求項17】
1が、水素またはメチルであり;
2が、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、水素、−CH3、−CH2OCH3、−OCH3、−NH2または−NHCH2CH3であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’が同時に−CH2−C(O)−ではない、請求項1記載の式I:
【化7】


で示される化合物の製造方法であって、
2が水素である式Iで示される化合物を、活性化アシル誘導体と反応させること、または縮合試薬を用いた酸との縮合反応によるか、もしくは活性化スルホニル誘導体との反応によるか、もしくはイソシアナートとの反応により反応させることを含む、製造方法。
【請求項18】
1が、水素またはメチルであり;
2が、−S(O)2CH3または−C(O)R6であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
6が、−C(O)NH2または−CH2C(O)NH2であり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’が同時に−CH2−C(O)−ではない、請求項1記載の式I:
【化8】


で示される化合物の製造方法であって、
2が水素である式Iで示される化合物を、活性化アシル誘導体と反応させること、または縮合試薬を用いた酸との縮合反応により反応させること、および得られたエステル官能基を対応するアミドに変換することを含む、製造方法。
【請求項19】
1が、水素またはメチルであり;
2が、(C1〜C3)−アルキル、−CH2C(O)NH2または−CH(CH3)C(O)NH2であり;
3、R4およびR5が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C3)−アルキルまたは−O−(C1〜C3)−アルキルであり;
X−X’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−、−CH=CH−もしくは−CH2−C(O)−であるか;または
X−X’が−CH2−であり、そしてY−Y’が−CH2−CH2−C(O)−であり、
ここで、X−X’およびY−Y’が同時に−CH=CH−ではないか、または他方が−CH=CH−である場合に、X−X’およびY−Y’が−CH2−CH2−ではない、請求項1記載の式I:
【化9】


で示される化合物の製造方法であって、
2が水素である式Iで示される化合物を、ハロゲン化物、トシラート、メシラートおよびトリフラートを含むアルキル化剤からなる群から選択されるアルキル化剤と反応させることを含む、製造方法。
【請求項20】
活性成分としての請求項1記載の式Iで示される化合物または薬学的に許容され得るその塩を、これらのための薬学的に許容され得る希釈剤または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項21】
モノアミンオキシダーゼB活性の選択的阻害が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の治療または予防のための、請求項20記載の医薬組成物。
【請求項22】
前述の特定の適応症の処置を必要とする対象における処置方法であって、請求項1記載の式Iで示される医薬化合物または薬学的に許容され得るその塩を治療上効果的な量投与することを含む処置方法。
【請求項23】
モノアミンオキシダーゼB活性の選択的阻害が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態を治療または予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1記載の式Iで示される化合物または薬学的に許容され得るその塩を治療上効果的な量投与することを含む方法。
【請求項24】
モノアミンオキシダーゼB活性の選択的阻害が役割を果たすかまたは関係する疾患または状態の治療または予防のための医薬を製造するための、請求項1記載の式Iで示される化合物または薬学的に許容され得るその塩の使用。
【請求項25】
疾患が、アルツハイマー病または老人性痴呆症である、請求項24記載の使用。
【請求項26】
これまでに記載された発明。

【公表番号】特表2007−509094(P2007−509094A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536004(P2006−536004)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011541
【国際公開番号】WO2005/039591
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】