MEMS部品の保護治具、ナノピンセット装置、ナノピンセット装置の装着方法
【課題】ナノピンセットユニット取り付け作業中のナノピンセット破損を防止することができるナノピンセット保護用治具を提供する。
【解決手段】
ナノピンセット保護用治具の取付アダプタ70Aにガイド溝72Aを設け、保護カバー80Aにガイド突起部84Aを設ける。そして、取付アダプタ70Aのガイド溝72Aに保護カバー80Aのガイド突起部84Aを嵌合させながら保護カバー80Aを移動することによって、保護カバー80Aを回転し、斜め横方向に移動することができ、保護カバー80Aをナノピンセットユニット11に接触させないで外すことができる。
【解決手段】
ナノピンセット保護用治具の取付アダプタ70Aにガイド溝72Aを設け、保護カバー80Aにガイド突起部84Aを設ける。そして、取付アダプタ70Aのガイド溝72Aに保護カバー80Aのガイド突起部84Aを嵌合させながら保護カバー80Aを移動することによって、保護カバー80Aを回転し、斜め横方向に移動することができ、保護カバー80Aをナノピンセットユニット11に接触させないで外すことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノピンセットなどのMEMS部品を所定の装置に取り付けるために使用する保護治具、その保護治具における保護カバーを取付けたナノピンセットおよびそのナノピンセットの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小物質を把持するためのフィンガー体を備えたマイクログリッパーが知られている。このようなマイクログリッパーは、たとえば、下記特許文献1に開示されているように、3次元の油圧駆動型マニピュレータの移動部の先端に固定されて用いられる。
【特許文献1】特開平8−257926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているような従来のものでは、マイクログリッパーをマニピュレータ先端のコネクタに取り付ける際、マイクログリッパーを破損しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のMEMS部品の保護治具は、把持装置との連結部を備えると共に、MEMS部品が取付けられる取付アダプタと、取付アダプタに固定され、取付アダプタに装着されたMEMS部品を覆う保護カバーと、MEMS部品と所定距離離間した状態を保ちながら、保護カバーが、取付アダプタに対して相対移動する相対移動手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の保護治具において、保護カバーと取付アダプタは互いに接触しながら相対移動することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の保護治具において、相対移動手段は、保護カバーを取付アダプタに外挿するようになし、保護カバーの内周面を取付アダプタの外周面に摺接するようにして構成されることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の保護治具において、保護カバーは、取付アダプタへの取付部と、取付アダプタと摺接するガイド壁とを有し、ガイド壁と取付部との間に折曲部を設け、ガイド壁を折曲部で折り曲げることにより、保護カバーを取付アダプタの外周面で摺接させつつ回動するように構成したことを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1または2に記載の保護治具において、相対移動手段は、保護カバーと取付アダプタに各々が設けられた凹部と凸部を含んで構成されることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載の保護治具において、凸部と凹部は、保護カバーと取付アダプタが相対回転および直線移動するように構成されることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項5に記載の保護治具において、凸部と凹部は、保護カバーが取付アダプタの長手方向に対して直交する方向に直線移動するように構成されることを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1、2および5のいずれか1項に記載の保護治具において、相対移動手段は、取付アダプタに設けられたMEMS部品の長手方向の両側に延設されるガイドと、保護カバーに設けられ、ガイドに嵌合するガイド溝とを含んで構成されることを特徴とする。
(9)請求項9の発明のナノピンセット装置は、ナノピンセットと、ナノピンセットを取付アダプタに装着した請求項1乃至8のいずれか1項に記載の保護カバーを備えることを特徴とする。
(10)請求項10の発明のナノピンセット装置の装着方法は、請求項9に記載のナノピンセット装置を把持装置に装着し、保護カバーを取付アダプタから取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、MEMS部品に触れることなくMEMS部品を所定の装置に取り付けることができる。したがって、MEMS部品取り付け作業中の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
はじめに、ナノピンセット装置について図を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態によるナノピンセット装置全体の概略を示す構成図である。ナノピンセット装置50は、ナノピンセット1と、電源回路2とを備えており、ナノピンセット1は、後述するようにSOI(Silicon on Insulator)ウエハから一体で作製される。SOIウエハは、2枚のSi単結晶板の一方にSiO2層を形成し、SiO2層を介して貼り合わせたものである。
【0007】
図1に示すように、ナノピンセット1は、一対のアーム3a,3bと、一対の静電アクチュエータ4a,4bと、一対の支持部7a,7bと、一対の連結部8a,8bと、一対のアーム支持部9a,9bと、台座10とを備える。静電アクチュエータ4aには、固定電極5aおよび可動電極6aが設けられ、静電アクチュエータ4bには固定電極5bおよび可動電極6bが設けられている。台座10は、後述するホルダ30に接合され、ホルダ30は、不図示の移動機構に着脱可能に取り付けられ、3次元方向に移動可能であり、これにより、ナノピンセット1全体が3次元方向に移動可能となっている。
【0008】
図2を参照しながら、ナノピンセット1の構造を詳しく説明する。図2は、図1に示すナノピンセット1を拡大して示す平面図である。図2以下では、ナノピンセット1の左右対称に設けられる構成部品については、主として左側についてのみ説明する。固定電極5aおよび可動電極6aは、いずれも櫛歯形状を呈しており、相互に複数の櫛歯が噛み合うように対向載置されている。固定電極5aは台座10に固定されているが、可動電極6aは、細いビーム状の支持部7aによって台座10に弾性的に固定されている。アーム3a,3bは、それぞれ細いビーム状のアーム支持部9a,9bを介して台座10に弾性的に固定されている。アーム3aと可動電極6aとは連結部8aによって連結され、アーム3bと可動電極6bとは連結部8bによって連結されている。
【0009】
図1および図2を参照すると、ナノピンセット1には、左側電極端子2a、左側電極端子2b、左アーム用電極端子2c、右アーム用電極端子2d、右側電極端子2e、右側電極端子2fおよびアース電極端子2gが形成されている。左側電極端子2aは固定電極5aに接続され、左側電極端子2bは可動電極6aに接続され、左アーム用電極端子2cはアーム3aに接続されている。右アーム用電極端子2dはアーム3bに接続され、右側電極端子2eは可動電極6bに接続され、右側電極端子2fは固定電極5bに接続され、アース電極端子2gは台座10に接続されている。これら7つの電極端子2a〜2gと電源回路2の7つの端子2a〜2gとが、対応する符号同士接続されている。
【0010】
左側電極2a,2bの間にはDC電源20aが接続され、右側電極2e,2fの間にはDC電源20bが接続されている。左側電極2a,2b間に直流電圧を印加することにより、固定電極5aと可動電極6aとの間にクーロン力による静電引力を発生させ、可動電極6aを固定電極5aに対して動かすことができる。右側の固定電極5b,可動電極6bについても同様に動作する。上述したアクチュエータ駆動電流は、DC電源20a,20bとコントローラ200とを有する電源回路2から供給される。
【0011】
左アーム用電極端子2cと右アーム用電極端子2dは、アーム3a,3b間に作用する電気量などを検出するために設けられている。そのため、アーム3a,3bは、それぞれ可動電極6a,6bとは絶縁されている。アース電極端子2gは、台座10が浮遊電極になるのを防ぐために設けられている。また、チップ抵抗R1〜R6は、静電アクチュエータ4a,4bやアーム3a,3bに、外界の電磁波の交番電界によって導線に生じる起電力が印加されないようにする過電圧印加防止のために設けられている。ナノピンセット1では、アーム3a,3bの開閉に必要な電圧は数十ボルトオーダーであるが、電源回路2の配線長さや周囲の環境によっては、上述の交番電界による周期的に変化する起電力が数十ボルトに達することもある。この起電力が静電アクチュエータ4a,4bに印加されると、アーム3a,3bの先端が過度に振動し、互いに接触して破損をもたらしたり、ナノピンセット1の内部で絶縁破壊を引き起こす恐れがある。このような過電圧が印加されるのを防止するため、電源回路2にチップ抵抗R1〜R6を挿入して電流を逃がすようにしている。
【0012】
図3は、図1に示すナノピンセット1が取り付けられるホルダ30を説明する図であり、ナノピンセット1および電源回路2の一部をホルダに設置した状態を示している。図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。ナノピンセット1の平板状の台座10はセラミックスなどの絶縁材料のホルダ30に接合され、ナノピンセット1とホルダ30とが一体化されている。ホルダ30に形成された配線32には、端子2a〜2gが設けられているとともに、チップ抵抗R1〜R6が配設されている。7つの端子2a〜2gは、Auの細線31により、ナノピンセット1の7つの電極端子2a〜2gと対応する符号同士が接続されている。この接続箇所には、図4に示すように樹脂51が塗布されており、樹脂51によって保護されている。33a〜33gはホルダ30を貫通するスルーホールであり、各配線32において、スルーホール33a〜33fとチップ抵抗R1〜R6との間に、図4に示すように外部からのケーブル40が取り付けられる。以下、ナノピンセット1とホルダ30とケーブル40とを組合せたものをナノピンセットユニット11と呼ぶ。
【0013】
スルーホール33aとチップ抵抗R1との間のケーブル取付け部35(図4)およびスルーホール33bとチップ抵抗R2との間のケーブル取付け部35は、ケーブル40によりDC電源20a(図1参照)に接続され、スルーホール33eとチップ抵抗R5との間のケーブル取付け部35およびスルーホール33fとチップ抵抗R6との間のケーブル取付け部35は、DC電源20b(図1参照)に接続されている。ケーブル取付け部35とケーブル40の配線とは半田によって接続されている。また、図4に示すように、この接続箇所には樹脂52が塗布され、ケーブル取付け部35からケーブル40の配線が外れないように補強されている。
【0014】
チップ抵抗R1〜R6は、ナノピンセット1上に配設することもできるが、アーム3a,3bの先端など重要部分がハンダ付けなどにより汚染されるのを避けるためには、ホルダ30上に設ける方が望ましい。なお、チップ抵抗R1〜R6の代わりにダイオードを用いても同様に過電圧が印加されるのを防止することができる。
【0015】
図5は、図1に示すナノピンセット1の要部を示す平面図である。可動電極6aと固定電極5aとの間に電圧を印加すると、可動電極6aが固定電極5aに対して、図5の右方向(x方向)に動くことにより、アーム3aがx方向に駆動される。電圧印加を解除すると、アーム3aは元の位置、つまり図5に示す位置へ復帰する。右側については動作が反転するだけであり、同様に、可動電極6bが固定電極5bに対して、図中、左方向に動くことにより、アーム3bが左方向に駆動される。したがって、アーム間隔Dを変えることができ、微小物体を把持したり解放することができる。
【0016】
次に本発明の第1〜第4の実施形態のナノピンセット保護用治具について図を参照しながら説明する。
【0017】
−第1の実施形態−
図6は本発明の第1の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Aを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Aは、取付アダプタ70Aと、保護カバー80Aとを含んで構成される。取付アダプタ70Aに上述したナノピンセット11が取り付けられ、ナノピンセット11は保護カバー80Aにより覆われて保護されている。取付アダプタ70Aと保護カバー80Aとは、ねじ61によって固定される。図6の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Aをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Aを取り外して使用する。
【0018】
取付アダプタ70Aについて図7も参照して説明する。図7(a)は取付アダプタ70Aの側面図、図7(b)は取付アダプタ70Aの底面図、図7(c)は斜視図である。取付アダプタ70Aは導電性材料からなり、取付溝71と、ガイド溝72Aと、ガイド側壁73Aと、装置取付軸74とを含む。
【0019】
取付溝71には、ナノピンセットユニット11が挟持され、導電性の接着剤により固着される。ガイド溝72Aおよびガイド側壁73Aは、保護カバー80Aを取付アダプタ70Aから外すときに保護カバー80Aの動きを後述のようにガイドする。図7(b)に示すように、ガイド側壁73Aは、ナノピンセットユニット11の取付方向D1に対して垂直なガイド面73aと、その垂直なガイド面73aに対して45度の角度を有するガイド面73bとから構成される。ガイド溝72Aは、ガイド側壁73Aと、ガイド面73bに平行なガイド面72bとにより規定される。図6に示すように、保護カバー80Aを取付アダプタ70Aに取り付けた状態では、保護カバー80Aの端面85とガイド面73aとが接当する。装置取付軸74は、微小試料ハンドリング装置などに設けられた取付穴に差し込まれ、これにより、ナノピンセットユニット11が装置に取り付けられる。
【0020】
保護カバー80Aについて図8も参照して説明する。図8(a)は保護カバー80Aの側面図、図8(b)は保護カバー80Aの底面図、図8(c)は斜視図である。保護カバー80Aは金属または樹脂からなり、格納穴81と、切欠部82と、ねじ穴83と、ガイド突起部84Aとを含む。
【0021】
格納穴81は、ナノピンセットユニット11を格納する穴である。格納穴81にナノピンセットユニット11を格納することによって、ナノピンセット保護用治具60Aを把持してナノピンセットユニット11を装置に取り付ける作業を行う際、ナノピンセット1が手に触れることはない。格納穴81には、取付アダプタ70Aが挿入される端面開口81aと、ナノピンセットユニット11を保護カバー80Aに挿脱するための側面開口81bが設けられている。切欠部82は、格納穴81に格納されたナノピンセットユニット11のケーブル40を外部へ引き出す穴である。ねじ穴83には、取付アダプタ70Aに保護カバー80Aを固定するためのねじ61が螺合される。ガイド突起部84Aは格納穴81に設けられ、取付アダプタ70Aのガイド溝72Aと嵌合して保護カバー80Aの動きをガイドする。
【0022】
次に、図6に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Aの外し方について、図9を参照して説明する。ナノピンセットユニット11は、ナノピンセット保護用治具60Aを取り付けた状態で微小試料ハンドリング装置などの装置に取り付けられ、取り付けた後にナノピンセット保護用治具60Aの保護カバー80Aが取り外される。
【0023】
図9(a)に示すように、保護カバー80Aを固定していたねじ61をねじ穴83から外す。次に、図9(b)に示すように、保護カバー80Aの端面85がガイド面73bに接触するように、またはガイド突起部84Aがガイド溝72Aのガイド面72bに当接するまで保護カバー80Aを回転する。このときの回転する角度は45°程度である。そして、図9(c)に示すように、保護カバー80Aの端面85をガイド面73bに接触させながら、またはガイド突起部84Aをガイド溝72Aに嵌合させながら保護カバー80Aを斜め横方向に移動する。これにより、保護カバー80Aを取付アダプタ70Aから取り外すことができる。なお、取り付け手順は上述した取り外し手順と逆の手順で行われる。
【0024】
以上の本発明の第1の実施形態によるナノピンセット保護用治具60Aは次のような作用効果を奏する。
(1)ナノピンセットユニット11、とくにナノピンセット1の先端部を保護カバー80Aで隠蔽して出荷するようにした。したがって、輸送時に誤ってナノピンセット1を破損するおそれがない。
【0025】
(2)ナノピンセットユニット11を保護カバー80Aで隠蔽した状態でマニピュレータ先端に装着し、その後、保護カバー80Aを取り外すようにした。したがって、装着時にナノピンセット1を破損するおそれがない。
【0026】
(3)ナノピンセットユニット11が取付けられた取付アダプタ70Aに保護カバー80Aを着脱自体に取付け、保護カバー取り外し時、保護カバー80Aがナノピンセット軸線と直交する方向に揺動しないように取付けアダプタ70Aと係合させつつ取り外す構造を採用した。すなわち、保護カバー80Aを、ナノピンセット開閉運動面と平行な面内で移動するように取付けアダプタ70Aと係合させるようにした。つまり、ナノピンセットユニット11の上下面と所定距離離間した状態で、保護カバー80Aが取付アダプタ70Aと係合しつつ相対移動する。したがって、とくに保護カバー80Aの取り外し時に、誤って保護カバー80Aをナノピンセット1先端に接触させて破損するのが防止される。
【0027】
(4)保護カバー80Aを、ナノピンセット開閉運動面と平行な面内で取付アダプタ70Aに対して回動させ、ナノピンセット先端を保護カバー80Aから露出させた後に取付アダプタ70Aとの係合を解くようにした。したがって、ナノピンセット軸線方向に保護カバー80Aを直線運動させる場合に比べて保護カバー80Aがナノピンセット先端に接触することがより一層防止される。
【0028】
−第2の実施形態−
次に本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態を説明する際、第1の実施形態と共通する箇所は共通の符号を付し、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。図10は、本発明の第2の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Bを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Bにはナノピンセットユニット11が取り付けられている。ナノピンセット保護用治具60Bは取付アダプタ70Bと保護カバー80Bとを含んで構成される。図10の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Bをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Bを取り外して使用する。
【0029】
取付アダプタ70Bについて図11を参照して説明する。図11(a)は取付アダプタ70Bの側面図、図11(b)は取付アダプタ70Bの底面図、図11(c)は取付アダプタ70Bの斜視図である。取付アダプタ70Bは、取付溝71と、ガイド溝72Bと、ガイド側壁73Bと、装置取付軸74とを含んで構成される。
【0030】
ガイド溝72Bおよびガイド側壁73Bも第1の実施形態と同様に、保護カバー80Bを取付アダプタ70Bから外すときに保護カバー80Bの動きをガイドする。ガイド側壁73Bは、ナノピンセットユニット11の取付方向D1に対して垂直な面をなす。保護カバー80Bを取付アダプタ70Bに取り付けると、保護カバー80Bの端面85とガイド側壁73Bとが接当する。ガイド溝72Bは、ガイド側壁73Bと、ガイド側壁73Bに平行な面とにより規定される。
【0031】
保護カバー80Bについて図12を参照して説明する。図12(a)は保護カバー80Bの側面図、図12(b)は保護カバー80Bの底面図、図12(c)は保護カバー80Bの斜視図である。保護カバー80Bは、格納穴81と、切欠部82と、ねじ穴83と、ガイド突起部84Bとを含んで構成される。ガイド突起部84Bは格納穴81に設けられ、取付アダプタ70Bのガイド溝72Bと嵌合して保護カバー80Bの動きをガイドする。
【0032】
次に、図10に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Bの外し方について、図13を参照して説明する。図13(a)に示すように、保護カバー80Bを固定していたねじ61をねじ穴83から外す。次に、図13(b)に示すように、保護カバー80Bの端面85をガイド側壁73Bに接触させながら、またガイド突起部84Bをガイド溝72Bに嵌合させながら保護カバー80Bをナノピンセット軸線と直交する横方向に移動する。そして、図13(c)に示すように、さらに保護カバー80Bを横方向に移動することによって、保護カバー80Bがナノピンセットユニット11から外される。
【0033】
以上の本発明の第2の実施形態によるナノピンセット保護用治具60は第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0034】
−第3の実施形態−
次に本発明の第3の実施形態について説明する。図14は本発明の第3の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Cを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Cは、取付アダプタ70Cと、保護カバー80Cとを含んで構成される。図14の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Cに図15で後述する装置取付用治具90を取付け、それをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Cを取り外して使用する。
【0035】
取付アダプタ70Cについて図14および図15を参照して説明する。図15(a)は取付アダプタ70Cの上面図、図15(b)は取付アダプタ70Cの側面図である。図15(c)は装置取付用治具90を取り付けたときの取付アダプタ70Cを示す図である。取付アダプタ70Cは金属材料からなり、図15(a),(b)に示すように、スペーサ部75と、ストッパ部76と、装置取付用治具取付部77とを含んで構成される。
【0036】
スペーサ部75は、保護カバー80Cに取り付ける際、後述する保護カバー80Cに設けられたガイド溝89と隙間812とに嵌合して、ナノピンセットユニット11が保護カバー80Cに接触しないように取付アダプタ80Cの動きをガイドする。ストッパ部76は、図16を参照して後述する保護カバー80Cのストッパ溝810と嵌合して取付アダプタ70Cをガイド部80Cに固定する。また、ガイド溝89にスペーサ部75を挿入しやすくするために、ストッパ部76は丸みを帯びた矢印形状となっており、矢印の先端の角度は45°以下である。図14(b)に示すように、ストッパ部76と保護カバー80Cのストッパ溝810とが嵌合した取付アダプタ70Cは、ナノピンセットユニット11を取り付けたときの自重では外れないが、スペーサ部75は弾性を有しているので、保護カバー80Cを人力で簡単に外すことができる。
【0037】
図15(c)に示すように、装置取付用治具取付部77には、装置取付用治具90がねじ91によって固定される。装置取付用治具90には、装置取付軸92が設けられ、装置取付軸92を微小試料ハンドリング装置などに設けられた取付穴に差し込むことにより、ナノピンセットユニット11が装置に取り付けられる。
【0038】
保護カバー80Cについて図14、図16および図17を参照して説明する。図16は保護カバー80Cの斜視図である。保護カバー80Cは、曲げ弾性を有する樹脂または軽金属からなり、図16に示すように、本体上部86と、本体下部87と、格納穴88と、ガイド溝89と、ストッパ溝810と、板ばね811とを含んで構成される。板ばね811は別部材である。
【0039】
格納穴88は、本体上部86の凹部と本体下部87の凹部とによって形成される。ガイド溝89は、図14(b)に示すように、上述した取付アダプタ70Cのスペーサ部75と嵌合する溝である。ストッパ溝810は、図14(b)に示すように、上述したストッパ部76と嵌合する溝である。板ばね811は、本体上部86と本体下部87との間に隙間812が生じるように固定するばねである。板ばね811を保護カバー80Cから外すと、図17に示すように、本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がる。すなわち、保護カバー80Cは、弾性材料で作製されており、ガイド溝89を回動支点として、図17のD2方向に開き、D3方向に閉じるように構成されている。
【0040】
次に、図14に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Cの外し方について、図17を参照して説明する。ナノピンセット保護用治具60Cを取り付けた状態で、マニピュレータなどのロボットハンドにナノピンセットユニット11を取り付ける。そして、板ばね811を保護カバー80Cから外す。その結果、図17に示すように、本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がる。隙間812が広がると、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89および隙間812との嵌合が緩み、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Cを簡単に取り外せるようになる。そして、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89とを嵌合させながら、保護カバー80Cをナノピンセット1の軸線方向に移動して取付アダプタ70Cから引き抜くことにより、保護カバー80Cがナノピンセットユニット11から取り外される。
【0041】
以上の本発明の第3の実施形態によるナノピンセット保護用治具60は次のような作用効果を奏する。
(1)ナノピンセットユニット11の両側にスペーサ部75を延設させ、保護カバー80Cの内周面にはスペーサ部75がガイドされるガイド溝89を設け、スペーサ部75でガイドしながら保護カバー80Cをナノピンセット軸線方向に移動させて着脱するようにした。したがって、保護カバー80Cがナノピンセットユニット11と所定距離離間した状態で取付アダプタ70Cと係合しつつ相対移動する。そのため、とくに保護カバー80Cの取り外し時に、誤って保護カバー80Cをナノピンセット先端に接触させて破損するのが防止される。スペーサ部75の長さは、保護カバー80Cを取り外す際、ナノピンセット先端が露出するまで保護カバー80Cに取付アダプタ70Cと係合させるように決定するのが好ましい。
【0042】
(2)保護カバー80Cの材質に弾性体を使用し、板ばね811を外すと、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89および隙間812との嵌合が緩むようにしたので、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Cを簡単に引き抜くことができる。
【0043】
(3)ナノピンセットユニット11のホルダ30はセラミックスなどの絶縁材料からなるため、装置取付用治具90を直接ナノピンセットユニット11に取り付けると、ねじ91で固定する際、ホルダ30が割れてしまう場合がある。しかし、第3の実施形態では、金属材料からなる取付アダプタ70Cの装置取付用治具取付部77に、装置取付用治具90を取り付けるので、ねじ91によって固定してもホルダ30が割れることはない。
【0044】
以上の本発明の第3の実施形態によるナノピンセット保護用治具60Cを次のように変形することができる。
(1)図14(a)において、保護カバー80Cの格納穴88の取付アダプタ70Cが取り付けられていない側をテープなどで塞ぐようにしてもよい。このようにすることによって、ナノピンセットユニット11の外部との接触をより確実に防ぐことができる。
【0045】
(2)板ばね811を保護カバー80Cから外すと、本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がるようにした。しかしながら、図18に示すように、保護カバー80Dの外側に溝813を形成し、溝813の幅を狭くするように押圧すると本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がるようにしてもよい。板ばね811を外すよりも容易に本体上部86と本体下部87との間の隙間812を広げることができる。
【0046】
(3)板ばね811を保護カバー80Cから外すと、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89および隙間812との嵌合が緩み、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Cを簡単に取り外せるようにした。しかしながら、図19に示すように、ねじ816を緩めると、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝817との嵌合が緩み、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Eを簡単に取り外せるようにしてもよい。この場合、図19(a)に示すように、保護カバー80Eは本体上部814と本体下部815とが分離した構成となり、ねじ816によって本体上部814と本体下部815とが固定される。また、ガイド溝817は、図19(b)に示すように、本体上部814に形成された溝と本体下部815に形成された溝とが組み合わさって形成される。
【0047】
−第4の実施形態−
次に本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態を説明する際、第1の実施形態と共通する箇所は共通の符号を付し、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。図20は、本発明の第4の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Fを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Fにはナノピンセットユニット11が取り付けられている。図20(a)はナノピンセット保護用治具60Fの上面図、図20(b)は矢印201の方向の側面図、図20(c)は矢印202の方向の側面図である。ナノピンセット保護用治具60Fは、取付アダプタ70Fと、取付アダプタ70Fの外側に外挿して設けられる保護カバー80Fとを含んで構成される。図20の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Fのナノピンセットユニット取付部78に装置取付用治具90を取付け、それをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Fを取り外して使用する。
【0048】
取付アダプタ70Fについて図21を参照して説明する。図21(a)は取付アダプタ70Fの上面図、図21(b)は取付アダプタ70Bの側面図、図21(c)は図21(b)のA−A断面図、図21(d)は斜視図である。取付アダプタ70Fは、一枚の金属板をプレス成形によりコの字型やL字型に折り曲げることによって作製され、ナノピンセットユニット取付部78と、ガイド壁79とを含んで構成される。
【0049】
ナノピンセットユニット取付部78には、導電性の接着剤によりナノピンセットユニット11が固着される。ガイド壁79は、ナノピンセットユニット11を覆うように形成され、上面79a、下面79bおよび側面79cより構成される。上面79aおよび下面79bは保護カバー80Fの内面と嵌合し、保護カバー80Fを取付アダプタ70Fから外すときに保護カバー80Fの動きをガイドする。ガイド壁79の側面79cには、はねじ穴710が設けられ、ねじ穴710にねじ61が差し込まれ、保護カバー80Fが取付アダプタ70Fに固定される。
【0050】
保護カバー80Fについて図22を参照して説明する。図22(a)は保護カバー80Fの上面図、図22(b)は保護カバー80Fの側面図、図22(c)は図22(a)のB−B断面図、図22(d)は保護カバー80Fの斜視図である。保護カバー80Fは、一枚の金属板をプレス成形によってコの字型に折り曲げて作製され、保護カバー上面818aと、保護カバー下面818bと、保護カバー側面818cと、取付部818dとを含んで構成される。保護カバー側面818cの一端から延設される取付部818dには、折り曲げ溝819と、ねじ穴83とが形成される。
【0051】
保護カバー上面818a、保護カバー下面818bおよび保護カバー側面818cは、ナノピンセットユニット11を覆い、外部と接触しないように保護する。保護カバー80Fを外すとき、保護カバー上面818aはガイド壁79の上面79aと接触し、保護カバー下面818bはガイド壁79の上面79bと接触し、上述したように保護カバー80Fの動きをガイドする。折り曲げ溝819は、図24(a)に示すように、保護カバー80Fを折り曲げるための溝である。
【0052】
次に本発明の一実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Fにナノピンセットユニット11の取り付け方について、図23を参照して説明する。図23(a)に示すように、取付アダプタ70Fのナノピンセットユニット取付部78にナノピンセットユニット11を導電性接着剤で取り付ける。次に、図23(b)に示すように、取付アダプタ70Fを保護カバー80Fに嵌めこむ。そして、図23(c)に示すように、取付アダプタ70Fのねじ穴710と保護カバー70Fのねじ穴83にねじ61を差し込み、取付アダプタ70Fに保護カバー80Fを固定する。
【0053】
次に、図20に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Fの外し方について、図24を参照して説明する。図24(a)に示すように、保護カバー80Fの折り曲げ溝819を起点に保護カバー80Fを折り曲げ、保護カバー80Fのナノピンセットユニット11を保護している部分を回転移動させる。このとき、ナノピンセットユニット11の先端が保護カバー80Fから露出するまで折り曲げる。そして、図24(b)に示すように、ねじ61をねじ穴83,813から外し、保護カバー80Fをナノピンセットユニット11から外す。
【0054】
以上の本発明の第4の実施形態によるナノピンセット保護用治具60Fは第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0055】
また、一枚の金属板からプレス成形により、ナノピンセット保護用治具60Fを作製することができるので、ナノピンセット保護用治具60Fの製造コストが安くなる。
【0056】
以上の実施形態ではナノピンセットユニット11について説明したいが、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品であれば、ナノピンセットユニット11には限定されない。
【0057】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係るナノピンセット保護用治具で保護するナノピンセット装置全体の概略を示す構成図である。
【図2】図1に示すナノピンセットを拡大して示す平面図である。
【図3】図1に示すナノピンセットおよび電源回路の一部をホルダに設置した状態を示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。
【図4】ナノピンセットユニットを説明するための図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。
【図5】図1に示すナノピンセットの要部を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は底面図である。
【図7】図6のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図7(a)は側面図、図7(b)は底面図、図7(c)は斜視図である。
【図8】図6のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図であり、図8(a)は側面図、図8(b)は底面図、図8(c)は斜視図である。
【図9】図8の保護カバーの取り外し方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図10(a)は側面図、図10(b)は底面図である。
【図11】図10のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図11(a)は側面図、図11(b)は底面図、図11(c)は斜視図である。
【図12】図10のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図であり、図12(a)は側面図、図12(b)は底面図、図12(c)は斜視図である。
【図13】図12の保護カバーの取り外し方法を説明するための図である。
【図14】本発明の第3の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図14(a)は側面図、図14(b)は透視図である。
【図15】図14のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図15(a)は上面図、図15(b)は側面図であり、図24(c)は装置取付用治具を取り付けたときの取付アダプタを示す図である。
【図16】図14のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図である。
【図17】板ばねを外した図16の保護カバーを示す図である。
【図18】図16の保護カバーの他の実施形態を示す図である。
【図19】図16の保護カバーの他の実施形態を示す図であり、図19(a)は分解図、図19(b)は斜視図である。
【図20】本発明の第4の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)および図6(c)は側面図である。
【図21】図20のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図21(a)は上面図、図21(b)は側面図、図20(c)は図20(a)のA−A断面図、図21(d)は斜視図である。
【図22】図20のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図であり、図22(a)は上面図、図22(b)は側面図、図22(c)は図22(a)のB−B断面図、図22(d)は斜視図である。
【図23】図20のナノピンセット保護用治具にナノピンセットユニットを取り付ける方法を説明するための図である。
【図24】図22の保護カバーの取り外し方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1:ナノピンセット 2:電源回路
3a,3b:アーム 4a,4b:静電アクチュエータ
5a,5b:固定電極 6a,6b:可動電極
7a,7b:支持部 8a,8b:連結部
9a,9b:アーム支持部 10:台座
11:ナノピンセットユニット 30:ホルダ
32:プリント配線 40:ケーブル
50:ナノピンセット装置 51,52:樹脂
60A,60B,60C,60F:ナノピンセット保護用治具
61:ねじ
70A,70B,70C,70F:取付アダプタ
72A,72B,89,817:ガイド溝
73A,73B:ガイド側壁 74:装置取付軸
75:スペーサ部 76:ストッパ部
78:ナノピンセットユニット取付部
79:ガイド壁
80A,80B,80C,80D,80E,80F:保護カバー
81,88:格納穴 83,710:ねじ穴
84A,84B:ガイド突起部 86,814:本体上部
87,815:本体下部 90:装置取付用治具
100:SOIウエハ 101:ベース層
102:絶縁層 103:シリコン層
200:コントローラ 810:ストッパ溝
811:板ばね 819:折り曲げ溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノピンセットなどのMEMS部品を所定の装置に取り付けるために使用する保護治具、その保護治具における保護カバーを取付けたナノピンセットおよびそのナノピンセットの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小物質を把持するためのフィンガー体を備えたマイクログリッパーが知られている。このようなマイクログリッパーは、たとえば、下記特許文献1に開示されているように、3次元の油圧駆動型マニピュレータの移動部の先端に固定されて用いられる。
【特許文献1】特開平8−257926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に開示されているような従来のものでは、マイクログリッパーをマニピュレータ先端のコネクタに取り付ける際、マイクログリッパーを破損しやすい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明のMEMS部品の保護治具は、把持装置との連結部を備えると共に、MEMS部品が取付けられる取付アダプタと、取付アダプタに固定され、取付アダプタに装着されたMEMS部品を覆う保護カバーと、MEMS部品と所定距離離間した状態を保ちながら、保護カバーが、取付アダプタに対して相対移動する相対移動手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の保護治具において、保護カバーと取付アダプタは互いに接触しながら相対移動することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2に記載の保護治具において、相対移動手段は、保護カバーを取付アダプタに外挿するようになし、保護カバーの内周面を取付アダプタの外周面に摺接するようにして構成されることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の保護治具において、保護カバーは、取付アダプタへの取付部と、取付アダプタと摺接するガイド壁とを有し、ガイド壁と取付部との間に折曲部を設け、ガイド壁を折曲部で折り曲げることにより、保護カバーを取付アダプタの外周面で摺接させつつ回動するように構成したことを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1または2に記載の保護治具において、相対移動手段は、保護カバーと取付アダプタに各々が設けられた凹部と凸部を含んで構成されることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5に記載の保護治具において、凸部と凹部は、保護カバーと取付アダプタが相対回転および直線移動するように構成されることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項5に記載の保護治具において、凸部と凹部は、保護カバーが取付アダプタの長手方向に対して直交する方向に直線移動するように構成されることを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項1、2および5のいずれか1項に記載の保護治具において、相対移動手段は、取付アダプタに設けられたMEMS部品の長手方向の両側に延設されるガイドと、保護カバーに設けられ、ガイドに嵌合するガイド溝とを含んで構成されることを特徴とする。
(9)請求項9の発明のナノピンセット装置は、ナノピンセットと、ナノピンセットを取付アダプタに装着した請求項1乃至8のいずれか1項に記載の保護カバーを備えることを特徴とする。
(10)請求項10の発明のナノピンセット装置の装着方法は、請求項9に記載のナノピンセット装置を把持装置に装着し、保護カバーを取付アダプタから取り外すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、MEMS部品に触れることなくMEMS部品を所定の装置に取り付けることができる。したがって、MEMS部品取り付け作業中の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
はじめに、ナノピンセット装置について図を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態によるナノピンセット装置全体の概略を示す構成図である。ナノピンセット装置50は、ナノピンセット1と、電源回路2とを備えており、ナノピンセット1は、後述するようにSOI(Silicon on Insulator)ウエハから一体で作製される。SOIウエハは、2枚のSi単結晶板の一方にSiO2層を形成し、SiO2層を介して貼り合わせたものである。
【0007】
図1に示すように、ナノピンセット1は、一対のアーム3a,3bと、一対の静電アクチュエータ4a,4bと、一対の支持部7a,7bと、一対の連結部8a,8bと、一対のアーム支持部9a,9bと、台座10とを備える。静電アクチュエータ4aには、固定電極5aおよび可動電極6aが設けられ、静電アクチュエータ4bには固定電極5bおよび可動電極6bが設けられている。台座10は、後述するホルダ30に接合され、ホルダ30は、不図示の移動機構に着脱可能に取り付けられ、3次元方向に移動可能であり、これにより、ナノピンセット1全体が3次元方向に移動可能となっている。
【0008】
図2を参照しながら、ナノピンセット1の構造を詳しく説明する。図2は、図1に示すナノピンセット1を拡大して示す平面図である。図2以下では、ナノピンセット1の左右対称に設けられる構成部品については、主として左側についてのみ説明する。固定電極5aおよび可動電極6aは、いずれも櫛歯形状を呈しており、相互に複数の櫛歯が噛み合うように対向載置されている。固定電極5aは台座10に固定されているが、可動電極6aは、細いビーム状の支持部7aによって台座10に弾性的に固定されている。アーム3a,3bは、それぞれ細いビーム状のアーム支持部9a,9bを介して台座10に弾性的に固定されている。アーム3aと可動電極6aとは連結部8aによって連結され、アーム3bと可動電極6bとは連結部8bによって連結されている。
【0009】
図1および図2を参照すると、ナノピンセット1には、左側電極端子2a、左側電極端子2b、左アーム用電極端子2c、右アーム用電極端子2d、右側電極端子2e、右側電極端子2fおよびアース電極端子2gが形成されている。左側電極端子2aは固定電極5aに接続され、左側電極端子2bは可動電極6aに接続され、左アーム用電極端子2cはアーム3aに接続されている。右アーム用電極端子2dはアーム3bに接続され、右側電極端子2eは可動電極6bに接続され、右側電極端子2fは固定電極5bに接続され、アース電極端子2gは台座10に接続されている。これら7つの電極端子2a〜2gと電源回路2の7つの端子2a〜2gとが、対応する符号同士接続されている。
【0010】
左側電極2a,2bの間にはDC電源20aが接続され、右側電極2e,2fの間にはDC電源20bが接続されている。左側電極2a,2b間に直流電圧を印加することにより、固定電極5aと可動電極6aとの間にクーロン力による静電引力を発生させ、可動電極6aを固定電極5aに対して動かすことができる。右側の固定電極5b,可動電極6bについても同様に動作する。上述したアクチュエータ駆動電流は、DC電源20a,20bとコントローラ200とを有する電源回路2から供給される。
【0011】
左アーム用電極端子2cと右アーム用電極端子2dは、アーム3a,3b間に作用する電気量などを検出するために設けられている。そのため、アーム3a,3bは、それぞれ可動電極6a,6bとは絶縁されている。アース電極端子2gは、台座10が浮遊電極になるのを防ぐために設けられている。また、チップ抵抗R1〜R6は、静電アクチュエータ4a,4bやアーム3a,3bに、外界の電磁波の交番電界によって導線に生じる起電力が印加されないようにする過電圧印加防止のために設けられている。ナノピンセット1では、アーム3a,3bの開閉に必要な電圧は数十ボルトオーダーであるが、電源回路2の配線長さや周囲の環境によっては、上述の交番電界による周期的に変化する起電力が数十ボルトに達することもある。この起電力が静電アクチュエータ4a,4bに印加されると、アーム3a,3bの先端が過度に振動し、互いに接触して破損をもたらしたり、ナノピンセット1の内部で絶縁破壊を引き起こす恐れがある。このような過電圧が印加されるのを防止するため、電源回路2にチップ抵抗R1〜R6を挿入して電流を逃がすようにしている。
【0012】
図3は、図1に示すナノピンセット1が取り付けられるホルダ30を説明する図であり、ナノピンセット1および電源回路2の一部をホルダに設置した状態を示している。図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。ナノピンセット1の平板状の台座10はセラミックスなどの絶縁材料のホルダ30に接合され、ナノピンセット1とホルダ30とが一体化されている。ホルダ30に形成された配線32には、端子2a〜2gが設けられているとともに、チップ抵抗R1〜R6が配設されている。7つの端子2a〜2gは、Auの細線31により、ナノピンセット1の7つの電極端子2a〜2gと対応する符号同士が接続されている。この接続箇所には、図4に示すように樹脂51が塗布されており、樹脂51によって保護されている。33a〜33gはホルダ30を貫通するスルーホールであり、各配線32において、スルーホール33a〜33fとチップ抵抗R1〜R6との間に、図4に示すように外部からのケーブル40が取り付けられる。以下、ナノピンセット1とホルダ30とケーブル40とを組合せたものをナノピンセットユニット11と呼ぶ。
【0013】
スルーホール33aとチップ抵抗R1との間のケーブル取付け部35(図4)およびスルーホール33bとチップ抵抗R2との間のケーブル取付け部35は、ケーブル40によりDC電源20a(図1参照)に接続され、スルーホール33eとチップ抵抗R5との間のケーブル取付け部35およびスルーホール33fとチップ抵抗R6との間のケーブル取付け部35は、DC電源20b(図1参照)に接続されている。ケーブル取付け部35とケーブル40の配線とは半田によって接続されている。また、図4に示すように、この接続箇所には樹脂52が塗布され、ケーブル取付け部35からケーブル40の配線が外れないように補強されている。
【0014】
チップ抵抗R1〜R6は、ナノピンセット1上に配設することもできるが、アーム3a,3bの先端など重要部分がハンダ付けなどにより汚染されるのを避けるためには、ホルダ30上に設ける方が望ましい。なお、チップ抵抗R1〜R6の代わりにダイオードを用いても同様に過電圧が印加されるのを防止することができる。
【0015】
図5は、図1に示すナノピンセット1の要部を示す平面図である。可動電極6aと固定電極5aとの間に電圧を印加すると、可動電極6aが固定電極5aに対して、図5の右方向(x方向)に動くことにより、アーム3aがx方向に駆動される。電圧印加を解除すると、アーム3aは元の位置、つまり図5に示す位置へ復帰する。右側については動作が反転するだけであり、同様に、可動電極6bが固定電極5bに対して、図中、左方向に動くことにより、アーム3bが左方向に駆動される。したがって、アーム間隔Dを変えることができ、微小物体を把持したり解放することができる。
【0016】
次に本発明の第1〜第4の実施形態のナノピンセット保護用治具について図を参照しながら説明する。
【0017】
−第1の実施形態−
図6は本発明の第1の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Aを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Aは、取付アダプタ70Aと、保護カバー80Aとを含んで構成される。取付アダプタ70Aに上述したナノピンセット11が取り付けられ、ナノピンセット11は保護カバー80Aにより覆われて保護されている。取付アダプタ70Aと保護カバー80Aとは、ねじ61によって固定される。図6の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Aをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Aを取り外して使用する。
【0018】
取付アダプタ70Aについて図7も参照して説明する。図7(a)は取付アダプタ70Aの側面図、図7(b)は取付アダプタ70Aの底面図、図7(c)は斜視図である。取付アダプタ70Aは導電性材料からなり、取付溝71と、ガイド溝72Aと、ガイド側壁73Aと、装置取付軸74とを含む。
【0019】
取付溝71には、ナノピンセットユニット11が挟持され、導電性の接着剤により固着される。ガイド溝72Aおよびガイド側壁73Aは、保護カバー80Aを取付アダプタ70Aから外すときに保護カバー80Aの動きを後述のようにガイドする。図7(b)に示すように、ガイド側壁73Aは、ナノピンセットユニット11の取付方向D1に対して垂直なガイド面73aと、その垂直なガイド面73aに対して45度の角度を有するガイド面73bとから構成される。ガイド溝72Aは、ガイド側壁73Aと、ガイド面73bに平行なガイド面72bとにより規定される。図6に示すように、保護カバー80Aを取付アダプタ70Aに取り付けた状態では、保護カバー80Aの端面85とガイド面73aとが接当する。装置取付軸74は、微小試料ハンドリング装置などに設けられた取付穴に差し込まれ、これにより、ナノピンセットユニット11が装置に取り付けられる。
【0020】
保護カバー80Aについて図8も参照して説明する。図8(a)は保護カバー80Aの側面図、図8(b)は保護カバー80Aの底面図、図8(c)は斜視図である。保護カバー80Aは金属または樹脂からなり、格納穴81と、切欠部82と、ねじ穴83と、ガイド突起部84Aとを含む。
【0021】
格納穴81は、ナノピンセットユニット11を格納する穴である。格納穴81にナノピンセットユニット11を格納することによって、ナノピンセット保護用治具60Aを把持してナノピンセットユニット11を装置に取り付ける作業を行う際、ナノピンセット1が手に触れることはない。格納穴81には、取付アダプタ70Aが挿入される端面開口81aと、ナノピンセットユニット11を保護カバー80Aに挿脱するための側面開口81bが設けられている。切欠部82は、格納穴81に格納されたナノピンセットユニット11のケーブル40を外部へ引き出す穴である。ねじ穴83には、取付アダプタ70Aに保護カバー80Aを固定するためのねじ61が螺合される。ガイド突起部84Aは格納穴81に設けられ、取付アダプタ70Aのガイド溝72Aと嵌合して保護カバー80Aの動きをガイドする。
【0022】
次に、図6に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Aの外し方について、図9を参照して説明する。ナノピンセットユニット11は、ナノピンセット保護用治具60Aを取り付けた状態で微小試料ハンドリング装置などの装置に取り付けられ、取り付けた後にナノピンセット保護用治具60Aの保護カバー80Aが取り外される。
【0023】
図9(a)に示すように、保護カバー80Aを固定していたねじ61をねじ穴83から外す。次に、図9(b)に示すように、保護カバー80Aの端面85がガイド面73bに接触するように、またはガイド突起部84Aがガイド溝72Aのガイド面72bに当接するまで保護カバー80Aを回転する。このときの回転する角度は45°程度である。そして、図9(c)に示すように、保護カバー80Aの端面85をガイド面73bに接触させながら、またはガイド突起部84Aをガイド溝72Aに嵌合させながら保護カバー80Aを斜め横方向に移動する。これにより、保護カバー80Aを取付アダプタ70Aから取り外すことができる。なお、取り付け手順は上述した取り外し手順と逆の手順で行われる。
【0024】
以上の本発明の第1の実施形態によるナノピンセット保護用治具60Aは次のような作用効果を奏する。
(1)ナノピンセットユニット11、とくにナノピンセット1の先端部を保護カバー80Aで隠蔽して出荷するようにした。したがって、輸送時に誤ってナノピンセット1を破損するおそれがない。
【0025】
(2)ナノピンセットユニット11を保護カバー80Aで隠蔽した状態でマニピュレータ先端に装着し、その後、保護カバー80Aを取り外すようにした。したがって、装着時にナノピンセット1を破損するおそれがない。
【0026】
(3)ナノピンセットユニット11が取付けられた取付アダプタ70Aに保護カバー80Aを着脱自体に取付け、保護カバー取り外し時、保護カバー80Aがナノピンセット軸線と直交する方向に揺動しないように取付けアダプタ70Aと係合させつつ取り外す構造を採用した。すなわち、保護カバー80Aを、ナノピンセット開閉運動面と平行な面内で移動するように取付けアダプタ70Aと係合させるようにした。つまり、ナノピンセットユニット11の上下面と所定距離離間した状態で、保護カバー80Aが取付アダプタ70Aと係合しつつ相対移動する。したがって、とくに保護カバー80Aの取り外し時に、誤って保護カバー80Aをナノピンセット1先端に接触させて破損するのが防止される。
【0027】
(4)保護カバー80Aを、ナノピンセット開閉運動面と平行な面内で取付アダプタ70Aに対して回動させ、ナノピンセット先端を保護カバー80Aから露出させた後に取付アダプタ70Aとの係合を解くようにした。したがって、ナノピンセット軸線方向に保護カバー80Aを直線運動させる場合に比べて保護カバー80Aがナノピンセット先端に接触することがより一層防止される。
【0028】
−第2の実施形態−
次に本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態を説明する際、第1の実施形態と共通する箇所は共通の符号を付し、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。図10は、本発明の第2の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Bを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Bにはナノピンセットユニット11が取り付けられている。ナノピンセット保護用治具60Bは取付アダプタ70Bと保護カバー80Bとを含んで構成される。図10の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Bをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Bを取り外して使用する。
【0029】
取付アダプタ70Bについて図11を参照して説明する。図11(a)は取付アダプタ70Bの側面図、図11(b)は取付アダプタ70Bの底面図、図11(c)は取付アダプタ70Bの斜視図である。取付アダプタ70Bは、取付溝71と、ガイド溝72Bと、ガイド側壁73Bと、装置取付軸74とを含んで構成される。
【0030】
ガイド溝72Bおよびガイド側壁73Bも第1の実施形態と同様に、保護カバー80Bを取付アダプタ70Bから外すときに保護カバー80Bの動きをガイドする。ガイド側壁73Bは、ナノピンセットユニット11の取付方向D1に対して垂直な面をなす。保護カバー80Bを取付アダプタ70Bに取り付けると、保護カバー80Bの端面85とガイド側壁73Bとが接当する。ガイド溝72Bは、ガイド側壁73Bと、ガイド側壁73Bに平行な面とにより規定される。
【0031】
保護カバー80Bについて図12を参照して説明する。図12(a)は保護カバー80Bの側面図、図12(b)は保護カバー80Bの底面図、図12(c)は保護カバー80Bの斜視図である。保護カバー80Bは、格納穴81と、切欠部82と、ねじ穴83と、ガイド突起部84Bとを含んで構成される。ガイド突起部84Bは格納穴81に設けられ、取付アダプタ70Bのガイド溝72Bと嵌合して保護カバー80Bの動きをガイドする。
【0032】
次に、図10に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Bの外し方について、図13を参照して説明する。図13(a)に示すように、保護カバー80Bを固定していたねじ61をねじ穴83から外す。次に、図13(b)に示すように、保護カバー80Bの端面85をガイド側壁73Bに接触させながら、またガイド突起部84Bをガイド溝72Bに嵌合させながら保護カバー80Bをナノピンセット軸線と直交する横方向に移動する。そして、図13(c)に示すように、さらに保護カバー80Bを横方向に移動することによって、保護カバー80Bがナノピンセットユニット11から外される。
【0033】
以上の本発明の第2の実施形態によるナノピンセット保護用治具60は第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0034】
−第3の実施形態−
次に本発明の第3の実施形態について説明する。図14は本発明の第3の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Cを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Cは、取付アダプタ70Cと、保護カバー80Cとを含んで構成される。図14の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Cに図15で後述する装置取付用治具90を取付け、それをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Cを取り外して使用する。
【0035】
取付アダプタ70Cについて図14および図15を参照して説明する。図15(a)は取付アダプタ70Cの上面図、図15(b)は取付アダプタ70Cの側面図である。図15(c)は装置取付用治具90を取り付けたときの取付アダプタ70Cを示す図である。取付アダプタ70Cは金属材料からなり、図15(a),(b)に示すように、スペーサ部75と、ストッパ部76と、装置取付用治具取付部77とを含んで構成される。
【0036】
スペーサ部75は、保護カバー80Cに取り付ける際、後述する保護カバー80Cに設けられたガイド溝89と隙間812とに嵌合して、ナノピンセットユニット11が保護カバー80Cに接触しないように取付アダプタ80Cの動きをガイドする。ストッパ部76は、図16を参照して後述する保護カバー80Cのストッパ溝810と嵌合して取付アダプタ70Cをガイド部80Cに固定する。また、ガイド溝89にスペーサ部75を挿入しやすくするために、ストッパ部76は丸みを帯びた矢印形状となっており、矢印の先端の角度は45°以下である。図14(b)に示すように、ストッパ部76と保護カバー80Cのストッパ溝810とが嵌合した取付アダプタ70Cは、ナノピンセットユニット11を取り付けたときの自重では外れないが、スペーサ部75は弾性を有しているので、保護カバー80Cを人力で簡単に外すことができる。
【0037】
図15(c)に示すように、装置取付用治具取付部77には、装置取付用治具90がねじ91によって固定される。装置取付用治具90には、装置取付軸92が設けられ、装置取付軸92を微小試料ハンドリング装置などに設けられた取付穴に差し込むことにより、ナノピンセットユニット11が装置に取り付けられる。
【0038】
保護カバー80Cについて図14、図16および図17を参照して説明する。図16は保護カバー80Cの斜視図である。保護カバー80Cは、曲げ弾性を有する樹脂または軽金属からなり、図16に示すように、本体上部86と、本体下部87と、格納穴88と、ガイド溝89と、ストッパ溝810と、板ばね811とを含んで構成される。板ばね811は別部材である。
【0039】
格納穴88は、本体上部86の凹部と本体下部87の凹部とによって形成される。ガイド溝89は、図14(b)に示すように、上述した取付アダプタ70Cのスペーサ部75と嵌合する溝である。ストッパ溝810は、図14(b)に示すように、上述したストッパ部76と嵌合する溝である。板ばね811は、本体上部86と本体下部87との間に隙間812が生じるように固定するばねである。板ばね811を保護カバー80Cから外すと、図17に示すように、本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がる。すなわち、保護カバー80Cは、弾性材料で作製されており、ガイド溝89を回動支点として、図17のD2方向に開き、D3方向に閉じるように構成されている。
【0040】
次に、図14に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Cの外し方について、図17を参照して説明する。ナノピンセット保護用治具60Cを取り付けた状態で、マニピュレータなどのロボットハンドにナノピンセットユニット11を取り付ける。そして、板ばね811を保護カバー80Cから外す。その結果、図17に示すように、本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がる。隙間812が広がると、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89および隙間812との嵌合が緩み、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Cを簡単に取り外せるようになる。そして、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89とを嵌合させながら、保護カバー80Cをナノピンセット1の軸線方向に移動して取付アダプタ70Cから引き抜くことにより、保護カバー80Cがナノピンセットユニット11から取り外される。
【0041】
以上の本発明の第3の実施形態によるナノピンセット保護用治具60は次のような作用効果を奏する。
(1)ナノピンセットユニット11の両側にスペーサ部75を延設させ、保護カバー80Cの内周面にはスペーサ部75がガイドされるガイド溝89を設け、スペーサ部75でガイドしながら保護カバー80Cをナノピンセット軸線方向に移動させて着脱するようにした。したがって、保護カバー80Cがナノピンセットユニット11と所定距離離間した状態で取付アダプタ70Cと係合しつつ相対移動する。そのため、とくに保護カバー80Cの取り外し時に、誤って保護カバー80Cをナノピンセット先端に接触させて破損するのが防止される。スペーサ部75の長さは、保護カバー80Cを取り外す際、ナノピンセット先端が露出するまで保護カバー80Cに取付アダプタ70Cと係合させるように決定するのが好ましい。
【0042】
(2)保護カバー80Cの材質に弾性体を使用し、板ばね811を外すと、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89および隙間812との嵌合が緩むようにしたので、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Cを簡単に引き抜くことができる。
【0043】
(3)ナノピンセットユニット11のホルダ30はセラミックスなどの絶縁材料からなるため、装置取付用治具90を直接ナノピンセットユニット11に取り付けると、ねじ91で固定する際、ホルダ30が割れてしまう場合がある。しかし、第3の実施形態では、金属材料からなる取付アダプタ70Cの装置取付用治具取付部77に、装置取付用治具90を取り付けるので、ねじ91によって固定してもホルダ30が割れることはない。
【0044】
以上の本発明の第3の実施形態によるナノピンセット保護用治具60Cを次のように変形することができる。
(1)図14(a)において、保護カバー80Cの格納穴88の取付アダプタ70Cが取り付けられていない側をテープなどで塞ぐようにしてもよい。このようにすることによって、ナノピンセットユニット11の外部との接触をより確実に防ぐことができる。
【0045】
(2)板ばね811を保護カバー80Cから外すと、本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がるようにした。しかしながら、図18に示すように、保護カバー80Dの外側に溝813を形成し、溝813の幅を狭くするように押圧すると本体上部86と本体下部87との間の隙間812が広がるようにしてもよい。板ばね811を外すよりも容易に本体上部86と本体下部87との間の隙間812を広げることができる。
【0046】
(3)板ばね811を保護カバー80Cから外すと、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝89および隙間812との嵌合が緩み、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Cを簡単に取り外せるようにした。しかしながら、図19に示すように、ねじ816を緩めると、取付アダプタ70Cのスペーサ部75と保護カバー80Cのガイド溝817との嵌合が緩み、ナノピンセットユニット11から保護カバー80Eを簡単に取り外せるようにしてもよい。この場合、図19(a)に示すように、保護カバー80Eは本体上部814と本体下部815とが分離した構成となり、ねじ816によって本体上部814と本体下部815とが固定される。また、ガイド溝817は、図19(b)に示すように、本体上部814に形成された溝と本体下部815に形成された溝とが組み合わさって形成される。
【0047】
−第4の実施形態−
次に本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態を説明する際、第1の実施形態と共通する箇所は共通の符号を付し、第1の実施形態と異なる部分を主に説明する。図20は、本発明の第4の実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Fを説明するための図である。ナノピンセット保護用治具60Fにはナノピンセットユニット11が取り付けられている。図20(a)はナノピンセット保護用治具60Fの上面図、図20(b)は矢印201の方向の側面図、図20(c)は矢印202の方向の側面図である。ナノピンセット保護用治具60Fは、取付アダプタ70Fと、取付アダプタ70Fの外側に外挿して設けられる保護カバー80Fとを含んで構成される。図20の状態で、ナノピンセット11はメーカからユーザに引き渡される。ユーザは、取付アダプタ70Fのナノピンセットユニット取付部78に装置取付用治具90を取付け、それをマニピュレータハンドの先端などに装着し、保護カバー80Fを取り外して使用する。
【0048】
取付アダプタ70Fについて図21を参照して説明する。図21(a)は取付アダプタ70Fの上面図、図21(b)は取付アダプタ70Bの側面図、図21(c)は図21(b)のA−A断面図、図21(d)は斜視図である。取付アダプタ70Fは、一枚の金属板をプレス成形によりコの字型やL字型に折り曲げることによって作製され、ナノピンセットユニット取付部78と、ガイド壁79とを含んで構成される。
【0049】
ナノピンセットユニット取付部78には、導電性の接着剤によりナノピンセットユニット11が固着される。ガイド壁79は、ナノピンセットユニット11を覆うように形成され、上面79a、下面79bおよび側面79cより構成される。上面79aおよび下面79bは保護カバー80Fの内面と嵌合し、保護カバー80Fを取付アダプタ70Fから外すときに保護カバー80Fの動きをガイドする。ガイド壁79の側面79cには、はねじ穴710が設けられ、ねじ穴710にねじ61が差し込まれ、保護カバー80Fが取付アダプタ70Fに固定される。
【0050】
保護カバー80Fについて図22を参照して説明する。図22(a)は保護カバー80Fの上面図、図22(b)は保護カバー80Fの側面図、図22(c)は図22(a)のB−B断面図、図22(d)は保護カバー80Fの斜視図である。保護カバー80Fは、一枚の金属板をプレス成形によってコの字型に折り曲げて作製され、保護カバー上面818aと、保護カバー下面818bと、保護カバー側面818cと、取付部818dとを含んで構成される。保護カバー側面818cの一端から延設される取付部818dには、折り曲げ溝819と、ねじ穴83とが形成される。
【0051】
保護カバー上面818a、保護カバー下面818bおよび保護カバー側面818cは、ナノピンセットユニット11を覆い、外部と接触しないように保護する。保護カバー80Fを外すとき、保護カバー上面818aはガイド壁79の上面79aと接触し、保護カバー下面818bはガイド壁79の上面79bと接触し、上述したように保護カバー80Fの動きをガイドする。折り曲げ溝819は、図24(a)に示すように、保護カバー80Fを折り曲げるための溝である。
【0052】
次に本発明の一実施形態におけるナノピンセット保護用治具60Fにナノピンセットユニット11の取り付け方について、図23を参照して説明する。図23(a)に示すように、取付アダプタ70Fのナノピンセットユニット取付部78にナノピンセットユニット11を導電性接着剤で取り付ける。次に、図23(b)に示すように、取付アダプタ70Fを保護カバー80Fに嵌めこむ。そして、図23(c)に示すように、取付アダプタ70Fのねじ穴710と保護カバー70Fのねじ穴83にねじ61を差し込み、取付アダプタ70Fに保護カバー80Fを固定する。
【0053】
次に、図20に示すようにナノピンセットユニット11を保護している保護カバー80Fの外し方について、図24を参照して説明する。図24(a)に示すように、保護カバー80Fの折り曲げ溝819を起点に保護カバー80Fを折り曲げ、保護カバー80Fのナノピンセットユニット11を保護している部分を回転移動させる。このとき、ナノピンセットユニット11の先端が保護カバー80Fから露出するまで折り曲げる。そして、図24(b)に示すように、ねじ61をねじ穴83,813から外し、保護カバー80Fをナノピンセットユニット11から外す。
【0054】
以上の本発明の第4の実施形態によるナノピンセット保護用治具60Fは第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0055】
また、一枚の金属板からプレス成形により、ナノピンセット保護用治具60Fを作製することができるので、ナノピンセット保護用治具60Fの製造コストが安くなる。
【0056】
以上の実施形態ではナノピンセットユニット11について説明したいが、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品であれば、ナノピンセットユニット11には限定されない。
【0057】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係るナノピンセット保護用治具で保護するナノピンセット装置全体の概略を示す構成図である。
【図2】図1に示すナノピンセットを拡大して示す平面図である。
【図3】図1に示すナノピンセットおよび電源回路の一部をホルダに設置した状態を示す図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は側面図である。
【図4】ナノピンセットユニットを説明するための図であり、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図である。
【図5】図1に示すナノピンセットの要部を示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は底面図である。
【図7】図6のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図7(a)は側面図、図7(b)は底面図、図7(c)は斜視図である。
【図8】図6のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図であり、図8(a)は側面図、図8(b)は底面図、図8(c)は斜視図である。
【図9】図8の保護カバーの取り外し方法を説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図10(a)は側面図、図10(b)は底面図である。
【図11】図10のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図11(a)は側面図、図11(b)は底面図、図11(c)は斜視図である。
【図12】図10のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図であり、図12(a)は側面図、図12(b)は底面図、図12(c)は斜視図である。
【図13】図12の保護カバーの取り外し方法を説明するための図である。
【図14】本発明の第3の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図14(a)は側面図、図14(b)は透視図である。
【図15】図14のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図15(a)は上面図、図15(b)は側面図であり、図24(c)は装置取付用治具を取り付けたときの取付アダプタを示す図である。
【図16】図14のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図である。
【図17】板ばねを外した図16の保護カバーを示す図である。
【図18】図16の保護カバーの他の実施形態を示す図である。
【図19】図16の保護カバーの他の実施形態を示す図であり、図19(a)は分解図、図19(b)は斜視図である。
【図20】本発明の第4の実施形態によるナノピンセット保護用治具を示す図であり、図6(a)は上面図、図6(b)および図6(c)は側面図である。
【図21】図20のナノピンセット保護用治具の取付アダプタを示す図であり、図21(a)は上面図、図21(b)は側面図、図20(c)は図20(a)のA−A断面図、図21(d)は斜視図である。
【図22】図20のナノピンセット保護用治具の保護カバーを示す図であり、図22(a)は上面図、図22(b)は側面図、図22(c)は図22(a)のB−B断面図、図22(d)は斜視図である。
【図23】図20のナノピンセット保護用治具にナノピンセットユニットを取り付ける方法を説明するための図である。
【図24】図22の保護カバーの取り外し方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0059】
1:ナノピンセット 2:電源回路
3a,3b:アーム 4a,4b:静電アクチュエータ
5a,5b:固定電極 6a,6b:可動電極
7a,7b:支持部 8a,8b:連結部
9a,9b:アーム支持部 10:台座
11:ナノピンセットユニット 30:ホルダ
32:プリント配線 40:ケーブル
50:ナノピンセット装置 51,52:樹脂
60A,60B,60C,60F:ナノピンセット保護用治具
61:ねじ
70A,70B,70C,70F:取付アダプタ
72A,72B,89,817:ガイド溝
73A,73B:ガイド側壁 74:装置取付軸
75:スペーサ部 76:ストッパ部
78:ナノピンセットユニット取付部
79:ガイド壁
80A,80B,80C,80D,80E,80F:保護カバー
81,88:格納穴 83,710:ねじ穴
84A,84B:ガイド突起部 86,814:本体上部
87,815:本体下部 90:装置取付用治具
100:SOIウエハ 101:ベース層
102:絶縁層 103:シリコン層
200:コントローラ 810:ストッパ溝
811:板ばね 819:折り曲げ溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持装置との連結部を備えると共に、MEMS部品が取付けられる取付アダプタと、
前記取付アダプタに固定され、前記取付アダプタに装着された前記MEMS部品を覆う保護カバーと、
前記MEMS部品と所定距離離間した状態を保ちながら、前記保護カバーが、前記取付アダプタに対して相対移動する相対移動手段とを備えることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項2】
請求項1に記載の保護治具において、
前記保護カバーと前記取付アダプタは互いに接触しながら相対移動することを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保護治具において、
前記相対移動手段は、前記保護カバーを前記取付アダプタに外挿するようになし、前記保護カバーの内周面を前記取付アダプタの外周面に摺接するようにして構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項4】
請求項3に記載の保護治具において、
前記保護カバーは、前記取付アダプタへの取付部と、前記取付アダプタと摺接するガイド壁とを有し、前記ガイド壁と前記取付部との間に折曲部を設け、前記ガイド壁を前記折曲部で折り曲げることにより、前記保護カバーを前記取付アダプタの外周面で摺接させつつ回動するように構成したことを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項5】
請求項1または2に記載の保護治具において、
前記相対移動手段は、前記保護カバーと前記取付アダプタに各々が設けられた凹部と凸部を含んで構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項6】
請求項5に記載の保護治具において、
前記凸部と前記凹部は、前記保護カバーと前記取付アダプタが相対回転および直線移動するように構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項7】
請求項5に記載の保護治具において、
前記凸部と前記凹部は、前記保護カバーが前記取付アダプタの長手方向に対して直交する方向に直線移動するように構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項8】
請求項1、2および5のいずれか1項に記載の保護治具において、
前記相対移動手段は、前記取付アダプタに設けられたMEMS部品の長手方向の両側に延設されるガイドと、
前記保護カバーに設けられ、前記ガイドに嵌合するガイド溝とを含んで構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項9】
ナノピンセットと、
前記ナノピンセットを取付アダプタに装着した請求項1乃至8のいずれか1項に記載の保護カバーを備えるナノピンセット装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナノピンセット装置を把持装置に装着し、
前記保護カバーを前記取付アダプタから取り外すことを特徴とするナノピンセット装置の装着方法。
【請求項1】
把持装置との連結部を備えると共に、MEMS部品が取付けられる取付アダプタと、
前記取付アダプタに固定され、前記取付アダプタに装着された前記MEMS部品を覆う保護カバーと、
前記MEMS部品と所定距離離間した状態を保ちながら、前記保護カバーが、前記取付アダプタに対して相対移動する相対移動手段とを備えることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項2】
請求項1に記載の保護治具において、
前記保護カバーと前記取付アダプタは互いに接触しながら相対移動することを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の保護治具において、
前記相対移動手段は、前記保護カバーを前記取付アダプタに外挿するようになし、前記保護カバーの内周面を前記取付アダプタの外周面に摺接するようにして構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項4】
請求項3に記載の保護治具において、
前記保護カバーは、前記取付アダプタへの取付部と、前記取付アダプタと摺接するガイド壁とを有し、前記ガイド壁と前記取付部との間に折曲部を設け、前記ガイド壁を前記折曲部で折り曲げることにより、前記保護カバーを前記取付アダプタの外周面で摺接させつつ回動するように構成したことを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項5】
請求項1または2に記載の保護治具において、
前記相対移動手段は、前記保護カバーと前記取付アダプタに各々が設けられた凹部と凸部を含んで構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項6】
請求項5に記載の保護治具において、
前記凸部と前記凹部は、前記保護カバーと前記取付アダプタが相対回転および直線移動するように構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項7】
請求項5に記載の保護治具において、
前記凸部と前記凹部は、前記保護カバーが前記取付アダプタの長手方向に対して直交する方向に直線移動するように構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項8】
請求項1、2および5のいずれか1項に記載の保護治具において、
前記相対移動手段は、前記取付アダプタに設けられたMEMS部品の長手方向の両側に延設されるガイドと、
前記保護カバーに設けられ、前記ガイドに嵌合するガイド溝とを含んで構成されることを特徴とするMEMS部品の保護治具。
【請求項9】
ナノピンセットと、
前記ナノピンセットを取付アダプタに装着した請求項1乃至8のいずれか1項に記載の保護カバーを備えるナノピンセット装置。
【請求項10】
請求項9に記載のナノピンセット装置を把持装置に装着し、
前記保護カバーを前記取付アダプタから取り外すことを特徴とするナノピンセット装置の装着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2008−18496(P2008−18496A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192526(P2006−192526)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(390022471)アオイ電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(390022471)アオイ電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
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