説明

MRI装置

【課題】所望倍速率のPI撮影を可能とするコイルエレメントの選択やPI撮影用スキャンプランの更新を容易に行なう。
【解決手段】PFコイルユニット30が備えた複数のコイルエレメントを有するマルチチャンネルコイルを用いてPI撮影を行なう際、PI撮影判定部9は、パイロット撮影によって設定されたスキャンプランの情報と前記マルチチャンネルコイルを構成するコイルエレメントの配列情報に基づいて所望倍速率のPI撮影が可能か否かを判定する。そして、可能と判定した場合、送受信部3は、前記コイルエレメントから検出されるMR信号に基づいてPI撮影を実行する。一方、不可能と判定した場合、PI撮影判定部9は、更新すべきスキャンプランを自動更新あるいは表示部7にて報知し、自動更新あるいは報知を受けた操作者によって更新されたスキャンプランに基づいてPI撮影を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMRI装置に係り、特に、マルチチャンネルコイルを用いたパラレルイメージングを可能とするMRI装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング法(MRI)は、静磁場中に置かれた被検体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号(RFパルス)で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)から画像データを再構成するイメージング法である。
【0003】
MRI装置は、生体内から検出されるMR信号に基づいて画像データを生成する画像診断装置であり、解剖学的診断情報のみならず生化学的情報や機能診断情報など多くの診断情報を得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなっている。
【0004】
近年、3次元画像データの収集を可能とするMRI装置の実用化に伴い、画像データ生成時間を短縮するための各種高速撮影技術が開発されている。その1つとして複数のRFコイルをコイルエレメントとして備えたマルチチャンネルコイルを用いた、所謂、パラレルイメージング(Parallel Imaging)撮影と呼ばれる高速撮影法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、先ず、位相エンコードステップを間引いて収集した複数のMR信号を所定のアルゴリズムに基づいて束ねることにより複数のRFチャンネルを形成し、次いで、このRFチャンネルのMR信号を再構成処理して得られた複数の画像データを前記RFチャンネルの感度分布データに基づいて展開処理することにより折り返りの無い画像データを短時間で生成することが可能となる。
【0005】
従来、MRI装置では、位相エンコードを順次更新させながらシーケンスを繰り返すことにより1枚の画像データの生成に必要なMR信号の収集を行なっており、MR信号の収集時間は位相エンコードの更新回数に大きく依存している。従って、臨床的に有効な画質と撮影範囲(FOV)を有する画像データの生成に必要なMR信号の収集に多くの時間を要し、高速撮影を困難にしてきた。
【0006】
このような問題点を解決するために、RFパルスの繰り返し周期内において複数のMR信号を検出するマルチエコータイプのシーケンスや、前記繰り返し周期を短縮したシーケンスを用いた高速撮影法が既に開発されているが、これらの高速撮影法は、画像コントラストの劣化や画像歪みが発生し易いという問題点を有している。
【0007】
一方、パラレルイメージング撮影(以下では、PI撮影と呼ぶ。)では、既に述べたように複数のコイルエレメントを有したマルチチャンネルコイルを用い、位相エンコードステップを等間隔に間引いたシーケンスを実行してそのステップ回数を低減することによりMR信号の収集に要する時間を短縮している。このとき、位相エンコードステップが間引かれて収集されたMR信号を再構成処理して得られる画像データには折り返り現象が発生するが、この折り返り現象は、コイルエレメントからのMR信号を束ねて形成されるRFチャンネルの感度分布データに基づいた展開処理によって除去することができる。そして、位相エンコード方向におけるRFチャンネル数をNとすれば、位相エンコードステップ数の低減によりMR信号の収集に要する時間の最大短縮率(以下では、最大倍速率と呼ぶ。)は1/Nとなる。
【特許文献1】特開2004−329613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
PI撮影では、通常、被検体の体軸方向(z方向)及びこの体軸方向に垂直な方向(x方向)に対して複数のコイルエレメントが2次元配列されたマルチチャンネルコイルが前記被検体の体表面近傍及び背面近傍に夫々配置される。そして、これらのコイルエレメントは、体軸方向に対して複数のセクションに区分され、夫々のセクションにおける複数のコイルエレメントがx方向に配列される。このとき、PI撮影における最大倍速率は、パイロット撮影による位置決め用画像データにおいて予め設定されたPI撮影用スキャンプランの情報と、操作者によって設定された複数のセクションやこれらのセクションが有する複数のコイルエレメントに基づいたRFチャンネルによって決定される。
【0009】
しかしながら、従来、操作者はPI撮影に先立って所望の倍速率を設定する際に、PI撮影のスキャンプランを考慮することなく所望倍速率を設定していたため、最適なセクションやRFチャンネルの設定が行なわれなかった。このため、PI撮影による診断用画像データの収集が不可能となったり、低いSN比や許容できないアーチファクトを有した診断用画像データが生成されることがあり、このような場合には、マルチチャンネルコイルにおけるセクションやRFチャンネル等を再設定した後MR信号の収集と再構成処理による診断用画像データの生成を再度遣り直す必要があった。
【0010】
即ち、PI撮影のスキャンプランを考慮することなく所望倍速率を設定する場合、PI撮影における検査効率や診断精度は操作者の技量に大きく依存し、最適なセクションやRFチャンネルの設定に多くの時間を要した場合には検査効率が著しく低下するのみならず操作者の負担が増大するという問題点を有していた。
【0011】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、パイロット撮影による位置決め用画像データにて予め設定されたスキャンプランに基づいてPI撮影を行なう際、所望の倍速率を可能とする好適なRFチャンネルの選択やスキャンプランの更新を容易に行なうことが可能なMRI装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のMRI装置は、静磁場及び傾斜磁場が印加された被検体に対してRFパルスを照射し複数のコイルエレメントによって検出された前記被検体からのMR信号を合成することによって形成した複数からなるRFチャンネルのMR信号に基づいてパラレルイメージング(PI)撮影行なうMRI装置において、前記コイルエレメントによって検出されたMR信号を合成して複数のRFチャンネルを形成するMR信号合成手段と、前記被検体に対するパイロット撮影によって予め収集された位置決め用画像データに対しPI撮影用スキャンプランを設定するスキャンプラン設定手段と、前記PI撮影に対し所望倍速率を設定する倍速率設定手段と、前記PI撮影用スキャンプランの情報及び前記所望倍速率の情報に基づいて前記MR信号合成手段によって形成された前記複数のRFチャンネルの中から前記PI撮影に好適な前記複数からなるRFチャンネルを選択するRFチャンネル選択手段とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パイロット撮影による位置決め用画像データにて予め設定されたスキャンプランに基づき当該被検体に対するPI撮影を行なう際、所望の倍速率を可能とする好適なRFチャンネルの選択やスキャンプランの更新を容易に行なうことが可能となる。このため、操作者の技量に依存することなく効率のよいPI撮影を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0015】
以下に述べる本実施例のMRI装置では、複数のコイルエレメントが2次元配列されたマルチチャンネルコイルを被検体の体表面近傍及び背面近傍に配置してPI撮影を行なう際、パイロット撮影による位置決め用画像データにおいて予め設定されたPI撮影用スキャンプランの情報と前記マルチチャンネルコイルを構成するコイルエレメントの配列情報に基づいて操作者が所望する倍速率(所望倍速率)のPI撮影が可能か否かを判定する。そして、PI撮影が可能と判定した場合、前記複数のコイルエレメントの中から前記所望倍速率を可能とする好適なコイルエレメントを選択してPI撮影を実行する。一方、PI撮影が不可能と判定した場合、更新すべきスキャンプランを自動更新あるいは操作者に報知し、自動更新あるいは報知を受けた操作者によって更新されたPI撮影用スキャンプランに基づきコイルエレメントを選択して当該被検体に対するPI撮影を実効する。
【0016】
(装置の構成)
本発明の実施例におけるMRI装置の構成につき図1乃至図3を用いて説明する。尚、図1は、本実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図であり、図2は、このMRI装置が備えたRFコイルユニット及び送受信部の具体的な構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示したMRI装置200は、被検体150に対して磁場を発生する静磁場発生部1及び傾斜磁場発生部2と、被検体150に対しRFパルスの照射とMR信号の検出を行なうRFコイルユニット30と、RFコイルユニット30に対しパルス電流を供給すると共に前記RFコイルユニット30が検出したMR信号に対し所定の信号処理を行なう送受信部3と、被検体150を載置する天板4と、この天板4を被検体150の体軸方向に移動する天板移動機構部5を備えている。
【0018】
更に、MRI装置200は、パイロット撮影及びPI撮影において送受信部3が受信したMR信号を再構成処理して位置決め用画像データ及び診断用画像データを生成する画像データ生成部6と、生成されたこれらの画像データを表示する表示部7と、MR信号収集条件や画像データ表示条件の設定、所望倍速率の設定、PI撮影用スキャンプランの設定、スキャンプラン更新モードの選択、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部8と、RFコイルユニット30における後述のマルチチャンネルコイル302に設けられたコイルエレメントの配列情報及びPI撮影用スキャンプランの情報に基づいて前記所望倍速率によるPI撮影の可能性を判定するPI撮影判定部9と、MRI装置200における上述の各ユニットを統括的に制御する制御部10を備えている。
【0019】
静磁場発生部1は、常伝導磁石あるいは超電導磁石によって構成される主磁石11と、この主磁石11に電流を供給する静磁場電源12を備え、図示しないガントリ中央部の撮影野に配置された被検体150に対し強力な静磁場を形成する。尚、主磁石11は、永久磁石によって構成されていてもよい。
【0020】
一方、傾斜磁場発生部2は、体軸方向(z方向)及びこの体軸方向に直交するx方向とy方向に対して傾斜磁場を形成する傾斜磁場コイル21と、傾斜磁場コイル21の各々に対してパルス電流を供給する傾斜磁場電源22を備えている。
【0021】
傾斜磁場コイル21及び傾斜磁場電源22は、制御部10から供給されるシーケンス制御信号に基づいて被検体150が置かれた撮影野に対し位置情報を付加する。即ち、傾斜磁場電源22は、シーケンス制御信号に基づいてx方向,y方向及びz方向の傾斜磁場コイル21に供給するパルス電流を制御することにより各々の方向に対して傾斜磁場を形成する。そして、x方向,y方向及びz方向の傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場Gs、位相エンコード傾斜磁場Ge及び読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場Grが所望の方向に形成され、これらの傾斜磁場は、主磁石11によって形成された強力な静磁場に重畳されて被検体150に印加される。
【0022】
次に、図1に示したRFコイルユニット30と送受信部3の具体例につき図2を用いて説明する。図2のRFコイルユニット30は、MRI装置200の図示しないガントリ内において上述の傾斜磁場コイル21と共に設けられた送受信兼用の全身用コイル(WBコイル)301と被検体150の体表面近傍及び背面近傍に配設された受信専用のマルチチャンネルコイル302−1及び302−2を備えている。そして、位置決め用画像データの生成を目的としたパイロット撮影において、所定の周波数(ラーモア周波数)と包絡線を有したパルス電流がWBコイル301に供給され、高磁場に置かれた被検体150の撮影領域に対しRFパルスが照射される。このRFパルスの照射により被検体150の組織にて発生したMR信号は、WBコイル301によって検出され送受信部3に供給される。
【0023】
一方、診断用画像データの生成を目的としたPI撮影では、パイロット撮影の場合と同様にしてWBコイル301に対し所定の周波数と包絡線を有したパルス電流が供給され、被検体150の撮影領域に対しRFパルスが照射される。そして、このRFパルスの照射により被検体150の組織にて発生したMR信号は、マルチチャンネルコイル302−1及び302−2にて2次元配列されたコイルエレメントの各々によって検出され送受信部3に供給される。このとき、マルチチャンネルコイル302−1及び302−2の各々は、体軸方向(z方向)に複数(Nz)からなるセクション3s1乃至3sNzを形成し、これらセクションの各々はx方向に複数個(Nx)のコイルエレメントを有している。
【0024】
図3は、例えば、x方向とz方向に夫々4個(Nx=Nz=4)のコイルエレメント3e11、3e12、3e13、3e14、3e21、・・・・3e44が配列されたマルチチャンネルコイル302を示したものであり、この図に示すように、これらのコイルエレメントはz方向に対してセクション1(3s1)乃至セクション4(3s4)に区分され、セクション1乃至4の各々はx方向に対して4つのコイルエレメント3ei1乃至3ei4(i=1乃至4)を有している。
【0025】
図2に戻って、送受信部3は、送信部31、受信部32、MR信号合成部33及びRFチャンネル選択部34を備えている。
【0026】
送信部31は、位置決め用画像データを収集するためのパイロット撮影及び診断用画像データを収集するためのPI撮影において上述のWBコイル301に対しパルス電流を供給する機能を有し、主磁石11の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と略同一の周波数を有し所定の選択励起波形で変調されたパルス電流を生成してWBコイル301に供給する。
【0027】
MR信号合成部33は、増幅回路とスイッチング回路を備え、マルチチャンネルコイル302−1及び302−2の各セクション3si(i=1乃至Nz)におけるコイルエレメント3eij(j=1乃至Nx)が検出したMR信号を所定アルゴリズムに基づいて合成し複数のRFチャンネルを形成する。尚、MR信号合成部33は、通常、コイルエレメント3eij(i=1乃至Nz、j=1乃至Nx)によって検出されたMR信号を高S/Nで増幅するためにマルチチャンネルコイル302−1あるいは302−2の近傍に設けられる。
【0028】
一方、RFチャンネル選択部34は、入力部8から主制御部101を介して供給されるPI撮影用スキャンプランの情報及び所望倍速率の情報、更には、RFコイルユニット30から主制御部101を介して供給されるマルチチャンネルコイル302−1及び302−2の情報に基づいて、MR信号合成部33が形成した複数のRFチャンネルの中から当該PI撮影に好適なMヶのRFチャンネルを選択する。
【0029】
受信部32は、図示しない1チャンネルのパイロット撮影用受信部及びMチャンネルのPI撮影用受信部を備え、前記パイロット撮影用受信部は、パイロット撮影においてWBコイル301が検出した1チャンネルのMR信号を受信し、中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリング、A/D変換等の信号処理を行なう。一方、前記PI撮影用受信部は、PI撮影においてRFチャンネル選択部34から供給されるMヶのRFチャンネルにおけるMR信号に対し上述と同様の信号処理を行なう。
【0030】
次に、図1に示した天板4は、図示しない寝台の上面において被検体150の体軸方向(z方向)にスライド自在に取り付けられ、この天板4に載置された被検体150をz方向に移動することによりその撮影対象部位を撮影野の好適な位置に設定する。又、天板移動機構部5は、例えば、前記寝台の端部あるいは下部に取り付けられ、制御部10から供給される天板移動制御信号に基づき天板4を移動するための駆動信号を生成する。そして、この駆動信号によって天板4をz方向に所定速度で移動する。
【0031】
画像データ生成部6は、データ記憶部61と高速演算部62を備え、データ記憶部61は、位相エンコードを順次変化させることにより時系列的に収集された複数のMR信号からなるMRデータを記憶するMRデータ記憶部611と、前記MRデータの再構成処理によって生成された画像データを記憶する画像データ記憶部612を備えている。
【0032】
MRデータ記憶部611には、WBコイル301により位相エンコード方向に収集された複数のMR信号からなるパイロット撮影時のMR信号群(以下では、位置決め用MRデータと呼ぶ。)と、RFチャンネルの各々において異なる位相エンコードで収集された複数のMR信号からなるPI撮影時のMR信号群(以下では、診断用MRデータと呼ぶ。)が保存される。又、画像データ記憶部612には、位置決め用MRデータを再構成処理して得られた位置決め用画像データと、診断用MRデータに対し再構成処理と展開処理を行なって生成された診断用画像データが保存される。尚、PI撮影では、MR信号の収集時間を短縮するために位相エンコードステップを間引いて収集された診断用MRデータがMRデータ記憶部611に保存される。
【0033】
一方、画像データ生成部6の高速演算部62は再構成処理部621と展開処理部622を備えている。再構成処理部621は、MR信号記憶部611に保存された位置決め用MRデータを読み出し、2次元フーリエ変換による再構成処理を行なって位置決め用画像データを生成する。更に、再構成処理部621は、MR信号記憶部611に保存された各RFチャンネルの診断用MRデータを順次読み出し、同様の再構成処理を行なってRFチャンネルの各々に対する診断用画像データを生成する。このとき生成された診断用画像データの各々には位相エンコードステップの間引きに起因する折り返りが生ずる。
【0034】
次に、展開処理部622は、RFチャンネルの各々に対する感度マップデータが予め保管されている図示しない感度マップデータ記憶部を備え、前記RFチャンネルの各々に対して再構成処理部621が生成した複数の診断用画像データを前記感度マップデータに基づいて展開処理しこれらの診断用画像データに発生していた折返りを補正する。尚、展開処理の具体的な方法については特開2002−315731号公報や上述の特許文献1等に記載されているため詳細な説明は省略する。
【0035】
表示部7は、図示しない表示データ生成回路と変換回路とモニタを備え、画像データ生成部6において生成された位置決め用画像データや診断用画像データの表示を行なう。即ち、位置決め用画像データの表示に際し前記表示データ生成回路は、画像データ生成部6の画像データ記憶部612から供給される位置決め用画像データに入力部8から制御部10を介して供給されるPI撮影用スキャンプラン(例えば、PI撮影におけるスライス断面の位置や方向)の情報を重畳して表示データを生成する。次いで、前記変換回路は、予め設定された画像データの表示条件に従って前記表示データを所定の表示フォーマットに変換した後D/A変換し、CRTあるいは液晶パネルからなる前記モニタに表示する。
【0036】
一方、診断用画像データの表示に際し前記表示データ生成回路は、画像データ生成部6の画像データ記憶部612から供給される折り返り補正後の診断用画像データに制御部10から供給される被検体情報等の付帯情報を付加して表示データを生成し、前記変換回路は、この表示データに対し上述と同様の変換処理を行なって前記モニタに表示する。
【0037】
次に、入力部8は、制御部10を介して表示部7と接続されることによりインタラクティブなインターフェースを形成している。そして、操作卓上に表示パネルやスイッチ、キーボード、マウス等の各種入力デバイスを備え、被検体情報の入力、パルスシーケンス等を含んだMR信号収集条件の設定、画像データ表示条件の設定、診断用画像データの生成を目的として位置決め用画像データ上で行なわれるPI撮影用スキャンプランの設定、所望倍速率の設定、スキャンプラン更新モードの選択、天板移動指示信号の入力、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう。尚、本実施例では、PI撮影用スキャンプランの更新に際しナビ更新モードあるいは自動更新モードの何れかが選択される。
【0038】
PI撮影判定部9は、RFコイルユニット30から制御部10を介して供給されるコイルエレメントの配列情報と制御部10から供給されるPI撮影用のスキャンプラン情報に基づき、操作者が入力部8にて設定した所望倍速率のPI撮影が可能か否かを判定する。そして、ナビ更新モードにおいて前記PI撮影は不可能と判定した場合には、可能とするために更新すべきスキャンプラン項目を検索し、その検索結果を表示部7に表示して操作者によるPI撮影用スキャンプランの更新を支援する。一方、自動更新モードにおいて上述のPI撮影は不可能と判定した場合、PI撮影判定部9は、PI撮影を不可能にしているスキャンプラン項目を自動更新し、更新結果を制御部10に供給すると共に表示部7に表示する。
【0039】
次に、制御部10は、主制御部101、シーケンス制御部102及び天板移動制御部103を備えている。主制御部101は、図示しないCPUと記憶回路を備え、MRI装置200を統括して制御する機能を有している。そして、主制御部101の記憶回路には、入力部8にて入力/設定/選択された被検体情報、MR信号の収集条件、画像データの表示条件、PI撮影用スキャンプラン、所望倍速率、スキャンプラン更新モード等の情報が保存される。一方、主制御部101のCPUは、入力部8において設定されたMR信号収集条件のパルスシーケンスに基づき傾斜磁場コイル21やRFコイルユニット30に供給するパルス電流の大きさ、供給時間、供給タイミング等を設定してシーケンス制御部102に供給する。
【0040】
シーケンス制御部102は、図示しないCPUと記憶回路を備え、主制御部101から供給されるパルスシーケンス情報を前記記憶回路に一旦記憶した後、これらのパルスシーケンス情報に基づいてシーケンス制御信号を生成し傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源22や送受信部3を制御する。又、天板移動制御部103は、入力部8から主制御部101を介して供給される天板移動指示信号に基づいて天板移動制御信号を生成し天板移動機構部5へ供給する。
【0041】
次に、PI撮影用スキャンプランのスライス断面に基づいて選択されるマルチチャンネルコイル302のコイルエレメントにつき図4乃至図6を用いて説明する。尚、以下では、説明を簡単にするために、体軸方向(z方向)及びこの体軸方向に垂直なx方向に夫々4個ずつ配列された16個のコイルエレメントを有するマルチチャンネルコイル302について述べるが、これに限定されない。
【0042】
図4は、パイロット撮影によって収集された当該被検体150の位置決め用画像データDxに対して設定されたPI撮影用スキャンプランのスライス断面(コロナル断面)を示したものであり、例えば、図4(a)に示した位置決め用画像データDxにおいて被検体150に対するマルチチャンネルコイル302(図4(b)参照)の配置領域302xが設定され、更に、体軸方向(z方向)に対し角度θだけ傾斜したスライス断面Sxの位置が設定される。
【0043】
位置決め用画像データDxにおいて上述のPI撮影用スキャンプランが設定された場合、制御部10のシーケンス制御部102は、スライス断面SxのXx方向が位相エンコード方向になるように傾斜磁場電源22を制御する。そして、この位相エンコード方向に対応した4ヶのコイルエレメント(例えば、3e11乃至3e14)から検出されたMR信号を所定アルゴリズムに基づいて合成することにより4ヶのRFチャンネルが形成される。PI撮影において使用されるマルチチャンネルコイル302は、図4(b)に示すように、被検体150の体軸方向(z方向)において4つのセクション3s1乃至3s4を形成し、セクション3s1乃至3s4の各々は、4ヶのコイルエレメントを有している。そして、送受信部3のMR信号合成部33は、これらのコイルエレメントにて検出されたMR信号を合成することにより複数のRFチャンネルを形成し、RFチャンネル選択部34は、これらのRFチャンネルの中から当該PI撮影に好適なMヶのRFチャンネルを選択する。以下では、受信部32のチャンネル数Mが16チャンネルの場合について述べる。
【0044】
図5は、PI撮影の最大倍速率Rが4の場合に使用されるマルチコイル302−1あるいは302−2のコイルエレメントを示したものであり、この場合の選択は、PI撮影用スキャンプランにおいて設定されるスライス断面Sxの体軸方向(z方向)に対する傾斜角度θに依存する。即ち、z方向に対するスライス断面Sxの傾斜角度θが45度以下の場合、RFチャンネル選択部34は、図5(a)に示すように、セクション3S1におけるコイルエレメント3e11乃至3e14から検出されたMR信号を合成することによってx方向に形成された4ヶのRFチャンネルを選択し、更に、セクション3S2におけるコイルエレメント3e21及び3e24から検出されたMR信号を合成することによってx方向に形成された4ヶのRFチャンネルを選択する。
【0045】
同様にして、RFチャンネル選択部34は、図示しないマルチコイル302−2のコイルエレメント3e11乃至3e14から検出されたMR信号の合成及びコイルエレメント3e21乃至3e24から検出されたMR信号の合成によってx方向に形成された4ヶのRFチャンネルを夫々選択する。
【0046】
そして、画像データ生成部6の高速演算部62における再構成処理部621は、各セクションにて選択された4ヶのRFチャンネルにて得られる診断用MRデータを再構成処理して折り返り補正前の4枚の診断用画像データを生成し、展開処理部622は、これら4枚の診断用画像データRFを展開処理し折り返りが補正された1枚の診断用画像データを生成する。
【0047】
一方、x方向に対するスライス断面Sxの傾斜角度θが45度以上の場合、RFチャンネル選択部34は、図5(b)に示すように、セクション3S1乃至3s4におけるコイルエレメント3e11乃至3e41にて検出されたMR信号を合成することによってz方向に形成された4ヶのRFチャンネルを選択し、更に、コイルエレメント3e12乃至3e42にて検出されたMR信号を合成することによってz方向に形成された4ヶのRFチャンネルを選択する。
【0048】
同様にして、RFチャンネル選択部34は、図示しないマルチコイル302−2のコイルエレメント3e11乃至3e41から検出されたMR信号の合成及びコイルエレメント3e12乃至3e42から検出されたMR信号の合成によってz方向に形成された4ヶのRFチャンネルを夫々選択する。そして、画像データ生成部6の高速演算部62は、z方向に選択された上述のRFチャンネルにて得られる診断用MRデータを再構成処理して折り返り補正前の4枚の診断用画像データを生成し、展開処理部622は、これら4枚の診断用画像データRFを展開処理し折り返りが補正された1枚の診断用画像データを生成する。
【0049】
上述のように、図4の位相エンコード方向Xxに対応する方向(x方向あるいはz方向)に形成された4ヶのRFチャンネルに基づいて生成される4枚の補正前診断用画像データを展開処理することにより、スライス断面Sxの傾斜角度θの大きさに依存することなく最大倍速度Rが4のPI撮影が可能となる。
【0050】
一方、マルチチャンネルコイル302においてコイルエレメント3e14、3e24、3e34及び3e44が存在しない場合にはx方向におけるRFチャンネル数は3となり、スライス断面Sxの傾斜角度θが45度以下では最大倍速度Rが4のPI撮影は不可能となる。即ち、最大倍速度Rが4のPI撮影を実現するためにはPI撮影用スキャンプランにおけるスライス断面Sxの傾斜角度θが45度以上になるように更新する必要がある。
【0051】
同様にして、マルチチャンネルコイル302においてコイルエレメント3e41、3e42、3e43及び3e44が存在しない場合にはz方向におけるRFチャンネル数は3となり、スライス断面Sxの傾斜角度θが45度以上では最大倍速度Rが4のPI撮影は不可能となる。従って、最大倍速度Rが4のPI撮影を実現するためにはPI撮影用スキャンプランにおけるスライス断面Sxの傾斜角度θを45度以下に更新する必要がある。
【0052】
次に、図6は、最大倍速率Rが2の場合、上述のマルチチャンネルコイル302にて2次元配列された16個のコイルエレメント3eij(i=1乃至4、j=1乃至4)の中から選択されるコイルエレメントの具体例を示したものであり、x方向に対するスライス断面Sxの傾斜角度θが45度以下の場合、図6(a)に示すように、例えば、セクション3s1のコイルエレメント3e11及び3e12において検出されたMR信号に基づいて2ヶのRFチャンネルがx方向に形成され、同様にして、セクション3s2乃至3s4の各々に対しても2ヶのRFチャンネルがx方向に形成される。そして、画像データ生成部6は、各セクションのx方向に形成された2ヶのRFチャンネルから得られるMR信号に対し再構成処理と展開処理を行なって折り返りの無い診断用画像データを生成する。
【0053】
又、x方向に対するスライス断面Sxの傾斜角度θが45度以上の場合、図6(b)に示すように、例えば、セクション3s1のコイルエレメント3e11及びセクション3s2の3e21において検出されたMR信号に基づいて2つのRFチャンネルがz方向に形成され、同等にして、コイルエレメント3e12及び3e22、3e13及び3e23、3e14及び3e24の各々に対して2ヶのRFチャンネルがz方向に形成される。そして、画像データ生成部6は、z方向に形成された2ヶのRFチャンネルから得られるMR信号に対し再構成処理と展開処理を行なって折り返りの無い診断用画像データを生成する。
【0054】
この場合、16個のコイルエレメント3eij(i=1乃至4、j=1乃至4)が2次元配列されたマルチチャンネルコイル302を用いることによりz方向及びx方向の何れに対しても2つのRFチャンネルの設定が可能となり、従って、スライス断面Sxのz方向に対する傾斜角度θの大きさに依存することなく最大倍速度Rが2のPI撮影が可能となる。
【0055】
(PI撮影用スキャンプランの更新手順)
次に、PI撮影用スキャンプランの更新手順につき図7のフローチャートを用いて説明する。当該被検体150のPI撮影に先立ち、MRI装置200の操作者は2次元配列されたコイルエレメントを有するマルチチャンネルコイル302−1及び302−2を選択し、このマルチチャンネルコイル302−1及び302−2を天板4に載置された被検体150の体表面近傍及び背面近傍に配置する。このとき、マルチチャンネルコイル302−1及び302−2におけるコイルエレメントの配列情報は、その識別情報と共に制御部10の主制御部101における記憶回路に保存される(図7のステップS1)。
【0056】
次いで、操作者は、天板移動指示信号を入力部8にて入力し、被検体150の診断対象部位がガントリ中央部の撮影野に位置するように天板4を体軸方向(z方向)に移動する、更に、操作者は、入力部8にて被検体情報の入力、パイロット撮影及びPI撮影におけるMR信号収集条件や画像データ表示条件の設定、スキャンプラン更新モードの選択等を行なう。尚、本実施例ではスキャンプラン更新モードの選択としてナビ更新モードあるいは自動更新モードの何れかが選択される。そして、これらの入力情報/設定情報/選択情報も主制御部101に備えられた記憶回路に保存される(図7のステップS2)。
【0057】
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、位置決め用画像データの収集を目的としたパイロット撮影の開始コマンド信号を入力部8において入力し、このコマンド信号が制御部10の主制御部101に供給されることにより位置決め用画像データの生成が開始される。
【0058】
以下では、SE(スピンエコー)法を用い当該被検体150のコロナル断面におけるT1強調画像データを位置決め用画像データとして生成するためのMR信号収集条件が上述のステップS2において設定された場合について述べる。
【0059】
SE法によりT1強調画像データを収集する場合、図1に示した傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源22は、制御部10のシーケンス制御部102から供給されたシーケンス制御信号に基づいてx方向,y方向及びz方向の傾斜磁場コイル21に対するパルス電流を制御し、被検体150の撮影対象部位におけるコロナル断面を設定するためのスライス選択傾斜磁場Gsとこの撮影スライス断面から得られたMR信号に対しその発生位置を符号化するための位相エンコード傾斜磁場Ge及び読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場Grを印加する。
【0060】
そして、例えば、Na×Naの画素を有する位置決め用画像データを生成する場合、Na種類の磁場強度を有する位相エンコード傾斜磁場Geの印加を繰り返し期間TRでNa回繰り返すと共に、所定の磁場強度を有した読み出し(周波数エンコード)傾斜磁場Geの印加を繰り返し期間TRで繰り返す。
【0061】
一方、送受信部3の送信部31は、最初のスライス選択傾斜磁場Gsの印加中にRFコイルユニット30のWBコイル301に対しパルス電流を供給して90度RFパルスを被検体150の撮影部位に照射し、更に、この照射から時間TE/2後における第2のスライス選択傾斜磁場Gsの印加中に180度RFパルスを同一部位に照射する。次いで、WBコイル301及び送受信部3の受信部32は、180度RFパルスの照射から時間TE/2後に被検体150から生ずる位置決め用MR信号を受信して画像データ生成部6のデータ記憶部61におけるMRデータ記憶部611に保存する。
【0062】
尚、上述の90度RFパルス及び180度RFパルスは、被検体組織の原子核スピンを90度及び180度回転するために必要なエネルギーを原子核スピンに供給するためのRF波であり、時間TEは、90度RFパルスの照射からMR信号が検出されるまでの時間を、又、TRは、MR信号の検出周期、T1は生体組織が有する原子核スピンの縦緩和時間である。
【0063】
そして、位相エンコード傾斜磁場Geの磁場強度をNa回更新することによりNa個の位置決め用MR信号が収集されたならば、画像データ生成部6の高速演算部62における再構成処理部621は、夫々がNaのデータ点を有するNa個の位置決め用MR信号(即ち、位置決め用MRデータ)を2次元フーリエ変換してNa×Naの画素を有した、例えば、コロナル断面における位置決め用画像データを生成し、表示部7に表示する(図7のステップS3)。
【0064】
表示部7において位置決め用画像データを観察した操作者は、入力部8に備えられた入力デバイスを用い位置決め用画像データにおいてPI撮影用スキャンプランを設定する。具体的には、前記位置決め用画像データに重畳されたマルチチャンネルコイル302の配置領域302xに基づいてスライス断面(例えば、コロナル断面)Sxを所定方向に設定し(図4(a)参照)(図7のステップS4)、更に、SI撮影に対する所望倍速率を設定する(図7のステップS5)。そして、これらの設定情報は主制御部101の記憶回路に保存される。
【0065】
一方、PI撮影判定部9は、予め設定された受信部32のチャンネル数情報、マルチチャンネルコイル302におけるコイルエレメントの配列情報、位置決め用画像データに対して設定されたスライス断面の情報を主制御部101の記憶回路から読み出し、これらの情報に基づいて最大倍速率を算出する(図7のステップS6)。更に、PI撮影判定部9は、算出された最大倍速率と前記記憶回路から読み出した上述の所望倍速率とを比較することにより前記所望倍速率によるPI撮影の可能性を判定する(図7のステップS7)。
【0066】
そして、所望倍速率によるPI撮影が可能と判定した場合、その判定結果を主制御部101に供給し、この判定結果を受信した主制御部101は、MRI装置の各ユニットに対し所望倍速率によるPI撮影を開始するための制御信号を供給してPI撮影を実行する(図7のステップS11)。
【0067】
一方、ステップS2の初期設定においてナビ更新モードが選択された状態でステップS7において所望倍速率によるPI撮影が不可能と判定した場合、前記PI撮影を可能とするために更新すべきスキャンプラン項目(例えば、スライス断面の方向)を検索して表示部7に表示する(図7のステップS8)。次いで、操作者は、表示されたスキャンプラン項目に基づいてPI撮影用スキャンプランを更新する(図7のステップS9)。そして、更新されたPI撮影用スキャンプランに基づいてステップS6乃至ステップS9をPI撮影が可能と判定されるまで繰り返す(図7のステップS6乃至ステップS9)。
【0068】
又、前記初期設定において自動更新モードが選択された状態で所望倍速率によるPI撮影が不可能と判定した場合、PI撮影を不可能にしているPI撮影用スキャンプランを自動更新し(図7のステップS10)、主制御部101は、更新されたスキャンプランに基づいてPI撮影を実行する(図7のステップS11)。
【0069】
以上述べた本発明の実施例によれば、パイロット撮影による位置決め用画像データにて予め設定されたPI撮影用スキャンプランに基づいて当該被検体に対するPI撮影を行なう際、所望倍速率のPI撮影を可能とする好適なマルチチャンネルコイルのコイルエレメントを前記PI撮影用スキャンプランに基づいて自動選択することが可能となる。
【0070】
又、上述の実施例におけるMRI装置では、コイルエレメントの配列情報とPI撮影用スキャンプランの情報に基づいて所望倍速率によるPI撮影の可能性を判定し、PI撮影が不可能の場合には、更新すべきPI撮影用スキャンプランの自動更新あるいは操作者への報知が可能となる。このため、操作者の技量に依存することなく良質な診断用画像データの収集が可能となり、更に、PI撮影の遣り直し回数が低減するため検査効率が大幅に向上し操作者に対する負担も軽減される。
【0071】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく変形して実施してもよい。例えば、上述の実施例では、コロナル断面をスライス断面とする2次元画像データを生成する場合について述べたが、サジタル断面やアキシャル断面をスライス断面とする2次元画像データの生成であっても構わない。又、RFコイルユニット30は、被検体150の体表面近傍に配置されるマルチチャンネルコイル302−1と背面近傍に配置されるマルチチャンネルコイル302−2を有する場合について述べたが、何れか一方を有していてもよく、体表面近傍あるいは背面近傍おいて複数のマルチチャンネルコイルを有するものであってもよい。
【0072】
更に、被検体150のボリュームデータを収集しこのボリュームデータに対し所定の信号処理を行なって3次元画像データを生成する際のMR信号の収集に対しても本発明は適用可能である。この場合、位相エンコードの設定が位相エンコード傾斜磁場Geの印加方向(位相エンコード方向)のみならずスライス選択傾斜磁場Gsの印加方向(スライスエンコード方向)に対しても行なわれる。従って、これらの方向における位相エンコードステップを間引いて実行することによりボリュームデータの収集に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0073】
一方、上述の実施例では、所望倍速率によるPI撮影が不可能と判定された場合、更新すべきスキャンプラン項目を操作者へ報知する場合について述べたが、コイルエレメントの数や配列が異なる他のマルチチャンネルコイルへの更新、あるいは、好適な倍速率への更新等に関する情報を当該操作者へ報知してもよい。
【0074】
又、上述の実施例では、SE法を適用したパイロット撮影によって位置決め用画像データを生成する場合について述べたが、FSE(高速SE)法、EPI(エコープラナーイメージング)法、FE(グラジェントエコー)法等の他のパルスシーケンスを適用して位置決め用画像データを生成してもよい。更に、上述の実施例では、再構成処理して得られた複数の画像データを展開処理して折り返りを補正する方法について述べたが、再構成処理前のMRデータを補正して折り返りを低減する方法であっても構わない。
【0075】
更に、PI撮影判定部9により所望倍速率のPI撮影が不可能と判定された場合、更新すべきスキャンプラン項目等を表示部7に表示する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、入力部8が備えた表示パネル等の他の報知手段によって表示あるいは報知しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施例におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例のMRI装置に備えられたRFコイルユニット及び送受信部の構成を示すブロック図。
【図3】同実施例において使用されるマルチチャンネルコイルの構造を示す図。
【図4】同実施例におけるPI撮影用スキャンプランの具体例を説明するための図。
【図5】同実施例において最大倍速率が4の場合に選択されるコイルエレメントの具体例を示す図。
【図6】同実施例において最大倍速率が2の場合に選択されるコイルエレメントの具体例を示す図。
【図7】同実施例におけるPI撮影用スキャンプランの更新手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0077】
1…静磁場発生部
11…主磁石
12…静磁場電源
2…傾斜磁場発生部
21…傾斜磁場コイル
22…傾斜磁場電源
3…送受信部
31…送信部
32…受信部
33…MR信号合成部
34…RFチャンネル選択部
30…RFコイルユニット
301…WBコイル
302−1、302−2…マルチチャンネルコイル
4…天板
5…天板移動機構部
6…画像データ生成部
61…データ記憶部
611…MRデータ記憶部
612…画像データ記憶部
62…高速演算部
621…再構成処理部
622…展開処理部
7…表示部
8…入力部
9…PI撮影判定部
10…制御部
101…主制御部
102…シーケンス制御部
103…天板移動制御部
200…MRI装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場及び傾斜磁場が印加された被検体に対してRFパルスを照射し複数のコイルエレメントによって検出された前記被検体からのMR信号を合成することによって形成した複数からなるRFチャンネルのMR信号に基づいてパラレルイメージング(PI)撮影行なうMRI装置において、
前記コイルエレメントによって検出されたMR信号を合成して複数のRFチャンネルを形成するMR信号合成手段と、
前記被検体に対するパイロット撮影によって予め収集された位置決め用画像データに対しPI撮影用スキャンプランを設定するスキャンプラン設定手段と、
前記PI撮影に対し所望倍速率を設定する倍速率設定手段と、
前記PI撮影用スキャンプランの情報及び前記所望倍速率の情報に基づいて前記MR信号合成手段によって形成された前記複数のRFチャンネルの中から前記PI撮影に好適な前記複数からなるRFチャンネルを選択するRFチャンネル選択手段とを
備えたことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
PI撮影判定手段と報知手段を備え、前記PI撮影判定手段は、前記RFチャンネルの情報と前記PI撮影用スキャンプランの情報に基づいて前記所望倍速率によるPI撮影の可能性を判定し、不可能と判定した場合には、更新すべきPI撮影用スキャンプラン、RFチャンネル及び所望倍速率の少なくとも何れかの情報を前記報知手段によって報知することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項3】
PI撮影判定手段を備え、前記PI撮影判定手段は、前記RFチャンネルの情報と前記PI撮影用スキャンプランの情報に基づいて前記所望倍速率によるPI撮影の可能性を判定し、不可能と判定した場合には、更新すべきPI撮影用スキャンプランを自動更新することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項4】
前記PI撮影判定手段は、前記RFチャンネルの情報と前記PI撮影用スキャンプランにおけるスライス断面の方向に基づいて前記所望倍速率によるPI撮影の可能性を判定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載したMRI装置。
【請求項5】
前記PI撮影判定手段は、前記RFチャンネルの情報と前記PI撮影用スキャンプランの情報に基づいて算出した最大倍速率と前記倍速率設定手段が設定した前記所望倍速率を比較することにより、前記所望倍速率によるPI撮影の可能性を判定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載したMRI装置。
【請求項6】
前記RFチャンネル選択手段は、前記PI撮影用スキャンプランにおけるスライス断面の方向と2次元配列された前記コイルエレメントの配列情報に基づいて前記所望倍速率のPI撮影を可能とする前記複数からなるRFチャンネルを選択することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項7】
前記RFコイル選択手段は、前記MR信号を処理する受信回路のチャンネル数に対応した前記複数からなるRFチャンネルを選択することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−94156(P2010−94156A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264954(P2008−264954)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】