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N−アセチルグルコサミンの製造方法、並びにその用途
説明

N−アセチルグルコサミンの製造方法、並びにその用途

【課題】この発明は、高純度のN−アセチルグルコサミンを容易に得ることのできる、N−アセチルグルコサミンの製造方法、並びにその用途に関する。
【解決手段】本発明に係るN−アセチルグルコサミンの製造方法は、アルカリによる脱タンパク工程、及び酸による脱カルシウム工程を経て得られるキチンを濃塩酸で加水分解して得られるN−アセチルグルコサミンの製造方法であって、前記キチンの0.2%ジメチルアセトアミド溶液の粘度が20〜200mPa・Sとするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高純度のN−アセチルグルコサミンを容易に得ることのできる、N−アセチルグルコサミンの製造方法、並びにその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蟹等の甲殻類から抽出されるキチンを濃塩酸等で加水分解することにより得られるグルコサミンが、単体、若しくは、コラーゲン等と共に錠剤等に成形され、若しくは、食品等に添加され、生体防御、疾病予防、老化制御等を目的とする機能性食品に使用されている。これに対し、N‐アセチルグルコサミンは、グルコサミンと同じくキチンを濃塩酸によって加水分解して得られるが、当該グルコサミンの場合と比較して、これより低い温度で加水分解して得られる。また、食品添加物公定書によれば、食品添加物として使用されるN−アセチルグルコサミンは、キチンを塩酸、及び酵素による加水分解にて得られるN−アセチルグルコサミンと明記されており、この公定書に基づいた生産方法が重要である。そして、N−アセチルグルコサミンはその機能については多くのデータは示されていないが、甘味料として爽やかな甘味を持っており、グルコサミンとは別の用途が期待されている。
【0003】
そして、N−アセチルグルコサミンの製造方法としては、キチンを濃塩酸を用いて加水分解した後、水酸化ナトリウムを用いて中和し、活性炭等を用いて脱色した後、イオン交換樹脂を用いてグルコサミンやヘテロオリゴ糖等を除去する。さらに、逆浸透膜(以下、RO膜)を用いてN−アセチルグルコサミンと、残存しているキチンオリゴ糖とを分配し、凍結乾燥やスプレードライヤーを用いて該N−アセチルグルコサミンを粉末化する方法が考案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特公平05−33037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、食品等の工業用に使用されるN−アセチルグルコサミンを製造する際に、上述のようにRO膜での分配工程を経ることは時間的に大きなロスであり、また、設備投資のための資金も必要である。しかし、RO膜を用いてN−アセチルグルコサミンと残存しているキチンオリゴ糖とを分配しないと、当該N−アセチルグルコサミンの純度が低下すると共に、これらの物質がN−アセチルグルコサミンの結晶化を阻害するという問題が生じる。
【0006】
さらに、N−アセチルグルコサミンの製造に使用されるキチンの初期分子量が高い場合には、これらを加水分解した際に、速やかに加水分解される箇所と、そうでない箇所とで加水分解に時間差が生じる。そのため、初期に加水分解された箇所は、キチンのおよそ全てが加水分解された時点では、既にN−アセチルグルコサミンがさらにグルコサミンに変換され、加水分解後の溶液中に該グルコサミンが多く混在するという問題が生じる。また、グルコサミンの発生を抑制しようとして加水分解時間を短縮した場合には、逆にキチンからN−アセチルグルコサミンへの分解過程で生じるキチンオリゴ糖等が加水分解後の溶液中に多く混在するという問題が生じる。
【0007】
このように、加水分解後の溶液中にN−アセチルグルコサミン以外に、グルコサミンやキチンオリゴ糖等の夾雑物が混在すると、この溶液を濃縮しN−アセチルグルコサミンの結晶を得る際に、結晶性の悪いこれらの夾雑物が該N−アセチルグルコサミンの結晶化を阻害するという問題が生じる。また、グルコサミンやヘテロオリゴ糖等の夾雑物は、N−アセチルグルコサミンの結晶を得る際の加水分解後の溶液の濃縮工程において、着色の原因となり、得られるN−アセチルグルコサミンの外観を損なうという問題や、該N−アセチルグルコサミンの純度や歩留りを低下させるという問題も生じている。
【0008】
この発明は上記のような種々の課題を解決することを目的としてなされたものであって、RO膜を使用せずとも高純度のN−アセチルグルコサミンを製造することができ、さらに、加水分解後の溶液中のグルサミンやヘテロオリゴ糖等の量を減少させたN−アセチルグルコサミンの製造方法、並びにその用途に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法は、アルカリによる脱タンパク工程、及び塩酸による脱カルシウム工程を経て得られるキチンを濃塩酸で加水分解して得られるN−アセチルグルコサミンの製造方法であって、前記キチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液の粘度が20〜200mPa・Sであることを特徴としている。
【0010】
請求項2記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法は、前記脱カルシウム工程の温度が50〜70℃であることを特徴としている。
【0011】
請求項3記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法は、請求項1又は2記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法において、前記キチンを濃塩酸で加水分解した後に、さらに、酵素によって加水分解することを特徴としている。
【0012】
請求項4記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法は、請求項1乃至3記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法において、前記濃塩酸による加水分解を35〜50℃で2〜5時間行うことを特徴としている。
【0013】
請求項5記載の食品は、請求項1乃至4記載の製造方法により製造されたN−アセチルグルコサミンを含有することを特徴としている。
【0014】
請求項6記載の化粧料は、請求項1乃至4記載の製造方法により製造されたN−アセチルグルコサミンを含有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法によれば、アルカリによる脱タンパク工程、及び塩酸による脱カルシウム工程を経て得られるキチンを濃塩酸で加水分解して得られるN−アセチルグルコサミンの製造方法であって、前記キチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液の粘度が20〜200mPa・Sである。これにより、N−アセチルグルコサミンを製造する際に使用されるキチンの初期分子量を該キチンの脱カルシウム工程において予め低くしたので、加水分解に使用される濃塩酸等と接触するだけで該キチンが膨潤し速やかに均一状態となって、これらのキチンを一度に加水分解させN−アセチルグルコサミンを得ることができる。
【0016】
これにより、加水分解後の水可溶部に含まれる加水分解後の溶液中のキチンオリゴ糖の発生を抑制することができる。従って、加水分解後の溶液中に極微量に存在するグルコサミンやヘテロオリゴ糖等をイオン交換樹脂で除去すれば、キチンオリゴ糖を除去するために逆浸透膜(RO膜)を使用する必要がなく、N−アセチルグルコサミンの製造工程を簡略化することができ、さらに高純度のN−アセチルグルコサミンを得ることができる。また、加水分解物中のキチンオリゴ糖の発生を抑制したので、N−アセチルグルコサミンの結晶化が阻害されることなく、該N−アセチルグルコサミンを容易に結晶化することができる。さらに、加水分解後の溶液中にはグルコサミンやヘテロオリゴ糖等の着色物質をほとんど含まないので、該溶液の濃縮工程においてほとんど着色することなく、ほぼ白色の高純度のN−アセチルグルコサミンの結晶を得ることができる。
【0017】
請求項2記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法によれば、前記脱カルシウム工程の温度が50〜70℃である。これにより、請求項1の効果に加えて、キチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液の粘度を容易に20〜200mPa・Sとして分子量を低下させることができる。
【0018】
請求項3記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法によれば、請求項1又は2記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法において、前記キチンを濃塩酸で加水分解した後に、さらに、酵素によって加水分解している。ここで、加水分解後の溶液を濃縮した後、結晶とその母液とを分離するが、N−アセチルグルコサミンの製造の歩留りを向上するためには、該母液をさらに次バッチのN−アセチルグルコサミンの製造工程において再び使用することが好ましい。しかし、加水分解後の溶液に極微量に含まれ、結晶性の乏しいキチンオリゴ糖が母液の再利用の度に増加し、次バッチのN−アセチルグルコサミンの結晶化を阻害する可能性がある。
【0019】
そのため、濃塩酸による加水分解後に、さらに、酵素による加水分解工程を経ることで、極微量のキチンオリゴ糖に至るまでN−アセチルグルコサミンに加水分解することができるので、該N−アセチルグルコサミンの結晶化をさらに容易にすることにより歩留りの向上に大きく貢献することができる。また、食品添加物公定書においては、キチンを加水分解してN−アセチルグルコサミンとする場合には、その工程中に酵素による加水分解工程を経ることが必須とされている。そのため、酵素による加水分解工程を経た本発明に係るN−アセチルグルコサミンは食品添加物として使用することができる。
【0020】
請求項4記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法によれば、請求項1乃至3記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法において、前記加水分解を35〜50℃で2〜5時間行うものである。これにより、予め低分子量化されたキチンを効率的に均一に加水分解することができ、キチンオリゴ糖、グルコサミン、ヘテロオリゴ糖等のN−アセチルグルコサミン以外の夾雑物の発生を抑制することができる。
【0021】
請求項5記載の食品は、請求項1乃至4記載の製造方法により製造されたN−アセチルグルコサミンを含有しているので、爽やかな甘味を当該食品に付与することができる。
【0022】
請求項6記載の化粧料は、請求項1乃至4記載の製造方法により製造されたN−アセチルグルコサミンを含有しているので、美肌効果を期待することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明におけるN−アセチルグルコサミンの製造方法の最良の実施形態について、以下に説明する。本発明に係るN−アセチルグルコサミンの製造方法は、キチンを濃塩酸で加水分解するものである。
【0024】
前記キチンは、甲殻類の外骨格等に含まれるアミノ多糖類のことで、化学式は、アセチルグルコサミンが、繰り返して連結したポリ−N−アセチルグルコサミンからなり下記の構造式(I)に示される天然高分子である。
【0025】
【化1】

【0026】
そして、キチンは一般的にエビ殻やカニ殻等が原料として使用されるが、カニ殻等はキチンの他に炭酸カルシウム、タンパク質等を含有しており、これらを除去する必要がある。そのため、カニ殻等からキチンを製造する際には、アルカリによる脱タンパク工程、及び酸による脱カルシウム工程を経て該キチンが得られる。
【0027】
また、本実施形態ではカニ殻を使用しているが、これを使用する場合には、カニ殻内に残存しているタンパク質の変性により該カニ殻が劣化しないように、入荷後速やかに該カニ殻をこれらの工程により、キチン、或いは、さらに処理を行ってキトサン等に変換することが好ましい。
【0028】
脱カルシウム工程、及び脱タンパク工程はどちらを先に行ってもよいが、これらの工程を行なう前に、カニ殻等の付着物を流水等で除去し乾燥させ、該カニ殻を粉砕する。そして、脱タンパク工程では、粉砕されたカニ殻に希アルカリを添加して脱タンパクを行う。この際には、希アルカリとして5%前後の水酸化ナトリウムを使用し、80℃以上で3時間程度、脱タンパク工程を行う。
【0029】
そして、脱タンパク後のカニ殻に酸を添加し強攪拌して脱カルシウム工程を行う。この際には、酸として5〜15%の希塩酸を使用し、N−アセチルグルコサミン生産用原料としてのキチンを得る場合は、50〜70℃で2〜4時間程度、好適には55℃で3時間程度脱カルシウム工程を行うことが好ましく、これにより、予めキチンを低分子量化することができる。
【0030】
また、脱カルシウム工程において、一般的なキチン生産方法に則って反応温度が50度よりも低い室温等で処理した場合は、キチンの分子量は高いままキチン化される。これを濃塩酸で加水分解させた場合、反応が不均一に進行し、加水分解後の水可溶部にはN−アセチルグルコサミンの他にキチンオリゴ糖、ヘテロオリゴ糖、グルコサミン等を含む反応液が得られる。これらが夾雑物となってN−アセチルグルコサミンの結晶化が難しくなる。そして、脱カルシウムの温度が70℃より高い場合は、歩留まりの低下、エネルギーコストの上昇等が考えられ、効率的な生産には不適である。
【0031】
また、キチンは、一般的に使用されるテトラヒドロフランやクロロホルム等の有機溶媒に溶解しないことから、Gel Permeation Chromatography(GPC)等で分子量の測定をすることが困難である。そのため、本実施形態では、キチンが可溶な塩化リチウムの8wt%ジメチルアセトアミド溶液を用いて、キチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液を作成し、これを例えば回転粘度計等を用いて恒温条件下で粘度測定を行い、測定された粘度から分子量の評価を行っている。
【0032】
以上のように製造されるキチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液の粘度測定を行った結果、これらの粘度は20〜100mPa・Sであった。一方、上述の脱タンパク工程を常温下で行った場合は、同様にして粘度を測定したところ、1000〜3000mPa・Sであった。これらの結果より、キチン製造の際の脱カルシウム工程を常温で行うよりも、50〜70℃で行った方が、反応効率がよく、より分子鎖が切断され該キチンが低分子量化されていることがわかる。そして、予め低分子量化されたキチン使用することで該キチンを一度に加水分解することができ、グルコサミンやキチンオリゴ糖等の夾雑物をほとんど含有しない下記の構造式(II)に示されるN−アセチルグルコサミンを得ることができる。
【0033】
【化2】

【0034】
以上のようにして低分子量化されたキチンを用いたN−アセチルグルコサミンの製造方法を以下に示す。
【0035】
〔実施例1〕
キチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液の粘度が20〜200mPa・Sであるキチン400gに、該キチンに対して5倍量である2.0kgの35%の濃塩酸を加え、約43℃で4時間加水分解を行った。反応液は速やかに均一となり、反応を停止するために水酸化ナトリウム溶液等の濃アルカリ溶液を投入し、pHが5.0〜6.0程度に中和した。この際には、濃塩酸と水酸化ナトリウム溶液との中和反応熱によって、反応液の温度が60℃以上にならないように適宜氷を反応液に投入する。
【0036】
これにより、90%以上の水溶化部を得ることができ、得られた加水分解後の溶液を活性炭を用いて脱色を行った後、電気透析装置によって脱塩処理を行う。そして、イオン交換樹脂によって、溶液中に残存する微量のグルコサミンやヘテロオリゴ糖等を除去し、再度活性炭による脱色を行った後、溶液を濃縮することによりN−アセチルグルコサミンの結晶を得た。こうして得られたN−アセチルグルコサミンの結晶は、ろ過によって結晶と母液とに分けられた後、乾燥され、純度が98%以上のN−アセチルグルコサミンの結晶が得られた。また、母液は、N−アセチルグルコサミンの歩留り向上のために、次バッチのN−アセチルグルコサミン製造における、濃縮工程の溶液等に加えられ繰り返し使用される。
【0037】
そして、加水分解に使用される濃塩酸の量はキチンに対して3〜6倍量、好適には4〜5倍量が好ましく、3倍量よりも少ない場合には、キチンを十分に加水分解することができず水不溶部が多く残り、また、6倍量よりも多い場合には、キチンを十分に加水分解することができるものの、その後の中和や脱塩処理の工程に手間がかかる。そして、加水分解時間は2時間〜5時間程度、好適には3〜4時間が好ましく、2時間よりも短い場合には、キチンを十分に加水分解することができず水不溶部が多く残り、また、5時間よりも長い場合は生産効率が悪くなる。
【0038】
また、反応温度は35〜50℃程度、好適には40〜45℃が好ましく、35℃よりも低い場合にはキチンを十分に加水分解することができず水不溶部が多く残り、また、50℃よりも高い場合には生産効率が悪くなる。そして、濃塩酸としては市販の25〜35%程度、好適には35%の濃塩酸を適宜使用することができる。
【0039】
また、実施例1のようにイオン交換樹脂を用いて脱グルコサミンや脱ヘテロオリゴ糖を行ったほうが、加水分解後の溶液を濃縮する工程において、溶液中に存在するグルコサミンやヘテロオリゴ糖等の着色物質が着色し、最終的に得られるN−アセチルグルコサミンが着色することがなく好ましい。しかし、予め低分子量化したキチンを使用し、該キチンを一度に低分子量化しているので、グルコサミンやヘテロオリゴ糖等が極めて生じにくいため、イオン交換樹脂でこれらを除去する工程を設けなくともほぼ白色のN−アセチルグルコサミンの結晶を得ることができる。
【0040】
また、予め低分子量化したキチンを使用しているので、キチンオリゴ糖の発生も抑えることができ、該キチンオリゴ糖とN−アセチルグルコサミンとを逆浸透膜(RO膜)や液体クロマト分離等を用いてこれらを分配する必要がない。また、逆浸透膜を用いてキチンオリゴ糖とN−アセチルグルコサミンとを分配する工程を設けても該N−アセチルグルコサミンの結晶を得ることができるのは勿論である。
【0041】
また、予め低分子量化されたキチンを使用することにより、濃塩酸による加水分解後の容器中にはキチンオリゴ糖が極微量しか含まれていないので、分解酵素を使用した加水分解工程を省略することも可能である。しかし、前述のように次バッチのN−アセチルグルコサミン製造の際に母液を再び使用する場合には、再利用ごとに該母液中の極微量のキチンオリゴ糖の割合が高くなり、N−アセチルグルコサミンの結晶化を阻害する原因となり得るので、実施例1において得られた濃縮前の濃塩酸による加水分解後の溶液中に分解酵素を加えて加水分解することが好ましい。また、加水分解に使用される分解酵素としては、N−アセチル−D−グルコサミニダーゼを含有した混合酵素や、菌体外粗酵素にN−アセチル−D−グルコサミニダーゼを含有するトリコデルマ菌等を好適に使用できる。そして、分解酵素を加えて約37℃で20時間程度加水分解することによって確実にキチンオリゴ糖をN−アセチルグルコサミンにすることができる。
【0042】
ここで、N−アセチルグルコサミンを食品添加物として使用する場合には、食品添加物公定書によれば、キチンからN−アセチルグルコサミンを製造する過程において、酵素による加水分解工程を経る必要がある。そのため、前述のように分解酵素によって得られたN−アセチルグルコサミンは食品添加物としても菓子類や乳製品等の食品に甘味料等として好適に添加することができる。また、N−アセチルグルコサミンは経皮摂取による美肌効果を期待できることから、液体、クリーム状等の化粧料に好適に添加することもできる。さらに、N−アセチルグルコサミンは経口摂取による美肌効果を期待できることから、該N−アセチルグルコサミンをコラーゲン、ヒアルロン酸、各種ビタミン等と錠剤成形することで、美肌促進剤として使用することもできる。
【0043】
〔比較例1〕
キチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液の粘度が1000〜3000mPa・Sであるキチンを用いて、実施例1と同様にN−アセチルグルコサミンの製造を行った。この場合には、加水分解後の溶液をイオン交換樹脂でグルコサミンやヘテロオリゴ糖等を除去し濃縮したが、該溶液にキチンオリゴ糖が多く含まれるためN−アセチルグルコサミンの結晶化が阻害され、該N−アセチルグルコサミンの結晶を得ることができなかった。そして、塩酸加水分解後の水溶部が残渣として多く20%程度残り、キチンオリゴ糖も多く残った。
【0044】
〔比較例2〕
濃塩酸の量をキチンの2倍量とし、反応時間を2.5時間とした以外は実施例1と同様にしてN−アセチルグルコサミンの製造を行った。この場合は、水可溶部が55%程度であり、また、該水可溶部中のN−アセチルグルコサミンは54%であり、その他はグルコサミン、ヘテロオリゴ糖、キチンオリゴ糖等であった。そのため、加水分解後の溶液をイオン交換樹脂でグルコサミンやヘテロオリゴ糖等を除去し濃縮したが、該溶液にキチンオリゴ糖が多く含まれるためN−アセチルグルコサミンの結晶化が阻害され、速やかに該N−アセチルグルコサミンの結晶を得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係るN−アセチルグルコサミンの製造方法は、実験室レベルの小スケールから、プラント等の大型設備における大量生産まで幅広く適応することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリによる脱タンパク工程、及び酸による脱カルシウム工程を経て得られるキチンを濃塩酸で加水分解して得られるN−アセチルグルコサミンの製造方法であって、
前記キチンの0.2wt%ジメチルアセトアミド溶液の粘度が20〜200mPa・Sであることを特徴とするN−アセチルグルコサミンの製造方法。
【請求項2】
前記脱カルシウム工程の温度が50〜70℃であることを特徴とする請求項1記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法において、
前記キチンを濃塩酸で加水分解した後に、さらに、酵素によって加水分解することを特徴とするN−アセチルグルコサミンの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3記載のN−アセチルグルコサミンの製造方法において、
前記濃塩酸による加水分解を35〜50℃で2〜5時間行うことを特徴とするN−アセチルグルコサミンの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4記載の製造方法により製造されたN−アセチルグルコサミンを含有することを特徴とする食品。
【請求項6】
請求項1乃至4記載の製造方法により製造されたN−アセチルグルコサミンを含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2009−167140(P2009−167140A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8898(P2008−8898)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(391003130)甲陽ケミカル株式会社 (17)
【Fターム(参考)】