説明

N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェン−カルボキサミドの多形体

N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−([(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノスルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドを本明細書では3種の多形体(A、CおよびE型)で提供する。A、CおよびE型は、そのX線粉末回折パターンにおけるピーク、臭化カリウム中でのその赤外吸収スペクトルにおける吸収ピーク、そのラマン吸収スペクトルにおけるピークおよびその融点により規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、2006年8月4日に出願された「N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの多形体」との名称の米国特許仮出願第60/835781号の優先権を主張する。前記参照出願の開示は、その全体が本明細書に参照により援用される。
【0002】
本明細書では、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの多形体およびその製造方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドは、ペプチドのエンドセリンファミリーの活性を調節し、エンドセリン仲介障害の治療に有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医薬品としての化合物の使用は、長期間の貯蔵を必要とすることがある。したがって、貯蔵期間の間の熱および湿度に対するこの化合物(バルクの医薬化学薬品)の安定性は非常に重要である。したがって、この化合物のより安定な形態が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの多形体、A、CおよびE型ならびに非晶質形態を工業的規模で、適切な溶媒および条件からこの化合物を結晶化させることにより選択的に製造することができることが発見された。さらに、これらの種の多形体は、適切な条件下にA型に相互変換することができることが発見された。
【0006】
特に、化学構造:
【0007】
【化1】

を有するN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの3種の多形体、A、CおよびE型ならびに非晶質形態を選択的に製造することができ、これらは、そのX線粉末回折(XRPD)パターン、赤外吸収スペクトル、ラマンスペクトルおよび融点における特徴的なピークを基に識別することができる。
【0008】
XRPDパターンの測定方法および条件
測定方法
XRPD分析をShimadzu XRD−6000X線粉末回折計で、試料で次の条件により測定した。
【0009】
測定条件
【0010】
【表1】

【0011】
赤外吸収の測定方法および条件
臭化カリウム中での赤外吸収スペクトルをNicoletモデル860フーリエ変換赤外(FTIR)分光光度計で測定した。
【0012】
ラマン吸収の測定方法および条件
ラマンスペクトルを、Nicolet Magna860FT−IR分光光度計に面したラマンベンチで得た。
【0013】
多形体A(A型)
角度2シータで表されるA型のXRPDパターンにおける主なピークは、約11.26、15.34、16.06、19.32、22.32、22.9、24.56、25.02、26.34および28.68にある。
【0014】
図1〜5は、A型のXRPDパターンを示している。
【0015】
A型の臭化カリウム中での赤外吸収スペクトルにおけるピーク(cm−1)は、3810、3156(ブロード)、1466、1396、1363、1135、999、908、902および850である。
【0016】
図6は、A型の臭化カリウム中での赤外吸収スペクトルを示している。
【0017】
A型のラマンスペクトルにおけるピーク(cm−1)は、3100、2970、1414、1350、850および640である。
【0018】
図7は、A型のラマンスペクトルを示している。
【0019】
特性決定データに基づき、A型は、144℃で溶融する非溶媒和の非吸湿性結晶物質であると思われる。
【0020】
多形体C(C型)
角度2シータで表されるC型のXRPDパターンにおける主なピークは、約7.56、14.54、15.96、16.4、19.04、21.24および25.74にある。
【0021】
図1および11は、C型のXRPDパターンを示している。
【0022】
臭化カリウム中でのC型の赤外吸収スペクトルにおけるピーク(cm−1)は、3502、3241(ブロード)、1684、1525、1402、1293、1140、1017、927(ブロード)、916、896、873、784、775、746、728、706、680、653、580および513である。
【0023】
図12は、C型の臭化カリウム中での赤外吸収スペクトルを示している。
【0024】
C型のラマンスペクトルにおけるピーク(cm−1)は、3083、1684、1291、1221、1179および867である。
【0025】
図13は、C型のラマンスペクトルを示している。
【0026】
多形体Cの融点は、143℃である。
【0027】
多形体E(E型)
角度2シータで表されるE型のXRPDパターンにおける主なピークは、約10.54、14.66、16.2、20.04、22.44、23.82および24.82にある。
【0028】
図1および17は、E型のXRPDパターンを示している。
【0029】
臭化カリウム中でのE型の赤外吸収スペクトルにおけるピーク(cm−1)は、3271(ブロード)、3129、3005、2943(ブロード)、1521、1183、1169、1072、1042、911、855、752および645である。
【0030】
図18は、臭化カリウム中でのE型の赤外吸収スペクトルを示している。
【0031】
E型のラマンスペクトルにおけるピーク(cm−1)は、3131、1418、1066および645である。
【0032】
図19は、E型のラマンスペクトルを示している。
【0033】
多形体Eの融点は、149℃である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】多形体A、C、Eおよび非晶質形態のXRPDパターンである。
【図2】多形体A、ロット1のXRPDパターンである。
【図3】多形体A、ロット2のXRPDパターンである。
【図4】多形体A、ロット3のXRPDパターンである。
【図5】多形体A、ロット4のXRPDパターンである。
【図6】多形体AのTG/IR吸収スペクトルである。
【図7】多形体Aのラマン吸収スペクトルである。
【図8】多形体AのDSCである。
【図9】多形体AのTGである。
【図10】多形体Aの吸収/脱離である。
【図11】多形体CのXRPDパターンである。
【図12】多形体CのTG/IR吸収スペクトルである。
【図13】多形体Cのラマン吸収スペクトルである。
【図14】多形体CのDSCである。
【図15】多形体CのTGである。
【図16】多形体Cの吸収/脱離である。
【図17】多形体EのXRPDパターンである。
【図18】多形体EのTG/IR吸収スペクトルである。
【図19】多形体Eのラマン吸収スペクトルである。
【図20】多形体EのDGCである。
【図21】多形体EのTGである。
【図22】多形体Eの吸収/脱離である。
【図23】D型のTG/DSCである。
【図24】D型の水分吸収/脱離である。
【図25】非晶質形態のDSCである。
【図26】非晶質形態のTGである。
【図27】非晶質形態の水分吸収/脱離である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
A.定義
別段に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に通常理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で引用される全ての特許および刊行物は、参照により援用される。
【0036】
本明細書で使用する場合、エンドセリン仲介疾患は、異常なエンドセリン活性が原因である状態またはエンドセリン活性を阻害する化合物が治療的使用を有する状態である。このような疾患には、これらに限られないが、高血圧、心臓血管疾患、喘息、炎症性疾患、眼科疾患、月経障害、産科状態、胃腸疾患、腎不全、肺高血圧、内毒素ショック、アナフィラキシーショックまたは出血性ショックが包含される。エンドセリン仲介状態にはまた、エンドセリンレベルを上昇させるエリスロポイエチンおよび免疫抑制薬などの薬剤での治療から生じる状態が包含される。
【0037】
本明細書で使用される場合、特定の疾患を治療するための化合物の有効量は、疾患を改善するのに、または場合によっては、疾患に関連する症状を低減するのに十分な量である。このような量は、単回用量として投与することができるか、または有効である方策に従って投与することができる。量は、疾患を治癒することができるか、または疾患の症状を改善するために投与される。ある種の実施形態では、繰り返し投与が、症状の所望の改善を達成するために必要である。
【0038】
本明細書で使用される場合、エンドセリンアゴニストは、エンドセリンペプチドに関連するか、それが有する生物学的活性を強化するか、示す化合物である。
【0039】
本明細書で使用される場合、エンドセリンアンタゴニストは、エンドセリン刺激血管収縮および収縮ならびに他のエンドセリン仲介生理学的応答を阻害する化合物である。アンタゴニストは、エンドセリンとエンドセリン特異的受容体との相互作用を妨害するか、血管収縮などのエンドセリンイソペプチドに対する生理学的応答またはその生物活性を妨害することにより作用しうる。したがって、当業者に知られているアッセイで評価されるように、本明細書で使用される場合、エンドセリンアンタゴニストは、エンドセリン刺激血管収縮または他の応答を妨害するか、またはエンドセリンとET受容体などのエンドセリン特異的受容体との相互作用を妨害する。
【0040】
可能性のあるアゴニストおよびアンタゴニストの有効性は、当業者に知られている方法を使用して評価することができる。例えば、エンドセリンアゴニスト活性は、単離されたラット胸大動脈または門脈リングセグメントの血管収縮を刺激するその能力により識別することができる(Borgesら(1989年)「Tissue selectivity of endothelin」Eur.J.Pharmacol.165:223〜230)。エンドセリンアンタゴニスト活性は、エンドセリン誘発血管収縮を妨害する能力により評価することができる。前述のように、好ましいIC50濃度範囲は、試験化合物をET受容体を有する細胞と共に4℃でインキュベーションするアッセイを参照して記載する。インキュベーションステップを好ましさの劣る24℃で行うアッセイで示されるデータを確認する。比較の目的のために、これらの濃度は、4℃で決定される濃度よりもやや高いことが理解される。
【0041】
本明細書で使用される場合、ET選択的であるスルホンアミドは、ET受容体よりもET受容体に対して少なくとも約1/10低いIC50値を示すスルホンアミドを指している。
【0042】
本明細書で使用される場合、ET選択的であるスルホンアミドは、ET受容体よりもET受容体に対して少なくとも約1/10低いIC50値を示すスルホンアミドを指している。
【0043】
本明細書で使用される場合、化合物の薬学的に許容できる塩、エステル、水和物、溶媒和物または他の誘導体には、このような誘導体化のための知られている方法を使用して当業者が調製することができ、重大な毒性作用を伴うことなく動物またはヒトに投与することができる化合物をもたらし、薬学的に活性であるか、またはプロドラッグである任意のそのような塩、エステルおよび他の誘導体が包含される。薬学的に許容できる塩には、これらに限られないが、これらに限られないがナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩を包含するアルカリ金属およびアルカリ土類金属の塩;亜鉛塩、銅塩およびアルミニウム塩などの遷移金属塩;これらに限られないが、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩などのポリカチオン対イオン塩ならびにヒドロキシアルキルアミンおよびアルキルアミンなどの有機アミン塩;これらに限られないが、塩酸塩および硫酸塩などの鉱酸の塩、これらに限られないが、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩およびフマル酸塩などの有機酸の塩が包含される。また、本明細書では対応するエステルも企図される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「(複数の)ナトリウム塩」への言及は、対イオンがNaを包含し、HPOなどの他のイオンを包含することもできる任意のナトリウム化合物の塩を指しており、「(1つの)ナトリウム塩」((複数の)ナトリウム塩ではなく)への言及は、Naが対イオンである塩を特に指している。
【0045】
本明細書で使用される場合、治療は、状態、障害または疾患の症状を改善するか、または別に有利に変更する任意の方法を意味している。治療はまた、避妊薬としての使用などの本明細書の組成物の任意の薬学的使用を内包する。
【0046】
本明細書で使用される場合、特定の医薬組成物の投与による特定の障害の症状の改善は、永久的または一時的、永続的または一過性に関わらず、組成物の投与に起因するか、それに関連しうる何らかの軽減を指している。
【0047】
本明細書で使用される場合、製剤の高い安定性は、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどの当業者に知られているアッセイにより決定して、製剤の調製後の所定の期間で製剤中に存在する活性成分のパーセントが、製剤の調製後の同じ期間で他の製剤中に存在する活性成分のパーセントよりも著しく高いことを意味している。この場合、前者の製剤は、後者の製剤に比較して高い安定性を有すると言える。
【0048】
B.分析方法
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの結晶化試料を、そのXRPD、赤外吸収スペクトル、ラマンスペクトル、融点、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量測定(TG)、ホットステージ顕微鏡法および自動水分吸収/脱離により分析して、その多形体(A、CまたはE型)および水和物を決定した。
【0049】
1.XRPD
XRPD分析を、Shimadzu XRD−6000 X線粉末回折計で、Cu Ka放射線を使用して実施した。装置は、ファインフォーカスX線管を備えていた。管出力およびアンペア数を、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。発散および散乱スリットは1°に設定し、受信スリットは0.15mmに設定した。回折された放射線を、Nalシンチレーション検出器により検出した。3°/分(0.4秒/0.02°ステップ)で2.5°2シータから40°2シータへのシータ−2シータ連続スキャンを使用した。ケイ素標準を、装置アラインメントをチェックするために毎日分析した。各試料を、石英試料ホルダーに入れることにより、分析のために調製した。選択配向の作用を低減するために、試料を回転させて(25rpm)分析した。走査ランを、回転速度を補正するために0.5°/分に調節した。
【0050】
2.赤外吸収
赤外吸収スペクトルを、Nicoletモデル860フーリエ変換赤外(FT−IR)分光光度計で得た。この装置は、グローバー源、Ge/Kbrビームスプリッター、重水素化硫酸トリグリセリン(DTGS)検出器およびサンプリングに利用されるSpectra−Teck,Inc.拡散反射率アクセサリを備えていた。各スペクトルは、4cm−1のスペクトル解像度での512同時付加スキャンを表している。試料調製は、試料約3から6mgを臭化カリウムと混合し、混合物を試料カップに入れることからなった。背景データセットを、臭化カリウムで得た。次いで、単一ビーム試料データセットを得て、クベルカ−ムンクユニットを使用して、データをプロットした。分光光度計を使用時点で、ポリスチレンで較正した(波長)。
【0051】
3.ラマンスペクトル
ラマンスペクトルを、Nicolet Magna860FT−IR分光光度計に面したラマンベンチで得た。この装置は、1064nmの励起波長およびNd:YAGレーザー出力約0.5Wを利用した。スペクトルは、4cm−1解像度で得られた32または64同時付加スキャンを表している。分析のために、試料3から6mgをガラス管に入れ、この管を分光光度計に位置させることにより、試料を調製した。分光光度計を使用時点で、イオウおよびシクロヘキサンで較正した(波長)。
【0052】
4.示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定データを、TA Instruments Differential Scanning Calorimeter 2920で得た。使用された較正標準は、インジウムであった。試料約3から6mgをDSCパンに入れ、重量を正確に測定し、記録した。パンを密閉し、ピンホールを使用して、圧力を放出させた。試料を窒素下に10℃/分の速度で、190、200、250、300または350℃の最終温度まで加熱した。非晶質物質のガラス転位温度(T)を研究するために、試料を窒素下に10°/分の速度で125℃まで加熱した。試料をこの温度で15分間保持し、次いで、冷却し、25℃で平衡させた。試料を再び10℃/分の速度で125℃まで加熱し、この温度で15分間保持し、次いで、冷却し、25℃で15分間平衡させた。次いで、試料を10℃/分で、250℃の最終温度まで加熱した。−5℃の当初温度を使用し、100℃まで循環させ、175℃の最終温度を達成して、実験を繰り返した。
【0053】
5.熱重量(TG)分析
試料の熱重量(TG)分析を、TA Instruments Thermogravimetric Analyzer 2050または2950で実施した。使用された較正標準は、ニッケルおよびAlumel(商標)であった。試料約4から11mgをパンに入れ、正確に秤量し、TG炉に挿入した。次いで、試料を窒素中、10℃/分の速度で、350℃の最終温度まで加熱した。
【0054】
7.ホットステージ顕微鏡法
ホットステージ顕微鏡法を、Leica MicroscopeにマウントされたKoflerホットステージで実施した。ホットステージの温度を、Testo6000−903熱電対およびTesto720デジタル読取りを使用して測定した。温度をUSP標準を使用して較正した。
【0055】
8.水分吸収/脱離
水分吸収/脱離データを、VT SGA−100水分バランス系で集めた。吸収等温線については、相対湿度(RH)10%きざみでRH5から95%の吸収範囲およびRH95から5%の脱離範囲を分析のために使用した。試料を分析の前に乾燥させなかった。分析のために使用された平衡判定基準は、5分での0.0100%未満の重量変化であり、ここで、重量判定基準が満たされなかった場合には、3時間の最大平衡時間を伴った。試料の当初水分含分では、データを補正しなかった。
【0056】
9.多形体スクリーン
可能な限り多くのN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの固体形態を生じさせるために、多形体スクリーンに着手した。この技術は、様々な条件下に固体を生じさせることおよびXRPDによる後続の特性決定を伴った。形成した固化試料の多くが、通常は板状または針状の結晶がいくらかの規則度で自ら配向する傾向である選択配向を示した。選択配向は、ピーク強度に影響を及ぼしうるが、XRPDパターンにおけるピーク位置には影響を及ぼさない。
【0057】
10.ストレス研究
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの試料に、RH22、58、75および93%で周囲温度下に3日間ストレスを加えた。ある試料はまた、40℃オーブン中に11日間入れた。非晶質物質の試料もまた、40℃オーブン中に36日間または70℃オーブン中に4日間入れた。次いで、固体をXRPDにより分析した。
【0058】
11.粉砕実験
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド物質を手動で、乳鉢および乳棒で30秒、1、2および5分間粉砕した。次いで、試料をXRPDにより分析した。
【0059】
12.相互変換実験
2種の形態のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドを飽和トルエン、メタノール/水またはアルコール溶液中に含有するスラリーを製造することにより、相互変換実験を実施した。スラリーを様々な時間、周囲温度または45℃で攪拌した。不溶性の固体を濾過により回収し、XRPDを使用して分析した。
【0060】
13.結晶化手順
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの秤量試料(20から30mg)を試験溶媒(試薬グレードまたはHPLCグレード)のアリコットで処理して、溶液100から150μLを得た。これらの溶液を音波処理し、全ての固体が溶解したら(目視検査)、溶液を濾過し、開放バイアル中で周囲条件下に放置するか(早い蒸発)、またはピンホールを備えたアルミニウムフォイルで覆った(遅い蒸発)。固体を濾過により除去し、空気乾燥させ、XRPDにより分析した。また、前記で濾過された室温の溶液を−78℃に迅速に冷却することにより(クラッシュ冷却)、固体試料を生じさせた。固体を濾過により除去し、空気乾燥させ、XRPDにより分析した。
【0061】
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの秤量試料をまた、試験溶媒のアリコットで高温で処理した。これらの試料および溶媒を、45℃または60℃に保持されたホットプレート上で加熱し、生じた溶液を、同じホットプレート上に維持されたバイアルに迅速に濾過した。熱源を切り、ホットプレートおよびバイアルを周囲温度に冷却し(遅い冷却)、一晩放置した。溶解しなかった固体の存在または不在を記述した;固体が存在しないか、XRPD分析には少なすぎると判断される固体量が存在する場合には、バイアルを冷蔵庫に一晩入れた。再び、溶解しなかった固体の存在または不在を記述し、存在しなかった場合には、バイアルを冷凍庫に一晩入れた。固体を濾過により除去し、空気乾燥させ、XRPDにより分析した。
【0062】
過剰の固体を含有するN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの飽和溶液を製造することにより、スラリー実験を実施した。これらのスラリーを周囲温度で10から20日間攪拌した。不溶性の固体を濾過により除去し、空気乾燥させ、XRPDにより分析した。
【0063】
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの固体試料を試験溶媒に溶かし、生じた溶液を約0℃に冷却された抗溶媒に濾過することにより、抗溶媒実験を実施した。固体が直ちに形成しなかった場合には、試料を周囲条件下に、固体が見られるまで放置した。固体を濾過により除去し、空気乾燥させ、XRPDにより分析した。
【0064】
抗溶媒を含有するより大きなバイアル中に設置されたバイアルに、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの飽和溶液を入れることにより、蒸気拡散実験を実施した。より大きなバイアルを密閉し、周囲温度に維持した。固体を濾過により除去し、空気乾燥させ、XRPDにより分析した。
【0065】
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの飽和溶液をバイアルに入れ、不混和性抗溶媒を加えることにより、液体拡散実験を実施した。沈殿した固体の存在または不在を記述した。固体が形成した場合には、溶媒をデカンテーションし、固体を集めた。固体が形成しなかった場合には、バイアルを覆い、周囲温度で放置した。形成した何らかの固体を濾過により除去し、空気乾燥させ、XRPDにより分析した。
【0066】
また、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの溶融物を迅速に冷却(−78℃)することにより、固体試料を生じさせ、XRPDにより分析した。
【0067】
C.多形体A、C、Eおよび非晶質物質
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの多形体スクリーンで得られた固体形態を表1にまとめる。A、CおよびE型と名付けられる3種の別個のXRPDパターンを示す3種の別個の形態が判明した。A型は、遅い蒸発、遅い冷却および蒸発拡散結晶化により得られた。C型は、トルエン溶液からの遅い蒸発から得られた。E型は、溶液の早い蒸発または抗溶媒結晶化から得られた。非晶質物質は、この化合物の溶融物の迅速な冷却(−78℃)により得られた。
【0068】
【表2−1】

【0069】
【表2−2】

【0070】
結晶化研究
A、CおよびE型のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドを調製するための結晶化研究および詳細な方法を下記に記載する。これらの研究は、多形体A、CおよびEを適切な条件下に選択的に製造することができることを証明している。さらに、これらの形態およびその混合物を、A型に相互変換することができる。対照的に、準安定性なE型は、動的に優先されるようである。
【0071】
A、CおよびE型のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの固体結晶形態のXRPDパターンをそれぞれ図1、4および7に示す。これらのXRPDパターンを使用して、下記の結晶化および方法研究から得られた固体形態を確認した。
【0072】
a.75℃から、53℃、室温へ
75℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液を徐々に冷却し、キャップをしていないバイアル中で蒸発させた。53℃で、固体が溶液に初めて現れた。1時間後に、バイアルにキャップをし、室温で6時間貯蔵した。定期的に固体の試料を除去し、真空濾過により回収し、XRPDにより分析した。当初試料および固体の全ての後続試料がA型であることが判明した。これらの結果は、これらの条件が、A型の自発結晶化を優先することを証明している。
【0073】
b.75℃、体積を低下、5℃に冷却
75℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{((3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液をその温度で、キャップをしていないバイアル中で、体積全体が25%低下するまで維持した。次いで、バイアルにキャップをし、5℃水浴中に6時間置いた。固体は溶液中に5℃で初めて現れた。定期的に固体の試料を除去し、真空濾過により回収し、XRPDにより分析した。当初試料および固体の全ての後続試料がE型であることが判明した。A型へのこれらの固体の相互変換は、これらの条件下では観察されなかった。これらの結果は、これらの条件が準安定性なE型の自発結晶化を優先することを証明している。
【0074】
c.75℃から45℃、固体が形成するまで保持、5℃に冷却
75℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−([(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液を、徐々に45℃に冷却し、キャップをしていないバイアル中で蒸発させた。45℃で、固体が溶液中に初めて現れた。バイアルにキャップをし、5℃水浴に6時間入れた。除去され、真空濾過により回収された固体は全て、A型であった。固体が現れた後にバイアルを5℃に冷却しても、これらの条件下ではE型の形成は生じない。これらの結果は、いったんA型が結晶化すると、固体は、幅広い温度範囲にわたってA型のままであることを証明している。
【0075】
d.75℃から45℃、AおよびE型を播種
75℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−([(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液を45℃に徐々に冷却し、キャップをしていないバイアル中で蒸発させた。AおよびE型の種結晶を透明な溶液に加え、バイアルを45℃で6時間保持した。定期的に固体の試料を除去し、真空濾過により回収し、XRPDにより分析した。1分後では、固体はAおよびE型からなった。しかしながら5分後では、固体はA型のみであった。これらの結果は、E型が当初存在しても、E型固体はA型に相互変換することを証明している。
【0076】
e.75℃から45℃、E型を播種
75℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{((3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ)スルホニル)−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール溶液を45℃に徐々に冷却し、キャップをしていないバイアル中で蒸発させた。E型の種結晶を透明な溶液に加え、バイアルを45℃で6時間保持した。これらの種を加えた約15分後に、固体が溶液中に初めて現れた。定期的に固体の試料を除去し、真空濾過により回収し、XRPDにより分析した。いずれの場合にも、A型のみが回収された。これらの結果は、E型種結晶のみが45℃で存在しても、A型のみが形成することを証明している。
【0077】
f.75℃から45℃、E型を播種、体積を低下
75℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液を徐々に冷却し、キャップをしていないバイアル中で蒸発させた。45℃で、E型の種結晶を透明な溶液に加えた。バイアルを45℃で維持し、溶液の体積を1時間にわたって25%低減させた。定期的に固体の試料を除去し、真空濾過により回収し、XRPDにより分析した。当初試料および固体の全ての後続試料がA型であることが判明した。これらの結果は、E型種結晶を45℃で含有する過飽和溶液は、準安定性なE型の形成をもたらさないことを証明している。
【0078】
g.75℃から45℃、C型を播種
75℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液を徐々に冷却し、キャップをしていないバイアル中で蒸発させた。45℃で、C型の種結晶を透明な溶液に加えた。バイアルを45℃で維持し、溶液の体積を1時間にわたって25%低減させた。定期的に固体の試料を除去し、真空濾過により回収し、XRPDにより分析した。10分後では、固体はAおよびC型からなった。しかしながら、25分後では、固体は、A型のみであることが判明した。これらの結果は、C型が高温(45℃)でA型に変換することを証明している。
【0079】
h.5℃、AおよびE型を播種
5℃のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液を濾過し、AおよびE型の種結晶を加えた。バイアルにキャップをし、5℃で6時間貯蔵した。定期的に固体の試料を除去し、真空濾過により回収し、XRPDにより分析した。1分後では、固体はA型およびおそらくE型の混合物であった。6分後では、固体中に存在したであろう多少のE型がA型に変換した。これらの結果は、E型からA型への変換速度は、A型種が存在する場合には、温度に依存するとは思われないことを証明している。
【0080】
結晶化研究のまとめ
行われた実験に基づくと、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液の結晶化は、高温で、A型種が存在する場合には、A型の形成を優先する。この化合物のエタノール飽和溶液を低温(5℃)で、何ら種結晶を存在させることなく結晶化させると、E型が生じる。E型は、これらの条件(5℃)下では、存続するようで、A型に容易に変換しない。いずれの温度で行われても、AまたはC型種結晶を伴う実験は、A型の結晶化をもたらした。しかしながら、A型の形成は、低温ほどゆっくりであった。
【0081】
準安定性なE型は、低温(5℃)で動的に優先される形態であると思われる。A型の製造を保証するために、N−(2アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノール飽和溶液を45℃で長期間攪拌し、次いで、何らかの固体が現れる前に、この温度でA型結晶を播種すべきである。
【0082】
2.溶解性研究
A、CおよびE型のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのエタノールへの溶解性を決定し、データを表2にまとめる。この化合物のエタノール飽和溶液を調製し、各溶液を25、27、35、40または50℃に加熱し、30分間攪拌した。試料を受けフラスコへ濾過し、同じ温度で加熱し、さらに30分間攪拌した。試料をこれらのフラスコから除去し、風袋を計ったバイアルに濾過した。残りの溶液を加熱し、さらに30分間攪拌した。試料を再びこれらのフラスコから除去し、他の風袋を計ったバイアルに濾過した。風袋を計ったバイアル中の溶媒を、回転蒸発器を使用して除去し、風袋を計ったバイアル中の固体の重さを記録し、溶解性を算出するために使用した。
【0083】
【表3】

【0084】
報告された溶解性を重量で決定したので、データでの変動がありうる。僅かな差違が、30分と60分時点の間で観察され、これは、30分が、大抵の場合に平衡に達するのに十分であったことを示している。A型は、より低い可溶性形態であると思われる。残りの固体で集められたXRPDデータは、他の形態への変換が、可溶性実験の間には生じなかったことを示している。E型での可溶性値は、A型に類似している。XRPDパターンに基づき、実験の間にE型はA型に変換したので、E型で観察された可溶性は、A型またはEおよびA型の混合物を表している。通常、C型物質は、より高い可溶性を示した。残りの物質でのXRPDデータにより、この物質は、実験の間に形態を変えなかったことが確認される。
【0085】
まとめると、様々な温度でのN−(2−アセチル−4,6ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2チオフェンカルボキサミドのエタノールへの可溶性研究は、A型が最も可溶性が低いことを示している。可溶性実験の間にE型はA型に変換したので、E型の可溶性は、決定されなかった。C型は、A型よりも高い可溶性を示し、可溶性実験の間に変換しなかった。可溶性データに基づき、形態の安定性は、A型>C型>E型であると決定された。
【0086】
a.近似溶解性
周囲温度でのA型のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの様々な溶媒への近似溶解性を、表3にまとめる。近似溶解性を、溶液を得るために使用された全溶媒を基に実験から推定した。実際溶解性は、多量すぎる溶媒アリコットの使用または低速の溶解により、算出された溶解性よりも高いことがある。溶解が実験の間に生じなかった場合には、溶解性を「未満」と表す。溶媒のアリコット全体を加える前に固体が溶解した場合には、溶解性を「より高い」と記載する。
【0087】
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのA型は、N,N−ジメチルホルムアミド(250mg/mL)に最も溶解性であり、続いてジメチルスルホキシド(144mg/mL)、ジクロロメタン(135mg/mL)、テトラヒドロフラン(132mg/mL)およびアセトン(87mg/mL)に可溶性であることが判明した。下記表3参照。A型は、ジエチルエーテル、ヘキサン、プロパノールおよび水に僅かしか溶解性でないことが判明した。
【0088】
【表4】

【0089】
A型
A型でのXRPDパターンを図1〜5に示し、下記の表4には、XRPDにおけるピークを列挙する。多形体スクリーンでは、A型は、遅い蒸発、遅い冷却および蒸気拡散結晶化から最も頻繁に製造された。
【0090】
【表5】

【0091】
IRおよびラマンデータをそれぞれ、表5および6にまとめ、図4および7にプロットする。A型のIRスペクトルは、CまたはE型のスペクトルでは発見されない3810、3156(ブロード)、1466、1396、1363、1135、999、908、902および850cm−1に独特なピークを有する。
【0092】
【表6−1】

【0093】
【表6−2】

【0094】
【表6−3】

【0095】
【表7−1】

【0096】
【表7−2】

【0097】
A型ラマンスペクトルは、CまたはE型のスペクトルでは発見されない3100、2970、1414、1350、850および640cm−1に独特なピークを有する。
【0098】
A型での熱データを表7および8にまとめ、図8および9にプロットする。TG曲線により、175℃で0.1%の全揮発分含分が判明し、これは、非溶媒和物質を示している。DSC曲線は、143.8℃での吸熱を示したが、これは、ホットステージ顕微鏡データを基に溶融に帰せられる(表8)。
【0099】
【表8】

【0100】
【表9】

【0101】
A型での水分吸収/脱離データを表9にまとめ、図10にプロットする。物質は実験の間に最小重量損失または増加を示す。実験を完了した後の試料のXRPDパターンは、物質がA型のままであることを示している。水分吸収/脱離データに基づき、A型は、非吸湿性物質であると思われる。
【0102】
【表10】

【0103】
特性決定データに基づき、A型は、約144℃で溶融する非溶媒和の非吸湿性結晶物質であると思われる。
【0104】
2.C型
C型でのXRPDパターンが図1および16に示されている。C型でのIRおよびラマンデータをそれぞれ、表5および6にまとめ、図12および13にプロットする。C型のIRスペクトルは、AまたはE型のスペクトルでは発見されない3502、3241(ブロード)、1684、1525、1402、1293、1140、1017、927(ブロード)、916、896、873、810、784、775、746、728、706、680、653、580および513cm−1に独特なピークを有する。C型のラマンスペクトルは、AまたはE型のスペクトルでは発見されない3083、1684、1291、1221、1179および867cm−1に独特なピークを有する。
【0105】
C型での熱データを表7および8にまとめ、図14および15にプロットする。TG曲線により、175℃で最小揮発分含分が判明し、これは、非溶媒和物質を示している。DSC曲線は、142.8℃で吸熱を示したが、これは、ホットステージ顕微鏡データを基に溶融に帰せられる。多形体スクリーンで生じたC型の試料は、おそらく粒径または結晶化度の差違による、温度においてより幅広で若干高い吸熱を示す。
【0106】
C型での水分吸収/脱離データを表9にまとめ、図16にプロットする。物質は実験の間に最小重量損失または増加を示す。実験を完了した後の試料のXRPDパターンは、物質がC型のままであることを示している。水分吸収/脱離データに基づき、C型は、非吸湿性物質であると思われる。
【0107】
特性決定データに基づき、C型は、約143℃で溶融する非溶媒和の非吸湿性結晶物質であると思われる。
【0108】
3.E型
E型でのXRPDパターンが図1および17に示されている。多形体スクリーンでは、E型は大抵往々にして、溶液の早い蒸発または抗溶媒結晶化から生じた。E型でのIRおよびラマンデータをそれぞれ、表5および6にまとめ、図18および19にプロットする。E型のIRスペクトルは、AまたはC型のスペクトルでは発見されない3271(ブロード)、3129、3005、2943(ブロード)、1521、1183、1169、1072、1042、911、855、752および645cm−1に独特なピークを有する。E型ラマンスペクトルは、AまたはC型のスペクトルでは発見されない3131、1418、1066および645cm−1に独特なピークを有する。
【0109】
E型での熱データを表7および8にまとめ、図20および21にプロットする。TG曲線により、175℃で0.1%の全揮発分含分が判明し、これは、非溶媒和物質を示している。DSC曲線は、148.5℃で吸熱を示したが、これは、ホットステージ顕微鏡データを基に溶融に帰せられる(表8)。200℃を超えると、分解吸熱が観察される。多形体スクリーンで生じたE型の試料は、温度においてより幅広で若干低い吸熱を示す。
【0110】
E型での水分吸収/脱離データを表9にまとめ、図22にプロットする。物質は実験の間に最小重量損失または増加を示す(<0.2%)。実験を完了した後の試料のXRPDパターンは、物質がE型のままであることを示している。水分吸収/脱離データに基づき、E型は、非吸湿性物質であると思われる。
【0111】
特性決定データに基づき、E型は、約149℃で溶融する非溶媒和の非吸湿性結晶物質であると思われる。
【0112】
4.パターンD
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]−スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドのN,N−ジメチルホルムアミドまたはトルエン溶液の遅い蒸発は時には、A型のパターンとは異なるパターンを伴う物質をもたらした;この新しいパターンはパターンDと当初は名付けられた。このパターンは、E型のパターンと類似していて、7.5および25.5°2θに追加のピークを伴う。
【0113】
パターンD物質での熱データを表7および8にまとめ、図23にプロットする。TG曲線により、175℃で0.4%の全揮発分含分が判明し、これは、非溶媒和物質を示している。DSC曲線は、145.2℃および150.4℃での2つの吸熱を示した。ホットステージ顕微鏡法により、これらの事象は、試料の別々の部分の溶融により、溶融および後続の再結晶化によるのではないことが確認された。このことは、物質がE型およびA型であろう2種の異なる結晶形態の混合物からなることを示している。
【0114】
パターンD物質での水分吸収/脱離データを表9にまとめ、図24にプロットする。物質は、5%RHで0.47%の重量損失および95%RHで1.82%の全体増加を示す。しかしながら、当初物質のXRPDは、非晶質物質の存在を示し、これが、高いRH条件下に水を吸収する(次のセクション参照)。
【0115】
パターンD物質を製造するために使用された実験(トルエン溶液の遅い蒸発)を繰り返したが、パターンD物質の調製は不成功であった。したがって、物質がないので、さらなる実験を試みなかった。しかしながら、熱特性決定データは、パターンD物質が、形態の混合物以外の新規形態ではないことを示している。
【0116】
5.非晶質物質
非晶質N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノ]−スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドを溶融物のクエンチ冷却から、およびメタノールから製造し、表3にまとめた;XRPDパターンは図1にプロットする。THF溶液の遅い蒸発から形成した非晶質物質のDSCおよびTGは、図25に示す。TG曲線により、物質が、加熱されるにつれて段階的に重量を損失することが示されている。DSC曲線は、約60℃で吸熱および149℃で小さな吸熱を示す。図26は、DSC温度サイクル実験を使用して、非晶質物質のガラス遷移温度(Tg)を測定する試みを示している。試料を15から125℃の間で、また−5から100℃へと循環させて、何らかの残留溶媒を除去して、DSCトレースでのガラス遷移をより良好に検出した。しかしながら、約50〜60℃では吸熱のみが検出され、続いて149℃での溶融吸熱が検出された。ホットステージ顕微鏡法により、低温吸熱は固体の液化に対応することおよび加熱すると溶融する小さな結晶の形成が判明している。
【0117】
表9にまとめられ、図27にプロットされているように、非晶質N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]−スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドでの水分吸収/離脱データもまた集めた。物質は95%RHで0.98%の水を増し、この増分の大部分を、RHを低下させると失う。水分バランスが生じた後に試料で集めたXRPDデータは、物質が非晶質なままであることを示している。
【0118】
これらのデータに基づき、非晶質物質は、比較的安定で、高いRHに曝露されると再結晶化しない。
【0119】
ストレス研究
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]−スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドA型に、表10にまとめられているような様々な条件下にストレスを掛けた。物質はいずれの場合にもA型のままであった。非晶質N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4−ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]−スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドにもまた、様々な条件下にストレスを掛けた。70℃での4日間の後に、非晶質物質は、EおよびC型の混合物に変換した。非晶質物質の試料は、周囲条件での約3カ月後に、CおよびE型に結晶化したことが判明した。
【0120】
【表11】

【0121】
粉砕実験
表17にまとめられているように、A型物質を、乳鉢および乳棒を使用して5分間まで粉砕した。図17に示されているように、A型は、粉砕すると多少の結晶化度を失う。純粋な非晶質物質は、これらの条件下では得られないが、多少の非晶質物質が存在すると思われる。しかしながら、より高エネルギーな処理条件(微粉砕または超微粉砕)は、生じる非晶質材料の量を増大させることができる。
【0122】
選択配向の作用を除こうと、多形体スクリーンからの1サンプルを2分間粉砕した。生じた物質のパターンは、CおよびE型の両方が存在することを示している。C型の試料もまた、2分間粉砕したが、生じた物質は、C型のままであった。
【0123】
【表12】

【0124】
相互変換実験
相互変換研究を、1:1のメタノール:水、トルエンおよびエタノール中で、A、CおよびE型を使用して行ったが、そのデータを表12にまとめる。C型が1種の形態であり、形態の混合物ではないことを確認するために、C型の試料をエタノール中で16日間スラリー化した。これは、同じ形態のままであったが、このことは、相互変換が生じず、これが確かに別個の形態であり、形態の混合物ではないことを示している。
【0125】
これらの溶媒中でA型とC型を使用する実験により、2種の形態の混合物が得られたが、多くは両方の形態の低い溶解性によると思われるが、比較的長い平衡時間を必要とした。EおよびC型のスラリーは一緒に、AおよびC型の混合物またはA型のみである固体をもたらし、このことは、A型が実験の間に核になったことを示している。
【0126】
【表13】

【0127】
D.A、CおよびE型の調製方法
結晶化データに基づき、A型は、高温で、A型種結晶が存在する場合には、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの優先形態であると考えられる。この化合物の飽和溶液を低温(5℃)で、A型種結晶を存在させずに結晶化させると、E型が生じる。E型は存続すると思われ、これらの条件下にA型に容易に変換しない。AおよびC型種結晶を伴う全ての温度で行われた実験は、A型の結晶化をもたらしたが、A型の形成は、低温なほどゆっくりであった。
【0128】
ある種の実施形態では、本明細書で提供されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの結晶化方法は、70%超の多形体Aをもたらす。一実施形態では、方法は、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の多形体Aをもたらす。
【0129】
ある種の実施形態では、本明細書で提供されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの結晶化方法は、70%超の多形体Cをもたらす。一実施形態では、方法は、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の多形体Cをもたらす。
【0130】
ある種の実施形態では、本明細書で提供されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの結晶化方法は、70%超の多形体Eをもたらす。一実施形態では、方法は、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の多形体Eをもたらす。
【0131】
E.組成物の製剤および投与
スルホンアミドの製剤を本明細書では提供する。製剤は、本明細書で提供される多形体を投与するために設計された組成物である。組成物は、経口および非経口投与に適している。このような組成物には、溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、丸薬、カプセル、粉剤、持続放出製剤および任意の他の適切な製剤が包含される。一実施形態では、組成物は、丸薬または錠剤の形態を取る。錠剤、カプセルおよび他のこのような製剤を製造する方法は、当業者に知られている(例えば、Ansel,H.C(1985年)、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms、4th Edition、pp.126〜163参照)。
【0132】
本明細書で提供される製剤では、有効濃度の単一の多形体が、適切な医薬担体または媒体と混合される。製剤中での多形体の濃度は、投与するとエンドセリン仲介疾患の症状を改善する量を輸送するために有効である。一実施形態では、組成物を、単回用量投与のために製剤する。組成物を製剤するために、化合物の重量フラクションを選択された媒体に、治療される状態が緩和または改善されるのに有効な濃度で溶解、懸濁、分散または他の方法で混合する。本明細書で提供される化合物を投与するために適している医薬担体または媒体には、特定の投与方法に適していると当業者に知られている任意の担体が包含される。
【0133】
加えて、化合物を組成物中で単独の医薬活性成分として製剤することができるか、または他の活性成分と組み合わせることができる。組織ターゲットリポソームを包含するリポソーム懸濁液もまた、薬学的に許容できる担体として適しうる。これらは、当業者に知られている方法に従い調製することができる。例えば、リポソーム製剤を、米国特許第4,522,811号に記載されているように調製することができる。
【0134】
単一多形体としての活性化合物を、治療される患者に望ましくない副作用を伴わずに、治療的に有用な作用を発揮するのに十分な量で、薬学的に許容できる担体に包含させる。治療的に有効な濃度は、知られているin vitroおよびin vivo系で化合物を試験することにより経験的に決定し(例えば、イシカワらに対する米国特許第5,114,918号;万有製薬株式会社に対するEP A1 0436189(1991年10月7日);Borgesら(1989年)、Eur.J.Pharm.165:223〜230;Filepら(1991年)、Biochem.Bioohvs.Res.Commun.177:171〜176参照)、次いで、そこから、ヒトへの用量に外挿することができる。
【0135】
薬物組成物中の活性化合物単一多形体の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化および排出率、化合物の物理化学的特性、投与スケジュール、投与量、さらに当業者に知られている他のファクターに左右される。例えば、輸送される量は、高血圧の症状を治療するために十分である。エンドセリン仲介障害を治療するために有効な量は、細菌感染を治療するために投与されるであろうスルホンアミド化合物の量よりも高いと予測される。
【0136】
一実施形態では、治療有効用量が、約0.1ng/mlから約50100pg/mlの活性成分の血清濃度をもたらすべきである。医薬組成物は、1日当たり体重1キログラム当たり化合物約0.001mgから約2000mgの用量を提供すべきである。一実施形態では、医薬用量単位形態を、用量単位形態1個当たり活性成分または活性成分の組合せ約1mgから約1000mgを提供するように調製し、他の実施形態では、約10から約500mgを提供するように調製することができる。
【0137】
活性成分を1回で投与することができるか、または時間を空けて投与されるいくつかのより小さい用量に分割することができる。正確な用量および治療期間は、治療される疾患に関しており、知られている試験プロトコルを使用して経験的に、またはin vivoもしくはin vitro試験データから外挿することにより決定することができることを理解されたい。濃度および用量範囲もまた、改善される状態の重症度に伴って変動しうることを特記すべきである。さらに、任意の特定の対象では、個々の必要および組成物を投与するか、または投与を監督する人の専門的な判断に従って、特定の用量計画を時間にわたって調節すべきであり、本明細書で記載された濃度範囲は、例示にすぎず、請求されている組成物の範囲または実施を制限することは意図されていないことを理解すべきである。
【0138】
薬学的に許容できる誘導体には、酸、塩、エステル、水和物、溶媒和物およびプロドラッグ形態が包含される。誘導体は、対応する中性化合物よりも安定な形態であるように選択される。
【0139】
したがって、本明細書で提供される単一多形体またはその薬学的に許容できる誘導体の有効濃度または量を、適切な薬学的な担体または媒体と全身、局所または局地投与のために混合して、医薬組成物を形成する。化合物を、治療が企図されているエンドセリン仲介障害を改善または治療するために有効な量で包含させる。組成物中での活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化、排出率、用量スケジュール、投与量、特定の製剤、さらに当業者に知られている他のファクターに左右される。
【0140】
組成物は、治療される障害に応じて経口、非経口、直腸および局所および局地を包含する適切な経路により投与されることを意図されている。例えば、緑内障などの眼疾患の治療では、眼内およびまた、硝子体内注射のための製剤が企図される。一実施形態では、カプセルおよび錠剤を経口投与のために使用する。本明細書に記載されているように調製される凍結乾燥粉末の再構成を、非経口投与のために使用することができる。液体、半液体または固体形態の化合物を、各投与経路に適切な方法で製剤する。投与方法には、非経口および経口投与方法が包含される。
【0141】
非経口、皮内、皮下または局所適用で使用される液剤または懸濁剤は、任意の次の成分を含有することができる:注射用の水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールおよびメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸および亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート化剤;酢酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩などの緩衝剤;ならびに塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張性を調節するための薬剤。非経口製剤を、ガラス、プラスチックまたは他の適切な材料から製造されたアンプル、使い捨てシリンジまたは単回もしくは多回投与用バイアルに封入することができる。
【0142】
化合物が不十分な溶解性を示す場合、化合物を可溶化するための方法を使用することもできる。このような方法は当業者に知られていて、これらに限られないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの補助溶媒の使用、ツイーンなどの界面活性剤の使用および炭酸水素ナトリウム水溶液への溶解が包含される。化合物のプロドラッグなどの化合物の誘導体もまた、有効な医薬組成物を製剤する際に使用することができる。
【0143】
スルホンアミド化合物のナトリウム塩を混合または添加すると生じる混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどであってよい。生じる混合物の形態は、意図される投与方法および選択された担体または媒体への化合物の溶解性を包含するいくつかのファクターに左右される。有効な濃度は、治療される疾患、障害または状態の症状を改善するために十分であり、経験的に決定することができる。
【0144】
製剤を、ヒトおよび動物に投与するために、適切な量の化合物、特にそのナトリウム塩などの薬学的に許容できる塩を含有する錠剤、カプセル、丸薬、粉剤、顆粒、無菌非経口液剤または懸濁剤および経口溶液または懸濁剤および油/水エマルションなどの単位剤形で提供する。薬学的治療的に活性な化合物およびその誘導体を製剤し、単位剤形または多回投与形態で投与する。本明細書で使用される場合の単位用量形態は、ヒトおよび動物対象に適した物理的に別個の単位を指し、当分野で知られているように個別に包装される。各単位用量は、必要な医薬用の担体、媒体もしくは希釈剤と共に、所望の治療効果をもたらすのに十分な予め決定された量の治療活性化合物を含有する。単位用量形態の例には、アンプルおよびシリンジ、個々に包装された錠剤またはカプセルが包含される。単位用量形態を分割して、または複数で投与することができる。多回用量形態は、個別の単位用量形態で投与するために単一の容器に包装された複数の同じ単位剤形である。多回用量形態の例には、バイアル、錠剤もしくはカプセルのボトルまたはパイントもしくはガロンのボトルなどが包含される。したがって、多回用量形態は、包装で個別化されていない多数の単位用量である。
【0145】
組成物は、活性成分と共に、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムまたはカルボキシメチルセルロースなどの希釈剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルクなどの滑剤ならびにデンプン、アカシアゴムなどの天然ゴム、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリドン、セルロースおよびその誘導体、ポビドン、クロスポビドンおよび当業者に知られている他の結合剤などの結合剤を含有することができる。液体の薬学的に投与可能な組成物を例えば、上記で定義された活性化合物および追加の薬学的補助剤を例えば水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール、エタノールなどに溶解、分散または他の方法で混合して、溶液または懸濁液を形成することにより調製することができる。望ましい場合には、投与される医薬組成物はまた、少量の湿潤剤、乳化剤または可溶化剤などの非毒性補助剤物質、pH緩衝剤など、例えばアセテート、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミンおよび他のそのような薬剤を含有することもできる。このような剤形を調製する実際の方法は、知られているか、当業者には明らかであり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、15th Edition、1975年参照。投与される組成物または製剤は、いずれにしても、活性化合物量を、治療される対象の症状を緩和するのに十分な量で含有する。
【0146】
非毒性担体がもたらす平衡で、活性成分を0.005%から100%の範囲で含有する剤形または組成物を調製することができる。経口投与では、薬学的に許容できる非毒性組成物を、例えば薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、セルロース誘導体、ナトリウムクロスカルメロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムまたはナトリウムサッカリンなどの任意の通常使用される賦形剤を導入することにより形成する。このような組成物には、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、粉末ならびにこれらに限られないが、インプラントおよびマイクロカプセル化輸送系などの持続放出製剤、ならびにコラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性生体親和性ポリマーが包含される。これらの製剤の調製方法は、当業者に知られている。実施形態では、企図される組成物は、活性成分0.001%〜100%、他の実施形態では、0.1〜85%、他の実施形態では75〜95%を含有することができる。
【0147】
活性化合物のナトリウム塩などの塩を、時間放出製剤またはコーティングなどの体からの迅速な排出から化合物を保護する担体を用いて調製することができる。
【0148】
製剤は、特性の所望の組合せを得るために他の活性化合物を包含することができる。本明細書に記載されている式Iの化合物またはその薬学的に許容できる塩および誘導体はまた有利に、治療または予防目的で、β−アドレナリン遮断薬(例えばアテノロール)、カルシウムチャンネル遮断薬(例えばニフェジピン)、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えばリシノプリル)、利尿剤(例えばフロセミドまたはヒドロキオロチアジド(hydrochiorothiazide))、エンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤(例えばホスホラミドン)、中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、窒素酸化物供与体、抗酸化剤、血管拡張剤、ドーパミンアゴニスト、神経保護剤、ステロイド、ベータ−アゴニスト、抗凝血薬または血栓溶解薬などの上記で挙げられた疾患または医学的状態の1つまたは複数を治療する際に有用であると一般に当分野で知られている他の薬物と一緒に投与することができる。このような併用療法は、本明細書で提供される組成物および治療方法のさらなる態様を構成することを理解されたい。
【0149】
1.経口投与のための製剤
経口医薬剤形は、固体、ゲルまたは液体である。固体剤形は、錠剤、カプセル、顆粒およびバルク粉剤である。経口錠剤の種類には、腸溶コーティング、糖衣またはフィルムコーティングされていてもよい圧縮、咀嚼ロゼンジおよび錠剤が包含される。カプセルは、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセルであってよい一方で、顆粒または粉剤を、当業者に知られている他の成分と組み合わせた非発泡または発泡形態で提供することができる。
【0150】
ある種の実施形態では、製剤は、カプセルまたは錠剤などの固体剤形である。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、任意の次の成分または同様の性質の化合物を含有してよい:結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤、流動促進剤、甘味剤および香料。
【0151】
結合剤の例には、微結晶性セルロース、ガムトラガカント、グルコース溶液、アラビアゴム漿、ゼラチン溶液、スクロースおよびデンプンペーストが包含される。滑剤には、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、セキショウシおよびステアリン酸が包含される。希釈剤には例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトールおよびリン酸二カルシウムが包含される。流動促進剤の例には、これに限られないが、コロイド状二酸化ケイ素が包含される。崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天およびカルボキシメチルセルロースが包含される。着色剤には例えば、任意の承認および保証されている水溶性FD染料およびC染料、それらの混合物ならびにアルミア(alumia)水和物で懸濁されている水不溶性FDおよびC染料が包含される。甘味剤には、スクロース、ラクトース、マンニトールならびにシクラミン酸ナトリウムおよびサッカリンなどの人工甘味剤、ならびに任意の数の噴霧乾燥香料が包含される。着香剤には、これらに限られないが、ペパーミントおよびサリチル酸メチルなどの果実などの植物から抽出した天然香料ならびに心地良い味覚を生じる化合物の合成ブレンドが包含される。湿潤剤には、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコールおよびポリオキシエチレンラウラル(laural)エーテルが包含される。腸溶性コーティングには、脂肪酸、脂肪、ロウ、シェラック、アンモニアシェラックおよび酢酸フタル酸セルロースが包含される。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースが包含される。
【0152】
経口投与が望ましい場合、胃の酸性環境から化合物を保護する組成物で、化合物の塩を提供することができる。例えば、組成物を、その完全性を胃で維持し、腸で活性化合物を放出する腸溶コーティングで製剤することができる。組成物をまた、制酸剤または他のこのような成分と組み合わせて製剤することもできる。
【0153】
投与単位形態がカプセルである場合、これは、前記のタイプの物質に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。加えて、投与単位形態は、投与単位の物理的形態を変更する様々な他の物質、例えば、糖および他の腸溶剤のコーティングを含有してもよい。化合物をまた、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウェハ、スプリンクル、チューイングガムなどの成分として投与することもできる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味料としてのスクロースおよびある種の防腐剤、染料および着色剤ならびに香料を含有してもよい。
【0154】
活性物質をまた、制酸剤、H2遮断薬および利尿剤などの所望の作用を損なわない他の活性物質と、または所望の作用を補足する物質と混合することもできる。例えば、化合物を喘息または高血圧を治療するために使用する場合、これをそれぞれ、他の気管支拡張剤および抗高血圧薬と共に使用することができる。活性成分は、本明細書に記載されている化合物またはその塩である。活性成分約98重量%までのより高い濃度を包含させることができる。
【0155】
錠剤に包含される薬学的に許容できる担体は、結合剤、滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、着香剤および湿潤剤である。腸溶コーティングにより、腸溶コーティング錠剤は、胃酸の作用に耐え、中性またはアルカリ性の腸管で溶解または崩壊する。糖コーティング錠剤は、薬学的に許容できる物質の異なる層が適用されている圧縮錠剤である。フィルムコーティング錠剤は、ポリマーまたは他の適切なコーティングでコーティングされている圧縮錠剤である。多数回圧縮錠剤は、前記で述べた薬学的に許容できる物質を利用する1回を超える圧縮サイクルにより製造された圧縮錠剤である。着色剤もまた、前記投与形態で使用することができる。着香剤および甘味剤を、圧縮錠剤、糖コーティングされ、多数回圧縮された咀嚼錠剤で使用する。着香剤および甘味剤は、咀嚼錠剤およびロゼンジの製剤で特に有用である。
【0156】
液体経口剤形には、水溶液、エマルション、懸濁剤、非発泡性顆粒から再構成される溶液および/または懸濁剤ならびに発泡性顆粒から再構成される発泡性製剤が包含される。水溶液には例えば、エリキシルおよびシロップが包含される。エマルションは、水中油型または油中水型である。
【0157】
エリキシルは、透明で甘味剤を加えられた水性アルコール製剤である。エリキシルで使用される薬学的に許容できる担体には、溶媒が包含される。シロップは、例えばスクロースなどの糖の濃厚水溶液であり、保存剤を含有してよい。エマルションは、一方の液体が他方の液体全体に微小液滴の形態で分散している二相系である。エマルション中で使用される薬学的に許容できる担体は、非水性液体、乳化剤および保存剤である。懸濁液は、医薬的に許容される懸濁化剤および保存剤を使用する。再構成されて液体経口剤形になる非発泡性顆粒で使用される薬学的に許容できる物質には、希釈剤、甘味剤および湿潤剤が包含される。再構成されて液体経口剤形になる発泡性顆粒で使用される薬学的に許容できる物質には、有機酸および二酸化炭素源が包含される。前記剤形のいずれにおいても、着色剤および着香剤を使用する。
【0158】
溶媒には、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップが包含される。保存剤の例には、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが包含される。エマルションで利用される非水性液体の例には、鉱油および綿実油が包含される。乳化剤の例には、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカント、ベントナイトならびにモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどの界面活性剤が包含される。懸濁化剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、Veegumおよびアラビアゴムが包含される。希釈剤には、ラクトースおよびスクロースが包含される。甘味剤には、スクロース、シロップ、グリセリンならびにシクラミン酸ナトリウムおよびサッカリンなどの人工甘味料が包含される。湿潤剤には、モノステアリン酸プロピレングリコール、ソルビタン、モノオレエート、モノラウリン酸ジエチレングリコールおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが包含される。有機酸には、クエン酸および酒石酸が包含される。二酸化炭素源には、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが包含される。着色剤には、任意の承認および保証されている水溶性FDおよびC染料ならびにそれらの混合物が包含される。着香剤には、果実などの植物から抽出した天然香料ならびに心地良い味覚を生じる化合物の合成ブレンドが包含される。
【0159】
固体剤形では、例えば炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリド中の溶液または懸濁液を、ゼラチンカプセルにカプセル封入する。このような溶液ならびにその調製およびカプセル封入は、米国特許第4,328,245号;同第4,409,239号;および同第4,410,545号に開示されている。液体剤形では、例えばポリエチレングリコール中の溶液を、十分な量の薬学的に許容できる液体担体、例えば水で希釈して、投与のために容易に測定することができるようにすることができる。
【0160】
別法では、液体または半固体経口製剤を、活性化合物または塩を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば炭酸プロピレン)および他のこのような担体に溶解または分散させ、これらの溶液または懸濁液を硬質または軟質ゼラチンカプセルシェルにカプセル封入することにより調製することができる。他の有用な製剤には、米国再発行特許第28,819号および米国特許第4,358,603号に記載されているものが包含される。
【0161】
一実施形態では、製剤は、カプセルまたは錠剤などの固体剤形である。他の実施形態では、製剤は、本明細書に記載されている単一の多形体10〜100%、他の実施形態では50〜95重量%、他の実施形態では75〜85重量%、他の実施形態では80〜85重量%;ラクトースまたは微結晶性セルロースなどの希釈剤または結合剤0〜25%、他の実施形態では8〜15%;化工デンプンまたはセルロースポリマー、特にクロスカルメロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウムNFは、AC−DI−SOSの名称で、FMC Corporation、Philadelphia、PAから市販されている)などの架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤約0から10%、他の実施形態では約0〜7%;およびステアリン酸マグネシウム、タルクおよびステアリン酸カルシウムなどの滑剤0〜2%を含有するカプセルまたは錠剤などの固体剤形である。クロスカルメロースナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤は、コーティングポリマーの溶解に続いて活性剤を直ちに放出するために、セルロースマトリックスの迅速な分解をもたらす。全ての実施形態で、活性成分および補助成分の正確な量を経験的に決定することができ、これは、投与経路および治療される障害に関係している。
【0162】
例示的な実施形態では、製剤は、本明細書で提供される単一の多形体約50%〜100%、他の実施形態では約70〜90%、他の実施形態では約80〜90%、他の実施形態では約83%;ラクトースまたは微結晶性セルロースなどの希釈剤または結合剤約0〜15%、他の実施形態では約11%;クロスカルメロースナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤約0〜10%、他の実施形態では約5%;およびステアリン酸マグネシウムなどの滑剤約0から5%、他の実施形態では約1%を含有するカプセルである。錠剤として投与するための固体形態もまた、本明細書では企図されている。
【0163】
例示的な実施形態では、製剤は、本明細書で提供される1種の単一の多形体83%;微結晶性セルロース11%;クロスカルメロースナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウムなどの崩壊剤5%;およびステアリン酸マグネシウム1%を含有するカプセルである。
【0164】
前記実施形態はまた、コーティングされていてもよい錠剤の形態で製剤することができる。錠剤は、本明細書に記載の組成物を含有する。
【0165】
全ての実施形態で、錠剤およびカプセル製剤を当業者に知られているようにコーティングして、活性成分の溶解を調節または持続させることができる。したがって例えば、これらをサリチル酸フェニル、ロウおよび酢酸フタル酸セルロースなどの慣用の腸溶消化性コーティングでコーティングすることができる。
【0166】
2.持続放出剤形
本明細書で提供される多形体は、通常の当業者によく知られている制御放出手段または輸送デバイスにより投与することができる。例には、これらに限られないが、それぞれ参照により本明細書に援用される米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;および同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号および同第5,733,566号に記載されているものが包含される。このような剤形を使用すると、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透析膜、浸透系、多層コーティング、超微粒子、リポソーム、微小球またはこれらの組合せを使用していろいろな割合の所望の放出プロファイルを提供し、1種または複数の活性成分の遅いか、調節される放出を提供することができる。本明細書に記載されているものを包含する当業者に知られている適切な調節放出製剤を、本明細書で提供されている活性成分と共に使用するために容易に選択することができる。
【0167】
調節放出医薬品は全て、その非調節対応品により達成される薬物療法を越えるように薬物療法を改善する共通の目標を有する。理想的には、治療における最適に設計された調節放出製剤の使用は、最短時間で状態を治癒または制御するために使用される最小量の薬物物質を特徴とする。調節放出製剤の利点には、薬物活性の延長、投与頻度の低減および患者の服薬遵守の増進が包含される。加えて、調節放出製剤を使用すると、作用の開始時間または薬物の血中レベルなどの他の特性に影響を与えることができ、したがって、副作用(例えば有害作用)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0168】
多くの調節放出製剤は、所望の治療効果を即座にもたらす薬物(活性成分)量を初めに放出し、長期間にわたってこのレベルの治療または予防効果を維持するための薬物の別の量を徐々に、かつ継続的に放出するように設計される。体内でこの一定レベルの薬物を維持するために、薬物は、代謝され、体から排出される薬物の量に代わる速度で、剤形から放出されなければならない。活性成分の調節放出は、これらに限られないが、pH、温度、酵素、水または他の物理学的条件もしくは化合物を包含する様々な条件により刺激されうる。
【0169】
ある種の実施形態では、多形体または多形体の混合物を、静脈注入、インプラント可能な浸透ポンプ、経皮パッチ、リポソームまたは他の投与方法を使用して投与することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Sefton、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201(1987年)、Buchwaldら、Surgery 88:507(1980年)、Saudekら、N.Engl.J.Med.321:574(1989年)参照)。他の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる。さらに他の実施形態では、調節放出系を治療ターゲット近くに設置することができる。即ち、全身用量の一部のみが必要である(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、vol.2、pp.115〜138(1984年)参照)。いくつかの実施形態では、調節放出デバイスを、不適切な免疫活性または腫瘍の部位近くで対象に導入する。他の調節放出系は、Langer(Science 249:1527〜1533(1990年))による概説で検討されている。活性成分を、固体内部マトリックス、例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化または非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタンジエン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールおよび架橋部分加水分解ポリビニルアセテートに分散させることができ、これを、体液に不溶性である外部ポリマー膜、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセテート/ビニルアルコールターポリマーならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーで囲む。こうして、活性成分は、放出速度調節ステップで、外側ポリマー膜を介して拡散する。このような非経口組成物に含有される活性成分のパーセンテージは、その特異的な性質、さらに対象の必要性に高度に依存している。
【0170】
3.注射可能な溶液またはエマルション
皮下、筋肉内または静脈内注射を通常は特徴とする非経口投与もまた、本明細書では企図される。注射可能剤は慣用の形態で、液体溶液もしくは懸濁液、注射前に液体に溶解もしくは懸濁させるために適している固体形態またはエマルションとして調製することができる。適切な賦形剤は例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールである。加えて、望ましい場合には、投与される医薬組成物はまた、少量の湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解性増強剤ならびに例えば酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンなどの他のこのような薬剤などの非毒性補助物質を含有してもよい。一定レベルの用量を維持するような緩効性または持続放出系のインプラント(例えば米国特許第3,710,795号参照)もまた、本明細書では企図される。このような非経口組成物中に含有される活性化合物のパーセンテージは、その特異的な性質、さらに化合物の活性および対象の必要に高度に左右される。
【0171】
製剤の非経口投与には、静脈内、皮下および筋肉内投与が包含される。非経口投与のための製剤には、すぐに注射可能な無菌溶液、皮下錠剤を包含する使用直前に溶媒とすぐに組み合わせることができる本明細書に記載の凍結乾燥粉末などの無菌乾燥溶解性製品、すぐに注射可能な無菌懸濁液、使用直前に媒体とすぐに組み合わせることができる無菌乾燥不溶性製品および無菌エマルションが包含される。溶液は、水性または非水性であってよい。
【0172】
静脈内投与される場合、適切な担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝溶液(PBS)ならびにグルコース、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、およびこれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が包含される。
【0173】
非経口製剤で使用される薬学的に許容できる担体には、水性媒体、非水性媒体、抗菌剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化剤および分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤ならびに他の薬学的に許容できる物質が包含される。
【0174】
水性媒体の例には、塩化ナトリウム液、リンガー液、等張性デキストロース液、無菌水液、デキストロースおよび乳酸リンガー液が包含される。非水性非経口媒体には、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油および落花生油が包含される。静菌または静真菌濃度の抗菌剤が、多回投与用容器に包装される非経口製剤には添加されるべきであり、これには、フェノールまたはクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンズアルコニウムならびに塩化ベンゼトニウムが包含される。等張化剤には、塩化ナトリウムおよびデキストロースが包含される。緩衝剤には、リン酸塩およびクエン酸塩が包含される。抗酸化剤には、重硫酸ナトリウムが包含される。局所麻酔剤には、塩酸プロカインが包含される。懸濁化剤および分散剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが包含される。乳化剤には、Polysorbate80(Tween80)が包含される。金属イオンの金属イオン封鎖剤およびキレート剤にはEDTAが包含される。薬学的担体はまた、水混和性媒体用のエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびにpH調節のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸を包含する。
【0175】
薬学的に活性な化合物の濃度を調節して、注射が所望の薬理学的効果をもたらすのに有効な量を提供するようにする。正確な用量は、当業者に知られているように、患者または動物の年齢、体重および状態に左右される。
【0176】
単位用量非経口製剤をアンプル、バイアルまたは針を備えたシリンジに包装する。非経口投与用の製剤は全て、当分野で知られていて実施されているように無菌でなければならない。
【0177】
実例では、活性成分を含有する無菌水溶液の静脈内または動脈内注射が、有効な投与方法である。他の実施形態は、所望の薬理学的効果をもたらすために必要に応じて注射される活性物質を含有する無菌水性もしくは油性溶液または懸濁液である。
【0178】
注射可能液は、局所および全身投与のために設計される。一実施形態では、治療有効用量を、治療される組織に対して少なくとも約0.1%w/wから約90%w/w以上、他の実施形態では1%w/wより高い濃度の活性化合物を含有するように製剤する。活性成分を1回で投与することができるか、または複数のより小さな用量に分割して、時間を空けて投与することができる。治療の正確な用量および期間は、治療される組織に関しており、知られている試験プロトコルを使用して経験的に、またはin vivoまたはin vitro試験データからの外挿により決定することができることが理解される。濃度および用量値もまた、治療される個人の年齢に伴って変動しうることを特記する。さらに、任意の特定の対象では、個々の必要および製剤を投与するか、または投与を監督する人の専門的な判断に従って、特定の用量計画を時間にわたって調節すべきであり、本明細書で記載された濃度範囲は、例示にすぎず、請求されている製剤の範囲または実施を制限することは意図されていないことを理解すべきである。
【0179】
化合物を超微粉砕されているか、他の適切な形態で懸濁するか、または誘導体化して、より溶解性な活性生成物を生じさせるか、もしくはプロドラッグを生じさせることができる。生じる混合物の形態は、所定の投与方法および選択された担体または媒体への化合物の溶解性を包含するいくつかのファクターに左右される。有効な濃度は、状態の症状を改善するのに十分であり、経験的に決定することができる。
【0180】
4.凍結乾燥粉末
本明細書では、溶液、エマルションまたは他の混合物として投与するために再構成することができる凍結乾燥粉末も該当する。これらはまた、再構成し、固体またはゲルとして製剤することもできる。
【0181】
無菌凍結乾燥粉末としてのスルホンアミドナトリウム塩の製剤を、本明細書では提供する。これらの粉末は、中性スルホンアミドの製剤よりも高い安定性を有することが判明した。
【0182】
無菌凍結乾燥粉末を、単一多形体をデキストロースまたは他の適切な賦形剤を含有するリン酸ナトリウム緩衝液に溶かすことにより調製する。後続の溶液の無菌濾過、続く、当業者に知られている標準的な条件下での凍結乾燥により、所望の製剤が得られる。簡略に、一実施形態では、凍結乾燥粉末を、デキストロース、ソルビタール、フルクトース、トウモロコシシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたは他の適切な薬剤約1〜20%、他の実施形態では約5から15%をほぼ中性pHなどのクエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはカリウムまたは当業者に知られている他のこのような緩衝液などの適切な緩衝剤に溶かすことにより調製する。次いで、選択された塩、例えばスルホンアミドのナトリウム塩(緩衝液10〜100gm当たり塩約1gm、一実施形態では約1gm/30gm)を生じた混合物に、一実施形態では室温より上で、他の実施形態では約30〜35℃で加え、溶けるまで攪拌する。生じた混合物を、さらなる緩衝液を加えることにより希釈する(生じる塩濃度が約10〜50%、一実施形態では約15〜25%低下するように)。生じた混合物を無菌濾過するか、粒子状物質を除去し、無菌を保証するように処理し、凍結乾燥のためのバイアルに配分する。各バイアルは、スルホンアミド塩の単回用量(一実施形態では100〜500mg、他の実施形態では250mg)または多回用量を含有する。凍結乾燥粉末を約4℃から室温までなどの適切な条件下に貯蔵することができる。例示的手順の詳細は、実施例に記載する。
【0183】
注射のために水を用いてこの凍結乾燥粉末を再構成することにより、化合物の非経口投与で使用するための製剤が得られる。一実施形態では、無菌水または他の適切な担体1mL当たり、再構成約1〜50mg、他の実施形態では5〜35mg、他の実施形態では約9〜30mgを加える。正確な量は、治療される適応症および選択される化合物に左右される。このような量は、経験的に決定することができる。
【0184】
一実施形態では、製剤は、本明細書で提供される単一の多形体を含有する凍結乾燥固体を含有し、また、次のうちの1種または複数を含有する
リン酸またはクエン酸ナトリウムまたはカリウムなどの緩衝剤;
LABRASOL、DMSO、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、エタノール、プロピレングリコール(PG)またはポリビニルピロリジン(PVP)などの可溶化剤;および
ソルビトールまたはデキストロースなどの糖。
【0185】
他の実施形態では、製剤は、本明細書で提供される単一の多形体;リン酸またはクエン酸ナトリウムまたはカリウムなどの緩衝剤;およびソルビトールまたはデキストロースなどの糖を含有する。
【0186】
他の実施形態では、製剤は、本明細書で提供される単一の多形体;リン酸ナトリウム緩衝液;およびデキストロースを含有する。
【0187】
5.局所投与
局所混合物を、局部および全身投与に関して記載されているように調製する。生じる混合物は、溶液、懸濁液、エマルションなどであってよく、クリーム、ゲル、軟膏、エマルション、液剤、エリキシル、ローション、懸濁剤、チンキ、ペースト、フォーム、エアロゾル、潅注剤、スプレー、坐剤、包帯、皮膚パッチまたは局所投与に適している任意の他の製剤として製剤することができる。
【0188】
多形体は、吸入などによる局所投与のためのエアロゾルとして製剤することができる(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドを輸送するためのエアロゾルを記載している米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号および同第4,364,923号参照)。気道に投与するためのこれらの製剤は、ネブライザーのためのエアロゾルまたは溶液の形態であるか、単独か、ラクトースなどの不活性担体と組み合わされている吸入のための極微小粉末としてであってよい。このような場合、製剤の粒子は典型的には、50ミクロン未満、他の場合には10ミクロン未満の直径を有する。
【0189】
多形体は、ゲル、クリームおよびローションの形態で眼などへの皮膚および粘膜に局所適用するためなどの局部または局所適用のために、および眼への適用のために、または槽内または脊髄内適用のために製剤することができる。局所投与は、経皮輸送のために、また眼または粘膜投与のために、または吸入療法のために企図されている。単独または他の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせた活性化合物の鼻溶液もまた、投与することができる。
【0190】
これらの溶液、特に眼使用が意図されているものは、0.01%〜10%等張液、pH約5〜7として適切な塩を用いて製剤することができる。
【0191】
6.他の投与経路のための製剤
治療される状態に応じて、局所投与、経皮パッチ、直腸投与などの他の投与経路もまた、本明細書では企図されている。
【0192】
例えば、直腸投与のための薬学的剤形は、全身作用のための直腸坐剤、カプセルおよび錠剤である。本明細書で使用される直腸坐剤は、体温で溶融または軟化して1種または複数の薬理学的または治療活性成分を放出する直腸に挿入するための固体を意味している。直腸坐剤で利用される薬学的に許容できる物質は、基剤または媒体および融点を上げるための薬剤である。基剤の例には、カカオバター(カカオ脂)、グリセリン−ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)ならびに脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリグリセリドの適切な混合物が包含される。様々な基剤の組合せを使用することができる。坐剤の融点を上げるための薬剤には、鯨ろうおよびろうが包含される。圧縮法または成形により、直腸坐剤を調製することができる。一実施形態では、直腸坐剤の重量は、約2から3gmである。
【0193】
直腸投与のための錠剤およびカプセルを、経口投与を製剤するのと同じ薬学的に許容できる物質を使用して、同じ方法により製造する。
【0194】
7.製品
多形体を、包装材料、包装材料内に、エンドセリンの作用に拮抗するか、エンドセリン仲介障害の症状を改善するか、エンドセリンペプチドとET受容体との結合を約10p.m.未満のIC50で阻害するのに有効な本明細書に提供されている多形体および多形体がエンドセリンの作用に拮抗するか、エンドセリン仲介障害を治療するか、エンドセリンペプチドとET受容体との結合を阻害するのに使用されることを示すラベルを含有する製品として包装することができる。
【0195】
本明細書で提供される製品は、包装材料を含有する。医薬製品の包装において使用するための包装材料は、当業者によく知られている。例えば、米国特許第5,323,907号、同第5,052,558号および同第5,033,352号参照。医薬用包装材料の例には、これらに限られないが、ブリスターパック、ボトル、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、コンテナ、シリンジ、ボトルおよび、選択された製剤ならびに所定の投与方法および治療に適した任意の包装材料が包含される。本明細書で提供される化合物および組成物の幅広い一連の製剤は、エンドセリン受容体が症状または原因に対する仲介体または一因として関与している任意の障害の様々な治療として企図されている。
【0196】
F.N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)−アミノスルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドの多形体の使用方法
多形体A、CおよびE型のN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミドは、エンドセリン仲介疾患の治療において有用である。これらの治療は、有効量のA、CまたはE型を対象に投与することを内包し、ここで、有効量は、疾患の症状のうちの1つまたは複数を改善するために十分である。
【0197】
多形体A、CおよびEは、高血圧、心臓血管疾患、心筋梗塞を包含する心臓疾患、肺高血圧、新生児肺高血圧、エリスロポイエチン高血圧、喘息を包含する呼吸器疾患および炎症性疾患、気管支収縮、緑内障および不適切な網膜血流量を包含する眼科疾患、胃腸疾患、腎不全、内毒素ショック、月経障害、産科状態、創傷、蹄葉炎、勃起不全、月経閉鎖、骨粗鬆症および代謝性骨障害、顔面紅潮、異常な凝固パターン、泌尿不快感および心臓血管疾患の高い発生率ならびに中年女性での卵巣機能の低下に関連する他の障害を包含する更年期障害、子癇前症、妊娠中の分娩制御および管理、酸化窒素減衰障害、アナフィラキシーショック、出血性ショックおよび免疫抑制薬仲介腎臓血管収縮を治療するために有効である。
【0198】
多形体A、CおよびEはまた、エンドセリンペプチドとエンドセリン(ET)またはエンドセリン(ET)受容体との結合を阻害するために有用である。この阻害は、受容体と多形体A、CもしくはEまたはその薬学的に許容できる誘導体のいずれかとを接触させることを内包し、ここで、接触は、受容体とエンドセリンペプチドとの接触前、それと同時またはその後である。
【0199】
多形体A、CおよびEは、エンドセリン受容体仲介活性を変更するために有用である。この変更は、エンドセリン受容体と多形体A、CまたはEのいずれかとを接触させることを内包する。
【0200】
G.併用療法
本明細書で提供される方法では、多形体または多形体の混合物を例えば単独で、1種もしくは複数の他のエンドセリンアンタゴニストと、または拡張期心不全の治療に有用な他の化合物もしくは療法と組み合わせて使用することができる。例えば、製剤を、米国特許第6,432,994号、同第6,683,103号、同第6,686,382号、同第6,248,767号、同第6,852,745号、同第5,783,705号、同第5,962,490号、同第5,594,021号、同第5,571,821号、同第5,591,761号、同第5,514,691号に記載されている化合物などのエンドセリン受容体の活性を変調することが知られている他の化合物と組み合わせて投与することができる。いくつかの他のエンドセリンアンタゴニストは、前記の文献に記載されている。
【0201】
本明細書で提供される多形体は、当分野で知られているエンドセリンアンタゴニストと組み合わせて使用することができ、これらに限られないが、Streptomyces misakiensisの発酵産物、環式ペンタペプチド、シクロ(D−Glu−L−Ala−allo−D−lle−L−Leu−D−Trp)であるBE−18257Bと称するシクロ(D−Asp−Pro−D−Val−Leu−D−Trp)(BQ−123)などのBE−18257Bに関連する環式ペンタペプチド(イシカワらに付与された米国特許第5,114,918号参照、また、万有製薬株式会社に付与されたEPA1 0436189(1991年10月7日)参照)が包含され、他のペプチドおよび非ペプチドETAアンタゴニストが例えば、米国特許第6,432,994号、同第6,683,103号、同第6,686,382号、同第6,248,767号、同第6,852,745号、同第5,783,705号、同第5,962,490号、同第5,594,021号、同第5,571,821号、同第5,591,761号、同第5,514,691号、同第5,352,800号、同第5,334,598号、同第5,352,659号、同第5,248,807号、同第5,240,910号、同第5,198,548号、同第5,187,195号、同第5,082,838号、同第6,953,780号、同第6,946,481号、同第6,852,745号、同第6,835,741号、同第6,673,824号、同第6,670,367号および同第6,670,362号で同定されている。これらには、他の環式ペンタペプチド、アシルトリペプチド、ヘキサペプチド類似体、ある種のアントラキノン誘導体、インダンカルボン酸、ある種のN−ピリミニルベンゼンスルホンアミド、ある種のベンゼンスルホンアミドおよびある種のナフタレンスルホンアミドが包含される(ナカジマら(1991年)J.Antibiot.44:1348〜1356、ミヤタら(1992年)J.Antibiot.45:74〜8、イシカワら(1992年)J Med.Chem.35:2139〜2142、イシカワらに付与された米国特許第5,114,918号、EPA1 0569193、EPA1 0558258、万有製薬株式会社に付与されたEPA1 0436189(1991年10月7日)、カナダ特許出願第2,067,288号、カナダ特許出願第2,071,193号、米国特許第5,208,243号、米国特許第5,270,313号、米国特許第5,612,359号、米国特許第5,514,696号、米国特許第5,378,715号、Codyら(1993年)Med.Chem.Res.3:154〜162、ミヤタら(1992年)J.Antibiot 45:1041〜1046、ミヤタら(1992年)J.Antibiot 45:1029〜1040、フジモトら(1992年)FEBS Lett.305:41〜44、Oshashiら(1002)J Antibiot 45:1684〜1685、EPA1 0496452、Clozelら(1993年)Nature 365:759〜761、国際特許出願WO93/08799、ニシキベら(1993年)Life Sci 52:717〜724およびBenigniら(1993年)Kidney Int.44:440〜444)。また、エンドセリンペプチドアンタゴニストである多数のスルホンアミドが、米国特許第5,464,853号、同第5,594,021号、同第5,591,761号、同第5,571,821号、同第5,514,691号、同第5,464,853号、国際PCT出願第96/31492号および国際PCT出願第WO97/27979号に記載されている。ある種の実施形態では、多形体を、シタキセンタン、ボセンタンまたはアンブリセンタンと組み合わせて投与することができる。
【0202】
その全体が参照により本明細書に援用される次の文献に記載されているさらなるエンドセリンアンタゴニストは、本明細書で提供される多形体と組み合わせて使用するために企図されるものの例示である:米国特許第5,420,123号、米国特許第5,965,732号、米国特許第6,080,774号、米国特許第5,780,473号、米国特許第5,543,521号、WO96/06095、WO95/08550、WO95/26716、WO96/11914、WO95/26360、EP601386、EP633259、米国特許第5,292,740号、EP510526、EP526708、WO93/25580、WO93/23404、WO96/04905、WO94/21259、GB2276383、WO95/03044、EP617001、WO95/03295、GB2275926、WO95/08989、GB2266890、EP496452、WO94/21590、WO94/21259、GB2277446、WO95/13262、WO96/12706、WO94/24084、WO94/25013、米国特許第5,571,821号、WO95/04534、WO95/04530、WO94/02474、WO94/14434、WO96/07653、WO93/08799、WO95/05376、WO95/12611、ドイツ特許第4341663号、WO95/15963、WO95/15944、EP658548、EP555537、WO95/05374、WO95/05372、米国特許第5,389,620号、EP628569、JP6256261、WO94/03483、EP552417、WO93/21219、EP436189、WO96/11927、JP6122625、JP7330622、WO96/23773、WO96/33170、WO96/15109、WO96/33190、米国特許第5,541,186号、WO96/19459、WO96/19455、EP713875、WO95/26360、WO96/20177、JP7133254、WO96/08486、WO96/09818、WO96/08487、WO96/04905、EP733626、WO96/22978、WO96/08483、JP8059635、JP7316188、WO95/33748、WO96/30358、米国特許第5,559,105号、WO95/35107、JP7258098、米国特許第5,482,960号、EP682016、GB2295616、WO95/26957、WO95/33752、EP743307およびWO96/31492、列挙されている文献に記載されている次の化合物:BQ−123(Ihara,M.ら、「Biological Profiles of Highly Potent Novel Endothelin Antagonists Selective for the ETA Receptor」、Life Sciences Vol.50(4)pp.247〜255(1992年))、PD156707(Reynolds,E.ら、「Pharmacological Characterization of PD 156707,an Orally Active ETA Receptor Antagonist」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.273(3)、pp.1410〜1417(1995年))、L−754142(Williams,D.L.ら、「Pharmacology of L−754142,a Highly Potent,Orally Active,Nonpeptidyl Endothelin Antagonist」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.275(3)、pp.1518〜1526(1995年))、SB 209670(Ohlstein,E.H.ら、「SB 209670,a rationally designed potent nonpeptide endothelin receptor antagonist」、Proc.Natl Acad.Sci USA、Vol.91、pp.8052〜8056(1994年))、SB 217242(Ohlstein,E.H.ら、「Nonpeptide Endothelin Receptor Antagonists.VI Pharmacological Characterization of SB 217242,A Potent and Highly Bioavailable Endothelin Receptor Antagonist」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.276(2)、pp.609〜615(1996年))、A−127722(Opgenorth,T.J.ら、「Pharmacological Characterization of A−127722:An Orally Active and Highly Potent E.sub.TA−Selective Receptor Antagonist」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.276(2)、pp.473〜481(1996年))、TAK−044(Masuda,Y.ら、「Receptor Binding and Antagonist Properties of a Novel Endothelin Receptor Antagonist,TAK−044{Cyclo[D−α−Aspartyl−3−[(4−Phenylpiperazin−1−yl)Carbonyl]−L−Alanyl−L−α−Aspartyl−D−2−(2−Thienyl)Glycyl−L−Leucyl−D−Tryptophyl]Disodium Salt},in Human EndothelinA and EndothelineB Receptors」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.279(2)、pp.675〜685(1996年)),ボセンタン(Ro47−0203、Clozel,M.,ら、「Pharmacological Characterization of Bosentan,A New Potent Orally Active Nonpeptide Endothelin Receptor Antagonist」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、Vol.270(1)、pp.228〜235(1994年))など。
【0203】
本明細書で提供される多形体はまた、他の群の化合物と組み合わせて投与することができる。本明細書で組み合わせるための化合物の例示的な群には、ホスホラミドンなどのエンドセリン変換酵素(ECE)阻害剤;イフェトロバンなどのトロンボキサン受容体アンタゴニスト;カリウムチャンネル開放剤;トロンビン阻害剤(例えばヒルジンなど);PDGF活性の調節剤などの成長因子阻害剤;血小板活性因子(PAF)アンタゴニスト;GPIIb/IIIa遮断薬(例えば、アブドキシマブ(abdximab)、エプチフィバチドおよびチロフィバン)、P2Y(AC)アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジンおよびCS−747)およびアスピリンなどの抗血小板剤;ワルファリン、エノキサパリンなどの低分子量ヘパリン、第VIIa因子阻害剤および第Xa因子阻害剤、レニン阻害剤などの抗凝血剤;カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、セラナプリル(ceranapril)、アラセプリル、エナラプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリルおよびこのような化合物の塩などのアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;オマパトリラートおよびゲモパトリラート(gemopatrilat)などのバソペプシダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(二重NEP−ACE阻害剤);プラバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シムバスタチン、NK−104(イタバスタチンまたはニスバスタチンもしくはニスバスタチンとしても知られている)およびZD−4522(ロスバスタチン、またはアタバスタチンまたはビサスタチンとしても知られている)などのHMG CoAレダクターゼ阻害剤;スクアレンシンセターゼ阻害剤;フィブレート;ケストラン(questran)などの胆汁酸金属イオン封鎖剤;ナイアシン;ACAT阻害剤などの抗アテローム剤;MTP阻害剤;アムロジピンベシレートなどのカルシウムチャンネル遮断薬;カリウムチャンネル活性化剤;カルベジロールおよびメトプロロールなどのα−アドレナリン作動剤、β−アドレナリン作動剤;抗不整脈剤;クロロスラジド(chlorothlazide)、ヒドロキオロチアジド(hydrochiorothiazide)、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリキオロメチアジド(trichioromethiazide)、ポリチアジドまたはベンゾスラジド(benzothlazide)、さらにエタクリン酸、トリクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、フロセニルド(furosenilde)、ムソリミネ(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン、アミロリドおよびスピロノラクトンならびにこのような化合物の塩などの利尿剤;組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、組換えtPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナーゼおよびアニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体(APSAC)などの血栓溶解剤;ビグアニド(例えばメトホルミン)、グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース)、インスリン、メグリチニド(例えばレパグリニド)、スルホニル尿素(例えばグリメピリド、グリブリドおよびグリピジド)、チオゾリジンジオン(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)およびPPAR−ガンマアゴニストなどの抗糖尿病剤;スピロノラクトンおよびエプレレノンなどのミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト;成長ホルモン分泌促進物質;aP2阻害剤;アスピリンおよびイブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS);PDE III阻害剤(例えばシロスタゾール)およびPDE V阻害剤(例えばシルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル)などのホスホジエステラーゼ阻害剤;タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤;抗炎症薬;メトトレキセート、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノレートおよびモフェチルなどの抗増殖剤;化学療法薬;免疫抑制剤;抗癌剤および細胞毒剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、エチレンイミンおよびトリアゼンなどのアルキル化剤);葉酸アンタゴニスト、プリン類似体およびピリジン類似体などの代謝拮抗物質;アンスラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシンおよびプリカマイシンなどの抗生物質;L−アスパラギナーゼなどの酵素;ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;グルココルチコイド(例えばコルチゾン)、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲスチンおよび黄体化ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、オクトレオチドアセテートなどのホルモン剤;エクテイナシジン(ecteinascidins)またはその類似体および誘導体などの微小管破壊剤;パクリタクセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))およびエポチロンA−Fまたはそれらの類似体もしくは誘導体などの微小管安定剤;ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、タキサンなどの植物由来産物;およびトポイソメラーゼ阻害剤;プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;およびヒドロキシ尿素、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、シスプラチン、サトラプラチンおよびカルボプラチンなどの白金配位錯体などの雑多な薬剤;シクロスポリン;プレドニゾンまたはデキサメタゾンなどのステロイド;金化合物;アザチプリンおよびシクロホスファミドなどの細胞毒剤;テニダプなどのTNF−α阻害剤;エタネルセプト(Enbrel)ラパマイシン(シロリムスまたはRapamune)、レフルニミド(leflunimide、Arava)などの抗TNF抗体または可溶性TNF受容体;およびセレコキシブ(Celebrex)およびロフェコキシブ(Vioxx)などのシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)が包含される。
【0204】
前記の他の治療剤を例えば、Physicians’Desk Reference(PDR)に示されているか、または通常の当業者が別段に決定するような量で使用することができる。
【0205】
次の実施例は、例示の目的のためにのみ包含されており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0206】
(実施例1)
A型の調製
エタノール20リットルを、反応器中に含有されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド5キログラムに加え、75℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで攪拌した。溶液を濾過し、75℃および大気圧で体積を約25%低減した。溶液を30分にわたって45℃に冷却し、この温度で30分間保持した。固体が出現した後に、溶液を2時間にわたって5℃に冷却し、この温度で一晩保持した。溶液を濾過すると、A型の固体が収率90%で得られた。
【0207】
(実施例2)
A型の調製
エタノール20リットルを、反応器中に含有されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド5キログラムに加え、75℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで攪拌した。溶液を濾過し、75℃および大気圧で体積を約25°低減した。溶液を30分にわたって45℃に冷却し、A型の種結晶を加えた。固体が出現した後に、溶液を2時間にわたって5℃に冷却し、この温度で一晩保持した。溶液を濾過すると、A型の固体が収率90%で得られた。
【0208】
(実施例3)
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド1.0gをEtOAc5mLに懸濁させ、透明な溶液が得られるまで還流で加熱した。溶液を室温に冷却したが、その間に、オフホワイト色の固体が形成した。固体を濾過により集め、冷EtOAcで洗浄し、真空乾燥させると、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド多形体A0.75gが得られた。
【0209】
(実施例4)
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル]−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド1.0gをEtOAc10mLに懸濁させ、透明な溶液が得られるまで還流で加熱した。まだ温かいヘキサン5mlを加え、まだ透明な溶液を室温に冷却するが、その間に、オフホワイト色の固体が形成した。固体を濾過により集め、冷EtOAcで洗浄し、真空乾燥させると、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド多形体A0.84gが得られた。
【0210】
(実施例5)
N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド1.0gをEtOAc10mLに懸濁させ、透明な溶液が得られるまで還流で加熱した。まだ温かいヘキサン10mlを加え、まだ透明な溶液を室温に冷却するが、その間に、オフホワイト色の固体が形成した。固体を濾過により集め、冷EtOAcで洗浄し、真空乾燥させると、N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド多形体A0.83gが得られた。
【0211】
(実施例6)
C型の調製
エタノール20リットルを、反応器中に含有されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{((3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ)スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド5キログラムに加え、75℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで攪拌した。溶液を濾過し、75℃および大気圧で体積を約25%低減した。溶液を30分にわたって45℃に冷却し、この温度で30分間保持した。固体が出現した後に、溶液を2時間にわたって5℃に冷却し、この温度で一晩保持した。溶液を濾過すると、C型の固体が収率90%で得られた。
【0212】
(実施例7)
E型の調製
エタノール20リットルを、反応器中に含有されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{((3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ)スルホニル)−2−チオフェンカルボキサミド5キログラムに加え、75℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで攪拌した。溶液を濾過し、75℃および大気圧で体積を約25%低減した。溶液を30分にわたって75℃から5℃に冷却し、この温度で一晩保持した。溶液を濾過すると、E型の固体が収率90%で得られた。
【0213】
(実施例8)
E型の調製
エタノール20リットルを、反応器中に含有されているN−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{((3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ)スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド5キログラムに加え、75℃に加熱し、透明な溶液が得られるまで攪拌した。溶液を濾過し、75℃および大気圧で体積を約25%低減した。溶液を30分にわたって75℃から45℃に冷却した。何らかの固体が出現する前に、この溶液の試料を反応器から取り出し、迅速に5℃で冷却し、固体化させたが、これにより、E型の種結晶が形成した。溶液を次いで5℃に冷却し、E型種結晶を反応器に入れた。溶液を5℃で一晩保持した。溶液を濾過すると、E型の固体が収率90%で得られた。
【0214】
変更は、当業者には明らかであるので、本発明は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多形体Cの形態である化合物N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド。
【請求項2】
多形体Cの量が、約80%を超える、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
多形体Cの量が、約85%を超える、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
多形体Cの量が、約90%を超える、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
多形体Cの量が、約95%を超える、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
多形体Cの量が、約98%を超える、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
多形体Cの量が、約99%を超える、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
多形体Cの量が、約100%である、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
前記多形体Cが、約7.56、15.02および25.74でのXRPDパターンにおけるピークにより特徴づけられる、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記多形体Cが、約14.54、15.96、16.4、19.04および21.24でのXRPDパターンにおけるピークによりさらに特徴づけられる、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記多形体Cが、約3241(ブロード)、1684、1657、1525、1402、1293、1140、1017、927(ブロード)、916、896、873−、784、775、746−、728、706、680、653、580および513cm−1での臭化カリウム中での赤外吸収スペクトルにおけるピークにより特徴づけられる、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
前記多形体Cが、約3083、2928、1684、1654、1462および1291cm−1でのラマン吸収スペクトルにおけるピークにより特徴づけられる、請求項1から11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載のC型を製造する方法であって、
前記化合物を温エタノールに溶かして、飽和溶液を得るステップと、
前記飽和溶液を徐々に冷却して、固体沈澱物を得るステップとを含む方法。
【請求項14】
前記エタノールを約75℃に加熱する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記飽和溶液を約45℃に冷却した、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記飽和溶液を約5℃にさらに冷却した、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
多形体Eの形態である化合物N−(2−アセチル−4,6−ジメチルフェニル)−3−{[(3,4ジメチル−5−イソオキサゾリル)アミノ]スルホニル}−2−チオフェンカルボキサミド。
【請求項18】
多形体Eの量が、約80%を超える、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
多形体Eの量が、約90%を超える、請求項16から18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
多形体Eの量が、約95%を超える、請求項17から19のいずれかに記載の化合物。
【請求項21】
多形体Eの量が、約98%を超える、請求項17から20のいずれかに記載の化合物。
【請求項22】
多形体Eの量が、約99%を超える、請求項17から21のいずれかに記載の化合物。
【請求項23】
多形体Eの量が、約100%である、請求項17から22のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
前記多形体Eが、約10.54、14.66、22.44および23.82でのXRPDパターンにおけるピークにより特徴づけられる、請求項17から23のいずれかに記載の化合物。
【請求項25】
前記多形体Eが、約16.2、20.04および24.82でのXRPDパターンにおけるピークによりさらに特徴づけられる、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記多形体Eが、約3271(ブロード)、3005、2982、1659、1649および1429での臭化カリウム中での赤外吸収スペクトルにおけるピークにより特徴づけられる、請求項16から25のいずれかに記載の化合物。
【請求項27】
前記多形体Eが、約3131、2924、1659、1419および1304でのラマン吸収スペクトルにおけるピークにより特徴づけられる、請求項17から26のいずれかに記載の化合物。
【請求項28】
請求項17から27のいずれかに記載のE型を製造する方法であって、
前記化合物を温エタノールに溶かして、飽和溶液を得るステップと、
前記飽和溶液を迅速に冷却して、固体沈澱物を得るステップを含む方法。
【請求項29】
前記エタノールを約75℃に加熱する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記飽和溶液を約5℃に冷却した、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記飽和溶液を約75℃から約5℃に約30分で冷却した、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
エンドセリン仲介疾患を治療、予防または改善する方法であって、対象に有効量の請求項1から12および17から27のいずれかに記載の化合物を投与することを含み、ここで、前記有効量は、前記疾患の1つまたは複数の症状を改善するのに十分である方法。
【請求項33】
前記疾患が、高血圧、心臓血管疾患、心筋梗塞を包含する心臓疾患、肺高血圧、新生児肺高血圧、エリスロポイエチン仲介高血圧、喘息を包含する呼吸器疾患および炎症性疾患、気管支収縮、緑内障および不適切な網膜血流量を包含する眼科疾患、胃腸疾患、腎不全、内毒素ショック、月経障害、産科状態、創傷、蹄葉炎、勃起不全、月経閉鎖、骨粗鬆症−および代謝性骨障害、顔面紅潮、異常な凝固パターン、泌尿不快感および心臓血管疾患の高い発生率ならびに中年女性での卵巣機能の低下に関連する他の障害を包含する更年期障害、子癇前症、妊娠中の分娩制御および管理、酸化窒素減衰障害、アナフィラキシーショック、出血性ショック、ならびに免疫抑制薬仲介腎臓血管収縮からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患が肺高血圧である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
エンドセリンペプチドとエンドセリンA(ETA)またはエンドセリンB(ETB)受容体との結合を阻害する方法であって、前記受容体を請求項1から12および17から27のいずれかに記載の多形体またはその薬学的に許容できる誘導体と接触させるステップを含み、ここで、
前記接触を、前記受容体をエンドセリンペプチドと接触させる前、それと同時またはその後に行う方法。
【請求項36】
エンドセリン受容体仲介活性を変更する方法であって、エンドセリン受容体を請求項1から12および17から27のいずれかに記載の多形体と接触させるステップを含む方法。
【請求項37】
有効量の請求項1から12および17から27のいずれかに記載の多形体を薬学的に許容できる担体中に含み、ここで、前記量は、エンドセリン仲介疾患の症状を改善するのに有効である医薬組成物。
【請求項38】
単回または多回用量投与のために製剤されている、請求項33に記載の組成物。
【請求項39】
包装材料および前記包装材料内に含有される請求項1から12および17から27のいずれかに記載の化合物を含み、ここで、前記多形体は、エンドセリン仲介障害の症状を治療、予防または改善するのに有効であり、前記包装材料は、前記化合物がエンドセリン仲介障害を治療、予防または改善するために使用されることを示すラベルを包含する製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2010−501477(P2010−501477A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523788(P2009−523788)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/017356
【国際公開番号】WO2008/019072
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(508339666)エンサイシブ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】