説明

N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩及びその調製

本明細書において、式(I)のN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩、例えば、クエン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、及びエジシル酸塩を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は医学及び化学の分野に関する。より詳細には、本発明は、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)−フェニルメチル)カルバミド、その塩、並びにそれらの合成及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連技術の記載]
国際公開第01/66521号は、N−アザシクロアルキル−N−アラルキルカルバミド及びカルボン酸アミドを記載しており、これらは、5−HT2Aサブクラスのセロトニン受容体を含むモノアミン受容体の活性を阻害するのに効果的な新種の化合物を構成する。当該化合物が使用される病状の例としては、統合失調症及び関連特発性精神病等の神経精神病;うつ病;不安神経症;睡眠障害;食欲不振;大うつ病、双極性障害、精神病性特徴を伴ううつ病及びツレット症候群等の情動障害が挙げられるが、これらに限定されない。他の有益な治療は、薬物性精神病及びパーキンソン病の副作用;並びにアルツハイマー病又はハンチントン病等の神経変性障害、高血圧、偏頭痛、血管痙攣、虚血に続発する精神病;並びに、様々な血栓状態(心筋梗塞、血栓発作又は虚血発作、特発性血小板減少性紫斑病及び血栓性血小板減少性紫斑病、並びに抹消血管疾患を含む)の一次治療及び二次予防であり得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書中に開示される一実施形態は、式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩であって、
【化1】

リン酸、硫酸、硝酸、二リン酸、重炭酸、炭酸、クラブラン酸、イソチオン酸、ホウ酸、ハライド、硝酸、酢酸、コハク酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、安息香酸、メシル酸、サリチル酸、ステアリン酸、タンニン酸、トシル酸、吉草酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−エタンジスルホン酸、及びナフタレンスルホン酸から成る群より選択されるアニオンを含む、塩を含む。いくつかの実施形態では、アニオンが、クエン酸、フマル酸、
マレイン酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸、硫酸、及びエジシル酸から成る群より選択される。一実施形態では、アニオンが、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸、及び硫酸から成る群より選択される場合、化学量論は1:1であり、アニオンが、エジシル酸及びフマル酸から成る群より選択される場合、化学量論は2:1である。一実施形態では、上記塩が式IVのクエン酸塩である。
【化2】

上記クエン酸塩の一実施形態は、約31.8、約15.9、約7.9、約6.3、約5.96、約5.23、及び約4.68のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0004】
別の実施形態では、上記塩が式Vのフマル酸塩である。
【化3】

【0005】
一実施形態において、上記フマル酸塩は、約21.7、約18.3、約15.7、約14.5、約12.6、約12.3、約10.9、約5.52、約4.72、及び約4.47のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。別の実施形態では、上記フマル酸塩は、約18.4、約15.7、約12.6、約9.2、約5.50、約4.93、約4.70、約4.51、約4.17、及び約4.06のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0006】
一実施形態では、上記塩が式VIのマレイン酸塩である。
【化4】

【0007】
一実施形態において、上記マレイン酸塩は、約13.0、約5.71、約5.24、約4.77、約4.37、及び約4.19のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0008】
別の実施の形態では、上記塩が式VIIのリンゴ酸塩である。
【化5】

【0009】
一実施形態において、上記リンゴ酸塩は、約13.1、約12.0、約5.35、約5.05、約4.83、約4.75、約4.71、約4.37、約4.29、約4.17、約4.00、約3.87、及び約3.83のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0010】
別の実施の形態では、上記塩が式VIIIのリン酸塩である。
【化6】

【0011】
一実施形態において、上記リン酸塩は、約17.3、約5.91、約4.80、約4.27、約4.14、及び約3.86のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0012】
別の実施の形態では、上記塩が式IXのコハク酸塩である。
【化7】

【0013】
一実施形態において、上記コハク酸は、約12.8、約7.6、約5.51、約5.19、約4.79、約4.16、及び約4.05のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0014】
別の実施の形態では、上記塩が式Xの硫酸塩である。
【化8】

【0015】
一実施の形態において、上記硫酸塩は、約17.0、約9.6、約5.49、約4.79、約4.65、約4.53、約4.30、約4.15、約4.04、及び約3.89のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0016】
別の実施の形態では、上記塩が式XIのエジシル酸塩(エタンジスルホン酸塩)である。
【化9】

【0017】
一実施の形態において、上記エジシル酸塩は、約10.0、約6.05、約5.31、約4.97、約4.68、約4.26、及び約4.12のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す。
【0018】
本明細書中に開示される別の実施の形態は、上記に開示される塩を製造する方法であって、
a)有機溶媒中の式Iの化合物の溶液を形成する工程;
b)クエン酸、フマル酸、マレイン酸、L−(−)−リンゴ酸、リン酸、コハク酸、硫酸又は1,2−エタンジスルホン酸から成る群より選択される酸を上記溶液に添加する工程;及び
c)上記塩を単離すること
を含む、方法を含む。一実施形態では、上記単離することは、工程b)の後に形成される懸濁液から上記塩を分離することを含む。別の実施形態では、上記単離することは、工程b)の後に形成される溶液から当該塩を、冷却、溶媒除去又は非溶媒の添加のうちの1つ以上によって析出させることを含む。
【0019】
本明細書中に開示される別の実施の形態では、式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩であって、
【化10】

a)有機溶媒中の式Iの化合物の溶液を形成する工程;
b)クエン酸、フマル酸、マレイン酸、L−(−)−リンゴ酸、リン酸、コハク酸、硫酸又は1,2−エタンジスルホン酸から成る群より選択される酸を上記溶液に添加する工程;及び
c)上記塩を単離すること
を含むプロセスによって生成される、塩。
【0020】
本明細書中に開示される別の実施の形態は、式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩を含む薬学的組成物を含み、
【化11】

該塩はリン酸、硫酸、硝酸、二リン酸、重炭酸、炭酸、クラブラン酸、イソチオン酸、ホウ酸、ハライド、硝酸、酢酸、コハク酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、安息香酸、メシル酸、サリチル酸、ステアリン酸、タンニン酸、トシル酸、吉草酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−エタンジスルホン酸、及びナフタレンスルホン酸から成る群より選択されるアニオンと、薬学的に許容可能な担体とを含む。
【0021】
本明細書中に開示されている別の実施の形態は、式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの少なくとも1つの塩を対象者に投与することを含む、神経精神病を治療する方法を含み、
【化12】

該塩はリン酸、硫酸、硝酸、二リン酸、重炭酸、炭酸、クラブラン酸、イソチオン酸、ホウ酸、ハライド、硝酸、酢酸、コハク酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、安息香酸、メシル酸、サリチル酸、ステアリン酸、タンニン酸、トシル酸、吉草酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−エタンジスルホン酸、及びナフタレンスルホン酸から成る群より選択されるアニオンを含む。一実施形態では、神経精神病は、精神病;統合失調症;分裂情動障害;躁病;精神病性うつ病;情動障害;認知症;不安神経症;睡眠障害;食欲不振;双極性障害;高血圧、偏頭痛、血管痙攣、及び虚血に続発する神経症;運動性チック;振せん
;精神運動遅延;動作緩慢;及び神経障害疼痛から成る群より選択される。
【0022】
本明細書中に開示される別の実施形態は、上記の少なくとも1つの塩を対象者に投与することを含む、モノアミン受容体の活性を阻害する方法を含む。
【0023】
本明細書中に開示される別の実施形態は、上記の少なくとも1つの塩を対象者に投与することを含む、神経変性疾患を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、神経変性疾患は、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮症、ツレット症候群、フリードライヒ運動失調症、マシャド・ジョセフ病、レービ小体型認知症、ジストニア、進行性核上麻痺、及び前頭側頭型認知症から成る群より選択される。
【0024】
本明細書中に開示される別の実施形態は、上記の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、ドーパミン作動性療法に関連するジスキネジアを治療する方法を含む。
【0025】
本明細書中に開示される別の実施形態は、上記の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、ドーパミン作動性療法に関連するジストニア、ミオクローヌス又は振せんを治療する方法を含む。
【0026】
本明細書中に開示される別の実施形態は、上記の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、血栓状態を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、血栓状態が、心筋梗塞、血栓発作又は虚血発作、特発性血小板減少性紫斑病及び血栓性血小板減少性紫斑病、抹消血管疾患、並びにレイノー病から成る群より選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
[好ましい実施形態の詳細な説明]
1つの有用なN−アザシクロアルキル−N−アラルキルカルバミドは、式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドである。
【化13】

【0028】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの合成
一実施形態では、式IIの化合物((4−フルオロベンジル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)アミン)と、式IIIの化合物(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル−イソシアネート)とを反応させることを含む、式(I)の化合物を合成する方法である。
【化14】

【化15】

【0029】
一実施形態では、4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル−イソシアネート1当量当たり、約0.9〜約1.1当量の(4−フルオロベンジル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)アミンを使用する。いくつかの実施形態によっては、得られる式Iの化合物をこの反応混合物から単離する。一実施形態では、塩形成酸を反応後に添加する。溶媒除去、析出、又は溶媒除去及び析出の両方によって、上記形成される塩を単離してもよく、その後、二相系の有機溶媒に溶解することによりアルカリ水性条件下で式Iの化合物を脱離(deliberation)し、且つ式Iの化合物を有機溶液から分離する。好ましい実施形態では、4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル−イソシアネート1当量当たり、1.0当量の(4−フルオロベンジル)−(1−メチルピペリジン−4−イル)アミンを反応に使用する。反応は、金属塩又はより好ましくは金属アルコキシレート等の触媒であるルイス酸の存在下で実行することができる。いくつかの例は、MgCl2、FeCl2、FeCl3、FeBr2、Fe(SO42、NiCl2、BCl3、AlCl3、BBr3、TiCl4、TiBr4、ZrCl4、BCl3、Al(O−C1−C4−アルキル)3、及びTi(O−C1−C4−アルキル)3である。触媒の量は、式IIの化合物に対して、約0.0001〜約5重量%、好ましくは約0.01〜約3重量%であり得る。
【0030】
反応は好ましくは、不活性有機溶媒、例えば、脂肪族エーテル(例えば、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン)、脂肪族カルボン酸若しくはアルコールのエステル(例えば、酢酸のC2〜C4アルキルエステル)、ラクトン(例えば、バレロラクトン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン若しくはトリクロロメタン、テトラクロロエタン)、又は脂肪族C3〜C8ケトン(例えば、アセトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、又はメチルi−ブチルケトン若しくはメチルt−ブチルケトン)の存在下で実行される。
【0031】
反応温度は好ましくは、約−30℃〜約60℃の範囲、より好ましくは約5℃〜約30℃の範囲である。反応時間は、オンライン処理分析によるか、又はオフラインで試料を回収すると共に分析することによるいずれかで、式II又は式IIIの化合物の消費をモニタリングすることによって制御され得る。
【0032】
式Iの化合物の単離は、約100℃まで、好ましくは約80℃までの低温減圧下での反応残留物の蒸留による溶媒除去を含む任意の好適な方法によって、実施できる。また、単
離は、溶媒の部分除去により濃度を上げ、不純物を濾過し、さらなる濃縮又は非溶媒(例えば脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン又は水))の添加のいずれかにより式Iの固体化合物を析出させ、この固体を濾過し、乾燥させることによっても可能である。単離された式Iの化合物は、蒸留法又はクロマトグラフ法等の既知の方法によって精製できる。
【0033】
単離前に形成された副生成物等の不純物の除去は、高純度の式Iの化合物を生成するのに好適な経路であることが見出された。さらに、カルバミドの塩を形成し、このカルバミドの塩を結晶化合物として析出し、その後溶媒から再結晶化して不純物を除去し得ることによって精製を効果的に改良し得ることが見出された。水への塩の溶解、塩基の添加、及び有機溶媒によるカルバミドの抽出によって、式Iの遊離カルバミドを脱離する。必要に応じて減圧下での蒸留による溶媒の除去前に、水及び含水塩化ナトリウムで有機溶液を洗浄してもよい。その後の二相系の使用の際に析出又は水への溶解によるこの方法で、不純物を除去してもよい。塩の析出が、濾過又は遠心分離による容易な単離に望まれる場合、有機溶媒の部分除去及び新たな溶媒の添加を実行してもよい。低い塩溶解性を有する好適な溶媒は、非プロトン性有機溶媒、例えば、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン、カルボン酸エステル及びラクトン、アセトニトリル、及び少なくとも炭素数が3のアルコールである。
【0034】
上記の反応の出発原料は、既知の方法及び類似の方法によって得ることができる。詳細には、式IIの化合物は、例えばスキーム
【化16】

に従って、金属水素化物の存在下でN−メチルピペリド−4−オンと、4−フルオロベンジルアミンとを反応させることによって得ることができる。
【0035】
式IIIの化合物は、4−ヒドロキシベンズアルデヒドと、イソブチルハロゲン化物(例えば、イソブチルブロミド)とを反応させて、4−イソブトキシベンズアルデヒドを生成することによって調製することができ、この4−イソブトキシベンズアルデヒドは、ヒドロキシルアミンによりアルドキシム型:
【化17】

に変換し得る。このオキシムは、パラジウム触媒による触媒作用により水素添加され、対応する4−イソブトキシベンジルアミンとなる。この4−イソブトキシベンジルアミンから、ホスゲンと反応させることにより式IIIのイソシアネートを得ることができる。
【0036】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩
幾つかの実施形態では、リン酸、硫酸、硝酸、二リン酸、重炭酸、炭酸、クラブラン酸、イソチオン酸、ホウ酸、ハライド、硝酸、酢酸、コハク酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラ
ウリン酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、安息香酸、メシル酸、サリチル酸、ステアリン酸、タンニン酸、トシル酸、吉草酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−エタンジスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸から成る群より選択されるアニオンを含む、N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩である。
【0037】
上記塩は、結晶固体として得られ得る。アニオンが、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸、又は硫酸である場合、塩は1:1の化学量論を有する。エジシル酸塩は、酸に対して遊離塩基が2:1の化学量論を示し、フマル酸塩もまたおそらく2:1の化学量論を有する。いくつかの実施形態では、上記塩は、水和物又は他の溶媒和物を形成し得る。具体的には、リンゴ酸塩及びコハク酸塩は水和物を形成し得ることがわかった。いくつかの実施形態では、上記塩の種々の多型形態が提供される。いくつかの実施形態では、塩はアモルファスである。
【0038】
一実施形態では、上記塩は式IVのクエン酸塩である。
【化18】

【0039】
一実施形態では、式IVのクエン酸塩の結晶形態を提供し、これは図1で示される粉末X線回折パターンを示し、以下、結晶性クエン酸塩と称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。31.8(vs)、15.9(m)、7.9(m)、6.9(w)、6.3(m)、5.96(m)、5.83(w)、5.23(m)、4.68(m)、4.56(m)、4.17(m)、4.05(w)、3.95(m)、3.91(m)、3.79(w)、3.49(w)、及び3.13(w)。括弧内の略字は、本明細書中では以下のように使用される。(vs)=極めて高い強度、(s)=高い強度、(m)=中程度の強度、(w)=低い強度、及び(vw)=極めて低い強度。様々な実施形態では、結晶性クエン酸塩が少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0040】
別の実施の形態は、式Vのフマル酸塩である。
【化19】

【0041】
一実施形態は、式Vのフマル酸塩の結晶形態を提供し、これは図2で示される粉末X線回折パターンを示し、以下、結晶性フマル酸塩形態Aと称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。21.7(m)、18.3(s)、15.7(s)、14.5(s)、12.6(s)、12.3(m)、10.9(w)、9.1(w)、6.8(w)、6.40(w)、5.87(w)、5.52(m)、5.26(m)、5.12(w)、4.72(s)、4.66(s)、4.51(m)、4.47(s)、4.24(m)、及び3.64(m)。様々な実施形態では、結晶性フマル酸塩Aが少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%以上の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0042】
結晶性フマル酸塩形態Aはまた、アモルファス及び/又は結晶性フマル酸塩Bとの混合物中に存在し得る。結晶性フマル酸塩Bは、図3で示される粉末X線回折パターンを示す。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。18.4(vs)、15.7(s)、12.6(vs)、10.0(w)、9.2(m)、6.8(m)、6.37(m)、6.12(m)、5.68(m)、5.50(vs)、5.13(m)、4.93(s)、4.70(s)、4.51(s)、4.39(m)、4.30(m)、4.17(s)、4.06(s)、3.88(m)、3.81(w)、3.66(m)、3.64(m)、及び3.42(m)。様々な実施の形態では、結晶性フマル酸塩形態Bが少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0043】
結晶性フマル酸塩形態Aは、1時間あたり約10〜100℃、より好ましくは1時間あたり約30〜60℃の冷却速度で急速結晶化し、懸濁液を約60℃から23±2℃又はそれ未満に冷却した直後に固形物を回収する手順で得られ得る。結晶性フマル酸塩形態Bは、1時間あたり1〜60℃、より好ましくは1時間あたり5〜20℃の冷却速度で低速結晶化し、続いて、得られた懸濁液を5℃〜40℃の温度で少なくとも1時間、最大60時間、より好ましくは23±2℃で約24時間攪拌する手順で得られ得る。
【0044】
別の実施の形態は、式VIのマレイン酸塩である。
【化20】

【0045】
一実施形態では、式VIのマレイン酸塩の結晶形態を提供し、これは図4で示される粉末X線回折パターンを示し、以下、結晶性マレイン酸塩と称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。17.1(w)、13.0(vs)、10.0(w)、8.6(w)、7.9(w)、5.71(vs)、5.24(m)、4.98(m)、4.86(w)、4.77(m)、4.70(w)、4.37(m)、4.29(w)、4.19(vs)、3.92(w)、3.76(w)、3.67(w)、3.62(m)、3.52(w)、3.38(m)、3.27(m)、3.05(m)
。様々な実施形態では、結晶性のマレイン酸塩が少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0046】
別の実施の形態は、式VIIのリンゴ酸塩である。
【化21】

【0047】
一実施形態では、式VIIのリンゴ酸塩の結晶形態を提供し、これは図5で示される粉末X線回折パターンを示し、以下、結晶性リンゴ酸塩と称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。19.8(m)、16.2(w)、13.1(vs)、12.0(s)、7.7(m)、7.2(m)、6.1(m)、5.35(s)、5.05(s)、4.89(m)、4.83(s)、4.75(vs)、4.71(vs)、4.63(m)、4.55(m)、4.37(vs)、
4.29(vs)、4.17(s)、4.00(s)、3.97(m)、3.87(s)、3.83(s)、3.61(m)。任意の特定の理論にとらわれることなく、式VIIのリンゴ酸塩のこの結晶形態はセスキ水和物であってもよい。様々な実施形態では、結晶性リンゴ酸塩が少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0048】
他の実施の形態は、式VIIIのリン酸塩である。
【化22】

【0049】
一実施形態では、式Vのリン酸塩の結晶形態を提供し、これは図6で示される粉末X線回折パターンを示し、以下、結晶性リン酸塩と称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。17.3(vs)、10.1(m)、8.9(m)、6.7(w)、6.5(m)、5.91(s)、5.74(m)、5.16(w)、4.93(m)、4.80(m)、4.75(w)、4.56(m)、4.27(m)、4.14(m)、3.86(m)、3.55(m)。様々な実施形態では、結晶性リン酸塩が少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0050】
別の実施の形態は、式IXのコハク酸塩である。
【化23】

【0051】
一実施形態では、式IXのコハク酸塩の結晶形態を提供し、これは図7で示される粉末X線回折パターンを示し、以下、結晶性コハク酸塩と称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。12.8(vs)、8
.6(w)、7.6(m)、6.4(w)、5.51(s)、5.27(w)、5.19(m)、4.79(m)、4.42(w)、4.32(m)、4.16(s)、4.05(s)、3.91(m)、3.69(w)、3.31(w)、3.27(w)、3.14(w)、2.97(w)、2.76(w)。様々な実施形態では、結晶性コハク酸塩が少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0052】
別の実施の形態は、式Xの硫酸塩である。
【化24】

【0053】
一実施形態では、式Xの硫酸塩の結晶形態を提供し、これは図8で示される粉末X線回折パターンを示し、以下、結晶性硫酸塩と称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。17.0(vs)、9.6(m)、8.3(w)、6.8(m)、6.4(m)、5.49(vs)、5.29(w)、4.79(s)、4.65(m)、4.53(s)、4.42(m)、4.30(vs)、4.18(m)、4.15(s)、4.04(m)、3.89(w)、3.60(m)、3.56(w)。様々な実施形態では、結晶性硫酸塩が少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0054】
別の実施の形態は、式XIのエジシル酸塩(エタンジスルホン酸塩)である。
【化25】

【0055】
一実施形態では、式XIのエジシル酸塩の結晶形態を提供し、これは図9で示される粉
末X線回折パターンを示し、以下、結晶性エジシル酸塩と称される。具体的には、粉末X線回折パターンは、d値(Å)で表わされる以下の特性ピークを示す。12.1(m)、10.0(s)、9.3(m)、8.1(m)、6.6(m)、6.05(vs)、5.31(s)、5.18(m)、4.97(vs)、4.81(w)、4.68(s)、4.57(m)、4.46(m)、4.35(m)、4.26(s)、4.12(s)、3.96(m)、3.88(w)、3.75(m)、3.62(m)、3.53(w)、3.48(m)、3.42(w)、3.31(m)、3.15(w)、3.07(w)。様々な実施形態では、結晶性エジシル酸塩が少なくとも約50%、約70%、約80%、約90%、約95%、又は約98%の量で存在し、残りは、式Iの化合物の他の塩又は結晶形態(水和物及び溶媒和物を含む)及び/若しくはアモルファスである。
【0056】
本明細書に記載の式Iの化合物の塩は、適当な不活性有機溶媒中での同量の式Iの塩基と酸との反応によって調製され得る。したがって、一実施形態では、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸、硫酸及びエジシル酸から成る群より選択されるアニオンを有する式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩を生成するプロセスであり、該プロセスは、
a)有機溶媒中の式Iの化合物の溶液を形成する工程;
b)適当な有機酸又は無機酸を上記溶液に添加する工程;及び
c)式Iの化合物の塩を、得られた懸濁液から単離する工程、又は塩を、冷却、溶媒除去、非溶媒の添加若しくはこれらの方法の組合せによって析出させる工程
を含む。
【0057】
好適な溶媒としては、トルエン等の炭化水素;ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;脂肪族カルボン酸及びアルコールのエステル(酢酸のC2〜C4のアルキルエステル)(酢酸エチル);ラクトン(バレロラクトン);アセトニトリル;エーテル(ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、t−ブチル−メチル−エーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、又はジオキサン);脂肪族C3〜C8のケトン(アセトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、又はメチルi−ブチルケトン若しくはメチルt−ブチルケトン);並びにアルコール(メタノール、エタノール、n−プロパノール又はi−プロパノール、及びブタノール)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
好適な塩形成酸としては、リン酸、硫酸、硝酸、二リン酸、重炭酸、カルボン酸、クラブラン酸、イソチオン酸、ホウ酸、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硝酸、及び脂肪族若しくは芳香族のカルボン酸又はスルホン酸(例えば、酢酸、コハク酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マンデル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、安息香酸、メシル酸、サリチル酸、ステアリン酸、タンニン酸、トシル酸、吉草酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、2−エタンジスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
使用するとき、非溶媒は、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素であり得る。他の非溶媒は、様々な溶媒における選択された塩の溶解度試験によって決定することができる。
【0060】
種々の結晶化手法、例えば、懸濁液の攪拌(相平衡)、析出、再結晶、溶媒蒸発、結晶化を開始させるための冷却、及び−100℃まで(例えば、−30℃まで)の冷却等を用
いて、結晶化合物を形成及び単離し得る。希釈溶液又は飽和溶液は、適当な核剤による種添加を伴って、又は伴わずに結晶化に使用され得る。得られた結晶固体は、当該技術分野でよく知られた結晶化手法によって精製し得る。溶液を形成するのに100℃までの温度を適用してもよい。
【0061】
本明細書に記載の塩は良好な収率で得ることができる。再結晶により、医薬組成物における使用に適した精製された形態がもたらされる。当該塩は、1種類より多くの結晶形態を形成し得る。例えば、塩の幾つかは、水和物又は溶媒和物を形成し得る。
【0062】
本明細書に記載の塩は、モノアミン受容体、好ましくは5−HT2Aサブクラスのセロトニン受容体の活性を阻害するための医薬製剤における活性化合物又はプロドラッグとして特に好適である。式IVの塩は水性系に非常に可溶性であり、遊離塩基が生理学的pH範囲で遊離し、高い生物学的利用性がもたらされる。本明細書に開示される結晶形態である式IV及び式XIの塩は、良好な保存安定性を有する。結晶化合物は、塩及びその製剤の製造のためのプロセス及び取り扱いを容易にする。
【0063】
したがって、一実施形態は、本明細書に記載の少なくとも1種類の塩と、薬学的に許容可能な担体又は希釈剤とを含む医薬組成物である。当該塩の使用量は、製剤の類型及び投与期間中に所望される投薬量に依存する。経口製剤での量は、0.1〜500mg、好ましくは0.5〜300mg、より好ましくは1〜100mgであり得る。
【0064】
経口製剤は、固形製剤(例えば、カプセル、錠剤、丸薬及びトローチ剤)、又は液状製剤(例えば、水性懸濁剤、エリキシル剤及びシロップ剤)であり得る。固形製剤及び液状製剤は、液状又は固形の食品内へ当該塩を取り込んだものも包含する。また、液状製剤は、非経口使用(例えば、注入又は注射)のための当該塩の溶液も包含する。
【0065】
本明細書に記載の結晶固体の塩は、そのまま、粉剤(微粉粒子)、顆粒剤、懸濁剤又は液剤として使用してもよく、又は、成分を混合しそして任意にこれを細分し、次いで、例えばハードゼラチン若しくはソフトゼラチンで構成されたカプセルに充填するか、錠剤、丸剤若しくはトローチ剤に圧縮するか、又は懸濁剤、エリキシル剤及びシロップ剤用の担体中に懸濁若しくは溶解する際に、他の薬学的に許容可能な成分と併用してもよい。圧縮して丸剤を形成した後、コーティングを施してもよい。
【0066】
薬学的に許容可能な成分は、様々な種類の製剤でよく知られており、例えば、様々な製剤タイプ用の天然ポリマー又は合成ポリマー等の結合剤、賦形剤、潤滑剤、界面活性剤、甘味剤及び風味剤、コーティング材料、防腐剤、染料、増粘剤、補助剤、抗菌剤、抗酸化剤、並びに担体であってもよい。
【0067】
結合剤の例は、トラガカントゴム、アカシア、デンプン、ゼラチン、及びジカルボン酸のホモポリエステル又はコポリエステル等の生分解性ポリマー、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール及び/又は脂肪族ヒドロキシルカルボン酸;ジカルボン酸のホモポリアミド又はコポリアミド、アルキレンジアミン、及び/又は脂肪族アミノカルボン酸;対応するポリエステル−ポリアミド−コポリマー、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン及びポリカーボネートである。生分解性ポリマーは、直鎖、分岐鎖又は架橋していてもよい。具体例は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、及びポリ−d,l−ラクチド/グリコリドである。ポリマーの他の例は、ポリオキサアルキレン(例えば、ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン及びそれらのポリマー混合物)等の水溶性ポリマー;ポリアクリルアミド、及びヒドロキシルアルキル化ポリアクリルアミド;ポリマレイン酸、及びそのエステル又はアミド;ポリアクリル酸、及びそのエステル又はアミド;ポリビニルアルコール、及びそのエステル又はエーテル;ポリビニルイミダゾール;ポリビ
ニルピロリドン;並びにキトサン等の天然ポリマーである。
【0068】
賦形剤の例は、リン酸二カルシウム等のリン酸塩である。
【0069】
潤滑剤の例は、天然油若しくは合成油、脂肪、ワックス、又はステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩である。
【0070】
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性又は中性であってもよい。界面活性剤の例は、レシチン、リン脂質、硫酸オクチル、硫酸デシル、硫酸ドデシル、硫酸テトラデシル、硫酸ヘキサデシル及び硫酸オクタデシル、オレイン酸Na又はカプリン酸Na、1−アシルアミノエタン−2−スルホン酸(例えば、1−オクタノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−デカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ドデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−テトラデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ヘキサデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、及び1−オクタデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸)、並びにタウロコール酸及びタウロデオキシコール酸、胆汁酸及びその塩(例えば、コール酸、デオキシコール酸及びグリココール酸ナトリウム)、カプリン酸ナトリウム又はラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化ヒマシ油、及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン及びラウリルベタイン、脂肪アルコール、コレステロール、モノステアリン酸グリセロール又はジステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール又はジオレイン酸グリセロール及びモノパルミチン酸グリセロール又はジパルミチン酸グリセロール、並びにステアリン酸ポリオキシエチレンである。
【0071】
甘味剤の例は、スクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテーム(aspartam)である。
【0072】
風味剤の例は、ペパーミント、ウィンターグリーン油、又はチェリーフレーバー又はオレンジフレーバーのような果物のフレーバーである。
【0073】
コーティング材料の例は、ゼラチン、ワックス、セラック、糖質、又は生分解性ポリマーである。
【0074】
防腐剤の例は、メチルパラベン又はプロピルパラベン、ソルビン酸、クロロブタノール、フェノール及びチメロサールである。
【0075】
補助剤の例は芳香剤である。
【0076】
増粘剤の例は、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及び脂肪酸エステル、並びに脂肪アルコールである。
【0077】
抗酸化剤の例は、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD若しくはビタミンE)、野菜エキス、又は魚油である。
【0078】
液体担体の例としては、水、アルコール(例えば、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、トリアセチン及び油である。固体担体の例は、タルク、クレイ、微結晶性セルロース、シリカ及びアルミナ等である。
【0079】
上記医薬製剤は、糖質、緩衝液又は塩化ナトリウム等の等張剤であってもよい。
【0080】
また、本明細書に記載の塩は、水性環境内で分解して飲料溶液をもたらす発泡性の錠剤
又は粉剤として製剤化され得る。
【0081】
シロップ剤又はエリキシル剤は、本明細書に記載の塩、甘味剤としてスクロース又はフルクトース、メチルパラベン等の防腐剤、染料、及び風味剤を含んでいてもよい。
【0082】
また、徐放製剤を本明細書に記載の塩から調製することで、胃腸管内の体液と接触している活性剤の制御放出を達成し、及び実質的に一定で有効なレベルの活性剤を血漿中に提供する。任意の式IV〜XIの化合物が、この目的のために、生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両者の混合物(及び任意で適当な界面活性剤)のポリマーマトリックス中に包埋され得る。包埋は、本文脈において、ポリマーのマトリックス中への微小粒子の組込みを意味し得る。また、制御放出製剤は、既知の分散体又はエマルジョンをコーティングする技術によって、分散微小粒子又は乳化微小滴のカプセル化によって得られる。
【0083】
本明細書に記載の塩はまた、動物に治療剤の組合せを投与するのに有用であり得る。かかる併用療法は、製剤中にさらに分散又は溶解され得る少なくとも1種類のさらなる治療剤を使用することで行うこともできる。
【0084】
また、本明細書に記載の塩及び当該塩を含有する製剤は、併用療法を提供するために、所与の状態を治療するのに有効な他の治療剤との組合せで投与され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示した結晶性塩及び医薬組成物は、精神病;統合失調症;分裂情動障害;躁病;精神病性うつ病;情動障害;認知症;不安神経症;睡眠障害;食欲不振;双極性障害;高血圧症、偏頭痛、血管攣縮及び虚血に続発する精神疾患;運動チック;振せん;精神運動遅延;運動緩慢;並びに神経障害疼痛を含む神経精神病を治療するために使用される。一実施形態では、当該塩及び組成物は、モノアミン受容体、好ましくは5−HT2Aサブクラスのセロトニン受容体の活性を阻害するために使用される。
【0086】
別の実施形態は、本明細書中に記載の塩を投与することによる、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮症、ツレット症候群、フリードライヒ運動失調症、マシャド・ジョセフ病、レービー小体型認知症、ジストニア、進行性核上麻痺及び前頭側頭型認知症を含む神経変性疾患を治療する方法である。
【0087】
別の実施形態は、本明細書中に記載の塩を投与することによる、ドーパミン作動性療法に関連するジスキネジアを治療する方法である。
【0088】
別の実施形態は、本明細書中に記載の塩を投与することによる、ドーパミン作動性療法に関連するジストニア、ミオクローヌス又は振せんを治療する方法である。
【0089】
別の実施形態は、本明細書中に記載の塩を投与することによる、心筋梗塞、血栓発作又は虚血発作、特発性血小板減少性紫斑病及び血栓性血小板減少性紫斑病、抹消血管疾患、並びにレイノー病を含む血栓状態を治療する方法である。
【0090】
別の実施形態は、本明細書中に記載の塩を投与することによる、アルコール中毒、オピオイド中毒及びニコチン中毒を含む中毒を治療する方法である。
【0091】
別の実施形態は、本明細書中に記載の塩を投与することによる、性衝動問題又は射精問題における疾患を治療する方法である。
【0092】
一実施形態は、式Iの化合物を対象者に送達する方法を含み、当該方法が、有効な量の
式IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、又はXIの化合物より選択される塩を対象者に投与することを含む。
【0093】
[実施例]
実験手順
粉末X線回折(PXRD):CuKα照射線を用いたPhilips1710粉末X線回折装置によりPXRDを実施した。1.54060Åの波長を用いた2θ値からd間隔を計算した。一般的に、2θ値は±0.1〜0.2°の誤差の範囲内であった。このため、d間隔の値の実験的な誤差はピーク位置によって決定された。
【0094】
示差走査熱量測定(DSC):窒素下で封止された金の試料パンによるPerkin Elmer DSC 7。加熱速度10K/分。
【0095】
FT−ラマン分光:Bruker RFS 100。Nd:YAG 1064nm励起、100mWレーザー出力、Ge検出器、64スキャン、範囲25〜3,500cm-1、2cm-1分解能。
【0096】
TG−FTIR:熱重量分析測定を、Bruker FTIR Spectrometer Vector 22に連結したNetzsch Thermo−Microbalance TG 209で実行した(ピンホールを有する試料パン、窒素雰囲気、加熱速度10K/分)。
【0097】
HPLC:HPLC測定を、HP LC1090Mで実行した(Column Symmetry C18、3.0〜150mm)。
【0098】
溶解度:水中におけるおよその溶解度を、再蒸留水5μlを段階的に5mgの物質に添加し、懸濁液を2分間、超音波処理することによって測定した。完全に溶解する量の限界値を測定した。水中で懸濁液を攪拌して20mg/1未満の溶解度の測定を行ない、過剰分を濾別し、濾液中の物質の量を測定した。
【実施例1】
【0099】
N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの調製
a)下記式の調製
【化26】

【0100】
ホウ水素化トリアセトキシ(6.5kg)を1.5時間かけて、N−メチルピペリド−4−オン(3.17kg)と4−フルオロベンジルアミン(3.50kg)とのメタノール(30L)溶液に、27℃未満の温度を維持しながら添加した。反応混合物を15時間22℃で攪拌した。残留アミンをゲルクロマトグラフィにより調べた(4−フルオロベンジルアミン:<5%)。30%水酸化ナトリウム(12.1kg)の水(13.6kg)溶液を75分間、20℃未満の温度に維持しながら添加した。メタノールを蒸留除去すると、残留体積は26リットルになった。酢酸エチルを添加し(26L)、この溶液を15分間攪拌し、15分かけて相をデカントし、下側の水性相を捨てた。酢酸エチルを減圧下
で有機相から73〜127℃で蒸留した。この段階で、残渣を、本方法に従って調製される第2の未処理のバッチと混合した。次に、混合生成物を139〜140℃/20mbarで蒸留し、11.2kg(>82%)の生成物を得た。
【0101】
b)下記式の調製
【化27】

【0102】
4−ヒドロキシベンズアルデヒド(4.0kg)及びエタノール(20L)をイソブチルブロミド(9.0kg)のエタノール(15L)溶液に添加した。炭酸カリウム(13.6kg)を添加し、懸濁液を5日間環流した(74〜78℃)。残りの4−ヒドロキシベンズアルデヒドをHPLCで調べた(<10%)。懸濁液を20℃に冷却し、また次の工程に使用した。
【0103】
c)下記式の調製
【化28】

【0104】
ヒドロキシルアミン(水中で50%、8.7kg)を、先行工程b)による生成物(174L、176kg)及びエタノール(54L)に添加した。懸濁液を3時間環流した(77℃)。工程bの未反応の残渣化合物をHPLCで調べた(<5%)。懸濁液を30℃に冷却し、濾過し、濾過器をエタノール(54L)で洗浄した。溶液を減圧下、30℃での蒸留によって濃縮すると、残留体積は67Lになった。溶液を25℃に冷却し、水(110L)を添加した。懸濁液を減圧下、30℃での蒸留によって濃縮すると、残留体積は102Lになった。石油エーテル(60〜90留分、96L)を添加し、混合物を加熱により環流した(70℃)。溶液を40℃に冷却し、種添加により結晶化を開始させた。懸濁液を5℃に冷却し、4時間攪拌した。この生成物を遠心分離し、ケークを石油エーテル(60〜90留分、32L)で洗浄した。湿潤ケークを約40℃で乾燥して16kg(63%)の生成物を得た。
【0105】
d)下記式の調製
【化29】

【0106】
先行工程c)による生成物(15.7kg)をエタノール(123L)に溶解した。酢酸(8.2kg)及び5%湿潤したチャコール上のパラジウム(1.1kg)を添加した。オキシムを22℃及び1.5barで4時間水素添加した。オキシムの消費をHPLCで調べた(情報のため)。触媒を濾過し、溶媒を減圧下、36℃で蒸留すると、最終体積は31Lになった。酢酸エチル(63L)を添加し、混合物が溶解するまで加熱し環流した(75℃)。溶液を45℃に冷却し、種添加により結晶化を開始させた。懸濁液を6〜10℃に冷却し、2.5時間攪拌した。この生成物を遠心分離し、ケークを2回に分けて酢酸エチル(2×0.8L)で洗浄した。湿潤ケークを約40℃の温度で乾燥し、8kg(41%)の生成物を得た。
【0107】
e)下記式の調製
【化30】

【0108】
水性水酸化ナトリウム(30%、5.0kg)を、先行工程d)による生成物(7.9kg)のヘプタン(41L)懸濁液に添加した。溶液を47℃に加熱し、15分間攪拌し、15分かけてデカントした。pHを調べて(pH>12)、水性相を分離した。溶媒を減圧下、47〜65℃の蒸留により除去した。ヘプタンを添加し(15L)、減圧下、58〜65℃の蒸留により除去した。ヘプタンを添加し(7L)、溶液を濾過し、濾過器をヘプタン(7L)で洗浄した。溶媒を減圧下、28〜60℃の蒸留により除去した。テトラヒドロフラン(THF、107L)及びトリエチルアミン(TEA、6.8kg)を添加し、温度を22℃で固定した。別の反応器内で、ホスゲン(5.0kg)を、事前に−3℃に冷却したテトラヒドロフラン(88L)中に投入した。THF及びTEA溶液を−3℃の温度に維持し、3時間50分のうちにホスゲンの溶液に添加した。反応器をテトラヒドロフラン(22L)で洗浄した。混合物を45分間、20℃で攪拌し、その後、環流しながら(65℃)90分間攪拌した。溶媒を減圧下、25〜30℃で蒸留し、残留体積は149Lになった。ホスゲンを含まないように制御した。この段階で、ホスゲンはまだ存在していて、窒素を懸濁液に通気することにより、懸濁液を脱気した。この作業の後、溶液の上方のホスゲンの量は0.075ppm未満となった。懸濁液を濾過し、テトラヒドロフラン(30L)で洗浄した。溶媒を減圧下、20〜25℃で蒸留し、残留体積は40Lになった。テトラヒドロフラン(51L)を添加し、溶媒を減圧下、20〜25℃で蒸留すると、残留体積は40Lになった。テトラヒドロフラン(11L)を添加することで、最終体積を約52Lに調整した。溶液を分析し、また次の工程に使用した。
【0109】
f)式Iの表題の化合物の調製
【化31】

【0110】
先行工程e)による生成物(51L)を1時間、工程a)による生成物(7.3kg)のテトラヒドロフラン(132L)溶液に17℃で添加した。このライン(line)をテトラヒドロフラン(12L)で洗浄し、混合物を15時間攪拌した。第1の工程による残留生成物をHPLCで調べた。溶媒を減圧下、20〜38℃で蒸留することにより除去し、残留体積は165Lになった。チャコール(Norit SX1−G、0.7kg)を添加し、この混合物を15分間攪拌し、濾過した。このラインをテトラヒドロフラン(7L)で洗浄し、溶媒を減圧下、20〜25℃で蒸留することにより除去し、残留体積は30Lになった。酢酸イソプロピル(96L)を添加して、式Iの表題の化合物の溶液を得た。この溶液は、少量の不純物(主に、先行反応による副生成物)を含有している。試料からの溶媒の除去により、実質的にアモルファスの固体を得た。
【0111】
g)N−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド半酒石酸塩の調製
工程fによる式Iの化合物の酢酸イソプロピル(96L)溶液に、事前に調製した酒石酸(1.7kg)の水(1.7L)溶液、及びテトラヒドロフラン(23L)を23℃で添加した。残留懸濁液を2.5日間、22℃で攪拌した。酒石酸塩の粗生成物を遠心分離し、ケークを4回に分けて酢酸イソプロピル(4×23L)で洗浄した。合計107kgの母液を、酒石酸塩を得る際の以後の使用のために取っておいた。湿潤ケークを約40℃で乾燥させて、8.3kg(50%)の生成物を得た。
【0112】
h)第1の精製
工程g)の酒石酸塩の粗生成物(8.1kg)を脱塩水(41L)に22℃で溶解した。酢酸イソプロピル(40L)、30%水性水酸化ナトリウム(4.3kg)及び塩化ナトリウム(2kg)を添加した。pHを調べ(>12)、この溶液を15分間攪拌した。溶液を15分かけてデカントし、水性相を分離した。水性相を酢酸イソプロピル(12L)で再抽出した。脱塩水(20L)及び塩化ナトリウム(2.0kg)を、混合有機相に添加し、この溶液を15分間攪拌し、15分間かけてデカントし、水性相を廃棄した。チャコール(0.4kg)を添加してこの混合物を20分間攪拌し、濾過した。ラインを酢酸イソプロピル(12L)で洗浄した後、溶媒を減圧下、20〜25℃で除去した。ヘプタン(49L)を添加し、この懸濁液を15分間40℃で攪拌した。その後、8Lの溶媒を、減圧下、38〜41℃の蒸留により除去した。このスラリーを20℃に冷却し、1時間攪拌した。生成物を遠心分離し、ケークをヘプタン(5L)で洗浄した。湿潤した式Iの化合物(5.5kg)を45℃のエタノール(28L)に溶解した。酒石酸(0.72kg)のエタノール(11L)溶液を45℃で添加し、ラインをエタノール(9L)で洗浄した。この溶液を43℃に冷却し、式Iの化合物の酒石酸塩を種添加した後、スラリーを30分間のうちに35℃に冷却し、この温度で1時間攪拌し、−5℃に冷却した。14時間後、この温度で生成物を遠心分離し、2回に分けてエタノール(2×6L)で洗浄した。湿潤ケークを約45℃で76時間乾燥させると、4kgの半酒石酸塩が得られた。
【0113】
i)再結晶
h)で得られた150.0gの半酒石酸塩を、65℃で攪拌下112mlの無水エタノールに溶解し、次いで、攪拌下で48℃まで1℃/分の冷却速度で冷却した。数分後、この温度で結晶化が始まり、懸濁液が1時間以内に粘稠なペーストになった。懸濁液を、60℃まで再度加熱し、次いで、48℃まで1℃/分の速度で冷却した。得られた懸濁液を攪拌し、15℃まで3℃/時間の冷却速度で冷却した。結晶性の析出物を濾過によって分離し、5℃に冷却した無水エタノール10mlでボトルを洗浄した。結晶性残渣を40℃で50時間、真空乾燥して146gの結晶性で純粋な半酒石酸塩を得た。
【0114】
j)第2の精製
工程i)で調製した酒石酸塩15.78gを130mlの水に溶解した。500mlのTBMEを添加し、2N NaOH溶液の添加によってpHを9.8に調整した。白色固形物の析出後、水相を500mlのTBMEによって5回抽出した。有機相を、残りが約400mlの容量となるまで濃縮した。この溶液を6℃で保存した。析出物を濾過し、TBMEで洗浄し、最後に5時間真空乾燥した。収量:8.24gの白色粉末。母液を4分の1まで濃縮し、6℃で保存した。析出物を濾過し、18時間真空乾燥した。収量:1.6gの白色粉末。
【0115】
PXRDにより、式Iの結晶化合物が示された。酒石酸由来のラマンピークは見られなかった。DSCの最初のスキャン(−50℃から210℃、10°K/分)により、123.6℃の融点が示された。約190℃以上で、試料が分解し始めた。
【実施例2】
【0116】
式IVのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドクエン酸塩の調製a)実施例1の生成物90mg及びクエン酸40mgを5.0mlの酢酸エチルに懸濁した。懸濁液を60℃で15分間攪拌し、23±2℃まで冷却し、次いで30分間23±2℃で保存した。析出物を濾別し、空気中で30分間乾燥して52mgの結晶性白色粉末を得た。光学顕微鏡検査は、得られた固形物が結晶性であったことを示す。
【0117】
b)実施例2の生成物182mg及びクエン酸78.4mgを10.0mlの酢酸エチルに懸濁した。懸濁液を60℃で30分間攪拌し、次いで40℃で90分間攪拌し、最後に60分間23℃で攪拌した。懸濁液を濾過し、ヘプタンで洗浄し、237mgの白色結晶性粉末を得た。10K/分の速度で示差走査熱量測定(DSC)で測定すると、153℃付近に吸熱ピーク(約87J/gの融解エンタルピー)が見られた。熱重量分析(TG−FTIR)により、60〜160℃の間で約0.7%質量損失が示され、これは、吸収された水によるものであった。約170℃で分解が始まった。水中における溶解度は約14mg/mlであった。結晶性粉末は、1週間60℃及び約75%相対湿度で開放容器内に保存したとき、実質的に未変化のままであった(HPLC面積(area)は、参照値99.9%に対して99.4%であった)。元素分析及び1H−NMRは、1:1の化学量論に適合する。
【0118】
得られたクエン酸塩の粉末X線回折パターン(PXRD)を図1に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)とともに表1に示す。
【0119】
【表1】

【実施例3】
【0120】
式VのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドフマル酸塩の調製
a)実施例1の生成物90mg及びフマル酸24.3mgを5.0mlの酢酸エチルに懸濁した。懸濁液を60℃で15分間攪拌し、次いで75分間23±2℃で保存した。光学顕微鏡検査により結晶性物質が示された。懸濁液を濾過し、t−ブチルメチルエーテル(TBME)で洗浄した。収量:83mgの白色粉末。PXRD及びラマン分光分析は、アモルファス部分を含む結晶形態Aを示す。
【0121】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図2に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)とともに表2に示す。
【0122】
【表2】

【0123】
b)実施例2の生成物180mg及びフマル酸48.2mgを10.0mlの酢酸エチルに懸濁した。懸濁液を60℃で30分間、次いで90分間40℃で、最後に70分間23℃で攪拌した。析出物を濾別し、ヘプタンで洗浄し、167mgの結晶性白色粉末を得た。TG−FTIRにより、60〜170℃の間で約8.6%の質量損失が示され、これは、吸収された水、酢酸エチル及びCO2によるものであった。約160℃で分解が始まった。1H−NMRは、1:0.75の化学量論(塩基:フマル酸)に適合し、PXRD及びラマン分光分析は、結晶形態Bを示す。
【0124】
c)実施例2の生成物48.6mgを10.0mlの酢酸エチルに懸濁した。180mgのフマル酸を1mlのエタノールに溶解し、懸濁液に添加した。得られた混合物を50℃で1時間、次いで23℃で21時間攪拌した。その後、12mlの酢酸エチルを添加し、溶液を24時間23℃でさらに攪拌した。溶媒の容量を窒素流によって半分まで減少させ、次いで9mlのヘプタンを添加した。形成された懸濁液を24時間23±2℃でさらに攪拌した。析出物を濾別し、191mgの結晶性白色粉末を得た。PXRD及びラマン分光分析は結晶形態Bを示す。水中における溶解度は>500mg/mlであった。TG−FTIRは、70〜140℃の間で約0.9%の質量損失を示し、これは、酢酸エチルによるものであった。開放容器内における75%相対湿度での保存で、3日後に物質の変化が示される(ラマン分光分析により検出)。1H−NMRは、1:0.75の化学量論(塩基:フマル酸)に適合する。1週間60℃及び約75%相対湿度で開放容器内に保存したとき、結晶性粉末は実質的に未変化のままである(HPLC面積は、参照値99.4%
に対して96.7%であった)。結晶性粉末は、フマル酸塩と半フマル酸塩の混合物であると考えられ得る。
【0125】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図3に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)と共に表3に示す。
【0126】
【表3】

【実施例4】
【0127】
式VIのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドマレイン酸塩の調製
a)実施例1の生成物181mg及びマレイン酸48.2mgを10.0mlの酢酸エチ
ルに溶解した。溶液を60℃で15分間、次いで20分間23±2℃で攪拌した。この時点後、白色固形物の析出が始まった。懸濁液を5℃で48時間保存し、次いで溶媒の容量を窒素流によって4分の1に減少させた。5℃での保存を72時間継続した。白色固形物を濾別し、113mgの結晶性粉末を得た。PXRD及びラマン分光分析は結晶形態を示す。TG−FTIRは、60〜160℃の間で約7.2%の質量損失を示し、これは、吸収された水及び酢酸エチルによるものであった。約160℃で分解が始まる。
【0128】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図4に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)と共に表4に示す。
【0129】
【表4】

【0130】
b)実施例2の生成物181mg及びマレイン酸48.0mgを3.0mlのアセトンに溶解した。溶液を5℃で5日間保存した。溶媒の容量を窒素流によって4分の1に減少させ、5℃での保存を48時間継続した。溶媒を周囲条件で蒸発させ、2mlのヘプタン及び100μlのアセトンを攪拌下で添加した。攪拌を24時間継続した。析出した固形物を濾別し、182mgの結晶性白色粉末を得た。PXRD及びラマン分光分析は、結晶性マレイン酸塩(maletae)を示し、おそらく別の結晶形態との混合物であった。TG−FTIRは、60〜160℃の間で約5.9%の質量損失を示し、これは、吸収された水、アセトン及びヘプタンによるものであった。約170℃で分解が始まった。1H−NMRは
、1:1の化学量論に適合する。水中における溶解度は>500mg/mlであった。
【実施例5】
【0131】
式VIIのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドリンゴ酸塩の調製
実施例1の生成物181mg及びL−(−)−リンゴ酸56.0mgを10.0mlの酢酸エチルに懸濁した。懸濁液を60℃で30分間攪拌して透明な溶液を形成した。溶液を5℃で1日保存した。固形物を、形成された懸濁液から濾別し、155mgの結晶性白色粉末を得た。PXRD及びラマン分光分析は結晶形態Aを示す。TG−FTIRは、50〜160℃の間で約5.5%の質量損失を示す。これは、水及びCO2によるものであった。約160℃で分解が始まった。元素分析及び1H−NMRは、1:1の化学量論に適合する。水中における溶解度は>500mg/mlであった。
【0132】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図5に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)とともに表5に示す。
【0133】
【表5】

【実施例6】
【0134】
式VIIIのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドリン酸塩の調製
実施例1の生成物181mgを3mlの2−プロパノールに溶解した。842μlのリン酸(0.5モル)を添加し、透明な溶液を形成した。試料を5℃で1日保存した。析出物を濾別し、15時間真空乾燥した。収量は60mgの白色結晶性粉末であった。PXR
D及びラマン分光分析は、結晶形態Aを示す。TG−FTIRは、80〜160℃の間で約3.9%の質量損失を示し、これは、2−プロパノールによるものであった。約170℃で分解が始まった。1H−NMRは、1:1の化学量論に適合する。水中における溶解度は>250mg/mlであった。
【0135】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図6に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)とともに表6に示す。
【0136】
【表6】

【実施例7】
【0137】
式IXのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドコハク酸塩の調製a)実施例1の生成物90mg及びコハク酸24.7mgを5.0mlの酢酸エチルに懸濁した。混合物を60℃で15分間攪拌し、透明な溶液が形成された。溶液を30分間23±2℃で保存し、次いで5℃に冷却した。析出が30分後に起こった。懸濁液を16時間5℃で保存し、析出物を濾別し、TBME及びヘプタンで洗浄し、55mgの結晶性白色固形物を得た。PXRD及びラマン分光分析は結晶形態を示す。
【0138】
b)実施例1の生成物179mg及びコハク酸48.9mgを10.0mlの酢酸エチルに懸濁した。混合物を60℃で15分間攪拌し、透明な溶液が形成された。溶液を40分間23±2℃で保存し、次いで5℃に冷却した。析出が30分後に起こった。懸濁液を1時間23℃で攪拌し、析出物を濾別し、ヘプタンで洗浄して147mgの結晶性白色粉末を得た。PXRD及びラマン分光分析は結晶形態を示す。TG−FTIRは、60〜25
0℃の間で約18.8%の質量損失を示し、これは、大部分はCO2及び水によるものであり、元素分析は、二水和物の形成を示す。1H−NMRは、1:1の化学量論に適合する。水中における溶解度は>500mg/mlであった。
【0139】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図7に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)とともに表7に示す。
【0140】
【表7】

【実施例8】
【0141】
式XのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’
−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミド硫酸塩の調製
実施例1の生成物180mgを5mlのエタノールに溶解した。842μlの硫酸(0
.5モル)を添加し、形成された透明な溶液を5℃で48時間で保存した。溶媒を窒素流によって蒸発させた。固形物残渣を3mlのTBME及び0.1mlのエタノールに懸濁し、懸濁液を17時間23±2℃で攪拌した。濾過により、80mgの結晶性白色粉末が得られた。PXRD及びラマン分光分析は結晶形態を示す。
【0142】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図7に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)とともに表8に示す。
【0143】
【表8】

【実施例9】
【0144】
式XIのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドエジシル酸塩の調製
実施例1の生成物180mgを2mlのジオキサンに溶解し、次いで、48mgの1,
2−エタンジスルホン酸二水和物を4mlのジオキサン中に含む溶液を添加した。溶液を8℃10日間保存した。析出した固形物を濾別し、206mgの結晶性白色粉末を得た。PXRD及びラマン分光分析は結晶形態を示す。TG−FTIRは、60〜160℃の間で、約1.2%の質量損失を示し、これは、ジオキサンによるものであった。約170℃で分解が始まる。元素分析は、2:1の化学量論(式Iの化合物:1,2−エタンジスルホン酸)を示す。1H−NMRは、2:1又は1:1の両方の化学量論に適合する。水中における溶解度は4mg/mlであった。結晶性粉末は、1週間60℃及び約75%相対湿度で密閉容器内に保存したとき、白色粉末のままであった(HPLC面積は、参照値96.8%に対して97.4%であった)。密閉アンプル内に100℃で1週間の保存では、結晶性生成物は分解されず、白色粉末は実質的に未変化のままである(HPLC面積97.4%)。
【0145】
粉末X線回折パターン(PXRD)を図9に示し、特性ピーク(2θ)を、対応するd間隔の値(Å)とともに表9に示す。
【0146】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】式IVの化合物の結晶性クエン酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図2】式Vの化合物の結晶性フマル酸塩の形態Aの粉末X線回折パターンを示す図である。
【図3】式Vの化合物の結晶性フマル酸塩の形態Bの粉末X線回折パターンを示す図である。
【図4】式VIの化合物の結晶性マレイン酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図5】式VIIの化合物の結晶性リンゴ酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図6】式VIIIの化合物の結晶性リン酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図7】式IXの化合物の結晶性コハク酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図8】式Xの化合物の結晶性硫酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
【図9】式XIの化合物の結晶性エジシル酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩であって、
【化1】

リン酸、硫酸、硝酸、二リン酸、重炭酸、炭酸、クラブラン酸、イソチオン酸、ホウ酸、ハライド、硝酸、酢酸、コハク酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、シュウ酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、安息香酸、メシル酸、サリチル酸、ステアリン酸、タンニン酸、トシル酸、吉草酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−エタンジスルホン酸、及びナフタレンスルホン酸から成る群より選択されるアニオンを含む、塩。
【請求項2】
前記アニオンが、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸、硫酸、及びエジシル酸から成る群より選択される、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記アニオンが、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、リン酸、コハク酸、及び硫酸から成る群より選択される場合、化学量論は1:1であり、前記アニオンが、エジシル酸及びフマル酸から成る群より選択される場合、化学量論は2:1である、請求項2に記載の塩。
【請求項4】
前記塩が式IVのクエン酸塩である、請求項1に記載の塩。
【化2】

【請求項5】
約31.8、約15.9、約7.9、約6.3、約5.96、約5.23、及び約4.68のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請
求項4に記載の塩。
【請求項6】
前記塩が式Vのフマル酸塩である、請求項1に記載の塩。
【化3】

【請求項7】
約21.7、約18.3、約15.7、約14.5、約12.6、約12.3、約10.9、約5.52、約4.72、及び約4.47のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項6に記載の塩。
【請求項8】
約18.4、約15.7、約12.6、約9.2、約5.50、約4.93、約4.70、約4.51、約4.17、及び約4.06のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項6に記載の塩。
【請求項9】
前記塩が式VIのマレイン酸塩である、請求項1に記載の塩。
【化4】

【請求項10】
約13.0、約5.71、約5.24、約4.77、約4.37、及び約4.19のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項9に記載の塩。
【請求項11】
前記塩が式VIIのリンゴ酸塩である、請求項1に記載の塩。
【化5】

【請求項12】
約13.1、約12.0、約5.35、約5.05、約4.83、約4.75、約4.71、約4.37、約4.29、約4.17、約4.00、約3.87、及び約3.83のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項11に記載の塩。
【請求項13】
前記塩が式VIIIのリン酸塩である、請求項1に記載の塩。
【化6】

【請求項14】
約17.3、約5.91、約4.80、約4.27、約4.14、及び約3.86のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項13に記載の塩。
【請求項15】
前記塩が式IXのコハク酸塩である、請求項1に記載の塩。
【化7】

【請求項16】
約12.8、約7.6、約5.51、約5.19、約4.79、約4.16、及び約4.05のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項15に記載の塩。
【請求項17】
前記塩が式Xの硫酸塩である、請求項1に記載の塩。
【化8】

【請求項18】
約17.0、約9.6、約5.49、約4.79、約4.65、約4.53、約4.30、約4.15、約4.04、及び約3.89のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項17に記載の塩。
【請求項19】
前記塩が式XIのエジシル酸塩(エタンジスルホン酸塩)である、請求項1に記載の塩。
【化9】

【請求項20】
約10.0、約6.05、約5.31、約4.97、約4.68、約4.26、及び約4.12のd値(オングストローム)を有するピークを含む粉末X線回折パターンを示す、請求項19に記載の塩。
【請求項21】
a)有機溶媒中の式Iの化合物の溶液を形成する工程;
b)クエン酸、フマル酸、マレイン酸、L−(−)−リンゴ酸、リン酸、コハク酸、硫酸又は1,2−エタンジスルホン酸から成る群より選択される酸を前記溶液に添加する工程;及び
c)前記塩を単離する工程
を含む、請求項1に記載の塩を製造する方法。
【請求項22】
前記単離する工程が、工程b)の後に形成される懸濁液から前記塩を分離する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記単離する工程が、工程b)の後に形成される溶液から前記塩を、冷却、溶媒除去又は非溶媒の添加のうちの1つ以上によって析出させる工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
式IのN−(4−フルオロベンジル)−N−(1−メチルピペリジン−4−イル)−N’−(4−(2−メチルプロピルオキシ)フェニルメチル)カルバミドの塩であって、
【化10】

a)有機溶媒中の式Iの化合物の溶液を形成する工程;
b)クエン酸、フマル酸、マレイン酸、L−(−)−リンゴ酸、リン酸、コハク酸、硫酸又は1,2−エタンジスルホン酸から成る群より選択される酸を前記溶液に添加する工程;及び
c)前記塩を単離する工程
を含むプロセスによって生成される、塩。
【請求項25】
請求項1に記載の塩の1種類以上と、薬学的に許容可能な担体とを含む、医薬組成物。
【請求項26】
モノアミン受容体の活性を阻害する方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、方法。
【請求項27】
神経精神病を治療する方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、方法。
【請求項28】
前記神経精神病が、精神病;統合失調症;分裂情動障害;躁病;精神病性うつ病;情動障害;認知症;不安神経症;睡眠障害;食欲不振;双極性障害;高血圧、偏頭痛、血管痙攣及び虚血に続発する精神病;運動性チック;振せん;精神運動遅延;動作緩慢;及び神経障害疼痛から成る群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
神経変性疾患を治療する方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、脊髄小脳萎縮症、ツレット症候群、フリードライヒ運動失調症、マシャド・ジョセフ病、レービー小体型認知症、ジストニア、進行性核上麻痺及び前頭側頭型認知症から成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ドーパミン作動性療法に関連するジスキネジアを治療する方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、方法。
【請求項32】
ドーパミン作動性療法に関連するジストニア、ミオクローヌス又は振せんを治療する方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、方法。
【請求項33】
血栓状態を治療する方法であって、請求項1に記載の少なくとも1種の塩を対象者に投与することを含む、方法。
【請求項34】
前記血栓状態が、心筋梗塞、血栓発作又は虚血発作、特発性血小板減少性紫斑病及び血栓性血小板減少性紫斑病、抹消血管疾患、並びにレイノー病から成る群より選択される、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−514627(P2008−514627A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533699(P2007−533699)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/034376
【国際公開番号】WO2006/036874
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(507164652)アカディア ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】