説明

NMT1特異的siRNA

【課題】 がんやウィルス感染症等、種々の疾病の進行あるいは種々の生理機能と密接に関連するN-ミリストイル化タンパク質のN-ミリストイル化を触媒するヒトN-ミリストイルトランスフェラーゼ(hNMT)ファミリーのそれぞれをsiRNAの原理を応用することにより特異的に遺伝子発現のサイレンシングを行なうことにより、それら疾病の治療を可能にすること。
【解決手段】hNMT1の機能を阻害し、hNMT2の機能を阻害しないことを特徴とするshRNA、dsRNA又はsiRNA。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NMT1(N-myristoyltransferase-1)に特異的なshRNA、dsRNA又はsiRNA、及びそれを用いた抗HIV薬に関する。
【背景技術】
【0002】
HIV感染症はhuman immunodeficiency virus type-1 (HIV-1)が主としてCD4陽性リンパ球に感染し、免疫系が徐々に破壊されていく進行性の疾患である。無治療例では、感染初期、無症候期、AIDS (acquired immunodeficiency syndrome)発症期の経過をたどる。2002年3月現在において日本で認可されている抗HIV薬は核酸系逆転写酵素阻害剤6種類、非核酸系逆転写酵素阻害剤3種類、及びHIV-1プロテアーゼ阻害剤6種類の計15種類であり、これら治療薬を組み合わせた多剤併用療法(HAART: highly active antiretroviral therapy)の開発により、現在ではHIV感染症はコントロール可能な病気として位置づけられるまでに至っている。しかしながらHAARTは1日に十数錠もの薬を正確に飲まなければならず、また吐き気、嘔吐、下痢、乳酸アシドーシス、脂肪肝、糖尿病、体脂肪分布異常、高脂血症などの副作用があり患者のQOL (quality of life)は悪い。そして最も深刻な問題のひとつは、HIV-1の易変異性に基づく、治療の失敗に伴う薬剤耐性ウイルスの出現である。またこの療法はHIV-1の増殖を抑制するだけで、体内から排除するものではない。HAARTによって血中ウイルスRNAが検出感度以下になっても、治療をやめると再びウイルスRNAが検出されるようになる。つまり根治療法ではないことである。現在の抗HIV薬は、病気の進行は抑えられるが、患者は一生涯重い薬の副作用に苦しみながら、しかも高額な医療費を支払いつつ生活しなければならない状況にある。究極の抗HIV薬は体内からHIV-1を完全に排除する薬であるが残念ながら、そのような効果を示す治療薬・治療法は現在まで存在しない。
【0003】
抗HIV薬の研究開発は世界中で精力的に行われている。AIDSの原因ウイルスがHIV-1であることが発見されて以来(非特許文献1)、そのウイルスライフサイクルの解明が進み、治療に結びつく標的分子が次々と同定され、研究レベルでは多種多様で有効な抗HIV薬の報告がなされてきている(非特許文献2)。上述した既に臨床応用されている逆転写過程(i)、HIV-1プロテアーゼによるHIV-1 gagタンパク質のプロセシング過程(ii)を標的とした阻害剤を始め、ウイルスの宿主細胞へ吸着を阻害するウイルス外被糖タンパク質gp120を標的とする阻害剤 (iii)、ウイルスが宿主細胞へ侵入する際に利用するケモカインレセプターCXCR4及びCCR5を標的とした阻害剤(iv)、ウイルスの宿主細胞への融合段階を阻害するgp41タンパク質を標的とした阻害剤(v)、HIV-1 nucleocapsidタンパク質であるNCp7のzinc fingerを標的とし宿主細胞へのウイルスの侵入後のuncoatingやdisassembly段階またはウイルスが宿主細胞から出芽する前後のassembly段階をブロックする阻害剤(vi)、インテグラーゼによる宿主DNAへproviral DNAの組込み過程を標的とする阻害剤(vii)、ウイルス遺伝子の転写過程を標的とする阻害剤(viii)、そして、ウイルスの感染性獲得に必須のタンパク質翻訳後修飾であるHIV-1gagタンパク質のアミノ末端のN-Myr化をブロックする阻害剤(ix)等が現時点までの主な抗HIV-1薬研究開発の標的・阻害剤として報告されている。
【0004】
一方、Myristoyl coenzyme A (Myr-CoA): protein N-myristoyltransferase (NMT) (EC 2.3.1.9.7)は、そのアミノ末端がMet1-Gly2-X3-X4-X5-Ser/Thr6-のコンセンサス配列を有するタンパク質の開始Metが翻訳の間にメチオニンアミノペプチダーゼによる除去後、露出したGly2のα--アミノ基に、Myr-CoAからMyr基の転移を触媒する酵素であり、この修飾をタンパク質のN-ミリストイル(N-Myr)化という。N-Myr化は1982年に、仔ウシ心筋由来cAMP-dependent protein kinase 触媒サブユニットの全一次構造決定の際に、庄司らによって初めて発見され(非特許文献3及び4)、今日まで種々のN-Myr化タンパク質が報告されている(非特許文献5)。
【0005】
N-Myr化は、タンパク質の細胞膜へのターゲティング、細胞膜特にlipid raftsとの会合(非特許文献6)、及びタンパク質の立体構造の安定化等の役割を果たしている(非特許文献5)(図1)。近年、N-Myr化は翻訳時修飾だけでなくタンパク質が完全に生合成された後にも起りうることが報告された(非特許文献7)。表1に現在まで報告されているN-Myr化タンパク質の一部を示した。
【0006】
表1に示されるように、NMTが認識するペプチド基質の特徴はポジション2のGlyは絶対的に必要とされる。そして経験的に、ポジション6にSer/Thrポジション7もしくは8にはLysやArgである場合が多いことがわかっている。Saccharomyces cerevisiae由来のNMT(Nmt1p)とMyr-CoA類似体及び基質ペプチド複合体のX線結晶構造解析から、その触媒機構は次のようなBi Bi反応メカニズムであること明らかにされている(非特許文献8及び9)。1)Myr-CoAのNMTへの結合2)ペプチド基質がNMTに結合できるようになる。3)ミリスチン酸がペプチドのアミノ末端Glyに転移される。このとき、NMT のカルボキシ末端のカルボキシル基が、基質ペプチドのアミノ末端Gly残基のα-アミノ基を脱プロトン化し、その後その窒素がMyr-CoAのカルボニル炭素を求核攻撃することでアシル基転移が起る。4)CoAが酵素からリリースされる。5)N-Myr化ペプチドが酵素からリリースされる。
【0007】
【表1】

【0008】
NMTは真核細胞以上に存在し、現在まで15種から19個のNMT が同定されている。Saccharomyces cerevisiae(非特許文献10), Drosophila(非特許文献11), 及びArabidosis thaliana(非特許文献12)を用いた研究から、NMTが細胞生存、発生、植物の成育のために必須の酵素であると理解されている。哺乳類では現在までヒト、マウス、ウシにおいて二つのNMT遺伝子が存在することが同定され(非特許文献13)、ヒトのNMT geneは、chromosome 17にhNMT1 gene及びchromosome 10にhNMT2 geneの存在が報告されており、これらは77%の相同性を有している(図2)。hNMT2はSDS-PAGEで単一の65 kDaのバンドとして検出され、一方、hNMT1は49 kDaから68 kDaまで多様なisoformを示す。この多様性はhNMT1においては選択的スプライシングによることが示唆されている(非特許文献14)。NMT isoformの中には、N-末端領域に塩基性アミノ酸を多量に含む配列を有するものがあり、これはリボゾームへのターゲティングに重要であると考えられており、各isoform間の細胞内局在の違いが示唆されている(非特許文献15)。
【0009】
また、NMTは、全身性の真菌症であるカンジタ症及びクリプトコックス症の原因菌であるCandida albicans及びCryptococcus neoformansに対する、抗真菌剤開発のための標的の一つとなっており、ヒト由来NMTと真菌由来NMTの基質特異性の相違を利用した阻害剤開発が進められている(非特許文献16〜18)。また、表1に示しているように、病原性ウイルス中にN-Myr化を受けるタンパク質を有するものがあり、NMTは抗ウイルス薬開発の標的のひとつとして考えられている。
【0010】
HIV-1においては、ウイルス構造タンパク質p17gag及びウイルス性調節タンパク質p27nefがN-Myr化を受けていることが知られている。p17 gagはPr55gagとして翻訳されるときN-Myr化を受け、ウイルス性のプロテアーゼによってプロセシングされたあと生成するマトリクスと呼ばれるタンパク質である。p17gagは細胞内ではPr55gagとして存在しているが、そのN-Myr化は、Pr55gagの細胞膜への輸送やウイルス粒子形成のためのアセンブリに必須の修飾であることが明らかになっており、このN-Myr化阻害は抗HIV効果につながることが知られている(非特許文献19〜22)。薬剤耐性ウイルスを出現しやすいHIV-1において、非ミリストル化p17gagで構成される感染性ウイルスの報告例はない。
【0011】
【非特許文献1】De Clercq, E. (2001) Curr. Med. Chem. 13, 1543-1572.
【非特許文献2】Sinoussi, F. B.,他、Science (1983) 220, 868-871.
【非特許文献3】Carr, S.A.,他、(1982) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79, 6128-6131.
【非特許文献4】Shoji, S.,他、(1983) Biochemistry 22, 3702-3709.
【非特許文献5】Resh, M. D. (1999) Biochim. Biophys. Acta. 1451, 1-16.
【非特許文献6】Melkonian, K. A., 他、(1999) J. Biol. Chem. 274, 3910-3917.
【非特許文献7】Zha, J., 他、(2000) Science 290, 1761-1765.
【非特許文献8】Bhatnagar, R. S.,他、(1998) Nature structural biology 5, 1091-1097.
【非特許文献9】Farazi, T. A., 他、(2001) Biochemistry 40, 6335-6343.
【非特許文献10】Duronio, R. J., 他、(1989) Science 243, 796-800.
【非特許文献11】Ntwasa, M., 他、(2001) Exp. Cell. Res. 262, 134-144.
【非特許文献12】Qi, Q., 他、(2000) J. Biol. Chem. 275, 9673-9683.
【非特許文献13】Giang, D. K, 他(1998) J. Biol. Chem. 273, 6595-6598.
【非特許文献14】McIlhinney, R. A., 他、(1998) Biochem. J. 333. 491-495.
【非特許文献15】Glover, C. J., 他、(1997) J. Biol. Chem. 272, 28680-28689.
【非特許文献16】Devadas, B., 他、(1997) J. Med. Chem. 40, 2609-2625.
【非特許文献17】Nagarajan, S. R., 他、(1997) J. Med. Chem. 40, 1422-1438.
【非特許文献18】Sikorski, J. A.,他、(1997) Biopolymers 43, 43-71.
【非特許文献19】Furuishi, K., 他、(1997) Biochem. Biophys. Res. Commun. 237, 504-511.
【非特許文献20】Shiraishi, T., 他、(2001) Biochem.Biophys.Res.Commun.282, 1201-1205.
【非特許文献21】Kaminchik, J.,他、(1991) J. Virol. 65, 583-588.
【非特許文献22】Yu, G., 他、(1992) Virology 187, 46-55.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来からN-Myr化阻害、特にp17gagのN-Myr化阻害による抗HIV効果を狙った研究は進められていた。これまでのN-Myr化阻害剤はNMTの活性中心を標的とした低分子化合物群であり、これらは全てのhNMTアイソザイムの活性を阻害していたため、抗HIV効果を示すものの標的となるN-Myr化タンパク質以外の多くのタンパク質のN-Myr化の阻害によって引き起こされる副作用(毒性)の発現が、実用化への大きな障害であった。
【0013】
そこで、本発明においては、がんやウィルス感染症等、種々の疾病の進行あるいは種々の生理機能と密接に関連するN-ミリストイル化タンパク質のN-ミリストイル化を触媒するヒトN-ミリストイルトランスフェラーゼ(hNMT)ファミリーのそれぞれをsiRNAの原理を応用することにより特異的に遺伝子発現のサイレンシングを行なうことにより、それら疾病の治療を可能にすることを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0014】
近年になって、hNMTには少なくとも二つの遺伝子が存在し、その遺伝子産物はさらに数種のアイソザイムで存在することが明らかとなった。従来のN-ミリストイル化阻害戦略の問題点であった特異性の低さを克服するために、本発明者らは各hNMTアイソザイムを特異的に阻害することを目的として、N-ミリストイル化タンパク質の中で、特にがん原性タンパク質やウイルス性タンパク質など病原性や生理機能調節と関連が深いタンパク質のそれぞれが細胞内でどのhNMTアイソザイムによってN-ミリストイル化を受けているのか、また各hNMTアイソザイム特異的抑制によってがん細胞増殖、ウィルス複製能、および種々の細胞機能にどのような影響を与えるのかを各hNMTアイソザイム特異的siRNAを利用することによって明らかにすることを目指した。本発明者らは、HIV-1の複製において、hNMT1 とhNMT2のいずれのアイソザイムが重要であるかをsiRNAを用いたin vitroの系で検討した結果、hNMT1の寄与率が高いことが明らかになった。これにより、hNMTを標的としたエイズ治療法の開発にはhNMT1を特異的に抑制することにより、より副作用を軽減しつつ抗HIV-1効果を得ることができることが判明した。また、本発明者らは、hNMT1を特異的に抑制するための手段として、hNMT1特異的siRNAを利用することが有効であることを実証した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0015】
即ち、本発明によれば、hNMT1の機能を阻害し、hNMT2の機能を阻害しないことを特徴とするshRNA、dsRNA又はsiRNAが提供される。
【0016】
好ましくは、本発明のshRNA、dsRNA又はsiRNAは、配列番号1、2又は3で示される塩基配列を標的配列とする。
【0017】
好ましくは、本発明のshRNA、dsRNA又はsiRNAは、以下の何れかである。
(1)配列番号1〜3の何れかに記載の塩基配列を標的とするsiRNA;
(2)配列番号4に記載の塩基配列からなるshRNA;
(3)配列番号5に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号6に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNA;又は
(4)配列番号7に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号8に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNA:
【0018】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明のshRNA、dsRNA又はsiRNAを発現することができる発現ベクターが提供される。
【0019】
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のshRNA、dsRNA、siRNA、又は発現ベクターを有効成分として含む、NMT1阻害剤が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のshRNA、dsRNA、siRNA、又は発現ベクターを有効成分として含む、抗HIV薬が提供される。
【発明の効果】
【0020】
従来、NMT阻害剤は細胞内の全てのNMT活性を阻害していたため、目的としないN-Myr化阻害による副作用(毒性)発現の可能性の問題が指摘されていた。アイゾザイム特異的NMT阻害により、病原性と関連する標的タンパク質をより特異的にN-Myr化阻害することで、毒性発現の少ない治療効果が期待される。また、エイズ治療に対してはhNMT1の特異的阻害が有効である。即ち、本発明によれば、がん、ウイルス感染症等の制御のための分子標的としてのhNMTアイソザイムを同定し、siRNA等を用いた新しい治療戦略の開発が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、hNMT1の機能を阻害し、hNMT2の機能を阻害しないことを特徴とするshRNA、dsRNA又はsiRNAに関する。本発明のshRNA、dsRNA又はsiRNAを細胞に投与すると、RNAi効果によりNMT1の発現を特異的に抑制することができる。即ち、shRNA又はdsRNAが細胞に導入されると、RNAi現象が生じ、相同な配列を有するRNAが分解される。このようなRNAi現象は、線虫,昆虫、原虫、ヒドラ、植物、脊椎動物(哺乳動物を含む)において見られる現象である。
【0022】
ここで、「siRNA 」とは、short interfering RNAの略称であり、人工的に化学合成されるかまたは生化学的に合成されたものか、あるいは生物体内で合成されたものか、あるいは約40塩基以上の二本鎖RNAが体内で分解されてできた10塩基対以上の二本鎖RNAである。siRNAの長さは、一般的には10〜30塩基、好ましくは約15〜25塩基、より好ましくは19〜23塩基程度である。siRNAは、通常、5'−リン酸、3'−OHの構造を有しており、3'末端は約2塩基突出している。このsiRNA に特異的なタンパク質が結合して、RISC(RNA−induced−silencing−complex)が形成される。この複合体は、siRNA と同じ配列を有するmRNAを認識して結合し、RNaseIII様の酵素活性によってsiRNA の中央部でmRNAを切断する。上記のように、siRNAは、その標的となる遺伝子(本発明においては、NMT1遺伝子)のmRNAを分解することにより、その発現を抑制することができる。
【0023】
shRNA又はdsRNAの配列と、標的として切断するmRNAの配列とは100%一致することが好ましい。しかし、siRNA の中央から外れた位置の塩基が一致していない場合については、RNAiによる切断活性は部分的には残存することが多いので、必ずしも100%一致していなくてもよい。
【0024】
shRNA又はdsRNAの塩基配列と、発現を抑制すべきNMT1遺伝子の塩基配列との間で相同性のある領域は、NMT1遺伝子の翻訳開始領域を含まないことが好ましい。翻訳開始領域には種々の転写因子や翻訳因子が結合することが予想されるため、siRNA が効果的にmRNAに結合することができず、効果が低減することが予測されるからである。従って、相同性を有する配列は、NMT1遺伝子の翻訳開始領域から20塩基離れていることが好ましく、NMT1遺伝子の翻訳開始領域から70塩基離れていることがより好ましい。相同性を有する配列の具体例を図4に示す。図3に示したNMT1の標的配列を配列表の配列番号1〜3に示す。
【0025】
本発明では、siRNAを用いてもよいし、当該siRNA を生成するようなshRNA(short hairpin RNA)、dsRNA(double strand RNA)又はそれらを発現できる発現ベクターを用いることができる。本発明のshRNA、dsRNA又はそれらの発現ベクターを細胞に投与すると、細胞内でsiRNAが生成する(図3)。
【0026】
本発明において用いられるshRNA、dsRNA、siRNA又はそれを発現する発現ベクターは、RNAiを引き起こすことができる限り、どのような形態のものでもよい。
【0027】
本発明の一例によれば、shRNAを使用することができる。shRNAは、一本鎖RNAで部分的に回文状の塩基配列を含むことにより、分子内で二本鎖構造をとり、ヘアピンのような構造となる約20塩基対以上の分子のことを言う。そのようなshRNAは、細胞内に導入された後、細胞内で約20塩基(代表的には例えば、21塩基、22塩基、23塩基)の長さに分解され、siRNA と同様にRNAiを引き起こすことができる。上記の通りshRNAは、siRNA と同様にRNAiを引き起こすことから、本発明において有効に用いることができる。
【0028】
shRNAは好ましくは、3'突出末端を有している。二本鎖部分の長さは特に限定されないが、好ましくは約10ヌクレオチド以上であり、より好ましくは約20ヌクレオチド以上である。ここで、3'突出末端は、好ましくはDNAであり、より好ましくは少なくとも2ヌクレオチド以上のDNAであり、さらに好ましくは2〜4ヌクレオチドのDNAである。
【0029】
本発明の別の態様によれば、例えば、約20塩基以上のdsRNAを用いることができる。例えば、NMT1遺伝子の核酸配列の一部に対して少なくとも約70%、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは100%の相同性を有する配列を含む、二本鎖部分を含むRNAまたはその改変体を使用することができる。相同性を有する配列部分は、通常は、少なくとも約15ヌクレオチド以上であり、好ましくは少なくとも約19ヌクレオチドであり、より好ましくは少なくとも約20ヌクレオチド長であり、さらに好ましくは少なくとも約21ヌクレオチド長である。
【0030】
本発明で用いることができるshRNA、dsRNA又はsiRNAの具体例としては、
(1)配列番号1〜3の何れかに記載の塩基配列を標的とするsiRNA
(2)配列番号4に記載の塩基配列からなるshRNA;
(3)配列番号5に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号6に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNA;又は
(4)配列番号7に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号8に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNA:
などが挙げられる。
【0031】
上記の通り、本発明では、RNAiによりNMT1の発現を抑制することができる因子として、shRNA、dsRNA又はsiRNA又はそれらの発現ベクターを使用することができる。siRNAの長所としては、(1)細胞内に導入してもRNA自体は正常細胞の染色体内に組み込まれないので、子孫に伝わる変異を起こすような治療ではなく、安全性が高いこと、及び(2)短鎖二本鎖RNAは化学合成が比較的容易であり二本鎖にするとより安定であること、などが挙げられる。また、shRNAの長所としては、遺伝子発現を長期間抑制することによって治療を行う場合、細胞内でshRNAを転写するようなベクターを作製して細胞内に導入することができることなどが挙げられる。
【0032】
本発明で用いるshRNA、dsRNA又はsiRNAは、人工的に化学合成してもよいし、センス鎖およびアンチセンス鎖のDNA配列を逆向きに連結したヘアピン構造のDNAをT7 RNAポリメラーゼによってインビトロでRNAを合成することによって作製することもできる。インビトロで合成する場合は、T7 RNAポリメラーゼおよびT7プロモーターを用いて、鋳型DNAからアンチセンスおよびセンスのRNAを合成することができる。これらをインビトロでアニーリングした後、細胞に導入すると、RNAiが引き起こされ、NMT1の発現が抑制される。ここでは、例えば、リン酸カルシウム法、又は各種のトランスフェクション試薬(例えば、oligofectamine、Lipofectamineおよびlipofectionなど)を用いてそのようなRNAを細胞内に導入することができる。
【0033】
さらに本発明によれば、RNAiによりNMT1の発現を抑制することができるshRNA、dsRNA又はsiRNAをコードする核酸配列を含む発現ベクターが提供される。さらに本発明によれば、上記した発現ベクターを含む細胞が提供される。本発明の細胞は、RNAiを引き起こす因子を一過性発現しても安定に発現してもよい。上記した発現ベクターや細胞の種類は特に限定されないが、好ましくは、治療に使用できるものである。
【0034】
本発明のshRNA、dsRNA、siRNA又はそれらの発現ベクターは、細胞内でRNAi効果を生じることにより、NMT1を特異的に阻害することができる。即ち、本発明のshRNA、dsRNA、siRNA又はそれらの発現ベクターは、NMT1阻害剤として有用である。
【0035】
さらに本発明のshRNA、dsRNA、siRNA又はそれらの発現ベクターは、NMT1を特異的に阻害することができることから、HIV−1の抑制のために使用することができる。HIV−1の抑制とはより具体的には、HIV−1の感染の防止、HIV−1の増殖の抑制などが含まれ、臨床的にはHIV感染症の予防及び/又は治療の全てを包含することを意味する。上記の通り、本発明のshRNA、dsRNA、siRNA又はそれらの発現ベクターは、抗HIV薬として有用である。以下、本発明のNMT1阻害剤及び抗HIV薬を総称して本発明の薬剤と称する。
【0036】
本発明の薬剤は、他の抗HIV薬と併用することもできる。そのような場合、本発明の薬剤は、ある種の抗HIV薬と一緒に、または前後に別々に投与することができる。このように別の抗HIV薬を投与することによって、そのような抗HIV薬に対して耐性のできたHIV−1株にも効果的に治療または予防効果を発揮することができる。
【0037】
本発明の抗HIV薬と併用できる抗HIV薬としては、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、又はHIV-1プロテアーゼ阻害剤の何れでもよく、またこれらの組み合わせに対しても本発明の抗HIV薬は併用することができる。
【0038】
本発明の薬剤の投与方法は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投与、膣内投与、患部への局所投与、皮膚投与など)などが挙げられる。
【0039】
本発明の薬剤は、医薬組成物として使用する場合、必要に応じて薬学的に許容可能な添加剤を配合することができる。 薬学的に許容可能な添加剤の具体例としては、抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、キャリア、賦形剤および/または薬学的アジュバントなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明の薬剤の製剤形態は特に限定されないが、例えば、液剤、注射剤、徐放剤などが挙げられる。本発明の薬剤を上記製剤として処方するために使用される溶媒としては、水性または非水性のいずれでもよい。
【0041】
注射剤は当該分野において周知の方法により調製することができる。例えば、適切な溶剤(生理食塩水、PBSのような緩衝液、滅菌水など)に溶解した後、フィルターなどで濾過滅菌し、次いで無菌容器(例えば、アンプルなど)に充填することにより注射剤を調製することができる。この注射剤には、必要に応じて、慣用の薬学的キャリアを含めてもよい。非侵襲的なカテーテルを用いる投与方法も使用され得る。本発明で用いることができるキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、または血清アルブミンと混合された生理食塩水などが挙げられる。
【0042】
さらに、本発明の薬剤の有効成分であるshRNA、dsRNA、又はsiRNAは、非ウイルスベクターまたはウイルスベクターの形態で投与することができる。このような投与形態は、当該分野において公知であり、例えば、別冊実験医学「遺伝子治療の基礎技術」羊土社、1996;別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997などに記載されている。
【0043】
非ウイルスベクター形態の場合、リポソームを用いて核酸分子を導入する方法(リポソーム法、HVJ−リポソーム法、カチオニックリポソーム法、リポフェクション法、リポフェクトアミン法など)、マイクロインジェクション法、遺伝子銃(Gene Gun)でキャリア(金属粒子)とともに核酸分子を細胞に移入する方法などを利用することができる。発現ベクターとしては、例えば、pCAGGS、pBJ−CMV、pcDNA3.1、pZeoSV(Invitrogen社又はStratagene社から入手可能)などが挙げられる。
【0044】
リポフェクションを用いる場合、例えば、リポフェクトアミン2000、オリゴフェクトアミン(silencer siRNA TransfectionKit,GeneSilencer siRNA Transfection Reagent)などを用いることができる。
【0045】
HVJ−リポソーム法は、脂質二重膜で作製されたリポソーム中に核酸分子を封入し、このリポソームと不活化したセンダイウイルス(Hemagglutinating virus of Japan、HVJ)とを融合させることを包含する。HVJ−リポソーム調製法は、例えば、別冊実験医学「遺伝子治療の基礎技術」羊土社、1996;別冊実験医学「遺伝子導入&発現解析実験法」羊土社、1997に記載されている。
【0046】
RNAiによりNMT1の発現を抑制することができるshRNA、dsRNA、siRNAをウイルスベクターを用いて生体に投与する場合は、組換えアデノウイルス、レトロウイルスなどのウイルスベクターを利用することができる。無毒化したレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンドビスウイルス、センダイウイルス、SV40などのDNAウイルスまたはRNAウイルスに、RNAiによりNMT1の発現を抑制することができる因子を発現するDNAを導入し、細胞または組織にこの組換えウイルスを感染させることにより、細胞または組織内に遺伝子を導入することができる。
【0047】
さらにまた、RNAiによりNMT1の発現を抑制することができるshRNA、dsRNA、siRNA又はそれらの発現ベクターは、生体の器官や組織などに直接注入することもできる。
【0048】
本発明の薬剤の投与量は、使用目的、疾患の重篤度、患者の年齢、体重、性別、既往歴、又は有効成分であるshRNA、dsRNA、siRNA又はそれらの発現ベクターの種類などを考慮して、当業者が決定することができる。
【0049】
有効成分であるshRNA、dsRNA、siRNA又はそれらの発現ベクターの投与量は特に限定されないが、例えば、約0.1ng〜約100mg/kg、好ましくは約1ng〜約10mgである。ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターとして投与される場合は、成人一人当たり、通常、0.0001〜100mg、好ましくは0.001〜10mg、より好ましくは0.01〜1mgである。
【0050】
また本発明の薬剤の投与頻度としては、例えば、一日一回〜数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回〜1ヶ月に1回)の頻度で投与することができる。RNAiは、一般に投与後1〜3日間効果が見られる。したがって、毎日〜3日に1回の頻度で投与することが好ましい。発現ベクターを用いる場合、1週間に1回程度投与することも可能である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
実施例1:HIV-1 感染におけるヒトNMT 遺伝子のsilencing 効果の影響
実施例で用いたshRNA及びdsRNAの構造を図3に示す。また、siRNA標的サイトを含むhNMT1遺伝子とhNMT2遺伝子の塩基配列を図4に示す。また、本実施例の手順の概要とMAGIC-5 aasayの測定結果を図5に示す。
【0052】
(1)shRNA発現プラスミドを用いた系(NMT1 siRNA target site 1, NMT2 siRNA target site 1)
図3に記載のNMT1 site1 shRNA(塩基配列を配列表の配列番号4)を発現するshRNA発現プラスミド、及びNMT2 site1 shRNA(塩基配列を配列表の配列番号12)を発現するshRNA発現プラスミドを使用した。
【0053】
以下の培養操作はすべて無菌的に行った。293細胞を6well plateに2.5 x 105/well播き2 mlの5%FCSを含むDMEM培地で培養した。翌日,4 μgのHIV-1発現プラスミドpNL4-3を250 μLの無血清DMEM培地で溶かした溶液と、10 μLのトランスフェクション試薬lipofectamine 2000 を含む無血清DMEM培地の250 μLを混合し、得られた500 μLの溶液を20分間室温で放置した後、6 well plateに播いた293細胞に加えた。12 時間後に培養上清を除去し,1.5 mlの5%FCSを含むDMEM培地を加えた後、4 μgのpsiRNA-hH1zeo(コントロールプラスミド),psiRNA-hNMT1(hNMT1 特異的shRNA発現プラスミド)またはpsiRNA-hNMT2 (hNMT 2特異的shRNA発現プラスミド)を含む無血清DMEM培地の250 μLと10 μLのlipofectamine 2000を含む無血清DMEM培地の250 μLを混合し、得られた500 μLの溶液を20分間室温で放置後、その293細胞に加えた。さらに48 時間培養後に得られた培養上清中に含まれる産生されたHIV-1の感染価をMAGIC-5 assayにより評価した。
【0054】
(2)dsRNAを用いた系(NMT1 siRNA target site 2, NMT2 siRNA target site 2)
NMT1特異的dsRNAとして、配列番号5に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号6に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNAを使用し、NMT2特異的dsRNAとして、配列番号13に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号14に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNAを使用した。
【0055】
以下の培養操作はすべて無菌的に行った。293細胞を6well plateに2.5 x 105/well播き2 mlの5%FCSを含むDMEM培地で培養した。翌日,4 μgのHIV-1発現プラスミドpNL4-3を250 μLの無血清DMEM培地で溶かした溶液と、10 μLのトランスフェクション試薬lipofectamine 2000 を含む無血清DMEM培地の250 μLを混合し、得られた500 μLの溶液を20分間室温で放置した後、6 well plateに播いた293細胞に加えた。48時間培養後、100 pmolのdsRNA (NMT1特異的またはNMT2特異的)を250 μLの無血清DMEM培地で溶かした溶液と、5 μLのlipofectamine 2000 を含む無血清DMEM培地の250 μLを混合し、得られた500 μLの溶液を20分間室温で放置後、6 well plateに播いた293細胞にさらに加えた。さらに24時間培養後培養上清を除き、フレッシュな2 mlの5%FCSを含むDMEM培地を加え、さらに24時間培養した。得られた培養上清中に含まれる産生されたHIV-1の感染価をMAGIC-5 assayにより評価した。
【0056】
(3) MAGIC-5 assay
MAGIC-5 assay を以下に示す。前日に96 well plateに7.5 x 103 cells/well で播種したMAGIC-5 細胞の培養上清を除去し,well にDEAE dextran(20 μg/ml)を含む10 μl のウィルス溶液を加え,2 時間吸着処理させた後,160 μlのDMEM contg. 2.5% FCS を加え,37 ℃で48 時間incubation した。Incubation 後,上清を除去し,fixing solution 50 μlを加え,室温で5 分間incubation した。Fixing solution除去後,PBS(-)で2 回洗浄した後,staining solution 50 μlを加え,50 分間incubation(37℃,5% CO2)を行った。Staining solution を除去した後,PBS(-)で2 回洗浄し,保存のために1 mg/ml アジ化ナトリウム溶液を加えた後,顕微鏡にて青色に染まった感染細胞をカウントした。
【0057】
(結果)
上記したMAGIC-5 assayの結果を図5の右側に示す。このHIV-1 発現プラスミドをtransfection し,shRNA発現プラスミド(NMT1 siRNA target site 1)でhNMT1 遺伝子を抑制した細胞からrelease されるHIV-1の感染価はコントロールの約50%に低下した。一方,hNMT2遺伝子を抑制した細胞(NMT2 siRNA target site 1)からrelease されるHIV-1の感染価は変化が認められなかった。また、dsRNA処理による抑制効果を検討した結果、hNMT1 遺伝子を抑制した細胞(NMT1 siRNA target site 2)からrelease されるHIV-1の感染価はコントロールの約40%に低下した。一方,hNMT2遺伝子を抑制した細胞(NMT2 siRNA target site 2)からrelease されるHIV-1の感染価はコントロールの約60%に低下した。以上の結果から、HIV-1の複製、感染性にはhNMT1が重要であることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、蛋白質のN−ミルストイル化を示す。
【図2】図2は、ヒトNMT1とヒトNMT2のアミノ酸配列の比較を示す。
【図3】図3は、siRNAによる標的mRNAの分解機構、並びに本発明で利用可能な標的部位及びshRNA及びdsRNAの具体例を示す。
【図4】図4は、siRNAの標的部位を示す。
【図5】図5は、hNMT1又はhNMT2特異的siRNAのHIV−1複製に対する効果を測定した結果を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0059】
SEQUENCE LISTING
<110> Kumamoto University
<120> NMT1 specific siRNA
<130> A51128A
<160> 16
<210> 1
<211> 19
<212> DNA
<213> human
<400> 1
gacagctggg ctgcgacca 19
<210> 2
<211> 25
<212> DNA
<213> human
<400> 2
gcgaccaatg gaaacaaagg acatt 25
<210> 3
<211> 25
<212> DNA
<213> human
<400> 3
ggacggcaac ctgcagtatt acctt 25
<210> 4
<211> 47
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 4
gacagcuggg cugcgaccau ucaagagaug gucgcagccc agcuguc 47
<210> 5
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 5
gcgaccaaug gaaacaaagg acauu 25
<210> 6
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 6
cgcugguuac cuuuguuucc uguaa 25
<210> 7
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 7
ggacggcaac cugcaguauu accuu 25
<210> 8
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 8
ccugccguug gacgucauaa uggaa 25
<210> 9
<211> 19
<212> DNA
<213> human
<400> 9
gtcagactcg gcatctgat 19
<210> 10
<211> 25
<212> DNA
<213> human
<400> 10
gctcaaggag ttatacacgt tgtta 25
<210> 11
<211> 25
<212> DNA
<213> human
<400> 11
gccacatgca gatactggca tcgat 25
<210> 12
<211> 46
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 12
gucagacucg gcaucugaug agaacuuauc agaugccgag ucugac 46
<210> 13
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 13
gcucaaggag uuauacacgu uguua 25
<210> 14
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 14
cgaguuccuc aauaugugca acaau 25
<210> 15
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 15
gccacaugca gauacuggca ucgau 25
<210> 16
<211> 25
<212> RNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Transcribed RNA
<400> 16
cgguguacgu cuaugaccgu agcua 25


【特許請求の範囲】
【請求項1】
hNMT1の機能を阻害し、hNMT2の機能を阻害しないことを特徴とするshRNA、dsRNA又はsiRNA。
【請求項2】
配列番号1、2又は3で示される塩基配列を標的配列とする、請求項1に記載のshRNA、dsRNA又はsiRNA。
【請求項3】
以下の何れかのshRNA、dsRNA又はsiRNA。
(1)配列番号1〜3の何れかに記載の塩基配列を標的とするsiRNA;
(2)配列番号4に記載の塩基配列からなるshRNA;
(3)配列番号5に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号6に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNA;又は
(4)配列番号7に記載の塩基配列からなるセンス鎖RNAと配列番号8に記載の塩基配列からなるアンチセンス鎖RNAとから構成されるdsRNA:
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載のshRNA、dsRNA又はsiRNAを発現することができる発現ベクター。
【請求項5】
請求項1から3の何れかに記載のshRNA、dsRNA又はsiRNA、又は請求項4に記載の発現ベクターを有効成分として含む、NMT1阻害剤。
【請求項6】
請求項1から3の何れかに記載のshRNA、dsRNA又はsiRNA、又は請求項4に記載の発現ベクターを有効成分として含む、抗HIV薬。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−223173(P2006−223173A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40232(P2005−40232)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年8月25日 社団法人日本生化学会発行の「生化学 第76巻 第8号」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年9月9日から10日 熊本大学主催の「熊本エイズセミナー」において文書をもって発表
【出願人】(504159235)国立大学法人 熊本大学 (314)
【Fターム(参考)】