説明

P2X7調節因子としての5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド誘導体

本発明は、式(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。ここで、Rは、C1−4アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルメチル−、フェニル−X−、またはヘテロアリールを表し、いずれも任意に置換されていてよく;Xは−(CR1213−を表し;nは、0から2を表し;R、R8、R、R10、およびR11は、独立に、H、ハロゲン、またはシアノ;または任意に置換されているC1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、もしくはC3−6シクロアルキルを表すが;このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つがH以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つがH以外の基を表し;ここで、前記化合物が、N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−5−オキソ−1−(フェニルメチル)−3−ピロリジンカルボキサミド以外である。前記化合物および塩は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能であると考えられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能な(「P2X7受容体拮抗剤」)5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド誘導体;それらの調製方法;それらを含む医薬組成物;およびそのような化合物の療法における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
P2X7受容体は、造血系の細胞、例えば、マクロファージ、ミクログリア、マスト細胞、およびリンパ球(TおよびB)に発現されるリガンド開口型イオンチャネルであり(例えば、Collo, et al. Neuropharmacology, Vol.36, pp1277-1283 (1997)を参照)、細胞外ヌクレオチド、特にアデノシン三リン酸(ATP)により活性化される。P2X7受容体の活性化は、巨細胞形成、脱顆粒、細胞傷害性細胞死、CD62L脱落、細胞増殖の制御、ならびにインターロイキン1β(IL−1β)(例えば、Ferrari, et al., J. Immunol., Vol.176, pp3877-3883 (2006))および腫瘍壊死因子α(TNFα)(例えば、Hide, et al. Journal of Neurochemistry, Vol.75, pp965-972 (2000))などの炎症促進性サイトカインの放出への関与が示唆されてきた。P2X7受容体は、抗原提示細胞、ケラチノサイト、耳下腺細胞、肝細胞、赤血球、赤白血病細胞、単球、線維芽細胞、骨髄細胞、ニューロン、および腎メサンギウム細胞にも局在化している。さらに、P2X7受容体は、中枢および末梢神経系中のシナプス前終末により発現され、グリア細胞中のグルタメート放出を媒介することが示されている(Anderson, C. et al. Drug. Dev. Res., Vol.50, page 92 (2000))。
【0003】
免疫系の主要な細胞へのP2X7受容体の局在化は、それらの細胞から重要な炎症性メディエーターを放出するその能力と相まって、疼痛および神経変性疾患を含む広範囲の疾病の治療におけるP2X7受容体拮抗剤の潜在的な役割を示唆している。最近の前臨床インビボ試験が、炎症性疼痛および神経因性疼痛の両方にP2X7受容体が関与していることを直接示している一方で(Dell’Antonio et al., Neurosci. Lett., Vol.327, pp87-90 (2002),. Chessell, IP., et al., Pain, Vol.114, pp386-396 (2005), Honore et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., Vol.319, p1376-1385 (2006))、P2X7受容体が皮質ニューロンのミクログリア細胞誘発性の死を媒介するというインビトロの証拠もある(Skaper, S.D., et al., Glia, Vol.54, p234-242 (2006))。また、アルツハイマー病のトランスジェニックマウスモデルのβアミロイドプラーク周囲にP2X7受容体の発現増加が観察された(Parvathenani, L. et al. J. Biol. Chem., Vol.278(15), pp13309-13317 (2003))。
【0004】
本発明は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能な(P2X7受容体拮抗剤)化合物を提供する。
【0005】
本発明の第1の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含んでなる医薬組成物が提供される:
【化1】

【0006】
上式において、
は、C1−4アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルメチル−、フェニル−X−、またはヘテロアリールを表し、これらはいずれも任意に、C1−6アルキル、CF、−O−C1−6アルキル、CN、または1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されていてよく;
Xは−(CR1213−を表し;
12およびR13は、水素またはC1−6アルキルを表し;
nは、0から2から選択される整数を表し;
、R、R、R、およびRは、独立に、水素、フッ素、またはメチルを表し;R、R8、R、R10、およびR11は、独立に、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、シアノ、C1−6アルキル(例えばメチル)、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキルを表すが、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−6シクロアルキル基のいずれも任意に、1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されていてよく、
このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つは水素以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つが水素以外の基を表す。
【0007】
本発明の第2の態様において、式(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩が提供される:
【化2】

【0008】
上式において、
は、C1−4アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルメチル−、フェニル−X−、またはヘテロアリールを表し、これらはいずれも任意に、C1−6アルキル、CF、−O−C1−6アルキル、CN、または1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されていてよく;
Xは−(CR1213−を表し;
12およびR13は、水素またはC1−6アルキルを表し;
nは、0から2から選択される整数を表し;
、R、R、R、およびRは、独立に、水素、フッ素、またはメチルを表し;R、R8、R、R10、およびR11は、独立に、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、シアノ、C1−6アルキル(例えばメチル)、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキルを表すが、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−6シクロアルキル基のいずれも任意に、1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されていてよく;
このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つが水素以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つが水素以外の基を表し;
ただし、式(IA)の化合物が、
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−5−オキソ−1−(フェニルメチル)−3−ピロリジンカルボキサミド
以外である。
【0009】
本明細書では、「アルキル」という用語(基または基の一部として使用される場合)は、特定の数の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖を意味する。例えば、C1−6アルキルは、少なくとも1つ、最大で6つの炭素原子を含む直鎖または分岐の炭化水素鎖を意味する。アルキルの例には、メチル(Me)、エチル(Et)、n−プロピル、i−プロピル(イソプロピル)、n−ブチル、i−ブチル(イソブチル)、sec−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、およびi−ヘキシルがあるが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書では、「アルケニル」という用語は、特定の数の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭素原子鎖であって、少なくとも1つの炭素−炭素結合が二重結合である炭化水素鎖を意味する。アルケニルの例には、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、i−ブテニル、n−ペンテニル、およびi−ペンテニルがあるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書では、「アルキニル」という用語は、特定の数の炭素原子を含む直鎖または分岐の炭素原子鎖であって、少なくとも1つの炭素−炭素結合が三重結合である炭化水素鎖を意味する。アルキニルの例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、i−ペンチニル、n−ペンチニル、i−ヘキシニル、およびn−ヘキシニルがあるが、これらに限定されない。
【0012】
「シクロアルキル」という用語は、特記されない限り、閉環した三員から八員の非芳香族の環を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであり、特にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
【0013】
「ハロゲン」という用語は、本明細書において、特記されない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素である基を意味するように使用される。
【0014】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、酸素、窒素、および硫黄から選択されるヘテロ原子を1から4つ含む、五員〜六員の単環芳香環または縮合した八員〜十員の二環式芳香環を意味する。そのような単環芳香環の例としては、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピラゾリル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジル、トリアジニル、テトラジニルなどが挙げられる。縮合芳香環の例としては、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリルなどが挙げられる。
【0015】
本発明が、基または特徴(例えば、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、X、および/またはnの)の特別な、好ましい、好適な、または他の実施形態の可能な組み合わせ全てを網羅および開示し、例えば、実施形態が本明細書に記載されている異なる基または特徴の実施形態の可能な組み合わせ全てを網羅および開示することが理解できよう。
【0016】
ある特別な実施形態において、Rは、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、またはイソブチル)を表す。
【0017】
ある特別な実施形態において、Rは、C3−6シクロアルキル(例えばシクロプロピル)を表す。さらに特別な実施形態において、Rは、C3−5シクロアルキル(例えばシクロプロピル)を表す。
【0018】
ある実施形態において、Rは、フェニル−X−(例えば、フェニル−CH(Me)−またはフェニルCH−)を表す。ある実施形態において、Xは、−CH(Me)−または−CH−を表す。
【0019】
ある好ましい実施形態において、Rは、C1−4アルキル(例えば、メチル、エチル、またはイソブチル)、またはC3−5シクロアルキル(例えばシクロプロピル)を表す。例えば、Rは、メチル、エチル、イソブチル、またはシクロプロピルを表すことがある。好ましくは、Rは、メチル、エチル、またはシクロプロピルを表す。
【0020】
ある特別な実施形態において、R、R、R、R、およびRは、それぞれ水素を表す。
【0021】
ある特別な実施形態において、Rは、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されている(例えば−CF)C1−6アルキル(例えばメチル)を表す。したがって、特別な実施形態において、Rは、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、メチル、または−CFを表す。さらに特別な実施形態において、Rは、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)を表す。好ましくは、Rは塩素を表す。
【0022】
ある特別な実施形態において、Rは、水素、または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されている(例えば−CF)C1−6アルキル(例えばメチル)を表す。特別な一実施形態において、Rは、水素、メチル、または−CFを、より詳細には水素または−CFを表す。
【0023】
ある特別な実施形態において、Rは、水素またはハロゲン(例えば、フッ素または塩素)を表す。
【0024】
ある特別な実施形態において、R10は、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されている(例えば−CF)C1−6アルキル(例えばメチル)を表す。したがって、特別な一実施形態において、R10は、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、メチル、または−CFを、より詳細には、水素、フッ素、塩素、または−CFを表す。さらに特別な実施形態において、R10は水素を表す。
【0025】
ある特別な実施形態において、R11は、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン(例えばフッ素)原子により置換されている(例えば−CF)C1−6アルキル(例えばメチル)を表す。したがって、特別な一実施形態において、R11は、水素、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、メチル、または−CFを表す。さらに特別な実施形態において、R11は水素を表す。
【0026】
本発明の一実施形態において、以下からなる群から選択される、式(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩が提供される:
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−5−オキソ−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−3−ピロリジンカルボキサミド(E1);
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E2);
1−シクロプロピル−N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E3);
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E4);
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E5);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E6);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E7);
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E8);
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−(2−メチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E9);
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−1−(2−メチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E10);および
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−オキソ−1−(フェニルメチル)−3−ピロリジンカルボキサミド(E11);
またはこれらの薬学的に許容できる塩。
【0027】
本発明の一実施形態において、E1〜E12からなる群から選択される、式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物が提供される。
【0028】
P2X7の拮抗剤は、種々の疼痛病態(例えば、神経因性疼痛、慢性炎症性疼痛、または内臓痛)、炎症(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)、または神経変性疾患、特にアルツハイマー病の予防、治療、または寛解に有用であろう。P2X7拮抗剤は、関節リウマチまたは炎症性腸疾患の管理において有用な治療薬となることがある。
【0029】
P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能な(P2X7受容体拮抗剤)本発明の化合物または塩は、P2X7受容体機能の競合的拮抗剤、逆作動剤、または負のアロステリック調節因子のことがある。
【0030】
本発明の特定の化合物は、ある場合には、その酸付加塩を形成することがある。医学における使用には、本発明の化合物を塩として使用してよく、その場合、塩は薬学的に許容できなくてはならないことが認識されるであろう。薬学的に許容できる塩としては、Berge, Bighley and Monkhouse , J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているものが挙げられる。
【0031】
本発明の塩基性化合物は、無機酸または有機酸などの薬学的に許容できる酸と塩を形成することがある。そのような酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0032】
薬学的に許容できる塩の例としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、パモ酸、コハク酸、塩化水素酸、硫酸、ビスメチレンサリチル酸(bismethylenesalicylic)、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p−アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、リン酸、および硝酸から形成されるものが挙げられる。
【0033】
本発明の化合物または薬学的に許容できる塩は、結晶形態にも、非結晶形態にも調製でき(例えば、結晶形態またはアモルファス固体形態)、特に結晶の場合、例えば水和物のように任意に溶媒和されていてよい。本発明は、その範囲内に、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の溶媒和物(例えば水和物)、例えば化学量論的溶媒和物(例えば水和物);および変動する量の溶媒(例えば水)を含む化合物または塩を含む。
【0034】
本発明の特定の化合物または塩は、立体異性形態(例えばジアステレオマーおよびエンチオマー)で存在することができるが、本発明は、これらの立体異性形態のそれぞれおよびラセミ体を含むそれらの混合物に及ぶ。異なる立体異性形態は、通常の方法により互いに分離できるが、立体特異的合成または不斉合成により特定の異性体を得ることもできる。本発明は、互変異性形態およびそれらの混合物にも及ぶ。
【0035】
主題となる発明は、同位体標識された化合物またはその塩も含むが、それらは、1つ以上の原子が、天然に最も普通に存在する原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を持つ原子により置換されている事実を除けば本発明の化合物と同じである。本発明の化合物または塩に取り入れることのできる同位体の例としては、3H、11C、14C、18F、123I、および125Iなど、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位体が挙げられる。
【0036】
上述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物および前記化合物の薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内である。同位体標識された本発明の化合物または塩、例えば3H、14Cなどの放射性同位体が取り込まれた化合物は、薬剤および/または基質組織分布アッセイ(drug and/or substrate tissue distribution assays)に有用な可能性がある。トリチウム化した、すなわち3H、および炭素14、すなわち14C同位体は、例えば、調製の容易さ(場合による)および/または検出性のために任意に選択される。11Cおよび8F同位体は、PET(ポジトロン断層法)に有用なことがあり、125I同位体はSPECT(単一光子放出型コンピュータ断層撮影法)に有用なことがある。PETおよびSPECTは、脳のイメージングに有用なことがある。さらに、重水素、すなわち2Hなど、より重い同位体により置換すると、より大きな代謝安定性、例えばインビボ半減期の増大または投与要求量(dosage requirements)の低下などから生じる特定の効果が生じることがあり、そのためある状況では選択してもよい。本発明の同位体標識された化合物または塩は、一実施形態において、そしていくつかの場合において、同位体標識されていない試薬を利用可能な同位体標識されている試薬に替えることにより、本明細書に、例えば以下の実施例中に開示される手順を実施して調製される。
【0037】
本発明のさらに特別な態様は、放射性同位元素により標識された化合物または塩ではない、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。特別な実施形態において、前記化合物または塩は、同位体標識された化合物または塩ではない。
【0038】
臨床適応、医薬組成物、および用量
本発明の化合物または薬学的に許容できる塩は、P2X7受容体機能を調節し、P2X7受容体でのATPの作用に拮抗可能(「P2X7受容体拮抗剤」)なので、それらは、急性疼痛、慢性疼痛、慢性関節痛、筋骨格痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、内臓痛、ガンに関連する疼痛、偏頭痛に関連する疼痛、緊張性頭痛または群発頭痛、機能性腸障害に関連する疼痛、腰痛および/または頸部痛、捻挫および/または筋違えに関連する疼痛、交感神経依存性疼痛;筋炎、インフルエンザまたは通常の風邪など他のウイルス感染症に関連する疼痛、リウマチ熱に関連する疼痛、心筋虚血に関連する疼痛、術後痛、ガン化学療法、頭痛、歯痛、または月経困難症などの疼痛の治療に有用であろうと思われる。
【0039】
慢性関節痛病態は、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ性脊椎炎(強直性脊椎炎)、痛風関節炎、または若年性関節炎のことがある。
【0040】
炎症性疼痛病態は、関節リウマチ、骨関節炎、リウマチ性脊椎炎(強直性脊椎炎)、または線維筋痛症のことがある。
【0041】
特に、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、関節リウマチまたは骨関節炎の疼痛(例えば炎症性疼痛)など、関節の疼痛(例えば炎症性疼痛)の治療または予防(prevention)(治療または予防(prophylaxis))に有用なことがある。
【0042】
機能性腸障害に関連した疼痛としては、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、および過敏性腸症候群が挙げられる。
【0043】
神経因性疼痛病態は、糖尿病性神経障害(例えば、有痛性糖尿病性神経障害)、座骨神経痛、非特異的腰痛、三叉神経痛、多発性硬化症痛、線維筋痛症、HIV関連神経障害、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、もしくは腰部神経根障害;または、物理的外傷、切断、幻肢症候群、脊髄手術、ガン、毒素、または慢性炎症状態から生じる疼痛のことがある。或いは、神経因性疼痛病態は、「ピンと針」などの通常無痛の感覚に関連した疼痛(錯感覚および/または異常感覚)、接触への感受性増大(知覚過敏)、無害な刺激の後の痛みの感覚(動的、静的、温感、または冷感アロディニア)、有害な刺激への感受性増大(温、冷、機械的痛覚過敏)、刺激の除去後に持続する痛みの感覚(痛覚異常過敏)、または選択的な感覚経路の欠如または欠損(痛覚鈍麻)のことがある。
【0044】
急性疼痛病態は、手術後の疼痛または月経困難症(例えば原発性月経困難症)のことがある。
【0045】
本発明の化合物により治療が可能であろう他の病態としては、発熱、炎症、免疫疾患、血小板機能異常(例えば閉塞性血管病)、インポテンツまたは勃起不全;異常な骨の代謝または吸収により特徴づけられる骨の疾患;シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の血液動態副作用、心臓血管疾患;神経変性疾患および神経変性、外傷後の神経変性、耳鳴り、オピオイド(例えばモルヒネ)、CNS(中枢神経系)抑制薬(例えばエタノール)、精神刺激剤(例えばコカイン)またはニコチンなどの依存性を誘発する薬剤への依存;1型糖尿病の合併症、腎機能障害、肝機能障害(例えば、肝炎、肝硬変)、胃腸機能障害(例えば下痢)、結腸ガン、過活動膀胱、および切迫性尿失禁が挙げられる。鬱病およびアルコール依存症も、本発明の化合物または塩により治療できることがある。
【0046】
炎症および前記炎症に関連する炎症状態としては、関節炎(特に、関節リウマチまたは骨関節炎)、皮膚病態(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、乾癬)、髄膜炎、眼病、例えば、緑内障、網膜炎、網膜症、ブドウ膜炎、眼組織への急性損傷(例えば結膜炎)、炎症性肺疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、呼吸窮迫症候群、鳩飼病、農夫肺、慢性閉塞性肺疾患(COPD、気管支炎および/または肺気腫を含む)、または気道過敏症);消化管疾患(例えば、アフタ性潰瘍、クローン病、アトピー性胃炎(atopic gastritis)、バリアロフォルメ胃炎(gastritis varialoforme)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、または胃食道逆流症);臓器移植および炎症成分による他の病態、例えば、血管疾患、偏頭痛、結節性動脈周囲炎、甲状腺炎、再生不良性貧血、ホジキン病、スクレロドーマ(sclerodoma)、重症筋無力症、多発性硬化症、サルコイドーシス、ネフローゼ症候群、ベーチェット症候群、歯肉炎、心筋虚血、発熱、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、腱炎、滑液包炎、およびシェーグレン症候群が挙げられる。炎症および前記炎症に関連する炎症状態は、特に関節炎(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)のことがある。
【0047】
免疫疾患としては、自己免疫疾患、免疫不全疾患、または臓器移植が挙げられる。
【0048】
異常な骨の代謝または吸収により特徴づけられる骨の疾患としては、骨粗鬆症(特に、閉経後骨粗鬆症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、骨パジェット病、骨溶解、骨転移を伴う、または伴わない悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、骨関節炎、骨痛、骨減少症、ガン性悪液質、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis)(特に、尿路結石症)、固形ガン、痛風、および強直性脊椎炎、腱炎、および滑液包炎が挙げられる。
【0049】
異常な骨の代謝または吸収により特徴づけられる骨の疾患は、本発明の化合物または薬学的に許容できる塩による考えられる治療には、特に関節リウマチまたは骨関節炎のことがある。
【0050】
心臓血管疾患には、高血圧または心筋虚血;アテローム性動脈硬化;機能性または有機的(functional or organic)静脈不全;静脈瘤療法;痔;および動脈圧の著しい低下に関連するショック状態(例えば、敗血症ショック)がある。
【0051】
神経変性疾患としては、認知症、特に変性認知症(老人性認知症、レビー小体型認知症、アルツハイマー病、ピック病、ハンチントン病、パーキンソン病およびクロイツフェルト・ヤコブ病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、または運動ニューロン病;特にはアルツハイマー病);血管性認知症(多発脳梗塞性認知症を含む);ならびに頭蓋内占拠性病変に関連する認知症;外傷;感染症および関連した病態(HIV感染、髄膜炎、および帯状疱疹を含む);代謝;毒素;無酸素症およびビタミン欠乏;および、例えば加齢に伴う軽度認知障害、特に加齢関連性記憶障害が挙げられる。
【0052】
例えば、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその塩により治療されるべき神経変性疾患は、例えば、変性認知症(特にアルツハイマー病)、血管性認知症(特に多発脳梗塞性認知症)、または軽度認知障害(MCI)、例えば、加齢関連性記憶障害などの加齢に伴うMCIのことがある。
【0053】
本発明の化合物または塩は、神経保護にも有用であり、脳卒中、心停止、肺バイパス、外傷性脳障害、脊髄損傷などの外傷後の神経変性の治療にも有用であるかもしれない。
【0054】
本発明の化合物または塩は、悪性細胞成長および/または転移、および筋芽細胞白血病(myoblastic leukaemia)の治療に有用であるかもしれない。
【0055】
1型糖尿病の合併症としては、糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、黄斑変性、緑内障、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、ブドウ膜炎、川崎病、およびサルコイドーシスが挙げられる。
【0056】
腎機能障害としては、腎炎、糸球体腎炎、特にメサンギウム増殖性糸球体腎炎、および腎炎症候群が挙げられる。
【0057】
別様に明白に述べられない限り、治療への言及が、確立された症状の治療および予防的治療の両方を含むことが理解できよう。
【0058】
本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、ヒトまたは動物用の医薬品に使用するための、および/または療法に利用するための式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を提供する。
【0059】
本発明の他の態様によると、本発明者らは、ヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトの、P2X7受容体に媒介される病態、例えば、本願に開示される病態または疾患(特に、疼痛、関節リウマチもしくは骨関節炎などの炎症、または神経変性疾患;より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)の治療または予防(例えば治療)に使用するための、式(I)もしくは(IA)の化合物または薬学的に許容できる塩を提供する。
【0060】
本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、P2X7受容体に媒介される病態、例えば、本願に開示される病態または疾患(特に、疼痛、関節リウマチもしくは骨関節炎などの炎症、または神経変性疾患;より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)を患っているヒトまたは動物(例えば齧歯動物、例えばラット)の被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0061】
本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、疼痛、炎症(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)、または神経変性疾患(より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)を患っているヒトまたは動物(例えば齧歯動物、例えばラット)の被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0062】
本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛(例えば、関節の炎症性疼痛などの疼痛(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎))を患っているヒトまたは動物(例えば齧歯動物、例えばラット)の被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0063】
本発明のさらなる態様によると、本発明者らは、アルツハイマー病を患っている被験者、例えばヒトの被験者を治療する方法であって、前記被験者に有効量の式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与する工程を含む方法を提供する。
【0064】
本発明の他の態様によると、本発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトのP2X7受容体の作用に媒介される病態、例えば、本願に開示される病態または疾患(特に、疼痛、関節リウマチもしくは骨関節炎などの炎症、または神経変性疾患;より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛などの疼痛)の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0065】
本発明の他の態様によると、本発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトの疼痛(例えば、炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛)、炎症(例えば、関節リウマチまたは骨関節炎)、または神経変性疾患(より詳細には、炎症性疼痛、神経因性疼痛、もしくは内臓痛などの疼痛、または関節リウマチもしくは骨関節炎)の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0066】
本発明の他の態様によると、本発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトの炎症性疼痛、神経因性疼痛、または内臓痛(特に、炎症性疼痛または神経因性疼痛;関節リウマチまたは骨関節炎などの関節の炎症性疼痛など)の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0067】
本発明の一実施形態において、本発明者らは、例えばヒトまたは齧歯動物などの哺乳動物、例えばヒトまたはラット、例えばヒトのアルツハイマー病の治療または予防(例えば治療)のための医薬を製造するための、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用を提供する。
【0068】
本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩を、ヒトおよび/または他の哺乳動物の治療に使用するために、製薬の慣例に従い任意に医薬組成物として処方することもできる。したがって、本発明の他の態様において、ヒトまたは動物用の医薬としての使用向けの式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む医薬組成物が提供される。
【0069】
式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を療法に使用するためには、製薬の慣例に従い、通常医薬組成物に処方されるであろう。本発明は、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩および薬学的に許容できるキャリアまたは賦形剤を通常含む医薬組成物も提供する。
【0070】
前記医薬組成物は、本明細書に記載されるとおり、治療の方法、使用、または治療または予防に使用することができる。
【0071】
本発明の医薬組成物は、例えば室温および/または大気圧で、混合により調製できるが、通常、経口、非経口、または直腸投与向けである。それ自体、医薬組成物は、錠剤、カプセル、経口液体調合物、粉末、顆粒、トローチ剤、再構成可能な粉末、注射用もしくは注入用の溶液もしくは懸濁液、または座薬の形態でよい。
【0072】
経口投与可能な医薬組成物が一般的に好ましい。
【0073】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、単位投与量形態(unit dose form)でよく、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポビドン)、フィラー(例えば、ラクトースおよび/またはミクロクリスタリンセルロース)、潤沢剤、例えば打錠滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたはクロスカルメロースナトリウムなどの錠剤崩壊剤)、および/または許容できる湿潤剤などの1種以上の賦形剤を含んでよい。例えば製薬の慣例に知られている方法に従い、錠剤をコーティングしてよい。
【0074】
経口液体調合物は、例えば、水性もしくは油性の懸濁液、溶液、エマルション、シロップ、またはエリクシルの形態でよく、水または他の好適にビヒクルにより使用前に再構成するための乾燥した製品の形態でもよい。そのような液体調合物は、懸濁剤(複数可)、乳化剤(複数可)、非水性ビヒクル(複数可)(食用油など)、および/または保存剤(複数可)、および/または、所望により、香味料(複数可)または着色料(複数可)などの添加剤(複数可)を含んでよい。
【0075】
非経口投与には、本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩および滅菌済みビヒクルを利用して、流体の単位剤形が調製されるのが典型的である。一実施形態において、化合物または塩は、使用されるビヒクルおよび濃度によって、ビヒクル中に懸濁または溶解される。溶液調製の際には、例えば、好適なバイアルまたはアンプルに充填し密封する前に、化合物または塩を、例えば注入のために溶解し濾過滅菌することができる。一実施形態において、局所麻酔などのアジュバント(複数可)、保存剤(複数可)、および/または緩衝剤(複数可)がビヒクルに溶解される。安定性を高めるため、例えば、バイアルへの充填後に組成物を凍結し、真空下で水を除去することができる。非経口懸濁液は、化合物または塩が典型的には溶解ではなくビヒクル中に懸濁される点と、滅菌が通常濾過によってなされない点を除いて、実質的に同じ方法で調製されるのが典型的である。化合物または塩は、滅菌されたビヒクルへの懸濁前に、例えばエチレンオキサイドへの曝露により滅菌できる。一実施形態において、例えば本発明の化合物または塩の均一な分布を促進するために、界面活性剤または湿潤剤が組成物中に含まれる。
【0076】
一実施形態において、組成物は、例えば投与の方法により、(組成物の重量で)0.1%から99%、詳細には0.1から60%または1から60%または10から60重量%の活性物質(本発明の化合物または薬学的に許容できる塩)を含む。組成物に含まれるキャリア(複数可)および/または賦形剤(複数可)は、例えば、組成物の重量で1%から99.9%、例えば10%から99%;および/または組成物の単位投与量あたり、20mgから2000mg、例えば50mgから1000mgなどの量で存在してよい。
【0077】
例えば、本明細書に記載されている疾患/疾病/病態の治療または予防(例えば治療)に使用するための化合物またはその薬学的に許容できる塩の投与量は、疾患の重篤度、患者の体重、および/または他の類似の因子により通常の方法で変わりうる。しかし、一般的な指針として、一実施形態において、0.05から2000mgまたは0.05から1000mg、例えば0.05から200mg、20から40mgなどの本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩(化合物として測定)の単位投与量を、例えば医薬組成物に使用できる。一実施形態において、そのような単位投与量は、例えばヒトなどの哺乳動物に1日1回投与するためのものである。別法として、そのような単位投与量は、例えばヒトなどの哺乳動物に、1日2回以上(例えば2回または3回)投与するためのこともある。そのような療法は、数日、数週間、数ヶ月、または数年にわたることもある。
【0078】
組み合わせ
式(I)もしくは(IA)の化合物またはその薬学的に許容できる塩は、他の(さらなる)治療薬、例えば上述の疾患の治療または予防(例えば治療)に有用であると主張される医薬と組み合わせて使用してもよい。
【0079】
そのようなさらなる他の治療薬の例としては、例えば、国際公開第2007/008155号および国際公開第2007/008157号に記載のとおり、呼吸器疾患(例えば、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD))の治療用のβ2作動薬(β2アドレナリン受容体作動薬としても知られる;例えばホルモテロール)および/またはコルチコステロイド(例えば、ブデソニド、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルまたはフロ酸エステルとして)、モメタゾン(例えばフロ酸エステルとして)、ベクロメタゾン(例えば、17−プロピオン酸エステルまたは17,21−ジプロピオン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えばアセトニドとして)、フルニソリド、ロフレポニド、およびブチキソコルト(例えばプロピオン酸エステルとして)が挙げられる。
【0080】
さらなる治療薬としては、例えば、国際公開第2006/083214号に記載のとおり、例えば心臓血管疾患(アテローム性動脈硬化など)の治療用の3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA(HMG CoA)レダクターゼ阻害剤(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチン)(例えば経口投与用)が挙げられる。
【0081】
さらなる治療薬としては、詳細には、例えば国際公開第2005/025571号に記載のとおり、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチまたは骨関節炎、および/または炎症性疼痛など)の治療用の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID;例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナック、エトドラク、フェノプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトララック(ketoralac)、オキサプロジン、ナブメトン、スリンダク、トルメチン、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ルマリコキシブ(lumaricoxib)、メロキシカム、エトリコキシブ、またはパレコキシブ;または、例えば、パラセタモール、ロキソプロフェン、またはアセクロフェナク;特に、セレコキシブ、パラセタモール、イブプロフェン、またはジクロフェナック)(例えば、経口投与用)が挙げられる。例えば、セレコキシブ(COX−2阻害剤)は、1日1回または2回、100mgまたは200mg(フリー塩基として測定)の投与レジメンで経口投与できる。
【0082】
さらなる治療薬には、詳細には、例えば国際公開第2004/105798号に記載のとおり、例えば炎症性疾病または疾患(例えば関節リウマチまたは骨関節炎)の治療用の腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害剤(例えば、エタネルセプトまたは抗TNFα抗体、例えばインフリキシマブおよびアダリムマブ)(例えば、皮下または静脈内投与などの非経口投与用)がある。
【0083】
さらなる治療薬としては、詳細には、抗CD20モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与など非経口用)、例えばオファツムマブ(HuMax−20(商標)、部分的にGenmab ASにより開発された)(例えば、静脈内投与用のオファツムマブ)、リツキシマブ、PRO70769、AME−133(Applied Molecular Evolution)、またはhA20(Immunomedics,Inc.);特にオファツムマブまたはリツキシマブが挙げられる。このさらなる治療薬は、例えば、炎症性疾病又疾患(関節リウマチもしくは骨関節炎、および/または炎症性疼痛など)の治療用になりうる。
【0084】
さらなる治療薬としては、例えば国際公開第2004/105797号に記載のとおり、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチなど)の治療用の2−ヒドロキシ−5−[[4−[(2−ピリジニルアミノ)スルホニル]フェニル]アゾ]安息香酸(スルファサラジン)が挙げられる。
【0085】
さらなる治療薬としては、詳細には、例えば国際公開第2004/105796号に記載のとおり、例えば経口投与用および/または、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチなど)の治療用のN−[4−[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸(メトトレキサート)が挙げられる。関節リウマチの治療には、メトトレキサートを、週に1度経口で7.5mgの投与レジメンでヒトに投与でき、2.5mgの分割された経口投与量を12時間間隔で1クールとして週に1度3回(合計7.5mg)の投与量を利用して投与できる。スケジュールは最適な応答を得られるように任意に徐々に調整できるが、典型的には週の合計経口投与量がメトトレキサート20mgを超えない。応答が得られたら、メトトレキサート投与量は、典型的には可能な最低の有効投与量に下げられる。
【0086】
さらなる治療薬としては、例えば国際公開第2004/073704号に記載されるとおり、例えば炎症性疾病または疾患(関節リウマチなど)の治療用のプロTNFα変換酵素(TACE)の阻害剤が挙げられる。
【0087】
さらなる治療薬としては以下のものが挙げられる:
例えば、国際公開第2006/003517号に記載のとおり、例えばIL−1(例えばIL−1β)媒介疾病(関節リウマチもしくは骨関節炎、および/または炎症性もしくは神経因性疼痛;特に関節リウマチ)の治療用の、
a)スルファサラジン;
b)スタチン(例えば経口投与用)、例えばアトルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、クリルバスタチン、ダルバスタチン、ロスバスタチン、テニバスタチン、フルインドスタチン、ベロスタチン、ダルバスタチン、ニスバスタチン、ベルバスタチン、ピタバスタチン、リバスタチン、グレンバスタチン、エプタスタチン、テニバスタチン、フルラスタチン(flurastatin)、ロスバスタチン、またはイタバスタチン;
c)グルココルチコイド剤(例えば、経口または皮膚局所投与用)、例えば、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、およびヒドロコルチゾン;
d)p38キナーゼの阻害剤(例えば経口投与用)
e)抗IL−6受容体抗体、例えば抗IL−6受容体モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与などの非経口用);
f)アナキンラ;
g)抗IL−1(例えばIL−1β)モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与などの非経口用);
h)JAK3タンパク質チロシンキナーゼの阻害剤;
i)抗マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)モノクローナル抗体;または
j)抗CD20モノクローナル抗体(例えば、静脈内投与などの非経口用)、例えば、リツキシマブ、オファツムマブ(HuMax−CD20(商標)、部分的にGenmab ASにより開発された)(例えば静脈内投与用のオファツムマブ)、PRO70769、AME−133(Applied Molecular Evolution)、またはhA20(Immunomedics,Inc.);特にリツキシマブまたはオファツムマブ。
【0088】
詳細には、さらなる治療薬または複数の治療薬は、パラセタモールおよび/またはオピオイド(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、またはブプレノルフィン;特に、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、またはトラマドール)などの、炎症性疼痛を治療できる治療薬または複数の治療薬になりうる。この/これらの治療薬(複数可)、および/またはこの/これらの治療薬(複数可)を含む組み合わせは、例えばヒトなどの哺乳動物の炎症性疼痛の治療用になりうる。例えば、パラセタモールは、1日に2回、3回、または4回投与される、500mgから1000mg(例えば、500mg、650mg、または1000mg、特に650mg)のパラセタモール(フリーの塩基/フリーの化合物として測定)のヒトの経口投与レジメンで投与できる。
【0089】
本発明の特別な実施形態において、さらなる治療薬または複数の治療薬は、以下のような神経因性疼痛を治療できる治療薬または複数の治療薬になりうる:
オピオイド(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、またはブプレノルフィン;特に、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、またはトラマドール;最も特にはモルヒネ)、
モノアミン再取り込み阻害剤(デュロキセチンまたはアミトリプチリンなど)、
プレガバリン、
ガバペンチン、
ガバペンチンエナカルビル(XP13512)、および/または
カルバマゼピン。
この/これらの治療薬(複数可)および/またはこの/これらの治療薬(複数可)を含む組み合わせは、例えばヒトなどの哺乳動物の神経因性疼痛の治療用になりうる。
【0090】
例えば、プレガバリンを、1日に2回から3回の投与量に分割して、1日総量150mgから600mgのプレガバリン(フリー塩基として測定)のヒトの経口投与レジメンで、例えば神経因性疼痛のために経口投与できる。例えば、帯状疱疹後神経痛(神経因性疼痛病態)には、プレガバリンを、1日総量150mgのプレガバリン(1日あたり2回から3回の投与量に分割)の出発経口投与レジメンで投与し、1日総量300mgのプレガバリンの経口投与レジメンに増加し(例えば約1週間で)、任意に1日総量600mgのプレガバリンの最大経口投与レジメンまで増加することができる。有痛性糖尿病性神経障害(別な神経因性疼痛病態)には、1日総量150mgから300mgのプレガバリンの経口投与レジメンを投与できる。線維筋痛症には、1日総量150mgから450mg(例えば300mgまたは450mg)のプレガバリンの経口投与レジメンを投与できる。プレガバリンは、例えば、本発明の化合物または塩と別々に投与することができる。
【0091】
例えば、ガバペンチンを、例えば神経因性疼痛のために経口投与できる。経口投与単位は、例えば、100mg、300mg、400mg、600mg、または800mgのガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)を含んでよい。神経因性疼痛のためのガバペンチン投与レジメンは、例えば、300mgを1日あたり1回、2回、または3回から、最大で総投与量3600mg/日でよい。投与レジメンのいくらかの漸増が通常実施される。例えば、成人の末梢神経因性疼痛には、以下のとおり用量設定してガバペンチン療法を開始できる:第1日=300mgのガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)を1日1回、第2日=300mgを1日2回、第3日=300mgを1日3回;別法としては、出発投与量を、三等分した投与量として投与される、900mg/日のガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)としてもよい。その後、例えば、個々の患者の応答および忍容性に応じて、投与量を、通常2〜3日ごとに300mg/日の増分で、3600mg/日のガバペンチン(フリーの塩基/酸として測定)の最大総投与量までさらに増やすことができる。ガバペンチン投与量のより緩やかな用量設定が、個々の患者に適切なこともある。総投与量1800mg/日に到達する最低時間は典型的には1週間であり、2400mg/日に到達するのは通常合計2週間であり、3600mg/日に到達するのは通常合計3週間である。ガバペンチンは、例えば本発明の化合物または塩と別々に投与することができる。
【0092】
例えば、ガバペンチンエナカルビル(XP13512、(±)−1−([(α−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]−アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸、ガバペンチンのプロドラッグ)を、例えば本発明の化合物または塩とは別々に、例えばヒトに経口投与することができる。一実施形態において、ガバペンチンエナカルビル(XP13512)は、例えばヒトの成人などのヒトに、例えば900mg/日から3600mg/日のガバペンチンに存在するモル量と等しいモル量のガバペンチンエナカルビルを有する総1日投与量で経口投与される(例えば、国際公開第02/100347号の81ページ24〜32行を参照)。投与量600mgのガバペンチンエナカルビル(フリーの酸として測定)は、312mgのガバペンチンのモル当量を含む。ヒトの薬物動態学試験に使用されるXP13512の経口投与量、投与レジメン、および製剤の例については、参照により本明細書に組み込まれるK.C. Cundy et al., “Clinical Pharmacokinetics of XP13512, a Novel Transported Prodrug of Gabapentin”, J. Clin. Pharmacol., 2008, e-publication 30 September 2008およびその中のthe Materials and Methods - Formulation and Study Designsセクションも参照されたい。
【0093】
本発明の特別な実施形態において、さらなる治療薬がオピオイド(モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、トラマドール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、メタドン、またはブプレノルフィン;特に、モルヒネ、フェンタニル、オキシコドン、またはトラマドール)を含む場合、オピオイドおよび/またはオピオイドを含む組み合わせは、例えばヒトなどの哺乳動物の疼痛、特に炎症性または神経因性疼痛の治療用である。
【0094】
前記化合物が他の治療薬と組み合わせて使用される場合、前記化合物は、任意の便利な経路により、連続にも同時にも投与できる。
【0095】
このように、本発明は、さらなる態様において、さらなる治療薬または複数の治療薬(例えば本明細書に定義のとおり)とともに本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含む組み合わせを提供する。
【0096】
本発明の組み合わせの個々の成分(すなわち、式(I)もしくは(IA)の化合物またはその塩、およびさらなる治療薬または複数の治療薬)は、別の医薬製剤/組成物として存在してよく、組み合わされた医薬製剤/組成物として存在してもよい(例えば、単一の組み合わされた経口剤形、例えば単一の組み合わされた錠剤またはカプセル中に一緒にあってもよい)。この組み合わせの個々の成分は、例えば、別の医薬製剤/組成物(例えば経口)中で連続に投与しても、別なまたは組み合わされた医薬製剤(複数可)/組成物(複数可)(例えば経口)中で同時に投与してもよい。特別な実施形態において、それらは、別な医薬製剤/組成物(例えば経口)中で連続に投与される。
【0097】
本明細書中で言及される組み合わせは、医薬製剤の形態で使用するために任意に表されてもよく、したがって、本明細書中で定義された組み合わせを、薬学的に許容できるキャリアまたは賦形剤とともに含む医薬製剤は本発明のさらなる態様を構成する。そのような組み合わせの個々の成分は、別なまたは組み合わせた医薬製剤中で、連続にも同時にも投与してよい。
【0098】
本発明の化合物またはその薬学的に許容できる塩が、同じ疾病状態に対して活性のある第2の治療薬と組み合わせて使用される場合、各成分の投与量が、化合物が単独で使用される場合とは異なる場合がある。
【0099】
以下の説明および実施例は、本発明の化合物の調製を説明するが、限定的なものではない。
【実施例】
【0100】
本明細書で使用される略語には以下のものがある。
Boc tert−ブチルオキシカルボニル
DMSO ジメチルスルホキシド
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン(PrNEt)
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtOAc 酢酸エチル
EtO ジエチルエーテル
EtOH エタノール
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−1−エタンスルホン酸
【化3】

HOBT 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
IPA イソプロパノール(イソプロピルアルコール)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
eq 当量
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
h 時間
min 分
LCMSまたはLC/MS 液体クロマトグラフィ/質量分析法
MDAP 質量分析計直結自動化(分取)HPLC
NMR 核磁気共鳴
TLC 薄層クロマトグラフィ
RT 室温(周囲温度);本明細書で別様に開示される以外は、通常約18から約25℃の範囲またはこの範囲内の部分範囲である。
【0101】
実施例1
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−5−オキソ−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−3−ピロリジンカルボキサミド(E1)
【化4】

【0102】
(3S)−5−オキソ−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−3−ピロリジンカルボン酸(50mg、0.21mmol)、2−クロロ−4−フルオロベンジルアミン(38mg、0.24mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(45mg、0.24mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(32mg、0.24mmol)、およびN−エチルモルホリン(30μL、0.24mmol)を、0℃のDCM:DMF(ジクロロメタン:ジメチルホルムアミド)(3:2)(5ml)中で合わせ、混合物が室温に達した後、終夜攪拌した。混合物を2MのHClおよびジクロロメタンで希釈し、ジクロロメタン層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。相分離器に通して二相系を濾過し、ジクロロメタンを蒸発させると粗生成物が得られた。粗生成物を、MDAPにより精製すると、透明な油として純粋な生成物が得られた。凍結乾燥すると、標題生成物N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−5−オキソ−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−3−ピロリジンカルボキサミドが白色固体として得られた。LC/MS[M+H]375、保持時間=2.76分。
【0103】
実施例2
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E2)
【化5】

【0104】
1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボン酸(100mg、0.59mmol)をジクロロメタン(DCM)に溶解させた。2−クロロ−4−フルオロベンジルアミン(103mg、0.65mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(88mg、0.65mmol)、N−エチルモルホリン(83μL、0.65mmol)、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(124mg、0.65mmol)を、室温でアルゴン下で加え、24時間攪拌した。混合物を2MのHClおよびジクロロメタンで希釈し、ジクロロメタン層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。相分離器に通して二相系を濾過し、ジクロロメタンを蒸発させると粗生成物が得られた。粗生成物を、MDAPにより精製すると、65mgの標題生成物N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミドが透明な油として得られた。LC/MS[M+H]311、保持時間=2.12分。
【0105】
実施例3
1−シクロプロピル−N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E3)
【化6】

【0106】
1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボン酸(169mg、1mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(306mg、2mmol)、および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(383mg、2mmol)を、ジクロロメタン(DCM)(5ml)中で、室温で30分間攪拌した。2,4−ジクロロベンジルアミン(199μL、1.5mol)を加え、溶液を室温で終夜攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルと水とで分画した。水を酢酸エチルで逆抽出し、有機相を合わせた。合わせた酢酸エチル抽出液を、3Nクエン酸溶液、水(x2)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、水(x2)、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、粗固体が得られた。粗生成物をMDAPにより精製すると、標題生成物1−シクロプロピル−N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(156mg)が得られた。LC/MS[M+H]327/329/331、保持時間=2.37分。
【0107】
実施例4〜12
上記実施例3に記載の方法と類似の方法で、以下の表(表1)にまとめた化合物を、上記手順で使用した1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボン酸を適切な酸に替え、1−[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メタンアミンを適切なベンジルアミンに替えることにより調製した。表1に列記した化合物の調製に使用した酸およびベンジルアミンは全て市販源から入手可能であるか、化学の文献に記載されている方法を利用して調製できる。
【0108】
【表1】


【0109】
実施例5A
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド−異性体の分離
【化7】

【0110】
実質的に上記実施例5に示す方法で調製したままのN−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド(E5)を、溶媒(複数可)に溶解させ、キラル固定相を持つカラムに通し、2つの立体異性体を分離したが、そのそれぞれの絶対的な立体化学は公知ではなかった。2つの立体異性体を単離した。
【0111】
1つの立体異性体が
【化8】

であり、他の立体異性体が
【化9】

であろうと考えられるが、確認はしていない。
【0112】
質量分析計直結自動化HPLC(MDAP)
上記実施例に示した場合、質量分析計直結自動化HPLCによる精製を、以下の装置および条件で実施した。
【0113】
ハードウェア
Waters2525バイナリグラジエントモジュール
Waters515メイクアップポンプ
Watersポンプコントロールモジュール
Waters2767インジェクトコレクト
Watersカラムフルイディクスマネジャー
Waters2996フォトダイオードアレイディテクター
WatersZQ質量分析計
Gilson202フラクションコレクター
GilsonAspec廃液回収器
【0114】
ソフトウェア
Watersマスリンクスバージョン4 SP2
【0115】
カラム
使用したカラムは、Watersのアトランティスであり、寸法は19mmx100mm(小規模)および30mmx100mm(大規模)である。固定相粒径は5μmである。
【0116】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.1%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.1%ギ酸
メークアップ溶媒=メタノール:水、80:20
ニードルリンス溶媒=メタノール
【0117】
方法
対象とする化合物の分析保持時間により使用される5種の方法がある。それらは実行時間が13.5分であるが、10分のグラジエントおよびその後の3.5分のカラムフラッシュおよび再平衡からなる。
大規模/小規模1.0−1.5=5〜30%B
大規模/小規模1.5−2.2=15〜55%B
大規模/小規模2.2−2.9=30〜85%B
大規模/小規模2.9−3.6=50〜99%B
大規模/小規模3.6−5.0=80〜99%B(6分間、次いで7.5分のフラッシュおよび再平衡)
【0118】
流速
上記の方法は全て、流速が20ml/分(小規模)または40ml/分(大規模)である。
【0119】
液体クロマトグラフィ/質量分析法
液体クロマトグラフィ/質量分析法(LC/MS)による上記実施例の分析は、以下の装置および条件を利用して実施した。
【0120】
ハードウェア
Agilent1100グラジエントポンプ
Agilent1100オートサンプラー
Agilent1100DAD検出器
Agilent1100脱気装置
Agilent1100オーブン
Agilent1100コントローラー
WatersZQ質量分析計
Sedereセデックス(Sedex)85
【0121】
ソフトウェア
Watersマスリンクスバージョン4.0 SP2
【0122】
カラム
使用したカラムは、Watersアトランティスであり、寸法は4.6mmx50mmである。固定相粒径は3μmである。
【0123】
溶媒
A:水性溶媒=水+0.05%ギ酸
B:有機溶媒=アセトニトリル+0.05%ギ酸
【0124】
方法
利用した一般的な方法は、実行時間が5分である。
【0125】
【表2】

【0126】
上記の方法は、流速が3ml/分である。一般的な方法の注入体積は5μlである。カラム温度は30度である。UV検出範囲は220から330nmである。
【0127】
薬理学的データ
本発明の化合物または塩を、以下の試験に従いP2X7受容体でのインビトロ生物活性に関して試験した。
【0128】
エチジウム蓄積アッセイ
以下の組成のNaClアッセイバッファを使用して試験を行った:140mMのNaCl、10mMのHEPES[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−1−エタンスルホン酸]、5mMのN−メチル−D−グルカミン、5.6mMのKCl、10mMのD−グルコース、0.5mMのCaCl(pH 7.4)。
【0129】
ヒトリコンビナントP2X7受容体を安定に発現しているヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を、ポリ−D−リジンで前処理された96ウェルプレートで18〜24時間成長させた(ヒトP2X7受容体のクローニングは、米国特許第6,133,434号に記載されており、例えばその中の実施例3を参照されたい)。細胞を350μlのアッセイバッファで2回洗浄し、その後P2X7受容体拮抗剤と思われる化合物を含む50μlのアッセイバッファを添加した(最初に化合物を溶解するため、少量のジメチルスルホキシドを任意に使用したので、この50μlの被験化合物サンプル中に存在している)。次いで細胞を室温で(19〜21℃)30分間インキュベートし、ATPおよびエチジウムを加えた(最終アッセイ濃度100μM)。ATP濃度は、受容体タイプに対してEC80に近くなるように選択し、ヒトP2X7受容体の試験では1mMであった。インキュベーションを8分または16分継続し、4mMのP2X7受容体拮抗剤Reactive Black5(Aldrich)を含む1.3Mスクロース25μlの添加により停止した。Canberra Packard Fluorocount(14ステーションロード、パンボーン、リーディング、バークシャー州 RG8 7AN、英国)またはMolecular Molecular Devices(660−665 エスクデールロード、ワーキンガム、バークシャー州、RG41 5TS、英国)のFlexStation II384により、プレートの下から蛍光を測定(励起波長530nm、発光波長620nm)して、エチジウムの細胞内蓄積を測定した。ATP応答を阻害する拮抗剤pIC50値は、反復曲線フィッティング技術を利用して決定した。
【0130】
蛍光イメージングプレートリーダー(FLIPR)Caアッセイ
ヒトP2X7用に以下の組成を持つNaClアッセイバッファを使用して試験を実施した:137mMのNaCl;20mMのHEPES[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジン−1−エタンスルホン酸];5.37mMのKCl;4.17mMのNaHCO;1mMのCaCl;0.5mMのMgSO;および1g/LのD−グルコース(pH 7.4)。
【0131】
ヒトリコンビナントP2X7受容体を安定に発現しているヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を、ポリ−D−リジンで前処理された384ウェルプレートで室温で24時間成長させた(ウェルの底に均一な細胞層が成長するのに十分な時間)。別法としては、ヒトP2X7受容体をコードする遺伝子を送達するように修飾されたバキュロウイルス(BecMam)ベクターにより形質導入された(すなわち一時的にヒトリコンビナントP2X7受容体を発現する)ヒト骨肉腫(U−2OS)細胞(市販)を、ウェルプレートがポリ−D−リジンにより前処理されていない点以外HEK293細胞の場合と実質的に同じ条件で成長させた(ヒトP2X7受容体のクローニングは、米国特許第6,133,434号に記載されており、例えばその中の実施例3を参照されたい)。細胞を、80μlのアッセイバッファで3回洗浄し、2μMのCa2+感受性、細胞透過性の蛍光染料Fluo4−AM[4−(6−アセトキシメトキシ−2,7−ジフルオロ−3−オキソ−9−キサンテニル)−4’−メチル−2,2’−(エチレンジオキシ)ジアニリン−N,N,N’N,’−四酢酸テトラキス(アセトキシメチル)エステル](Tef Labs. Inc.,9415 キャピタルビュードライブ、オースチン、テキサス州、78747、アメリカ合衆国)を37℃で1時間ロードし、再び3回洗浄し(3x80μl)、30μlのバッファとともに残し、P2X7受容体拮抗剤と思われる化合物を含むアッセイバッファ10μlを添加したが、化合物は選択される最終アッセイ濃度の4倍で加えられた。P2X7受容体拮抗剤と思われる化合物の溶液の作成は、(i)化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、最終アッセイ濃度の200倍のDMSOのストック溶液を作り、(ii)DMSO中に化合物が溶けているストック溶液1μlを50μlのアッセイバッファと混合して、最終アッセイ濃度の約4倍の溶液を作った。次いで、細胞を室温で30分間インキュベーションし、その後ベンゾイルベンゾイル−ATP(BzATP)を加え(オンライン、FLIPR384またはFLIPR3装置による、(Molecular Devices、1311 オーリンズドライブ、サニーベイル、カリフォルニア州、94089−1136、アメリカ合衆国))、60μMのBzATP最終アッセイ濃度にした(BzATPは、この最終濃度の5倍で加えられた)。BzATP濃度は、受容体タイプに対してEC80に近くなるように選択した。インキュベーションおよび読み取りを90秒間継続し、プレートの下から、FLIPR電荷結合素子(CCD)カメラにより蛍光を測定(励起波長488nm、発光波長516nm)して、細胞内のカルシウム増加を測定した。BzATP応答を阻害する拮抗剤pIC50値は、反復曲線フィッティング技術を利用して決定した。
【0132】
実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12の化合物を、FLIPR Caアッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)および/またはエチジウム蓄積アッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)で、ヒトP2X7受容体拮抗剤活性について試験したが、FLIPR Caアッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)において約4.7以上のpIC50値を持ち、エチジウム蓄積アッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)において5.5より大きいpIC50値を持つことが分かった。
【0133】
実施例3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12の化合物は、エチジウム蓄積アッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)において約6.5から約7.5のpIC50値を持つことが分かった。
【0134】
実施例5の化合物は、エチジウム蓄積アッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)において約7.2〜7.3のpIC50値を持つことが分かった。比較すると、実施例5Aの同じ化合物を分離した立体異性体(絶対的な立体化学が確認されていない)は、エチジウム蓄積アッセイ(またはそのわずかに変更したバージョン)において、それぞれ約6.7〜6.8および約7.3〜7.4のpIC50値を持つことが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容できる塩を含んでなる、医薬組成物:
【化1】

[式中、
は、C1−4アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルメチル−、フェニル−X−、またはヘテロアリールを表し、これらはいずれも任意に、C1−6アルキル、CF、−O−C1−6アルキル、CN、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されていてよく;
Xは−(CR1213−を表し;
12およびR13は、水素またはC1−6アルキルを表し;
nは、0から2から選択される整数を表し;
、R、R、R、およびRは、独立に、水素、フッ素、またはメチルを表し;かつ
、R8、R、R10、およびR11は、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキルを表し、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−6シクロアルキル基はいずれも任意に、1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されていてよく、
このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つが水素以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つが水素以外の基を表す]。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、
が、C1−4アルキルまたはC3−5シクロアルキルを表し;
、R、R、R、およびRがそれぞれ水素を表し;
が、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表し;
8が、水素または−CFを表し;
が、水素、フッ素、または塩素を表し;
10が、水素、フッ素、塩素、または−CFを表し;
11が、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表すが;
このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つが水素以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つが水素以外の基を表す、組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の組成物であって、
が、メチル、エチル、イソブチル、またはシクロプロピルを表し;
が塩素を表し;
10が水素を表し;
11が水素を表す、組成物。
【請求項4】
式(IA)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩:
【化2】

[式中、
は、C1−4アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキルメチル−、フェニル−X−、またはヘテロアリールを表し、これらはいずれも任意に、C1−6アルキル、CF、−O−C1−6アルキル、CN、または1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されていてよく;
Xは−(CR1213−を表し;
12およびR13は、水素またはC1−6アルキルを表し;
nは、0から2から選択される整数を表し;
、R、R、R、およびRは、独立に、水素、フッ素、またはメチルを表し;R、R8、R、R10、およびR11は、独立に、水素、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキルを表し、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、またはC3−6シクロアルキル基はいずれも任意に、1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されていてよく;
このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つが水素以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つが水素以外の基を表し;
ただし、式(IA)の化合物は、
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−5−オキソ−1−(フェニルメチル)−3−ピロリジンカルボキサミド
以外である]。
【請求項5】
が、C1−4アルキルまたはC3−5シクロアルキルを表す、請求項4に記載の化合物または塩。
【請求項6】
が、メチル、エチル、イソブチル、またはシクロプロピルを表す、請求項5に記載の化合物または塩。
【請求項7】
、R、R、R、およびRがそれぞれ水素を表す、請求項4、5、または6に記載の化合物または塩。
【請求項8】
請求項4、5、6、または7に記載の化合物または塩であって、
が、水素、ハロゲン、または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されているC1−6アルキルを表し;
8が、水素または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されているC1−6アルキルを表し;
が、水素またはハロゲンを表し;
10が、水素、ハロゲン、または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されているC1−6アルキルを表し;
11が、水素、ハロゲン、または任意に1、2、もしくは3つのハロゲン原子により置換されているC1−6アルキルを表し;
このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つが水素以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つが水素以外の基を表す、化合物または塩。
【請求項9】
請求項8に記載の化合物または塩であって、
が、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表し;
8が、水素または−CFを表し;
が、水素、フッ素、または塩素を表し;
10が、水素、フッ素、塩素、または−CFを表し;
11が、水素、フッ素、塩素、メチル、または−CFを表し;
このとき、R、R、R、R10、およびR11の少なくとも2つが水素以外の基を表し、RおよびR11の少なくとも1つが水素以外の基を表す、化合物または塩。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物または塩であって、
が塩素を表し;
10が水素を表し;
11が水素を表す、化合物または塩。
【請求項11】
以下からなる群から選択される、請求項4に記載の式(IA)の化合物:
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−5−オキソ−1−[(1R)−1−フェニルエチル]−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−[(2−クロロ−4−フルオロフェニル)メチル]−1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
1−シクロプロピル−N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−シクロプロピル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−1−メチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−エチル−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−1−(2−メチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;
N−[(2,4−ジクロロフェニル)メチル]−1−(2−メチルプロピル)−5−オキソ−3−ピロリジンカルボキサミド;および
N−{[2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−5−オキソ−1−(フェニルメチル)−3−ピロリジンカルボキサミド;
またはこれらの薬学的に許容できる塩。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩と、薬学的に許容できるキャリアまたは賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項13】
療法に使用するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩。
【請求項14】
疼痛、炎症、または神経変性疾患を患っているヒトまたは動物の被験者を治療する方法であって、
前記被験者に、有効量の請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩を投与することを含んでなる、方法。
【請求項15】
疼痛、炎症、または神経変性疾患の治療または予防のための医薬を製造するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容できる塩の使用。
【請求項16】
前記医薬が、炎症性疼痛、神経因性疼痛、内臓痛、関節リウマチ、または骨関節炎の治療または予防用である、請求項15に記載の使用。

【公表番号】特表2011−506554(P2011−506554A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538702(P2010−538702)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067733
【国際公開番号】WO2009/077559
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】