説明

P38MAPキナーゼインヒビターとしてのトリアゾロピリジン誘導体



式(I)の化合物は、とりわけ、気道の疾患の治療における抗炎症剤として有用なp38 MAPキナーゼのインヒビターであり、式中、Rは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、任意で置換されたフェニル、任意で置換された5員もしくは6員単環ヘテロアリール、または式(II)(式中、nは1または2であり、RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルであるか、またはRおよびRは、それらに結合する窒素とともに、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意で含む6員複素環を形成する)のラジカルであり、Yは−O−または−S(O)−(ここで、pは0、1または2である)であり、Aは、任意で置換された二価アリーレンラジカル、または単環もしくは二環ヘテロアリーレンラジカル、または5個もしくは6個の環原子を有するC−C二価シクロアルキレンラジカル、または環窒素がRNHC(=O)W−に結合しているピペリジニレンラジカルであり、Wは、結合、−NH−または−C(R)(R)(ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、アミノ、ヒドロキシルまたはハロである)であり、Rは特許請求の範囲で定義されたラジカルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ、気道の疾患の治療における抗炎症剤として有用なp38 MAPKインヒビターである化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)は、二重リン酸化によってその基質を活性化するプロリン指向性セリン/トレオニンキナーゼのファミリーを構成する。p38α、p38β、p38γおよびp38δという4つのヒトp38 MAPキナーゼアイソフォームが知られている。p38キナーゼは、サイトカイン抑制性抗炎症薬結合タンパク質(CSBP)、ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)およびRKとしても知られており、転写因子(例えば、ATF−2、MAX、CHOPおよびC/ERPb)ならびに他のキナーゼ(例えば、MAPKAP−K2/3またはMK2/3)のリン酸化(Stein et al.,Ann.Rep.Med Chem.,1996,31,289−298)および活性化に関与し、また、それら自体、物理的および化学的ストレス(例えば、UV、浸透圧)、炎症促進性サイトカインならびに細菌リポ多糖(LPS)によって活性化される(Herlaar E.& Brown Z.,Molecular Medicine Today,1999,5,439−447)。p38リン酸化の産物は、腫瘍壊死因子α(TNFα)やインターロイキン(IL)−1をはじめとする炎症性サイトカインと、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の産生を仲介することが示されている。IL−1とTNFαは、IL−6やIL−8などの他の炎症促進性サイトカインの産生を促進することも知られている。
【0003】
IL−1とTNFαは、単球またはマクロファージなどの種々の細胞によって産生される生体物質である。IL−1は、免疫調節や他の生理的状態(例えば、炎症)に重要であると考えられる種々の生物学的活性を仲介することが示されている(例えば、Dinarello et al.,Rev.Infect.Disease,1984,6,51)。過剰なまたは無秩序なTNF産生(特に、TNFα)は、いくつかの疾患の仲介または悪化の原因とされており、TNFが一般的な炎症作用の原因または一因となり得ると考えられている。IL−8は、単核球、線維芽細胞、内皮細胞、およびケラチノサイトをはじめとするいくつかの細胞型によって産生される走化性因子である。内皮細胞からのその産生は、IL−1、TNF、またはリポ多糖(LPS)によって誘導される。IL−8は、インビトロでいくつかの機能を刺激する。IL−8は、好中球、T−リンパ球および好塩基球に対する化学誘引物質特性を有することが示されている。IL−8産生の増加は、インビボでの炎症部位への好中球の走化性にも関与している。
【0004】
p38を介するシグナル伝達は、上記のIL−1、TNFおよびIL−8の他に、いくつかのさらなる炎症促進性タンパク質(例えば、IL−6、GM−CSF、COX−2、コラゲナーゼおよびストロメライシン)の合成および/または作用にも必要とされるが、このシグナル伝達の阻害は、過剰かつ破壊的な免疫系の活性化を調節するのに極めて有効な機構であると予想されている。この予想は、p38キナーゼインヒビターについて記載されている強力でかつ多様な抗炎症活性によって裏付けられる(Badger et al.,J.Pharm.Exp.Thera.,1996,279,1453−1461;Griswold et al.,Pharmacol.Comm.,1996,7,323−229)。特に、p38キナーゼインヒビターは、関節リウマチを治療するための候補薬剤として記載されている。p38活性化と慢性炎症および関節炎との関連の他に、気道疾患、特に、COPDと喘息の発症におけるp38の役割を示唆するデータもある。ストレス刺激(タバコ煙、感染または酸化物を含む)によって、肺環境内に炎症が生じることがある。p38のインヒビターは、LPSやオボアルブミンによって誘導される気道TNF−α、IL−1β、IL−6、IL−4、IL−5およびIL−13を阻害することが示されている(Haddad et al.,Br.J.Pharmacol.,2001,132(8),1715−1724;Underwood et al.,Am.J.Physiol.Lung Cell.Mol.2000,279,895−902;Duan et al.,2005 Am.J.Respir.Crit.Care Med.,171,571−578;Escort et al.,Br.J.Pharmacol.,2000,131,173−176;Underwood et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.2000,293,281−288)。さらに、p38のインヒビターは、LPS、オゾンまたはタバコ煙の動物モデルにおいて、好中球増加やMMP−9の放出を顕著に阻害する。肺で関連のあるp38キナーゼの阻害の潜在的利益を強調する相当な数の前臨床データもある(Lee et al.,Immunopharmacology,2000,47,185−200)。したがって、p38活性化の治療的阻害は、気道炎症の調節に重要であり得る。
【0005】
様々な疾患におけるp38MAPK経路の関与については、P.Chopra et al.(Expert Opinion on Investigational Drugs,2008,17(10),1411−1425)に概説されている。本発明の化合物を用いて、喘息、慢性または急性気管支収縮、気管支炎、急性肺損傷および気管支拡張症、肺動脈高血圧症、結核症、肺癌、一般的な炎症(例えば、炎症性腸疾患)、関節炎、神経炎症、疼痛、発熱、線維症、肺障害および肺疾患(例えば、高酸素肺胞障害)、心血管疾患、虚血後再灌流障害および鬱血性心不全、心筋症、卒中、虚血、再灌流障害、腎再灌流障害、脳浮腫、神経外傷および脳外傷、神経変性障害、中枢神経系障害、肝疾患および腎炎、胃腸病、潰瘍性疾患、クローン病、眼疾患、眼科的疾患、緑内障、眼組織の急性損傷および眼外傷、糖尿病、糖尿病性腎症、皮膚関連疾患、感染による筋肉痛、インフルエンザ、内毒素性ショック、毒素性ショック症候群、自己免疫疾患、移植拒絶反応、骨吸収疾患、多発性硬化症、乾癬、湿疹、女性の生殖器系の障害、病的(ではあるが、非悪性の)状態(例えば、血管腫、鼻咽頭の血管線維腫、および阻血性骨壊死)、良性および悪性の腫瘍/新生物(癌、白血病、リンパ腫を含む)、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管形成(新生物を含む)、出血、凝固、放射線障害、および/または転移などのp38媒介性疾患を治療することができると考えられている。活性のあるTNFの慢性放出によって、悪液質や食欲不振が生じることがあり、また、TNFは死をもたらすことがある。TNFは感染性疾患の原因ともされている。感染性疾患には、例えば、マラリア、マイコバクテリア感染および髄膜炎が含まれる。感染性疾患には、とりわけ、HIV、インフルエンザウイルス、およびヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)を含む)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス−6(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス−7(HHV7)、ヒトヘルペスウイルス−8(HHV−8)、仮性狂犬病および鼻気管炎などのウイルス感染も含まれる。
【0006】
既知のP38キナーゼインヒビターは、G.J.Hanson(Expert Opinions on Therapeutic Patents,1997,7,729−733)、J Hynes et al.(Current Topics in Medicinal Chemistry,2005,5,967−985)、C.Dominguez et al.(Expert Opinions on Therapeutics Patents,2005,15,801−816)およびL.H.Pettus & R.P.Wurtz(Current Topics in Medicinal Chemistry,2008,8,1452−1467)により概説されている。トリアゾロピリジンモチーフを含むP38キナーゼインヒビターは当該技術分野で公知である(例えば、WO07/091152号、WO04/072072号、WO06/018727号)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の化合物は、p38αキナーゼをはじめとするp38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(「p38 MAPK」、「p38キナーゼ」または「p38」)のインヒビターであり、TNFαおよびIL−8産生をはじめとするサイトカインおよびケモカイン産生のインヒビターである。本発明の化合物には、炎症性疾患、特に、アレルギー性および非アレルギー性気道疾患、より具体的には、慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)や喘息などの閉塞性または炎症性気道疾患の治療において、いくつかの治療用途がある。したがって、本発明の化合物は、鼻または口からの吸入による肺送達に特に適している。
【0008】
本発明によって、式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩が提供され、
式(I)中、
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、任意で置換されたフェニル、任意で置換された5員もしくは6員単環ヘテロアリールまたは式(II)
【0011】
【化2】

【0012】
式(II)中、nは1または2であり、RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルであるか、またはRおよびRは、それらに結合する窒素とともに、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意で含む6員複素環を形成する
のラジカルであり、
Yは−O−または−S(O)−であり、ここで、pは0、1または2であり、
Aは、任意で置換された二価アリーレンラジカル、または単環もしくは二環ヘテロアリーレンラジカル、または5個もしくは6個の環原子を有するC−C二価シクロアルキレンラジカル、または環窒素がRNHC(=O)W−に結合しているピペリジニレンラジカルであり、
Wは、結合、−NH−または−C(R)(R)−であり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、アミノ、ヒドロキシルまたはハロであり、
は、式(IIIA)、(IIIB)または(IIIC):
【0013】
【化3】

【0014】
式(IIIA)、(IIIB)または(IIIC)中、
mは0または1であり、
qは0、1、2または3であり、
Tは−N=または−CH=であり、
はHまたはFであり、
は、−CH、−C、−CHOH、−CHSCH、−SCHまたは−SCであり、
は−CHまたは−Cであり、
の各出現は、独立して、H、C−Cアルキル、ヒドロキシルもしくはハロであるか、またはRの1回の出現は、式(IVA)、(IVB)もしくは(IVC)
【0015】
【化4】

【0016】
のラジカルであり、その一方で、Rの任意の他の出現は、独立して、H、C−Cアルキル、ヒドロキシルもしくはハロであり、
式(IVA)、(IVB)もしくは(IVC)中、nおよびpは上で定義されたものであり、
において、R61aおよびR61bは、H、アルキルであるか、またはR61aおよびR61bは、それらが結合する窒素と結合して、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意で含む複素環を形成していてもよい
のラジカルである。
【0017】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物を1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤とともに含む薬学的組成物を含む。特に好ましいのは、肺投与用の吸入に適した組成物である。
【0018】
別の態様では、本発明は、p38 MAPキナーゼ活性の阻害から恩恵を受ける疾患または状態の治療のための本発明の化合物の使用を含む。閉塞性または炎症性気道疾患の治療が好ましい使用である。あらゆる形態の閉塞性または炎症性気道疾患、特に、慢性好酸球性肺炎、喘息、COPD、慢性気管支炎、肺気腫またはCOPDと関連するもしくは関連しない呼吸困難を含むCOPD、不可逆性進行性気道閉塞を特徴とするCOPD、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物治療による気道過敏症および肺高血圧症と関連する気道疾患の増悪、のう胞性線維症、気管支拡張症および肺線維症(特発性)をはじめとする慢性炎症性疾患からなる群から選択されるメンバーの閉塞性または炎症性気道疾患が本発明の化合物で潜在的に治療可能である。p38キナーゼインヒビターが、(例えば、吸入および鼻腔内送達によって)肺に局所的に投与されるか、または全身経路(例えば、経口、静脈内および皮下送達)で投与される場合に、効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】最後の暴露の24時間後のタバコ煙により誘導されるBAL細胞の数に対する、実験用マウスへのビヒクル(生理食塩水中の0.2% tween 80)、実施例10(30μg/kg)、実施例10(100μg/kg)または実施例10(300μg/kg)の鼻腔内投与の効果を示す棒グラフである。
【図2】最後の暴露の24時間後のタバコ煙により誘導されるBAL好中球の数に対する、実験用マウスへのビヒクル(生理食塩水中の0.2% tween 80)、実施例10(30μg/kg)、実施例10(100μg/kg)または実施例10(300μg/kg)の鼻腔内投与の効果を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
用語
本明細書で用いられる場合、用語「(C−C)アルキル」(ここで、aおよびbは整数である)は、a個からb個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルラジカルを指す。したがって、例えば、aが1、bが6のとき、この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルを含む。
【0021】
本明細書で用いられる場合、用語「炭素環」は、その全てが炭素である最大16個の環原子を有する単環、二環または三環ラジカルを指し、アリールおよびシクロアルキルを含む。
【0022】
本明細書で用いられる場合、用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する単環飽和炭素環ラジカルを指し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。
【0023】
用語「二価シクロアルキレンラジカル」は、次のような、1,3−シクロペンチレンや1,4−シクロヘキシレン
【0024】
【化5】

【0025】
などの2つの満たされていない結合価を有するシクロアルキルラジカルを指す。
【0026】
本明細書で用いられる場合、非制限用語「アリール」は、単環または二環炭素環芳香族ラジカルを指し、共有結合で直接結合した2つの単環炭素環芳香族環を有するラジカルを含む。このようなラジカルの実例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0027】
用語「二価アリーレンラジカル」は、次のような、1,3−フェニレンもしくは1,4−フェニレン:
【0028】
【化6】

【0029】
または次のような、1,4−ナフタレニル:
【0030】
【化7】

【0031】
などの2つの満たされていない結合価を有する単環または二環アリールラジカルを指す。
【0032】
本明細書で用いられる場合、非制限用語「ヘテロアリール」は、S、NおよびOから選択される1以上のヘテロ原子を含む単環または二環芳香族ラジカルを指し、共有結合で直接結合した、2つのそのような単環式環、または1つのそのような単環式環と1つの単環アリール環を有するラジカルを含む。このようなラジカルの実例は、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0033】
本明細書で用いられる場合、非制限用語「ヘテロシクリル」または「複素環」は、上で定義した「ヘテロアリール」を含み、その非芳香族的な意味では、S、NおよびOから選択される1以上のヘテロ原子を含む単環、二環または三環非芳香族ラジカルに、ならびに別のそのようなラジカルまたは単環炭素環ラジカルに共有結合した1以上のそのようなヘテロ原子を含む単環非芳香族ラジカルからなる基に関する。このようなラジカルの実例は、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピペリジニル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ピラゾリル基、ピリジニル基、ピロリジニル基、ピリミジニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、インドリル基、モルホリニル基、ベンゾフラニル基、ピラニル基、イソキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、メチレンジオキシフェニル基、エチレンジオキシフェニル基、マレイミド基およびスクシンイミド基である。
【0034】
用語「二価ヘテロアリーレンラジカル」は、以下のような、2つの満たされていない結合価
【0035】
【化8】

【0036】
を有する単環または二環ヘテロアリールラジカルを指し、以下のものが現在好ましい。
【0037】
【化9】

【0038】
それが存在する文脈において、別途指定しない限り、本明細書中の任意のアリール部分またはヘテロアリール部分に適用される用語「置換された」は、例えば、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ(芳香環の隣接する炭素原子上のメチレンジオキシ置換およびエチレンジオキシ置換を含む)、(C−C)フルオロアルコキシ、(C−C)アルコキシ−(C−C)アルキル、ベンジルオキシ−(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ−(C−C)アルコキシ、ベンジルオキシ−(C−C)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、メルカプト、メルカプト(C−C)アルキル、(C−C)アルキルチオ、シクロプロピル、ハロ(フルオロおよびクロロを含む)、O−ベンジル、ニトロ、ニトリル(シアノ)、−COOH、テトラゾリル、−COOR、−COR、−SO、−CONH、−SONH、−CONHR、−SONHR、−CONR、−SONR、−NH、−NHR、−NR、−OCONH、−OCONHR、−OCONR、−NHCOR、−NHCOOR、−NRCOOR、−NHSOOR、−NRSOOR、−NHCONH、−NRCONH、−NHCONHR、−NRCONHR、−NHCONR、または−NRCONR(ここで、RおよびRは、独立して、(C−C)アルキル基であるか、またはRおよびRは、同じ窒素に結合している場合、その窒素とともに、モルホリニル基、ピペリジニル基もしくはピペラジニル基などの環状アミノ基を形成していてもよい)から選択される少なくとも1つの置換基で置換されていることを意味する。「任意の置換基」は、上記のものに包含される置換基のうちの1つであり得る。
【0039】
本発明の化合物は、限定するものではないが、シス型およびトランス型、E型およびZ型、R型、S型およびメソ型、ケト型およびエノール型をはじめとする、1以上の幾何学的、光学的、鏡像異性的、ジアステレオマー的および互変異性的型で存在し得る。別途明記しない限り、特定の化合物への言及は、全てのそのような異性体型を含み、これにはラセミ化合物や他のその混合物が含まれる。適切な場合には、そのような異性体を、それらの混合物から既知の方法(例えば、クロマトグラフィー技術および再結晶技術)の応用または適応により分離することができる。適切な場合には、そのような異性体を、既知の方法(例えば、不斉合成)の応用または適応により調製し得る。
【0040】
本明細書で用いられる場合、用語「塩」は、塩基付加塩、酸付加塩およびアンモニウム塩を含む。上で簡潔に述べたように、酸性の本発明の化合物は、塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム);アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウムおよび水酸化マグネシウム));有機塩基(例えば、N−メチル−D−グルカミン、コリントリス(ヒドロキシメチル)アミノ−メタン、L−アルギニン、L−リジン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミンなど)と塩(薬学的に許容される塩を含む)を形成することができる。塩基性の本発明の化合物は、無機酸(例えば、塩酸もしくは臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸もしくはリン酸など)、および有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸、およびマンデル酸など)と塩(薬学的に許容される塩を含む)を形成することができる。塩基性窒素を有する化合物(I)は、薬学的に許容される対イオン(例えば、アンモニウム、クロリド、ブロミド、アセタート、フォルマート、p−トルエンスルホナート、スクシナート、ヘミ−スクシナート、ナフタレン−ビススルホナート、メタンスルホナート、トリフルオロアセタート、キシナホアートなど)と第4級アンモニウム塩を形成することができる。塩の概説については、Stahl and Wermuth(Wiley−VCH,Weinheim,Germany,2002)によるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Useを参照されたい。
【0041】
本発明の化合物は、水和物、および溶媒和物の形態で調製し得ると考えられる。「本発明が関連する化合物」または「本発明の化合物」または「本化合物」などに対する、本明細書中の特許請求の範囲を含む、本明細書中の任意の言及は、そのような化合物の塩、水和物、および溶媒和物に対する言及を含む。用語「溶媒和物」は、本発明の化合物と化学量論的量の1以上の薬学的に許容される溶媒分子(例えば、エタノール)とを含む分子複合体を説明するために本明細書中で用いられる。用語「水和物」は、該溶媒が水であるときに用いられる。
【0042】
個々の本発明の化合物は、いくつかの多形形態で存在することもあるし、様々な晶相で得られることもある。
【0043】
本化合物はまた、そのプロドラッグの形態で投与されてもよい。したがって、それ自体で活性がある可能性があるかまたはそれ自体では薬理活性がほとんどもしくは全くない可能性がある化合物の特定の誘導体を、体内または体表面に投与したときに、例えば、加水分解的切断によって、所望の活性を有する本発明の化合物に変換することができる。このような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems,第14巻,ACS Symposium Series(T.Higuchi and V.J.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design,Pergamon Press,1987(E.B.Roche編,American Pharmaceutical Association;CS.Larsen and J.Ostergaard,Design and application of prodrugs,In Textbook of Drug Design and Discovery,第3版,2002,Taylor and Francis)に見出し得る。
【0044】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物中に存在する適当な官能基を、例えば、H.BundgaardによるDesign of Prodrugs(Elsevier,1985)に記載されているような「プロ−部分(pro−moieties)」として当業者に知られている特定の部分と置き換えることによって生成させることができる。このような例は、カルボキシル基(例えば、アンピシリンのピバンピシリンプロドラッグで用いられているような−CO−O−CH−O−CO−tBu)、アミド(−CO−NH−CH−NAlk)またはアミジン(−C(=N−O−CH)−NH)のプロドラッグであり得る。
【0045】
本発明の化合物において、二価ラジカル−W−[A]−Y−は、例えば、下記の特定の実施例化合物中の対応するラジカルのいずれかであってもよい。例えば、そのラジカルは、以下の式(B)〜(J):
【0046】
【化10】

【0047】
のうちの1つであってもよい。
【0048】
本発明の化合物の1つのサブクラスは、式(IA):
【0049】
【化11】

【0050】
を有し、ここで、V、V’、XおよびX’は、独立して、−CH=または−N=であり、R、R、YおよびWは、式(I)に関して定義されたものである。このサブクラスでは、化合物は、式(IA):
【0051】
【化12】

【0052】
を有していてもよく、ここで、YはOまたはSであり、RおよびRは、式(I)に関して定義されたものである。
【0053】
本発明の化合物の別のサブクラスは、式(IB):
【0054】
【化13】

【0055】
を有しており、ここで、UはCHまたはNであり、R、R、YおよびWは式(I)に関して定義されたものであり、ただし、UがNの場合、WはNHではない。このサブクラスでは、化合物は、式(IB):
【0056】
【化14】

【0057】
を有していてもよく、ここで、YはOまたはSであり、RおよびRは、式(I)に関して定義されたものである。
【0058】
本発明の化合物のさらなるサブクラスは、式(IC):
【0059】
【化15】

【0060】
を有しており、ここで、YはOまたはSであり、Rは請求項1に定義されたものであり、Rは、フェニル、5員もしくは6員単環ヘテロアリール、または上の式(I)に関して定義された式(II)のラジカルである。
【0061】
上の式(IA)、(IA)、(IB)、(IB)、および(IC)のサブクラスを含む本発明の化合物において、特定の現在好ましい構造的特徴としては、以下のものが挙げられる。
【0062】
は、上の式(I)に関して定義された式(II)の基であってもよく、ここで、基−NRはモルホリニルである。
【0063】
は、イソプロピルまたは2,6−ジクロロフェニルであってもよい。
【0064】
は、上の式(I)に関して定義された式(IIIC)のラジカルであってもよく、ここで、RおよびRは各々メチルである。
【0065】
は、式(IIID)、(IIIE)、(IIIF)または(IIIG):
【0066】
【化16】

【0067】
を有していてもよい。
【0068】
は、式(I)に関して定義された式(IIIA)のラジカルであってもよく、ここで、mは0である。
【0069】
は、上の式(I)に関して定義された式(IIIB)のラジカルであってもよく、ここで、(a)Tは−CH=およびR=Hであるか、または(b)Tは−N=およびR=Hであるか、または(c)Tは−CH=およびR=Fである。
【0070】
二価ラジカルA中の任意の置換基としては、−CN、−F、−Cl、−Br、−NO、−OH、−SO−Cアルキル、−SO−C完全フッ素化アルキルまたは部分フッ素化アルキル、C−Cアルキル、完全フッ素化または部分フッ素化C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、完全フッ素化または部分フッ素化C−Cアルコキシ、および−SCFが挙げられる。
【0071】
二価ラジカルAは、1,3(メタ)配向または1,4(パラ)配向でYおよびWに結合したフェニレンまたはピリジニレンなどの6員環であってもよい。
【0072】
二価ラジカルAは、trans−1,4配向でWおよびYに結合したシクロヘキシレンラジカルであってもよい。
【0073】
Wは−CH−であってもよい。
【0074】
有用性
上述のように、本発明の化合物はp38MAPKインヒビターであり、したがって、p38酵素の阻害から恩恵を受ける疾患または状態の治療に対する有用性を有し得る。このような疾患および状態は文献から知られており、いくつかは上で述べられている。しかしながら、これらの化合物は、通常、特に呼吸器疾患の治療において使用される抗炎症剤として有用である。特に、これらの化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、または喫煙により誘発される肺気腫、内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息、軽度の喘息、中程度の喘息、重度の喘息、ステロイド抵抗性喘息、好中球性喘息、気管支炎性喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息および細菌感染後に誘発される喘息、のう胞性線維症、肺線維症ならびに気管支拡張症の治療において使用され得る。
【0075】
組成物
上述のように、本発明が関連する化合物はp38キナーゼインヒビターであり、いくつかの疾患、例えば、気道の炎症性疾患の治療において有用である。このような疾患の例は、上で言及されており、喘息、鼻炎、アレルギー性気道症候群、気管支炎および慢性閉塞性肺疾患を含む。
【0076】
任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時間、投与経路、排泄速度、薬物組合せおよび治療を受けている特定の疾患の重症度をはじめとする種々の因子によって決まることが理解されよう。最適な用量レベルおよび投与頻度は、薬学の技術分野で必要とされるような、臨床試験により決定される。一般に、経口投与の日用量範囲は、単一用量または分割用量で、ヒトの体重1kg当たり約0.001mg〜約100mg、多くの場合、1kg当たり0.01mg〜約50mg、例えば、1kg当たり0.1〜10mgの範囲内である。一般に、吸入投与の日用量範囲は、単一用量または分割用量で、ヒトの体重1kg当たり約0.1μg〜約1mg、好ましくは、1kg当たり0.1μg〜50μgの範囲内である。他方、場合によっては、これらの限度から外れた投薬量を使用する必要もあり得る。本発明の目的のために、吸入投与が好ましい。
【0077】
本発明が関連する化合物を、その薬物速度論的特性と一致する任意の経路による投与用に調製してもよい。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、ロゼンジ、液体製剤またはゲル製剤(例えば、経口、局所、または滅菌非経口溶液または懸濁液)の形態であってもよい。経口投与用の錠剤およびカプセルは、単位用量提示形態であってもよく、従来の賦形剤、例えば、結合剤(例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、もしくはポリビニルピロリドン);充填剤(例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールもしくはグリシン);錠剤化潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールもしくはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン)、または許容される湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を含んでいてもよい。錠剤は、通常の薬学的実施で周知の方法によりコーティングされてもよい。経口液体製剤は、例えば、水性または油性の懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップもしくはエリキシルの形態であってもよいし、または使用前に水もしくは他の好適なビヒクルで再構成される乾燥製品として提供されてもよい。このような液体製剤は、従来の添加剤、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、食用硬化脂肪);乳化剤(例えば、レシチン、ソルビタンモノオレアート、またはアカシア;(食用油を含み得る)非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、ヤシ油、油性エステル(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコール));防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはp−ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)、および所望により、従来の香味剤または着色剤を含んでいてもよい。
【0078】
皮膚への局所塗布の場合、薬物をクリーム、ローションまたは軟膏に仕上げてもよい。薬物に使用し得るクリーム製剤または軟膏製剤は、例えば、British Pharmacopoeiaなどの標準的な薬剤学の教科書に記載されているような、当該技術分野で周知の従来の製剤である。
【0079】
また、活性成分を滅菌媒体中で非経口投与してもよい。使用されるビヒクルや濃度に応じて、薬物をビヒクルに懸濁するかまたは溶解させることができる。有利には、局所麻酔薬、防腐剤および緩衝剤などのアジュバントをビヒクルに溶解させることができる。
【0080】
しかしながら、気道の炎症性疾患の治療の場合、本発明の化合物を、例えば、鼻腔用スプレー剤、または乾燥粉末吸入剤もしくはエアロゾル吸入剤として、吸入用に製剤化してもよい。吸入による送達の場合、活性化合物は微粒子の形態であることが好ましい。これらは、スプレー乾燥、フリーズドライおよび微粒子化をはじめとする種々の技術によって調製され得る。例えば、圧力駆動型のジェットアトマイザーまたは超音波アトマイザーを用いて、好ましくは、噴射剤駆動型定量エアロゾルまたは例えば、吸入カプセルもしくは他の「乾燥粉末」送達系から噴射剤なしで投与される微粒子化活性化合物を用いて、エアロゾル生成を実施することができる。
【0081】
例として、本発明の組成物を、ネブライザーから送達される懸濁液としてまたは例えば、加圧式定量噴霧吸入器(PMDI)で使用される液体噴射剤中のエアロゾルとして調製してもよい。PMDIで使用されるのに好適な噴射剤は当業者に知られており、CFC−12、HFA−134a、HFA−227、HCFC−22(CCl)およびHFA−152(CHとイソブタン)を含む。
【0082】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を用いて送達される乾燥粉末形態である。多くのタイプのDPIが知られている。
【0083】
投与によって送達される微粒子を、送達や放出を助ける賦形剤とともに製剤化してもよい。例えば、乾燥粉末製剤において、微粒子を、DPIから肺への流れを助ける大きな担体粒子とともに製剤化してもよい。好適な担体粒子は公知であり、ラクトース粒子を含む。これらの空気動力学的直径質量中央値は90μmより大きくてもよい。
【0084】
エアロゾルに基づく製剤の場合、一例は、以下の通りである。
本発明の化合物 24mg/キャニスター
レシチン、NF液体濃縮物 1.2mg/キャニスター
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/キャニスター
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/キャニスター
【0085】
活性化合物は、使用される吸入器システムに応じて記載のように投与され得る。活性化合物の他に、投与形態は、例えば、噴射剤(例えば、定量エアロゾルの場合、Frigen)、界面活性物質、乳化剤、安定剤、防腐剤、香味剤、充填剤(例えば、粉末吸入剤の場合、ラクトース)などの賦形剤または、適切な場合、さらなる活性化合物をさらに含み得る。
【0086】
吸入目的のために、患者に適した吸入技術を用いて最適な粒径のエアロゾルを生成し、投与することができる多くの系が利用可能である。アダプター(スペーサー、エキスパンダー)および洋ナシ形容器(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、ならびに特に、粉末吸入器の場合、定量エアロゾル用の、吹き付け噴霧を放出する自動装置(Autohaler(登録商標))の使用の他に、いくつかの技術的解決法が利用可能である(例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)または例えば、EP−A−0505321に記載されている吸入器)。さらに、本発明の化合物をマルチチャンバー装置中で送達し、それにより組合せ薬剤を送達し得る。
【0087】
組合せ
炎症性疾患、特に呼吸器疾患の予防および治療のために、他の化合物を本発明が関連する化合物と組み合わせてもよい。したがって、本発明はまた、治療的有効量の本発明の化合物と1以上の他の治療剤とを含む薬学的組成物に関する。本発明の化合物との組合せ治療のために好適な治療剤としては、限定するものではないが、(1)コルチコステロイド(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、フロ酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、シクレソニド、ブデソニド、GSK 685698、GSK 870086、QAE 397、QMF 149、TPI−1020);(2)β2−アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、フェノテロール)および長時間作用型β2−アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、サルメテロール、インダカテロール、ホルモテロール(フマル酸ホルモテロールを含む)、アルホルモテロール、カルモテロール、GSK 642444、GSK 159797、GSK 159802、GSK 597501、GSK 678007、AZD3199);(3)コルチコステロイド/長時間作用型β2アゴニスト組合せ産物(例えば、サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン(アドベアー/セレタイド)、ホルモテロール/ブデソニド(シンビコート)、ホルモテロール/プロピオン酸フルチカゾン(フルチフォーム)、ホルモテロール/シクレソニド、ホルモテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/QAE 397、GSK 159797/GSK 685698、GSK 159802/GSK 685698、GSK 642444/GSK 685698、GSK 159797/GSK 870086、GSK 159802/GSK 870086、GSK 642444/GSK 870086、アルホルモテロール/シクレソニド);(4)抗コリン剤、例えば、ムスカリン−3(M3)受容体アンタゴニスト(例えば、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、アクリジニウム(LAS−34273)、NVA−237、GSK 233705、ダロトロピウム、GSK 573719、GSK 961081、QAT 370、QAX 028);(5)二重薬理学M3−抗コリン作動性/β2−アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、GSK 961081);(6)ロイコトリエンモジュレーター、例えば、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、ザフィルルカストもしくはプランルカスト)またはロイコトリエン生合成インヒビター(例えば、ジロイトンもしくはBAY−1005)、またはLTB4アンタゴニスト(例えば、アメルバント)、またはFLAPインヒビター(例えば、GSK 2190914、AM−103);(7)ホスホジエステラーゼ−IV(PDE−IV)インヒビター(経口または吸入)(例えば、ロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、ONO−6126、テトミラスト、トフィミラスト、UK 500,001、GSK 256066;(8)抗ヒスタミン薬、例えば、選択的ヒスタミン−1(H1)受容体アンタゴニスト(例えば、フェキソフェナジン、セチリジン、ロラチジンまたはアステミゾール)または二重H1/H3受容体アンタゴニスト(例えば、GSK 835726、GSK 1004723);(9)鎮咳薬(例えば、コデインまたはデキストロメトルファン);(10)粘液溶解薬(例えば、N−アセチルシステインまたはフドステイン);(11)去痰薬/粘液動力学モジュレーター(例えば、アンブロキソール、高張液(例えば、生理食塩水もしくはマンニトール)または界面活性剤;(12)ペプチド粘液溶解薬(例えば、組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(ドルナーゼ−アルファおよびrhDNアーゼ)またはヘリシジン(helicidin);(13)抗生物質(例えば、アジスロマイシン、トブラマイシンおよびアズトレオナム);(14)非選択的COX−1/COX−2インヒビター(例えば、イブプロフェンまたはケトプロフェン);(15)COX−2インヒビター(例えば、セレコキシブおよびロフェコキシブ);(16)VLA−4アンタゴニスト(例えば、WO97/03094号およびWO97/02289号に記載のもの);(17)TACEインヒビターおよびTNF−αインヒビター、例えば、抗TNFモノクローナル抗体(例えば、レミケードおよびCDP−870)ならびにTNF受容体免疫グロブリン分子(例えば、エンブレル);(18)マトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、MMP−12)のインヒビター;(19)ヒト好中球エラスターゼインヒビター(例えば、ONO−6818またはWO2005/026124号、WO2003/053930号およびWO06/082412号に記載のもの);(20)A2bアンタゴニスト(例えば、WO2002/42298号に記載のもの);(21)ケモカイン受容体機能のモジュレーター、例えば、CCR3およびCCR8のアンタゴニスト;(22)他のプロスタノイド受容体の作用を調節する化合物、例えば、トロンボキサンAアンタゴニスト;DP1アンタゴニスト(例えば、MK−0524)、CRTH2アンタゴニスト(例えば、ODC9101およびAZD1981)ならびに混合DP1/CRTH2アンタゴニスト(例えば、AMG 009);(23)PPARαアゴニスト(例えば、フェノフィブラート)、PPARδアゴニスト、PPARγアゴニスト(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびバラグリタゾン)をはじめとするPPARアゴニスト;(24)メチルキサンチン(例えば、テオフィリンまたはアミノフィリン)およびメチルキサンチン/コルチコステロイドの組合せ(例えば、テオフィリン/ブデソニド、テオフィリン/プロピオン酸フルチカゾン、テオフィリン/シクレソニド、テオフィリン/フロ酸モメタゾンおよびテオフィリン/ジプロピオン酸ベクロメタゾン);(25)A2aアゴニスト(例えば、EP1052264号およびEP1241176号に記載のもの);(26)CXCR2アンタゴニストまたはIL−8アンタゴニスト(例えば、SCH 527123またはGSK 656933);(27)IL−Rシグナル伝達モジュレーター(例えば、キネレットおよびACZ 885);(28)MCP−1アンタゴニスト(例えば、ABN−912)が挙げられる。
【0088】
合成方法
本発明の化合物をスキーム1〜6に示す経路に従って調製し得る。
スキーム1
【0089】
【化17】

【0090】
一般式(I−a)の化合物を、一般式(IX):
【0091】
【化18】

【0092】
式(IX)中、rは0または1であり、YはSまたはOであり、Rは、一般式(I)のRについて定義されたものである、の化合物から、一般式(X):
NH(X)
式(X)中、Rは、一般式(I)のRについて定義されたものである、のアミンとの反応により調製し得る。
【0093】
ジイソプロピルエチルアミンまたはトリエチルアミンなどの塩基の存在下で2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドまたはジシクロヘキシルカルボジイミドなどの好適なカップリング剤を用いて。この反応は、様々な温度にて、好ましくは室温にて、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で起こり得る。
【0094】
あるいは、式(I−a)の化合物を、一般式(IX)の化合物から、様々な温度、好ましくは室温から100℃にて、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒の非存在下または存在下で塩化オキサリルまたは塩化チオニルなどの好適なハロゲン化剤と反応させ、次いで、様々な温度、好ましくは室温から80℃にて、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中でジイソプロピルエチルアミンなどの好適な塩基を用いて、一般式(X)のアミンと反応させて調製し得る。
【0095】
一般式(IX)の化合物を、一般式(V):
【0096】
【化19】

【0097】
式(V)中、Xはフッ素、臭化物またはヨウ化物などの好適な離脱基である、の化合物から、炭酸セシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムまたはナトリウムtert−ブトキシドなどの塩基を用いて、(2,9−ジメチル)−1,10−フェナントロリン、プロリン、1,2−シクロヘキシルジアミンまたはホスフィンなどの好適な配位子の非存在下または存在下で、ヨウ化銅(I)、塩化銅(I)、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)またはジクロロ(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)などの好適な触媒を用いて、一般式(VIII):
【0098】
【化20】

【0099】
式(VIII)中、RはHまたはアルキルである、の化合物との反応により調製し得る。この反応は、様々な温度、好ましくは40〜150℃にて、トルエン、N−メチルピロリジノンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中で、Rがアルキルの場合は、その後、当業者に公知の方法による加水分解によって起こり得る。
【0100】
一般式(V)の化合物を、様々な温度、好ましくは室温から100℃にて、ジクロロメタンまたはエタノールなどの好適な溶媒中で、クロラミンT、四酢酸鉛またはフェニルヨウ素(III)ジアセタートなどの好適な酸化剤を用いて、一般式(IV):
【0101】
【化21】

【0102】
の化合物から調製し得る。
【0103】
一般式(IV)の化合物を、一般式(II):
【0104】
【化22】

【0105】
の化合物から、様々な温度、好ましくは室温から80℃にて、エタノールまたはテトラヒドロフランなどの好適な溶媒中で、一般式(III):
CHO(III)
のアルデヒドとの反応により調製し得る。
【0106】
あるいは、式(IV)の化合物を、式(II)の化合物から、様々な温度、好ましくは室温から150℃にて、ジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの好適な溶媒中で、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、トリフェニルホスフィン/トリクロロアセトニトリルなどの好適なアシル化剤/脱水剤を用いて、一般式(VI):
COH(VI)
の化合物との反応により調製し得る。
【0107】
あるいは、式(IV)の化合物を、様々な温度、好ましくは室温から120℃にて、テトラヒドロフラン、トルエンまたはNMPなどの好適な溶媒の非存在下または存在下で、バージェス試薬、トリフェニルホスフィンおよびヘキサクロロエタン、オキシ塩化リン、酢酸または光延条件(ジエチルアゾジカルボキシラート/トリフェニルホスフィン/トリメチルシリルアジド)などの好適な脱水剤を用いて、式(VII):
【0108】
【化23】

【0109】
の化合物から調製し得る。
【0110】
一般式(VII)の化合物を、一般式(II)の化合物から、式(IX)の化合物からの式(I−a)の化合物の調製について記載したように、一般式(VI)のカルボン酸との反応により調製し得る。
【0111】
スキーム2
【0112】
【化24】

【0113】
一般式(I−b)の化合物を、一般式(XII):
【0114】
【化25】

【0115】

【0116】
式(XII)中、Rは、一般式(I)のRについて定義されたものである、の化合物から、様々な温度、好ましくは室温から100℃にて、ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下で、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサンまたはアセトニトリルなどの好適な溶媒中で、一般式(XIII):
【0117】
【化26】

【0118】
式(XIII)中、Rは、一般式(I)のRについて定義されたものである、の化合物との反応により調製し得る。
【0119】
一般式(XIII)の化合物を、既知の文献手順(例えば、WO2006/009741号、EP1609789号)に従って、一般式(X)のアミンから調製し得る。
【0120】
あるいは、一般式(I−b)の化合物を、一般式(XII)の化合物から、様々な温度、好ましくは0から100℃にて、トリエチルアミン、ピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンなどの好適な塩基を用いて、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルなどの好適な溶媒中で、ホスゲン、ジホスゲンまたはトリホスゲンなどの好適なカップリング剤を用いて、一般式(X)のアミンとの反応により調製し得る。
【0121】
一般式(XII)の化合物を、一般式(V):
【0122】
【化27】

【0123】
の化合物から、ヨウ化銅(I)または臭化銅(I)などの好適な触媒および(2,9−ジメチル)−1,10−フェナントロリン、プロリンまたは1,2−シクロヘキシルジアミンなどの好適な配位子の非存在下または存在下で、炭酸セシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウムまたはナトリウムtert−ブトキシドなどの好適な塩基を用いて、一般式(XI):
【0124】
【化28】

【0125】
の化合物との反応により調製し得る。この反応は、様々な温度、好ましくは40から150℃にて、トルエン、N−メチルピロリジノン、メタノールまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの好適な溶媒中で起こり得る。
【0126】
スキーム3
【0127】
【化29】

【0128】
一般式(I−c)の化合物を、一般式(XVI):
【0129】
【化30】

【0130】
の化合物から、式(XII)の化合物からの式(I−b)の化合物の調製について記載したように、一般式(XIII)または(X)の化合物との反応により調製し得る。
【0131】
一般式(XVI)の化合物を、一般式(XV):
【0132】
【化31】

【0133】
式(XV)中、Rは好適な保護基またはHであり得る、の化合物から、当業者に公知の方法による脱保護により調製し得る。
【0134】
一般式(XV)の化合物を、一般式(V):
【0135】
【化32】

【0136】
の化合物から、式(XI)の化合物からの式(XII)の化合物の調製について記載したように、一般式(XIV):
【0137】
【化33】

【0138】
の化合物との反応により調製し得る。
【0139】
スキーム4
【0140】
【化34】

【0141】
一般式(I−d)の化合物を、一般式(XIX):
【0142】
【化35】

【0143】
の化合物から、式(XII)の化合物からの式(I−b)の化合物の調製について記載したように、一般式(XIII)または(X)の化合物との反応により調製し得る。
【0144】
一般式(XIX)の化合物を、一般式(XVIII):
【0145】
【化36】

【0146】
の化合物から、様々な温度、好ましくは室温から80℃にて、メタノール、エタノールまたは酢酸エチルなどの好適な溶媒中で、塩化水素または酢酸などの酸の存在下または非存在下で、パラジウム炭(palladium on charcoal)、酸化白金またはラネーニッケルなどの好適な触媒の存在下で、塩化(II)スズ、鉄または水素ガスなどの好適な還元剤との反応により調製し得る。
【0147】
あるいは、一般式(XIX)の化合物を、一般式(V):
【0148】
【化37】

【0149】
の化合物から、様々な温度、好ましくは−78℃から室温にて、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルなどの好適な溶媒中で、ブチルリチウム、塩化マグネシウムまたは塩化i−プロピルマグネシウムなどの好適な金属化種を用いて、一般式(XVII):
【0150】
【化38】

【0151】
式(XVII)中、RはHである、の化合物との反応により調製し得る。
【0152】
一般式(XVIII)の化合物を、一般式(V)の化合物から、一般式(V)の化合物からの一般式(XIX)の化合物の調製について記載したように、一般式(XVII)、式(XVII)中、RはOである、の化合物との反応により調製し得る。
【0153】
スキーム5
【0154】
【化39】

【0155】
一般式(I−e)の化合物を、一般式(XXII):
【0156】
【化40】

【0157】
の化合物から、様々な温度、好ましくは室温から80℃にて、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルなどの好適な溶媒中で、ヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウムなどの好適な触媒の非存在下または存在下で、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは水素化ナトリウムなどの好適な塩基を用いて、一般式(XXIII):
【0158】
【化41】

【0159】
の化合物との反応により調製し得る。
【0160】
一般式(XXIII)の化合物を、既知の文献手順(例えば、Migliara et al.Farmaco(1992),47(1),111−19)に従って、一般式(X)のアミンから調製し得る。
【0161】
一般式(XXII)の化合物を、一般式(XXI):
【0162】
【化42】

【0163】
式(XXI)中、Rは好適な保護基である、の化合物から、当業者に公知の方法による脱保護により調製し得る。
【0164】
一般式(XXI)の化合物を、一般式(V):
【0165】
【化43】

【0166】
の化合物から、式(XI)の化合物からの式(XII)の化合物の調製について記載したように、一般式(XX):
【0167】
【化44】

【0168】
の化合物との反応により調製し得る。
【0169】
スキーム6
【0170】
【化45】

【0171】
一般式(I−f)の化合物を、一般式(XXVI):
【0172】
【化46】

【0173】
の化合物から、一般式(IX)の化合物からの一般式(I−a)の化合物の調製について記載したように、式(X)のアミンとの反応により調製し得る。
【0174】
一般式(XXVI)の化合物を、一般式(XXV):
【0175】
【化47】

【0176】
式(XXV)中、Rはアルキルである、の化合物から、当業者に公知の方法による脱保護により調製し得る。
【0177】
一般式(XXV)の化合物を、一般式(XXIV):
【0178】
【化48】

【0179】
の化合物から、一般式(XI)の化合物からの一般式(XII)の化合物の調製について記載したように、一般式(V)の化合物との反応により調製し得る。
【0180】
スキーム7
一般式(V)の化合物をChem.Soc.Jpn.,1980,53,2007−11に記載されているように調製し得る。
【0181】
【化49】

【0182】
スキーム8
【0183】
【化50】

【0184】
一般式(I−g)の化合物を、一般式(XXIX):
【0185】
【化51】

【0186】
の化合物から、一般式(X):
NH(X)
式(X)中、Rは、上記の一般式(I)のRについて定義されたものである、のアミンとの反応により調製し得る。
【0187】
一般式(XXIX)の化合物を、一般式(XXVIII):
【0188】
【化52】

【0189】
式(XXVIII)中、Rはアルキルである、の化合物から、当業者に公知の方法による脱保護により調製し得る。
【0190】
一般式(XXVIII)の化合物を、一般式(XXVII):
【0191】
【化53】

【0192】
の化合物から、様々な温度にて、好ましくは室温から80℃にて、テトラヒドロフラン、DMFまたはジエチルエーテルなどの好適な溶媒中で、ヘキサメチルジシラザンリチウムまたは水素化ナトリウムなどの好適な塩基を用いて、好適な化合物RX(XXXI)との反応により調製し得る。
【0193】
一般式(XXVII)の化合物を、一般式(IX):
【0194】
【化54】

【0195】
式(IX)中、rは1であり、YはSまたはOであり、Rは、一般式(I)のRについて定義されたものである、の化合物から、当業者に公知の方法による一般式(XXX)
OH(XXX)
のアルコールとの反応により調製し得る。
【0196】
一般的な実験の詳細
実験の節で用いられる略語:
aq.=水性;
DCM=ジクロロメタン;
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン;
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO=ジメチルスルホキシド;
EDCl HCl=1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩;
EtOAc=酢酸エチル;
EtOH=エタノール;
FCC=フラッシュカラムクロマトグラフィー;
h=時間;
HATU=2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート;
HOBt=1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール;
HPLC=高速液体クロマトグラフィー;
LCMS=液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリー;
MeCN=アセトニトリル;
MeOH=メタノール;
min=分;
NMR=核磁気共鳴;
RT=室温;
Rt=保持時間;
sat.=飽和;
SCX−2=強陽イオン交換クロマトグラフィー;
TFA=トリフルオロ酢酸;
THF=テトラヒドロフラン
【0197】
構造の名称は、MDL Inc.製のAutonom 2000 Nameソフトウェアを用いて割り当てた。
【0198】
別途指定しない限り、反応は全て窒素雰囲気下で行なわれた。
【0199】
NMRスペクトルは、400MHzで動作する5mm逆検出三重共鳴プローブを備えたVarian Unity Inova 400分光計または400MHzで動作する逆検出三重共鳴TXIプローブを備えたBruker Avance DRX 400分光計または300MHzで動作する標準的な5mm二周波数プローブを備えたBruker Avance DPX 300分光計で得られた。シフトは、テトラメチルシランに対するppmで示す。NMRスペクトルは、DataChord Spectrum Analystバージョン4.0.b21を用いて帰属させた。
【0200】
生成物がフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製された場合、「フラッシュシリカ」は、カラム溶出を加速する最大10p.s.iの窒素圧を適用するかまたはCombiFlash(登録商標)Companion精製システムを使用するかまたはBiotage SP1精製システムの使用する、0.035〜0.070mm(220〜440メッシュ)のクロマトグラフィー用シリカゲル(例えば、Flukaシリカゲル60)を指す。溶媒と市販試薬は全て受け取ったまま用いた。
【0201】
分取HPLCにより精製された化合物は、C18逆相カラム(内径100×22.5mm、粒径7μmのGenesisカラム)、またはフェニル−ヘキシルカラム(内径250×21.2mm、粒径5μmのGeminiカラム、UV検出230または254nm、流速5〜20mL/分を用いて、(0.1%TFAまたは0.1%ギ酸を含む)100:0−0:100%の水/アセトニトリルの勾配で溶出させて精製した。(LCMS分析で同定される)必要な生成物を含む画分をプールし、有機画分を蒸発により除去し、残りの水性画分を凍結乾燥させて、最終生成物を得た。別途明記しない限り、分取HPLCにより精製された生成物は、ギ酸塩またはTFA塩として単離した。
【0202】
使用した液体クロマトグラフィーマススペクトロスコピー(LCMS)システムとHPLCシステムは以下の通りである。
【0203】
方法1
C18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna 3μm粒径)を備えたWaters ZMD四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0204】
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器を備えたMSに対して200μLのスプリット)。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0205】
方法2
C18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna 3μm粒径)を備えたWaters Platform LC四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0206】
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器を備えたMSに対して200μLのスプリット)。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0207】
方法3
Phenomenex Gemini C18逆相カラム(250×21.20mm 5μm粒径)、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶出。勾配−15分かけて95% A/5% Bから5% A/95% B。流速18mL/分。検出−220nMの波長に設定されたインラインUV検出器。
【0208】
方法4
C18逆相カラム(100×3.0mm Higgins Clipeus 粒径5μm)を備えたWaters Micromass ZQ2000、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0209】
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器を備えたMSに対して100μLのスプリット)。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオン)。
【0210】
方法5
C18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna 3μm粒径)を備えたWaters Platform LC四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0211】
検出−MS、ELS、UV(インラインHP1100 DADを備えたMSに対する200μLスプリット)。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0212】
方法6
Phenomenex Gemini C18逆相カラム(250×21.20mm 5μm粒径)、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配−15分かけて95% A/5% Bから5% A/95% B。流速18mL/分。検出−254nMの波長に設定されたインラインUV検出器。
【0213】
方法7
C18逆相カラム(100×3.0mm Higgins Clipeus 粒径5μm)を備えたWaters Micromass ZQ2000、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0214】
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器を備えたMSに対して100μLのスプリット)。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオン)。
【0215】
方法8
C18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna 3μm粒径)を備えたWaters ZMD四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0216】
検出−MS、ELS、UV(インラインWaters 996 DAD検出器を備えたMSに対する200μLスプリット)。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0217】
方法9
Acquity BEH C18カラム(50×2.1mm 粒径1.7μm)を備えたWaters Micromass ZQ2000、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0218】
検出−MS、UV PDA。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオン/陰イオン)。
【0219】
方法10
C18逆相カラム(100×3.0mm Higgins Clipeus 粒径5μm)を備えたWaters Quatro Microtriple四重極、A:水+0.1%ギ酸;B:メタノール+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0220】
検出−MS、ELS、UV(インラインUV検出器を備えたMSに対して100μLのスプリット)。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオン/陰イオン)。
【0221】
方法11
C18逆相カラム(Acquity BEH C18逆相カラム、1.7um、100×2.1mm)を備えたWaters ZMD四重極質量分析計、A:水+0.1%ギ酸;B:アセトニトリル+0.1%ギ酸で溶出。勾配:

【0222】
検出−MS、UV PDA。MSイオン化方法−エレクトロスプレー(陽イオン/陰イオン)。
【実施例】
【0223】
実施例1
N−シクロプロピルメチル−3−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ベンズアミド
【0224】
【化55】

【0225】
a.N−(5−ヨード−ピリジン−2−イル)−N’−[1−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−メト−(E)−イリデン]−ヒドラジン
【0226】
【化56】

【0227】
5−ヨード−2−ヒドラジノピリジン(6.62g、0.028mmol)のEtOH(90mL)懸濁液に、3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−ベンズアルデヒド(6.63g、0.028mmol)を添加した。反応液を窒素下で2時間還流加熱した後、RTまで冷却した。得られた沈殿を濾過により回収し、EtOHで洗浄して、表題化合物(10.93g、86%)を白色の固体として得た。LCMS(方法1):Rt 2.37分、m/z 453[MH]。H NMR(300MHz,CDOD):δ8.24(1H,d,J2.2),7.90−7.84(2H,m),7.36−7.18(3H,m),7.12(1H,d,J8.8),6.94−6.89(1H,m),4.19(2H,t,J5.4),3.72(4H,t,J4.6),2.83(2H,t,J5.4),2.62(4H,t,J4.6).
【0228】
b.6−ヨード−3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0229】
【化57】

【0230】
実施例1工程a(10.93g、24.16mmol)のDCM(100mL)/EtOH(15mL)溶液に、PhI(OAc)(10.74g、33.35mmol)を添加した。反応液をRTで72時間撹拌し、DCM(25mL)で希釈した後、水酸化ナトリウム水溶液(1M、25mL)およびブライン(25mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣をEtO(10mL)で粉末化し、得られた固体を濾過により回収して、表題化合物(9.98g、92%)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(方法1):Rt 2.11分、m/z 451[MH]。H NMR(400MHz,DMSO−d):δ8.69(1H,s),7.71(1H,d,J9.5),7.60(1H,d,J9.5),7.53(1H,t,J7.9),7.47−7.41(2H,m),7.18(1H,d,J8.1),4.21(2H,t,J5.7),3.59(4H,t,J4.5),2.75(2H,t,J5.7),2.45(4H,m)。
【0231】
c.3−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−安息香酸
【0232】
【化58】

【0233】
反応槽を、実施例1工程b(400mg、0.888mmol)、3−メルカプト安息香酸(205mg、1.24mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)とDCM(138mg、0.168mmol)の1:1錯体、炭酸セシウム(578mg、1.777mmol)、およびDMF(3mL)で満たした。反応液をアルゴン下で脱気した(×3)。反応液を90℃で24時間加熱した後、RTまで冷却させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して、表題化合物(422mg、定量的)を得た。LCMS(方法2):Rt 2.20分、m/z 477[MH]。
【0234】
d.N−シクロプロピルメチル−3−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ベンズアミド
反応槽を、実施例1工程c(213mg、0.447mmol)、シクロプロパンメチルアミン(32mg、0.447mmol)、HATU(212mg、0.558mmol)、およびDMF(3mL)で満たした。DIPEA(225μL、1.34mmol)を添加し、反応液をRTで24時間撹拌した後、真空中で濃縮し、粗残渣を逆相分取HPLC(方法3)で直接精製して、表題化合物(92mg、39%)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(方法4):Rt 6.55分、m/z 530[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.39(1H,s),7.89(1H,s),7.75−7.65(2H,m),7.51−7.30(5H,m),7.17(1H,d,J9.6),7.08(1H,d,J8.4),6.85(1H,m),4.25(2H,t,J5.2),3.79(4H,t,J4.4),3.26(2H,t,J6.2),3.00(2H,t,J5.2),2.77(4H,m),1.07−0.95(1H,m),0.52−0.44(2H,m),0.24−0.18(2H,m)。
【0235】
以下の実施例は、実施例1で用いた方法と同様の方法を用いて調製した。
【0236】
【表1】

【0237】

【0238】
実施例10
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−フェニル)−尿素
【0239】
【化59】

【0240】
a.3−(6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−3−イル)−フェノール
【0241】
【化60】

【0242】
三臭化ホウ素(DCM中1M、13.1mL、13.1mmol)を−78℃の3−(3−ベンジルオキシ−フェニル)−6−ブロモ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン(1g、2.63mmol)のDCM(5mL)撹拌溶液にゆっくりと添加した。反応液をRTまで加温させ、24時間撹拌し、pH>7になるまで飽和NaHCO溶液で処理した。生成物をDCM:MeOH 9:1(mL)で抽出し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。FCC(DCM:MeOH、1:0から9:1)で粗残渣を精製することにより、表題化合物(350mg、46%)を黄色の固体として得た。LCMS(方法2):Rt 2.65分、m/z 290および292[MH]。
【0243】
b.6−ブロモ−3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0244】
【化61】

【0245】
DMF(20mL)中の実施例10工程a(250mg、1.21mmol)とN−(2−ブロモエチル)モルホリン塩酸塩(306mg、1.32mmol)とKCO(500mg、3.62mmol)の混合物を50℃で24時間加熱した。その後、反応液をRTまで冷却させ、真空中で濃縮した。残渣をFCC(DCM:MeOH、1:0から9:1)で精製して、表題化合物(479mg、98%)を黄色のオイルとして得た。H NMR(300MHz,CDCl):δ8.44(1H,dd,J1.7,1),7.74−7.69(1H,m),7.50(1H,t,J7.9),7.39−7.35(2H,m),7.35−7.30(1H,m),7.14−7.08(1H,m),4.21(2H,t,J5.6),3.74(4H,t,J4.6),2.85(2H,t,J5.6),2.63−2.56(4H,m)。
【0246】
c.4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−フェニルアミン
【0247】
【化62】

【0248】
表題化合物を、実施例10工程bおよび4−アミノ−ベンゼン−チオールを用いて、実施例1工程cと同様の方法で調製した。LCMS(方法2):Rt 2.14分、m/z 448[MH]。
【0249】
d.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−フェニル)−尿素
DMSO(3mL)中の実施例10工程c(315mg、0.703mmol)と5−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル)アミノ−3−tert−ブチル−1−p−トリル−1H−ピラゾール(299mg、0.703mmol)とDIPEA(116μL、0.675mmol)の混合物を55℃で24時間加熱した。反応液を真空中で濃縮し、残渣を逆相分取HPLC(方法3)で精製して、表題化合物(202mg、41%)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(方法4):Rt 8.46分、m/z 703[MH]。H NMR(400MHzCDCl):δ9.30(1H,br s),8.34(1H,br s),8.16(1H,s),7.49−7.41(3H,m),7.37(1H,d,J9.6),7.29(2H,d,J8.4),7.25−7.20(2H,m),7.18(2H,d,J8),7.09−7.04(2H,m),6.90(2H,d,J8),6.44(1H,s),4.15(2H,t,J5.4),3.72(4H,t,J4.5),2.88(2H,t,J5.4),2.64(4H,t,J4.4),2.11(3H,s),1.30(9H,s)。
【0250】
以下の実施例は、実施例10(工程c〜d)で用いた方法と同様の方法を用いて調製した。
【0251】
【表2】

【0252】
実施例12
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(6−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ピリジン−3−イル)−尿素
【0253】
【化63】

【0254】
a.3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−6−(5−ニトロ−ピリジン−2−イルスルファニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0255】
【化64】

【0256】
0℃の実施例1工程b(300mg、0.67mmol)のTHF(5mL)溶液に、EtO(335μL、0.67mmol)中の2Mイソプロピルマグネシウムクロリド滴加した。反応液を0℃で1時間撹拌した後、2,2’−ジチオビス(5−ニトロ−ピリジン)(227mg、0.73mmol)を添加した。反応液をRTまで加温させ、さらに1時間撹拌した後、EtOAc(10mL)で希釈した。有機層を1MのNaOH(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。逆相分取HPLC(方法3)で精製することにより、表題化合物(50mg、16%)を黄色の固体として得た。LCMS(方法1):Rt 2.33分、m/z 479[MH]。H NMR(400MHz,CDOD):δ9.16(1H,d,J2.6),8.80(1H,t,J1.2),8.41(1H,dd,J8.9,2.7),7.90(1H,dd,J9.6,1),7.60−7.53(2H,m),7.50−7.45(3H,m),7.25−7.20(1H,m),4.27(2H,t,J5.4),3.73(4H,t,J4.7),2.94(2H,t,J5.4),2.70(4H,t,J4.5)。
【0257】
b.6−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ピリジン−3−イルアミン
【0258】
【化65】

【0259】
実施例12工程a(50mg、0.11mmol)をEtOH(10mL)に溶解させ、Pd/C(10%)(10mg)で処理した。反応液を、水素雰囲気下、RTで72時間にわたって撹拌した。触媒を窒素下で濾過し、濾液を真空中で濃縮して、表題化合物(31mg、66%)を得た。LCMS(方法1):Rt 1.94分、m/z 449[MH]。
【0260】
c.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(6−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ピリジン−3−イル)−尿素
表題化合物を、実施例12工程bを用いて、実施例10工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法4):Rt 8.06分、m/z 704[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.70(1H,br s),8.57(1H,s),8.25(1H,dd,J8.7,2.7),7.99(1H,d,J2.7),7.73(1H,br s),7.63(1H,d,J9.5),7.47(1H,t,J8),7.35−7.23(6H,m),7.09(1H,dd,J8.4,2.5),7.04(2H,d,J8),6.45(1H,s),4.20(2H,t,J5.4),3.73(4H,t,J4.6),2.91(2H,t,J5.4),2.67(4H,s),2.22(3H,s),1.34(9H,s)。
【0261】
実施例13
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(5−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ピリジン−2−イル)−尿素
【0262】
【化66】

【0263】
a.5−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ピリジン−2−イルアミン
【0264】
【化67】

【0265】
表題化合物を、2−アミノ−5−メルカプトピリジンジヒドロクロリドを用いて、実施例1工程cと同様の方法で調製した。LCMS(方法1):Rt 1.77分、m/z 449[MH]。
【0266】
b.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(5−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル}−ピリジン−2−イル)−尿素
表題化合物を、実施例13工程aを用いて、実施例10工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法4):Rt 8.25分、m/z 704[MH]。H NMR(400MHz,CDOD):δ8.31(1H,s),7.84(1H,dd,J8.7,2.4),7.81−7.77(1H,m),7.74(1H,d,J2.4),7.55(1H,t,J7.9),7.41−7.33(5H,m),7.30(2H,d,J8.1),7.22(1H,dd,J8.4,2.4),7.03(1H,d,J8.6),6.51(1H,s),4.26(2H,t,J5.4),3.75(4H,t,J4.6),2.97(2H,t,J5.4),2.74(4H,t,J4.6),2.26(3H,s),1.34(9H,s)。
【0267】
実施例14
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(trans−4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−シクロヘキシル)−尿素
【0268】
【化68】

【0269】
a.(trans−4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−シクロヘキシル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0270】
【化69】

【0271】
トルエン(3mL)中の実施例1工程b(234mg、0.52mmol)とヨウ化銅(I)(9mg、0.052mmol)と1,10−フェナントロリン(19mg、0.104mmol)と炭酸セシウム(335mg、1.04mmol)とtrans−4−boc−アミノシクロヘキサノール(560mg、2.6mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下、110℃で72時間加熱した。懸濁液をRTまで冷却させ、EtOAc(10mL)で希釈し、HiFloに通して濾過した。濾液を真空中で濃縮し、残渣を逆相分取HPLC(方法3)で精製して、表題化合物(205mg、39%)をオフホワイト色の固体として得た。LCMS(方法2):Rt 2.53分、m/z 538[MH]。
【0272】
b.trans−4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−シクロヘキシルアミントリフルオロ酢酸塩
【0273】
【化70】

【0274】
実施例14工程a(196mg、0.178mmol)をTFA(2mL)とDCM(10mL)に溶かした溶液をRTで0.5時間撹拌した後、真空中で濃縮して、表題化合物(定量的収率)を得た。LCMS(方法2):Rt 0.38分、m/z 438[M−CFCO]。
【0275】
c.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−(trans−4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−シクロヘキシル)−尿素
表題化合物を、実施例14工程bを用いて、実施例10工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法4):Rt 7.84分、m/z 693[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.76(1H,d,J2),7.61(1H,d,J9.9),7.47(1H,t,J8.1),7.34−7.27(4H,m),7.13(2H,d,J8.1),7.10−7.03(2H,m),6.86(1H,s),6.28(1H,s),5.49(1H,d,J7.6),4.19(2H,t,J5.4),4.06−3.97(1H,m),3.76−3.67(5H,m),2.88(2H,t,J5.4),2.62(4H,t,J4.4),2.29(3H,s),2.07(4H,d,J11.4),1.65−1.53(2H,m),1.33(9H,s),1.29−1.16(2H,m)。
【0276】
以下の実施例は、実施例14で用いた方法と同様の方法を用いて調製した。
【0277】
【表3】

【0278】
実施例17
N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−(4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−ピペリジン−1−イル)−アセトアミド
【0279】
【化71】

【0280】
a.3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−6−(ピペリジン−4−イルオキシ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0281】
【化72】

【0282】
表題化合物を、N−Boc−4−ヒドロキシピペリジンを用いて、実施例14工程a〜bと同様の方法で調製した後、SCX−2カートリッジで精製した。LCMS(方法5):Rt 0.38、1.87分、m/z 424[MH]。
【0283】
b.N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−クロロ−アセトアミド
【0284】
【化73】

【0285】
5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(886mg、3.86mmol)、ピリジン(465μL、5.80mmol)およびクロロアセチルクロリド(462μL、5.80mmol)のDCM(5mL)溶液をRTで2時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液とDCMで希釈し、得られた水性層をDCMで2回抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮して、表題化合物(1.17g、100%)を黄色の固体として得た。LCMS(方法5):Rt 4.41分、m/z 306[MH]。
【0286】
c.N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−(4−{3−[3−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ}−ピペリジン−1−イル)−アセトアミド
実施例17工程a(32mg、0.076mmol)、実施例17工程b(23mg、0.076mmol)、ヨウ化カリウム(4mg、0.002mmol)および炭酸カリウム(13mg、0.091mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液を2.5時間加熱還流させた。反応混合物をRTまで冷却させ、真空中で濃縮し、逆相分取HPLC(方法6)で2回精製して、表題化合物(5mg、9%)を白色の固体として得た。LCMS(方法4):δ Rt 6.21分、m/z 693[MH]。H NMR(400MHz,CDOD):7.92(1H,d,J2.0),7.76(1H,d,J9.9),7.58(1H,t,J8.1),7.43−7.32(7H,m),7.22(1H,dd,J8.4,2.3),6.51(1H,s),4.36−4.29(1H,m),4.26(2H,T,J5.4),3.72(4H,t,J4.6),3.10(2H,s),2.89(2H,t,J5.4),2.72−2.62(6H,m),2.44−2.32(5H,m),1.85(2H,m),1.61−1.53(2H,m),1.33(9H,s)。
【0287】
実施例18
N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−{4−[3−(3−ヒドロキシ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル]−フェニル}−アセトアミド
【0288】
【化74】

【0289】
表題化合物を、実施例8を用いて、実施例10工程aと同様の方法で調製した。LCMS(方法7):Rt 12.01分、m/z 589[MH]。H NMR(400MHz,CDOD):δ8.35(1H,t,J1.2),7.74(1H,dd,J9.6,1.0),7.45−7.36(1H,m),7.37−7.32(3H,m),7.24−7.20(4H,m),7.25−7.07(4H,m),6.99(1H,ddd,J8.2,2.4,1.1),6.32(1H,s),3.58(2H,s),2.31(3H,s),1.31(9H,s)。
【0290】
実施例19
N−{5−tert−ブチル−2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−アセトアミド
【0291】
【化75】

【0292】
a.5−tert−ブチル−2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン
【0293】
【化76】

【0294】
窒素雰囲気下の4−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)−フェノール(WO2005/110994号、0.462g、2mmol)、2−モルホリン−4−イル−エタノール(0.327g、2.5mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.05g、4mmol)のTHF(5mL)溶液をジイソプロピルアゾジカルボキシラート(0.808mg、4mmol)で処理した。反応混合物をRTで16時間撹拌した後、ジエチルエーテルで希釈した。
【0295】
有機層を水で2回洗浄した。得られた水性層を炭酸カリウムで塩基性化し、EtOAcで抽出した。得られた有機層をクエン酸水溶液で洗浄し、得られた水性層を炭酸カリウムで塩基性化し、EtOAcで抽出した(3回)。得られた有機層を乾燥させ(NaSO)、蒸発乾固させた後、ジエチルエーテル(10mL)とともに超音波処理し、濾過して、表題化合物(0.297g、43%)を白色の固体として得た。LCMS(方法5):Rt 0.41、2.16分、m/z 345[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.46−7.39(2H,m),6.98−6.93(2H,m),5.50(1H,s),4.15−4.08(2H,m),3.75(4H,t,J4.5),3.63(2H,bs),2.83−2.78(2H,m),2.59(4H,t,J4.3),1.34−1.26(9H,m)。
【0296】
b.N−{5−tert−ブチル−2−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−アセトアミド
表題化合物を、3−メルカプト酢酸および実施例19工程aを用いて、実施例1工程c〜dと同様の方法で調製した。LCMS(方法7):Rt 9.09分、m/z 654[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):8.12(1H,s),7.70(1H,d,J9.6),7.22(2H,d,J8.0),7.20−7.09(5H,m),7.12−7.05(1H,m),6.93−6.86(2H,m),6.57(1H,s),4.17(2H,t,J5.7),3.73(4H,t,J4.5),3.64(2H,s),3.41−3.32(1H,m),2.84(2H,t,J5.7),2.59(4H,t,J4.4),1.56(3H,s),1.54(3H,s),1.32(9H,s)。
【0297】
実施例20
N−[5−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−アセトアミド
【0298】
【化77】

【0299】
a.N−{5−tert−ブチル−2−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−アセトアミド
【0300】
【化78】

【0301】
表題化合物を、5−tert−ブチル−2−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン(US2006/035922号)を用いて、実施例19工程bと同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 4.96分、m/z 655[MH]。H NMR(300MHz,CDOD):δ8.47(1H,s),7.65(1H,dd,J=9.60,1.01Hz),7.35−7.24(3H,m),7.22−7.17(4H,m),6.89−6.84(2H,m),6.30(1H,s),3.59(2H,s),2.99(1H,m),1.48(3H,s),1.45(3H,s),1.30(9H,s),0.99(9H,s),0.20(6H,s)。
【0302】
b.N−[5−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−アセトアミド
実施例20工程a(80mg、0.12mmol)およびトリエチルアミントリヒドロフルオリド(40mg、0.24mmol)のTHF(2mL)溶液をRTで24時間撹拌した後、EtOAcで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させた。残渣をFCC(DCM/MeOH 100/0から95/5)で精製して、EtOAcに溶解させ、クエン酸水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、真空中、40℃で乾燥させて、表題化合物(45mg、68%)をピンク色の固体として得た。LCMS(方法7):Rt 11.15分、m/z 541[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.23(1H,s),7.91(1H,s),7.74(1H,d,J9.5),7.25−7.14(5H,m),7.05(2H,d,J8.4),6.85(2H,t,J8.6),6.51(1H,s),3.64(2H,s),3.47−3.38(1H,m),1.55(3H,s),1.53(3H,s),1.31(9H,s)。
【0303】
実施例21
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−尿素
【0304】
【化79】

【0305】
a.イソ酪酸N’−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジン
【0306】
【化80】

【0307】
5−フルオロ−2−ヒドラジニル−ピリジン(0.59g、4.65mmol)、イソ酪酸(528mg、6mmol)、およびHOBt水和物(153mg、1mmol)のDCM(10mL)溶液をEDCl HCl(1.15g、6mmol)で処理した。反応混合物をRTで40分間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(40mL)に注ぎ、DCMで4回に分けて抽出し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、FCC(DCM/EtOAc 9/1から3/7)で精製して、表題化合物(0.42g、46%)を得た。LCMS(方法8):Rt 2.46分、m/z 198[MH]。
【0308】
b.6−フルオロ−3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0309】
【化81】

【0310】
0℃の実施例21工程a(0.41g、2.08mmol)、トリフェニルホスフィン(763mg、2.91mmol)およびトリエチルアミン(0.87mL、6.24mmol)のTHF(5mL)溶液を1,2−ヘキサクロロエタン(690mg、2.91mmol)で処理した。反応混合物を0℃で40分間撹拌した後、RTで20分間撹拌し、水でクエンチし、EtOAcで2回抽出し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、FCC(シクロヘキサン/EtOAc 1/0から1/1)で2回精製して、表題化合物(274mg、PPhOが20%混入、58%)を白色の固体として得た。LCMS(方法5):Rt 2.58分、m/z 180[MH]。
【0311】
c.4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシルアミン
【0312】
【化82】

【0313】
trans−4−アミノ−シクロヘキサノール(402mg、3.6mmol)およびカリウムtert−ブトキシド(395mg、3.6mmol)をトルエン(1mL)と1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(0.5mL)に溶かした溶液を、アルゴン下、80℃で20分間加熱した後、実施例21工程b(274mg、PPhOが20%混入、1.2mmol)で処理した。反応混合物を1時間撹拌し、水でクエンチし、EtOAcで3回に分けて抽出した。水性層および合わせた有機層をSCXカートリッジ(MeOHからMeOH中の1N NH)で精製し、得られた残渣をFCC(0.1%のNHを含むDCM/MeOH 100/0から85/15)で精製して、表題化合物(235mg、71%)を得た。LCMS(方法5):Rt 1.86分、m/z 275[MH]。
【0314】
d.1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−尿素
表題化合物を、実施例21工程cから出発して、DMSOの代わりにジオキサンを用いて、実施例10工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法7):Rt 11.66分、m/z 530[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.60(1H,d,J9.9),7.37(1H,s),7.34(2H,d,J8.2),7.19(2H,d,J8.1),7.03(1H,dd,J9.9,2.0),6.37(1H,s),6.23(1H,s),5.12(1H,d,J7.5),4.07(1H,m),3.73(1H,m),3.31−3.22(1H,m),2.34(3H,s),2.12−2.05(4H,m),1.68−1.56(2H,m),1.51(3H,s),1.49(3H,s),1.54−1.31(2H,m),1.34(9H,s)。
【0315】
実施例22
N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド
【0316】
【化83】

【0317】
a.[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−酢酸エチルエステル
【0318】
【化84】

【0319】
表題化合物を、trans−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−酢酸エチルエステルから出発して、実施例21工程cと同様の方法で調製した(Krieg et al.,Journal fuer Praktische Chemie 1987,329(6),1123−30))。LCMS(方法5):Rt 4.16−4.23分、m/z 346[MH]。
【0320】
b.[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−酢酸
【0321】
【化85】

【0322】
実施例22工程a(50mg、0.145mmol)および1N水酸化ナトリウム(0.5mL、0.5mmol)のMeOH(2mL)溶液をRTで16時間撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で処理し、蒸発乾固させ、逆相FCC(水/MeOH 100/0から0/100)に注いで、2つの画分を得た。1つ目の溶出画分を1NのHCl溶液でpH5まで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、クロマトグラフィーから得た2つ目の溶出画分と合わせて、真空中で濃縮した。得られた残渣をMeOH/EtOAc(1:1、10mL)に溶解させ、濾過し、蒸発乾固させて、表題化合物を薄茶色の固体(27mg、59%)として得た。LCMS(方法5):Rt 3.58−3.65分、m/z 318[MH]。
【0323】
c.N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−アセトアミド
表題化合物を、実施例22工程bから出発して、実施例1工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法10):Rt 11.59分、m/z 529[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ7.67(1H,d,J9.9),7.38(1H,s),7.36−7.25(4H,m),7.20(1H,m),7.04(1H,dd,J9.8,2.0),6.60(1H,s),4.10−3.98(1H,m),3.3.28(1H,m),2.41(3H,s),2.21(2H,d,J6.5),2.16(3H,m),1.93(4H,m),1.52(3H,s),1.51(3H,s),1.34(9H,s),1.23−1.07(2H,m)。
【0324】
実施例23
N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−フェニル]−アセトアミド
【0325】
【化86】

【0326】
a.6−ヨード−3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
【0327】
【化87】

【0328】
表題化合物を、2−メチル−プロピオンアルデヒドを用いて、実施例1工程a〜bと同様の方法で調製した。LCMS(方法5):Rt 3.43分、m/z 288[MH]。H NMR(300MHz,CDOD):8.75(1H,s),7.58(1H,dd,J9.6,1.5),7.52(1H,dd,J9.6,1.1),3.68−3.49(1H,m),1.50(3H,s),1.47(3H,s)。
【0329】
b.2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−フェニル]−アセトアミド
【0330】
【化88】

【0331】
実施例23工程a(430mg、1.5mmol)、tert−ブチル2−(4−ヒドロキシフェニル)アセタート(WO2008/024746号、621mg、3mmol)、炭酸セシウム(978mg、3mmol)、塩化銅(I)(74mg、0.75mmol)および2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオン(28mg、0.15mmol)のN−メチルピロリジノン(2mL)溶液を115℃で1時間加熱した。反応混合物をRTまで冷却させておき、ジエチルエーテルで希釈して、水で洗浄した。水性層をEtOAcおよびDCMで抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。得られたオイルを、EtOAc、MeOH、その後、MeOH中の1Nアンモニアで溶出させるSCX−2カートリッジで精製した。アンモニア画分を真空中で濃縮し、FCC(NHを含むDCM/MeOH 10/0から9/1、その後、EtOAc)で2回精製して、表題化合物をオレンジ色のガム(44mg、8%)として得た。LCMS(方法8):Rt 4.30分、m/z 368[MH]。
【0332】
c.[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−フェニル]−酢酸
【0333】
【化89】

【0334】
実施例23工程b(44mg、0.12mmol)、TFA(1mL)およびアニソール(1mL)のDCM(1mL)溶液をRTで1時間撹拌した後、真空中で蒸発させた。得られた残渣をジエチルエーテル(3mL)に懸濁し、濾過し、真空中で乾燥させて、表題化合物(38mg、定量的)を得た。LCMS(方法5):Rt 3.65分、m/z 312[MH]。
【0335】
d.N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−フェニル]−アセトアミド
表題化合物を、実施例23工程cから出発して、実施例1工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法10):Rt 11.60分、m/z 523[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):7.77(1H,d,J9.9),7.66(1H,s),7.29(1H,s),7.26−7.15(4H,m),7.14(2H,d,J8.1),7.05(1H,dd,J9.9,2.0),6.98(2H,d,J8.1),6.60(1H,s),3.67(2H,s),3.27(1H,m),2.39(3H,s),1.52(3H,s),1.50(3H,s),1.33(9H,s)。
【0336】
実施例24
N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−プロピオンアミド
【0337】
【化90】

【0338】
a.[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−酢酸メチルエステル
【0339】
【化91】

【0340】
(実施例1工程cと同様の方法で調製された)4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−酢酸(209mg、0.639mmol)のMeOH(20mL)溶液に濃HCl(25μL)を添加し、反応液を還流しながら5時間撹拌した。反応液をRTまで冷却し、真空中で濃縮し、DCM(5mL)と飽和NaHCO(5mL)の間に分配し、有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮して、表題化合物(218mg)を得た。LCMS(方法1):Rt 3.04分、m/z 342[MH]。
【0341】
b.2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−プロピオン酸メチルエステル
【0342】
【化92】

【0343】
実施例24工程bからの生成物(218mg、0.637mmol)のTHF(5mL)溶液を0℃まで冷却し、LiHMDS(ヘキサン中1M、702μL、0.702mmol)を添加した。10分後、ヨードメタン(43μL、0.702mmol)を添加し、0℃で0.5時間撹拌し続けた後、一晩撹拌しながらRTまでゆっくりと加温した。反応液を飽和NHCl溶液(5mL)でクエンチし、EtO(2×10mL)で抽出し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。0−10%のDCM/MeOHを用いたクロマトグラフィーによる精製により、表題化合物(69.2mg、30%)を得た。LCMS(方法1):Rt 3.25分、m/z 356[MH]。
【0344】
c.2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−プロピオン酸
【0345】
【化93】

【0346】
実施例24工程cからの生成物(69.2mg、0.194mmol)を1MのNaOH(1mL)とMeOH(2mL)に溶かした溶液を室温で3.5時間撹拌した。反応液を酢酸(1mL)でクエンチし、真空中で濃縮して、表題化合物を得た。LCMS(方法1):Rt 3.11分、m/z 342[MH]。
【0347】
d.N−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−プロピオンアミド
表題化合物を、実施例24工程cから出発して、実施例1工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法4):Rt 5.25分、m/z 553[MH]。H NMR(400MHz,MeOD):δ8.53(1H,dd,J1.6,1.0Hz),7.66(1H,dd,J9.5,1.0Hz),7.34(2H,m),7.31(1H,dd,J9.5,1.6Hz),7.23(2H,m),7.09(4H,s),6.27(1H,s),3.72(1H,q,J7.1Hz),3.55(1H,m),2.31(3H,s),1.47(6H,2×d,J6.9Hz),1.40(3H,d,J7.1Hz),1.30(9H,s)。
【0348】
実施例25
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4(3−シクロペンチル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−尿素
【0349】
【化94】

【0350】
表題化合物を実施例21と同様の方法で調製した。LCMS(方法11):Rt 4.59分、m/z 555[M]。H NMR(400MHz,MeOD):δ7.88(1H,dd,J2.1,0.8),7.60(1H,dd,J9.9,0.8),7.30(4H,m),7.25(1H,dd,9.9,2.1),6.27(1H,s),4.32(1H,m),3.57(2H,m),2.38(3H,s),2.20(2H,m),2.10(2H,m),1.87(9H,m),1.56(2H,m),1.35(1H,m),1.28(9H,s)。
【0351】
実施例26
【0352】
【化95】

【0353】
1−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−3−[5−(1−メチル−1−メチルスルファニル−エチル)−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル]−尿素
表題化合物を、実施例21工程cから出発して、実施例1工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法11):Rt 4.59分、m/z 561[M]。H NMR(400MHz,MeOD):δ7.85(1H,dd,J2.1,0.8),7.57(1H,dd,J9.9,0.8),7.30(4H,m),7.21(1H,dd,9.9,2.1),6.41(1H,s),4.32(1H,m),3.56(1H,m),(1H,sept.,J6.9),2.38(3H,s),2.11(2H,m),1.98(2H,m),1.91(3H,s),1.61(6H,s),1.56(2H,m),1.42(6H,d,J6.9),1.35(3H,m)。
【0354】
実施例27
N−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ピリジン−4−イル−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−2−[4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルスルファニル)−フェニル]−アセトアミド
【0355】
【化96】

【0356】
表題化合物を実施例1工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法11):Rt 3.81分、m/z 646[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ8.53−8.49(2H,m),8.04(1H,s),7.64(1H,d,J9.6),7.26(1H,s NH),7.24−7.10(7H,m),7.02(1H,dd,J9.6,1.6),6.87(1H,t,J2.4),6.82(1H,ddd,J8.4,2.4,1.0),6.63(1H,d,J7.9),6.57(1H,s),4.19(2H,t,J6.4),3.62(2H,s),2.36−3.28(1H,m),3.08(2H,t,J6.4),1.51(6H,d,6.9),1.29(9H,s)。
【0357】
実施例28
【0358】
【化97】

【0359】
実施例28は、実施例1で用いた方法と同様の方法を用いて調製した。LCMS(方法11):Rt 5.12分、m/z 525[MH]。H NMR(400MHz,CDCl):δ1.36(9H,s),1.54(6H,d,J8Hz),2.41(3H,s),3.37(1H,q,J8Hz),6.71(1H,s),7.12−7.16(1H,m),7.28−7.33(2H,m),7.35−7.46(5H,m),6.68−7.73(1H,m),7.78(1H,S),7.91(1H,s),8.12(1H,s)。
【0360】
実施例29
1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(3−ピリジン−2−イル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−シクロヘキシル]−尿素
【0361】
【化98】

【0362】
表題化合物を、DMSOの代わりにジオキサンを用いて、80℃で加熱して、実施例10工程dと同様の方法で調製した。LCMS(方法7):Rt 4.95分、m/z 565[MH]。H NMR(400MHz,DMSO):δ9.36(1H,dd,J2.3,0.8),8.74(1H,ddd,J4.9,1.8,1.1),8.34(1H,dt,J8.1,1.1,1.1),8.03−7.97(1H,m),7.91(1H,s,NH),7.86(1H,dd,J9.8,0.8),7.48(1H,ddd,J7.5,4.9,1.1),7.37(1H,dd,J9.8,2.3),7.31−7.24(4H,m),6.52(1H,d,J7.4NH),6.21(1H,s),4.34−4.24(1H,m),3.52−3.40(1H,m),2.32(3H,s),2.12−2.00(2H,m),1.92−1.84(2H,m),1.56−1.44(2H,m),1.34−1.22(2H,m),1.20(9H,s)。
【0363】
生物学的アッセイ
p38キナーゼアッセイ
大腸菌で発現され、MKK6酵素(Calbiochem #559324)とのインキュベーションにより活性化されたヒト組換えp38酵素を酵素活性源として用いる。
【0364】
アッセイは、組換えATF−2(Biosource #PHF0043)でコーティングされた高結合性の透明な平底96ウェルアッセイプレートで行なう。ATPを添加してキナーゼアッセイを開始する前に、試験化合物をp38キナーゼとともに2時間インキュベートして、250μMのアッセイ濃度を得る。ELISAを用いてATF−2のリン酸化を検出し、定量化する。これは、抗−ホスホ−ATF2、ビオチン化抗−IgGおよびストレプトアビジン−HRPの存在下での連続的なインキュベーションからなる。HRP発色基質(TMB)とのインキュベーションにより、生成されたリン酸化基質の量に比例する吸光度が得られる。マルチウェルプレートリーダーを用いて吸光度を検出する。
【0365】
アッセイ緩衝液に添加する前に、化合物をDMSOに希釈する。アッセイ中の最終的なDMSO濃度は1%である。
【0366】
IC50は、所与の化合物が対照の50%阻害を達成する濃度と定義される。結果を表1に示す。
【0367】
【表4】

【0368】
上の表1において、p38α結合能(IC50値)は次のように示される:<2000〜500nM 「+」;<500〜100nM 「++」;10〜<100nM 「+++」;<10nM 「++++」。試験した化合物は全て、<2000nMのIC50値を示した。NT 未試験。
【0369】
p38機能アッセイ
細胞p38の阻害はTNFαの放出を低下させる。TNFαの放出は、LPS活性化THP−1細胞(不死化単球細胞株)または新鮮に採血されたヒト血液から単離された末梢血単核球(PBMC)の上清中のTNFαの量を測定することによって定量化される機能的応答である。
【0370】
96ウェルプレートに播種された細胞を、p38インヒビターを1時間添加して前処理し、その後、リポ多糖(LPS)を添加して、サイトカインの産生と放出を活性化させる。製造元の取扱説明書に従ってR&D Systems酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キット(製品DY210)を用いて、細胞上清中に放出されたTNFαの量を定量化する。
【0371】
添加する前に、化合物をDMSOに希釈する。アッセイ中の最終的なDMSO濃度は0.3%である。EC50は、所与の化合物が対照の50%阻害を達成する濃度と定義される。結果を表2に示す。
【0372】
【表5】

【0373】
上の表2において、EC50値は次のように示される:<7000〜500nM 「+」;<500〜100nM 「++」;10〜<100nM 「+++」;<10nM 「++++」。試験した化合物は全て、<2000nMのEC50値を示した。NT 未試験。
【0374】
生物学的アッセイ
COPD炎症の前臨床マウスモデル−タバコ煙で肺の炎症を誘発した。
【0375】
これまでの研究から、気管支肺胞洗浄液(BAL)中に回収される炎症細胞の数は、連続4日間または11日間の毎日のTS暴露の最後のタバコ煙(TS)の暴露の24時間後に著しく上昇することが確認されており、この時点を今回報告する研究で用いた。
【0376】
マウスのTSへの暴露、気管支肺胞洗浄液(BAL)の入手、示差細胞計数(differential cell counts)用のサイトスピンスライドの調製についてのプロトコルを以下に概説する。
【0377】
連続4日間または11日間毎日のマウスのTSへの暴露
この暴露プロトコルでは、個々の透明なポリカーボネートチャンバー(27cm×16cm×12cm)の中で、5匹からなる群を単位として、マウスに暴露させた。巻きタバコからのTSを、100ml/分の流速で暴露チャンバーに入り込ませた。高レベルのTS(巻きタバコ6本)に繰り返し暴露されることが原因で起こり得る問題を最小限に抑えるために、暴露期間を通して最大で巻きタバコ6本となるように、マウスのTSへの暴露を徐々に増加させた。4日間用に用いた暴露スケジュールは以下の通りであった。
【0378】
1日目:巻きタバコ4本(約32分の暴露)
2日目:巻きタバコ4本(約32分の暴露)
3日目:巻きタバコ6本(約48分の暴露)
4日目:巻きタバコ6本(約48分の暴露)
【0379】
11日間の暴露用に用いた暴露スケジュールは以下の通りであった。
1日目:巻きタバコ2本(約16分の暴露)
2日目:巻きタバコ3本(約24分の暴露)
3日目:巻きタバコ4本(約32分の暴露)
4日目:巻きタバコ5本(約40分の暴露)
5〜11日目:巻きタバコ6本(約48分の暴露)
【0380】
さらなる群のマウスには、対照(TS暴露なし)として、同等の長さの時間、毎日空気に暴露させた。
【0381】
気管支肺胞洗浄液(BAL)解析
気管支肺胞洗浄を次のように行なった。約8mmに短縮化されたPortexナイロン静脈内カニューレ(pink luer fitting)を用いて、気管にカニューレを挿入した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を洗浄液として用いた。0.4mlの容量を穏やかに点滴し、1mlシリンジを用いて3回引き抜いた後、エッペンドルフチューブに入れ、後の測定まで氷上で保持した。
【0382】
細胞計数:
洗浄液を遠心分離により細胞から分離し、上清をデカントし、後の解析のために凍結させた。細胞ペレットを既知容量のPBSに再懸濁させ、血球計算器を用いて顕微鏡下で染色(チュルク染色)アリコートを計数することにより全細胞数を求めた。
【0383】
示差細胞計数は次のように行なった。
【0384】
残留細胞ペレットを約10細胞/mlに希釈した。500μlの容量をサイトスピンスライドの漏斗に入れ、800rpmで8分間遠心分離した。このスライドを風乾させ、「Kwik−Diff」溶液(Shandon)を特許権者の取扱説明書に従って用いて染色した。乾燥させて、カバーガラスで覆い、示差細胞を光学顕微鏡検査により計数した。先入観を持たない技師が光学顕微鏡検査を用いて400個までの細胞を計数した。標準的な形態計測技術を用いて、細胞を鑑別した。
【0385】
薬物治療
マウスやラットなどの齧歯類は絶対的鼻呼吸者であり、したがって、吸入用の試験物質(例えば、治療剤)の経口送達は良好な肺暴露をもたらさない。結果として、齧歯類における肺への治療剤の送達は、通常、鼻腔内、気管内またはチャンバー内での全身へのエアロゾル暴露による吸入によって達成される。
【0386】
チャンバー法は大量の試験物質を使用し、通常、薬理学的有効性研究ではなく、吸入毒性研究のためのものである。気管内投与は、試験物質のほぼ全てが肺に送達されるので、非常に有効な送達方法であるが、これは極めて侵襲的な手法である。特にマウスでの研究の場合、気管の直径が極めて小さいので、気管内投与は技術的に困難でもある。鼻腔内経路は、気管内経路よりも侵襲性が少なく、それゆえ、下記の4〜11日間のマウスモデルのような反復投与研究に特に好適である。鼻腔内投与後、投与された用量の約50%が肺に送達される(Eyles JE,Williamson ED and Alpar HO.1999,lnt J Pharm,189(1):75−9)。
【0387】
経口吸入の代用経路として、マウスにビヒクル(生理食塩水中の0.2% tween 80)、実施例10(30μg/kg)、実施例10(100μg/kg)または実施例10(300μg/kg)を鼻腔内投与した。対照群のマウスには、1日につき最大50分間、毎日空気を暴露させる前に、ビヒクルを1時間投与した。TS暴露を4日間行なった。BALを最後のTS暴露の24時間後に行なった。
【0388】
データ管理および統計解析
結果は全て、各動物についての個々のデータ点として提示されている。各群について平均値を求めた。正規性の検定は正であるので、データに対しては、一元配置分散分析検定(ANOVA)を行ない、次に、処理群間の有意性を検定するために、多重比較のためのボンフェローニ補正を行なった。<0.05の「p」値を統計的有意とみなした。阻害率は、以下の式:
【0389】
【数1】

【0390】
を用いて、セルデータのExcelスプレッドシート内で自動的に計算した。
【0391】
他のパラメータの阻害データは、上の式を用いて手計算した。
【0392】
図1に示すように、実施例10は、鼻腔内経路で投与されたとき、TSによって誘発されるBAL細胞流入を30、100または300μg/kgで有意に阻害した。同様の研究結果がBAL好中球で認められた(図2)。これらの結果は、TSに暴露されたマウスの肺における明白な抗炎症効果を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩:
【化1】

式(I)中、
は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、任意で置換されたフェニル、任意で置換された5員もしくは6員単環ヘテロアリール、または式(II)
【化2】

式(II)中、nは1もしくは2であり、RおよびRは、独立して、HもしくはC−Cアルキルであるか、またはRおよびRは、それらに結合する窒素とともに、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意で含む6員複素環を形成する
のラジカルであり、
Yは−O−または−S(O)−であり、ここで、pは0、1または2であり、
Aは、任意で置換された二価アリーレンラジカル、または単環もしくは二環ヘテロアリーレンラジカル、または5個もしくは6個の環原子を有するC−C二価シクロアルキレンラジカル、または環窒素がRNHC(=O)W−に結合しているピペリジニレンラジカルであり、
Wは、結合、−NH−または−C(R)(R)であり、ここで、RおよびRは、独立して、H、メチル、エチル、アミノ、ヒドロキシルまたはハロであり、
は、式(IIIA)、(IIIB)または(IIIC):
【化3】

式(IIIA)、(IIIB)または(IIIC)中、
mは0または1であり、
qは0、1、2または3であり、
Tは−N=または−CH=であり、
はHまたはFであり、
は、−CH;−C;−CHOH、−CHSCH;−SCHまたは−SCであり、
は−CHまたは−Cであり、
の各出現は、独立して、H、C−C、ヒドロキシルもしくはハロであるか、またはRの1回の出現は、式(IVA)、(IVB)もしくは(IVC)
【化4】

のラジカルであり、その一方で、Rの任意の他の出現は、独立して、H、C−Cアルキル、ヒドロキシルもしくはハロであり、
式(IVA)、(IVB)もしくは(IVC)中、nおよびpは上で定義されたものであり、
において、R61aおよびR61bは、H、アルキルであるか、またはR61aおよびR61bは、それらが結合する窒素と結合して、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を任意で含む複素環を形成していてもよい
のラジカルである化合物。
【請求項2】
二価ラジカル−W−[A]−Y−が、以下の式(B)〜(J):
【化5】

のうちの1つを有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(IA):
【化6】

式中、
V、V’、XおよびX’は、独立して、−CH=または−N=であり、
、R、YおよびWは、請求項1に定義されたものである
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式(IA):
【化7】

式中、YはOまたはSであり、RおよびRは請求項1に定義されたものである
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式(IB):
【化8】

式中、
UはCHまたはNであり、
、R、YおよびWは、請求項1に定義されたものであり、ただし、UがNの場合、WはNHではない
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式(IB):
【化9】

式中、YはOまたはSであり、RおよびRは、請求項1に定義されたものである、
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
式(IC):
【化10】

式中、YはOまたはSであり、Rは請求項1に定義されたものであり、Rは、フェニル、5員もしくは6員単環ヘテロアリール、または請求項1に定義された式(II)のラジカルである
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が請求項1に定義された式(II)の基であり、式中、基−NRがモルホリニルである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
がイソプロピルまたは2,6−ジクロロフェニルである、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
が請求項1に定義された式(IIIC)のラジカルであり、式中、RおよびRが各々メチルである、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
が、式(IIID)、(IIIE)、(IIIF)または(IIIG):
【化11】

を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
が請求項1に定義された式(IIIA)のラジカルであり、式中、mが0である、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
が、請求項1に定義された式(IIIB)のラジカルであり、式中、(a)Tが−CH=かつR=Hであるか、または(b)Tが−N=かつR=Hであるか、または(c)Tが−CH=かつR=Fである、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の化合物を1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤とともに含む薬学的組成物。
【請求項15】
肺投与用の吸入に適している、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
p38 MAPキナーゼ活性の阻害から恩恵を受ける疾患または状態の治療のための請求項1〜13のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項17】
前記疾患または状態が、慢性好酸球性肺炎、喘息、COPD、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、他の薬物療法による気道過敏症または肺高血圧症と関連する気道疾患の増悪である、請求項16に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−517992(P2012−517992A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549680(P2011−549680)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/GB2010/050257
【国際公開番号】WO2010/094956
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(311018688)チェシ ファーマスーティシ エス.ピー.エイ. (1)
【Fターム(参考)】