説明

PAI−1阻害剤としてのピロロ−ナフチル酸

本発明は、式(I)のオキサゾロ−ナフチル酸に、および該化合物を用いてPAI−1発現を制御し、かつPAI−1関連障害を治療する方法に関する。


(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容を出典明示により本明細書の一部とする、2004年8月23日付け出願の仮出願番号60/603766について優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、[ピロロ−5−イル−ナフチル]オキシアルキル−酸などのピロロ−ナフチル酸、およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
セリンプロテアーゼ阻害剤であるPAI−1は線溶系の主たる阻害剤の一つである。線溶系は、2種類の組織型プラスミノゲン活性化因子、t−PAまたはu−PAの一つにより、活性酵素であるプラスミンに変換される、プロ酵素のプラスミノゲンを包含する。PAI−1はt−PAおよびu−PAの主な生理学的阻害剤である。線溶系におけるプラスミンの主たる機能の一つが血管損傷部位にあるフィブリンを消化することである。しかしながら、線溶系はフィブリンの循環からの除去に関与するだけでなく、排卵、胚形成、内膜増殖、血管形成、腫瘍形成およびアテローム性動脈硬化を含む、いくつかの他の生物学的プロセスにも関与している。
【0004】
PAI−1の高レベルは、線溶系障害に伴う疾患等を含む、種々の疾患および症状と関連付けられる。例えば、PAI−1の高レベルは、局所的に血管の血流を塞ぐか、または分離して閉塞し、下流方向への血流を止める、血栓形成により特徴付けられる疾患などの、血栓症と関連付けられる(Krishnamurti、Blood、69、798(1987);Reilly、Arteriosclerosis and Thrombosis、11、1276(1991);Carmeliet、Journal of Clinical Investigation、92、2756(1993)、Rocha、Fibrinolysis、8、294、1994;Aznar、Haemostasis 24、243(1994))。PAI−1活性の抗体中和は内因的血栓溶解および再灌流を促進させる(Biemond、Circulation、91、1175(1995);Levi、Circulation 85、305(1992))。PAI−1の高レベルはまた、多嚢胞性卵巣症候群(Nordt、Journal of clinical Endocrinology and Metabolism、85、4、1563(2000))、エストロゲン欠乏により誘発される骨喪失(Daci、Journal of Bone and Mineral Research、15、8、1510(2000))、嚢胞性線維症、糖尿病、慢性歯周炎、リンパ腫、細胞外マトリックス蓄積に伴う疾患、悪性腫瘍および血管新生に伴う疾患、炎症性疾患、感染に伴う血管損傷、および乳癌および卵巣癌などのuPAレベルの増加に伴う疾患などの疾患とも関係している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記事項から、PAI−1活性の阻害剤に関して、およびかかる阻害剤を用いて、PAI−1発現または活性を調節する方法、例えば、高レベルのPAI−1に付随する障害を処理するための方法に関して要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一の態様において、本発明は、次式:
【化1】

式1
[式中:
Arはアリールまたはヘテロアリールであり;
は水素、C−C12アルキル、C6−14アリール、C6−14アル(C1−6)アルキル、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−CO−アリール、−(CH−CO−ヘテロアリール、−(CH−CO−(C−C)アルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−Cシクロアルキルであり;
およびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C6−14アリール、C6−14アル(C1−6)アルキル、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、C−Cアルコキシ、アラルキル、アルコキシアリール、ニトロ、カルボキシ(C−Cアルキル)、カルバミド、カルバマートまたはC−Cシクロアルキルであり;
は−CH(R)(CH、−C(CH、−CH(R)(CH、−CH(R)C、−CH(R)C(COH)、CH(R)C(COH)または酸模倣物であり;
は水素、C−Cアルキル、C−C12アリール、アラルキル、C−Cシクロアルキルまたは−(CH(R)であり;
はCOH、テトラゾールまたはPOHであり;

【化2】

であり;
nは0ないし6であり;
pは0ないし3であり;
bは0ないし6であり;および
aは0ないし6である]
で示されるピロロ−ナフチル酸、あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態に関する。
【0007】
さらに、本発明は、とりわけ、例えば、ピロロ−ナフチル酸を用いて、PAI−1発現および/または活性を調節する方法を提供する。特定の方法において、本発明の1つまたは複数の化合物の治療的有効量を対象に投与し、PAI−1関連障害を治療する。典型的な方法は、線溶系障害に付随するもののような、対象におけるPAI−1活性の阻害に関連する方法である。特定の実施形態においては、本発明の1つまたは複数の化合物を対象に投与し、血栓症、例えば、静脈血栓症、動脈血栓症、脳血栓症、または深部静脈血栓症、心房性細動、肺線維症、手術の血栓塞栓性合併症、心臓血管疾患、例えば、心筋虚血、アテローム性動脈硬化プラーク形成、慢性閉塞性肺疾患、腎線維症、多嚢胞性卵巣症候群、アルツハイマー病または癌が治療される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
A.総括
本発明は、好ましくはPAI−1活性を阻害する新規な化合物、かかる化合物の調製方法、かかる化合物を含有する医薬組成物、かかる化合物を、例えば、薬物療法にて用いる方法を提供する。好ましい化合物は、PAI−1の生成および/または作用と関連する特性を含め多種の疾患および障害を予防および/または阻害するのに有用な特性を有する。これらの疾患等は、限定されるものではないが、血栓症、冠状動脈性心臓病、腎線維症、アテローム性動脈硬化プラーク形成、肺疾患、心筋虚血、心房性細動、凝固症候群、手術による血栓塞栓性合併症、末梢動脈閉塞および肺線維症を含む、線溶系障害よりもたらされる障害を包含する。他の障害として、多嚢胞性卵巣症候群、アルツハイマー病および癌が挙げられるが、これに限定されない。
【0009】
単独で、あるいは別の基の一部として用いられていても、本明細書で使用される場合、「アルキル」および「アルキレン」なる語は、置換されているか、または置換されていない脂肪族炭化水素鎖をいい、違いはアルキル基が本質的に一価である(すなわち、末端にある)のに対して、アルキレン基は二価であり、典型的には、リンカーとして供するものである。共に限定されるものではないが、特記しない限り、1個ないし約12個の炭素原子、好ましくは1個ないし約6個の炭素原子を含有する、直鎖および分枝鎖を包含する。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、i−ブチルおよびt−ブチルは、「アルキル」なる語に含まれる。特に、「アルキル」の定義には、置換されていてもよい脂肪族炭化水素鎖も含まれる。したがって、本明細書に記載のアルキル基は置換されていない基と置換されている基の両方をいう。代表的な任意の置換基は、限定されるものではないが、ハロゲン、−CN、ヒドロキシ、オキソ(=O)、アシルオキシ、アルコキシ、アミノ、1または2個の炭素数1ないし6のアルキル基により置換されていているアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、炭素数1ないし6のチオアルコキシ、炭素数1ないし6の置換チオアルコキシおよびトリハロメチルを包含する。好ましい置換基は、ハロゲン、−CN、−OH、オキソ(=O)、およびアミノ基を包含する。
【0010】
本明細書の定義で用いられる炭素数は、骨格の炭素および分枝鎖の炭素に言及するもので、アルコキシ置換などの置換基の炭素原子は含まない。
【0011】
単独で、あるいは別の基の一部として用いられていても、本明細書で使用される場合、「アルケニル」なる語は、置換されているか、または置換されていない脂肪族炭化水素鎖をいい、限定されるものではないが、2個ないし約10個の炭素原子(特記しない限り)を有し、少なくとも1個の二重結合を含有する、直鎖および分枝鎖を含む。好ましくは、アルケニル部分は、1または2個の二重結合を有する。好ましくは、アルケニル部分は約2個ないし約7個の炭素原子を有する。かかるアルケニル部分は、EまたはZの立体構造で存在することができ、本発明の化合物は両方の立体構造を含む。具体的には、「アルケニル」の定義には、置換されていてもよい脂肪族炭化水素鎖も含まれる。したがって、本明細書に記載のアルケニル基は、置換されていない、あるいは置換されている両方の基をいう。代表的な任意の置換基は、限定されるものではないが、ハロゲン、−CN、ヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシ、アミノ、1または2個の炭素数1ないし6のアルキル基により置換されているアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、炭素数1ないし6のチオアルコキシ、炭素数1ないし6の置換チオアルコキシおよびトリハロメチルを包含する。アルケニルに結合するヘテロ原子、例えばOまたはSは、二重結合に結合する炭素原子に結合すべきではない。好ましい置換基は、ハロゲン、−CN、−OHおよびアミノ基を含む。
【0012】
単独で、あるいは別の基の一部として用いられていても、本明細書で使用される場合、「アルキニル」なる語は、置換されているか、または置換されていない脂肪族炭化水素をいい、限定されるものではないが、2個ないし約10個の炭素原子(特記しない限り)を有し、少なくとも1個の三重結合を含有する、直鎖および分枝鎖を含む。好ましくは、アルキニル部分は約2ないし約7個の炭素原子を有する。特定の実施形態において、アルキニルは、1個より多くの三重結合を含有することができ、かかる場合において、アルキニル基は少なくとも4個の炭素原子を含有しなければならない。具体的には、「アルキニル」の定義には、置換されていてもよい脂肪族炭化水素鎖も含まれる。したがって、本明細書に記載のアルキニル基は置換されていない、あるいは置換されている基の両方をいう。代表的な任意の置換基は、限定されるものではないが、ハロゲン、−CN、ヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシ、アミノ、1個または2個の炭素数1ないし6のアルキル基により置換されているアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、炭素数1ないし6のチオアルコキシ、炭素数1ないし6の置換チオアルコキシおよびトリハロメチルを含む。好ましい置換基は、ハロゲン、−CN、−OHおよびアミノ基を含む。アルキニルに結合したヘテロ原子、例えばOまたはSは、三重結合に結合した炭素原子に結合すべきではない。
【0013】
単独で、あるいは別の基の一部として用いられていても、本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」なる語は、3個ないし約20個の炭素原子(特記しない限り)、好ましくは3個ないし約6個の炭素原子を有する、置換されているか、または置換されていない脂環式炭化水素基をいう。具体的には、「シクロアルキル」の定義には、置換されていてもよい脂環式炭化水素基が含まれる。したがって、本明細書に記載のシクロアルキル基は置換されていないか、または置換されている両方の基をいう。代表的な任意の置換基は、限定されるものではないが、ヒドロキシ、オキソ(=O)、アシルオキシ、アルコキシ、アミノ、1個または2個の炭素数1ないし6のアルキル基により置換されているアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、炭素数1ないし6のチオアルコキシ、炭素数1ないし6の置換チオアルコキシおよびトリハロメチルを含む。
【0014】
単独で、あるいは別の基の一部として用いられていても、本明細書で使用される場合、「アリール」なる語は、5個ないし約50個の炭素原子(特記しない限り)を、好ましくは約6個ないし約14個の原子を、より好ましくは約6個ないし約12個の炭素原子を有する置換されているか、または置換されていない芳香族炭化水素環基として定義される。「アリール」基は、単環または多縮合環を有しうる。「アリール」なる語は、限定されるものではないが、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、ビフェニル、アントリル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インダニル、ビフェニレニルおよびアセナフテニルを包含する。具体的には、「アリール」の定義には、置換されていてもよい芳香基が含まれる。従って、本明細書に記載のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル、およびフルオレニル)は置換されていないか、または置換されている両方の基をいう。本発明の代表的な実施形態において、「アリール」基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、アシル、炭素数1ないし6のアルキル、炭素数1ないし6のアルコキシ、炭素数2ないし6のアルケニル、炭素数2ないし6のアルキニル、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、−(CH−フェニル、−O(CH−フェニル、アミノ、1個または2個の炭素数1ないし6のアルキル基で置換されているアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数1ないし6のチオアルコキシ、炭素数1ないし6の置換チオアルコキシおよびトリハロメチルからなる群から選択される1ないし5個の置換基により置換されていてもよい。例えば、「アリール」基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、ハロゲン、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、−(CH−フェニル、および−O(CH−フェニルから選択される1ないし3個の基により置換され得る。これらの実施形態において、−(CH−フェニルおよび−O(CH−フェニルのフェニル基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、−(CH−フェニル、ハロゲン、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシから選択される1ないし3個の基により置換されていてもよい。好ましいアリール基はフェニルおよびナフチルを包含する。pは0ないし3の整数である。本明細書のアリール基上の好ましい置換基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、トリハロメチル、およびC−Cチオアルコキシを含む。
【0015】
単独で、あるいは別の基の一部として用いられていても、本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」なる語は、置換されているか、または置換されていない芳香族複素環式環系として定義される。ヘテロアリール基は、例えば、約3ないし約50個の炭素原子(特記しない限り)を有しうる。約4個ないし約10個の炭素原子を有する基が好ましい。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5個ないし約14個の環原子を有し、炭素原子ならびに1個、2個、3個または4個の酸素、窒素または硫黄のヘテロ原子を含有する芳香族複素環式環系である。代表的なヘテロアリール基は、フラン、チオフェン、インドール、アザインドール、オキサゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロール、N−メチルピロール、ピラゾール、N−メチルピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、1−メチルテトラゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイソキサゾール、ベンズイミダゾール、N−メチルベンズイミダゾール、アザベンズイミダゾール、インダゾール、キナゾリン、キノリンおよびイソキノリンである。二環式芳香族ヘテロアリール基は、フェニル、ピリジン、ピリミジンまたはピリジジン環を含み、これらは(a)1個の窒素原子を有する6員の芳香族(不飽和)複素環式環に縮合するか;(b)個の窒素原子を有する5または6員の芳香族(不飽和)複素環式環に縮合するか;(c)1個の窒素原子を、1個の酸素または1個の硫黄原子のいずれかと一緒に有する、5員の芳香族(不飽和)複素環式環に縮合するか;あるいは(d)O、NまたはSから選択される1個のヘテロ原子を有する、5員の芳香族(不飽和)複素環式環に縮合している。具体的には、「ヘテロアリール」の定義には、置換されていてもよい芳香基が含まれる。したがって、本明細書に記載のヘテロアリール基(例えば、フラニル、チオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ピラゾリルおよびオキサゾリル)は、置換されていないか、あるいは置換されている両方の基をいう。本発明の代表的な実施形態において、「ヘテロアリール」基は、アシルオキシ、ヒドロキシ、アシル、炭素数1ないし6のアルキル、炭素数1ないし6のアルコキシ、炭素数2ないし6のアルケニル、炭素数2ないし6のアルキニル、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、−(CH−フェニル、−O(CH−フェニル、アミノ、1個または2個の炭素数1ないし6のアルキル基で置換されているアミノ、アミノアシル、アシルアミノ、アジド、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数1ないし6のチオアルコキシ、炭素数1ないし6の置換チオアルコキシおよびトリハロメチルからなる群から選択される、1ないし5個の置換基により置換されていてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、「ヘテロアリール」基は、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、ハロゲン、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、−(CH−フェニル、および−O(CH−フェニルから選択される1ないし3個の基により置換されていてもよい。これらの実施形態において、−(CH−フェニルおよび−O(CH−フェニルのフェニル基は、例えば、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フェニル、ハロゲン、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシから選択される1ないし3個の基により置換されていてもよい。pは0ないし3の整数である。本発明の好ましいヘテロアリールは、置換されているか、置換されていないフラニル、チオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ピラゾリルおよびオキサゾリルを包含する。
【0016】
本明細書にて使用される場合、「アルコキシ」なる語は、Rが上記と同意義のアルキル基である、R−O−基をいう。本明細書にて使用される場合、「チオアルコキシ」なる語は−O−Ra−S基をいい、ここでRは上記したアルキル基である。具体的には、「アルコキシ」および「チオアルコキシ」の定義には、置換されていてもよいアルコキシが含まれる。したがって、本明細書中に記載のアルコキシおよびチオアルコキシ基とは置換されていない基または置換されている基の両方をいう。アルコキシおよびチオアルコキシ基上の好ましい置換基は、ハロゲン、−CN、−OH、およびアミノ基を包含する。
【0017】
本明細書にて使用される場合、「アルコキシアリール」なる語は、R−O−アリール−基をいい、ここでRは上記したアルキル基であり、アリールは上記したとおりである。
【0018】
「アリールアルキル」または「アラルキル」なる語は、Rが上記と同意義のアルキレン基であり、R、アリール基より置換されている−R−R基をいう。好ましいアラルキル基はC6−14アル(C1−6)アルキル基を包含する。本発明のアラルキル基は所望により置換されていてもよい。例えば、好ましい実施形態において、本発明のベンジル基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、ハロゲン、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、−(CH−フェニル、および−O(CH−フェニルから選択される1ないし3個の基により置換されていてもよい。アリールアルキル部分の例として、限定されるものではないが、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル等が挙げられる。
【0019】
単独で、あるいは別の基の一部として用いられていても、本明細書で使用される場合、「ペルフルオロアルキル」なる語は、1〜6個の炭素原子と、2またはそれ以上のフッ素原子を有する飽和脂肪族炭化水素をいい、限定されるものではないが、直鎖または分枝鎖、例えば−CF、−CHCF、−CFCFおよび−CH(CFを包含する。
【0020】
「ハロゲン」または「ハロ」なる語は、塩素、臭素、フッ素、およびヨウ素をいう。
【0021】
本明細書で使用される場合の「カルバミド」なる語は−C(O)NR’R’’をいう。ここでR’およびR’’は、独立して、上記にて定義した、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルである。
【0022】
本明細書で使用される場合の「カルバマート」なる語は−OC(O)NR’R’’基をいう。ここで、R’およびR’’は、独立して、上記にて定義した、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルである。
【0023】
「アシル」なる語は、式:RC(O)−で示される基をいう。ここで、Rは、上記にて定義した、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルである。適当なアシル基はホルミル、アセチル、プロピオニル等を包含する。
【0024】
「アシルオキシ」なる語は、式:RC(O)O−で示される基をいう。ここで、Rは、上記にて定義した、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルである。適当なアシルオキシ基は、CHCOO−、CHCHCOO−、ベンジルオキシ等を包含する。
【0025】
「アシルアミノ」なる語は、式:RC(O)NH−で示される基をいう。ここで、Rは、上記にて定義した、水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルである。
【0026】
「アミノアシル」なる語は、式:−(R)0−3C(O)NHで示される基をいう。ここで、Rは、上記にて定義した、アルキレンである。
【0027】
「治療する」または「治療」なる語は、症状を軽減、緩和または縮小すること;または患者が損傷、病状または症状により耐えうるようにすること;変性または減退の速度を弱めること;変性の終点を衰弱させないこと;あるいは対象の肉体的または精神的な満足度を改善すること等の客観的または主観的パラメータを含む、損傷、病状または症状の改善における成功の兆候をいう。症状の治療または改善は、身体検査、神経検査および/または精神学的評価の結果を含む、客観的または主観的パラメータを基礎とすることができる。「治療する」または「PAI−1関連障害の治療」は、障害の症状を未だに経験または発症していないが、PAI−1関連障害にかかりやすい対象の症状の発生を防止すること(予防的治療)、障害の症状を阻害すること(進行を遅延させるか、または阻む)、障害の症状または副作用の軽減を提供すること(緩和療法を含む)および/または障害の症状を緩和すること(発生回帰)を含む。したがって、「治療する」なる語は、PAI−1関連障害に付随する症状または病態の進行、例えば癌に伴う腫瘍の増殖を防止または遅延、軽減または阻むまたは阻害するために、本発明の化合物または物質を対象に投与することを含む。医師は、患者がPAI−1のレベルおよび/または活性の増加に付随する疾患を患っているかどうかを決定するのに標準的方法をどのように使用するかを、例えば、患者を検査し、該患者がPAI−1の高いレベルまたは活性に付随することが知られている疾患を患っているかどうかを決定することによるか、またはPAI−1関連疾患を患っている疑いのある個体の血漿または組織中のPAI−1レベルをアッセイし、PAI−1関連疾患を患っている疑いのある個体の血漿または組織中のPAI−1レベルを、健康な個体の血漿または組織中のPAI−1レベルと比較するなどの方法を知っている。対象におけるPAI−1レベルを測定するために、例えば、PCR、ノーザンおよびサザンブロット、ドットブロット、核酸アレイ、ウェスタンブロット、免疫アッセイ、例えば免疫沈降、エライザ、プロテオミクスアッセイ等の核酸および蛋白の検出用に知られている方法を用いることができる。高いPAI−1レベルは疾患の指標である。
【0028】
健康な個体において、PAI−1は血漿中に低レベル(例えば、5−10ng/mL)で認められるが、例えばアテローム性動脈硬化症(Schneiderman J.ら、Proc Natl Acad Sci 89:6998-7002, 1992)、深部静脈血栓症(Juhan-Vague Iら、Thromb Haemost 57:67-72, 1987)およびインスリン非依存性糖尿病(Juhan-Vague Iら、Thromb Haemost 78:565-660, 1997)を含む、多くの疾患において、該PAI−1は有意に高いレベルにある。PAI−1は、各々、心筋梗塞後の冠動脈閉塞(Hamsten Aら、Lancet 2:3-9, 1987)および整形外科的手術からの術後回復に伴う静脈血栓症(Siemens HJら、J Clin Anesthesia 11:622-629, 1999)に寄与する動脈および静脈の両方の血栓を安定化させる。また、血漿PAI−1は、例えば閉経後の女性においても増加し、この集団における心血管疾患の発生率の増加に寄与していることが提案されている(Koh Kら、N Engl J Med 336:683-690, 1997)。
【0029】
「PAI−1関連障害または疾患」なる語は、PAI−1の発現または活性の増加または増強、あるいは、PAI−1をコードする遺伝子の発現または活性の増加または増強に付随する、疾患または症状をいう。かかる活性または発現の増加の例としては、次のこと:蛋白の活性または蛋白をコードする遺伝子の発現が、正常な対象におけるそのレベルよりも高いこと;蛋白の活性または蛋白をコードする遺伝子の発現が、正常な対象において通常検出されない臓器、組織または細胞において見られること(すなわち、蛋白の空間分布または蛋白をコードする遺伝子の発現が変化している);蛋白の活性または蛋白をコードする遺伝子の発現が正常な対象においてよりも長期間、臓器、組織または細胞に存在する場合に、蛋白の活性または蛋白をコードする遺伝子の発現が増加すること(すなわち、蛋白の活性または蛋白をコードする遺伝子の発現期間が増加する)が挙げられる。正常な対象とは、PAI−1関連障害または疾患を患っていない対象である。
【0030】
「医薬上許容される賦形剤」なる語は、一般に、安全、無毒かつ望ましい医薬組成物の調製に有用な賦形剤を意味し、獣医的使用ならびにヒトの医薬使用に適応しうる賦形剤を含む。かかる賦形剤は、固体、液体、半固体とすることができ、あるいはエアロゾール組成物の場合には、気体とすることができる。
【0031】
「医薬上許容される塩およびエステル」は、医薬上許容され、所望の薬理特性を有する塩およびエステルをいう。かかる塩は、例えば化合物中に存在する酸性プロトンが無機または有機塩基との反応能を有して形成され得る塩を包含する。適当な無機塩は、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウムおよびカリウム、マグネシウム、カルシウムおよびアルミニウムと形成されるものを含む。適当な有機塩は、例えば、アミン塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等の塩有機塩基と形成されるものを含む。また、医薬上許容される塩は、親化合物のアミン部分と無機酸(例えば、塩酸および臭化水素酸)または有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、マレイン酸およびアルカン−およびアレン−スルホン酸、例えばメタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸)との反応から形成される酸付加塩も包含する。医薬上許容されるエステルは、化合物に存在するカルボキシ、スルホニルオキシおよびホスホノキシ基から形成されるエステル、例えばC1−6アルキルエステルを包含する。
【0032】
2つの酸性基が存在する場合、医薬上許容される塩またはエステルは、モノ−酸−モノ−塩またはエステルまたはジ−塩またはエステルとすることができ;同様に、2つより多くの酸性基が存在する場合、かかる基のいくつかまたはすべてが、塩形成またはエステル化され得る。本発明の化合物は、塩形成またはエステル化されていない形態、または塩形成および/またはエステル形態で存在することができ、かかる化合物の命名は、その本来(塩形成およびエステル化されていない)の化合物ならびにその医薬上許容される塩およびエステルの両方を含むことを意図とする。また、特定の化合物は、1種以上の立体異性体で存在することができ、かかる化合物の命名は、すべての単一の立体異性体およびかかる立体異性体のすべての混合物(ラセミ体または他の混合物)を含むことを意図とする。
【0033】
発現または活性との関連で使用される場合の、「阻害剤」、「活性化因子」および「調節剤」なる語は、各々、阻害、活性化または調節分子をいう。本発明の阻害剤は、PAI−1の発現を阻害するか、あるいはPAI−1に結合して、その刺激を部分的または完全に遮断し、活性化を減少させ、防止し、遅らせ、その活性を不活性化させ、脱感作させるか、あるいはダウンレギュレートさせる化合物または組成物を包含する。PAI−1を含む試料またはアッセイを本発明の組成物で処理し、本発明の組成物を含まない対照試料と比較することができる。対照試料(本発明の組成物で処理されていない)には100%の相対的な活性値が付与され得る。特定の実施形態において、PAI−1の阻害は、対照に対する活性値が約80%それ未満、所望により50%または25、10%、5%または1%である場合に達成される。
【0034】
「医薬上許容される」、「生理学的に許容される」なる語およびその文法的変化は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬をいう場合には同義的に用いられ、該物質が化合物の投与を禁止する程度まで、吐き気、めまい、異常亢進などの望ましくない生理学的作用を産生することなくヒトへの投与が可能であることを意味する。
【0035】
「治療的に有効な量」または「医薬上有効量」なる語は、疾患を治療するために対象に投与された場合に、その疾患に対して治療作用を示すのに十分な量を意味する。
【0036】
特記した場合を除き、「対象」または「患者」なる語は同義的に用いられ、ヒト患者およびヒト以外の霊長類、ならびにウサギ、ラットおよびマウスおよび他の動物などの実験動物等の哺乳動物をいう。したがって、本明細書で使用される場合の「対象」または「患者」なる語は、本発明の化合物を投与することのできるいずれもの哺乳動物患者または対象をも意味する。本発明の代表的な実施形態において、本発明の方法に従って治療する対象患者を同定するために、許容されるスクリーニング法を用いて標的または疑いがある疾患または症状に関連する危険因子を測定するか、または対象に存在する疾患または症状の状態を測定する。これらのスクリーニング法は、例えば、標的または疑いのある疾患または症状に付随しうる危険因子を測定するのに慣用的な検査を含む。これらおよび他の一般的な方法は、臨床医が、本発明の方法および処方を用いる治療を必要とする患者を選択することを可能にする。
【0037】
可変部が構成または式中に1個以上である場合、各事象の定義は、他のすべての事象の定義から独立している。置換基および/または可変部の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物を与える場合にのみ許容される。
B.ピロロ−ナフチル酸
【0038】
上記したように、本発明の化合物は、次式:
【化3】

式1
[式中:
Arはアリールまたはヘテロアリールであり;
は水素、C−C12アルキル、C6−14アリール、C6−14アル(C1−6)アルキル、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−CO−アリール、−(CH−CO−ヘテロアリール、−(CH−CO−(C−C)アルキル、アラルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−Cシクロアルキルであり;
およびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C6−14アリール、C6−14アル(C1−6)アルキル、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、C−Cアルコキシ、アルコキシアリール、ニトロ、カルボキシ(C−Cアルキル)、カルバミド、カルバマートまたはC−Cシクロアルキルであり;
は−CH(R)(CH、−C(CH、−CH(R)(CH、−CH(R)C、−CH(R)C(COH)、CH(R)C(COH)または酸模倣物であり;
は水素、C−Cアルキル、C−C12アリール、アラルキル、C−Cシクロアルキルまたは−(CH(R)であり;
はCOH、テトラゾールまたはPOHであり;

【化4】

であり;
nは0ないし6であり;
pは0ないし3であり;
bは0ないし6であり;および
aは0ないし6である]
で示される化合物、あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態を包含する。
【0039】
、RまたはRの定義での特定の実施形態において、C−C12アルキルは置換されていないC−C12アルキルまたはC−Cペルフルオロアルキルであり、C−Cアルコキシは置換されていないC−CアルコキシまたはC−Cペルフルオロアルコキシである。
【0040】
かかるピロロ−ナフチル酸は、以下の化合物:
【化5】

式2
【化6】

式3
【化7】

式4
【化8】

式5
[式中:
Ar、RないしR、b、nおよびpは上記と同意義であり、R、R、R10、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C6−14アル(C1−6)アルキル、ヒドロキシ、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、ハロゲン、−(CH−フェニルまたは−O(CH−フェニルを意味する]
あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態を包含する。特定の実施形態において、C−Cアルキルは置換されていないC−CアルキルまたはC−Cペルフルオロアルキルであり;C−Cアルコキシは置換されていないC−CアルコキシまたはC−Cペルフルオロアルコキシである。好ましい化合物において、R、R、R10、R11およびR12は水素である。
【0041】
式1、2、3、4または5の具体的な実施形態において、その定義は、1または複数の、例えばすべての以下の有効な基を有する:
Arはアリールまたはヘテロアリールである;
は水素、C−Cアルキルまたは−(CH−フェニルである;
およびRは、独立して、水素、置換されていないC−Cアルキル、フェニル−(CH−、ハロゲンまたはC−Cペルフルオロアルキルである;
は−CHRCOH、−CHCOH、−CH(COH)、−CH−テトラゾールまたは酸模倣物である;
は水素、所望により置換されていてもよいフェニルまたは所望により置換されていてもよいベンジルである;
化合物あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態である。
【0042】
具体的な実施形態において、該定義は、1または複数の、例えばすべての以下の有用な基を有する:
Arはフェニル、ナフチル、フラニル、チオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ピラゾリル、オキサゾリルまたはフルオレニルである;
は水素、C−Cアルキルまたは−(CH−フェニルである;
およびRは、独立して、水素、置換されていないC−Cアルキル、フェニル−(CH−、ハロゲンまたはC−Cペルフルオロアルキルである;
は−CHRCOH、−CHRCOH、−CHR(COH)、−CH−テトラゾールまたは酸模倣物である;
は水素、所望により置換されていてもよいフェニルまたは所望により置換されていてもよいベンジルである;
化合物あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態である。
【0043】
本発明の化合物において、ORはピロール環に対して6位にある(使用した番号付けシステムを図4に示す)。
【0044】
本発明の化合物はまた、式1−5のプロドラッグおよび立体異性体を包含する。
【0045】
特定の具体的な実施形態において、Rは水素、C−C12アルキルまたは−(CH−フェニルであり、ここで該フェニル環は所望によりC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシで置換されていてもよい。特定の化合物において、Rは水素、C−Cアルキルまたは−(CH−フェニルである。例えば、ある化合物では、Rは水素、メチル、フェニル、ベンジルまたは4−トリフルオロメチルベンジルである。
【0046】
ある化合物では、RおよびRは、独立して、水素、C−Cアルキル、ハロゲン、C−Cペルフルオロアルキルまたは−(CH−フェニルであり、ここで該フェニル環は所望によりC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチルまたはトリフルオロメトキシで置換されていてもよい。本発明の特定の実施形態において、Rは水素であり、Rは水素またはハロゲンである。例えば、Rは水素または臭素である。
【0047】
ある化合物では、Rは−CHRCOH、−CH−テトラゾール、−CH(R)CCOH、CH(R)C(COH)または酸模倣物である。特定の実施形態において、Rは置換されていないCHCOOH、置換されているCHCOOH、−CH−テトラゾールまたは−CH(R)CCOHである。ある実施形態において、例えば、Rは置換されていないCHCOOH;CHCOOH(メチレン基がベンジルで置換されている);−CH−テトラゾール;または−CH(R)CCOHである。
【0048】
本発明のある化合物において、Rは水素、フェニルまたはベンジルである。
【0049】
ある具体的な実施形態において、Arは置換されているか、または置換されていないフェニル、ナフチル、フラニル、チオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ピラゾリル、オキサゾリルまたはフルオレニルである。特定の実施形態において、Arは置換されているか、または置換されていないフェニルである。
【0050】
本発明の代表的なピロロ−ナフチル酸として、3−フェニル−2−{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}プロパン酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;2−{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;5−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールまたはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;5−({[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールまたはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;5−({[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールまたはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;2−{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;5−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}−1H−テトラアゾールまたはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;5−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールまたはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態、4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}安息香酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;4−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)安息香酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}イソフタル酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態;4−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)イソフタル酸またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態が挙げられるが、これに限定されない。
【0051】
本発明はまた、式1−5で示される化合物あるいはその立体異性体または医薬上許容される溶媒和物、水和物、塩もしくはエステル形態を包含する、本発明のピロロ−ナフチル酸と、1種または複数の医薬上許容される担体、賦形剤または希釈体とを含む組成物を提供する。かかる組成物は、PAI−1活性の増加に付随する病態または症状を治療するかあるいは制御するための医薬組成物を包含する。特定の実施形態において、該組成物は1種または複数のピロロ−ナフチル酸の混合物を含む。
【0052】
特定の式1−5で示される化合物は、ステレオジェン炭素原子または他のキラル元素を含有し、かくして、エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む立体異性体であり得る。本発明は、すべての式1−5で示される立体異性体ならびに立体異性体の混合物を含む。本明細書の全体にわたって、生成物の名称は、不斉中心の絶対配置が表示されるものではなく、個々の立体異性体ならびにその立体異性体の混合物を含むことを意図とする。
【0053】
エナンチオマーが好ましい場合、いくつかの実施形態において、そのエナンチオマーはその対応するエナンチオマーを実質的に含まずに提供される。かくして、その対応するエナンチオマーを実質的に含まないエナンチオマーとは、分離技術により単離または分離されるか、対応するエナンチオマーを含まずに調製された化合物をいう。本明細書で用いる場合の「実質的に含まない」とは、化合物にて一つのエナンチオマーが有意に大きな割合にて造られることを意味する。好ましい実施形態において、化合物は、少なくとも約90重量%の好ましいエナンチオマーにより造られる。本発明の他の実施形態において、該化合物は少なくとも約99重量%の好ましいエナンチオマーで造られる。好ましいエナンチオマーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に公知の方法によりラセミ混合物から単離することができ、あるいはまた、好ましいエナンチオマーは、本明細書に記載の方法により調製され得る。好ましいエナンチオマーの製造方法は、例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions (Wiley Interscience, New York, 1981);Wilen, S.H.ら、Tetrahedron 33:2725 (1977);Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill, NY, 1962);およびWilen, S.H.、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268(E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972)に記載されている。
【0054】
本発明の化合物の代表的な塩形態は、限定されるものではないが、ナトリウム塩およびカリウム塩を包含する。これらの化合物の他の代表的な塩形態は、限定されるものではないが、当該分野で公知の、医薬上許容される無機および有機塩基または酸と形成されるものを包含する。本発明の化合物が塩基性部分を含有する場合、該酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸および同様に既知の許容される酸を包含する。無機塩基を用いて調製された塩形態は、治療上許容されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩を含む。許容される有機塩基は、アミン、例えばベンジルアミン、モノ−、ジ−およびトリアルキルアミン、好ましくは、1ないし6個の炭素原子、より好ましくは1ないし3個の炭素原子のアルキル基を有するもの、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−、ジ−およびトリエタノールアミンを包含する。また、代表的塩は、6個までの炭素原子を含有するアルキレンジアミン、例えばヘキサメチレンジアミン;ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジンおよびそれらのN−アルキルおよびN−ヒドロキシアルキル誘導体、例えばN−メチル−モルホリンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジンまたはピリジンを含む、6個までの炭素原子を含有する環状飽和または不飽和塩基を包含する。また、四級塩、例えばテトラアルキル、例えばテトラメチル形態、アルキル−アルカノール形態、例えばメチル−トリエタノールまたはトリメチル−モノエタノール形態および環状アンモニウム塩形態、例えばN−メチルピリジニウム、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリニウム、N,N−ジ−メチルモルホリニウム、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリニウムまたはN,N−ジメチル−ピペリジニウム塩形態を形成することができる。これらの塩形態は、式1−2で示される酸性化合物(複数でも可)および当該分野で公知の方法を用いて調製することができる。
【0055】
本発明の化合物の代表的なエステル形態は、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−メチルプロピルおよび1,1−ジメチルエチルエステル、シクロアルキルエステル、アルキルアリールエステル、ベンジルエステル等を含む、1ないし6個の炭素原子を含有する炭素数1ないし6の直鎖アルキルエステルまたは炭素数1ないし6の分枝鎖アルキル基を包含する。他の代表的なエステルとして、限定されるものではないが、式:−COOR13
[式中、R13は、式:
【化9】

(式中、R14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、炭素数1ないし10のアルキル、炭素数6ないし12のアリール、炭素数6ないし12のアリールアルキル;ヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリール(ここで、ヘテロアリール環は炭素数1ないし6のアルキル鎖で結合されている)から選択される)
で示される基より選択される]
で示される基が挙げられる。
【0056】
本発明によれば、酸および酸模倣体は、プロトンまたは水素供与基として定義される。本発明の代表的な酸模倣体(複数でも可)は、R. Silverman、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、Academic Press(1992)等に記載される酸などの、当該分野にて公知の医薬上有用なカルボン酸および酸模倣体を包含する。代表的な酸模倣体(複数でも可)は、以下の例に限定されるものではないが、式:
【化10】

[式中、R18はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cシクロアルキル、−CH−(C−Cシクロアルキル)、C−Cシクロアルケニル、−CH−(C−Cシクロアルケニル)、所望により置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリール基、あるいは所望により置換されていてもよい−アリール(C−C)アルキルまたは−ヘテロアリール(C−C)アルキルであり、該アリールおよびヘテロアリール基は上記と同意義である]
で示されるテトラゾール、テトロン酸または基を包含する。
【0057】
本発明の好ましい化合物は、PAI−1活性を阻害する。したがって、該化合物は、例えばインスリン非依存性糖尿病の治療にて、心臓血管疾患の治療にて、および冠状動脈および脳血管疾患に付随するものを含む血栓症の事象の治療にて、対象のPAI−1関連障害の予防、阻害および/または改善を含む治療に用いることができる。本発明の方法を用いて、式1ないし5で示されるものを含む本発明の化合物を、PAI−1活性または発現の増加に付随する疾患、例えば糖尿病または心臓血管疾患を患っている対象に、かかる疾患を治療するためにどのように投与するかは、医師には明らかだろう。
【0058】
一の代表的な実施形態において、本発明の化合物は、限定されるものではないが、動脈硬化性プラークの形成、静脈および動脈血栓症、心筋虚血、心房性細動、深部静脈血栓症、凝固症候群、肺血栓症、脳血栓症、手術の血栓塞栓性合併症(例えば、関節または股関節置換術)および末梢動脈閉塞を含む、血栓および血栓前状態に関与する疾患を治療するために対象に投与される。
【0059】
対象のPAI−1活性または発現の増加に付随するいずれの疾患または症状も、本発明の化合物を用いて治療することができる。代表的な疾患および症状は、卒中、例えば心房性細動に付随するまたはその結果生じる卒中;限定されるものではないが、腎線維症、慢性閉塞性肺疾患、多嚢胞性卵巣症候群、再狭窄、腎血管性疾患および臓器移植拒否反応を含む細胞外マトリックス蓄積に付随する疾患;限定されるものではないが、糖尿病性網膜症を含む新血管形成に付随する疾患;例えば対象のプラスミン濃度レベルの増加または正常化によるアルツハイマー病;例えば、間質細胞増殖の調節および細胞外マトリックス蛋白の増加による骨髄様化生を伴う骨髄線維症を包含する。
【0060】
本発明の化合物は、例えば、ネフロパシーに付随する糖尿病性ネフロパシーおよび腎臓透析;限定されるものではないが、白血病、乳癌および卵巣癌を含む悪性腫瘍または癌;限定されるものではないが、脂肪肉腫および上皮腫瘍を含む腫瘍;敗血症;肥満症;インスリン耐性;限定されるものではないが、乾癬を含む増殖性疾患、;異常な凝固恒常性に付随する症状;軽度の血管炎症;脳血管疾患;高血圧;認知症;骨粗鬆症;関節炎;喘息;心不全;不整脈;限定されるものではないが、狭心症を含むアンギナ;アテローム性動脈硬化症および後遺症;腎不全;多発性硬化症;骨粗鬆症;骨減少症;認知症;末梢血管疾患;末梢動脈疾患;急性血管症候群;限定されるものではないが、ネフロパシー、ニューロパシー、網膜症およびネフローゼ症候群を含む微小血管症;高血圧;I型およびII型糖尿病および関連疾患;高血糖症;高インスリン血症;悪性病変;前癌性病変;胃腸悪性腫瘍;限定されるものではないが、心筋梗塞、安定および不安定狭心症の一次および二次予防、冠動脈事象の一次予防および心血管事象の二次予防を含む冠状動脈性心臓病;および限定されるものではないが、感染症に付随する敗血性ショックおよび血管損傷を含む炎症性疾患を治療するのに使用され得る。
【0061】
本発明の化合物はまた、限定されるものではないが、血栓解剤、線維素溶解剤および抗凝固剤を含む第2の治療剤と組み合わせて、または他の治療剤、例えば、HIV−1感染患者の線維素溶解障害および高凝固性に由来する疾患を治療するための、プロテアーゼ阻害剤含有の高活性の抗レトロウイルス治療薬(HAART)と共同して投与され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、限定されるものではないが、血管手術、血管移植およびステント開通術、臓器、組織および細胞植込みおよび移植を含む、血管開通の維持に関与する方法または手段と組み合わせて、および/またはそれに続いて投与され得る。また、本発明の化合物は、透析に用いる血液および血液製剤、流体での血液貯蔵、特に生体外血小板凝集の処理に用いることができる。また、本発明の化合物は、ホルモン補充剤として、あるいは炎症マーカーまたはC−反応性蛋白を減少させるために対象に投与され得る。該化合物は、凝固恒常性の改善、内皮機能の改善のため、あるいは創傷治癒の局所塗布として、例えば傷を予防するために投与され得る。本発明の化合物は、心筋再血管形成法を受ける危険性を軽減するために対象に投与され得る。また、本発明の化合物は、病院内でその線維素溶解能を測定するために血液化学の分析の間にヒト血漿に加えることができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、転移性癌の同定用の造影剤として用いることができる。
【0062】
C.一般的合成
本発明の化合物は、容易に入手できる試薬および出発物質を利用する慣用的な方法を用いて、有機合成の分野の当業者により調製され得る。本発明の代表的な化合物は、下記の合成スキームを用いて調製することができる。当業者は当該分野にて自体周知のこれらの工程の変形の使用方法を知っている。以下の反応スキームにおいて、置換基は上記した群から選択される。
【化11】

【0063】
D.医薬組成物
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、PAI−1活性の増加に関連する疾患を、例えば対象のPAI−1活性を阻害することにより治療するための医薬として処方される。
【0064】
一般に、本発明の化合物は、経口、バッカル、局所、全身(例えば、経皮、経鼻または坐剤により)または非経口(例えば、筋肉内、皮下または静脈内注射)を含む、治療薬を投与するのに当該分野で公知の方法により、医薬組成物として投与され得る。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固体、散剤、徐放性処方、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル、エアロゾルまたは他のいずれかの適当な組成物の形態とすることができ;少なくとも1つの本発明の化合物を少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤と組み合わせて含む。適当な賦形剤は、当業者に周知であり、これら賦形剤および組成物を処方する方法は、標準的な参考文献Alfonso AR: Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton PA, 1985に見ることができる。特に注射溶液用の、適当な液体担体は、水、生理食塩水、水性デキストロース溶液およびグリコールを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明の実施において使用に適したピロロ−ナフチル酸は、単独で、または少なくとも1つの本発明の別の化合物と組み合わせるかのいずれかで投与されるであろう。ピロロ−ナフチル酸はまた、治療される疾患用の少なくとも1つの別の慣用的治療薬と一緒に投与され得る。
【0065】
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合したピロロ−ナフチル酸を含有しうる。かかる賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムおよび分散剤または湿潤剤、例えば天然のリン脂質(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノ−オレアート)またはエチレンオキシドと、脂肪酸および無水ヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレアート)を含みうる。また、水性懸濁液は、1種または複数の保存剤、例えばエチルまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1種または複数の着色剤、1種または複数のフレーバー剤および1種または複数の甘味剤、例えばシュークロース、アスパルテームまたはサッカリンを含有しうる。処方は浸透圧について調節することができる。
【0066】
油性懸濁液は、ピロロ−ナフチル酸を、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油中に、または鉱油、例えば流動パラフィン中;あるいはその混合物中に懸濁させることにより処方され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜ロウ、ハードパラフィンまたはセチルアルコールを含有しうる。グリセロール、ソルビトールまたはシュークロースなどの甘味剤を添加して口当たりのよい経口製剤を得ることができる。これらの処方は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸を添加することにより保存することができる。注射用油性ビヒクルの一例としては、Minto, J. Pharmacol. Exp. Ther. 281:93-102, 1997を参照のこと。また、本発明の医薬処方は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、上記した植物油または鉱油あるいはその混合物でありうる。適当な、天然のガム、例えばアカシアガムおよびトラガカントガム、天然のリン脂質、例えば大豆レシチン、脂肪酸および無水ヘキシトール由来のエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノ−オレアートおよびその部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノ−オレアートを含む。また、エマルジョンは、シロップおよびエリキシルの処方として甘味剤およびフレーバー剤を含有しうる。また、かかる処方は、粘滑剤、保存剤または着色剤を含有しうる。
【0067】
選択した化合物は、単独で、または他の適当な成分と組み合わせて、吸入により投与するためのエアロゾル処方にすることができる(すなわち、これらは「噴霧」され得る)。エアロゾル処方は、加圧可能噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の中に配合することができる。
【0068】
非経口投与、例えば関節内(関節中)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内および皮下経路による投与に適した処方は、酸化防止剤、バッファー、静菌剤および該処方を意図する患者の血液と等張性にする溶質を含有しうる水性および非水性の等張滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および保存剤を含有しうる水性および非水性滅菌懸濁液を含む。中でも利用することができる許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水およびリンガー溶液、等張性塩化ナトリウムである。加えて、滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁化媒体として慣用的に用いることができる。この目的のために、合成モノまたはジグリセライドを含むいずれの無菌不揮発性油も用いることができる。加えて、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射可能製剤に用いることができる。これらの溶液は滅菌されており、一般に望ましくない物質を含まない。化合物が十分に可溶性である場合、これらは、適当な有機溶媒、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールと共にまたは無しで、生理食塩水に直接溶かすことができる。微粉化化合物の分散液は、水性スターチまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液中、または適当な油、例えば落花生油中に構成することができる。これらの処方は、慣用的な、周知の滅菌法により滅菌処理することができる。該処方は、pH調節剤、緩衝化剤、毒性調節剤、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等などの物理的条件に近づけるのに必要とされる医薬上許容される補助物質を含有しうる。これらの処方中のピロロ−ナフチル酸の濃度は広く変化することができ、主に流体の容量、粘度、体重などに基づいて、選択した投与経路および患者の要求に従って選択されるであろう。IV投与の場合、該処方は、滅菌注射可能製剤、例えば滅菌注射可能溶液または油性懸濁液でありうる。この懸濁液は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて公知の技術に従って処方することができる。また、滅菌注射可能製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射性溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールの溶液でありうる。好ましい処方は、単位用量または複数回用量のシールした容器、例えばアンプルおよびバイアルで提供され得る。
【0069】
注射溶液および懸濁液は、例えば、滅菌散剤、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0070】
本発明を実施するのに用いるのに適した化合物は、経口で投与することができる。組成物中の本発明の化合物の配合量は、組成物の型、剤形の大きさ、賦形剤の種類および当業者に周知の他の因子に応じて大きく変化しうる。一般に、最終組成物は、例えば、0.000001重量%(%w)ないし10%w、好ましくは0.00001%wないし1%wのピロロ−ナフチル酸類を含みうる。残りは賦形剤(複数でも可)である。
【0071】
経口投与用の医薬処方は、経口投与に適した投与量で、当該分野にて周知の医薬上許容される担体を用いて処方され得る。かかる担体は、医薬処方を、錠剤、丸薬、散剤、糖衣錠、カプセル、液体、ロゼンジ、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液など患者が摂取するのに適した単位剤形に処方することを可能にする。経口投与に適した処方は、(a)溶液、例えば希釈剤、例えば水、生理食塩水またはPEG400中に懸濁した有効量のパックした核酸;(b)それぞれ、液体、固体、顆粒またはゼラチンとして所定量の有効成分を含有する、カプセル、サッシェまたは錠剤;(c)適当な液体中の懸濁液;および(d)適当なエマルジョンからなりうる。
【0072】
経口での使用に適した医薬製剤は、本発明の化合物を固体賦形剤と組み合わせ、所望により、得られた混合物を粉砕し、顆粒混合物を処理し、ついで、所望により適当な付加的な化合物を添加して、錠剤または糖衣錠の核を得ることにより製造することができる。適当な固体賦形剤は、カルボヒドレートまたは蛋白充填剤であり、限定されるものではないが、ラクトース、シュークロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖、トウモロコシ、小麦、米、イモまたは他の植物からの澱粉;セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム;およびアラビアガムおよびトラガカントガムを含むガム;ならびに、蛋白、例えばゼラチンおよびコラーゲンを包含する。所望により、崩壊剤または可溶化剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加しうる。錠剤形態は、1種または複数のラクトース、シュークロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシ澱粉、イモ澱粉、微結晶セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸および他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝化剤、湿潤剤、保存剤、フレーバー剤、染料、崩壊剤、および医薬上適合する担体を含む。ロゼンジ形態は、フレーバー、例えばシュークロース中に有効成分を含んでいてもよく、ならびに、トローチは、不活性基剤、例えば、活性成分に加えて、当該分野にて公知の担体を含有するゼラチンおよびグリセリンまたはシュークロースおよびアカシアエマルジョン、ゲル等に有効成分を含む。
【0073】
また、本発明の化合物は、薬物の直腸投与用の坐剤形態で投与することもできる。これらの処方は、常温では固体であるが腸中温度で液体であり、したがって、直腸で融解して薬物を放出する、適当な非刺激賦形剤と混合することにより調製され得る。かかる物質は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである。
【0074】
本発明の化合物はまた、坐剤、吸入、散剤およびエアロゾル処方を含む、鼻腔内、眼球内、膣内および直腸内経路により投与され得る(ステロイド吸入剤を例示として、Rohatagi, J. Clin. Pharmacol. 35:1187-1193, 1995; Tjwa, Ann. Allergy Asthama Immunol. 75:107-111, 1995を参照のこと)。
【0075】
本発明の化合物は、好ましくは正確な投与量を一回投与するのに適する単位剤形にて、所定の速度で長期間にわたって蓄積注射、浸透圧ポンプ(アルザ製造のアルザインプラントなど)、ピル、経皮的(電気輸送を含む)パッチ等を含む、徐放性または放出制御性剤形(例えば、遅延放出性生体内分解性デリバリーシステム)にて投与され得る。該組成物は、典型的には、通常の医薬担体または賦形剤および本発明の化合物を含むであろう。加えて、これらの組成物は他の有効物質、アジュバント等を含みうる。
【0076】
本発明の化合物は、塗布剤、溶液、懸濁液、エマルジョン、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ジェル、ペイント、散剤およびエアロゾルとして処方され、局所投与により経皮的にデリバリーされ得る。
【0077】
また、カプセル化物質も本発明の化合物と一緒に用いることができ、「組成物」なる語は、有効成分を他の担体と共にまたは無しでカプセル化物質を処方剤として組み合わせて含むことを意図とする。また、例えば本発明の化合物は、体内でゆっくりと放出されるマイクロスフェアとしてデリバリーされ得る。一の実施形態において、マイクロスフェアは、皮下でゆっくりと放出される薬物の皮内注射(例えば、Rao, J. Biomater Sci. Polym. Ed. 7:623-645, 1995を参照);生体分解性かつ注射可能なゲル処方(例えば、Gao, Pharm. Res. 12:857-863, 1995を参照);または、経口投与用マイクロスフェア(例えば、Eyles, J. Pharm. Pharmacol. 49:669-674, 1997を参照)として投与され得る。経皮および皮内経路は共に、数週間または数ヶ月の間、安定したデリバリーを付与する。また、サッシェは、本発明の化合物、例えば抗アテローム硬化性医薬のデリバリーに用いることができる。
【0078】
もう一つ別の実施形態において、本発明の化合物は、細胞膜と融合するまたはエンドサイトーシスされるリポソームを用いて、すなわち、エンドサイトーシスを生じる細胞の膜蛋白受容体に結合する、リポソームに結合するリガンドまたはオリゴヌクレオチドに直接結合するリガンドを用いることによりデリバリーすることができる。リポソームを用いることにより、特に、リポソーム表面が、標的細胞に特異的なリガンドを担持し、あるいはさもなければ優先的に特定の器官を対象とする場合、インビボで標的細胞に化合物をデリバリーすることに焦点を当てることができる(例えば、Al-Muhammed, J. Microencapsul. 13:293-306, 1996; Chonn, Curr. Opin. Biotechnol. 6:698-708, 1995; Ostro, Am. J. Hosp. Pharm. 46:1576-1587, 1989を参照)。
【0079】
他の場合において、好ましい製剤は、使用の前にバッファーと一緒にされる、例えば、4.5ないし5.5の範囲のpHにて1mM−50mMのヒスチジン、0.1%−2%のシュークロース、2%−7%のマンニトールにて凍結乾燥された粉末とすることができる。
【0080】
本発明の医薬組成物は、所望により、ピロロ−ナフチル酸に加えて、PAI−1活性の増加に付随する疾患または症状の治療に有用な少なくとも1種の他の治療剤を含有しうる。
【0081】
医薬組成物は、一般に、滅菌状態にて、実質的に等張性および米国食品医薬品局の医薬品製造品質管理基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)に完全にコンプライアンスするように処方される。
【0082】
E.投与計画の決定
治療目的の場合、本明細書に開示される組成物または化合物は、長期間にわたる連続的デリバリー(例えば、連続的経皮、粘膜または静脈内デリバリー)により、単回ボーラス投与で、あるいは反復投与プロトコル(例えば、毎時間、毎日または毎週の反復投与プロトコルにより)で対象に投与することができる。本発明の医薬処方は、例えば、1日に1回または複数回、1週間に3回または毎週投与することができる。本発明の代表的な実施形態において、本発明の医薬処方は1日に1または2回経口投与される。
【0083】
これに関して、生物活性剤(複数でも可)の治療的に有用な用量は、PAI−1活性の増加に付随する1つまたは複数の兆候または検出可能な症状を緩和する、臨床的に有意な結果を与えるであろう長期治療計画内での反復用量を含みうる。これに関しての有効な投与量の決定は、典型的には、動物実験の研究を、つづいてヒト臨床試験を基礎とするものであり、対象の標的となる兆候または症状の発生または重症度を有意に減少させる有効な用量および投与プロトコルを決定することにより導かれる。これに関する適当な実験は、例えば、ネズミ、ラット、ブタ、ネコ、ヒト以外の霊長類および当該分野で公知の他の許容される動物実験対象を含む。別法として、有効な用量は、インビトロ実験(例えば、免疫学的および組織病理学的アッセイ)を用いて決定することができる。かかる実験では、典型的には、治療的に有効な量の生物活性剤(複数でも可)(例えば、所望の応答を引き出すのに、鼻腔内的に有効な、経皮的に有効な、静脈内的に有効なまたは筋肉内的に有効な量)を投与するのに適した濃度および用量を決定するのに、通常の計算および調節が要求されるにすぎない。もう一つ別の実施形態において、生物活性剤(複数でも可)の「有効量」または「治療的に有効な量」は、治療または診断の目的のいずれにおいても、上記したような疾患または症状に関連する1つまたは複数の選択された生物活性を簡単に阻害または増加するであろう。
【0084】
生物活性剤の実際の投与量は、曝露の程度および対象の個々の状態(例えば、対象の年齢、大きさ、健康、兆候の程度、感受性因子など)、投与回数および経路、ならびに同時に投与される他の薬物または治療などの因子に応じて変化するだろう。投与計画は、最適な予防または治療応答を得るために調節することができる。「治療的に有用な用量」は、本明細書において、それを投与したことに対する効果が生じる用量を意味する。さらに詳細には、本発明の化合物の治療的に有効な用量は、好ましくは、PAI−1活性の増加に付随する疾患の兆候、合併症または理化学的な兆候を緩和する。正確な用量は、治療目的に依存し、公知の技術を用いて当業者により確認されるだろう(例えば、Lieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (Vols. 1-3, 1992); Lloyd, 1999, The Art, Science, and Technology of Pharmaceutical Compounding; and Pickar, 1999, Dosage Calculationsを参照)。また、治療的に有効な用量は、活性剤の毒性または有害な副作用を臨床的に治療的に有利な効果が上回るような量である。さらに、個々の対象に関しては、特定の投与計画を評価し、個々の必要性、および化合物を投与するか、または投与を監督する専門家の判断に応じて経時的に調節されるべきである。
【0085】
本発明の代表的な実施形態において、化合物の単位剤形は、標準的な投与計画に関して調製される。このように、組成物は、医師の指示でより少用量に容易に分割することができる。例えば、単位剤形は、パックされた散剤、バイアルまたはアンプルに、好ましくはカプセルまたは錠剤形態に製造することができる。これら組成物の単位剤形に配合される活性化合物は、例えば、1日に単回または複数回投与の場合、患者の個々の必要性に応じて、約1グラムないし約15グラムまたはそれ以上の量で存在しうる。約1グラムの1日の最小量で開始することにより、PAI−1の血中濃度および患者の兆候の緩和を分析して、より多量のまたはより少量の投与量が示唆されているかどうかを決定することができる。本発明の化合物の効果的な投与は、例えば約0.1mg/kg/日ないし約1.000mg/kg/日の経口投与で付与され得る。好ましくは、投与は、約10/mg/kg/日ないし約600mg/kg/日、より好ましくは約25ないし約200mg/kg/日、さらにより好ましくは約50mg/kg/日ないし約100mg/kg/日である。ある実施形態において、約1mg/kgないし約250mg/kgの日用量が服用される。
【0086】
本発明の化合物はまた、溶媒和、特に水和されうる。水和は化合物を含む化合物または組成物の製造の間に起こり、溶媒和は化合物の吸湿特性のため経時的に起こり得る。
【0087】
特定の実施形態において、本発明は、式1−5の化合物のプロドラックを対象とする。本明細書中で使用される。本明細書で使用される場合の「プロドラッグ」なる語は、インビボで、代謝手段により(例えば、加水分解により)式1−5の化合物に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの種々の形態は当該分野で公知であり、例えば、Bundgaard, (ed.), Design of Prodrugs, Elsevier (1985); Widder, et al. (ed.), Methods in Enzymology, vol. 4, Academic Press (1985); Krogsgaard-Larsen, et al., (ed). 「Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development, Chapter 5, 113-191 (1991), Bundgaardら, Journal of Drug Delivery Reviews, 8:1-38(1992), Bundgaard, J. of Pharmaceutical Sciences, 77:285 et seq. (1988);およびHiguchiおよびStella (eds.) Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, American Chemical Society (1975)に記載のものである。
【0088】
キット
本発明の化合物を含む医薬剤形を適当な容器に入れ、PAI−1関連障害、例えば、白血病の治療用にラベルが付され得る。加えて、PAI−1関連障害の治療に有用な少なくとも1つの他の治療剤を含む他の医薬を容器に入れ、表示される疾患の治療のためにラベルを付してもよい。ピロロ−ナフチル酸を含む医薬剤形を投与する場合、かかる標識化は、例えば、投与量、頻度および方法に関する指示を包含する。同様に、容器に含まれる複数の医薬を投与する場合、かかる標識化は、例えば、各剤形の投与量、頻度および方法に関する指示を包含する。
【0089】
実施例
実施例1:3−フェニル−2−{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}プロパン酸の合成
【0090】
工程1:2−ブロモ−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)エタノン
三臭化フェニルトリメチルアンモニウム(9.45g、25.1ミリモル)を窒素下室温で約2時間にわたって1−(6−メトキシ−ナフタレン−2−イル)−エタノン(5.05g、25.2ミリモル)の無水THF(50mL)中溶液に少しずつ添加した。添加後、該反応物を室温で0.5時間攪拌し、ついで250mLの冷水を加えた。存在する固体を濾過で集め、50mLの水ですすぎ、減圧下で乾燥させて6.66gの黄褐色固体を得た。該固体をイソプロピルアルコールから再結晶に付し、2−ブロモ−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)エタノン(4.07g、58%)を褐色固体として得た。融点109−112℃。元素分析:C1311BrOとして;計算値(%):C,55.94;H,3.97;N,0.00。測定値(%):C,56.03;H,3.94;N,0.00。
【0091】
工程2:2−ベンゾイル−4−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−オキソブタン酸エチル
NaH(60%、1.58g、35.8ミリモル)を、窒素下、ベンゾイル酢酸エチル(6.89g、35.8ミリモル)の無水DMF(100mL)中攪拌溶液に4分割して30分間にわたって添加した。NaHの添加が終了した後、該混合物を窒素下外界温度にて1時間攪拌させた。1時間後、前の工程にて調製した2−ブロモ−1−(6−メトキシ−2−ナフチル)エタノン(10.0g、35.8ミリモル)の無水DMF(100mL)中溶液を均排圧滴下漏斗を介して滴下した。滴下時間の合計は約1.5時間であった。TLC分析(25%EtOAc/ヘキサン)によれば、ブロモケトンの添加が終了した30分後には、出発物質は残っていなかった。1N HCl(250mL)を添加して反応物をゆっくりとクエンチした。沈殿物を濾過で単離し、水ですすぎ、8.58gの生成物を得てそれを確保した。濾液をEtOAcと分配させた。層を分離させ、水層をさらに2回EtOAcで抽出させた。合した抽出液を水で5回洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、黄色粗固体を得た。該固体を少量の塩化メチレンに溶かし、つづいて2倍の容量のEtOAcを添加して固体を沈殿させて3.34gの白色粉末を得た。それらのバッチを合わせ、2−ベンゾイル−4−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−オキソブタン酸エチル(11.92g、85.2%)を灰白色粉末として得た。融点136−137℃。元素分析:C2422として;計算値(%):C,73.83;H,5.68;N,0.00。測定値(%):C,73.11;H,5.75;N,0.00。
【0092】
工程3:1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−フェニルブタン−1,4−ジオン
前の工程にて調製した2−ベンゾイル−4−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−オキソブタン酸エチル(5.00g、12.8ミリモル)を300mLのテトラヒドロフランに溶かした。該エステルの溶解が完了した後、1N NaOH溶液(28.2mL、28.2ミリモル)を該THF溶液に加えた。該混合物を24時間ゆっくりと還流させながら加熱し、ついで冷却して外界温度に戻した。該混合物を1N 塩酸(105mL)で酸性にし、15分間攪拌させた。ついで、該THFを減圧下で除去し、残渣を塩化メチレンと1N HClの間に分配させた。層を分離させ、水層を塩化メチレンで2回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去した。溶出液として塩化メチレンを用いてシリカゲル(300g、200−300メッシュ)上で精製し、1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−フェニルブタン−1,4−ジオンを白色固体として得た(1.64g、40%)。融点163.5−164.5℃。元素分析:C2118として;計算値(%):C,79.23;H,5.70;N,0.00。測定値(%):C,79.25;H,5.70;N,0.00。
【0093】
工程4:2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1H−ピロール
前の工程にて調製した1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−フェニルブタン−1,4−ジオン(1.00g、3.14ミリモル)、酢酸アンモニウム(12.1g、157ミリモル)および酢酸(100mL)の混合物を窒素雰囲気下で3時間100℃に加熱した。該混合物を外界温度に冷却し、沈殿物を濾過により単離し、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1H−ピロールを白色固体として得た(0.86g、91%)。融点208.5−209.5℃。元素分析:C2117NOとして;計算値(%):C,84.25;H,5.72;N,4.68。測定値(%):C,84.25;H,5.77;N,4.56。
【0094】
工程5:6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール
前の工程にて調製した2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1H−ピロール (0.72g、2.4ミリモル)およびピリジン塩酸塩(7.2g)の混合物を窒素雰囲気下200℃で1時間加熱した。該混合物を外界温度に冷却し、該固体を1N HCl(150mL)に溶かした。該混合物を塩化メチレンで3回抽出した。合した抽出液を水で1回洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトールを灰色がかった固体として得た(0.65g、95%)。融点209.5−210.5℃。元素分析:C2015NOとして;計算値(%):C,84.19;H,5.30;N,4.91。測定値(%):C,83.38;H,5.38;N,4.67。
【0095】
工程6:3−フェニル−2−{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}プロパン酸メチル
前の工程にて調製した6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.300g、1.05ミリモル)、3−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシプロピオン酸メチルエステル(0.492g、1.58ミリモル)および炭酸セシウム(0.685g、2.10ミリモル)のアセトン(50mL)中混合物を窒素下外界温度で一夜攪拌した。該アセトンを減圧下で除去し、残渣をEtOAcと水の間に分配させた。層を分離させ、水層をEtOAcで2回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去した。溶出液としてヘキサン中25%ないし60%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40Lカラム(120シリカゲル、60Å)でのBiotage FlashElute(登録商標)システムで精製し、3−フェニル−2−{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}プロパン酸メチルを白色がかった固体として得た(0.447g、95%)。融点140−141℃。元素分析:C3025NOとして;計算値(%):C,80.51;H,5.63;N,3.13。測定値(%):C,80.26;H,5.70;N,2.94。
【0096】
工程7:3−フェニル−2−{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}プロパン酸
前の工程にて調製した3−フェニル−2−{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}プロパン酸メチル(0.25g、0.56ミリモル)および1N NaOH(1.1mL、1.1ミリモル)のTHF (25mL)中混合物を窒素下外界温度にて一夜攪拌した。TLC分析によれば、出発物質がまだ残っていた。該混合物を60℃で2時間加熱し、その時点で出発物質は残っていなかった。該混合物を外界温度に冷却し、1N HCl(2mL)で酸性にし、揮発物を(熱を加えることなく)減圧下で除去した。残渣を水でスラリー状にし、固体を濾過し、水で洗浄した。該固体を塩化メチレンに溶かし、該溶液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、標記化合物を灰白色固体として得た(0.22g、90%)。融点176−178℃。元素分析:C2923NOとして;計算値(%):C,80.35;H,5.35;N,3.23。測定値(%):C,79.19;H,5.31;N,2.97。
【0097】
実施例2:2−{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸の合成
【0098】
工程1:1−ベンジル−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1H−ピロール
実施例1の工程4に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を実施例1の工程3にて調製した1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−フェニルブタン−1,4−ジオン (0.300g、0.942ミリモル)およびベンジルアミン(0.121g、1.13ミリモル)より調製した。その粗物質を塩化メチレンに溶かし、シリカゲル(95g、200−300メッシュ)を介して濾過した。溶媒を減圧下で除去し、1−ベンジル−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1H−ピロールを白色固体として得た(0.32g、87%)。融点152−153℃。元素分析:C2823NOとして;計算値(%):C,86.34;H,5.95;N,3.60。測定値(%):C,85.46;H,6.06;N,3.58。
【0099】
工程2:6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール
実施例1の工程5に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した1−ベンジル−2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1H−ピロール(0.22g、0.56ミリモル)およびピリジン塩酸塩(15g)より調製し、窒素下180℃にて3時間加熱した。溶出液として塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(90gシリカゲル、60Å)でのBiotage FlashElute(登録商標)システムで精製し、6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトールを灰色がかった固体(0.155g、73%)として得た。融点153−154℃。元素分析:C2721NOとして;計算値(%):C,86.37;H,5.64;N,3.73。測定値(%):C,85.95;H,5.86;N,3.59。
【0100】
工程3:2−{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチル
実施例1の工程6に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.140g、0.373ミリモル)、3−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシプロピオン酸メチルエステル(0.175g、0.560ミリモル)および炭酸セシウム(0.243g、0.746ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中20%ないし50%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(90gシリカゲル、60Å)でのBiotage FlashElute(登録商標)システムで精製し、2−{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチルを白色固体として得た(0.175g、88%)。融点57−62℃。元素分析:C3731NOとして;計算値(%):C,82.66;H,5.81;N,2.61。測定値(%):C,82.39;H,5.88;N,2.46。
【0101】
工程4:2−{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸
実施例1の工程7に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した2−{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチル(0.145g、0.270ミリモル)より調製し、水(3mL)を該反応混合物に添加した。揮発物を減圧下で除去した後、残渣を水と塩化メチレンの間に分配させた。層を分離させ、水層を塩化メチレンで1回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、標記化合物を灰白色固体として得た(0.127g、90%)。融点70−80℃。元素分析:C3629NO・0.48HOとして;計算値(%):C,81.23;H,5.67;N,2.63。測定値(%):C,80.67;H,6.28;N,2.36。
【0102】
実施例3:5−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールの合成
【0103】
工程1:{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル
実施例1の工程6に記載されているのと同様の方法にて、反応が外界温度で2時間後には終了していることを別として、標記化合物を実施例1の工程5にて調製した6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.285g、1.00ミリモル)、ブロモアセトニトリル(0.144g、1.20ミリモル)および炭酸セシウム(1.63g、5.00ミリモル)より調製した。単離した黄褐色固体(0.323g、100%)をさらに精製することなく使用した。融点141.5−142.5℃。元素分析:C2216Oとして;計算値(%):C,81.46;H,4.97;N,8.64。測定値(%):C,80.37;H,4.93;N,8.57。
【0104】
工程2:5−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール。
前の工程にて調製した{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル (0.20g、0.62ミリモル)、塩化アンモニウム(0.12g、1.85ミリモル)およびアジ化ナトリウム(0.099g、1.85ミリモル)のDMF(10mL)中混合物を窒素下100℃にて5時間加熱した。外界温度に冷却した後、TLC分析は出発物質が残っていることを示した。塩化アンモニウムおよびアジ化ナトリウムの各々を付加的な量にて加え、該混合物を再び100℃で4時間加熱した。その際には出発物質は残っていなかった。該混合物を外界温度に冷却し、1N HCl(5mL)で酸性にし、水(20mL)で希釈した。沈殿した固体を真空濾過にて単離し、標記化合物を灰色固体として得た(0.202g、89%)。融点237−240℃(分解)。元素分析:C2217O・0.55HO・0.11CNOとして;計算値(%):C,69.60;H,4.94;N,18.57。測定値(%):C,69.71;H,4.64;N,18.61。
【0105】
実施例4:5−({[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールの合成
【0106】
工程1:{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル
実施例3の工程1に記載されているのと同様の方法にて、反応が外界温度で70分後には終了していることを別として、標記化合物を実施例2の工程2にて調製した6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.250g、0.665ミリモル)、ブロモアセトニトリル(0.096g、0.80ミリモル)および炭酸セシウム(1.08g、3.33ミリモル)より調製した。該粗物質を塩化メチレンに溶かし、シリカゲル(45g、200−300メッシュ)を介して濾過した。溶媒を減圧下で除去し、{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリルをベージュ色固体として得た(0.276g、100%)。融点156−157℃。元素分析:C2922Oとして;計算値(%):C,84.03;H,5.35;N,6.76。測定値(%):C,83.15;H,5.46;N,6.54。
【0107】
工程2:5−({[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール
実施例3の工程2に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル(0.20g、0.48ミリモル)、塩化アンモニウム(0.077g、1.44ミリモル)およびアジ化ナトリウム(0.094g、1.44ミリモル)よりDMF(10mL)中にて調製した。固体を真空濾過で単離し、塩化メチレンに溶かした。該有機溶液を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で溶媒を除去して5−({[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールを無定形ベージュ色固体として得た(0.203g、92%)。融点190−200℃(分解)。元素分析:C2923O・0.49HO・0.21CNOとして;計算値(%):C,73.90;H,5.32;N,15.15。測定値(%):C,73.05、H,5.25;N,15.03。
【0108】
実施例5:5−({[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールの合成
【0109】
工程1:2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール
実施例1の工程4に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を実施例1の工程3にて調製した1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−フェニルブタン−1,4−ジオン (3.00g、9.42ミリモル)およびメチルアミン(EtOH中8M溶液、100mL、800ミリモル)より調製した。真空濾過により固体を単離し、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1−メチル−5−フェニル−1H−ピロールを白色固体として得た(2.5g、85%)。融点197−198℃。元素分析:C2219NOとして;計算値(%):C,84.31;H,6.11;N,4.47。測定値(%):C,84.47;H,6.08;N,4.41。
【0110】
工程2: 6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール
実施例1の工程5に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール(2.3g、7.3ミリモル)およびピリジン塩酸塩(60g)より調製し、窒素雰囲気下200℃で3時間加熱した。その粗物質をEtOAcに溶かし、シリカゲル(95g、200−300メッシュ)を介して濾過した。溶媒を減圧下で除去し、6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトールを黄褐色固体として得た(2.0g、91%)。融点230−231℃。元素分析:C2117NOとして;計算値(%):C,84.25;H,5.72;N,4.68。測定値(%):C,84.24;H,5.76;N,4.61。
【0111】
工程3:{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル
実施例4の工程1に記載されているのと同様の方法にて、反応が外界温度で100分後には終了していることを別にして、標記化合物を前の工程にて調製した6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.45g、1.5ミリモル)、ブロモアセトニトリル(0.216g、1.8ミリモル)および炭酸セシウム(2.45g、7.52ミリモル)より調製した。その粗物質を塩化メチレンに溶かし、シリカゲル(45g、200−300メッシュ)を介して濾過した。溶媒を減圧下で除去し、{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリルを灰白色固体として得た(0.494g、97%)。融点191.5−192.5℃。元素分析:C2318Oとして;計算値(%):C,81.63;H,5.36;N,8.28。測定値(%):C,81.06;H,5.14;N,8.04。
【0112】
工程4:5−({[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール
実施例3の工程2に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル(0.20g、0.48ミリモル)、塩化アンモニウム(0.077g、1.44ミリモル)およびアジ化ナトリウム(0.094g、1.44ミリモル)よりDMF(10mL)中にて調製した。沈殿した固体を真空濾過により単離し、5−({[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールを白色固体として得た(0.228g、81%)。融点231−233℃(分解)。元素分析:C2319O・0.34HO・0.07CNOとして;計算値(%):C,70.99;H,5.18;N,18.08。測定値(%):C,70.84;H,5.07;N,18.18。
【0113】
実施例6:{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸の合成
【0114】
工程1:{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸メチル
実施例4の工程1に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を実施例2の工程2にて調製した6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.250g、0.665ミリモル)、ブロモ酢酸メチル(0.122g、0.797ミリモル)および炭酸セシウム(1.08g、3.33ミリモル)より調製した。単離した黄褐色の無定形固体(0.298g、100%)をさらに精製することなく使用した。融点101−102℃。元素分析:C3025NOとして;計算値(%):C,80.51;H,5.63;N,3.13。測定値(%):C,79.81;H,5.60;N,2.83。
【0115】
工程2:{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸
前の工程にて調製した{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸メチル(0.250g、0.559ミリモル)および1N NaOH(0.84mL、0.84ミリモル)のTHF:MeOH:水(1:1:1,30mL)中混合物を外界温度で10分間攪拌した。揮発物を(熱を加えることなく)減圧下で除去した。残渣を0.1N HClとEtOAcの間に分配させた。層を分離させ、水層をEtOAcで1回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で溶媒を除去し、標記化合物を淡黄色固体として得た(0.23g、95%)。融点171−172℃。元素分析:C2923NO・0.17HOとして;計算値(%):C,79.79;H,5.39;N,3.21。測定値(%):C,79.88;H,5.37;N,2.96。
【0116】
実施例7:2−{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸の合成
【0117】
工程1:2−{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチル
実施例1の工程6に記載されているのと同様の方法にて、この反応が外界温度で4時間後には終了していることを別として、標記化合物を実施例5の工程2にて調製した6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.300g、1.00ミリモル)、3−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシプロピオン酸メチルエステル(0.469g、1.50ミリモル)および炭酸セシウム(0.653g、2.00ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中25%ないし55%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(100gシリカゲル、60Å)でのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、2−{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチルを白色固体として得た(0.437g、94%)。融点117−118℃。元素分析:C3127NOとして;計算値(%):C,80.67;H,5.90;N,3.03。測定値(%):C,80.35;H,6.16;N,2.91。
【0118】
工程2:2−{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸
実施例6の工程2に記載されているのと同様の方法にて、反応が外界温度で18時間(一夜)後には終了していることを別として、標記化合物を前の工程にて調製した2−{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチル(0.200g、0.433ミリモル)および1N NaOH(0.65mL、0.65ミリモル)よりTHF:MeOH:水(1.5:1.5:1、40mL)中にて調製した。標記化合物を淡黄色固体として単離し(0.194g、100%)、さらに精製することなく使用した。融点171−173℃。元素分析:C3025NO・0.05HOとして;計算値(%):C,80.35;H,5.64;N,3.12。測定値(%):C,80.38;H,5.67;N,3.00。
【0119】
実施例8:3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸の合成
【0120】
工程1:2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール
実施例1の工程4に記載されているのと同様の方法にて、この反応が125℃で4時間加熱する必要があることを別にして、標記化合物を実施例1の工程3にて調製した1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−フェニルブタン−1,4−ジオン(0.300g、0.942ミリモル)およびトリフルオロメチルベンジルアミン(0.121g、1.13ミリモル)より調製した。減圧下で該酢酸を除去することで粗物質を単離した。該粗物質をヘキサン中50%塩化メチレンに溶かし、シリカゲル(45g、200−300メッシュ)を介して濾過した。溶媒を減圧下で除去し、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロールを灰白色の無定形固体として得た(2.4g、83%)。融点94−97℃。元素分析:C2922NOとして;計算値(%):C,76.14;H,4.85;N,3.06。測定値(%):C,76.56;H,5.58;N,2.82。
【0121】
工程2:6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフトール
実施例1の工程5に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール (0.70g、1.5ミリモル)およびピリジン塩酸塩(7g)より調製し、窒素下165℃にて12時間加熱した。溶出液としてヘキサン中50%ないし90%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(100gシリカゲル、60Å)でのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフトールを赤みがかった−褐色の無定形固体として得た(0.52g、77%)。融点63−66℃。元素分析:C2820NOとして;計算値(%):C,75.84;H,4.55;N,3.16。測定値(%):C,75.18;H,4.41;N,3.13。
【0122】
工程3:3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸メチル
実施例7の工程1に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフトール(0.300g、0.676ミリモル)、3−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシプロピオン酸メチルエステル(0.317g、1.02ミリモル)および炭酸セシウム(0.441g、1.35ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中25%ないし60%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(100gシリカゲル、60Å)でのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸メチルを灰白色の無定形固体として得た(0.367g、90%)。融点50−55℃。元素分析:C3830NOとして;計算値(%):C,75.36;H,4.99;N,2.31。測定値(%):C,75.24;H,5.16;N,2.22。
【0123】
工程4:3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸
実施例6の工程2に記載されているのと同様の方法にて、この反応が外界温度で18時間(一夜)後には終了していないことを別として、標記化合物を前の工程にて調製した3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸メチル(0.200g、0.330ミリモル)および1N NaOH(0.50mL、0.50ミリモル)よりTHF:MeOH:水(1.33:1.33:1、33mL)中にて調製した。該反応物を30℃にて1.5時間加温し、付加的な量の1N NaOH(0.50mL、0.50ミリモル)を加え、該混合物を付加的に1.5時間30℃に維持した。単離した黄色の無定形固体を溶出液として0.1%ギ酸を含むアセトニトリル中20%水を用いる逆相(C18)HPLCで精製した。生成物をクロマトグラフィーフラクションより単離し、3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸を緑がかった無定形の固体として得た(0.139g、71%)。融点153−155℃。元素分析:C3728NO・0.24H2O・0.10C14として;計算値(%):C,74.70;H,4.98;N,2.32。測定値(%):C,74.67;H,5.23;N,2.25。
【0124】
実施例9:5−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}−1H−テトラアゾールの合成
【0125】
工程1:[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]アセトニトリル
実施例3の工程1に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物実施例8の工程2にて調製した6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフトール(0.250g、0.564ミリモル)、ブロモアセトニトリル(0.081g、0.68ミリモル)および炭酸セシウム(0.920g、2.82ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中50%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(90gシリカゲル、60Å)でのBiotage FlashElute(登録商標)システムで精製し、[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]アセトニトリルを白色固体として得た(0.251g、92%)。融点154−155℃。元素分析:C3021O・0.10CHCl2として;計算値(%):C,73.65;H,4.35;N,5.71。測定値(%):C,73.58;H,4.46;N,5.64。
【0126】
工程2:5−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}−1H−テトラアゾール
実施例3の工程2に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]アセトニトリル(0.180g、0.373ミリモル)、塩化アンモニウム(0.060g、1.12ミリモル)およびアジ化ナトリウム(0.073g、1.12ミリモル)よりDMF(10mL)中にて調製した。反応混合物を1N HCl(7mL)で酸性にし、塩化メチレンに対して分配させた。層を分離させ、水層を塩化メチレンで3回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去して油状物を得た。該油状物は多量のDMFを含有し、そこで該物質をEtOAcに溶かし、水に分配させた。有機層を水で5回洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去した。その粗物質を塩化メチレンに溶かし、シリカゲル(95g、200−300メッシュ)を介して濾過した。そのシリカゲルを1部分の塩化メチレン(500mL)で、ついで5部分の1%ギ酸を含むヘキサン中50%塩化メチレン(各100mL)ですすいだ。クリーンな生成物を含有する濾液の部分を集め、減圧下で溶媒を除去し、5−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}−1H−テトラアゾールを灰白色固体として得た(0.169g、86%)。融点173−175℃。元素分析:C3022O・0.15HOとして;計算値(%):C,68.21;H,4.26;N,13.26。測定値(%):C,68.38;H,4.03;N,13.22。
【0127】
実施例10:[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸の合成
【0128】
工程1:[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸メチル
実施例3の工程1に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を実施例8の工程2にて調製した6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフトール(0.250g、0.564ミリモル)、ブロモ酢酸メチル(0.103g、0.676ミリモル)および炭酸セシウム(0.920g、2.82ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中50%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(90gシリカゲル、60Å)でのBiotage FlashElute(登録商標)システムで精製し、[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸メチルを灰白色固体として得た(0.271g、93%)。融点90−91℃。元素分析:C3124NO・0.09C14として;計算値(%):C,72.39;H,4.87;N,2.68。測定値(%):C,72.26;H,4.68;N,2.28。
【0129】
工程2:[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸
実施例6の工程2に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸メチル(0.20g、0.38ミリモル)および1N NaOH(0.58mL、0.58ミリモル)よりTHF:MeOH:水(1.67:1.67:1、39mL)中にて調製した。溶出液として1%ギ酸を含むヘキサン中25%EtOAcを用いるKP-Sil Flash25+Mカラム(40gシリカゲル、60Å)でのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸を灰白色固体として得た(0.155g、79%)。融点154−156℃。元素分析:C3022NO・0.02HOとして;計算値(%):C,71.80;H,4.43;N,2.79。測定値(%):C,71.96;H,4.55;N,2.61。
【0130】
実施例11:5−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールの合成
【0131】
工程1:2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1,5−ジフェニル−1H−ピロール
実施例8の工程1に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を実施例1の工程3にて調製した1−(6−メトキシ−2−ナフチル)−4−フェニルブタン−1,4−ジオン(1.50g、4.71ミリモル)およびアニリン(3.07g、33.0ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中0%ないし50%塩化メチレンを用いるシリカゲル(500g、200−300メッシュ)上で精製し、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1,5−ジフェニル−1H−ピロールを灰白色固体として得た(1.36g、77%)。融点199−200℃。元素分析:C2721NO・0.11CHCl2として;計算値(%):C,84.62;H,5.56;N,3.64。測定値(%):C,84.55;H,5.67;N,3.61。
【0132】
工程2:6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール
実施例1の工程5に記載されているのと同様の方法にて、この反応が205℃での加熱を必要とすることを別として、標記化合物を前の工程にて調製した2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1,5−ジフェニル−1H−ピロール(1.25g、3.33ミリモル)およびピリジン塩酸塩(30g)より調製した。溶出液として塩化メチレンを用いるシリカゲル(500g、200−300メッシュ)上で精製し、6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトールを赤みがかった固体として得た(1.00g、83%)。融点222−223℃。元素分析:C2619NO・0.11Cとして;計算値(%):C,85.57;H,5.40;N,3.77。測定値(%):C,85.28;H,5.53;N,3.73。
【0133】
工程3:{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル
実施例1の工程6に記載されているのと同様の方法にて、生成物を塩化メチレンおよびEtOAcの各々で2回抽出することを別として、標記化合物を6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.200g、0.553ミリモル)、ブロモアセトニトリル(0.0796g、0.664ミリモル)および炭酸セシウム(0.900g、2.77ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中55%ないし95%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(100gシリカゲル、60Å)でのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリルを白色固体として得た(0.170g、77%)。融点229−230℃。元素分析:C2820O・0.05CHCl2として;計算値(%):C,83.24;H,5.01;N,6.92。測定値(%):C,83.12;H,4.77;N,6.89。
【0134】
工程4:5−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール
実施例3の工程2に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物を前の工程にて調製した{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}アセトニトリル(0.180g、0.373ミリモル)、塩化アンモニウム(0.060g、1.12ミリモル)およびアジ化ナトリウム(0.073g、1.12ミリモル)よりDMF(10mL)中にて調製した。沈殿した固体を真空濾過により単離し、5−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾールを灰白色固体として得た(0.130g、98%)。融点269−270℃(分解)。元素分析:C2821Oとして;計算値(%):C,75.83;H,4.77;N,15.79。測定値(%):C,75.83;H,4.69;N,15.50。
【0135】
実施例12:{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸の合成
【0136】
工程1:{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸メチル
実施例1の工程6に記載されているのと同様の方法にて、生成物を塩化メチレンで抽出することを別として、標記化合物を実施例11の工程2にて調製した6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール (0.200g、0.553ミリモル)、ブロモ酢酸メチル(0.102g、0.664ミリモル)および炭酸セシウム(0.900g、2.77ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中55%ないし95%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+Mカラム(100gシリカゲル、60Å)でのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸メチルを灰白色固体として得た(0.22g、92%)。融点188−189℃。元素分析:C2923NO・0.16CHCl2として;計算値(%):C,78.34;H,5.26;N,3.13。測定値(%):C,77.73;H,5.08;N,3.07。
【0137】
工程2:{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸
実施例6の工程2に記載されているのと同様の方法にて、この反応が65℃での加熱を必要とし、終了に6時間を要することを別として、標記化合物を前の工程にて調製した{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸メチル(0.17g、0.39ミリモル)および1N NaOH(0.59mL、0.59ミリモル)よりTHF:MeOH:水(5:5:1、55mL)中にて調製した。まだ暖かい反応混合物を濾過し、ついで外界温度に冷却した。該混合物を1N HCl(2.5mL)で酸性にし、揮発物を(熱を加えることなく)減圧下で除去した。得られたスラリーを水(25mL)で希釈し、固体を濾過により単離し、{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸を灰白色固体として得た(0.148g、90%)。融点258−260℃(分解)。元素分析:C2821NO・0.23HOとして;計算値(%):C,79.39;H,5.11;N,3.31。測定値(%):C,78.84;H,5.03;N,3.00。
【0138】
実施例13:2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸の合成
【0139】
工程1:2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチル
実施例7の工程1に記載されているのと同様の方法にて、この反応が外界温度で30分後には終了していることを別として、標記化合物を実施例11の工程2にて調製した6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(0.300g、0.676ミリモル)、3−フェニル−2−トリフルオロメタンスルホニルオキシプロピオン酸メチルエステル(0.317g、1.02ミリモル)および炭酸セシウム(0.441g、1.35ミリモル)より調製した。溶出液としてヘキサン中25%ないし65%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash25+Mカラム(40gシリカゲル、60Å)でのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチルを白色固体として得た(0.257g、89%)。融点178−179℃。元素分析:C3629NO;計算値(%):C,82.58;H,5.58;N,2.67。測定値(%):C;81.87;H,5.10;N,2.50。
【0140】
工程2:2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸
実施例12の工程2に記載されているのと同様の方法にて、標記化合物前の工程にて調製した2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸メチル(0.186g、0.355ミリモル)および1N NaOH(0.53mL、0.53ミリモル)より2:2:1のTHF:MeOH:水(25mL)中にて調製した。その出発物質をTHF(10mL)に溶かすのに加熱する必要があった。該溶液が透明になってから、MeOH(10mL)を、つづいて水(5mL)を添加した。2.5時間後に反応が終了した。固体を濾過により単離し、2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸をベージュ色固体として得た(0.17g、94%)。融点194−196℃(分解)。元素分析:C3527NO・0.23HOとして;計算値(%):C,81.83;H,5.39;N,2.73。測定値(%):C,81.07;H,5.44;N,2.56。
【0141】
実施例14:4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}安息香酸
【0142】
工程1:4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}安息香酸メチル
実施例8の工程2にて調製した6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフトール(250mg、0.564ミリモル)、4−(ブロモメチル)安息香酸メチル(155mg、0.677ミリモル)および炭酸セシウム(918mg、2.82ミリモル)のアセトン(50mL)中混合物を窒素下室温にて1.5時間攪拌した。反応物を減圧下にて濃縮してアセトンを除去した。残渣を酢酸エチルと水の間に分配させた。水層を分離させ、酢酸エチルで複数回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、0.36gの黄褐色固体を得た。該固体を溶出液としてヘキサン中50%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+MカラムでのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}安息香酸メチル(260mg、78%)を灰白色固体として得た。融点154−155℃。元素分析:C3728NOとして;計算値(%):C,75.12;H,4.77;N,2.37。測定値(%):C,75.15;H,4.63;N,2.30。
【0143】
工程2:4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}安息香酸
前の工程にて調製した4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}安息香酸メチル(200mg、0.338ミリモル)および1N NaOH(507μL、0.507ミリモル)のTHF(20mL)とメタノール(20mL)と水(5mL)中の混合物を窒素下で9時間還流させた。反応物を濾過し、ついで室温に冷却した。該反応物を2.5mLの1N HClを添加することで酸性にし、ついで減圧下にて濃縮し、THFおよびメタノールを取り除いた。該残渣を水で希釈した。形成した固体を濾過で集め、水ですすぎ、減圧下で乾燥させて標記化合物(186mg、95%)を灰白色固体として得た。融点228−229℃。元素分析:C3626NO・0.15HO・0.04COとして;計算値(%):C,74.47;H,4.60;N,2.40。測定値(%):C,74.52;H,4.49;N,2.68。
【0144】
実施例15:4−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)安息香酸
【0145】
工程1:4−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)安息香酸メチル
実施例11の工程2にて調製した6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(300mg、0.830ミリモル)、4−(ブロモメチル)安息香酸メチル(228mg、996ミリモル)および炭酸セシウム(1.38g、4.15ミリモル)のアセトン(50mL)中混合物を窒素下室温で2.5時間攪拌した。該反応物を減圧下にて濃縮してアセトンを除去した。残渣を塩化メチレンと水の間に分配させた。水層を分離させ、それを塩化メチレンで2回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、486mgの黄褐色固体を得た。該固体を溶出液としてヘキサン中10%ないし50%塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+MカラムでのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、4−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)安息香酸メチル(320mg、76%)を極明赤色の固体として得た。融点218−219℃。元素分析:C3527NOとして;計算値(%):C,82.49;H,5.34;N,2.75。測定値(%):C,81.71;H,5.23;N,2.64。
【0146】
工程2:4−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)安息香酸
前の工程にて調製した4−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)安息香酸メチル(235mg、0.461ミリモル)および1N NaOH(692μL、0.692ミリモル)のTHF(30mL)とメタノール(30mL)と水(5mL)中の混合物を窒素下で7時間還流した。反応物を濾過し、室温に冷却し、2.5mLの1N HClを添加して酸性にし、ついで減圧下にて濃縮し、THFおよびメタノールを除去した。存在する固体を濾過で集め、水ですすぎ、減圧下で乾燥させて標記化合物(225mg、99%)を白色固体として得た。融点309−310℃。元素分析:C3425NO・0.05CO・0.19HOとして;計算値(%):C,81.73;H,5.17;N,2.79。測定値(%):C,81.94;H,5.02;N,2.65。
【0147】
実施例16:4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}イソフタル酸
【0148】
工程1:4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}イソフタル酸ジメチル
実施例8の工程2にて調製した6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフトール(200mg、0.451ミリモル)、4−(ブロモメチル)イソフタル酸ジメチル(155mg、0.541ミリモル)および炭酸セシウム(734mg、2.25ミリモル)のアセトン(40mL)中混合物を窒素下室温にて1.5時間攪拌した。該反応物を減圧下にて濃縮してアセトンを除去した。残渣を塩化メチレンと水の間に分配させた。水層を分離させ、塩化メチレンで2回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、312mgの黄色固体を得た。該固体を溶出液としてヘキサン中塩化メチレンを用いるKP-Sil Flash40+MカラムでのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}イソフタル酸ジメチル(200mg、68%)を灰白色固体として得た。融点172−174℃。元素分析:C3930NOとして;計算値(%):C,72.10;H,4.65;N,2.16。測定値(%):C,71.47;H,4.22;N,2.16。
【0149】
工程2:4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}イソフタル酸
前の工程にて調製した4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}イソフタル酸ジメチル(165mg、0.254ミリモル)および1N NaOH(1.52mL、1.52ミリモル)のTHF(30mL)とメタノール(20mL)と水(5mL)中の混合物を窒素下で6時間還流した。反応物を濾過し、室温に冷却し、5mLの1N HClを添加して酸性にし、ついで減圧下にて濃縮してTHFとメタノールを除去した。存在する固体を濾過で集め、水ですすぎ、減圧下60℃で乾燥させて標記化合物(148mg、94%)を黄色固体として得た。融点250−252℃。元素分析:C3726NO・0.18CO・0.34HOとして;計算値(%):C,70.71;H,4.42;N,2.19。測定値(%):C,70.65;H,4.34;N,2.13。
【0150】
実施例17:4−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)イソフタル酸
【0151】
工程1:4−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)イソフタル酸ジメチル
実施例1の工程5にて調製した6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフトール(200mg、0.701ミリモル)、4−(ブロモメチル)イソフタル酸ジメチル(241mg、0.841ミリモル)および炭酸セシウム(1.14g、3.50ミリモル)のアセトン(50mL)中混合物を室温で1.5時間攪拌した。該反応物を減圧下にて濃縮してアセトンを除去した。残渣を塩化メチレンと水の間に分配させた。水層を分離させ、塩化メチレンで2回抽出した。合した抽出液を乾燥させ(MgSO)、濾過して、減圧下で溶媒を除去し、黄色固体を得た。該固体を溶出液としてヘキサン中85%塩化メチレンないし100%塩化メチレンの勾配を用いるKP-Sil Flash40+MカラムでのBiotage Horizon(登録商標)システムで精製し、4−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)イソフタル酸ジメチル(280mg、81%)を黄色固体として得た。融点203−205℃。元素分析:C3125NO・0.10CHCl2として;計算値(%):C,74.70;H,5.08;N,2.80。測定値(%):C,74.24;H,4.80;N,2.76。
【0152】
工程2:4−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)イソフタル酸
前の工程にて調製した4−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)イソフタル酸ジメチル(230mg、0.468ミリモル)および1N NaOH(2.81mL、2.81ミリモル)のTHF(30mL)とメタノール(20mL)と水(5mL)中の混合物を窒素下で7時間還流した。反応物を濾過し、室温に冷却し、5mLの1N HClを添加して酸性にし、ついで減圧下にて濃縮してTHFとメタノールを除去した。存在する固体を濾過で集め、水ですすぎ、減圧下60℃で乾燥させて標記化合物(204mg、94%)を黄色固体として得た。融点289−291℃。元素分析:C2921NO・0.40CO・0.22HOとして;計算値(%):C,74.06;H,5.00;N,2.82。測定値(%):C,73.83;H,5.19;N,2.70。
【0153】
実施例18:PAI−1阻害のための一次スクリーン
【0154】
試験化合物を10mMの最終濃度でDMSOに溶かし、ついで、生理学的バッファーで100倍に希釈した。阻害アッセイは、試験化合物(1−100μMの最終濃度、最大0.2%のDMSO濃度)を140nMの組換えヒトプラスミノゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1;Molecular Innovations, Royal Oak, MI)を含有するpH6.6のバッファーに添加することで開始される。室温で1時間インキュベートした後、70nMの組換えヒト組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)を加え、試験化合物、PAI−1およびtPAの組合せをさらに30分間インキュベートする。2回目のインキュベーションの後、スペクトロザイム(Spectrozyme)−tPA(American Diagnostica, Greenwich, CT)、tPAに対する発色基質を加え、吸光度を405nmで0および60分に読み取る。相対的なPAI−1阻害は試験化合物およびPAI−1の存在下での残りのtPA活性に等しい。対照処理は、用いたモル比(2:1)でのtPAのPAI−1による完全阻害およびtPA単独での試験化合物の効果の不在を含む。
【0155】
実施例19:PAI−1の阻害のIC50測定アッセイ
【0156】
このアッセイは、tPAおよび活性PAI−1の間の非−SDS分離相互作用に基づく。アッセイプレートを、最初に、ヒトtPA(10μg/ml)で被覆する。本発明の試験化合物をDMSOに10mMで溶かし、ついで生理学的バッファー(pH7.5)で1−50μMの最終濃度まで希釈する。試験化合物を、ヒトPAI−1(50ng/ml)と一緒に15分間室温にてインキュベートする。tPA被覆のプレートを0.05%のツゥーン20および0.1%のBSAの溶液で洗浄し、ついで、該プレートを3%BSA溶液で遮断する。ついで、ピロロ−ナフチル酸/PAI−1溶液のアリコートを、tPA被覆のプレートに加え、室温にて1時間インキュベートして、洗浄する。プレートに結合した活性なPAI−1を、1:1000倍希釈のヒトPAI−1に拮抗する33B8モノクローナル抗体のアリコートを加え、該プレートを室温にて1時間インキュベートすることにより評価する(Molecular Innovations, Royal Oak, MI)。該プレートを再び洗浄し、ヤギ抗−マウスIgG−アルカリホスファターゼコンジュゲートの溶液を、ヤギ血清中にて1:50000の希釈度で加えた。プレートを室温にて30分間インキュベートし、洗浄し、アルカリホスファターゼ基質の溶液を加える。該プレートを45分間室温にてインキュベートし、着色をOD405nmで測定する。種々の濃度の試験化合物でのtPAに結合した活性PAI−1の量を用いてIC50を測定する。結果を対数最適(logarithmic best-fit)方程式を用いて解析する。0−100ng/mlの標準的な曲線範囲から測定した場合、アッセイ感度はヒトPAI−11ml当たり5ngである。
【0157】
本発明の化合物は、プラスミノゲン活性化因子阻害剤−1を表1に要約されるように阻害した。
【表1】

a IC50は上記した抗体検定により測定された。
【0158】
上記した発明は、その理解を明瞭にすることを目的として、限定するものではなく、例示としての実施例にて詳細に記載されているが、特定の変形および修飾はその開示により包含されるものであり、添付した特許請求の範囲内にある過度の実験を行うことなく、実施され得ることは当業者に明らかであろう。
【0159】
上記したすべての刊行物および特許文献は、その出典を明示することにより本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

式1
[式中:
Arはアリールまたはヘテロアリールであり;
は水素、C−C12アルキル、C6−14アリール、C6−14アル(C1−6)アルキル、−(CH−ヘテロアリール、−(CH−CO−アリール、−(CH−CO−ヘテロアリール、−(CH−CO−(C−C)アルキル、C−Cアルケニル、C−CアルキニルまたはC−Cシクロアルキルであり;
およびRは、独立して、水素、C−C12アルキル、C6−14アリール、C6−14アル(C1−6)アルキル、−(CH−ヘテロアリール、ハロゲン、C−Cアルコキシ、アラルキル、アルコキシアリール、ニトロ、カルボキシ(C−Cアルキル)、カルバミド、カルバマートまたはC−Cシクロアルキルであり;
は−CH(R)(CH、−C(CH、−CH(R)(CH、−CH(R)C、−CH(R)C(COH)、CH(R)C(COH)または酸模倣物であり;
は水素、C−Cアルキル、C−C12アリール、アラルキル、C−Cシクロアルキルまたは−(CH(R)であり;
はCOH、テトラゾールまたはPOHであり;

【化2】

であり;
nは0ないし6であり;
pは0ないし3であり;
bは0ないし6であり;および
aは0ないし6である]
で示される化合物、あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態。
【請求項2】
、RおよびRの定義において、C−C12アルキルが置換されていないC−C12アルキルまたはC−Cペルフルオロアルキルであり、C−Cアルコキシが置換されていないC−CアルコキシまたはC−Cペルフルオロアルコキシである、ところの請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が水素、C−Cアルキルまたは−(CH−フェニルである、ところの請求項1記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、独立して、水素、置換されていないC−Cアルキル、フェニル−(CH−、ハロゲンまたはC−Cペルフルオロアルキルである、ところの請求項1記載の化合物。
【請求項5】
が−CHRCOH、−CHRCOH、−CHR(COH)、−CH−テトラゾールまたは酸模倣物である、ところの請求項1ないし4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が水素;置換されていないフェニル;置換されていないベンジル;C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、ハロゲン、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、−(CH−フェニルおよび−O(CH−フェニルからなる群より選択される1個ないし3個の基で置換されているベンジル;あるいはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、ハロゲン、C−Cペルフルオロアルキル、C−Cペルフルオロアルコキシ、−(CH−フェニルおよび−O(CH−フェニルからなる群より選択される1個ないし3個の基で置換されているフェニルである、ところの請求項1ないし5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式2:
【化3】

式2
で示される請求項1ないし6のいずれか一項に記載の化合物あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態。
【請求項8】
式3:
【化4】

式3
で示される請求項1ないし7のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態。
【請求項9】
式4:
【化5】

式4
で示される請求項1ないし8のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態。
【請求項10】
Arがフェニル、ナフチル、フラニル、チオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、ピラゾリル、オキサゾリルまたはフルオレニルである、ところの請求項1ないし9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
式5:
【化6】

式5
[式中、R、R、R10、R11およびR12は、独立して、水素、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C6−14アル(C1−6)アルキル、C−Cシクロアルキル、−(CH−C−Cシクロアルキル、ハロゲン、−(CH−フェニルまたは−O(CH−フェニルである]
で示される請求項1ないし10のいずれか一項に記載の化合物、あるいはその溶媒和物、水和物または医薬上許容される塩もしくはエステル形態。
【請求項12】
−Cアルキルが置換されていないC−CアルキルまたはC−Cペルフルオロアルキルであり;C−Cアルコキシが置換されていないC−CアルコキシまたはC−Cペルフルオロアルコキシである、ところの請求項11記載の化合物。
【請求項13】
が−CHRCOHである、ところの請求項1ないし12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
が−(CH)−テトラゾールである、ところの請求項1ないし12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が−CH(R)CCOHである、ところの請求項1ないし12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
3−フェニル−2−{[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}プロパン酸;2−{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸;{[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸;2−{[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸;3−フェニル−2−[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]プロパン酸;またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態である、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]酢酸;{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}酢酸;2−{[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}−3−フェニルプロパン酸;5−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール;5−({[6−(1−ベンジル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール;またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態である、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
5−({[6−(1−メチル−5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール;5−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}−1H−テトラアゾール;5−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)−1H−テトラアゾール;4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}安息香酸;4−({[6−(1,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)安息香酸;またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態である、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
4−{[(6−{5−フェニル−1−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−1H−ピロール−2−イル}−2−ナフチル)オキシ]メチル}イソフタル酸;4−({[6−(5−フェニル−1H−ピロール−2−イル)−2−ナフチル]オキシ}メチル)イソフタル酸;またはその医薬上許容される塩もしくはエステル形態である、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれか一項に記載の化合物を対象に投与することを含む、方法。
【請求項21】
対象におけるPAI−1活性のレベルを測定することをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
該測定を化合物の投与前に行う、ところの請求項21記載の方法。
【請求項23】
該測定を化合物の投与後に行う、ところの請求項21記載の方法。
【請求項24】
その必要とする対象に有効量の請求項1ないし19のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、PAI−1活性を制御する方法。
【請求項25】
線溶系障害、血栓症、心房性細動、肺線維症、心筋虚血、発作、手術の血栓塞栓性合併症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化プラーク形成、慢性閉塞性肺疾患、腎線維症、多嚢胞性卵巣症候群、糖尿病、アルツハイマー病、または癌の治療法であって、その必要とする対象に治療上有効量の請求項1ないし19のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項26】
有効量が約25mg/kg/日ないし約200mg/kg/日である、ところの請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
血栓症が静脈血栓症、動脈血栓症、脳血栓症および深部静脈血栓症からなる群より選択される、ところの請求項25記載の方法。
【請求項28】
心臓血管疾患が対象にてインスリン非依存性糖尿病により惹起される、ところの請求項25記載の方法。
【請求項29】
請求項1ないし19のいずれか一項に記載の化合物あるいはその医薬上許容される塩またはエステル形態、および医薬上許容される賦形剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項30】
線溶系障害、血栓症、心房性細動、肺線維症、手術の血栓塞栓性合併症、発作、心筋虚血、アテローム性動脈硬化プラーク形成、心臓血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、多嚢胞性卵巣症候群、糖尿病、アルツハイマー病、癌または腎線維症の治療用医薬の製造における、請求項1ないし19のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項31】
血栓症が静脈血栓症、動脈血栓症、脳血栓症および深部静脈血栓症からなる群より選択される、ところの請求項30記載の使用。
【請求項32】
心臓血管疾患がインスリン非依存性糖尿病により惹起される、ところの請求項30記載の使用。

【公表番号】特表2008−510814(P2008−510814A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530020(P2007−530020)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/029817
【国際公開番号】WO2006/023864
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】