説明

PKC−θ阻害薬としてのプリン類

PKCθ阻害薬として有用なプリンの化学的属が開示される。この属は、式(I)によって表され、代表例は(II)である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PKCθ阻害薬として有用なプリンの化学的属に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セリン/トレオニンキナーゼのタンパク質キナーゼC(PKC)ファミリーの構成員は、多様な細胞種の細胞分化および増殖の調節において非常に重要な役割を果たす。PKCファミリーの哺乳動物構成員10種類が確認されており、α、β、γ、δ、ε、ζ、η、θ、μおよびλと称される。PKCθの構造は、PKCδ、εおよびηなどのCa2+非依存性の新規なPKCサブファミリーの構成員と最も高い相同性を示す。PKCθはPKCδとの関係性が最も高い。
【0003】
PKCθは、主としてリンパ組織および骨格筋で発現される。PKCθがTCR介在T細胞活性化において必須であるが、TCR依存性胸腺細胞発達時は不要であることが明らかになっている。PKCθは、抗原特異的T細胞とAPCとの間の細胞接触の部位に転座し、そこでT細胞活性化の中核部にTCRとともに局在するが、他のPKCアイソフォームではそれは起こらない。PKCθは、FasLプロモータ−レポーター遺伝子を選択的に活性化し、mRNAまたは内因性FasLの細胞表面発現を上昇させたが、α、εおよびζアイソザイムのいずれにもそれはなかった。他方、PKCθおよびεは、Fas誘発アポトーシスから細胞を保護することでT細胞生存を促進し、この保護効果には、BADのp90Rsk依存性リン酸化が介在していた。従ってPKCθは、T細胞アポトーシスにおいて二重調節の役割を果たすように思われる。
【0004】
T細胞でのPKCθの選択的発現および成熟T細胞活性化におけるそれの重要な役割により、例えば関節リウマチおよび紅斑性狼瘡などの自己免疫疾患ならびに喘息および炎症性腸疾患などの炎症疾患のようなTリンパ球が介在する障害または疾患の治療または予防においてPKCθ阻害薬が有用であることは明らかである。
【0005】
PKCθは、移植および自己免疫疾患における免疫抑制のための薬剤の標的であることが確認されている(Isakov et al. (2002) Annual Review of Immunology, 20, 761-794)。PCT公開WO2004/043386では、PKCθが移植拒絶反応および多発性硬化症の治療における標的であることが確認されている。PKCθはまた、炎症性腸疾患(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics (2005), 313 (3), 962-982)、喘息(WO2005062918)および狼瘡(Current Drug Targets: Inflammation & Allergy (2005), 4 (3), 295-298)においても何らかの役割を果たす。
【0006】
さらに、PKCθは、消化管間質腫瘍(Blay, P. et al. (2004) Clinical Cancer Research, 10, 12, Pt.1)において高度に発現され、PKCθが消化管癌の治療における分子標的であることが提案されている(Wiedmann, M. et al. (2005) Current Cancer Drug Targets 5(3), 171)。従って、小分子のPKC−θ阻害薬は、消化管癌の治療において有用となり得る。
【0007】
PKCθノックアウトマウスで実施された実験では、PKCθの失活によって、骨格筋でのインシュリンシグナル伝達およびグルコース輸送における脂肪誘発欠陥が予防されたという結論が得られている(Kim J. et al, 2004, The J. of Clinical Investigation 114 (6), 823)。このデータは、PKCθが2型糖尿病治療における治療標的となり得ること、従って小分子のPKCθ阻害薬がそのような疾患の治療において有用となり得ることを示唆している。
【0008】
従って、PKCθ阻害薬は、関節リウマチおよび紅斑性狼瘡などの自己免疫疾患ならびに喘息および炎症性腸疾患などの炎症疾患など、T細胞介在疾患の治療において有用である。さらに、PKCθ阻害薬は、消化管癌および糖尿病の治療において有用である。
【0009】
公開番号JP2004−217582下に2004年8月5日に公開された日本特許出願第2003−008019号には、TNA−α産生阻害薬およびPDE4阻害薬としての有用性が謳われるプリン誘導体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】PCT公開WO2004/043386
【特許文献2】WO2005062918
【特許文献3】日本特許出願第2003−008019号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Isakov et al. (2002) Annual Review of Immunology, 20, 761-794
【非特許文献2】The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics (2005), 313 (3), 962-982
【非特許文献3】Current Drug Targets: Inflammation & Allergy (2005), 4 (3), 295-298
【非特許文献4】Blay, P. et al. (2004) Clinical Cancer Research, 10, 12, Pt.1
【非特許文献5】Wiedmann, M. et al. (2005) Current Cancer Drug Targets 5(3), 171
【非特許文献6】Kim J. et al, 2004, The J. of Clinical Investigation 114 (6), 823
【発明の概要】
【0012】
発明の要旨
1態様において本発明は、下記式Iの化合物に関するものである。
【0013】
【化1】

式中、
は、C−Cアルキル、炭素環、置換炭素環および
【0014】
【化2】

から選択され、
は、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから選択され、Rは置換されていても良く、
ただしRがヘテロアリールである場合は、RはZ基を有するメチレン炭素にヘテロ原子を介しては結合しておらず;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は環状基であり、
ただし、Rが複素環である場合、Rに結合した式Iのプリン窒素は、直接でもメチレン基を介してでもRのヘテロ原子に結合しておらず;
は、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され、Rが含窒素複素環の場合は、Rはさらに−Hであっても良く、
ただしRが複素環であり、Rが−(C−Cアルキル)−NRである場合は、Rのヘテロ原子は、直接でもメチレン基を介してでも−NR基には結合しておらず;
およびRは独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、C−Cアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択され;
ただしRがフェニルであり、Rがピペリジン−4−イル−エチルである場合には、Rはシクロプロピル以外である。
【0015】
別の態様において本発明は、製薬上許容される担体および式Iの化合物またはそれの塩を含む医薬組成物に関するものである。
【0016】
別の態様において本発明は、関節リウマチおよび紅斑性狼瘡などの自己免疫疾患、喘息および炎症性腸疾患などの炎症疾患、消化管癌などの癌ならびに糖尿病等のT細胞介在疾患を治療する方法に関するものである。その方法は、治療上有効量の式Iの化合物またはそれの塩を投与する段階を有する。
【0017】
発明の詳細な説明
最も広い意味において本発明は、下記式Iの化合物またはそれの塩に関するものである。
【0018】
【化3】

式中、
は、C−Cアルキル、炭素環、置換炭素環および
【0019】
【化4】

から選択され、
は、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから選択され、Rは置換されていても良く、
ただしRがヘテロアリールである場合は、RはZ基を有するメチレン炭素にヘテロ原子を介しては結合しておらず;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−R、および−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は環状基であり、
ただし、Rが複素環である場合、Rに結合した式Iのプリン窒素は、直接でもメチレン基を介してでもRのヘテロ原子に結合しておらず;
は、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され、Rが含窒素複素環の場合は、Rはさらに−Hであっても良く、
ただしRが複素環であり、Rが−(C−Cアルキル)−NRである場合は、Rのヘテロ原子は、直接でもメチレン基を介してでも−NR基には結合しておらず;
およびRは独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、C−Cアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択され;
ただしRがフェニルであり、Rがピペリジン−4−イル−エチルである場合には、Rはシクロプロピル以外である。
【0020】
1実施形態では、Rは、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、ハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【0021】
【化5】

から選択され;
は−(C−Cアルキル)−Rであり、
は、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
は、独立にハロゲン、−OH、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択される置換基によって1個もしくは2個の原子で置換されていても良く;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択される。
【0022】
別の実施形態において、Rは、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は、脂環式基、含窒素脂環式基、アリールおよび含窒素ヘテロアリールから選択され;
は、−H、−(C−Cアルキル)−NR、および
−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRは独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択される。
【0023】
別の実施形態では、Rは、C−Cアルキル、アリールから、R10、R11およびR12で置換されたアリールから選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1個以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともにOを含んでいても良い4から7員飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり、
nは1、2または3である。
【0024】
別の実施形態において、Rは、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【0025】
【化6】

から選択され、
は、
【0026】
【化7】

から選択され;
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択される。
【0027】
別の実施形態では、Rは、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルから選択され;
は、−H、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRは独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択される。
【0028】
別の実施形態では、Rは、
【0029】
【化8】

以外である。
【0030】
別の実施形態では、Rは、C−Cアルキル、
【0031】
【化9】

から選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。
【0032】
別の実施形態では、Rは、メチルまたはハロゲンで置換されていても良いピリジル、チエニル、チアゾリルおよびフラニルから選択される。
【0033】
異なる実施形態では本発明は、下記式Iの化合物またはそれの塩に関するものである。
【0034】
【化10】

式中、
は、直鎖もしくは分岐のC−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【0035】
【化11】

から選択され;
は−(C−Cアルキル)−Rであり、
は、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
は、1個もしくは2個の原子において、独立にハロゲン、−OH、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択される置換基で置換されていても良く、
ただしRがヘテロアリールである場合、Rは、ヘテロ原子を介してZ基を有するメチレン炭素に結合しておらず;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は、脂環式基、含窒素脂環式基、アリールおよび含窒素ヘテロアリールから選択され、
ただしRが含窒素脂環式基または含窒素ヘテロアリールである場合、Rに結合した式Iのプリン窒素は、直接でもメチレン基を介してでもRの窒素に結合しておらず;
は、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され、Rが含窒素脂環式基または含窒素ヘテロアリールである場合、Rはさらに−Hであっても良く、
ただしRが含窒素脂環式基または含窒素ヘテロアリールであり、Rが−(C−Cアルキル)−NRである場合、Rの窒素は、直接でもメチレン基を介してでも−NRに結合しておらず;
およびRは独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択され;
は、C−Cアルキル、アリールから、R10、R11およびR12で置換されたアリールから選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。
【0036】
1実施形態において、Rは、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【0037】
【化12】

から選択され、
は、
【0038】
【化13】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択される。
【0039】
1実施形態において、Rは、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルから選択され;
は、−H、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRは独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択される。
【0040】
別の実施形態では、Rは、
【0041】
【化14】

以外である。
【0042】
別の実施形態では、Rは、C−Cアルキル、
【0043】
【化15】

から選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され、
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。
【0044】
別の実施形態では、Rは、メチルまたはハロゲンで置換されていても良いピリジル、チエニル、チアゾリルおよびフラニルから選択される。
【0045】
別の実施形態では、Rは、
【0046】
【化16】

であり、
は、
【0047】
【化17】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CNおよびC−Cアルキルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択される。
【0048】
別の実施形態では、Rは、
【0049】
【化18】

から選択される。
【0050】
別の実施形態では、Rは、
【0051】
【化19】

から選択される。
【0052】
別の実施形態では、R
【0053】
【化20】

であり、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともにOを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。
【0054】
別の実施形態では、Rは、メチルまたはハロゲンで置換されていても良いピリジル、チエニル、チアゾリルおよびフラニルから選択される。
【0055】
さらに別の実施形態において本発明は、下記式Iの化合物またはそれの塩に関するものである。
【0056】
【化21】

式中、
は、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【0057】
【化22】

から選択され、
は、
【0058】
【化23】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、およびピリジニルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルから選択され;
は、−H、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRは独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択され;
は、プリン環へのRの結合箇所から2から8原子離れて位置する塩基性N原子を含み;
は、C−Cアルキル、
【0059】
【化24】

から選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。
【0060】
別の実施形態では、Rは、メチルまたはハロゲンで置換されていても良いピリジル、チエニル、チアゾリルおよびフラニルから選択される。
【0061】
塩基性N原子について言及する場合、そのようなN原子は、プロトン化に利用可能な孤立電子対を有する。pKbが約9以下の塩基性を有するN原子が好ましい。より好ましいものは、7以下のpKbを示すN原子である。そのような塩基性N原子は、直鎖、分岐または環状系での1級、2級または3級アミンであることができる。プリン環へのRの結合箇所から2から8原子離れて位置する塩基性N原子を含むRの例には、
【0062】
【化25】

がある。
【0063】
1実施形態において、R
【0064】
【化26】

であり、
は、
【0065】
【化27】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CNおよびC−Cアルキルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択される。
【0066】
別の実施形態では、Rは、
【0067】
【化28】

以外である。
【0068】
別の実施形態では、Rは、
【0069】
【化29】

から選択される。
【0070】
別の実施形態では、Rは、
【0071】
【化30】

から選択される。
【0072】
別の実施形態では、R
【0073】
【化31】

であり、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。
【0074】
別の実施形態において、Rは、メチルまたはハロゲンで置換されていても良いピリジル、チエニル、チアゾリルおよびフラニルから選択される。
【0075】
別の実施形態では、
(R)−N−(3−クロロ−4−フルオロベンジル)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(3−クロロ−4−フルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−N−(3−クロロ−6−フルオロベンジル)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(3−フルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(2,5−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(4−フルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−N−(3,4−ジクロロベンジル)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−N−(3−クロロ−4−フルオロベンジル)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(2−フルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(S)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(2−フルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−N−ベンジル−8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(チエン−3−イルメチル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−N−(3−クロロ−6−フルオロベンジル)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(2−フルオロ−1−エチルフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(2−フルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−4−(8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−イル−アミノ)メチルフェノール;
(R)−3−(8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−イル−アミノ)メチルフェノール;
(R)−2−フルオロ−4−(8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−イル−アミノ)メチルフェノール;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシメチルフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,4−ジクロロ−6−トリフルオロメトキシフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−エトキシフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−3,5−ジクロロ−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジル)アミノ−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)フェノール;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−フルオロフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(4−ブロモ−2,6−ジクロロフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(4−アミノ−2,6−ジクロロフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(4−シクロプロピルメチル−2,6−ジクロロフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−(3−ジメチルアミノプロピル)フェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−(2−ジメチルアミノエチル)フェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−(3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)フェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−(2−メトキシエチル)フェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−(3−メトキシプロピル)フェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン;
(R)−N−(3,5−ジクロロ−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル−フェニルアセトアミドおよび
(R)−N−(3,5−ジクロロ−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル−フェニル−3,3,3−トリフルオロプロピルアミド
から選択される化合物またはそれの製薬上許容される塩である。
【0076】
1実施形態では本発明は、治療上有効量の式Iの化合物またはそれの塩を投与する段階を有する、T細胞介在疾患の治療方法に関するものである。T細胞介在疾患は例えば、自己免疫疾患または炎症疾患であることができる。自己免疫疾患は例えば、関節リウマチまたは紅斑性狼瘡であることができる。炎症疾患は例えば、喘息または炎症性腸疾患であることができる。
【0077】
別の実施形態では本発明は、治療上有効量の式Iの化合物またはそれの塩を投与する段階を有する、消化管癌などの癌の治療方法に関するものである。
【0078】
さらに別の実施形態では本発明は、治療上有効量の式Iの化合物またはそれの塩を投与する段階を有する、糖尿病の治療方法に関するものである。
【0079】
定義
本明細書を通じて、用語および置換基はそれらの定義を保持する。
【0080】
アルキルおよびアルカンは、別段の断りがない限り、直鎖、分岐もしくは環状の炭化水素構造およびこれらの組み合わせを含むものである。低級アルキルとは、1から6個の炭素原子のアルキル基を指す。低級アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチルなどがある。好ましいアルキル基は、C20以下のものである。シクロアルキルはアルキルの下位集合であり、3から8個の炭素原子の環状炭化水素基を含む。シクロアルキル基の例には、c−プロピル、c−ブチル、c−ペンチル、ノルボルニルなどがある。
【0081】
(CからC)炭化水素には、水素および1からn個の炭素のみを含むアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールおよびこれらの組み合わせなどがある。例には、ビニル、アリル、シクロプロピル、プロパルギル、フェネチル、シクロヘキシルメチル、カンフォリルおよびナフチルエチルなどがある。飽和(CからC)炭化水素は、本明細書で使用される場合は、意味上は(CからC)アルキルまたは(CからC)アルカンと同一である。炭素原子数が0の場合にC0−nアルキル、(CからC)アルキルまたは(CからC)アルカンについて言及する場合は必ず、直接結合が示唆される。
【0082】
アルコキシまたはアルコキシルは、酸素を介して親構造に結合した1から8個の炭素原子の直鎖、分岐、環状の配置およびそれらの組み合わせの基を指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシなどがある。低級アルコキシとは、1から4個の炭素を含む基を指す。
【0083】
フルオロアルキルは、1以上の水素がフッ素によって置き換わっているアルキル残基を指す。それには、全ての水素がフッ素によって置き換わっているパーフルオロアルキルが含まれる。例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルおよびペンタフルオロエチルなどがある。
【0084】
オキサアルキルは、1以上の炭素(およびそれに伴う水素)が酸素によって置き換わっているアルキル残基を指す。例としては、メトキシプロポキシ、3,6,9−トリオキサデシルなどがある。オキサアルキルという用語は、それが当業界で理解されているものであり[米国化学会刊行のNaming and Indexing of Chemical Substances for Chemical Abstracts、¶196参照、ただし、¶127(a)の制約は受けない]、すなわちそれは、酸素が単結合を介してそれの隣接する原子に結合している(エーテル結合を形成)化合物を指し、カルボニル基で認められるような二重結合の酸素を指すものではない。同様に、チアアルキルおよびアザアルキルは、1以上の炭素がそれぞれ硫黄または窒素によって置き換わっているアルキル残基を指す。例としては、エチルアミノエチルおよびメチルチオプロピルなどがある。
【0085】
アシルは、カルボニル官能基を介して親構造に結合した、直鎖、分岐、環状の飽和、不飽和および芳香族ならびにこれらの組み合わせの1から8個の炭素原子の基を指す。親部分への結合箇所がカルボニルに留まっている限りにおいて、アシル残基における1以上の炭素を窒素、酸素または硫黄によって置き換えることができる。例としては、アセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどがある。低級アシルは、1から4個の炭素を含む基を指す。
【0086】
環状基は、O、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む3から8員環;O、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む二環式9もしくは10員環系;またはO、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む三環式13員または15員の環系を指す。環状基は、飽和、不飽和または芳香族であることができる。炭素環は、ヘテロ原子を持たない環状基である。一般に理解されているように、置換基としての環状基に言及する場合、結合箇所が環状基の環炭素またはヘテロ原子であるものとする。
【0087】
環状アルキルは、環状基に結合したアルキル残基を指す。一般に理解されているように、置換基としての環状アルキルに言及する場合、結合箇所がアルキル基であるものとする。
【0088】
シクロアルキルアルキルは、シクロアルキルに結合したアルキル残基を指す。一般に理解されているように、置換基としてのシクロアルキルアルキルに言及する場合、結合箇所がアルキル基であるものとする。
【0089】
脂環式基は、飽和または不飽和であることができるが、ベンゼノイドその他の芳香族系であることはできない炭素環構造を有する脂肪族化合物を指す。脂環式基は、O、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む3から8員環;O、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む二環式9員もしくは10員環系;またはO、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む三環式13員または15員環系であることができる。炭素脂環式基は、ヘテロ原子を持たない脂環式基である。一般に理解されているように、置換基としての脂環式基に言及する場合、結合箇所が脂環式基の環炭素またはヘテロ原子であるものとする。
【0090】
脂環式アルキルは、脂環式基に結合したアルキル残基を指す。一般に理解されているように、置換基としての脂環式基アルキルに言及する場合、結合箇所がアルキル基であるものとする。
【0091】
アリールおよびヘテロアリールは、O、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む5員または6員芳香族またはヘテロ芳香族環;O、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む二環式9員または10員芳香族またはヘテロ芳香族環系;またはO、NまたはSから選択される0から3個のヘテロ原子を含む三環式13員または14員芳香族またはヘテロ芳香族環系を意味する。一般に理解されているように、置換基としてのアリールに言及する場合、結合箇所がアリール基の環炭素(またはヘテロアリールの環炭素もしくはヘテロ原子)であるものとする。本発明に関して、アリールおよびヘテロアリールは、少なくとも1個の環(ただし、必ずしも全ての環ではない)が完全芳香族である系を指す。従って、芳香族6から14員炭素環系には、例えばベンゼン、ナフタレン、インダン、テトラリン、ベンゾシクロヘプタンおよびフルオレンなどがあり、5から10員芳香族複素環には、例えばイミダゾール、ピリジン、インドール、イソインドリン、チオフェン、ベンゾピラノン、チアゾール、フラン、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、キノキザリン、テトラヒドロカルボリン、ピリミジン、ピラジン、テトラゾールおよびピラゾールなどがある。
【0092】
アリールアルキルは、アリール環に結合したアルキル残基を意味する。一般に理解されているように、置換基としてのアリールアルキルに言及する場合、結合箇所がアルキル基であるものとする。アリールアルキルの例には、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルおよびナフチルエチルがある。ヘテロアリールアルキルは、ヘテロアリール環に結合したアルキル残基を意味する。例には、例えばピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどがある。
【0093】
複素環は、1から3個の炭素がN、OおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換わっているシクロアルキルまたはアリール残基を意味する。窒素および硫黄ヘテロ原子は、酸化されていても良く、窒素ヘテロ原子は4級化されていても良い。複素環には、スピロ複素環も含まれる。留意すべき点として、ヘテロアリールは、複素環が芳香族である複素環の下位集合である。複素環残基の例にはさらに、ピペラジニル、4−ピペリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、オキサジアゾリル、トリアゾリルおよびテトラヒドロキノリニルなどがある。
【0094】
環状基または含窒素環状基(環状基は、複素環、脂環式基またはヘテロアリールであることができる。)に結合した窒素に言及する場合は必ず、そのような環状基は少なくとも1個のN原子を含み、O、NまたはSから選択される0から3個の別のヘテロ原子を含むこともできる。
【0095】
アミノアルキルは、アルキル基を介してコア構造に結合したアミノ基を意味し、例えばアミノメチル、アミノエチル、アミノペンチルなどがある。上記で定義のアルキル基は直鎖もしくは分岐であることが考えられることから、アミノアルキルは例えば−CHCHCH(CH)CHNH、−CHC(CHCHNHなどを含むものである。アルキルアミノアルキルは、アルキル基を介してコア構造に結合した2級アミンを意味し、例えば−CHCHNHCH、−CHCHCHNHCHCHなどである。ジアルキルアミノアルキルは、アルキル基を介してコア構造に結合した3級アミンを意味し、例えば−CHN(CH、−CHCHCHN(CH)CHCHなどである。
【0096】
置換アルキル、環状基、アリール、シクロアルキル、複素環などは、各残基における3個以下のH原子が、低級アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、低級アルコキシ、パーフルオロ低級アルコキシ、カルボキシ、カルボアルコキシ(アルコキシカルボニルとも称される)、カルボキサミド(アルキルアミノカルボニルとも称される)、スルホンアミド、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、シアノ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ウレイド、アルキルウレイド、メルカプト、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、アシルアミノ、アミジノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、フェニル、ベンジル、ヘテロアリール、フェノキシ、ベンジルオキシ、またはヘテロアリールオキシで置き換わっているアルキル、環状基、アリール、シクロアルキルまたは複素環を指す。
【0097】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0098】
本明細書で使用される場合、「治療」または患者を「治療する」と言う場合は、予防を含むものである。それらの用語は、これら障害に関連する症状および/または効果からの寛解、予防および改善を含む。「予防する」または「予防」という用語は、事前に医薬を投与して、攻撃を未然に防いだり、鈍らせることを指す。医学界(本方法の請求項が関係する)の当業者であれば、「予防する」という用語が絶対的な用語ではないことは理解できる。医学界においては、それは薬剤の予防的投与による状態が起こる可能性および重篤性を低下させることを指すものと理解され、それが意図される意味である。
【0099】
略称
下記の略称および用語は、本明細書を通じて、ここに示した意味を有する。
【0100】
Ac=アセチル、
anh.=無水、
ACN=アセトニトリル、
BNB=4−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸、
Boc=t−ブチルオキシカルボニル、
Bu=ブチル、
CBZ=カルボベンゾキシ=ベンジルオキシカルボニル、
CDI=カルボニルジイミダゾール、
DBU=ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、
DCM=ジクロロメタン=塩化メチレン=CHCl
DEAD=ジエチルアゾジカルボキシレート、
DIC=ジイソプロピルカルボジイミド、
DIEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン、
DMAP=4−N,N−ジメチルアミノピリジン、
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、
DMSO=ジメチルスルホキシド、
DVB=1,4−ジビニルベンゼン、
EEDQ=2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、
Etエチル、
FCC=フラッシュカラムクロマトグラフィー、
Fmoc=9−フルオレニルメトキシカルボニル、
GC=ガスクロマトグラフィー、
h=時間、
HATU=O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
HOAc=酢酸、
HOBt=ヒドロキシベンゾトリアゾール、
Me=メチル、
メシル=メタンスルホニル、
MTBE=メチルt−ブチルエーテル、
NMO=N−メチルモルホリンオキサイド、
PEG=ポリエチレングリコール、
Phまたはκ=フェニル、
PhOH=フェノール、
PfP=ペンタフルオロフェノール、
PPTS=p−トルエンスルホン酸ピリジニウム,
PyBroP=ヘキサフルオロリン酸ブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム、
rm=反応混合物、
rt=室温、
sat′d=飽和、
TBDMS=t−ブチルジメチルシリル、
TFA=トリフルオロ酢酸、
THF=テトラヒドロフラン、
TIPSO=トリイソプロピルシラニルオキシ、
TMOF=オルトギ酸トリメチル、
TMS=トリメチルシリル、
TBDMS=t−ブチルジメチルシリル、
トシル=p−トルエンスルホニル、
Trt=トリフェニルメチル。
【0101】
本発明は多くの異なる形態での実施形態に影響を受けやすいが、本発明の好ましい実施形態を示す。しかしながら理解すべき点として、本開示内容は、本発明の原理の例示と考えるべきものであり、本発明を例示の実施形態に限定するものではない。
【0102】
調べてみると、特許請求の属のある種の構成員が本願における発明者に特許付与できないものであることがわかる場合がある。その場合、本願人の特許請求の範囲から種が後に除外されても、それは特許審査のアーチファクトと見なされるべきであり、発明者らの考え方またはその発明の記述を反映したものと考えるべきではない。本発明は、まだ公共の所有となっていない属(I)の構成員全てを包含するものである。
【0103】
概して本発明の化合物は、例えば下記のような一般的反応図式に示した方法またはそれの変法により、容易に入手可能な原料、試薬および従来の合成手順を用いて製造することができる。これらの反応においては、自体が公知であるが、本明細書では言及されていない変形形態を利用することも可能である。
【0104】
プリン類の一般的合成
本発明のプリン類縁体の一つの製造方法を図式1に示してある。2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン1中の二つのクロライドの置き換えは通常、位置選択的に起こる。従って、2位における反応性が高い方のクロライドが最初にアミンR′NHによって置き換わって、化合物2が得られる。第2のアミンR″NHの付加で、4位におけるクロライドが置き換わる。当業界で公知の試薬(例:ラネーNi/H、Fe/EtOH/AcOH水溶液、Na/NHOH/HO/ジオキサン)を用いた3におけるニトロ基のアミンへの還元と、それに続くアリールアルデヒドとの環化によって、プリン5が得られる。
【0105】
【化32】

【0106】
本発明のプリン類縁体は、固体担体上で製造することができる(図式2)。例えば、酸開裂可能な連結基を、アルゴゲル(Argogel)−NH樹脂に結合させることができる。連結基を有するその樹脂を、最初にRNHで還元的にアミノ化する。次に、図式1における第1段階で同様に製造されるピリミジン2を、求核置換反応によってアミンに結合させる。ニトロ基の還元とそれに続くアルデヒドを用いた閉環によってプリン化合物を得る。次に、トリフルオロ酢酸などの酸による処理によって、その生成物を固体担体から放出させることができる。
【0107】
【化33】

【0108】
下記のものは、本発明の化合物の一部の製造手順の例である。
【0109】
N−(3,4−ジフルオロベンジル)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン(化合物113)の合成
N−(3,4−ジフルオロベンジル)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン(化合物113)の一つの可能な合成方法を、下記の図式3に示してあり、それに続く説明で詳細に説明する。
【0110】
【化34】

【0111】
(S)−3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(12)
2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(Toronto Research Chemicals)1.267g(6.53mmol、1.0当量)の脱水THF(8mL)中溶液に−78℃で、アミン6.53mmol(1当量)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン1.25mLの脱水THF(6.5mL)中溶液を滴下した。
【0112】
【化35】

【0113】
反応混合物を−78℃で30分間攪拌し、昇温させて25℃とし、さらに1時間攪拌した。溶媒を減圧下に除去し、残留物をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0114】
(S)−3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(12)
【0115】
【化36】

【0116】
アミンとして(S)−1−Boc−3−(アミノメチル)ピペリジン(1.4g、6.53mmol、CNH Technologies)を用い、上記の手順を用いて合成した。移動相としてヘキサン/酢酸エチルの6/1混合物を用いて、シリカゲルで精製を実施した。所望の生成物を、収率78%で黄色固体として得た(1.90g)。H NMR(300MHz、CDCl)ppm:9.05(s、1H)、8.56(brs、1H)、3.85(dd、2H)、3.59(m、2H)、3.03(brt、1H)、2.87(dd、1H)、1.86(m、2H)、1.69(m、1H)、1.46(s、9H)、1.40(m、2H、1.46ppmと重複)。
【0117】
(S)−3−((2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(13)
(S)−3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル12(0.161g、0.43mmol、1当量)のアセトニトリル(2mL)中溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.064g、0.087mL、0.5mmol、1.15当量)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(0.068g、0.48mmol、1.1当量)を加え、反応混合物を、60℃で攪拌しながら30分間加熱した。溶媒を減圧下に除去し、残留物を酢酸エチル(30mL)に取り、水(10mLで2回)およびブライン(10mLで1回)で洗浄した。有機層を脱水し(無水NaSO)、減圧下に濃縮した。淡黄色残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル3/1)によって精製して、所望の生成物13 0.188g(収率91%)を得た。H NMR(300MHz、CDCl)ppm:8.80(s、1H)、8.60(brt、1H)、7.16(m、2H)、7.06(m、1H)、6.87(brt、1H)、4.58(d、2H)、3.80(m、2H)、3.43(m、2H)、2.88(br、1H)、2.55(br、1H)、1.78(m、2H)、1.64(m、1H)、1.43(s、9H)、1.44(m、1H、1.43ppmと重複)、1.22(m、1H);MS(EI)m/z478.8(MH)
【0118】
(3S)−3−((2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−9H−プリン−9−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(14)
ヒドロ亜硫酸ナトリウム0.522g(3.0mmol、12.5当量)の水(4mL)および飽和アンモニア水溶液(0.2mL)中溶液に、(S)−3−((2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル13(0.115g、0.24mmol、1当量)の1,4−ジオキサン(2mL)中溶液を加えた。この溶液を25℃で30分間攪拌し、その際のTLC分析で原料が残っていないことが示された。酢酸エチル(100mL)を加え、有機層を水(30mLで3回)およびブライン(30mLで1回)で洗浄し、脱水し(無水NaSO)、減圧下に濃縮して、粗(S)−3−((2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−5−アミノピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルを得た。
【0119】
20mLシンチレーションバイアルに入った粗(S)−3−((2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−5−アミノピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの脱水N,N−ジメチルアセトアミド(2mL)および酢酸(0.2mL)中溶液に、2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒド(0.076g、0.48mmol、2当量)を加えた。反応混合物を120℃で21時間加熱し、放冷して25℃とした。溶液を酢酸エチル(60mL)で希釈し、有機層を水(20mLで2回)およびブライン(20mLで1回)で洗浄し、脱水し(無水NaSO)、減圧下に濃縮した。残留物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル3/2)によって精製して、所望の生成物14を得た(0.056g、2段階で収率39%)。H NMR(300MHz、CDCl)ppm:8.75(s、1H)、7.54−7.46(m、1H)、7.39−7.36(m、1H)、7.23−7.06(m、4H)、5.74(brt、1H)、4.65(d、2H)、3.84−3.74(m、4H)、2.72(m、1H)、2.45(ddd、1H)、1.86(br、1H)、1.51−1.23(m、3H、1.36ppmと重複)、1.36(s、9H)、0.91(m、1H);MS(EI)m/z587.0(MH)
【0120】
N−(3,4−ジフルオロベンジル)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン(113)
(3S)−3−((2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−8−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−9H−プリン−9−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル14 0.0214g(0.036mmol)の塩化メチレン(0.5mL)中溶液に、攪拌しながらTFA(0.5mL)を加えて室温で1時間経過させた。溶媒を減圧下に除去し、残留物を、分取HPLCを用いて精製して、所望の生成物113(TFA塩)0.0212g(収率97%)を無色油状物として得た。H NMR(300MHz、CDOD)ppm:8.82(s、1H)、7.69−7.61(m、1H)、7.48−7.45(m、1H)、7.35−7.27(m、2H)、7.19−7.14(m、2H)、4.72−4.58(m、2H)、4.05−3.79(m、2H)、3.26−3.09(m、4H)、2.72−2.52(m、2H)、2.13(br、1H)、1.86−1.73(m、1H)、1.69(m、2H)、1.01(m、1H));MS(EI)m/z487.2(MH)
【0121】
プリン類の固相合成
本発明のプリン類縁体の一つの可能な固相合成方法を、下記の図式4に示してあり、それに続く説明で詳細に説明する。
【0122】
【化37】

【0123】
段階1:1級アミンを用いた還元的アミノ化
樹脂結合o−メトキシベンズアルデヒド樹脂16 1.2g(0.786mmol/g、0.943mmol、1当量)の1,2−ジクロロエタン(DCE)(10mL)中懸濁液の入った100mL振盪容器に、アミン7.54mmol(0.4M、8.0当量)を加えた。樹脂懸濁液を1分間振盪し、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム1.6g(7.54mmol、0.4M、8.0当量)を加え、次に1,2−ジクロロエタン10mLを加えた。懸濁液を25℃で16時間振盪した。振盪容器を排液し、樹脂をCHOH(1回)、CHCl(2回)、CHOH(1回)、CHCl(2回)、CHOH(1回)、CHOH(30分間1回)およびCHCl(2回)で洗浄した。得られた樹脂結合2級アミン17は、ブロモフェノールブルー染色試験で陽性の結果を与えた。樹脂を真空乾燥した。
【0124】
段階2:4−アミノ−2−クロロ−5−ニトロピリミジンを用いたN−アリール化
振盪容器に入ったDMF 4mLおよびN,N−ジイソプロピルエチルアミン0.33mL(0.244g、1.886mmol、2.0当量)中の樹脂結合2級アミン17 1.2g(0.786mmol/g、0.943mmol、1当量)に、(S)−3−((2−クロロ−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル1.886mmol(0.7g、0.25M、2.0当量)のDMF(3.54mL)中溶液を加えた。混合物を25℃で16時間振盪した。振盪容器を排液し、樹脂をDMF(2回)、CHCl(1回)、DMF(1回)、CHCl(2回)、CHOH(2回)およびCHCl(2回)で洗浄した。得られた樹脂結合ニトロピリミジン樹脂18は、ブロモフェノールブルー染色試験で陰性の結果を与えた。樹脂を真空乾燥した。
【0125】
段階3:ニトロ基の還元
ヒドロ亜硫酸ナトリウム5.22g(30.0mmol、0.5M、45当量)の水(40mL)中溶液に、1,4−ジオキサン20mLと、次に飽和アンモニア水溶液0.93mLを加えた。この溶液を、樹脂結合5−ニトロピリミジン18 1.2g(0.786mmol/g、0.943mmol、1当量)の入った100mL振盪容器に加えた。樹脂懸濁液を25℃で2時間振盪した。振盪容器を排液し、樹脂を水:1,4−ジオキサン2:1(体積比)で洗浄した(1回)。振盪容器に、0.5Mヒドロ亜硫酸ナトリウムの水(40mL)およびジオキサン(20mL)中溶液60mLおよび上記のように調製した飽和アンモニア水溶液0.93mLを再度投入した。懸濁液を25℃で16時間振盪した。振盪容器を排液し、樹脂を水:1,4−ジオキサン2:1(体積比)(2回)、脱水CHOH(2回)、脱水DMF(2回)、CHCl(2回)および脱水THF(2回)で洗浄した。得られた樹脂結合5−アミノピリミジン19は、ブロモフェノールブルー染色試験で陽性の結果を与えた。樹脂を真空乾燥した。
【0126】
段階4:プリン形成
樹脂結合5−アミノピリミジン19 200mg(0.786mmol/g樹脂、0.157mmol、1.0当量)の入った20mLシンチレーションバイアルに、アルデヒド10.8mmol(0.9M、12.5当量)の脱水N,N−ジメチルアセトアミド(10.8mL)および酢酸(0.2mL)中溶液2mLを加えた。樹脂懸濁液を100℃で21時間加熱し、放冷して25℃とした。溶液をピペットを用いて除去し、樹脂を脱水N,N−ジメチルアセトアミド(2回)で洗浄した。バイアルに、同じアルデヒド10.8mmol(0.9M、12.5当量)のN,N−ジメチルアセトアミド(10.8mL)および酢酸(0.2mL)中溶液2.0mLを再度投入した。樹脂懸濁液を100℃で16時間加熱し、放冷して25℃とし、小さい振盪容器に移し入れた。容器を排液し、樹脂をDMF(4回)、CHCl(2回)、CHOH(2回)およびCHCl(2回)で洗浄した。得られた樹脂結合プリン20を真空乾燥した。
【0127】
CHCl/TFAの1:1混合物(体積比)10mL中で樹脂を25℃で1時間攪拌することで、代表的な酸開裂条件を行った。樹脂懸濁液を小さい振盪容器に移し入れた。容器を排液し、樹脂をCHClで洗浄した(3回)。合わせた濾液の分取HPLC精製によって、所望のプリン21(TFA塩)を得た。
【0128】
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−N−(チオフェン−1−イルメチル)−9H−プリン−1−アミン(119)
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−N−(チオフェン−2−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン(119)
【0129】
【化38】

【0130】
上記の手順に従って製造した。チオフェン−2−メチルアミン7.54mmol(0.853g、0.4M、8.0当量)を、1級アミンによる樹脂の還元的アミノ化の段階で用いた。プリン形成の段階については、樹脂(1.2g、0.786mmol/g、0.943mmol)を均等に6個のバイアルに分けて入れた。各バイアルで、2,6−ジクロロベンズアルデヒド10.8mmol(0.9M、12.5当量)の脱水N,N−ジメチルアセトアミド(10.8mL)および酢酸(0.2mL)中溶液2mLを、樹脂結合5−アミノピリミジン200mg(0.786mmol/g、0.157mmol)に加えた。最終分取HPLC精製により、所望の化合物TFA塩160mgを無色油状物として得た。1M HCl/エタノール溶液(Alfa Aesar)20mLを少量ずつ加え、室温で15分間攪拌し、減圧下に溶媒を除去することで、そのTFA塩をHCl塩に変換した。その手順を5回繰り返した。サンプルをエーテルで磨砕して明黄色固体を得て、それを塩化メチレン/ヘキサンから白色固体として再結晶した(40℃で高真空下にPで16時間乾燥させた後に105mg)。HCl塩:H NMR(300MHz、CDOD)ppm:8.89(s、1H)、7.66(m、3H)、7.31(m、1H)、7.12(brs、1H)、6.97(m、1H)、4.92(m、2H)、3.98(m、2H)、3.85(dd、2H)、2.73(m、2H)、2.25(br、1H)、1.80(m、1H)、1.60(m、2H)、1.21(m、1H);MS(EI)m/z473.1(M)
【0131】
(N)−(2−クロロベンジル)−8−エチル−9−(2−(ピペリジン−4−イル)エチル)−9H−プリン−2−アミン(477)の合成
化合物477の一つの可能な固相合成方法を、下記の図式5に示してあり、それに続く説明で詳細に説明する。
【0132】
【化39】

【0133】
中間体22を、化合物19を製造するための同じ固相法を用いることで同様に製造した。小型振盪容器中のピリジン(2mL)およびDCM(1mL)に懸濁させた固相中間体22(0.2g、0.8mmol/g、0.16mmol)に、プロピオニルクロライド(0.14mL、10当量)を加え、その容器を25℃で16時間振盪した。容器を排液し、樹脂をDCM(2回)、MeOH(2回)、DMF(1回)、MeOH(2回)およびDCM(2回)で洗浄した。得られた樹脂結合アミドは、ブロモフェノールブルー染色試験で陰性の結果を与えた。
【0134】
上記のアミドをi−PA(1.5mL)に懸濁させ、20mLシンチレーションバイアルに移した。30%NaOH水溶液(1mL)を加え、混合物を80℃で16時間ゆっくり攪拌し、放冷した。溶液をピペットによって除去し、i−PA(1.5mL)および30%NaOH水溶液(1mL)を再度投入し、80℃で18時間加熱した。冷却した混合物を小型の振盪容器に移し戻し、排液し、樹脂をi−PA/HO(2:1、2回)、MeOH(2回)、DCM(1回)、MeOH(2回)およびDCM(2回)で洗った。
【0135】
得られた樹脂結合した8−エチルプリン誘導体を、代表的酸開裂手順に従って樹脂から開裂させ、分取RP−HPLCによって精製して、標題化合物477(3.1mg)をTFA塩として得た。H NMR(300MHz、CDOD)ppm:8.64(s、1H)、7.47(m、2H)、7.30(m、2H)、4.81(m、2H)、4.20(dd、2H)、3.36(m、2H)、3.00(q、2H)、2.90(m、2H)、1.99(d、2H)、1.74(q、2H)、1.60(m、2H)、1.45(t、3H);MS(EI)m/z399.1/40.2(M)
【0136】
プリン類のさらに別途の合成
1.本発明のプリン類縁体のある別途製造方法を図式4に示してある。R1位でのSOMe基の置換によって、プリン骨格上のR1位を変えることができると考えられる。この経路を用いることで(図式6)、図式1に示した経路と比較して、合成の後の段階で変えられる。図式1で示したように、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン1における2個のクロライドを置き換えは、通常は位置選択的に起こる。従って、2位における反応性が高い方のクロライドが最初にアミンR′NHによって置き換わって化合物2を与える。NaSMeを加えることで4位でクロライドの置き換えが起こる。当業界で公知の試薬(例:Na/NHOH/HO/ジオキサン、Pd(C)/H/MeOH)を用いる25におけるニトロ基のアミン(26)への還元と、次にアリールアルデヒドを用いた環化によって、プリン27が得られる。MeS−置換基の相当するスルホンへの酸化とこの脱離基のアミンによる置き換えによって、置換プリン5が得られる。
【0137】
【化40】

【0138】
以下は、本発明の化合物の一部の製造手順の1例である。
【0139】
(R)−4−((8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−イル−アミノ)メチル)−2−フルオロフェノール・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(化合物506)の合成
合成の一つの可能な方法(R)−4−((8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−イルアミノ)メチル)−2−フルオロフェノール・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(506)を以下の図式7に示してあり、下記の説明で詳細に説明する。
【0140】
【化41】

【0141】
化合物12の合成については前述している(図式3)。
【0142】
化合物29
化合物12(24.85g、66.8mmol、1.0当量)のDMF(70mL)中溶液に、NaSMe(5.15g、73.5mmol、1.1当量)を加えて、橙赤色懸濁液を得た。これを室温で2時間攪拌した。混合物のNMRによって変換が完了したことを観察した後、混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄し(3回)、次にブラインで洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。固体化合物29 23.93gを収率93%で得た。
【0143】
化合物30
化合物29(23.93g、62.4mmol、1.0当量)のジオキサン(100mL)中溶液に、飽和Na(50g、287mmol、4.6当量)の水溶液を加え、次にNH水溶液(10mL)を加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌した。混合物をEtOAcで希釈し、水(4回)およびブラインで洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。化合物30 10.25gを収率46%でオフホワイト固体として得た。
【0144】
化合物31
化合物30(10.25g、29mmol、1.0当量)のDMA(100mL)中溶液に、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(7.6g、43mmol、1.5当量)、次にAcOH(10mL)を加えた。空気を吹き込みながら、混合物を140℃で36時間加熱した。混合物をEtOAcで希釈し、水(3回)、次にブラインで洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物を、移動相として1:1EtOAc/ヘプタン混合物を用いてシリカで精製した。黄色固体31 5.39gを、収率36%で得た。
【0145】
化合物32
0℃とした化合物31(4.3g、8.46mmol、1.0当量)のDCM中溶液に、m−CPBA(70%、4.4g、17mmol、2.0当量)を加えた。混合物をゆっくり昇温させて室温とし、3時間攪拌した。次に、混合物をDCMで希釈し、NaHCO(2回)、次に水(2回)およびブラインで洗浄した。有機層を脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。化合物32を、無色固体としてほぼ定量的収率で得た(4.56g)。
【0146】
化合物33
化合物32(0.185mmol、100mg、1.0当量)のNMP(2mL)中溶液に、3−フルオロ−4−メトキシベンジルアミン(1.850mmol、287mg、10当量)を加えた。反応混合物を加熱して100℃とし、終夜攪拌した。次に、混合物をHOに投入し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、脱水し(NaSO)、濾過し、減圧下に濃縮した。化合物33 70mgを収率62%で得た。
【0147】
(R)−4−((8−(2,6−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−イルアミノ)メチル)−2−フルオロフェノール・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(506)
化合物33(0.065mmol、40mg、1.0当量)のDCM(2mL)中溶液に、BBr(0.182mmol、0.018mL、45.6mg、2.8当量)を加えた。反応混合物を室温で終夜攪拌した。後処理のため、反応混合物を冷却して0℃とし、MeOHで反応停止した。この溶液を減圧下に濃縮し、半分取HPLC(TFA含有0%から80%ACN)によって精製した。凍結乾燥後、化合物506を、収率60%でTFA塩として得た(40mg)。TFA塩:H NMR(400MHz、CDCl)ppm:10.40(brs、1H)、9.39(brs、1H)、8.67(s、1H)、7.53(m、3H)、7.31(m、1H)、7.29(m、1H)、7.13(dd、1H)、7.04(m、2H)、4.56(dd、2H)、3.84(m、1H)、3.73(m、1H)、3.40(t、1H)、3.25(m、1H)、2.73(m、1H)、2.64(m、1H)、2.42(m、1H)、2.04(m、1H)、1.57(m、1H)、1.26(m、1H)、0.89(m、1H)。
【0148】
2.本発明のプリン類縁体の可能な別途製造経路を図式8に示してある。プリン骨格のR1位への置換アニリンの導入は、比較的激しい条件下でクロライドを置換することで行うことができると考えられる。本発明のプリン類縁体を得るためのさらなる合成は、前述の経路で示した反応段階(還元および環化、図式1および3も参照)に従うことが行うことが可能である。
【0149】
【化42】

【0150】
下記は、本発明の化合物の製造手順の1例である。
【0151】
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(3,4−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(化合物720)の合成
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(3,4−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(720)合成の一つの可能な方法を、以下の図式9に示してあり、下記の説明で詳細に説明する。
【0152】
【化43】

【0153】
化合物12の合成も図式3に記載してあり、図式3を以下の手順で詳細に説明する。
【0154】
化合物35
化合物12(100mg、0.269mmol、1.0当量)のACN(3mL)中溶液に、DIEA(54μL、0.309mmol、1.15当量)および3,4−ジクロロアニリン(55.7mg、0.344mmol、1.28当量)を加えた。反応混合物を80℃で4時間攪拌した。TLCで、反応が完結したことが示された。後処理のため、反応混合物を減圧下に濃縮し、EtOAcに再度溶かし、水(2回)およびブラインで洗浄した。粗生成物を再度濃縮し、シリカで精製した(溶離液:ヘプタン:EtOAc6:4まで)。生成物分画を回収し、減圧下に濃縮して、化合物35を収率87%で得た。
【0155】
化合物36
Na(512mg、2.94mmol、12.5当量)の水(2mL)およびアンモニア(水溶液、189μL、4.23mmol、18.0当量)中溶液に、化合物35のジオキサン(1mL)中溶液を加えた。反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。終了後、EtOAcを反応混合物に加え、次に水(3回)およびブラインで洗浄した。NaSOでの脱水、濾過および減圧下での濃縮後、粗化合物36を収率100%で得た。
【0156】
化合物37
化合物36(110mg、0.235mmol、1.0当量)のDMA(2mL)中溶液に、2,6−ジクロロベンズアルデヒド(82mg、0.471mmol、2.0当量)および酢酸(0.2mL)を加えた。反応混合物を封管中120℃で終夜攪拌した。完了後、反応混合物を冷却して室温とし、EtOAcで希釈し、HO(3回)およびブラインで洗浄した。NaSOでの脱水、濾過および減圧下での濃縮後、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1から1:1)によって精製した。生成物分画を回収し、減圧下に濃縮して、化合物37を収率42%で得た(62mg)。
【0157】
(R)−8−(2,6−ジクロロフェニル)−N−(3,4−ジクロロフェニル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(720)
化合物37(62mg、0.10mmol)のDCM(1.5mL)中溶液に、TFA(0.5mL)を加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮した。分取HPLC(0%から70%ACN/TFA、2回)および凍結乾燥による精製後、化合物720を収率25%でTFA塩として得た(16mg)。
【0158】
化合物513、520、522および530(図式10)は、図式1に記載の合成経路を用いて合成することができる。必要なアルデヒドは、文献手順(Synthesis, 2004, no.12, pp.2062-2065)に従って製造することができる。
【0159】
【化44】

【0160】
化合物38は、図式11に示した方法に従って、エーテル誘導体(例:化合物519)に変換することができる。
【0161】
【化45】

【0162】
以下は、本発明の化合物の製造手順の1例である。
【0163】
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−エトキシフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(化合物519)の合成
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−エトキシフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(519)合成の一つの可能な方法を下記の図式12に示してあり、下記の説明で詳細に説明する。
【0164】
【化46】

【0165】
化合物41
化合物38(50mg、0.081mmol、1.0当量)のNMP(1mL)中溶液に、水素化ナトリウム(9.68mg、0.242mmol、3.0当量)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、1−ブロモエタン(0.030mL、0.404mmol、5.0当量)を加えた。反応混合物を室温で5時間攪拌して反応完結させた。後処理のため、反応混合物を水に投入し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を水(3回)およびブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、粗化合物41を定量的収率で得た。
【0166】
(R)−8−(2,6−ジクロロ−4−エトキシフェニル)−N−(3,4−ジフルオロベンジル)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−2−アミン・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩519
化合物41(52mg、0.080mmol)のDCM(1mL)中溶液にTFA(0.5mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌した。完了後、反応混合物を減圧下に濃縮し、分取HPLC(TFA含有0%から50%ACN)によって精製し、濃縮し、凍結乾燥して、化合物519のTFA塩を2段階で収率56%で得た。
TFA塩:H NMR(400MHz、DMSO−D6)ppm:8.74(s、1H)、8.58(d、1H)、8.25(m、1H)、7.92(brs、1H)、7.44(m、1H)、7.38(m、1H)、7.31(m、2H)、7.24(m、1H)、4.55(m、2H)、4.17(q、2H)、3.85(dd、1H)、3.70(dd、1H)、3.16(d、1H)、3.08(d、1H)、2.67(m、1H)、2.58(m、1H)、2.14(brs、1H)、1.63(d、1H)、1.37(m、5H)、1.01(m、1H)。
【0167】
3.Rがパラ位にアミドを有するオルト−モノクロロアリールである本発明の化合物を得るための可能な合成経路を、下記の図式で説明してある(図式13)。最初に、市販の酸42を還元し、次に再酸化してアルデヒド44とすることができる。置換プリンに対する閉環反応後、ブロマイドを酸に変換することができ、それを当業界で公知の手順によって官能化することで、例えばアミドとすることができる(例:R−NH/TBTU/DIEA/DCM)。
【0168】
【化47】

【0169】
以下は、本発明の化合物の製造手順の1例である。
【0170】
3−クロロ−N−シクロヘキシル−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)ベンズアミド・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(629)の合成
3−クロロ−N−シクロヘキシル−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)ベンズアミド(629)の一つの可能な合成方法を、下記の図式14に示してあり、下記の説明で詳細に説明する。化合物13は、前述の合成に従って製造される(図式3および相当する手順)。
【0171】
【化48】

【0172】
化合物43
−10℃に冷却した4−ブロモ−2−クロロ安息香酸42(14.4g、61mmol、1.0当量)のTHF(280mL)中溶液に、1M BH・THF溶液(91.4mL、1.5当量)を滴下し、温度を−10℃に維持した。反応混合物を終夜攪拌して室温に到達させた。後処理のため、KCO(4g)の水(500mL)中溶液に混合物を注意深く加えた。溶液を15分間攪拌し、減圧下に濃縮した。残った水層をEtOAcで希釈し、1N HClおよびブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮して、化合物43を収率68%で得た(9.2g、41.5mmol)。
【0173】
化合物44
オキサリルクロライド(6.9g、54mmol、1.3当量)をDCM(153mL)に溶かし、冷却して−78℃とした。その冷却した溶液に、DMSO(4.72mL、66.5mmol、1.6当量)のDCM(57mL)中溶液を滴下し、−78℃で15分間攪拌した。化合物43(9.2g、41.5mmol、1.0当量)をDCM(116mL)に溶かし、温度を−78℃に維持しながら滴下した。反応混合物を−78℃で2時間攪拌した。次に、TEA(28.7mL、207mmol、5当量)を加え、混合物を室温とした。室温で30分間攪拌後、反応混合物をDCM300mLで希釈し、飽和NHCl、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。化合物44を、収率96%で得た(8.8g)。
【0174】
化合物48
化合物13(9g、0.020mmol、1.0当量)のDMA(175mL)中溶液に、化合物44(8.8g、0.040mmol、2.0当量)および酢酸(17.5mL)を加えた。反応混合物を加熱して140℃とし、空気を吹き込みながら終夜攪拌した。48時間後、反応混合物を冷却して室温とし、EtOAcで希釈し、水(5回)、ブライン(2回)で抽出し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:1ヘプタン:EtOAc)による精製後、化合物48を収率23%で得た(3.0g)。
【0175】
化合物49
KOAc(2.4g、24mmol、4.0当量)、Pd(OAc)(148mg、0.66mmol、0.11当量)およびdppf(1.42g、2.56mmol、0.43当量)の混合物にN雰囲気下にて、化合物48(3.9g、6mmol、1.0当量)のDMSO(110mL)中溶液を加えた。CO(気体)を充填したガス風船および真空ポンプを用いることで、反応混合物をCO雰囲気下に維持した。混合物を80℃で16時間加熱した。冷却して室温とし、0.5M HClによって中和した後、生成物をDCMで抽出し、水(4回)およびブラインで洗浄した。NaSOでの脱水、濾過および減圧下での濃縮後、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(不純物を洗い出すための5:95MeOH:DCM、生成物を溶出させるための1:5:94AcOH:MeOH:DCM)によって精製した。生成物分画を減圧下に濃縮した後、生成物をトルエンと共留去した。化合物49を収率40%で得た。
【0176】
化合物50
化合物49(40mg、0.065mmol、1.0当量)のDCM(1mL)中溶液に、DIEA(0.057mL、0.33mmol、5.0当量)、TBTU(31mg、0.098mmol、1.5当量)およびアミノシクロペンタン(0.019mL、0.20mmol、3.0当量)のDCM(2mL)中溶液を予め攪拌(室温、10分間)したものを加えた。反応混合物を室温で72時間攪拌した。反応混合物を飽和NaHCOに投入し、EtOAcで抽出した(2回)。ブラインでの洗浄、NaSOでの脱水、濾過および減圧下での濃縮後に、粗化合物50を収率88%で得た。
【0177】
3−クロロ−N−シクロヘキシル−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)ベンズアミド・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(629)
化合物50(45mg、0.065mmol)のDCM(1mL)中溶液にTFA(0.5mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、分取HPLC(0%から50%ACN、TFA含有)によって精製した。生成物分画を濃縮し、ACN/HO中で凍結乾燥して、化合物629のTFA塩を収率79%で得た(36mg)。TFA塩:H NMR(400MHz、DMSO−D6)ppm:8.70(s、1H)、8.53(d、1H)、8.50(brs、1H)、8.16(s、1H)、8.00(d、1H)、7.94(brs、1H)、7.78(s、1H)、7.75(s、1H)、7.43(m、1H)、7.37(m、1H)、7.24(m、1H)、4.53(m、2H)、3.91(m、1H)、3.81(m、1H)、3.70(m、1H)、3.11(d、1H)、2.95(d、1H)、2.62(m、1H)、2.45(m、1H)、2.04(brs、1H)、1.84(m、2H)、1.76(m、2H)、1.62(m、2H)、1.34(m、6H)、1.15(m、1H)、0.95(m、1H)。
【0178】
4.Rがパラ位にアミドを有するオルト−モノクロロアリールである本発明の化合物を得るための別の可能な合成経路を、下記の図式に記載している(図式15)。
【0179】
55のニトロ基は、当業界で公知の手順によって還元することができる(例:ラネーNi)。1級アミンは、当業界で公知の手順(例:R−NH/TBTU/DIEA/DCM)によって、例えば逆アミドに官能化することができる。
【0180】
【化49】

【0181】
以下は、本発明の化合物の製造手順の1例である。
【0182】
2−クロロ−4−ニトロベンゾカルボキシアルデヒド(54)およびN−(3−クロロ−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)フェニル)アセトアミド・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(547)の合成
化合物547の一つの可能な合成方法(図式16)について、以下の説明で詳細に説明する。化合物13′は、前記の合成に従って製造される(図式3および相当する手順)。
【0183】
【化50】

【0184】
化合物53
酸塩化物51を原料:2−クロロ−4−ニトロベンゾイルクロライド51(6.22g、28.3mmol、1.0当量)を、DME(30mL)/MeOH(15mL)混合物中でNaBH(1.1g、28.3mmol、1.0当量)を用いることで還元することができる。後処理後、生成物53を収率54%で得た(2.89g)。
【0185】
酸52を原料:2−クロロ−4−ニトロ安息香酸(15.95g、79mmol、1.0当量)のTHF(200mL)中溶液を冷却して0℃とした。BH(118.7mL、118.7mmol、1M THF中溶液、1.5当量)を滴下した。反応混合物を昇温させて室温とし、16時間攪拌した。KCOの飽和水溶液を、ガス発生が停止するまで滴下した。白色固体の沈殿後、反応混合物を濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液および洗浄液を合わせ、減圧下に濃縮した。生成物を再度EtOAcに溶かし、1N HCl(2回)、飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、NaSOで脱水した。濾過および減圧下での濃縮後、化合物53を、収率97%で黄色様固体として得た(14.45g)。
【0186】
化合物54
オキサリルクロライド(8.6mL、100mmol、1.3当量)のDCM(250mL)中溶液を、冷却して−70℃とした。温度を−70℃以下に維持しながら、DMSO(8.9mL、125mmol、1.6当量)のDCM(50mL)中溶液をゆっくり加えた。混合物を15分間攪拌した。化合物52(14.45g、77mmol、1.0当量)をDCM(150mL)に溶かし、溶液を混合物に滴下した。添加後、混合物を−70℃で45分間攪拌した。EtN(54mL、385mmol、5.0当量)を混合物に加え、混合物を昇温させて室温とし、終夜攪拌した。混合物をDCM(500mL)で希釈し、飽和NHCl(2回)、水およびブラインで洗浄した。NaSOでの脱水、濾過および減圧下での濃縮後に、化合物54を、定量的収率で固体として得た(14.29g)。
【0187】
化合物55
化合物13′(13g、28.9mmol、1.0当量)のDMA(200mL)中溶液に、AcOH(30mL)およびアルデヒド54(8.7g、46.8mmol、1.6当量)を加えた。反応混合物に空気を吹き込みながら、反応混合物を140℃加熱して終夜経過させた。完了後、反応混合物を冷却して室温とし、EtOAcで希釈し、水(3回)およびブラインで洗浄した。NaSOでの脱水、濾過および減圧下での濃縮後、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(5%MeOH/95%DCM)によって精製した。化合物55を収率45%で得た(8.13g)。
【0188】
化合物56
化合物55(8.13g、13.24mmol)のMeOH(100mL)およびTHF(100mL)中溶液に、N雰囲気下にてラネーNiを加えた。反応混合物をH雰囲気下に3時間攪拌した。混合物をセライトで濾過し、減圧下に濃縮した。粗生成物をDCMに再度溶かしたが、少量の不純物が不溶のまま残った。濾過後、濾液をカラムクロマトグラフィー(5%MeOH/95%DCM)を用いて精製した。生成物を、DCMに溶かし、ヘプタンで再沈殿させることで再度精製した。上清を分離し、生成物を真空乾燥した。化合物56を、収率43%で得た(3.3g)。
【0189】
化合物57
AcOH(4.94μL、0.086mmol、1.0当量)のDCM(2mL)中溶液に、TBTU(41.2mg、0.128mmol、1.5当量)およびDIEA(45μL、0.257mmol、3.0当量)を加えた。反応混合物を室温で10分間攪拌した。この混合物に、化合物56(50mg、0.086mmol、1.0当量)のDCM(1mL)中溶液を加え。反応混合物を室温で終夜攪拌した。
【0190】
72時間かけて反応を完了させるのに、追加のTBTUおよび酢酸(2当量)が必要であった。反応混合物を飽和NaHCOに注ぎ、EtOAcで抽出した(2回)。ブラインでの洗浄、NaSOでの脱水、濾過および減圧下での濃縮後に、粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH9:1)によって精製した。化合物57を収率100%で得た(53mg)。
【0191】
N−(3−クロロ−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−((R)−ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)フェニル)アセトアミド・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(547)
化合物57(53mg、0.086mmol)のDCM(1mL)中溶液に、TFA(0.5mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物を、分取HPLC(TFA含有0%から50%ACN)によって精製した。
【0192】
生成物分画を濃縮し、凍結乾燥して、化合物547のTFA塩を収率40%で得た(22mg)。
TFA塩:H NMR(400MHz、DMSO−D6)ppm:10.42(s、1H)、8.72(s、1H)、8.52(brd、1H)、8.16(m、1H)、8.03(m、1H)、7.92(brs、1H)、7.63(d、1H)、7.57(d、1H)、7.43(m、1H)、7.37(m、1H)、7.24(brs、1H)、4.53(m、2H)、3.91(m、1H)、3.80(m、1H)、3.11(brd、1H)、2.94(brd、1H)、2.65(m、1H)、2.44(m、1H)、2.12(s、3H)、2.03(brs、1H)、1.62(m、1H)、1.36(m、2H)、0.96(m、1H)。
【0193】
5.Rがパラ位にアミドを有するオルト,オルト−ジクロロアリールである本発明の化合物の別の可能な合成経路を、下記の図式に記載している(図式17)。
【0194】
閉環反応によってプリンとした後、当業界で公知の手順(例:Pd/C/H)によってCbz−N−基を脱保護することができる。その1級アミンを、当業界で公知の手順(例:R−NH/TBTU/DIEA/DCM)によって官能化して、例えばカーバメートまたは逆アミドとすることができる。
【0195】
【化51】

【0196】
以下は、本発明の化合物の製造手順の1例である。
【0197】
ベンジル−3,5−ジクロロ−4−ホルミルフェニルカーバメート(65)および(R)−N−(3,5−ジクロロ−4−(2−(3,4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)フェニル)アセトアミド・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(553)の合成
化合物553の一つの可能な合成方法(図式18)を、下記の説明で詳細に説明する。化合物13′は、前記の合成に従って製造される(図式3および相当する手順)。
【0198】
【化52】

【0199】
化合物59
化合物58(86.7g、0.49mol、1.0当量)のTHF(2リットル)中溶液に0℃で、CbzCl(70mL、0.49mol、1.0当量)を滴下し、機械攪拌した。混合物を室温で終夜攪拌した。混合物を濾過し、EtOAc/ヘプタンとともに攪拌し、再度濾過した。母液を、トリエチルアミン200mLとともに3時間攪拌した。濾過した固体をさらに混合物に加え、それを終夜攪拌した。混合物を濃縮し、飽和NaHCOを加え、EtOAcで抽出し、減圧下に濃縮した。ジ置換(ビス−CBz)副生成物を除去するため、混合物をTHFに再度溶かし、4N NaOH(200mL)を加えた。混合物を50℃で終夜攪拌し、冷却して室温とした。混合物をpH=3の酸性とし、EtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層を飽和NaHCOおよびブラインで洗浄し、NaSOで脱水した。濾過および減圧下での濃縮後、固体をDCMに溶かし、ヘプタンで沈殿させて、CBz保護アミノフェノール59を収率52%で得た(80g)。
【0200】
化合物60
化合物59(80g、256mmol、1.0当量)のDCM(1L)中溶液に、2,6−ルチジン(60.5g、564mmol、2.2当量)を加えた。混合物を冷却して−78℃とした。温度を−75℃以下に維持しながら、無水トリフ酸(86.8g、307mmol、1.2当量)を滴下した。反応混合物を室温で終夜攪拌した。完了後、反応混合物をTBMEで希釈し、水(3回)、ブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。
【0201】
粗取得物を、カラムクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1)によって精製して、化合物60 88%(91.5g)を得た。
【0202】
化合物63
1−ヘプチン62(75g、777mmol、2.0当量)およびピナコールボラン61(49.7g、388mmol、1.0当量)の混合物を、70℃で終夜攪拌した。反応混合物を減圧下に濃縮して(未反応の1−ヘプチンおよびピナコールボランの留去)、化合物63を収率43%で得た。未反応の化合物61および62を再度80℃で2日間攪拌した。減圧下での濃縮後、化合物63を得た。両方のバッチを合わせることで、全体収率73%を得た(63.6g)。
【0203】
化合物64
化合物60(54g、122mmol、1.0当量)および化合物63(30g、134mmol、1.1当量)をDMEに溶かした。NaCO(39g、366mmol、3.0当量)の水(70mL)中溶液を加え、混合物を脱気し(3回)、N雰囲気下に置いた。Pd(PPh(2.6g、2.5mmol、0.02当量)を加えた。反応液を70℃で72時間攪拌した。完了後、混合物をセライトで濾過し、水およびEtOAcで洗浄した。濾液をEtOAcで抽出した(3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc9:1)による精製後、化合物64を収率52%で得た(25g)。
【0204】
ベンジル−3,5−ジクロロ−4−ホルミルフェニルカーバメート(65)
化合物64(9.4g、24mmol)のDCM(200mL)中溶液に−78℃で、青色が現れるまでオゾンを吹き込んだ。この色を5分間維持した。反応混合物に約20分間にわたり窒素を流し込んだ。DMS(7.4g、120mmol、5.0当量)を加え、反応混合物を室温で終夜攪拌した。
【0205】
水を加え、有機層を水で抽出した(3回)。水層を回収し、EtOAc/THFで抽出した(3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮した。
【0206】
生成物をEtOAc/ヘプタンによって結晶化させた。濾過および乾燥後、化合物65を収率62%で得た(4.8g)。
【0207】
化合物69
化合物13′(1.70g、3.8mmol)のDMA(20mL)中溶液に、化合物65(2.46g、7.60mmol、2.0当量)およびAcOH(3.26mL、57.0mmol、15当量)を加えた。反応混合物を、開口フラスコ中にて105℃で終夜攪拌した。完了後、反応混合物を冷却して室温とし、EtOAcで抽出した(2回)。水(2回)およびブラインで洗浄後、粗生成物をNaSOで脱水し、減圧下に濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(100%ヘプタンから100%EtOAc)によって精製した。生成物分画を減圧下に濃縮して、化合物69を収率77%で得た(2.20g)。
【0208】
化合物70
化合物69(2.09g、2.78mmol、1.0当量)をメタノール(100mL)に溶かした。Pd/C(0.164g、0.139mmol、0.05当量)を加えた。反応混合物をH流下に4.5時間攪拌した。Pd/Cをセライトで濾去し、セライトをEtOAcで洗浄した。濾液を減圧下に濃縮した。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン:EtOAc4:1から純粋なEtOAc)による精製後、化合物70を収率55%で得た(958mg)。
【0209】
化合物71
酢酸(5.09μL、0.089mmol、1.1当量)のDCM(2mL)中溶液に、DIEA(56.3μL、0.323mmol、4.0当量)およびTBTU(36.3mg、0.113mmol、1.4当量)を加えた。反応混合物を室温で10分間攪拌した。化合物xxxのDCM(1mL)中溶液を、この混合物に加えた。反応混合物を室温で4時間攪拌した。追加の酢酸、TBTU、DIEAおよびDMF数滴を加え.反応混合物を室温で72時間攪拌した。完了後、水を反応混合物に加えた。反応混合物をDCMで抽出し、ブラインで洗浄し、減圧下に濃縮して、化合物71を得た。
【0210】
(R)−N−(3,5−ジクロロ−4−(2−(3、4−ジフルオロベンジルアミノ)−9−(ピペリジン−3−イルメチル)−9H−プリン−8−イル)フェニル)アセトアミド・2,2,2−トリフルオロ酢酸塩(553)
化合物xxxのDCM(1mL)中溶液に、TFA(0.2mL)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌した。減圧下での濃縮後、粗生成物を、によって精製し分取HPLC(0%から70%ACN、TFA含有)。生成物分画を減圧下に濃縮し、ACN/HO中で凍結乾燥して、化合物553をTFA塩として収率92%で得た(50mg)。
TFA塩:H NMR(400MHz、DMSO−D6)ppm:10.60(s、1H)、8.62(brd、1H)、8.27(brd、1H)、7.96(brs、1H)、7.93(s、1H)、7.88(s、1H)、7.44(m、1H)、7.38(m、1H)、7.25(m、1H)、4.53(m、2H)、3.86(m、1H)、3.72(m、1H)、3.15(brd、1H)、3.08(brd、1H)、2.67(m、1H)、2.57(m、1H)、2.14(s、3H)、2.10(m、1H)、1.63(brd、1H)、1.38(m、2H)、1.01(m、1H)。
【0211】
6.R2が直鎖(3C−5C)置換アミンである本発明のプリン類縁体の別の可能な製造経路を、図式19に示してある。
【0212】
ピリミジン1の2位における最も反応性の高いクロライドが、最初にTBDMSO(C3−C5)NHによって置き換わって、化合物72が得られる。次に、4位のクロライドが、NH−R′で置換される。当業界で公知の試薬(例:Na/NHOH/HO/ジオキサン、Pd(C)/H/MeOH)を用いる73におけるニトロ基のアミン(74)への還元と、それに続くアリールアルデヒドを用いる環化によって、TBDMS脱保護プリン75が得られる。メシレート76への変換とそれに続く2級アミンとの反応によって、プリン77を得ることができる。
【0213】
【化53】

【0214】
PKC−θ IMAPアッセイI
本発明で記載の化合物の活性は、下記の手順によって求めることができる。この手順は、市販のIMAP試薬を用いる蛍光偏光を介した全長ヒト組換え活性PKCθによる蛍光標識ペプチドのリン酸化を測定するキナーゼアッセイについて説明するものである。
【0215】
使用されるPKCθは、C末端にコードされたHis−6配列を有する全長ヒトcDNA(受託番号LO1087)から作られる。PKCθは、バキュロウィルス発現系を用いて発現される。そのタンパク質をNi−NTAアフィニティクロマトグラフィーによって精製して、タンパク質を純度91%で得る。
【0216】
このアッセイの基質は、配列LHQRRGSIKQAKVHHVK(FITC)−NHを有する蛍光標識ペプチドである。そのペプチドの原液は、2mMの水溶液である。
【0217】
IMAP試薬は、IMAPアッセイバルクキット(IMAP Assay Bulk Kit)、製品番号R8063またはR8125(Molcular Devices, Sunnyvale, CA)からのものである。そのキット材料には、5倍IMAP結合緩衝液およびIMAP結合試薬が含まれる。結合溶液は、IMAP結合試薬の1倍IMAP結合緩衝液中での1:400希釈液として調製する。
【0218】
このアッセイのための基質/ATP緩衝液は、5mM MgCl含有の20mM HEPES、pH7.4および0.01%Tween−20からなる。さらに、緩衝液は、100nM基質、20μM ATPおよび 2mM DTTを含み、それらは使用直前に新鮮な状態で添加する。PKCθを含むキナーゼ緩衝液は、0.01%Tween−20含有の20mM HEPES、pH7.4からなる。この緩衝液はさらに、.2ng/μL PKCθおよび2mM DTTをも含み、これらは使用直前に新鮮な状態で添加される。
【0219】
使用したプレートは、コーニング(Corning)3710(Corning Incorporated, Corning, NY)である。これらは、 平底384ウェルの非処理黒色ポリスチレンである。連続希釈は、NuncV字底96ウェルプレートで行う。
【0220】
このアッセイ手順は、100%DMSO中10mMの化合物原液の調製から始まる。原液および対照化合物を、DMSOで計11回の1:3.16連続希釈する(化合物37μLをDMSO 80μLに入れる)。連続希釈の終了後、化合物4μLを取り、基質/ATP緩衝液196μLに加えることで、さらなる希釈を行う。次に、化合物の小分けサンプル10μLずつを、コスター(Costar)3710プレートに移し入れる。PKCθ 10μLを加えることで、キナーゼ反応を開始する。この反応液を、室温で1時間インキュベートする。次に、結合溶液60μLを加えることで反応停止する。プレートを室温でさらに30分間インキュベートする。そのアッセイ液を、485nm励起および530nm発光を用いる蛍光偏光モードでのアクエスト(商標名)ウルトラ−HTSアッセイ検出システム(Acquest Ultra-HTS Assay Detection System, Molecular Devices)を用いて測定する。
【0221】
PKC−θ IMAPアッセイII
本発明の化合物の活性を、下記の手順によって測定する。この手順は、市販のIMAP試薬を用いる蛍光偏光を介した全長ヒト組換え活性PKCθによる蛍光標識ペプチドのリン酸化を測定するキナーゼアッセイについて説明するものである。
【0222】
使用されるPKCθは、C末端にコードされたHis−6配列を有する全長ヒトcDNA(受託番号LO1087)から作られる。PKCθは、バキュロウィルス発現系を用いて発現される。そのタンパク質をNi−NTAアフィニティクロマトグラフィーによって精製して、タンパク質を純度約70%で得る。
【0223】
このアッセイの基質は、配列LHQRRGSIKQAKVHHVK(FITC)−NHを有する蛍光標識ペプチドである。そのペプチドの原液は、2mMのミリQ(MilliQ)水中の溶液である。
【0224】
IMAP試薬は、プログレッシブ結合システム(Progressive Binding System)付きのIMAP緩衝液キット、製品番号R8127(Molcular Devices, Sunnyvale, CA)由来のものである。結合溶液は、IMAPプログレッシブ結合試薬の1倍緩衝液A IMAP結合緩衝液中での1:400希釈液として調製する。
【0225】
このアッセイ用のキナーゼ反応緩衝液は、10mM Tris−HCl、10mM MgCl、0.01%Tween−20、0.05%NaN、pH7.2および1mM DTT(使用前に新鮮なものを加える)からなる。
【0226】
使用するプレートは、ブラック384−Fオプティプレート(Black 384-F Optiplates;製品番号6007279、Packard)である。
【0227】
アッセイ手順は、100%DMSO中に貯蔵された化合物の連続希釈液の調製から開始される。化合物は、10回連続で1:3.16希釈して、10μMから0.316nMの最終化合物濃度範囲とする。試薬溶液はいずれも、キナーゼ反応緩衝液中で調製する。
【0228】
ウェルにおいて、化合物溶液(4%DMSO)5μLに、40μMのATP溶液5μLを加える。次に、200nM基質溶液5μLを加える。40ng/mLのPKCθ溶液5μLを加えることで、キナーゼ反応を開始する。この反応液を室温で1時間インキュベートする。IMAPプログレッシブ結合溶液40μLを加えることで反応停止した。プレートを、暗所で室温にてさらに60分間インキュベートする。485nm励起および530nm発光を用いる蛍光偏光モードでのエンビジョン・マルチラベル・リーダー(Envision Multilabel reader;Perkin Elmer)を用いて、蛍光偏光を測定する。
【0229】
表1には、本発明の化合物の例をいくつか示してある。これらの化合物は、上記の好適な手順の一つを用いて合成される。これら化合物の分子量は、質量分析(m/z)によって確認される。表1の化合物について、上記のPKCθ IMAPアッセイのいずれかを用いて試験を行う。100、200、300および400シリーズのエントリーはPKC−θIMAPアッセイIを用いて試験を行い、500、600および700でのエントリーはPKC−θIMAPアッセイIIを用いて試験を行う。
【0230】
下記の表1中のいずれの化合物も、10μM未満のPKCθIMAPアッセイIC50値を示す。100および500シリーズのエントリーは100nM未満のIC50値を示し、200、300および600シリーズのエントリーは1μM未満のIC50値を示し、400および700シリーズのエントリーは10μM未満のIC50値を示す。
【0231】
【表1】












































































【0232】
表1に示したデータは、PKCθの阻害における本発明の化合物の有用性を示している。従って、本発明の化合物は、関節リウマチおよび紅斑性狼瘡などの自己免疫疾患ならびに喘息および炎症性腸疾患などの炎症疾患等のT細胞介在疾患の治療において有用である。さらに、本発明の化合物は、消化管癌および糖尿病の治療において有用である。
【0233】
本発明の化合物によるPKCθの阻害についての選択性を調べ、結果を表2に示してある。表2中のデータは、PKCθ、PKCδおよびPKCαについてのKiパンベラ(Pan Vera;PV)効力を示すことで、PKCθアイソフォーム選択性について得られた値を示してある。PKCθのKiパンベラ(PV)に関しては、「A」で識別されるエントリーが100nM以下の値を有しており、「B」で識別されるエントリーが1μM以下の値を有しており、「C」で識別されるエントリーが10μM以下の値を有していた。PKCδおよびPKCαのKiパンベラ(PV)に関しては、「1」で識別されるエントリーが約250nMより高い値を有しており、「2」で識別されるエントリーが1μMより高い値を有しており、「3」で識別されるエントリーが10μMより高い値を有していた。
【0234】
表2にも、SGKキナーゼに関するIC50値を示すことで本発明の化合物の選択性を示してある。「1」で識別されるエントリーが250nMより高い値を有しており、「2」で識別されるエントリーが1μMより高い値を有しており、「3」で識別されるエントリーが10μMより高い値を有していた。
【0235】
【表2】




【0236】
本発明の化合物については、イン・ビボでも試験を行った。下記の表3には、文献(Goldberg et al. (2003), J. Med. Chem., 46, 1337-1349)に開示のプロトコールに従って実施した、マウスでの抗CD3誘発インターロイキン−2(IL−2)産生の結果を示してある。
【0237】
【表3】

【0238】
IL−2は、細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラー細胞、活性化B細胞およびリンフォカイン活性化細胞などの免疫系の多くの細胞に対する免疫効果を調節するT細胞由来リンフォカインである。それは、細胞周期のG1期からS期への進行を促進する、T細胞増殖に必要な強力なT細胞分裂促進因子である。それは、Tリンパ球の全ての下位群における増殖因子であるとともに、NK細胞の増殖を刺激する。それは、B細胞に対する増殖因子としても作用し、抗体合成を刺激する。
【0239】
T細胞とB細胞の両方に対する効果があることから、IL−2は免疫応答の主要な中心的調節剤である。それは、抗免疫反応、腫瘍観察および造血において役割を果たすものである。それはさらに、IL−1、TNF−αおよTNF−β分泌などの他のサイトカイン類の産生に影響を与え、末梢白血球でのIFN−γの合成も刺激する。IL−2は免疫応答において有用であるが、各種の問題も引き起こす。IL−2は血液−脳関門および脳血管の内皮に損傷を与える。これらの効果は、例えば疲労、失見当識および抑鬱などのIL−2療法下で認められる神経精神医学的副作用の基礎原因となり得る。それはさらに、ニューロンの電気生理学的挙動も変える。
【0240】
IL−2を産生することができないT細胞は不活性となる(アネルギー性)。このためにその細胞は、将来的に受ける可能性がある抗原資源に対して不活性となり得る。結果的に、IL−2産生を阻害する薬剤を、免疫抑制に用いたり、炎症障害および免疫障害の治療もしくは予防に用いることができる。このアプローチは、シクロスポリン、FK506およびRS61443などの免疫抑制薬剤で臨床的にバリデーションされている。
【0241】
表1から3に示したデータはPKCθの阻害における本発明の化合物の有用性、そして関節リウマチ、紅斑性狼瘡および多発性硬化症などの自己免疫疾患、喘息および炎症性腸疾患などの炎症疾患、移植拒絶反応、消化管癌ならびに糖尿病等のT細胞介在疾患の治療におけるそれらの有用性を示している。
【0242】
本明細書に記載の化合物の中には、1以上の不斉中心を含むことで、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび絶対立体化学に関して(R)−または(S)−と定義され得る他の立体異性体を生じ得るものがある。本発明は、そのような可能な全てのジアステレオマーならびにそれらのラセミ体および光学的に純粋なものを含むものである。光学的に活性な(R)−および(S)−異性体は、ホモキラルシントンもしくはホモキラルを用いて製造することができるか、あるいは従来の技術を用いて光学分割することができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン性二重結合その他の幾何不斉の中心を含み、別段の断りがない限り、それは(E)−および(Z)−の両方の幾何異性体を含むものである。同様に、全ての互変異体も包含されるものとする。
【0243】
本発明で使用されるラセミ体、アンビスカレミック(ambiscalemic)およびスカレミック(scalemic)またはエナンチオマー的に純粋な化合物の図解表示は文献(Maehr J. Chem. Ed. 62, 114-120 (1985))から得られるものであり、実線および破線の楔形線はキラル要素の絶対配置を示すのに用いられ;波線は、それが表すどの結合が生じると考えられるかの立体化学的示唆がないことを示しており;太い実線および破線は、表示されている相対的立体配置を示すがラセミ性を示す幾何説明記号であり;楔形の輪郭および点線もしくは破線は、絶対配置が未定であるエナンチオマー的に純粋な化合物を示す。従って、下記の構造の中で、開放楔線を有するものは、その対の純粋なエナンチオマーの両方を包含するものであり、実線の楔形を有するものは、表示された絶対立体化学を有する単一の純粋なエナンチオマーを包含するものである。
【0244】
本発明は、塩の形態での式(I)の化合物を含むものである。好適な塩には、有機および無機の両方の酸と形成されるものが含まれる。そのような塩は通常、製薬上許容されるものであるが、製薬上許容されない塩も、対象の化合物の製造および精製において用いることは可能である。「製薬上許容される塩」という用語は、無機酸および塩基ならびに有機酸および塩基などの製薬上許容される無毒性の酸もしくは塩基から製造される塩を指す。本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、無機および有機酸などの製薬上許容される無毒性の酸から製造することができる。本発明の化合物に好適な製薬上許容される酸付加塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシレート)、安息香酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、エテンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ムコ酸塩、硝酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などがある。化合物が塩基性側鎖を含む場合、本発明の化合物に好適な製薬上許容される塩基付加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から製造される金属塩あるいはリジン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインから製造される有機塩などがある。
【0245】
式(I)の化合物またはそれの塩および溶媒和物を原体のまま投与することは可能であるが、それらを医薬組成物として提供することが好ましい。別の態様によれば、本発明は、1以上の医薬担体および適宜に1以上の他の治療成分とともに、式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性であり、投与を受ける者に対して有害性がないという意味において「許容できる」ものでなければならない。
【0246】
製剤は、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉、静脈および関節内を含む)、直腸および局所(皮膚、口腔、舌下および眼内を含む)投与に好適なものを含む。最も好適な経路は、投与を受ける者の状態および障害によって決まり得るものである。製剤は簡便には単位製剤で提供することができ、製薬業界で公知のいずれかの方法によって製造することができる。いずれの方法にも、式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは溶媒和物(「有効成分」)を、1以上の補助成分を構成する担体と組み合わせる段階がある。概して製剤は、有効成分を液体担体もしくは微粉砕固体担体またはその両方と均一かつ十分に混合し、そして必要に応じて製造物を所望の製剤に成形することで製造される。
【0247】
経口投与に好適な本発明の製剤は、それぞれが所定量の有効成分を含むカプセル、カシェ剤もしくは錠剤などの個別の単位として;粉剤もしくは粒剤として;水系液体もしくは非水系液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型乳濁液もしくは油中水型乳濁液として提供することができる。有効成分は、ボラス、舐剤またはペーストとして提供することもできる。
【0248】
錠剤は、適宜に1以上の補助成分とともに圧縮または成形することで製造することができる。圧縮錠は、適宜に結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、滑剤、界面活性剤もしくは分散剤と混合した粉末もしくは顆粒などの自由流動形態での有効成分を、好適な機械で圧縮することで製造することができる。
【0249】
成形錠は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、好適な機械で成形することで製造することができる。その錠剤は、コーティングしたり刻み目を入れても良く、含まれる有効成分の徐放、遅延放出もしくは持続性放出を行うように製剤することができる。
【0250】
非経口投与用の製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を所期の被投与者の血液と等張となるようにする溶質を含んでいても良い水系および非水系無菌注射溶液などがある。非経口投与用の製剤には、懸濁剤および増粘剤を含んでいても良い水系および非水系の無菌懸濁液などもある。その製剤は、例えば密封アンプルおよびバイアルなどの複数用量容器の単位用量で提供することができ、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができ、それは例えば生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの無菌液体担体を使用直前に加えるだけで良い。即時使用の注射用溶液および懸濁液は、前述の種類の無菌粉剤、粒剤および錠剤から製造することができる。
【0251】
直腸投与用の製剤は、カカオバターまたはポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐剤として提供することができる。
【0252】
例えば口腔投与または舌下投与で口内に局所投与する製剤には、ショ糖およびアカシアもしくはトラガカントなどの香味を付与した基剤中に有効成分を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアカシアなどの基剤中に有効成分を含むトローチなどがある。
【0253】
好ましい単位製剤は、有効用量またはそれの適切な部分量の有効成分を含むものである。
【0254】
医薬組成物は通常、「製薬上許容される不活性担体」を含むものであり、この表現は1以上の不活性賦形剤を包含するもので、それにはデンプン類、多価アルコール類、造粒剤、微結晶セルロース、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などがある。所望の場合、開示の組成物の錠剤製剤を、標準的な水系または非水系技術によってコーティングすることができる。「製薬上許容される担体」は、徐放手段をも包含するものである。本発明の組成物は、他の治療成分、凝固防止剤、保存剤、甘味剤、着色剤、香味剤、乾燥剤、可塑剤、色素などを含んでいても良い。
【0255】
式(I)の化合物は好ましくは、経口または注射(静脈注射または皮下注射)によって投与される。患者に投与される化合物の正確な量は、担当医師の責任である。しかしながら、使用される用量は、患者の年齢および性別、正確な治療対象障害およびそれの重度などの多くの要素によって決まるものである。さらに、投与経路は、状態およびそれの重度に応じて変わり得るものである。
【0256】
主要参考文献内で引用されている参考文献の内容を含む本明細書で引用されている各参考文献の内容は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iで表される化合物または該化合物の塩。
【化54】

[式中、
は、C−Cアルキル、炭素環、置換炭素環および
【化55】

から選択され、
は、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルから選択され、Rは置換されていても良く、
ただしRがヘテロアリールである場合は、RはZ基を有するメチレン炭素にヘテロ原子を介しては結合しておらず;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は環状基であり、
ただし、Rが複素環である場合、Rに結合した式Iのプリン窒素は、直接でもメチレン基を介してでもRのヘテロ原子に結合しておらず;
は、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され、Rが含窒素複素環の場合は、Rはさらに−Hであっても良く、
ただしRが複素環であり、Rが−(C−Cアルキル)−NRである場合は、Rのヘテロ原子は、直接でもメチレン基を介してでも−NR基には結合しておらず;
およびRは独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、C−Cアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールから選択され;
ただしRがフェニルであり、Rがピペリジン−4−イル−エチルである場合には、Rはシクロプロピル以外である。]
【請求項2】
が、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、ハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【化56】

から選択され;
が−(C−Cアルキル)−Rであり、
が、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールから選択され、
が、独立にハロゲン、−OH、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択される置換基によって1個もしくは2個の原子で置換されていても良く;
Zが、−HおよびC−Cアルキルから選択される
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項3】
が、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
が、脂環式基、含窒素脂環式基、アリールおよび含窒素ヘテロアリールから選択され;
が、−H、−(C−Cアルキル)−NR、および
−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRが独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択される
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項4】
が、C−Cアルキル、アリールから、R10、R11およびR12で置換されたアリール置換から選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1個以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともにOを含んでいても良い4から7員飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり、
nは1、2または3である
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項5】
が、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【化57】

から選択され、
が、
【化58】

から選択され;
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zが、−HおよびC−Cアルキルから選択される
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項6】
が、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
が、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルから選択され;
が、−H、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRが独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択される
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項7】
が、
【化59】

以外である
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項8】
が、C−Cアルキル、
【化60】

から選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物または該化合物の塩ならびに製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項10】
下記式Iによって表される化合物または該化合物の塩。
【化61】

[式中、
は、直鎖もしくは分岐のC−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【化62】

から選択され;
は−(C−Cアルキル)−Rであり、
は、シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
は、1個もしくは2個の原子において、独立にハロゲン、−OH、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択される置換基で置換されていても良く、
ただしRがヘテロアリールである場合、Rは、ヘテロ原子を介してZ基を有するメチレン炭素に結合しておらず;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は、脂環式基、含窒素脂環式基、アリールおよび含窒素ヘテロアリールから選択され、
ただしRが含窒素脂環式基または含窒素ヘテロアリールである場合、Rに結合した式Iのプリン窒素は、直接でもメチレン基を介してでもRの窒素に結合しておらず;
は、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され、Rが含窒素脂環式基または含窒素ヘテロアリールである場合、Rはさらに−Hであっても良く、
ただしRが含窒素脂環式基または含窒素ヘテロアリールであり、Rが−(C−Cアルキル)−NRである場合、Rの窒素は、直接でもメチレン基を介してでも−NRに結合しておらず;
およびRは独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択され;
は、C−Cアルキル、アリールから、R10、R11およびR12で置換されたアリールから選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。]
【請求項11】
が、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【化63】

から選択され、
が、
【化64】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zが、−HおよびC−Cアルキルから選択される
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項12】
が、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
が、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルから選択され;
が、−H、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRが独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択される
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項13】
が、
【化65】

以外である
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項14】
が、C−Cアルキル、
【化66】

から選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され、
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項15】
が、
【化67】

であり、
が、
【化68】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CNおよびC−Cアルキルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zが、−HおよびC−Cアルキルから選択される
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項16】
が、
【化69】

から選択される請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項17】
が、
【化70】

から選択される
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項18】

【化71】

であり、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともにOを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項19】
請求項10に記載の化合物または該化合物の塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項20】
下記式Iによって表される化合物または該化合物の塩。
【化72】

[式中、
は、C−Cアルキル、フェニル(このフェニルは、独立にハロゲン、OCH、−CF、−OCFおよびC−Cアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていても良い。)、
【化73】

から選択され、
は、
【化74】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、およびピリジニルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、−(C−Cアルキル)−NR、−(C−Cアルキル)−R−Rおよび−(C−Cアルキル)−C(O)−(C−Cアルキル)−R−Rから選択され、
は、シクロヘキシル、フェニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニルおよびピペラジニルから選択され;
は、−H、−(C−Cアルキル)−NRおよび−C(O)−(C−Cアルキル)−NRから選択され;
およびRは独立に、−Hおよび−(C−Cアルキル)から選択され;
は、プリン環へのRの結合箇所から2から8原子離れて位置する塩基性N原子を含み;
は、C−Cアルキル、
【化75】

から選択され、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、−OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である。]
【請求項21】

【化76】

であり、
が、
【化77】

から選択され、
15およびR16は独立に、−H、ハロゲン、−OH、−OCH、CF、−OCF、−CNおよびC−Cアルキルから選択され;
17は、OおよびSから選択され;
18は、CHおよびNから選択され;
19およびR20は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキルおよびピリジニルから選択され;
Zは、−HおよびC−Cアルキルから選択される
請求項20に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項22】
が、
【化78】

以外である
請求項20に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項23】
が、
【化79】

から選択される請求項20に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項24】
が、
【化80】

から選択される
請求項20に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項25】

【化81】

であり、
10、R11およびR12は独立に、−H、ハロゲン、−OCH、−CF、−OCF、−CN、C−Cアルキル、−NR1314、−S(O)CH、−CONHR22、−NHCOR23、OR24および−NHS(O)25から選択され;
13およびR14は独立に、−HおよびC−Cアルキルから選択され;
22、R23およびR24は、独立に−H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、アリール、−(CHNR2627および−(CHOR28から選択される1個もしくは2個の置換基であり、前記C−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは1以上のハロゲンで置換されていても良く;
25はC−Cアルキルであり;
26およびR27は独立にHおよびC−Cアルキルから選択されまたはR26およびR27はこれらが結合しているNとともに、Oを含んでいても良い4から7員の飽和複素環を形成しており;
28は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
mは0、1または2であり;
nは1、2または3である
請求項20に記載の化合物または該化合物の塩。
【請求項26】
請求項20に記載の化合物または該化合物の塩および製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項27】
治療上有効量の請求項1、10および20のうちのいずれか1項に記載の化合物または該化合物の塩を投与する段階を有するT細胞介在疾患の治療方法。
【請求項28】
前記T細胞介在疾患が自己免疫疾患である請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記自己免疫疾患が関節リウマチである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記自己免疫疾患が紅斑性狼瘡である請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記自己免疫疾患が多発性硬化症である請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記T細胞介在疾患が炎症疾患である請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記炎症疾患が喘息である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記炎症疾患が炎症性腸疾患である請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記T細胞介在疾患が移植拒絶反応である請求項27に記載の方法。
【請求項36】
治療上有効量の請求項1、10および20のうちのいずれか1項に記載の化合物または該化合物の塩を投与する段階を有する癌の治療方法。
【請求項37】
前記癌が消化管癌である請求項36に記載の方法。
【請求項38】
治療上有効量の請求項1、10および20のうちのいずれか1項に記載の化合物または該化合物の塩を投与する段階を有する糖尿病の治療方法。

【公表番号】特表2010−507581(P2010−507581A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533556(P2009−533556)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/081899
【国際公開番号】WO2008/051826
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【出願人】(509110622)フアーマコペイア・エル・エル・シー (8)
【Fターム(参考)】