説明

PLCシステムにおける信号伝送制御方法および当該PLCシステム

【課題】本体ユニットと拡張ユニットとを含むPLCシステムにおいて、本体ユニットにおける電源印加後からCPU部のリセット期間が経過するまでの間、本体ユニットから拡張ユニットに対してスリープ指令を発し、CPU部が正常に機能できるときにはじめてスリープ指令を解除して拡張ユニットから本体ユニットに信号の伝送を可能として、PLCシステムとして制御対象の確実で誤動作なき制御を可能とすること。
【解決手段】本体ユニット1内のCPU部13のリセット期間が経過し該CPU部13に供給される直流電圧がその動作電圧に達するまでは、CPU部13から拡張ユニット2へは当該拡張ユニット2の信号伝送動作をスリープ状態とさせるスリープ信号を出力し、リセット期間が経過しその直流電圧がCPU部13の動作電圧に達すると、そのスリープ状態を解除するスリープ解除信号を出力する手段23aを設けた、PLCシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ユニットと、1ないし複数の拡張ユニットとを含むPLC(プログラマブルコントローラ)システムにおいて、上記両ユニット間における信号伝送制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PLCシステムにおいては、本体ユニット(CPUユニットとも称することができる)を含み、機能の増設に伴い拡張ユニットを1ないし複数設けて構成される。PLCは、本体ユニットにCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)部を内蔵し、この本体ユニットにおけるCPU部が、本体ユニット内のプログラムメモリに格納したラダープログラム等のユーザ作成プログラムを実行することにより機械や装置等の制御対象を制御することができるものであり、広く使用されている。
【0003】
上記PLCシステムでは、本体ユニットに対して拡張ユニットを設けることでその機能を増設拡張していくことができるようになっている。そして、このような本体ユニットでは、内部に、CPU部を含む回路部と共にこれらに直流電圧を動作電圧として供給する電源部を備える。これら電源部は上記回路部に例えば直流5Vや12Vや、3.3V等を供給することでこれらを作動させるものが多く、そのため、上記電源部では、外部電源として商用電源を用いると共にこの商用電源をAC/DC変換し、さらに直流電圧の種類に応じたDC/DC変換を行って所要の直流を得てPLC内各部に供給するようにしている。また、拡張ユニットに対しては本体ユニットから例えば直流24Vを供給し、拡張ユニット内部ではその直流24Vを直流3.3Vに変換し内部回路に供給するようになっている。
【0004】
図3および図4を参照して従来のPLCシステムを説明する。図3において、1は本体ユニット、2は拡張ユニットである。拡張ユニット2は複数台でもよいが、図解の都合で、1台で示す。本体ユニット1は、電源部11、本体回路部12、CPU部13を具備する。電源部11は、電源プラグ3から電源スイッチ4を介して入力される交流電圧を直流電圧に変換するAC/DC変換部11aと、AC/DC変換部11aから出力される直流電圧を複数の別の直流電圧を変換して出力するDC/DC変換部11bとを含む。本体回路部12はプログラムメモリ、データメモリ、入・出力インターフェース、通信インターフェース等を含み、図解の都合で、1ブロック構成で示す。電源部11のDC/DC変換部11bは、本体回路部12には、例えば5V、12V等を供給する一方で、CPU部13には例えば3.3Vを供給するようになっている。
【0005】
拡張ユニット2は電源部21および拡張回路部22を具備する。電源部21は、本体ユニット1の電源部11から直流24Vを供給され、この供給された直流24Vを直流3.3Vに変換して拡張回路部22に供給することができるようになっている。
【0006】
本体ユニット1の本体回路部12と、拡張ユニット2の拡張回路部22は信号線(バス)5により接続されていると共に、本体ユニットと1の電源部11と拡張ユニット2の電源部21は電源線6により接続されている。
【0007】
図4を参照して以上の構成で示すPLCシステムの動作を説明する。
【0008】
まず、時刻t0にて電源プラグ3を図示略の商用の交流電源に差し込むと共に電源スイッチ4をオンにする。電源スイッチ4のオン後から交流電圧が安定化するまでの時間をT0とすると、交流電圧は時刻t1で安定化する。
【0009】
そして本体ユニット1の電源部11のAC/DC変換部11aで交流電圧は直流電圧に変換されると共に、その変換された直流電圧はDC/DC変換部11bで別の直流電圧に変換される。この場合、その変換に時間T1を要するので、変換時刻は時刻t2である。
そして、この変換された電圧は例えば、直流5V、3.3V、12V、24Vである。そのうち、時刻t2に本体回路部12には直流5V、12Vが、またCPU部13には直流3.3Vがそれぞれ印加され、さらに、拡張ユニット2の電源部21には同時刻t2に直流24Vが供給される。拡張ユニット2の電源部21に印加された直流24Vは、ここで直流3.3Vに変換される。この変換に要する時間はT2であり、変換時刻は時刻t3である。
【0010】
一方、本体ユニット1の本体回路部12は上記直流5V,12V等の印加で動作可能状態にあるが、CPU部13においては、上記直流3.3Vが印加されていても、初期化などのためリセット期間T3が必要であり、CPU13が動作可能状態となる時刻は時刻t4となる。
【0011】
すなわち、拡張ユニット2の拡張回路部22では、その電源部21から直流3.3Vが印加されていて時刻t3以降にはすでに動作可能状態となっているが、本体ユニット1のCPU部13は時刻t2からt4の間は動作可能状態にはなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−323103号公報
【特許文献2】特開2000−181511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記図3で示すPLCシステムにおいては、時刻t3以降ではすでに動作可能状態である拡張ユニット2の拡張回路部22から本体ユニット1の本体回路部12に信号が伝送されてくる。一方、本体ユニット1では時刻t2からt4までの期間中では、CPU部13はリセット期間であり、動作状態にはないので、t3からt4までの間に拡張ユニット2から伝送されてくる信号を受信することができず、PLCシステムの制御に支障を来たす可能性がある。
【0014】
そこで、本体ユニット1側としてはCPU部13のリセット期間が経過するまでは拡張ユニット2から信号が伝送されてこないように制御し、リセット期間の経過後に拡張ユニット2との間で信号の伝送を行うことができるように制御する必要がある。
【0015】
しかしながら、本体ユニット1は、上記リセット期間ではCPU部13が立ち上がっていないから、拡張ユニット2に対してそのような制御をすることができないという課題がある。
【0016】
そこで、本発明では、電源印加後からリセット期間が経過するまでの間で本体ユニット1が立ち上がっていない期間においても当該本体ユニット1から拡張ユニット2に上記信号の伝送をさせないように指令を発することができるようにして、上記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によるPLCシステムにおける信号伝送制御方法は、本体ユニットと、この本体ユニットから電源を供給されかつ本体ユニットとの間で信号の伝送を行う拡張ユニットとを含み、
上記本体ユニットは、交流電圧を直流電圧に変換すると共に、この直流電圧を1ないし複数の別の直流電圧に変換する電源部と、上記電源部から直流電圧をCPUリセット期間分遅れて動作電圧として供給されて動作するCPU部とを備え、
上記拡張ユニットは、上記本体ユニット電源部から直流電圧を供給されると共にその供給された直流電圧を上記本体ユニットのCPU部のリセット期間より早いタイミングで動作電圧に変換する電源部と、上記電源部から動作電圧を供給されて上記本体ユニットのCPU部との間で信号の伝送を行う拡張回路部とを備えた、
PLCシステムにおいて、
上記両ユニット間における信号伝送制御方法であって、
上記本体ユニットのCPU部におけるそのリセット期間中とリセット期間経過後それぞれにおける接地電位を検出する第1ステップと、
上記リセット期間中の接地電位をスリープ指令論理信号、リセット期間経過後の接地電位をスリープ解除論理信号に設定し、これら両論理信号に基づいて拡張ユニットから本体ユニットへの信号伝送を制御する第2ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明においては、電源印加後からCPU部のリセット期間が経過するまでの間はCPU部への電源は立ち上がっていないので、第1ステップで検出するCPU部の接地電位はスリープ指令論理信号として、また、電源印加後からCPU部のリセット期間が経過した後はCPU部への電源は立ち上がり、第1ステップで検出するCPU部の接地電位はスリープ解除論理信号として、設定し、この設定した論理信号から、拡張ユニットから本体ユニットへの信号の伝送が制御されるので、本体ユニットのCPU部が確実にシステム制御が可能に立ち上がってから、上記両ユニット間での信号伝送が行われるようになり、PLCシステムとしては、制御対象を確実に誤動作なく制御することができるようになる。
【0019】
好ましくは、上記第1ステップが、上記本体ユニットのCPU部の接地端子と接地部との間に抵抗を接続し、該抵抗両端間電圧から上記リセット期間中とリセット期間経過後それぞれにおける接地電位を検出するステップである。
【0020】
好ましくは、上記第2ステップが、アンドゲートの少なくとも2つの入力部のうちの一方に拡張ユニットの拡張回路部からの信号を入力し、他方に上記論理信号を入力すると共に、当該アンドゲートの出力部から上記信号の伝送を行うステップである。
【0021】
本発明によるPLCシステムは、
本体ユニットと、この本体ユニットから電源を供給されかつ本体ユニットとの間で信号の伝送を行う拡張ユニットとを含み、
上記本体ユニットは、交流電圧を直流電圧に変換すると共に、この直流電圧を1ないし複数の別の直流電圧に変換する本体電源部と、上記本体電源部から直流電圧をCPUリセット期間分遅れて動作電圧として供給されて動作するCPU部とを備え、
上記拡張ユニットは、上記本体電源部から直流電圧を供給されると共にその供給された直流電圧を上記本体ユニットのCPU部のリセット期間より早いタイミングで動作電圧に変換する拡張電源部と、上記拡張電源部から動作電圧を供給されて上記本体ユニットのCPU部との間で信号の伝送を行う拡張回路部とを備えた、
PLCシステムであって、
上記本体ユニットのCPU部の接地端子に接続されて設けられ当該CPU部のリセット期間中とリセット期間経過後それぞれでの上記接地端子の電位を検出する接地電位検出手段と、
上記リセット期間中とリセット期間経過後それぞれに対応する接地電位をスリープ指令論理とスリープ解除論理として設定し、この設定論理がスリープ指令論理のときは拡張ユニットから信号出力を禁止し、スリープ解除論理のときは信号出力の禁止を解除する信号伝送許可/禁止手段と、
を設けた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、本体ユニットにおいて、電源印加後からCPU部のリセット期間が経過するまでの間でCPU部が立ち上がっていない期間においても、本体ユニットから拡張ユニットに対して信号の伝送をさせないように指令を発することができるので、PLCシステムとして制御対象を確実に誤動作なく制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係るPLCシステムの構成を示す図である。
【図2】図2は図1のPLCシステムの動作説明に供するタイムチャートである。
【図3】図3は従来に係るPLCシステムの構成を示す図である。
【図4】図4は図3のPLCシステムの動作説明に供するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るPLCシステムを説明する。
【0025】
図1を参照して上記PLCシステムを説明する。図1は本発明の実施の形態に係るPLCシステムの構成を示す図であり、図3と対応する部分には同一の符号を付している。図3における説明と重複するところがあるが、以下に説明する。
【0026】
図1において、1は本体ユニット、2は拡張ユニットである。
【0027】
本体ユニット1は、電源部11、本体回路部12、およびCPU部13を具備する。
【0028】
電源部11は、電源プラグ3から電源スイッチ4を介して入力される交流電圧を直流電圧に変換すると共に、変換した直流電圧を複数の別の直流電圧に変換して出力することができるようになっている。電源部11はまた、本体回路部12には、5V、12V等を供給する一方で、CPU部13には3.3Vを供給するようになっている。
【0029】
本体回路部12は、プログラムメモリ、データメモリ、入・出力インターフェース、通信インターフェース等を含む。
【0030】
CPU部13は、本体回路部12内蔵のメモリに格納したユーザー作成プログラムであるラダープログラム等を実行することで図示略の制御対象を本体回路部12を介して制御することができるようになっている。
【0031】
拡張ユニット2は、電源部21、拡張回路部22および後述する信号伝送許可/禁止手段23を具備する。
【0032】
電源部21は、電源線6を介して本体ユニット1の電源部11から直流24Vを供給され、この供給された直流24Vを直流3.3Vに変換して拡張回路部22に供給することができるようになっている。
【0033】
拡張回路部22は、機能増設に伴い、それに付設する図示略の入・出力機器等から信号を入・出力することで、それらに対応した信号を信号線5を介して本体ユニット1に伝送することができるようになっている。
【0034】
以上の構成において、実施の形態のPLCシステムにおける特徴を説明する。本体ユニット1のCPU部13は、電源部11から直流3.3Vが供給される電源端子13aと、接地電流が流れる接地端子13bとを具備する。この接地端子13bと接地部7との間に抵抗8が設けられている。この抵抗8は、本体ユニット1のCPU部13のリセット期間T3中とリセット期間T3の経過後それぞれでの接地端子13bの電位を検出する接地電位検出手段9を構成する。
【0035】
また、実施の形態のPLCシステムは、拡張ユニット2においては、論理「0」「1」を入力する論理ブロックである信号伝送許可/禁止手段23を具備している。この手段23は、アンドゲート23aと、バッファゲート23bとを備える。アンドゲート23aは、拡張回路部22からの伝送信号と、接地電位検出手段9からの論理信号とを入力し、論理信号が「0」であるときは、伝送信号の出力を禁止し、論理信号が「1」であるときは、伝送信号の出力を許可する。なお、本体ユニット1側からの信号はバッファゲート23bを介して拡張ユニット2に伝送することができる。
【0036】
以下、図2を参照して以上の構成で示す実施の形態のPLCシステムの動作を説明する。
【0037】
まず、時刻t0にて電源プラグ3を図示略の交流電源に差し込むと共に電源スイッチ4をオンにする。電源スイッチ4のオン後から交流電圧が安定化するまでの時間はT0であり、交流電圧は時刻t0から時間T0の経過後の時刻t1に安定化する。
【0038】
次に、本体ユニット1の電源部11により、交流電圧は直流電圧に変換されると共に、その変換された直流電圧は複数の別の直流電圧、例えば3.3V、5V、12V、24V等に変換される。この場合、その変換に時間T1を要するので、変換電圧が安定化する時刻は時刻1から時間T1の経過後の時刻t2である。
【0039】
こうして変換された電圧において、時刻t2に本体回路部12には直流5V、12Vが、またCPU部13には直流3.3Vがそれぞれ印加され、さらに、拡張ユニット2の電源部21には同時刻t2に直流24Vが供給される。
【0040】
一方、拡張ユニット2の電源部21に印加された直流24Vは、ここで直流3.3Vに変換される。この変換に要する時間はT2であり、変換時刻は時刻t3である。
【0041】
本体ユニット1の本体回路部12は上記直流5V,12V等の印加で時刻t2で、すでに、動作可能状態にあるが、CPU部13においては、上記直流3.3Vが印加されていても、初期化などのためリセット期間T3が必要であり、CPU13が動作可能状態となる時刻は時刻t4となる。これは時刻t3よりも後の時刻である。
【0042】
次に、実施の形態では、拡張ユニット2の拡張回路部22に対して、電源部21から直流3.3Vが印加されていて時刻t3以降では、すでに動作可能状態となっていても、拡張ユニット2から本体ユニット1に信号を伝送させないようにスリープ制御することができるようにしている。
【0043】
すなわち、本体ユニット1のCPU部13は、電源端子13aに対して、電源部11から直流3.3Vが供給されても、即座に動作するのではなくて、リセット期間T3をかけて徐々に電圧が上昇して印加されるようになっている。そのため、CPU部13は、電源部11から直流3.3Vが供給されてからリセット期間T3の経過後に動作できるようになる。なお、図2には、CPU部13に供給される電圧の波形と、拡張ユニット2の拡張回路部22に供給される電圧の波形とを示す。CPU部13に供給される電圧は、時刻t3からリセット期間T3において徐々に上昇し、時刻t4において3.3Vになる。一方、拡張ユニット2に供給される電圧は時刻t3ですでに3.3Vになっていて当該拡張ユニット2は信号を伝送させることができる状態となっている。
【0044】
そして、抵抗8により構成される接地電位検出手段9においては、時刻t2から開始するリセット期間T3においては、CPU部13への電圧が徐々に上昇するに伴い接地電流iが徐々に流れ、抵抗8の両端間電圧が徐々に上昇してくる。そして、接地電位検出手段9においては、この両端間電圧が一定電圧以下のときの電圧(接地電圧)をスリープ指令の論理信号「0」とし、一定電圧超のときの接地電圧をスリープ解除の論理信号「1」として拡張ユニット2の信号伝送許可/禁止手段23に出力することができるようになっている。この一定電圧は、CPU部13のリセット期間T3が経過し、当該CPU部13にそれが正常に動作できる電圧が供給されたときの電圧である。
【0045】
信号伝送許可/禁止手段23におけるアンドゲート23aは、拡張回路部22からの伝送信号と、接地電位検出手段9からの論理信号とを入力し、論理信号が「0」であるときは、伝送信号の出力を禁止し、論理信号が「1」であるときは、伝送信号の出力を許可する。
【0046】
以上を整理すると、時刻t2からt4まではリセット期間T3としてCPU部13は動作できず、また、時刻t3以降では拡張ユニット2では信号を伝送できる状態にあるが、時刻t3から時刻t4まではスリープ期間T4として拡張ユニット2から本体ユニット1への信号の伝送は禁止されて行われず、時刻t4以降ではスリープ解除期間T5として、拡張ユニット2から本体ユニット1への信号の伝送は許可される。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態では、電源スイッチ4をオンにして電源プラグ3から交流電圧を本体ユニット1に印加してからは、本体ユニット1内のCPU部13のリセット期間T3が経過するまでの間はCPU部13の電源が立ち上がっていなくても、本体ユニット1から拡張ユニット2に対してはスリープ指令論理信号を出力して、拡張ユニット2をスリープさせることができるようになり、リセット期間T3が経過すると、本体ユニット1から拡張ユニット2に対してはスリープ解除指令論理信号を出力して、拡張ユニット2をスリープ状態から解除させることができる。その結果として、CPU部13が確実にPLCシステム全体の制御が可能となったときにはじめて拡張ユニット2からの信号の伝送が行われ、PLCシステムとしては電源印加後から制御対象を確実に誤動作なく制御することができるようになる。
【符号の説明】
【0048】
1 本体ユニット
11 電源部
12 本体回路部
13 CPU部
2 拡張ユニット
21 電源部
22 拡張回路部
23 信号伝送許可/禁止手段
3 電源プラグ
4 電源スイッチ
5 信号線
6 電源線
9 接地電位検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットと、この本体ユニットから電源を供給されかつ本体ユニットとの間で信号の伝送を行う拡張ユニットと、を含み、
上記本体ユニットは、交流電圧を直流電圧に変換すると共に、この直流電圧を1ないし複数の別の直流電圧に変換する本体電源部と、上記本体電源部から直流電圧をCPUリセット期間分遅れて動作電圧として供給されて動作するCPU部とを備え、
上記拡張ユニットは、上記本体電源部から直流電圧を供給されると共にその供給された直流電圧を上記本体ユニットのCPU部のリセット期間より早いタイミングで動作電圧に変換する拡張電源部と、上記拡張電源部から動作電圧を供給されて上記本体ユニットのCPU部との間で信号の伝送を行う拡張回路部とを備えた、
PLCシステムにおいて、
上記両ユニット間における信号伝送制御方法であって、
上記本体ユニットのCPU部におけるそのリセット期間中とリセット期間経過後それぞれにおける接地電位を検出する第1ステップと、
上記リセット期間中の接地電位をスリープ指令論理信号、リセット期間経過後の接地電位をスリープ解除論理信号に設定し、これら両論理信号に基づいて拡張ユニットから本体ユニットへの信号伝送を制御する第2ステップと、
を含むことを特徴とする信号伝送制御方法。
【請求項2】
上記第1ステップが、上記本体ユニットのCPU部の接地端子と接地部との間に抵抗を接続し、該抵抗両端間電圧から上記リセット期間中とリセット期間経過後それぞれにおける接地電位を検出するステップである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第2ステップが、アンドゲートの少なくとも2つの入力部のうちの一方に拡張ユニットの拡張回路部からの信号を入力し、他方に上記論理信号を入力すると共に、当該アンドゲートの出力部から上記信号の伝送を行うステップである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
本体ユニットと、この本体ユニットから電源を供給されかつ本体ユニットとの間で信号の伝送を行う拡張ユニットとを含み、
上記本体ユニットは、交流電圧を直流電圧に変換すると共に、この直流電圧を1ないし複数の別の直流電圧に変換する本体電源部と、上記本体電源部から直流電圧をCPUリセット期間分遅れて動作電圧として供給されて動作するCPU部とを備え、
上記拡張ユニットは、上記本体電源部から直流電圧を供給されると共にその供給された直流電圧を上記本体ユニットのCPU部のリセット期間より早いタイミングで動作電圧に変換する拡張電源部と、上記拡張電源部から動作電圧を供給されて上記本体ユニットのCPU部との間で信号の伝送を行う拡張回路部とを備えた、
PLCシステムであって、
上記本体ユニットのCPU部の接地端子に接続されて設けられ当該CPU部のリセット期間中とリセット期間経過後それぞれでの上記接地端子の電位を検出する接地電位検出手段と、
上記リセット期間中とリセット期間経過後それぞれに対応する接地電位をスリープ指令論理とスリープ解除論理として設定し、この設定論理がスリープ指令論理のときは拡張ユニットから信号出力を禁止し、スリープ解除論理のときは信号出力の禁止を解除する信号伝送許可/禁止手段と、
を設けた、ことを特徴とするPLCシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−191875(P2011−191875A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55832(P2010−55832)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】