説明

PVCを安定化するための安定化剤系

少なくとも、a)一種類のアルカノールアミン、又は一官能性又は多官能性エポキシドとアンモニア、又は一官能性又は多官能性ジアルキル(アリール)アミン又はモノアルキル(アリール)アミンとの一種類の反応生成物、及びb)一種類のウラシル、又は一種類の初期生成物及び場合により過塩素酸塩、を含む安定化剤混合物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一種類のアルカノールアミン、少なくとも一種類のウラシルを含み、もし適当ならば一種類の過塩素酸塩も含み、塩素含有重合体を安定化するのに適した安定化剤混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
PVCを安定化することができる多くの添加剤が存在する。重金属鉛、バリウム、及びカドミウムの化合物は、この目的に特によく適しているが、今日、周囲の土地がそれらの重金属を含むことにより批判を受けている〔例えば、H.ツバイフェル(Zweifel)、「プラスチック添加剤便覧」(Plastics Additives Handbook)、カール・ハンサー出版(Carl Hanser Verlag)、第5版(2001)、第427頁〜第483頁、及びW.ベッカー(Becker)、D.ブラオン(Braun)、「プラスチック便覧PVC」(Kunststoff Handbuch PVC)第2/1巻、カール・ハンサー出版、第2版(1985)、第531頁〜第538頁、及びカーク・オスマー(Kirk−Othmer)、「エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー」第4版(1994)、第12巻、「熱安定化剤」(Heat Stabilizers)、第1071頁〜第1091頁を参照〕。
【0003】
処理業者及び消費者は、これらの安定化剤を益々使おうとしなくなってきている。従って、鉛、バリウム、及びカドミウムを含まない有効な安定化剤及び安定化剤混合物を見出そうとする試みが続けられている。本発明は、熱的及び(又は)光化学的劣化に関し、安定化作用を有し、ハロゲン含有重合体の一成分として優れた初期の色を与え、色の安定性も与える組成物を与えようとするものである。
【0004】
作業での健康及び安定性、許容される制約、或は処理の信頼性に基づく普及した必要条件に適切な、処理方法に適合した混合の詳細をここに与えることができる。思いがけないことに、本発明は、プラスチックに入れても生理学的に危険がなく、或る場合には単独で用いた場合には満足すべき処理安定性を確実には与えない物質の組合せを与える。
【0005】
本出願人によるWO 02/48249 A2明細書には、少なくとも一種類の過塩素酸塩と組合せた、式(I)の化合物が記載されている。この明細書の比較例及び発明の例は、一般式(I)の化合物は、単独で用いると、許容可能な初期色には役立たないことを示している。
【0006】
今度、a)一般式(I)の、少なくとも一種類のアルカノールアミン、或は、一又は多官能性エポキシドとアンモニア、又は、一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの一つの反応生成物、及びb)一般式(II)の少なくとも一種類のウラシル、又は夫々一般式(III)のそれらの前駆物質、及びもし適切ならば、一種類の過塩素酸塩、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩から構成された混合物が、塩素含有重合体、特にPVCを安定化するのに特に適していることが見出された。初期色について求められている必要条件に従う安定化剤混合物を与えるために設定された目的は、この新規な組合せによって満足されている。更に、過塩素酸塩、特にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩を添加することにより、塩素含有重合体、特にPVCの安定化を改良することができる。
【0007】
他の種類のアミンを、過塩素酸塩を用いずに単独で用いると、満足すべき処理安定性を与えず、特に希望の成形物の初期色は、非安定化物のそれとは実質的に異ならず、従って、処理業者により望まれる良好な初期色及び処理の信頼性についての要件が満足されない結果になる。
【0008】
構造(II)のウラシル、又は構造(III)のそれらの前駆物質と組合せて用いるβ−ヒドロキシアルカノールアミンは、初期色を改良する機能を帯びることができる。これは、長い期間に亙る予想に従う使用特性を有する成形物の製造を可能にする。
【0009】
驚いたことに、個々の成分を含む比較混合明細事項の作用を超えて広がる特許請求した組合せの相乗的作用が、過塩素酸塩を用いた系でも見出されている。
【0010】
従って、本発明は、
a) 式(I)の、一種類のアルカノールアミン及び(又は)、一又は多官能性エポキシドと、アンモニア、又は一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの一つの反応生成物、及び
b) 式(II)の一種類のウラシル、又は式(III)のその前駆物質、及びもし適切ならば、
c) 一種類の過塩素酸塩、
を少なくとも含む安定化剤混合物を与える。
【0011】
式(I)のアルカノールアミンについては、ここでは次の通りである:
【0012】
【化1】

【0013】
x=1、2、又は3;
y=1、2、3、4、5、又は6;
n=1〜10;
及びR=互いに独立に、H、C〜C22−アルキル、−[−(CHR−CHR−O−]−H、−[−(CHR−CHR−O−]−CO−R、C〜C20−アルケニル、C〜C18−アシル、C〜C−シクロアルキル、(ここで、これはβ−位置にOH置換基を持っていてもよい)、C〜C10−アリール、C〜C10−アルカリール、又はC〜C10−アラルキルであり、或は、もしx=1であるならば、R及びRは、Nと一緒になって炭素原子、及び、適当な場合には、2までのヘテロ原子から構成された4〜10員環の閉じた環を形成していてもよく、或は、もしx=2であるならば、RはC〜C18−アルキレンであってもよく、それは、両方のβ−炭素原子の所にOH置換基を持っていてもよく、且つ(又は)一つ以上のO原子及び(又は)一つ以上のNR基によって中断されていてもよく、或はジヒドロキシ置換テトラヒドロジシクロペンタジエニレン、ジヒドロキシ置換エチルシクロヘキサニレン、ジヒドロキシ置換4,4’−(ビスフェノールAジプロピルエーテル)イレン、イソホロニレン、ジメチルシクロヘキサニレン、ジシクロヘキシルメタニレン、又は3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタニレンでもよく、もしx=3であるならば、Rは、トリヒドロキシ置換(トリ−N−プロピルイソシアヌレート)トリイルであってもよく;
及びR=互いに独立に、C〜C22−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C10−アリール、H、又はCH−X−R(ここでX=O、S、−O−CO−、又は−CO−O−である)であり;
=C〜C18−アルキル/アルケニル、又はフェニルであり;及び
=H、C〜C22−アルキル、C〜C22−アルケニル、又はC〜C10−アリールである。
【0014】
本発明は、アルカノールアミンが一又は多官能性エポキシドと、アンモニア、又は一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの反応生成物である安定化剤混合物も与える。
【0015】
一般式(I)のアルカノールアミンの例は、R及びR=メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロヘキシル、オクチル、ラウリル、テトラデシル、ヘキサデシル、ステアリル、オレイル、アリル、フェニル、又はベンジル、又はヒドロキシアルキルであり、R=H、メチル、エチル、プロピル、又はブチルである場合の化合物である。アルカノールアミンについては、R=ラウリル、テトラデシル、ヘキサデシル、ステアリル、又はオレイルであり、R=ヒドロキシアルキルである場合のものが好ましい。トリエタノール−及びトリイソプロパノールアミン、更に植物又は動物起源の脂肪アミンのエトキシレート及びプロポキシレートを用いることも可能である。トリアルカノールアミン及びモノアルキル/アルケニルジアルカノールアミンについては、R=H又はメチル、及びy=1である場合のものが好ましく、特にエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと2度反応させた脂肪アミンが好ましい。非常に良好な適合性を有する他の化合物は、次に列挙するものの中に見出すことができる。
【0016】
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたメチル−又はジメチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたプロピル−又はジプロピルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソプロピル−又はジイソプロピルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたブチル−又はジブチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソブチル−又はジイソブチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたペンチル−又はジペンチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソペンチル−又はジイソペンチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたヘキシル−又はジヘキシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソヘキシル−又はジイソヘキシルアミン。
【0017】
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたヘプチル−又はジヘプチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソヘプチル−又はジイソヘプチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたオクチル−又はジオクチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソオクチル−又はジイソオクチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたノニル−又はジノニルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソノニル−又はジイソノニルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたデシル−又はジデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソデシル−又はジイソデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたウンデシル−又はジウンデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソウンデシル−又はジイソウンデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたドデシル−又はジドデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソドデシル−又はジイソドデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたトリデシル−又はジトリデシルアミン。
【0018】
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたイソトリデシル−又はジイソトリデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたテトラデシル−又はジテトラデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたヘキサデシル−又はジヘキサデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたオクタデシル−又はジオクタデシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたエイコシル−又はジエイコシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたドコシル−又はジドコシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させたN−メチルブチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させたN−エチルブチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたアリル−又はジアリルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたクロチル−又はジクロチルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたオクタデシニル−又はジオクタデシニルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたベンジル−又はジベンジルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1回又は2回反応させたシクロヘキシル−又はジシクロヘキシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させたN−メチルシクロヘキシルアミン。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと反応させたN−エチルシクロヘキシルアミン。
【0019】
ジエタノール−又はジイソプロパノールアミンと2回反応させた4−ビニル−1−シクロヘキセンジエポキシド。
ジエタノール−又はジイソプロパノールアミンと2回反応させたジシクロペンタジエンジエポキシド。
ジエタノール−又はジイソプロパノールアミンと2回反応させたビスフェノールAジグリシジルエーテル。
ジエタノール−又はジイソプロパノールアミンと3回反応させたトリスグリシジルイソシアヌレート。
【0020】
及びR=互いに独立に、H又はメチルであり、y=1である場合のトリアルカノールアミン及びモノアルキル/アルケニルジアルカノールアミンが好ましい。
【0021】
一般式(I)の化合物で、y=1〜6、即ち、アミノ基とヒドロキシ置換炭素原子との間に6個までのメチレン基を有する場合のものが、過塩素酸塩と組合せたPVC安定化剤として用いるのに適していることが判明している。
【0022】
本発明により、一般式(I)で、x=2である場合の化合物、即ち、1分子当たり二つのヒドロキシアルキルアミノ基を有する化合物を用いることもできる。これらの例には、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−1−プロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、及びN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−1−プロピル)プロピレンジアミン、及びN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)ヘキサメチレンジアミンがあり、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドと1,6−ヘキサメチレン−又は1,8−オクタメチレンジアミン、又はネオペンタンジアミンとの4回反応せたもの、或はビスアミノメチルシクロヘキサン、又はイソホロンジアミン、又は4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、又は3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンの同様な反応物が好ましい。
【0023】
本発明により、一般式(I)で、x=3の場合の化合物、即ち、1分子当たり三つのヒドロキシアルキルアミノ基を有する化合物を用いることもできる。それらの一例は、トリスグリシジルイソシアヌレートと、モノ−又はジエタノールアミン、又はモノ−又はジプロパノールアミンとの反応生成物である。
【0024】
一般式(I)のアルカノールアミンは、購入することができるか、又は適当なアミン又はアンモニアのN−アルキル化による既知の方法により製造することができる化学物質である(カーク・オスマー、第2巻、アルカノールアミン、参照)。
【0025】
一般式(I)の好ましいアルカノールアミンの例は、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、トリス(2−ヒドロキシ−1−プロピル)アミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、N−n−ブチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−エチル)アミン、N,N−ビス(n−ブチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−(3−n−ブチルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロピル)−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−プロピル)−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−パルミチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−オレイルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ステアリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−ステアリルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、及びN−(2,3−ジヒドロキシ−1−プロピル)モルホリン、ビスヒドロキシエチルピペラジン、及びビスヒドロキシイソプロピルピペラジン、及びグリシジルエーテルと、モノ−又はジアルキルアミン又はアンモニアとの反応生成物、更には、それらから誘導されたアルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、n−ジプロパノールアミン、又はイソジプロパノールアミンである。
【0026】
特に非常に好ましいのは、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、エイコセンオキシド、及びドコセンオキシド、のようなオレフィンオキシド、更にエポキシステアリルアルコールと、ジエタノールアミン又はジイソプロパノールアミンとの付加物である。比較的長いアルキル鎖の両端のβ−位置にOH官能基を有するこれらの化合物、例えば、N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)ジエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピル)ジエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシ−3−デシルオキシプロピル)ジエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピル)ジエタノールアミン、及びビス−N−(2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル)エタノールアミンは、本発明の安定化剤系で特に適切な成分である。
【0027】
このリストは、例としてのみ与えられており、包括的なものとして要求するものではない。
【0028】
塩素含有重合体の安定化を達成するために用いられる式(I)の化合物の量は、0.01〜10重量%であるのが有利であり、好ましくは0.05〜5重量%、特に0.1〜3重量%である。
【0029】
本発明の組成物は、少なくとも一種類の代表的な構造(I)のアルカノールアミンと共に、少なくとも一種類の代表的一般式(II)のウラシルを含む。本発明によれば、そのウラシルのグループは、構造(II)の誘導体のもの、及び更にウラシルの前駆物質である構造(III)のシアノアセチル尿素のものとして定義される。
【0030】
式(II)の化合物は、DE−A−1 694 873、EP−A−0 065 934、EP−A−0 041 479、及びEP−A−0 768 336に既に記載されており、一つ以上の工程を含む処理で既知の方法により製造することができる。
【0031】
【化2】

【0032】
式中、
及びRは、互いに独立に、C〜C24−アルキルであり、それは−CO−及び(又は)一つ以上の酸素原子により中断されていてもよく、且つ(又は)一つ以上のOH基により置換されていてもよく、例えば、ここでは−CH−O−CH−CH−O−CH、−CH−O−CH−CH−CH−O−CH、−CH−O−CH−CH−CH−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH、−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−CH、等であるか、又はC〜C24−アルケニルで、分岐していてもいなくてもよく、或はC〜C−シクロアルキルで、1〜3個のC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、又はC〜C−シクロアルキル基、又はヒドロキシ基、又はCl原子で置換されているか、又は置換されていなくてもよく、或はC〜C−フェニルアルキルで、フェニル環が、1〜3個のC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、又はC〜C−シクロアルキル基、又はヒドロキシ基、又はCl原子で置換されているか、又は置換されていなくてもよく、R又はRは、水素でもよく、YはS又はOである。
【0033】
式(II)の化合物については:
〜C−アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はt−ブチルである。もし適当ならば、−CO−により中断されたC〜C−アルキルが好ましい。
今述べたラジカル以外のC〜C24−アルキルの例は、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、デシル、ノニル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、又はテトラコシルである。
【0034】
アルケニルラジカルの例は、ビニル、アリル、メタリル、1−ブデニル、又は1−ヘキセニル、1−オクテニル、2−オクテニル、デセニル、ウンデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、及びエイコセニルであるが、アリルが好ましい。アルキル又はアルケニルラジカルは、分岐しているか、又は分岐していないラジカルでもよい。
【0035】
〜C−アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロピル、ブトキシ、又はイソブトキシである。
〜C−シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチルである。
〜C−フェニルアルキルの例は、ベンジル、1−又は2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、α,α−ジメチルベンジル、又は2−フェニルイソプロピルであり、好ましくはベンジルである。
【0036】
シクロアルキル基、又はフェニルアルキルラジカルのフェニル基が置換基を有する場合、二つ又は一つの置換基(単数又は複数)が好ましく、それら置換基の中で特に好ましいのは、塩素、ヒドロキシ、メチル、又はメトキシである。
〜C−アルケニルの例は、ビニル、アリル、メタリル、1−ブテニル、又は1−ヘキシルであり、アリルが好ましい。
【0037】
アルキルラジカルが中断されている場合、それらは少なくとも二つの炭素原子を含む必要がある。−CO−は、ここでは
【0038】
【化3】

【0039】
基を意味する。
【0040】
−CO−により中断されたC〜C22−アルキルラジカルの例は、分岐鎖又は直鎖ラジカルであり、例えば、メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、メトキシカルボニルプロピル、メトキシカルボニルブチル、メトキシカルボニルヘキシル、メトキシカルボニルオクチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル、エトキシカルボニルプロピル、エトキシカルボニルブチル、エトキシカルボニルヘキシル、エトキシカルボニルオクチル、n−プロポキシカルボニルメチル、n−プロポキシカルボニルエチル、n−プロポキシカルボニルブチル、n−プロポキシカルボニルヘキシル、n−プロポキシカルボニルオクチル、イソプロポキシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルエチル、イソプロポキシカルボニルブチル、イソプロポキシカルボニルヘキシル、イソプロポキシカルボニルオクチル、n−ブトキシカルボニルメチル、n−ブトキシカルボニルエチル、n−ブトキシカルボニルブチル、n−ブトキシカルボニルヘキシル、又はt−ブトキシカルボニルメチルである。このリストは、包括的であることを主張するものではないが、当業者に容易に理解できる構造的原理を与えている。
【0041】
例として、メトキシカルボニルエチルが好ましい。
【0042】
式(II)の化合物で、R及びRは、互いに独立に、C〜C18−アルキル及び水素である場合のものが好ましい。R及びRが同じであり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アリル、又はオクチルであるか、或はそれらは異なっており、エチル及びアリルであるのが特に好ましい。
【0043】
二つの置換基R又はRの一方だけがハロゲンである場合、残りのラジカルの炭素鎖はCよりも長く、従って、上で述べたことは更に別の可能な置換パターンにも適用される。従って、R又はRは、−CO−及び(又は)一つ以上の酸素原子により中断されていてもよく、且つ(又は)一つ以上のOH基により置換されていてもよいC〜C24−アルキルにすることができるか、或は、C〜C24−アルケニルで、分岐していてもいなくてもよいものにすることができるか、或はC〜C−シクロアルキルで、1〜3個のC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、又はC〜C−シクロアルキル基、又はヒドロキシ基、又はCl原子で置換されているか、又は置換されていなくてもよいものにすることができるか、或はC〜C−フェニルアルキルで、フェニル環が、1〜3個のC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、又はC〜C−シクロアルキル基、又はヒドロキシ基、又はCl原子で置換されているか、又は置換されていなくてもよいものにすることができる。式(II)の1−又は3−位置で、一置換された、アルキル、アルケニル、又はアルコキシアルキル誘導体で、R又はRがプロピル、又はブチル、又はシクロヘキシルであるか、或は酸素原子で中断されたC〜C−アルキルである場合のものが好ましい。特に好ましい化合物の例は、1−プロピル−2−アミノウラシル、1−プロピル−4−アミノウラシル、1−アリル−2−アミノウラシル、1−アリル−4−アミノウラシル、1−メトキシエチル−2−アミノウラシル、1−メトキシ−エチル−4−アミノウラシルである。
【0044】
本発明により、ウラシルの合成前駆物質であるシアノアセチル尿素(III)を、式(I)の構造体のものと組合せて用いることもできる。これらは当業者に知られており、米国特許第2,598,936号、及び本出願人の米国特許第6,211,270号明細書、及びJ.Org.Chem.16.1897−1890(1951)に記載されており、それら既知の方法により製造することができる。出発尿素は、市販されているか、又は既知の方法により製造することができる。
【0045】
式(III):
【0046】
【化4】

【0047】
(式中、
Yは、酸素又は硫黄であり、
は、−CO−及び(又は)酸素原子により中断されているか、且つ(又は)1〜3個のOH基によって置換されていてもよいC〜C24−アルキルであり、或はC〜C24−アルケニル、C〜C10−フェニルアルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−アルキルフェニル、フェニル、又はナフチルでであり、夫々の場合芳香族基は−OH、C〜C12−アルキル及び(又は)OC〜C−アルキルにより置換されていてもよく、Rは、Rについて定義した通りであるか、又はRが水素である場合、Rは、−CO−及び(又は)酸素原子により中断されているか、且つ(又は)1〜3個のOH基によって置換されていてもよいC〜C24−アルキルにすることもでき、或はC〜C24−アルケニル、C〜C10−フェニルアルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−アルキルフェニル、フェニル、又はナフチルにすることができ、夫々の場合、芳香族ラジカルは−OH、C〜C12−アルキル及び(又は)OC〜C−アルキルにより置換されていてもよい)のシアノアセチル尿素は、塩素含有重合体、例えば、PVCを安定化するための本発明により記載される組合せで特に良好な安定性を有する。
【0048】
式(III)の化合物について:
〜C−アルキルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はt−ブチルである。
今述べたラジカル以外のC〜C24−アルキルの例は、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、デシル、ノニル、ウンデシル、又はドデシル、及び更に、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、又はテトラコシルである。もし適当ならば、−CO−により中断されたC〜C−アルキルが好ましい。C〜C−シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチルである。好ましくはシクロヘキシルである。
【0049】
〜C10−アルキルフェニルの例は、トリル、又はメシチルであり、特にトリルである。C〜C10−フェニルアルキルの例は、ベンジル、1−又は2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、α,α−ジメチルベンジル、又は2−フェニルイソプロピルであり、好ましくはベンジル、及び2−フェネチルであり、特にベンジルである。
【0050】
芳香族ラジカルが置換基を持つ場合、それは好ましくは三つ、二つ、又は特に一つの置換基を有し、それら置換基は、特にヒドロキシ、メチル、エチル、メトキシ、又はエトキシである。
〜C−アルケニルの例は、アリル、メタリル、1−ブテニル、1−ヘキセニル、1−オクテニル、又は2−オクテニルであり、好ましくはアリルである。
【0051】
アルキルラジカルが中断部分を持つ場合、それらは少なくとも二つの炭素原子を含む必要がある。−CO−は、ここでは次の基のことである:
【0052】
【化5】

【0053】
−CO−により中断されたアルキルラジカルの例は、式に(II)についてのテキスト中に見出すことができる。式(III)の化合物で、式中、Yが酸素であるものが好ましく、ラジカルR及びRが同じである場合の化合物も好ましい。他の有利な化合物は、Yが硫黄である場合の化合物である。式(III)の化合物で、R及びRが、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、ベンジル、又は2−フェネチルである場合のものが更に好ましい。特に好ましいのは、式(III)で、R及びRがC〜C−アルキル、アリル、又はベンジルである場合の化合物である。
【0054】
言及することができる、例は、N,N’−ジメチル−N−シアノアセチル尿素、N,N’−ジエチル−N−シアノアセチル尿素、N,N’−ジオクチル−N−シアノアセチル尿素等である。このリストは、例としてのみ与えられており、包括的なものと主張するものではない。
【0055】
他の好ましい化合物は、式(III)で、Yが酸素である場合の化合物であり、ラジカルR及びRが互いに異なる場合の化合物も好ましい。特にR=Hの場合である。その時Rは、−CO−及び(又は)酸素原子により中断されているか、且つ(又は)1〜3個のOH基によって置換されていてもよいC〜C12−アルキルであり、或はC〜C12−アルケニル、C〜C10−フェニルアルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−アルキルフェニル、フェニル、又はナフチルであり、夫々の場合、芳香族ラジカルは−OH、C〜C12−アルキル及び(又は)OC〜C−アルキルにより置換されていてもよい。他の有利な化合物は、Yが硫黄である場合の化合物である。特に好ましいのは式(III)で、R=Hで、R=C〜C−アルキル、メトキシエチル、アリル、又はベンジルである場合の化合物である。
【0056】
一般式(III)のシアノアセチル尿素の対応する一般式(II)のウラシルを与える反応は、安定化剤の製造が終わる前でも行うことができることを、ここで明確に述べておくべきであろう。このことは、文献から当業者に知られており、シアノアセチル尿素からウラシルを製造する合成原理から誘導される。例として、N,N’−ジブチル−N−シアノアセチル尿素〔式(III):R=R=ブチル〕は、反応して類似物の1,3−ジブチル−4−アミノウラシルを与えるであろう。特にここでマトリックスが塩基性化合物を含む場合である。この予備的条件は、更に単にマトリックスの他の可能な成分、例えば、市販されているステアリン酸カルシウム又はゼオライトによっても満たされる。これに関し、選択された本発明の例のマトリックスは、アルカノールアミン単独、又はプラスチック添加剤及びプラスチック安定化剤及びハロゲン含有有機プラスチックからなる群からの一種類以上の化合物を含む。もしマトリックスが液体成分を含むならば、この反応は化学反応の速度論に従って加速される。
【0057】
室温、又は処理温度で液体である一般式(I)の代表的なものは、特にこの目的に適している。
【0058】
シアノアセチル尿素のウラシルを与えるこの反応は、特に混合又は処理によりもたらされ、或は安定化剤の製造によりもたらされる温度上昇によっても促進され、これらは噴霧処理又は溶融処理でもよい。反応はここで完結するまで進行させる必要はない。二種類の物質が種々の比率で一緒に存在していてもよい。しかし、或る条件は、実際上、定量的転化率を与えることができる。ウラシルを与えるシアノアセチル尿素中間体の反応については基本的化合物の選択自体に制約はない。適当な化合物は、水性又はアルコール性抽出物が塩基として反応するもの、或はどのような他のやり方でも反応を引き起こす化合物のいずれでもよく、それらの例は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、ゼオライト、アルカマイザー(Alcamizer)生成物又はアミンである。反応は安定化剤を製造する過程が終わる前に、又は安定化剤成分だけを混合する工程中、又は全配合物が存在する中で、混合器で、又は後の処理過程中で、行われるであろう。
【0059】
塩素含有重合体の安定化を達成するのに用いられる式(III)の化合物の量は、0.01〜10重量%であるのが有利であり、好ましくは0.05〜5重量%、特に0.1〜3重量%である。
【0060】
本発明は、少なくとも、式(I)の、アルカノールアミン、或は、一又は多官能性エポキシドとアンモニア、又は、一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの反応生成物、及び式(II)のウラシル、又は式(III)のそれらの前駆物質を含む安定化剤混合物と、少なくとも一種類のハロゲン含有オキシ酸、例えば過塩素酸塩を含めた組合せも与える。
【0061】
過塩素酸塩は当業者に知られており、それらの例は、式、M(ClO)n(式中、MはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al、La、Ce、又はハイドロタルサイト(hydrotalcite)層状格子陽イオン、又は有機オニウム塩陽イオンである)の塩である。係数nはMの原子価に適切な1、2、又は3であるか、又はハイドロタルサイト層状格子陽イオンが存在するならば、0<n≦1である。
【0062】
これらの過塩素酸塩は、種々のよく知られた供給形態、例えば、水又は有機溶媒に入れた溶液又は塩の形で、そのまま、又はPVC、Ca珪酸塩、ゼオライト、又はハイドロタルサイトのような担体材料上に吸収させて用いることができる。それらの例は、アルコール(ポリオール、シクロデキストリン)を用いて、又はエーテルアルコール、又はエステルアルコール、又はクラウンエーテル、又は可塑剤を用いて溶解するか又は錯体にした過塩素酸塩である。ポリオールの部分的エステルは、ここではエステルアルコールと見做すことができる。多価アルコール又はポリオールの場合、それらの二量体、三量体、オリゴマー、及びポリマーを用いることもでき、それらの例は、ジ−、トリ−、テトラ−、及びポリ−グリコールであり、ジ−、トリ−、及びテトラ−ペンタエリトリトール又はポリビニルアルコールもあり、種々の重合度のものを用いることができる。用いることができる他の溶媒は、燐酸エステルであり、環式及び非環式炭酸エステルも用いられる。他の具体例は、EP 0 394 547、EP 0 457 471、及びWO 94/24200に記載されている。用いられるキャリヤー材料、又はキャリヤーに適用される方法により、過塩素酸塩の構造は無定形、又はさもなければ半結晶又は結晶質でもよい。当業者は、種々の凝集状態の混合物にも気が付くであろう。
【0063】
ナトリウム/カリウム過塩素酸塩を用いるのが好ましい。
【0064】
用いることができる過塩素酸塩の量の例は、PVC100重量部に基づき、0.001〜5重量部であり、0.01〜3重量部であるのが有利であり、特に好ましくは0.01〜2重量部である。
【0065】
塩素含有樹脂の変色を防止するためにエタノールアンモニウム過塩素酸塩を使用することは、JP−A 61−9451に記載されている。これらはアンモニウム塩構造を有する過塩素酸塩であり、それらは過塩素酸溶液に第一級、第二級、又は第三級エタノールアミンを添加することにより得ることができる。アンモニウム過塩素酸塩は、一般に熱及び衝撃に敏感な化合物であり、従って、或る爆発の危険を生じ、それらを工業的に用いるのには不適切なものにしている。
【0066】
本発明は、式(I)の、アルカノールアミン、或は、一又は多官能性エポキシドとアンモニア、又は、一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの反応生成物、の少なくとも一種類、及び式(II)のウラシル、又は式(III)のそれらの前駆物質から構成された安定化剤混合物と、少なくとも一種類の他の慣用的添加剤、又は慣用的安定化剤との組合せも与える。
【0067】
本発明は、式(I)の、少なくとも一種類のアルカノールアミン、或は、一又は多官能性エポキシドとアンモニア、又は、一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの一つの反応生成物、及び式(II)のウラシル、又は式(III)のそれらの前駆物質から構成された安定化剤混合物と、少なくとも一種類の過塩素酸塩と、少なくとも一種類の他の慣用的添加剤、又は慣用的安定化剤との組合せも与える。
【0068】
従って、本発明の組成物は、他の慣用的添加剤で処理されていてもよく、それら添加剤の例は、ポリオール及び2糖類アルコール、ヒドロキシカルボン酸又はそれらの塩、グリシジル化合物、ハイドロタルサイト、ゼオライト(アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルミノ珪酸塩);カルシウムアルミニウム水酸化物又はそれらの水和物の群からの化合物;カルシウムアルミニウムヒドロキソ水素亜燐酸塩又はそれらの水和物の群からの化合物;アルミニウム水酸化物又はそれらの水和物の群からの化合物;カルシウムアルミニウムヒドロキソ(水素)炭酸塩又はそれらの水和物の群からの化合物;リチウム層状格子化合物又はそれらの水和物の群からの化合物;充填剤、金属石鹸、アルカリ金属化合物、及びアルカリ土類金属化合物、充填剤/顔料、潤滑剤、可塑剤、ホスファイト(phosphite)、顔料、エポキシ化脂肪酸エステル、及び他のエポキシ化合物、難燃剤、酸化防止剤、UV吸収剤、ゲル化剤、相容性化剤、静電防止剤、凝集防止剤、光安定化剤、光学的明るさ増加剤、及び膨張剤である。特に好ましいのは、エポキシ化大豆油、アルカリ土類金属石鹸、又はアルミニウム石鹸、及びホスファイトである。
【0069】
これらの付加的成分の例は、後の段階で下に列挙し、説明する〔E.J.ウィックソン(Wickson)による「PVC配合便覧」(Handbook of PVC Formulating)、John Wiley&Sons、ニューヨーク(1993)参照〕。
【0070】
ヒドロカルマイト(hydrocalumite)、カトアイト(catoite)、及びカルシウムアルミニウムヒドロキソ水素亜燐酸塩による塩素含有重合体、特にPVCの安定化は、WO 92/13914、WO 93/25613、DE 3 941 902、及びDE 4 106 411に記載されている。カルシウムアルミニウム水酸化物又はそれらの水和物の群からの化合物は、一般に「ウルマンのエンサイクロペディア・オブ・インダストリアル・ケミストリー」(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry)、第5版(1986):第A5巻、「セメント及びコンクリート」(Cement and Concrete)、第505頁以下;カーク・オスマー、「エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー」、第4版(1993)、第5巻、「セメント」(Cement)、第572頁以下;P.バーンズ(Barnes)「セメントの構造及び性能」(Structure and Performance of Cements)、Appl.Sci.Publ.N.Y.1983;F.M.リー、「セメント及びコンクリートの化学」(The Chemistry of Cement and Concrete)、E.アーノルド出版社(Arnold Publ.)、ロンドン(1971);H.F.W.テイラー(Taylor)、「セメントの化学」(Cement Chemistry)、アカデミック・プレス(Acad.Press)、ロンドン(1992)、第6章、「水和アルミン酸塩相」(Hydrated aluminate phases)、第167頁以下;に記載されている。
【0071】
PVCに対するリチウム層状格子化合物の安定化作用は、例として、EP−A−0 761 756及びDE−A−4 425 275に記載されている。これらの化合物は、もし望むならば、全て表面変性してあってもよい。
【0072】
ポリオール及び二糖類アルコール
用いることができるこの種の化合物の例は、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、トリメチロールエタン、ビストリメチロールプロパン、イノシトール(シクリトール)、ポリビニルアルコール、ビストリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール(ヘキシトール)、マルチトール、イソマルチトール、セロビイトール、ラクチトール、リカシン(Lycasin)、マンニトール、ラクトース、ロイクロース、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、パラチニトール(Palatinitol)、テトラメチロールシクロヘキサノール、テトラメチロールシクロペンタノール、テトラメチロールシクロピラノール、キシリトール、アラビニトール(ペンチトール)、テトリトール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、チオジグリセロール、又は1−0−α−D−グリコピラノシル−D−マンニトール二水和物である。これらの中で好ましいのは二糖類アルコールである。ソルビトールシロップ、マンニトールシロップ、及びマルチトールシロップのようなポリオールシロップを用いることもできる。
【0073】
使用することができるポリオールの量の例は、PVC100重量部に基づき、0.01〜20重量部であり、0.1〜20重量部であるのが有利であり、特に0.1〜10重量部である。
【0074】
ヒドロキシカルボン酸
4より少ないヒドロキシ基、及び10より少ない炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸の塩又は塩の混合物を用いることもできる。これらの中には、特許出願WO 02/06389に詳細に列挙されている化合物がある。一つ又は二つのヒドロキシ基を有する化合物は、特に有効であることが判明している。他の置換パターンが存在していてもよく、それらの例は、アルデヒド、ケト、アリール、アミノ、アミノアルキル、アミノアリール、及び(又は)ハロゲン置換基である。化合物が二つ以上の酸官能基を有する場合、それらの少なくとも一つは塩型になっている。それらの塩は、Li、K、Na、Ca、Mg、Ba、Sr、Al、Fe、La、Ce、Mn、又は亜鉛の群から選択されたものが好ましい。用途によっては、特に乳酸の塩、例えば、乳酸ナトリウム、又はクエン酸の塩が好ましい。
【0075】
グリシジル化合物
それらは、炭素、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に直接結合されたグリシジル基:
【0076】
【化6】

【0077】
を含む。式中、R及びRは両方共水素であり、Rは、水素又はメチルであり、n=0であるか、或はR及びRは一緒になって−CH−CH−、又は−CH−CH−CH−であり、その時Rは、水素であり、n=0又は1である。
【0078】
二つの官能基を有するグリシジル化合物を用いるのが好ましい。しかし、原理的に、一つ、三つ以上の官能基を有するグリシジル化合物を用いることもできる。芳香族基を有するジグリシジル化合物を主に用いる。末端エポキシ化合物の好ましい使用量は、PVC100重量部に基づき、少なくとも0.1部、例えば、0.1〜50重量部であり、1〜30重量部であるのが有利であり、特に1〜25重量部である。
【0079】
ハイドロタルサイト
これらの化合物の化学組成は当業者に知られており、例えば、特許、DE 3 843 581、US 4,000,100、EP 0 062 813、及びWO 93/20135から知られている。
【0080】
ハイドロタルサイト系からの化合物は、次の一般式により記載することができる:
2+1−x3+(OH)(Ab−x/b・dH
式中、
2+=Mg、Ca、Sr、Zn、及びSnからなる群から選択された金属の一種類以上、
3+=Al又はB、
は、原子価nの陰イオンであり、
bは、1〜2の数であり、
0<x 0.5、
mは、0〜20の数である。
好ましいのは次の場合の化合物である:
=OH、ClO、HCO、CHCOO、CCOO、CO2−、(CHOHCOO)2−、(CHCOO)2−、CHCHOHCOO、HPO、又はHPO2−
ハイドロタルサイトの例は次の通りである:
Al・6MgO・CO・12HO(i)、Mg4.5Al(HO)13・CO・3.5HO(ii)、4MgO・Al・CO・9HO(iii)、4MgO・Al・CO・6HO、ZnO・3MgO・Al・CO・8−9HO、及びZnO・3MgO・Al・CO・5−6HO。
i、ii、及びiiiの型のものが特に非常に好ましい。
【0081】
ゼオライト(アルカリ金属及び(又は)アルカリ土類金属のアルミノ珪酸塩)
これらは次の一般式により記述することができる:
x/n[(AlO(SiO]・wH
式中、
nは、陽イオンMの電荷であり;
Mは、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、又はBaのような第1族又は第2族の主たる元素であり;
y:xは、0.8〜15の数であり、好ましくは0.8〜1.2であり;そして
wは、0〜300の数であり、好ましくは0.5〜30である。
【0082】
ゼオライトの例は、次の式のナトリウムアルミノ珪酸塩である:
Na12Al12Si1248・27HO[ゼオライトA];NaAlSi24・2NaX・7.5HO、X=OH、ハロゲン、ClO[ソーダライト];NaAlSi3072・24HO;NaAlSi4096・24HO;Na16Al16Si2480・16HO;Na16Al16Si3296・16HO;Na56Al56Si136384・250HO[ゼオライトY];Na86Al86Si106384・264HO[ゼオライトX];又は、Na原子を、Li原子、K原子、Mg原子、Ca原子、Sr原子、又はZn原子で部分的に又は完全に交換して製造することができるゼオライト、例えば、(Na、K)10Al10Si2264・20HO;Ca4.5Na[(AlO12(SiO12]・30HO;KNa[(AlO12(SiO12]・27HO。
特に非常に好ましいのは、NaゼオライトA及びNaゼオライトPである。
ハイドロタルサイト及び(又は)ゼオライトは、ハロゲン含有重合体100重量部に基づき、例えば、0.1〜20重量部の量で用いることができ、0.1〜10重量部であるのが都合がよく、特に0.1〜5重量部である。
【0083】
カトアイト
カトアイトの群からの本発明の安定化剤組合せに適した化合物は、次の一般式により記載することができる:
CaAl(OH)12・mH
式中、m=0〜10。
【0084】
言及した化合物は、もし適当ならば表面変性されていてもよい。それらは、他のカルシウムアルミニウムヒドロキシ化合物からそれらを区別する非常に特別な結晶格子(ハイドロガーネット構造として知られている)を有する。この結晶格子は、格子分離と一緒になって、C.コーエン・アダド(Cohen−Addad)及びP.ダクロス(Ducros)により文献、Acta Cryst.23.pp.220−225.(1967)に記載されている。例として、これらの材料は、ドイツ特許DE 2 424 763明細書に基づく方法により製造することができる。
【0085】
ハイドロカルマイト
本発明の安定化剤組合せに適した化合物は、次の一般式により記載されるハイドロカルマイトの群から誘導される:
CaAl(OH)2x+3・mH
式中、x=1〜4、及び
m=0〜8。
好ましい化合物は、上の一般式で
x=2又は3
の場合の化合物である。
【0086】
カルシウムアルミニウムヒドロキシ(水素)亜燐酸塩
塩基性CHAP、カルシウムアルミニウムヒドロキシ水素亜燐酸塩の群からの適当な化合物は、次の一般式を有する:
CaAl(OH)2(x+2)HPO・mH
式中、x=2〜8、及び
m=0〜12であり、
或は、
CaAl(OH)2(x+3−y)(HPO・mH
式中、x=2〜12、
(2x+5)/2>y>0、及び
m=0〜12であり、
但し、x=2〜8の場合、y=1である。
【0087】
下の一般式:
2+(2+x)Al3+(1+y)(OH)(6+z)j−[Bn1・mH
の金属陽イオンM及び酸陰イオンA又はBの変更によるハイドロカルマイトの別の例は、特許WO 02/098964明細書の第18頁〜20頁に詳細に記述されている。一つの好ましい態様として、Mはカルシウムであり、それはマグネシウム、又は亜鉛、又はマグネシウム及び亜鉛との混合物として存在していてもよい。好ましい態様の目的から、重金属亜鉛を含まないように組成を選択する。表面処理が望ましい場合には、従って、当業者に知られている方法及び反応物を用いて生成物を修正することができる。
【0088】
リチウム層状格子化合物
リチウムアルミニウム層状格子化合物は、次の一般式A:
LiMII(b−2a)Al(2+a)OH(4+2b)An−2/n・mH
〔式中、
MIIは、Mg、Ca又はZnであり、
Anは、選択された原子価nの陰イオンであるか、又は陰イオンの混合物であり、
指数は、次の範囲にある:
0<a<(b−2)/2、
1<b<6、及び
m=0〜30であり、
但し、b−2a>2である。〕
を有し、或は一般式B:
[Al(Li(1−x)・MII)(OH)]n(An1+x・mH
(式中、
MII、A、m、及びnは、上で定義した通りであり、そして
xは、条件、0.01≦x<1に従う。)
を有する。
【0089】
言及した層状格子化合物の製造は、水酸化リチウム、酸化リチウム、及び(又は)水酸化物へ転化することができるその化合物、金属(II)水酸化物、金属(II)酸化物、及び(又は)言及した金属から誘導され、水酸化物へ転化することができるそれらの化合物、及び水酸化アルミニウム、及び(又は)水酸化物へ転化することができるそれらの化合物、及び更に酸、及び(又は)それらの塩又はそれらの混合物を、水性媒体中で8〜10のpHで、20〜250℃の温度で互いに反応させ、得られた固体反応生成物を分離することを特徴とする。反応時間は、0.5〜40時間であるのが好ましく、特に3〜15時間である。
【0090】
上に記載した反応から直接得られた生成物は、既知の方法により、好ましくは濾過により、水性反応媒体から分離することができる。反応から分離された生成物は、それ自体既知のやり方で、例えば、濾滓を水で洗浄し、例えば、60〜150℃、好ましくは90〜120℃の温度で前記洗浄した濾滓を乾燥することにより処理する。アルミニウムとの反応のため、水酸化ナトリウムと組合せて微粒子の活性化金属(III)水酸化物を用いるか、或はNaAlOを用いることができる。リチウム、又は言及した金属(II)化合物の一種類を、微粒子状酸化リチウム、又は微粒子状の水酸化リチウム、又はそれらの混合物の形で、或は微粒子状の金属(II)酸化物、又は微粒子状の金属(II)水酸化物又はそれらの混合物の形で用いてもよい。対応する酸陰イオンは、種々の濃度で、例えば、直接酸の形で、又は外に塩の形で用いてもよい。
【0091】
反応温度は、約20〜250℃であるのが好ましく、一層好ましくは約60〜180℃である。触媒及び促進剤は不必要である。物質の結晶水は、加熱により完全に又は部分的に除去することができる。
【0092】
安定化剤としてそれらを用いる場合、乾燥した層状格子化合物は、PVCの場合、160〜220℃の通常の処理温度では、水又は他のどのようなガスでも発生せず、従って成形物に水疱欠陥を生じない。
【0093】
上記一般式中の陰イオンAnは、硫酸、亜硫酸、硫化物、チオ硫酸、過酸化物、ペルオキソ硫酸、ペルオキソ二硫酸、燐酸水素、亜燐酸水素、炭酸、ハロゲン化物、硝酸、亜硝酸、硫酸水素、炭酸水素、亜硫酸水素、硫化水素、燐酸二水素、亜燐酸二水素、モノカルボン酸陰イオン、例えば、酢酸及び安息香酸、アミド、アジド、水酸化物、ヒドロキシルアミン、ヒドロアジド、アセチルアセトネート、フェノレート、擬ハロゲン化物、岩塩、ハレート(halate)、ペルハレート、過沃素酸、過マンガン酸、二カルボン酸の二陰イオン、例えば、フタル酸、蓚酸、マレイン酸、又はフマール酸、ビスフェノレート、燐酸、ピロ燐酸、亜燐酸、ピロ亜燐酸、トリカルボン酸の三陰イオン、例えば、クエン酸、トリスフェノレート、及び多くの他のもの、その他それらの混合物の陰イオンにすることができる。これらの中で、水酸化物、炭酸、亜燐酸、及びマレイン酸のイオンが好ましい。
【0094】
ハロゲン含有熱可塑性重合体組成物中の物質の分散性を改良するため、それらを、高級脂肪酸、例えば、ステアリン酸、陰イオン性表面活性剤、シランカップリング剤、チタン酸カップリング剤、又は脂肪酸のグリセロールエステルで表面処理してもよい。
【0095】
上に記載した、カルシウムアルミニウム水酸化物、カルシウムアルミニウムヒドロキソ水素亜燐酸塩、アルミニウム水酸化物、カルシウムアルミニウムヒドロキソ(水素)炭酸塩、及びリチウム層状格子化合物は、結晶質であるのみならず、半結晶質及び(又は)無定形でもよい。
【0096】
充填剤
炭酸カルシウム、ドロマイト、ウォラストナイト、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸塩、陶土、タルク、ガラス繊維、ガラスビーズ、木粉、雲母、金属酸化物又は金属水酸化物、カーボンブラック、黒鉛、岩石粉、重晶石、ガラス繊維、タルク、カオリン、及び白亜のような充填剤を用いる。白亜〔E.J.ウィックソン(Wickson)による「PVC配合便覧」、John Wiley&Sons.Inc.、(1993)、第393頁〜449頁〕及び補強剤〔R.ゲヒテル(Gaechter)、H.ミュラー(Mueller)、「プラスチック添加剤便覧」(TASCHENBUCH der Kunststoff−additive)(Plastics Additives Handbook)、カール・ハンサー出版(Carl Hanser)(1990)、第549頁〜615頁〕が好ましい。充填剤は、PVC100重量部に基づき、好ましくは少なくとも1重量部、例えば、5〜200重量部の量で用いられ、10〜150重量部であるのが都合がよく、特に15〜100重量部である。
【0097】
金属石鹸
金属石鹸は、主に金属カルボン酸塩で、比較的長い鎖のカルボン酸のものが好ましい。これらのよく知られた例は、ステアリン酸塩及びラウリン酸塩であり、更にオレイン酸塩、及び比較的短い鎖の脂肪族又は芳香族アルカンカルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、ヘキサン酸、ソルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマール酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸、ピロメリト酸の塩である。
【0098】
言及すべき金属は、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al、La、Ce、及び稀土類金属である。所謂相乗的混合物、例えば、バリウム/亜鉛安定化剤、マグネシウム/亜鉛安定化剤、カルシウム/亜鉛安定化剤、又はカルシウム/マグネシウム/亜鉛安定化剤がしばしば用いられている。金属石鹸は、単独又は混合物として用いることができる。一般的金属石鹸についての概説は、「ウルマンのエンサイクロペディア・オブ・インダストリアル・ケミストリー」、第5版(1985):第A16巻、第361頁以下に見出される。言及した化合物の外に、有機アルミニウム化合物、上で言及した化合物に類似した化合物、特に三ステアリン酸アルミニウム、二ステアリン酸アルミニウム、及び一ステアリン酸アルミニウムを用いてもよく、酢酸アルミニウム、及びそれらから誘導された塩基性誘導体を用いてもよい。
【0099】
US 4,060,512及びUS 3,243,394は、用いることができるアルミニウム化合物及び好ましい化合物に関連して更に説明を与えている。
【0100】
上述の化合物の外に、有機稀土類化合物、特に上述の化合物に類似した化合物を用いてもよい。稀土類化合物と言う用語は、特にセリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ランタン、及びイットリウムの元素の化合物を意味し、セリウムとの混合物が特に好ましい。他の好ましい稀土類化合物は、EP−A−0 108 023に見出される。用いることができる金属石鹸又はそれらの混合物の使用量の例は、PVC100重量部当たり、0.001〜10重量部であり、0.01〜8重量部であるのが有利であり、特に好ましくは0.05〜5重量部である。
【0101】
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の化合物
本発明の目的から、これらは主に上に記載した酸のカルボン酸塩であるが、対応する酸化物、又は夫々水酸化物又は炭酸塩である。それらと有機酸との混合物も可能である。それらの例は、LiOH、NaOH、KOH、CaO、Ca(OH)、MgO、Mg(OH)、Sr(OH)、Al(OH)、CaCO、及びMgCO〔及び更にマグネシアアルバ(alba)及びハンタイト(huntite)のような塩基性炭酸塩〕、及びNa及びKの脂肪酸塩である。アルカリ土類金属カルボン酸塩及びZnカルボン酸塩の場合には、所謂「過塩基性」化合物である、それらと、MO又はM(OH)(M=Ca、Mg、Sr、又はZn)との付加物を使用することもできる。本発明による安定化剤の外に、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ土類金属カルボン酸塩、及び(又は)アルミニウムカルボン酸塩を用いるのが好ましい。
【0102】
潤滑剤
可能な潤滑剤の例は、モンタン(montan)ワックス、脂肪酸エステル、(ox.)ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、(ox.)パラフィンワックス、アミドワックス、クロロパラフィン、グリセロールエステル、及びアルカリ土類金属石鹸、及び脂肪ケトン、及び複雑なエステルに基づく、EP 0 259 783に列挙されている潤滑剤又は潤滑剤の組合せである。用いることができる他の潤滑剤は、「プラスチック添加剤便覧」、カール・ハンサー出版、第5版(2001)、第511頁〜第552頁に言及されている。
【0103】
可塑剤
有機可塑剤の例は、次の群からのものである:
A) フタレート:例えば、好ましくはジ−2−エチルヘキシル、ジイソノニル、及びジイソデシルフタレート、一般的省略記号DOP(ジオクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート)、DINP(ジイソノニルフタレート)、DIDP(ジイソデシルフタレート)としても知られている。
B) 脂肪族ジカルボン酸のエステル、特にアジピン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸のエステル、好ましくはアジピン酸ジ−2−エチルヘキシル及びアジピン酸ジイソオクチル。
C) トリメリトエステル、例えば、トリメリト酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリト酸トリイソデシル(混合物)、トリメリト酸トリイソトリデシル、トリメリト酸トリイソオクチル(混合物)、及びトリメリト酸トリ−C〜C−アルキル、トリ−C〜C10−アルキル、トリ−C〜C−アルキル、及びトリ−C〜C11−アルキル。一般的省略記号はTOTM(トリメリト酸トリオクチル、トリメリト酸トリ−2−エチルヘキシル)、TIDTM(トリメリト酸トリイソデシル)、及びTITDTM(トリメリト酸トリイソトリデシル)である。
D) エポキシ可塑剤:ここでの例として、エポキシ化不飽和脂肪酸、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化菜種油、エポキシ化獣脂油、エポキシ化オリーブ油を言及してもよい。言及される他のエポキシ化脂肪酸エステルは、WO 02/060884A1に記載されている脂肪酸のモノエステル及び一価アルコールに基づく種々のものである。エポキシ化脂肪酸エステルの別の種々のものは、例えば、DE−A−3 004 660に記載されているトリアセチンのエステル交換により製造される。これらの中には、エポキシ化脂肪酸エステルのトリアセチンとのエステル交換により得ることができるエポキシ化グリセリドアセテートがある。ここでのモル比は、もし望むならば、適当なジグリセリドモノアセテートが定量的に優勢になるように選択することができる。詳細な例及び方法は、特許WO 02/060884A1明細書に記載されている。モノグリセリドジアセテートのような他の誘導体の製造は、US−A2−895966にも記載されている。実際に記載されている混合物の全ては、殆どエステル交換反応により誘導された複雑な混合物を含んでいる。
【0104】
E) 重合体可塑剤:ポリエステル可塑剤を製造するための最も一般的な出発材料は、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、又はセバシン酸のようなジカルボン酸;1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、及びジエチレングリコールのようなジオール;である。
F) 燐酸エステル:これらのエステルの定義は、上述の「プラスチック添加剤便覧」(Taschenbuch der Kunststoffadditive)(Plastics Additives Handbook)、第5.9.5章、第408頁〜第412頁に与えられている。これらの燐酸エステルの例は、燐酸トリブチル、燐酸トリ−2−エチルブチル、燐酸トリ−2−エチルヘキシル、燐酸トリクロロエチル、燐酸2−エチルヘキシルジフェニル、燐酸クレシルジフェニル、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレシル、及び燐酸トリキシレニルである。燐酸トリス(2−エチルヘキシル)及びレオホス(Reofos)(登録商標名)50及び95〔チバ・スペジアリテーテンケミー〕(Ciba Spezialitaetenchemie)が好ましい。
G) 塩素化炭化水素(パラフィン)
H) 炭化水素
I) モノエステル、例えば、オレイン酸ブチル、オレイン酸フェノキシエチル、オレイン酸テトラヒドロフリフリル、及びスルホン酸アルキル。
J) グリコールエステル、例えば、安息香酸ジグリコール。
K) クエン酸可塑剤の代表的なもの。これらの中には、WO 02/094927に記載されているような、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸から誘導された、一般式Bのクエン酸エステルがある:
R1−O−C−(COOR)(CH−COOR)
式中、
各Rは、4〜18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキルラジカルであり、R1=Hであるか、又はR1=R2COである。
もしR1がHでないならば、R2は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖ラジカルである。クエン酸エステルで用いられる好ましいアルコール成分Rは、C〜C14アルカノールであり、それは分岐していてもいなくてもよく、ここでアルカノールラジカルは同じでも異なっていてもよい。
非限定的例として列挙することができる化合物は、クエン酸トリエチル〔シトロホル(Citrofol)AI〕、クエン酸トリブチル(シトロホルBI)、アセチルクエン酸トリエチル(シトロホルAII)、アセチルクエン酸トリブチル(シトロホルBII)、アセチルクエン酸トリ−n−ヘキシル、n−ブチリルクエン酸トリ−n−ヘキシル、アセチルクエン酸トリ−n−(ヘキシル/オクチル/デシル)、及びアセチルクエン酸トリ−n−(オクチル/デシル)である。
L) ペルヒドロフタル酸、ペルヒドロイソフタル酸、及びペルヒドロテレフタル酸のエステル、及び過水素化安息香酸グリコール、及び過水素化安息香酸ジグリコールエステル。DE 19.756.913、DE 19.927.977、DE 19.927.978、及びDE 19.927.979に記載されているように、過水素化フタル酸ジイソノニル〔ヘキサモール(Hexamoll)DINCH−BASF〕が好ましい。
【0105】
これらの可塑剤の定義及びそれの例は、R.ゲヒテル、H.ミュラー、「プラスチック添加剤」(Kunststoffadditive)(Plastics Additives)、カール・ハンサー出版、第3版(1989)、第5.9.6章、第412頁〜第415頁、及びW.V.チトウ(Titow)「PVC技術」(PVC Technology)、エルセビア出版社(Elsevier Publ.)、第4版(1984)、第165頁〜第170頁に記載されている。異なった可塑剤の混合物を用いることもできる。
【0106】
用いることができる可塑剤の量の例は、PVC100重量部に基づき、5〜20重量部であり、10〜20重量部であるのが都合がよい。固体又は半固体PVCは、可塑剤を10%まで、特に好ましくは5%まで含有し、可塑剤を含まなくてもよい。
【0107】
顔料
適当な物質は当業者に知られている。無機顔料の例は、TiO、酸化ジルコニウムに基づく顔料、BaSO、酸化亜鉛(亜鉛白)及びリトポン(lithopone)(硫化亜鉛/硫酸バリウム)、カーボンブラック、カーボンブラック・二酸化チタン混合物、酸化鉄顔料、Sb、(Ti、Ba、Sb)O、Cr、コバルトブルー及びコバルトグリーンのようなスピネル、Cd(S、Se)、ウルトラマリーン・ブルーである。有機顔料の例は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジケト−ピロロピロール顔料、及びアントラキノン顔料である。微粉砕型のTiOも好ましい。定義及び一層の説明は、E.J.ウィックソン(Wickson)による「PVC配合便覧」(Handbook of PVC Formulating)、John Wiley&Sons、ニューヨーク(1993)に見出される。
【0108】
亜燐酸エステル
有機亜燐酸エステルは、塩素含有重合体の安定化剤として知られている。それらの例は、亜燐酸トリオクチル、トリデシル、トリドデシル、トリトリデシル、トリペンタデシル、トリオレイル、トリステアリル、トリフェニル、トリクレシル、トリスノニルフェニル、トリス−2,4−t−ブチルフェニル、又はトリシクロヘキシルである。
【0109】
他の適当な亜燐酸エステルは、亜燐酸アリールジアルキル、又はアルキルジアリール、例えば、亜燐酸フェニルジオクチル、フェニルジデシル、フェニルジドデシル、フェニルジトリデシル、フェニルジテトラデシル、フェニルジペンタデシル、オクチルジフェニル、デシルジフェニル、ウンデシルジフェニル、ドデシルジフェニル、トリデシルジフェニル、テトラデシルジフェニル、ペンタデシルジフェニル、オレイルジフェニル、ステアリルジフェニル、及びドデシルビス−2,4−ジ−t−ブチルフェニルの種々の混合物である。
【0110】
種々のジ−又はポリオールの亜燐酸エステルを用いるのも有利である。それらの例は、二亜燐酸テトラフェニルジプロピレングリコール、亜燐酸ポリジプロピレングリコールフェニル、二亜燐酸テトラメチロールシクロヘキサノールデシル、二亜燐酸テトラメチロールシクロヘキサノールブトキシエトキシエチル、二亜燐酸テトラメチロールシクロヘキサノールノニルフェニル、二亜燐酸ビスノニルフェニルジトリメチロールプロパン、二亜燐酸ビス−2−ブトキシエチルジトリメチロールプロパン、三亜燐酸トリスヒドロキシエチルイソシアヌレートヘキサデシル、二亜燐酸ジデシルペンタエリトリトール、二亜燐酸ジステアリルペンタエリトリトール、二亜燐酸ビス−2,4−ジ−t−ブチルフェニルペンタエリトリトール、及びこれらの亜燐酸エステルの混合物、及び経験的組成物、(H19)O1.5P(OC121325271.5、又は[C17−C−O−]P[i−C17O]、(H19)O1.5P(OC1119231.5の亜燐酸アリール/アルキル混合物である。
【0111】
用いることができる有機亜燐酸エステルの量の例は、PVC100重量部に基づき、0.01〜10重量部であり、0.05〜5重量部であるのが有利であり、特に0.1〜3重量部である。
【0112】
エポキシ化脂肪酸エステル及び他のエポキシ化合物
本発明の安定化剤の組合せは、少なくとも一種類のエポキシ化脂肪酸エステルを含むのも好ましい。天然原料からの脂肪酸のエステル(脂肪酸グリセリド)は、特にここで用いることができ、それらの例は、大豆油、又は菜種油である。しかし、エポキシ化オレイン酸ブチルのような合成生成物を用いることもできる。エポキシ化ポリブタジエン及びポリイソプレン、もし適当ならば部分的にヒドロキシル化した形態のもの、又は単独重合体又は共重合体の形態のアクリル酸グリシジル及びメタクリル酸グリシジルを用いることもできる。これらのエポキシ化合物は、アルミノ塩化合物に適用されていてもよく、これに関しては、DE−A−4 031 818も参照されたい。
【0113】
酸化防止剤
アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、アルキル化ヒドロキノン、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ヒドロキシベンジル芳香族、例えば1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、トリアジン化合物、例えば、2,4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ホスホン酸エステル及びホスホナイト(phosphonite)、例えば、ホスホン酸ジメチル2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル、アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウルアニリド、一又は多価アルコールと、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とのエステル、β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸とのエステル、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とのエステル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸とのエステル、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、ビタミンE(トコフェロール)、及び誘導体。
【0114】
用いることができる酸化防止剤の量の例は、PVC100重量部に基づき、0.01〜10重量部であり、0.1〜10重量部であるのが有利であり、特に0.1〜5重量部である。
【0115】
UV吸収剤及び光安定化剤
これらの例は、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、非置換又は置換安息香酸のエステル、例えば、サリチル酸4−t−ブチルフェニル、サリチル酸フェニル、アクリル酸エステル、ニッケル化合物、オキサルアミド、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルオキサニリド、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、立体障害アミン、例えば、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)、コハク酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)である。
【0116】
発泡剤
発泡剤の例は、有機アゾ化合物及び有機ヒドラゾ化合物、テトラゾール、オキサジン、イサト酸無水物、及びソーダ及び炭酸水素ナトリウムである。アゾジカルボナミド及び炭酸水素ナトリウム及びそれらの混合物が好ましい。
【0117】
衝撃変性剤及び処理助剤、ゲル化剤、静電防止剤、殺生物剤、金属不活性化剤、光学的明るさ増加剤、難燃剤、凝集防止剤、相容性化剤の定義及び例は、R.ゲヒテル、H.ミュラー、「プラスチック添加剤」(Kunststoffadditive)(Plastics Additives)、カール・ハンサー出版、第3版(1989);H.ツヴァイフェル(Zweifel)、「プラスチック添加剤便覧」(Plastics Additives Handbook)、カール・ハンサー出版、第5版(2001);及びE.J.ウイルソン(Wilson)、「塩化ビニル配合便覧」(Handbook of Polyvinyl Chloride Formulating)、J.Wiley&Sons、(1993);及びG.プリチャード(Pritchard)「プラスチック添加剤」(Plastics Additives)、Chapman&Hall、ロンドン、第1版(1998)に記載されている。
衝撃改良剤は、J.T.ラッツ(Lutz)、D.L.デュンケルベルガー(Dunkelberger)「PVCのための衝撃改良剤」(Impact Modifiers for PVC)、John Willy&Sons、(1992)にも詳細に記述されている。
【0118】
本発明は、更に塩素含有重合体を含み、本発明の安定化剤混合物を含む組成物を与える。
【0119】
塩素含有重合体で安定化を達成するために、これらの組成物で一般式(I)の化合物の使用量は、PVC100重量部に基づき、0.01〜10重量部であるのが有利であり、好ましくは、0.05〜5重量部、特に0.1〜2重量部である。
【0120】
塩素含有重合体で安定化を達成するために、これらの組成物で一般式(II)の化合物の使用量は、PVC100重量部に基づき、0.01〜10重量部であるのが有利であり、好ましくは、0.05〜5重量部、特に0.1〜2重量部である。
【0121】
塩素含有重合体で安定化を達成するために、これらの組成物で一般式(III)の化合物の使用量は、PVC100重量部に基づき、0.01〜10重量部であるのが有利であり、好ましくは、0.05〜5重量部、特に0.1〜2重量部である。
【0122】
用いることができる過塩素酸塩の使用量の例は、PVC100重量部に基づき、0.001〜5重量部であり、0.01〜3重量部であるのが有利であり、特に好ましくは、0.01〜2重量部である。
【0123】
安定化される塩素含有重合体の例は、塩化ビニル、塩化ビニリデンの重合体、塩化ビニル単位を含む構造体をもつビニル樹脂、例えば塩化ビニルと脂肪酸のビニルエステル、特に酢酸ビニルとの共重合体、塩化ビニルと、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル及びアクリロニトリルとの共重合体、塩化ビニルと、ジエン化合物及び不飽和ジカルボン酸又はそれらの無水物との共重合体、例えば、塩化ビニルと、マレイン酸ジエチル、フマール酸ジエチル、又は無水マレイン酸との共重合体、後塩素化重合体、及び塩化ビニルの共重合体、塩化ビニル及び塩化ビニリデンと、不飽和アルデヒド、ケトン、その他、例えば、アクロレイン、クロトンアルデヒド、ビニルメチルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等との共重合体;塩化ビニリデンの重合体、及びそれと塩化ビニル及び他の重合可能な化合物との共重合体;クロロ酢酸ビニル及びジクロロジビニルエーテルの重合体;酢酸ビニルの塩素化重合体、アクリル酸エステルとα−置換アクリル酸との塩素化重合体;塩素化スチレン、例えばジクロロスチレンの重合体;塩素化ゴム;エチレンの塩素化重合体;クロロブタジエンの後塩素化重合体、及びこれらと塩化ビニルとの共重合体、塩素化天然又は合成ゴム;及び言及した重合体と、それら自身、又は他の重合可能な化合物との混合物である。本発明の目的から、PVCは、重合可能な化合物、例えば、アクリロニトリル、酢酸ビニルとの共重合体、又はABSが含まれ、それらは懸濁重合体、塊状重合体、又は他のエマルジョン重合体でもよい。PVC単独重合体が好ましく、ポリアクリレートとの組合せも好ましい。
【0124】
他の可能な重合体は、PVCと、EVA、ABS、又はMBSとのグラフト重合体である。他の好ましい物質は、上述の単独重合体と共重合体との混合物であり、特に塩化ビニル単独重合体と、他の熱可塑性及び(又は)エラストマー重合体との混合物、特にABS、MBS、NBR、SAN、EVA、CPE、MBAS、PMA、PMMA、EPDM、又はポリラクトンとの混合物、特にABS、NBR、NAR、SAN、及びEVAからなる群からのものとの混合物である。共重合体について用いた省略記号は、専門家にはよく知られており、次の意味を有する:ABS:アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン;SAN:スチレン・アクリロニトリル;NBR:アクリロニトリル・ブタジエン;NAR:アクリロニトリル・アクリレート;EVA:エチレン・酢酸ビニル。他の可能な重合体は、特にアクリレートに基づくスチレン・アクリロニトリル共重合体である(ASA)。これに関連して好ましい成分は、成分(i)及び(ii)として、25〜75重量%のPVC及び75〜25重量%の言及した共重合体の混合物を含む重合体組成物である。特に重要な成分は、(i)100重量部のPVC、及び(ii)0〜300重量部のABS及び(又は)SAN変性ABS、及び0〜80重量部の共重合体、NBR、NAR、及び(又は)EVA、特にEVAから構成された組成物である。本発明の目的から、塩素含有重合体、特に上で一層詳細に記述した重合体で、処理、使用、又は貯蔵により劣化している重合体のリサイクルされた材料を安定化することもできる。PVCのリサイクルされた材料が特に好ましい。
【0125】
本発明により同時に用いることができる化合物及び塩素含有重合体は専門家によく知られており、R.ゲヒテル、H.ミュラー、「プラスチック添加剤」(Kunststoffadditive)(Plastics Additives)、カール・ハンサー出版、第3版(1989);DE 197 41 778、及びEP−A−99 105 418.0(03.17.1999)(それらの記載は参考のためここに入れてある)に詳細に記述されている。
【0126】
塩素含有重合体組成物のための本発明の安定化剤系は、非可塑化、又は可塑剤を含まない、又は実質的に可塑剤を含まない組成物によって表される。
【0127】
本発明の組成物は、非可塑化配合物の形で、中空物品(瓶)、包装用フォイル(foil)(熱成型性フォイル)、吹き込みフォイル、防護パッドフォイル(自動車)、パイプ、発泡体、大型プロファイル(profile)(窓枠)、薄い壁型プロファイル、構造プロファイル、外側被覆、建具、オフィスフォイル、及び装置ケース(コンピューター、家庭用機器)に特に適している。可塑化配合物の形で好ましい他の組成物は、ワイヤー被覆材料、ケーブル絶縁体、装飾フォイル、屋根葺き材料、発泡体、農業用シート、ホース、密封用プロファイル、オフィスフォイル、空気支持構造体のためのシートに適している。
【0128】
プラスチゾルの形態で本発明の組成物を使用する例は、合成皮革、床材、織物被覆、壁覆い、金属被覆(コイル被覆)、及びモーター乗り物のための下側保護材である。本発明の組成物のシンターされた(sintered)PVC用途の例は、潤滑剤、金属被覆、及びフォイル被覆、及びEPVCセクタ(sector)中のルビサーム(Luvitherm)フォイルである。
【0129】
安定化剤は、次の方法で配合するのが有利であろう:エマルジョン又は分散物の形態(可能な形態の一例はペースト状混合物の形態であり、その供給形態での本発明の組合せの利点は、ペーストの安定性である);添加成分の混合中の乾燥混合物、又は重合体混合物の形態;処理装置(例えば、カレンダー、混合機、混練機、押し出し機等)へ直接添加することにより、又は一パック系の形で塵を含まない状態での溶液又は溶融物、又はフレーク、又は粒子/ペレットの形態。
【0130】
本発明により与えられる本発明の安定化されたPVCのようなものは、それ自体既知のやり方で製造することができ、この目的のため、本発明の安定化剤混合物、及び、もし適当ならば、他の添加剤を、上述の処理装置のようなそれ自体既知の装置を用いてPVCと混合する。ここでの安定化は、個々に、又は混合物として、さもなければマスターバッチとして知られている形態で添加することができる。
【0131】
本発明によって安定化されたPVCは、既知の方法により希望の形へ変えることができる。これらの方法の例は、粉砕、カレンダー掛け、押出し、射出成形、紡糸、又はその他押出し吹き込み成形である。安定化PVCは発泡体を与えるように処理することもできる。
【0132】
例として、本発明により安定化されたPVCは、中空物品(瓶)、包装用フォイル(熱成型性フォイル)、吹き込みフォイル、パイプ、発泡体、大型プロファイル(窓枠)、薄い壁型プロファイル、構造プロファイル、外側被覆、建具、オフィスフォイル、及び装置ケース(コンピューター、家庭用機器)に特に適している。
本発明のPVCは、半固体及び可塑化配合物のために特に適しており、特にワイヤー被覆材料、ケーブル絶縁体のための可塑化配合物の形で適しており、それが特に好ましい。半固体配合物の形態では、本発明のPVCは、装飾フォイル、発泡体、農業用シート、ホース、密封用プロファイル、及びオフィスフォイルのために特に適している。
【0133】
プラスチゾルの形態で本発明のPVCを使用する例は、合成皮革、床材、織物被覆、壁、覆い、金属被覆、コイル被覆、及びモーター乗り物のための下側保護材である。
【0134】
本発明により安定化されたシンターされたPVCの用途の例は、プラスチゾル配合物、半固体配合物、及び可塑化配合物については、潤滑用被覆及びコイル被覆である。これに関連して更に詳細な点については、W.ベッカー(Becker)、H.ブラウン(Braun)「プラスチック便覧PVC」(Kunststoffhandbuch PVC)(Plastics handbook PVC)、カール・ハンサー出版、第2版(1985)、第2/2巻、第1236頁〜第1277頁を参照されたい。
【0135】
下の実施例は、本発明を例示するが、それを限定するものではない。明細書の他の所と同様に、部及び%に関連したデーターは、重量に基づく。
【0136】
(実施例)
試験配合物の組成を、下の表の中に与える。データーは、PVC樹脂の100重量部に基づく重量部で与えられている。
【0137】
夫々の乾燥混合物から出発して、配合物に従ってストリップを押出すのに実験式押出し機を用いた。ストリップを製造するため、PVC粉末混合物及び言及した添加剤を、慣用的高温/低温混合技術により調製し、二軸押出機中で均質化し、プラスチック状にした。
【0138】
押出しパラメーターは、次の通りである:ウエバー(Weber)CE−3、円錐型二軸押出機:スクリュー回転速度、13rpm、個々の領域で温度制御:バレル区分、領域1、170℃;領域2、165℃;領域3、170℃;及び領域4、180℃。ダイス温度は190℃に調節した。ダイス形状:50×2mm。
【0139】
初期の色は、ASTM D1925−70に従い黄色指数(YI)として決定した。結果を下の表に与える。低いYI値は、良好な安定化を意味する。
【0140】
長期安定性は、更にDIN VDE 0472に従い熱安定性の決定により決定した。ここでは試験片を、油浴中に入れたガラス管中で200℃に加熱した。管の底は溶融密封されており〔ダルムスタットのペコ・ラボルベダルフ社(Peco−Laborbedarf GmbH)からのARガラス〕、汎用pH指示紙の目に見える赤色着色が観察された(pH3に相当する)時間を決定した。
【0141】
PVCの安定性を、更にDIN 53381、シート3に基づく方法により行なった脱塩化水素試験(DHC試験)により決定した。ここで、脱塩化水素曲線が200μS/cmの伝導度へ上昇するのに必要な時間を180℃で測定した。
【0142】
例1
【0143】
【表1】

【0144】
PVCシン・エツ(Shin Etsu)6704、K値67(シン・エツによる)。
化合物1=9%のNaClO、45%のCaCO、40%のCaSiO、6%のHOから構成された混合物。
マークルーブ(Marklube)367=パラフィンワックス〔クロンプトン(Crompton)による〕。
リコワックス(Licowax)PE520=ポリエチレンワックス〔クラリアント(Clariant)による〕。
AC 629 A=酸化ポリエチレンワックス〔ハニーウエル(Honeywell)による〕。
TEA=市販製品の形のトリエタノールアミン。
1,3−ジメチル−4−アミノウラシル、市販製品のもの。
【0145】
表から、本発明の組成物A6は、比較混合物と比較すると、驚くべき安定化作用を有することがわかる。このことは、明らかに本発明の目的である初期色の改良を明らかに満足している。処理性を評価するためには、充分な処理安定性を与えるのに、試験片の初期色が特に重要である。ここではYI値の僅かな違いでも関係がある。構造(I)の化合物と、構造(II)の化合物との組合せの特別な効果は、ここでは顕著であると思われる。式(I)の化合物は、単独で用いると、比較例A4及びA5によって示されるように、PVCの初期色に対する満足な効果をもたない。例A6に示したように、式(II)の化合物と組合せた場合にのみ相乗的効果が発揮される。ウラシルと組合せてアルカノールアミンを使用することによる重合体の安定化は、本発明の例A7で示したように、過塩素酸塩の添加により更に一層増大することができることも解る。
【0146】
例2
【0147】

【表2】

【0148】
PVCシン・エツ6704、K値67(シン・エツによる)。
化合物1=9%のNaClO、45%のCaCO、40%のCaSiO、6%のHOから構成された混合物。
マークルーブ367=パラフィンワックス(クロンプトンによる)。
リコワックスPE520=ポリエチレンワックス(クラリアントによる)。
AC 629 A=酸化ポリエチレンワックス(ハニーウエルによる)。
TEA=市販製品の形のトリエタノールアミン。
【0149】
本発明の組成物B3は、比較混合物と比較すると、改良された安定剤作用を有することが表から解る。このことは、本発明の目的である初期色の改良を明らかに満足している。処理性を評価するためには、試験片の初期色の範囲が特に重要である。構造(I)の化合物と、構造(III)の化合物との組合せの特別な効果は、ここでは顕著であると思われる。
【0150】
例3/1
次の配合物を、混合ロールで5分間180℃で圧延した。形成された圧延シートを用いて、予熱されたマルチデイライト(multi daylight)シートプレスで180℃で加圧シートを形成した。加圧シートの厚さは1mmであり、加圧時間は1分であった。黄色指数をASTM D1925−70により決定した。低いYI値は良好な安定化を意味し、夫々初期色に関する。大きな%は良好な透明性を意味する。
【0151】
【表3】

【0152】
エビポル(Evipol)5730PVC、K値57(EVCによる)。
パラロイド(Paraloid)K 175/K 120N=アクリレート処理助剤〔ローム・アンド・ハース(Rohm&Haas)による〕。
パラロイド BTA III/N2=メタクリレート・ブタジエン・スチレン変性剤(ローム・アンド・ハースによる)。
Eワックス=エステルワックス/モンタンワックス(クラリアントによる)。
ロキシオール(Loxiol)G16=脂肪酸部分エステル〔ヘンケル(Henkel)による〕。
NaP/HO=30%強度過塩素酸ナトリウム水溶液。
マーク(Mark)CH300=混合アリール/アルキル亜燐酸エステル(クロンプトンによる)。
TEA=市販製品の形のトリエタノールアミン。
【0153】
本発明の組成物C5は、比較混合物と比較すると、安定剤作用の改良を与えることが表から解る。ウラシルと組合せてアルカノールアミンを使用することによる重合体の安定化は、本発明の例C7で示したように、亜リン酸エステルを添加することにより更に一層増大することができることも解る。
【0154】
例3/2
配合物を、混合ロールで5分間180℃で圧延した。形成された圧延シートを用いて、予熱されたマルチデイライト・シートプレスで180℃で加圧シートを形成した。加圧シートの厚さは1mmであり、加圧時間は1分であった。黄色指数をASTM D1925−70により決定した。低いYI値は良好な安定化を意味し、夫々初期色に関する。大きな%は良好な透明性を意味する。
【0155】
【表4】

【0156】
エビポルSH5730PVC、K値57(EVCによる)。
パラロイド K175/K 120N=アクリレート処理助剤(ローム・アンド・ハースによる)。
パラロイド BTA III/N2=メタクリレート・ブタジエン・スチレン変性剤(ローム・アンド・ハースによる)。
Eワックス=エステルワックス/モンタンワックス(クラリアントによる)。
ロキシオールG16=グリセロールの脂肪酸部分エステル(ヘンケルによる)。
NaP/HO=30%強度過塩素酸ナトリウム水溶液。
亜燐酸エステル、マークCH300=混合アリール/アルキル亜燐酸エステル(クロンプトンによる)。
TEA=市販製品の形のトリエタノールアミン。
【0157】
本発明の組成物C10及びC11は、比較混合物と比較すると、安定剤作用の改良を与えることが表から解る。ウラシルと組合せてアルカノールアミンを使用することによる重合体の安定化は、本発明の例C12で示したように、亜燐酸エステルを添加することにより更に一層増大することができることも解る。
【0158】
例4
次の配合物を、混合ロールで5分間180℃で圧延した。形成された圧延シートを用いて、予熱されたマルチデイライト・シートプレスで180℃で加圧シートを形成した。加圧シートの厚さは1mmであり、加圧時間は1分であった。黄色指数をASTM D1925−70により決定した。低いYI値は良好な安定化を意味し、夫々初期色に関する。大きな%は良好な透明性を意味する。コンゴーレッド(Congo Red)値は、DIN 473/811/3/2により200℃で決定した。高い精密な値は、試験片の良好な熱安定性を意味する。200μS/cmの伝導度に到達するのにかかった時間を測定した。この脱塩化水素試験(DHC)による値が大きい程、安定化はよい。
【0159】
【表5】

【0160】
エビポル7020PVC、K値70(EVCによる)。
DEHP=市販製品の形のフタル酸ジ−2−エチルヘキシル。
NaP/BDG=ブチルジグリコール中に入れた30%強度過塩素酸ナトリウム溶液。
TEA=市販製品の形のトリエタノールアミン。
ジエタノールソイアミン=市販製品の形のビス(2−ヒドロキシエチル)ソイアミン。
1,3−ジブチル−4−アミノウラシル。
AC 629 A=酸化ポリエチレンワックス(ハニーウエルによる)。
【0161】
本発明の組成物D5及びD8は、比較混合物と比較すると、改良された安定剤作用を有することが表から解る。
【0162】
例5
配合物を、混合ロールで5分間180℃で圧延した。形成された圧延シートを用いて、予熱されたマルチデイライト・シートプレスで180℃で加圧シートを形成した。加圧シートの厚さは1mmであり、加圧時間は1分であった。黄色指数をASTM D1925−70により決定した。低いYI値は良好な安定化を意味し、夫々初期色に関する。大きな%は良好な透明性を意味する。
【0163】
【表6】

【0164】
エビポル SH 7020 PVC、K値70(EVCによる)。
DEHP=市販製品の形のフタル酸ジ−2−エチルヘキシル。
NaP/BDG=ブチルジグリコール中に入れた30%強度過塩素酸ナトリウム溶液。
ロキシオール G 71 S=多成分エステル潤滑剤(ヘンケルによる)。
TEA=市販製品の形のトリエタノールアミン。
ジエタノールソイアミン=市販製品の形のES−2。
TIPA=市販製品の形のトリイソプロパノールアミン。
【0165】
本発明の組成物E4、E6、及びE8は、比較混合物と比較すると、安定剤作用の改良を与えることが表から解る。本発明の例E9、E10、及びE11で示したように、重合体の安定化は、過塩素酸塩を添加することにより更に一層増大することができることも解る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
a) 式(I)の一種類のアルカノールアミン、
b) 式(II)の一種類のウラシル、
〔ここで、式(I):
【化1】


のアルカノールアミンについて、
x=1、2、又は3;
y=1、2、3、4、5、又は6;
n=1〜10;
及びR=互いに独立に、H、C〜C22−アルキル、−[−(CHR−CHR−O−]−H、−[−(CHR−CHR−O−]−CO−R、C〜C20−アルケニル、C〜C18−アシル、C〜C−シクロアルキル、(ここで、これはβ−位置にOH置換基を持っていてもよい)、C〜C10−アリール、C〜C10−アルカリール、又はC〜C10−アラルキル、或は、もしx=1であるならば、R及びRは、Nと一緒になって炭素原子、及び、適当な場合には、2個までのヘテロ原子をから構成された4〜10員環の閉じた環を形成していてもよく、或は、もしx=2であるならば、RはC〜C18−アルキレンであってもよく、それは、両方のβ−炭素原子の所にOH置換基を持っていてもよく、且つ(又は)一つ以上のO原子及び(又は)一つ以上のNR基によって中断されていてもよく、或はジヒドロキシ置換テトラヒドロジシクロペンタジエニレン、ジヒドロキシ置換エチルシクロヘキサニレン、ジヒドロキシ置換4,4’−(ビスフェノールAジプロピルエーテル)イレン、イソホロニレン、ジメチルシクロヘキサニレン、ジシクロヘキシルメタニレン、又は3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタニレンでもよく、もしx=3であるならば、Rは、トリヒドロキシ置換(トリ−N−プロピルイソシアヌレート)トリイルでもよく;
及びR=互いに独立に、C〜C22−アルキル、C〜C−アルケニル、C〜C10−アリール、H、又はCH−X−R(ここでX=O、S、−O−CO−、又は−CO−O−である);
=C〜C18−アルキル/アルケニル、又はフェニル;及び
=H、C〜C22−アルキル、C〜C22−アルケニル、又はC〜C10−アリール;
であり、式(II):
【化2】


のウラシルについては、
及びRは、互いに独立に、C〜C24−アルキルであり、それは−CO−及び(又は)一つ以上の酸素原子により中断されていてもよく、且つ(又は)一つ以上のOH基により置換されていてもよく、或はC〜C24−アルケニルで、分岐していてもいなくてもよく、或はC〜C−シクロアルキルで、1〜3個のC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、又はC〜C−シクロアルキル基、又はヒドロキシ基、又はCl原子で置換されているか、又は置換されていなくてもよく、或はC〜C−フェニルアルキルで、フェニル環が、1〜3個のC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、又はC〜C−シクロアルキル基、又はヒドロキシ基、又はCl原子で置換されているか、又は置換されていなくてもよく、R又はRは、水素でもよく、YはS又はOである。〕
を含む、塩素含有重合体を安定化するための安定化剤混合物。
【請求項2】
少なくとも、
a) 請求項1に記載の、式(I)の、一又は多官能性エポキシドとアンモニア、又は、一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの一つの反応生成物、及び
b) 請求項1に記載の、式(II)のウラシル
を含む、塩素含有重合体を安定化するための安定化剤混合物。
【請求項3】
少なくとも、
a) 請求項1に記載の、式(I)の、一種類のアルカノールアミン、
b) 式(III):
【化3】


(式中、
Yは酸素又は硫黄であり、
は、C〜C24−アルキルで、−CO−及び(又は)酸素原子により中断されているか、且つ(又は)1〜3個のOH基によって置換されていてもよく、或はC〜C24−アルケニル、C〜C10−フェニルアルキル、C〜C−シクロアルキル、C〜C10−アルキルフェニル、フェニル、又はナフチルであり、夫々の場合、芳香族ラジカルは−OH、C〜C12−アルキル及び(又は)OC〜C−アルキルにより置換されていてもよく、Rは、Rについて定義した通りであるか、又はRは水素である。)
の一種類のシアノアセチル尿素、
を含む、塩素含有重合体を安定化するための安定化剤混合物。
【請求項4】
少なくとも、
a) 一般式(I)の、一又は多官能性エポキシドとアンモニア、又は、一又は多官能性ジアルキル(アリール)−又はモノアルキル(アリール)−アミンとの一つの反応生成物、及び
b) 請求項3に記載の、一般式(III)のシアノアセチル尿素、
を含む、塩素含有重合体を安定化するための安定化剤混合物。
【請求項5】
多官能性エポキシドが、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、又はトリス−グリシジルイソシアヌレートであり、ジアルキルアミンが、ジエタノールアミン、又はジイソプロパノールアミンであり、モノアルキルアミンが、モノエタノールアミン、又はモノイソプロパノールアミンである、請求項2又は4に記載の安定化剤混合物。
【請求項6】
一般式(I)の化合物で、R及びRが、互いに独立に、H又はCHであり、Y=1である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項7】
一般式(I)の化合物で、R=R=CH−CHR−OHである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項8】
一般式(I)の化合物が、トリス(2−ヒドロキシ−1−プロピル)アミン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロキシ−1−プロピルアミン、又はアルキル/アルケニル−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、アルキル/アルケニル(2−ヒドロキシ−1−プロピル)アミン、N−(2−ヒドロキシヘキサデシル)ジエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピル)ジエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシ−3−デシルオキシプロピル)ジエタノールアミン、又はそれらの混合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項9】
少なくとも一種類の過塩素酸塩も含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の、塩素含有重合体を安定化するための安定化剤混合物。
【請求項10】
過塩素酸塩が、式、M(ClO)n(式中、Mは、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Al、La、Ce、又はハイドロタルサイト層状格子陽イオン、又は有機オニウム陽イオンであり、nは、Mの原子価に適切な、1、2、又は3であるか、又はハイドロタルサイト層状格子陽イオンが存在するならば、0<n≦1である)の化合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項11】
過塩素酸塩で、M=Na又はKであり、n=1である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項12】
無水ハイドロタルサイト、又はゼオライトも含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項13】
もし適当ならば、金属石鹸を含み、且つ(又は)、もし適当ならば、ポリオール及び2糖類アルコール、ヒドロキシカルボン酸の塩、グリシジル化合物、ハイドロタルサイト、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルミノ珪酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物/酸化物、又は対応する炭酸(水素)塩、又はカルボン酸塩、及び充填剤/顔料、可塑剤、酸化防止剤、光安定化剤、光学的明るさ増加剤、潤滑剤、及びエポキシ化脂肪酸エステルの群からの別の物質を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項14】
ホスファイトも存在し、且つ(又は)、ホスファイトと、式(I)の化合物又は過塩素酸塩との可能な反応生成物も存在する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項15】
付加的亜燐酸エステルが、二亜燐酸ジステアリルペンタエリトリトール、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリスノニルフェニル、亜燐酸フェニルジデシル、亜燐酸ポリ(ジプロピレングリコール)フェニル、二亜燐酸テトラフェニルジプロピレングリコール、二亜燐酸テトライソデシルジプロピレングリコール、亜燐酸トリスジプロピレングリコール、亜燐酸デシルジフェニル、亜燐酸トリオクチル、亜燐酸トリラウリル、亜燐酸ノニルフェニル1.512/C13−アルキル1.5である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の安定化剤混合物。
【請求項16】
塩素含有重合体及び請求項1〜15のいずれか1項に記載の安定化剤混合物を含む、組成物。
【請求項17】
塩素含有重合体100重量部に基づき、0.01〜10重量部の式(I)の化合物、及び0.01〜10重量部の式(II)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
塩素含有重合体100重量部に基づき、0.01〜10重量部の式(I)の化合物、及び0.01〜10重量部の式(III)の化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
塩素含有重合体100重量部に基づき、0.001〜5重量部の過塩素酸塩を含むことを特徴とする、請求項17又は18に記載の組成物。
【請求項20】
塩素含有重合体100重量部に基づき、0.05〜5重量部のホスファイトを含むことを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
塩素含有重合体に、請求項1〜15のいずれか1項に記載の安定化剤混合物を添加することにより、塩素含有重合体を安定化する方法。
【請求項22】
塩素含有重合体が可塑化PVCであることを特徴とする、請求項21に記載の塩素含有重合体を安定化する方法。
【請求項23】
可塑化PVCが、床覆い材、モーター乗り物部品、可塑化フォイル、ホース、射出成形物、又はワイヤー被覆材に役立つことを特徴とする、請求項21に記載の塩素含有重合体を安定化する方法。
【請求項24】
塩素含有重合体が可塑化されていないPVCであることを特徴とする、請求項21に記載の塩素含有重合体を安定化する方法。
【請求項25】
塩素含有重合体が、フォイル(その中にはルビサームがある)、又はPVCパイプ、又はプロファイルの製造に役立つことを特徴とする、請求項21に記載の塩素含有重合体を安定化する方法。
【請求項26】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の安定化剤混合物により、安定化されたPVCを含む消費者物品。

【公表番号】特表2006−513298(P2006−513298A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566802(P2004−566802)
【出願日】平成15年12月20日(2003.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014691
【国際公開番号】WO2004/065470
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(505207171)クロンプトン ヴィニール アディティヴェス ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】