説明

QT延長に対する素因を予測する方法

本発明は、セラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子における遺伝子多型性とQT間隔の延長に対する素因との間の関連を説明し、そのような素因を予測し、QT間隔を延長する化合物を、そのような素因を有する個体に投与し、化合物がQT延長を誘発し得るか否かを決定する関連方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月29日出願の同時係属中の米国特許仮出願第60/908,734号の利益を主張する。
【0002】
[配列表]
2008年3月28日に作成された「VAND−0042−PCT_sequence_listings.txt」という名称の4.1MBの電子ファイルに含まれる配列表が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[発明の背景]
1.技術分野
本発明は概して、個体のQT延長に対する素因を予測する方法に関し、より具体的には、このような素因を個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列に基づいて予測する方法に関する。
【0004】
2.背景
心電図のQT間隔(Q波の始まりからT波の終わりまでの時間)の延長は、QT延長症候群(LQTS)と称される。LQTSは、遺伝的要素を含む可能性がある。LQTSの一部の患者において、QT延長は、慢性状態であり得る。人によっては、LQTSは、QT間隔を延長する医薬品有効成分の投与によって誘発されることがある。
【0005】
いくつかの化合物がQT間隔を延長し得ると考えられている。これらには、アミオダロン、三酸化ヒ素、ベプリジル、クロロキン、クロルプロマジン、シサプリド、クラリスロマイシン、ジソピラミド、ドフェチリド、ドンペリドン、ドロペリドール、エリスロマイシン、ハロファントリン、ハロペリドール、イブチリド、イロペリドン、レボメタジル、メソリダジン、メタドン、ペンタミジン、ピモジド、プロカインアミド、キニジン、ソタロール、スパルフロキサシン、及びチオリダジンが含まれる。
【0006】
QT間隔を延長し得ると疑われるが、そのような延長が決定的に確立されてはいない化合物もある。これらには、アルフゾシン、アマンタジン、アジスロマイシン、クロラール水和物、クロザピン、ドラセトロン、フェルバメート、フレカイニド、ホスカルネット、ホスフェニトイン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、グラニセトロン、インダパミド、イスラジピン、レボフロキサシン、リチウム、モエキシプリル、モキシフロキサシン、ニカルジピン、オクトレオチド、オフロキサシン、オンダンセトロン、クエチアピン、ラノラジン、リスペリドン、ロキシスロマイシン、タクロリムス、タモキシフェン、テリスロマイシン、チザニジン、バルデナフィル、ベンラファキシン、ボリコナゾール、及びジプラシドンが含まれる。
【0007】
さらには、QT間隔を延長する可能性があるので、LQTSに罹患している危険のある個体がそれらを使用しないように助言される化合物もある。これらには、アルブテロール、アミトリプチリン、アモキサピン、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アトモキセチン、クロロキン、シプロフロキサシン、シタロプラム、クロミプラミン、コカイン、デシプラミン、デクスメチルフェニデート、ドブタミン、ドーパミン、ドキセピン、エフェドリン、エピネフリン、フェンフルラミン、フルコナゾール、フルオキセチン、ガランタミン、イミプラミン、イソプロテレノール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、レバルブテロール、メタプロテレノール、メチルフェニデート、メキシレチン、ミドドリン、ノルエピネフリン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フェンテルミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プロトリプチリン、プソイドエフェドリン、リトドリン、サルメテロール、セルトラリン、シブトラミン、ソリフェナシン、テルブタリン、トルテロジン、トリメトプリム−スルファ、及びトリミプラミンが含まれる。
【0008】
CERKL遺伝子は、TusonらによりITGA4遺伝子とNEUROD1遺伝子の間の2q31.2〜q32.3に位置づけられ、13個のエクソンを含むことが決定された。Tusonら、Mutations of CERKL,a novel human ceramide kinase gene,causes autosomal recessive retinitis pigmentosa(RP26)、Am.J.Hum.Genet.74:128−138、2004.PubMed ID:14681825。セラミドキナーゼは、スフィンゴ脂質代謝物セラミドをセラミド−1−ホスフェートに変換し、それらは両方とも細胞のアポトーシスを媒介する。
【0009】
[発明の概要]
本発明は、セラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子における遺伝子多型性とQT間隔の延長に対する素因との間の関連を説明し、そのような素因を診断し、QT間隔を延長する化合物を、そのような素因を有する個体に投与する関連方法を提供する。
【0010】
本発明の第1の態様は、個体のQT間隔を延長し得る化合物(例えば、ヒトでの臨床試験などにおいて、投与が延長したQTに結びつけられた化合物)を個体に投与する方法を提供し、その方法は、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列の少なくとも一部分を決定するステップと;個体のCERKL遺伝子の配列の一部分がQT延長の危険性の増大に関連する場合に、QT延長の危険性の増大に関連しないCERKL遺伝子の配列を有する個体であれば投与される量よりも少ない量の化合物を個体に投与するステップ、又はその代わりに、QT延長に関連しないことが分かっている異なる化合物で個体を治療することを選択するステップとを含む。
【0011】
本発明の第2の態様は、個体がQT間隔の延長に対する素因を有するか否かを決定する方法を提供し、その方法は、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列の少なくとも一部分を決定するステップを含む。本明細書で以下に記載するSNPを含む全体又は一部分を、QT延長に関連するCERKL遺伝子の配列と比較することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、QT間隔を延長し得る化合物をQT延長症候群(LQTS)に罹患している個体に投与する方法を提供し、その方法は、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列の少なくとも一部分を決定するステップと、個体のCERKL遺伝子の配列に基づいた量の化合物を個体に投与するステップとを含む。
【0013】
本発明の第4の態様は、個体のQT間隔を延長し得る化合物を個体に投与する方法を提供し、その方法は、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を特徴付けるステップと;特徴付けられた発現産物がQT延長の危険性の増大に関連する場合に、QT延長の危険性の増大に関連しないCERKL遺伝子の発現産物を有する個体であれば投与される量よりも少ない量の化合物を個体に投与するステップとを含む。CERKL遺伝子の発現産物は、例えばmRNA及びタンパク質の任意のアイソフォームを含むmRNA及びタンパク質を含むことがある。
【0014】
本発明の第5の態様は、個体がQT間隔の延長に対する素因を有するか否かを決定する方法を提供し、その方法は、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を特徴付けるステップを含む。遺伝子発現産物の全体又は一部分を、QT延長に関連するCERKL遺伝子発現産物と比較することができる。
【0015】
本発明の第6の態様は、QT間隔を延長し得る化合物をQT延長症候群(LQTS)に罹患している個体に投与する方法を提供し、その方法は、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を特徴付けるステップと;特徴付けられた発現産物に基づいた量の化合物を個体に投与するステップとを含む。
【0016】
本発明の第7の態様は、化合物が個体におけるQT間隔を延長し得るか否かを決定する方法を提供し、その方法は、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を測定するステップと;ある量の化合物を個体に投与するステップと;個体のCERKL遺伝子の発現産物を再測定するステップと;化合物が個体のQT間隔を延長し得るか否かを、個体のCERKL遺伝子の発現産物の測定の差に基づいて決定するステップとを含む。
【0017】
本発明の第8の態様は、化合物が個体におけるQT間隔を延長し得るか否かを決定する方法を提供し、その方法は、QT間隔の延長に対する素因に関連するセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子型を有する第1の試験生物、及びQT間隔の延長に対する素因に関連しないCERKL遺伝子型を有する第2の試験生物を含む、複数の試験生物の各々のQT間隔を測定するステップと;複数の試験生物の各々にある量の化合物を投与するステップと;少なくとも第1の試験生物のQT間隔を再測定するステップと;再測定されたQT間隔が測定されたQT間隔を超える場合に、化合物が個体におけるQT間隔を延長し得ると決定するステップとを含む。試験生物は、例えば、ヒト、動物モデル、及び/又は細胞株を含むことができる。
【0018】
本発明のさらなる態様において、本発明は、rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定するステップを含む、CERKL遺伝子について個体の遺伝子型を決定する方法;並びにrs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定して報告するステップを含む、CERKL遺伝子について個体の遺伝子型を報告する方法を含む。
【0019】
[発明の詳細な説明]
上に示したように、本発明は、個体、例えば、ヒト対象のQT延長に対する素因を、個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列に基づいて予測する方法を提供する。
【0020】
CERKL遺伝子内のいくつかの一塩基多型(SNP)が、薬剤誘発QT延長に対する素因と有意の相関を有することが見出された。下記の表1は、イロペリドン投与後のQT延長に関連するそのようなSNP及び遺伝子型を示す。
【0021】
【表1】

【0022】
以下のSNP遺伝子型、rs895901で非AT、rs1441162で非AA、rs993650で非CT、rs993648で非AG、rs16867450でAA、rs16867452で非TT、及びrs6433927でCCは、QT延長に対する素因が最も正確に予測されることが見出された。これらの遺伝子型は、QT延長に対する素因に関連するすべての遺伝子型の中に含まれる。したがって、これらの遺伝子型の1つ又は複数を有する個体は、QT間隔を延長し得る化合物の投与後のQT延長に対する素因を有すると考えてよい。
【0023】
QT間隔は、心拍数の変化と共に変化するので、QT間隔は、補正QT(QTc)間隔として測定されることが多い。QTcを計算するために、中でも、例えば、Fridericiaの式(QTcF)、Bazettの式(QTcB)、及びRautaharjuの式(QTp)を含む、いくつもの式を使用することができる。本明細書に記載した研究では、QTはFridericiaの式を使用して計算した。しかしながら、本発明は、任意の上記の式又はQTc又は未補正QTを計算する方法の使用を含む。
【0024】
上で指摘したように、多数の化合物が、LQTSに罹患していない個体を含めて、一部の個体においてQT延長を誘発し得ることが分かっている、又は疑われている。そのような化合物の1つは、イロペリドンである。イロペリドンは、米国特許第5,364,866号明細書、第5,658,911号明細書、及び第6,140,345号明細書に開示されており、それらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。イロペリドンの代謝物も、QT間隔を延長し得る可能性がある。イロペリドンの代謝物、例えば、1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノールが、国際特許出願公開03020707号パンフレットに記載されており、これも参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
他のイロペリドン代謝物には、1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−ヒドロキシフェニル]エタノン;1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]−2−ヒドロキシエタノン;4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−ヒドロキシ−α−メチルベンゼンメタノール;4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシル−2−ヒドロキシ−5−メトキシ−α−メチルベンゼンメタノール;1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル]エタノン;及び1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−2,5−ジヒドロキシフェニル]エタノンが含まれる。参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,364,866号明細書並びに国際特許出願公開9309276号パンフレット及び9511680号パンフレットを参照されたい。
【0026】
上記のSNP座位にある遺伝子型を使用して、QT延長に対する個体の素因を極めて正確に予測することが可能である。下記の表2は、174例の個体の試験結果を示し、その各々はrs993648座位で遺伝子型が同定され、それらのQT間隔は、イロペリドンを24mg/日で1日2回、2週間経口投与した後に測定された。
【0027】
【表2】

【0028】
表2でわかるように、SNP_A−4232718、rs993648座位にある個体のCERKL配列により、その個体がイロペリドン投与後にQT延長を起こすか否かが非常によく予測される。例えば、QTc間隔の変化(ベースラインと第2週の終わりとの間)の5ミリ秒を超える最低閾値(正常QTc間隔は、男性では0.30秒から0.44秒までの間、女性では0.30秒から0.45秒までの間である)を使用して、QT延長に対する素因に関連するSNP遺伝子型を有するこれらの個体(SNP_A−4232718、rs993648に対する遺伝子型が非ABであれば、検査は陽性とみなされる)のうちの72例はQT延長を起こしたが、そのような個体でQT延長を起こさなかったものは22例だけであった。同様に、QT延長を起こした個体は、QT延長に対する素因に関連するSNP遺伝子型を有するもの(72例)は、有しないもの(38例)のほぼ2倍であった。この結果、感受性(個体がQT延長を起こしたとして、個体がQT延長に対する素因に関連するSNP遺伝子型を有する確率)は0.65、特異性(個体がQT延長を起こさなかったとして、個体が、QT延長に対する素因に関連するSNP遺伝子型を有しない確率)は0.66となり、負の予測値(個体が、QT延長に対する素因に関連するSNP遺伝子型を有しないとして、個体がQT延長を起こさない確率)は0.53、正の予測値(個体がQT延長に対する素因に関連するSNP遺伝子型を有するとして、個体がQT延長を起こす確率)は0.77となった。
【0029】
より高い閾値(即ち、15及び30ミリ秒を超えるQT)を使用すると、負の予測値が顕著に増大した(それぞれ0.78及び0.95)。関連する正の予測値の減少(5ミリ秒を超えるQTに対する0.77から30ミリ秒を超えるQTに対する0.24へ)は、さらに他の要因が、より重いQT延長に影響を及ぼすことを示唆する。
【0030】
表2のデータが示すように、上記のSNP座位における個体のCERKL配列は、個体がQT間隔を延長し得る化合物の投与によりQT延長に対する素因を有するか否かを予測するために使用することができる。即ち、QT延長に対する素因に関連する1つ又は複数のSNP遺伝子型を有する個体は、QT間隔を延長し得る化合物の投与後に、延長したQT間隔(即ち、少なくとも5ミリ秒延長されたQT間隔)を起こすと信頼性をもって予測することができる。同様に、QT延長に対する素因に関連する上記SNP遺伝子型のいずれも有しない個体は、QT間隔を延長し得る化合物の投与後に、重いQT延長(即ち、15ミリ秒を超えて延長したQT間隔)を起こさないと信頼性をもって予測することができる。
【0031】
そのような予測をできることは、特定の化合物で個体を治療すべきか否か判断する際、及び/又は個体に対する適当な用量を決定する際に使用することができる。例えば、QT延長を起こすと予測された個体は、QT延長を引き起こさないことが分かっているか若しくは引き起こす疑いがない代替化合物で治療するか、又はQT延長を引き起こし得る化合物を、QT延長を起こすと予測されていない個体であれば投与される用量よりも低い用量で投与することができる。
【0032】
本発明は、上記化合物の1つ又は複数に加えて、LQTSの治療に有用な他の化合物を投与することも含む。LQTSの治療及び/又はLQTSから生ずる心臓事象の予防に有用な化合物には、例えば、プロプラノロール、ナドロール、アテノロール、メトプロロールなどのβ遮断剤が含まれる。
【0033】
本発明は、1つ又は複数の追加の遺伝子又は座位における個体の遺伝子型又は遺伝子配列と組み合わせた、上記SNP座位の1つ又は複数に基づく、QT延長に対する個体の素因の予測も含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開2006039663号パンフレットは、個体のCYP2D6の遺伝子型に基づいてQT延長を誘発し得る化合物で個体を治療する方法を記載している。LQTSに関連するものを含めて、他の遺伝子型及び/又は遺伝子配列を、上記SNP座位と組み合わせて同様に使用することもできる。
【0034】
CERKL遺伝子又はその1つ又は複数の部分の配列(例えば、次のSNP:即ち、rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、rs6433927を含む)を決定するための多くの技法が、当技術分野において既知である。これらは、ゲノム又は相補のDNA又はmRNAの増幅及び配列決定、並びに例えば、ハイブリダイゼーション技法を含む。
【0035】
CERKL遺伝子全体又はその一部分、例えば、上で同定したSNPなどにわたり遺伝子型を決定した後、患者の遺伝子型を、延長したQT延長に関連している上記遺伝子型と比較することができる。したがって、例えば、所与の個体のrs993648における遺伝子型が、1つの遺伝子中のA及びその遺伝子の第2のコピー中のGと異なれば、表1を参照して、その個体は延長したQT間隔に対する素因を有することがわかる。
【0036】
本発明の1つの実践において、個体のCERKL遺伝子について遺伝子型同定検査を実施する個体又は他の実体は、rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、一塩基多型(SNP)座位の1つ又は複数についてだけ遺伝子型を決定するであろう。本発明の関係ある実践において、そのような遺伝子型アッセイを実施する個体又は他の実体は、前記座位の1つ又は複数におけるその個体の遺伝子型を決定して、そのような1つ又は複数の前記座位におけるその個体の遺伝子型だけを報告するであろう。
【0037】
本発明は、CERKL遺伝子内の1つ又は複数のSNP遺伝子型の決定の代わりに、又はそれに加えて、CERKL遺伝子の発現産物の特徴付けを含むことも理解されるべきである。例えば、CERKL遺伝子から転写されたmRNA鎖の配列を決定することにより、CERKL遺伝子自体の配列を決定すること、及び上記のように、CERKL遺伝子の配列がQT延長に対する素因に関連するか否かを決定することが可能である。
【0038】
同様に、上のmRNA鎖から翻訳されたCERKL酵素を含む、ペプチド又はタンパク質を適切に特徴付けることにより、CERKL遺伝子自体の配列を決定すること、及び、上記のように、CERKL遺伝子の配列がQT延長に対する素因に関連するか否かを決定することが可能である。
【0039】
個体のCERKL遺伝子型を間接的に決定する表現型のアッセイが、例えば、CYP2D6対立遺伝子に関して、Leyland−Jonesにより米国特許出願公開第20030170176号明細書に記載されている。
【0040】
この発明は、個体のCERKL遺伝子型を決定するためのキット及び例えば、プローブ及びプライマーを含む試薬を包含する。本発明のキットは、試薬及び、場合により、CERKL遺伝子について個体の遺伝子型を決定するのに有用な他の材料を含む。そのようなキットは、例えば、検出手段、捕集デバイス、コンテナ、及び使用説明書を含むことができ、イロペリドンが必要とされる障害を有する個体のための適当な治療戦略を決定するためになど、患者のCERKL遺伝子型を決定することに使用することができる。そのような治療戦略は、例えば、異なる薬剤、即ち、QT延長に関連しないものを選択すること、イロペリドンの用量を調節すること、又は延長したQT間隔のための治療中の患者をモニターすることを含んでいてよい。
【0041】
検出手段は、CYP2D6多型を、mRNA又はタンパク質により直接的又は間接的に検出することができる。そのような検出手段は、他の多型との連鎖不平衡を利用することにより、関連座位における遺伝子型を間接的に決定することもできる。検出手段は、例えば、増幅、配列決定及びSNP検出技法に使用されるポリヌクレオチド、インベーダー(Invader)(登録商標)アッセイ(Third Wave Technologies Inc.)、タックマン(Taqman)(登録商標)アッセイ(Applied Biosystems,Inc.)、遺伝子チップアッセイ(Affymetrix,Inc.から入手可能なものなど)、ピロシーケンス、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に基づく切断アッセイ、蛍光偏光、変性HPLC、質量分析法、並びに、増幅及び配列決定に使用される蛍光又は放射性標識を有するポリヌクレオチドを含む。
【0042】
本発明における使用に適した捕集デバイスは、核酸及び/又はポリペプチドを分離できる個体の生物学的試料を捕集及び/又は貯蔵するための、当技術分野において既知のデバイスを含む。そのような生物学的試料は、例えば、全血、精液、唾液、涙液、尿、糞便材料、頬スミア、皮膚、毛髪、及び生検試料を含む。したがって、適当な捕集デバイスは、例えば、検体カップ、綿棒、スライドグラス、試験管、ランセット、及びバキュテナー(Vacutainer)(登録商標)チューブ及びキットを含む。
【0043】
本発明のキットの例示的実施形態は、オリゴヌクレオチドのセットを含むキットであり、セットの各メンバーが、rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された1つ又は複数のSNPを含む、CERKL遺伝子の選択された変異体の領域と選択的にハイブリダイズする。当業者ならば、「選択的にハイブリダイズする」により、オリゴヌクレオチドが、所与のSNP遺伝子型に優先的にハイブリダイズして、その結果、SNP座位中のヌクレオチドを決定することができるであろうということを理解するであろう。そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、支持体に結合させた核酸分子のアレイの形態で提供することができ、その形態で、アレイは、選択された対立遺伝子の変異体、又は例えば、rs993648などCERKLのSNPとハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを有する。
【0044】
本発明のそのような核酸は、例えば、本明細書で説明したような予後予測方法で使用することができる。特に、例えば、本発明の核酸は、対象が、QT延長に対する素因に関連するCERKL遺伝子の遺伝子型を有するか否かを決定するために、プローブ又はプライマーとして使用することができる。
【0045】
CERKL遺伝子について遺伝子型を決定するためのアッセイは、標準的な病院、診療所及び私立の検査センターに見られるような多くの臨床検査室で行うことができる。この発明の一態様によれば、遺伝子型同定アッセイのための試薬、プライマー及び溶液の一部又は全部を含むキットが設計される。
【0046】
個体のCERKL遺伝子型を決定するための例示的アッセイは、a)前記対象のゲノムのDNA試料を得るステップ;b)ステップa)のDNA試料を使用して、CYP2D6遺伝子の多型性の部位を含む断片を増幅するステップ;c)ステップb)の増幅断片と、野生型及び変異型の対立遺伝子に対応する対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズさせて、対象のCYP2D6の遺伝子型を決定するステップを含む。そのような方法は、Milosら、米国特許出願公開第20030170176号明細書;Huang、米国特許出願公開第20040091909号明細書;Nevilleら、米国特許出願公開第20040096874号明細書;国際公開第03544266号パンフレット及び国際公開第03038123号パンフレットなどに開示された周知の方法を含む。
【0047】
それに加えて、本発明は、化合物が個体におけるQT間隔を延長し得るか否かを決定することを含む。これは、例えば、QT延長に対する素因に関連するCERKL遺伝子型を有することが分かっている試験生物(例えば、ヒト、動物モデル、細胞株)において、ある量の検討中の化合物を投与した後のQT間隔の変化を測定することにより、行うことができる。QT延長に対する素因に関連しないCERKL遺伝子型を有することが分かっている試験生物にも、化合物を投与することが好ましい。
【0048】
本発明の種々の態様の上記の説明は、例示及び説明のために提示した。それは網羅的であること又は本発明を開示された詳細な形態に限定することは意図しておらず、多くの改良及び変更が可能なことは明白である。当業者には明らかであり得る、そのような改良及び変更は、添付の特許請求の範囲により定義されるように、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列の少なくとも一部分を決定するステップと、
個体のCERKL遺伝子の配列の一部分がQT延長の危険性の増大に関する場合に、QT延長の危険性の増大に関連しないCERKL遺伝子の配列を有する個体であれば投与される量よりも少ない量の化合物を個体に投与するステップ、又はその代わりに、QT延長に関連しないことが分かっている異なる化合物で個体を治療することを選択するステップと
を含む、個体のQT間隔を延長し得る化合物を個体に投与する方法。
【請求項2】
決定するステップが、rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
QT延長の危険性の増大に関連する遺伝子型が、rs895901で非AT、rs1441162で非AA、rs993650で非CT、rs993648で非AG、rs16867450でAA、rs16867452で非TT、及びrs6433927でCCからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
個体のCYP2D6の遺伝子型を決定するステップをさらに含む、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
化合物が、
アミオダロン、三酸化ヒ素、ベプリジル、クロロキン、クロルプロマジン、シサプリド、クラリスロマイシン、ジソピラミド、ドフェチリド、ドンペリドン、ドロペリドール、エリスロマイシン、ハロファントリン、ハロペリドール、イブチリド、イロペリドン、レボメタジル、メソリダジン、メタドン、ペンタミジン、ピモジド、プロカインアミド、キニジン、ソタロール、スパルフロキサシン、チオリダジン;
アルフゾシン、アマンタジン、アジスロマイシン、クロラール水和物、クロザピン、ドラセトロン、フェルバメート、フレカイニド、ホスカルネット、ホスフェニトイン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、グラニセトロン、インダパミド、イスラジピン、レボフロキサシン、リチウム、モエキシプリル、モキシフロキサシン、ニカルジピン、オクトレオチド、オフロキサシン、オンダンセトロン、クエチアピン、ラノラジン、リスペリドン、ロキシスロマイシン、タクロリムス、タモキシフェン、テリスロマイシン、チザニジン、バルデナフィル、ベンラファキシン、ボリコナゾール、ジプラシドン;
アルブテロール、アミトリプチリン、アモキサピン、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アトモキセチン、クロロキン、シプロフロキサシン、シタロプラム、クロミプラミン、コカイン、デシプラミン、デクスメチルフェニデート、ドブタミン、ドーパミン、ドキセピン、エフェドリン、エピネフリン、フェンフルラミン、フルコナゾール、フルオキセチン、ガランタミン、イミプラミン、イソプロテレノール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、レバルブテロール、メタプロテレノール、メチルフェニデート、メキシレチン、ミドドリン、ノルエピネフリン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フェンテルミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プロトリプチリン、プソイドエフェドリン、リトドリン、サルメテロール、セルトラリン、シブトラミン、ソリフェナシン、テルブタリン、トルテロジン、トリメトプリム−スルファ、トリミプラミン、及び代謝物、薬学的に許容される塩、及びそれらの組合せ
からなる群から選択される、請求項1、2、3又は4に記載の方法。
【請求項6】
化合物が、式:
【化1】


[式中、
Rは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、低級ヒドロキシケトン、低級アルカノール、ヒドロキシル酢酸、ピルビン酸、エタンジオール、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、アミノ、低級モノ又はジアルキルアミノ、ニトロ、低級アルキルチオ、トリフルオロメトキシ、シアノ、アシルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロアセチル、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ホルミル、
【化2】


(アルキルは、分岐又は直鎖及び飽和又は不飽和の低級アルキルであり、
アシルは、カルボニルを介して結合した低級アルキル又は低級アルキルオキシであり、
アリールは、フェニル又は少なくとも1つの基R(各Rは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、低級モノアルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシである)で置換されたフェニルであり、
ヘテロアリールは、少なくとも1つのヘテロ原子Q(各Qは、独立に、−O−、−S−、−N(H)−、又は−C(H)=N−である)を有する5又は6員アリール環であり、
Wは、CH又はCHR又はN−Rである)
であり、
は、−H、低級アルキル、−OH、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、又はアミノであり、
は、少なくとも1つのC〜C線状アルキル基、フェニル基、又は
【化3】


(Zは、低級アルキル、−OH、低級アルコキシ、−CF、−NO、−NH、又はハロゲンである)
で、場合により置換されていてもよいC〜Cアルキレン、アルケニレン(シス又はトランス)、又はアルキニレンであり、
は、低級アルキル又は水素であり、
は、水素、低級アルキル、又はアシルであり、
は、低級アルキルであり、
は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又は−NHR10であり、
10は、水素、低級アルキル、C〜Cアシル、アリール、
【化4】


であり、
、X、及びXは、独立に、−O−、−S−、=N−、又は−N(R)−であり、又はXとXとは、互いに共有結合で結合しておらず、独立に、−OH、=O、−R、又は=NRであり、
低級は1〜4炭素原子であり、
mは、1、2、又は3であり、
nは、1又は2である]
を有する、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項7】
Rが、−C(O)CHOH、−CH(OH)C(O)CHOH、−C(O)OH、CH(OH)CH、又はC(O)CHであり、
がハロであり、
とXとが異なり、=O、−OH、=N−、又は−O−であり、
が、C〜Cアルキレン又はアルケニレンであり、
が、水素、メチル、又はエチルであり、
が−O−であり、
Rが、式1A
【化5】


で示されるように置換されている、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式1の化合物が、式1B:
【化6】


で示される1−[4−3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式1の化合物が、式1C:
【化7】


で示される1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノールである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列の少なくとも一部分を決定するステップを含む、個体がQT間隔の延長に対する素因を有するか否かを決定する方法。
【請求項11】
個体のCERKL遺伝子の配列の一部分がQT延長の危険性の増大に関連する場合に、QT延長を引き起こさないことが分かっているか又は引き起こす疑いがない化合物を、個体に投与するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
決定するステップが、rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
QT延長の危険性の増大に関連する遺伝子型が、rs895901で非AT、rs1441162で非AA、rs993650で非CT、rs993648で非AG、rs16867450でAA、rs16867452で非TT、及びrs6433927でCCからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
個体のCYP2D6の遺伝子型を決定するステップをさらに含む、請求項10、11、12又は13に記載の方法。
【請求項15】
個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の配列の少なくとも一部分を決定するステップと、
個体のCERKL遺伝子の配列に基づいた量の化合物を個体に投与するステップと
を含む、QT間隔を延長し得る化合物を、QT延長症候群(LQTS)に罹患している個体に投与する方法。
【請求項16】
決定することが、rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
QT延長の危険性の増大に関連する遺伝子型が、rs895901で非AT、rs1441162で非AA、rs993650で非CT、rs993648で非AG、rs16867450でAA、rs16867452で非TT、及びrs6433927でCCからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
個体のCYP2D6の遺伝子型を決定するステップをさらに含む、請求項15、16又は17に記載の方法。
【請求項19】
化合物が、
アミオダロン、三酸化ヒ素、ベプリジル、クロロキン、クロルプロマジン、シサプリド、クラリスロマイシン、ジソピラミド、ドフェチリド、ドンペリドン、ドロペリドール、エリスロマイシン、ハロファントリン、ハロペリドール、イブチリド、イロペリドン、レボメタジル、メソリダジン、メタドン、ペンタミジン、ピモジド、プロカインアミド、キニジン、ソタロール、スパルフロキサシン、チオリダジン;
アルフゾシン、アマンタジン、アジスロマイシン、クロラール水和物、クロザピン、ドラセトロン、フェルバメート、フレカイニド、ホスカルネット、ホスフェニトイン、ガチフロキサシン、ゲミフロキサシン、グラニセトロン、インダパミド、イスラジピン、レボフロキサシン、リチウム、モエキシプリル、モキシフロキサシン、ニカルジピン、オクトレオチド、オフロキサシン、オンダンセトロン、クエチアピン、ラノラジン、リスペリドン、ロキシスロマイシン、タクロリムス、タモキシフェン、テリスロマイシン、チザニジン、バルデナフィル、ベンラファキシン、ボリコナゾール、ジプラシドン;
アルブテロール、アミトリプチリン、アモキサピン、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アトモキセチン、クロロキン、シプロフロキサシン、シタロプラム、クロミプラミン、コカイン、デシプラミン、デクスメチルフェニデート、ドブタミン、ドーパミン、ドキセピン、エフェドリン、エピネフリン、フェンフルラミン、フルコナゾール、フルオキセチン、ガランタミン、イミプラミン、イソプロテレノール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、レバルブテロール、メタプロテレノール、メチルフェニデート、メキシレチン、ミドドリン、ノルエピネフリン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フェンテルミン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プロトリプチリン、プソイドエフェドリン、リトドリン、サルメテロール、セルトラリン、シブトラミン、ソリフェナシン、テルブタリン、トルテロジン、トリメトプリム−スルファ、トリミプラミン、及び代謝物、薬学的に許容される塩、及びそれらの組合せ
からなる群から選択される、請求項15、16又は17に記載の方法。
【請求項20】
化合物が、式:
【化8】


[式中、
Rは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、カルボキシル、低級ヒドロキシケトン、低級アルカノール、ヒドロキシル酢酸、ピルビン酸、エタンジオール、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、アミノ、低級モノ又はジアルキルアミノ、ニトロ、低級アルキルチオ、トリフルオロメトキシ、シアノ、アシルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロアセチル、アミノカルボニル、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ホルミル、
【化9】


(アルキルは、分岐又は直鎖及び飽和又は不飽和の低級アルキルであり、
アシルは、カルボニルを介して結合した低級アルキル又は低級アルキルオキシであり、
アリールは、フェニル又は少なくとも1つの基R(各Rは、独立に、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素、低級モノアルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、又はトリフルオロメトキシである)で置換されたフェニルであり、
ヘテロアリールは、少なくとも1つのヘテロ原子Q(各Qは、独立に、−O−、−S−、−N(H)−、又は−C(H)=N−である)を有する5又は6員アリール環であり、
Wは、CH又はCHR又はN−Rである)
であり、
は、−H、低級アルキル、−OH、ハロ、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ニトロ、又はアミノであり、
は、少なくとも1つのC〜C線状アルキル基、フェニル基、又は
【化10】


(Zは、低級アルキル、−OH、低級アルコキシ、−CF、−NO、−NH、又はハロゲンである)
で、場合により置換されていてもよいC〜Cアルキレン、アルケニレン(シス又はトランス)、又はアルキニレンであり、
は、低級アルキル又は水素であり、
は、水素、低級アルキル、又はアシルであり、
は、低級アルキルであり、
は、ヒドロキシ、低級アルコキシ、又は−NHR10であり、
10は、水素、低級アルキル、C〜Cアシル、アリール、
【化11】


であり、
、X、及びXは、独立に、−O−、−S−、=N−、又は−N(R)−であり、又はXとXとは、互いに共有結合で結合しておらず、独立に、−OH、=O、−R、又は=NRであり、
低級は1〜4炭素原子であり、
mは、1、2、又は3であり、
nは、1又は2である]
を有する、請求項15、16、17、又は18に記載の方法。
【請求項21】
Rが、−C(O)CHOH、−CH(OH)C(O)CHOH、−C(O)OH、CH(OH)CH、又はC(O)CHであり、
がハロであり、
とXとが異なり、=O、−OH、=N−、又は−O−であり、
が、C〜Cアルキレン又はアルケニレンであり、
が、水素、メチル、又はエチルであり、
が−O−であり、
Rが、式1A
【化12】


で示されるように置換されている、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
式1の化合物が、式1B:
【化13】


で示される1−[4−3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
式1の化合物が、式1C:
【化14】


で示される1−[4−[3−[4−(6−フルオロ−1,2−ベンズイソオキサゾール−3−イル)−1−ピペリジニル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル]エタノールである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を特徴付けるステップと、
特徴付けられた発現産物が、QT延長の危険性の増大に関連する場合に、QT延長の危険性の増大に関連しない発現産物を有する個体であれば投与される量よりも少ない量の化合物を個体に投与するステップと
を含む、個体のQT間隔を延長し得る化合物を個体に投与する方法。
【請求項25】
発現産物が、mRNA、ペプチド、及びタンパク質からなる群から選択された、少なくとも1つの発現産物を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を特徴付けるステップを含む、個体がQT間隔の延長に対する素因を有するか否かを決定する方法。
【請求項27】
発現産物が、mRNA、ペプチド、及びタンパク質からなる群から選択される、少なくとも1つの発現産物を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を特徴付けるステップと;
特徴付けられた発現産物に基づいた量の化合物を、個体に投与するステップと
を含む、QT延長症候群(LQTS)に罹患している個体に、QT間隔を延長し得る化合物を投与する方法。
【請求項29】
発現産物が、mRNA、ペプチド、及びタンパク質からなる群から選択された、少なくとも1つの発現産物を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
個体のセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子の発現産物を測定するステップと、
ある量の化合物を個体に投与するステップと、
個体のCERKL遺伝子の発現産物を再測定するステップと、
化合物が個体のQT間隔を延長し得るか否かを、個体のCERKL遺伝子の発現産物の測定の差に基づいて決定するステップと
を含む、化合物が個体におけるQT間隔を延長し得るか否かを決定する方法。
【請求項31】
発現産物が、mRNA、ペプチド、及びタンパク質からなる群から選択された、少なくとも1つの発現産物を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
QT間隔の延長に対する素因に関連するセラミドキナーゼ様(CERKL)遺伝子型を有する第1の試験生物、及びQT間隔の延長に対する素因に関連しないCERKL遺伝子型を有する第2の試験生物を含む、複数の試験生物の各々のQT間隔を測定するステップと、
複数の試験生物の各々にある量の化合物を投与するステップと、
少なくとも第1の試験生物のQT間隔を再測定するステップと、
再測定されたQT間隔が測定されたQT間隔を超える場合に、化合物が個体におけるQT間隔を延長し得ると決定するステップと
を含む、化合物が個体におけるQT間隔を延長し得るか否かを決定する方法。
【請求項33】
複数の試験生物の各々が、ヒト、動物、及び細胞株からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定するステップを含む、CERKL遺伝子について個体の遺伝子型を決定する方法。
【請求項35】
rs993648における個体の遺伝子型を決定するステップを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定して報告するステップを含む、CERKL遺伝子について個体の遺伝子型を報告する方法。
【請求項37】
rs993648における個体の遺伝子型を決定して報告するステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、少なくとも1つの一塩基多型(SNP)座位における個体の遺伝子型を決定するための1つ又は複数の試薬を含む、CERKL遺伝子について個体の遺伝子型を決定するためのキット。
【請求項39】
rs993648における個体の遺伝子型を決定するための1つ又は複数の試薬を含む、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
rs895901、rs1441162、rs993650、rs993648、rs16867450、rs16867452、及びrs6433927からなる群から選択された、1つ又は複数のSNPを含む、CERKL遺伝子の選択された変異体の領域と選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドのセットを含む、請求項38に記載のキット。

【公表番号】特表2010−522773(P2010−522773A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501271(P2010−501271)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/058791
【国際公開番号】WO2008/121899
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(507021702)ヴァンダ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】