説明

RFIDタグ、及びRFID通信システム

【課題】RFIDタグの通信アンテナの広帯域化をもたらす構造を提供し、ループアンテナをブースターアンテナの中央部以外に配置可能にすることでICの配置自由度を向上させる。
【解決手段】RFID(Radio Frequency IDentification)タグ100は、IC23と、IC23が接続されたループアンテナ25と、全体が細長状に形成された線状ブースターアンテナ27とを備える。線状ブースターアンテナ27は、長手方向の一端部に該長手方向とは異なる方向へ延設された折り返し部29を有する。このループアンテナ25のループにおける1ターン全長の73%以上の領域を、線状ブースターアンテナ27の折り返し部29を含む領域に沿って配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグ、及びRFID通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触通信装置が広く一般に使用されている(例えば、特許文献1,2参照)。非接触通信装置の一例である非接触ICラベルや非接触ICカードは、ICチップ及びこのICチップに電気的に接続された通信アンテナを備える。この通信アンテナが電磁波を受信すると、共振作用により通信アンテナに起電力が発生する。この起電力によりICチップが起動し、ICチップ内の情報が信号化される。信号化された情報は、通信アンテナから発信され、その発信された情報は、受信器側のアンテナにより受信されて、受信器のコントローラによって信号識別などのデータ処理が行われる。
【0003】
特許文献1には、ブースター用のアンテナの機能が阻害されることのない非接触ICモジュールが記載されている。この非接触ICモジュールは、ダイポール構造の電流密度が最大となる位置(アンテナ中央部)にICチップが配置されている。また、特許文献2には、外部回路との交信精度を高め、貼り付けの自由度を向上したRFIDタグが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−203852号公報
【特許文献2】特開2009−075687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2のような非接触通信装置においては、特定の波長で通信するように設計されるため、共振帯域幅が狭くなっている。しかし、送受信する電磁波の使用周波数は各国で異なる実情があり、各国における使用周波数に特化した通信アンテナをそれぞれ個別に用意する必要がある。また、共振周波数が狭帯域であることから、ICチップ、アンテナ部材等の部品性能のばらつきに対する許容範囲が狭くなり、コスト高になると共に、製品安定化にも影響を及ぼすことがある。更に、RFIDタグの通信アンテナ間の干渉等の使用状況によって共振周波数がシフトすることもあり、安定した通信が行えなくなる可能性もある。
【0006】
一般に、ICチップに接続された1ターンループアンテナとそのコイルに非接触に近接配置されたブースターアンテナは、ブースターアンテナの中央部に1ターンループアンテナを配置した構造としている。ICチップは1ターンループアンテナに近接して配置(例えば搭載)されるため、ICチップは常にブースターアンテナのほぼ中央部に位置される。そのため、RFIDタグにラベルを印刷する際には、ラベル中央部に位置するICチップへのダメージを考慮して、ラベル中央部への印字等を避けていた。その結果、ラベル中央部に印字ができないという制約を生じ、ラベルの表現価値を下げざるを得なかった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、RFIDタグの通信アンテナの広帯域化をもたらす構造を提供することを第1の目的とし、ICチップを通信アンテナの中央部以外に配置可能にして、ICチップの配置自由度を向上させることを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記構成からなる。
(1) ICと、該ICが接続されたループアンテナと、全体が細長状に形成された線状ブースターアンテナと、を備えたRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナが、長手方向の一端部に該長手方向とは異なる方向へ延設された折り返し部を有し、
前記ループアンテナのループにおける1ターン全長の73%以上の領域が、前記線状ブースターアンテナの折り返し部を含む領域に沿って配置されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ。
(2)上記RFIDタグと、
該RFIDタグと無線通信するリーダ又はリーダライタと、からなるRFID通信システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明のRFIDタグ、及びRFID通信システムによれば、通信アンテナの広帯域化をもたらす構造を提供でき、コスト低減、製品安定化に寄与できる。また、ICを通信アンテナの中央部以外に配置することで、ICとアンテナ部との接続部断線を防止できると共に、ラベル印字制約がなくなり、ラベルの表現価値を落とさずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ダイポールアンテナと、その電流分布を示す説明図である。
【図2】ループアンテナとブースターアンテナとを組み合わせたRFIDタグの構成図である。
【図3】(A)はブースターアンテナを長手方向にメアンダライン構造とした構成図、(B)は長手方向に直交する方向にメアンダライン構造とした構成図である。
【図4】本発明の実施形態を説明するための図で、RFIDタグの構成図である。
【図5】RFIDタグの一部分解図である。
【図6】ブースターアンテナのモデル図である。
【図7】ブースターアンテナの折り返し部における他の形態を示すモデル図である。
【図8】(A),(B)はブースターアンテナの折り返し部における物理的寸法が異なる例を示すブースターアンテナのモデル図である。
【図9】(A)ブースターアンテナの長手方向中央部にループアンテナとICチップとを内蔵したスマートカードに、曲げ応力を負荷した状態を模式的に示す断面図、(B)はRFIDタグを内蔵したスマートカードに、曲げ応力を負荷した状態を模式的に示す断面図である。
【図10】RFIDタグの他の構成例を示す構成図である。
【図11】(A),(B)はそれぞれRFIDタグの他の構成図である。
【図12】アクティブタグとして用いるRFIDタグシステムの概略的な配線図である。
【図13】記録テープカートリッジとラベルの外観図である。
【図14】複数のテープカートリッジとライブラリ装置を示す模式的な説明図である。
【図15】ループアンテナとブースターアンテナとの位置関係を示す解析モデル図で、(A)はブースターアンテナの略中央部にループアンテナを配置した一般的なアンテナ構成の図、(B)はブースターアンテナの一端部にループアンテナを配置したアンテナ構成の図である。
【図16】図15(A),(B)に示す各アンテナ構成によるS11パラメータ、及びVSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図17】ループアンテナの位置をブースターアンテナの端部から中央部まで変化させる解析モデル図である。
【図18】図17に示す解析モデルのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図19】ループアンテナに重なるブースターアンテナの端部形状を、(A)2辺の重なりとした構成、(B)3辺の重なりとした構成、(C)略4辺の重なりとした構成の解析モデル図である。
【図20】図19に示す解析モデルのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図21】ブースターアンテナの端部とループアンテナとの重なりを、2辺と3辺との間に設定した解析モデル図である。
【図22】図21に示す解析モデルのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図23】ブースターアンテナの折り返し部の形状を、(A)略2周のスパイラル形状とした構成、(B)略2周のループで、内周と外周のループを逆向きにした構成、(C)内側のループを広幅のパッド部とした構成の解析モデル図である。
【図24】図23に示す解析モデルのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図25】ブースターアンテナの折り返し部におけるループアンテナからの突出部を含む辺の長さを異ならせた構成の解析モデル図である。
【図26】図25に示す解析モデルのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図27】(A)はX=0mmにおけるシミュレーション結果を示すグラフで、(B)はX=26mmにおけるシミュレーション結果を示すグラフである。
【図28】ブースターアンテナの折り返し部におけるループアンテナからの突出部の長さを異ならせた構成の解析モデル図である。
【図29】図28に示す解析モデルのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図30】(A)はX=0mmにおけるシミュレーション結果を示すグラフで、(B)はX=40mmにおけるシミュレーション結果を示すグラフである。
【図31】1ターンループアンテナ単体、及び1ターンループアンテナとブースターアンテナの組み合わせのそれぞれに対するS11及びVSWRのシミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
最初に、RFIDタグの基本的なアンテナ構成と、アンテナの配置制約について、ダイポールアンテナを例に簡単に説明する。
図1にダイポールアンテナと、その電流密度分布を示す説明図を示した。ダイポールアンテナ11は、直線状のアンテナ部13とアンテナ部13の長手方向中央に配置されたICチップ15とを有する。このダイポールアンテナ11における電流分布は、両端部が低く、中央部が高くなる。
【0012】
そのため、図2に示すように、ループアンテナ17とブースターアンテナ19とを組み合わせてRFID(Radio Frequency IDentification)タグを構成する場合、ブースターアンテナ19の中央部にループアンテナ17を配置することで、最大性能(最大利得)を発揮できる。しかし、この構成では、ブースターアンテナ19の長手方向の最大長が大きく、また、ループアンテナ17の配置位置がアンテナ中央部に制約されてしまう。
【0013】
通常、ループアンテナ17をブースターアンテナ19の端部に配置すると、ループアンテナ17とブースターアンテナ19との十分な磁界誘導結合が得られず、所望の性能を発揮することはできない。
【0014】
アンテナ長については、図3(A),(B)に示すように、メアンダライン構造を採用することにより短縮することができる。また、アンテナ端部に幅広のパッド部21を設けて更なる短縮化を図ることができる。
【0015】
通常、ダイポールアンテナ等は、使用する周波数帯域におけるインピーダンス整合を考慮して設計される。しかし、UHF帯RFIDタグアンテナは、紙、プラスチック、木材、など、様々なものに貼り付けて使用されることを想定し、これらの材質が持つ誘電率のばらつきを想定した設計としなければならず、少しでも広帯域化することが望ましい。
【0016】
広帯域化レベルを判断する指標としては、S11パラメータ、及びVSWRが有効である。S11パラメータは−3dB以下、VSWRは6以下(一般には2以下)となる周波数範囲が広くなるよう設計することが望ましい。
【0017】
<第1の構成例>
図4は本発明の実施形態を説明するための図で、RFIDタグの構成図である。
RFIDタグ100は、ICチップ23と、このICチップ23が接続されたループアンテナ25と、全体が細長状に形成された線状ブースターアンテナ27(以下、ブースターアンテナと称する)と、を備える。
【0018】
図5にRFIDタグの一部分解図を示すように、ループアンテナ25とブースターアンテナ27は、それぞれ別体に形成されており、ループアンテナ25とブースターアンテナ27とは、図示しない誘電体層を介して非接触状態で近接配置されている。誘電体層としては、空気、接着剤、プリント基板、ポリカーボネート等のプラスチック部材、セラミック部材、などがある。なお、ループアンテナ25とブースターアンテナ27との厚み方向の離間距離は、2mm以下とすることが好ましい。
【0019】
ループアンテナ25は、四角形状に周回された導体からなり、その一部にICチップ23が電気的に接触して接続されている。ループアンテナ25は、850MHz以上、1GHz以下の900MHz近傍のUHF帯で共振するように、そのアンテナの反射係数S11、電圧定在波比(VSWR: Voltage Standing Wave Ratio)、更には、逆方向伝達係数S12を指標として最適形状・最適サイズが設計される。ループアンテナ25のループは、円形状又は多角形状であってもよい。
【0020】
なお、図5においてICチップ23は、ブースターアンテナ27の長手方向端部に対応するループアンテナ25上で、ブースターアンテナ27の長手方向の端部と重なる角位置に配置されているが、ICチップ23のループアンテナ25内における位置制約は無く、辺上、角など任意の位置に配置してかまわない。
【0021】
ブースターアンテナ27は、長手方向の一端部に、この長手方向とは異なる方向へ延設された折り返し部29を有する。折り返し部29は、四角形状に周回して形成され、ブースターアンテナ27の長手方向端部に向かう辺27aと、辺27aの終端(端部)から周回される3辺31(ブースターアンテナ27の長手方向端部の辺),32,33がループアンテナ25に沿って配置される。本構成においては、ループアンテナ25は、ブースターアンテナ27の折り返し部29において、少なくとも3辺に重なり合うように配置される。
【0022】
本構成例では、ブースターアンテナ27の辺27a、及び周回された辺31,32,33の略4辺がループアンテナ25に重なり合うように配置されているが、重なり合う構成に限らず、ブースターアンテナ27とループアンテナ25とが近傍に沿って配置された構成としてもよい。また、ブースターアンテナ27の折り返し部29は、ループアンテナ25の形状に合わせて、円形状又は多角形状に周回して延設されたものであってもよい。
【0023】
この重なり合う領域は、ループアンテナ25のループにおける1ターン全長の73%(略3/4周)以上であればよい。例えば、1ターンループが円形である場合には、重なり合う領域は、中心角263度の弧領域、正方形であれば略3辺分に相当する。
【0024】
ブースターアンテナ27は、長手方向の中心を通る直交線Pを中心線とした線対称形状に形成されている。そして、ループアンテナ25のループ内部には、ブースターアンテナ27の折り返し部29の一部であるパッド部35が配置されている。
【0025】
ブースターアンテナ19の折り返し部29は、図7に示すように、内周側に2周分のループを延設した構成の場合、内周部のループの向きを外周部のループの向きと一致させたスパイラル形態、内周部のループの向きを外周部のループの向きとは逆向きとした反転形態では、周波数特性が若干異なる。ところが、この内周部のループをパッド面を有するパッド部35に置き換えると、スパイラル形態、及び反転形態の両方の周波数特性を兼ね備えることになる。従って、折り返し部29の形態としては、スパイラル形態、反転形態のいずれであってもよいが、パッド部35の外周部に沿ってループ状の折り返しパターンを形成した構成にすることが好ましい。
【0026】
ブースターアンテナ27の材料としては、導電率の大きな素材であればよく、アンテナ形状に加工された金属シート素材を対象物に貼り付ける方法、対象物に蒸着、スパッタ、導電性インクを用いた印刷、エッチング等により直接形成する方法等、様々な形成手段により形成することができる。
【0027】
これらループアンテナ25及びブースターアンテナ27は、850MHz以上、1GHz以下の共振周波数を有するUHF帯の高周波を利用するものとして設計されているが、この周波数帯に限定されるものでは無い。
【0028】
図6にブースターアンテナのモデルを示すように、直線形状のブースターアンテナ長は、使用する周波数の波長λに対してλ/2に対応する長さとなる。従って、本構成においては、このブースターアンテナの長手方向の一端部に、ループアンテナと電磁界結合するための略ループ形状となる前述の折り返し部29を設けることとなる。このブースターアンテナ端部に設ける折り返し部の位置は、波長換算で端部からλ/6の範囲が適切である。換言すれば、ブースターアンテナ全長λ/2の、中心部λ/6を除くいずれかの端部領域に、ループアンテナを電磁界結合するためのループを形成する。
【0029】
なお、ここでいう波長λとは、電流分布より換算した波長であり、物理的寸法とは異なる。図8(A),(B)に、ブースターアンテナの折り返し部29のモデル図を示した。各図に示すように、ブースターアンテナ全体の物理的アンテナ線長は異なるが、電流分布としてはどちらもλ/2であり、電流分布の差はブースターアンテナの左側λ/6長の範囲内でのみ生じる。そのため、電流分布からみたアンテナ中心は、折り返し部29のループ長に影響されず、殆ど変わらない。
【0030】
図4に示すRFIDタグの構成によれば、ループアンテナ25をブースターアンテナの電流分布の高い中央部分ではなく、電流分布の低い長手方向端部に敢えて配置して、ループアンテナ25の略4辺をブースターアンテナ27と電磁界結合させることにより、通信感度を十分なレベルに維持しつつ、通信可能な周波数帯を広帯域化することができる。これにより、各国で異なる使用周波数を一つのRFIDタグで網羅的に使用できる。また、アンテナの広帯域化により、ICチップ15、アンテナ部材等の性能ばらつき対する許容範囲が広がり、コスト低減、製品安定化に寄与できる。更に、RFIDタグが搭載される商品の誘電率差、多数の近接するRFIDタグアンテナ間の干渉、又は、そのRFIDタグ近傍の環境(人体が持つ水分など)による共振周波数シフトに対する許容範囲が広がる。
【0031】
また、ブースターアンテナ27のループアンテナ25との重なり部を除く部分にメアンダラインを形成することで共振周波数の調整を行うことも可能である。
【0032】
更に、ループアンテナ25に接続されるICチップ23を、ブースターアンテナ27の中心部以外の領域に配置することで、このRFIDタグをスマートカードに内蔵させた場合、ICチップとアンテナとの接続部の断線が防止できる。なお、ICチップ23は、RFIDタグ100のできるだけ長手方向端部に配置することで、断線防止効果が向上する。
【0033】
スマートカードとは、マイクロプロセッサとメモリを含んだ典型的なスマートカードを始めとする、例えばISO7810に準拠した電池等の電源を持たないバッテリレスのICカード、磁気カード、光カード、又はこれらが組み合わされたカードである。また、これに限らず、単なる識別用としてのプラスチック製カード等であってもよい。
【0034】
図9(A)は、ブースターアンテナ19の長手方向中央部にループアンテナとICチップ15とを内蔵したスマートカード37に、曲げ応力を負荷した状態を模式的に示す断面図である。この場合、ICチップ15とアンテナ部13との接続部が曲げ応力の集中部位Mに配置されるため、ICチップ15とアンテナ部13との接続部断線を誘発することになる。
【0035】
図9(B)は、図4に示すRFIDタグ100を内蔵したスマートカードに、曲げ応力を負荷した状態を模式的に示す断面図である。この場合、ICチップ15を曲げ応力集中部位Mから避けて配置できるため、ICチップ15と各アンテナとの接続部が断線するリスクを低減できる。
【0036】
また、図9(A)に示すように、ブースターアンテナの中央部にループアンテナ及びICチップ15を配置する場合、RFIDタグをラベル化する際に、ラベル中央部に位置するICチップへのダメージを考慮して、印字等を避ける必要がある。その結果、ラベル中央部に印字できない制約が生じ、ラベル表現価値を下げざるを得ないことになる。
【0037】
一方、図9(B)に示すように、ブースターアンテナの端部にループアンテナ及びICチップ15を配置する場合、ICチップをラベルコーナ部に設けることが可能となり、ラベル印字制約がなくなり、ラベルの表現価値を落とさずに済む。
【0038】
また、一般的な従来のアンテナは、十分な広帯域化設計がなされていないため、使用環境を限定したり、近傍部材(電子部品全般、水分、人体、金属部材など)の影響対策として電波吸収シートを付加した構造、又は、内部空間に余裕を持たせることで影響を緩和させる手段等を採用している。そのため、コストや形状といった設計への影響が大きくなる。しかし、図4に示すRFIDタグ100の構造によれば、上記の各設計制約を緩和させることが可能となる。
【0039】
<第2の構成例>
次に、RFIDタグの他の構成例を説明する。
図10はRFIDタグの他の構成例を示す構成図である。このRFIDタグ200は、ブースターアンテナ27Aの長手方向両端部に折り返し部29Aが設けてあり、片側の折り返し部29Aにはループアンテナ25Aが前述同様に重なり合って配置されている。即ち、ループアンテナ25Aの図中の下側には、前述のブースターアンテナ27Aの辺27a、辺31、及び辺32の一部が、誘電体層を介して配置されている。
【0040】
ブースターアンテナ27Aは、図4に示す折り返し部29よりも長手方向に延長された折り返し部29Aを有する。この折り返し部29Aは、辺32とパッド部35Aが約2倍の長さに延長されている。また、ブースターアンテナ27Aは、折り返し部29A以外の部位が直線状に形成されており、中心線Pを中心として全体が線対称形状とされている。この折り返し部29Aを延長することにより、ブースターアンテナ全体の幅を広げることなく、共振周波数を下げることができる。
【0041】
ループアンテナ25Aは、図4に示すループアンテナ25と同じループサイズであり、ICチップ23をブースターアンテナ27Aの長手方向端部の辺31の中央に対応した位置に配置している。
【0042】
上記のRFIDタグ200の構成にれば、RFIDタグ200の折り返し部29Aがループアンテナ25Aよりも大きくなる場合、ループアンテナ25Aは折り返し部29Aのブースターアンテナ端部寄りとすることで、アンテナ特性が向上する。
【0043】
<第3の構成例>
RFIDタグの更に他の構成例を図11(A),(B)に示す。
図11(A)に示すRFIDタグ300は、ループアンテナ25Bの3辺がブースターアンテナ27Bの辺27a、31,32の一部と電磁界結合させると共に、ループアンテナ25BのICチップ23の位置を、ブースターアンテナ27Bの長手方向端部の辺31の角部に対応した位置に配置している。
【0044】
このRFIDタグ300の構成によれば、ブースターアンテナ27Bのパット部35Bが辺27a、31、32によって囲まれない位置に配置したことにより、ブースターアンテナ全体の幅を広げることなく、共振周波数を下げることができる。
【0045】
図11(B)に示すRFIDタグ400は、ループアンテナの略4辺をブースターアンテナ27Cの辺27a、31,32,33と電磁界結合させると共に、ループアンテナ25CのICチップ23の位置を、ブースターアンテナ27Cの長手方向端部の辺31の角部に対応した位置に配置している。
【0046】
このRFIDタグ400の構成によれば、ブースターアンテナ27Cのパット部35Bが辺27a、31、32、33によって囲まれない位置に配置したことにより、ブースターアンテナ全体の幅を広げることなく、共振周波数を下げることができる。
【0047】
<第5の構成例>
上記各構成のRFIDタグは、パッシブタグのみならず、アクティブタグに対しても適用可能である。そして、本アンテナ構成は、電波方式のリーダ又はリーダライタのアンテナに適用しても前述同様の効果を得ることができる。
【0048】
上記各構成のRFIDタグを、アクティブタグとして用いるRFIDタグシステムの構成例を図12に示す。図12は、RFIDタグシステムの概略的な配線図である。
RFIDタグシステム600は、RFIDタグアンテナ500と、RFIDタグアンテナ500に接続される受信回路41及び送信回路43と、RFIDタグアンテナ500からの信号線を受信回路41と送信回路43に分岐させるカプラ45とを備える。
【0049】
RFIDタグアンテナ500は、ループアンテナ25Dとブースターアンテナ27Dとを有し、ループアンテナ25Dは受信回路41及び送信回路43にカプラ45を介して接続されている。即ち、本構成においては、ICチップがアクティブタグの通信系に置き換えられている。
【0050】
このように、本構成のRFIDタグは、電波通信機器全般への転用も可能である。具体的には、(1)1ターンループ構造を有するループアンテナを備えた基板を作成し、機器に組み込む。(2)機器側では、その1ターンループと整合の取れる位置関係の部分に、ブースターアンテナを上記した位置関係となるよう配置する。この場合、ループアンテナ位置の自由度を高めることができる。
【0051】
(例1)
多層基板において、任意のスペースを有した2層を、コイルアンテナ形成層、及び、ブースターアンテナ形成層として設ける。どの層にそれぞれのアンテナを設けるかについては、基板内の各層の厚さ、基板誘電率、アンテナ形状を考慮して適宜、選択する。
【0052】
(例2)
アクティブタグの電源を含む基板上にループアンテナを設ける。また、基板を収容する機器ケースの内面又は外面に、ループアンテナと特定の位置関係となるようにブースターアンテナを配置する。
【0053】
これらの例のように、ループアンテナとブースターアンテナが互いを接続する配線の無い非接触の別個体として構成されている場合、使用用途に応じて適時、ブースターアンテナの取り付け、取り外しが可能となり、長距離通信の可否(セキュリティ機能)等選択も可能となる。このとき、1ターンループタグは、単体であれば磁界誘導方式タグして機能する。
【0054】
上記(例1)に対する具体的な構成例を図13、図14を用いて説明する。
図13に示すように、記録テープカートリッジ51は、偏平ケース53内に回転可能に収納された単一のリール55に、情報記録媒体である磁気テープTが巻回されている。この記録テープカートリッジ51は、矢印A方向に図示しないドライブ装置に装填されると、該装填方向の先頭側に形成された窓部57が開放され、窓部57から磁気テープTの先端に設けられたリーダ部材59がドライブ装置によって引き出し操作される。そして、磁気テープTがドライブ装置内で所定のテープ経路に沿って導かれ、磁気テープTに対して情報の読み書きが行われる。
【0055】
記録テープカートリッジ51の偏平ケース53における矢印Aとは反対側の背面61に凹設されたラベルエリア63には、ラベル65が貼付される。記録テープカートリッジ51は、非使用時には、ラベルエリア63に添付されたラベル65が表出されるようにライブラリ装置に保管される。ラベル65は、文字や記号等のユーザによる目視可能な情報が印字又は手書きされるものである。
【0056】
この記録テープカートリッジ51のラベルエリア63の内側となるカートリッジ内には、図12に示す受信回路41、送信回路43、カプラ45、及びループアンテナ25Dを含むアクティブ、又は、パッシブのタグ67が搭載されている。一方、ラベル65には、図12に示すブースターアンテナ27Dが形成されており、ラベル65をラベルエリア63に貼り付けすると、前述したように、ブースターアンテナ27Dとループアンテナ25Dとが所定の位置でテープカートリッジのケースを介して重ね合わされる。
【0057】
タグ67側の受信回路41、送信回路43、又はこれらに接続される記憶部(図視略)には、例えば、これまでバーコードラベル等で表されていた情報、保管時及びオートローダによる搬送使用時のカートリッジ個体一元管理のための情報、等が記憶されている。
【0058】
そして、多数の記録テープカートリッジ51をバックアップ等に用いる場合、多数の記録テープカートリッジ51を保管するホルダと、自動的にドライブ装置に装填、取り出しするオートローダとを含んで構成されるライブラリ装置が用いられる。図14に示すように、このライブラリ装置70のホルダに、複数の記録テープカートリッジ51が、厚み方向に一定の間隔で、ラベル65を表出させて整列配置されている。
【0059】
ライブラリ装置70は、ホルダに整列配置された記録テープカートリッジ51の各ラベル65に対面して、リーダ、又はリーダライタを有する移動ヘッド69が、搬送装置により移動自在に設けてある。ライブラリ装置は、移動ヘッド69を記録テープカートリッジ51の配列方向に沿って移動しながら、通信アンテナとしてのリーダアンテナ、又はリーダライタアンテナを介して、前述のブースターアンテナ27D及びループアンテナ25Dと個別に近距離無線(非接触)通信することで、情報の読み取り、又は書き込みを行う。
【0060】
このRFIDタグシステム600の構成によれば、タグ67を記録テープカートリッジ51の隅部に配置でき、デッドスペースを有効利用したスペース効率に優れた構成にできる。
【0061】
また、この場合のタグ67は印字不要となり、印字を考慮したICチップ破損防止構造等を設ける必要はない。更にラベル65はブースターアンテナ27Dが搭載されるのみであり、ラベルの印字制約がなくなるため、ラベルの表現価値を低下させずに済む。そして、ループアンテナ25Dとブースターアンテナ27Dに挟まれるテープカートリッジ材質からなる誘電体層は数mmの厚みを許容するので、ループアンテナ25Dを記録テープカートリッジ51内に配置する際の、ループアンテナ25Dとブースターアンテナ27Dの設置自由度が向上する。
【0062】
そして、本構成によれば、ループアンテナ25Dとブースターアンテナ27D間に配線は存在せず、断線や接触不良等の故障を誘発することがない。従って、記録テープカートリッジ51の分解作業においても、アンテナ間のコネクタ配線やねじ止めの取り外しといった付帯作業なしで行える。
【0063】
よって、本構成によれば、広帯域化の効果を得ながらにして、故障リスクを低減し、更には、部品点数の低減、加工コスト低減に寄与することが可能となる。また、使用する周波数の広帯域化により、RFIDタグの使用条件・環境の制約を大幅に回避することが可能となる。例えば、貼り付け対象物(金属、プラスティック)や人体等に含まれる水分の誘電率の影響、他の近接したRFIDタグ間の干渉、等に対するマージンを確保でき、人体等の外乱影響を受けても通信品質に影響が及びにくくなる。また、広帯域仕様(World−Wide仕様)タグへの適用に有益な効果が得られる。
【0064】
<シミュレーション結果>
次に、上記構成のRFIDタグのアンテナ特性のシミュレーション結果について説明する。
(解析1:ループアンテナとブースターアンテナとの配置依存性)
図15はループアンテナとブースターアンテナとの位置関係を示す解析モデル図で、(A)はブースターアンテナの略中央部にループアンテナを配置した一般的なアンテナ構成の図、(B)はブースターアンテナの一端部にループアンテナを配置したアンテナ構成の図である。
【0065】
図15(A),(B)に示す配置の各アンテナによるS11パラメータ、及びVSWRのシミュレーション結果を図16に示す。図16の左側の軸はS11パラメータの値、右側の軸はVSWRの値を示し、横軸は周波数を示す。
【0066】
以下に示す各シミュレーションにおいては、誘電体層の厚み1mm、誘電率2.6の基材両面に、1ターンループアンテナ、及びブースターアンテナを形成したモデルとしている。また、ループアンテナの外形寸法は7.5mm×14mm、パターン幅は1mmとした。ブースターアンテナの基本となるパターン幅も1mmとし、ブースターアンテナの全長は、共振周波数が960MHzとなるように調整している。
【0067】
図15(B)に示す解析モデルのように、ブースターアンテナの端部にスパイラル状の折り返し部を形成し、その折り返し部にループアンテナを配置した場合、図15(A)に示す解析モデルと比較して、図16に示すように、S11パラメータの最小値が低下すると共に、S11パラメータとVSWRの共振周波数が広帯域化する。
【0068】
(解析2:直線状のブースターアンテナにおける1ターンループアンテナの位置依存性)
図17は、ループアンテナ25の位置をブースターアンテナ27の端部から中央部まで変化させる解析モデル図である。
【0069】
この場合の解析結果は、図18に示すように、距離Xの減少に伴い、つまり、ループアンテナ25をブースターアンテナ27の中央部から端部へ移動するに伴い、S11パラメータは最小値が増加し、共振周波数は狭帯域化される。また、VSWRの共振周波数も狭帯域化される。S11パラメータ及びVSWRの狭帯域化は、いずれも高周波側で顕著となる。この解析結果は、S11パラメータを最小とする条件として特許文献1、及び、特許文献2に記載された内容と一致する。
【0070】
(解析3:ブースターアンテナの端部における1ターンループアンテナとの重なり部の形状依存性)
図19は、ループアンテナ25に重なるブースターアンテナ27の端部形状を、(A)2辺の重なりとした構成、(B)3辺の重なりとした構成、(C)略4辺の重なりとした構成の解析モデル図である。
この場合の解析結果は、図20に示すように、S11パラメータは、ブースターアンテナ27の重なりが増加するほど、最小値が低下すると共に、周波数が広帯域化される。また、VSWRの共振周波数も広帯域化される。
【0071】
図21は、ブースターアンテナ27の端部とループアンテナ25との重なりを、2辺と3辺との間に設定した解析モデル図である。この場合の重なり長さは、2辺の重なり長さに、距離Xの重なり長を加算した値となる。
【0072】
この場合の解析結果は、図22に示すようになる。図中には、1ターンループアンテナ25の全長Cを100%として、ブースターアンテナ27との重なり部の割合を併記している。この解析結果によれば、X=10mm、つまり、重なり部がループアンテナ全長Cの73%以上であると、S11パラメータが−3dB以下、VSWR 6以下となり、好ましいことがわかる。
【0073】
(解析4:ブースターアンテナの折り返し部の形状依存性)
図23は、ブースターアンテナ27の折り返し部29の形状を、(A)略2周のスパイラル形状とした構成、(B)略2周のループで、内周と外周のループを逆向きにした構成、(C)内側のループを広幅のパッド部とした構成の解析モデル図である。
【0074】
この場合の解析結果は、図24に示すように、S11パラメータは、折り返し部29の形状が逆向きループ、スパイラル形状、パッド部35とした構成の順で最小値が低下しており、共振周波数が広帯域化される。また、VSWRについても同順で共振周波数が広帯域化される。
【0075】
(解析5:1ターンループアンテナと3辺の重なりを有するブースターアンテナの端部形状依存性)
図25は、ブースターアンテナ27の折り返し部29におけるループアンテナ25からの突出部71を含む辺の長さを異ならせた構成の解析モデル図である。本構成では、ブースターアンテナ27の長手方向全長Lを105mm〜108mmの範囲とし、突出部71の長さXを0mm、6mm、26mm、36mmとして解析した。
【0076】
この場合の解析結果は、図26に示すように、S11パラメータは、X=0mmからX=6mmに変化すると最小値が低下し、X=6mmからX=26mm、36mmと変化するにつれて増加する。また、共振周波数はXの増加に伴い広帯域化される。VSWRは、Xの増加に伴い共振周波数が増加する。そして、X=6mmから、26mm、36mmと変化するにつれて、共振周波数が特に高周波側で大きく広帯域化される。
【0077】
また、上記解析モデルによるリーダ・ライタ装置との通信性能を解析するにあたり、本発明のアンテナ、及び、図示しない広帯域特性を有するアンテナを120mmの距離に対向させて設置した条件にてS11、S12、及び、VSWRを計算した結果、図27(A),(B)に示すように、Xが0mmの場合よりも26mmの場合の方がS11パラメータ、VSWRの共振周波数が広帯域化され、S12パラメータについても広帯域化される。以上より、本解析結果からすると、Xが26mm以上、36mm以下の範囲が最適な寸法となる。
【0078】
(解析6:1ターンループアンテナと略4辺の重なりを有するブースターアンテナの端部形状依存性)
図28は、ブースターアンテナ27の折り返し部29におけるループアンテナ25からの突出部73の長さを異ならせた構成の解析モデル図である。本構成では、ブースターアンテナ27の長手方向全長Lを110mm〜114mmの範囲とし、突出部73の長さXを0mm、10mm、20mm、30mm、40mmとして解析した。
【0079】
この場合の解析結果は、図29に示すように、S11パラメータは、X=0mmからX=10mmに変化すると最小値が低下し、X=10mmからX=20mm、30mm、40mmと変化するにつれて増加する。また、共振周波数はXの増加に伴い広帯域化される。VSWRは、Xの増加に伴い共振周波数が増加する。そして、X=20mmから、30mm、40mmと変化するにつれて、共振周波数が特に高周波側で大きく広帯域化される。
【0080】
また、上記解析モデルによるリーダ・ライタ装置との通信性能を解析した結果、図30(A),(B)に示すように、Xが0mmの場合よりも40mmの場合の方がS11パラメータ、VSWRの共振周波数が広帯域化され、S12パラメータについても広帯域化される。いずれも高周波側で大きく広帯域化される。以上より、本解析結果からすると、Xが30mm以上、40mm以下の範囲が最適な寸法となる。
【0081】
(解析7:1ターンループアンテナの単体性能、及びブースターアンテナとの組み合わせ時の性能差)
1ターンループアンテナは最もシンプルな構造であるため市販のICチップとのインピーダンス整合を得ることは難しい。1ターンループアンテナの共振周波数はICチップが持つキャパシタンス成分(C)と1ターンループアンテナが持つインダクタンス成分(L)との組み合わせで決まる。1ターンループアンテナにおけるインダクタンス成分は、主にループサイズに依存し、共振周波数に見合うインダクタンス成分によりループサイズが決まる。しかし、この状態における1ターンループアンテナの抵抗成分はICチップの抵抗成分より小さく、VSWRの値が100以上となり、整合が得られない状態にある。
【0082】
一方、この1ターンループアンテナとブースターアンテナとの間に適切な配置条件を与えることにより、ブースターアンテナが1ターンループアンテナの抵抗成分として寄与する。その結果、ICチップと1ターンループアンテナ/ブースターアンテナの組み合わせにおいて、インピーダンス整合条件が得られるようになる。
【0083】
図31は、1ターンループアンテナ単体、及び、1ターンループアンテナとブースターアンテナの組み合わせ、のそれぞれにおけるS11、及びVSWRを計算した結果である。1ターンループアンテナ単体の場合、VSWRは約140であるが、これに、ブースターアンテナを組み合わせた時(図18のX=54mmのデータ)のVSWRは2以下となる。
【0084】
このように、本発明は上記各実施形態に限定されることなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることができる。また、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0085】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) ICと、該ICが接続されたループアンテナと、全体が細長状に形成された線状ブースターアンテナと、を備えたRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナが、長手方向の一端部に該長手方向とは異なる方向へ延設された折り返し部を有し、
前記ループアンテナのループにおける1ターン全長の73%以上の領域が、前記線状ブースターアンテナの折り返し部を含む領域に沿って配置されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ。
(2) (1)のRFIDタグであって、
前記ループアンテナが、前記ブースターアンテナの折り返し部と誘電体層を介して積層されたRFIDタグ。
(3) (1)又は(2)のRFIDタグであって、
前記ループアンテナのループが、円形状又は多角形状であるRFIDタグ。
(4) (3)のRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの折り返し部が、円形状又は多角形状に周回して延設されたRFIDタグ。
(5) (1)〜(4)のいずれか一つのRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの折り返し部が、四角形状に周回して形成され、少なくとも周回された3辺が前記ループアンテナに沿って配置されたRFIDタグ。
(6) (1)〜(5)のいずれか一つのRFIDタグであって、
前記ICチップが、前記ループアンテナ上で、かつ、前記線状ブースターアンテナの前記長手方向の端部と重なる位置に配置されたRFIDタグ。
(7) (1)〜(6)のいずれか一つのRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナが、前記長手方向の中心を通る直交線を中心線とした線対称形状に形成されたRFIDタグ。
(8) (1)〜(7)のいずれか一つのRFIDタグであって、
前記ループアンテナのループ内部と、前記線状ブースターアンテナの折り返し部の少なくとも一部が重なって配置されたRFIDタグ。
(9) (1)〜(8)のいずれか一つのRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの折り返し部が、前記線状ブースターアンテナの端部から、使用する周波数の波長の1/6に相当する範囲に設けられたRFIDタグ。
(10) (1)〜(9)のいずれか一つのRFIDタグであって、
挿入損失(S11パラメータ)が−3dB以下であり、且つ、電圧定在波比(VSWR)が6以下であるRFIDタグ。
(11) (10)のRFIDタグであって、
前記ループアンテナ及び前記線状ブースターアンテナが、850MHz以上、1GHz以下の共振周波数を有するものであるRFIDタグ。
(12) (1)〜(11)のいずれか一つのRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの前記長手方向の一端部を除く部分が、メアンダライン形状に形成されたRFIDタグ。
(13) (1)〜(12)のいずれか一つのRFIDタグと、
該RFIDタグと無線通信するリーダ又はリーダライタと、を含んで構成されるRFID通信システム。
【符号の説明】
【0086】
13 アンテナ部
15 ICチップ
17 ループアンテナ
19 ブースターアンテナ
21 パッド部
23 ICチップ
25,25A ループアンテナ
27,27A ブースターアンテナ(線状ブースターアンテナ)
27a 辺
29,29A 折り返し部
31,32,33 辺
35 パッド部
37 スマートカード
41 受信回路
43 送信回路
51 記録テープカートリッジ
65 ラベル
67 タグ
100,200,300,400 RFIDタグ
600 RFIDタグシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICと、該ICが接続されたループアンテナと、全体が細長状に形成された線状ブースターアンテナと、を備えたRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナが、長手方向の一端部に該長手方向とは異なる方向へ延設された折り返し部を有し、
前記ループアンテナのループにおける1ターン全長の73%以上の領域が、前記線状ブースターアンテナの折り返し部を含む領域に沿って配置されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグ。
【請求項2】
請求項1記載のRFIDタグであって、
前記ループアンテナが、前記ブースターアンテナの折り返し部と誘電体層を介して積層されたRFIDタグ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のRFIDタグであって、
前記ループアンテナのループが、円形状又は多角形状であるRFIDタグ。
【請求項4】
請求項3記載のRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの折り返し部が、円形状又は多角形状に周回して延設されたRFIDタグ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項記載のRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの折り返し部が、四角形状に周回して形成され、少なくとも周回された3辺が前記ループアンテナに沿って配置されたRFIDタグ。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項記載のRFIDタグであって、
前記ICチップが、前記ループアンテナ上で、かつ、前記線状ブースターアンテナの前記長手方向の端部と重なる位置に配置されたRFIDタグ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項記載のRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナが、前記長手方向の中心を通る直交線を中心線とした線対称形状に形成されたRFIDタグ。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか一項記載のRFIDタグであって、
前記ループアンテナのループ内部と、前記線状ブースターアンテナの折り返し部の少なくとも一部が重なって配置されたRFIDタグ。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか一項記載のRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの折り返し部が、前記線状ブースターアンテナの端部から、使用する周波数の波長の1/6に相当する範囲に設けられたRFIDタグ。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項記載のRFIDタグであって、
挿入損失(S11パラメータ)が−3dB以下であり、且つ、電圧定在波比(VSWR)が6以下であるRFIDタグ。
【請求項11】
請求項10記載のRFIDタグであって、
前記ループアンテナ及び前記線状ブースターアンテナが、850MHz以上、1GHz以下の共振周波数を有するものであるRFIDタグ。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか一項記載のRFIDタグであって、
前記線状ブースターアンテナの前記長手方向の一端部を除く部分が、メアンダライン形状に形成されたRFIDタグ。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか一項記載のRFIDタグと、
該RFIDタグと無線通信するリーダ又はリーダライタと、とを含んで構成されるRFID通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−217042(P2012−217042A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81056(P2011−81056)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】