説明

RNA干渉組成物および方法

本発明は単離された核酸を提供する。例えば、本発明は、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方をもつ少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。本発明はまた、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。さらに、本発明は、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む細胞、ウイルス、およびトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックの非ヒトの動物)、加えて本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を用いて、細胞内においてRNA(例えば、mRNA)のレベルを低下させるための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 技術分野
本発明は、RNA干渉に関係する方法および材料に関する。特に、本発明は、RNA干渉を引き起こすRNA分子を形成する核酸、および細胞内のRNA(例えば、mRNA)のレベルを低下させる核酸を用いるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2. 背景情報
RNA干渉は、遺伝子サイレンシングとしても知られているが、典型的には、小さな干渉RNA(siRNA)と呼ばれている、小さなRNA分子を用いて、細胞において標的にされた配列の発現を下方制御する。siRNAは二本鎖分子であり、その1つの鎖は、mRNAに相補的でありうる。siRNAがmRNAに相補的な配列を含む場合、そのmRNAは、細胞内に存在するRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)により転写後に分解され(Hannon et al., Nature, 404:293-296 (2000))、それに従って、関連した遺伝子の発現を効果的に下方制御する。RNA干渉は、遺伝子発現の下方制御において、アンチセンステクノロジーまたは標的リボザイムテクノロジーよりも桁違いに効率的であると報告されている(Elbashir et al., Nature, 411:428-429 (2001))。
【発明の開示】
【0003】
概要
本発明は、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方をもつ少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。本発明はまた、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。各場合において、単離された核酸は、一本鎖または二本鎖でありうる。典型的には、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方をもつ少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列を含む同じ鎖上に1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列を含む。例えば、一本鎖RNA分子は、センス配列、続いてアンチセンス配列、続いてシス作用性リボザイム配列を含みうる。同様に、センス配列およびアンチセンス配列の両方についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列についての鋳型である鎖が、1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列についての鋳型でもあるように、構成されうる。例えば、二本鎖DNA分子は、センス配列、続いてアンチセンス配列、続いてシス作用性リボザイム配列をもつ一本鎖RNA分子の合成のための鋳型である1つの鎖を有しうる。
【0004】
一つの態様において、単離された核酸は、(1)お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列、ならびに(2)1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列をもつ少なくとも1つの鎖を有するように設計されうる。シス作用性リボザイム配列は、鎖に沿ったどこにでも位置しうる。例えば、シス作用性リボザイム配列は、センス配列およびアンチセンス配列の3'に位置しうる。この場合、シス作用性リボザイム配列は、センス配列およびアンチセンス配列の3'のヌクレオチドの数を制限するために用いられうる。もう一つの例において、シス作用性リボザイム配列は、以下の5'から3'への配置を形成するように、センス配列およびアンチセンス配列の5'ならびに3'に、加えてセンス配列とアンチセンス配列の間に、位置しうる:第一のシス作用性リボザイム配列、続いてセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム配列、続いてアンチセンス配列、続いて第三のシス作用性リボザイム配列。この場合、シス作用性リボザイム配列は、センス配列およびアンチセンス配列を遊離させるために用いられうり、その後、それらは、siRNAとして作用する能力がある二本鎖RNA分子を形成することができる。
【0005】
もう一つの態様において、単離された核酸は、(1)お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列、ならびに(2)1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有するように設計されうる。この態様において、単離された核酸は、鋳型鎖が、センス配列およびアンチセンス配列ならびに1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列を含む単一のRNA分子を形成するように転写されるように、設計されうる。シス作用性リボザイム配列は、RNA分子に沿ったどこにでも位置しうる。例えば、シス作用性リボザイム配列は、センス配列およびアンチセンス配列の3'に位置しうる。この場合、シス作用性リボザイム配列は、センス配列およびアンチセンス配列の3'のヌクレオチドの数を制限するために用いられうる。もう一つの例において、シス作用性リボザイム配列は、以下の5'から3'への配置を形成するように、センス配列およびアンチセンス配列の5'ならびに3'に、加えてセンス配列とアンチセンス配列の間に、位置しうる:第一のシス作用性リボザイム配列、続いてセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム配列、続いてアンチセンス配列、続いて第三のシス作用性リボザイム配列。この場合、シス作用性リボザイム配列は、センス配列およびアンチセンス配列を遊離させるために用いられうり、その後、それらは、siRNAとして作用する能力がある二本鎖RNA分子を形成することができる。
【0006】
本明細書に提供される単離された核酸は、RNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子を形成するために用いられうる。例えば、センス配列、アンチセンス配列およびシス作用性リボザイム配列を含む1つの鎖を有する単離された核酸は、(1)二本鎖RNAおよび/または(2)1つもしくは複数のシス作用性リボザイム配列による切断での一本鎖RNAを形成することができる。同様に、センス配列、アンチセンス配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸は、(1)二本鎖RNAおよび/または(2)1つもしくは複数のシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断での一本鎖RNAを形成することができる。各場合において、二本鎖RNAは、センス配列とアンチセンス配列の間の結合性相互作用に起因しうる。典型的には、二本鎖RNAは、約15〜35ヌクレオチド長であり、siRNA分子として機能する。各場合における一本鎖RNAは、0個、1個、2個、3個、4個、5個またはそれ以上のヘアピンループ構造をもちうる。いくつかの態様において、一本鎖RNAは、1個より多くないヘアピンループ構造をもちうる。これらのヘアピンループ構造は、一本鎖RNAのセンス配列とアンチセンス配列の間の結合性相互作用に起因しうる。典型的には、ヘアピンループ構造のステム部分は、約15〜35ヌクレオチド長であり、RNA干渉を引き起こすことができる。さらに、二本鎖および一本鎖RNAは、酵素的に不活性でありうる(例えば、トランス作用性リボザイム活性を欠損する)。例えば、1個より多くないヘアピンループ構造をもつ一本鎖RNAは、トランス作用性リボザイム活性を欠損しうる。
【0007】
さらに、本明細書に提供される単離された核酸は、RNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子の存在が一時的な、誘導性の、または組織特異的な様式で制御されるように設計されうる。例えば、(1)お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列、ならびに(2)1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列についての鋳型である1つの鎖を有するDNA分子は、特定の細胞型において鋳型鎖の転写を促進する組織特異的プロモーターを有するように構築されうる。この場合、単離された核酸は、それらの特定の細胞において、センス配列およびアンチセンス配列ならびに1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子を形成するために用いられうる。いったんRNA分子が形成されたならば、シス作用性リボザイム配列は、例えば、最初に転写されたRNA分子の他のヌクレオチド配列からセンス配列およびアンチセンス配列を遊離させるように、RNA分子を切断することができる。例えば、シス作用性リボザイム配列は、センス配列に隣接する配列、およびアンチセンス配列に隣接する配列が除去されるように位置しうる。この場合、センス配列を含むRNA分子は、siRNA分子を形成するように、相補的なアンチセンス配列を含むRNA分子に結合することができる。
【0008】
プロモーター配列を用いて、一時的な、誘導性の、または組織特異的な様式でRNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子の存在を制御することは、発生の特定の段階において、または特定の細胞型において、mRNAを下方制御するための強力なツールを科学者に提供することができる。これらのツールは、(1)二本鎖RNAおよび(2)シス作用性リボザイム配列を転写する能力を欠損するDNA構築物で、細胞をトランスフェクションすることを超えるいくつかの利点をもつ。第一に、トランスフェクションされた二本鎖RNA分子は、siRNA分子を生じうるエンドヌクレアーゼのリボヌクレアーゼIIIによる分解についての基質として用いられうるが、そのRNAは、不安定であり、多数の他のヌクレアーゼによる分解を受けやすい。さらに、二本鎖RNA分子の送達は、特定の組織または細胞型における二本鎖RNAのトランスフェクションの効率に頼る。第二に、RNAポリメラーゼIIについてのプロモーターである組織特異的プロモーターを含むDNA構築物の使用は、転写終結問題に導かれ、結果として、その後のsiRNA発生に適さない長いRNA転写物を生じうる。RNAポリメラーゼIIIについてのプロモーター(例えば、U2、H1またはU6プロモーター)を含むDNA構築物を用いることは、転写終結問題を解決することができるが、RNAポリメラーゼIIIについてのプロモーターは、典型的には、一時的な、誘導性の、または組織特異的な様式で転写を制御しない。RNAポリメラーゼIIIによる転写は、通常、遍在性である。さらに、RNAポリメラーゼIIIによる転写に起因するRNA転写物は、しばしば、核質のままである。
【0009】
本発明はまた、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む細胞、ウイルスおよびトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニックの非ヒトの動物)、加えて、細胞内でRNA(例えば、mRNA)のレベルを低下させるために本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を用いるための方法を提供する。例えば、本明細書に提供されている単離された核酸は、それらがウイルス、細菌、真菌、寄生生物、植物または動物(例えば、ヒトのような哺乳動物)由来のmRNAのようなRNA配列を標的にすることができることから、RNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子を形成するために用いられうる。
【0010】
本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む細胞は、単離された核酸の実質的に純粋な調製物を作製するために用いられうる。例えば、単離された核酸を含む大腸菌(E. coli)細胞は、大量の単離された核酸が産生されるように増殖されうる。さらに、本明細書に提供されている単離された核酸を含む細胞は、遺伝子機能を研究するためのツールを科学者に提供することができる。例えば、哺乳動物細胞は、哺乳動物mRNAを標的にするsiRNA分子がそれらの細胞内に形成されるように、本明細書に提供されている単離された核酸を含むように設計されうる。これらの結果として生じた細胞の表現型は、標的にされた哺乳動物mRNAの特定の機能を決定するために研究されうる。
【0011】
本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含むウイルスは、単離された核酸を細胞へ送達するために用いられうる。例えば、神経細胞特異的ウイルスは、その単離された核酸が神経細胞へ送達されうるように、本明細書に提供されている単離された核酸を含むように設計されうる。ウイルスは、追加の改変を含みうる。例えば、それらのウイルスに通常では感染しない特定の細胞または細胞群を感染させるように設計されうる。例えば、Fields Virology、第3版(Fields, B., Knipe, D., and Howley, P., eds.), Lippincott Williams & Wilkins, New York, New York, 1996, pg. 186-191を参照されたい。さらに、ウイルスは、病原性を欠くように設計されうる。例えば、複製欠損ウイルスが、本明細書に提供されている単離された核酸を含むように設計されうる。
【0012】
本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含むトランスジェニック動物は、ノックアウト動物を作製するために用いられうる。例えば、本明細書に提供されている単離された核酸は、動物の各細胞が特定のmRNAを標的にするsiRNA分子を産生し、それにより細胞内でその特定のmRNAの存在を低減または除去するように、動物のゲノムへ導入されうる。ノックアウト動物を作製するために本明細書に提供されている単離された核酸を用いることは、相同的組換えの必要性を回避することができる。例えば、ノックアウト動物は、内因性標的遺伝子配列の破壊が必要とされないため、相同的組換え段階無しに標準的トランスジェニックテクノロジーを用いて作製されうる。本明細書に記載されているように、単離された核酸は、RNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子が特定の細胞型に形成されるように、プロモーター配列を含みうる。従って、トランスジェニック動物は、動物の各細胞が単離された核酸を含むが、特定の細胞のみが単離された核酸を転写するように、作製されうる。この場合、特定の細胞は、RNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子を形成することができるが、それらの特定の細胞以外の細胞は、形成しない。
【0013】
一般的に、本発明の一つの局面は、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸を特徴とする。センス核酸配列は、アンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列は、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で、二本鎖RNAを形成する。アンチセンス核酸配列は、ウイルスmRNA配列に相補的でありうる。アンチセンス核酸配列は、哺乳動物mRNA配列に相補的でありうる。センス核酸配列は、少なくとも15ヌクレオチド長でありうる。センス核酸配列は、約15ヌクレオチド長から約300ヌクレオチド長まででありうる。センス核酸配列は、約15ヌクレオチド長から約50ヌクレオチド長でありうる。センス核酸配列は、SEQ ID NO:1、2、3、4、5、6、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53または54に示された配列を含みうる。シス作用性リボザイム配列は、センス核酸配列またはアンチセンス核酸配列の3'にありうる。シス作用性リボザイム配列は、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にありうる。シス作用性リボザイム配列は、センス核酸配列またはアンチセンス核酸配列の5'にある。シス作用性リボザイム配列は、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にありうる。シス作用性リボザイム配列は、センス核酸配列とアンチセンス核酸配列の間にありうる。核酸は、二本鎖または一本鎖でありうる。核酸は、DNAまたはRNAでありうる。核酸は、制限酵素切断部位を含みうる。核酸は、プラスミドでありうる。核酸は、RNA分子の転写を促進するプロモーター配列を含みうる。プロモーター配列は、組織特異的プロモーター、細胞特異的プロモーター、または病原体特異的プロモーターでありうる。プロモーター配列は、RNAポリメラーゼIIによる転写を促進しうる。プロモーター配列は、RNAポリメラーゼIIIによる転写を促進しうる。プロモーター配列は、H1プロモーター配列またはU6プロモーター配列でありうる。プロモーター配列は、マウスアルブミンエンハンサープロモーター配列、トランスフェリンプロモーター配列、プロバシンプロモーター配列、または乳清酸性タンパク質プロモーター配列でありうる。プロモーター配列は、ケラチン7プロモーター配列、ケラチン13プロモーター配列、またはケラチンエンハンサープロモーター配列でありうる。RNA分子は、核酸が細胞内にある場合、核酸から転写されうる。細胞は、腎細胞、皮膚細胞(例えば、ケラチン生成細胞)、肝細胞、神経細胞、筋細胞およびリンパ球からなる群より選択されうる。鎖は、1つより多いシス作用性リボザイム配列についての鋳型でありうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれは、異なりうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列の一つは、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にありうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列のもう一つは、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にありうる。センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列は、それぞれ、1つより多いシス作用性リボザイム配列の少なくとも一つに隣接しうる。鎖は、3つのシス作用性リボザイム配列についての鋳型でありうる。
【0014】
もう一つの態様において、本発明は、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸を特徴とする。シス作用性リボザイム配列は、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にありうる。シス作用性リボザイム配列は、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にありうる。核酸は、二本鎖または一本鎖でありうる。核酸は、DNAまたはRNAでありうる。核酸は、RNA分子の転写を促進するプロモーター配列を含みうる。核酸は、制限酵素切断部位を含みうる。核酸は、プラスミドでありうる。核酸は、RNA分子の転写を促進するプロモーター配列を含みうる。プロモーター配列は、組織特異的プロモーター、細胞特異的プロモーター、または病原体特異的プロモーターでありうる。プロモーター配列は、RNAポリメラーゼIIによる転写を促進しうる。プロモーター配列は、RNAポリメラーゼIIIによる転写を促進しうる。プロモーター配列は、H1プロモーター配列またはU6プロモーター配列でありうる。プロモーター配列は、マウスアルブミンエンハンサープロモーター配列、トランスフェリンプロモーター配列、プロバシンプロモーター配列、または乳清酸性タンパク質プロモーター配列でありうる。プロモーター配列は、ケラチン7プロモーター配列、ケラチン13プロモーター配列、またはケラチンエンハンサープロモーター配列でありうる。RNA分子は、核酸が細胞内にある場合、核酸から転写されうる。細胞は、腎細胞、皮膚細胞(例えば、ケラチン生成細胞)、肝細胞、神経細胞、筋細胞およびリンパ球からなる群より選択されうる。鎖は、1つより多いシス作用性リボザイム配列についての鋳型でありうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれは、異なりうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列の一つは、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にありうり、1つより多いシス作用性リボザイム配列のもう一つは、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にありうる。
【0015】
本発明のもう一つの態様は、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸を特徴とする。核酸は一本鎖でありうる。RNA鎖は、1つより多いシス作用性リボザイム配列を含みうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれは、異なりうる。センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列は、それぞれ、1つより多いシス作用性リボザイム配列の少なくとも1つに隣接しうる。
【0016】
本発明のもう一つの態様は、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸を特徴とする。核酸は一本鎖でありうる。RNA鎖は、1つより多いシス作用性リボザイム配列を含みうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれは、異なりうる。1つより多いシス作用性リボザイム配列の一つは、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にありうり、1つより多いシス作用性リボザイム配列のもう一つは、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にありうる。
【0017】
本発明のもう一つの態様は、薬学的に許容される担体、および以下のものからなる群より選択される単離された核酸を含む組成物を特徴とする:(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。
【0018】
もう一つの局面において、本発明は、以下のものからなる群より選択される単離された核酸を含む単離された細胞を特徴とする:(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。
【0019】
本発明のもう一つの局面は、以下のものからなる群より選択される単離された核酸を含むウイルスを特徴とする:(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。ウイルスは、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、トガウイルス、ポリオウイルス、サイトメガロウイルス、パラミクソウイルス、エプスタイン-バーウイルス、ヒトパピローマウイルスまたはC型肝炎ウイルスでありうる。
【0020】
本発明のもう一つの局面は、非ヒトトランスジェニック動物のゲノムが、以下のものを含むRNA分子についての鋳型である、1つの鎖に存在する核酸配列を含む、非ヒトトランスジェニック動物を特徴とする:(a)センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列、または(b)センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列。非ヒトトランスジェニック動物は、マウスでありうる。
【0021】
本発明のもう一つの局面は、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある配列を同定する方法を特徴とし、方法は以下の段階を含む:(a)ベクター調製物の各ベクターが以下のものを含む、ベクター調製物を細胞へ導入する段階:(1)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列;(2)レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列およびレポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される、レポーター核酸配列;ならびに(3)以下のものを含む、プロモーター配列領域:(i)複数の試験核酸配列の1つのメンバー、および(ii)メンバーの両方の鎖の転写を促進する配置でメンバーに実施可能に連結された2つのプロモーター配列;(b)そのポリペプチドを欠損する少なくとも1つの細胞を同定する段階;ならびに(c)段階(b)で同定された細胞由来のメンバーの配列を得て、それにより標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力があるとして配列を同定する段階。ポリペプチドは蛍光ポリペプチドでありうる、または細胞にとって致死的でありうる。
【0022】
本発明のもう一つの局面は、細胞においてmRNAのレベルを低下させるための方法を特徴とし、方法は、単離された核酸が以下のもの:(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センスおよびアンチセンス核酸配列がシス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが1個より多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、からなる群より選択される、単離された核酸を細胞へ導入する段階であって、細胞内における単離された核酸の存在が細胞においてmRNAのレベルを低下させる、段階を含む。
【0023】
本発明のもう一つの局面は、少なくとも2つの単離された核酸を含む混合物であって、少なくとも2つの単離された核酸の一つが、センス核酸配列および第一のシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含み、少なくとも2つの単離された核酸のもう一つがアンチセンス核酸配列および第二のシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含み、かつセンス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的である、混合物を特徴とする。
【0024】
本発明のもう一つの局面は、以下のもの:(a)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列、ならびに(b)プロモーター配列領域であって、プロモーター配列領域が(i)核酸配列および(ii)核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含み、核酸配列が標的核酸配列に存在する配列を含み、かつ標的核酸配列および核酸配列の両方の鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある、プロモーター配列領域、を含む単離された核酸を特徴とする。標的核酸配列は、ウイルス配列でありうる。標的核酸配列は、HPV配列またはHBV配列でありうる。2つのプロモーター配列の1つは、U6プロモーター配列またはH1プロモーター配列でありうる。2つのプロモーター配列は、同じまたは異なりうる。2つのプロモーター配列は、200個より多くない塩基対、100個より多くない塩基対、または50個より多くない塩基対によって隔てられうる。プロモーター配列領域は、2つより多いプロモーター配列(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれ以上のプロモーター配列)を含みうる。標的核酸配列に存在する配列は、15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間でありうる。標的核酸配列に存在する配列は、18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間でありうる。単離された核酸は、レポーター核酸配列を含みうり、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列およびレポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される。ポリペプチドは、蛍光ポリペプチドでありうる。ポリペプチドは、緑色蛍光ポリペプチド(例えば、GFP)でありうる。
【0025】
本発明のもう一つの局面は、単離された核酸を含む核酸ライブラリーを特徴とし、各単離された核酸が以下のもの:(a)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列、ならびに(b)プロモーター配列領域であって、プロモーター配列領域が(i)核酸配列および(ii)核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含み、核酸配列が各単離された核酸について異なり、単離された核酸の少なくとも1つの核酸配列が標的核酸配列に存在する配列を含み、かつ標的核酸配列および単離された核酸の少なくとも1つの核酸配列の両方の鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある、プロモーター配列領域、を含む。標的核酸配列は、ウイルス配列でありうる。標的核酸配列は、HPV配列またはHBV配列でありうる。2つのプロモーター配列の1つは、U6プロモーター配列またはH1プロモーター配列でありうる。2つのプロモーター配列は、同じまたは異なりうる。2つのプロモーター配列は、200個より多くない塩基対、100個より多くない塩基対、または50個より多くない塩基対によって隔てられうる。プロモーター配列領域は、2つより多いプロモーター配列を含みうる。標的核酸配列に存在する配列は、15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間でありうる。標的核酸配列に存在する配列は、18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間でありうる。単離された核酸は、レポーター核酸配列を含みうり、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列およびレポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される。ポリペプチドは、蛍光ポリペプチドでありうる。ポリペプチドは、緑色蛍光ポリペプチド(例えば、GFP)でありうる。
【0026】
本発明のもう一つの局面は、以下のもの:(a)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列、ならびに(b)プロモーター配列領域であって、プロモーター配列領域が核酸配列に実施可能に連結されたプロモーター配列を含み、核酸配列の1つの鎖がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列についての鋳型であり、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センス核酸配列が標的mRNAに存在する配列を含み、かつ標的核酸配列および核酸配列の少なくとも1つの鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある、プロモーター配列領域、を含む単離された核酸を特徴とする。標的核酸配列は、ウイルス配列でありうる。標的核酸配列は、HPV配列またはHBV配列でありうる。プロモーター配列は、U6プロモーター配列またはH1プロモーター配列でありうる。プロモーター配列領域は、核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含みうる。2つのプロモーター配列は、同じまたは異なりうる。2つのプロモーター配列は、200個より多くない塩基対、100個より多くない塩基対、または50個より多くない塩基対によって隔てられうる。プロモーター配列領域は、2つより多いプロモーター配列を含みうる。標的核酸配列に存在する配列は、15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間でありうる。標的核酸配列に存在する配列は、18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間でありうる。核酸配列の少なくとも1つの鎖由来の転写物は、ヘアピンループ構造を形成する能力がありうる。ヘアピンループ構造のステム部分の少なくとも一部は、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列により形成されうる。単離された核酸は、レポーター核酸配列を含みうり、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列およびレポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される。ポリペプチドは、蛍光ポリペプチドでありうる。ポリペプチドは、緑色蛍光ポリペプチドでありうる。
【0027】
本発明のもう一つの局面は、単離された核酸を含む核酸ライブラリーを特徴とし、各単離された核酸が、核酸配列に実施可能に連結されたプロモーター配列を含み、核酸配列の1つの鎖が、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列についての鋳型であり、センス核酸配列が、アンチセンス核酸配列に相補的であり、センス核酸配列が各単離された核酸について異なり、かつ標的核酸配列および核酸配列の少なくとも1つの鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力があり、標的核酸配列が標的mRNAについての鋳型である。各単離された核酸は、標的核酸配列を含みうる。単離された核酸の少なくとも1つのセンス核酸配列は、標的mRNAに存在する配列を含みうる。標的核酸配列は、ウイルス配列でありうる。標的核酸配列は、HPV配列またはHBV配列でありうる。プロモーター配列は、U6プロモーター配列またはH1プロモーター配列でありうる。単離された核酸は、核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含みうる。2つのプロモーター配列は、同じまたは異なりうる。2つのプロモーター配列は、200個より多くない塩基対、100個より多くない塩基対、または50個より多くない塩基対によって隔てられうる。単離された核酸は、2つより多いプロモーター配列を含みうる。標的核酸配列に存在する配列は、15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間でありうる。標的核酸配列に存在する配列は、18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間でありうる。単離された核酸は、レポーター核酸配列を含みうり、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列およびレポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される。ポリペプチドは、蛍光ポリペプチドでありうる。ポリペプチドは、緑色蛍光ポリペプチド(例えば、GFP)でありうる。
【0028】
本発明のもう一つの局面は、単離された核酸を含むライブラリーを作製するための方法であって、各単離された核酸が核酸配列を含み、核酸配列の1つの鎖がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列についての鋳型であり、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センス核酸配列が各単離された核酸について異なり、標的核酸配列および核酸配列の少なくとも1つの鎖の、細胞内における転写が標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力があり、かつ標的核酸配列が標的mRNAについての鋳型である、方法を特徴とし、方法は、以下の段階を含む:(a)核酸分子を含む核酸収集物を得る段階であって、各核酸分子の1つの鎖がセンス核酸配列またはアンチセンス核酸配列を含み、センス核酸配列またはアンチセンス核酸配列が各核酸分子について異なり、各核酸分子の1つの鎖が第一配列および第二配列を含み、第一配列が第二配列に相補的であり、かつ第一配列および第二配列が各核酸分子のセンス核酸配列またはアンチセンス核酸配列の3'に位置している、段階、ならびに(b)各核酸分子の3'末端が、伸長された核酸分子を含む伸長された核酸収集物を形成するように各核酸分子の5'末端の部分を鋳型として用いて伸長される条件下での増幅反応において核酸収集物を増幅する段階であって、増幅反応が伸長された核酸分子を増幅し、各伸長された核酸分子の1つの鎖がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列を含み、かつ伸長された核酸収集物がライブラリーである、段階。方法は、各伸長された核酸分子のセンス核酸配列とアンチセンス核酸配列の間に位置する配列の一部を除去する段階を含みうる。除去段階後、伸長された核酸分子のそれぞれのセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列は、4〜20ヌクレオチドによって隔てられうる。方法は、各伸長された核酸分子を発現ベクターへ挿入する段階を含みうる。
【0029】
他に規定がない限り、本明細書に用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における業者により一般に理解されているのと同じ意味をもつ。本明細書に記載されているものと類似または等価である方法および材料は、本発明の実施または試験に用いられうるが、適した方法および材料は、下に記載されている。本明細書に挙げられたすべての刊行物、特許出願、特許および他の参照文献は、完全に参照として組み入れられている。矛盾の場合には、定義を含む本明細書が支配するものとする。さらに、材料、方法および実施例は、例証となるのみであり、限定することを意図されない。
【0030】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および特許請求の範囲から、明らかであるものと思われる。
【0031】
詳細な説明
本発明は、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方をもつ少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。本発明はまた、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。さらに、本発明は、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む細胞、ウイルスおよびトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニック非ヒト動物)、加えて細胞内においてRNA(例えば、mRNA)のレベルを低下させるために本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を用いるための方法を提供する。
【0032】
核酸
本発明は単離された核酸を提供する。本明細書に用いられる場合の用語「核酸」は、RNA、およびcDNA、ゲノムDNAおよび合成(例えば、化学合成された)DNAを含むDNAの両方を含む。核酸は、二本鎖または一本鎖でありうる。さらに、核酸は、環状または線状でありうる。いくつかの態様において、核酸はプラスミドでありうる。核酸は、1つまたは複数の制限酵素切断部位を含みうる。
【0033】
核酸に関して本明細書に用いられる場合の用語「単離された」は、それが由来している生物体の天然に存在するゲノムにおいてそれが直接に隣接する配列の両方(5'末端のものおよび3'末端のもの)と直接に隣接していない天然に存在する核酸を指す。例えば、単離された核酸は、限定はないが、天然に存在するゲノムにおいてその組換えDNA分子に直接隣接していることを通常で見出される核酸配列の1つが除去されている、または存在しないとの条件で、任意の長さの組換えDNA分子でありうる。従って、単離された核酸は、限定はないが、他の配列から独立した別々の分子(例えば、PCRもしくは制限エンドヌクレアーゼ処理により作製されるcDNAまたはゲノムDNA断片)として存在する組換えDNA、およびベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)へ、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAへ組み入れられている組換えDNAを含む。さらに、単離された核酸は、ハイブリッドまたは融合核酸配列の部分である組換えDNA分子を含みうる。
【0034】
核酸に関して本明細書に用いられる場合の用語「単離された」はまた、天然に存在しない核酸配列が、天然に見出されず、かつ天然に存在するゲノムにおける直接に隣接する配列を有しないゆえに、任意の天然に存在しない核酸を含む。例えば、操作された核酸のような天然に存在しない核酸は、単離された核酸であると見なされる。操作された核酸は、一般の分子クローニングまたは化学的核酸合成技術を用いて作製されうる。単離された天然に存在しない核酸は、他の配列から独立しうる、または、ベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAへ組み入れられうる。
【0035】
例えば、cDNAもしくはゲノムのライブラリー内において何百個から何百万個という他の核酸分子中に存在する核酸、またはゲノムDNA制限消化物を含むゲルスライスが、単離された核酸と見なされるべきではないことは、当業者にとって明らかであると思われる。
【0036】
一つの態様において、本発明は、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方をもつ少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。もう一つの態様において、本発明は、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸を提供する。2つの核酸配列(例えば、センス配列およびアンチセンス配列)に関して本明細書に用いられる場合の用語「相補的な」は、2つの核酸配列が100パーセント相補的であることを意味する。センス配列およびアンチセンス配列は、より大きな核酸分子の部分でありうる、または相補的ではない配列をもつ別々の核酸分子の部分でありうる。センスおよびアンチセンス配列は、12ヌクレオチドより大きい任意の長さでありうる(例えば、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30またはそれ以上のヌクレオチド)。例えば、アンチセンス配列は、21ヌクレオチド長または22ヌクレオチド長でありうる。典型的には、センス配列およびアンチセンス配列は、長さが約15ヌクレオチドから約30ヌクレオチドまでの範囲である(例えば、約18ヌクレオチドから約28ヌクレオチドまで、または約21ヌクレオチドから約25ヌクレオチドまで)。
【0037】
2つの配列に関して本明細書に用いられる場合の用語「センス」および「アンチセンス」は、相補的な配列の対の2つのメンバーを指す。対の一方のメンバーがセンス配列と呼ばれる場合には、対の他方のメンバーは、アンチセンス配列と呼ばれる。単離された核酸のセンス配列およびアンチセンス配列は、任意の配列をもちうる。例えば、アンチセンス配列は、(1)mRNA配列に相補的な配列、または(2)mRNA配列に相補的ではない配列でありうる。各場合において、センス配列は、アンチセンス配列に相補的な配列である。
【0038】
いくつかの態様において、アンチセンス配列は、ウイルス(例えば、パピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはHIV)、寄生生物(マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、フォスキオラ(Fasciola)または肺吸虫(Paragonimus))、細菌(例えば、大腸菌(E. coli)、スタフィロコッカス(Staphlococcus)、シュードモナス(Pseudomonas)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、ナイセリア(Nisseria)またはヘモフィルス(Haemophilus))、病原性原生動物(例えば、エントアメーバ(Entamoeba)、マラリア原虫(Plasmodium)、睡眠病病原虫(Trypanosoma)またはトキソプラズマ(Toxoplasm))、真菌(例えば、アスペルギルス(Aspergillus)、カンジダ(Candida)、クリプトコッカス(Cryptococcus)またはコクシジオイデス(Coccidioides))、植物(例えば、トウモロコシ、コムギまたはコメ)、または動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、サルまたはヒトのような哺乳動物)のmRNA配列に相補的な配列である。これらの場合において、アンチセンス配列に相補的なセンス配列は、それぞれ、ウイルス、寄生生物、細菌、真菌、植物、または動物のmRNA内に存在する配列である。典型的には、センス配列およびアンチセンス配列は、標的mRNAのレベルがRNA干渉により低下するように、標的mRNAの15〜30ヌクレオチド配列に対応するように設計される。センス配列およびアンチセンス配列の例は、限定ではないが、表1に示された配列を含む。
【0039】
(表1)センス配列およびアンチセンス配列

【0040】
さらに、センス配列およびアンチセンス配列は、寄生生物、細菌、ウイルス、真菌および腫瘍の増殖および/または生存に必要なポリペプチドをコードするmRNAを標的にするように設計されうる。例えば、センス配列およびアンチセンス配列は、細胞生存度または適応度、DNA生合成、細胞分裂、転写、逆転写、代謝、異化、血管形成、および細胞呼吸に必須のポリペプチド(例えば、Her-2/neu、Akt-3、およびUGT2B7ポリペプチド)をコードするmRNAを標的にするように設計されうる。センス配列およびアンチセンス配列はまた、DD3のような構造RNA分子を標的にするように設計されうる。
【0041】
本明細書に提供されている単離された核酸は、(1)1つより多いセンス配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のセンス配列)をもつ少なくとも1つの鎖、または(2)1つより多いセンス配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のセンス配列)についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有しうる。同様に、本明細書に提供されている単離された核酸は、(1)1つより多いアンチセンス配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアンチセンス配列)をもつ少なくとも1つの鎖、または(2)1つより多いアンチセンス配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアンチセンス配列)についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有しうる。例えば、単離された核酸は、2つのセンス配列および2つのアンチセンス配列についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有しうる。複数のセンス配列は、同一または異なりうり、複数のアンチセンス配列は同一または異なりうる。例えば、単離された核酸は、(1)2つの同一のセンス配列および(2)2つの同一のセンス配列に相補的である2つの同一のアンチセンス配列、についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有しうる。または、単離された核酸は、(1)20ヌクレオチド長の2つの同一のセンス配列、(2)その20ヌクレオチド長の2つの同一のセンス配列に相補的である1つのアンチセンス配列、(3)30ヌクレオチド長のセンス配列、および(4)その30ヌクレオチド長のセンス配列に相補的である3つの同一のアンチセンス配列、についての鋳型である1つの鎖を有しうる。
【0042】
本明細書に提供されている単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列の任意の配置をもって設計されうる。例えば、2つの同一のセンス配列は、(1)2つの同一のアンチセンス配列が後に続きうる、または(2)2つの同一のアンチセンス配列の間に位置しうる。
【0043】
お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方をもつ少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸はまた、1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のシス作用性リボザイム配列)を、そのセンス配列およびアンチセンス配列をもつ同じ鎖上にもちうる。例えば、一本鎖RNA分子は、第一のシス作用性リボザイム配列、続いてセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム配列、続いてアンチセンス配列、続いて第三のシス作用性リボザイム配列を含みうる。同様に、お互いに相補的であるセンス配列およびアンチセンス配列の両方についての鋳型である少なくとも1つの鎖を有する単離された核酸は、そのセンス配列およびアンチセンス配列についての鋳型であるその鎖がまた、1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のシス作用性リボザイム配列)についての鋳型であるように、設計されうる。例えば、単離されたDNA分子は、第一のシス作用性リボザイム配列、続いてセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム配列、続いてアンチセンス配列、続いて第三のシス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含みうる。
【0044】
一般的に、リボザイムは、配列特異的様式でRNAを切断する触媒性RNA分子である。自分自身を切断するリボザイムは、シス作用性リボザイムと呼ばれ、他のRNA分子を切断するリボザイムは、トランス作用性リボザイムと呼ばれる。本明細書に用いられる場合の用語「シス作用性リボザイム配列」は、シス作用性リボザイム配列を含むRNA分子を切断する能力をもつRNA分子の配列を指す。シス作用性リボザイム配列は、それがシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子を切断する能力をもつとの条件で、任意の配列をもちうる。例えば、シス作用性リボザイム配列は、ハンマーヘッド型、斧頭型、またはヘアピン型リボザイム由来の配列をもちうる。さらに、シス作用性リボザイム配列は、ゆっくりした切断活性かまたは増強された切断活性かのいずれかをもつように改変されているハンマーヘッド型、斧頭型、またはヘアピン型リボザイム由来の配列をもちうる。例えば、他の所(例えば、Doudna and Cech, Nature, 418:222-228 (2002)を参照)に記載されているように、切断活性を改変するようにヌクレオチド置換がなされうる。本明細書に用いられるうるリボザイム配列の例は、限定ではないが、本明細書に記載されたもの、加えて米国特許第6,271,359号、米国特許第5,824,519号、およびDoudna and Cech, Nature, 418:222-228 (2002)に記載されたものを含む。
【0045】
1つより多いシス作用性リボザイム配列が用いられる場合、複数のシス作用性リボザイム配列は同一または異なりうる。例えば、単離された核酸は、3つのシス作用性リボザイム配列(2つは同一であり、3つ目は異なる)についての鋳型である1つの鎖を有しうる。本明細書に提供されている単離された核酸は、センス配列、アンチセンス配列およびシス作用性リボザイム配列の任意の配置をもって設計されうる。例えば、各センス配列および各アンチセンス配列は、少なくとも1つのシス作用性リボザイム配列に隣接されうる。他の配置は、限定ではないが、以下のものを含む:(1)第一のシス作用性リボザイム、続いてセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム、続いて第三のシス作用性リボザイム、続いてアンチセンス配列、続いて第四のシス作用性リボザイム、(2)第一のシス作用性リボザイム、続いてセンス配列、続いてアンチセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム、(3)センス配列、続いて第一のシス作用性リボザイム、続いて第二のシス作用性リボザイム、続いてアンチセンス配列、続いて第三のシス作用性リボザイム、(4)センス配列、続いて第一のシス作用性リボザイム、続いてアンチセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム、(5)第一のシス作用性リボザイム、続いて第一のセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム、続いて第三のシス作用性リボザイム、続いて第一センス配列に相補的な第一のアンチセンス配列、続いて第四のシス作用性リボザイム、続いて第五のシス作用性リボザイム配列、続いて第二のセンス配列、続いて第六のシス作用性リボザイム配列、続いて第七のシス作用性リボザイム配列、続いて第二センス配列に相補的な第二のアンチセンス配列、続いて第八のシス作用性リボザイム、および(6)第一のシス作用性リボザイム、続いて第一のセンス配列、続いて第一センス配列に相補的な第一のアンチセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム、続いて第三のシス作用性リボザイム、第二のセンス配列、続いて第二センス配列に相補的な第二のアンチセンス配列、続いて第四のシス作用性リボザイム。
【0046】
本明細書に提供されている単離された核酸は、特定の生成物が形成されるように設計されうる。例えば、第一のシス作用性リボザイム、続いてセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム、続いてアンチセンス配列、続いて第三のシス作用性リボザイムを含む一本鎖RNAは、結果として、RNAの複数の一本鎖を生じうる。一つの鎖は、センス配列を含みうり、もう一つの鎖はアンチセンス配列を含みうる。これらの2つの遊離した鎖は、RNA干渉を引き起こす能力をもつ二本鎖RNA分子を形成するようにそれらの相補的配列を通して一体となりうる。二本鎖RNA分子は、各鎖がそれ自身の5'末端および3'末端を有する、RNAの2つの鎖を含むことは、認識されていると思われる。
【0047】
いくつかの態様において、センス配列およびアンチセンス配列は、一本鎖RNAの1つの断片としてより大きな配列から遊離される。単離された核酸は、その結果生じた一本鎖RNAのセンス配列およびアンチセンス配列が、RNA干渉を引き起こす能力をもつヘアピンループ構造を形成するようにそれらの相補的配列を通して一体となるように、設計されうる。任意の数のヘアピンループ構造が形成されうる。例えば、単離された核酸は、結果として生じた一本鎖RNAが、0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のヘアピンループ構造を形成するように設計されうる。典型的には、その結果生じた一本鎖RNAは、1個より多くないヘアピンループ構造を形成する。さらに、ヘアピンループ構造のステム部分を形成するように一体となるセンス配列およびアンチセンス配列は、典型的には、ヘアピンループ構造のループ部分を形成する3〜25ヌクレオチド(例えば、3〜20、3〜15、3〜10、3〜9、5〜15、または5〜10ヌクレオチド)によって隔てられる。例えば、単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列が

によって隔てられるように設計されうる。
【0048】
1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列による切断で形成される、これらの結果として生じた一本鎖または二本鎖RNA分子は、酵素的に不活性でありうる(例えば、トランス作用性リボザイム活性のようなリボザイム活性を欠く)。例えば、1つより多くないヘアピンループ構造をもつ一本鎖RNAは、トランス作用性リボザイム活性を欠損しうる。シス作用性リボザイム活性は、以下の方法を用いて測定される。簡単には、インビトロの転写は、32P標識ヌクレオチドを用いて行われ、生成物は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析される。シス作用性リボザイム活性の存在は、Mg依存性様式において定義済みの切断生成物の存在を観察することにより、確認される。トランス作用性リボザイム活性は、以下の方法を用いて測定される。簡単には、インビトロの転写が行われ、トランス作用性リボザイム活性について試験されるRNAを生成する。生成されたRNAは、その後、32P標識標的RNAとインキュベートされる。トランス作用性リボザイム活性の存在は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析される場合、Mg依存性様式において切断された標的RNAの存在を観察することにより、確認される。
【0049】
本発明はまた、少なくとも2つの単離された核酸を有する混合物を提供する。一つの態様において、混合物の単離された核酸の1つは、1つまたは複数のセンス配列、および1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列を含む(または、についての鋳型である)1つの鎖を有しうるが、混合物の第二の単離された核酸は、1つまたは複数のアンチセンス配列、および1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列、を含む(または、についての鋳型である)1つの鎖を有する。他の態様は、限定ではないが、本明細書に提供されている単離された核酸の任意の2つまたはそれ以上の混合物を含む。例えば、混合物は、センス配列、続いてアンチセンス配列、続いてシス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を有する第一の単離された核酸を、第一のシス作用性リボザイム配列、続いてセンス配列、続いて第二のシス作用性リボザイム配列、続いてアンチセンス配列、続いて第三のシス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を有する第二の単離された核酸と組み合わせて含みうる。
【0050】
本明細書に提供されている単離された核酸は、センス配列、アンチセンス配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子の転写を促進しうるプロモーター配列を含みうる。任意のプロモーター配列が用いられうる。例えば、恒常的プロモーター(例えば、SV40プロモーター)または誘導性プロモーター(例えば、tet-制御性プロモーター)が用いられうる。さらに、プロモーター配列は、RNAポリメラーゼIIについてのプロモーター配列(例えば、CMVプロモーター配列、アルブミンプロモーター配列またはトランスフェリンプロモーター配列)、またはRNAポリメラーゼIIIについてのプロモーター配列(例えば、U6プロモーター配列、U2プロモーター配列またはval-tRNAプロモーター配列)でありうる。いくつかの態様において、組織特異的プロモーター配列、細胞特異的プロモーター配列、または病原体特異的プロモーター配列が用いられうる。そのようなプロモーター配列の例は、限定ではないが、マウスアルブミンエンハンサープロモーター、トランスフェリンプロモーター、プロバシンプロモーター、ケラチン7プロモーター、ケラチン13プロモーター、ケラチンエンハンサープロモーター、および乳清酸性タンパク質プロモーターを含む。他のプロモーター配列は、米国特許第5,824,519号および同6,271,359号に記載されているものを含む。
【0051】
組織特異的、細胞特異的、および病原体特異的プロモーター配列は、RNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子の合成の場所を制御するために用いられうる。例えば、肝臓特異的プロモーター(例えば、マウスアルブミンエンハンサープロモーター配列)を有する単離された核酸は、siRNA分子が肝細胞に形成されるように、センス配列、アンチセンス配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子の転写を作動させるために用いられうる。一つの例において、アンチセンス配列は、肝臓mRNAまたはB型肝炎ウイルスmRNAを標的とするsiRNA分子が形成されるように、肝臓由来のmRNAまたはB型肝炎ウイルス由来のmRNA(例えば、エンベロープまたはポリメラーゼ/逆転写酵素のポリペプチドをコードするmRNA)に相補的な配列でありうる。B型肝炎ウイルスのmRNA由来の配列、センス配列またはアンチセンス配列、は限定ではないが、

でありうる。
【0052】
もう一つの例において、単離された核酸は、ヒトパピローマウイルス由来の標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子を皮膚細胞(例えば、ケラチン生成細胞)に生成するように設計されうる。この場合、皮膚特異的プロモーター(例えば、ケラチンプロモーター配列)を有する単離された核酸は、RNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子が皮膚細胞に形成されるように、センス配列、アンチセンス配列およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子の転写を作動させるために用いられうる。さらに、アンチセンス配列は、ヒトパピローマウイルスmRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力をもつRNA分子が形成されるように、ヒトパピローマウイルス由来のmRNA(例えば、E6またはE7ポリペプチドについての翻訳開始部位のようなE6またはE7ポリペプチドをコードするmRNA)に相補的な配列でありうる。ヒトパピローマウイルスのmRNA由来の配列を標的とする場合、センス配列およびアンチセンス配列は、限定ではないが、SEQ ID NOs: 1〜6に示されたとおりでありうる。
【0053】
本明細書に提供されている単離された核酸の構成要素は、限定ではないが、一般の分子クローニングおよび化学的核酸合成技術を含む任意の方法を用いて得られうる。例えば、PCRは、プロモーター配列、センス核酸配列、またはシス作用性リボザイム配列を得るために用いられうる。PCRとは、標的核酸が、米国特許第4,683,195号に記載された手順およびそこに記載された手順のその後の改変に類似した方法で増幅される手順を指す。一般的に、対象となる領域またはさらに越えた領域の末端からの配列情報が、増幅されるべき可能性のある鋳型の反対の鎖に配列が同一または類似であるオリゴヌクレオチドプライマーを設計するために用いられる。PCRを用いて、核酸配列は、RNAまたはDNAから増幅されうる。例えば、核酸配列は、全細胞RNA、全ゲノムDNA、およびcDNAから、加えてバクテリオファージ配列、プラスミド配列、ウイルス配列などからのPCR増幅により単離されうる。鋳型の供給源としてRNAを用いる場合、逆転写酵素が、相補DNA鎖を合成するために用いられうる。
【0054】
さらに、突然変異誘発(例えば、部位特異的突然変異誘発)が、本明細書に提供されている単離された核酸の構成要素を得るために用いられうる。例えば、部位特異的突然変異誘発は、1つまたは複数のシス作用性リボザイム配列についての鋳型鎖を含む核酸構築物内に特定のセンス配列およびアンチセンス配列を設計するために用いられうる。可能な突然変異は、限定ではないが、欠失、挿入および置換、加えて欠失、挿入および置換の組み合わせを含む。核酸およびアミノ酸データベース(例えば、GenBank(登録商標))もまた、特定のセンス配列およびアンチセンス配列、加えてプロモーター配列およびシス作用性リボザイム配列が得られうるように、配列情報を得るために用いられうる。例えば、GenBank(登録商標)は、ヒトmRNA配列を標的とするsiRNA分子が形成されるように、センス配列およびアンチセンス配列を設計するために用いられうる。
【0055】
本明細書に提供されている単離された核酸は、線状または環状でありうる。例えば、単離された核酸は、プラスミド、ファージ、またはコスミドのようなベクターの形をとりうる。それとして、単離された核酸は、複製起点、抗生物質耐性を与えるポリペプチドをコードする配列、および制限酵素部位を含みうる。いくつかの態様において、本明細書に提供されている単離された核酸は、バクテリオファージ、バキュロウイルス、タバコモザイクウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルスおよび/またはアデノ随伴ウイルス由来のベクターの形をとりうる。多数のベクターおよび発現系は、例えば、Novagen(Madison, WI)、Clontech(Palo Alto, CA)、Stratagene(La Jolla, CA)、およびInvitrogen/Life Technologies(Carlsbad, CA)から商業的に入手可能である。
【0056】
細胞
本発明はまた、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む細胞を提供する。そのような細胞は、原核生物または真核生物でありうる。本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含みうる細胞の例は、限定ではないが、動物細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、真菌細胞、細菌細胞および酵母細胞を含む。他の実施例は、限定ではないが、一次細胞、皮膚細胞(例えば、ケラチン生成細胞)、肝細胞、神経細胞、筋細胞、リンパ球、骨髄細胞、腎細胞、副腎細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、単球、含脂肪細胞、周皮細胞、線維芽細胞、結腸上皮細胞、細網細胞、膵臓細胞、頸部細胞、子宮内膜細胞および前立腺細胞を含む。本明細書に提供されている単離された核酸の少なくとも1つを含む細胞は、インビトロまたはインビボでありうる。さらに、単離された核酸は、細胞のゲノムへ組み込まれうる、またはエピソーム状態で維持されうる。このように、細胞は、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む構築物で安定的にまたは一過性にトランスフェクションされうる。
【0057】
インビボまたはインビトロで単離された核酸を細胞へ導入するために任意の方法が用いられうる。例えば、リン酸カルシウム沈澱、電気穿孔法、熱ショック、リポフェクション、マイクロインジェクション、およびウイルス媒介型核酸移入が、単離された核酸を細胞へ導入するために用いられうる一般的な方法である。さらに、裸のDNAが、他の所(例えば、米国特許第5,580,859号および第5,589,466号を参照)で記載されているように、インビボで細胞へ直接的に送達されうる。なおさらに、単離された核酸は、本明細書に記載されているように、トランスジェニック動物を作製することにより細胞へ導入されうる。
【0058】
本明細書に提供されている単離された核酸を含む細胞を同定するために任意の方法が用いられうる。そのような方法は、限定ではないが、PCR、ならびにノーザンおよびサザン分析のような核酸ハイブリダイゼーション技術を含む。
【0059】
ウイルス
本発明は、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含むウイルスを提供する。本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含みうるウイルスの例は、限定ではないが、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、トガウイルス、ポリオウイルス、サイトメガロウイルス、パラミクソウイルス、エプスタイン-バーウイルス、ヒトパピローマウイルスおよびC型肝炎ウイルスを含む。
【0060】
本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含むウイルスは、単離された核酸を組織、細胞、病原体、細菌、ウイルスもしくは真菌へパッケージするおよび/または送達するためのウイルスベクターとして用いられうる。例えば、レトロウイルスベクターが、インビボまたはエキソビボで、本明細書に提供されている単離された核酸を細胞へ送達するために用いられうる。本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を送達するために用いられうるウイルスベクターの他の例は、限定ではないが、WO 97/17458および米国特許第6,271,359号に記載されているものを含む。
【0061】
単離された核酸をウイルスへ導入するために任意の方法が用いられうる。例えば、一般的な分子クローニング技術が、本明細書に提供されている単離された核酸をウイルスの配列へ導入するために用いられうる。さらに、標準的ウイルス学的技術が、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含むウイルス粒子を作製および単離するために用いられうる。
【0062】
本明細書に提供されている単離された核酸を含むウイルスを同定するために任意の方法が用いられうる。そのような方法は、限定ではないが、PCR、ならびにノーザンおよびサザン分析のような核酸ハイブリダイゼーション技術を含む。例えば、特定のウイルスに感染した細胞は、本明細書に提供されている単離された核酸に対応する核酸の存在または非存在について分析されうる。
【0063】
トランスジェニック動物
本発明は、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む非ヒトのトランスジェニック動物を提供する。そのようなトランスジェニック動物は、水生動物(魚、サメ、イルカなどのような)、家畜(ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ウサギなどのような)、齧歯類(ラット、モルモットおよびマウスのような)、非ヒトの霊長類(ヒヒ、サルおよびチンパンジーのような)、および家庭用動物(イヌおよびネコのような)でありうる。当技術分野において公知のいくつかの技術が、単離された核酸を動物へ導入して、トランスジェニック動物の創始者系を作製するために用いられうる。そのような技術は、限定ではないが、前核のマイクロインジェクション(米国特許第4,873,191号);生殖細胞系へのレトロウイルス媒介型遺伝子移入(Van der Putten et al., Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 82:6148 (1985));胚幹細胞への遺伝子トランスフェクション(Gossler A et al., Proc Natl Acad Sci USA 83:9065-9069 (1986));胚幹細胞への遺伝子ターゲティング(Thompson et al., Cell, 56:313 (1989));体細胞核の核移入(Schnieke AE et al., Science 278:2130-2133 (1997));および胚の電気穿孔法(Lo CW, Mol. Cell. Biol., 3:1803-1814 (1983))を含む。いったん得られたならば、トランスジェニック動物は、伝統的繁殖または動物クローニングを用いて複製されうる。
【0064】
本明細書に提供されているトランスジェニック動物は、siRNA分子が分解の標的にするmRNAによりコードされるポリペプチドの機能的ノックアウトであるように設計されうる。そのようなトランスジェニック動物は、ノックアウトされたポリペプチドの機能を回復させる能力について化合物をスクリーニングするために用いられうる。一般的に、そのようなスクリーニング方法は、試験化合物をトランスジェニック動物へ投与する段階、およびノックアウトされたポリペプチドの機能が、試験化合物を受けなかった対照トランスジェニック動物と比較して完全に、または部分的に回復したかどうかを測定する段階を含みうる。
【0065】
本明細書に提供されている単離された核酸を含むトランスジェニック動物を同定するために任意の方法が用いられうる。そのような方法は、限定ではないが、PCR、ならびにノーザンおよびサザン分析のような核酸ハイブリダイゼーション技術を含む。
【0066】
方法
本発明は、細胞内でRNA(例えば、mRNA)のレベルを低下させるための方法を提供する。そのような方法は、典型的には、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を細胞へ導入する段階を含む。本発明はまた、1つより多くないヘアピンループ構造をもつ一本鎖RNAが少なくとも1つのシス作用性リボザイムによる切断の結果として細胞内に形成されるように単離された核酸を細胞へ導入することにより、細胞においてRNA干渉を引き起こすための方法を提供する。
【0067】
一般的に、細胞へ導入される単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列がその細胞内で通常にmRNAを標的とするように設計される。いくつかの態様において、細胞へ導入される単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列がその細胞内で、通常ではなく、mRNAを標的とするように設計されうる。例えば、センス配列およびアンチセンス配列は、ウイルス由来のRNA配列を標的としうる。この場合、単離された核酸は、そのウイルスにより普通に引き起こされる感染および/または溶解から細胞を保護するために用いられうる。
【0068】
いくつかの態様において、本明細書に提供されている方法および材料は、(1)異常なポリペプチド(例えば、突然変異したまたは機能障害性ポリペプチド)の発現、または(2)正常なポリペプチドの異常な発現(例えば、過剰発現)から起こる状態を治療するために用いられうる。例えば、本明細書に提供されている単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列が、特定のポリペプチドをコードするmRNAを標的とするように、設計されうる。いったん設計されたならば、単離された核酸は、標的にされるmRNAによりコードされるポリペプチドの発現を下方制御することにより軽減されうる疾患または状態をもつのではないかと疑われる対象(例えば、ヒト)に投与されうる。本明細書に提供されている単離された核酸を用いて治療されうる疾患および状態の例は、限定ではないが、細菌感染(例えば、大腸菌(E.coli)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)および緑膿菌(P. aeruginosa)感染)、ウイルス感染(例えば、パピローマウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスおよびHIV感染)、増殖性疾患(例えば、リンパ腫、乳癌、前立腺癌、子宮頚癌、黒色腫、神経芽細胞腫、睾丸癌、および卵巣癌のような癌)、および炎症性疾患(例えば、関節炎および喘息)を含む。
【0069】
細菌およびウイルス感染を治療するために、単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列が、細菌またはウイルス由来の不可欠なポリペプチドをコードするmRNAを標的とするように、設計されうる。例えば、単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列が、細菌の生存に必要とされる細菌の酵素をコードするmRNAを標的とするように、設計されうる。細菌感染を治療する場合、単離された核酸は、例えば、バクテリオファージベクターを用いて細菌へ直接的に送達されうる。ウイルス感染を治療する場合、単離された核酸は、感染した細胞または感染に対して感受性の高い細胞へ、例えば、それらの細胞への向性をもつウイルスベクターを用いて、送達されうる。
【0070】
癌のような増殖性疾患を治療するために、単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列が、発癌遺伝子産物(例えば、ras、myc、Src、mybおよびWnt)をコードするmRNAを標的とするように、設計されうる。さらに、単離された核酸は、腫瘍内注入により、または癌性細胞への向性をもつウイルスベクターの使用を通じて、癌性細胞へ送達されうる。
【0071】
炎症性状態を治療するために、単離された核酸は、センス配列およびアンチセンス配列が、炎症促進性サイトカイン(例えば、インターフェロン-γ、TNF-α、TGF-βおよびIL-11のようなインターロイキン)をコードするmRNAを標的とするように、設計されうる。さらに、単離された核酸は、炎症の部位における細胞へ、局所的注入により、または炎症の部位における炎症促進性細胞(例えば、マクロファージおよびリンパ球)への向性をもつウイルスベクターの使用を通じて、送達されうる。
【0072】
スクリーニング方法および材料
本発明は、RNA干渉の標的にされうるmRNA配列を同定するために用いられうるインビトロおよびインビボのスクリーニング方法ならびに材料を提供する。例えば、以下のインビトロスクリーニングは、ハイブリダイゼーションに利用可能であるmRNAの領域を同定するために図21または図24に概略を示されているように行われうる。簡単には、PCRを用いて、各メンバーが、プロモーター配列(例えば、T7プロモーター)から下流でかつ2つの制限酵素部位(例えば、2つのBglII部位)の間に位置した約10と約30の間(例えば、11、13、15、17、19、21、23、25、27または29)のランダム化されたヌクレオチドの配列を含む、核酸のプールを構築することができる。転写後、ランダム化された配列を含む転写物は、標的mRNAにアニールされうり、RT-PCRが行われる。増幅後、増幅産物は、制限酵素(例えば、BglII)で切断されうり、切断産物は、切断産物を受け入れるために線状化されたベクターへクローニングされうる。その結果生じたベクターの収集物は、選択標的として用いられるmRNA配列に結合する能力をもつRNA分子についての鋳型である配列を含みうる。これらの挿入物は、シーケンシングされ、RNAが引き起こされるように本明細書に提供されているセンス配列およびアンチセンス配列を設計するために用いられうる。この選択プロトコールの各段階は、U.S.仮特許出願第60/417,997号、PCT出願公開WO 04/002416、Pan et al. (Molecular Therapy, 7:129-139 (2003))、およびPan et al. (RNA, 7:610-621 (2001))に記載されたものと類似した方法を用いて行われうる。これらのインビトロスクリーニング方法は、複数ラウンドの濃縮(例えば、2、3、4、5、6またはそれ以上のラウンドの濃縮)を加えるように改変されうる。結合試験は、濃縮されたライブラリー由来の転写物が標的mRNAへ増加した親和性を有することを検証するために、標識された選択ライブラリー転写物および標識された非選択ライブラリー転写物について行われうる。
【0073】
インビトロスクリーニングを用いて得られた配列の収集物のような配列の収集物は、効果的にRNA干渉を引き起こすために用いられうる多数の配列を得るためにインビボスクリーニングにかけられうる(図20)。さらに、個々の配列は、個々の配列がRNA干渉を引き起こす能力をもつことを確認するためにインビボスクリーニングにかけられうる(図20)。簡単には、インビボスクリーニングは、ベクター調製物を細胞へ導入する段階を含みうる。ベクター調製物の各ベクターは、2つの主要な構成要素:(1)標的mRNAについての鋳型である核酸配列、および(2)標的mRNAおよびコードされたポリペプチドのレベルが低下するようにRNA干渉を引き起こす能力について試験されるべき二本鎖RNA分子についての鋳型である核酸配列、を含みうる。いくつかの態様において、細胞は、標的mRNAを含みうり、ベクター調製物の各ベクターは、1つの主要な構成要素:標的mRNAおよびコードされたポリペプチドのレベルが低下するようにRNA干渉を引き起こす能力について試験されるべき二本鎖RNA分子についての鋳型である核酸配列、を含みうる。そのような細胞は、標的mRNAを内因的に含みうる。いくつかの場合、細胞は、標的mRNAをコードする核酸配列を供給されうる。例えば、細胞は、標的mRNAをコードする発現ベクターでトランスフェクションされうる。
【0074】
標的mRNAおよびコードされたポリペプチドのレベルの評価において助けとなるために、標的mRNAについての鋳型である核酸配列は、レポーターポリペプチド(例えば、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質)をコードする配列に、標的mRNAおよびレポーターポリペプチドをコードするmRNAが単一の融合mRNAとして転写されるように、融合されうる。任意のポリペプチドは、レポーターポリペプチドとして用いられうる。いくつかの態様において、レポーターポリペプチドは、発現された場合細胞を殺すポリペプチドでありうる。例えば、レポーターポリペプチドは、細胞にとって致死的でありうる、または致死的応答を誘導するポリペプチド(例えば、カスパーゼ3のような致死性ポリペプチドを活性化するポリペプチド)でありうる。他の態様において、標的mRNAは、レポーターポリペプチドをコードする配列を含まずに転写されうる。融合mRNA(または標的mRNA)の転写がプロモーター配列の任意の型により作動されうることは、注目される。例えば、ベクター調製物の各ベクターは、融合mRNAについての鋳型である配列に実施可能に連結されたCMVプロモーター配列を含みうる。
【0075】
標的mRNAの低下したレベルをもつ細胞を同定するためにレポーターポリペプチド(例えば、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質)を用いる場合、CMVプロモーターのような強いプロモーターより少ない程度で転写を促進するプロモーター配列が用いられうる。弱いプロモーター配列を用いることは、研究者が、有効な標的mRNA低下を示している細胞を、標的mRNAレベルを低下させない細胞から簡単に区別することを可能にすることができる。U6プロモーター配列は、研究者が、有効な標的mRNA低下を示している細胞を容易に区別することを可能にすることができる弱いプロモーターの例である。
【0076】
試験される二本鎖RNA分子についての鋳型である核酸配列を含む各ベクターの部分は、第一プロモーター配列(例えば、U6、H1またはCMVプロモーター配列)が上部鎖からの転写を指令し、第二のプロモーター配列(例えば、U6、H1またはCMVプロモーター配列)が下部鎖からの転写を指令するように配置されうる(図20)。この場合、その2つの結果として生じた転写物は、二本鎖RNA分子を形成するようにアニールすることができる。試験される二本鎖RNA分子についての鋳型である各核酸配列は、制限酵素部位を用いて2つのプロモーター配列の間に位置されうる。2つのプロモーター配列の間の核酸配列は、任意の長さでありうる。例えば、2つのプロモーター配列の間の核酸配列は、約15ヌクレオチド長から約300ヌクレオチド長まででありうる。いくつかの態様において、2つのプロモーター配列の間の核酸配列は、約15〜約200ヌクレオチド長、約15〜約100ヌクレオチド長、約15〜約50ヌクレオチド長、約18〜約50ヌクレオチド長、約18〜約40ヌクレオチド長、約18〜約30ヌクレオチド長、または約18〜約25ヌクレオチド長である。
【0077】
いくつかの場合において、2つのプロモーター配列は異なりうる。例えば、一方のプロモーター配列は、U6プロモーター配列でありうるが、他方は、H1プロモーター配列でありうる。2つの異なるプロモーター配列の使用は、2つのプロモーター配列の間に位置した配列を決定するために用いられるシーケンシング手順を簡単にすることができる。例えば、2つの異なるプロモーター配列が用いられる場合、プロモーター配列の一方にアニールするように設計されたシーケンシングプライマーは、他方のプロモーター配列にアニールしない。
【0078】
2つのプロモーター配列は、2つの転写物:上部鎖から1つ、および下部鎖から1つ、の転写を指令することができる。2つの転写物が、標的mRNAの分解を引き起こす二本鎖RNA分子を形成する場合には、細胞により発現されたレポーターポリペプチドのレベルは、対照細胞(例えば、両方の転写物を転写する能力を欠く細胞)で観察されるレベルより低いものと思われる。レポーターポリペプチドの低下したレベルを示す細胞が、単離されうる。いったん細胞が単離されたならば、観察されたレベルの低下の原因であるベクター配列が同定され、本明細書に記載されているようにセンス配列およびアンチセンス配列を設計するために用いられうる。
【0079】
一つの態様において、標的mRNAについての鋳型である核酸配列は、eGFPをコードする配列に融合される。例えば、Jang et al., J. Virol. 62:2636-2643 (1988)を参照されたい。その結果生じた構築物は、転写がCMVまたはU6プロモーターの制御下にあるようにベクター(例えば、pcDNA5ベクター;Invitrogen, Carlsbad, CA)へクローニングされうる。一方のプロモーター配列が上部鎖からの転写を作動させ、他方が下部鎖からの転写を作動させる、2つのU6プロモーター配列(または1つのU6プロモーター配列および1つのH1プロモーター配列)をもつ構築物は、1つまたは複数の制限酵素部位が2つのプロモーター配列の間に位置するように作製されうる。この構築物は、試験される配列においてクローニングするために用いられうる。例えば、インビトロスクリーニングを用いて得られた核酸は、インビトロスクリーニングを用いて得られた核酸の各メンバーを含む構築物の収集物を作製するために制限酵素切断部位(例えば、BamHI部位)へクローニングされうる。この結果として生じた構築物の収集物は、ライブラリーを作製するために、eGFPをコードする配列に融合された標的mRNAについての鋳型である核酸配列を含むpcDNA5ベクターへクローニングされうる。
【0080】
ライブラリーは、本明細書に記載された構成要素を含む構築物が単一コピーとしてヒト293 FlipIn(商標)細胞(Invitrogen, Carlsbad, CA)の組換え部位へ統合されるように、ヒト293 FlipIn(商標)細胞をトランスフェクションするために用いられうる。形質転換体は、ハイグロマイシン抗生物質を用いて選択され、蛍光の低減または消失についてスクリーニングされうる。蛍光を発しない細胞は、組み込まれた構築物の単一コピーを含みうる。この組み込まれた構築物の配列は、シーケンシングされ、本明細書に記載されているようにセンス配列およびアンチセンス配列を設計するために用いられうる。
【0081】
インビトロスクリーニング(図24)を用いて得られた配列の収集物のような配列の収集物は、ヘアピンループ配列をコードする配列のライブラリーを作製するクローニング工程にかけられうる(図25)。そのようなヘアピンループ配列は、(1)ヘアピンループのステム部分が、少なくとも一部は、センス配列およびアンチセンス配列により、形成される、ならびに(2)ヘアピンループのループ部分は、センス配列とアンチセンス配列の間に位置した配列により形成されるように、設計されうる。ループ部分は、任意のサイズ(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のヌクレオチド)でありうり、かつ任意の配列をもちうる。ヘアピンループ配列は、RNA干渉を引き起こすために用いられうる。
【0082】
一つの態様において、以下のクローニング手順が、ヘアピンループ配列をコードする配列のライブラリーを作製するために用いられうる(図25)。簡単には、例えば、図24に描かれているもののようなインビトロスクリーニングからのcDNA配列のライブラリーが、3つのPCRプライマーと結合されうる。そのようなcDNA配列は、ランダム配列(例えば、e21)の3'に制限酵素切断部位(例えば、BglII)、およびランダム配列(例えば、e21)の5'に異なる制限酵素切断部位(例えば、XbaI)を含みうる。第一PCRプライマー(図25の第一鎖)は、cDNA配列の3'末端に相補的でありうる。第二PCRプライマー(図25の第三鎖)は、cDNA配列の5'末端と重複する配列、およびcDNA配列の5'末端を越えて伸長する配列を含みうる。cDNA配列の5'末端を越えて伸長する配列は、ループ構造を形成するように設計されうる。第三PCRプライマー(図25の第四鎖)は、第二PCRプライマーの5'末端と重複する配列、および第二PCRプライマーの5'末端を越えて伸長する配列を含みうる。第二PCRプライマーの5'末端を越えて伸長する配列は、cDNA配列においてランダム配列(例えば、e21)の5'に位置している同じ制限酵素切断部位(例えば、XbaI)を含みうる。
【0083】
増幅(図25の段階A(a))後、cDNA配列およびPCRプライマー由来の配列は、より大きな生成物へ組み入れられうる。この生成物の3'末端は、自分自身の上へ折り畳み、PCR反応中、シス伸長を可能にすることができる。この反応は、第一PCRプライマーを用いて行われうる。このプライマーは、通常より高い濃度で用いられうる。例えば、第一プライマーの700 pMが、PCR反応に通常用いられる100 pM量とは対照的に、このシス伸長PCR反応に用いられうる。
【0084】
伸長された生成物を増幅(図25の段階A(c))後、生成物は、各鎖に存在するセンス配列とアンチセンス配列(例えばE21とe21)の間に位置する配列の少なくとも一部(例えば、配列の大部分)を除去するように編集されうる。簡単には、増幅された生成物は、側方の外側の制限酵素切断部位(例えば、BglII部位)で切断され、ベクター(例えば、pCR2ベクター)へクローニングされうる。ベクターは、内側の側方の制限酵素切断部位(例えばXbaI)で切断する制限酵素により切断される制限酵素切断部位を欠くように改変または設計されうる。ベクターを増幅後、ベクターは、内側の側方の制限酵素切断部位(例えばXbaI)で切断されうる。切除された断片は捨てられうり、ベクター断片は再ライゲーションされうる。外側の側方の制限酵素切断部位の間に位置した配列は、切除されて、インビボスクリーニングベクターのような任意の型のベクターへクローニングされうる(図26)。
【0085】
ヘアピンループ配列をコードする配列のライブラリーは、効果的にRNA干渉を引き起こすために用いられうる多数の配列を得るためにインビボスクリーニングにかけられうる(図26)。さらに、ヘアピンループ配列をコードする個々の配列は、個々の配列がRNA干渉を引き起こす能力をもつことを確認するためにインビボスクリーニングにかけられうる(図26)。簡単には、インビボスクリーニングは、ベクター調製物を細胞へ導入する段階を含みうる。ベクター調製物の各ベクターは、2つの主要な構成要素:(1)標的mRNAについての鋳型である核酸配列、ならびに(2)標的mRNAおよびコードされたポリペプチドのレベルが低下するようにRNA干渉を引き起こす能力について試験されるべきヘアピンループ配列をもつRNA分子についての鋳型である核酸配列、を含みうる。いくつかの態様において、細胞は標的mRNAを含みうり、ベクター調製物の各ベクターは、1つの主要な構成要素:標的mRNAおよびコードされたポリペプチドのレベルが低下するようにRNA干渉を引き起こす能力について試験されるべきヘアピンループ配列をもつRNA分子についての鋳型である核酸配列、を含みうる。そのような細胞は、標的mRNAを内因的に含みうる。いくつかの場合、細胞は、標的mRNAをコードする核酸配列を供給されうる。例えば、細胞は、標的mRNAをコードする発現ベクターでトランスフェクションされうる。
【0086】
標的mRNAおよびコードされたポリペプチドのレベルの評価において助けとなるために、標的mRNAについての鋳型である核酸配列は、レポーターポリペプチド(例えば、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質)をコードする配列に、標的mRNAおよびレポーターポリペプチドをコードするmRNAが単一の融合mRNAとして転写されるように、融合されうる。任意のポリペプチドは、レポーターポリペプチドとして用いられうる。いくつかの態様において、レポーターポリペプチドは、発現された場合細胞を殺すポリペプチドでありうる。例えば、レポーターポリペプチドは、細胞にとって致死的でありうる、または致死的応答を誘導するポリペプチド(例えば、カスパーゼ3のような致死性ポリペプチドを活性化するポリペプチド)でありうる。他の態様において、標的mRNAは、レポーターポリペプチドをコードする配列を含まずに転写されうる。融合mRNA(または標的mRNA)の転写がプロモーター配列の任意の型により作動されうることは、注目される。例えば、ベクター調製物の各ベクターは、融合mRNAについての鋳型である配列に実施可能に連結されたCMVプロモーター配列を含みうる。
【0087】
標的mRNAの低下したレベルをもつ細胞を同定するためにレポーターポリペプチド(例えば、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質)を用いる場合、CMVプロモーターのような強いプロモーターより少ない程度で転写を促進するプロモーター配列が用いられうる。弱いプロモーター配列を用いることは、研究者が、有効な標的mRNA低下を示している細胞を、標的mRNAレベルを低下させない細胞から簡単に区別することを可能にすることができる。U6プロモーター配列は、研究者が、有効な標的mRNA低下を示している細胞を容易に区別することを可能にすることができる弱いプロモーターの例である。
【0088】
試験されるヘアピンループ配列をもつRNA分子についての鋳型である核酸配列を含む各ベクターの部分は、単一のプロモーター配列(例えば、U6、H1またはCMVプロモーター配列)が上部かまたは下部かのいずれかの鎖からの転写を指令するように配置されうる。いくつかの態様において、試験されるヘアピンループ配列をもつRNA分子についての鋳型である核酸配列を含む各ベクターの部分は、第一プロモーター配列(例えば、U6、H1またはCMVプロモーター配列)が上部鎖からの転写を指令し、第二のプロモーター配列(例えば、U6、H1またはCMVプロモーター配列)が下部鎖からの転写を指令するように配置されうる(図26)。この場合、その2つの結果として生じた転写物は、別々のヘアピンループ構造を形成することができる。試験されるヘアピンループ配列をもつRNA分子についての鋳型である各核酸配列は、制限酵素切断部位を用いて、プロモーター配列の後ろに、または2つのプロモーター配列の間に、位置させうる。プロモーター配列の後ろの、または2つのプロモーター配列の間の核酸は、任意の長さでありうる。例えば、2つのプロモーター配列の間の核酸配列は、約15ヌクレオチド長から約300ヌクレオチド長まででありうる。
【0089】
いくつかの場合において、2つのプロモーター配列は異なりうる。例えば、一方のプロモーター配列は、U6プロモーター配列でありうるが、他方は、H1プロモーター配列でありうる。2つの異なるプロモーター配列の使用は、2つのプロモーター配列の間に位置した配列を決定するために用いられるシーケンシング手順を簡単にすることができる。例えば、2つの異なるプロモーター配列が用いられる場合、プロモーター配列の一方にアニールするように設計されたシーケンシングプライマーは、他方のプロモーター配列にアニールしない。
【0090】
いったん上部鎖および/または下部鎖から転写されたならば、RNA分子はヘアピンループ構造を形成することができる。転写物が、標的mRNAの分解を引き起こす構造を形成する場合には、細胞により発現されたレポーターポリペプチドのレベルは、対照細胞(例えば、RNA分子を転写する能力を欠損する細胞)で観察されるレベルより低いものと思われる。レポーターポリペプチドの低下したレベルを示す細胞が、単離されうる。いったん細胞が単離されたならば、観察されたレベルの低下の原因であるベクター配列が同定され、本明細書に記載されているようにセンス配列およびアンチセンス配列を設計するために用いられうる。
【0091】
核酸送達
本明細書に記載されているように、任意の方法が、単離された核酸を細胞へ送達するために用いられうる。いくつかの態様において、本明細書に提供されている単離された核酸の送達は、例えば、米国特許第6,271,359号に記載されているような生物学的または非生物学的手段を通して行われうる。非生物学的送達は、限定ではないが、(1)本明細書に提供されている単離された核酸をリポソームに積むこと、および(2)核酸-脂質または核酸-リポソームの複合体を形成するように、単離された核酸を脂質またはリポソームと複合体化すること、を含む様々な方法により達成されうる。リポソームは、インビトロで細胞をトランスフェクションするために一般に用いられる陽イオン性および中性脂質から構成されうる。陽イオン性脂質は、リポソームを形成するように負に荷電した核酸と複合体化(例えば、電荷会合)しうる。陽イオン性リポソームの例は、リポフェクチン、リポフェクタミン、リポフェクタスおよびDOTAPを含む。リポソームを形成するための手順は当技術分野においてよく知られている。リポソーム組成物は、例えば、ホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、またはジオレオイルホスファチジルエタノールアミンから形成されうる。多数の脂肪親和性剤は、Lipofectin(登録商標)(Invitrogen/Life Technologies, Carlsbad, CA)およびEffectene(商標)(Qiagen, Valencia, CA)を含め、商業的に入手できる。
【0092】
いくつかの態様において、全身送達は、DDABまたはDOTAPのような商業的に入手できる陽イオン性脂質(それぞれは、DOPEまたはコレステロールのような中性脂質と混合されうる)を用いて最適化される。いくつかの場合、Templeton et al.(Nature Biotechnology, 15:647-652 (1997))により記載されたもののようなリポソームが用いられうる。他の態様において、ポリエチレンイミンのようなポリカチオンがインビボおよびエキソビボで送達を達成するために用いられうる(Boletta et al., J. Am Soc. Nephrol. 7:1728 (1996))。単離された核酸を送達するためのリポソームの使用に関する追加の情報は、米国特許第6,271,359号に見出されうる。
【0093】
送達の様式は、標的とされる細胞または組織によって異なりうる。例えば、単離された核酸は、疾患(例えば、癌、結核および肝炎)を治療するためにリポソームの静脈注射により肺および肝臓組織へ送達されうるが、肺および肝臓組織の両方とも、インビボでリポソームを取り込むからである。さらに、癌および感染症(例えば、肝炎)のような局所的状態を治療する場合、患部器官の上流の動脈におけるカテーテル法は、単離された核酸を含むリポソームを送達するために用いられうる。このカテーテル法は、肺および/または肝臓による血液からのリポソームのクリアランスを避けることができる。皮膚癌、ヒトパピローマウイルス病変、ヘルペス病変および前癌性子宮頚部形成異常のような病変について、リポソームの局所的送達が用いられうる。白血病は、リポソームの、例えば骨髄への、エキソビボ投与により治療されうる。
【0094】
本明細書に提供されている単離された核酸を含むリポソームは、非経口で、静脈内に、筋内に、腹腔内に、経皮的に、体外に、または局所的に、投与されうる。投与量は、対象の種、年齢、体重、状態、および送達される特定の化合物に依存して変わりうる。
【0095】
他の態様において、生物学的送達媒体が用いられうる。例えば、ウイルスベクターは、単離された核酸を所望の標的細胞へ送達するために用いられうる。標準的分子生物学技術は、特定の細胞へ核酸を送達するために以前に開発された多くの異なるウイルスベクターの1つへ、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を導入するために用いられうる。これらの結果として生じたウイルスベクターは、1つまたは複数の単離された核酸を標的とされた細胞へ、例えば感染により、送達するために用いられうる。
【0096】
薬学的組成物
典型的には、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数が、単独かまたは生物学的もしくは非生物学的送達媒体と組み合わせてかのいずれかで、標的ポリペプチドの発現に関連した疾患または状態をもつのではないかと疑われる対象へ投与されうる。単離された核酸および/または送達媒体は、薬学的に許容される担体または希釈剤中にありうり、特定の疾患の性質、それの重症度および対象の全般的状態に依存して変わる量および期間で投与されうる。典型的には、単離された核酸は、標的ポリペプチドの産生を抑制するのに有効である量のような抑制量で投与される。
【0097】
標的に対してRNA干渉を引き起こす単離された核酸の能力は、例えば、治療前および後に対象においてmRNAまたはポリペプチドのレベルを測定することにより評価されうる。組織または生体試料におけるmRNAおよびポリペプチドのレベルを測定するために任意の方法が用いられうり、例えば、ノーザンブロット、RT-PCR、免疫染色、ELISAおよびラジオイムノアッセイがある。
【0098】
本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む組成物を製剤化し、その後投与するために任意の方法が用いられうる。投薬は、一般的に、治療されるべき疾患状態の重症度および応答性に依存し、治療過程は数日から数ヶ月まで、または治癒がもたらされるもしくは疾患状態の減退が達成されるまで、続く。日常的方法は、最適投与量、投薬方法、および反復率を決定するために用いられうる。最適投与量は、個々の核酸の相対的効力に依存して変わりうり、一般的に、インビトロおよび/またはインビボの動物モデルにおいて有効であることを見出されたEC50値に基づいて見積もられうる。典型的には、投与量は、1 kgの体重あたり約0.01 μgから約100 gまでであり、毎日、毎週に、1回もしくはそれ以上、またはよりいっそう少ない頻度で、与えられうる。治療の成功後、疾患状態の再発を防ぐために患者に維持療法を受けるようにさせることが望ましい場合がある。
【0099】
本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む組成物は、取り込み、分布および/または吸収において補助するために、例えば、リポソーム、受容体標的化分子、または経口の、直腸の、局所のもしくは他の製剤のような、他の分子、分子構造、または核酸の混合物と混合、カプセル化、結合、または別なふうに結びつけられうる。
【0100】
本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含みうる。「薬学的に許容される担体」(本明細書では「賦形剤」とも呼ばれている)とは、薬学的に許容される溶媒、沈澱防止剤、または任意の他の薬理学的に不活性の媒体である。薬学的に許容される担体は、液体または固体でありうり、望ましいかさ、一貫性、ならびに他の適切な輸送および化学的性質を与えるために、計画された投与様式を考慮して選択されうる。典型的な薬学的に許容される担体は、例としてであり、限定ではないが、以下のものを含む:水;食塩水;結合剤(例えば、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(例えば、乳糖および他の糖、ゼラチン、または硫酸カルシウム);潤滑剤(例えば、デンプン、ポリエチレングリコールまたは酢酸ナトリウム);崩壊剤(例えば、デンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);および湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)。
【0101】
本明細書に提供されている組成物は、局所治療かまたは全身治療かのいずれが望ましいかに、および治療される領域に、依存して多数の方法により投与されうる。投与は、例えば、局所的(例えば、経皮的な、眼の、または鼻内の);肺の(例えば、粉末もしくはエアゾールの吸入または吹送による);経口;または非経口(例えば、皮下、髄腔内、脳室内、筋内、もしくは腹腔内注射による、または静脈内滴注による)でありうる。投与は、迅速でありうる(例えば、注射による)、または長い期間にわたって起こりうる(例えば、ゆっくりした注入または徐放性製剤の投与による)。中枢神経系における組織を治療することについて、組成物は、髄液への注射または注入により、好ましくは、血液脳関門を越えての侵入を促進する能力がある1つまたは複数の作用物質と共に、投与されうる。
【0102】
局所投与用組成物は、例えば、滅菌および非滅菌の水溶液、アルコールのような一般的な溶媒における非水性溶液、または液体もしくは固体油基剤における溶液を含む。そのような溶液はまた、緩衝剤、希釈剤および他の適した添加剤を含みうる。局所投与用組成物は、経皮的パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、坐剤、スプレー、液体および粉末の形をとって製剤化されうる。コーティング化コンドーム、グローブなどもまた用いられうる。通常の薬学的担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが添加されうる。
【0103】
経口投与用組成物は、例えば、粉末もしくは顆粒、水もしくは非水性媒体における懸濁液または溶液、カプセル、小袋、または錠剤を含む。そのような組成物はまた、増粘剤、香料、希釈剤、乳化剤、分散補助剤、結合剤を組み入れられうる。非経口、髄腔内または脳室内投与用組成物は、例えば、滅菌水溶液を含みうり、それはまた、緩衝剤、希釈剤、および他の適した添加剤(例えば、侵入促進剤、担体化合物および他の薬学的に許容される担体)を含みうる。
【0104】
いくつかの態様において、本明細書に提供されている単離された核酸の1つまたは複数を含む組成物は、抗炎症薬(例えば、非ステロイド抗炎症薬およびコルチコスレロイド)および抗ウイルス薬(例えば、リビビリン、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビル)のような他の治療剤を含みうる。
【0105】
本発明は、以下の実施例においてさらに記載されるが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定しない。
【0106】
実施例
実施例1 − ヒトパピローマウイルス(HPV)配列を含むpCLIPカセットの構築
4つのp1CLIPカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列かまたはアンチセンス配列かのいずれか、続いて(3)シス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含むように構築された(p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUU; p1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUU; p1CLIPS/HPV1657-77+UU;およびp1CLIPAS/HPV1677-57+UU; 図1〜4)。HPV1650-68(H)配列は、

であり、HPV1657-77配列は、

である。本明細書に用いられたHPV16配列は、HPV16のハーシー(Hershey)株から得られた。GenBank(登録商標)アクセッション番号gi3377787、2196720、1098775および1098731を参照されたい。いくつかの場合、HPV16配列は、GenBank(登録商標)アクセッション番号gi333031に見出されるHPV16配列に対応している。それらの場合、HPV1650-68配列は、

であるものと思われる。
【0107】
図1〜4は、それぞれ、p1CLIPS/HPV16C+50-68+GUU; p1CLIPAS/HPV16C+68-50+GUU; p1CLIPS/HPV1657-77+UU;およびp1CLIPAS/HPV1677-57+UUから転写されたRNA分子の推定の構造(mFoldプログラム;例えば、Zuker and Jacobson, RNA, 4:669-679 (1998)を参照)を含む。p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUの部分は以下の配列を含む:

。p1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUUの部分は以下の配列を含む:

。p1CLIPS/HPV1657-77+UUの部分は以下の配列を含む:

。p1CLIPAS/HPV1677-57+UUの部分は以下の配列を含む:


【0108】
各場合において、中間の下線を引かれた配列は、HPV配列に対応するセンス配列かまたはアンチセンス配列かのいずれかである。最初の下線を引かれた配列は、センス配列またはアンチセンス配列の最初の領域に相補的であり、センス配列またはアンチセンス配列の数個のヌクレオチドの範囲内にシス作用性リボザイム切断部位を配置するのに役立つ。最後の下線を引かれた配列は、センス配列またはアンチセンス配列の最後の領域に相補的であり、センス配列またはアンチセンス配列の数個のヌクレオチドの範囲内にシス作用性リボザイム切断部位を配置するのに役立つ。いくつかの場合、カセットは、センス配列およびアンチセンス配列が切断部位からさらに遠く離れるように設計されうる。例えば、センス配列およびアンチセンス配列は、完全に、図1における62位〜69位に示される隆起部内にあるように設計されうる。
【0109】
2つのp2CLIPカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列かまたはアンチセンス配列かのいずれか、続いて(3)シス作用性リボザイム配列(p2CLIPS/HPV16C+50-68+GUUおよびp2CLIPAS/HPV16C+68-50+GUU;図5および6)であるものの鋳型である1つの鎖を含むように構築される。
【0110】
図5および6は、それぞれ、p2CLIPS/HPV16C+50-68+GUUおよびp2CLIPAS/HPV16C+68-50+GUUから転写されたRNA分子の推定の構造(mFoldプログラム;例えば、Zuker and Jacobson, RNA, 4:669-679 (1998)を参照)を含む。p2CLIPS/HPV16C+50-68+GUUの部分は、以下の配列を含む:

。下線を引かれた配列は、センス配列に対応し、太字のヌクレオチドは、GenBank(登録商標)アクセッション番号gi333031に示されるそれの配列をもつHPV株に存在するヌクレオチドである。ハーシーHPV株配列に対応するように、「A」は、「G」と置換されうる。この場合、カセットは、p2CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUと名付けられる。
【0111】
p2CLIPAS/HPV16C+68-50+GUUの部分は、以下の配列を含む:

。下線を引かれた配列は、アンチセンス配列に対応し、太字のヌクレオチドは、GenBank(登録商標)アクセッション番号gi333031由来のヌクレオチドである。ハーシーHPV株配列に対応するように、「T」は、「C」と置換されうる。この場合、カセットは、p2CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUUと名付けられる。
【0112】
p1CLIPカセットを構築するために、構築物の部分は、pCRIIベクターのような標準的クローニングベクターを用いて、p1CLIPカセットを作製するように共に組み合わされる重複オリゴヌクレオチドとして合成された。p2CLIPカセットを構築するために、HPV16C+50-68+GUUのような様々なHPV領域は、末端に適切なエンドヌクレアーゼ制限酵素切断部位をもつ重複オリゴヌクレオチドとして合成される。オリゴヌクレオチドは、その後、消化され、消化されたp2CLIPカセットへライゲーションされる。各場合において、他の所に記載されたものに類似した一般的な分子クローニング技術が用いられた、または用いられる


【0113】
実施例2 − B型肝炎ウイルス(HBV)配列を含むpCLIPカセットの構築
2つのp1CLIPカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列かまたはアンチセンス配列かのいずれか、続いて(3)シス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含むように構築された(p1CLIPS/HBV862-882およびp1CLIPAS/HBV882-862)。HBV862-882配列は

である。本明細書に用いられたHBV配列は、GenBnak(登録商標)アクセッション番号X02496に見出されるHBV配列に対応する。
【0114】
p1CLIPS/HBV862-882の部分は以下の配列を含む:

。p1CLIPAS/HBV882-862の部分は以下の配列

を含む。各場合において、中間の下線を引かれた配列は、HBV配列に対応するセンス配列かまたはアンチセンス配列かのいずれかである。最初の下線を引かれた配列は、センス配列またはアンチセンス配列の最初の領域に相補的であり、センス配列またはアンチセンス配列の数個のヌクレオチドの範囲内にシス作用性リボザイム切断部位を配置するのに役立つ。最後の下線を引かれた配列は、センス配列またはアンチセンス配列の最後の領域に相補的であり、センス配列またはアンチセンス配列の数個のヌクレオチドの範囲内にシス作用性リボザイム切断部位を配置するのに役立つ。いくつかの場合、カセットは、センス配列およびアンチセンス配列が切断部位からさらに遠く離れるように設計されうる。
【0115】
p1CLIPカセットを構築するために、構築物の部分は、pCRIIベクターのような標準的クローニングベクターを用いて、p1CLIPカセットを作製するように共に組み合わされる重複オリゴヌクレオチドとして合成された。さらに、他の所に記載されたものに類似した一般的な分子クローニング技術が用いられた


【0116】
実施例3 − pCHOPカセットの構築
4つのp1CHOPカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列かまたはアンチセンス配列かのいずれか、続いて(3)シス作用性リボザイム配列であるものの鋳型である1つの鎖を含むように構築された

。図7および8は、それぞれ、p1CHOPS/HPV16C+50-68+GUUおよびp1CHOPAS/HPV16C+68-50+GUUから転写されたRNA分子の推定の構造(mFoldプログラム;例えば、Zuker and Jacobson, RNA, 4:669-679 (1998)を参照)を含む。p1CHOPS/HPV16C+50-68+GUUの部分は以下の配列を含む:

。ハーシーHPV株配列に対応するように、太字「T」は「C」に置換され、太字「A」は「G」に置換された。この場合、カセットは、p1CHOPS/HPV16C+50-68(H)+GUUと名付けられた。p1CHOPAS/HPV16C+68-50+GUUの部分は以下の配列を含む:

。ハーシーHPV株配列に対応するように、太字「T」は「C」に置換され、太字「A」は「G」に置換された。この場合、カセットは、p1CHOPAS/HPV16C+68-50(H)+GUUと名付けられた。
【0117】
2つのp2CHOPカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列かまたはアンチセンス配列かのいずれか、続いて(3)シス作用性リボザイム配列であるものの鋳型である1つの鎖を含むように構築された(p2CHOPS/HPV16C+50-68+GUUおよびp2CHOPAS/HPV16C+68-50+GUU;図9および10)。図9および10は、それぞれ、p2CHOPS/HPV16C+50-68+GUUおよびp2CHOPAS/HPV16C+68-50+GUUから転写されたRNA分子の推定の構造(mFoldプログラム;例えば、Zuker and Jacobson, RNA, 4:669-679 (1998)を参照)を含む。p2CHOPS/HPV16C+50-68+GUUの部分は以下の配列を含む:

。ハーシーHPV株配列に対応するように、太字「A」は「G」に置換されうる。この場合、カセットは、p2CHOPS/HPV16C+50-68(H)+GUUと名付けられる。p2CHOPAS/HPV16C+68-50+GUUの部分は以下の配列を含む:

。ハーシーHPV株配列に対応するように、太字「T」は「C」に置換されうる。この場合、カセットは、p2CHOPAS/HPV16C+68-50(H)+GUUと名付けられる。
【0118】
p1CHOPカセットを構築するために、構築物の部分は、pCRIIベクターのような標準的クローニングベクターを用いて、p1CHOPカセットを作製するように共に組み合わされる重複オリゴヌクレオチドとして合成された。p2CHOPカセットを構築するために、HPV16C+50-68+GUUのような様々なHPV領域は、末端に適切なエンドヌクレアーゼ制限酵素切断部位をもつ重複オリゴヌクレオチドとして合成される。オリゴヌクレオチドは、その後、消化され、消化されたp2CHOPカセットへライゲーションされる。各場合において、他の所に記載されたものに類似した一般的な分子クローニング技術が用いられた、または用いられる


【0119】
実施例4 − pCLIPおよびpCHOPカセットからのpSIRカセットの構築
p1CLIPSおよびp1CLIPASカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列、続いて(3)シス作用性リボザイム配列、続いて(4)シス作用性リボザイム配列、続いて(5)アンチセンス配列、続いて(6)シス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含むpSIRカセットを構築するために用いられた(図11)。類似したpSIRカセットは、以下のカセットの2つまたはそれ以上の任意の組み合わせを用いて作製されうる:

。具体的には、p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUおよびp1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUUカセットは、pSIR/HPV16siC+50-68(H)+GUUを構築するために用いられた;p1CLIPS/HPV1657-77+UUおよびpCLIPAS/HPV1677-57+UUカセットは、pSIR/HPV16Si57-77+UUを構築するために用いられた;ならびにp1CLIPS/HBV862-882およびp1CLIPAS/HBV882-862カセットは、pSIR/HBVsi862-882を構築するために用いられた。pSIRカセットから転写されたRNA分子から遊離されたRNAは、RNA干渉を引き起こす能力がある二本鎖RNAを形成することができる(図12および13)。
【0120】
pSIR/HPV16siC+50-68(H)+GUUの部分は、以下の配列を含む:

。pSIR/HPV16si57-77+UUの部分は以下の配列を含む:

。pSIR/HBVsi862-882の部分は、以下の配列を含む:


【0121】
HPV配列を含むpSIRカセットの発現は、以下のU6プロモーター配列により作動された:

。HBV配列を含むpSIRカセットの発現は、以下のアルブミンエンハンサー/プロモーター配列により作動された:

。下線を引かれた配列は、HindIII制限酵素切断部位である。
【0122】
各場合において、他の所で記載されたものと類似した一般的な分子クローニング技術が、pSIRカセットを作製するために用いられた


【0123】
実施例5 − 3つのシス作用性リボザイム配列を含むpCLIPおよびpCHOPカセットの構築(pCLIPHRおよびpCHOPHR)
p2CLIPおよびp2CHOPカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列、続いて(3)シス作用性リボザイム配列、続いて(4)アンチセンス配列、続いて(5)シス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含むように構築された(p2CLIPHR/HPV1647-68(図14); p2CHOPHR/HPV1647-68(図15); p2CLIPHR/HPV1655-74+UU; およびp2CHOPHR/HPV1655-74+UU)。これらのカセットから転写されたRNAは、RNA干渉を引き起こす能力がある二本鎖RNAを形成することができる(図16)。
【0124】
p2CLIPHR/HPV1647-68の部分は、以下の配列を含む:

。p2CHOPHR/HPV1647-68の部分は、以下の配列を含む:

。p2CLIPHR/HPV1655-74+UUの部分は、以下の配列を含む:

。p2CHOPHR/HPV1655-74+UUの部分は、以下の配列を含む:

。各場合において、センス配列およびアンチセンス配列は、下線を引かれている。
【0125】
p2CLIPHRおよびp2CHOPHRカセットを構築するために、HPV1647-68のような様々なHPV領域が、末端に適切なエンドヌクレアーゼ制限酵素切断部位をもつ重複オリゴヌクレオチドとして合成された。オリゴヌクレオチドは、その後、消化され、消化されたp2CLIPまたはp2CHOPカセットへライゲーションされた。各場合において、他の所に記載されたものに類似した一般的な分子クローニング技術が用いられた


【0126】
実施例6 − pSNIPカセットの構築
pCLIPHRカセット(p1CLIPHRまたはp2CLIPHR)およびpCHOPHRカセット(p1CHOPHRまたはp2CHOPHR)またはそれらの組み合わせは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)センス配列、続いて(3)シス作用性リボザイム配列、続いて(4)アンチセンス配列、続いて(5)シス作用性リボザイム配列、続いて(6)シス作用性リボザイム配列、続いて(7)センス配列、続いて(8)シス作用性リボザイム配列、続いて(9)アンチセンス配列、続いて(10)シス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含むpSNIPカセットを構築するために組み合わされた(図17)。pSNIPカセットは、以下の一般的な配列をもちうる:


【0127】
具体的には、p2CLIPHR/HPV1647-68およびp2CHOPHR/HPV1647-68カセットを用いて、pSNIP/HPV1647-68を形成したが、それは以下の配列を含む:


【0128】
p2CLIPHR/HPV1655-74+UUおよびp2CHOPHR/HPV1655-74+UUカセットを用いて、pSNIP/HPV1655-74+UUを形成したが、それは以下の配列を含む:


【0129】
pSNIPカセットは、以下のDNA断片、シス作用性リボザイム配列に隣接しているセンスおよびアンチセンスHBV配列(HBV860-881)についての鋳型、を含むように構築された:

。このカセット(pSNIP/HBV860-881)の部分は、以下の配列を含む:


【0130】
これらのカセットは、他の所に記載されたものと類似した一般的な分子クローニング技術を用いて構築された


【0131】
実施例7 − ヘアピンループ配列をもつpCLIPおよびpCHOPカセットの構築
3つのp1CLIPカセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)ステム部分がセンス配列およびアンチセンス配列を含むヘアピンループ配列、続いて(3)シス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含むように構築された(p1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUU; p1CLIPHP/HPV1657-77; およびp1CLIPHP/HBV862-882)。さらに、p2CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUU構築物が作製された。図18は、p2CLIPHP/HPV16C+50-68+GUUから転写されたRNA分子の推定の構造(mFoldプログラム;例えば、Zuker and Jacobson, RNA, 4:669-679 (1998)を参照)を含む。類似したカセットは、pCHOP配列を用いて作製されうる。pCLIPHPおよびpCHOPHPカセットから転写されたRNAは、RNA干渉を引き起こすことができる、ヘアピンループ構造を形成する能力がある一本鎖RNAを形成することができる(図19)。
【0132】
p1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUの部分は、以下の配列を含む:

。p1CLIPHP/HPV1657-77の部分は、以下の配列を含む:

。p1CLIPHP/HBV862-882の部分は、以下の配列を含む:


【0133】
2つのp1CLIPHP/HBV862-882カセットは、(1)シス作用性リボザイム配列、続いて(2)ステム部分がセンス配列およびアンチセンス配列を含むヘアピンループ配列、続いて(3)シス作用性リボザイム配列、続いて(4)シス作用性リボザイム配列、続いて(5)ステム部分がセンス配列およびアンチセンス配列を含むヘアピンループ配列、続いて(6)シス作用性リボザイム配列であるものについての鋳型である1つの鎖を含むカセットを形成するように連結された(p1CLIPHP-二重/HBV862-882)。p1CLIPHP-二重/HBV862-882の部分は、以下の配列を含む:


【0134】
各カセットは、本明細書および他の所に記載されたものと類似した一般的な分子クローニング技術を用いて構築された


【0135】
実施例8 − インビボスクリーニング
Invitrogenから商業的に入手できるFlp-In系の改変型が、以下のようにヒト293胚性腎細胞と共に用いられる(図20)。HPV16 E6/E7標的配列は、HPV mRNAの転写がCMVプロモーターの制御下であるように、pcDNA5-FRTのHindIIIとEcoRVの制限エンドヌクレアーゼ切断部位の間にクローニングされる。各鎖が転写されるように2つのU6プロモーター配列に隣接された試験される様々な配列(ライブラリー配列)は、pcDNA5-FRTのSap1部位へクローニングされる。これらのライブラリー配列は、インビトロスクリーニング工程から得られた、ランダムに作製された配列でありうる(図21)。赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードするDNAは、HPV16 E6/E7標的をコードするDNAから上流かまたは下流かのいずれかに、ベクターへ付加される。HPV16 E6/E7標的mRNAが有効に破壊される場合、蛍光の喪失が生じる。
【0136】
これらの構築物は、その後、Flp-In 293細胞系へpOG44構築物(リコビナーゼを産生する)と共に同時トランスフェクションされる。これらの細胞は、ゼオシン(Zeocin)選択に抵抗性であり、RFPを発現させる。安定的にトランスフェクションされた細胞の選択は、20 μg/mLのハイグロマイシンBを用いて行われる。組換え後、細胞は、ゼオシンに対して感受性になり、HPV16 E6/E7標的mRNAが分解される場合、蛍光が喪失する。蛍光の低下を示す安定的にトランスフェクションされた細胞のクローン増殖後、分解の原因である配列の同定は、PCRに基づくシーケンシングを用いて決定される。
【0137】
HPV1647-68(H)配列は、U6プロモーター配列の間に置かれ、蛍光を低減させる能力について試験された。さらに、HPV1657-77配列は、U6プロモーター配列の間に置かれ、蛍光を低減させる能力について試験された。両方の場合において、トランスフェクションされた細胞は、対照細胞と比較した場合、蛍光の低減を示した。
【0138】
実施例9 − 細胞内におけるmRNAレベルの低下
以下のカセットは、細胞内においてmRNAレベルを低下させる能力について試験された:

。U6プロモーターにより作動される様々なカセットを含む構築物は、Flp-In 293細胞系へpOG44構築物(リコビナーゼを産生する)と共に同時トランスフェクションされた。各構築物はまた、CMVプロモーターの制御下のHPV16配列を含んだ。選択の30日後、RNAを細胞から単離し、リアルタイムPCRを用いて、Pan et al.(Mol. Ther., 7:129-139 (2003))に記載されているように、HPV16標的RNAレベルを測定した。
【0139】
標的mRNAにおける有意な低下が、pSIRカセット(p1CLIPS/HPv1657-77(H)+GUUおよびp1CLIPAS/HPV1677-57(H)+GUU)を含む細胞について検出された(図22)。p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUまたはpSIR(p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUおよびp1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUU)カセットを含む細胞について、低下が検出されなかった。同様に、対照カセットを含む細胞について低下は検出されなかった。HPV1657-77(H)+GUU配列は、標的と共通した21ヌクレオチドを含み、HPV16C+50-68(H)+GUUは、標的と共通した19ヌクレオチドを有する。これらの結果は、21ヌクレオチド配列が、RNA干渉を引き起こすにおいて19ヌクレオチド配列より効果的であることを実証している。
【0140】
標的mRNAにおける有意な低下はまた、p2CLIPHR/HPV1647-68カセットを含む細胞、およびp2CHOPHR/HPV1647-68カセットを含む細胞について検出された。これらの場合、カセットは、標的配列に関して1つのミスマッチをもつ配列を含んだ。これらの結果は、ミスマッチをもつ配列がRNA干渉を引き起こすために用いられうることを実証している。さらに、p2CHOPカセットが、p2CLIPカセットより効果的であるように思われた。これらの結果は、RNA干渉の程度が、センス配列および/またはアンチセンス配列に隣接するリボザイム配列を変化させることにより調節されうることを実証している。
【0141】
別の実験において、以下のカセットが、細胞内においてmRNAレベルを低下させる能力について試験された:

。U6プロモーターにより作動される様々なカセットを含む構築物は、Flp-In 293細胞系へpOG44構築物(リコビナーゼを産生する)と共に同時トランスフェクションされた。各構築物はまた、CMVプロモーターの制御下のHPV16配列を含んだ。トランスフェクションから1日後、全RNAを細胞から単離し、定量的PCRを用いて、HPV16標的RNAレベルを測定した。対照は、空のpSNIP(p2CLIPおよびp2CHOP)カセットでトランスフェクションされた細胞であった。
【0142】
標的mRNAにおける低下は、対照細胞で観察されたレベルと比較した場合、pSIR

カセットを含む細胞について検出された(図23)。さらに、検出可能な低下は、

を含む細胞について測定された。
【0143】
もう一つの実験において、以下のカセットが、細胞内においてmRNAレベルを低下させる能力について試験された:

。U6プロモーターにより作動される様々なカセットを含む構築物は、Flp-In 293細胞系へpOG44構築物(リコビナーゼを産生する)と共に同時トランスフェクションされた。各構築物はまた、U6プロモーターの制御下のHPV16配列を含んだ。トランスフェクションから2日後、全RNAを細胞から単離し、定量的PCRを用いて、HPV16標的RNAレベルを測定した。対照は、空のpSNIP(p2CLIPおよびp2CHOP)カセットでトランスフェクションされた細胞であった。さらに、標的mRNAを標的とするトランス作用性リボザイムとの配置(センス配列およびアンチセンス配列と反対に)のpSNIP型を含むカセットでトランスフェクションされた細胞が用いられた。このカセットは、1つのp2CLIPおよび1つのp2CHOPを含み、それぞれが、HPV1650-68領域に対して向けられるトランス作用性リボザイムを転写する能力があった。
【0144】
標的mRNAにおける低下は、各カセットを含む細胞について検出された(図23)。標的mRNAにおける最も大きな低下は、

を含む細胞において観察された。これらの結果は、標的mRNAレベルにおける低下が、U6プロモーターがCMVプロモーターの代わりに用いられる場合、対照レベルに対して、より大きくありうることを実証している。
【0145】
他の態様
本発明はその詳細な説明とともに記載されているが、前述の説明が例証するためのものであって、本発明の範囲を限定することを意図されず、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲の範囲により定義されることは、理解されるべきである。他の局面、利点および改変は、特許請求の範囲の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0146】
(図1)p1CLIPS/HPV16C+50-68+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。センス配列は、5'-

であり、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。このセンス配列は、GenBankアクセッション番号gi333031に示されるHPV配列由来である。センス配列は、ハーシー(Hershey)株のような他のHPV株由来のHPV配列に対応するように設計されうる。例えば、センス配列は、

でありうる。そのようなセンス配列は、GenBankアクセッション番号gi3377787、2196720、1098775および1098731に示されるHPV配列由来でありうる。
(図2)p1CLIPAS/HPV16C+68-50+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。アンチセンス配列は、

(SEQ ID NO:3、HPV1668-50配列)であり、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。このアンチセンス配列は、GenBankアクセッション番号gi333031に示されるHPV配列由来である。アンチセンス配列は、ハーシー株のような他のHPV株由来のHPV配列に対応するように設計されうる。例えば、アンチセンス配列は、

(SEQ ID NO:4、HPV1668-50(H)配列)でありうる。そのようなアンチセンス配列は、GenBankアクセッション番号gi3377787、2196720、1098775および1098731に示されるHPV配列由来でありうる。
(図3)p1CLIPS/HPV1657-77+UUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。センス配列は、

(SEQ ID NO:5、HPV1657-77配列)であり、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。
(図4)p1CLIPAS/HPV1677-57+UUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。アンチセンス配列は、

(SEQ ID NO:6、HPV1677-57配列)であり、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。
(図5)p2CLIPS/HPV16C+50-68+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。
(図6)p2CLIPAS/HPV16C+68-50+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。
(図7)p1CHOPS/HPV16C+50-68+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。センス配列は、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。
(図8)p1CHOPAS/HPV16C+68-50+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。アンチセンス配列は、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。
(図9)p2CHOPS/HPV16C+50-68+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。センス配列は、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。
(図10)p2CHOPAS/HPV16C+68-50+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。アンチセンス配列は、S1およびS2と指示された2つのシス作用性リボザイム切断部位の間に位置している。
(図11)センス配列を含むものおよびアンチセンス配列を含む別のものを有する以下のカセットの任意の2つ(またはそれ以上)を含むpSIRカセットから転写されたRNAの概略図である:(1)p1CLIP、(2)p2CLIP、(3)p1CHOPおよび(4)p2CHOP。4つの逆さのUのシンボルは、ループ構造を表し、4つの隆起されたヘアピンループ構造は、シス作用性リボザイムを表す。S1、S2、S3およびS4は、シス作用性リボザイム切断部位を特定している。
(図12)p1CLIPカセット、p1CHOPカセット、またはp1CLIPカセットおよびp1CHOPカセットの組み合わせを含むpSIRカセットから転写されるRNA分子から自己遊離しうる、センス配列およびアンチセンス配列の一覧表である。
(図13)p2CLIPカセット、p2CHOPカセット、またはp2CLIPカセットおよびp2CHOPカセットの組み合わせを含むpSIRカセットから転写されるRNA分子から自己遊離しうる、センス配列およびアンチセンス配列の一覧表である。
(図14)3つのシス作用性リボザイム配列をもつRNA分子の概略図である。このRNA分子は、p2CLIPHR/HPV1647-68のようなp2CLIPHRカセットから転写されうる。S1、S2およびS3は、シス作用性リボザイム切断部位を特定している。
(図15)3つのシス作用性リボザイム配列をもつRNA分子の概略図である。このRNA分子は、p2CHOPHR/HPV1647-68のようなp2CHOPHRカセットから転写されうる。S1、S2およびS3は、シス作用性リボザイム切断部位を特定している。
(図16)p1CLIPHR、p2CLIPHR、p1CHOPHRまたはp2CHOPHRカセットを形成するためにp1CLIP、p2CLIP、p1CHOPまたはp2CHOPカセットへ置かれる挿入物から転写されうる、センスおよびアンチセンスRNA配列の3つのセットの一覧表である。
(図17)pSNIPカセットから転写されるRNA分子の概略図である。逆さのUのシンボルは、ループ構造を表し、隆起されたヘアピンループ構造は、シス作用性リボザイムを表す。S1、S2、S3、S4、S5およびS6は、シス作用性リボザイム切断部位を特定している。pSNIPカセットは、以下のカセットの任意の2つまたはそれ以上を含みうる:(1)p1CLIPHR、(2)p2CLIPHR、(3)p1CHOPHRおよび(4)p2CHOPHR
(図18)p2CLIPHP/HPV16C+50-68+GUUから転写されうる一本鎖RNA分子の概略図である。ヘアピンループのループ部分の配列は、

であり、ステム部分を形成するHPVセンス配列およびアンチセンス配列の間に位置している。
(図19)p1CLIPHP、p2CLIPHP、p1CHOPHPまたはp2CHOPHPカセットを形成するためにp1CLIP、p2CLIP、p1CHOPまたはp2CHOPカセットへ置かれる挿入物から転写されうる、センスおよびアンチセンスRNA配列の3つのセットの一覧表である。
(図20)インビボ選択工程の概略図である。図はU6プロモーターおよびH1プロモーターを示しているが、両方のプロモーターがU6プロモーターでありうる。挿入物は、任意の源由来でありうる。例えば、挿入物は、図21に描かれたインビトロ選択工程から得られる挿入物でありうる。RNAプロセシング酵素DICERおよびRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)は、Flp-In 293細胞内に内因的に存在しうる。
(図21)インビトロ選択工程の概略図である。
(図22)以下の核酸を含む細胞におけるHPV16 mRNAの相対的レベルをプロットする棒グラフである。カラム1:p1CLIPHP/HPV16C+50-68+GUUを含む細胞;カラム2:pSIR(p1CLIPS/HPV16C+50-68+GUUおよびp1CLIPAS/HPV16C+68-50+GUU)を含む細胞;カラム3:p1CLIPS/HPV16C+50-68+GUUを含む細胞;カラム4:p2CLIPHR/HPV1647-68を含む細胞;カラム5:p2CHOPHR/HPV1647-68を含む細胞;カラム6:pSIR(p1CLIPS/HPV1657-77+GUUおよびp1CLIPAS/HPV1677-57+GUU)を含む細胞;ならびにカラム7:対照細胞。
(図23)2つの棒グラフを含む。上部の棒グラフは、以下の核酸を含む細胞におけるHPV16 mRNAの相対的レベルをプロットする。各場合において、標的mRNA発現は、CMVプロモーター配列の制御下であった。カラム1:p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUを含む細胞;カラム2:p1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUUを含む細胞;カラム3:pSIR(p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUおよびp1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUU)を含む細胞;カラム4:p1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUを含む細胞;カラム5:pSIR(p1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUおよびp1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUU)を含む細胞;カラム6:p2CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUを含む細胞;カラム7:p2CHOPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUを含む細胞;カラム8:pSNIP(p2CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUおよびp2CHOPHP/HPV16C+50-68(H)+GUU)を含む細胞;カラム9:p2CLIPHR/HPV1647-68を含む細胞;カラム10:p2CHOPHR/HPV1647-68を含む細胞;カラム11:pSNIP(p2CLIPHR/HPV1647-68およびp2CHOPHR/HPV1647-68)を含む細胞;ならびにカラム12:対照細胞。下部の棒グラムは、以下の核酸を含む細胞におけるHPV16 mRNAの相対的レベルをプロットする。各場合において、標的mRNA発現は、U6プロモーター配列の制御下であった。カラム1:p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUを含む細胞;カラム2:p1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUUを含む細胞;カラム3:pSIR(p1CLIPS/HPV16C+50-68(H)+GUUおよびp1CLIPAS/HPV16C+68-50(H)+GUU)を含む細胞;カラム4:p1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUを含む細胞;カラム5:pSIR(p1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUUおよびp1CLIPHP/HPV16C+50-68(H)+GUU)を含む細胞;カラム6:p2CLIPHR/HPV1647-68を含む細胞;カラム7:p2CHOPHR/HPV1647-68を含む細胞;カラム8:pSNIP(p2CLIPHR/HPV1647-68およびp2CHOPHR/HPV1647-68)を含む細胞;カラム9:HPV1650-68領域を標的とするトランス作用性リボザイムを遊離させるカセットを含む細胞;ならびにカラム10:対照細胞。
(図24)標的mRNAと相互作用する配列の濃縮されたプールを得るために用いられうるインビトロ選択工程の概略図である。
(図25)ヘアピンループ配列のライブラリーを得るために用いられうるクローニング工程の概略図である。最後の二本鎖産物の各鎖は、センス配列およびアンチセンス配列(例えば、E21配列およびe21配列)の両方をコードしうる。これらの一本鎖RNA分子のE21およびe21配列は、ヘアピンループのステム部分から形成されうる。ループ部分は、5'-TTCTAGAA-3'(SEQ ID NO:55)配列によりコードされうる。
(図26)インビボ選択工程の概略図である。図はU6プロモーターおよびH1プロモーターを示しているが、両方のプロモーターがU6プロモーターでありうる。挿入物は、任意の源由来でありうる。例えば、図21に描かれたインビトロ選択工程から得られる挿入物でありうる、または図25に描かれたクローニング工程から得られる挿入物でありうる。描かれている挿入物は、図25からである。RNAプロセシング酵素DICERおよびRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)は、Flp-In 293細胞内に内因的に存在しうる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸。
【請求項2】
アンチセンス核酸配列がウイルスmRNA配列に相補的である、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項3】
アンチセンス核酸配列が哺乳動物mRNA配列に相補的である、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項4】
センス核酸配列が少なくとも15ヌクレオチド長である、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項5】
センス核酸配列が約15ヌクレオチド長から約300ヌクレオチド長までである、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項6】
センス核酸配列が約15ヌクレオチド長から約50ヌクレオチド長までである、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項7】
センス核酸配列がSEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、または54に示される配列を含む、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項8】
シス作用性リボザイム配列がセンス核酸配列またはアンチセンス核酸配列の3'にある、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項9】
シス作用性リボザイム配列がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にある、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項10】
シス作用性リボザイム配列がセンス核酸配列またはアンチセンス核酸配列の5'にある、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項11】
シス作用性リボザイム配列がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にある、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項12】
シス作用性リボザイム配列がセンス核酸配列とアンチセンス核酸配列の間にある、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項13】
核酸が二本鎖である、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項14】
核酸が一本鎖である、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項15】
核酸がDNAである、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項16】
核酸がRNAである、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項17】
核酸が制限酵素切断部位を含む、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項18】
核酸がプラスミドである、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項19】
核酸が、RNA分子の転写を促進するプロモーター配列を含む、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項20】
プロモーター配列が組織特異的プロモーター、細胞特異的プロモーター、または病原体特異的プロモーターである、請求項19記載の単離された核酸。
【請求項21】
プロモーター配列がRNAポリメラーゼIIによる転写を促進する、請求項19記載の単離された核酸。
【請求項22】
プロモーター配列がRNAポリメラーゼIIIによる転写を促進する、請求項19記載の単離された核酸。
【請求項23】
プロモーター配列がH1プロモーター配列またはU6プロモーター配列である、請求項19記載の単離された核酸。
【請求項24】
プロモーター配列が、マウスアルブミンエンハンサープロモーター配列、トランスフェリンプロモーター配列、プロバシンプロモーター配列、および乳清酸性タンパク質プロモーター配列からなる群より選択される、請求項19記載の単離された核酸。
【請求項25】
プロモーター配列が、ケラチン7プロモーター配列、ケラチン13プロモーター配列、およびケラチンエンハンサープロモーター配列からなる群より選択される、請求項19記載の単離された核酸。
【請求項26】
核酸が細胞内にある場合、RNA分子が核酸から転写される、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項27】
細胞が、腎細胞、皮膚細胞、肝細胞、神経細胞、筋細胞、およびリンパ球からなる群より選択される、請求項26記載の単離された核酸。
【請求項28】
鎖が、1つより多いシス作用性リボザイム配列についての鋳型である、請求項1記載の単離された核酸。
【請求項29】
1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれが異なる、請求項28記載の単離された核酸。
【請求項30】
1つより多いシス作用性リボザイム配列の1つが、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にある、請求項28記載の単離された核酸。
【請求項31】
1つより多いシス作用性リボザイム配列のもう1つが、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にある、請求項30記載の単離された核酸。
【請求項32】
センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、1つより多いシス作用性リボザイム配列の少なくとも1つにそれぞれ隣接している、請求項28記載の単離された核酸。
【請求項33】
鎖が3つのシス作用性リボザイム配列についての鋳型である、請求項32記載の単離された核酸。
【請求項34】
センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。
【請求項35】
シス作用性リボザイム配列がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にある、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項36】
シス作用性リボザイム配列がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にある、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項37】
核酸が二本鎖である、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項38】
核酸が一本鎖である、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項39】
核酸がDNAである、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項40】
核酸がRNAである、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項41】
核酸が、RNA分子の転写を促進するプロモーター配列を含む、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項42】
プロモーター配列がRNAポリメラーゼIIによる転写を促進する、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項43】
鎖が、1つより多いシス作用性リボザイム配列についての鋳型である、請求項34記載の単離された核酸。
【請求項44】
1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれが異なる、請求項43記載の単離された核酸。
【請求項45】
1つより多いシス作用性リボザイム配列の1つが、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にあり、かつ1つより多いシス作用性リボザイム配列のもう1つが、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にある、請求項43記載の単離された核酸。
【請求項46】
センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸。
【請求項47】
核酸が一本鎖である、請求項46記載の単離された核酸。
【請求項48】
RNA鎖が1つより多いシス作用性リボザイム配列を含む、請求項46記載の単離された核酸。
【請求項49】
1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれが異なる、請求項48記載の単離された核酸。
【請求項50】
センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、1つより多いシス作用性リボザイム配列の少なくとも1つにそれぞれ隣接している、請求項48記載の単離された核酸。
【請求項51】
センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。
【請求項52】
核酸が一本鎖である、請求項51記載の単離された核酸。
【請求項53】
RNA鎖が1つより多いシス作用性リボザイム配列を含む、請求項51記載の単離された核酸。
【請求項54】
1つより多いシス作用性リボザイム配列のそれぞれが異なる、請求項53記載の単離された核酸。
【請求項55】
1つより多いシス作用性リボザイム配列の1つが、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の5'にあり、かつ1つより多いシス作用性リボザイム配列のもう1つが、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列の3'にある、請求項53記載の単離された核酸。
【請求項56】
薬学的に許容される担体、および以下のものからなる群より選択される単離された核酸を含む組成物:
(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、
(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、
(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに
(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ該一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。
【請求項57】
以下のものからなる群より選択される単離された核酸を含む単離された細胞:
(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、
(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、
(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに
(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ該一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。
【請求項58】
以下のものからなる群より選択される単離された核酸を含むウイルス:
(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、
(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、
(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに
(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ該一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸。
【請求項59】
ウイルスが、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、トガウイルス、ポリオウイルス、サイトメガロウイルス、パラミクソウイルス、エプスタイン-バーウイルス、ヒトパピローマウイルス、またはC型肝炎ウイルスである、請求項58記載のウイルス。
【請求項60】
非ヒトのトランスジェニック動物のゲノムが、以下のものを含むRNA分子についての鋳型である、1つの鎖に存在する、核酸配列を含む、非ヒトのトランスジェニック動物:
(a)センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列、または
(b)センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ該一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列。
【請求項61】
非ヒトのトランスジェニック動物がマウスである、請求項60記載の非ヒトのトランスジェニック動物。
【請求項62】
以下の段階を含む、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある配列を同定する方法:
(a)ベクター調製物を細胞へ導入する段階であって、ベクター調製物の各ベクターが以下のものを含む、段階:
(1)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列;
(2)レポーター核酸配列であって、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列および該レポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される、レポーター核酸配列;ならびに
(3)以下のものを含む、プロモーター配列領域:(i)複数の試験核酸配列のメンバー、および(ii)メンバーの両方の鎖の転写を促進する配置で該メンバーに実施可能に連結された2つのプロモーター配列;
(b)ポリペプチドを欠損する少なくとも1つの細胞を同定する段階;ならびに
(c)段階(b)で同定された細胞由来の該メンバーの配列を得る段階であって、それにより、配列を、該標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力があるとして同定する、段階。
【請求項63】
ポリペプチドが蛍光ポリペプチドである、請求項62記載の方法。
【請求項64】
ポリペプチドが細胞にとって致死的である、請求項62記載の方法。
【請求項65】
細胞においてmRNAのレベルを低下させるための方法であって、単離された核酸を細胞へ導入する段階を含み、単離された核酸が以下のものからなる群より選択され:
(a)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、シス作用性リボザイム配列によるRNA分子の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、
(b)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA分子の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、
(c)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、かつ該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で二本鎖RNAを形成する、単離された核酸、ならびに
(d)センス核酸配列、アンチセンス核酸配列、およびシス作用性リボザイム配列を含むRNA鎖を含む単離された核酸であって、該センス核酸配列が該アンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が、該シス作用性リボザイム配列による該RNA鎖の切断で一本鎖RNAを形成し、かつ一本鎖RNAが、1つより多くないヘアピンループ構造を含み、RNA切断活性を欠いている、単離された核酸、
該細胞内における該単離された核酸の存在が、該細胞において該mRNAのレベルを低下させる、方法。
【請求項66】
少なくとも2つの単離された核酸を含む混合物であって、少なくとも2つの単離された核酸の1つが、センス核酸配列および第一のシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含み、該少なくとも2つの単離された核酸のもう1つが、アンチセンス核酸配列および第二のシス作用性リボザイム配列を含むRNA分子についての鋳型である鎖を含み、かつセンス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的である、混合物。
【請求項67】
以下のものを含む、単離された核酸:
(a)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列、ならびに
(b)プロモーター配列領域であって、プロモーター配列領域が(i)核酸配列および(ii)核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で該核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含み、該核酸配列が標的核酸配列に存在する配列を含み、かつ該標的核酸配列および該核酸配列の両方の鎖の、細胞内における転写が、該標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある、プロモーター配列領域。
【請求項68】
標的核酸配列がウイルス配列である、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項69】
標的核酸配列がHPV配列である、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項70】
標的核酸配列がHBV配列である、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項71】
2つのプロモーター配列の1つがU6プロモーター配列である、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項72】
2つのプロモーター配列の1つがH1プロモーター配列である、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項73】
2つのプロモーター配列が同じである、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項74】
2つのプロモーター配列が異なる、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項75】
2つのプロモーター配列が200個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項76】
2つのプロモーター配列が100個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項77】
2つのプロモーター配列が50個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項78】
プロモーター配列領域が2つより多いプロモーター配列を含む、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項79】
標的核酸配列に存在する配列が15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間である、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項80】
標的核酸配列に存在する配列が18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間である、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項81】
単離された核酸がレポーター核酸配列を含み、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列および該レポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される、請求項67記載の単離された核酸。
【請求項82】
ポリペプチドが蛍光ポリペプチドである、請求項81記載の単離された核酸。
【請求項83】
ポリペプチドが緑色蛍光ポリペプチドである、請求項81記載の単離された核酸。
【請求項84】
単離された核酸を含む核酸ライブラリーであって、各単離された核酸が以下のものを含む、核酸ライブラリー:
(a)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列、ならびに
(b)プロモーター配列領域であって、プロモーター配列領域が(i)核酸配列および(ii)核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で該核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含み、該核酸配列が各単離された核酸について異なり、単離された核酸の少なくとも1つの該核酸配列が、該標的核酸配列に存在する配列を含み、かつ該標的核酸配列および該単離された核酸の少なくとも1つの該核酸配列の両方の鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある、プロモーター配列領域。
【請求項85】
標的核酸配列がウイルス配列である、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項86】
標的核酸配列がHPV配列である、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項87】
標的核酸配列がHBV配列である、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項88】
2つのプロモーター配列の1つがU6プロモーター配列である、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項89】
2つのプロモーター配列の1つがH1プロモーター配列である、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項90】
2つのプロモーター配列が同じである、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項91】
2つのプロモーター配列が異なる、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項92】
2つのプロモーター配列が200個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項93】
2つのプロモーター配列が100個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項94】
2つのプロモーター配列が50個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項95】
プロモーター配列領域が2つより多いプロモーター配列を含む、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項96】
標的核酸配列に存在する配列が15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間である、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項97】
標的核酸配列に存在する配列が18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間である、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項98】
単離された核酸がレポーター核酸配列を含み、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列および該レポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項99】
ポリペプチドが蛍光ポリペプチドである、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項100】
ポリペプチドが緑色蛍光ポリペプチドである、請求項84記載の核酸ライブラリー。
【請求項101】
以下のものを含む単離された核酸:
(a)標的mRNAについての鋳型である、標的核酸配列、ならびに
(b)プロモーター配列領域であって、プロモーター配列領域が核酸配列に実施可能に連結されたプロモーター配列を含み、核酸配列の1つの鎖がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列についての鋳型であり、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列が標的mRNAに存在する配列を含み、かつ標的核酸配列および該核酸配列の少なくとも1つの鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力がある、プロモーター配列領域。
【請求項102】
標的核酸配列がウイルス配列である、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項103】
標的核酸配列がHPV配列である、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項104】
標的核酸配列がHBV配列である、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項105】
プロモーター配列がU6プロモーター配列またはH1プロモーター配列である、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項106】
プロモーター配列領域が、核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含む、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項107】
2つのプロモーター配列が同じである、請求項106記載の単離された核酸。
【請求項108】
2つのプロモーター配列が異なる、請求項106記載の単離された核酸。
【請求項109】
2つのプロモーター配列が200個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項106記載の単離された核酸。
【請求項110】
2つのプロモーター配列が100個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項106記載の単離された核酸。
【請求項111】
2つのプロモーター配列が50個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項106記載の単離された核酸。
【請求項112】
プロモーター配列領域が2つより多いプロモーター配列を含む、請求項106記載の単離された核酸。
【請求項113】
標的核酸配列に存在する配列が15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間である、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項114】
標的核酸配列に存在する配列が18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間である、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項115】
核酸配列の少なくとも1つの鎖からの転写産物がヘアピンループ構造を形成する能力がある、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項116】
ヘアピンループ構造のステム部分の少なくとも一部が、センス核酸配列およびアンチセンス核酸配列により形成される、請求項115記載の単離された核酸。
【請求項117】
単離された核酸がレポーター核酸配列を含み、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、標的核酸配列およびレポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される、請求項101記載の単離された核酸。
【請求項118】
ポリペプチドが蛍光ポリペプチドである、請求項117記載の単離された核酸。
【請求項119】
ポリペプチドが緑色蛍光ポリペプチドである、請求項117記載の単離された核酸。
【請求項120】
単離された核酸を含む核酸ライブラリーであって、各単離された核酸が核酸配列に実施可能に連結されたプロモーター配列を含み、核酸配列の1つの鎖がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列についての鋳型であり、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列が各単離された核酸について異なり、かつ標的核酸配列、および単離された核酸の少なくとも1つの該核酸配列の少なくとも1つの鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力があり、標的核酸配列が標的mRNAについての鋳型である、核酸ライブラリー。
【請求項121】
各単離された核酸が標的核酸配列を含む、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項122】
単離された核酸の少なくとも1つのセンス核酸配列が標的mRNAに存在する配列を含む、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項123】
標的核酸配列がウイルス配列である、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項124】
標的核酸配列がHPV配列である、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項125】
標的核酸配列がHBV配列である、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項126】
プロモーター配列がU6プロモーター配列またはH1プロモーター配列である、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項127】
単離された核酸が、核酸配列の両方の鎖の転写を促進する配置で核酸配列に実施可能に連結された2つのプロモーター配列を含む、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項128】
2つのプロモーター配列が同じである、請求項127記載の核酸ライブラリー。
【請求項129】
2つのプロモーター配列が異なる、請求項127記載の核酸ライブラリー。
【請求項130】
2つのプロモーター配列が200個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項127記載の核酸ライブラリー。
【請求項131】
2つのプロモーター配列が100個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項127記載の核酸ライブラリー。
【請求項132】
2つのプロモーター配列が50個より多くない塩基対によって隔てられている、請求項127記載の核酸ライブラリー。
【請求項133】
単離された核酸が2つより多いプロモーター配列を含む、請求項127記載の核酸ライブラリー。
【請求項134】
標的核酸配列に存在する配列が15ヌクレオチド長と50ヌクレオチド長の間である、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項135】
標的核酸配列に存在する配列が18ヌクレオチド長と25ヌクレオチド長の間である、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項136】
単離された核酸がレポーター核酸配列を含み、レポーター核酸配列がポリペプチドをコードし、かつ標的核酸配列およびレポーター核酸配列が単一の融合mRNAとして転写される、請求項120記載の核酸ライブラリー。
【請求項137】
ポリペプチドが蛍光ポリペプチドである、請求項136記載の核酸ライブラリー。
【請求項138】
ポリペプチドが緑色蛍光ポリペプチドである、請求項136記載の核酸ライブラリー。
【請求項139】
以下の段階を含む、単離された核酸を含むライブラリーを作製するための方法であって、各単離された核酸が核酸配列を含み、核酸配列の1つの鎖がセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列についての鋳型であり、センス核酸配列がアンチセンス核酸配列に相補的であり、該センス核酸配列が各単離された核酸について異なり、標的核酸配列および単離された核酸の少なくとも1つの核酸配列の少なくとも1つの鎖の、細胞内における転写が、標的mRNAに対してRNA干渉を引き起こす能力があり、かつ標的核酸配列が標的mRNAについての鋳型である、方法:
(a)核酸分子を含む核酸収集物を得る段階であって、各核酸分子の1つの鎖が該センス核酸配列または該アンチセンス核酸配列を含み、該センス核酸配列または該アンチセンス核酸配列が各核酸分子について異なり、各核酸分子の1つの鎖が第一配列および第二配列を含み、第一配列が第二配列に相補的であり、かつ該第一配列および第二配列が各核酸分子の該センス核酸配列または該アンチセンス核酸配列の3'に位置している、段階、ならびに
(b)各核酸分子の3'末端が、伸長された核酸分子を含む伸長された核酸収集物を形成するように鋳型として各核酸分子の5'末端の部分を用いて伸長される条件下での増幅反応において該核酸収集物を増幅する段階であって、増幅反応が伸長された核酸分子を増幅し、各伸長された核酸分子の1つの鎖が、該センス核酸配列および該アンチセンス核酸配列を含み、かつ該伸長された核酸収集物がライブラリーと言われる、段階。
【請求項140】
各伸長された核酸分子のセンス核酸配列とアンチセンス核酸配列の間に位置した配列の一部を除去する段階を含む、請求項139記載の方法。
【請求項141】
除去段階後、各伸長された核酸分子のセンス核酸配列およびアンチセンス核酸配列が4〜20ヌクレオチドによって隔てられている、請求項140記載の方法。
【請求項142】
各伸長された核酸分子を発現ベクターへ挿入する段階を含む、請求項139記載の方法。

【公表番号】特表2006−523103(P2006−523103A)
【公表日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508809(P2006−508809)
【出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/005400
【国際公開番号】WO2005/017127
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(505315410)ザ ペン ステイト リサーチ ファウンデーション (1)
【Fターム(参考)】