説明

ROCK1阻害剤としての6−置換イソキノリン誘導体

本発明は、一般式I


(式中、XはO、S又はNHであり、YはOH又はNHであり、mは0、1又は2であり、nは0又は1であり、oは0又は1であり、YがNHの場合、RはHであり、YがOHである場合、RはH、(C1−4)アルキル又はハロゲンであり、R及びRは、独立してH、(C1−4)アルキル又はハロゲンであり、RはH、場合によってハロゲンで置換される(C1−6)アルキル、(C3−7)シクロアルキル、(C6−10)アリール又はO、S及びNから独立して選択される1から3個のヘテロ原子を包含する飽和5員又は6員複素環であり、(C6−10)アリール及び複素環は、場合によって(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルオキシ又はハロゲンによって置換され、RはH又は(C1−4)アルキルである。但し、XがOであり、YがOHであり、nが0であり及びm+o=2である式Iの化合物は除外される。)を有する6−置換イソキノリン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩、これらの誘導体又は薬学的に許容される塩を包含する医薬組成物並びに緑内障、高血圧及びアテローム性動脈硬化症等のROCK−I関連疾患の治療ための薬剤を調製するための、前述の6−置換イソキノリン誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6−置換イソキノリン誘導体、6−置換イソキノリン誘導体を含む医薬組成物及びこれらの誘導体をROCK−I関連疾患(緑内障、高血圧、アテローム性動脈硬化症等)の治療ための薬剤の調製に用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
シグナル伝達経路の大多数は、タンパク質の可逆的なリン酸化によって制御されている。現在、約500種類のタンパク質キナーゼが知られており、これらのキナーゼは、タンパク質のリン酸化、従って細胞内でのシグナル伝達現象の制御に関わっている。多くの疾患は、タンパク質キナーゼが介在する事象によって引き起こされる異常な細胞応答を伴っており、医薬化学において、治療薬として効果的なタンパク質キナーゼ阻害剤を発見するために多大な努力がなされてきた。タンパク質キナーゼファミリーは、これらがリン酸化するアミノ酸残基に基づいて、チロシンキナーゼとセリン/トレオニンキナーゼとに分類される。近年、ヒスチジンキナーゼ(ヒスチジン残基上のイミダゾール窒素をリン酸化する。)も発見された。
【0003】
AGCサブファミリーのキナーゼは、セリン及びトレオニンキナーゼファミリーに属し、多様なシグナル伝達過程に関与している。このサブファミリーは、Rho関連コイルドコイル形成タンパク質キナーゼ(ROCK)を含む。2つのROCKアイソフォーム、即ちROCK−I/ROKβ/p160ROCK及びROCK−II/ROKα/Rhoキナーゼが報告されている。これら2つのタンパク質は、アミノ酸レベルにおいて65%、キナーゼドメインにおいて92%の類似性を共有している。ROCK−I及びROCK−IIは、発見されることになるRhoファミリーの低分子量GTPaseの最初のエフェクタに含まれていた。Rho−ROCKシグナル伝達経路は、細胞形状、接着、収縮性、細胞運動性及び湿潤を制御する。第一世代の阻害剤Y−27632及びファスジル(Fasudil)が、様々な疾患及び/又は障害におけるROCK−I及びROCK−IIの生物学的役割を明らかにするために広く用いられてきた。その結果、気管支喘息、脳血管攣縮、冠血管攣縮、勃起障害、緑内障、早期陣痛、血管平滑筋細胞増殖、心筋肥大、マリグノーマ(malignoma)、虚血/再かん流により誘発された傷害、内皮機能不全、クローン病及び大腸炎、神経突起伸長、レイノー病、アンギナ、アルツハイマー病、良性前立腺過形成、神経因性疼痛、高血圧並びにアテローム性動脈硬化において、ROCK阻害剤が治療価値を有することが示唆されている(Mueller B.K et al, Nature Reviews Drug Discovery 4, 387−398 (2005); Hirooka Y. and Shimokawa H. Am. J. Cardiovasc. Drugs 5(1), 31−39 (2005); Hu E. and Lee D. Current Opinion Ther. Targets 9(4), 715−736 (2005))。
【0004】
国際特許出願WO2004/00955(EP1541559、Asahi Kasei Pharma Corporation)において、5−置換イソキノリン誘導体が、Rho/Rhoキナーゼ経路の阻害剤として開示されている。国際特許出願WO2004/024717(EP1550660、Kirin Brewerey Kabashiki Kaisha)において、N−置換5−イソキノリルアミン誘導体が、Rhoキナーゼ阻害剤として開示されている。国際特許出願WO2006/051290において、キナゾロン化合物が、タンパク質キナーゼA(PKA)及びタンパク質キナーゼB(PKB)の活性を阻害又は調節することが開示されている。緑内障、高血圧及びアテローム性動脈硬化等のRhoキナーゼ介在疾患の治療に有用な更に多くの化合物が、依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1541559号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1550660号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/051290号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2007/012422号パンフレット
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B.K.ミューラー(B.K.Mueller)他著、「ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリ(Nature Reviews Drug Discovery)」、第4巻、2005年、p.387−398
【非特許文献2】Y.ヒロオカ(H.Hirooka)及びH.シモカワ(H.Shimokawa)著、「アメリカン・ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ドラッグス(Am.J.Cardiovasc.Drugs)、第5(1)巻、2005年、p.31−39
【非特許文献3】E.フー(E.Hu)及びD.リー(D.Lee)著、カレント・オピニオン・オン・セラピューティック・ターゲッツ(Current Opinion Ther.Targets)、第9(4)巻、2005年、p.715−736
【発明の概要】
【0007】
この目的のために、本発明は、一般式I
【0008】
【化1】

(式中、XはO、S又はNHであり、YはOH又はNHであり、mは0、1又は2であり、nは0又は1であり、oは0又は1であり、YがNHの場合、RはHであり、YがOHである場合、RはH、(C1−4)アルキル又はハロゲンであり、R及びRは、独立してH、(C1−4)アルキル又はハロゲンであり、RはH、場合によってハロゲンで置換される(C1−6)アルキル、(C3−7)シクロアルキル、(C6−10)アリール又はO、S及びNから独立して選択される1から3個のヘテロ原子を包含する飽和5員又は6員複素環であり、(C6−10)アリール及び複素環は、場合によって(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルオキシ又はハロゲンによって置換され、RはH又は(C1−4)アルキルである。但し、XがOであり、YがOHであり、nが0であり及びm+o=2である式Iの化合物は除外される。)を有する6−置換イソキノリン誘導体又はこれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0009】
この但し書きは、国際特許出願WO2007/012422(Sanofi−Aventis Deutsland GMBH)における、Rhoキナーゼ阻害剤としてのシクロヘキシルアミンイソキノロン誘導体についての最近の開示に関連している。
【0010】
式Iの定義に用いられているような用語「(C1−4)アルキル」は、ブチル、イソブチル、第三ブチル、プロピル、イソプロピル、エチル及びメチル等の、1から4個の炭素原子を有する分岐又は非分岐アルキル基を意味している。同様に、式Iの定義に用いられているような用語「(C1−6)アルキル」は、ヘキシル、ペンチル、イソペンチル、ブチル、イソブチル、第三ブチル、プロピル、イソプロピル、エチル及びメチル等の、1から6個の炭素原子を有する分岐又は非分岐アルキル基を意味している。用語「(C3−7)シクロアルキル」は、シクロヘプチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロブチル及びシクロプロピル等の、3から7個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味している。用語「(C1−4)アルキルオキシ」において、(C1−4)アルキルは、上にて定義されたような意味を有している。用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIを意味している。用語「(C6−10)アリール」は、ナフチルのフェニル等の、6から10個の炭素原子を有する芳香族環系を意味している。式Iの定義において、O、S及びNから選択された1から3個のヘテロ原子を包含する飽和5員又は6員複素環は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル及びチオモルホリニルによって例示される。
【0011】
YがOHである式Iの6−置換イソキノリン誘導体が好ましい。このような化合物が互変異性アミドO型として生じ得、従って、2H−イソキノリン−1−オン
【0012】
【化2】

としても記載され得ることがわかる。更に好ましい式Iの化合物は、XがOであるものである。より好ましい本発明の式Iの化合物において、R及びRが、独立してH、メチル又はハロゲンであり、RがHである。
【0013】
本発明の特に好ましい6−置換イソキノリン誘導体は、(1S、3R)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、6−(4−アミノメチルシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1R、3R)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1R、3S)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1S、3S)−6−(3−アミノシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1R、3R)−6−(3−アミノシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、cis−6−(4−アミノシクロヘキシルスルファニル)イソキノリン−1−イルアミン、(1S、3S)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン及びこれらの薬学的に許容される塩である。
【0014】
式Iの化合物は、式II
【0015】
【化3】

(式中、R−R、R、X、Y、m、n及びoは、上述の定義を有しており、Yにおける反応基は、場合によって保護基を有しており、PgはN保護基である。)の化合物から、前述のN保護基(Pg)を除去し、続いて式R−Halの適切なハロゲン化物を用いてNアルキル化することにより又は基Rから誘導された適当なアルデヒドを用いて還元的アミノ化を行った後、残存している保護基を除去することにより、調製し得る。
【0016】
用語「N保護基」は、アロキシカルボニル(Alloc)基、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Z)基又は9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基等の、一般にアミノ基の保護に用いられる基を意味している。これら及び他の保護基の除去は、これらの保護基の性質に応じて異なる形で起こり得る。保護基及びこれらを除去するための方法についての概説は、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd edition, 1991, John Wiley & Sons, Inc.に記載されている。
【0017】
式IIの化合物は、標準的なミツノブ条件を用いて、式III(式中、R−R、X及びYは、上にて定義されたような意味を有している。)の化合物と式IV(式中、m、n、o、R及びPgは、上記の意味を有しており、LはOHである。)の化合物とを結合させることにより調製でき得る(R.L. Elliot, H. Kopecka, D.E. Gunn, H.N. Lin and D.S. Garvey, Bioorg. Med. Chem. Lett., 6, 2283 (1996); K. Wisniewski, A.S. Koldziejczyk and B. Falkiewicz, J. Pept. Sc. 4, 1 (1998))。
【0018】
【化4】

【0019】
或いは、LがOMs、OTs、I、Br又はCl等の適した脱離基を表す式IVの化合物は、適当な塩基の存在下で、式IIIの化合物とのウィリアムソンのS2媒介置換反応に関与し、式IIの化合物を生成でき得る。
【0020】
XがSである式IIIの化合物は、XがOであり、YがAlloc等の保護基を備えたNH、フタロイル又はベンゾイルである式IIIの化合物から、ジメチルチオカルバモイルクロライドで処理することにより対応するO−エステルを得て(Newman, M. S. and Karnes, H. A. J. Org. Chem. 1966, 31, 3980)、続いてマイクロ波照射を用いてこのO−エステルをS−エステルにニューマン・カーンズ(Newman−Karnes)転化し、次にこのS−エステルを加水分解することにより調製でき得る。
【0021】
XがOである式IIIの化合物は、式V
【0022】
【化5】

(式中、R−R及びYは、上記の意味を有しており、Rはメチルである。)の化合物から、BBrとの反応(J. F. W. McOmie and D. E. West, Org. Synth. Collect. Vol. V, 412 (1973))又はEtSNaとの反応(A. S. Kende and J. P. Rizzi, Tetrahedron Lett., 22, 1779 (1981))による脱メチル化から得ることができ得る。或いは、Rがベンジルである式Vの化合物も用いることができ得、このベンジル基は、適当な水素化条件を用いて除去される。
【0023】
式VI
【0024】
【化6】

の化合物は、式Vの化合物の調製に適した開始材料である。式VIの化合物のクロロ基は、クロロ基を圧力下でアンモニアを用いて加熱することにより、直接アミン基に変換することができ得る。或いは、式VIの化合物中のクロロ基を、アルカリ条件下におけるフェノールとの反応により、フェノキシ基に転化することができ得る。フェノキシ誘導体を酢酸アンモニウムで処理することにより、式Vのアミン誘導体が得られる。式Vの化合物は、式VIの化合物をアジ化ナトリウムで処理し、続いてアリールアジドをPPhで還元することによっても得ることができ得る。
【0025】
式VIの化合物は、塩化ホスホリルを用いた処理により、YがOHである式Vの化合物から得ることができ得る。
【0026】
【化7】

【0027】
YがOHである式Vの化合物は、対応する式VIIの桂皮酸から調製でき得る。この酸は塩化アシルに転化され、次に、塩化アシルは式VIIIのアシルアジドに変換され、アシルアジドが加熱によりクルチルス転位(Curtius rearrangement)を起こすことにより中間体であるイソシアネートが生成され、更なる加熱により分子内閉環が起こり、式Vのイソキノリノンが得られる。
【0028】
X=NHである式Iの化合物は、式IIIの化合物中のフェノール性OHを対応する臭化物に転化し、続いてこの臭化物を、パラジウムを触媒としたアミノ化反応により、式IV(L=NH)のアミン誘導体に結合することにより調製でき得る(Wolfe J. P., Tomori H, Sadighi J. P., Yin, J and Buchwald S. L. J. Org. Chem. 2000, 65, 1158−1174)。
【0029】
式Iの6−置換イソキノリン誘導体及びその塩は、少なくとも1つのキラル中心を含み得ることから、エナンチオマー及びジアステレオマーを含む立体異性体として存在し得る。本発明は、その範囲に上記の立体異性体並びに式Iの化合物及びその塩の個々のR及びSエナンチオマーのそれぞれ(実質的に遊離である。即ち、もう一方のエナンチオマーを5%未満、好ましくは2%未満、特に1%未満にて伴う。)並びにこのようなエナンチオマーの様々な割合の混合物(実質的に同じ量の2つのエナンチオマーを含有するラセミ混合物を含む)を含む。純粋な立体異性体が得られる不斉合成法又はキラル分離法は、当該分野において周知であり、例えば、キラル誘導による若しくは市販のキラル物質から始める合成又は、例えば、キラル媒体上でのクロマトグラフィ若しくはキラル対イオンを用いた結晶化を用いた立体異性体の分離が挙げられる。本発明の6−置換イソキノリン誘導体の薬学的に許容される塩は、式Iの化合物の遊離塩基を鉱酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸及び硫酸等)又は有機酸(例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、グリコール酸、コハク酸、プロピオン酸、酢酸及びメタンスルホン酸等)で処理することにより得られる。
【0030】
本発明の化合物は、溶媒和されていない形態及び水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒で溶媒和された形態で存在し得る。一般に、溶媒和された形態は、本発明の目的上、溶媒和されていない形態と同等であると見なされる。
【0031】
本発明は、一般式Iの6−置換イソキノリン誘導体又は薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される助剤及び、場合によっては他の治療薬と共に包含している医薬組成物を更に提供する。「許容される」という用語は、その組成物の他の原料と適合可能であり、組成物の投与対象者に悪影響を及ぼさないことを意味している。組成物は、例えば、経口投与、舌下投与、皮下投与、静脈内投与、硬膜外投与、髄腔内投与、筋肉内投与、経皮投与、肺内投与、局所投与又は直腸投与等に適したものを含み、これらは全て投与のための単位用量剤形をしている。好ましい投与経路は、経口経路である。
【0032】
経口投与の場合、活性成分は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、溶液、懸濁液等の個別の単位として提供され得る。非経口投与の場合、本発明の医薬組成物は、単位用量又は複数回用量容器に入れて提供され得、例えば、所定の量の注射液(例えば、密封されたバイアル及びアンプル)であり、使用前に無菌液状担体(例えば、水)を加えるだけのフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存もし得る。例えば、一般的な参考文献であるGennaro, A. R. et al., Remington:The Science and Practice of Pharmacy (20th Edition, Lippincott Williams & Wilkins, 2000。特にPart 5:Pharmaceutical Manufacturingの項を参照のこと)に記載されているような薬学的に許容される助剤と混合したあと、活性薬剤を、固形用量単位(丸薬、錠剤等)に圧縮し得る又はカプセル、坐薬若しくは貼付剤に加工し得る。薬学的に許容される液体を用いることにより、活性薬剤を、流体組成物、例えば、溶液、懸濁液、エマルションの形態の注射製剤又はスプレー(例えば、鼻腔用スプレー)として適用でき得る。固形の用量単位を形成する場合、充填剤、着色料、高分子バインダー等の慣用の添加剤の使用が考えられる。一般に、活性化合物の機能を妨げることがない、いずれの薬学的に許容される添加剤も使用でき得る。本発明の活性薬剤の固形組成物としての投与を可能にする適切な担体は、適した量にて用いられる乳糖、澱粉、セルロース誘導体等又はこれらの混合物を含む。非経口投与の場合、薬学的に許容される分散剤及び/又は湿潤剤(プロピレングリコール又はブチレングリコール等)を含有する水性懸濁液、等張食塩溶液及び無菌注射溶液を使用し得る。本発明は、医薬組成物を更に含み、上述したように、この医薬組成物は、それに適した包装材と組み合わされており、この包装材は、上記のような用途に組成物を使用することについての指示を含む。本発明の組成物は、緑内障、高血圧及びアテローム性動脈硬化症等のRhoキナーゼ介在疾患の治療に使用でき得る。
【0033】
本発明の化合物は、症状を緩和させるに十分な量にて及び十分な期間に亘ってヒトに投与され得る。実例として、ヒトの場合の用量レベルは、体重1kgに対して0.001から50mgの範囲、好ましくは体重1kgに対して0.01から20mgの量にでき得る。
【0034】
本発明を、以下の実施例により説明する。
【実施例】
【0035】
共通事項
以下の省略形が用いられる。
【0036】
「溶離液:溶媒B中のx−y%の溶媒A」は、溶媒B中の溶媒Aがx%(v/v)〜溶媒B中の溶媒Aがy%(v/v)の溶離液の勾配を意味している。
【0037】
実施例1:Cis−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)イソキノリン−1−イルアミン
【0038】
【化8】

【0039】
A:6−メトキシ−イソキノリン−N−オキシド−ヒドロクロリド
周囲温度にて、133gのm−クロロ過安息香酸(純度75%)が、1.2Lのジクロロメタン中の6−メトキシ−イソキノリン(Hendricks, J.B. and Rodriguez, C., J. Org. Chem. 1983, 48, 3344−3346;79.8g、500mmol)の攪拌溶液に少しずつ添加された。攪拌は3時間に亘って続けられ、続いてメタノール(1L)が添加された。バルクを700mlにまで減らし、その後、ジエチルエーテル中の塩化水素の飽和溶液800mlを添加した。1.5Lのジエチルエーテルで希釈したところ、黄色い結晶が沈殿し、この結晶をろ過により分離し、冷却されたジエチルエーテルで洗浄し、真空内で乾燥させて、6−メトキシ−イソキノリン−N−オキシド−ヒドロクロリド(85g、80%)((+)−FAB−MS 176[M+H−HCl])を得た。
【0040】
B:1−クロロ−6−メトキシイソキノリン
6−メトキシイソキノリン−N−オキシドヒドロクロリド(85g、400mmol)は、温度90℃にて、塩化ホスホリル(550ml)に少しずつ慎重に添加され、その後、この混合物は、90℃にて6時間に亘って攪拌された。過剰な塩化ホスホリルは、真空下で除去された。残った白色の固形物を水で洗浄し、ろ過し、真空下で乾燥させて、1−クロロ−6−メトキシイソキノリン(68g、88%)(EI−MS:193[M])を得た。
【0041】
C:6−メトキシ−1−フェノキシイソキノリン
1−クロロ−6−メトキシイソキノリン(16.8g、87mmol)及びフェノール(67g)の混合物に、粉末水酸化カリウム(8.4g)が添加された。この混合物は、窒素雰囲気下において、140℃にまで3時間に亘って加熱され、周囲温度にまで冷却させられ、続いて280mlの3N水酸化ナトリウム溶液及び500mlのジクロロメタンで希釈された。有機層を、2N水酸化ナトリウム、水及び塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、真空下で乾燥させて、6−メトキシ−1−フェノキシイソキノリン(21.3g、98%)(ESI−MS:251.8[M+H])を得た。
【0042】
D:1−アミノ−6−メトキシイソキノリン
6−メトキシ−1−フェノキシイソキノリン(21.3g、85mmol)及び酢酸アンモニウム(55g)の混合物は、窒素雰囲気下にて、150℃にまで加熱され、一晩に亘って攪拌された。この混合物は、周囲温度にまで冷却させられ、その後、3N水酸化ナトリウム(280ml)が、攪拌しながら添加された。このようにして得られた溶液は、酢酸エチル(2x300ml)で抽出され、有機層を合わせたものは、2N塩酸(100ml)で抽出された。続いて、水層のpHを、2N水酸化ナトリウムを用いて12に調節した。次に酢酸エチル(300ml)を用いた抽出により有機層が得られ、この有機層を塩水(100ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧下で濃縮して、1−アミノ−6−メトキシイソキノリン(11g、75%)(ESI−MS:175.2[M+H])を得た。
【0043】
E:1−アミノ−6−ヒドロキシイソキノリン
20mlのジクロロメタン中の三臭化ホウ素(18.2ml、370mmol)の溶液が、10℃にて、150mlのジクロロメタン中の1−アミノ−6−メトキシイソキノリン(11.0g、63mmol)の攪拌溶液に、滴下添加された。周囲温度での4時間にわたる攪拌の後、反応混合物は氷中に注がれ、濃縮アンモニア水を添加することにより、pHは9に調節された。沈殿した物質をろ過により回収し、真空下で乾燥させて、1−アミノ−6−ヒドロキシイソキノリン(8.9g、88%)(EI−MS:160[M])を得た。
【0044】
F:Trans−メタンスルホン酸4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステル
【0045】
【化9】

【0046】
塩化メタンスルホニル(135μl、1.74mmol)を、ジクロロメタン(10ml)中のtrans−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.25g、1.16mmol)及びトリエチルアミン(243μl、1.74mmol)の冷却された(氷浴、0〜4℃)攪拌溶液に添加した。添加に続いて、反応溶液を、この温度にて30分に亘って攪拌し、次に周囲温度にまで温度を上げさせた。周囲温度にて2時間に亘って攪拌した後、含水炭酸水素ナトリウム(10ml)を添加し、続いて30分に亘って激しく攪拌した。反応溶液を、ジクロロメタン(20ml)及び含水炭酸水素ナトリウム(20ml)で希釈し、分配後、有機相を水(20ml)で洗浄し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、減圧下で乾燥するまで蒸発させて、メタンスルホン酸trans−4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステル(340mg、100%)を得た。
【0047】
G:Cis−[4−(1−アミノイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0048】
【化10】

【0049】
アセトニトリル(2ml)中の1−アミノ−6−ヒドロキシイソキノリン(0.08g、0.5mmol)、メタンスルホン酸trans−4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステル(176mg)及び2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(ポリスチレン担体、270mg、ローディング量:〜2.2mmol/g)の懸濁液を、120℃にて、電子レンジを用いて15分に亘って加熱した。担持された過剰な試薬は、ろ過、アセトニトリル及び続くメタノールによる洗浄により除去され、ろ液は、減圧下にて、乾燥するまで蒸発させられた。精製は、分取HPLCによって成され、cis−[4−(1−アミノイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(14mg)を得た(EI−MS:m/z=358.5[M+H])。
【0050】
H:Cis−6−(4−アミノ−シクロヘキシルオキシ)−イソキノリン−1−イルアミン
ジクロロメタン(900μl)及びトリフルオロ酢酸(100μl)中のcis−[4−(1−アミノイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(14mg)の混合物は、周囲温度にて、3時間に亘って攪拌された。この混合物を、真空下で濃縮し、次に分取HPLCにより精製し、cis−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)イソキノリン−1−イルアミン(8.1mg)(EI−MS:m/z=258.5[M+H]H NMR(メタノールD4)、δ1.55−1.80(6H、m)、2.05−2.15(2H、m)、2.75−2.85(1H、m)、4.65−4.75(1H、不明瞭で広いs)、6.88(1H、d)、7.08−7.15(2H、m)、7.64(1H、d)、7.99(1H、d)を得た。
【0051】
実施例2:Trans−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)イソキノリン−1−イルアミン
【0052】
【化11】

【0053】
表題の化合物は、cis−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(EI−MS:258.5[M+H])を用いて、実施例1F、1G及び1Hにおいて記載されたような手順により調製された。
【0054】
実施例3:Trans−6−(4−アミノシクロヘキシルスルファニル)イソキノリン−1−イルアミン
【0055】
【化12】

【0056】
A:N−(6−ヒドロキシイソキノリン−1−イル)−ベンズアミド
安息香酸無水物(10.27g)が、周囲温度にて、ピリジン(53ml)中の1−アミノイソキノリン−6−オル(3.312g)の溶液に添加された。この混合物は、125℃にて1時間に亘って加熱され、ピリジンは減圧下で除去され、過剰なピリジンは、トルエン(x2)を用いた共沸により除去された。水を添加し、混合物をジクロロメタン(x3)で抽出し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、真空下で濃縮して、固形沈殿物を得た。ジクロロメタン−ジエチルエーテルを用いた再結晶化により、安息香酸1−ベンジルアミノイソキノリン−6−イルエステル(6g)(EIMS:m/z=369.1[M+H])を得た。水HO(65ml)中のNaOH(981mg)の溶液を、メタノール(65ml)及びテトロヒドロフラン(65ml)中の安息香酸1−ベンジルアミノイソキノリン−6−イルエステル(6g)の溶液に添加した。この混合物を、周囲温度にて、1.5時間に亘って攪拌し、次に有機物を真空下で除去した。混合物を水で希釈し、次に酢酸エチル(x1)で抽出した。次に水相を希塩酸(pH〜3.5)で酸性化した。酢酸エチルの添加により、固形沈殿物が生じ、この固形沈殿物をろ過し、冷たいMeOH、次にヘプタンで洗浄し、N−(6−ヒドロキシイソキノリン−1−イル)ベンズアミド(3.6g)(EIMS:m/z=265.1[M+H])を得た。
【0057】
B:N−(6−メルカプトイソキノリン−1−イル)ベンズアミド
無水テトラヒドロフラン(2ml)中のN−(6−ヒドロキシイソキノリン−1−イル)ベンズアミド(100mg、0.379mmol)、トリエチルアミン(105ml、0.758mmol)及びピリジン(306mL、3.79mmol)の溶液に、0℃にて、N,N−ジメチルチオカルバモイルクロリド(70mg、0.568mmol)を窒素下で添加した。この混合物は、65℃まで加熱され、48時間に亘って攪拌された。有機物は、減圧下で除去され、過剰なピリジンは、トルエン(x2)を用いた共沸により除去された。飽和含水NaHCOを添加し、混合物をジクロロメタン(x2)で抽出し、乾燥させ(硫酸マグネシウム)、真空下で濃縮し、残渣を得た。この残渣をフラッシュ・クロマトグラフィにかけることにより(溶離液:ヘプタン中の5−50%の酢酸エチル)、ジメチルチオカルバミン酸O−(1−ベンゾイルアミノイソキノリン−6−イル)エステル(70mg)(EIMS:m/z=352.7[M+H])を得た。
【0058】
o−ジクロロベンゼン(3ml)中のジメチルチオカルバミン酸O−(1−ベンゾイルアミノイソキノリン−6−イル)エステル(70mg)の溶液は、230℃にて、電子レンジ内において30分に亘ってマイクロ波照射された。混合物をフラッシュ・クロマトグラフィにかけることにより(溶離液:ヘプタン中の5−50%の酢酸エチル)、ジメチルチオカルバミン酸S−(1−ベンゾイルアミノイソキノリン−6−イル)エステル(70mg)(EIMS:m/z=352.7[M+H])を得た。
【0059】
水HO(1ml)中のNaOH(92mg)の溶液が、MeOH(1ml)及びTHF(1ml)中のジメチルチオカルバミン酸S−(1−ベンゾイルアミノイソキノリン−6−イル)エステル(70mg)の溶液に添加された。この混合物を、周囲温度にて1時間に亘って攪拌し、次に56℃にて更に1時間に亘って攪拌した。有機物を真空下で除去し、次に混合物を水で希釈し、希塩酸(pH〜3.5)で酸性化した。混合物を酢酸エチル(x3)で抽出し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、真空下で濃縮して、残渣を得た。この残渣をフラッシュ・クロマトグラフィにかけることにより(溶離液:ヘプタン中の1−5%の酢酸エチル)、N−(6−メルカプトイソキノリン−1−イル)−ベンズアミド(30mg)を得た。
【0060】
C:Trans−6−(4−アミノシクロヘキシルスルファニル)イソキノリン−1−イルアミン
炭酸カリウム(160mg)及びメタンスルホン酸cis−4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステル(140mg、0.47mmol)は、DMA(4ml)中のN−(6−メルカプトイソキノリン−1−イル)−ベンズアミド残渣の溶液に添加された。この混合物は、電子レンジ内で120℃にて600秒に亘ってマイクロ波照射され、次に真空下で濃縮されて、残渣が得られた。この残渣は、分取HPLCにより精製され、trans−[4−(1−ベンゾイルアミノイソキノリン−6−イルスルファニル)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステルが得られた。氷酢酸(1ml)及び6M塩酸(2ml)を、trans−[4−(1−ベンゾイルアミノイソキノリン−6−イルスルファニル)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステルに添加し、混合物を24時間に亘って還流させた。次に、混合物を、真空下で濃縮して残渣を得た。この残渣を、メタノールを用いて事前に酸性化されたSCXカラムに投入し、メタノール中の2Mアンモニアを用いて溶出させることにより、粗trans−6−(4−アミノシクロヘキシルスルファニル)イソキノリン−1−イルアミンを得た。trans−6−(4−アミノシクロヘキシルスルファニル)イソキノリン−1−イルアミンは、分取HPLC(9mg)を用いて更に精製された(EIMS:m/z=274.5[M+H])。
【0061】
以下の化合物は、trans−4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステルを用いて、1F、1G及び1Hに記載されるような手順によって調製された。
【0062】
実施例4:Cis−6−(4−アミノシクロヘキシルスルファニル)イソキノリン−1−イルアミン
【0063】
【化13】

EIMS:m/z=274.3[M+H]
【0064】
実施例5:Trans−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチルイソキノリン−1−イルアミン
【0065】
【化14】

A:1−アミノ−7−メチル−イソキノリン−6−オル−ヒドロブロミド
トルエン(250ml)中の3−メトキシ−4−メチルベンズアルデヒド(19.3g、0.129mol)、カルボメトキシメチレントリフェニルホスホラン(51g)の混合物を、24時間に亘って還流させた。この混合物の反応を、含水塩化アンモニウムで停止させ、酢酸エチルを用いて抽出を行い、真空下で濃縮して残渣を得た。この残渣を、酢酸エチル−ヘプタン(1:1)を用いたフラッシュ・クロマトグラフィにより精製し、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)アクリル酸メチルエステル(27g、0.126mol)を得た。3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)アクリル酸メチルエステル(27g)、水酸化ナトリウム(14g)、水(70ml)、メタノール(140ml)及びテトラヒドロフラン(70ml)の混合物を、50℃にて1時間に亘って還流させた。この混合物を真空下にて濃縮し、次に水を添加した。混合物をろ過し、沈殿が生じるまで5MのHClを添加した。混合物をろ過し、固形の沈殿物を水で洗浄し、真空下で乾燥させて、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)アクリル酸(23.5g、0.122mol)を得た。
【0066】
続いて、トルエン(750ml)及び塩化チオニル(11ml)を、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)アクリル酸(20g、0.104mol)に室温にて添加した。激しく攪拌しながら、懸濁液を2時間に亘って還流させて、透明でわずかに黄色い溶液を得た。反応混合物を真空下で濃縮し、次にトルエンを添加し、混合物を真空下で再濃縮し、次の段階で使用するための3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)アクリロイルクロリドを得た。
【0067】
3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)アクリロイルクロリドを、アセトン(800ml)中に溶解させた。得られた溶液を、激しく攪拌し及び氷浴で冷却しながら、水(100ml)及びアセトン(100ml)中のアジ化ナトリウム(13g)の混合物にゆっくりと(15分)0℃にて添加した。添加が完了した後、激しく攪拌しながら、反応混合物を、0℃にて90分に亘って攪拌した。次に反応混合物を氷水(300ml)に注いだ。15分に亘る攪拌の後、混合物をろ過し、固形残渣を過剰量の水で洗浄した。残った固形残渣を、ジクロロメタン(45ml)中に溶解させた。分離した水は、分液漏斗を用いて除去された。ジクロロメタン層をNaSOで乾燥させ、ろ過し、次の段階ですぐに使用するための、3−(3−メトキシ−4−メチルフェニル)アクリロイルアジドのジクロロメタン溶液を得た。
【0068】
ジクロロメタン・アジド溶液を、静かに攪拌しながら、滴下漏斗を用いて、ディーン・スターク・トラップ(Dean−Stark trap)を備えた3つ口丸底フラスコ内の150℃の予備加熱されたジフェニルエーテル(50ml)に少しずつ(慎重に!)添加した。添加中、イソシアネートの生成下において、窒素ガスの発生が起こる。添加されたジクロロメタンは蒸発させられ、ディーン・スターク・トラップにより回収される。添加が完了し(〜30分)、ガスの発生が観察されなくなった後、混合物を、攪拌しながら、還流するまで加熱した(〜250℃)(〜200℃にて、ジクロロメタンはこれ以上蒸発せず、ディーン・スターク・トラップは迅速に取り外される)。反応混合物は、1時間に亘って〜250℃に維持され、次に125℃まで冷却され、アセトン及びヘプタンの混合物(1:10)中に注がれる。固形物が沈殿し、この沈殿物をろ過し、真空下で乾燥させ、6−メトキシ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(12g、63.49mmol)を得た。
【0069】
6−メトキシ−7−メチル−2H−イソキノリン−1−オン(5g、26.45mmol)の懸濁液を、室温にて、オキシ塩化リン(22ml)で処理した。この混合物を、攪拌しながら100℃にて1時間に亘って加熱し、次に真空下で濃縮して、残渣を得た。この残渣にトルエンを添加し、真空下で更に濃縮し、トルエンに溶けた残渣を得て、この残渣を、飽和含水炭酸ナトリウムにゆっくりと添加した。次に、トルエン層を分離した。水層に更にトルエンを混合し、トルエンによる抽出を行った。トルエン層を合わせたものを乾燥させ(MgSO)、真空下で濃縮し、残渣を得た。残渣を、ジエチルエーテルでトリチュレート(triturate)し、次にろ過し、真空下で乾燥させ、1−クロロ−6−メトキシ−7−メチル−イソキノリン(4g、19.32mmol)を得た。
【0070】
1−クロロ−6−メトキシ−7−メチル−イソキノリン(9g、43.48mol)、フェノール(16.3g)、水酸化カリウム(9.45g)及びキシレン(100ml)の混合物を、4日間に亘って還流させた。反応混合物を、水酸化ナトリウム水溶液(4M)に注ぎ、キシレン層を分離させた。水層を、トルエンを用いて2回抽出した。有機層を合わせたものを乾燥させ(NaSO)、真空下で濃縮して、残渣を得た。この残渣を、ジクロロメタンを用いたフラッシュ・クロマトグラフィにより精製して、6−メトキシ−7−メチル−1−フェノキシイソキノリン(9g、33.96mmol)を得た。
【0071】
粗6−メトキシ−7−メチル−1−フェノキシイソキノリン(9g、33.96mmol)及び酢酸アンモニウム(26g)の混合物を、170℃にて、5時間に亘って攪拌しながら融解させた。この混合物を、水酸化ナトリウム水溶液(2M)と酢酸エチルとに分配した。これらの相を分離し、有機相を、希塩酸水溶液で抽出した。酸性の水相を、水酸化ナトリウム(2M)を用いてpH12にまで中和し、酢酸エチルで抽出を行い、次に真空下で乾燥させて(MgSO)、6−メトキシ−7−メチルイソキノリン−1−イルアミン(5.11g、27.18mmol)を得た。
【0072】
6−メトキシ−7−メチルイソキノリン−1−イルアミン(5.11g、27.18mmol)及び48%臭化水素酸水溶液(150ml)の混合物を、125℃にて2日間に亘って加熱した。この混合物を、真空下で濃縮し、ジエチルエーテルを用いてトリチュレートし、真空下で乾燥させ、1−アミノ−7−メチル−イソキノリン−6−オルヒドロブロミド(5g)(EIMS:m/z=175.1[M+H]H NMR(DMSO−D6)δ7.06(1H、d)、7.16(1H、d)、7.25(1H、dd)、7.56(1H、d)、8.44(1H、dd)、8.66(2H、広いs)、11.05(1H、s)、12.45(1H、s))を得た。
【0073】
B:Trans−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチルイソキノリン−1−イルアミン
1−アミノ−7−メチルイソキノリン−6−オルヒドロブロミド(100mg、0.57mmol)、炭酸カリウム(78mg、0.57mmol)及びメタンスルホン酸cis−4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステル(166mg、0.57mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(3ml)と混合した。この混合物を、電子レンジ内で100℃にて15分に亘って加熱した。混合物を水で希釈し、氷酢酸を用いて酸性化し、メタノールで希釈し、事前に酸性化されたSCXカートリッジ上に投入した。メタノール中の2Mアンモニアを用いた溶出後に得られた粗生成物を、分取HPLCにより精製して、trans−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチルイソキノリン−1−イルアミン(8mg)(EI−MS:m/z=272.7[M+H])を得た。
【0074】
以下の化合物は、適切に合成されたメシラートを用いて、上述の手順によって調製された。
【0075】
実施例6:Cis−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)−7−メチルイソキノリン−1−イルアミン
【0076】
【化15】

EI−MS:m/z=272.7[M+H]
【0077】
実施例7A:Cis−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(参考例)
【0078】
【化16】

A:6−ヒドロキシ−2H−イソキノリン−1−オン
1−クロロ−6−メトキシイソキノリンを、実施例1Aに従って又は実施例5Aと同じ手順を用いて3−メトキシベンズアルデヒドから調製した。次に1−クロロ−6−メトキシ−7−メチルイソキノリンを、実施例1Eに従って脱メチル化し、1−クロロイソキノリン−6−オルを得た。
【0079】
1−クロロイソキノリン−6−オル(5g、27.84mmol)を、塩酸(5M、40ml)と混合し、180℃にて、40分に亘ってマイクロ波条件下で加熱した。この混合物を冷却し、次にろ過した。褐色の固形物を、ジエチルエーテルで洗浄し、オーブン内において真空下で50℃にて乾燥させて、6−ヒドロキシ−2H−イソキノリン−1−オン(4.45g(98%)、EI−MS:m/z=162.4[M+H]H NMR(メタノールD4)δ6.80(1H、d)、7.01(1H、d)、7.10(1H、dd)、7.25(1H、d)、8.22(1H,d))を得た。
【0080】
B:メタンスルホン酸trans−4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−シクロヘキシルエステル
塩化メタンスルホニル(135μl、1.74mmol)は、ジクロロメタン(10ml)中の(trans−4−ヒドロキシシクロヘキシル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.25g、1.16mmol)及びトリエチルアミン(243μl、1.74mmol)の冷却された(氷浴、0〜4℃)攪拌溶液に添加された。添加に続いて、反応溶液を、この温度にて30分に亘って攪拌し、次に周囲温度にまで温度を上げさせた。周囲温度にて2時間に亘って攪拌した後、含水炭酸水素ナトリウム(10ml)を添加し、続いて、30分に亘って激しく攪拌した。反応溶液をジクロロメタン(20ml)及び含水炭酸水素ナトリウム(20ml)で希釈し、分配後、有機相を水(20ml)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で乾燥するまで蒸発させて、メタンスルホン酸trans−4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステル(340mg、100%)を得た。
【0081】
C:6−(Cis−アミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
DMF(2.5ml)中の6−ヒドロキシ−2H−イソキノリン−1−オン(0.1g、0.62mmol)及び炭酸カリウム(0.13g、0.93mmol)の懸濁液を、110℃まで加熱し、DMF(1.5ml)中のメタンスルホン酸trans−4−tert−ブトキシカルボニルアミノシクロヘキシルエステル(0.27g、0.93mmol)の溶液を滴下添加した。加熱は、110℃にて16時間に亘って続けられ、溶媒は真空下で除去された。残渣はクロロホルム/イソプロパノール(3:1)に溶かされ、1MのNaOHにより洗浄された。有機物を、疎水性フリットを介して回収し、濃縮し、粗生成物を得た。残渣を、分取HPLCにより精製して、cis−[4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチル(EI−MS:m/z=359.1[M+H])を得た。ジクロロメタン(0.9ml)及びトリフルオロ酢酸(0.1ml)中の上記のcis−[4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステルの混合物を、周囲温度にて、1時間に亘って攪拌した。この混合物を、真空下で濃縮し、次にイオン交換クロマトグラフィにより精製して、cis−6−(4−アミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(3.1mg)(EI−MS:m/z=259.1[M+H])を得た。
【0082】
本発明の以下の化合物は、適当なBoc保護アミノアルコールを用いて、参考例7Aについて記載されたような手順によって調製された。
【0083】
実施例7B:6−(4−アミノメチルシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0084】
【化17】

EI−MS:m/z=273.5[M+H]
【0085】
実施例7C:(1R、3R)−6−(3−メチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0086】
【化18】

ESI−MS:m/z=273.1
【0087】
実施例7D:(1S、3R)−6−(3−メチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0088】
【化19】

ESI−MS:m/z=273.1
【0089】
実施例7E:(1R、3S)−6−(3−メチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0090】
【化20】

ESI−MS:m/z=273.1
【0091】
実施例7F:(1S、3S)−6−(3−メチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0092】
【化21】

ESI−MS:m/z=273.1
実施例7G:(1S、3S)−6−(3−エチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0093】
【化22】

ESI−MS:m/z=287.2[M+H]
【0094】
実施例7H:(1S、3R)−6−[3−(シクロプロピルアミノメチル)シクロペンチルオキシ]−2H−イソキノリン−1−オン
【0095】
【化23】

ESI−MS:m/z=313.2[M+H]
【0096】
実施例7I:(1R、3R)−6−(3−エチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0097】
【化24】

ESI−MS:m/z=287.2[M+H]
【0098】
実施例7J:(1S、3R)−6−(3−エチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0099】
【化25】

ESI−MS:m/z=287.2[M+H]
【0100】
実施例7K:(1R、3S)−6−(3−エチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0101】
【化26】

ESI−MS:m/z=287.2[M+H]
【0102】
実施例7L:6−(4−シクロプロピルメチルアミノメチル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0103】
【化27】

ESI−MS:m/z=327.3[M+H]
【0104】
実施例7M:6−(4−エチルアミノメチル−シクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0105】
【化28】

ESI−MS:m/z=301.1[M+H]
【0106】
実施例8:Trans−6−(4−メチルアミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(参考例)
【0107】
【化29】

A:Cis−4−メチルアミノシクロヘキサノール
THF(4.6ml)中の水素化アルミニウムリチウムの2M溶液を、周囲温度にて攪拌しながら、THF(5ml)中のcis−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(1g、4.6mmol)の溶液に滴下添加した。30分に亘って攪拌した後、この混合物を、還流状態で16時間に亘って加熱した。冷却後、水(0.35ml)、続いて2N水酸化ナトリウム(0.35ml)及び水(0.35ml)を慎重に添加した。白色の沈殿物を、ろ過により除去し、ろ液を減圧下で濃縮した。残った水相を水で希釈し、4N塩酸の滴下添加により中和した。水相を、ゆっくりとイオン交換カラム(SCX、10g)に通し、メタノールで洗浄した後、生成物を、メタノール中の2Mアンモニア溶液を用いて溶出させた。分画を合わせ、減圧下で濃縮して、cis−4−メチルアミノシクロヘキサノール(455mg、76%)を得た。
【0108】
B:Cis−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル
メタノール(30ml)中のcis−4−メチルアミノ−シクロヘキサノール(450mg、3.48mmol)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカーボネート(840mg、3.83mmol)及び炭酸水素ナトリウム(1.75g、20.9mmol)が添加された。得られた懸濁液を、40℃にて3時間に亘って超音波処理し、次に溶媒を真空下で除去して、水とジクロロメタンとに分配される残渣を得た。有機層を分離し、飽和塩水及び次に水を用いて洗浄し、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮して、cis−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メチルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0109】
C:メタンスルホン酸cis−4−(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)シクロヘキシルエステル
塩化メタンスルホニル(290μl、3.72mmol)は、ジクロロメタン(15ml)中のcis−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル(710mg、3.l0mmol)及びトリエチルアミン(520μl、3.72mmol)の冷却された(氷浴、0〜4℃)攪拌溶液に添加された。添加に続いて、反応溶液を、この温度にて30分に亘って攪拌し、次に周囲温度にまで温度を上げさせた。周囲温度にて2時間に亘って攪拌した後、含水炭酸水素ナトリウム(15ml)を添加し、続いて30分に亘って激しく攪拌した。反応溶液をジクロロメタン(30ml)及び含水炭酸水素ナトリウム(30ml)で希釈し、分配後、有機相を回収し、減圧下で乾燥するまで蒸発させて、メタンスルホン酸cis−4−(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)シクロヘキシルエステル(930mg、98%)を得た。
【0110】
D:Trans−メチル[4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
DMF(7ml)中の6−ヒドロキシ−2H−イソキノリン−1−オン(410mg、2.52mmol)及び炭酸カリウム(420mg、3.03mmol)の懸濁液を、110℃まで加熱し、DMF(3ml)中のメタンスルホン酸cis−4−(tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ)シクロヘキシルエステル(930mg、3.03mmol)の溶液を滴下添加した。加熱は、110℃にて16時間に亘って続けられ、溶媒は真空下で除去された。残渣は、クロロホルム/イソプロパノール(3:1)に溶かされ、含水炭酸水素ナトリウムで洗浄された。有機物を、疎水性フリットを介して回収し、濃縮して粗生成物を得た。残渣を、シリカ上でのフラッシュ・クロマトグラフィにより精製して(溶離液:ジクロロメタン、続いてメタノール中の2Mアンモニア)、trans−メチル[4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(400mg、42%)(EI−MS:m/z=373.1[M+H])を得た。
【0111】
E:Trans−6−(4−メチルアミノシクロヘキルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
ジクロロメタン(9ml)中のtrans−メチル[4−(1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−6−イルオキシ)シクロヘキシル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(400mg、1.07mmol)及びトリフルオロ酢酸(1ml)の溶液を、周囲温度にて、1時間に亘って攪拌した。この混合物を、真空下で濃縮し、次にイオン交換クロマトグラフィにより精製して、trans−6−(4−メチルアミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(EI−MS:m/z=273.4[M+H])を得た。
【0112】
実施例9A:Trans−6−(4−ジメチルアミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(参考例)
【0113】
【化30】

数滴の氷酢酸を、アセトニトリル(1ml)中のtrans−6(4−メチルアミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(実施例12、25mg、92μmol)及びホルムアルデヒド(40μL)の溶液に添加した。この混合物を、20分に亘って攪拌し、次にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(100mg)を添加した。混合物を、周囲温度にて16時間に亘って攪拌し、次に真空下で濃縮した。残渣は、クロロホルム/イソプロパノール(3:1)と含水炭酸水素ナトリウムとに分配された。有機層を分離し、次に濃縮して残渣を得て、この残渣を分取HPLCによって精製して、trans−6(4−ジメチルアミノシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(EI−MS:m/z=287.3[M+H])を得た。
【0114】
以下の化合物は、適当なアミンを用いて、参考例8及び9Aに関して上述したものと同じ手順により調製された。
【0115】
実施例9B:(1R、3S)−6−(3−ジメチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0116】
【化31】

ESI−MS:m/z=287.2[M+H]
【0117】
実施例9C:(1R、3S)−6−[3−((シクロプロピルメチルメチルアミノ)−メチル)−シクロペンチルオキシ]−2H−イソキノリン−1−オン
【0118】
【化32】

ESI−MS:m/z=327.3[M+H]
【0119】
実施例9D:(1R、3S)−6−[3−((エチルメチルアミノ)−メチル)−シクロペンチルオキシ]−2H−ソキノリン−1−オン
【0120】
【化33】

ESI−MS:m/z=301.3[M+H]
【0121】
実施例9E:(1R、3S)−6−(3−ジエチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0122】
【化34】

ESI−MS:m/z=315.2[M+H]
【0123】
実施例9F:(1R、3S)−6−(3−(プロピルメチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0124】
【化35】

ESI−MS:m/z=315.3[M+H]
【0125】
実施例9G:(1S、3S)−6−(3−(ジメチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0126】
【化36】

ESI−MS:m/z=287.2[M+H]
【0127】
実施例9H:(1S、3S)−6−(3−(プロピルメチルアミノメチル−シクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0128】
【化37】

ESI−MS:m/z=315.3[M+H]
【0129】
実施例10:(1R、3S)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン
【0130】
【化38】

ジ−tert−ブチルジカーボネート(260mg、1.2mmol)は、〜5℃にて、ジクロロメタン(1.5ml)及びトリエチルアミン(415μL、3mmol)中の(1S、3S)−3−アミノメチルシクロペンタノール(100mg、1mmol)の溶液に添加された。この混合物は、周囲温度にまで暖められ、次に一晩に亘って攪拌された。水を添加し、混合物をジクロロメタンで希釈し、有機相を分離し、真空下で濃縮して、(1S、3R)−(3−ヒドロキシシクロペンチルメチル)カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。更に精製することなく、残渣をジクロロメタン(2ml)及びトリエチルアミン(182μL)に溶解させた。塩化メタンスルホニル(102μL)を〜5℃にて添加し、この混合物を周囲温度にまで加熱し、3日間に亘って攪拌した。飽和含水NaHCOを添加し、この混合物をジクロロメタンで希釈し、有機相を分離し、真空下で濃縮してメタンスルホン酸(1R、3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)シクロペンチルエステルを得て、得られたものは、更に精製されることなく次の段階において使用された。
【0131】
N,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中のメタンスルホン酸(1R、3S)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)シクロペンチルエステルの溶液は、15分に亘って、100℃にて、N,N−ジメチルホルムアミド(2ml)中の6−ヒドロキシ−2H−イソキノリン−1−オン(161mg、1mmol)及び炭酸カリウム(276mg)の攪拌溶液に添加された。この混合物を、90℃にて4時間に亘って攪拌し、次に周囲温度にまで冷却し、一晩に亘って攪拌した。飽和含水NaHCOを添加し、混合物を、クロロホルム:イソプロパノール(3:1)で抽出し、有機相を真空下で濃縮して、残渣を得た。ジクロロメタン:トリフルオロ酢酸溶液(3:1、3ml)を残渣に添加し、得られた混合物を3.5時間に亘って攪拌し、次に真空下で濃縮して、残渣を得た。残渣を、メタノールを用いて事前に酸性化されたSCXカラムに投入し、メタノール中の2Mアンモニアによって溶出させ、粗(1R、3S)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オンを得て、得られたものを、分取HPLC(2mg)により精製した(EI−MS:m/z=259.1[M+H])。
【0132】
以下の化合物は、適当なメシラート及び6−ヒドロキシ−2H−イソキノリン−1−オンを用いて、実施例10に記載されるような手順により調製された。
【0133】
実施例11A:(1S、3R)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(EI−MS:m/z=259.0[M+H]
【0134】
【化39】

【0135】
実施例11B:(1R、3R)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン(EI−MS:m/z=259.0[M+H]
【0136】
【化40】

【0137】
実施例11C:(1S、3S)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン (EI−MS:m/z=259.1[M+H]
【0138】
【化41】

【0139】
実施例11D:(1S、3S)−6−(3−アミノシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン (EI−MS:m/z=245.3[M+H]
【0140】
【化42】

【0141】
実施例11E:(1R、3R)−6−(3−アミノシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン (EI−MS:m/z=245.3[M+H]
【0142】
【化43】

【0143】
実施例12:本発明の化合物が組み換えヒトROCK−1に及ぼす阻害活性についての試験管内測定
384ウェル・マイクロタイタープレートに、5μLの250μMの試験化合物溶液(アッセイバッファ(20mM、Hepes、pH7.4、0.01% tween)中。4%ジメチルスルホキシド(DMSO)を伴う。)及び100nMフルオレセイン標識ペプチド(Peptide institute(日本)からのAKRRRLSSLRAKフルオレセイン)、20μMのATP、10mMのMgClを含有する5μlの混合物(2mMジチオスレイトールを含有するアッセイバッファ中で希釈されている。)が加えられる。次に、10μlの0.1ng/μlの組み換えヒトROCK−I溶液(2mMジチオスレイトールを含有するアッセイバッファ中)を各ウェルに加え、最終的な試験化合物の濃度を10μMとする。暗所における室温での1時間に亘る温置後、各ウェルに60μlのIMAP結合剤(Molecular Devices)を加えることにより、酵素活性を検出する。プレートを、更に30分に亘って暗所において室温にて温置し、それによって生じる蛍光偏光における変化を、Analyst HT(Molecular Devices)で測定する(励起波長:485nM、発光波長:530nM)。酵素活性の割合を、この活性とTocrisからの30μMのY−27632(ROCK−I活性に最高阻害率をもたらす)を含有する溶液の活性とと比較することにより計算する。続いて、活性化合物についてのIC50値を求めるために(IC50は、酵素活性に50%の阻害を引き起こす、試験化合物の濃度である)、化合物を用量反応曲線分析に供する。本発明の化合物の殆どが、5を超えるIC50によって特徴付けられる。実施例4、7B、10、11A、11B、11C、11D及び11Eに記載されたもの等の本発明の好ましい化合物は、6.5を越えるpIC50を有している。
【0144】
実施例13:本発明の化合物の単球遊走阻害活性の試験管内測定
ヒト単球系細胞(THP−1)を、濃度2x10細胞/mlにて、阻害性の試験化合物の存在下及び不在下で、遊走培地(0.1%BSAを含有するRPMI 1640)に懸濁させた。次に、細胞懸濁液を30分に亘って37℃にて温置した。次に、遊走媒体における濃度が10ng/mlのヒト単球走化性タンパク質1(MCP−1)の溶液を、QCMTMケモタクシス・5μM・96ウェル・セル・マイグレーション・キット(QCMTM Chemotaxis 5μM 96−well Cell Migration Kit、ECM512、Chemicon International)の下方チャンバに加えた。遊走挿入物の導入及び10分の予備平衡段階に続いて、次に、100μlの細胞懸濁液が上方チャンバに加えられ、キットは、4時間に亘って37℃にて5%の二酸化炭素下で温置された。ブランク及び基礎遊走性のためのウェルも含まれており、これらのウェルは、それぞれ細胞を含んでいない及びMCP−1を含んでいない。溶解バッファ(lysis buffer)及び核酸感受性蛍光色素(CyQuant GR dye、Molecular Probes)の適用により、遊走細胞の数を求めた。次に、フレックスステーション・プレート・リーダ(FlexStation Plate Reader)を用いて、蛍光を測定した。遊走阻害の割合を、以下の方程式を用いて計算した。
【0145】
特異的遊走阻害性(%)=(1−{(試験化合物の存在下で遊走した細胞の数−基礎となる遊走細胞数)/(試験化合物の不在下で遊走した細胞数−基礎となる遊走細胞数)})x100

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化44】

(式中、XはO、S又はNHであり、YはOH又はNHであり、mは0、1又は2であり、nは0又は1であり、oは0又は1であり、YがNHの場合、RはHであり、YがOHである場合、RはH、(C1−4)アルキル又はハロゲンであり、R及びRは、独立してH、(C1−4)アルキル又はハロゲンであり、RはH、場合によってハロゲンで置換される(C1−6)アルキル、(C3−7)シクロアルキル、(C6−10)アリール又はO、S及びNから独立して選択される1から3個のヘテロ原子を包含する飽和5員又は6員複素環であり、(C6−10)アリール及び複素環は、場合によって(C1−4)アルキル、(C1−4)アルキルオキシ又はハロゲンによって置換され、RはH又は(C1−4)アルキルである。但し、XがOであり、YがOHであり、nが0であり及びm+o=2である式Iの化合物は除外される。)を有する6−置換イソキノリン誘導体又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
YはOHである、請求項1に記載の6−置換イソキノリン誘導体。
【請求項3】
XはOである、請求項1又は2に記載の6−置換イソキノリン誘導体。
【請求項4】
及びRは、独立してH、メチル又はハロゲンであり、RはHである、請求項1から3のいずれか一項に記載の6−置換イソキノリン誘導体。
【請求項5】
nは0である、請求項1から4のいずれか一項に記載の6−置換イソキノリン誘導体。
【請求項6】
(1S、3R)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、6−(4−アミノメチルシクロヘキシルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1R、3R)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1R、3S)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1S、3S)−6−(3−アミノシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、(1R、3R)−6−(3−アミノシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン、cis−6−(4−アミノシクロヘキシルスルファニル)イソキノリン−1−イルアミン、(1S、3S)−6−(3−アミノメチルシクロペンチルオキシ)−2H−イソキノリン−1−オン又はこれらの薬学的に許容される塩から選択される、6−置換イソキノリン誘導体。
【請求項7】
治療において使用するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の6−置換イソキノリン誘導体。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の6−置換イソキノリン誘導体又はその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される助剤と共に包含している医薬組成物。
【請求項9】
緑内障、高血圧及びアテローム性動脈硬化症等のROCK−I関連疾患の治療ための薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の6−置換イソキノリン誘導体の使用。

【公表番号】特表2010−501480(P2010−501480A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524205(P2009−524205)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058593
【国際公開番号】WO2008/020081
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(398057282)ナームローゼ・フエンノートチヤツプ・オルガノン (93)
【Fターム(参考)】