説明

Rhodiolaroseaを含む化粧組成物および方法

化粧品として許容される媒体中のRhodiola roseaの抽出物中に好ましくは存在するUV防御量の少なくとも1種のロザビンを含む化粧組成物、および光老化の徴候を予防または低減することを含むその使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、スキンケア化粧組成物および方法に関する。特定的には、本発明は、Rhodiola rosea抽出物を含む新規な化粧組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
皮膚に及ぼすUV線の有害作用を減少させるべく多くの試みがなされてきた。事実上、皮膚へのUV暴露は、光老化(太陽光への反復暴露の結果として生じるヒト皮膚の外観および/または機能の変化を記述するために用いられる用語)を引き起こすと考えられる。とくに懸念されるのは、UV暴露の結果として生じる皮膚の皺、荒れ、斑状色素沈着、黄ばみ、および関連する外観変化である。
【0003】
サンスクリーン剤は、太陽光に暴露される皮膚領域の光老化を予防するために一般に使用される。サンスクリーン剤は、UV光を吸収、反射、および/または散乱する成分を含有する外用調製物である。いくつかのサンスクリーン剤は、酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、および塩化第二鉄をはじめとする不透明微粒子状材料をベースとする。しかしながら、そのような調製物は目に見えるうえに閉塞性があるので、多くの人々は、それらの不透明製剤を化粧品として許容できないものであると考える。他のサンスクリーン剤は、p-アミノ安息香酸(PABA)、オキシベンゾン、ジオキシベンゾン、エチルヘキシル-メトキシシンナメート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、およびブチルメトキシジベンゾイルメタンのような皮膚上で透明または半透明である化学物質を含有する。これらのタイプのサンスクリーン剤は化粧品としては受け入れやすいものではあろうが、依然として、それほど長持ちせず、洗浄または発汗により除去されやすい。さらに、当技術分野では、皮膚に適用するために天然由来のスキンケア成分を提供する傾向が続いている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、UV起因性損傷から皮膚を保護するための新規な組成物および方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は、UV防御量の少なくとも1種のロザビンを含む化粧組成物を包含する。好ましい実施形態では、ロザビンは、植物抽出物中に存在する。一実施形態では、抽出物は、化粧品として許容される媒体中のRhodiola roseaの抽出物である。
【0006】
本発明はさらに、UV防御量の少なくとも1種のロザビンを含む組成物を適用することを含んでなる光老化の徴候を予防または低減する方法を包含する。一実施形態では、ロザビンは、Rhodiola roseaの抽出物および化粧品として許容される媒体に含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
詳細な説明
実施例および比較例の場合または他で明確に記されている場合を除いて、材料の量もしくは比または反応の条件、材料の物理的性質、および/あるいは使用を示す本明細書中の数字はすべて、「約」という単語で修飾されるものと解釈されるものとする。とくに明記されていないかぎり、量はすべて、最終組成物の重量を基準にする。「有効量」とは、UV損傷の影響の減少を引き起こすのに十分な量を意味する。
【0008】
本発明は、特定のRhodiola rosea抽出物がUV線の損傷作用から皮膚細胞を保護する驚くべき能力を有するという観測に基づく。さらなる研究において、まとめてロザビンとして知られる抽出物中の特定のフェニルプロパノイドが抽出物の主要保護成分であることを最終的に見いだした。ロザビンは、Rhodiola roseaに特有な成分である。Rhodiola roseaの成分は種々のタイプの生物学的活性を有することが確認されていているが(Gregory S. Kelly, ND, "Rhodiola rosea: A Possible Plant Adaptogen," Alternative Medicine Review, Thorne Research, Inc., 2001)、ロザビンがRhodiola rosea抽出物のUV防御性で主要な役割を担うことは予想外なことであった。
【0009】
背景として、Rhodiola属は、Crassulacea科のいくつかの植物種を包含し、シベリアの北極山岳地方で一般に見いだされる。この植物の根は、医薬として使用され、「アークティックルート」または「ゴールデンルート」として、つい最近では「クレヌリン(Crenulin)」として知られる。Rhodiolaは、風邪およびインフルエンザ様症状を治療するために、寿命を伸ばすために、ならびに身体的および精神的なストレスに対する生体の耐性を増大させるために、何百年にもわたり使用されてきた。Rhodiola属には約200種が存在し、これらの植物の植物化学および薬理学的性質は、どの種を使用するかに依存しうる(Komarov, 1939; Saratikov 1974; Kurkin and Zapesochnaya 1986)。
【0010】
Rhodiola rosea種は、主に、ヨーロッパおよびアジアの北極地方の高地の乾燥砂質土壌で生育する。何世紀にもわたり、Rhodiola roseaは、ロシア、スカンジナビア、および他の国々の伝統医学で使用されてきた。最近、Rhodiola roseaは、アダプトゲンとしての経口サプリメントとして人気を得ている。アダプトゲンは、病後の回復過程を有意に促進し、エネルギー利用率を増大させ、ストレスの減少を助け、耐久性を増大させ、より高い精神覚醒度を起こすことが報告されている。
【0011】
Rhodiola roseaの化学組成は、十分に実証されている。R.roseaの主成分は、シンナミルアルコールビシアノシド(vicyanoside)のロザビン、ロジン、ロザリン(まとめてロザビン)、およびヒドロキシフェニルエタノール-2-D-グルコピラノシド(ロディオロシド(rhodioloside)としても知られるサリドロシド)である(Saratikov et al. 1968; Kurkin and Zapesochnaya 1986 a,b)。Rhodiola中のロザビンの存在は、R.roseaのみに特有なものであると思われるが(Kurkin and Zapesochnaya, 1996 a,b; Dubichev et al. 1991)、サリドロシドの存在は、Rhodiola属のすべての植物種で明らかにされた(Barnaulov et al. 1965; Wang et al. 1992 a,b; Kang et al. 1992; Yoshikawa et al. 1996; Linh et al. 2000)。たとえば、R. crenulataは、ウズベキスタン、中国、および他のアジア諸国における薬用植物であり、サリドロシドが活性成分であると考えられる(Wang et al. 1992 b; Cui S et al. 2003)。また、米国公開第20020127285号(Rhodiola crenulataが使用され、そのサリドロシド含有率は0.5〜10%である)をも参照されたい。
【0012】
Rhodiola roseaが組み込まれた製品は、市場に出回っており、その起源および製造に用いられる独自の方法に基づいて人々に及ぼす劇的効果が謳い文句になっている。ロザビン、ロジン、ロザリン、およびサリドロシドのような植物性栄養素の正確な比率は、調整しないかぎり、季節によって異なり、摂取時、身体に対して全応答を変化させる可能性があるので、このことは非常に重要である。一例として、Zakir Ramanzanov博士の独自の方法により加工された製品RosavinTM(Siberian Rhodiola rosea)は、種々の薬効を得るべく経口摂取用として販売されている。Rhodiola roseaであることが謳い文句になっているものの中には、ロザビンがほとんど含まれておらず多量の重金属が含まれていたり、さらには、ロザビン、ロザリン、ロジンがまったく含まれていなかったりするものもある。
【0013】
Rhodiolaの抽出物またはRhodiolaの有効成分の濃縮物は、水、アルコール、メタノール、もしくは任意の他の溶媒、または混合溶媒のような好適な溶媒に植物の一部分を接触させることにより得られる。溶媒の選択は、慣例に従って、たとえば、溶媒による抽出または濃縮の対象となる活性成分の性質に基づいて、行いうる。Rhodiola roseaの好ましい活性成分としては、ロザビン、サリドロシド、およびチロソールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの成分は、たとえば、アルコール性もしくは水性の溶媒を用いて、同一工程で抽出可能であるか、または植物から特定の標的成分を抽出するのにとくに有効な溶媒をその都度用いて、個別に抽出しうる。
【0014】
初期の実験で、驚くべきことに、Rhodiola roseaの抽出物が光損傷から皮膚を効果的に保護することを本発明において見いだした。特定的には、いかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、Rhodiola roseaの特定の抽出物がDNA修復を増大させるので、UV起因性皮膚損傷を防止すると考えられる。
【0015】
Rhodiola roseaは、6つの識別可能な化学化合物グループ、すなわち、フェニルプロパノイド類、たとえば、ロザビン、ロジン、およびロザリン;フェニルエタノール誘導体類、たとえば、サリドロシド(ロディオロシド)およびチロソール;フラボノイド類、たとえば、ロディオリン(rodiolin)、ロディオニン(rodionin)、ロディオシン(rodiosin)、アセチルロダルギン(acetylrodalgin)、およびトリシン;モノテルペン類、たとえば、ロジリドール(rosiridol)およびロザリジン(rosaridin);トリテルペン類、たとえば、ダウコステロールおよびβ-シトステロール;ならびにフェノール酸類、たとえば、クロロゲン酸、ヒドロキシケイ皮酸、および没食子酸を有すると考えられる。"Rhodiola Rosea A Phytomedical Overview," HerbalGram, Richard P. Brown et al., 2002を参照されたい。
【0016】
後の実験で明らかにされるように(実施例2参照)、ロザビンは、Rhodiola抽出物の主要活性成分である。ロザビンは、それらを含有する植物材料から公知の化学技術により比較的容易に単離される。したがって、有効量の単離されたロザビン、すなわち、ロザビンのいずれか1種または組合せを外用組成物で使用して、UV防御効果を達成することが可能である。組成物に組み込まれる単離されたロザビンの有効量は、全組成物の重量を基準にして、通常は0.0001%〜0.1%、好ましくは0.001%〜0.008%の範囲内、最も好ましくは0.004%であろう。しかしながら、実際問題として、防御ロザビン効果を達成するためにロザビン含有化合物を組成物に組み込むことも可能であり、おそらくそのほうが便利である。好ましい実施形態では、ロザビンを含有するいずれの植物の抽出物も、本発明に係る組成物または方法で使用するのに適している。しかしながら、ロザビンを含有するRhodiola rosea抽出物は、広範にわたる供給業者(Amax NutraSource Inc., Eugene, Oregon; Solgar Vitamin and Herb, Leonia, NJ; Jarrow Formulas, Inc., Los Angeles, CA)から入手可能であるので、最も便利である。
【0017】
活性ロザビンの濃度は抽出物ごとに異なる可能性があるので、ガイドラインとして、先に述べたのと等価な濃度の単離されたロザビンを提供する量の抽出物を使用することが推奨される。そのほかに、以下の実施例に示されるように、ロザビンはUV防御を達成するうえで本質的活性成分であるが、植物抽出物中には、単独では必ずしも非常に有効であるとはかぎらないが、なんらかの寄与活性を有しうる追加の成分が存在する可能性がある。好ましい一実施形態では、Rhodiola roseaの抽出物は、ロザビンとサリドロシドとの組合せを含有する。ロザビンは、抽出物の1%〜50%、好ましくは2%〜40%、最も好ましくは4%〜5%の量で存在する。サリドロシドは、組成物の0.1%〜50%、好ましくは0.5%〜40%、最も好ましくは1%〜5%、抽出物の0.0001%〜30%、好ましくは0.001%〜20%、最も好ましくは0.01%〜10%の量で存在する。好ましいRhodiola rosea抽出物は、Amax Nutrasource Inc. in Eugene, Oregonから市販されている。
【0018】
抽出物の量は、製剤および所望の成果さらには先に述べたような抽出物中のロザビンの濃度に依存して異なるであろう。典型的なRhodiola rosea抽出物、たとえば、0.0001%〜0.1%のロザビンを含有する抽出物は、用いられる組成物の重量を基準にして0.0001%〜90%の量で使用される。好ましくは、Rhodiola roseaは、0.001%〜70%、最も好ましくは0.1%〜10%の量で使用される。
【0019】
別な実施形態では、本発明は、サンスクリーン剤を含む。好適なサンスクリーン剤としては、水溶性サンスクリーン剤(たとえば、Eusolex 232);油溶性サンスクリーン剤(たとえば、オクチルメトキシシンナメート);無機サンスクリーン剤(たとえば、二酸化チタン、酸化亜鉛);ならびに有機サンスクリーン剤(たとえば、ショウノウ誘導体、シンナメート、サリチレート、ベンゾフェノン、トリアジン、PABA誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、およびジベンゾイルメタン誘導体)が挙げられる。
【0020】
量は、製剤および所望の成果に依存して異なるであろう。サンスクリーン剤は、組成物の重量を基準にして0.1%〜50%の量で使用される。好ましくは、サンスクリーン剤は、1%〜40%の量、最も好ましくは5%〜30%の量で使用される。
【0021】
組成物はさらに、皮膚、毛髪、および/または爪に局所適用するのに好適である化粧品として許容される媒体を含む。化粧品として許容される媒体は、当技術分野で周知であり、適用の最終用途に基づいて選択される。たとえば、本発明に係る媒体としては、皮膚に適用するのに好適なものが挙げられるが、これに限定されるものではない。そのような媒体は、当業者に周知であり、皮膚に適用するのに好適な1種以上の相溶性の液体もしくは固体の充填希釈剤または媒体を含みうる。媒体の正確な量は、当業者により媒体と区別して分類される任意の他の場合により存在していてもよい成分(たとえば、他の活性成分)のレベルに依存するであろう。本発明に係る組成物は、組成物の重量を基準にして、好ましくは約75%〜約99.99%、より好ましくは約85%〜約99.99%、最も好ましくは約93%〜約98%の媒体を含む。
【0022】
本明細書に記載の媒体および組成物は、いくつかの方法で製剤化可能であり、例としては、エマルジョンが挙げられるが、これに限定されるものではない。たとえば、好適なエマルジョンとしては、水中油型、油中水型、水中油中水型、油中水中油型、シリコーン中水中油型のエマルジョンが挙げられる。好ましい組成物は、水中油型エマルジョンを含む。
【0023】
本発明に係る組成物は、シャンプー、クリーム、ワックス、ペースト、ローション、ミルク、ムース、ゲル、オイル、トニック、およびスプレーをはじめとする多種多様な製品タイプに製剤化可能である。好ましい組成物は、ローション、クリーム、ゲル、シャンプー、およびスプレーに製剤化される。これらの製剤は、ハンドローションおよびボディーローション、コールドクリーム、フェイシャルモイスチャライザー、抗座瘡調剤、外用鎮痛剤、メーキャップ/化粧品、たとえば、ファンデーション、アイシャドー、リップスティックなどをはじめとするいくつかの用途に使用しうるが、これらに限定されるものではない。そのような製品を製剤化するのに必要とされる任意の追加の成分は、製品タイプによって異なり、当業者であれば、慣例に従って選択可能である。
【0024】
本発明に係る組成物をエアロゾルとして製剤化し、スプレー式製品として皮膚に適用する場合、噴射剤を組成物に添加しうる。好適な噴射剤の例としては、クロロフッ素化されたより低い分子量の炭化水素が挙げられる。本発明に有用な噴射剤のより完全な開示は、Sagarin, Cosmetics Science and Technology, 2nd Edition, Vol. 2, pp. 443-465 (1972)に見いだしうる。
【0025】
他の成分
製剤はまた、製剤の担体および/または使用目的に応じて選択されうる他の成分を含むことも可能である。追加の成分としては、抗酸化剤(たとえばBHT);キレート化剤(たとえばジナトリウムEDTA);乳化安定化剤(たとえばカルボマー);保存剤(たとえばメチルパラベン);芳香剤(たとえばピネン);風味剤(たとえばソルビトール);湿潤剤(たとえばグリセリン);防水剤(たとえばPVP/エイコセンコポリマー);水溶性皮膜形成剤(たとえばヒドロキシプロピルメチルセルロース);油溶性皮膜形成剤(たとえば水素化C-9樹脂);保湿剤たとえばコレステロール;カチオン性ポリマー(たとえばポリクアテルニウム10(Polyquatenium 10));アニオン性ポリマー(たとえばキサンタンガム);ビタミン(たとえばトコフェロール);などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
組成物はまた、1種以上の追加の活性成分を含むことも可能であり、したがって、化粧組成物でも医薬組成物でもありうる。有用な活性成分の例としては、老人斑、角化表皮、および皺を改善または根絶する活性成分、鎮痛剤、麻酔剤、抗座瘡剤、抗細菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗フケ剤、抗皮膚炎剤、鎮痒剤、鎮吐剤、抗過角質溶解剤、抗乾燥皮膚剤、制汗剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、ヘアコンディショナー剤およびヘアトリートメント剤、抗老化剤、抗皺剤、抗喘息剤および気管支拡張剤、サンスクリーン剤、抗ヒスタミン剤、色素脱失剤、創傷治癒剤、ビタミン、コルチコステロイド、日焼け剤、またはホルモンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。有用な活性薬剤のより特定的な例としては、レチノールのようなレチノイドならびにそのエステル、酸、およびアルデヒド;アスコルビン酸ならびにそのエステルおよび金属塩、トコフェロールならびにそのエステルおよびアミド誘導体;サメ軟骨;乳タンパク質;α-またはβ-ヒドロキシ酸;DHEAおよびその誘導体;外用心臓血管剤;クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール(miconozole)、グリセオフルビン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、プラモキシン、リドカイン、プロカイン、メピバカイン、モノベンゾン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、メクロサイクリン(meclocyline)、ヒドロキノン、ミノサイクリン、ナプロキセン、イブプロフェン、テオフィリン、クロモリン、アルブテロール、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21-アセテート、ヒドロコルチゾン17-バレレート、ヒドロコルチゾン17-ブチレート、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド(triaminolone acetonide)、フルオシノニド、クロベタゾール、プロプリオネート、ベンゾイルペルオキシド、クロタミトン、プロプラノール、プロメタジン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
本製剤のとくに好ましい実施形態は、抗老化製品として使用されるスキンケアローションまたはクリームである。その目的で、本製剤は、保湿剤、皮膚軟化剤、または湿潤剤である薬剤と組み合わされる。有用な組合せの例は、オイル、脂肪、ワックス、エステル、脂肪酸アルコール、脂肪酸エトキシレート、グリコール、糖、ヒアルロン酸およびヒアルロネート、ジメチコン、シクロメチコンなどである。さらなる例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary, CTFA, Sixth Edition, 1995に見いだしうる。
【0028】
光老化の徴候を低減する方法
本発明に係る組成物は、光老化の徴候を遅らせてUV損傷から皮膚を保護する方法としての製品としてとくに有用である。本明細書中で使用する場合、「光老化」とは、皮膚萎縮のような老化の徴候を包含しうるものであり、UV線への暴露により引き起こされる光損傷のように外因性要因に基づくコラーゲンおよび/またはエラスチンの変化および変性により特性付けられることの多いフリーラジカル損傷により引き起こされる真皮の菲薄化および/または一般的分解を意味する。本明細書中で使用する場合、「光老化の徴候を遅らせる」とは、哺乳動物の皮膚における皮膚老化過程を停止、処置、または逆転することを包含するものである。皮膚老化を遅らせる例としては、筋および皺の出現の減少、皮膚萎縮の作用の減少、ならびに菲薄化の出現の減少が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
そのような方法は、安全かつ有効な量の本発明に係る組成物を皮膚に投与または局所適用することを含む。組成物中の成分の量は、所望の調節レベルに依存して大幅に変化するであろう。
【0030】
皮膚を化粧品または医薬品で処置する好ましい方法は、安全かつ有効な量の新規な組成物の長期局所適用を介して皮膚を保護することである。組成物の量および皮膚への局所適用頻度は、全適用範囲にわたる個人の所望の保護量に応じてまたは必要に応じて大幅に変化しうる。患者のニーズに応じて医薬用量を調節することは、十分に皮膚科医や他の医療提供者のような熟練者の権限内にある。本発明に係る方法は、日常的に使用するのに好適である。
【0031】
一例として、局所適用は、1週約1回〜1日約2回または3回、好ましくは1週約5回〜1日約3回、最も好ましくは1日約1回または2回の範囲内であることが推奨される。組成物は、0.0001%〜0.5%、好ましくは0.001%〜0.01%、最も好ましくは0.002%〜0.009%の活性成分を含むであろう。
【実施例】
【0032】
以下の実施例により本発明についてさらに説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例1
以下は、本発明の範囲内にある2種の組成物である。
【表1】

【表2】

【0034】
実施例1:
生体皮膚等価物(LSE)におけるUVB起因性サンバーン細胞生成に及ぼすRhodiola roseaの効果を試験する。生体皮膚等価物(Organogenesis)から切除部分(8mm)を取得し、トランスウェルメンブレンプレート上で培養する。これらの切除部分を0.1mg/ml(PBS)のRhodiola roseaで4時間かけて前処理する。ポストインキュベーションの後、これらの切除部分に0、50、100、150、および200mJ/cm2でUVB照射する。24時間のポストインキュベーションに続いて、これらの皮膚等価物をホルマリン中で固定し、-4℃で貯蔵する。次に、これらのサンプルをH&E染色により染色する。次に、400倍の倍率の顕微鏡を用いて切片を評価する。各サンプルから切片を選択し、サンバーン細胞のカウントを行った。
【0035】
結果および考察:図1に示されるように、UVBは、生体皮膚等価物においてサンバーン細胞生成の用量依存的増大を引き起こす。100mJ、150mJ、および200mJのUVB照射では、それぞれ、10、21、および32個のサンバーン細胞が選択領域内に存在する(図1および2の左側)。rhodiola roseaで前処理されたLSEにおいて、100mJ、150mJ、および200mJのUVB照射では、それぞれ、2、10、および14個の焼け細胞が選択領域内に存在する。Rhodiola roseaで前処理することにより、UVB照射を介するサンバーン細胞の生成が有意に低減される。LSEにおいてRhodiola rosea前処理によりUVB起因性サンバーン細胞生成が有意に低減されることがわかる。
【0036】
実施例2:
生体皮膚等価物(LSE)から切除部分(8mm)を取得し、トランスウェルメンブレンプレート上で培養する。これらの切除部分を0.01%(PBS)のロザビンまたはサリドロシドで18時間かけて前処理する。ポストインキュベーションの後、これらの切除部分に0および175mJ/cm2でUVB照射する。ただちに1セットのLSEをホルマリン中で固定し、TTダイマー生成(DNA損傷)を調べる。24時間のポストインキュベーションに続いて、他のセットの皮膚等価物をホルマリン中で固定する。次に、TTダイマー免疫染色に供すべく、これらのサンプルを調製する。次に、400倍の倍率の顕微鏡を用いて切片を評価する。各サンプルから切片を選択し、TTダイマー含有細胞を評価する。UVB照射直後のTTダイマー染色細胞を調べることにより、DNA損傷を測定する。0時間(UVB直後)のTTダイマーのレベルを24時間(UVBの24時間後)のTTダイマーのレベルと比較することにより、UVB照射されたLSEにおけるDNA修復(TTダイマー除去)を定量する。
【0037】
結果および考察:図2に示されるように、UVBは、ロザビンまたはサリドロシドの前処理が施されているかまたは施されていない生体皮膚等価物においてDNA損傷細胞(染色TTダイマー)の増大を引き起こす。対照では、175mJのUVBの24時間後、LSEにおけるTTダイマーレベルは40%であることがわかる。ロザビンで処理されたLSEでは、175mJのUVBの24時間後、TTダイマーレベルは7%である。サリドロシドで処理されたLSEでは、175mJのUVBの24時間後、TTダイマーレベルは12%である。24時間後、LSEにおいてDNA損傷細胞の有意な減少が存在する。結論として、実験の結果から、Rhodiola roseaから観測される保護作用を提供するうえでロザビンがRhodiola rosea中の活性成分でありうることが実証される。
【0038】
当然のことながら、本明細書中に例示および説明されている本発明の特定の形態は、単に代表例であることが意図されるにすぎない。本開示の明確な教示から逸脱することなく、例示された実施形態に変更(たとえば、限定されるものではないが、本明細書中に提案されている変更)を加えることが可能である。したがって、本発明の全範囲を決定するには、以下の添付の特許請求の範囲を参照しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、サンバーン細胞に及ぼすRhodiola roseaの効果を示すグラフ図を提供する。
【図2】図2は、DNA修復/損傷に及ぼすRhodiola roseaの活性成分の効果を示すグラフ図を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の
少なくとも1種のロザビンと;
化粧品として許容される媒体と;
を含む化粧組成物。
【請求項2】
前記ロザビンが、ロザリン、ロジン、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
0.0001〜0.1重量%のロザビンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
サリドロシドをさらに含む、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項5】
少なくとも0.001%〜0.1%のチロソールをさらに含む、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項6】
水溶性サンスクリーン剤、油溶性サンスクリーン剤、無機サンスクリーン剤、および有機サンスクリーン剤よりなる群から選択されるサンスクリーン剤をさらに含む、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項7】
前記ロザビンがロザビン含有植物抽出物の一部分として提供される、請求項1に記載の化粧組成物。
【請求項8】
前記植物抽出物がRhodiola roseaの抽出物である、請求項7に記載の化粧組成物。
【請求項9】
前記Rhodiola roseaの抽出物が1%〜50%のロザビンを含む、請求項8に記載の化粧組成物。
【請求項10】
前記抽出物が0.1%〜50%のサリドロシドをも含有する、請求項9に記載の化粧組成物。
【請求項11】
Rhodiola roseaの抽出物
を含む化粧組成物であって、該抽出物が有効量の少なくとも1種のロザビンと;
化粧品として許容される媒体と;
を含む、上記化粧組成物。
【請求項12】
少なくとも0.1%のサリドロシドをさらに含む、請求項11に記載の化粧組成物。
【請求項13】
少なくとも0.001%〜0.1%のチロソールをさらに含む、請求項11に記載の化粧組成物。
【請求項14】
水溶性サンスクリーン剤、油溶性サンスクリーン剤、無機サンスクリーン剤、および有機サンスクリーン剤よりなる群から選択されるサンスクリーン剤をさらに含む、請求項11に記載の化粧組成物。
【請求項15】
前記Rhodiola roseaの抽出物が1%〜50%のロザビンと0.1〜50%のサリドロシドとを含む、請求項11に記載の化粧組成物。
【請求項16】
有効量の少なくとも1種のロザビンと;化粧品として許容される媒体と;を含む組成物を適用する工程を含む、皮膚における光老化の徴候を低減する方法。
【請求項17】
前記組成物がサンスクリーン剤をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ロザビンがRhodiola roseaの根から抽出される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記Rhodiola roseaの抽出物が1%〜50%のロザビンと0.1〜50%のサリドロシドとを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
化粧品として許容される媒体中に少なくとも1種のロザビンを含む化粧組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚に及ぼすUV暴露の影響を防止する方法。
【請求項21】
前記組成物がサンスクリーン剤をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ロザビンがRhodiola roseaの根から抽出される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記Rhodiola roseaの抽出物が1%〜50%のロザビンと0.1〜50%のサリドロシドとを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも1種のロザビンと化粧品として許容される媒体とを含む化粧組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚に及ぼすUV起因性損傷の影響を軽減する方法。
【請求項25】
前記組成物がサンスクリーン剤をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ロザビンがロザビン含有植物抽出物の一部分として提供される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記植物抽出物がRhodiola roseaの抽出物である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記Rhodiola roseaの抽出物が1%〜50%のロザビンと0.1〜50%のサリドロシドとを含む、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−505086(P2008−505086A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519343(P2007−519343)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/022811
【国際公開番号】WO2006/004695
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】