SAR(SyntheticApertureRadar)重畳データ生成装置、SAR重畳データ再生装置、SAR重畳データ生成プログラム、SAR重畳データ再生プログラム、SAR重畳データ生成方法およびSAR重畳データ再生方法
【課題】SAR(合成開口レーダー)と光学センサとによる同時観測においてSAR画像と同じデータ量でSAR画像と光学画像とを伝送し、地上での画像再生処理においてSAR画像と光学画像とを別々に画像化できるようにすることを目的とする。
【解決手段】SAR/光学観測衛星110では、(1)SAR111と光学センサ112とにより地上の同じ地域を観測し、(2)SAR/光学伝送装置200によりSAR111の観測データと光学センサ112の観測データとを重畳させた重畳データを生成し、(3)重畳データをダウンリンクする。地上センタ120では、(4)SAR/光学再生装置300により重畳データからSAR画像と光学画像とを再生する。(2)においてSAR/光学伝送装置200は、光学センサ112で撮像した光学画像に対してSAR再生処理の逆処理をし、逆処理した光学画像を符号化して光学センサ112の観測データを生成する。
【解決手段】SAR/光学観測衛星110では、(1)SAR111と光学センサ112とにより地上の同じ地域を観測し、(2)SAR/光学伝送装置200によりSAR111の観測データと光学センサ112の観測データとを重畳させた重畳データを生成し、(3)重畳データをダウンリンクする。地上センタ120では、(4)SAR/光学再生装置300により重畳データからSAR画像と光学画像とを再生する。(2)においてSAR/光学伝送装置200は、光学センサ112で撮像した光学画像に対してSAR再生処理の逆処理をし、逆処理した光学画像を符号化して光学センサ112の観測データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地球観測に用いるSAR重畳データ生成装置、SAR重畳データ再生装置、SAR重畳データ生成プログラム、SAR重畳データ再生プログラム、SAR重畳データ生成方法およびSAR重畳データ再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防衛・防災を目的としたモニタリングには時間・天候に左右されないSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)が有効である。しかしながらSARで取得した画像(以下、「SAR画像」という)のみを用いて不審船舶を発見したり被災場所を特定したりする技術はまだ発展途上であり、SAR画像の可読性は光学画像には及ばない。SAR画像の解析に際し、同時刻に観測された光学画像をリファレンスとすることは極めて有効であり、SAR解析結果の精度・信頼性の大幅な改善が期待できる。しかしながら、衛星から地上へ伝送可能なデータ量は制限されてしまうため、SARと光学センサとを一つの衛星に搭載してSAR画像と光学画像との両方を地上へ伝送する場合、データ量を少なくするために画像の分解能を落したり観測範囲を絞って画像数を減らしたりする必要がある。SAR搭載衛星と光学センサ搭載衛星とでタンデム観測することは、技術的には可能であるがコストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−177768号公報
【特許文献2】特開2000−268058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、SARと光学センサとによる同時観測においてSAR画像と同じデータ量でSAR画像と光学画像とを含んだデータを伝送し、地上での画像再生処理においてSAR画像と光学画像とを別々に画像化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のSAR重畳データ生成装置は、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部とを備える。
【0006】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0007】
前記SAR逆再生部は、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化部は、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0008】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0009】
前記重畳部は、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0010】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0011】
前記符号化部は、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0012】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0013】
本発明のSAR重畳データ生成装置は、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR逆再生部により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部とを備える。
【0014】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0015】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR観測データの値に前記符号化処理により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理とをコンピュータに実行させる。
【0016】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
前記SAR逆再生処理において、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化処理において、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0018】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0019】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
前記重畳処理において、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0020】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0021】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
前記符号化処理において、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0022】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0023】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理とをコンピュータに実行させる。
【0024】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0025】
本発明のSAR重畳データ生成方法は、
SAR逆再生部が、SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、
符号化部が、前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成し、
重畳部が、前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する。
【0026】
本発明のSAR重畳データ再生方法は、
復号化部が、請求項17記載のSAR重畳データ生成方法により生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成し、
SAR再生部が、前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、例えば、SARと光学センサとによる同時観測においてSAR画像と同じデータ量でSAR画像と光学画像とを含んだデータを伝送し、地上での画像再生処理においてSAR画像と光学画像とを別々に画像化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1におけるSAR/光学観測システム100の概要図。
【図2】実施の形態1におけるSAR111の観測方法を示す図。
【図3】実施の形態1におけるSAR111の観測方法を示す図。
【図4】実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200の機能構成図。
【図5】実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200のSAR/光学伝送方法を示すフローチャート。
【図6】実施の形態1におけるSAR観測データ生成処理(S110)を示す図。
【図7】実施の形態1におけるSAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理の概要図。
【図8】実施の形態1におけるSAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理の概要図。
【図9】実施の形態1における符号化処理(S130)を示す図。
【図10】実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300の機能構成図。
【図11】実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300のSAR/光学再生方法を示すフローチャート。
【図12】実施の形態1におけるSAR画像再生処理(S220)を示す図。
【図13】実施の形態1における復号化処理(S230)と光学画像再生処理(S240)とを示す図。
【図14】実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200およびSAR/光学再生装置300のハードウェア資源の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態1.
SAR画像のデータと光学画像のデータとを重畳させた重畳データを生成し、生成した重畳データを伝送し、伝送先で重畳データからSAR画像と光学画像とを再生するSAR/光学観測システムについて説明する。
【0030】
図1は、実施の形態1におけるSAR/光学観測システム100の概要図である。
実施の形態1におけるSAR/光学観測システム100の概要について、図1に基づいて以下に説明する。
【0031】
SAR/光学観測システム100は、SAR111と光学センサ112とSAR/光学伝送装置200(SAR重畳データ生成装置の一例)とを搭載したSAR/光学観測衛星110を有する。さらに、地上アンテナ121とSAR/光学再生装置300(SAR重畳データ再生装置の一例)とを備えた地上センタ120を有する。
可視カメラや赤外線カメラは光学センサ112の一例である。
【0032】
SAR/光学観測衛星110では、(1)SAR111と光学センサ112とにより地上の同じ地域を観測し、(2)SAR/光学伝送装置200によりSAR111の観測データと光学センサ112の観測データとを重畳させた重畳データを生成し、(3)重畳データを地上アンテナ121へ伝送する(ダウンリンク)。
地上センタ120では、(4)SAR/光学再生装置300により重畳データからSAR画像と光学画像とを再生する。
【0033】
重畳データのデータサイズは、SAR111の観測データのデータサイズにほぼ等しい。つまり、SAR/光学観測システム100は、SAR111の観測データだけをダウンリンクする場合と同じ伝送量で、SAR111の観測データと光学センサ112の観測データとをダウンリンクする。
【0034】
図2および図3は、実施の形態1におけるSAR111の観測方法を示す図である。
実施の形態1におけるSAR111の観測方法について、図2および図3に基づいて以下に説明する。
【0035】
図2に示すように、SAR111は、パルス波(電波、電磁波、マイクロ波、ビームともいう)の発射および受信を行うアンテナ111aを備えている。
SAR111は、SAR/光学観測衛星110の進行方向に対して垂直な方向で斜め下方に向けて、アンテナ111aからパルス波を発射する。発射されたパルス波は地上のビーム照射領域で後方散乱し、SAR111は後方散乱したパルス波をアンテナ111aで受信する。
以下、SAR111によるパルス波の発射および受信を「SAR観測」といい、受信したパルス波を表す信号を「SAR観測信号」という。
【0036】
SAR/光学観測衛星110の進行方向を「アジマス方向」といい、SAR111によるパルス波の発射方向を「レンジ方向」という。
また、SAR/光学観測衛星110から直下への方向とパルス波の発射方向との成す角を「オフナディア角」という。
【0037】
図3に示すように、SAR111は、パルス波を周期的に発射する。パルス波の周期を「PRI(パルス繰り返し間隔)」といい、PRIの逆数を「PRF(パルス繰り返し周波数)」という。衛星に搭載されたSARのPRFは「1000〜2000Hz」程度である。
パルス波が周期的に発射されるため、地上の単一ターゲット(特定の一地点)がビーム照射領域内に位置している間、SAR111は、単一ターゲットからのSAR観測信号を複数回受信する。衛星に搭載されたSARは、単一ターゲットからのSAR観測信号を数千回受信する。
【0038】
図4は、実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200の機能構成図である。
実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200の機能構成について、図4に基づいて以下に説明する。
【0039】
SAR/光学伝送装置200(SAR重畳データ生成装置の一例)は、SAR観測データ生成部210、光学観測データ生成部220、SAR/光学観測データ重畳部230(重畳部の一例)、SAR/光学重畳データ伝送部240および伝送装置記憶部290を備える。
【0040】
SAR観測データ生成部210は、SAR111により特定の地域を観測して得られた複数のSAR観測信号データ291に基づいてSAR観測データ292をCPUを用いて生成する。SAR観測データ292は、SAR再生処理により前記特定の地域を表すSAR画像に再生されるデータである。
【0041】
光学観測データ生成部220は、SAR再生逆処理部221(SAR逆再生部の一例)とエンコード部222(符号化部の一例)とを備える。
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により、光学センサ112(特定のセンサの一例)により取得された光学画像データ293(センサ画像の一例)からSAR観測データ292に相当するSAR逆再生データ294をCPU(Central Processing Unit)を用いて生成する。
エンコード部222は、SAR再生逆処理部221により生成されたSAR逆再生データ294をエンコードキー299で符号化したデータを光学観測データ295(符号化逆再生データの一例)としてCPUを用いて生成する。
【0042】
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292の値にエンコード部222により生成された光学観測データ295の値を加えた値を示すデータをSAR/光学重畳データ296(SAR重畳データの一例)としてCPUを用いて生成する。
【0043】
SAR/光学重畳データ伝送部240は、SAR/光学観測データ重畳部230により生成されたSAR/光学重畳データ296を表す信号をSAR/光学観測衛星110のアンテナを用いて発信する。SAR/光学重畳データ伝送部240により発信された信号は、地上センタ120の地上アンテナ121に到達し、SAR/光学再生装置300により受信される。
【0044】
伝送装置記憶部290は、SAR/光学伝送装置200で用いるデータを記憶する記憶装置である。SAR観測信号データ291、SAR観測データ292、光学画像データ293、SAR逆再生データ294、光学観測データ295、SAR/光学重畳データ296およびエンコードキー299は伝送装置記憶部290に記憶されるデータの一例である。
【0045】
図5は、実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200のSAR/光学伝送方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200のSAR/光学伝送方法(SAR重畳データ生成方法の一例)について、図5に基づいて以下に説明する。
SAR/光学伝送装置200の各「〜部」は、以下に説明する各処理をCPUを用いて実行する。
【0046】
まず、SAR/光学伝送方法の概要について説明する。
SAR/光学観測衛星110のSAR111および光学センサ112により各時刻に得られたSAR観測信号データ291および光学画像データ293が伝送装置記憶部290に記憶されているものとする。
【0047】
SAR観測信号データ291はSAR観測信号を表すデータである。
例えば、SAR観測信号は、時系列に並んだ複数の信号値(信号の振幅また電力)や時系列に並んだ複数の信号値を示す波形を表す関数として表される。
【0048】
光学画像データ293は光学センサ112により撮像された画像(以下、「光学画像」という)を表すデータである。
例えば、光学画像は、複数の画素それぞれの画素値(色、輝度など)として表される。
【0049】
SAR観測データ生成部210は複数のSAR観測信号データ291に基づいてSAR観測データ292を生成する(S110)。
SAR再生逆処理部221はSAR再生逆処理により光学画像データ293からSAR逆再生データ294を生成し(S120)、エンコード部222はSAR逆再生データ294を符号化して光学観測データ295を生成する(S130)。
SAR/光学観測データ重畳部230はSAR観測データ292と光学観測データ295とを重畳させてSAR/光学重畳データ296を生成する(S140)。
SAR/光学重畳データ伝送部240はSAR/光学重畳データ296を地上センタ120にダウンリンクする(S150)。
【0050】
次に、各処理(S110〜S150)の詳細について説明する。
【0051】
<S110:SAR観測データ生成処理>
SAR観測データ生成部210は、複数のSAR観測信号データ291に基づいてSAR観測データ292を生成し、生成したSAR観測データ292を伝送装置記憶部290に記憶する。
【0052】
図6は、実施の形態1におけるSAR観測データ生成処理(S110)を示す図である。
実施の形態1におけるSAR観測データ生成処理(S110)について、図6に基づいて以下に説明する。
【0053】
S110(図5)において、SAR/光学観測衛星110は、SAR観測信号データ291をSAR画像の画像サイズに応じて所定の数だけ時系列に取得し(S111)、取得した各SAR観測信号データ291に示されるSAR観測信号を並列に並べてSAR観測データ292を生成する(S112)。
【0054】
SAR観測信号の時間軸の方向はレンジ方向に相当し、SAR観測信号を並べた方向はアジマス方向に相当する。
【0055】
図5に戻り、SAR/光学伝送方法の説明を続ける。
S110の後、処理はS120に進む。
【0056】
<S120:SAR逆再生処理>
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理(SAR再生逆処理)により光学画像データ293からSAR逆再生データ294を生成し、生成したSAR逆再生データ294を伝送装置記憶部290に記憶する。
SAR再生処理の逆処理を説明するために、SAR再生処理を説明する。
【0057】
図7および図8は、実施の形態1におけるSAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理の概要図である。
SAR再生処理の概要について、図7および図8に基づいて以下に説明する。
【0058】
図7に示すように、SAR再生処理は、「レンジ圧縮処理」と「アジマス圧縮処理」とにより、SAR観測データ292からSAR画像データを生成する処理である。
SAR再生処理として、レンジ・ドップラー法やチャープスケーリングなどの方法が知られている。
【0059】
レンジ圧縮処理は、SAR観測データ292の複数のSAR観測信号をレンジ方向で圧縮する処理である。
レンジ圧縮処理では、SAR観測信号とレンジ参照関数との相関演算が行われる。レンジ圧縮処理の相関演算は、SAR観測信号をレンジ方向で足し上げることに相当する。
【0060】
アジマス圧縮処理は、レンジ圧縮された各SAR観測信号をアジマス方向で圧縮する処理である。
アジマス圧縮処理では、レンジ圧縮されたSAR観測信号とアジマス参照関数との相関演算が行われる。アジマス圧縮処理の相関演算は、レンジ圧縮された各SAR観測信号をアジマス方向で足し上げることに相当する。
【0061】
一般的に、レンジ圧縮処理とアジマス圧縮処理として、SAR観測信号と参照関数とを高速フーリエ変換(FFT)し、高速フーリエ変換したSAR観測信号と参照関数との積をとり、その積を逆フーリエ変換(IFFT)している。
【0062】
レンジ圧縮処理またはアジマス圧縮処理の結果を「P」、SAR観測信号またはレンジ圧縮されたSAR観測信号を「S」、レンジ参照関数またはアジマス参照関数を「R」、xのフーリエ変換を「F(x)」、xの逆フーリエ変換をF−1[x]で示すと、レンジ圧縮処理とアジマス圧縮処理とは以下の(式1)で表される。
【0063】
P=F−1[F(S)・F(R)] (式1)
【0064】
図8では、SAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理による画像の変化を示している。
(1)はSAR観測データ292が単一ターゲットを表す場合を示し、(2)はSAR観測データ292が二次元領域を表す場合を示している。
図8に示すように、SAR観測データ292は画像化するとレンジ圧縮により線状に表れ、さらにアジマス圧縮により点に結像される。
【0065】
図5に戻り、S120の説明を続ける。
【0066】
SAR再生逆処理部221は、光学画像データ293に対してSAR再生処理(例えば、チャープスケーリング)の逆処理を行う。
【0067】
SAR再生処理の逆処理は、レンジ圧縮処理の逆処理(レンジ圧縮逆処理)とアジマス圧縮処理の逆処理(アジマス圧縮逆処理)とを行う処理である(図7、8参照)。
【0068】
SAR再生処理の逆処理において、光学画像データ293に含まれる各画素値は光学信号として処理される。
【0069】
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理として、光学信号をアジマス圧縮逆処理し、アジマス圧縮逆処理した光学信号をレンジ圧縮逆処理する。
SAR再生逆処理部221は、レンジ圧縮逆処理とアジマス圧縮逆処理として、光学信号と参照関数とを高速フーリエ変換し、高速フーリエ変換した光学信号と参照関数との商をとり、その商を逆フーリエ変換する。
【0070】
レンジ圧縮逆処理またはアジマス圧縮逆処理の結果を「P’」、光学信号またはアジマス圧縮逆処理された光学信号を「O」で示すと、レンジ圧縮逆処理とアジマス圧縮逆処理とは以下の(式2)で表される。参照関数Rはレンジ圧縮処理またはアジマス圧縮処理と同じである。
【0071】
P’=F−1[F(O)/F(R)] (式2)
【0072】
SAR再生逆処理部221は、例えば、画像データからSAR観測データに相当するデータを生成するSAR画像シミュレータ(例えば、Vexcel社の「Scatter」)を利用して、光学画像データ293からSAR逆再生データ294を生成してもよい。
【0073】
S120の後、処理はS130に進む。
【0074】
<S130:符号化処理>
エンコード部222は、SAR逆再生データ294に示される(SAR再生逆処理後の)複数の光学信号それぞれに特定の符号(以下、「エンコードキー299」という)を乗じて、SAR逆再生データ294を符号化する。エンコード部222は、符号化したSAR逆再生データ294を光学観測データ295として伝送装置記憶部290に記憶する。
例えば、エンコード部222は、エンコードキー299として正負の値(+1、−1)をランダムに算出する。
【0075】
図9は、実施の形態1における符号化処理(S130)を示す図である。
実施の形態1における符号化処理(S130)について、図9に基づいて以下に説明する。
【0076】
例えば、SAR逆再生データ294は5つの光学信号を示し、エンコード部222は5つの光学信号に対して「+1」「−1」「+1」「−1」「−1」というエンコードキー299を生成したものとする。
エンコード部222は、SAR逆再生データ294の5つの光学信号それぞれにエンコードキー299(+1、−1、+1、−1、−1)を乗じて光学観測データ295を生成する。以下、複数の信号を並び順に「第1ライン」「第2ライン」・・・という。
光学観測データ295は、SAR逆再生データ294の5つの光学信号のうち第2ラインと第4ラインと第5ラインとを反転させたデータである。
【0077】
図5に戻り、SAR/光学伝送方法の説明を続ける。
【0078】
S130の後、処理はS140に進む。
【0079】
<S140:重畳処理>
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292に光学観測データ295を重畳させたデータをSAR/光学重畳データ296として生成し、生成したSAR/光学重畳データ296を伝送装置記憶部290に記憶する。
【0080】
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292のSAR観測信号に光学観測データ295の光学信号を加算して、SAR観測データ292に光学観測データ295を重畳させる。例えば、SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292の(r、a)要素の値に光学観測データ295の(r、a)要素の値を加算する(r:レンジ方向における位置[順番]、a:アジマス方向における位置[順番])。SAR観測データ292の(r,a)要素の値が「3」であり、光学観測データ295の(r,a)要素の値が「5」であれば、SAR/光学重畳データ296の(r,a)要素の値は「8(=3+5)」である。
【0081】
SAR/光学重畳データ296はSAR観測データ292と光学観測データ295とを含んだデータであり、SAR/光学重畳データ296のデータサイズはSAR観測データ292と変わらない。
【0082】
S140の後、処理はS150に進む。
【0083】
<S150:SAR/光学重畳データ発信処理>
SAR/光学重畳データ伝送部240はSAR/光学重畳データ296とS130で生成されたエンコードキー299とを含んだパケットを生成し、生成したパケットを電波で発信する。SAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを含んだパケットは地上センタ120の地上アンテナ121により受信される。
例えば、SAR/光学重畳データ伝送部240は、ヘッダにエンコードキー299を設定し、送信データとしてSAR/光学重畳データ296を設定してパケットを生成する。
【0084】
以上により、SAR/光学観測衛星110のSAR/光学伝送装置200はSAR/光学重畳データ296を地上センタ120にダウンリンクする。
次に、地上センタ120のSAR/光学再生装置300によるSAR/光学重畳データ296の再生方法について説明する。
【0085】
図10は、実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300の機能構成図である。
実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300の機能構成について、図10に基づいて以下に説明する。
【0086】
SAR/光学再生装置300は、SAR/光学重畳データ受信部310、SAR/光学画像再生部320および再生装置記憶部390(SAR重畳データ記憶部)を備える。
【0087】
SAR/光学重畳データ受信部310は、SAR/光学観測衛星110から地上アンテナ121に到達した信号からSAR/光学重畳データ296を取得する。
【0088】
SAR/光学画像再生部320は、SAR再生処理部321(SAR再生部)、デコード部322(復号化部)およびSAR/光学画像表示部329を備える。
【0089】
デコード部322は、符号化された符号化データを復号する復号処理により、SAR/光学重畳データ296をエンコードキー299に基づいてCPUを用いて復号化して復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、SAR/光学重畳データ296をCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像データ391を再生し、デコード部322により生成された復号化重畳データ392をCPUを用いてSAR再生処理して光学画像データ393を再生する。
SAR/光学画像表示部329はSAR画像データ391により表されるSAR画像391aと光学画像データ393により表される光学画像393aとを表示装置に表示する。
【0090】
再生装置記憶部390は、SAR/光学再生装置300で用いるデータを記憶する記憶装置である。SAR/光学重畳データ296、SAR画像データ391、復号化重畳データ392、光学画像データ393およびエンコードキー299は再生装置記憶部390に記憶されるデータの一例である。
【0091】
図11は、実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300のSAR/光学再生方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300のSAR/光学再生方法について、図11に基づいて以下に説明する。
SAR/光学再生装置300の各「〜部」は、以下に説明する各処理をCPUを用いて実行する。
【0092】
まず、SAR/光学再生方法の概要について説明する。
【0093】
SAR/光学重畳データ受信部310はSAR/光学観測衛星110から発信されたSAR/光学重畳データ296を受信する(S210)。
SAR再生処理部321はSAR再生処理によりSAR/光学重畳データ296からSAR画像データ391を生成する(S220)。
デコード部322はSAR/光学重畳データ296を復号化して復号化重畳データ392を生成し(S230)、SAR再生処理部321はSAR再生処理により復号化重畳データ392から光学画像データ393を生成する(S240)。
SAR/光学画像表示部329はSAR画像391aと光学画像393aとを表示する(S250)。
【0094】
次に、各処理(S210〜S250)の詳細について説明する。
【0095】
<S210:SAR/光学重畳データ受信処理>
SAR/光学重畳データ受信部310は、SAR/光学観測衛星110から発信され地上アンテナ121に到達した電波を受信する。前述の通り、SAR/光学観測衛星110から発信された電波は、SAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを含んだパケットを表す。
SAR/光学重畳データ受信部310は、受信した電波からSAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを抽出し、抽出したSAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを再生装置記憶部390に記憶する。
S210の後、処理はS220に進む。
【0096】
<S220:SAR画像再生処理(SAR再生処理)>
SAR再生処理部321は、SAR再生処理によりSAR/光学重畳データ296からSAR画像データ391を生成し、生成したSAR画像データ391を再生装置記憶部390に記憶する。
【0097】
図12は、実施の形態1におけるSAR画像再生処理(S220)を示す図である。
実施の形態1におけるSAR画像再生処理(S220)について、図12に基づいて以下に説明する。
【0098】
図12では、説明を分かりやすくするために、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて示す。また、単一ターゲットを画像化の対象にしている。
【0099】
レンジ圧縮処理により、SAR観測データ292のSAR観測信号と光学観測データ295の光学信号とはレンジ方向で圧縮される。
アジマス圧縮処理により、レンジ圧縮されたSAR観測信号と光学信号とはアジマス方向で足し上げられる。
【0100】
SAR観測信号は、アジマス方向での足し上げにより大きな値を示す。
一方、光学信号は、符号化により一部のラインで反転しているため、アジマス方向での足し上げにより非反転ライン(第1および第3ライン)と反転ライン(第2、第4および第5ライン)とでキャンセル(相殺)されて小さな値を示す。
【0101】
SAR画像データ391は、SAR観測データ292をSAR再生処理して得られる大きな値に光学観測データ295をSAR再生処理して得られる小さな値(以下、「ノイズ」という)を加えた値を画素値として示す。
SAR画像データ391により表される画像(以下、「SAR画像391a」という)には光学観測データ295によるノイズが含まれるが、ノイズが小さいため画質の劣化は少ない。
【0102】
SAR再生処理(レンジ圧縮処理、アジマス圧縮処理)は「線形性」を有する処理である。したがって、SAR/光学重畳データ296をSAR再生処理した結果は、SAR観測データ292をSAR再生処理した結果と光学観測データ295をSAR再生処理した結果との「和」に等しい。
これにより、図12に示すように、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて考えることができる。
SAR/光学重畳データ296をSAR再生処理することにより、SAR画像391aを表すSAR画像データ391を生成することができる。
【0103】
図11に戻り、SAR/光学再生方法について説明を続ける。
【0104】
S220の後、処理はS230に進む。
【0105】
<S230:復号化処理>
デコード部322は、SAR/光学重畳データ296の各ラインにエンコードキー299を乗じてSAR/光学重畳データ296を復号化し、復号化したSAR/光学重畳データ296を復号化重畳データ392として再生装置記憶部390に記憶する。
【0106】
図13は、実施の形態1における復号化処理(S230)と光学画像再生処理(S240)とを示す図である。
実施の形態1における復号化処理(S230)について、図13に基づいて以下に説明する。
【0107】
図13では、図12と同様に、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて示し、単一ターゲットを画像化の対象にしている。
【0108】
復号化処理により、光学観測データ295は反転した光学信号を含まないデータになり、SAR観測データ292は反転したSAR観測信号を含んだデータになる。
【0109】
例えば、SAR観測データ292と光学観測データ295とのライン数を「5」とし、エンコードキー299を「+1」「−1」「+1」「−1」「−1」とする。この場合、SAR観測データ292および光学観測データ295はエンコードキー299により第2、第4および第5ラインが反転する。
これにより、SAR観測データ292は第2、第4および第5ラインが第1および第3ラインに対して反転したラインになり、光学観測データ295は第2、第4および第5ラインの反転が解消する。
【0110】
復号化重畳データ392は、SAR観測データ292を復号化して得られるSAR観測信号に光学観測データ295を復号化して得られる光学信号を加えた値を示す。
【0111】
復号化処理は「線形性」を有する処理である。したがって、SAR/光学重畳データ296を復号化処理した結果は、SAR観測データ292を復号化処理した結果と光学観測データ295を復号化処理した結果との「和」に等しい。
これにより、図13に示すように、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて考えることができる。
SAR/光学重畳データ296を復号化処理することにより、復号化したSAR観測データ292と復号化した光学観測データ295とを重畳させたデータに相当する復号化重畳データ392を生成することができる。
【0112】
図11に戻り、SAR/光学再生方法について説明を続ける。
【0113】
S230の後、処理はS240に進む。
【0114】
<S240:光学画像再生処理(SAR再生処理)>
SAR再生処理部321は、SAR再生処理により復号化重畳データ392から光学画像データ393を生成し、生成した光学画像データ393を再生装置記憶部390に記憶する。
【0115】
光学画像再生処理(S240)について、図13に基づいて以下に説明する。
【0116】
レンジ圧縮処理により、SAR観測データ292のSAR観測信号と光学観測データ295の光学信号とはレンジ方向で圧縮される。
アジマス圧縮処理により、レンジ圧縮されたSAR観測信号と光学信号とはアジマス方向で足し上げられる。
【0117】
光学信号は、アジマス方向での足し上げにより大きな値を示す。
一方、SAR観測信号は、復号化により一部のラインで反転しているため、アジマス方向での足し上げにより非反転ライン(図13では第1および第3ライン)と反転ライン(図13では第2、第4および第5ライン)とでキャンセルされて小さな値を示す。
【0118】
光学画像データ393は、光学観測データ295をSAR再生処理して得られる大きな値にSAR観測データ292をSAR再生処理して得られる小さな値(ノイズ)を加えた値を示す。
光学画像データ393により表される画像(以下、「光学画像393a」という)にはSAR観測データ292によるノイズが含まれるが、ノイズが小さいため画質の劣化は少ない。
【0119】
前述の通り、SAR再生処理は「線形性」を有する処理である。したがって、復号化重畳データ392をSAR再生処理した結果は、復号化したSAR観測データ292をSAR再生処理した結果と復号化した光学観測データ295をSAR再生処理した結果との「和」に等しい。
これにより、図13に示すように、復号化重畳データ392を復号化したSAR観測データ292と復号化した光学観測データ295とに分けて考えることができる。
復号化重畳データ392をSAR再生処理することにより、光学画像393aを表す光学画像データ393を生成することができる。
【0120】
図11に戻り、SAR/光学再生方法について説明を続ける。
【0121】
S240の後、処理はS250に進む。
【0122】
<S250:再生画像表示処理>
SAR/光学画像表示部329は、SAR画像データ391に基づいてSAR画像391aを表示装置に表示し、光学画像データ393に基づいて光学画像393aを表示装置に表示する。
【0123】
図14は、実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200およびSAR/光学再生装置300のハードウェア資源の一例を示す図である。
図14において、SAR/光学伝送装置200およびSAR/光学再生装置300は、CPU911(マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。さらに、SAR/光学再生装置300は、表示装置、キーボード、マウス、ドライブ装置、プリンタ装置などを備える(図示省略)。これらのハードウェアデバイスもCPU911により制御される。ドライブ装置904は、FD(Flexible・Disk・Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital・Versatile・Disc)などの記憶媒体を読み書きする装置である。
【0124】
通信ボード915は、有線または無線で、LAN(Local Area Network)、インターネット、電話回線などの通信網に接続している。
【0125】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
【0126】
プログラム群923には、実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれる。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。すなわち、プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものであり、また「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0127】
ファイル群924には、実施の形態において説明する「〜部」で使用される各種データ(入力、出力、判定結果、計算結果、処理結果など)が含まれる。
【0128】
実施の形態において構成図およびフローチャートに含まれている矢印は主としてデータや信号の入出力を示す。
【0129】
実施の形態において「〜部」として説明するものは「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで実装されても構わない。
【0130】
実施の形態1において、以下のような「SAR観測データへの光学観測データの重畳、および画像再生方法」について説明した。
【0131】
SAR観測信号からSAR画像を作成するSAR画像再生処理では、数千ラインの観測信号を足し合わせて(=畳み込み演算)、画像の1点を作成する。足し合わせる際に、観測信号の位相が連続的に変化している必要がある。位相が揃っていない(連続的ではない)信号を足し合わせても画像全体に低レベルのノイズとして広がるだけであり、鮮明な画像にはならない。
【0132】
この性質を利用して以下の手順で光学データを重畳する。
1.SARセンサ、光学センサで同時撮像を行う。
2.光学画像に対して、SAR再生処理の逆処理を行う。
3.逆処理した光学画像のラインごとに、ランダムな正負の符号(エンコードキー)を乗ずる。
4.上記3までの処理を施した光学データをSAR観測データに重畳(加算)する。
5.上記3のエンコードキーは、SAR観測データに付与し(観測補助データ)、地上へ伝送される。
【0133】
地上では以下の手順でSAR画像、光学画像を得る。
1.SAR画像は通常とおりに再生処理により得る。光学観測信号はSAR画像全体に低レベルのノイズとして広がり、鮮明に現れることはない。
2.データのエンコードキーを用いて復号する(=符号に応じて観測ラインに+1ないし−1を乗ずる)。
3.さらに再生処理を行うと光学画像を得ることができる。SARデータは光学画像全体に低レベルのノイズとして広がり、鮮明に現れることはない。
【0134】
これにより、以下のような効果が得られる。
1.SAR画像のみでは判読が難しかった現象および対象物について補完的に光学画像を用いることができ、SAR画像に対する解析の精度・信頼性が向上する。
2.同時撮像のSAR画像と光学画像とを判読することにより、さまざまな対象物が「SAR画像ではどのように見えるか」についての知見・経験を得ることができる。知見・経験を積み重ねることにより、SAR画像しか得られない場合(夜間・被雲等)においても、「何が写っているか」が判読できるようになる(判読者のレベル向上)。
【0135】
実施の形態1において、「光学画像」は画像であれば光学画像と呼ばれる画像以外の画像であっても構わない。
【0136】
実施の形態2.
複数の光学画像データをSAR観測データに重畳する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
【0137】
まず、SAR/光学観測システム100の構成(図1参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0138】
SAR/光学観測衛星110は二つの光学センサ112(例えば、可視カメラと赤外線カメラ)を備える。
【0139】
以下、二つの光学センサ112をそれぞれ「第1の光学センサ112」と「第2の光学センサ112」といい、第1の光学センサ112により撮像された画像を「第1の光学画像」といい、第2の光学センサ112により撮像された画像を「第2の光学画像」という。
【0140】
次に、SAR/光学伝送装置200の構成(図4参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0141】
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により第1の光学画像から第1のSAR逆再生データ294を生成し、SAR再生処理の逆処理により第2の光学画像から第2のSAR逆再生データ294を生成する。
エンコード部222は、第1のSAR逆再生データ294を第1の符号を用いて符号化して第1の光学観測データ295を生成し、第2のSAR逆再生データ294を第2の符号を用いて符号化して第2の光学観測データ295を生成する。
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292の値に第1の光学観測データ295の値と第2の光学観測データ295の値とを加えた値を示すデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0142】
次に、SAR/光学再生装置300の構成(図10参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0143】
デコード部322は、SAR/光学重畳データ296を第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データ392を生成し、SAR/光学重畳データ296を第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、SAR/光学重畳データ296をCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像391aを再生し、第1の復号化重畳データ392をCPUを用いてSAR再生処理して第1の光学画像393aを再生し、第2の復号化重畳データ392をCPUを用いてSAR再生処理して第2の光学画像393aを再生する。
【0144】
次に、SAR/光学伝送方法(図5参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0145】
SAR逆再生処理(S120)において、SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により、第1の光学画像データ293から第1のSAR逆再生データ294を生成し、第2の光学画像データ293から第2のSAR逆再生データ294を生成する。
【0146】
符号化処理(S130)において、エンコード部222は、異なる2つのエンコードキー299を生成する。以下、2つのエンコードキー299を第1のエンコードキー299、第2のエンコードキー299という。第1、第2のエンコードキー299はそれぞれ第1、第2のSAR逆再生データ294のライン数分の符号を示すものとする。
エンコード部222は、第1のエンコードキー299を用いて第1のSAR逆再生データ294を符号化して第1の光学観測データ295を生成し、第2のエンコードキー299を用いて第2のSAR逆再生データ294を符号化して第2の光学観測データ295を生成する。
【0147】
重畳処理(S140)において、SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292に第1の光学観測データ295と第2の光学観測データ295とを重畳させたデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0148】
次に、SAR/光学再生方法(図11参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0149】
復号化処理(S230)において、デコード部322は、第1のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第1の復号化重畳データ392を生成し、第2のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
【0150】
光学画像再生処理(S240)において、SAR再生処理部321は、SAR再生処理により、第1の復号化重畳データ392から第1の光学画像データ393を生成し、第2の復号化重畳データ392から第2の光学画像データ393を生成する。
【0151】
再生画像表示処理(S250)において、SAR/光学画像表示部329は、SAR画像データ391に基づいてSAR画像391aを表示し、第1の光学画像データ393に基づいて第1の光学画像393aを表示し、第2の光学画像データ393に基づいて第2の光学画像393aを表示する。
【0152】
実施の形態2により、SAR観測データ292に複数の光学画像のデータ(光学観測データ295)を重畳させたSAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と同じデータ量で伝送し、SAR画像と複数の光学画像とを再生することができる。
【0153】
SAR観測データ292に重畳させる光学画像の数は3つ以上であっても構わない。
例えば、SAR観測データ292にR(レッド)の階調で表された画像とG(グリーン)の階調で表された画像とB(ブルー)の階調で表された画像とを重畳させてもよい。
【0154】
実施の形態3.
SAR画像を含まず複数の光学画像のみを重畳する形態について説明する。
以下、実施の形態2と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態2と同様である。
【0155】
まず、SAR/光学伝送装置200の構成(図4参照)のうち実施の形態2と異なる構成について説明する。
【0156】
SAR/光学観測データ重畳部230は、第1の光学観測データ295の値に第2の光学観測データ295の値を加えた値であってSAR観測データ292の値を加えてない値を示すデータを光学重畳データとして生成する。
光学重畳データは、実施の形態2におけるSAR/光学重畳データ296に対応するデータである。
【0157】
次に、SAR/光学伝送方法(図5参照)のうち実施の形態2と異なる処理について説明する。
【0158】
重畳処理(S140)において、SAR/光学観測データ重畳部230は、第1の光学観測データ295に第2の光学観測データ295を重畳させたデータであってSAR観測データ292を含まないデータを光学重畳データとして生成する。
【0159】
次に、SAR/光学再生方法(図11参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0160】
SAR・光学再生方法の各処理において、SAR/光学重畳データ296は光学重畳データに置き換わる。
【0161】
再生画像表示処理(S250)において、SAR/光学画像表示部329は、第1の光学画像データ393に基づいて第1の光学画像393aを表示し、第2の光学画像データ393に基づいて第2の光学画像393aを表示する。
【0162】
実施の形態3により、複数の光学画像のデータを一つの光学画像のデータと同じデータ量で伝送し、複数の光学画像を再生することができる。
【0163】
複数の光学画像のデータ(SAR逆再生データ294)のうち一つは、実施の形態1、2におけるSAR観測データ292と同様に、符号化しなくても構わない。符号化しない光学画像のデータは、SAR観測データ292と同様に、SAR再生処理だけで再生される。
例えば、以下の通りである。
【0164】
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により第1の光学画像から第1のSAR逆再生データ294を生成し、第2の光学画像から第2のSAR逆再生データ294を生成する。
エンコード部222は、第2のSAR逆再生データ294を符号化したデータを光学観測データ295として生成する。
SAR/光学観測データ重畳部230は、第1のSAR逆再生データ294の値に光学観測データ295の値を加えた値を示すデータを光学重畳データとして生成する。
【0165】
デコード部322は、光学重畳データを復号化して復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、光学重畳データをSAR再生処理して第1の光学画像を再生し、復号化重畳データ392をSAR再生処理して第2の光学画像を再生する。
【0166】
実施の形態4.
SAR画像を光学画像と同様に符号化し、符号化したSAR画像に光学画像を重畳させる形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
【0167】
まず、SAR/光学伝送装置200の構成(図4参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0168】
エンコード部222は、特定の符号であるSAR用符号を用いてSAR観測データ292を符号化して符号化SARデータを生成し、SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いてSAR逆再生データ294を符号化して光学観測データ295を生成する。
SAR/光学観測データ重畳部230は、符号化SARデータの値に光学観測データ295の値を加えた値を示すデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0169】
次に、SAR/光学再生装置300の構成(図10参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0170】
デコード部322は、SAR/光学重畳データ296をSAR用符号に基づいて復号化して第1の復号化重畳データ392(SAR復号化重畳データの一例)を生成し、SAR/光学重畳データ296をセンサ用符号に基づいて復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、第1の復号化重畳データ392をSAR再生処理してSAR画像391aを再生し、第2の復号化重畳データ392をSAR再生処理して光学画像393aを再生する。
【0171】
次に、SAR/光学伝送方法(図5参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0172】
符号化処理(S130)において、エンコード部222は、異なる2つのエンコードキー299を生成する。以下、2つのエンコードキー299を第1のエンコードキー299(SAR用符号)、第2のエンコードキー299(センサ用符号)という。第1、第2のエンコードキー299はそれぞれSAR観測データ292、SAR逆再生データ294のライン数分の符号を示すものとする。
エンコード部222は、第1のエンコードキー299を用いてSAR観測データ292を符号化して符号化SARデータを生成し、第2のエンコードキー299を用いてSAR逆再生データ294を符号化して光学観測データ295を生成する。
【0173】
重畳処理(S140)において、SAR/光学観測データ重畳部230は、符号化SARデータに光学観測データ295を重畳させたデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0174】
次に、SAR/光学再生方法(図11参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0175】
復号化処理(S230)において、デコード部322は、第1のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第1の復号化重畳データ392を生成し、第2のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
【0176】
光学画像再生処理(S240)において、SAR再生処理部321は、SAR再生処理により、第1の復号化重畳データ392からSAR画像データ391を生成し、第2の復号化重畳データ392から光学画像データ393を生成する。
【0177】
実施の形態4により、SAR用符号(第1のエンコードキー299)が無ければSAR画像を再生できず、SAR画像を秘匿化することができる。
【0178】
実施の形態4において、実施の形態2と同様に、SAR画像に複数の光学画像を重畳させても構わない。
【符号の説明】
【0179】
100 SAR/光学観測システム、110 SAR/光学観測衛星、111 SAR、111a アンテナ、112 光学センサ、120 地上センタ、121 地上アンテナ、200 SAR/光学伝送装置、210 SAR観測データ生成部、220 光学観測データ生成部、221 SAR再生逆処理部、222 エンコード部、230 SAR/光学観測データ重畳部、240 SAR/光学重畳データ伝送部、290 伝送装置記憶部、291 SAR観測信号データ、292 SAR観測データ、293 光学画像データ、294 SAR逆再生データ、295 光学観測データ、296 SAR/光学重畳データ、299 エンコードキー、300 SAR/光学再生装置、310 SAR/光学重畳データ受信部、320 SAR/光学画像再生部、321 SAR再生処理部、322 デコード部、329 SAR/光学画像表示部、390 再生装置記憶部、391 SAR画像データ、391a SAR画像、392 復号化重畳データ、393 光学画像データ、393a 光学画像、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、地球観測に用いるSAR重畳データ生成装置、SAR重畳データ再生装置、SAR重畳データ生成プログラム、SAR重畳データ再生プログラム、SAR重畳データ生成方法およびSAR重畳データ再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防衛・防災を目的としたモニタリングには時間・天候に左右されないSAR(Synthetic Aperture Radar:合成開口レーダー)が有効である。しかしながらSARで取得した画像(以下、「SAR画像」という)のみを用いて不審船舶を発見したり被災場所を特定したりする技術はまだ発展途上であり、SAR画像の可読性は光学画像には及ばない。SAR画像の解析に際し、同時刻に観測された光学画像をリファレンスとすることは極めて有効であり、SAR解析結果の精度・信頼性の大幅な改善が期待できる。しかしながら、衛星から地上へ伝送可能なデータ量は制限されてしまうため、SARと光学センサとを一つの衛星に搭載してSAR画像と光学画像との両方を地上へ伝送する場合、データ量を少なくするために画像の分解能を落したり観測範囲を絞って画像数を減らしたりする必要がある。SAR搭載衛星と光学センサ搭載衛星とでタンデム観測することは、技術的には可能であるがコストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−177768号公報
【特許文献2】特開2000−268058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、SARと光学センサとによる同時観測においてSAR画像と同じデータ量でSAR画像と光学画像とを含んだデータを伝送し、地上での画像再生処理においてSAR画像と光学画像とを別々に画像化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のSAR重畳データ生成装置は、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部とを備える。
【0006】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0007】
前記SAR逆再生部は、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化部は、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0008】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0009】
前記重畳部は、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0010】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0011】
前記符号化部は、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0012】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0013】
本発明のSAR重畳データ生成装置は、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR逆再生部により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部とを備える。
【0014】
本発明のSAR重畳データ再生装置は、
前記SAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部とを備える。
【0015】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR観測データの値に前記符号化処理により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理とをコンピュータに実行させる。
【0016】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0017】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
前記SAR逆再生処理において、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化処理において、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0018】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0019】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
前記重畳処理において、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0020】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0021】
本発明のSAR重畳データ生成プログラムは、
前記符号化処理において、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する。
【0022】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0023】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理とをコンピュータに実行させる。
【0024】
本発明のSAR重畳データ再生プログラムは、
前記SAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理とをコンピュータに実行させる。
【0025】
本発明のSAR重畳データ生成方法は、
SAR逆再生部が、SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、
符号化部が、前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成し、
重畳部が、前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する。
【0026】
本発明のSAR重畳データ再生方法は、
復号化部が、請求項17記載のSAR重畳データ生成方法により生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成し、
SAR再生部が、前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、例えば、SARと光学センサとによる同時観測においてSAR画像と同じデータ量でSAR画像と光学画像とを含んだデータを伝送し、地上での画像再生処理においてSAR画像と光学画像とを別々に画像化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態1におけるSAR/光学観測システム100の概要図。
【図2】実施の形態1におけるSAR111の観測方法を示す図。
【図3】実施の形態1におけるSAR111の観測方法を示す図。
【図4】実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200の機能構成図。
【図5】実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200のSAR/光学伝送方法を示すフローチャート。
【図6】実施の形態1におけるSAR観測データ生成処理(S110)を示す図。
【図7】実施の形態1におけるSAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理の概要図。
【図8】実施の形態1におけるSAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理の概要図。
【図9】実施の形態1における符号化処理(S130)を示す図。
【図10】実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300の機能構成図。
【図11】実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300のSAR/光学再生方法を示すフローチャート。
【図12】実施の形態1におけるSAR画像再生処理(S220)を示す図。
【図13】実施の形態1における復号化処理(S230)と光学画像再生処理(S240)とを示す図。
【図14】実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200およびSAR/光学再生装置300のハードウェア資源の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施の形態1.
SAR画像のデータと光学画像のデータとを重畳させた重畳データを生成し、生成した重畳データを伝送し、伝送先で重畳データからSAR画像と光学画像とを再生するSAR/光学観測システムについて説明する。
【0030】
図1は、実施の形態1におけるSAR/光学観測システム100の概要図である。
実施の形態1におけるSAR/光学観測システム100の概要について、図1に基づいて以下に説明する。
【0031】
SAR/光学観測システム100は、SAR111と光学センサ112とSAR/光学伝送装置200(SAR重畳データ生成装置の一例)とを搭載したSAR/光学観測衛星110を有する。さらに、地上アンテナ121とSAR/光学再生装置300(SAR重畳データ再生装置の一例)とを備えた地上センタ120を有する。
可視カメラや赤外線カメラは光学センサ112の一例である。
【0032】
SAR/光学観測衛星110では、(1)SAR111と光学センサ112とにより地上の同じ地域を観測し、(2)SAR/光学伝送装置200によりSAR111の観測データと光学センサ112の観測データとを重畳させた重畳データを生成し、(3)重畳データを地上アンテナ121へ伝送する(ダウンリンク)。
地上センタ120では、(4)SAR/光学再生装置300により重畳データからSAR画像と光学画像とを再生する。
【0033】
重畳データのデータサイズは、SAR111の観測データのデータサイズにほぼ等しい。つまり、SAR/光学観測システム100は、SAR111の観測データだけをダウンリンクする場合と同じ伝送量で、SAR111の観測データと光学センサ112の観測データとをダウンリンクする。
【0034】
図2および図3は、実施の形態1におけるSAR111の観測方法を示す図である。
実施の形態1におけるSAR111の観測方法について、図2および図3に基づいて以下に説明する。
【0035】
図2に示すように、SAR111は、パルス波(電波、電磁波、マイクロ波、ビームともいう)の発射および受信を行うアンテナ111aを備えている。
SAR111は、SAR/光学観測衛星110の進行方向に対して垂直な方向で斜め下方に向けて、アンテナ111aからパルス波を発射する。発射されたパルス波は地上のビーム照射領域で後方散乱し、SAR111は後方散乱したパルス波をアンテナ111aで受信する。
以下、SAR111によるパルス波の発射および受信を「SAR観測」といい、受信したパルス波を表す信号を「SAR観測信号」という。
【0036】
SAR/光学観測衛星110の進行方向を「アジマス方向」といい、SAR111によるパルス波の発射方向を「レンジ方向」という。
また、SAR/光学観測衛星110から直下への方向とパルス波の発射方向との成す角を「オフナディア角」という。
【0037】
図3に示すように、SAR111は、パルス波を周期的に発射する。パルス波の周期を「PRI(パルス繰り返し間隔)」といい、PRIの逆数を「PRF(パルス繰り返し周波数)」という。衛星に搭載されたSARのPRFは「1000〜2000Hz」程度である。
パルス波が周期的に発射されるため、地上の単一ターゲット(特定の一地点)がビーム照射領域内に位置している間、SAR111は、単一ターゲットからのSAR観測信号を複数回受信する。衛星に搭載されたSARは、単一ターゲットからのSAR観測信号を数千回受信する。
【0038】
図4は、実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200の機能構成図である。
実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200の機能構成について、図4に基づいて以下に説明する。
【0039】
SAR/光学伝送装置200(SAR重畳データ生成装置の一例)は、SAR観測データ生成部210、光学観測データ生成部220、SAR/光学観測データ重畳部230(重畳部の一例)、SAR/光学重畳データ伝送部240および伝送装置記憶部290を備える。
【0040】
SAR観測データ生成部210は、SAR111により特定の地域を観測して得られた複数のSAR観測信号データ291に基づいてSAR観測データ292をCPUを用いて生成する。SAR観測データ292は、SAR再生処理により前記特定の地域を表すSAR画像に再生されるデータである。
【0041】
光学観測データ生成部220は、SAR再生逆処理部221(SAR逆再生部の一例)とエンコード部222(符号化部の一例)とを備える。
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により、光学センサ112(特定のセンサの一例)により取得された光学画像データ293(センサ画像の一例)からSAR観測データ292に相当するSAR逆再生データ294をCPU(Central Processing Unit)を用いて生成する。
エンコード部222は、SAR再生逆処理部221により生成されたSAR逆再生データ294をエンコードキー299で符号化したデータを光学観測データ295(符号化逆再生データの一例)としてCPUを用いて生成する。
【0042】
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292の値にエンコード部222により生成された光学観測データ295の値を加えた値を示すデータをSAR/光学重畳データ296(SAR重畳データの一例)としてCPUを用いて生成する。
【0043】
SAR/光学重畳データ伝送部240は、SAR/光学観測データ重畳部230により生成されたSAR/光学重畳データ296を表す信号をSAR/光学観測衛星110のアンテナを用いて発信する。SAR/光学重畳データ伝送部240により発信された信号は、地上センタ120の地上アンテナ121に到達し、SAR/光学再生装置300により受信される。
【0044】
伝送装置記憶部290は、SAR/光学伝送装置200で用いるデータを記憶する記憶装置である。SAR観測信号データ291、SAR観測データ292、光学画像データ293、SAR逆再生データ294、光学観測データ295、SAR/光学重畳データ296およびエンコードキー299は伝送装置記憶部290に記憶されるデータの一例である。
【0045】
図5は、実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200のSAR/光学伝送方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200のSAR/光学伝送方法(SAR重畳データ生成方法の一例)について、図5に基づいて以下に説明する。
SAR/光学伝送装置200の各「〜部」は、以下に説明する各処理をCPUを用いて実行する。
【0046】
まず、SAR/光学伝送方法の概要について説明する。
SAR/光学観測衛星110のSAR111および光学センサ112により各時刻に得られたSAR観測信号データ291および光学画像データ293が伝送装置記憶部290に記憶されているものとする。
【0047】
SAR観測信号データ291はSAR観測信号を表すデータである。
例えば、SAR観測信号は、時系列に並んだ複数の信号値(信号の振幅また電力)や時系列に並んだ複数の信号値を示す波形を表す関数として表される。
【0048】
光学画像データ293は光学センサ112により撮像された画像(以下、「光学画像」という)を表すデータである。
例えば、光学画像は、複数の画素それぞれの画素値(色、輝度など)として表される。
【0049】
SAR観測データ生成部210は複数のSAR観測信号データ291に基づいてSAR観測データ292を生成する(S110)。
SAR再生逆処理部221はSAR再生逆処理により光学画像データ293からSAR逆再生データ294を生成し(S120)、エンコード部222はSAR逆再生データ294を符号化して光学観測データ295を生成する(S130)。
SAR/光学観測データ重畳部230はSAR観測データ292と光学観測データ295とを重畳させてSAR/光学重畳データ296を生成する(S140)。
SAR/光学重畳データ伝送部240はSAR/光学重畳データ296を地上センタ120にダウンリンクする(S150)。
【0050】
次に、各処理(S110〜S150)の詳細について説明する。
【0051】
<S110:SAR観測データ生成処理>
SAR観測データ生成部210は、複数のSAR観測信号データ291に基づいてSAR観測データ292を生成し、生成したSAR観測データ292を伝送装置記憶部290に記憶する。
【0052】
図6は、実施の形態1におけるSAR観測データ生成処理(S110)を示す図である。
実施の形態1におけるSAR観測データ生成処理(S110)について、図6に基づいて以下に説明する。
【0053】
S110(図5)において、SAR/光学観測衛星110は、SAR観測信号データ291をSAR画像の画像サイズに応じて所定の数だけ時系列に取得し(S111)、取得した各SAR観測信号データ291に示されるSAR観測信号を並列に並べてSAR観測データ292を生成する(S112)。
【0054】
SAR観測信号の時間軸の方向はレンジ方向に相当し、SAR観測信号を並べた方向はアジマス方向に相当する。
【0055】
図5に戻り、SAR/光学伝送方法の説明を続ける。
S110の後、処理はS120に進む。
【0056】
<S120:SAR逆再生処理>
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理(SAR再生逆処理)により光学画像データ293からSAR逆再生データ294を生成し、生成したSAR逆再生データ294を伝送装置記憶部290に記憶する。
SAR再生処理の逆処理を説明するために、SAR再生処理を説明する。
【0057】
図7および図8は、実施の形態1におけるSAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理の概要図である。
SAR再生処理の概要について、図7および図8に基づいて以下に説明する。
【0058】
図7に示すように、SAR再生処理は、「レンジ圧縮処理」と「アジマス圧縮処理」とにより、SAR観測データ292からSAR画像データを生成する処理である。
SAR再生処理として、レンジ・ドップラー法やチャープスケーリングなどの方法が知られている。
【0059】
レンジ圧縮処理は、SAR観測データ292の複数のSAR観測信号をレンジ方向で圧縮する処理である。
レンジ圧縮処理では、SAR観測信号とレンジ参照関数との相関演算が行われる。レンジ圧縮処理の相関演算は、SAR観測信号をレンジ方向で足し上げることに相当する。
【0060】
アジマス圧縮処理は、レンジ圧縮された各SAR観測信号をアジマス方向で圧縮する処理である。
アジマス圧縮処理では、レンジ圧縮されたSAR観測信号とアジマス参照関数との相関演算が行われる。アジマス圧縮処理の相関演算は、レンジ圧縮された各SAR観測信号をアジマス方向で足し上げることに相当する。
【0061】
一般的に、レンジ圧縮処理とアジマス圧縮処理として、SAR観測信号と参照関数とを高速フーリエ変換(FFT)し、高速フーリエ変換したSAR観測信号と参照関数との積をとり、その積を逆フーリエ変換(IFFT)している。
【0062】
レンジ圧縮処理またはアジマス圧縮処理の結果を「P」、SAR観測信号またはレンジ圧縮されたSAR観測信号を「S」、レンジ参照関数またはアジマス参照関数を「R」、xのフーリエ変換を「F(x)」、xの逆フーリエ変換をF−1[x]で示すと、レンジ圧縮処理とアジマス圧縮処理とは以下の(式1)で表される。
【0063】
P=F−1[F(S)・F(R)] (式1)
【0064】
図8では、SAR再生処理およびSAR再生処理の逆処理による画像の変化を示している。
(1)はSAR観測データ292が単一ターゲットを表す場合を示し、(2)はSAR観測データ292が二次元領域を表す場合を示している。
図8に示すように、SAR観測データ292は画像化するとレンジ圧縮により線状に表れ、さらにアジマス圧縮により点に結像される。
【0065】
図5に戻り、S120の説明を続ける。
【0066】
SAR再生逆処理部221は、光学画像データ293に対してSAR再生処理(例えば、チャープスケーリング)の逆処理を行う。
【0067】
SAR再生処理の逆処理は、レンジ圧縮処理の逆処理(レンジ圧縮逆処理)とアジマス圧縮処理の逆処理(アジマス圧縮逆処理)とを行う処理である(図7、8参照)。
【0068】
SAR再生処理の逆処理において、光学画像データ293に含まれる各画素値は光学信号として処理される。
【0069】
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理として、光学信号をアジマス圧縮逆処理し、アジマス圧縮逆処理した光学信号をレンジ圧縮逆処理する。
SAR再生逆処理部221は、レンジ圧縮逆処理とアジマス圧縮逆処理として、光学信号と参照関数とを高速フーリエ変換し、高速フーリエ変換した光学信号と参照関数との商をとり、その商を逆フーリエ変換する。
【0070】
レンジ圧縮逆処理またはアジマス圧縮逆処理の結果を「P’」、光学信号またはアジマス圧縮逆処理された光学信号を「O」で示すと、レンジ圧縮逆処理とアジマス圧縮逆処理とは以下の(式2)で表される。参照関数Rはレンジ圧縮処理またはアジマス圧縮処理と同じである。
【0071】
P’=F−1[F(O)/F(R)] (式2)
【0072】
SAR再生逆処理部221は、例えば、画像データからSAR観測データに相当するデータを生成するSAR画像シミュレータ(例えば、Vexcel社の「Scatter」)を利用して、光学画像データ293からSAR逆再生データ294を生成してもよい。
【0073】
S120の後、処理はS130に進む。
【0074】
<S130:符号化処理>
エンコード部222は、SAR逆再生データ294に示される(SAR再生逆処理後の)複数の光学信号それぞれに特定の符号(以下、「エンコードキー299」という)を乗じて、SAR逆再生データ294を符号化する。エンコード部222は、符号化したSAR逆再生データ294を光学観測データ295として伝送装置記憶部290に記憶する。
例えば、エンコード部222は、エンコードキー299として正負の値(+1、−1)をランダムに算出する。
【0075】
図9は、実施の形態1における符号化処理(S130)を示す図である。
実施の形態1における符号化処理(S130)について、図9に基づいて以下に説明する。
【0076】
例えば、SAR逆再生データ294は5つの光学信号を示し、エンコード部222は5つの光学信号に対して「+1」「−1」「+1」「−1」「−1」というエンコードキー299を生成したものとする。
エンコード部222は、SAR逆再生データ294の5つの光学信号それぞれにエンコードキー299(+1、−1、+1、−1、−1)を乗じて光学観測データ295を生成する。以下、複数の信号を並び順に「第1ライン」「第2ライン」・・・という。
光学観測データ295は、SAR逆再生データ294の5つの光学信号のうち第2ラインと第4ラインと第5ラインとを反転させたデータである。
【0077】
図5に戻り、SAR/光学伝送方法の説明を続ける。
【0078】
S130の後、処理はS140に進む。
【0079】
<S140:重畳処理>
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292に光学観測データ295を重畳させたデータをSAR/光学重畳データ296として生成し、生成したSAR/光学重畳データ296を伝送装置記憶部290に記憶する。
【0080】
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292のSAR観測信号に光学観測データ295の光学信号を加算して、SAR観測データ292に光学観測データ295を重畳させる。例えば、SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292の(r、a)要素の値に光学観測データ295の(r、a)要素の値を加算する(r:レンジ方向における位置[順番]、a:アジマス方向における位置[順番])。SAR観測データ292の(r,a)要素の値が「3」であり、光学観測データ295の(r,a)要素の値が「5」であれば、SAR/光学重畳データ296の(r,a)要素の値は「8(=3+5)」である。
【0081】
SAR/光学重畳データ296はSAR観測データ292と光学観測データ295とを含んだデータであり、SAR/光学重畳データ296のデータサイズはSAR観測データ292と変わらない。
【0082】
S140の後、処理はS150に進む。
【0083】
<S150:SAR/光学重畳データ発信処理>
SAR/光学重畳データ伝送部240はSAR/光学重畳データ296とS130で生成されたエンコードキー299とを含んだパケットを生成し、生成したパケットを電波で発信する。SAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを含んだパケットは地上センタ120の地上アンテナ121により受信される。
例えば、SAR/光学重畳データ伝送部240は、ヘッダにエンコードキー299を設定し、送信データとしてSAR/光学重畳データ296を設定してパケットを生成する。
【0084】
以上により、SAR/光学観測衛星110のSAR/光学伝送装置200はSAR/光学重畳データ296を地上センタ120にダウンリンクする。
次に、地上センタ120のSAR/光学再生装置300によるSAR/光学重畳データ296の再生方法について説明する。
【0085】
図10は、実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300の機能構成図である。
実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300の機能構成について、図10に基づいて以下に説明する。
【0086】
SAR/光学再生装置300は、SAR/光学重畳データ受信部310、SAR/光学画像再生部320および再生装置記憶部390(SAR重畳データ記憶部)を備える。
【0087】
SAR/光学重畳データ受信部310は、SAR/光学観測衛星110から地上アンテナ121に到達した信号からSAR/光学重畳データ296を取得する。
【0088】
SAR/光学画像再生部320は、SAR再生処理部321(SAR再生部)、デコード部322(復号化部)およびSAR/光学画像表示部329を備える。
【0089】
デコード部322は、符号化された符号化データを復号する復号処理により、SAR/光学重畳データ296をエンコードキー299に基づいてCPUを用いて復号化して復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、SAR/光学重畳データ296をCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像データ391を再生し、デコード部322により生成された復号化重畳データ392をCPUを用いてSAR再生処理して光学画像データ393を再生する。
SAR/光学画像表示部329はSAR画像データ391により表されるSAR画像391aと光学画像データ393により表される光学画像393aとを表示装置に表示する。
【0090】
再生装置記憶部390は、SAR/光学再生装置300で用いるデータを記憶する記憶装置である。SAR/光学重畳データ296、SAR画像データ391、復号化重畳データ392、光学画像データ393およびエンコードキー299は再生装置記憶部390に記憶されるデータの一例である。
【0091】
図11は、実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300のSAR/光学再生方法を示すフローチャートである。
実施の形態1におけるSAR/光学再生装置300のSAR/光学再生方法について、図11に基づいて以下に説明する。
SAR/光学再生装置300の各「〜部」は、以下に説明する各処理をCPUを用いて実行する。
【0092】
まず、SAR/光学再生方法の概要について説明する。
【0093】
SAR/光学重畳データ受信部310はSAR/光学観測衛星110から発信されたSAR/光学重畳データ296を受信する(S210)。
SAR再生処理部321はSAR再生処理によりSAR/光学重畳データ296からSAR画像データ391を生成する(S220)。
デコード部322はSAR/光学重畳データ296を復号化して復号化重畳データ392を生成し(S230)、SAR再生処理部321はSAR再生処理により復号化重畳データ392から光学画像データ393を生成する(S240)。
SAR/光学画像表示部329はSAR画像391aと光学画像393aとを表示する(S250)。
【0094】
次に、各処理(S210〜S250)の詳細について説明する。
【0095】
<S210:SAR/光学重畳データ受信処理>
SAR/光学重畳データ受信部310は、SAR/光学観測衛星110から発信され地上アンテナ121に到達した電波を受信する。前述の通り、SAR/光学観測衛星110から発信された電波は、SAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを含んだパケットを表す。
SAR/光学重畳データ受信部310は、受信した電波からSAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを抽出し、抽出したSAR/光学重畳データ296とエンコードキー299とを再生装置記憶部390に記憶する。
S210の後、処理はS220に進む。
【0096】
<S220:SAR画像再生処理(SAR再生処理)>
SAR再生処理部321は、SAR再生処理によりSAR/光学重畳データ296からSAR画像データ391を生成し、生成したSAR画像データ391を再生装置記憶部390に記憶する。
【0097】
図12は、実施の形態1におけるSAR画像再生処理(S220)を示す図である。
実施の形態1におけるSAR画像再生処理(S220)について、図12に基づいて以下に説明する。
【0098】
図12では、説明を分かりやすくするために、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて示す。また、単一ターゲットを画像化の対象にしている。
【0099】
レンジ圧縮処理により、SAR観測データ292のSAR観測信号と光学観測データ295の光学信号とはレンジ方向で圧縮される。
アジマス圧縮処理により、レンジ圧縮されたSAR観測信号と光学信号とはアジマス方向で足し上げられる。
【0100】
SAR観測信号は、アジマス方向での足し上げにより大きな値を示す。
一方、光学信号は、符号化により一部のラインで反転しているため、アジマス方向での足し上げにより非反転ライン(第1および第3ライン)と反転ライン(第2、第4および第5ライン)とでキャンセル(相殺)されて小さな値を示す。
【0101】
SAR画像データ391は、SAR観測データ292をSAR再生処理して得られる大きな値に光学観測データ295をSAR再生処理して得られる小さな値(以下、「ノイズ」という)を加えた値を画素値として示す。
SAR画像データ391により表される画像(以下、「SAR画像391a」という)には光学観測データ295によるノイズが含まれるが、ノイズが小さいため画質の劣化は少ない。
【0102】
SAR再生処理(レンジ圧縮処理、アジマス圧縮処理)は「線形性」を有する処理である。したがって、SAR/光学重畳データ296をSAR再生処理した結果は、SAR観測データ292をSAR再生処理した結果と光学観測データ295をSAR再生処理した結果との「和」に等しい。
これにより、図12に示すように、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて考えることができる。
SAR/光学重畳データ296をSAR再生処理することにより、SAR画像391aを表すSAR画像データ391を生成することができる。
【0103】
図11に戻り、SAR/光学再生方法について説明を続ける。
【0104】
S220の後、処理はS230に進む。
【0105】
<S230:復号化処理>
デコード部322は、SAR/光学重畳データ296の各ラインにエンコードキー299を乗じてSAR/光学重畳データ296を復号化し、復号化したSAR/光学重畳データ296を復号化重畳データ392として再生装置記憶部390に記憶する。
【0106】
図13は、実施の形態1における復号化処理(S230)と光学画像再生処理(S240)とを示す図である。
実施の形態1における復号化処理(S230)について、図13に基づいて以下に説明する。
【0107】
図13では、図12と同様に、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて示し、単一ターゲットを画像化の対象にしている。
【0108】
復号化処理により、光学観測データ295は反転した光学信号を含まないデータになり、SAR観測データ292は反転したSAR観測信号を含んだデータになる。
【0109】
例えば、SAR観測データ292と光学観測データ295とのライン数を「5」とし、エンコードキー299を「+1」「−1」「+1」「−1」「−1」とする。この場合、SAR観測データ292および光学観測データ295はエンコードキー299により第2、第4および第5ラインが反転する。
これにより、SAR観測データ292は第2、第4および第5ラインが第1および第3ラインに対して反転したラインになり、光学観測データ295は第2、第4および第5ラインの反転が解消する。
【0110】
復号化重畳データ392は、SAR観測データ292を復号化して得られるSAR観測信号に光学観測データ295を復号化して得られる光学信号を加えた値を示す。
【0111】
復号化処理は「線形性」を有する処理である。したがって、SAR/光学重畳データ296を復号化処理した結果は、SAR観測データ292を復号化処理した結果と光学観測データ295を復号化処理した結果との「和」に等しい。
これにより、図13に示すように、SAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と光学観測データ295とに分けて考えることができる。
SAR/光学重畳データ296を復号化処理することにより、復号化したSAR観測データ292と復号化した光学観測データ295とを重畳させたデータに相当する復号化重畳データ392を生成することができる。
【0112】
図11に戻り、SAR/光学再生方法について説明を続ける。
【0113】
S230の後、処理はS240に進む。
【0114】
<S240:光学画像再生処理(SAR再生処理)>
SAR再生処理部321は、SAR再生処理により復号化重畳データ392から光学画像データ393を生成し、生成した光学画像データ393を再生装置記憶部390に記憶する。
【0115】
光学画像再生処理(S240)について、図13に基づいて以下に説明する。
【0116】
レンジ圧縮処理により、SAR観測データ292のSAR観測信号と光学観測データ295の光学信号とはレンジ方向で圧縮される。
アジマス圧縮処理により、レンジ圧縮されたSAR観測信号と光学信号とはアジマス方向で足し上げられる。
【0117】
光学信号は、アジマス方向での足し上げにより大きな値を示す。
一方、SAR観測信号は、復号化により一部のラインで反転しているため、アジマス方向での足し上げにより非反転ライン(図13では第1および第3ライン)と反転ライン(図13では第2、第4および第5ライン)とでキャンセルされて小さな値を示す。
【0118】
光学画像データ393は、光学観測データ295をSAR再生処理して得られる大きな値にSAR観測データ292をSAR再生処理して得られる小さな値(ノイズ)を加えた値を示す。
光学画像データ393により表される画像(以下、「光学画像393a」という)にはSAR観測データ292によるノイズが含まれるが、ノイズが小さいため画質の劣化は少ない。
【0119】
前述の通り、SAR再生処理は「線形性」を有する処理である。したがって、復号化重畳データ392をSAR再生処理した結果は、復号化したSAR観測データ292をSAR再生処理した結果と復号化した光学観測データ295をSAR再生処理した結果との「和」に等しい。
これにより、図13に示すように、復号化重畳データ392を復号化したSAR観測データ292と復号化した光学観測データ295とに分けて考えることができる。
復号化重畳データ392をSAR再生処理することにより、光学画像393aを表す光学画像データ393を生成することができる。
【0120】
図11に戻り、SAR/光学再生方法について説明を続ける。
【0121】
S240の後、処理はS250に進む。
【0122】
<S250:再生画像表示処理>
SAR/光学画像表示部329は、SAR画像データ391に基づいてSAR画像391aを表示装置に表示し、光学画像データ393に基づいて光学画像393aを表示装置に表示する。
【0123】
図14は、実施の形態1におけるSAR/光学伝送装置200およびSAR/光学再生装置300のハードウェア資源の一例を示す図である。
図14において、SAR/光学伝送装置200およびSAR/光学再生装置300は、CPU911(マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータともいう)を備えている。CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。さらに、SAR/光学再生装置300は、表示装置、キーボード、マウス、ドライブ装置、プリンタ装置などを備える(図示省略)。これらのハードウェアデバイスもCPU911により制御される。ドライブ装置904は、FD(Flexible・Disk・Drive)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital・Versatile・Disc)などの記憶媒体を読み書きする装置である。
【0124】
通信ボード915は、有線または無線で、LAN(Local Area Network)、インターネット、電話回線などの通信網に接続している。
【0125】
磁気ディスク装置920には、OS921(オペレーティングシステム)、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。
【0126】
プログラム群923には、実施の形態において「〜部」として説明する機能を実行するプログラムが含まれる。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。すなわち、プログラムは、「〜部」としてコンピュータを機能させるものであり、また「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0127】
ファイル群924には、実施の形態において説明する「〜部」で使用される各種データ(入力、出力、判定結果、計算結果、処理結果など)が含まれる。
【0128】
実施の形態において構成図およびフローチャートに含まれている矢印は主としてデータや信号の入出力を示す。
【0129】
実施の形態において「〜部」として説明するものは「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」であってもよく、また「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで実装されても構わない。
【0130】
実施の形態1において、以下のような「SAR観測データへの光学観測データの重畳、および画像再生方法」について説明した。
【0131】
SAR観測信号からSAR画像を作成するSAR画像再生処理では、数千ラインの観測信号を足し合わせて(=畳み込み演算)、画像の1点を作成する。足し合わせる際に、観測信号の位相が連続的に変化している必要がある。位相が揃っていない(連続的ではない)信号を足し合わせても画像全体に低レベルのノイズとして広がるだけであり、鮮明な画像にはならない。
【0132】
この性質を利用して以下の手順で光学データを重畳する。
1.SARセンサ、光学センサで同時撮像を行う。
2.光学画像に対して、SAR再生処理の逆処理を行う。
3.逆処理した光学画像のラインごとに、ランダムな正負の符号(エンコードキー)を乗ずる。
4.上記3までの処理を施した光学データをSAR観測データに重畳(加算)する。
5.上記3のエンコードキーは、SAR観測データに付与し(観測補助データ)、地上へ伝送される。
【0133】
地上では以下の手順でSAR画像、光学画像を得る。
1.SAR画像は通常とおりに再生処理により得る。光学観測信号はSAR画像全体に低レベルのノイズとして広がり、鮮明に現れることはない。
2.データのエンコードキーを用いて復号する(=符号に応じて観測ラインに+1ないし−1を乗ずる)。
3.さらに再生処理を行うと光学画像を得ることができる。SARデータは光学画像全体に低レベルのノイズとして広がり、鮮明に現れることはない。
【0134】
これにより、以下のような効果が得られる。
1.SAR画像のみでは判読が難しかった現象および対象物について補完的に光学画像を用いることができ、SAR画像に対する解析の精度・信頼性が向上する。
2.同時撮像のSAR画像と光学画像とを判読することにより、さまざまな対象物が「SAR画像ではどのように見えるか」についての知見・経験を得ることができる。知見・経験を積み重ねることにより、SAR画像しか得られない場合(夜間・被雲等)においても、「何が写っているか」が判読できるようになる(判読者のレベル向上)。
【0135】
実施の形態1において、「光学画像」は画像であれば光学画像と呼ばれる画像以外の画像であっても構わない。
【0136】
実施の形態2.
複数の光学画像データをSAR観測データに重畳する形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
【0137】
まず、SAR/光学観測システム100の構成(図1参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0138】
SAR/光学観測衛星110は二つの光学センサ112(例えば、可視カメラと赤外線カメラ)を備える。
【0139】
以下、二つの光学センサ112をそれぞれ「第1の光学センサ112」と「第2の光学センサ112」といい、第1の光学センサ112により撮像された画像を「第1の光学画像」といい、第2の光学センサ112により撮像された画像を「第2の光学画像」という。
【0140】
次に、SAR/光学伝送装置200の構成(図4参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0141】
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により第1の光学画像から第1のSAR逆再生データ294を生成し、SAR再生処理の逆処理により第2の光学画像から第2のSAR逆再生データ294を生成する。
エンコード部222は、第1のSAR逆再生データ294を第1の符号を用いて符号化して第1の光学観測データ295を生成し、第2のSAR逆再生データ294を第2の符号を用いて符号化して第2の光学観測データ295を生成する。
SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292の値に第1の光学観測データ295の値と第2の光学観測データ295の値とを加えた値を示すデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0142】
次に、SAR/光学再生装置300の構成(図10参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0143】
デコード部322は、SAR/光学重畳データ296を第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データ392を生成し、SAR/光学重畳データ296を第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、SAR/光学重畳データ296をCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像391aを再生し、第1の復号化重畳データ392をCPUを用いてSAR再生処理して第1の光学画像393aを再生し、第2の復号化重畳データ392をCPUを用いてSAR再生処理して第2の光学画像393aを再生する。
【0144】
次に、SAR/光学伝送方法(図5参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0145】
SAR逆再生処理(S120)において、SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により、第1の光学画像データ293から第1のSAR逆再生データ294を生成し、第2の光学画像データ293から第2のSAR逆再生データ294を生成する。
【0146】
符号化処理(S130)において、エンコード部222は、異なる2つのエンコードキー299を生成する。以下、2つのエンコードキー299を第1のエンコードキー299、第2のエンコードキー299という。第1、第2のエンコードキー299はそれぞれ第1、第2のSAR逆再生データ294のライン数分の符号を示すものとする。
エンコード部222は、第1のエンコードキー299を用いて第1のSAR逆再生データ294を符号化して第1の光学観測データ295を生成し、第2のエンコードキー299を用いて第2のSAR逆再生データ294を符号化して第2の光学観測データ295を生成する。
【0147】
重畳処理(S140)において、SAR/光学観測データ重畳部230は、SAR観測データ292に第1の光学観測データ295と第2の光学観測データ295とを重畳させたデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0148】
次に、SAR/光学再生方法(図11参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0149】
復号化処理(S230)において、デコード部322は、第1のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第1の復号化重畳データ392を生成し、第2のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
【0150】
光学画像再生処理(S240)において、SAR再生処理部321は、SAR再生処理により、第1の復号化重畳データ392から第1の光学画像データ393を生成し、第2の復号化重畳データ392から第2の光学画像データ393を生成する。
【0151】
再生画像表示処理(S250)において、SAR/光学画像表示部329は、SAR画像データ391に基づいてSAR画像391aを表示し、第1の光学画像データ393に基づいて第1の光学画像393aを表示し、第2の光学画像データ393に基づいて第2の光学画像393aを表示する。
【0152】
実施の形態2により、SAR観測データ292に複数の光学画像のデータ(光学観測データ295)を重畳させたSAR/光学重畳データ296をSAR観測データ292と同じデータ量で伝送し、SAR画像と複数の光学画像とを再生することができる。
【0153】
SAR観測データ292に重畳させる光学画像の数は3つ以上であっても構わない。
例えば、SAR観測データ292にR(レッド)の階調で表された画像とG(グリーン)の階調で表された画像とB(ブルー)の階調で表された画像とを重畳させてもよい。
【0154】
実施の形態3.
SAR画像を含まず複数の光学画像のみを重畳する形態について説明する。
以下、実施の形態2と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態2と同様である。
【0155】
まず、SAR/光学伝送装置200の構成(図4参照)のうち実施の形態2と異なる構成について説明する。
【0156】
SAR/光学観測データ重畳部230は、第1の光学観測データ295の値に第2の光学観測データ295の値を加えた値であってSAR観測データ292の値を加えてない値を示すデータを光学重畳データとして生成する。
光学重畳データは、実施の形態2におけるSAR/光学重畳データ296に対応するデータである。
【0157】
次に、SAR/光学伝送方法(図5参照)のうち実施の形態2と異なる処理について説明する。
【0158】
重畳処理(S140)において、SAR/光学観測データ重畳部230は、第1の光学観測データ295に第2の光学観測データ295を重畳させたデータであってSAR観測データ292を含まないデータを光学重畳データとして生成する。
【0159】
次に、SAR/光学再生方法(図11参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0160】
SAR・光学再生方法の各処理において、SAR/光学重畳データ296は光学重畳データに置き換わる。
【0161】
再生画像表示処理(S250)において、SAR/光学画像表示部329は、第1の光学画像データ393に基づいて第1の光学画像393aを表示し、第2の光学画像データ393に基づいて第2の光学画像393aを表示する。
【0162】
実施の形態3により、複数の光学画像のデータを一つの光学画像のデータと同じデータ量で伝送し、複数の光学画像を再生することができる。
【0163】
複数の光学画像のデータ(SAR逆再生データ294)のうち一つは、実施の形態1、2におけるSAR観測データ292と同様に、符号化しなくても構わない。符号化しない光学画像のデータは、SAR観測データ292と同様に、SAR再生処理だけで再生される。
例えば、以下の通りである。
【0164】
SAR再生逆処理部221は、SAR再生処理の逆処理により第1の光学画像から第1のSAR逆再生データ294を生成し、第2の光学画像から第2のSAR逆再生データ294を生成する。
エンコード部222は、第2のSAR逆再生データ294を符号化したデータを光学観測データ295として生成する。
SAR/光学観測データ重畳部230は、第1のSAR逆再生データ294の値に光学観測データ295の値を加えた値を示すデータを光学重畳データとして生成する。
【0165】
デコード部322は、光学重畳データを復号化して復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、光学重畳データをSAR再生処理して第1の光学画像を再生し、復号化重畳データ392をSAR再生処理して第2の光学画像を再生する。
【0166】
実施の形態4.
SAR画像を光学画像と同様に符号化し、符号化したSAR画像に光学画像を重畳させる形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について主に説明する。説明を省略する事項については実施の形態1と同様である。
【0167】
まず、SAR/光学伝送装置200の構成(図4参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0168】
エンコード部222は、特定の符号であるSAR用符号を用いてSAR観測データ292を符号化して符号化SARデータを生成し、SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いてSAR逆再生データ294を符号化して光学観測データ295を生成する。
SAR/光学観測データ重畳部230は、符号化SARデータの値に光学観測データ295の値を加えた値を示すデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0169】
次に、SAR/光学再生装置300の構成(図10参照)のうち実施の形態1と異なる構成について説明する。
【0170】
デコード部322は、SAR/光学重畳データ296をSAR用符号に基づいて復号化して第1の復号化重畳データ392(SAR復号化重畳データの一例)を生成し、SAR/光学重畳データ296をセンサ用符号に基づいて復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
SAR再生処理部321は、第1の復号化重畳データ392をSAR再生処理してSAR画像391aを再生し、第2の復号化重畳データ392をSAR再生処理して光学画像393aを再生する。
【0171】
次に、SAR/光学伝送方法(図5参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0172】
符号化処理(S130)において、エンコード部222は、異なる2つのエンコードキー299を生成する。以下、2つのエンコードキー299を第1のエンコードキー299(SAR用符号)、第2のエンコードキー299(センサ用符号)という。第1、第2のエンコードキー299はそれぞれSAR観測データ292、SAR逆再生データ294のライン数分の符号を示すものとする。
エンコード部222は、第1のエンコードキー299を用いてSAR観測データ292を符号化して符号化SARデータを生成し、第2のエンコードキー299を用いてSAR逆再生データ294を符号化して光学観測データ295を生成する。
【0173】
重畳処理(S140)において、SAR/光学観測データ重畳部230は、符号化SARデータに光学観測データ295を重畳させたデータをSAR/光学重畳データ296として生成する。
【0174】
次に、SAR/光学再生方法(図11参照)のうち実施の形態1と異なる処理について説明する。
【0175】
復号化処理(S230)において、デコード部322は、第1のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第1の復号化重畳データ392を生成し、第2のエンコードキー299を用いてSAR/光学重畳データ296を復号化して第2の復号化重畳データ392を生成する。
【0176】
光学画像再生処理(S240)において、SAR再生処理部321は、SAR再生処理により、第1の復号化重畳データ392からSAR画像データ391を生成し、第2の復号化重畳データ392から光学画像データ393を生成する。
【0177】
実施の形態4により、SAR用符号(第1のエンコードキー299)が無ければSAR画像を再生できず、SAR画像を秘匿化することができる。
【0178】
実施の形態4において、実施の形態2と同様に、SAR画像に複数の光学画像を重畳させても構わない。
【符号の説明】
【0179】
100 SAR/光学観測システム、110 SAR/光学観測衛星、111 SAR、111a アンテナ、112 光学センサ、120 地上センタ、121 地上アンテナ、200 SAR/光学伝送装置、210 SAR観測データ生成部、220 光学観測データ生成部、221 SAR再生逆処理部、222 エンコード部、230 SAR/光学観測データ重畳部、240 SAR/光学重畳データ伝送部、290 伝送装置記憶部、291 SAR観測信号データ、292 SAR観測データ、293 光学画像データ、294 SAR逆再生データ、295 光学観測データ、296 SAR/光学重畳データ、299 エンコードキー、300 SAR/光学再生装置、310 SAR/光学重畳データ受信部、320 SAR/光学画像再生部、321 SAR再生処理部、322 デコード部、329 SAR/光学画像表示部、390 再生装置記憶部、391 SAR画像データ、391a SAR画像、392 復号化重畳データ、393 光学画像データ、393a 光学画像、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、923 プログラム群、924 ファイル群。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ生成装置。
【請求項2】
請求項1記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項3】
前記SAR逆再生部は、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化部は、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項1記載のSAR重畳データ生成装置。
【請求項4】
請求項3記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項5】
前記重畳部は、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項3記載のSAR重畳データ生成装置。
【請求項6】
請求項5記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項7】
前記符号化部は、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項1記載のSAR重畳データ生成装置。
【請求項8】
請求項7記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項9】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR逆再生部により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ生成装置。
【請求項10】
請求項9記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項11】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR観測データの値に前記符号化処理により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項12】
請求項11記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項13】
前記SAR逆再生処理において、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化処理において、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項11記載のSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項14】
請求項13記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項15】
前記重畳処理において、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項13記載のSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項16】
請求項15記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項17】
前記符号化処理において、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項11記載のSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項18】
請求項17記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項19】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項20】
請求項19記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項21】
SAR逆再生部が、SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、
符号化部が、前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成し、
重畳部が、前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する
ことを特徴とするSAR重畳データ生成方法。
【請求項22】
復号化部が、請求項21記載のSAR重畳データ生成方法により生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成し、
SAR再生部が、前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生する
ことを特徴とするSAR重畳データ再生方法。
【請求項1】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ生成装置。
【請求項2】
請求項1記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項3】
前記SAR逆再生部は、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化部は、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項1記載のSAR重畳データ生成装置。
【請求項4】
請求項3記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項5】
前記重畳部は、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項3記載のSAR重畳データ生成装置。
【請求項6】
請求項5記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項7】
前記符号化部は、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳部は、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項1記載のSAR重畳データ生成装置。
【請求項8】
請求項7記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記復号化部により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項9】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生部と、
前記SAR逆再生部により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化部と、
前記SAR逆再生部により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ生成装置。
【請求項10】
請求項9記載のSAR重畳データ生成装置により生成されたSAR重畳データを記憶媒体に記憶するSAR重畳データ記憶部と、
符号化された符号化データを復号する復号処理により、前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化部と、
前記SAR重畳データ記憶部に記憶されたSAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生部と
を備えたことを特徴とするSAR重畳データ再生装置。
【請求項11】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR観測データの値に前記符号化処理により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項12】
請求項11記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項13】
前記SAR逆再生処理において、SAR再生処理の逆処理により第1のセンサ画像から第1のSAR逆再生データを生成し、SAR再生処理の逆処理により第2のセンサ画像から第2のSAR逆再生データを生成し、
前記符号化処理において、前記第1のSAR逆再生データを第1の符号を用いて符号化して第1の符号化逆再生データを生成し、前記第2のSAR逆再生データを第2の符号を用いて符号化して第2の符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記SAR観測データの値に前記第1の符号化逆再生データの値と前記第2の符号化逆再生データの値とを加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項11記載のSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項14】
請求項13記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項15】
前記重畳処理において、前記第1の符号化逆再生データの値に前記第2の符号化逆再生データの値を加えた値であって前記SAR観測データの値を加えてない値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項13記載のSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項16】
請求項15記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記第1の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第1の復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記第2の符号に基づいてCPUを用いて復号化して第2の復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成された第1の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化部により生成された第2の復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項17】
前記符号化処理において、特定の符号であるSAR用符号を用いて前記SAR観測データを符号化して符号化SARデータを生成し、前記SAR用符号とは異なるセンサ用符号を用いて前記SAR逆再生データを符号化して前記符号化逆再生データを生成し、
前記重畳処理において、前記符号化SARデータの値に前記符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータを前記SAR重畳データとして生成する
ことを特徴とする請求項11記載のSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項18】
請求項17記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データを前記SAR用符号に基づいてCPUを用いて復号化してSAR復号化重畳データを生成し、前記SAR重畳データを前記センサ用符号に基づいてCPUを用いて復号化してセンサ復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記復号化処理により生成されたSAR復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化処理により生成されたセンサ復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項19】
SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、第1のセンサにより撮像された第1のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第1のSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、第2のセンサにより撮像された第2のセンサ画像から前記SAR観測データに相当する第2のSAR逆再生データをCPUを用いて生成するSAR逆再生処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された第2のSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成する符号化処理と、
前記SAR逆再生処理により生成された前記第1のSAR逆再生データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する重畳処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ生成プログラム。
【請求項20】
請求項19記載のSAR重畳データ生成プログラムにより生成されたSAR重畳データをCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成する復号化処理と、
前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第1のセンサ画像を再生し、前記復号化処理により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理して第2のセンサ画像を再生するSAR再生処理と
をコンピュータに実行させるSAR重畳データ再生プログラム。
【請求項21】
SAR逆再生部が、SAR(Synthetic Aperture Radar)により特定の地域を観測して得られたSAR観測データから前記特定の地域を表すSAR画像を再生するSAR再生処理の逆処理により、特定のセンサにより撮像されたセンサ画像から前記SAR観測データに相当するSAR逆再生データをCPU(Central Processing Unit)を用いて生成し、
符号化部が、前記SAR逆再生部により生成されたSAR逆再生データを符号化したデータを符号化逆再生データとしてCPUを用いて生成し、
重畳部が、前記SAR観測データの値に前記符号化部により生成された符号化逆再生データの値を加えた値を示すデータをSAR重畳データとしてCPUを用いて生成する
ことを特徴とするSAR重畳データ生成方法。
【請求項22】
復号化部が、請求項21記載のSAR重畳データ生成方法により生成されたSAR重畳データを復号処理によりCPUを用いて復号化して復号化重畳データを生成し、
SAR再生部が、前記SAR重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してSAR画像を再生し、前記復号化部により生成された復号化重畳データをCPUを用いてSAR再生処理してセンサ画像を再生する
ことを特徴とするSAR重畳データ再生方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−236970(P2010−236970A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84014(P2009−84014)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591102095)三菱スペース・ソフトウエア株式会社 (148)
【Fターム(参考)】
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