説明

SIMカード

【課題】SIMカードは外形が小さいので、紛失し易い。また、一度紛失した場合には、外形が小さいので、発見することは容易ではない。そこで、一度紛失したとしても、容易に見つけ出すことができるSIMカードを提供する。
【解決手段】無線通信によって送信される特定の信号を受信する通信部11と、前記通信部11が前記特定の信号を受信したときに、SIMカード10の位置を知らせる応答信号を発生する応答信号発生器12とを有するSIMカード10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIMカード(SIM Card: Subscriber Identity Mobile Card)及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の事業者は、SIMカードと呼ばれる、加入権情報(電話番号)を書き込んだICカードを販売している。ユーザーは、携帯電話の事業者と加入契約をして、SIMカードを取得する。このSIMカードを、ユーザが自身の携帯電話端末に装着すれば、携帯電話端末が使用可能になる。もしも、ユーザが別の携帯電話端末を利用したい場合には、SIMカードを自分で差し替える。この差し替えにより、同じ電話番号のまま、別の携帯電話端末を利用できるようになる。一方、ユーザーは、複数の携帯電話の事業者と加入契約をして、複数のSIMカードを取得することもできる。複数のSIMカードを差し替えながら使用すれば、一台の携帯電話端末で複数の事業者を使い分けることも可能である。
【0003】
SIMカードは、加入権と電話端末を分離する目的で作られたが、電話機から取り外しが可能であるという特徴を有する。電源及びクロックは電話端末より供給され、リード/ライト情報は不揮発メモリに記憶される。ISO7810規格では、二千回の脱着、十万回のリード/ライトに対する耐久性を要求されている。
【0004】
SIMカードは、メモリカードというよりは、OSを内蔵したCPUカードと言え、マイコンを搭載している。公開鍵方式を採用し、高いセキュリティを確保している。SIMカードには、認証用のA3アルゴリズムと暗号化用のA8アルゴリズムの鍵になるパラメータが格納されている。SIMカードにアクセスする際には、Personal Identification Number、PIN Unblock Key、Administration Keyの三段階のコードが必要になる。
【0005】
SIMカードには、クレジットカードと同じ形状のフルカードと、プラグインとの二種類がある。プラグインは、幅15ミリメートル、奥行き25ミリメートル、厚み0.8ミリメートル程度の外形寸法を有する。プラグインのサイズを使う場合には、ICチップの部分だけを切り離して、電話端末に挿入する。
【0006】
さて、ICカードに関しては、特開2001−14435号公報に記載された発明が知られる。この発明は、プロセッサを内蔵したICカードにおいて、前記ICカードに音声情報があらかじめ記録された音声メモリを内蔵する音声チップ及び再生された音声情報を出力する音声出力装置からなる音声出力機構が埋設されていることを特徴とする。
【0007】
ここでは、ICカードに搭載できる薄型・小型の電源及び音声出力装置が利用されている。音声出力機構は、圧電振動素子や平面スピーカ装置などの振動素子と、そこから出力する音声信号の増幅器、および出力する音声信号を蓄積している読み出し専用メモリにより構成されている。これらを駆動する電源は、太陽電池、大容量コンデンサ、1次および2次電池が用いられる。
【0008】
ところで、薄型・小型の発光源である発光シートも実用化されている。発光シートは、厚さ0.2〜0.3ミリメートルくらいの薄いシート状の光源で、均一の輝度を持ち、サインや写真パネルなどの寸法に合せて加工することができる。また、柔軟性が高いので、折り曲げることもできる。現在、看板、ポスター、店頭サイン、インテリアの装飾光源、ギフト製品、カーアクセサリーなどに利用されている。
【0009】
【特許文献1】特開2001−14435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
SIMカードは外形が小さいので、紛失し易い。また、一度紛失した場合には、外形が小さいので、発見することは容易ではない。特に、目が不自由な人にとっては、SIMカードの差し替えを触覚に頼らざるを得ず、誤って差し替え時にSIMカードを手元から落としてしまった場合には、発見が困難となる。また、暗い場所でSIMカードを落とした場合には、手探りで捜しあてるのが難しくなる。本発明の目的は、一度紛失したとしても、容易に見つけ出すことができるSIMカードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明によるSIMカード(10,30)は、無線通信によって送信される特定の信号を受信する通信部(11,31)と、前記通信部(11,31)が前記特定の信号を受信したときに、SIMカード(10,30)の位置を知らせる応答信号を発生する応答信号発生器(12,32)とを有する。また、本発明によるSIMカード(10)においては、前記応答信号発生器(12)が、人間の聴覚によって感知される応答信号を発生することによってSIMカード(10)の位置を知らせる。また、本発明によるSIMカード(30)においては、前記応答信号発生器(32)が、人間の視覚によって感知される応答信号を発生することによってSIMカード(30)の位置を知らせる。また、本発明によるSIMカード(10,30)においては、前記通信部(11,31)が、SIMカード(10,30)が装着される携帯端末(16,36)によって送信される所定の信号を、前記特定の信号として受信する。
【0013】
また、本発明による携帯端末(16,36)は、前記SIMカード(10,30)に、前記特定の信号を送信する。また、本発明による携帯端末(16,36)においては、SIMカード(10,30)を外された後、一定時間を経過すると前記特定の信号を送信する。また、本発明による携帯端末(16,36)においては、予め定められた操作が為されることによって、前記特定の信号を送信する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯端末を使ってSIMカードの捜索を始めることができるので、SIMカードを紛失したとしても、容易にそのSIMカードを発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に、本発明による実施の形態におけるシステム構成図を示す。図示するように、本例ではSIMカード10が、電源13、スピーカ音源12、通信部11を有しており、携帯端末16との通信が可能となっている。SIMカード10は、携帯端末16に挿入して使用する。通信部11は、携帯端末16から送信される特定の無線信号を受信する。スピーカ音源12は、通信部11が特定の無線信号を受信したときに音を発生する機能を有する。電源13は、通信部11及びスピーカ音源12に電力を供給する動力源である。携帯端末16は、SIMカード10を挿入することにより利用可能になる。
【0016】
次に、図2のフローチャートに基づいて、図1に示す実施の形態における動作を説明する。携帯端末16に挿入されているSIMカード10は、他の携帯端末に差し替えるときや、一度携帯端末16から外して保管しておいたときなど、紛失される可能性がある。SIMカード10が紛失されたとする(動作200)。この状態において、容易に発見されれば(動作201)、本発明によるSIMカード10の機能を利用する必要はなく、SIMカードの捜索は終了する(動作202)。
【0017】
紛失したSIMカード10が容易に発見されなかった場合、携帯端末16はSIMカード10に対してある特定の信号を送信する(動作203)。特定の信号は、例えば、携帯端末16からSIMカード10が外された後、一定時間が経過したときに自動的に送信するようにすることができる。あるいは、マニュアル的に、ユーザが携帯端末を手動操作することによって送信することができる。ここで、ユーザは、特定の信号を自動的に送信するか、または手動操作によって送信するかを、予め携帯端末16に設定しておくことができる。
【0018】
また、携帯端末16は、一度挿入されたSIMカードの情報を自動的に入手し、複数のSIMカードを捜索することもできる。携帯端末16は、挿入された第一のSIMカードから電話番号や製造番号を読みとり、その情報を記憶する。次に、第二のSIMカードが挿入されたら、その電話番号や製造番号も読みとり、その情報を記憶する。ユーザがSIMカードを紛失した場合には、携帯端末16は、記憶された情報に基づき、第一のSIMカードに特定の信号を送信すると共に、第二のSIMカードにも特定の信号を送信する。若しくは、携帯端末16は、一度挿入されたSIMカードの情報を自動的に入手し、最新のSIMカードを捜索する。携帯端末16は、挿入された第一のSIMカードから電話番号や製造番号を読みとり、その情報を記憶した後、第二のSIMカードが挿入されたら、その電話番号や製造番号も読みとり、その情報を上書きする。ユーザがSIMカードを紛失した場合には、携帯端末16は、記憶された情報に基づき、第二のSIMカードに対して特定の信号を送信する。
【0019】
SIMカード10は、携帯端末16から送信された特定の信号を、通信部11により受信する(動作204)。この際、通信部11は電源13から電源の供給を受ける。通信部11により特定の信号を受信したSIMカード10は、添付または内蔵されているスピーカ音源12から音を発生する(動作205)。この際、スピーカ音源12は電源13から電源の供給を受ける。音の発生により、捜索者は音の発生源を追跡することができるので、紛失していたSIMカード10を容易に発見することができる(動作206)。もしも、SIMカード10の発見に至らなかった場合には、捜索場所を移動するなどして、捜索(動作203〜206)を繰り返す。
【0020】
以上、スピーカ音源を添付・内蔵する例について説明した。しかしながら、スピーカ音源を添付・内蔵するだけでなく、発行ダイオード等の発光体を添付・内蔵することによってSIMカードの位置を探索することもできる。発光体を用いれば、視覚的捜索をより容易なものとすることができる。
【0021】
図3に、本発明による他の実施の形態におけるシステム構成図を示す。図示するように、本例ではSIMカード30が、電源33、発光源32、通信部31を有しており、携帯端末36との通信が可能となっている。SIMカード30は、携帯端末36に挿入して使用するもので、ユーザ個人を特定するカードである。通信部31は、携帯端末16から送信される特定の無線信号を受信する。発光源32は、通信部31が特定の無線信号を受信したときに光を発生する機能を有する。電源13は、通信部11及び発光源32に電力を供給する動力源である。携帯端末36は、SIMカード30を挿入することにより利用可能になる。
【0022】
次に、図4のフローチャートに基づいて、図3に示す他の実施の形態における動作を説明する。携帯端末36に挿入されているSIMカード30は、他の携帯端末に差し替えるときや、一度携帯端末36から外して保管しておいたときなど、紛失される可能性がある。SIMカード30が紛失されたとする(動作400)。この状態において、容易に発見されれば(動作401)、本発明によるSIMカード30の機能を使用する必要はなく、SIMカードの捜索は終了する(動作402)。
【0023】
紛失したSIMカード30が容易に発見されなかった場合、携帯端末36はSIMカード30に対してある特定の信号を送信する(動作403)。特定の信号は、例えば、携帯端末36からSIMカード30が外された後、一定時間が経過したときに自動的に送信するようにすることができる。あるいは、マニュアル的に、ユーザが携帯端末を手動操作することによって送信することができる。ここで、ユーザは、特定の信号を自動的に送信するか、または手動操作によって送信するかを、予め携帯端末36に設定しておくことができる。
【0024】
また、携帯端末36は、一度挿入されたSIMカードの情報を自動的に入手し、複数のSIMカードを捜索することもできる。携帯端末36は、挿入された第一のSIMカードから電話番号や製造番号を読みとり、その情報を記憶する。次に、第二のSIMカードが挿入されたら、その電話番号や製造番号も読みとり、その情報を記憶する。ユーザがSIMカードを紛失した場合には、携帯端末36は、記憶された情報に基づき、第一のSIMカードに特定の信号を送信すると共に、第二のSIMカードにも特定の信号を送信する。若しくは、携帯端末16は、一度挿入されたSIMカードの情報を自動的に入手し、最新のSIMカードを捜索する。携帯端末36は、挿入された第一のSIMカードから電話番号や製造番号を読みとり、その情報を記憶した後、第二のSIMカードが挿入されたら、その電話番号や製造番号も読みとり、その情報を上書きする。ユーザがSIMカードを紛失した場合には、携帯端末36は、記憶された情報に基づき、第二のSIMカードに対して特定の信号を送信する。
【0025】
SIMカード30は、携帯端末36から送信された特定の信号を、通信部31により受信する(動作404)。この際、通信部31は電源33から電源の供給を受ける。通信部31により特定の信号を受信したSIMカード30は、添付または内蔵されている発光源32から光を放つ(動作405)。この際、発光源32は電源33から電源の供給を受ける。この発光源の発光により、ユーザは発光源を追跡することができるので、紛失していたSIMカード30を容易に発見することができる(動作406)。もしも、SIMカード30の発見に至らなかった場合には、捜索場所を移動するなどして、捜索(動作403〜406)を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明による実施の形態におけるシステム構成図である。
【図2】図2は、図1に示す実施の形態における動作を説明するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明による他の実施の形態におけるシステム構成図である。
【図4】図4は、図3に示す実施の形態における動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
10,30 SIMカード
11,31 通信部
12 スピーカ音源
32 発光源
13,33 電源
16,36 携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信によって送信される特定の信号を受信する通信部と、
前記通信部が前記特定の信号を受信したときに、SIMカードの位置を知らせる応答信号を発生する応答信号発生器と
を有するSIMカード。
【請求項2】
前記応答信号発生器は、人間の聴覚によって感知される応答信号を発生することによってSIMカードの位置を知らせる請求項1記載のSIMカード。
【請求項3】
前記応答信号発生器は、人間の視覚によって感知される応答信号を発生することによってSIMカードの位置を知らせる請求項1記載のSIMカード。
【請求項4】
前記通信部は、SIMカードが装着される携帯端末によって送信される所定の信号を、前記特定の信号として受信する請求項1〜3いずれか1項に記載のSIMカード。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載のSIMカードに、前記特定の信号を送信する携帯端末。
【請求項6】
前記携帯端末は、SIMカードを外された後、一定時間を経過すると前記特定の信号を送信する請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
前記携帯端末は、予め定められた操作が為されることによって、前記特定の信号を送信する請求項5記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−33417(P2008−33417A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203225(P2006−203225)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】